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特許7164605リソグラフィ装置で使用するための基板ホルダ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置で使用するための基板ホルダ
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20221025BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
G03F7/20 501
H01L21/68 N
G03F7/20 521
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020525978
(86)(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018082175
(87)【国際公開番号】W WO2019115195
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-06-19
(31)【優先権主張番号】17206912.2
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18183119.9
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(73)【特許権者】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ポイスズ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】バルティス,コーエン,フーベルトゥス,マテウス
(72)【発明者】
【氏名】ソエトウト,アブラハム,アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】アクバス,メフメト,アリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デン バーグ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァネシュ,ウーター
(72)【発明者】
【氏名】テウニッセン,マーセル,マリア,コーネリアス,フランシスカス
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-343110(JP,A)
【文献】特開2005-079586(JP,A)
【文献】特表2008-501244(JP,A)
【文献】国際公開第2017/060028(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/102162(WO,A1)
【文献】Bowed wafer flattening with help of an edge landing ring,RESEARCH DISCLOSURE,vol. 642, no. 31,英国,RESEARCH DISCLOSURE,2017年10月01日,824-826
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するように構成された、液浸リソグラフィ装置で使用するための基板ホルダであって、
本体表面を有する本体と、
それぞれが前記基板を支持するように構成された遠位端面と第1の高さとを有する、前記本体表面から突出する複数の支持要素と、
前記本体表面から突出する第1のシール部材を含むシール部であって、前記第1のシール部材が、前記基板のロード及び/又はアンロード中に前記基板と接触するように構成された接触領域を有する上面と、前記第1の高さよりも低い第2の高さと、を有し、前記複数の支持要素の半径方向外側に前記複数の支持要素を取り囲むように配置された、シール部と、を備え、
前記接触領域の位置が、前記基板のロード及び/又はアンロード中に前記基板により前記第1のシール部材に加えられる力が前記基板により前記複数の支持要素に加えられる力よりも大きくなるほど十分に、前記複数の支持要素から離れたところに配置され、
前記シール部は、前記基板と前記本体表面との間の液体の前記シール部を超えた半径方向内側への通過を制限するように構成される、基板ホルダ。
【請求項2】
基板を支持するように構成された、液浸リソグラフィ装置で使用するための基板ホルダであって、
本体表面を有する本体と、
それぞれが前記基板を支持するように構成された遠位端面と第1の高さとを有する、前記本体表面から突出する複数の支持要素と、
前記本体表面から突出する第1のシール部材を含むシール部であって、前記第1のシール部材が、前記基板のロード及び/又はアンロード中に前記基板と接触するように構成された接触領域を有する上面と、前記第1の高さよりも低い第2の高さと、を有し、前記複数の支持要素の半径方向外側に前記複数の支持要素を取り囲むように配置された、シール部と、を備え、
半径方向最も外側の前記支持要素の前記第1の高さと前記第1のシール部材の前記第2の高さとの差が約2ミクロンから8ミクロンであ
前記シール部は、前記基板と前記本体表面との間の液体の前記シール部を超えた半径方向内側への通過を制限するように構成される、基板ホルダ。
【請求項3】
前記接触領域が、前記第1のシール部材の半径方向外縁部に隣接して配置され、
前記遠位端面の半径方向外縁部から前記接触領域までの半径方向距離が、1,000ミクロンより大きい、及び/又は、
前記第1のシール部材の半径方向の長さが、300ミクロンより大きい、請求項1又は2に記載の基板ホルダ。
【請求項4】
前記第1のシール部材の半径方向の断面における、前記接触領域のプロファイルが、前記基板のロード及び/又はアンロード中に前記基板が前記プロファイルの少なくとも2つの異なる点を介して前記第1のシール部材と接触するように構成された形状を有し、
及び/又は、
前記基板ホルダが、前記本体表面から突出し、上面を有する少なくとも1つの別の部材を備え、前記少なくとも1つの別の部材が、前記シール部の半径方向外側に前記シール部を取り囲むように配置され、前記別の部材の前記上面が、前記基板のロード及び/又はアンロード中に前記基板と接触するように構成された接触領域を有し、
前記別の部材の前記接触領域の位置が、前記基板のロード及び/又はアンロード中に前記基板により前記別の部材に加えられる力が前記基板により前記複数の支持要素に加えられる力よりも大きくなるほど十分に前記複数の支持要素から離れたところに配置される、請求項1から3の何れか一項に記載の基板ホルダ。
【請求項5】
前記複数の支持要素、前記第1のシール部材、又はその両方が、ダイアモンド状炭素、ダイアモンド、炭化ケイ素、窒化ホウ素、又は窒化ホウ素炭素から作られたコーティングを備え、前記コーティングが、前記複数の支持要素の前記遠位端面を構成する、及び/又は前記第1のシール部材の前記上面を構成し、前記第1のシール部材の前記接触領域が前記コーティング上にあり、及び/又は
前記少なくとも1つの別の部材が、ダイアモンド状炭素、ダイアモンド、炭化ケイ素、窒化ホウ素、又は窒化ホウ素炭素から作られたコーティングを備え、前記コーティングが、前記別の部材の前記上面を構成し、前記別の部材の前記接触領域が前記別の部材の前記コーティング上にある、請求項1から4の何れか一項に記載の基板ホルダ。
【請求項6】
基板を支持するように構成された、液浸リソグラフィ装置で使用するための基板ホルダであって、
本体表面を有する本体と、
それぞれが前記基板を支持するように構成された遠位端面と第1の高さとを有する、前記本体表面から突出する複数の支持要素と、
前記本体表面から突出する第1のシール部材を含むシール部であって、前記第1のシール部材が、前記第1の高さよりも低い第2の高さを有し、前記複数の支持要素の半径方向外側に前記複数の支持要素を取り囲むように配置された、シール部と、
前記本体表面から突出し、上面と、前記第1の高さよりも低い第3の高さと、を有する少なくとも1つの別の部材であって、前記シール部の半径方向外側に前記シール部を取り囲むように配置され、前記別の部材の前記上面を構成するコーティングを備え、前記コーティングが、前記基板のロード及び/又はアンロード中に前記基板と接触するように構成された接触領域を有し、前記コーティングが、ダイアモンド状炭素、ダイアモンド、炭化ケイ素、窒化ホウ素、又は窒化ホウ素炭素から作られる、少なくとも1つの別の部材と、を備え、
前記別の部材の前記接触領域の位置が、前記基板のロード及び/又はアンロード中に前記基板により前記別の部材に加えられる力が前記基板により前記複数の支持要素に加えられる力よりも大きくなるほど十分に、前記複数の支持要素から離れたところに配置され、
前記シール部は、前記基板と前記本体表面との間の液体の前記シール部を超えた半径方向内側への通過を制限するように構成される、基板ホルダ。
【請求項7】
基板を支持するように構成された、液浸リソグラフィ装置で使用するための基板ホルダであって、
本体表面を有する本体と、
それぞれが前記基板を支持するように構成された遠位端面と第1の高さとを有する、前記本体表面から突出する複数の支持要素と、
前記本体表面から突出する第1のシール部材を含むシール部であって、前記第1のシール部材が、前記第1の高さよりも低い第2の高さを有し、前記複数の支持要素の半径方向外側に前記複数の支持要素を取り囲むように配置された、シール部と、
前記本体表面から突出し、上面と、前記第1の高さよりも低い第3の高さと、を有し、前記シール部の半径方向外側に前記シール部を取り囲むように配置された少なくとも1つの別の部材と、を備え、
半径方向に最も外側の前記支持要素の前記第1の高さと前記別の部材の前記第3の高さとの差が約0.5ミクロンから5ミクロンであ
前記シール部は、前記基板と前記本体表面との間の液体の前記シール部を超えた半径方向内側への通過を制限するように構成される、基板ホルダ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの別の部材が、前記別の部材の前記上面を構成するコーティングであって、前記基板のロード及び/又はアンロード中に前記基板と接触するように構成されたコーティングを備え、
前記半径方向に最も外側の支持要素の半径方向外縁部から半径方向に最も内側の別の部材の前記接触領域までの距離が約1,000ミクロンから3,000ミクロンである、請求項6又は7に記載の基板ホルダ。
【請求項9】
前記別の部材の半径方向の断面における、前記別の部材の前記接触領域のプロファイルが、前記基板のロード及び/又はアンロード中に前記基板が前記プロファイルの少なくとも2つの異なる点を介して前記別の部材と接触するように構成された形状を有し、及び/又は、
前記別の部材が、円環形状を有し、複数のセグメントを備え、及び/又は、
前記別の部材が、複数の別の支持要素を備える、請求項6から8の何れか一項に記載の基板ホルダ。
【請求項10】
基板を支持するように構成された、液浸リソグラフィ装置で使用するための基板ホルダであって、
本体表面を有する本体と、
それぞれが前記基板を支持するように構成された遠位端面と第1の高さとを有する、前記本体表面から突出する複数の支持要素と、
前記本体表面から突出する第1のシール部材を含むシール部であって、前記第1のシール部材が、前記基板のロード及び/又はアンロード中に前記基板と接触するように構成された接触領域を有する上面と、前記第1の高さよりも低い第2の高さと、を有し、前記複数の支持要素の半径方向外側に前記複数の支持要素を取り囲むように配置された、シール部と、を備え、
前記第1のシール部材の半径方向の断面における、前記接触領域のプロファイルが、前記基板のロード及び/又はアンロード中に前記基板が前記プロファイルの少なくとも2つの異なる点を介して前記第1のシール部材と接触するように構成された形状を有する、基板ホルダ。
【請求項11】
前記プロファイルの前記形状が、前記第1のシール部材の前記上面から前記第1のシール部材の半径方向外縁部まで線形であり、及び/又は、
前記プロファイルの前記形状が、前記第1のシール部材の上面から前記第1のシール部材の半径方向外縁部に及ぶ複数の直線部分を含み、及び/又は、
前記プロファイルの前記形状が実質的に段差形状であり、及び/又は、
前記プロファイルの前記形状が、前記第1のシール部材の上面から前記第1のシール部材の半径方向外縁部にかけて湾曲する、請求項4、9又は10に記載の基板ホルダ。
【請求項12】
前記第1のシール部材の前記上面から前記第1のシール部材の前記半径方向外縁部に及ぶ前記線形プロファイルが、前記第1のシール部材の前記上面に対して、およそ0.15ミクロン/mmから3ミクロン/mmの負の勾配であるか、又は、前記プロファイルの前記形状が、楕円又は円の一部である、請求項11に記載の基板ホルダ。
【請求項13】
前記シール部は、前記基板と前記本体表面との間の液体の前記シール部を超えた半径方向内側への通過を制限するように構成されており、及び/又は、
前記シール部が、前記本体表面から突出し、前記第1のシール部材の半径方向内側に配置された第2のシール部材であって、前記基板と前記本体表面との間の液体の前記第2のシール部材を越えた半径方向内側への通過を制限するように構成された第2のシール部材を含み、及び/又は、
前記第1のシール部材が、前記シール部の半径方向外側の領域における圧力に対して前記第1のシール部材の半径方向内側において圧力低下させるように構成され、及び/又は、前記基板ホルダが、前記本体表面と前記基板との間から前記本体内に流体を抽出するための前記本体に形成された少なくとも1つの抽出開口であって、前記第1のシール部材の半径方向内側に隣接して配置された少なくとも1つの抽出開口をさらに備え、及び/又は、
前記基板ホルダが、前記基板がロード及び/又はアンロードされているときに、前記本体と前記基板との間の圧力を制御するように構成された、請求項1から12の何れか一項に記載の基板ホルダ。
【請求項14】
前記第1のシール部材が、前記第1のシール部材と前記第2のシール部材との間に低圧領域を提供するように構成された、請求項13に記載の基板ホルダ。
【請求項15】
請求項1から14の何れか一項に記載の前記基板を支持するように構成された前記基板ホルダを備えた、液浸リソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2017年12月13日に出願された欧州出願17206912.2及び2018年7月12日に出願された欧州出願18183119.9の優先権を主張する。両出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明はリソグラフィ装置で使用するための基板ホルダに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に付与するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用することができる。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)のパターン(よく「デザインレイアウト」又は「デザイン」とも呼ばれる)を基板(例えばウェーハ)上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上へ投影することができる。
【0004】
[0004] 半導体製造プロセスが進歩し続けるのと共に、回路素子の寸法は、一般に「ムーアの法則」と呼ばれる傾向に従って絶えず縮小され、一方でデバイス当たりのトランジスタなどの機能素子の量は、数十年にわたって着実に増加している。ムーアの法則についていくために、半導体産業は、ますます小さなフィーチャを作製できるようにする技術を追いかけている。基板にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を用いることができる。この放射の波長は、基板上にパターン形成されるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm、及び13.5nmである。4nmから20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置を使用して、例えば193nmの波長を有する放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さなフィーチャを基板上に形成することができる。
【0005】
[0005] 液浸リソグラフィ装置において、液浸液は、装置の投影システムと基板との間の空間に入れられる。この液浸液は、基板の縁部を越えて基板の下面に到達する可能性がある。これは、この液浸液から生じる基板の下面の汚染及び/又は基板の縁部に近い位置にある基板の下面にかかる熱負荷、液浸液の蒸発に起因して有害である可能性がある。基板を支持するように構成される基板ホルダは、液浸液が基板の下面に沿って半径方向内側に移動する量及び/又は距離を減じる特徴部を有することができる。
【0006】
[0006] 基板は一般に、照射されている間、基板ホルダによって支持される。基板ホルダは、使用中に基板の下部と接触して基板を支持する支持要素などの特定部分を備えることができる。基板は、照射が行われた後に基板ホルダから取り外すことができる。基板を基板ホルダからアンロードするために行われる特定のステップがある場合がある。基板は、基板をアンロードするプロセス中に変形する可能性がある。変形によって、一般に、基板の中心が基板ホルダから離れて浮き上がったり、基板の下の最も外側のサポート上で基板ホルダに向かって片持ち梁のように下がったりする。
【0007】
[0007] アンロードプロセス中に、変形した基板は基板ホルダの様々な部品と接触し摩耗する可能性があり、様々な問題が起こる可能性がある。第1に、アンロード中に基板ホルダの支持要素と基板の下側とが相互作用することによって、支持要素の摩耗が生じる可能性がある。支持要素は、さらなる層を照射するために基板を支持したり、さらなる基板を支持したりすることに使用されるとき、支持要素の摩耗が焦点問題及び/又はオーバーレイ問題を引き起こす可能性がある。支持要素の摩耗は、やがて基板テーブルの交換が必要になることを意味することができる。換言すれば、支持要素の摩耗は、基板ホルダの耐用期間を制限する可能性がある。第2に、基板の下部は、液浸液が外縁部から半径方向内側に移動する量及び/又は距離を減ずることに使用される特徴部と接触する傾向がある。これは、基板が上記特徴部を摩滅させること、及び特徴部が基板の外縁部における基板の下部を削ることを意味する。これによって、システムを汚染する粒子が生成され、焦点問題及び/又はオーバーレイ問題が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本発明の目的は、基板を支持するのに使用される支持要素の摩耗を低減する、及び/又はシステムを汚染する可能性がある基板の下側の損傷を減少させる基板ホルダを提供することである。
【0009】
[0009] 本発明のある実施形態では、基板を支持するように構成された、リソグラフィ装置で使用するための基板ホルダであって、基板ホルダが、本体表面を有する本体と、それぞれが基板を支持するように構成された遠位端面と第1の高さとを有する、本体表面から突出する複数の支持要素と、本体表面から突出する第1のシール部材を含み、第1のシール部材が、基板のロード及び/又はアンロード中に基板と接触するように構成された接触領域を有する上面と、第1の高さよりも低い第2の高さとを有し、複数の支持要素の半径方向外側に複数の支持要素を取り囲むように配置されたシール部と、を備え、接触領域の位置が、基板のロード及び/又はアンロード中に基板により第1のシール部材に加えられる力が基板により複数の支持要素に加えられる力よりも大きくなるほど十分に複数の支持要素から離れたところに配置される、基板ホルダが提供される。
【0010】
[00010] 本発明のある実施形態では、基板を支持するように構成された、リソグラフィ装置で使用するための基板ホルダであって、基板ホルダが、本体表面を有する本体と、それぞれが基板を支持するように構成された遠位端面と第1の高さとを有する、本体表面から突出する複数の支持要素と、本体表面から突出する第1のシール部材を含み、第1のシール部材が、第1の高さよりも低い第2の高さを有し、複数の支持要素の半径方向外側に複数の支持要素を取り囲むように配置されたシール部と、本体表面から突出し、上面を有する少なくとも1つの別の部材であって、シール部の半径方向外側にシール部を取り囲むように配置され、別の部材の上面を構成するコーティングを備え、コーティングが、基板のロード及び/又はアンロード中に基板と接触するように構成された接触領域を有し、コーティングが、ダイアモンド状炭素(例えばa-CH)、ダイアモンド、炭化ケイ素(例えばSiSiC又はSiC)、窒化ホウ素、又は窒化ホウ素炭素(BCN)から作られる、少なくとも1つの別の部材と、を備え、別の部材の接触領域の位置が、基板のロード及び/又はアンロード中に基板により別の部材に加えられる力が基板により複数の支持要素に加えられる力よりも大きくなるほど十分に複数の支持要素から離れたところに配置される、基板ホルダが提供される。
【0011】
[00011] 本発明のある実施形態では、基板を支持するように構成された、リソグラフィ装置で使用するための基板ホルダであって、基板ホルダが、本体表面を有する本体と、それぞれが基板を支持するように構成された遠位端面と第1の高さとを有する、本体表面から突出する複数の支持要素と、本体表面から突出する第1のシール部材を含み、第1のシール部材が、基板のロード及び/又はアンロード中に基板と接触するように構成された接触領域を有する上面と、第1の高さよりも低い第2の高さとを有し、複数の支持要素の半径方向外側に複数の支持要素を取り囲むように配置されたシール部と、を備え、第1のシール部材の半径方向の断面における接触領域のプロファイルが、基板のロード及び/又はアンロード中に基板がプロファイルの少なくとも2つの異なる点を介して第1のシール部材と接触するように構成された形状を有する基板ホルダが提供される。
【0012】
[00012] 本発明のある実施形態では、基板を支持するように構成された基板ホルダを備えたリソグラフィ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
[00013] 本発明の実施形態を、単なる例として添付の概略図を参照して以下に説明する。
【0014】
図1】リソグラフィ装置の概略図を示す。
図2A-2B】全周に延在し得る異なる特徴部が左側及び右側に示された、2つの異なるバージョンの流体ハンドリング構造を断面図で示す。
図3A】従来技術に係る基板ホルダを断面図で示す。
図3B】最も外側の支持要素及びシール部材を示す図3Aの拡大部分を示す。
図4】本発明に係る基板ホルダの縁部を断面図で示す。
図5】本発明に係る基板ホルダの縁部を断面図で示す。
図6A-6B】本発明に係る基板ホルダの縁部を断面図で示す。
図7A-7G】それぞれ本発明に係るシール部を断面図で示す。
図8】本発明に係る基板ホルダの縁部を断面図で示す。
図9】本発明に係る基板ホルダの縁部を断面図で示す。
図10】本発明に係る基板の縁部を断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[00014] 本文献において、「放射」及び「ビーム」という用語は、(例えば、365、248、193、157、又は126nmの波長を有する)紫外線を含む全てのタイプの電磁放射を包含するために用いられる。
この本文で用いられる「レチクル」、「マスク」、又は「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分に作成されることになるパターンに対応して、パターン形成された断面を入射放射ビームに与えるために使用できる一般的なパターニングデバイスを指すように広義に解釈することができる。「ライトバルブ」という用語もまた、この文脈において用いることができる。典型的なマスク(透過又は反射、バイナリ、移相、ハイブリッド等)に加えて、他のかかるパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイを含む。
【0016】
[00015] 図1は、リソグラフィ装置を概略的に示している。リソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、UV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータともよばれる)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、一定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたマスクサポート(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、一定のパラメータに従って基板サポートWTを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板サポート(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を備える。
【0017】
[00016] 動作中、照明システムILは、放射源SOから、例えばビームデリバリシステムBDを介して放射ビームBを受け取る。照明システムILは、放射の誘導、整形、及び/又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気などの様々なタイプの光学コンポーネント、及び/又は他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせを備えることができる。イルミネータILを使用して、パターニングデバイスMAの平面において、放射ビームBの断面に所望の空間及び角度強度分布を有するように放射ビームBを調節することができる。
【0018】
[00017] 本明細書で用いられる「投影システム」PSという用語は、用いられている露光放射、及び/又は液浸液の使用もしくは真空の使用などの他の要因に適切な、屈折、反射、反射屈折、アナモルフィック、磁気、電磁気、及び/又は静電気光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む様々なタイプの投影システムを包含するものと広義に解釈されるべきである。本明細書における「投影レンズ」という用語のいかなる使用も、「投影システム」PSというより一般的な用語と同義なものと見なすことができる。
【0019】
[00018] リソグラフィ装置は、投影システムPSと基板Wとの間の空間11を満たすために、基板の少なくとも一部分が、比較的高い屈折率を有する液浸液、例えば水によって覆うことができるタイプであってよく、液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技術に関するより多くの情報が、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,952,253号に示されている。
【0020】
[00019] リソグラフィ装置は、2つ以上の基板サポートWT(「デュアルステージ」とも呼ばれる)を有するタイプであってもよい。かかる「マルチステージ」機械において、基板サポートWTは並列で使用することができる、及び/又は基板Wの後続の露光に備えるステップは、一方の基板サポートWT上の別の基板Wが、その一方の基板W上にパターンを露光するために使用されている間に、もう一方の基板サポートWT上に位置する基板W上で実行することができる。
【0021】
[00020] 基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置は、測定ステージを備えることができる。測定ステージは、センサ及び/又はクリーニングデバイスを保持するように配置される。センサは、投影システムPSの特性又は放射ビームBの特性を測定するように配置することができる。測定ステージは複数のセンサを保持することができる。クリーニングデバイスは、リソグラフィ装置の一部、例えば投影システムPSの一部又は液浸液を供給するシステムの一部を洗浄するように配置することができる。測定ステージは、基板サポートWTが投影システムPSから離れている場合に、投影システムPSの下に移動することができる。
【0022】
[00021] 動作中、放射ビームBは、マスクサポートMT上に保持されるパターニングデバイス、例えばマスクMA上に入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(デザインレイアウト)によってパターン付与される。マスクMAを横断した後、放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームを合焦させる。第2のポジショナPW及び位置測定システムIFの支援により、基板サポートWTは、例えば、合焦され整列した位置に放射ビームBの経路上の異なるターゲット部分Cを位置決めするために正確に移動することができる。同様に、第1のポジショナPM、及び場合により別の位置センサ(図1に明示的には示されていない)を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合わせすることができる。図示したような基板アライメントマークP1、P2は、専用のターゲット部分を占めるが、それらはターゲット部分間の空間に位置することができる。基板アライメントマークP1、P2は、ターゲット部分C間に位置する場合、スクライブラインアライメントマークとして知られている。
【0023】
[00022] 本発明を明確にするために、デカルト座標系が用いられる。デカルト座標系は、3つの軸、すなわちx軸、y軸、及びz軸を有する。3つの軸のそれぞれは、他の2つの軸と直交する。x軸を中心とする回転は、Rx回転と呼ばれる。y軸を中心とする回転は、Ry回転と呼ばれる。z軸を中心とする回転は、Rz回転と呼ばれる。x軸及びy軸は水平面を定義するのに対して、z軸は垂直方向にある。デカルト座標系は本発明を限定しているのではなく、明確化のためにのみ用いられる。代わりに、円筒座標系などの別の座標系を用いて本発明を明確にすることもできる。デカルト座標系の向きは、例えばz軸が水平面に沿った成分を有するように異なってもよい。
【0024】
[00023] 液浸技術は、より小さなフィーチャの解像度を向上させることができるようにリソグラフィシステムに導入されている。液浸リソグラフィ装置では、比較的高い屈折率を有する液浸液の液体層を、装置の(パターン付与されたビームを基板W方向に投影する)投影システムと基板Wとの間の空間11に介在させる。液浸液は、投影システムPSの最終素子の下の基板の少なくとも一部を覆う。したがって、露光を受ける基板Wの少なくとも一部分は液浸液に浸漬されている。露光放射の波長は気体よりも液体中で短くなるため、液浸液の効果によってより小さなフィーチャの結像が可能になる。(液浸液の効果は、システムの有効開口数(NA)を大きくすることであり、また、同じく焦点深度を深くすることであると見なすこともできる。)
【0025】
[00024] 商用の液浸リソグラフィでは、液浸液は水である。典型的には、水は半導体製造工場で一般的に使用される超純水(UPW)などの高純度の蒸留水である。液浸システムでは、UPWは頻繁に精製され、液浸空間11に液浸液として供給される前に追加の処理ステップを経る場合がある。水以外に、他の高屈折率の液体、例えば、フッ化炭化水素などの炭化水素、及び/又は水溶液を液浸液として使用することができる。さらに、液体以外の他の流体を液浸リソグラフィで使用することも想定されている。
【0026】
[00025] 本明細書では、使用時に液浸液が最終素子と最終素子に対向する表面との間の空間11に閉じ込められる局所液浸について言及される。対向表面は、基板Wの表面、又は基板Wの表面と同一平面上にある支持ステージ(すなわち基板サポートWT)の表面である(以下の記載においては、明示的に別段の定めをした場合を除き、基板Wの表面について言及した場合、追加的に又は代替的に基板サポートWTの表面についても言及し、逆の場合も同じであることに留意されたい)。液浸液を液浸空間11に閉じ込めるために、投影システムPSと基板サポートWTとの間に存在する流体ハンドリング構造12を使用する。液浸液で満たされる空間11は、基板Wの上面よりも平面視で小さく、空間11は、その下を基板W及び基板サポートWTが移動する間、投影システムPSに対して実質的に静止したままである。
【0027】
[00026] 他の液浸システム、例えば非閉じ込め液浸システム(いわゆる「オールウェット」液浸システム)及び槽液浸システムなども想定されている。非閉じ込め液浸システムでは、液浸液は最終素子下の表面を十二分に覆う。液浸空間11外の液体は薄い液膜として存在する。液体は、基板Wの表面全体、更には基板W及び基板Wと同一平面上の基板サポートWTの表面全体を覆うこともある。槽式システムでは、基板Wは液浸液の槽に完全に浸漬される。
【0028】
[00027] 流体ハンドリング構造12は、液浸液を液浸空間11に供給し、液浸液を空間11から除去することによって液浸液を液浸空間11に閉じ込める構造である。流体ハンドリング構造は、流体供給システムの一部である特徴部を備える。PCT特許出願公開第WO99/49504号に開示された構成は、液浸液の供給、又は空間11からの液浸液の回収の何れかを行い、投影システムPS下のステージの相対運動に応じて動作するパイプを備えた初期の流体ハンドリング構造である。つい最近の設計では、流体ハンドリング構造は、投影システムPSの最終素子と基板サポートWT又は基板Wとの間の空間11の境界の少なくとも一部に沿って延在し、これによって空間11を部分的に画定する。
【0029】
[00028] 流体ハンドリング構造12は、選択的な異なる機能を有することができる。各機能は、流体ハンドリング構造12がその機能を果たすことができるようにする対応する特徴部から得ることができる。流体ハンドリング構造12は、それぞれがある機能を示す多くの異なる用語、例えば、バリア部材、シール部、流体供給システム、流体除去システム、液体閉じ込め構造などと呼ばれることがある。
【0030】
[00029] バリア部材として、流体ハンドリング構造12は、空間11からの液浸液の流れに対するバリアである。液体閉じ込め構造として、構造は液浸液を空間11に閉じ込める。シール部として、流体ハンドリング構造のシール特徴部は、液浸液を空間11に閉じ込めるシールを形成する。シール特徴部は、ガスナイフなどのシール部のシール部材の表面の開口からの追加のガス流を含むことができる。
【0031】
[00030] ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、液浸流体を供給することができる、すなわち流体供給システムであってよい。
【0032】
[00031] ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、液浸流体を少なくとも部分的に閉じ込めることができる、すなわち流体閉じ込めシステムであってよい。
【0033】
[00032] ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、液浸流体に対するバリアを提供することができる、すなわち流体閉じ込め構造などのバリア部材であってよい。
【0034】
[00033] ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、例えば液浸流体の流れ及び/又は位置を制御することに役立つガス流を生成又は使用することができる。
【0035】
[00034] ガス流は、液浸流体を閉じ込めるためのシールを形成することができるため、流体ハンドリング構造12はシール部と呼ばれることがあり、このようなシール部は流体閉じ込め構造であってよい。
【0036】
[00035] ある実施形態では、液浸液は液浸流体として使用される。この場合、流体ハンドリング構造12は液体ハンドリングシステムであってよい。上記の説明に関して、このパラグラフにおける流体に関して定義された特徴部についての言及は、液体に関して定義された特徴部を含むものと理解することができる。
【0037】
[00036] リソグラフィ装置は投影システムPSを有する。基板Wの露光中、投影システムPSは、パターン付与された放射ビームを基板W上に投影する。基板Wに到達するように、放射ビームBの経路は、投影システムPSから流体ハンドリング構造12により投影システムPSと基板Wとの間に閉じ込められた液浸液を通過する。投影システムPSは、液浸液と接触している、ビーム経路上の最後のレンズ素子を有する。液浸液と接触しているこのレンズ素子は、「最終レンズ素子」又は「最終素子」と呼ばれることがある。最終素子は、流体ハンドリング構造12によって少なくとも部分的に囲まれている。流体ハンドリング構造12は、最終素子の下方かつ対向表面の上方に液浸液を閉じ込めることができる。
【0038】
[00037] 図2A及び図2Bは、流体ハンドリング構造12の変形形態に存在し得る異なる特徴部を示している。設計は、異なる記載がない限り図2A及び図2Bと同じ特徴部の一部を共有することができる。本明細書に記載の特徴部は、図示されているように又は必要に応じて、個別に又は組み合わせて選択することができる。
【0039】
[00038] 図2Aは、最終素子100の底面周辺の流体ハンドリング構造12を示す。最終素子100は逆円錐台形状を有する。円錐台形状は、平坦な底面及び円錐面を有する。円錐台形状は、平面から突出し、底部平面を有する。底部平面は、放射ビームBが通過し得る最終素子100の底面の光学的能動部分である。最終素子100はコーティング30を有することができる。流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の少なくとも一部を取り囲む。流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の円錐面に対向する内面を有する。内面及び円錐面は相補形状を有する。流体ハンドリング構造12の頂面は実質的に平坦である。流体ハンドリング構造12は、最終素子100の円錐台形状周囲にフィットすることができる。流体ハンドリング構造12の底面は実質的に平坦であり、使用中、底面は基板サポートWT及び/又は基板Wの対向表面と平行である可能性がある。底面と対向表面との間の距離は、30~500ミクロンの範囲内、望ましくは80~200ミクロンの範囲内であってよい。
【0040】
[00039] 流体ハンドリング構造12は、最終素子100よりも基板W及び基板サポートWTの対向表面の近くに延在する。したがって、空間11は、流体ハンドリング構造12の内面と、円錐台部分の平面と、対向表面との間に画定される。使用中、空間11は液浸液で満たされる。液浸液は、最終素子100と流体ハンドリング構造12との間の相補面の間のバッファ空間の少なくとも一部、ある実施形態では、相補内面と円錐面との間の空間の少なくとも一部を満たす。
【0041】
[00040] 液浸液は、流体ハンドリング構造12の表面に形成された開口を介して空間11に供給される。液浸液は、流体ハンドリング構造12の内面の供給開口20を介して供給することができる。代替的又は付加的に、液浸液は、流体ハンドリング構造12の下面に形成された下方供給開口23から供給される。下方供給開口23は、放射ビームBの経路を取り囲むことができ、アレイ形式の一連の開口から形成することができる。液浸液は、空間11を満たすように供給されるため、投影システムPSの下の空間11を通る流れは層流となる。加えて、流体ハンドリング構造12の下の下方供給開口23からの液浸液の供給は、空間11への泡の進入を防ぐ。この液浸液の供給は、液体シールとして機能する。
【0042】
[00041] 液浸液は、内面に形成された回収開口21から回収することができる。回収開口21を介した液浸液の回収は負圧の印加によるものであってよく、回収開口21を介した回収は空間11を通過する液浸液の流れの速度の結果であるか、あるいは回収は両方の結果であってよい。回収開口21は、平面視した場合、供給開口20の反対側に位置することができる。付加的又は代替的に、液浸液は、流体ハンドリング構造12の頂面上に位置するオーバフロー開口24を介して回収することができる。ある実施形態では、供給開口20及び回収開口21は、その機能を交換することができる(すなわち、液体の流れ方向を逆転させる)。これによって、流れ方向を流体ハンドリング構造12及び基板Wの相対運動に応じて変化させることが可能になる。
【0043】
[00042] 付加的又は代替的に、液浸液は、底面に形成された回収開口25を介して流体ハンドリング構造12の下から回収することができる。回収開口25は、液浸液のメニスカス33を流体ハンドリング構造12に対して保持する(又は「釘付けする(pin)」)働きをすることができる。メニスカス33は、流体ハンドリング構造12と対向表面との間に形成され、液体空間とガス状の外部環境との間の境界としての働きをする。回収開口25は、単相流で液浸液を回収し得る多孔質プレートであってよい。底面の回収開口は、液浸液の回収が行われる一連の釘付け開口32であってよい。釘付け開口32は、二相流で液浸液を回収することができる。
【0044】
[00043] 任意で、流体ハンドリング構造12の内面に対して半径方向外側にガスナイフ開口26がある。ガスは、空間11内の液浸液の液体閉じ込めを支援するために、高速でガスナイフ開口26を介して供給することができる。供給されたガスは加湿することができ、実質的に二酸化炭素を含むことができる。ガスナイフ開口26の半径方向外側には、ガスナイフ開口26を介して供給されるガスを回収するためのガス回収開口28がある。例えば大気に又はガス源に開放した別の開口が、流体ハンドリング構造12の底面に存在してもよい。例えば、別の開口が、ガスナイフ開口26とガス回収開口28との間、及び/又は釘付け開口32とガスナイフ開口26との間に存在してもよい。
【0045】
[00044] 図2Aと共通の図2Bに示された特徴部は、同じ参照番号を共有する。流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の円錐面と相補する内面を有する。流体ハンドリング構造12の下面は、円錐台形状の底部平面よりも対向表面に近い。
【0046】
[00045] 液浸液は、流体ハンドリング構造12の内面に形成された供給開口34を介して空間11に供給される。供給開口34は、内面の底部寄りの、円錐台形状の底面の下方に位置する可能性がある。供給開口34は、放射ビームBの経路の周囲に間隔を開けて、内面の周囲に位置する。
【0047】
[00046] 液浸液は、流体ハンドリング構造12の下面の回収開口25を介して空間11から回収される。対向表面が流体ハンドリング構造12の下で移動するとき、メニスカス33は回収開口25の表面上を対向表面の移動と同じ方向に移動することができる。回収開口25は多孔質部材で形成することができる。液浸液は単相で回収することができる。ある実施形態では、液浸液は二相流で回収される。二相流は、流体ハンドリング構造12内のチャンバ35で受け入れられ、そこで液体とガスに分離される。液体とガスは、チャンバ35から別のチャネル36、38を通して回収される。
【0048】
[00047] 流体ハンドリング構造12の下面の内周39は、空間11に向けて内面から離れて延在してプレート40を形成する。内周39は、放射ビームBの形状及びサイズを整合させるような大きさであり得る小さなアパーチャを形成する。プレート40は、何れか一方の側の液浸液を分離する働きをすることができる。供給された液浸液は、アパーチャに向かって内側に、内側アパーチャを通った後、取り囲む回収開口25に向かってプレート40の下を半径方向外側に流れる。
【0049】
[00048] ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、図2Bの右側に示すような2つの部分、すなわち内側部分12a及び外側部分12bに分かれていてもよい。内側部分12a及び外側部分12bは、対向表面と平行な平面内で、互いに対して相対的に移動することができる。内側部分12aは、供給開口34を有することができ、オーバフロー回収部24を有することができる。外側部分12bは、プレート40及び回収開口25を有することができる。内側部分12aは、内側部分12aと外側部分12bとの間を流れる液浸液を回収するための中間回収部42を有することができる。
【0050】
[00049] 図2A及び図2Bの例では、様々な回収開口(例えば、図2Aの回収開口21、図2A及び図2Bのオーバフロー回収部24、図2A及び図2Bの回収開口25、図2Aの釘付け開口32、及び図2Bのチャネル36、38)及び/又は供給開口(例えば、図2Aの供給開口20、図2Aの下方供給開口23、及び図2Bの供給開口34)の少なくとも1つを使用して、空間11内の液浸液の量を制御することができる。メニスカス33の位置、及び流体ハンドリングシステム12の別の部分と最終素子100との間に形成される点を除いてメニスカス33と同様のメニスカス22の位置は、空間11内の液浸液の量に応じて変化する。
【0051】
[00050] 基板サポートWTは、基板Wを支持するように構成された基板ホルダ200を備えることができる。図3Aは、基板ホルダ200、及び基板ホルダ200により支持されている関連基板Wを断面図で示している。基板ホルダ200は、本体表面202を有する本体201を備える。使用の際、本体表面202は、基板Wの下面、すなわち、基板ホルダ200に面している基板Wの下面に面している。
【0052】
[00051] 本体表面202の中心領域は、複数の支持要素210が本体表面202から突出する。各支持要素210は、基板Wを支持するように構成された(図3Bに示す)遠位端面211を有する。例えば、基板Wの照射中、支持要素210は基板Wの下面と接触するように構成することができる。支持要素210は、平面視で互いに対して一定のパターンで配列される。パターンは、基板Wを支持し、基板Wの本体表面202に対する湾曲を許容量に抑えるようなものである。
【0053】
[00052] 各支持要素210の平面視面積は、基板Wの平面視面積と比較して比較的小さい。したがって、支持要素210は基板Wの下面の小さなエリアとしか接触しない。これによって、基板ホルダ200から基板Wに汚染が移動する機会が減る。
【0054】
[00053] 基板Wにわたる圧力差が確立される。例えば、基板ホルダ200の本体201と基板Wとの間の空間は、基板W上方のより高い圧力より低い負圧に接続される。圧力差は、使用時に、例えば基板Wが照射されるときに基板Wを基板ホルダ200に保持する力を生じさせる。換言すれば、基板ホルダ200は、基板Wを基板ホルダ200にクランプするための手段を有する。
【0055】
[00054] 液浸リソグラフィ装置では、基板Wの露光中の少なくとも複数の時間に、液体が基板Wの縁部に隣接して存在することになる。基板ホルダ200の本体201と基板Wの下面との間の負圧によって、この液体は、基板Wの縁部の周囲及び基板Wの下に引き込まれる。液体が基板Wの下面と、特に支持要素210が基板Wと接触するエリアで接触することを減らすために、本体201の本体表面202から突出する少なくとも1つの部材を備えたシール部を設けることができる。概して、基板Wと本体表面202との間の液体は、シール部を越えて半径方向内側に。シール部は第1のシール部材と第2のシール部材とを含むことができる。第1のシール部材は、第2のシール部材の半径方向外側にあり、第2のシール部材を取り囲んでいてよい。第1のシール部材を使用して、第1のシール部材と第2のシール部材との間の領域の圧力を低下させることができる。第2のシール部材は、液体が第2のシール部材の半径方向内側に通過することを制限する又は妨げるように構成することができる。第1のシール部材はまた、液体が第1のシール部材の半径方向内側に通過することを少なくとも部分的に制限することができる。シール部は、液体がシール部の実質的に全周、すなわち基板W全体を通過することを制限するように構成することができる。換言すれば、シール部の半径方向外側の位置にある液体の量は、シール部の存在によって、シール部の半径方向内側の位置に半径方向内側に移動することが制限される又は妨げられる。これは、シール部の存在が、シール部を設けない場合と比べて、シール部の半径方向内側の位置にある液体の量を減少させることを意味する。液体が単にシール部を周回することを妨げることができる。
【0056】
[00055] シール部は、例えば基板Wの半径方向外縁部の近く又は周囲に形成されたシールなどのシール機構の一部であってよい。シール部は、半径方向内側への液体の通過を制限するのに使用される別のコンポーネントを備えることができる。
【0057】
[00056] シール部の目的の1つは、支持要素210に向かう半径方向内側へのガス(湿っていることは望ましくない可能性がある)の流れを制限することである。これによって、基板Wを基板ホルダ200にクランプするために必要な負圧を支持要素210の周囲に生成することができる。支持要素210の周囲に負圧を生成する負圧源のスイッチがオフのときに、基板Wを基板ホルダ200から迅速に取り外すことができるように、シール部上方にガス流をいくらか与えることは有利である。シール部を通過するガス流量が低すぎる場合、支持要素210の周囲の圧力が基板W上方の圧力と等しくなる、これによって基板Wを解放するまでに要する時間がかかり過ぎる。基板ホルダ200は、基板Wをより迅速に取り外すことができるように、基板Wの下面の下に過圧を生成するように構成することができる。
【0058】
[00057] シール部は少なくとも1つのシール部材を含むことができる。シール部材は、第1のシール部材220と第2のシール部材240とを含むことができる。第1のシール部材220は図3A及び図3Bに示されている。第2のシール部材240は以下でさらに詳細に説明される。第1のシール部材220は、第1のシール部材220の半径方向内側へのガス/流体の流れを制限するように構成することができる。シール部は、例えばドライリソグラフィシステムでは第1のシール部材220のみを含むことができる。
【0059】
[00058] 第1のシール部材220は、第1のシール部材220の遠位端部である上面221を有する。したがって、上面221は、第1のシール部材220と本体表面202との接点から離れたところに位置する(第1のシール部材220と本体201とが互いに一体である場合も)。上面221は、使用時、上面221と基板Wの下面との間にギャップを形成するように構成される。つまり、上面221は、支持要素210の遠位端面211よりもいくらか本体表面202に近くなるように構成される。これは、この構成によって、同じ方向への液体の通過を制限しながら、基板Wを取り外す直前に第1のシール部材220の上方(基板Wの下方)にガスを引き込むことができるため有利である。これは、第1のシール部材220から基板Wへ汚染が移動して悪影響を及ぼす可能性がある、基板Wの下面の大きなエリアとの接触なしに達成される。これはまた、基板ホルダ200からの基板Wの取外しをより問題のあるものとする可能性がある。
【0060】
[00059] 図3A及び図3Bに見られるように、複数の支持要素210のうち半径方向に最も外側のものは、基板Wの縁部からやや距離がある。半径方向に最も外側の支持要素210の半径方向外側に基板Wを支持する他の特徴部がない場合、特に基板Wのアンロード中に、基板Wの縁部の下方への湾曲が生じる可能性がある。これは基板Wの上方と比べて基板Wの下方が負圧であることに起因する。
【0061】
[00060] 使用時に、本体表面202と基板Wとの間の基板ホルダ200の中心領域に負圧を提供することができる。この負圧によって、使用中、基板Wを基板ホルダ200にクランプすることができる。このクランプするための負圧は、支持要素210の半径方向外側の領域における負圧よりも低い大きさ(すなわち厳しくない真空度)を有することができる。
【0062】
[00061] 基板Wのアンロード中、本体表面202と基板Wとの間の圧力を制御して基板Wのアンロードを可能にすることができる。基板Wをアンロードすることは、本体表面202と基板Wとの間の圧力を上昇させるステップを含むことができる。これは図3Aの上向きの矢印によって示される。例えば、基板Wをアンロードしたい場合、基板Wの下の真空は、基板Wの下に高圧空気を注入することによって除去することができる。したがって、基板Wをアンロードすることは、少なくとも1つの解放ステップ、例えば本体201と基板Wの下面との間の圧力を上昇させることを含む。アンロード中に基板Wの下に過圧を生成することの利点は、基板Wと本体表面202との間にある流体を半径方向外側に押し出すことである。しかしながら、これは一般に、基板Wの中央下に過圧をもたらし、基板Wの縁部の周囲に負圧をもたらす。したがって、基板Wは変形し、基板Wの中央が膨れ上がり、基板Wの縁部が片持ち梁のように下がる可能性がある。
【0063】
[00062] 図3A及び図3Bは従来技術を示し、基板Wの中央が膨れ上がっている一方、基板Wの端が、半径方向に最も外側の支持要素210及び第1のシール部材220と擦過することを示す。図3Bの拡大図に示すように、半径方向に最も外側の支持要素210の遠位端面211と基板Wとの間、及び第1のシール部材220の上面221と基板Wとの間には相互作用がある。上記のように、これはシステムに悪影響を及ぼす可能性がある。
【0064】
[00063] 基板Wの支持要素210の遠位端面211との擦過は、支持要素210に力を加える。基板Wと支持要素210の1つとの間に相互作用があると、支持要素210に摩耗が生じる可能性がある。これは、支持要素210の正確な高さを変える可能性があるために問題である。支持要素210の高さが変わると、別の基板W及び/又は同じ基板Wの別の層を照射する場合に焦点問題及び/又はオーバーレイ問題が生じる可能性がある。支持要素210の損傷がひどくなりすぎると、基板ホルダ200を交換することが必要になる場合がある。したがって、支持要素210の損傷を防ぐことで基板ホルダ200のより安定した長期性能がもたらされる。
【0065】
[00064] 基板Wと第1のシール部材220との相互作用が起こるのは、基板Wの下側が第1のシール部材220の縁部と擦過するとき、すなわち、既知のシステムにおいて、基板Wの下面がアンロード中に(断面視で)1つの点接触を介して第1のシール部材220と接触するときである。これによって高応力点が基板Wの下面にもたらされ、基板Wの下面に擦り傷が生じる。擦り傷は、システムを汚染する、基板W、さらには第1のシール部材220の粒子を生成する可能性がある。粒子は一般に、基板Wの縁部に近いため、最終的に基板Wの上部に行き着く可能性がある。また、相互作用は、望ましくない、すなわち、要求通りに機能する第1のシール部材220(ひいてはシール部全体)の能力に影響を及ぼす第1のシール部材220の摩耗を生じさせる可能性がある。したがって、第1のシール部材220の第1のシール部材220と第2のシール部材240との間の圧力を制御する、及び/又は第1のシール部材220を越えた内側への液体の移動を制御する能力に影響を及ぼす可能性がある、第1のシール部材220と基板Wとの相互作用を抑えることが望ましい。したがって、シールを提供するのに使用される一定のエリアにある第1のシール部材220の損傷を防ぐことで基板ホルダ200のより安定した長期性能がもたらされる。
【0066】
[00065] 摩耗は、基板Wの汚染、基板ホルダ200のクランプ特性の変化とこれによる基板Wの変形を生じさせる可能性があるために有害である。支持要素210と基板Wの下側との間の液体の存在はまた、摩耗(基板ホルダ200がセラミックである場合)、及び場合によっては摩擦変動をもたらす可能性がある。基板Wの変形は、汚染と同様、結像エラー(例えば、オーバーレイエラー及び/又は焦点エラー)を引き起こす可能性がある。基板Wの下側に液体があることは一般に、基板Wの熱安定性問題、又は基板Wのアンロード中に液滴が失われた場合の困難をもたらす可能性があるために有害である。
【0067】
[00066] 同様の問題は、基板Wを基板ホルダ200にロードする間に生じる可能性がある。つまり、基板Wはロード中、上記のように基板Wの基板ホルダ200との擦過を引き起こす何らかの形で変形する可能性がある。付加的又は代替的に、ドライリソグラフィ装置における基板Wのロード中、基板Wはロード中に傾斜する可能性があり、これによって基板Wの縁部が支持要素210の縁部と接触して摩耗を生じさせる可能性がある。
【0068】
[00067] 以下で説明されるように、本発明の基板ホルダ200は、例えば第1のシール部材220の半径方向内側への流体/ガスの通過を制限することによって、シール部の一部としての機構をなおも提供しながら、基板Wのアンロード(又はロード)中に基板Wと相互作用するように構成された第1のシール部材220の位置及び形状に起因するこれらの困難の一部を軽減する。アンロードするステップはまた、解放ステップと呼ばれることがあり、したがって、解放という用語は、基板Wのアンロードに関連する以下の説明部分において置き換え可能である。
【0069】
[00068] 本発明では、図3A及び図3Bに記載されたような基板ホルダ200が設けられる。但し、第1のシール部材220は、上記の問題の一部に対処するように構成される。本発明と図3A及び図3Bに関連して以上で説明した少なくとも第1のシール部材220との相違点は以下で詳細に説明される。
【0070】
[00069] さらに詳細には、本発明は、リソグラフィ装置で使用するための、基板Wを支持するように構成された基板ホルダ200を提供する。基板ホルダ200は、本体表面202を有する本体201を備える。基板ホルダ200はまた、本体表面202から突出する複数の支持要素210を備え、各支持要素210は、基板Wを支持するように構成された遠位端面211を有する。支持要素210は第1の高さを有することができる。基板ホルダ200はさらにシール部を備える。シール部は、基板Wと本体表面202との間の液体のシール部を越えた半径方向内側への通過を制限するように構成することができる。シール部は、本体表面202から突出し、上面221を有する第1のシール部材220を含むことができる。第1のシール部材220は、第1の高さよりも低い第2の高さを有することができる。つまり、支持要素210は第1のシール部材220よりも高い可能性がある。同様に、支持要素210は第2のシール部材240(設けられる場合)よりも高い可能性がある。シール部は、本体表面202から突出する第2のシール部材240を含むことができる。第2のシール部材240は、第1のシール部材220の半径方向内側に配置することができる。第1のシール部材220は、複数の支持要素210の半径方向外側にこれらを取り囲むように配置することができる。第2のシール部材240は任意であり、半径方向内側への液体の通過を妨げるために液浸システムに特に有用である可能性がある。
【0071】
[00070] 第1のシール部材220及び第2のシール部材240は、一体となって液体及びガスがシール部の半径方向内側へ通過するのを制限する又は妨げるように構成することができる。第1のシール部材220は、第1のシール部材220と第2のシール部材240との間に低圧領域を生成するように構成することができる。したがって、第1のシール部材220と第2のシール部材240との間の空間、すなわちシールエリアの圧力は、シール部周囲の圧力よりも低い可能性がある。第1のシール部材220と第2のシール部材240との間の低圧領域は、第1のシール部材220と第2のシール部材240との間の空間を半径方向内側に移動する液体の量を減少させる。
【0072】
[00071] 第1のシール部材220は、シール部の半径方向外側の領域における圧力に対して第1のシール部材220の半径方向内側において圧力低下させるように構成することができる。例えば、第1のシール部材220は、主に周囲圧力から約-500ミリバールに圧力を低下させる、つまり、基板Wをクランプするための真空を生成するのに使用することができる。第2のシール部材240は、シールエリアと、例えば-475ミリバールであり得る基板ホルダ200の内側部分との間の約25ミリバールの圧力差を維持するのに使用することができる。この小さな圧力差は、第2のシール部材240と基板Wとの間の小さなギャップに水塊(毛細管)をもたらすことができる。第2のシール部材240の主な機能は、水のさらに内側への移動制限であってよい。第2のシール部材240は、液体がシール部の半径方向内側へ通過することを抑制する又は妨げるように構成することができる。
【0073】
[00072] 平面視での第1のシール部材220の断面積は、支持要素210の断面積よりもかなり大きい可能性がある。平面視での第1のシール部材220の面積が比較的大きいと、基板Wと本体表面202との間の第1のシール部材220を越えた半径方向内側への液体の通過に対する抵抗が大きくなる。平面視での第1のシール部材220の断面形状は、円形、より具体的にはリング状又は環状であってよい。したがって、第1のシール部材220は円環形状を有することができる。
【0074】
[00073] 平面視での第2のシール部材240の断面積は、支持要素210の断面積よりもかなり大きい可能性がある。平面視での第2のシール部材240の面積が比較的大きいと、基板Wと本体表面202との間の第2のシール部材240を越えた半径方向内側への液体の通過に対する抵抗が大きくなる。第1のシール部材220及び第2のシール部材240は、同様の又は同じ断面積を有することができる。平面視での第2のシール部材240の断面形状は、円形、より具体的にはリング状又は環状であってよい。したがって、第2のシール部材240は円環形状を有することができる。
【0075】
[00074] 第1のシール部材220は複数の支持要素210を取り囲むことができる。したがって、第1のシール部材220は、実質的に複数の支持要素210の全周の周囲にあってよい。換言すれば、第1のシール部材220は、例えば平面視で、複数の支持要素210を囲むことができる。第1のシール部材220は、支持要素210を取り囲む連続した(但し、断面が必ずしも均一ではない)バリアであってよい。代替的に、第1のシール部材220は複数のセグメントで形成することができる。複数のセグメントは、実質的に環状リングの全体を形成することができる。換言すれば、第1のシール部材220は、実質的に環状リングを形成する複数の別々のセグメントで形成することができる。セグメント化された環状リングには、隣接するそれぞれとの間にギャップを有する複数のシール部材部分が存在する可能性がある。隣接するシール部材部分間のギャップは、同じ長さであるか、又は隣接する部分の一方又は両方の長さより短くてよい。各シール部材部分間の距離は、隣接するシール部材部分の一方又は両方の幅と同じか、又はこれより小さくてよい。隣接するシール部材部分間のギャップの少なくとも1つ、すなわち隣接する部分間の間隔は、約数十又は数百ミクロンであってよい。隣接するシール部材部分間のギャップの少なくとも1つは、約10ミクロンと狭くてよい。ギャップの少なくとも1つは0.5~5mmであってよい。ギャップの一部又は全てはこれらの寸法を有することができる。小さいギャップを設けることは、例えば第1のシール部材220と基板Wの下側との相互作用から生じる汚染物質を、第1のシール部材220上に比較的大きい接触エリアを提供しながらもギャップで捕捉できる点で有利である可能性がある。
【0076】
[00075] 第2のシール部材240は、第1のシール部材220の半径方向内側に配置することができる。第2のシール部材240は、複数の支持要素210の一部又は全ての半径方向外側にあってよい。複数の支持要素210の一部は、第2のシール部材240の半径方向外側に設けることができる。したがって、複数の支持要素210の一部は、第1のシール部材220と第2のシール部材240との間に設けることができる。これは図10との関連で以下にさらに詳細に説明される。
【0077】
[00076] 第2のシール部材240は、複数の支持要素210のほとんどではないにしても少なくとも一部を取り囲むことができる。したがって、第2のシール部材240は、実質的に複数の支持要素210のほとんどではないにしても少なくとも一部の全周の周囲にあってよい。換言すれば、第2のシール部材240は、例えば平面視で、複数の支持要素210のほとんどではないにしても少なくとも一部を囲むことができる。第2のシール部材240は、支持要素210を取り囲む連続した(但し、断面が必ずしも均一ではない)バリアであってよい。代替的に、第2のシール部材240は複数のセグメントで形成することができる。複数のセグメントは、実質的に環状リングの全体を形成することができる。換言すれば、第2のシール部材240は、実質的に環状リングを形成する複数の別々のセグメントで形成することができる。セグメント化された環状リングには、隣接するそれぞれとの間にギャップを有する複数のシール部材部分が存在する可能性がある。隣接するシール部材部分間のギャップは、同じ長さであるか、又は隣接する部分の一方又は両方の長さより短くてよい。各シール部材部分間の距離は、隣接するシール部材部分の一方又は両方の幅と同じか、又はこれより小さくてよい。隣接するシール部材部分間のギャップの少なくとも1つ、すなわち隣接する部分間の間隔は、約数十又は数百ミクロンであってよい。隣接するシール部材部分間のギャップの少なくとも1つは、約10ミクロンと狭くてよい。ギャップの少なくとも1つは0.5~5mmであってよい。ギャップの一部又は全てはこれらの寸法を有することができる。小さいギャップを設けることは、例えば第1のシール部材220と基板Wの下側との相互作用から生じる汚染物質をギャップで捕捉できる点で有利である可能性がある。
【0078】
[00077] 第1のシール部材220の上面221は、基板Wのアンロード中に基板Wと接触するように構成された接触領域222を有する。第1のシール部材220の上面221は、基板Wが照射されているときに基板Wと接触しない、すなわち第1のシール部材220が照射中に基板Wを支持するのに使用されないように構成される。接触領域222は、基板Wが照射されているときに基板Wと接触しない、すなわち接触領域222が照射中に基板Wを支持するのに使用されないように構成される。接触領域222は、基板Wのアンロード中にしか基板Wと接触しないように構成することができる。既知のシステムでは、設けられたシール部材の上面が基板Wのアンロード(又はロード)中に基板Wと接触することは意図されていなかった。さらに、既知のシステムでは、ロード又はアンロード中にシール部材と基板との接触はなかった可能性があるため、全ての摩耗は支持要素210上で生じていた可能性がある。
【0079】
[00078] 本発明では、接触領域222の位置は、基板Wのアンロード中に基板Wにより第1のシール部材220に加えられる力が基板Wにより複数の支持要素210に加えられる力よりも大きくなるほど十分に複数の支持要素210から離れたところに配置することができる。これは、基板Wのアンロード中、支持要素210の摩耗が第1のシール部材220の摩耗よりも小さいことを意味する。これは、支持要素210の摩耗を、図3A及び図3Bに示す構成を用いて基板を解放するときの第1のシール部材220の摩耗と比べて減らすことができることを意味する。理想的には、第1のシール部材220は、アンロード中に基板Wと接触する主特徴部であってよい、すなわち理想的には、アンロード中の一定時点において、基板Wは接触領域222とのみ接触し、支持要素210とは接触しない。
【0080】
[00079] 換言すれば、基板Wのアンロード中に基板Wと接触するように構成された第1のシール部材220の点及び/又は領域は、半径方向に最も外側の支持要素210の摩耗が第1のシール部材220の摩耗よりも小さくなるだけ十分に支持要素210から離れている。例えば、第1のシール部材220が、例えば図4に示すように周囲に均一な断面を有して形成される場合、断面は1つの点接触を示すが、これは第1のシール部材220の周囲に提供され、接触領域222は、第1のシール部材220全体を囲むエリアによって提供されることになる。
【0081】
[00080] 接触領域222は単に、アンロードプロセス中にある点で基板Wと接触するように構成された第1のシール部材220の領域であってよい。これは一般に知られている一定のエリアであろう。例えば図4では、接触領域222は、第1のシール部材220の上面221上の半径方向に最も外側の点として示される。接触領域222は、第1のシール部材220の上面221と第1のシール部材220の半径方向外縁部223との間の点に配置することができる。換言すれば、接触領域222は、上面221と半径方向外縁部223との間の領域を提供することができる。したがって、接触領域222は、上面222と半径方向外縁部223との接続部を形成することができる。あるいは、これは、図4のように上面221と半径方向外縁部223とが交わる点であってよい。代替的に、接触領域222は、例えば図6Aのように、これらの2つの表面の間のエリアであってもよい。上面221と接触領域222との間に勾配変化がある場合もある。半径方向外縁部223の表面と接触領域222との間に勾配変化がある場合もある。
【0082】
[00081] 接触領域222は、第1のシール部材220の周囲で均一でない場合があり、粒子汚染がより大きいことが分かっているいくつかの位置に大きな接触エリアを提供するように構成することができる。
【0083】
[00082] 基板Wと本体201との間の所望の圧力を維持するために、第1のシール部材220は半径方向に最も外側の支持要素210からある一定の距離内に設けるべきであることが知られている。したがって、本発明は、所要の圧力を維持しながらも、接触領域222と最も半径方向に外側の支持要素210の半径方向外縁部との間に一定の距離を与えることによって、ここから外れたところを教示する。
【0084】
[00083] 支持要素210に対する接触領域222の位置は、様々な異なる方法で制御することができる。例えば図4に示すように、主要寸法は、半径方向に最も外側の支持要素210の遠位端面211の半径方向外縁部212と第1のシール部材220の上面221の外側上縁部との間の距離に関係する。この寸法は、支持要素210及び第1のシール部材220のこれらの特定の部分に関係する。なぜなら、これらは基板Wのアンロード中に基板Wの下面と接触することになるこれらのコンポーネントの部分であるためである。
【0085】
[00084] 距離は半径方向の距離Dで定義することができる。距離は、付加的又は代替的に、支持要素210の遠位端面211と第1のシール部材220の上面221との間の距離yで定義することもできる。これらの距離はいずれも、基板Wがアンロード中にこれらのコンポーネントのそれぞれとどのように相互作用するかに影響を及ぼすことになる。
【0086】
[00085] この例では、接触領域222は断面における縁部接点として示されている。したがって、この実施形態では、接触領域222は、第1のシール部材220の周囲の同じ接点によって形成される。この接触領域222は、図3A及び図3Bに示した例と図4では同じものである可能性がある。但し、支持要素210に対する本発明の接触領域222の位置は、従来技術の接触領域の相対位置と異なる可能性があり、基板Wのアンロード中の支持要素210の摩耗を低減するように構成される可能性がある。
【0087】
[00086] ある実施形態では、遠位端面211の半径方向外縁部212から接触領域222までの半径方向距離Dは、1,000ミクロンより大きく、好ましくは1,500ミクロンより大きい。これは、接触領域222が、ロード及び/又はアンロード中に支持要素210と基板Wとの接触を低減するのに十分なほど支持要素210から離れている可能性があることを意味する。付加的又は代替的に、図4にyで示される、半径方向に最も外側の支持要素210と第1のシール部材220との高低差は、約2ミクロンから8ミクロンである。半径方向に最も外側の支持要素210と第1のシール部材220との高低差は、遠位端面211と第1のシール部材220の上面221との間のy方向の距離であり、y方向は半径方向を含む平面と直交する。高低差があることで、ロード及び/又はアンロード中の支持要素210と基板Wとの接触を低減することもできる。
【0088】
[00087] このような距離を置いて接触領域222を設けることは、基板のロード及び/又はアンロード中の基板Wの相互作用が半径方向に最も外側の支持要素210とよりむしろ第1のシール部材220とで大きくなることを意味する。事実上、これは第1のシール部材220が犠牲摩耗エリアとして使用されることを意味する。これによって、最も外側の支持要素210の摩耗が大幅に低減する可能性がある。半径方向外縁部212と接触領域222との間の距離を半径方向及び/又はy方向に最適化して、基板Wをロード及び/又はアンロードする間の最も外側の支持要素210と基板Wとの摩擦を最小限に抑えることができる。距離D及び距離yの最適値は、基板ホルダ200、基板W、及び/又は基板Wに適用されるアプリケーションによって変わる可能性がある。
【0089】
[00088] 第1のシール部材220の半径方向の長さxは、300ミクロンより大きい、又は好ましくは500ミクロンより大きくてよい。これは、第1のシール部材220の接触領域222がアンロード中の基板Wと第1のシール部材220との相互作用によって次第に摩滅する可能性があるために有益である可能性がある。第1のシール部材220が半径方向(すなわちx方向)に十分長い場合、第1のシール部材220の摩耗は、液体の第1のシール部材220の半径方向内側への通過を制限する機能を実行する第1のシール部材220の能力に影響を及ぼす可能性が低くなる。したがって、例えば300ミクロンより大きい、又は好ましくは500ミクロンより大きい十分な長さを有する第1のシール部材220を提供することは、本発明の第1のシール部材220が同じような基板Wとの相互作用によって摩滅しない可能性があるため、既知のシール部材よりも長い期間、第1のシール部材220が基板ホルダ200の縁部において液体をより上手く制御するように構成されることを意味する可能性がある。
【0090】
[00089] 任意で、基板ホルダ200はコーティングを備えることができる。コーティングを使用して基板ホルダ200の少なくとも一部分を覆うことができる。例えば、以下で説明されるように、コーティングは、第1のシール部材220の一部、及び/又は複数の支持要素210の少なくとも1つの一部を構成することができる。コーティングは、ダイアモンド状炭素(DLC、例えばa-CH)、ダイアモンド、炭化ケイ素(例えばSiSiC又はSiC)、窒化ホウ素(BN)又は窒化ホウ素炭素(BCN)から作ることができる。コーティングは、実質的に又は完全に、これらの材料及び/又はこれらの材料の任意の誘導体から作ることができる。これらの材料は、硬度とヤング率の組み合わせに起因して特に有益な可能性がある。したがって、これらの材料は所望の靭性(硬度/ヤング率)レベルを有することができる。
【0091】
[00090] コーティングは、例えば以下に記載の厚さを有する薄層であってよい。コーティングを使用して基板ホルダ200の様々な部分の表面を覆うことができる。コーティングは、コーティングを含む基板ホルダ200の任意の一部分上で実質的に均一である可能性がある。例えば、コーティングは、第1のシール部材220及び/又は複数の支持要素210の少なくとも1つの支持要素上で実質的に均一な厚さを有する層として提供することができる。例えば、コーティングの厚さは、任意の一部分のコーティングの最厚部におけるコーティングの厚さの50%未満だけ変化する可能性がある。好ましくは、厚さは30%以下、又はより好ましくは20%以下だけ変化する。
【0092】
[00091] コーティングは、基板ホルダ200の摩耗、及び/又は、例えば基板Wのロード又はアンロード中に基板と接触する基板ホルダ200の任意の部分に対する基板Wの引っ掻きを低減する点で有益である可能性がある。コーティングは、コーティングされた特徴部の耐摩耗性を改善する点で有利である可能性がある。これによって、コーティングを有する特徴部が摩滅することを防ぐことができる。
【0093】
[00092] コーティングは薄層であってよい。より具体的には、コーティングは約0.2μm~2μmの厚さを有することができる。好ましくは、コーティングの厚さは約0.2μm~1.5μmである。好ましくは、コーティングの厚さは約0.2μm~1μmである。より一般的に、厚さは、好ましくは2μm以下、好ましくは1.5μm以下、又は好ましくは1μm以下である。ここで言及した厚さは、基板ホルダ200の特定部分の平均厚さであってよい。
【0094】
[00093] 図5に示すように、複数の支持要素210の少なくとも1つは、コーティング214を備えることができる。コーティング214は以上で説明した特性を有することができる。図5に示すように、コーティング214は、複数の支持要素210の少なくとも1つの支持要素の遠位端面211を構成することができる。換言すれば、コーティング214は、複数の支持要素210の少なくとも1つを構成する突出体の遠位端部上に設けることができる。コーティング214は、複数の支持要素210の少なくとも1つの支持要素の遠位端部上に保護層を提供することができる。図5に示すように、コーティング214は、複数の支持要素210の単一の支持要素、又は複数の支持要素210の複数の支持要素、任意で、複数の支持要素210の全ての支持要素上に設けることができる。
【0095】
[00094] また、複数の支持要素210の少なくとも1つの支持要素のコーティング214は、支持部材コーティングと呼ばれることもある。既に説明したように、コーティング214は少なくとも1つの支持部材210の摩耗を低減することができる。少なくとも1つの支持部材210の摩耗を低減することは、より多くの基板の処理に使用できるように基板ホルダ200の耐用期間を延長することができるために有益である。
【0096】
[00095] また、図5に示すように、第1のシール部材220はコーティング224を備えることができる。コーティング224は、以上で説明した特性を有することができる。図5に示すように、コーティング224は、第1のシール部材220の上面221を構成することができる。換言すれば、コーティング224は、第1のシール部材220を構成する突出体の遠位端部上に設けることができる。コーティング224は、第1のシール部材220の端部上に保護層を提供することができる。コーティング224が第1のシール部材220上に設けられる場合、第1のシール部材220の接触領域222はコーティング224上にあってよい。また、第1のシール部材220上のコーティング224は、シール部材コーティングと呼ばれることもある。
【0097】
[00096] コーティング224は第1のシール部材220の摩耗を低減することができる。第1のシール部材220の摩耗を低減することは、第1のシール部材220が、コーティングを設けない場合よりも、処理されるより多くの基板Wに対するシールとして、より効率的に機能し続けることができることを意味するために有益である。また、第1のシール部材220が摩滅した場合は、基板Wがロード及びアンロード中に少なくとも1つの支持部材210と接触する可能性があり、これによって基板ホルダ200の耐用寿命が短くなる可能性がある。したがって、第1のシール部材220の摩耗を防いで、できるだけ長い間、又はできるだけ多くの基板を処理するために少なくとも1つの支持部材210を保護することは有益である。
【0098】
[00097] 図5に示すように、コーティング214は複数の支持要素210の少なくとも1つの支持要素上に設けることができ、コーティング224は第1のシール部材220上に設けることができる。但し、基板ホルダ200の複数の部分にコーティングを設ける必要はない。したがって、コーティングは、例えば一方又は他方にのみ、すなわち第1のシール部材220、又は複数の支持要素210の少なくとも1つの支持要素の何れかに設けることができる。
【0099】
[00098] 上記の特徴部は最も外側の支持要素210の摩耗を低減することができるが、これは接触領域222の形状を変化させることによって改善される可能性がある。上記の特徴部に付加的又は代替的に、第1のシール部材220の接触領域222は特定のジオメトリを備えることができる。例えば、第1のシール部材220の半径方向の断面における接触領域222のプロファイルは、基板Wのアンロード中に基板Wがプロファイルの少なくとも2つの異なる点を介して第1のシール部材220と接触するように構成された形状を有することができる。基板Wがアンロード中に少なくとも2つの異なる点を介して第1のシール部材220と接触するように構成された接触領域222の例が図6Aに示されている。
【0100】
[00099] このように形作られている接触領域222のプロファイルは、各基板Wが(図3A図3B及び図4に示された)第1のシール部材220の断面の1つの点ではなく、エリアと接触することを意味する。付加的又は代替的に、基板Wは様々な異なる点を介して接触領域222と相互作用することができ、例えば、接点は、以下のいくつかの例で説明されるように基板Wのアンロード中に変化することができる。
【0101】
[000100] 基板Wをプロファイル上の少なくとも2つの異なる点を介して第1のシール部材220と接触させることは、第1のシール部材220にかかる局部応力を低減できるために有益である。なぜなら、基板Wと第1のシール部材220との接触面積が増大する、及び/又は、基板Wからの力がロード及び/又はアンロードプロセス中に第1のシール部材220の異なる点に印加されるためである。異なるジオメトリを提供することができるが、異なるジオメトリは、力を拡散させ局部応力を低減する、基板Wと第1のシール部材220との複数の点での接触をもたらす。したがって、これは基板Wの下側に作用する力を低減する。ひいては、システムを汚染する粒子を生成する可能性がある、基板Wの下面における擦り傷の形成を抑制する。したがって、このような接触領域222を設けることは、汚染を軽減する点で有益である可能性がある。
【0102】
[000101] プロファイルの様々な異なるジオメトリを提供することができる。例えばプロファイルは、第1のシール部材220の上面221から第1のシール部材220の半径方向外縁部223まで線形であってよい。これは、接触領域222が角度θを有する傾斜部分によって形成される図6Aに示されている。換言すれば、第1のシール部材220は、接触領域222を形成する面取り縁部を有することができる。第1のシール部材220の上面221から第1のシール部材220の半径方向外縁部223に及ぶ線形プロファイルは、第1のシール部材220の上面221に対して、およそ1ミリメートルあたり0.15ミクロン~1ミリメートルあたり3ミクロンの負の勾配であってよい。
【0103】
[000102] 図4に示した第1のシール部材220と同様、接触領域222と支持要素210との間の距離は、図6Aに示す半径方向の距離Dで定義することができる。距離は、付加的又は代替的に、支持要素210の遠位端面211と第1のシール部材220の上面221との間の距離y1で定義することもできる。これは、図4で言及され説明された距離yと同じであってよい。これらの距離はいずれも、基板Wがアンロード中にこれらのコンポーネントのそれぞれとどのように相互作用するかに影響を及ぼすことになる。
【0104】
[000103] 距離x1は、以上で定義されたxの範囲内にあってよい。距離xは第1のシール部材220の全長である。付加的又は代替的に、距離x2は、以上で定義されたxの範囲内にあってよい。距離x2は、第1のシール部材220の上面221の半径方向の長さである。換言すれば、距離x2は、接触領域222の長さを引いた、第1のシール部材220の半径方向の長さである。x2が一定値より大きいことが有益である場合がある。上面221は、第1のシール部材220の半径方向内側へのガス/流体を制限する機能、第1のシール部材220と第2のシール部材240との間に低圧領域を設ける機能、及び/又は第1のシール部材220の半径方向内側に圧力低下をもたらす機能を提供する。したがって、(長さx2を有する)上面211の部分は、第1のシール部材220がこの機能を提供できるように十分長くなければならない。
【0105】
[000104] 以上で説明したように、コーティング224は第1のシール部材220の上面に設けることができる。図6Bに示すように、コーティング224は、最大の効果をもたらし得る接触領域222上にのみ設けることができる。したがって、コーティング224は、第1のシール部材220の一部として形成することができ、以上及び以下で説明されるように接触領域222を構成することができる。
【0106】
[000105] ある実施形態では、プロファイルは、第1のシール部材220の上面221から第1のシール部材220の半径方向外縁部223に及ぶ複数の直線部分を含むことができる。これは図7A図7B及び図7Cに示されている。ある実施形態では、プロファイルの形状は、第1のシール部材220の上面221から第1のシール部材220の半径方向外縁部223にかけて湾曲することができる。これは図7D図7E及び図7Fに示されている。付加的又は代替的に、第1のシール部材220の外縁部は丸くてもよい。これは接触領域222を形成する外縁部上の丸い面取り部であってよい。プロファイルの形状は楕円又は円の一部であってよい。例えばプロファイルの形状は、図7Dに示すような楕円の一部であってよい。プロファイルの形状は、図7F及び図7Gに示すように実質的に段差形状であってよい。複数の接点を提供する形状はいずれも、断面単一点接触と比べて基板Wにかかる局部応力を低下させることになる。基板Wは、例えば縁部が湾曲し、接触線が断面に見られるように基板Wと第1のシール部材220との間に2つ以上の接点がある場合、線接触を介して接触領域222と接触することができる。線接触ではない、複数の個別の接点を有する形状は、一般に全体的な接触エリアが小さくなり、擦り切れるのが早くなる。図7Aから図7Gに示す形状は、特定の基板、システム、及び/又は基板アンロード設定/シーケンスで特に有利な可能性がある形状の例である。これらの形状の一部は、製造可能性を高めることができる、及び/又は、基板Wの反りを低減することなど、使用される基板Wの特性に及ぶ効果を高めることができる。
【0107】
[000106] 接触領域222の表面をできるだけ滑らかにすることは有益である。これによって基板Wの下面にかかる局部応力が低減する。したがって、接触領域222は、相互作用するときの基板Wと第1のシール部材220との間の摩擦力を低下させるように構成することができる。例えば、接触領域222は研磨することができる。
【0108】
[000107] 図6A及び図7Aから図7Gに示した様々な異なるプロファイルは、接触領域222が基板Wと第1のシール部材220との接触エリアを提供できることを意味する。これは、第1のシール部材220及び基板Wにかかる力を分散し、局部応力を低下させて基板Wの下面に擦り傷が形成されることを抑制する又は防ぐ、すなわち基板Wの下面の損傷を抑制する又は防ぐことを意味するために有益である。接触エリアは、複数の個別の接点又は断面線接触によって提供することができる。
【0109】
[000108] 図7Aから図7Gに示した様々な異なるプロファイルには示されていないが、これらのプロファイルを有するシール部材はいずれも以上で説明したようなコーティング224を有することができる。
【0110】
[000109] 第1のシール部材220が複数の支持要素210を取り囲み、これらの半径方向外側に配置されるように構成されることは、平面視で全ての支持要素210が第1のシール部材220の半径方向内側にあることを意味する。したがって、第1のシール部材220は、ロード及び/又はアンロード中に基板Wの下面との最も外側の接点を形成することができる。これによって、支持要素210の摩耗を以上で説明したように低減することが可能になる。第1のシール部材220は、平面視で全ての支持要素210を囲む個別の部材として支持要素210を取り囲むことができ、例えば、第1のシール部材220は平面視で円形であってよい。第1のシール部材220は均一な断面を有しない可能性があり、したがって、図4から図6図7Aから図7G図8又は図9に示されている第1のシール部材220の形状は変化する可能性がある。第1のシール部材220は任意で、第1のシール部材220を全ての支持要素210を囲む複数の個別の部材によって提供できるようにギャップを有することができる。
【0111】
[000110] システムのこの部分の近くに液体があるため、基板Wの下面と基板ホルダ200の本体201との間の空間が湿った雰囲気を有する可能性がある。湿った雰囲気の不利な点は、支持要素210の酸化の可能性である。支持要素210の酸化は、支持要素210により支持される基板Wの達成可能な平坦性を低下させることから有害である。基板ホルダ200は、本体表面202と基板Wとの間から本体201内に流体を抽出するために本体201に形成された少なくとも1つの抽出開口230を備えることができる。少なくとも1つの抽出開口230はシール機構の一部であってよい。抽出開口230は、以下で説明されるように、本体表面202と基板Wとの間に湿った雰囲気を有することを回避することを助けるために設けることができる。
【0112】
[000111] 少なくとも1つの抽出開口230は、第1のシール部材220の半径方向内側に隣接して配置することができる。したがって、少なくとも1つの抽出開口230と第1のシール部材220との間には、支持要素210などの他の特徴部が存在しない可能性がある。抽出開口230は負圧源に接続することができる。これにより、抽出開口230に到達した液体はいずれも本体201から抽出することができる。これは、液体が本体表面202と基板Wとの間の空間にさらに進入することを制限されることを意味する。抽出開口230はまた、例えば抽出すべき液体が存在しない場合にガスを抽出することができる。液体とガスの混合物を抽出開口230から抽出することができる。少なくとも1つの抽出開口230を使用して、以上で説明した圧力低下及び/又は低圧領域の提供を助けることができる。
【0113】
[000112] 少なくとも1つの抽出開口230は、いくつかの開口で形成することができる。抽出開口230は、第1のシール部材220の全周にわたって互いに離間することができる。抽出開口230は、本体表面202の個別の開口であってよい。代替的に、抽出開口230は、本体表面202に形成された溝であってよい。代替的に、溝は本体表面202に形成することができ、抽出開口230は、溝の底部の本体202から出現することができる。溝は1つ以上の開口で各セグメントにセグメント化することができる。セグメントは複数の凹所と見ることができる。
【0114】
[000113] 少なくとも1つの抽出開口230を負圧に接続することによって、基板Wの縁部にたどり着いた液体を、抽出開口230を通して除去することができる。基板Wの縁部がもはや液体で覆われなくなると、液体が除去されたとき基板Wの下面を乾燥させる。
【0115】
[000114] 以上で説明したように、基板ホルダ200はまた、第2のシール部材240を備えることができる。図4図5図6A図6B図8及び図9には第2のシール部材240が描かれているが、この部材は任意であり、第1のシール部材220が設けられない可能性がある。第2のシール部材240は、少なくとも1つの抽出開口230(設けられる場合)の半径方向内側に配置することができる。第2のシール部材240は、支持要素210の半径方向外側に配置することができる。第2のシール部材240は、少なくとも1つの支持要素210を取り囲むように構成することができる。したがって、全ての支持要素210は第2のシール部材240の半径方向内側にある可能性がある。代替的に、支持要素210の少なくとも1つは、第2のシール部材240の半径方向外側にあってもよい。換言すれば、第2のシール部材240は、1つ以上の支持要素210の半径方向内側にあってもよい。例えば、少なくとも半径方向に最も外側の支持要素210は、第1のシール部材220と第2のシール部材240との間に配置することができる。少なくとも半径方向に最も外側の支持要素210は、第2のシール部材240を取り囲む線上に少なくとも1つの抽出開口230と交互に配置することができる。
【0116】
[000115] 以上で説明した実施形態に付加的又は代替的に、基板ホルダ200は少なくとも1つの別の部材250を備えることができる。別の部材250は、基板Wのロード又はアンロード中に基板Wと接触するように構成された接触領域252を有することができる。別の部材250の接触領域252は、第1のシール部材220の接触領域222と同様であってよく、以上で説明したような第1のシール部材220の接触領域222と同様の特性を有することができる。別の部材250は、以上で説明したシール部/第1のシール部材220に加えて設けることができる。この実施形態では、第1のシール部材220及び別の部材250は、いずれも基板Wのロード及びアンロード中に基板Wと接触するように構成することができる。別の部材250は、第1の高さよりも低い第3の高さを有することができる。換言すれば、支持要素210は別の部材250よりも高い可能性がある。
【0117】
[000116] 少なくとも1つの別の部材250は、以下において別の部材250と呼ばれることがあるが、別の部材についての言及は複数の別の部材も含むことができることは理解されるであろう。したがって、別の部材250は、複数の別々の部分又は突出体によって形成することができる。
【0118】
[000117] 別の部材250は、以上で説明した第1のシール部材220と同様の支持機能を提供することができる。したがって、別の部材250は、基板Wのロード及び/又はアンロード中に基板Wと接触するように構成することができる。別の部材250を少なくとも1つの支持部材210の半径方向外側に付加することによって、少なくとも1つの支持部材210の損傷を軽減する又は防ぐことができる。別の部材250は、犠牲バール/領域の機能を果たすことができる。
【0119】
[000118] さらに詳細には、基板ホルダ200は、本体表面202から突出し、上面251を有する別の部材250を備えることができる。少なくとも1つの別の部材250は、第1のシール部材220の半径方向外側にこれを取り囲むように配置することができる。別の部材250の上面251は、基板Wのロード及び/又はアンロード中に基板Wと接触するように構成された接触領域252を有することができる。別の部材250の接触領域252の位置は、基板Wのロード及び/又はアンロード中に基板Wにより別の部材250に加えられる力が基板Wにより複数の支持要素210に加えられる力よりも大きくなるほど十分に複数の支持要素210から離れたところに配置される。
【0120】
[000119] 別の部材250は、以上で説明したようなコーティング254を備えることができる。したがって、コーティングは、ダイアモンド状炭素(DLC、例えばa-CH)、ダイアモンド、炭化ケイ素(例えばSiSiC又はSiC)、窒化ホウ素(BN)、又は窒化ホウ素炭素(BCN)から形成することができる。コーティング254は別の部材250の上面251を構成することができ、別の部材250の接触領域252はコーティング254上にあってよい。コーティング254は、シール部材コーティング224及び/又は支持部材コーティング214に関して以上で説明したように、例えば厚さなどの他の特性を有することができる。また、別の部材250のコーティング254は別の部材コーティングと呼ばれることもある。
【0121】
[000120] コーティング254は図8に示されている。但し、別の部材250は、以上で説明したように第1のシール部材220と一緒に、コーティング254を伴わずに設けられる可能性もある。別の部材250のコーティング254は、別の部材250の接触領域252上にのみ設けることができる。
【0122】
[000121] 別の実施形態では、基板ホルダ200は、代替シール部材260と別の部材250とを備えることができる。代替シール部材260は、以上で説明した第1のシール部材220に取って代わることができる。この実施形態では、別の部材250だけが基板Wのロード及び/又はアンロード中に基板Wと接触するように構成された接触領域252を有することができる。換言すれば、この実施形態では、代替シール部材260は、以上で説明した実施形態と同様に基板Wのロード及び/又はアンロード中に基板Wと接触するようには構成されていない。例えば、代替シール部材260は、ロード又はアンロード中に基板Wと接触しないように配置することができ、例えば、代替シール部材260は半径方向内側に寄り過ぎてロード及び/又はアンロード中に基板Wと接触することができない可能性がある。したがって、代替シール部材260は、例えば第1のシール部材220と関連して以上で説明したように、ガス/流体の流れを減少させる又はこれに影響を及ぼすことによってシールを提供することができるが、第1のシール部材220が行うようにロード及び/又はアンロード中に基板Wと接触することはない。
【0123】
[000122] さらに詳細には、基板ホルダ200は、本体201と、複数の支持要素210と、シール部と、少なくとも1つの別の部材250とを備える。本体201は本体表面202を有する。複数の支持要素210は本体表面202から突出する。各支持要素210は、基板Wを支持するように構成された遠位端面211と第1の高さとを有することができる。シール部は、基板Wと本体表面202との間の液体及び/又はガスのシール部を越えた半径方向内側への通過を制限するように構成することができる。シール部は、本体表面202から突出する第1のシール部材220を備えることができる。第1のシール部材220は、第1の高さよりも低い第2の高さを有することができる。第1のシール部材220は、複数の支持要素220の半径方向外側に、これらを取り囲むように配置することができる。少なくとも1つの別の部材250は本体表面202から突出し、上面251を有する。少なくとも1つの別の部材250は、複数の支持要素210の半径方向外側に、これらを取り囲むように配置することができる。また、少なくとも1つの別の部材250は、シール部の半径方向外側に、これを取り囲むように配置することができる。少なくとも1つの別の部材250は、別の部材250の上面251を構成するコーティング254を備えることができる。コーティング254は、基板Wのロード及び/又はアンロード中に基板Wと接触するように構成された接触領域252を有することができる。コーティング254は、ダイアモンド状炭素(DLC、例えばa-CH)、ダイアモンド、炭化ケイ素(例えばSiSiC又はSiC)、窒化ホウ素(BN)、又は窒化ホウ素炭素(BCN)から作ることができる。別の部材250の接触領域252の位置は、基板Wのロード及び/又はアンロード中に基板Wにより別の部材250に加えられる力が基板Wにより複数の支持要素210に加えられる力よりも大きくなるほど十分に複数の支持要素210から離れたところに配置することができる。
【0124】
[000123] この実施形態では、シール部は、以上で説明したような代替シール部材260を含むことができる。代替シール部材260は本体表面202から突出することができる。代替シール部材260は、複数の支持要素210の半径方向外側にあってよい。代替シール部材260は、複数の支持要素210を取り囲んでいてよい。代替シール部材260は、以上で説明した第1のシール部材220と同じように機能することができる。但し、この実施形態では、代替シール部材260は、ロード及び/又はアンロード中に基板Wと概ね接触しないよう構成することができる。シール部は、以上で説明したような第2のシール部材240を含むことができる。したがって、第2のシール部材240は、本体表面から突出することができ、代替シール部材260の半径方向内側に配置することができる。
【0125】
[000124] 実施形態のいずれにおいても、別の部材250は上記第1のシール部材220と類似した特性を有することができる。例えば、別の部材250は、図6A図6B及び図7Aから図7Gに沿って第1のシール部材220との関連において以上で説明したプロファイルを有する接触領域を有することができる。より詳細には、別の部材250の半径方向の断面における別の部材250の接触領域252のプロファイルは、基板Wのロード及び/又はアンロード中に基板Wがプロファイルの少なくとも2つの異なる点を介して別の部材250と接触するように構成された形状を有することができる。別の部材250は、図6Bに示した第1のシール部材220について説明したようなプロファイルを有する接触領域252上にのみコーティング254を備えることができる。
【0126】
[000125] 別の部材250は連続したリング状に設けることができる。換言すれば、別の部材250は、平面視で円形、より詳細にはリング形状又は環状であってよい。したがって、別の部材250は円環形状を有することができる。別の部材250は複数のセグメントを含むことができ、任意でセグメント化されたリングであってよい。セグメント化されたリングには、隣接するそれぞれとの間にギャップを有する複数の別の部材部分が存在する可能性がある。別の部材部分は放射状スポークと呼ばれることがある。隣接する別の部材部分間のギャップは、同じ長さであるか又は隣接する部分の一方又は両方の長さより短くてよい。換言すれば、各別の部材部分間の距離は、隣接する別の部材部分の一方又は両方の幅と同じか又はこれより小さくてよい。隣接する別の部材部分間のギャップの少なくとも1つ、すなわち隣接する部分間の間隔は、約数十又は数百ミクロンであってよい。隣接する別の部材部分間のギャップの少なくとも1つは、約10ミクロンと狭くてよい。ギャップの少なくとも1つは0.5~5mmであってよい。ギャップの一部又は全てはこれらの寸法を有することができる。小さいギャップを設けることは、例えば別の部材250と基板Wの下側との相互作用から生じる汚染物質を、比較的大きい接触エリアを提供しながらもギャップで捕捉できる点で有利である可能性がある。
【0127】
[000126] 別の部材250は、平面視でリング形状をなす、一列の間隔を開けた複数の個別のバール又は突出体によって提供することができる。換言すれば、別の部材250は複数の別の支持要素を備えることができる。例えば、個別のバール又は突出体は、約100~1000ミクロンの直径を有することができる。1つのバール又は突出体の中心から隣接するバール又は突出体の中心までの距離は約1~3mmであってよい。別の部材250の上面251は、別の部材250の摩耗を低減するために、上記第1のシール部材220に関して説明したように少し丸くする又は研磨することができる。
【0128】
[000127] 別の部材250は、少なくとも1つの支持要素210の高さよりも低い高さ(第3の高さ)を有することができる。これは別の部材250が基板Wのロード及びアンロード中に負荷を受けることができることを意味する。但し、基板Wの露光中などの使用中に、別の部材250は基板Wと接触しない可能性がある。別の部材250と少なくとも1つの支持要素210との間の距離は、第1のシール部材220について図4で既に説明したように最適化することができる。
【0129】
[000128] 支持要素210に対する別の部材250の接触領域252の位置は、様々な異なる方法で制御することができる。例えば図9に示すように、主要寸法は、半径方向に最も外側の支持要素210の遠位端面211の半径方向外縁部212と別の部材250の上面251の外側上縁部との間の距離に関係する。この寸法は、支持要素210及び別の部材250のこれらの特定の部分に関係する。なぜなら、これらは基板Wのロード及び/又はアンロード中に基板Wの下面と接触することになるこれらのコンポーネントの部分であるためである。
【0130】
[000129] 距離は半径方向の距離Dで定義することができる。距離は、付加的又は代替的に、支持要素210の遠位端面211と別の部材250の上面251との間の距離yで定義することもできる。これらの距離はいずれも、基板Wがロード及び/又はアンロード中にこれらのコンポーネントのそれぞれとどのように相互作用するかに影響を及ぼすことになる。
【0131】
[000130] この例では、接触領域252は断面において縁部接点として示されている。したがって、この実施形態では、接触領域252は、別の部材250の周囲の同じ接点によって形成される。この接触領域252は、図4に示した第1のシール部材220の接触領域と同様であってよい。支持要素210に対する接触領域252の位置は、基板Wのアンロード中の支持要素210の摩耗を低減するように構成される。
【0132】
[000131] ある実施形態では、遠位端面211の半径方向外縁部212から接触領域252までの半径方向距離Dは、1,000ミクロンより大きく、好ましくは1,500ミクロンより大きい。半径方向距離Dは、好ましくは約1000~3000ミクロン、すなわち1~3mmである。これは、接触領域252が、ロード及び/又はアンロード中の支持要素210と基板Wとの接触を低減するのに支持要素210から十分離れている可能性があることを意味する。付加的又は代替的に、図9にyで示される、半径方向に最も外側の支持要素210と別の部材250との高低差は、約0.5ミクロンから5ミクロンである。高低差は、別の部材250が基板Wの露光中に基板Wの下側と接触する可能性を低くするように3ミクロン以上であることが好ましい。半径方向に最も外側の支持要素210と別の部材250との高低差は、遠位端面211と別の部材250の上面251との間のy方向の距離であり、y方向は半径方向を含む平面と直交する。高低差があることで、ロード及び/又はアンロード中の支持要素210と基板Wとの接触を低減することもできる。
【0133】
[000132] このような距離を置いて接触領域252を設けることは、基板Wのロード及び/又はアンロード中の基板Wの相互作用が、半径方向に最も外側の支持要素210とよりむしろ別の部材250とで大きくなることを意味する。事実上、これは別の部材250が犠牲摩耗エリアとして使用されることを意味する。これによって最も外側の支持要素210の摩耗が大幅に低減する可能性がある。半径方向外縁部212と接触領域252との間の距離を半径方向及び/又はy方向に最適化して、基板Wをロード及び/又はアンロードする間の最も外側の支持要素210と基板Wとの摩擦を最小限に抑えることができる。距離D及び距離yの最適値は、基板ホルダ200、基板W、及び/又は基板Wに適用されるアプリケーションによって変わる可能性がある。
【0134】
[000133] 上記のように、基板ホルダ200は、第1のシール部材220と第2のシール部材240との間に少なくとも1つの支持要素210を備えることができる。これは図10に示されている。これによって、最も外側の支持要素210は、第1のシール部材220及び第2のシール部材240と隣接して設けることができる。したがって、第2のシール部材240は、支持要素210の全てではなく一部のみを取り囲むことができる。
【0135】
[000134] この例では、図4に示した第1のシール部材220と同様に、接触領域222と支持要素210との間の距離は、図10に示す半径方向の距離Dで定義することができる。これは図4について言及及び説明された距離Dと同じ値/範囲であってよい。この距離は、付加的又は代替的に、支持要素210の遠位端面211と第1のシール部材220の上面221との間の距離yで定義することもできる。これは図4について言及及び説明された距離yと同じ値/範囲であってよい。距離xは第1のシール部材220の全長である。これは図4について言及及び説明された距離xと同じ値/範囲であってよい。これらの距離はいずれも、基板Wがアンロード中にこれらのコンポーネントのそれぞれとどのように相互作用するかに影響を及ぼすことになる。
【0136】
[000135] 複数の支持要素210は、第1のシール部材220と第2のシール部材240との間に設けることができる。任意で、少なくとも1つの抽出開口230を設けることもできる。例えば、支持要素210及び抽出開口230は、第1のシール部材220と第2のシール部材240との間の空間に交互に設けることができる。すなわち、図10は、第1のシール部材220と第2のシール部材240との間の最も外側の支持要素210を通る基板ホルダ200の一部の断面を示しているが、異なる半径方向位置における同様の断面は、図4のように第1のシール部材220と第2のシール部材240との間の抽出開口230を示すことができる。
【0137】
[000136] 少なくとも1つの最も外側の支持要素210は、他の実施形態における同様の位置に設けることもできる。例えば、最も外側の支持要素210は、図8のように別の部材250を設ける場合は第1のシール部材220と第2のシール部材240との間、又は図9の代替シール部材260と第2のシール部材240との間に設けることができる。これらの部材は、上記の実施形態又は変形形態の何れかに記載の接触領域222、252、及び/又はコーティング254を備えることができる。
【0138】
[000137] 以上で説明したように、基板ホルダ200は、基板Wのアンロード中、本体201と基板Wとの間の圧力を制御するように構成することができる。これは様々な方法で行うことができ、任意の既知の方法/システムを使用することができる。本発明は、上記の変形例の何れかに記載のリソグラフィ装置を備えることができる。リソグラフィ装置は、上記の実施形態又は変形形態の何れかに係る、基板を支持するように構成された基板ホルダ200を備えることができる。
【0139】
[000138] 本文ではIC製造におけるリソグラフィ装置の使用について特に言及したが、本明細書に記載のリソグラフィ装置は他の用途を有する可能性があることを理解すべきである。考えられる他の用途には、集積光学系、磁気ドメインメモリの誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造が含まれる。
【0140】
[000139] 本文ではリソグラフィ装置との関連で、本発明の実施形態への具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置に用いることもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(又は他の基板)やマスク(又は他のパターニングデバイス)といったオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を構成することができる。これらの装置は一般に、リソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0141】
[000140] 以上では光リソグラフィとの関連で本発明の実施形態の使用に特に言及しているが、本発明は、インプリントリソグラフィなどの他の用途においても使用可能であり、状況が許せば、光リソグラフィに限定されないことが理解される。
【0142】
[000141] 図面は上記の様々な特徴部を説明することが意図されている。図面は縮尺どおりではない。異なる特徴部の相対幅及び高さは他の特徴部に対して変化する可能性がある。例えば、別の部材250は、第1のシール部材220及び第2のシール部材240よりも狭く示されている。しかしながら、別の部材250は同じ幅(すなわちx方向の同じ長さ)である場合も、広い(すなわちx方向のより大きい長さを有する)場合もある。
【0143】
[000142] 以上、本発明の特定の実施形態を説明してきたが、説明とは異なる方法でも本発明を実施できることが理解されるであろう。上記の説明は例示であり、限定を意図したものではない。したがって、以下に示す請求項の範囲から逸脱することなく、記載されたように本発明を変更できることが当業者には明白であろう。

図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8
図9
図10