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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】緊急告知防災ドッキングステーション
(51)【国際特許分類】
   G08B 27/00 20060101AFI20221107BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20221107BHJP
   G08B 21/10 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
G08B27/00 C
G08B25/00 520A
G08B21/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018156982
(22)【出願日】2018-08-24
(65)【公開番号】P2020030719
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】504165591
【氏名又は名称】国立大学法人岩手大学
(73)【特許権者】
【識別番号】504261077
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人自然科学研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】千葉 寿
(72)【発明者】
【氏名】豊田 朋範
(72)【発明者】
【氏名】古舘 守通
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 聡美
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-026807(JP,A)
【文献】特開平06-098045(JP,A)
【文献】登録実用新案第3118188(JP,U)
【文献】特開2001-156663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00-31/00
H04B1/06
1/16
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04N7/10
7/14-7/173
7/20-7/56
21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送局からの電波を受信するとともに、気象、地象、津波、高潮、波浪、及び洪水のいずれかの警報によって送信される警報信号を受信し、前記警報信号を受信すると、電源オフの状態からでも直ちに起動して、照明手段を少なくとも所定時間点滅するとともに、あらかじめ設定された音量で音声出力手段から音声を出力する緊急告知防災ラジオを載置し、
前記緊急告知防災ラジオが前記警報信号を受信したことを判断すると、子機に対して動作信号を送信する緊急告知防災ドッキングステーションであって、
前記照明手段の照射を光信号として検知する光検出手段と、
前記光検出手段で検知する前記光信号から前記警報信号の受信による点滅か否かを判断する制御手段と、
前記制御手段で前記警報信号の前記受信による前記点滅と判断すると前記子機に対して前記動作信号を送信する送信手段と
を有し、
前記制御手段では、
前記光検出手段が一つの前記光信号を検知すると警報判断を開始し、
前記警報判断の開始から、あらかじめ設定した検知時間の間に、あらかじめ設定した回数の前記光信号を検知すると、
前記警報信号の前記受信による前記点滅と判断する
ことを特徴とする緊急告知防災ドッキングステーション。
【請求項2】
前記音声出力手段から出力される前記音声の前記音量を検出する音量検出手段を有し、
前記制御手段では、
前記検知時間の間に、あらかじめ設定した音量レベルを越える前記音量を前記音量検出手段によって検出すると、前記警報信号の前記受信による前記点滅と判断し、
前記検知時間の間に、あらかじめ設定した前記音量レベルを越える前記音量を前記音量検出手段によって検出しないと、前記警報信号の前記受信による前記点滅ではないと判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の緊急告知防災ドッキングステーション。
【請求項3】
前記緊急告知防災ラジオが、前記照明手段を点灯する点灯スイッチを備え、
前記光検出手段が前記照明手段の点灯を検知すると発光する光検出確認表示手段を有し、
前記緊急告知防災ラジオを載置した状態で前記点灯スイッチをONすると前記光検出確認表示手段が発光する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の緊急告知防災ドッキングステーション。
【請求項4】
前記緊急告知防災ラジオが、二次電池によって動作し、前記二次電池を充電する充電端子を備え、
前記充電端子に接続される給電端子を有し、
前記点灯スイッチをONすると前記光検出確認表示手段が発光する状態では、前記給電端子が前記充電端子に接続されている
ことを特徴とする請求項3に記載の緊急告知防災ドッキングステーション。
【請求項5】
前記音量検出手段で検出される前記音量に応じて発光する音量レベル表示手段を有し、前記音量検出手段は、前記音声出力手段から出力される前記音声以外の音も検出する
ことを特徴とする請求項2に記載の緊急告知防災ドッキングステーション。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の緊急告知防災ドッキングステーションと、前記子機とからなる緊急告知防災システムであって、
前記緊急告知防災ドッキングステーションには、
前記子機に対して送信する前記動作信号の電圧情報を選択できるステーション側電圧値設定手段を有し、
前記子機には、
受信する前記動作信号のPWM信号を電圧信号に変換する平滑回路と、
動作する基準電圧をあらかじめ選択できる子機側電圧値設定手段と、
前記平滑回路で変換した前記電圧信号が前記基準電圧に一致すると機器に動作を行わせる起動手段と
を有し、
前記電圧情報を、前記緊急告知防災ドッキングステーションと前記子機との間でのID信号として用いる
ことを特徴とする緊急告知防災システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急告知防災ラジオを載置し、緊急告知防災ラジオが警報信号を受信したことを判断すると、子機に対して動作信号を送信する緊急告知防災ドッキングステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
2011年3月に発生した東日本大震災をはじめ、日本では多くの自然災害が発生している。これらの大災害発生時には多くの場合、停電や断水も同時に発生するため、テレビなどを通した情報取得も困難となる。一方、災害に強い電池駆動が可能なラジオや無線の機能が見直され、これらを使った情報伝達の手段が再び注目を集めている。
特に地域に密着したコミュニティ放送局の役割に着目され、地域特有の警報情報配信や、災害時には地域を絞った情報を伝えることにより、避難場所などの詳細な情報を伝達することが可能である。最近ではこのコミュニティラジオと自治体が連携することにより、災害情報の伝達のみならずJアラートやLアラート、緊急地震速報などの緊急情報をいち早く住民に伝えるシステムが活用されている。この情報伝達手段としてコミュニティ放送局から特有の起動信号を送信することで、電源オフの状態からでも直ちに起動して緊急放送を視聴できる緊急告知防災ラジオが注目され実際に活用されている(特許文献1、特許文献2)。多くの場合、これらの緊急告知防災ラジオは自治体から配布され、又は補助金による格安な販売がされるなど、普及に向けた取り組みが活発に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3118188号公報
【文献】特開2012-182686号公報
【文献】特許第6302030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、多くの場合、緊急告知防災ラジオは、各公共施設や家庭に1台置いてあるだけであり、ラジオの視聴範囲外ではラジオ音が聞こえないため防災情報の発表を知ることができない。
また、これらの緊急告知防災ラジオを各部屋などに設置する場合には、その部屋の数だけ緊急告知防災ラジオを用意する必要があるため価格面からもこれらの普及には住民(利用者)の理解が必要となる。さらに防災信号は一般的なFMラジオ信号であるため、それぞれの部屋の環境等により受信感度にも注意をしながら設置・管理をする必要があり、このラジオ信号が不安定であれば緊急時の防災信号をそもそも受信することができないため極めて重大な問題となる。
また、大学をはじめ各学校などでは教室や実験室のように多くの部屋に区分けされ、それぞれの場所で授業等が行われている。工場や大規模な運動場などにおいては、騒音などにより緊急起動した緊急告知防災ラジオの音すらかき消されてしまい、本来の目的を満足出来ないケースも多い。さらに大学や研究所等の実験室では気密性を重視した作りになっている場所も多く、そもそもラジオ電波が到達出来ないという問題もあり、未だ十分に普及しているとは言えない。
これらの問題を解決するものとして、コミュニティFM放送局などから発せられる緊急情報信号を中継アダプタにより変換し、屋内の各部屋に設置した住宅用火災警報器と連動し緊急情報を知らせる装置も提案されている(特許文献3)。
しかし、これらを実現するためには専用の緊急情報受信機や中継アダプタを設置し、かつ専用の火災警報器を新たに設置する必要があり、家庭レベルでの利用には負担が大きいという問題がある。
【0005】
本発明は、すでに自治体から配布・市販され現在利用中の緊急告知防災ラジオを利用し、緊急告知防災ラジオの視聴範囲外でも警報を知ることができる緊急告知防災ドッキングステーションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の緊急告知防災ドッキングステーション10は、放送局からの電波を受信するとともに、気象、地象、津波、高潮、波浪、及び洪水のいずれかの警報によって送信される警報信号を受信し、前記警報信号を受信すると、電源オフの状態からでも直ちに起動して、照明手段23を少なくとも所定時間点滅するとともに、あらかじめ設定された音量で音声出力手段24から音声を出力する緊急告知防災ラジオ20を載置し、前記緊急告知防災ラジオ20が前記警報信号を受信したことを判断すると、子機30に対して動作信号を送信する緊急告知防災ドッキングステーション10であって、前記照明手段23の照射を光信号として検知する光検出手段11と、前記光検出手段11で検知する前記光信号から前記警報信号の受信による点滅か否かを判断する制御手段12と、前記制御手段12で前記警報信号の前記受信による前記点滅と判断すると前記子機30に対して前記動作信号を送信する送信手段13とを有し、前記制御手段12では、前記光検出手段11が一つの前記光信号を検知すると警報判断を開始し、前記警報判断の開始から、あらかじめ設定した検知時間の間に、あらかじめ設定した回数の前記光信号を検知すると、前記警報信号の前記受信による前記点滅と判断することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の緊急告知防災ドッキングステーション10において、前記音声出力手段24から出力される前記音声の前記音量を検出する音量検出手段14を有し、前記制御手段12では、前記検知時間の間に、あらかじめ設定した音量レベルを越える前記音量を前記音量検出手段14によって検出すると、前記警報信号の前記受信による前記点滅と判断し、前記検知時間の間に、あらかじめ設定した前記音量レベルを越える前記音量を前記音量検出手段14によって検出しないと、前記警報信号の前記受信による前記点滅ではないと判断することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の緊急告知防災ドッキングステーション10において、前記緊急告知防災ラジオ20が、前記照明手段23を点灯する点灯スイッチ23aを備え、前記光検出手段11が前記照明手段23の点灯を検知すると発光する光検出確認表示手段15を有し、前記緊急告知防災ラジオ20を載置した状態で前記点灯スイッチ23aをONすると前記光検出確認表示手段15が発光することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の緊急告知防災ドッキングステーション10において、前記緊急告知防災ラジオ20が、二次電池によって動作し、前記二次電池を充電する充電端子26aを備え、前記充電端子26aに接続される給電端子16を有し、前記点灯スイッチ23aをONすると前記光検出確認表示手段15が発光する状態では、前記給電端子16が前記充電端子26aに接続されていることを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項2に記載の緊急告知防災ドッキングステーション10において、前記音量検出手段14で検出される前記音量に応じて発光する音量レベル表示手段17を有し、前記音量検出手段14は、前記音声出力手段24から出力される前記音声以外の音も検出することを特徴とする。
請求項6記載の本発明の緊急告知防災システムは、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の緊急告知防災ドッキングステーション10と、前記子機30とからなる緊急告知防災システムであって、前記緊急告知防災ドッキングステーション10には、前記子機30に対して送信する前記動作信号の電圧情報を選択できるステーション側電圧値設定手段18を有し、前記子機30には、受信する前記動作信号のPWM信号を電圧信号に変換する平滑回路32と、動作する基準電圧をあらかじめ選択できる子機側電圧値設定手段33と、前記平滑回路32で変換した前記電圧信号が前記基準電圧に一致すると機器40に動作を行わせる起動手段34とを有し、前記電圧情報を、前記緊急告知防災ドッキングステーション10と前記子機30との間でのID信号として用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、緊急告知防災ラジオが備えている照明手段の点滅から警報を検知することで子機に対して動作信号を送信するため、緊急告知防災ラジオの視聴範囲外でも警報を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例による緊急告知防災ドッキングステーションと子機とからなる緊急告知防災システムの全体構成図
図2】同緊急告知防災システムを機能実現手段で表したブロック図
図3】本実施例による緊急告知防災システムのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による緊急告知防災ドッキングステーションは、照明手段の照射を光信号として検知する光検出手段と、光検出手段で検知する光信号から警報信号の受信による点滅か否かを判断する制御手段と、制御手段で警報信号の受信による点滅と判断すると子機に対して動作信号を送信する送信手段とを有し、制御手段では、光検出手段が一つの光信号を検知すると警報判断を開始し、警報判断の開始から、あらかじめ設定した検知時間の間に、あらかじめ設定した回数の光信号を検知すると、警報信号の受信による点滅と判断するものである。本実施の形態によれば、緊急告知防災ラジオが備えている照明手段の点滅から警報を検知することで子機に対して動作信号を送信するため、緊急告知防災ラジオの視聴範囲外でも警報を知ることができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による緊急告知防災ドッキングステーションにおいて、音声出力手段から出力される音声の音量を検出する音量検出手段を有し、制御手段では、検知時間の間に、あらかじめ設定した音量レベルを越える音量を音量検出手段によって検出すると、警報信号の受信による点滅と判断し、検知時間の間に、あらかじめ設定した音量レベルを越える音量を音量検出手段によって検出しないと、警報信号の受信による点滅ではないと判断するものである。本実施の形態によれば、緊急告知防災ラジオが備えている照明手段の点滅だけでなく、音声出力手段から出力される音声の音量レベルも合わせて判断することで緊急告知防災ドッキングステーションの誤動作を防止できる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による緊急告知防災ドッキングステーションにおいて、緊急告知防災ラジオが、照明手段を点灯する点灯スイッチを備え、光検出手段が照明手段の点灯を検知すると発光する光検出確認表示手段を有し、緊急告知防災ラジオを載置した状態で点灯スイッチをONすると光検出確認表示手段が発光するものである。本実施の形態によれば、緊急告知防災ラジオの載置状態と光検出手段の動作確認を行うことができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による緊急告知防災ドッキングステーションにおいて、緊急告知防災ラジオが、二次電池によって動作し、二次電池を充電する充電端子を備え、充電端子に接続される給電端子を有し、点灯スイッチをONすると光検出確認表示手段が発光する状態では、給電端子が充電端子に接続されているものである。本実施の形態によれば、緊急告知防災ラジオの正しい載置状態で給電端子と充電端子とが接続されることで、点灯スイッチによって緊急告知防災ラジオの載置状態と充電接続とを確認できる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第2の実施の形態による緊急告知防災ドッキングステーションにおいて、音量検出手段で検出される音量に応じて発光する音量レベル表示手段を有し、音量検出手段は、音声出力手段から出力される音声以外の音も検出するものである。本実施の形態によれば、音声出力手段から出力される音声、又は音声出力手段から出力される音声以外の音によって音量レベル表示手段が発光するため、音量検出手段の動作確認を行うことができる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態による緊急告知防災システムは、第1から第5のいずれかの緊急告知防災ドッキングステーションと、子機とからなる緊急告知防災システムであって、緊急告知防災ドッキングステーションには、子機に対して送信する動作信号の電圧情報を選択できるステーション側電圧値設定手段を有し、子機には、受信する動作信号のPWM信号を電圧信号に変換する平滑回路と、動作する基準電圧をあらかじめ選択できる子機側電圧値設定手段と、平滑回路で変換した電圧信号が基準電圧に一致すると機器に動作を行わせる起動手段とを有し、電圧情報を、緊急告知防災ドッキングステーションと子機との間でのID信号として用いるものである。本実施の形態によれば、簡便にID機能を持たせることができ、誤動作を防止できるとともに、複数の子機の一部を動作させ、一部を非動作とすることができる。
【実施例
【0015】
以下本発明の実施例について図面とともに説明する。
図1は、本発明の一実施例による緊急告知防災ドッキングステーションと子機とからなる緊急告知防災システムの全体構成図、図2は同緊急告知防災システムを機能実現手段で表したブロック図である。
【0016】
図1に示すように、本実施例による緊急告知防災ドッキングステーション10は、緊急告知防災ラジオ20を載置して用いる。
緊急告知防災ドッキングステーション10は、緊急告知防災ラジオ20が警報信号を受信したことを判断すると、子機30に対して動作信号を送信する。
子機30は、動作信号を受信すると、子機30が設置された、照明41、受像機42、及び音源43を動作させる。子機30は、照明41、受像機42、及び音源43の他に、自動扉、非常口誘導灯(非常灯/音源)を動作させることができる。
【0017】
図2に示すように、緊急告知防災ラジオ20は、放送局からの電波を受信する放送受信手段21aと、気象、地象、津波、高潮、波浪、及び洪水のいずれかの警報によって送信される警報信号を受信する警報受信手段21bと、警報受信手段21bで警報信号を受信すると、電源スイッチ22がオフの状態からでも直ちに起動して、照明手段23を少なくとも所定時間点滅するとともに、あらかじめ設定された音量で音声出力手段24から音声を出力する警報制御手段25とを備えている。
警報信号は、例えばDTMF(Dual Tone Multi-Frequency)信号である。
警報制御手段25は、電源スイッチ22がオフの状態からでも直ちに起動させる強制起動部25aと、照明手段23を少なくとも所定時間点滅させる照明点滅指示部25bと、あらかじめ設定された音量で音声出力手段24から音声を出力させる警報音指示部25cとを備えている。
【0018】
また、緊急告知防災ラジオ20は、照明手段23を点灯する点灯スイッチ23aを備え、点灯スイッチ23aをONすることで照明手段23を点灯することができる。
また、緊急告知防災ラジオ20は、電源26として二次電池によって動作し、電源26を充電する充電端子26aを備えている。
なお、緊急告知防災ラジオ20は、放送受信手段21aで受信する放送局を選局するための周波数変更手段27、及びスピーカである音声出力手段24の音量を変更する音量変更手段28を備えている。
【0019】
緊急告知防災ドッキングステーション10は、照明手段23の照射を光信号として検知する光検出手段11と、光検出手段11で検知する光信号から警報信号の受信による点滅か否かを判断する制御手段12と、制御手段12で警報信号の受信による点滅と判断すると子機30に対して動作信号を送信する送信手段13とを有している。
制御手段12は、警報点滅判断部12aと、出力指示部12bとを有している。
警報点滅判断部12aは、光検出手段11が一つの光信号を検知すると警報判断を開始し、警報判断の開始から、あらかじめ設定した検知時間の間に、あらかじめ設定した回数の光信号を検知すると警報信号の受信による点滅と判断する。
出力指示部12bは、警報点滅判断部12aで警報信号の受信による点滅と判断すると、送信手段13に送信指示を出力する。
このように、緊急告知防災ドッキングステーション10は、緊急告知防災ラジオ20が備えている照明手段23の点滅から警報を検知することで子機30に対して動作信号を送信するため、緊急告知防災ラジオ20の視聴範囲外でも警報を知ることができる。
【0020】
また、緊急告知防災ドッキングステーション10は、音声出力手段24から出力される音声の音量を検出する音量検出手段14を更に有していることが好ましい。
音量検出手段14を更に有している場合には、警報点滅判断部12aは、検知時間の間に、あらかじめ設定した音量レベルを越える音量を音量検出手段14によって検出すると、警報信号の受信による点滅と判断し、検知時間の間に、あらかじめ設定した音量レベルを越える音量を音量検出手段14によって検出しないと、警報信号の受信による点滅ではないと判断する。
このように、緊急告知防災ドッキングステーション10は、緊急告知防災ラジオ20が備えている照明手段23の点滅だけでなく、音声出力手段24から出力される音声の音量レベルも合わせて判断することで緊急告知防災ドッキングステーション10の誤動作を防止できる。
【0021】
また、緊急告知防災ドッキングステーション10は、光検出手段11が照明手段23の点灯を検知すると発光する光検出確認表示手段15を有している。光検出確認表示手段15は、緊急告知防災ラジオ20を載置した状態で点灯スイッチ23aをONすると発光する。
このように、緊急告知防災ドッキングステーション10は、光検出確認表示手段15を有することで、緊急告知防災ラジオ20の載置状態と光検出手段11の動作確認を行うことができる。
【0022】
また、緊急告知防災ドッキングステーション10は、充電端子26aに接続される給電端子16を有し、点灯スイッチ23aをONすると光検出確認表示手段15が発光する状態では、給電端子16が充電端子26aに接続されている。このように、緊急告知防災ラジオ20の正しい載置状態を、光検出確認表示手段15の発光によって確認することができ、緊急告知防災ラジオ20が正しい載置状態にあれば、給電端子16と充電端子26aとが接続されているため、点灯スイッチ23aによって緊急告知防災ラジオ20の載置状態を確認できるとともに充電接続も間接的に確認できる。
【0023】
また、緊急告知防災ドッキングステーション10は、音量検出手段14で検出される音量に応じて発光する音量レベル表示手段17を有している。
音量レベル表示手段17は、音量検出手段14が音声出力手段24から出力される音声以外の音も検出することで、音声出力手段24から出力される音声、又は音声出力手段24から出力される音声以外の音によって発光するため、音量検出手段14の動作確認を行うことができる。
【0024】
また、緊急告知防災ドッキングステーション10は、子機30に対して送信する動作信号の電圧情報を選択できるステーション側電圧値設定手段18を有している。
【0025】
子機30は、送信手段13からの動作信号を受信する受信手段31と、受信する動作信号のPWM信号を電圧信号に変換する平滑回路32と、動作する基準電圧をあらかじめ選択できる子機側電圧値設定手段33と、平滑回路32で変換した電圧信号が基準電圧に一致すると機器40に動作を行わせる起動手段34とを有している。
このように、緊急告知防災ドッキングステーション10にステーション側電圧値設定手段18を、子機30に子機側電圧値設定手段33をそれぞれ有し、それぞれの設定電圧値が一致する場合に機器40に動作を行わせることで、電圧情報を、緊急告知防災ドッキングステーション10と子機30との間でのID信号として用いることができる。従って、簡便にID機能を持たせることができ、誤動作を防止できるとともに、複数の子機30の一部を動作させ、一部を非動作とすることができる。
【0026】
図3は、本実施例による緊急告知防災システムのフローチャートである。
S1からS3までは、本実施例による緊急告知防災システムの準備段階を示している。
S1において、緊急告知防災ラジオ20を緊急告知防災ドッキングステーション10に載置した後に、緊急告知防災ラジオ20の点灯スイッチ23aをONすることで設置状態を確認する(S2)。
S2において点灯スイッチ23aをONすることで光検出確認表示手段15が発光すれば(S3でYes)、緊急告知防災ラジオ20が緊急告知防災ドッキングステーション10に正しく載置されたことを確認でき、給電端子16と充電端子26aとが接続されており(S4)、警報待機状態となる(S5)。
S3において光検出確認表示手段15が発光しなければ、設置状態に不備があるため、改めて緊急告知防災ラジオ20を緊急告知防災ドッキングステーション10に載置する(S1)。
【0027】
S6からS14までは緊急告知防災ドッキングステーション10での処理を示している。
光検出手段11が一つの光信号を検知すると(S6)、警報点滅判断部12aは、警報判断を開始する(S7)。
警報点滅判断部12aは、警報判断の開始からの光信号をカウントする(S8)。
S8における光信号のカウントは、あらかじめ設定した検知時間が経過するまで継続し、検知時間が経過することで終了する(S9)。
S9における検知時間経過後に、あらかじめ設定した回数の光信号を検知していなければ、警報信号の受信による点滅ではないと判断し(S10でNo)、警報待機状態に戻る。
S10において、あらかじめ設定した回数の光信号を検知していれば、検知時間の間に、あらかじめ設定した音量レベルを越える音量を音量検出手段14によって検出したか否かが判断される(S11)。
【0028】
S11において、検知時間の間に、あらかじめ設定した音量レベルを越える音量を音量検出手段14によって検出していないと、警報信号の受信による点滅ではないと判断し、警報待機状態に戻る。
S11において、検知時間の間に、あらかじめ設定した音量レベルを越える音量を音量検出手段14によって検出していると、警報信号の受信による点滅と判断する(S12)。
S12によって警報点滅判断部12aが警報信号の受信による点滅と判断すると、出力指示部12bから送信手段13に出力指示が出され(S13)、送信手段13から動作信号を送信する(S14)。
【0029】
送信手段13から動作信号が送信されると、子機30では受信手段31が動作信号を受信する(S15)。
S15で受信する動作信号のPWM信号は、平滑回路32において電圧信号に変換される(S16)。
平滑回路32において変換される電圧信号が、子機側電圧値設定手段33であらかじめ選択した基準電圧と一致する場合(S17でYES)には機器40に対して動作指示を行い(S18)、子機側電圧値設定手段33であらかじめ選択した基準電圧と一致しない場合(S17でNO)には機器40に対して動作指示を行わない(S19)。
以上のように、本実施例によれば、すでに自治体から配布・市販され現在利用中の緊急告知防災ラジオ20を利用し、緊急告知防災ラジオ20の視聴範囲外でも警報を知ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明による緊急告知防災ドッキングステーションを用いることで、駅、空港、病院などの他、コンサートホール、会議室、又は温泉などのような、携帯端末の使用を控えるよう促される場所に子機を配置することができる。また、緊急告知防災ドッキングステーションのデザインを各地のキャラクターやシンボル等とすることで、観光地等の統一感やイメージを損なわずに配置することもできる。
【符号の説明】
【0031】
10 緊急告知防災ドッキングステーション
11 光検出手段
12 制御手段
12a 警報点滅判断部
12b 出力指示部
13 送信手段
14 音量検出手段
15 光検出確認表示手段
16 給電端子
17 音量レベル表示手段
18 ステーション側電圧値設定手段
20 緊急告知防災ラジオ
21a 放送受信手段
21b 警報受信手段
22 電源スイッチ
23 照明手段
23a 点灯スイッチ
24 音声出力手段
25 警報制御手段
25a 強制起動部
25b 照明点滅指示部
25c 警報音指示部
26 電源
26a 充電端子
27 周波数変更手段
28 音量変更手段
30 子機
31 動作信号を受信する受信手段
32 平滑回路
33 子機側電圧値設定手段
34 起動手段
40 機器
41 照明
42 受像機
43 音源
図1
図2
図3