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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】ベンゾイソオキサゾール化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 261/20 20060101AFI20221114BHJP
   A61K 31/4418 20060101ALI20221114BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20221114BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20221114BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20221114BHJP
   A61K 31/455 20060101ALI20221114BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20221114BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20221114BHJP
   A61K 31/4995 20060101ALI20221114BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20221114BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20221114BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221114BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221114BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20221114BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20221114BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20221114BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221114BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20221114BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221114BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221114BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221114BHJP
   C07D 211/70 20060101ALI20221114BHJP
   C07D 213/74 20060101ALI20221114BHJP
   C07D 213/80 20060101ALI20221114BHJP
   C07D 213/82 20060101ALI20221114BHJP
   C07D 295/195 20060101ALI20221114BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20221114BHJP
   C07D 413/04 20060101ALI20221114BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20221114BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20221114BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20221114BHJP
   C07D 487/08 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
C07D261/20
A61K31/4418
A61K31/4439
A61K31/454
A61K31/4545
A61K31/455
A61K31/495
A61K31/496
A61K31/4995
A61K31/5377
A61P1/04
A61P1/16
A61P9/00
A61P9/12
A61P11/00
A61P13/12
A61P21/00
A61P25/02
A61P25/28
A61P29/00
A61P43/00 105
A61P43/00 111
C07D211/70
C07D213/74
C07D213/80
C07D213/82
C07D295/195
C07D401/04
C07D413/04
C07D413/12 CSP
C07D413/14
C07D417/12
C07D487/08
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020515628
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(86)【国際出願番号】 JP2019018082
(87)【国際公開番号】W WO2019208812
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2018086929
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度国立研究開発法人日本医療研究開発機構、創薬基盤推進研究事業「アカデミア創薬を担う次世代のメディシナルケミストと薬物動態/物性評価研究者の育成」産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(73)【特許権者】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(73)【特許権者】
【識別番号】504261077
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人自然科学研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 龍
(72)【発明者】
【氏名】森 泰生
(72)【発明者】
【氏名】森 誠之
(72)【発明者】
【氏名】西田 基宏
(72)【発明者】
【氏名】冨田 拓郎
【審査官】吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-513504(JP,A)
【文献】特表2010-508274(JP,A)
【文献】特表2013-533249(JP,A)
【文献】特表2002-530397(JP,A)
【文献】特表2000-505084(JP,A)
【文献】特表平08-506094(JP,A)
【文献】国際公開第2012/037351(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/054279(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/137503(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0102095(US,A1)
【文献】SHASTRI, R. A.,Review on Synthesis of 3-Substituted 1,2-Benzisoxazole Derivatives,Chemical Science Transactions,2016年,Vol.5, No.1,pp.8-20,ISSN: 2278-3458, DOI: 10.7598/cst2016.1120
【文献】NAIDU, Kalaga Mahalakshmi et al.,Design, synthesis and antimycobacterial activity of various 3-(4-(substitutedsulfonyl)piperazin-1-yl)benzo[d]isoxazole derivatives,European Journal of Medicinal Chemistry,2014年,Vol.87,pp.71-78,ISSN: 0223-5234, DOI: 10.1016/j.ejmech.2014.09.043
【文献】CHU-MOYER, Margaret Y. et al.,Orally-Effective, Long-Acting Sorbitol Dehydrogenase Inhibitors: Synthesis, Structure-Activity Relationships, and in Vivo Evaluations of Novel Heterocycle-Substituted Piperazino-Pyrimidines,Journal of Medicinal Chemistry,2002年,Vol.45, No.2,pp.511-528,ISSN: 0022-2623, DOI: 10.1021/jm010440g
【文献】SAWAMURA, Seishiro et al.,Screening of Transient Receptor Canonical Channel Activators Identifies Novel Neurotrophic Piperazine Compounds,Molecular Pharmacology,Vol.89, No.3,pp.348-363,ISSN: 1521-0111, DOI: 10.1124/mol.115.102863
【文献】DATABASE REGISTRY [online],[retrieved on 2019.07.03],American Chemical Society,Retrieved from: STN,〈URL:https://next.stn.org/〉, Entered STN: 11 Nov 2007, RN: 952906-59-1, CN: Benzenamine, 4-[4-(1,2-benzisothiazol-3-yl)-1-piperazinyl]-3-fluoro- (CA INDEX NAME), RN: 952905-69-0, CN: Benzonitrile, 5-amino-2-[4-(1,2-benzisothiazol-3-yl)-1-piperazinyl]- (CA INDEX NAME)
【文献】DATABASE REGISTRY [online],[retrieved on 2019.07.03],American Chemical Society,Retrieved from: STN,<URL:https://next.stn.org/>, Entered STN: 12 Sep 2007, RN: 946731-44-8, CN: 3-Pyridinecarbonitrile, 2-[ 4-(1,2-benzisothiazol-3-yl)-1-piperazinyl]- (CA INDEX NAME), RN: 945367-69-1 , CN: Benzonitrile, 2-[ 4- (1,2-benzisothiazol-3-yl)-1-piperazinyl]-5-nitro- (CA INDEX NAME)
【文献】DATABASE REGISTRY [online],[retrieved on 2019.07.03],American Chemical Society,Retrieved from: STN,<URL:https://next.stn.org/>, Entered STN: 18 Apr 2018, RN: 2214763-53-6, CN: Benzoic acid, 2-[4-(1,2-benzisothiazol-3-yl)-1-piperazinyl]-5-nitro- (CA INDEX NAME), RN: 2213415-17-7, CN: Benzoic acid, 5-amino-2-[4-(1, 2-benzisothiazol-3-yl)-1-piperazinyl]- (CA INDEX NAME)
【文献】DATABASE REGISTRY [online],[retrieved on 2019.07.03],American Chemical Society,Retrieved from: STN,<https://next. stn.org/>, Entered STN: 07 Jul 2016, RN: 1947055-80-2, CN: 1,2-Benzisoxazole, 5-bromo-3-[ 4-(3-methyl-1, 2, 4-thiadiazol-5-yl)-1-piperazinyl]- (CA INDEX NAME), RN: 1947025-34-4, CN: 1,2-Benzisoxazole, 5-bromo-3-[4-(4,6-dimethyl-2-pyrimidinyl)-1-piperazinyl]- (CA INDEX NAME)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
[式中、
Aは、置換されていてもよいベンゼン環である。
Bは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである。
Xは、酸素原子または硫黄原子である。
Yは、窒素原子または炭素原子である。
【化2】
は、互いに独立して、直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルであるか、2個のRが互いに結合して、スピロ環または架橋構造を形成していてもよい、あるいは2個のRが互いに結合して、Yを含む環を構成する炭素原子および窒素原子と共に飽和縮合複素環を形成していてもよい。
pは、0、1、または2である。
あるいは、(Rはオキソである。]
で表され、
前記一般式(1)中、ベンゾイソオキサゾールまたはベンゾイソチアゾール骨格の4位が置換された、
化合物またはその塩。
【請求項2】
一般式(1)において、Bが、置換されていてもよい単環のアリールあるいは置換されていてもよい単環または二環の含窒素ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
一般式(1)において、Aが、下記A-1)~A-16):
A-1)ハロゲン、
A-2)水酸基、
A-3)ニトロ、
A-4)シアノ、
A-5)カルボキシル、
A-6)置換されていてもよいアミノ、
A-7)置換されていてもよい環状アミノ、
A-8)置換されていてもよい直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキル、
A-9)置換されていてもよい直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシ、
A-10)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシカルボニル、
A-11)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニル、
A-12)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルあるいは直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル、
A-13)置換されていてもよい環状アミノカルボニル、
A-14)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルで置換されていてもよいスルファモイル、
A-15)置換されていてもよい環状アミノスルホニル、および
A-16)テトラゾリル
からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよいベンゼン環である、請求項1または2に記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
一般式(1)において、Bが、単環のアリールあるいは単環または二環のヘテロアリールであり、単環のアリールは下記B-1)~B-16)からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよく、単環または二環のヘテロアリールは下記B-1)~B-17)からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい、請求項1~3のいずれかに記載の化合物またはその塩:
B-1)ハロゲン、
B-2)水酸基、
B-3)ニトロ、
B-4)シアノ、
B-5)カルボキシル
B-6)置換されていてもよいアミノ、
B-7)置換されていてもよい環状アミノ、
B-8)置換されていてもよい直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキル、
B-9)置換されていてもよい直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシ、
B-10)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシカルボニル、
B-11)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニル、
B-12)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルあるいは直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル、
B-13)置換されていてもよい環状アミノカルボニル、
B-14)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルで置換されていてもよいスルファモイル、
B-15)置換されていてもよい環状アミノスルホニル、
B-16)テトラゾリル、および
B-17)オキソ。
【請求項5】
一般式(1)において、
Bが、置換されたピリジルまたは置換されたフェニルであって、Yと結合しているピリジンまたはベンゼン環上の炭素原子に対して少なくともオルト位の炭素原子が置換されている、
請求項1~3のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
一般式(1)において、
Aが、ハロゲン;直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシおよびハロゲンで置換されていてもよい直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキル、からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい、ベンゼン環であり、
Bが、ピリジルまたはフェニルであり、それぞれ下記B-1)、B-5)、B-8)、B-10)、B-12)、およびB-13):
B-1)ハロゲン、
B-5)カルボキシル、
B-8)置換されていてもよい直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキル、
B-10)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシカルボニル、
B-12)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルあるいは直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル、および
B-13)置換されていてもよい環状アミノカルボニル、
からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよく、
は、互いに独立してC1~C3アルキルであるか、あるいは2個のRが互いに結合して、メチレン基、ジメチレン基、またはトリメチレン基であり、
あるいは、(Rはオキソである、
請求項1~4のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
一般式(1A)
【化3】
[式中、
Zは、窒素原子またはCHである。
Yは、窒素原子または炭素原子である。
【化4】
11は、互いに独立して、メチルまたはエチルであるか、あるいは2個のR11が互いに結合して、メチレン、ジメチレン、またはトリメチレンによる架橋構造を形成していてもよい。
pは、0、1、または2である。
あるいは、(R11はオキソである。
21、R22、およびR23は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン、またはトリフルオロメチルである。
31、R32、およびR33は、互いに独立して、水素原子ハロゲンハロゲンで置換された直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルメチルカルボキシル;直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシカルボニルモノメチルアミノカルボニルまたはジメチルアミノカルボニルである。]
で表される化合物またはその塩。
【請求項8】
一般式(1A)において、
21が、塩素原子またはトリフルオロメチルであり、
22およびR23が、水素原子であり、
31が、塩素原子であり、
32が、水素原子であり、
33が、水素原子、カルボキシル、あるいは直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシカルボニルである、
請求項7に記載の化合物またはその塩。
【請求項9】
下記の構造で表される、化合物011、化合物021、化合物031、化合物041、化合物061、化合物071、化合物081、化合物091、化合物101、化合物111、化合物121、化合物131、化合物141、化合物151、化合物161、化合物171、化合物191、化合物221、化合物281、化合物311、化合物321、化合物331、化合物341、化合物351、化合物361、化合物371、化合物381、化合物391、または化合物401、あるいはその塩。
【化5】
【請求項10】
一般式(2A)
【化6】
[式中、
Zは、窒素原子またはCHである。
Yは、窒素原子または炭素原子である。
【化7】
11は、互いに独立して、メチルまたはエチルであるか、あるいは2個のR11が互いに結合して、メチレン、ジメチレン、またはトリメチレンによる架橋構造を形成していてもよい。
pは、0、1、または2である。
あるいは、(R11はオキソである。
21、R22、およびR23は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン、またはトリフルオロメチルである。
31、R32、およびR33は、互いに独立して、水素原子ハロゲンハロゲンで置換された直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルメチルカルボキシル;直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシカルボニルモノメチルアミノカルボニルまたはジメチルアミノカルボニルである。]
で表される化合物またはその塩。
【請求項11】
一般式(2B)
【化8】
[式中、
Aは、置換されていてもよいベンゼン環である。
Bは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである。
は、ハロゲン、ハロゲンで置換されていてもよい直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニル、あるいは直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルまたはニトロで置換されていてもよいベンゼンスルホニルである。
Yは、窒素原子または炭素原子である。
【化9】
は、互いに独立して、直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルであるか、2個のRが互いに結合して、スピロ環または架橋構造を形成していてもよい、あるいは2個のRが互いに結合して、Yを含む環を構成する炭素原子および窒素原子と共に飽和縮合複素環を形成していてもよい。
pは、0、1、または2である。
あるいは、(Rはオキソである。]
で表される化合物またはその塩。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の化合物またはその塩を含有する医薬組成物。
【請求項13】
TRPC3および/またはTRPC6関連疾患の予防および/または治療剤である請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
TRPC3および/またはTRPC6関連疾患が、線維症、心肥大、筋委縮性側索硬化症(ALS)、筋ジストロフィー、潰瘍性大腸炎、クローン病、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、ウィリアムズ症候群、慢性腎症、肺高血圧症またはアルツハイマー病である請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~11のいずれかに記載の化合物またはその塩を含有するTRPC3および/またはTRPC6調節または阻害剤。
【請求項16】
一般式(1)
【化10】
[式中、
Aは、置換されていてもよいベンゼン環である。
Bは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである。
Xは、酸素原子または硫黄原子である。
Yは、窒素原子である。
【化11】
は、互いに独立して、直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルであるか、2個のRが互いに結合して、スピロ環または架橋構造を形成していてもよい、あるいは2個のRが互いに結合して、Yを含む環を構成する炭素原子および窒素原子と共に飽和縮合複素環を形成していてもよい。
pは、0、1、または2である。
あるいは、(Rはオキソである。]
で表される化合物またはその塩を含有する、
TRPC3および/またはTRPC6関連疾患の予防および/または治療用の医薬組成物であって、
前記TRPC3および/またはTRPC6関連疾患は筋ジストロフィー、クローン病、ウィリアムズ症候群、肺高血圧症または慢性腎症であり、
Aが、下記A-1)、A-3)~A-8)、A-10)~A-16):
A-1)ハロゲン、
A-3)ニトロ、
A-4)シアノ、
A-5)カルボキシル、
A-6)置換されていてもよいアミノ、
A-7)置換されていてもよい環状アミノ、
A-8)置換されていてもよい直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキル、
A-10)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシカルボニル、
A-11)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニル、
A-12)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルあるいは直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル、
A-13)置換されていてもよい環状アミノカルボニル、
A-14)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルで置換されていてもよいスルファモイル、
A-15)置換されていてもよい環状アミノスルホニル、および
A-16)テトラゾリル
からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよいベンゼン環であり、
Bが、単環のアリールあるいは単環または二環のヘテロアリールであり、単環のアリールは下記B-1)~B-5)、B-7)~B-11)、およびB-13)~B-16)からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよく、単環または二環のヘテロアリールは下記B-1)~B-5)、B-7)~B-11)、およびB-13)~B-17)からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい、
医薬組成物:
B-1)ハロゲン、
B-2)水酸基、
B-3)ニトロ、
B-4)シアノ、
B-5)カルボキシル
B-7)置換されていてもよい環状アミノ、
B-8)置換されていてもよい直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキル、
B-9)置換されていてもよい直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシ、
B-10)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシカルボニル、
B-11)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニル、
B-13)置換されていてもよい環状アミノカルボニル、
B-14)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルで置換されていてもよいスルファモイル、
B-15)置換されていてもよい環状アミノスルホニル、
B-16)テトラゾリル、および
B-17)オキソ。
【請求項17】
一般式(1)において、ベンゾイソオキサゾールまたはベンゾイソチアゾール骨格の4位が置換された、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
一般式(1)において、
Bが、置換されたピリジルまたは置換されたフェニルであって、Yと結合しているピリジンまたはベンゼン環上の炭素原子に対して少なくともオルト位の炭素原子が置換されている、
請求項16または17のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項19】
一般式(1)において、
Aが、ハロゲン;直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシおよびハロゲンで置換されていてもよい直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキル、からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい、ベンゼン環であり、
Bが、ピリジルまたはフェニルであり、それぞれ下記B-1)、B-5)、B-8)、B-10)、およびB-13):
B-1)ハロゲン、
B-5)カルボキシル、
B-8)置換されていてもよい直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキル、
B-10)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシカルボニル、および
B-13)置換されていてもよい環状アミノカルボニル、
からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよく、
は、互いに独立してC1~C3アルキルであるか、あるいは2個のRが互いに結合して、メチレン基、ジメチレン基、またはトリメチレン基であり、
あるいは、(Rはオキソである、
請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項20】
一般式(2)
【化12】
[式中、
Aは、置換されていてもよいベンゼン環である。
Bは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである。
Yは、窒素原子または炭素原子である。
【化13】
は、互いに独立して、直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルであるか、2個のRが互いに結合して、スピロ環または架橋構造を形成していてもよい、あるいは2個のRが互いに結合して、Yを含む環を構成する炭素原子および窒素原子と共に飽和縮合複素環を形成していてもよい。
pは、0、1、または2である。
あるいは、(Rはオキソである。]
で表される化合物またはその塩を含有する、
TRPC3および/またはTRPC6関連疾患の予防および/または治療用の医薬組成物であって、
前記TRPC3および/またはTRPC6関連疾患は線維症、心肥大、筋ジストロフィー、潰瘍性大腸炎、クローン病、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、ウィリアムズ症候群、肺高血圧症または慢性腎症であり、
Aが、下記A-1)、A-3)~A-8)、A-10)~A-16):
A-1)ハロゲン、
A-3)ニトロ、
A-4)シアノ、
A-5)カルボキシル、
A-6)置換されていてもよいアミノ、
A-7)置換されていてもよい環状アミノ、
A-8)置換されていてもよい直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキル、
A-10)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシカルボニル、
A-11)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニル、
A-12)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルあるいは直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル、
A-13)置換されていてもよい環状アミノカルボニル、
A-14)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルで置換されていてもよいスルファモイル、
A-15)置換されていてもよい環状アミノスルホニル、および
A-16)テトラゾリル
からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよいベンゼン環であり、
Bが、単環のアリールあるいは単環または二環のヘテロアリールであり、単環のアリールは下記B-1)~B-16)からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよく、単環または二環のヘテロアリールは下記B-1)~B-17)からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい、
医薬組成物:
B-1)ハロゲン、
B-2)水酸基、
B-3)ニトロ、
B-4)シアノ、
B-5)カルボキシル
B-6)置換されていてもよいアミノ、
B-7)置換されていてもよい環状アミノ、
B-8)置換されていてもよい直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキル、
B-9)置換されていてもよい直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシ、
B-10)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシカルボニル、
B-11)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニル、
B-12)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルあるいは直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル、
B-13)置換されていてもよい環状アミノカルボニル、
B-14)直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルで置換されていてもよいスルファモイル、
B-15)置換されていてもよい環状アミノスルホニル、
B-16)テトラゾリル、および
B-17)オキソ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾイソオキサゾール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
臓器または組織の線維化は、臓器等が何らかの原因によって、侵襲または損傷を受けた時にその修復または防御機構として、細胞外基質が臓器内に過剰に蓄積することで生じる。細胞外基質とは、組織の細胞を取り巻く物質をいい、主なものとしては、コラーゲン、エラスチン等の線維性蛋白質、プロテオグリカン等の複合糖質、およびフィブロネクチン、ラミニン等の糖蛋白質等がある。侵襲または損傷による臓器等の障害の程度が軽微であれば、修復瘢痕も残らず、臓器等は正常に回復する。しかし、侵襲または損傷による臓器等の障害の程度が大きい場合または持続する場合、修復瘢痕の線維化が臓器等の本来の機能に障害を与える。さらに、それが原因となって新たな線維化を生ずるといった悪循環が形成される。究極的には臓器等の不全が生じ、最悪の場合、死亡にいたる。
【0003】
TRP(Transient receptor potential)遺伝子は、1989年にショウジョウバエの光受容体応答変異株の原因遺伝子として同定された。その後の研究により、TRP遺伝子にコードされるタンパク質と相同性をもつタンパク質は哺乳類でも多く見出され、基本的に細胞膜において陽イオンチャネルとして機能する。TRPチャネルは莫大な機能的多様性を持つスーパーファミリーを形成しており、TRPA、TRPV、TRPM、TRPCなどのグループに分類される。TRPC(TRP classicまたはTRP canonical)グループはさらにTRPC1~C7のサブグループに分類される。
【0004】
TRPC3欠損マウスは圧負荷誘発性の心臓線維化に対して抵抗性を示すこと、およびTRPC3チャネル阻害剤であるPyr3投与によってマウスの圧負荷誘発性心臓線維化を強力に抑制することが知られている(非特許文献1、2)。また、TRPC6欠損マウスはブレオマイシン誘発肺線維化および片側尿管閉塞による腎間質線維化に対して抵抗性を示し(非特許文献3、4)、TRPC3およびTRPC6チャネルの阻害剤であるPyr2(BTP2)の投与により、マウス片側尿管閉塞による腎間質線維化を抑制する。
【0005】
従って、TRPC3チャネルまたはTRPC6チャネルの活性を調節(以下、TRPC3調節、TRPC6調節と称することがある)または阻害(以下、TRPC3阻害、TRPC6阻害と称することがある)することは、肺、心臓、腎臓または肝臓等の臓器、組織の線維化抑制剤として有用であり(非特許文献1~5)、加えて、筋委縮性側索硬化症(ALS)、筋ジストロフィー、潰瘍性大腸炎、クローン病、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、ウィリアムズ症候群等の神経変性疾患、筋変性疾患、炎症性疾患等にも有効であると考えられている(非特許文献6~12)。
【0006】
TRPC3および/またはTRPC6阻害作用を示す化合物としては、Pyr2(BTP2)、Pyr3、Pyr4、GSK2332255B、GSK2833503A、SAR7334等が報告されている(非特許文献13~18)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Numaga-Tomita, T. et al. TRPC3-GEF-H1 axis mediates pressure overload-induced cardiac fibrosis. Sci. Rep. 6, 39383; doi: 10.1038/srep39383 (2016).
【文献】Kitajima, N. et al. TRPC3 positively regulates reactive oxygen species driving maladaptive cardiac remodeling. Sci. Rep. 6, 37001 (2016).
【文献】Y.-L. Wu et al., Inhibition of TRPC6 channels ameliorates renal fibrosis and contributes to renal protection by soluble klotho,, Kidney Int. 2017 Apr;91(4):830-841.
【文献】K. Hofmann et al., Classical transient receptor potential 6 (TRPC6) channels support myofibroblast differentiation and development of experimental pulmonary fibrosis, Biochimica et Biophysica Acta, 2017; 1863: 560-568.
【文献】Y. Saliba et al., Evidence of a Role for Fibroblast Transient Receptor Potential Canonical 3 Ca Channel in Renal Fibrosis, J Am Soc Nephrol., 2015; 26: 1855-1876.
【文献】K. Seoa et al., Combined TRPC3 and TRPC6 blockade by selective small-molecule or genetic deletion inhibits pathological cardiac hypertrophy, Proc. Nat. Acad. Sci., 2014; 111: 1551-1556.
【文献】T. Shimauchi et al., TRPC3-Nox2 complex mediates doxorubicin-induced myocardial atrophy. JCI Insight. 2017; 2(15). pii: 93358.
【文献】K. Smedlund et al., Early steatohepatitis in hyperlipidemic mice with endothelial-specific gain of TRPC3 function precedes changes in aortic atherosclerosis, Physiol Genomics., 2016; 48: 644-649.
【文献】L. H. Kurahara et al., Intestinal Fibroblast/Myofibroblast TRP Channels in Inflammatory Bowel Disease, "New Insights into Inflammatory Bowel Disease", book edited by Samuel Huber, 2016, InTech.
【文献】L. H. Kurahara et al., Significant contribution of TRPC6 channelmediated Ca2+ influx to the pathogenesis of Crohn’s disease fibrotic stenosis, J. Smooth Muscle Res., 2016; 52: 78-92.
【文献】E. Letavernier et al., Williams-Beuren syndrome hypercalcemia: is TRPC3 a novel mediator in calcium homeostasis?, Pediatrics. 2012; 129: e1626-30.
【文献】P. Douglas et al., Calcium influx is sufficient to induce muscular dystrophy through a TRPC-dependent mechanism, Proc. Nat. Acad. Sci., 2009; 106: 19023-19028.
【文献】S. Kiyonaka et al., Selective and direct inhibition of TRPC3 channels underlies biological activities of a pyrazole compound, Proc. Nat. Acad. Sci., 2009; 106: 5400-5405.
【文献】T. Maier et al., Discovery and pharmacological characterization of a novel potent inhibitor of diacylglycerol-sensitive TRPC cation channels, Br. J. Pharmacol., 2015; 172: 3650-3660.
【文献】D. G. Washburn et al., The discovery of potent blockers of the canonical transient receptor channels, TRPC3 and TRPC6, based on an anilino-thiazole pharmacophore, Bioorg. Med. Chem. Lett., 2013; 23: 4979-4984.
【文献】C. Qu et al., Pyrazolopyrimidines as Potent Stimulators for Transient Receptor Potential Canonical 3/6/7 Channels, J. Med. Chem., 2017; 60: 4680-4692.
【文献】G. Guedes et al., Intensified Microwave-Assisted N-Acylation Procedure - Synthesis and Activity Evaluation of TRPC3 Channel Agonists with a 1,3-Dihydro-2H-benzo[d]imidazol-2-one Core, Synlett. 2017; 28: 695-700.
【文献】S. Sawamura et al., Screening of Transient Receptor Potential Canonical Channel Activators Identifies Novel Neurotrophic Piperazine Compounds, Mol Pharmacol., 2016; 89: 348-363.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
TRPCチャネル、特にTRPC3チャネル、TRPC6チャネル、またはTRPC3チャネルとTRPC6チャネルの両方(本明細書において、これらを総称してTRPC3および/またはTRPC6チャネルと称することがある。)の活性を調節あるいは阻害する化合物等、およびその用途を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、後述の一般式(1)または(2)で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグ(以下、これらを総称して本発明化合物等と称することがある。)が上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成した。代表的な本発明は以下の通りである。
【0010】
項1.
一般式(1)
【0011】
【化1】
【0012】
[式中、
Aは、置換されていてもよいベンゼン環である。
Bは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである。
Xは、酸素原子または硫黄原子である。
Yは、窒素原子または炭素原子である。
【化2】
は、互いに独立して低級アルキルであるか、2個のRが互いに結合して、スピロ環または架橋構造を形成していてもよい、あるいは2個のRが互いに結合して、Yを含む環を構成する炭素原子および窒素原子と共に飽和縮合複素環を形成していてもよい。
pは、0、1、または2である。
あるいは、(Rはオキソである。]
で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグ。
【0013】
項2.
一般式(1)において、Bが、置換されていてもよい単環のアリールあるいは置換されていてもよい単環または二環の含窒素ヘテロアリールである、項1に記載の化合物、その塩、またはそのプロドラッグ。
【0014】
項3.
一般式(1)において、Aが、下記A-1)~A-16):
A-1)ハロゲン、
A-2)水酸基、
A-3)ニトロ、
A-4)シアノ、
A-5)カルボキシル、
A-6)置換されていてもよいアミノ、
A-7)置換されていてもよい環状アミノ、
A-8)置換されていてもよい低級アルキル、
A-9)置換されていてもよい低級アルコキシ、
A-10)低級アルコキシカルボニル、
A-11)低級アルキルスルホニル、
A-12)低級アルキルまたは低級アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル、
A-13)置換されていてもよい環状アミノカルボニル、
A-14)低級アルキルで置換されていてもよいスルファモイル、
A-15)置換されていてもよい環状アミノスルホニル、および
A-16)テトラゾリル
からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよいベンゼン環である、項1または2に記載の化合物、その塩、またはそのプロドラッグ。
【0015】
項4.
一般式(1)において、Bが、単環のアリールあるいは単環または二環のヘテロアリールであり、単環のアリールは下記B-1)~B-16)からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよく、単環または二環のヘテロアリールは下記B-1)~B-17)からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい、項1~3のいずれかに記載の化合物、その塩、またはそのプロドラッグ:
B-1)ハロゲン、
B-2)水酸基、
B-3)ニトロ、
B-4)シアノ、
B-5)カルボキシル
B-6)置換されていてもよいアミノ、
B-7)置換されていてもよい環状アミノ、
B-8)置換されていてもよい低級アルキル、
B-9)置換されていてもよい低級アルコキシ、
B-10)低級アルコキシカルボニル、
B-11)低級アルキルスルホニル、
B-12)低級アルキルまたは低級アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル、
B-13)置換されていてもよい環状アミノカルボニル、
B-14)低級アルキルで置換されていてもよいスルファモイル、
B-15)置換されていてもよい環状アミノスルホニル、
B-16)テトラゾリル、および
B-17)オキソ。
【0016】
項5.
一般式(1)において、ベンゾイソオキサゾールまたはベンゾイソチアゾール骨格の4位が置換された、項1~4のいずれかに記載の化合物、その塩、またはそのプロドラッグ。
【0017】
項6.
一般式(1)において、
Bが、置換されたピリジルまたは置換されたフェニルであって、Yと結合しているピリジンまたはベンゼン環上の炭素原子に対して少なくともオルト位の炭素原子が置換されている、
項1~3のいずれかに記載の化合物、その塩、またはそのプロドラッグ。
【0018】
項7.
一般式(1)において、
Aが、ハロゲン、低級アルコキシ、およびハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル、からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい、ベンゼン環であり、
Bが、ピリジルまたはフェニルであり、それぞれ下記B-1)、B-5)、B-8)、B-10)、B-12)、およびB-13):
B-1)ハロゲン、
B-5)カルボキシル、
B-8)置換されていてもよい低級アルキル、
B-10)低級アルコキシカルボニル、
B-12)低級アルキルまたは低級アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル、および
B-13)置換されていてもよい環状アミノカルボニル、
からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよく、
は、互いに独立してC1~C3アルキルであるか、あるいは2個のRが互いに結合して、メチレン基、ジメチレン基、またはトリメチレン基であり、
あるいは、(Rはオキソである、
項1~4のいずれかに記載の化合物、その塩、またはそのプロドラッグ。
【0019】
項8.
一般式(1A)
【0020】
【化3】
【0021】
[式中、
Zは、窒素原子またはCHである。
Yは、窒素原子または炭素原子である。
【化4】
11は、互いに独立して、メチルまたはエチルであるか、あるいは2個のR11が互いに結合して、メチレン、ジメチレン、またはトリメチレンによる架橋構造を形成していてもよい。
pは、0、1、または2である。
あるいは、(R11はオキソである。
21、R22、およびR23は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン、またはトリフルオロメチルである。
31、R32、およびR33は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン、ハロゲンで置換された低級アルキル、メチル、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、モノメチルアミノカルボニル、またはジメチルアミノカルボニルである。]
で表される化合物である、
項1~4および7のいずれかに記載の化合物、その塩、またはそのプロドラッグ。
【0022】
項9.
一般式(1A)において、
21が、塩素原子またはトリフルオロメチルであり、
22およびR23が、水素原子であり、
31が、塩素原子であり、
32が、水素原子であり、
33が、水素原子、カルボキシル、または低級アルコキシカルボニルである、
項8に記載の化合物、その塩、またはそのプロドラッグ。
【0023】
項10.
化合物が、化合物011、化合物021、化合物031、化合物041、化合物061、化合物071、化合物081、化合物091、化合物101、化合物111、化合物121、化合物131、化合物141、化合物151、化合物161、化合物171、化合物191、化合物221、化合物281、化合物311、化合物321、化合物331、化合物341、化合物351、化合物361、化合物371、化合物381、化合物391、または化合物401である、項1~4のいずれかに記載の化合物、その塩、またはそのプロドラッグ。
【0024】
項11.
一般式(2)
【0025】
【化5】
【0026】
[式中、
Aは、置換されていてもよいベンゼン環である。
Bは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである。
Yは、窒素原子または炭素原子である。
【化6】
は、互いに独立して低級アルキルであるか、2個のRが互いに結合して、スピロ環または架橋構造を形成していてもよい、あるいは2個のRが互いに結合して、Yを含む環を構成する炭素原子および窒素原子と共に飽和縮合複素環を形成していてもよい。
pは、0、1、または2である。
あるいは、(Rはオキソである。]
で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグ。
【0027】
項12.
項1~11のいずれかに記載の化合物、その塩、またはそのプロドラッグを含有する医薬組成物。
【0028】
項13.
TRPC3および/またはTRPC6関連疾患の予防および/または治療剤である項12に記載の医薬組成物。
【0029】
項14.
TRPC3および/またはTRPC6関連疾患が、線維症、心肥大、筋委縮性側索硬化症(ALS)、筋ジストロフィー、潰瘍性大腸炎、クローン病、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、ウィリアムズ症候群、慢性腎症、またはアルツハイマー病である項13に記載の医薬組成物。
【0030】
項15.
項1~11のいずれかに記載の化合物、その塩、またはそのプロドラッグを含有するTRPC3および/またはTRPC6調節または阻害剤。
【発明の効果】
【0031】
本発明で開示される化合物等は、TRPCチャネル、例えばTRPC3および/またはTRPC6チャネル、好ましくはTRPC6チャネルの活性を調節または阻害する活性を有し、そのため、TRPC関連疾患、例えばTRPC3チャネルの活性に起因する疾患、TRPC6チャネルの活性に起因する疾患、またはTRPC3チャネルの活性とTRPC6チャネルの活性の両方に起因する疾患(本明細書において、これらを総称してTRPC3および/またはTRPC6関連疾患と称することがある。)、特に線維症の予防および/または治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は試験例1において得られた、TRPC6発現細胞内におけるカルシウムイオン濃度変化の測定結果を示すグラフである。横軸は時間(秒)、縦軸は細胞内カルシウムイオン濃度([Ca2+]i(nM))である。
図2図2は試験例1において得られた、TRPC3発現細胞内におけるカルシウムイオン濃度変化の測定結果を示すグラフである。横軸は時間(秒)、縦軸は細胞内カルシウムイオン濃度([Ca2+]i(nM))である。
図3図3は試験例2において得られた、TRPC6発現細胞内におけるカルシウムイオン増加量を示すグラフである。縦軸の単位は「%」である。
図4図4は試験例3において得られた、TRPC6発現細胞内におけるカルシウムイオン増加量を示すグラフである。縦軸の単位は「%」である。
図5図5は試験例4において得られた、TRPC6発現細胞の電気生理的評価を示すグラフである。本図中、左側のグラフの縦軸は電流(nA)であり横軸は時間(秒)である。また、右側のグラフ中のa、bは、各々、左側のグラフ中のa、bの時点の電流-電圧特性カーブを示す。
図6図6は試験例5のウエスタンブロットの結果を表す写真である。
図7図7は試験例6において皮膚線維芽細胞を用いて得られた免疫蛍光染色法によるα-SMA発現を表すグラフである。グラフの縦軸は蛍光強度(/ピクセル)である。
図8図8は試験例6において心線維芽細胞を用いて得られた免疫蛍光染色法によるα-SMA発現を表すグラフである。グラフの縦軸は蛍光強度(/ピクセル)である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の一実施形態は、下記一般式(1)で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグである。
【0034】
一般式(1)
【0035】
【化7】
【0036】
[式中、
Aは、置換されていてもよいベンゼン環である。
Bは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである。
Xは、酸素原子または硫黄原子である。
Yは、窒素原子または炭素原子である。
【化8】
は、互いに独立して低級アルキルであるか、2個のRが互いに結合して、スピロ環または架橋構造を形成していてもよい、あるいは2個のRが互いに結合して、Yを含む環を構成する炭素原子および窒素原子と共に飽和縮合複素環を形成していてもよい。
pは、0、1、または2である。
あるいは、
(Rはオキソである。]
【0037】
本発明において、「置換されていてもよいベンゼン環」の置換基としては、例えばハロゲン;水酸基;ニトロ;シアノ;カルボキシル;置換されていてもよいアミノ;置換されていてもよい環状アミノ;置換されていてもよい低級アルキル;置換されていてもよい低級アルコキシ;低級アルコキシカルボニル;低級アルキルスルホニル;低級アルキルまたは低級アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル;置換されていてもよい環状アミノカルボニル;低級アルキルで置換されていてもよいスルファモイル;置換されていてもよい環状アミノスルホニル;テトラゾリル等が挙げられる。置換基は、1種単独でも2種以上でもよい。
【0038】
本発明において、「アリール」としては、例えば、単環または二環のアリールが挙げられ、具体的には、フェニル、ナフチル等が挙げられる。
【0039】
本発明において、「置換されていてもよいアリール」におけるアリールは上記で定義したとおりである。置換されていてもよいアリールの置換基としては、例えばハロゲン;水酸基;ニトロ;シアノ;カルボキシル;置換されていてもよいアミノ;置換されていてもよい環状アミノ;置換されていてもよい低級アルキル;置換されていてもよい低級アルコキシ;低級アルコキシカルボニル;低級アルキルスルホニル;低級アルキルまたは低級アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル;置換されていてもよい環状アミノカルボニル;低級アルキルで置換されていてもよいスルファモイル;置換されていてもよい環状アミノスルホニル;テトラゾリル;オキソ等が挙げられる。置換基は1種単独でも2種以上でもよい。
【0040】
本発明において、「オキソ」は「=O」で表される基である。
【0041】
本発明において、「ヘテロアリール」としては、例えば、単環または二環の含窒素ヘテロアリールが挙げられ、具体的には、1個以上(例えば1~3個、1または2個、1個)の窒素原子を環上に含み、さらに他のヘテロ原子として硫黄原子または酸素原子を1個以上(例えば1~3個、1または2個、1個)含んでいてもよい、単環または二環の含窒素ヘテロアリールが挙げられる。具体的なヘテロアリールとしては、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フラザニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、プリニル、フタラジニル、プテリジル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、イソオキサゾロ[4,5-d]ピリダジル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル等がげられる。好ましくは、単環の含窒素ヘテロアリールまたはベンゾイミダゾリルである。
【0042】
本発明において、「置換されていてもよいヘテロアリール」におけるヘテロアリールは上記で定義したとおりである。置換されていてもよいヘテロアリールの置換基としては、例えばハロゲン;水酸基;ニトロ;シアノ;カルボキシル;置換されていてもよいアミノ;置換されていてもよい環状アミノ;置換されていてもよい低級アルキル;置換されていてもよい低級アルコキシ;低級アルコキシカルボニル;低級アルキルスルホニル;低級アルキルまたは低級アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル;置換されていてもよい環状アミノカルボニル;低級アルキルで置換されていてもよいスルファモイル;置換されていてもよい環状アミノスルホニル;テトラゾリル;オキソ等が挙げられる。置換基は1種単独でも2種以上でもよい。
【0043】
本発明において、「低級アルキル」としては、例えば、直鎖状、分枝状、または環状構造を含む、C1~C8アルキルが挙げられ、好ましくはC1~C6アルキル、より好ましくはC1~C4アルキル、特に好ましくはC1~C3アルキルである。具体的には、直鎖状または分枝状の低級アルキルとしては、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル等が挙げられ、環状構造を含む低級アルキルとしては、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロブチルメチル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル等が挙げられる。好ましくは、メチル、エチル、2-プロピル、t-ブチル、シクロプロピル等が挙げられる。
【0044】
本発明において、「ハロゲン」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、好ましくはフッ素原子、塩素原子が挙げられる。
【0045】
本発明において、「置換されていてもよいアミノ」は置換されていてもよい非環状アミノをいい、その置換基としては、低級アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル等)、C1~C8アシル(例えばアセチル、プロピオニル等)、アリール(例えば、フェニル等)、またはヘテロアリールが挙げられる。置換基は1種単独でも2種以上でもよい。好ましい置換されていてもよいアミノとしては、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、フェニルアミノ等が挙げられる。
【0046】
本発明において、「環状アミノ」は、例えば、環構成原子として窒素原子を有し、さらに酸素原子を1個以上(例えば1~3個、1または2個、1個)含んでいてもよい5~7員の環状アミノであり、例えば、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ等が挙げられ、好ましくは、ピロリジノ、モルホリノ等が挙げられる。
【0047】
本発明において、「置換されていてもよい環状アミノ」における環状アミノは、上記で定義したとおりである。環状アミノの置換基としては、例えば、低級アルキル、低級アルコキシ、アミノ、水酸基、ニトロ、シアノ、カルボキシル、オキソ等が挙げられる。環状アミノは上記置換基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい。置換基の数としては、例えば0、1個、2個、3個があげられ、好ましくは0、1個、2個である。置換されていてもよい環状アミノとしては、具体的には、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、4-メチルピペリジノ、モルホリノ、2-ピロリドニル等が挙げられ、好ましくは、ピロリジノ、モルホリノ等が挙げられる。
【0048】
本発明において、「置換されていてもよい低級アルキル」における低級アルキルは上記で定義したとおりである。低級アルキルの置換基としては、例えば、水酸基;アミノ;C1~C8アルキルアミノ(例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、t-ブチルアミノ等);C1~C8アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、1-プロピルオキシ、2-プロピルオキシ、t-ブチルオキシ等);ハロゲン(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等);ハロC1~C8アルコキシ(例えばトリフルオロメトキシ等);脂肪族複素環基(例えばモルホリノ、ピペリジニル、ピロリジニル、4-メチル-1-ピペラジノ等);アリール(例えばフェニル、1-ナフチル等);ヘテロアリール(例えばピリジル、チエニル、フラニル等);カルボキシル;C1~C8アルコキシカルボニル(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、1-プロポキシカルボニル、2-プロポキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル等);低級アルキルで置換されていてもよいカルバモイル(例えばカルバモイル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル等);環状アミノカルボニル(例えばピロリジノカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル等)等が挙げられる。好ましい置換基としてはメチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メトキシ、エトキシ、2-プロピルオキシ、t-ブトキシカルボニル、水酸基、フッ素原子、塩素原子、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、モルホリノカルボニル、フェニル、ピリジル等が挙げられる。置換されていてもよい低級アルキルは、上記置換基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよく、置換基の数としては、例えば0、1個、2個、3個が挙げられ、好ましくは0、1個、2個である。
【0049】
本発明において、「ハロゲンで置換された低級アルキル」はアルキルの水素が全てハロゲンで置換されたものをいう。ハロゲンで置換された低級アルキルにおけるハロゲンおよび低級アルキルは上記で定義したとおりである。アルキルを置換するハロゲンは同一であることが好ましい。ハロゲンで置換された低級アルキルとしては、トリクロロメチルまたはトリフルオロメチルが好ましく、トリフルオロメチルが好ましい。
【0050】
本発明において、「低級アルコキシ」としては、例えば、直鎖状、分枝状、または環状構造を含む、C1~C8アルコキシが挙げられ、好ましくはC1~C6アルコキシ、より好ましくはC1~C4アルコキシ、特に好ましくはC1~C3アルコキシである。具体的には、直鎖状または分枝状のアルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、1-プロポキシ、2-プロポキシ、1-ブトキシ 、2-ブトキシ、イソブトキシ、t-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、3-メチルペンチルオキシ等が挙げられる。環状構造を含むアルコキシとしては、シクロプロポキシ、シクロプロピルメトキシ、シクロブチロキシ、シクロブチルメトキシ、シクロペンチロキシ、シクロペンチルメトキシ、シクロヘキシロキシ、シクロヘキシルメトキシ、シクロヘキシルエトキシ等が挙げられる。好ましくは、メトキシ、エトキシ、2-プロポキシ、t-ブトキシ、シクロプロポキシ等が挙げられる。
【0051】
本発明において、「置換されていてもよい低級アルコキシ」における低級アルコキシは上記で定義したとおりである。低級アルコキシの置換基としては、例えば、水酸基;アミノ;C1~C8アルキルアミノ(例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、t-ブチルアミノ等);C1~C8アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、1-プロピルオキシ、2-プロピルオキシ、t-ブトキシ等);ハロゲン(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等);ハロC1~C8アルコキシ(例えばトリフルオロメトキシ等);脂肪族複素環基(例えばモルホリノ、ピペリジニル、ピロリジニル、4-メチル-1-ピペラジノ等);アリール(例えばフェニル、1-ナフチル等);ヘテロアリール(例えばピリジル、チエニル、フラニル等);カルボキシル;C1~C8アルコキシカルボニル(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、1-プロピルオキシカルボニル、2-プロピルオキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル等);低級アルキルで置換されていてもよいカルバモイル(例えばカルバモイル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル等);環状アミノカルボニル(例えばピロリジノカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル等)等が挙げられる。好ましい置換基としては、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メトキシ、エトキシ、2-プロピルオキシ、t-ブトキシカルボニル、水酸基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロ、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ、カルボキシル、メトキシカルボニル、モルホリノカルボニル、フェニル、ピリジル等が挙げられる。置換されていてもよい低級アルコキシは、上記置換基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよく、置換基の数としては、例えば0、1個、2個、3個があげられ、好ましくは0、1個、2個である。
【0052】
本発明において、「低級アルコキシカルボニル」における低級アルコキシは上記で定義したとおりである。低級アルコキシカルボニルはカルボニルに上記の低級アルコキシが結合した基である。低級アルコキシカルボニルとしては、例えば、直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルコキシカルボニルが挙げられる。具体的には、直鎖状または分枝状のアルコキシカルボニルとしては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、1-プロポキシカルボニル、2-プロポキシカルボニル、1-ブトキシカルボニル、2-ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル等が挙げられる。環状構造を含むC1~C8アルコキシカルボニルとしては、シクロプロポキシカルボニル、シクロプロピルメトキシカルボニル、シクロブチロキシカルボニル、シクロブチルメトキシカルボニル、シクロペンチロキシカルボニル、シクロペンチルメトキシカルボニル、シクロヘキシロキシカルボニル、シクロヘキシルメトキシカルボニル、シクロヘキシルエトキシカルボニル等が挙げられる。好ましい低級アルコキシカルボニルとしては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2-プロポキシカルボニル、シクロプロポキシカルボニル等が挙げられる。
【0053】
本発明において、「低級アルキルスルホニル」における低級アルキルは上記で定義したとおりである。低級アルキルスルホニルはスルホニルに上記の低級アルキルが結合した基である。低級アルキルスルホニルとしては、例えば、直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニル等が挙げられ、具体的には、直鎖状または分枝状のアルキルスルホニルとしては、メタンスルホニル、エタンスルホニル、1-プロピルスルホニル、2-プロピルスルホニル、1-ブチルスルホニル、2-ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、t-ブチルスルホニル等が挙げられる。環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニルとしては、シクロプロピルスルホニル、シクロプロピルメチルスルホニル、シクロブチルスルホニル、シクロブチルメチルスルホニル、シクロペンチルスルホニル、シクロペンチルメチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、シクロヘキシルメチルスルホニル、シクロヘキシルエチルスルホニル等が挙げられる。好ましくは、メタンスルホニル、エタンスルホニル、2-プロパンスルホニル、シクロプロパンスルホニル等が挙げられる。
【0054】
本発明において、「低級アルキルまたは低級アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル」において、低級アルキルおよび低級アルキルスルホニルは上記で定義したとおりである。低級アルキルまたは低級アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイルは、「低級アルキルで置換されていてもよいカルバモイル」と「低級アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル」を含む。
【0055】
「低級アルキルで置換されていてもよいカルバモイル」は、カルバモイルに上記の低級アルキルが1または2個結合してもよい基である。低級アルキルが2個結合する場合、当該低級アルキルは同一であっても異なっていてもよい。低級アルキルで置換されていてもよいカルバモイルとしては、例えばカルバモイル、あるいは直鎖状、分枝状、または環状構造を含む、C1~C8アルキルで置換されたアミノカルボニル等が挙げられる。低級アルキルで置換されていてもよいカルバモイルとしては、具体的には、カルバモイル、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、2-プロピルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、エチルメチルアミノカルボニル、メチルプロピルアミノカルボニル、ジシクロヘキシルアミノカルボニル等が挙げられる。
【0056】
「低級アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル」は、カルバモイルに上記の低級アルキルスルホニルが1または2個結合してもよい基である。低級アルキルスルホニルが2個結合する場合、当該低級アルキルスルホニルは同一であっても異なっていてもよい。低級アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイルとしては、例えば、カルバモイル、あるいは直鎖状、分枝状、または環状構造を含む、C1~C8アルキルスルホニルで置換されたアミノカルボニル等が挙げられる。直鎖状または分枝状のC1~C8アルキルスルホニルアミノカルボニルとしては、例えば、メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニル、1-プロピルスルホニルアミノカルボニル、2-プロピルスルホニルアミノカルボニル、1-ブチルスルホニルアミノカルボニル、2-ブチルスルホニルアミノカルボニル、イソブチルスルホニルアミノカルボニル、t-ブチルスルホニルアミノカルボニル等が挙げられる。環状構造を含むC1~C8アルキルスルホニルアミノカルボニルとしては、例えば、シクロプロピルスルホニルアミノカルボニル、シクロプロピルメチルスルホニルアミノカルボニル、シクロブチルスルホニルアミノカルボニル、シクロブチルメチルスルホニルアミノカルボニル、シクロペンチルスルホニルアミノカルボニル、シクロペンチルメチルスルホニルアミノカルボニル、シクロヘキシルスルホニルアミノカルボニル、シクロヘキシルメチルスルホニルアミノカルボニル、シクロヘキシルエチルスルホニルアミノカルボニル等が挙げられる。好ましい低級アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイルとしては、カルバモイル、メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニル、2-プロピルスルホニルアミノカルボニル、シクロプロピルスルホニルアミノカルボニル等が挙げられる。
【0057】
本発明において、「置換されていてもよい環状アミノカルボニル」における置換されていてもよい環状アミノは上記で定義したとおりである。置換されていてもよい環状アミノカルボニルはカルボニルに上記の置換されていてもよい環状アミノが結合した基である。置換されていてもよい環状アミノカルボニルとしては、具体的には、ピロリジノカルボニル、ピペリジノカルボニル、ピペラジノカルボニル、4-メチルピペリジノ、モルホリノカルボニル、2-ピロリドニルカルボニル等が挙げられ、好ましくは、ピロリジノカルボニル、モルホリノカルボニル等が挙げられる。
【0058】
本発明において、「低級アルキルで置換されていてもよいスルファモイル」における低級アルキルは上記で定義したとおりである。低級アルキルで置換されていてもよいスルファモイルは、スルファモイルに上記の低級アルキルが1または2個結合してもよい基である。低級アルキルが2個結合する場合、当該低級アルキルは同一であっても異なっていてもよい。低級アルキルで置換されていてもよいスルファモイルとしては、例えば、スルファモイル;直鎖状、分枝状、または環状構造を含むC1~C8アルキルで置換されたアミノスルホニル等が挙げられ、具体的には、スルファモイル、メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、プロピルアミノスルホニル、2-プロピルアミノスルホニル、ジメチルアミノホニル、ジエチルアミノスルホニル、エチルメチルアミノスルホニル、メチルプロピルアミノスルホニル、ジシクロヘキシルアミノスルホニル等が挙げられる。
【0059】
本発明において、「置換されていてもよい環状アミノスルホニル」における置換されていてもよい環状アミノは上記で定義したとおりである。置換されていてもよい環状アミノスルホニルはスルホニルに上記の置換されていてもよい環状アミノが結合した基である。置換されていてもよい環状アミノスルホニルとしては、具体的には、ピロリジノスルホニル、ピペリジノスルホニル、ピペラジノスルホニル、4-メチルピペリジノスルホニル、モルホリノスルホニル、4-ピぺリドニルスルホニル等が挙げられ、好ましくは、ピロリジノスルホニル、モルホリノスルホニル等が挙げられる。
【0060】
【化9】
【0061】
一般式(1)で表される化合物において、Aは、置換されていてもよいベンゼン環である。Aの置換基には、例えば、下記のA-1)~A-16)からなる群より選択される少なくとも1種が含まれ、置換基が複数存在する場合は、互いに同一でも異なっていてもよい。
A-1)ハロゲン、
A-2)水酸基、
A-3)ニトロ、
A-4)シアノ、
A-5)カルボキシル、
A-6)置換されていてもよいアミノ、
A-7)置換されていてもよい環状アミノ、
A-8)置換されていてもよい低級アルキル、
A-9)置換されていてもよい低級アルコキシ、
A-10)低級アルコキシカルボニル、
A-11)低級アルキルスルホニル、
A-12)低級アルキルまたは低級アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル、
A-13)置換されていてもよい環状アミノカルボニル、
A-14)低級アルキルで置換されていてもよいスルファモイル、
A-15)置換されていてもよい環状アミノスルホニル、
A-16)テトラゾリル。
【0062】
Aにおける置換基の数は、例えば、0~5個、0~4個、0~3個、好ましくは0、1または2個、より好ましくは0または1個である。置換基が複数存在する場合は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0063】
Aの置換基の他の例としては、上記のA-1およびA-3~A-16からなる群より選択される少なくとも1種、上記のA-1およびA-3~A-16からなる群からメトキシを除いた群より選択される少なくとも1種等が挙げられる。
【0064】
好ましいAの置換基は、ハロゲン;低級アルコキシ;およびハロゲンで置換されていてもよい低級アルキルからなる群より選択される少なくとも1種であり、より好ましくはハロゲン、メトキシ、エトキシ、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、およびトリフルオロエチルからなる群より選択される少なくとも1種であり、特に好ましくは、塩素原子、フッ素原子、およびトリフルオロメチルからなる群より選択される少なくとも1種である。
【0065】
一般式(1)で表される化合物において、Aの置換基は、ベンゾイソオキサゾールまたはベンゾイソチアゾール骨格の4位、5位、6位、および7位のいずれの炭素原子に結合していてもよいが、好ましくは4位、5位および6位の炭素原子の少なくとも1個、より好ましくは4位および/または5位の炭素原子、特に好ましくは4位の炭素原子に結合する。なお、本発明において、ベンゾイソオキサゾールまたはベンゾイソチアゾール骨格を構成する原子の位置番号は次のとおりである。
【0066】
【化10】
【0067】
[式中、AおよびXは前記と同じ。]。
【0068】
一般式(1)で表される化合物において、特に好ましいAは、ベンゾイソオキサゾールまたはベンゾイソチアゾール骨格の4位の炭素原子に、ハロゲン、低級アルコキシ、またはハロゲンで置換されていてもよい低級アルキルが結合し、5、6、および7位の炭素原子が置換されていないベンゼン環である。
【0069】
一般式(1)で表される化合物において、Bは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである。置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールは上記の定義のとおりである。アリールとしては、例えばフェニルまたはナフチルが挙げられ、フェニルが好ましい。ヘテロアリールとしては、環構成原子として他のヘテロ原子を含まない単環の含窒素ヘテロアリール、またはベンゾイミダゾリルが好ましい。環構成原子として他のヘテロ原子を含まない単環の含窒素ヘテロアリールとしては、環構成ヘテロ原子として1個の窒素原子を含む5員または6員のヘテロアリールが好ましく、例えば、ピロリル、ピリジルが挙げられ、ピリジルが好ましく、2-ピリジルがより一層好ましい。ベンゾイミダゾリルとしては、ベンゾイミダゾール-3-イルが好ましい。
【0070】
Bが単環のアリールの場合、Bは、下記のB-1)~B-16)からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい。Bが単環または二環のヘテロアリールである場合、Bは下記のB-1)~B-17)からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい。
B-1)ハロゲン、
B-2)水酸基、
B-3)ニトロ、
B-4)シアノ、
B-5)カルボキシル
B-6)置換されていてもよいアミノ、
B-7)置換されていてもよい環状アミノ、
B-8)置換されていてもよい低級アルキル、
B-9)置換されていてもよい低級アルコキシ、
B-10)低級アルコキシカルボニル、
B-11)低級アルキルスルホニル、
B-12)低級アルキルまたは低級アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル、
B-13)置換されていてもよい環状アミノカルボニル、
B-14)低級アルキルで置換されていてもよいスルファモイル、
B-15)置換されていてもよい環状アミノスルホニル、
B-16)テトラゾリル、
B-17)オキソ。
【0071】
Bにおける置換基の数は、例えば、0もしくは少なくとも1個、0~5個、0~4個、好ましくは0~3個、より好ましくは0、1または2個である。置換基が複数存在する場合は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0072】
Bの置換基として好ましくは、ハロゲン;カルボキシル、置換されていてもよい低級アルキル;低級アルコキシカルボニル;低級アルキルまたは低級アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル;および置換されていてもよい環状アミノカルボニルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、具体的には、ハロゲン、カルボキシル、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、ヒドロキシメチル、カルボキシメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、エチルメチルアミノカルボニル、メタンスルホニルアミノカルボニル、ピロリジノカルボニル、およびモルホリノカルボニルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。なお、Bがアリールの場合の置換基は、当該群からオキソが除外された群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0073】
Bの置換基としてより好ましくは、ハロゲン;カルボキシル;低級アルキル;ハロゲンで置換された低級アルキル;低級アルコキシカルボニル;および低級アルキルで置換されていてもよいカルバモイルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、具体的には、ハロゲン、カルボキシル、メチル、エチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n-プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、モノメチルアミノカルボニル、およびジメチルアミノカルボニルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0074】
Bの置換基として特に好ましくは、塩素原子、フッ素原子、メチル、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メチルアミノカルボニル、およびジメチルアミノカルボニルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0075】
一般式(1)で表される化合物において、Yが窒素原子の場合、Bは置換されていてもよいフェニルまたは置換されていてもよいピリジルが好ましく、Yが炭素原子の場合、Bは置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいピリジル、または2-オキソベンゾイミダゾール-3-イルが好ましい。
【0076】
一般式(1)で表される化合物において、Bが置換されたピリジルまたは置換されたフェニルである場合、Yと結合しているピリジンまたはベンゼン環上の炭素原子に対してオルト位の炭素原子の1または2個、好ましくは1個が置換されていることが好ましい。当該オルト位の炭素原子に結合する置換基は上記されたBの置換基であればよいが、好ましくはハロゲンであり、より好ましくは塩素原子またはフッ素原子であり、より一層好ましくは塩素原子である。
【0077】
また、一般式(1)で表される化合物において、Bが置換されたピリジルまたは置換されたフェニルである場合、Yと結合しているピリジンまたはベンゼン環上の炭素原子に対してパラ位の炭素原子が置換されていないかまたはカルボキシルで置換されていることが好ましい。
【0078】
また、一般式(1)で表される化合物において、Bが置換されたピリジルまたは置換されたフェニルである場合、Yと結合しているピリジンまたはベンゼン環上の炭素原子に対してメタ位の炭素原子の全てが置換されていないことが好ましい。
【0079】
一般式(1)で表される化合物において、Bが置換されたピリジルまたは置換されたフェニルである場合、Yと結合しているピリジンまたはベンゼン環上の炭素原子に対してオルト位の炭素原子の1または2個、好ましくは1個が塩素原子またはフッ素原子で置換され、メタ位の炭素原子が置換されておらず、パラ位の炭素原子が置換されていないか、あるいはカルボキシル、メトキシカルボニル、またはエトキシカルボニルで置換されていることがより好ましい。
Yが窒素原子であり、かつBが置換された2-ピリジルである場合は、Yと結合しているピリジン環上の炭素原子に対してオルト位の1個の炭素原子が塩素原子またはフッ素原子で置換され、メタ位の炭素原子の全てが置換されておらず、パラ位の炭素原子が置換されていないかまたはカルボキシルで置換されていることが特に好ましい。
Yが窒素原子であり、かつBが置換されたフェニルである場合は、Yと結合しているベンゼン環上の炭素原子に対してオルト位の1個の炭素原子が塩素原子またはフッ素原子で置換され、該フェニルを構成する他の全ての炭素原子が置換されていないことが特に好ましい。
Yが炭素原子であり、かつBが置換された2-ピリジルである場合は、Yと結合しているピリジン環上の炭素原子に対してオルト位の1個の炭素原子が塩素原子またはフッ素原子で置換され、メタ位の炭素原子の全てが置換されておらず、パラ位の炭素原子が置換されていないかあるいはカルボキシル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルで置換されていることが特に好ましい。
Yが炭素原子であり、かつBが置換されたフェニルである場合は、Yと結合しているベンゼン環上の炭素原子に対してオルト位の1個の炭素原子が塩素原子またはフッ素原子で置換され、メタ位の炭素原子の全てが置換されておらず、パラ位の炭素原子が置換されていないかあるいはカルボキシル、メトキシカルボニルまたはfエトキシカルボニルで置換されていることが特に好ましい。
【0080】
一般式(1)で表される化合物において、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、好ましくは酸素原子である。
【0081】
一般式(1)で表される化合物において、Yは、窒素原子または炭素原子であり、好ましくは窒素原子である。
【0082】
一般式(1)で表される化合物において、Yは、窒素原子または炭素原子であり、好ましくは窒素原子である。
【0083】
【化11】
【0084】
一般式(1)で表される化合物において、Rは、互いに独立して低級アルキルであるか、2個のRが互いに結合して、スピロ環または架橋構造を形成していてもよい、あるいは2個のRが互いに結合して、Yを含む環を構成する炭素原子および窒素原子と共に飽和縮合複素環を形成していてもよい。
【0085】
が低級アルキルの場合、好ましいRとしては、例えば直鎖状または分枝状のC1~C3アルキルが挙げられ、より好ましくはメチル、エチル、より一層好ましくはメチルである。
【0086】
2個のRが互いに結合して、スピロ環または架橋構造を形成している場合において、スピロ環を形成するとは、一般式(1)中のYを含む環を構成する炭素原子のうちの1つに2個のRが結合し、当該R同士が互いに結合して当該炭素原子とともに環を形成する場合をいう。
【0087】
2個のRが互いに結合して、スピロ環または架橋構造を形成している場合において、架橋構造を形成するとは、一般式(1)中のYを含む環を構成する炭素原子のうちの2つに各々1個のRが結合し、当該R同士が互いに結合する場合をいう。
【0088】
2個のRが互いに結合して、スピロ環または架橋構造を形成している場合としては、例えば、2個のRが互いに結合して、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、またはテトラメチレンとなることで架橋構造を形成する場合、あるいはジメチレンまたはトリメチレンとなることでスピロ環を形成する場合が挙げられ、好ましくは2個のRが互いに結合して、メチレン、ジメチレン、またはトリメチレンとなることで架橋構造を形成する場合である。特に好ましくは下記構造式で示されるジメチレンにより形成される架橋構造である。
【0089】
【化12】
【0090】
2個のRが互いに結合して、Yを含む環を構成する炭素原子および窒素原子と共に飽和縮合複素環を形成するとは、一般式(1)中のYを含む環を構成する炭素原子のうちの隣接する2つに各々1個のRが結合し、当該R同士が互いに結合してYを含む環を構成する炭素原子および窒素原子と共に飽和縮合複素環を形成する場合をいう。ここでいう飽和縮合複素環は、Yを含む複素環(ピラジン環またはピペリジン環)とRを含む飽和炭素環との縮合2環を意味する。
【0091】
飽和縮合複素環としては、例えばピラジン環またはピペリジン環とシクロペンタン環又はシクロヘキサン環との縮合環が挙げられる。飽和縮合複素環の具体例としては、オクタヒドロシクロペンタピリジン、オクタヒドロシクロペンタピラジン、デカヒドロキノリン、デカヒドロキノキサリンなどが挙げられる。
【0092】
好ましいRは、C1~C3アルキルまたはジメチレンにより形成された架橋構造であり、より好ましいRは、メチル、エチルまたは上記構造式で示されるジメチレンにより形成される架橋構造である。
【0093】
一般式(1)で表される化合物において、pは、0、1、または2である。
【0094】
一般式(1)で表される化合物において、(R)pはオキソであってよい。
【0095】
一般式(1)で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグのうち、下記一般式(1A)で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグが好ましく、これらも本発明に包含される。
【0096】
【化13】
【0097】
[式中、
Zは、窒素原子またはCHである。
Yは、窒素原子または炭素原子である。
【化14】
11は、互いに独立して、メチルまたはエチルであるか、あるいは2個のR11が互いに結合して、メチレン、ジメチレン、またはトリメチレンによる架橋構造を形成していてもよい。
pは、0、1、または2である。
あるいは、(R11はオキソである。
21、R22、およびR23は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン、またはトリフルオロメチルである。
31、R32、およびR33は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン、ハロゲンで置換された低級アルキル、メチル、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、モノメチルアミノカルボニル、またはジメチルアミノカルボニルである。]。
【0098】
一般式(1A)で表される化合物において、Zは、窒素原子またはCHである。Zは、Yが窒素原子の場合、窒素原子が好ましい。
一般式(1A)で表される化合物において、Yは、窒素原子または炭素原子である。
【0099】
一般式(1A)で表される化合物において、R11は、互いに独立して、メチルまたはエチルであるか、あるいは2個のR11が互いに結合して、メチレン、ジメチレン、またはトリメチレンによる架橋構造を形成していてもよい。
【0100】
11として好ましくは、メチルまたはエチル、あるいはジメチレンまたはトリメチレンからなる架橋構造であり、より好ましくはメチル、またはジエチレンからなる架橋構造である。
【0101】
2個のR11が互いに結合して、メチレン、ジメチレン、またはトリメチレンによる架橋構造を形成している場合は、一般式(1A)中のYを含む環を構成する炭素原子のうちの2つに各々1個のR11が結合し、当該R11同士が互いに結合してメチレン、ジメチレン、またはトリメチレンをなし、ピペラジン環に架橋構造が形成される場合をいう。
【0102】
一般式(1A)中のYを含む環がR11で置換された場合に好ましいのは(R11がオキソであるか、あるいは下記構造式中で示されるものである。
【0103】
【化15】
【0104】
[式中、*は、イソベンゾオキサゾールの3位の炭素原子に結合する側を表し、R111は、C1~C3アルキルを表す。]。
111として好ましいのはメチルまたはエチル、より好ましいのはメチルである。
【0105】
一般式(1A)において(R11はオキソであってもよい。
【0106】
一般式(1A)で表される化合物において、R21、R22、およびR23は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン、またはトリフルオロメチルである。R21として好ましくは、ハロゲンまたはトリフルオロメチルであり、より好ましくは塩素原子またはトリフルオロメチルである。R22として好ましくは、水素原子、塩素原子またはトリフルオロメチルであり、より好ましくは水素原子である。R23として好ましくは、水素原子、塩素原子、またはトリフルオロメチルであり、より好ましくは水素原子である。R21がハロゲン(好ましくは塩素原子またはフッ素原子)またはトリフルオロメチルであり、かつR22およびR23がともに水素原子であることが特に好ましい。
【0107】
一般式(1A)で表される化合物において、R31、R32、およびR33は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン、ハロゲンで置換された低級アルキル、メチル、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、モノメチルアミノカルボニル、またはジメチルアミノカルボニルである。R31として好ましくは、水素原子、ハロゲン、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、またはメチルであり、より好ましくは塩素原子である。R32として好ましくは、水素原子、ハロゲンまたはメチルであり、より好ましくは水素原子である。R33として好ましくは、水素原子、ハロゲン、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、モノメチルアミノカルボニル、またはジメチルアミノカルボニルであり、より好ましくは水素原子、カルボキシル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル、特に好ましくは水素原子またはカルボキシルである。
【0108】
31、R32、およびR33の好ましい例は、R31がハロゲン(好ましくは塩素原子またはフッ素原子)であり、かつR32が水素原子であり、かつR33が水素原子またはカルボキシルである。R21がハロゲン(好ましくは塩素原子)の場合には、R31がハロゲン(好ましくは塩素原子またはフッ素原子)であり、かつR32が水素原子であり、かつR33が水素原子であることが好ましい。R21がトリハロメチル(好ましくはトリフルオロメチル)の場合には、R31がハロゲン(好ましくは塩素原子またはフッ素原子)であり、かつR32が水素原子であり、かつR33が水素原子、カルボキシル、メトキシカルボニル、またはエトキシカルボニルであることが好ましい。また、R21が塩素原子またはトリフルオロメチルであり、R22およびR23が水素原子であり、R31が塩素原子であり、R32が水素原子であり、R33が水素原子またはカルボキシルであることが好ましい。
【0109】
本発明の一般式(1)で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグの具体的な例には、例えば、化合物011、化合物021、化合物031、化合物041、化合物051、化合物061、化合物071、化合物081、化合物091、化合物101、化合物111、化合物121、化合物131、化合物141、化合物151、化合物161、化合物171、化合物181、化合物191、化合物201、化合物211、化合物221、化合物231、化合物241、化合物251、化合物261、化合物271、化合物281、化合物291、化合物301、化合物311、化合物321、化合物331、化合物341、化合物351、化合物361、化合物371、化合物381、化合物391、または化合物401が含まれ、好ましくは、下記の化合物、その塩、またはそのプロドラッグが含まれる。
【0110】
【化16】
【0111】
【化17】
【0112】
本発明の一般式(1)で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグとしてより好ましくは、化合物011、化合物021、化合物031、化合物041、化合物061、化合物071、化合物081、化合物091、化合物101、化合物111、化合物121、化合物131、化合物141、化合物151、化合物161、化合物171、化合物191、化合物221、化合物281、化合物311、化合物321、化合物331、化合物341、化合物351、化合物361、化合物371、化合物381、化合物391、または化合物401、その塩、あるいはそのプロドラッグであり、さらに好ましくは、化合物011、化合物021、化合物031、化合物041、化合物061、化合物071、化合物081、化合物091、化合物101、化合物111、化合物121、化合物131、化合物141、化合物151、化合物161、化合物171、化合物191、化合物321、化合物351、化合物361、化合物371、化合物381、または化合物401、その塩、あるいはそのプロドラッグであり、特に好ましくは、化合物011、化合物031、化合物041、化合物061、化合物071、または化合物191、化合物361、化合物371、化合物381、または化合物401、その塩、あるいはそのプロドラッグである。
【0113】
本発明は、さらに下記一般式(2)で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグを含む。該化合物、その塩、またはそのプロドラッグは、TRPCチャネル、例えばTRPC3および/またはTRPC6チャネル、好ましくはTRPC6チャネルの活性を調節または阻害する活性を有しうる。また、該化合物またはその塩は、一般式(1)で表される化合物の中間体化合物にもなりうる。
【0114】
【化18】
【0115】
【化19】
【0116】
【化20】
【0117】
また、一般式(2)において窒素原子と水酸基との間の結合が波線、即ち以下で表される線、で表されることにより、一般式(2)で表される化合物が、その部分構造である「>C=N-OH」に起因して存在する幾何異性体のE体、Z体、およびそれらの混合物のいずれでもよいことを示す。このことは、波線で表された、一般式(2)以外の化合物についても同様である。
【0118】
【化21】
【0119】
一般式(2)で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグのうち、下記一般式(2A)で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグが好ましく、これらも本発明に包含される。
【0120】
【化22】
【0121】
【化23】
【0122】
一般式(2)で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグのうち、下記一般式(2B)で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグが好ましく、これらも本発明に包含される。また、下記一般式(2B)で表される化合物またはその塩は、一般式(1)で表される化合物の製造における中間体化合物として好ましい。
【0123】
【化24】
【0124】
【化25】
は、ハロゲン、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキルスルホニル、あるいは低級アルキルまたはニトロで置換されていてもよいベンゼンスルホニルである。]。
【0125】
【化26】
は上記のとおりである。また、一般式(2B)で表される化合物またはその塩としては、その部分構造である「>C=N-OH」に起因して存在する幾何異性体のE体とZ体とが存在するが、一般式(2B)で表される化合物またはその塩を一般式(1)で表される化合物の製造における中間体化合物とする場合には該E体が好ましい。
【0126】
で示されるハロゲンとしては、例えば、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0127】
で示されるハロゲンで置換されていてもよい低級アルキルスルホニルにおける低級アルキルスルホニルは上記で定義したとおりである。また、低級アルキルスルホニルはスルホニルに低級アルキルが結合した基であり、低級アルキルはハロゲンで置換されていてもよい。ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキルスルホニルとしては、例えば、1~3個のハロゲンで置換されていてもよい直鎖状または分枝状のC1~C6アルキル(好ましくはC1~C4アルキル、より好ましくはC1~C3アルキル)スルホニルが挙げられ、具体的には、メタンスルホニル、エタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等を挙げることができる。
【0128】
で示される低級アルキルで置換されていてもよいベンゼンスルホニルとしては、例えば、1~3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の直鎖状または分枝状のC1~C6アルキル(好ましくはC1~C4アルキル、より好ましくはC1~C3アルキル)で置換されていてもよいベンゼンスルホニルが挙げられ、具体的には、p-トルエンスルホニル等を挙げることができる。
【0129】
で示されるニトロで置換されていてもよいベンゼンスルホニルとしては、例えば、1~3個(好ましくは1個)のニトロで置換されていてもよいベンゼンスルホニルが挙げられ、具体的には、o-ニトロベンゼンスルホニル、p-ニトロベンゼンスルホニル等を挙げることができる。
【0130】
好ましいGは、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、メタンスルホニル、エタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、p-トルエンスルホニル、またはp-ニトロベンゼンスルホニルである。より好ましいGは、塩素原子または臭素原子である。
【0131】
本発明の一般式(2)で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグには、例えば下記の化合物、その塩、またはそのプロドラッグが含まれる。
【0132】
【化27】
【0133】
本発明の一般式(2)で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグとして好ましくは、化合物062、化合物202、化合物362、または化合物372、その塩、あるいはそのプロドラッグであり、より好ましくは化合物202の(E)異性体、化合物362の(E)異性体、化合物362の(Z)異性体、または化合物372の(Z)異性体、その塩、またはそのプロドラッグである。
【0134】
本発明化合物等は、例えば以下に詳述する製造法1~3、これに準ずる方法、公知の方法等を適宜変更、組み合わせること等によって製造することができる。原料化合物として用いられる化合物は、それぞれ塩として用いてもよい。なお、以下に示す方法は単なる例示であり、有機合成に習熟している者の知識に基づき、適宜、他の方法で製造することもできる。また、市販品でない、1,2-ベンゾイソチアゾールまたはその誘導体あるいは1,2-ベンゾイソオキサゾールまたはその誘導体を原料化合物として用いる場合は以下の刊行物に記載の方法を参考にして製造し、調達することができる。
Advances in heterocyclic chemistry, Heterocyclic Chemistry in the 21st Century: A Tribute to Alan Katritzky, Elsevier, Cambridge (2017)。R. A. Shastri, Review on Synthesis of 3-Substituted 1,2-Benzisoxazole Derivatives, Chem. Sci. Trans., 2016: 5; 8-20。
【0135】
製造における各反応において、必要に応じて、官能基を保護することができる。保護基並びにその保護および脱保護の技術は、公知の方法、例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”,3rd Ed.,John Wiley and Sons,inc.,New York(1999)に記載の方法を適宜適用できる。
【0136】
[製造法1]
一実施形態において、一般式(1)で表される化合物は、下記の反応工程式-1で示される合成スキームで製造することができる。すなわち、一般式(1)で表される化合物は、一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物から製造することができる。
【0137】
【化28】
【0138】
【化29】
は、ハロゲン、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキルスルホニル、あるいは低級アルキルまたはニトロで置換されていてもよいベンゼンスルホニルである。]。
【0139】
【化30】
【0140】
で示されるハロゲンとしては、例えば、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0141】
で示されるハロゲンで置換されていてもよい低級アルキルスルホニルにおける低級アルキルは上記で定義したとおりである。また、低級アルキルスルホニルはスルホニルに低級アルキルが結合した基であり、低級アルキルはハロゲンで置換されていてもよい。ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキルスルホニルとしては、例えば、1~3個のハロゲンで置換されていてもよい直鎖状または分枝状のC1~C6アルキル(好ましくはC1~C4アルキル、より好ましくはC1~C3アルキル)スルホニルが挙げられ、具体的には、メタンスルホニル、エタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等を挙げることができる。
【0142】
で示される低級アルキルで置換されていてもよいベンゼンスルホニルとしては、例えば、1~3個の直鎖状または分枝状のC1~C6アルキル(好ましくはC1~C4アルキル、より好ましくはC1~C3アルキル)で置換されていてもよいベンゼンスルホニルが挙げられ、具体的には、p-トルエンスルホニル等を挙げることができる。
【0143】
で示されるニトロで置換されていてもよいベンゼンスルホニルとしては、例えば、1~3個(好ましくは1個)のニトロで置換されていてもよいベンゼンスルホニルが挙げられ、具体的には、o-ニトロベンゼンスルホニル、p-ニトロベンゼンスルホニル等を挙げることができる。
【0144】
好ましいGは、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、メタンスルホニル、エタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、p-トルエンスルホニル、またはp-ニトロベンゼンスルホニルである。
【0145】
一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物との反応は、例えば不活性溶媒中、塩基の存在下または非存在下で行うことができる。必要に応じ、さらに活性化剤を反応系内に添加してもよい。一般式(3)で表される化合物および一般式(4)で表される化合物は公知の化合物であり、公知の方法で製造できる。
【0146】
不活性溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメトキシメタン等のエーテル系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、ジメチルスルホキシド、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル等の非プロトン溶媒、ピリジン等が挙げられる。これらの溶媒は、2種類以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0147】
塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属ヒドリド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム等の金属炭酸塩、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のアルキルアミン類、ナトリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド等の金属アルコキシドが挙げられる。
【0148】
塩基の使用量は、一般式(4)で表される化合物1モルに対して、通常1モル以上、好ましくは1~5モル、より好ましくは1~2モルである。
【0149】
一般式(3)で表される化合物の使用量は、一般式(4)で表される化合物1モルに対して、通常、0.2モル以上、好ましくは0.2~2モル、より好ましくは0.2~1.5モルである。
【0150】
反応温度は、通常-50℃~180℃、好ましくは-30℃~180℃、より好ましくは-10℃~180℃である。反応を促進するためにマイクロウェーブを用いてもよく、その場合の反応温度としては、例えば80℃~180℃、好ましくは100℃~180℃である。反応時間は、通常10分~48時間、好ましくは10分~24時間である。
【0151】
[製造法2]
一実施形態において、一般式(1B)で表される化合物は、下記の反応工程式-2で示される合成スキームで製造することができる。すなわち、一般式(1B)で表される化合物は、一般式(5)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物から製造することができる。
【0152】
【化31】
【0153】
[式中、A、B、X、R、およびpは前記に同じ。Gは、ハロゲン、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキルスルホニル、あるいは低級アルキルまたはニトロで置換されていてもよいベンゼンスルホニルである。]。
【0154】
反応工程式-2において、A、B、X、R、およびpは上記のとおりである。
【0155】
で示されるハロゲンとしては、例えば、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0156】
で示されるハロゲンで置換されていてもよい低級アルキルスルホニルにおける低級アルキルは上記で定義したとおりである。また、低級アルキルスルホニルはスルホニルに低級アルキルが結合した基であり、低級アルキルはハロゲンで置換されていてもよい。ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキルスルホニルとしては、例えば、1~3個のハロゲンで置換されていてもよい直鎖状または分枝状のC1~C6アルキル(好ましくはC1~C4アルキル、より好ましくはC1~C3アルキル)スルホニルが挙げられ、具体的には、メタンスルホニル、エタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等を挙げることができる。
【0157】
で示される低級アルキルで置換されていてもよいベンゼンスルホニルとしては、例えば、1~3個の直鎖状または分枝状のC1~C6アルキル(好ましくはC1~C4アルキル、より好ましくはC1~C3アルキル)で置換されていてもよいベンゼンスルホニルが挙げられ、具体的には、p-トルエンスルホニル等を挙げることができる。
【0158】
で示されるニトロで置換されていてもよいベンゼンスルホニルとしては、例えば、1~3個(好ましくは1個)のニトロで置換されていてもよいベンゼンスルホニルが挙げられ、具体的には、o-ニトロベンゼンスルホニル、p-ニトロベンゼンスルホニル等を挙げることができる。
【0159】
好ましいGは、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、メタンスルホニル、エタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、p-トルエンスルホニル、またはp-ニトロベンゼンスルホニルである。
【0160】
一般式(5)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物とをカップリングすることで一般式(1B)で表される化合物を得ることができる。一般式(5)で表される化合物および一般式(6)で表される化合物は公知の化合物であり、公知の方法で製造できる。
【0161】
この反応は、例えば不活性溶媒中、塩基の存在下で行うことができる。
【0162】
不活性溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメトキシメタン等のエーテル系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、ジメチルスルホキシド、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル等の非プロトン溶媒、ピリジン等が挙げられる。これらの溶媒は、2種類以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0163】
塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属ヒドリド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム等の金属炭酸塩、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のアルキルアミン類、ナトリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド等の金属アルコキシドが挙げられる。
【0164】
一般式(6)で表される化合物の使用量は、一般式(5)で表される化合物1モルに対して、通常、0.5モル以上、さらに1モル以上、好ましくは0.9~2モル、より好ましくは0.9~1.5モルである。
【0165】
塩基の使用量は、一般式(5)で表される化合物1モルに対して、通常1モル以上、好ましくは1~5モル、より好ましくは1~2モルである。
【0166】
反応温度は、通常30℃~溶媒の沸点より10℃高い温度であり、好ましくは80℃~溶媒の沸点より10℃高い温度が挙げられる。反応を促進するためにマイクロウェーブを用いてもよく、その場合の反応温度としては、例えば80℃~180℃、好ましくは100℃~180℃である。反応時間は、通常10分~48時間、好ましくは10分~24時間である。
【0167】
さらに、一般式(5)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物との反応は、Buchward反応を利用して行うこともでき、例えば、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、塩基の存在下、溶媒中で一般式(5)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物を反応させる。
【0168】
パラジウム触媒としては、例えばPd(OAc)2、PdCl2、アリルパラジウム(II)クロリド(ダイマー)、ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)ジクロリド、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド等の2価パラジウム触媒、Pd(dba)(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、パラジウム炭素(Pd/C)等の0価パラジウム触媒等が挙げられる。
【0169】
ホスフィン配位子としては、例えばBINAP((2,2‘-ビス(ジフェニルホスファニル)-1、1’-ビスナフタレン)、Xphos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルビフェニル)等の2座ホスフィン配位子が挙げられる。
【0170】
塩基としては、t-BuONa(tert-ブトキシナトリウム)等の強塩基が挙げられる。
【0171】
この反応において、一般式(6)で表される化合物の使用量は、一般式(5)で表される化合物1モルに対して、通常、0.5モル以上、さらに1モル以上、好ましくは0.9~2モル、より好ましくは1~1.5モルである。
【0172】
パラジウム触媒の使用量は、一般式(5)で表される化合物1モルに対して、通常、0.005~1モル、好ましくは0.01~0.2モルである。
【0173】
ホスフィン配位子の使用量は、パラジウム触媒1モルに対して、通常0.5~5モル、好ましくは1~2モルである。
【0174】
塩基の使用量は、一般式(5)で表される化合物1モルに対して、通常、0.5モル以上、さらに1モル以上、好ましくは1~2モルである。
【0175】
反応温度は、通常40℃~150℃、好ましくは80℃~110℃、反応時間は、通常1~24時間、好ましくは3~12時間である。
【0176】
[製造法3]
一実施形態において、一般式(1)または(2)で表される化合物は、下記の反応工程式-3で示される合成スキームで製造することができる。すなわち、一般式(1C)で表される化合物は、一般式(7)で表される化合物を一般式(8)で表される化合物へ変換し、一般式(4)で表される化合物と反応させて一般式(2B)で表されるオキシム化合物を製造し、これを閉環することで製造することができる。なお、当業者であれば、反応工程式-3で示される反応において一般式(7)または(8)で表される化合物に代えて、適切な対応する、置換されていてもよいベンゼン環Aを有する化合物を使用することにより、一般式(2)で表される化合物を製造できることを理解できる。また、一般式(7)で表される化合物は公知の化合物であり、公知の方法で製造できる。
【0177】
【化32】
【0178】
【化33】
は、ハロゲンである。]。
【0179】
【化34】
【0180】
で示されるハロゲンとしては、例えば、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0181】
工程1、すなわち一般式(7)で表される化合物を一般式(8)で表される化合物へ変換する工程は、例えば不活性溶媒中、一般式(7)で表される化合物にハロゲン化剤を反応させることにより可能である。
【0182】
この反応における不活性溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメトキシメタン等のエーテル系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、ジメチルスルホキシド、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル等の非プロトン溶媒、ピリジン等が挙げられる。これらの溶媒は、2種類以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0183】
ハロゲン化剤としては、例えば、N-ブロモスクシンイミド、N-クロロスクシンイミドなどの一般的なハロゲン化剤が挙げられる。
【0184】
ハロゲン化剤の使用量は、一般式(7)で表される化合物に対して、通常等モル~過剰モル、好ましくは1~5倍モル、より好ましくは1~2倍モルである。
【0185】
反応温度は、通常-30~150℃、好ましくは-10~100℃、より好ましくは-10~40℃である。反応時間は、通常10分~48時間、好ましくは10分~24時間、より好ましくは30分~18時間である。
【0186】
工程2、すなわち一般式(8)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物を反応させて一般式(2B)で表される化合物を合成する工程は、例えば不活性溶媒中、塩基の存在下で行うことができる。
【0187】
この反応における、不活性溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメトキシメタン等のエーテル系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、ジメチルスルホキシド、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル等の非プロトン溶媒、ピリジン等が挙げられる。これらの溶媒は、2種類以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0188】
塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属ヒドリド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム等の金属炭酸塩、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のアルキルアミン類、ナトリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド等の金属アルコキシドが挙げられる。
【0189】
一般式(8)で表される化合物の使用量は、一般式(4)で表される化合物1モルに対して、通常、0.5モル以上、0.8モル以上、好ましくは0.9~2モル、より好ましくは0.9~1.5モルである。
【0190】
塩基の使用量は、一般式(4)で表される化合物1モルに対して、通常1モル以上、好ましくは1~5倍モル、より好ましくは1~2倍モルである。
【0191】
反応温度は、通常-20℃~溶媒の沸点より10℃高い温度、好ましくは0℃~40℃℃である。反応時間は、通常10分~48時間、好ましくは10分~24時間、より好ましくは30分~18時間である。
【0192】
工程3、すなわち一般式(2B)で表される化合物を閉環させて一般式(1)で表される化合物へと変換する工程は、例えば不活性溶媒中、塩基の存在下で行うことができる。
【0193】
一般式(2B)で表される化合物には幾何異性体である(E)体と(Z)体とが存在するが、閉環反応に際しての加熱が少なくすむことから、(E)体が好ましい。
【0194】
この反応における、不活性溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメトキシメタン等のエーテル系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、ジメチルスルホキシド、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル等の非プロトン溶媒、ピリジン等が挙げられる。これらの溶媒は、2種類以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0195】
塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属ヒドリド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム等の金属炭酸塩、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のアルキルアミン類、ナトリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド等の金属アルコキシドが挙げられる。
【0196】
塩基の使用量は、一般式(2B)で表される化合物1モルに対して、通常1モル以上、好ましくは1~5倍モル、より好ましくは1~2倍モルである。
【0197】
反応温度は、通常50℃~溶媒の沸点より10℃高い温度、好ましくは80℃~溶媒の沸点より10℃高い温度である。反応を促進するためにマイクロウェーブを用いてもよく、その場合の反応温度としては、例えば80℃~180℃、好ましくは100℃~180℃である。反応時間は、通常10分~8時間、好ましくは10分~2時間である。
【0198】
本発明による一般式(1)または(2)で表される化合物、その中間体化合物およびその出発原料化合物は、上記の合成方法により製造することができ、また、本明細書の実施例に記載された合成方法に基づき本出願時に既知または公知の技術(例えば、B. R. Kiran et al., SYNTHESIS, EVALUATION OF ANALGESIC AND ANTI-INFLAMMATORY ACTIVITIES OF SUBSTITUTED 1,2-BENZOXAZOLONE AND 3-CHLORO-1,2-BENZOXAZOLE DERIVATIVES, International Journal of Pharmaceutical Sciences and Research, 2015; 6: 2918-2925.)を参酌して製造することもできる。
【0199】
上記反応式のそれぞれに示された出発原料化合物および中間体化合物は、反応に供する前に、必要に応じて、公知の方法を用いて官能基を適当な保護基で保護し、反応終了後、公知の方法で当該保護基を脱保護することができる。
【0200】
上記の反応式に従って得られる目的化合物のそれぞれを単離および精製することができる。例えば、反応混合物を冷却した後に、粗反応生成物を分離するために濾過、濃縮、抽出等の単離手順を行い、その後粗反応生成物を、カラムクロマトグラフィー、再結晶化等の一般的な精製手順に供することにより、反応混合物から単離および精製することができる。
【0201】
上記反応式のそれぞれに示された出発原料化合物および一般式(1)または(2)で表される化合物には、溶媒が付加した溶媒和物(例えば、水和物、エタノール和物等)の形態である化合物が含まれる。
【0202】
一般式(1)または(2)で表される化合物、上記各反応式において得られる中間体化合物、および出発原料化合物に、二重結合、環、縮合環における異性体(E、Z、シス、トランス体)、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β体、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、回転異性体、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は幾何異性体、立体異性体、光学異性体などの異性体が存在する場合には、全ての異性体が包含される。例えば、光学異性体は、公知の各種の分割法(例えば、結晶化による光学分割、クロマトグラフィーによる直接光学分割する方法等)を利用して分離することができる。
【0203】
一般式(1)または(2)で表される化合物の塩には薬学的に許容されるものがすべて含まれる。薬学的に許容される塩は、特に制限されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;亜鉛塩等の無機金属塩;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリヒドロキシメチルアミノメタン、アミノ酸等の有機塩基塩;塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、炭酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。これらの塩は常法に従って製造することができる。
【0204】
各種の異性体は公知の分離法により単離できる。例えば、ラセミ化合物は一般的な光学分割法(例えば、結晶化による光学分割、クロマトグラフィーによる直接光学分割する方法等)により、立体的に純粋な異性体に導くことができる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
【0205】
上記反応式のそれぞれに表される出発原料化合物、中間体化合物、および目的化合物を適切な塩形態で使用することができる。
【0206】
本発明化合物等では、1つまたは複数の原子を1つまたは複数の同位体原子で置換することができる。同位体原子の例としては重水素(2H)、三重水素(3H)、13C、14N、18O等が挙げられる。
【0207】
本発明には、一般式(1)または(2)で表される化合物、その塩、またはそのプロドラッグを含有する医薬組成物が含まれる。本発明の医薬組成物は、本発明の化合物、その塩、またはそのプロドラッグを通常の医薬組成物の形態に製剤したものであって、本発明の化合物、その塩、またはそのプロドラッグと薬学的に許容可能な担体とを用いて調製される。当該担体としては、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤あるいは賦形剤が挙げられる。
【0208】
本発明のプロドラッグは、生体内における反応(例えば酵素反応、胃酸による反応)によって本発明の化合物に変換される化合物をいう。例えば、本発明の化合物がカルボキシルを有する場合、該カルボキシルがエステルに変換された化合物である。該エステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、1-プロピルエステル、2-プロピルエステル、ピバロイルオキシメチルエステル、アセチルオキシメチルエステル、シクロヘキシルアセチルオキシメチルエステル、1-メチルシクロヘキシルカルボニルオキシメチルエステル、エチルオキシカルボニルオキシ-1-エチルエステル、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ-1-エチルエステルなどが挙げられる。
【0209】
本発明の医薬組成物としては、治療目的に応じて種々の形態の中から選択でき、その代表的なものとして錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)、軟膏剤、吸入剤等が挙げられる。
【0210】
錠剤の成形に使用する担体としては、公知のものを広く使用でき、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、セラック等の結合剤、アルギン酸ナトリウム、乾燥デンプン、寒天末、ラミナラン末、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が挙げられる。
【0211】
さらに、錠剤は、必要に応じて通常の錠皮を施した錠剤、例えば、糖衣剤、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
【0212】
丸剤の成形に使用する担体としては、公知のものを広く使用でき、例えば、ブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、寒天等の崩壊剤等が挙げられる。
【0213】
坐剤の成形に使用する担体としては、公知のものを広く使用でき、例えば、ポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等が挙げられる。
【0214】
注射剤として調製される場合は、液剤、乳剤および懸濁剤は殺菌され、かつ血液と等張であるのが好ましい。これらの液剤、乳剤および懸濁剤の調製の際に使用する希釈剤としては、公知のものを広く使用することができ、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等が挙げられる。なお、注射剤の場合、等張性の溶液を調製するのに十分な量の食塩、グリセリン、ブドウ糖等を医薬製剤中に含有させることができ、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を含有させることができ、更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有させることができる。
【0215】
軟膏剤は、ペースト、クリーム、またはゲルなどの形態があり、これらの形態に調製するに際しては、希釈剤として、例えば、白色ワセリン、パラフィン、グリセリン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト等を使用できる。
【0216】
吸入剤は、有効成分をエアゾールとして吸入させることにより、気管支または肺に適用することを目的とした製剤であり、粉末吸入剤、吸入液剤、吸入エアゾール剤等が含まれる。粉末吸入剤は、粉末状固体粒子のエアゾールとして吸入する製剤をいい、通常、有効成分を微細な粒子とし、必要に応じて乳糖等の添加剤と混和して均質とすることにより製造することができる。吸入液剤は、ネブライザ等により適用する液状の吸入剤をいい、通常、有効成分に溶剤および適切な等張化剤、pH調節剤等を加え、混和することにより製造できる。吸入エアゾール剤は、容器に充填した噴射剤と共に、一定量の有効成分を噴霧する定量噴霧式吸入剤である。吸入エアゾール剤は、通常、有効成分に溶剤および適切な分散剤、安定化剤等を加えて、溶液または懸濁液とし、液状の噴射剤と共に耐圧性の容器に充填し、定量バルブを装着することにより製造することができる。
【0217】
本発明の医薬組成物は、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品を含有してもよい。
【0218】
本発明の医薬組成物中に含有される本発明の化合物、その塩、またはそのプロドラッグの量は、特に限定されず広い範囲内から適宜選択することができるが、医薬組成物中に、通常、0.5~90重量%、1~85重量%、好ましくは1~80重量%である。
【0219】
本発明の医薬組成物の投与方法は特に制限されず、各種製剤形態、患者の年齢、性別、疾患の状態、その他の条件に応じた方法で投与される。例えば、錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤の場合には経口投与される。また、注射剤の場合には、単独であるいはブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内に投与したり、更には必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下、腹腔内等に投与することができる。坐剤の場合には、直腸内に投与される。吸入剤の場合には経鼻投与される。
【0220】
本発明の化合物、その塩、またはそのプロドラッグを含有する医薬組成物の投与量は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件を考慮して選択すればよく、本発明の化合物、その塩、またはそのプロドラッグが、通常、1日あたり体重1kgに対して0.01~100mg、好ましくは0.1~50mgとなる量で、1日あたり1回~数回に分けて、あるいは2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間または4週間に1回の間隔で投与される。投与量は、種々の条件で変動するので、上記範囲より少ない投与量で充分な場合もあるし、また上記範囲を超えた投与量が必要な場合もある。
【0221】
また、本発明の医薬組成物は、他の薬剤と組み合わせた併用剤とすることもできる。
【0222】
本発明の化合物、その塩、またはそのプロドラッグは、TRPC3チャネルの活性を調節する作用(本明細書において、TRPC3調節と称することがある。)、TRPC6チャネルの活性を調節する作用(本明細書において、TRPC6調節と称することがある。)、またはTRPC3チャネルとTRPC6チャネルの両方の活性を調節する作用を有する(本明細書において、これらの作用を総称してTRPC3および/またはTRPC6調節と称することがある。)。また、本発明の化合物、その塩、またはそのプロドラッグは、TRPC3チャネルの活性を阻害する作用(本明細書において、TRPC3阻害と称することがある。)、TRPC6チャネルの活性を阻害する作用(本明細書において、TRPC6阻害と称することがある。)、またはTRPC3チャネルとTRPC6チャネルの両方の活性を阻害する作用を有する(本明細書において、これらの作用を総称してTRPC3および/またはTRPC6阻害と称することがある。)。したがって、本発明の化合物、その塩、またはそのプロドラッグは、TRPC3および/またはTRPC6調節剤またはTRPC3および/またはTRPC6阻害剤として、あるいはTRPC3および/またはTRPC6関連疾患の予防または治療に、有効である。TRPC3および/またはTRPC6チャネルは、細胞膜に存在し、カチオンイオンの細胞内への流入制御するチャネルである。TRPC3および/またはTRPC6チャネルの阻害は、筋線維芽細胞において、Ca 流入を介した、TGF-βの下流のリン酸化シグナルに対して抑制的に働き、コラーゲンI、平滑筋型アクチン(α-SMA;α-Smooth Muscle Actin)等の産生に対して抑制的に働く(例えば、Inflammatory Bowel Diseases, 2015, Mar, 21(3), 496-506)。TRPC3および/またはTRPC6関連疾患は、TRPC3および/またはTRPC6チャネルの過剰な活性化(チャネルが開口しカチオンイオンが細胞内へ過剰に流入する)が観察される疾患である。
【0223】
本発明の医薬組成物は、TRPC3および/またはTRPC6関連疾患の予防または治療剤として有用である。TRPC3および/またはTRPC6関連疾患は、例えばTRPC3および/またはTRPC6チャネルの過剰な活性化または過剰な不活性化に起因する疾患であれば特に制限されないが、TRPC6関連疾患が好ましい。TRPC3および/またはTRPC6関連疾患としては、例えば、線維症(例えば、肺線維症、腎線維症、線維化に起因する肝硬変)、神経変性疾患(例えば、筋委縮性性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病等)、筋変性疾患(例えば、筋ジストロフィー等)、炎症性疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)等)、ウィリアムズ症候群、慢性腎症、心肥大、肺高血圧症等が挙げられる。好ましい疾患は、例えば線維症である。
【0224】
また、本発明化合物等は、従来のTRPC3および/またはTRPC6阻害剤が肝臓で代謝を受けやすいのに対し、肝臓で代謝を受けにくい。さらに、PBS溶解性が高く、したがって製剤化に有利であり、加えて、膜透過性が高く、したがってバイオアベイラビリティの点で有利である。これらのことから、本発明の化合物、その塩、またはプロドラッグは、薬物動態の面で優れている。このため、従来のTRPC3および/またはTRPC6阻害剤と比較して、少量で長期間、阻害活性を発揮しうる。
【0225】
また、本発明化合物等は、TRPC3およびTRPC6チャネルを除いた他のTRPチャネル(例えば、TRPC1、TRPC2、TRPC5、TRPC7、TRPM2、TRPV1、TRPV6)、あるいは他のCa2+チャネル、Nチャネル、Kチャネルに対する作用が小さいことが予想され、したがってTRPC6およびTRPC3チャネルに対する選択性が高く、副作用が小さいことが期待される。
【0226】
本発明は、TRPC3および/またはTRPC6阻害処理を必要とする患者に一般式(1)または(2)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、またはそのプロドラッグの有効量を投与することを含むTRPC3および/またはTRPC6阻害方法を包含しうる。
【0227】
本発明は、TRPC3および/またはTRPC6関連疾患の予防または治療を必要とする患者に一般式(1)または(2)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、またはそのプロドラッグの有効量を投与することを含むTRPC3および/またはTRPC6関連疾患の予防または治療方法を包含しうる。
【0228】
本発明は、線維症の予防または治療を必要とする患者に一般式(1)または(2)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、またはそのプロドラッグの有効量を投与することを含む線維症の予防または治療方法を包含しうる。
【0229】
本発明は、TRPC3および/またはTRPC6関連疾患の予防または治療剤の製造のための一般式(1)または(2)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、またはそのプロドラッグの使用を包含しうる。
【0230】
本発明は、線維症の予防または治療剤の製造のための一般式(1)または(2)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、またはそのプロドラッグの使用を包含しうる。
【実施例
【0231】
以下、参考例および実施例を参照して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、化合物のLC/MS分析には以下の条件を用いた。
[LC/MS分析条件]
LC/MSシステム:Waters ACQUITY UPLC H-Class/QDa Sample Manager - FTN
Quaternary Solvent Manager
Column Heater A
PDAeλ Detector
QDa Detector
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 1.7 μm (2.1×50mm)流速:0.5 mL/min
溶出条件:移動相A;アセトニトリル、移動相B;0.1%ぎ酸水溶液
【0232】
【表1】
【0233】
[実施例1]
5-クロロ-6-(4-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物011)の合成
【0234】
【化35】
【0235】
ステップ1-1
2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(2g、10.41mmol)とヒドロキシアミン塩酸塩(0.868g、12.49mmol)のエタノール(10mL)の溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液(12.5mL、12.5mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド オキシム(2.126g)を得た。
【0236】
ステップ1-2
2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド オキシム(2.12g、10.24mmol)のDMF(10mL)の溶液にNCS(N-クロロスクシンイミド)(1.435g、10.75mmol)を0℃で加え、室温で終夜撹拌した。LC/MSはオキシムが100%塩化物に変換したことを示した。2-フルオロ-N-ヒドロキシ-6-(トリフルオロメチル)ベンズイミドイル クロリドの溶液は精製することなしに次の反応に用いた。
【0237】
ステップ1-3
5-クロロ-6-(ピペラジン-1-イル)ニコチン酸塩酸塩(1836mg、6.6mmol)とトリエチルアミン(2.93mL、21mmol)のジクロロメタン(10mL)の溶液に、ステップ1-2の2-フルオロ-N-ヒドロキシ-6-(トリフルオロメチル)ベンズイミドイル クロリドのDMF溶液(6mL、約6mmol)を室温で加え、終夜撹拌した。反応溶液に10%KHSO水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール)で精製し、(E)-5-クロロ-6-(4-((2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物012(E);1258mg;LC-MS: r.t. 2.45 min., m/z 447 (M+1))とそのZ異性体(化合物012(Z);93mg;LC-MS: r.t. 2.26 min., m/z 447 (M+1))を得た。
【0238】
ステップ1-4
(E)-5-クロロ-6-(4-((2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(1026mg)の2N水酸化カリウム水溶液(6mL)とジオキサン(18mL)との混合溶液を105℃で3時間撹拌加熱した。LC/MS分析では変換率は100%を示した。溶液を減圧濃縮し2N塩酸水溶液で中和し、得られた個体を濾取した。これを乾燥し876mgの表題化合物を得た。
(Rf = 0.5, ethyl acetate)
H NMR (DMSO, 400 MHz)δ8.68 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 8.06 - 8.11 (m, 2 H), 7.83 - 7.88 (m, 2 H), 3.59 - 3.64 (m, 4 H), 3.33 - 3.38 (m, 4H), LC-MS: r.t. 3.23 min., m/z 427 (M+1)。
【0239】
[実施例2]
5-クロロ-N-メチル-6-(4-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチンアミド(化合物021)の合成
【0240】
【化36】
【0241】
5-クロロ-6-(4-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(実施例1の化合物、22.5mg、0.053mmol)、トリエチルアミン(29.4μL、0.211mmol)、1‐[ジメチルアミノ(ジメチルイミニオ)メチル]‐1H‐1,2,3‐トリアゾロ[4,5‐b]ピリジン3‐オキシド・ヘキサフルオロホスファート(以下、HATUと称することがある)(40.1mg、0.105mmol)とメチルアミン(0.2mmol)のTHF(0.5mL)溶液を室温で終夜撹拌した。溶液を濃縮し、残渣を分取用液体シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し20.8mgの表題化合物を得た。
(Rf = 0.5, 1 : 2 hexane/ethyl acetate)
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.52 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 8.04 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 7.73 (d, 1 H, J = 7.2 Hz), 7.63 (dd, 1 H, J = 7.6, 8.8 Hz), 7.64 (bs, 1 H), 6.10 (br, 1 H), 3.67 - 3.72 (m, 4 H), 3.44 - 3.48 (m, 4H), 3.02 (d, 3 H, J = 6.8 Hz), LC-MS: r.t. 2.84 min., m/z 440 (M+1)。
【0242】
[実施例3]
(S)-5-クロロ-6-(3-メチル-4-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物031)の合成
【0243】
【化37】
【0244】
(S)-2-メチルピペラジン(1.002g、10mmol)、5,6-ジクロロニコチン酸(1.92g、10mmol)とN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(3.48mL、20mmol)のDMF(20mL)の溶液を90℃で10時間加熱撹拌した。精製水で希釈後10%KHSOで中和してpHを約6にし、生成した固体を濾取、減圧乾燥し、429mgの粗(S)-5-クロロ-6-(3-メチルピペラジン-1-イル)ニコチン酸を得た。これを精製することなしに次のステップに用いた。
【0245】
5-クロロ-6-(ピペラジン-1-イル)ニコチン酸塩酸塩に代えて、得られた粗(S)-5-クロロ-6-(3-メチルピペラジン-1-イル)ニコチン酸を用いた以外は、実施例1のステップ1-3およびステップ1-4の方法に従って、表題化合物を得た。(Rf = 0.25, 2 : 1 ethyl acetate/hexane).H NMR (DMSO, 400 MHz)δ8.70 (d, 1 H, J = 2.4 Hz), 8.11 (d, 1 H, J = 2.4 Hz), 8.10 (d, 1 H, J = 7.6 Hz), 7.85 (d, 1 H, J = 7.6 Hz), 7.83 (d, 1 H, J = 7.6 Hz), 3.64 - 3.90 (m, 3 H), 3.04 - 3.52 (m, 4H), 1.08 (d, 3 H, J = 6.0 Hz), LC-MS: r.t. 3.03 min., m/z 441 (M+1)。
【0246】
[実施例4]
(R)-5-クロロ-6-(3-メチル-4-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物041)の合成
【0247】
【化38】
【0248】
(S)-2-メチルピペラジンに代えて(R)-2-メチルピペラジンを用いた以外は、実施例3の方法に従って、表題化合物を得た。
H NMR (DMSO, 400 MHz)δ8.70 (d, 1 H, J = 2.4 Hz), 8.11 (d, 1 H, J = 2.4 Hz), 8.10 (d, 1 H, J = 7.6 Hz), 7.85 (d, 1 H, J = 7.6 Hz), 7.83 (d, 1 H, J = 7.6 Hz), 3.64 - 3.90 (m, 3 H), 3.04 - 3.52 (m, 4H), 1.08 (d, 3 H, J = 6.0 Hz), LC-MS: r.t. 3.03 min., m/z 441 (M+1)。
【0249】
[実施例5]
5-クロロ-6-(4-(4-(メトキシ)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物051)の合成
【0250】
【化39】
【0251】
2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドに代えて2-フルオロ-6-(メトキシ)ベンズアルデヒドを用いた以外は、実施例1の方法に従って、表題化合物を得た。
Rf = 0.2, 10%methanol/ethyl acetate
H NMR (DMSO, 400 MHz)δ8.69 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 8.11 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 7.54 (t, 1 H, J = 8.4 Hz), 7.16 (d, 1 H, J = 8.4 Hz), 6.84 (d, 1 H, J = 8.4 Hz), 3.96 (s, 3H), 3.77 (7et, 1 H, J = 5.6 Hz), 3.63 - 3.67 (m, 4 H), 3.52 - 3.56 (m, 4H), 1.03 (d, 6H, J = 5.6 Hz), LC-MS: r.t. 2.60 min., m/z 389 (M+1)。なお、合成の過程において、5-クロロ-6-(4-((2-フルオロ-6-メトキシフェニル(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物052)が得られた(LC-MS: r.t. 2.11 min., m/z 409 (M+1))。
【0252】
[実施例6]
4-クロロ-3-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(化合物061)の合成
【0253】
【化40】
【0254】
ステップ6-1
2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドに代えて2,6-ジクロロベンズアルデヒドを用いた以外は、実施例1のステップ1-1および1-2の方法に従って、2,6-ジクロロ-N-ヒドロキシ-6-ベンズイミドイル クロリドのDMF溶液を得た。
【0255】
ステップ6-2
1-(2-クロロフェニル)ピペラジン(118mg、0.6mmol)とトリエチルアミン(83μL、0.6mmol)のジクロロメタン(2mL)の溶液に、ステップ6-1の2,6-ジクロロ-N-ヒドロキシ-6-ベンズイミドイル クロリドのDMF溶液(0.5mL、約0.5mmol)を室温で加え、3時間撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール)で精製し、(E)-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)(2,6-ジクロロフェニル)メタノン オキシム(58.7mg)とZ異性体(50mg)を得た。
【0256】
(E)-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)(2,6-ジクロロフェニル)メタノン オキシム(化合物062(E)):
Rf: 0.5, 3 : 1 hexane/ethyl acetate,
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ7.41 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 7.39 (s, 1 H), 7.36 (dd, 1 H, J =1.6, 8.0 Hz), 7.30 (dd, 1 H, J =7.2, 8.8 Hz), 7.21 (dd, 1H, J =1.2, 7.2 Hz), 7.03 (dd, 1H, J = 2.0, 8.0 Hz), 6.98 (dt, 1 H, J =1.2, 8.0 Hz), 5.72 (br, 1 H), 3.35 - 3.40 (m, 4 H), 3.04 - 3.09 (m, 4H), LC-MS: r.t. 3.03 min., m/z 384 (M+1)。
(Z)-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)(2,6-ジクロロフェニル)メタノン オキシム(化合物062(Z)):
Rf: 0.3, 3 : 1 hexane/ethyl acetate
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ7.36 (dd, 1 H, J = 1.2, 7.2 Hz), 7.35 (d, 1 H, J = 1.2, 8.0 Hz), 7.26 (dd, 1 H, J = 1.2, 8.0 Hz), 7.28 (dd, 1 H, J = 2.0, 8.0 Hz), 7.22 (dt, 1H, J = 1.2, 7.2 Hz), 7.04 (dd, 1H, J = 8.0 Hz), 6.97 (dt, 1 H, J = 1.2, 8.0 Hz), 6.46 (br, 1 H), 3.53 - 3.57 (m, 4 H), 3.09 - 3.13 (m, 4H), LC-MS : r.t. 3.03 min., m/z 384 (M+1)。
【0257】
ステップ6-3
(E)-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)(2,6-ジクロロフェニル)メタノン オキシム(58.7mg、0.152mmol)の2N水酸化カリウム水溶液(1mL)とジオキサン(3mL)との混合溶液を120℃で25時間撹拌加熱した。溶液を減圧濃縮し2N塩酸水溶液で中和し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール)で精製し6.9mgの表題化合物を得た。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ7.42 (t, J = 8.0 Hz), 7.37 - 7.41 (m, 2 H), 7.44-7.52 (m, 2H), 7.21 - 7.27 (m, 2H), 7.11 (dd, 1 H, J = 1.6, 8.0 Hz), 7.00 (dt, 1 H, J = 1.6, 8.0 Hz), 3.60 - 3.67 (m, 4 H), 3.26 - 3.30 (m, 4H), LC-MS: r.t. 3.01 min., m/z 384 (M+1)。
【0258】
[実施例7]
4-クロロ-3-(4-(3-クロロピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(化合物071)の合成
【0259】
【化41】
【0260】
ステップ7-1
1-(2-クロロフェニル)ピペラジンに代えて1-(3-クロロピリジン-2-イル)ピペラジン塩酸塩を用いたこと以外は、実施例6のステップ6-2の方法に従って、(E)-(4-(3-クロロピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)(2,6-ジクロロフェニル)メタノン オキシムとZ異性体を得た。
(E)-(4-(3-クロロピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)(2,6-ジクロロフェニル)メタノン オキシム(化合物072(E)):
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.17 (dd, 1 H, J = 1.6, 4.8 Hz), 7.58 (dd, 1 H, J = 1.2, 7.6 Hz), 7.39 (dd, 1 H, J =1.2, 7.6 Hz), 7.33 (s, 1 H), 7.28 (dd, 1H, J = 7.6, 9.2 Hz), 7.06 (br, 1H), 6.85 (dd, 1 H, J =4.8, 8.0 Hz), 5.72 (br, 1 H), 3.25 - 3.34 (m, 8 H), LC-MS: r.t. 3.03 min., m/z 384 (M+1)。(Z)-(4-(3-クロロピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)(2,6-ジクロロフェニル)メタノン オキシム(化合物072(Z)):
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.18 (d, 1 H, J = 3.6 Hz), 7.57 (d, 1 H, J = 7.6 Hz), 7.38 (t, 1 H, J =8.0 Hz), 7.34 (d, 1 H, J = 7.6 Hz), 7.26 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.08 (br, 1H), 6.84 (dd, 1 H, J =4.8, 8.0 Hz), 5.72 (br, 1 H), 3.52 - 3.58 (m, 3 H), 3.40 - 3.44 (m, 3 H), 3.35 - 3.38 (m, 2 H), LC-MS: r.t. 2.70 min., m/z 385 (M+1)。
【0261】
ステップ7-2
(E)-(4-(3-クロロピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)(2,6-ジクロロフェニル)メタノン オキシム(192mg、0.498mmol)の2N水酸化カリウム水溶液(2mL)とジオキサン(6mL)との混合溶液をマイクロウェーブにて120℃で1時間撹拌加熱した。LC/MS分析では変換率は約50%を示した。溶液を1N塩酸水溶液と飽和塩化アンモニウム水溶液で中和し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール)で精製し70.6mgの表題化合物と79mgの出発物質を得た。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ7.42 (t, 1 H, J = 8.0 Hz), 7.37 - 7.41 (m, 2 H), 7.44-7.52 (m, 2H), 7.21 - 7.27 (m, 2H), 7.11 (dd, 1 H, J = 1.6, 8.0 Hz), 7.00 (dt, 1 H, J = 1.6, 8.0 Hz), 3.60 - 3.67 (m, 4 H), 3.26 - 3.30 (m, 4H), LC-MS: r.t. 3.01 min., m/z 384 (M+1)。
【0262】
[実施例8]
5-クロロ-6-(4-(4-クロロベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物081)の合成
【0263】
【化42】
【0264】
ステップ8-1
1-(2-クロロフェニル)ピペラジンに代えて5-クロロ-6-(ピペラジン-1-イル)ニコチン酸トリフルオロ酢酸塩を用いたこと以外は、実施例6のステップ6-2の方法に従って、5-クロロ-6-(4-((2,6-ジクロロフェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物082)を得た。
【0265】
ステップ8-2
5-クロロ-6-(4-((2,6-ジクロロフェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(215mg、0.5mmol)の2N水酸化カリウム水溶液(2mL)とジオキサン(6mL)との混合溶液をマイクロウェーブにて140℃で1時間撹拌加熱した。LC/MS分析では変換率は約90%を示した。溶液を1N塩酸水溶液と10%KHSO水溶液で中和し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール)で精製し75mgの表題化合物を得た。
H NMR (DMSO, 400 MHz)δ8.66 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 8.08 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 7.63 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 7.60 (t, 1 H, J = 8.0 Hz), 7.42 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 3.63 - 3.67 (m, 4 H), 3.43 - 3.47 (m, 4H), LC-MS: r.t. 2.87 min., m/z 393 (M+1)。
【0266】
[実施例9]
5-クロロ-6-(4-(4-クロロベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)N,N-ジメチルニコチンアミド(化合物091)の合成
【0267】
【化43】
【0268】
ステップ9-1
6-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)-5-クロロニコンチン酸(171mg、0.5mmol)、ジメチルアミン(0.75mmol)、トリエチルアミン(209μL、1.5mmol)とHATU(285mg、0.75mmol)のDMF(3mL)溶液を室温で3時間撹拌し、飽和食塩水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し153.2mgのtert-ブチル 4-(3-クロロ-5-(ジメチルカルバモイル)ピリジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシラートを得た(Rf = 0.45, 1 : 3 hexane/ethyl acetate)。
この化合物を過剰のトリフルオロ酢酸で処理し5-クロロ-N,N-ジメチル-6-(ピペラジン-1-イル)ニコチンアミド トリフルオロ酢酸塩を得た。
【0269】
ステップ9-2
5-クロロ-N,N-ジメチル-6-(ピペラジン-1-イル)ニコチンアミド(159mg、0.415mmol)とトリエチルアミン(289μL、2.075mmol)のDMF(2mL)の溶液に、実施例6のステップ6-1の2,6-ジクロロ-N-ヒドロキシ-6-ベンズイミドイル クロリドのDMF溶液(0.5mL、約0.5mmol)を室温で加え、3時間撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール)で精製し、(E)-5-クロロ-6-(4-((2,6-ジクロロフェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペラジン-1-イル)-N,N-ジメチルニコチンアミド(化合物092(E);77.2mg;LC-MS: r.t. 2.27 min., m/z 456 (M+1))とZ異性体(30mg)を得た。(Z)-5-クロロ-6-(4-((2,6-ジクロロフェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペラジン-1-イル)-N,N-ジメチルニコチンアミド(化合物092(Z)):
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.24 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 7.72 (d, 1 H, J = 2.4 Hz), 7.39 (dd, 1 H, J = 0.8, 8.0 Hz), 7.38 (s, 1 H), 7.30 (dd, 1H, J = 4.8, 8.8 Hz), 6.20 (br, 1 H), 3.43 - 3.47 (m, 4 H), 3.32 - 3.36 (m, 4 H), 3.08 (s, 6 H), LC-MS: r.t. 2.08 min., m/z 456 (M+1)。
【0270】
ステップ9-3
(E)-5-クロロ-6-(4-((2,6-ジクロロフェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペラジン-1-イル)-N,N-ジメチルニコチンアミド(77.2mg、0.048mg)の2N水酸化カリウム水溶液(2mL)とジオキサン(6mL)との混合溶液をマイクロウェーブにて140℃で1時間撹拌加熱した。LC/MS分析では変換率は約70%を示した。溶液に10%KHSO水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、得られた個体をイソプロパノールから再結晶し20.2mgの表題化合物を得た。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.28 (d, 1 H, J = 2.4 Hz), 7.74 (d, 1 H, J = 2.4 Hz), 7.42 (dd, 1 H, J = 6.8, 8.8 Hz), 7.39 (dd, 1 H, J = 1.2, 8.8 Hz), 7.26 (dd, 1 H, J = 1.2, 6.8 Hz), 3.64 - 3.68 (m, 4 H), 3.58 - 3.61 (m, 4H), LC-MS: r.t. 2.89 min., m/z 420 (M+1)。
【0271】
[実施例10]
3-クロロ-4-(4-(4-クロロベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)安息香酸(化合物101)の合成
【0272】
【化44】
【0273】
ステップ10-1
1-(2-クロロフェニル)ピペラジンに代えて3-クロロ-4-(ピペラジン-1-イル)安息香酸メチルエステルを用いた以外は、実施例6のステップ6-2の方法に従って、3-クロロ-4-(4-((2,6-ジクロロフェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペラジン-1-イル)安息香酸メチルエステル(化合物102)を得た(LC-MS: r.t. 2.97 min., m/z 442 (M+1))。
【0274】
ステップ10-2
5-クロロ-6-(4-((2、6-ジクロロフェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸に代えて3-クロロ-4-(4-((2,6-ジクロロフェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペラジン-1-イル)安息香酸メチルエステルを用いたこと以外は、実施例8のステップ8-2の方法に従って、表題化合物を得た。
H NMR (DMSO, 400 MHz)δ7.85 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 7.79 (dd, 1 H, J = 1.6, 8.4 Hz), 7.67 (dd, 1 H, J = 1.6, 8.4 Hz), 7.63 (dd, 1 H, J = 7.2, 8.8 Hz), 7.45 (dd, 1 H, J = 1.2, 8.0 Hz), 7.22 (bd, 1 H, J = 8.0 Hz), 3.48 - 3.53 (m, 4 H), 3.24 - 3.28 (m, 4H), LC-MS: r.t. 2.94 min., m/z 392 (M-1)。
【0275】
[実施例11]
5-クロロ-3-(4-(3-クロロピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(化合物111)の合成
【0276】
【化45】
【0277】
ステップ11-1
2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドに代えて2,5-ジクロロベンズアルデヒドを用いたこと以外は、実施例1のステップ1-1および1-2の方法に従って2,5-ジクロロ-N-ヒドロキシ-6-ベンズイミドイル クロリドのDMF溶液を得た。
【0278】
ステップ11-2
1-(2-クロロフェニル)ピペラジンに代えて1-(3-クロロピリジン-2-イル)ピペラジン塩酸塩を用いたこと、および2,6-ジクロロ-N-ヒドロキシ-6-ベンズイミドイル クロリドのDMF溶液に代えて2,5-ジクロロ-N-ヒドロキシ-6-ベンズイミドイル クロリドのDMF溶液を用いたこと以外は、実施例6のステップ6-2の方法に従って、(E)-4-(3-クロロピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)(2,5-ジクロロフェニル)メタノン オキシム、そのZ異性体とE,Z混合物を得た。
(E)-4-(3-クロロピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)(2,5-ジクロロフェニル)メタノン オキシム(化合物112(E)):
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.18 (dd, 1 H, J = 1.2, 4.8 Hz), 7.59 (dd, 1 H, J = 2.0. 8.0 Hz), 7.40 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 7.33 (dd, 1H, J = 4.8, 8.0 Hz), 5.83 (br, 1 H), 3.29 - 3.37 (m, 6 H), 3.18 - 3.25 (m, 2 H), LC-MS: r.t. 2.83 min., m/z 385 (M+1)。
(Z)-4-(3-クロロピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)(2,5-ジクロロフェニル)メタノン オキシム(化合物112(Z)):
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.40 (br, 1 H), 8.17 (dd, 1 H, J = 1.6, 4.8 Hz), 7.57 (dd, 1 H, J = 2.0. 7.6 Hz), 7.41 (d, 1 H, J =2.0 Hz), 7.32 (s, 1 H), 7.31 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 6.83 (dd, 1 H, J = 4.8, 8.0 Hz), 3.47 - 3.52 (m, 4 H), 3.36 - 3.41 (m, 4 H), LC-MS: r.t. 2.83 min., m/z 385 (M+1)。
【0279】
ステップ11-3
(E)-(4-(3-クロロピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)(2,5-ジクロロフェニル)メタノン オキシム(26.8mg、0.069mmol)の2N水酸化カリウム水溶液(1mL)とジオキサン(3mL)との混合溶液をマイクロウェーブにて120℃で0.5時間続いて140℃で1時間撹拌加熱した。溶液を1N塩酸水溶液と飽和塩化アンモニウム水溶液で中和し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製し17.6mgの表題化合物を得た。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.2 (dd, 1 H, J = 1.6, 4.8 Hz), 7.71 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 7.63 (dd, 1 H, J = 1.2, 8.0 Hz), 7.46 (dd, 1 H, J = 2.0, 8.4 Hz), 7.40 (d, 1 H, 8.4 Hz), 6.90 (dd, 1 H, J = 4.8, 8.0 Hz), 3.68 - 3.72 (m, 4 H), 3.55 - 3.59 (m, 4H), LC-MS: r.t. 3.18 min., m/z 349 (M+1)。
【0280】
[実施例12]
5-クロロ-6-(4-(5-クロロベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物121)の合成
【0281】
【化46】
【0282】
ステップ12-1
1-(2-クロロフェニル)ピペラジンに代えて5-クロロ-6-(ピペラジン-1-イル)ニコチン酸塩酸塩を用いたこと、および2,6-ジクロロ-N-ヒドロキシ-6-ベンズイミドイル クロリドのDMF溶液に代えて2,5-ジクロロ-N-ヒドロキシ-6-ベンズイミドイル クロリドのDMF溶液を用いたこと以外は、実施例6のステップ6-2の方法に従って、5-クロロ-6-(4-((2,5-ジクロロフェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物122)を得た(LC-MS: r.t. 2.46 min., m/z 429 (M+1))。
【0283】
ステップ12-2
5-クロロ-6-(4-((2,5-ジクロロフェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(115.1mg、0.5mmol)の2N水酸化カリウム水溶液(2mL)とジオキサン(6mL)との混合溶液をマイクロウェーブにて140℃で2時間撹拌加熱した。LC/MS分析では変換率は約100%を示した。溶液を1N塩酸水溶液と10%KHSO水溶液で中和し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣をイソプロパノールから再結晶し26.8mgの表題化合物を得た。
H NMR (DMSO, 400 MHz)δ8.65 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 8.17 (bs, 1 H), 8.08 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 7.60 - 7.61 (m, 2 H), 3.59 - 3.61 (m, 4 H), 3.25 - 3.35 (m, 4H), LC-MS: r.t. 2.83 min., m/z 393 (M+1)。
【0284】
[実施例13]
5-クロロ-6-(4-(5-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物131)の合成
【0285】
【化47】
【0286】
ステップ13-1
2-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(5g、23.97mmol)とヒドロキシアミン塩酸塩(2g、28.8mmol)のエタノール(20mL)の溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液(28.8mL、28.8mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、2-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド オキシム(4.77g)をZとEの異性体の混合物として得た。
【0287】
ステップ13-2
2-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドオキシム(4.77g、21.33mmol)のDMF(10mL)の溶液にNCS(N-クロロスクシンイミド)(2.99g、22.4mmol)を0℃で加え、室温で終夜撹拌した。LC/MSはオキシムが100%塩化物に変換したことを示した。2-クロロ-N-ヒドロキシ-6-(トリフルオロメチル)ベンズイミドイル クロリドの溶液は精製することなしに次の反応に用いた。
【0288】
ステップ13-3
5-クロロ-6-(ピペラジン-1-イル)ニコチン酸塩酸塩(70mg、0.252mmol)とトリエチルアミン(140μL、1.0mmol)のジクロロメタン(1mL)の溶液に、ステップ13-2の2-クロロ-N-ヒドロキシ-5-(トリフルオロメチル)ベンズイミドイル クロリドのDMF溶液(0.252mL、約0.252mmol)を室温で加え、3時間撹拌した。反応溶液に10%KHSO水溶液を加え、不溶物を濾別後濾液を酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、粗5-クロロ-6-(4-((2-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物132)を得た(LC-MS: r.t. 2.59 min., m/z 463 (M+1))。この化合物は精製することなしに次のステップに用いた。
【0289】
ステップ13-4
5-クロロ-6-(4-((2-クロロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(117mg、0.253mmol)の2N水酸化カリウム水溶液(1mL、2mmol)とジオキサン(5mL)との混合溶液をマイクロウェーブにて160℃で1時間撹拌加熱した。LC/MS分析では変換率は100%を示した。溶液を10%KHSO水溶液で中和し、、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製し42mgの粗表題化合物を得た。これをさらに加温したアセトニトリルで洗浄し29.9mgの表題化合物を得た。
H NMR (DMSO, 400 MHz)δ8.70 (d, 1 H, J = 2.4 Hz), 8.50 (bs, 1 H), 8.13 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 7.95 (dd, 1 H, 1.6, 8.4 Hz), 7.84 (d, 1 H, J = 8.4 Hz), 3.68 - 3.71 (m, 4 H), 3.31 - 3.34 (m, 4H), LC-MS: r.t. 2.92 min., m/z 427 (M+1)。
【0290】
[実施例14]
3-(4-(ピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(化合物141)の合成
【0291】
【化48】
【0292】
3-クロロベンゾ[d]イソオキサゾール(100mg、0.651mmol)と1-(ピリジン-2-イル)ピペラジン(319mg、1.954mmol)のピリジン(1mL)の溶液をマイクロウェーブにて150℃で1時間撹拌加熱した。溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製し61.1mgの表題化合物を得た。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.31 (dd, 1H, J = 4.0, 1.6 Hz), 7.72 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.45-7.56 (m, 3H), 7.25 (dt, 1H, J = 1.2, 6.4 Hz), 6.72 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 6.68 (dd, 1H, J = 4.8, 7.2 Hz) , 3.74 - 3.78 (m, 4 H), 3.67 - 3.71 (m, 4H), LC-MS: r.t. 1.52 min., m/z 281 (M+1)。
【0293】
[実施例15]
3-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(化合物151)の合成
【0294】
【化49】
【0295】
3-クロロベンゾ[d]イソオキサゾール(77.5mg、0.505mmol)と1-(2-クロロフェニル)ピペラジン(84μL、0.505mmol)のピリジン(1mL)の溶液をマイクロウェーブにて180℃で40分撹拌加熱した。溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し8.7mgの表題化合物を得た。
Rf: 0.5 (10 : 1 hexane/ethyl acetate)
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ7.74 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.45-7.52 (m, 2H), 7.39 (dd, 1H, J = 1.6, 8.4 Hz), 7.20 - 7.28 (m, 3H), 7.10 (d, 1 H, J = 7.2 Hz), 7.02 (dd, 1H, J = 1.6, 7.2 Hz) , 3.74 - 3.78 (m, 4 H), 3.24 - 3.28 (m, 4H), LC-MS: r.t. 3.15 min., m/z 314 (M+1)。
【0296】
[実施例16]
3-(4-(2,3-ジメチルフェニル)ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(化合物161)の合成
【0297】
【化50】
【0298】
3-クロロベンゾ[d]イソオキサゾール(50mg、0.326mmol)と1-(2、3-ジメチルフェニル)ピペラジン(62mg、0.326mmol)のピリジン(1mL)の溶液をマイクロウェーブにて180℃で30分撹拌加熱した。溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し2.4mgの表題化合物を得た。
Rf: 0.8 (5 : 1 hexane/ethyl acetate),
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ7.73 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.44-7.52 (m, 2H), 7.22 (dd, 1H, J = 1.6, 8.0 Hz), 7.10 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 6.92 - 6.97 (m, 2H), 3.64 - 3.81 (m, 4 H), 3.05 - 3.12 (m, 4H), 2.28 (s, 3 H), 2.27 (S, 3 H), LC-MS: r.t. 3.34 min., m/z 308 (M+1)。
【0299】
[実施例17]
3-(4-(2,4-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(化合物171)の合成
【0300】
【化51】
【0301】
3-クロロベンゾ[d]イソオキサゾール(55mg、0.358mmol)と1-(2,4-ジクロロフェニル)ピペラジン(190mg、0.822mmol)のジメトキシエタン(0.5mL)の溶液をマイクロウェーブにて160℃で120分撹拌加熱した。溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し13.3mgの表題化合物を得た。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ7.71 (d, 1 H, J = 8.4 Hz), 7.49 (t, 1 H, J = 8.0 Hz), 7.46 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 7.39 (d, 2H, J = 2.4 Hz), 7.19 - 7.24 (m, 2H), 7.00 (d, 1 H, J = 8.4 Hz), 3.72 - 3.77 (m, 4 H), 3.19 - 3.23 (m, 4H), LC-MS: r.t. 3.40 min., m/z 348 (M+1)。
【0302】
[実施例18]
3-(4-(3-クロロピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソチアゾール(化合物181)の合成
【0303】
【化52】
【0304】
2-ブロモ-3-クロロピリジン(96mg、0.5mmol)、3-(ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソチアゾール(110mg、0.5mmol)、Pd(dba)(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、46.8mg、0.05mmol)、tert-ブトキシナトリウム(57.7mg、0.6mmol)と(2,2‘-ビス(ジフェニルホスファニル)-1、1’-ビスナフタレン(62.3mg、0.1mmol)のジオキサン(10mL)溶液を90℃で9時間撹拌加熱した。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し42mgの粗表題化合物を得た。これをさらに加温したアセトニトリルで洗浄し44.6mgの表題化合物を得た。
Rf = 0.75,(2 : 1 hexane/ethyl acetate)
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.22 (d, 1 H, J = 4.8 Hz), 7.96 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 7.83 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 7.62 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 7.48 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.38 (t, 1 H, J = 8.0 Hz), 6.88 (dd, 1 H, J = 4.8, 8.0 Hz), 3.69 - 3.73 (m, 4 H), 3.58 - 3.62 (m, 4H), LC-MS: r.t. 2.86 min., m/z 331 (M+1)。
【0305】
[実施例19]
5-クロロ-6-(8-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3,2,1]オクタン-3-イル)ニコチン酸(化合物191)の合成
【0306】
【化53】
【0307】
ステップ19-1
Tert-ブチル(1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3,2,1]オクタン-8-カルボキシレート(0.5g、2.355mmol)、5,6-ジクロロニコチン酸(0.452g、2.355mmol)のピリジン(5mL)の溶液を90℃で10時間加熱撹拌した。精製水で希釈後10%KHSOで中和してpHを約6にし、生成した固体を濾取、精製水で洗浄、減圧乾燥し、248mgの粗6-(8-(Tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3,2,1]オクタン-3-イル)-5-クロロニコチン酸を得た。これは精製することなしに次のステップに用いた。
【0308】
ステップ19-2
上記の粗6-(8-(Tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3,2,1]オクタン-3-イル)-5-クロロニコチン酸(227mg、0.617mmol)のメタノール(5mL)の溶液に過剰のチオニルクロリドを室温で加え一夜放置した。反応混合物を濃縮乾固し208.2mgの粗6-(3,8-ジアザビシクロ[3,2,1]オクタン-3-イル)-5-クロロニコチン酸塩酸塩を得た。これは精製することなしに次のステップに用いた。
【0309】
ステップ19-3
上記の粗6-(3,8-ジアザビシクロ[3,2,1]オクタン-3-イル)-5-クロロニコチン酸塩酸塩(152mg、0.5mmol)とトリエチルアミン(279μL、2.0mmol)のDMF(1.5mL)の溶液に約1Nの2-フルオロ-N-ヒドロキシ-6-(トリフルオロメチル)ベンズイミドイル クロリドのDMF液(0.5mL)を室温で加え、終夜撹拌した。精製水で希釈後10%KHSOで中和してpHを約6にし、混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し136.4mgの5-クロロ-6-(8-((2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル(ヒドロキシイミノ)メチル)-3,8-ジアザビシクロ[3,2,1]オクタン-3-イル)ニコチン酸(化合物192)を得た(LC-MS: r.t. 2.54 min., m/z 473 (M+1))。(Rf = 0.1, 2 : 1 ethyl acetate/hexane)。
【0310】
ステップ19-4
5-クロロ-6-(8-((2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル(ヒドロキシイミノ)メチル)-3,8-ジアザビシクロ[3,2,1]オクタン-3-イル)ニコチン酸(90mg)の2N水酸化カリウム水溶液(0.6mL)とジオキサン(1.8mL)との混合溶液を100℃で10時間撹拌加熱した。LC/MS分析では変換率は約95%を示した。反応溶液を精製水で希釈後1N塩酸と10%KHSOで中和してpHを約6とし、酢酸エチルで抽出、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、得られた個体を濾取し、温イソプロパノールで洗浄した。これを乾燥し16.3mgの表題化合物を得た。
Rf = 0.25(2 : 1 ethyl acetate/hexane)
H NMR (DMSO, 400 MHz)δ8.63 (dd, 1 H, J =0.8, 1.6 Hz), 8.07 - 8.11 (m, 2 H), 7.83 - 7.87 (m, 2 H), 4.85 - 4.88 (br, 2 H), 3.33 - 3.38 (m, 6H), 2.13 (dd, 2 H. J = 12.8, 6.0 Hz), 1.91 - 1.99 (m, 2 H), LC-MS: r.t. 3.21 min., m/z 453 (M+1)。
【0311】
[実施例20]
7-クロロ-3-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(化合物201)の合成
【0312】
【化54】
【0313】
2,6-ジクロロベンズアルデヒドに代えて2,3-ジクロロベンズアルデヒドを用いた以外は、実施例6のステップ6-1、6-2の方法に従って、(E)-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)(2,3-ジクロロフェニル)メタノン オキシムとそのZ異性体を得た。
(E)-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)(2,3-ジクロロフェニル)メタノン オキシム(化合物202(E)):
Rf: 0.5, 3 : 1 hexane/ethyl acetate,
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ7.52 (dd, 1 H, J = 1.2, 8.0 Hz), 7.36 (dd, 1 H, J = 1.2, 8.0 Hz), 7.32 (dd, 1 H, J =2.0, 8.0 Hz), 7.25 (dd, 1 H, J =2.0, 8.0 Hz), 7.21 (dd, 1H, J =2.0, 8.0 Hz), 7.04 (dd, 1H, J = 2.0, 8.0 Hz), 6.98 (dt, 1 H, J =1.2, 8.0 Hz), 3.50 - 3.54 (m, 4 H), 3.07 - 3.11 (m, 4H), LC-MS: r.t. 3.08 min., m/z 384 (M+1)
(Z)-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)(2,3-ジクロロフェニル)メタノン オキシム(化合物202(Z)):
Rf: 0.3, 3 : 1 hexane/ethyl acetate
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.52 (dd, 1 H, J = 1.2, 8.0 Hz), 7.36 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 7.31 (t, 1 H, J = 8.0 Hz), 7.25 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 7.21 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.02 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 6.99 (t, 1 H, J = 8.0 Hz), 5.77 - 5.89 (br, 1 H), 3.21 - 3.40 (m, 4 H), 3.03 - 3.07 (m, 4H), LC-MS: r.t. 3.08 min., m/z 384 (M+1)。
【0314】
(E)-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)(2,6-ジクロロフェニル)メタノン オキシムに代えて(E)-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)(2,3-ジクロロフェニル)メタノン オキシムを用いた以外は、実施例6のステップ6-3の方法に従って表題化合物を得た。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ7.63 (d, 1 H, J = 8.8 Hz), 7.50 (d, 1 H, J = 7.6 Hz), 7.42 (dd, 1 H, J =1.2, 7.6 Hz), 7.26 (dt, 1 H, J = 1.2, 7.6 Hz), 7.20 (t, 1 H, J = 7.6 Hz), 7.08 (dd, 1 H, J = 1.2, 7.6 Hz),7.02 (dt, 1 H, J = 1.2, 7.6 Hz), 3.74 - 3.78 (m, 4 H), 3.23 - 3.28 (m, 4H), LC-MS: r.t. 3.38 min., m/z 384 (M+1)。
【0315】
[実施例21]
6-クロロ-3-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(化合物211)の合成
【0316】
【化55】
【0317】
2,6-ジクロロベンズアルデヒドに代えて2,4-ジクロロベンズアルデヒドを用いた以外は、実施例6のステップ6-1、6-2の方法に従って、(E)-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)(2,4-ジクロロフェニル)メタノン オキシムとそのZ異性体を得た。
(E)-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)(2,4-ジクロロフェニル)メタノン オキシム(化合物212(E)):
Rf: 0.5 (3 : 1 hexane/ethyl acetate)
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ7.41 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 7.39 (s, 1 H), 7.36 (dd, 1 H, J =1.6, 8.0 Hz), 7.30 (dd, 1 H, J =7.2, 8.8 Hz), 7.21 (dd, 1H, J =1.2, 7.2 Hz), 7.03 (dd, 1H, J = 2.0, 8.0 Hz), 6.98 (dt, 1 H, J =1.2, 8.0 Hz), 5.72 (br, 1 H), 3.35 - 3.40 (m, 4 H), 3.04 - 3.09 (m, 4H), LC-MS: r.t. 3.03 min., m/z 384 (M+1)。
(Z)-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)(2,4-ジクロロフェニル)メタノン オキシム(化合物212(Z)):
Rf: 0.3 (3 : 1 hexane/ethyl acetate)
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ7.36 (dd, 1 H, J = 1.2, 7.2 Hz), 7.35 (d, 1 H, J = 1.2, 8.0 Hz), 7.26 (dd, 1 H, J = 1.2, 8.0 Hz), 7.28 (dd, 1 H, J = 2.0, 8.0 Hz), 7.22 (dt, 1H, J = 1.2, 7.2 Hz), 7.04 (dd, 1H, J = 8.0 Hz), 6.97 (dt, 1 H, J = 1.2, 8.0 Hz), 6.46 (br, 1 H), 3.53 - 3.57 (m, 4 H), 3.09 - 3.13 (m, 4H), LC-MS: r.t. 3.03 min., m/z 384 (M+1)。
【0318】
(E)-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)(2,6-ジクロロフェニル)メタノン オキシムに代えて(E)-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)(2,4-ジクロロフェニル)メタノン オキシムを用いた以外は、実施例6のステップ6-3の方法に従って表題化合物を得た。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ7.64 (d, 1 H, J = 8.8 Hz), 7.49 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 7.40 (dd, 1 H, J =1.6, 8.0 Hz), 7.26 (dt, 1 H, J = 1.2, 7.6 Hz), 7.22 (dd, 1 H, J = 2.0, 8.8 Hz), 7.08 (dd, 1 H, J = 1.6, 8.0 Hz),7.02 (dt, 1 H, J = 1.2, 7.6 Hz), 3.72 - 3.76 (m, 4 H), 3.23 - 3.27 (m, 4H), LC-MS: r.t. 3.42 min., m/z 384 (M+1)。
【0319】
[実施例22]
5-クロロ-6-(4-(4-クロロベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)(モルホリノ)メタノン(化合物221)の合成
【0320】
【化56】
【0321】
5-クロロ-6-(4-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸を5-クロロ-6-(4-(4-クロロベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物081)に代え、メチルアミンをモルホリンに代えた以外は、実施例2の方法に従って、表題化合物を得た。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.34 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 8.25 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 7.73 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 7.43 (dd, 1 H, J = 7.2, 8.4 Hz), 7.40 (dd, 1 H, J = 1.6, 8.4 Hz), 7.26 (dd, 1 H, J = 1.2, 6.8 Hz), 3.57 - 3.85 (m, 12 H), LC-MS: r.t. 2.80 min., m/z 413 (M+1)。
【0322】
[実施例23]
5-クロロ-6-(4-(4-クロロベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)-N-(メチルスルフォニル)ニコチンアミド(化合物231)の合成
【0323】
【化57】
【0324】
5-クロロ-6-(4-(4-クロロベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物081、79mg、0.2mmol)、メタンスルホンアミド(28.5mg、0.3mmol)、DMAP(4-ジメチルアミノピリジン、36.7mg、0.3mmol)とEDC(N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド 塩酸塩、57.5mg、0.3mmol)のジクロロメタン(1mL)の溶液を室温で終夜撹拌した。反応混合物を10%KHSOと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpHを約3に合わせたのち、酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し40.1mgの表題化合物を得た。
Rf = 0.3, 5% methanol/ethyl acetate
H NMR (DMSO, 400 MHz)δ8.67 (s, 1 H), 8.12 (s, 1 H), 7.67 (d, 1 H, J = 8 Hz), 7.63 (t, 1 H, J = 8 Hz), 7.45 (d, 1 H, J = 7.2 Hz), 3.53 - 3.58 (m, 4 H) , 3.47 - 3.52 (m, 4 H), LC-MS: r.t. 2.78 min., m/z 470 (M+1)。
【0325】
[実施例24]
5-クロロ-6-(4-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸 メチル(化合物241)の合成
【0326】
【化58】
【0327】
5-クロロ-6-(4-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物011、110mg)の1N塩化水素メタノール溶液(12mL)を24時間68℃で加熱撹拌した。LC/MSによる解析では約90%の変換率を示した。反応混合物を濃縮後精製水で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和して酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し84.9mgの表題化合物を得た。
(Rf = 0.5, 2 : 1 hexane/ethyl acetate). H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.77 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 8.16 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 7.74 (dd, 1 H, J = 1.2, 7.2 Hz), 7.66 (dd, 1 H, J = 1.2, 8.0 Hz), 7.63 (t, 1 H, J = 6.8 Hz), 3.92 (s, 3 H), 3.75 - 3.78 (m, 4 H), 3.44 - 3.48 (m, 4H), LC-MS: r.t. 2.21 min., m/z 423 (M+1)。
【0328】
[実施例25]
(5-クロロ-6-(4-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)メタノール(化合物251)の合成
【0329】
【化59】
【0330】
5-クロロ-6-(4-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸 メチル(化合物241、24mg)と水素化ホウ素ナトリウム(4mg)のTHF溶液にイソプロパノール(0.08mL)を加え、65℃で4時間加熱撹拌した。反応混合物にメタノールを加えて濃縮し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し4.7mgの表題化合物を得た。
Rf = 0.27, 1 : 1 hexane/ethyl acetate
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.18 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 7,73 (dd, 1 H, J = 1.2, 8 Hz), 7.69 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 7.65 (d, 1 H, J = 8 Hz), 7.62 (t, 1 H, J = 8 Hz), 4.66 (d, 2 H, J = 4.8 Hz), 3.55 - 3.59 (m, 4 H), 3.45 - 3.49 (m, 4H), LC-MS: r.t. 3.23 min., m/z 413 (M+1)。
【0331】
[実施例26]
3-(4-(3-メチルピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(化合物261)の合成
【0332】
【化60】
【0333】
5-クロロ-6-(ピペラジン-1-イル)ニコチン酸塩酸塩に代えて1-(3-メチルピリジン-2-イル)ピペラジンを用いた以外は、実施例1のステップ1-3および1-4の方法に従って、表題化合物を得た。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.20 (dd, 1 H, J = 2.0, 5.2 Hz), 7,73 (dd, 1 H, J = 1.2, 8 Hz), 7.65 (d, 1 H, J = 8 Hz), 7.61 (t, 1 H, J = 8 Hz), 7.44 (d, 1 H, J = 7.2 Hz), 6.89 (dd, 1 H, J = 5.2, 7.2 Hz), 3.45 - 3.49 (m, 4H), 3.34 - 3.38 (m, 4 H), 2.33 (s, 3 H), LC-MS: r.t. 2.42 min., m/z 363 (M+1)。
【0334】
[実施例27]
4-メトキシ-3-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(化合物271)の合成
【0335】
【化61】
【0336】
2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドに代えて2-フルオロ-6-(メトキシ)ベンズアルデヒドを用いた以外は、実施例1の方法に従って表題化合物を得た。
Rf: 0.6 (2 : 1 hexane/ethyl acetate),
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ7.43 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.39 (dd, 1H, J = 1.2, 8.0 Hz), 7.25 (dt, 1 H, J = 1.2, 8.4 Hz), 7.11 (dd, 1H, J = 1.2, 8.4 Hz), 7.00 (dt, 1H, J = 1.6, 8.0 Hz), 6.62 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 3.97 (s, 3 H), 3.68 - 3.73 (m, 4 H), 3.24 - 3.28 (m, 4H), LC-MS: r.t. 3.21 min., m/z 344 (M+1)。
【0337】
[実施例28]
1-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン(化合物281)の合成
【0338】
【化62】
【0339】
5-クロロ-6-(ピペラジン-1-イル)ニコチン酸塩酸塩に代えて1-(ピペリジン-4-イル)-1、3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オンを用いた以外は、実施例1のステップ1-3および1-4の方法に従って表題化合物を得た。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ7.88 (br, 1 H), 7.74 (d, 1 H, J = 8 Hz), 7.67 (d, 1 H, J = 6.4 Hz), 7.63 (t, 1H, J = 8 Hz), 7.30 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.05 - 7.16 (m, 3 H), 4.65 (tt, 1 H, J = 12, 4.8 Hz), 3.79 (d, 2 H, J = 10.4 Hz), 3.16 (t, 2 H, J = 11.6 Hz), 2.69 (dq, 2 H, J = 4, 12 Hz), 1.96 (d, 2 H, J = 12 Hz), LC-MS: r.t. 2.68 min., m/z 403 (M+1)。
なお、合成の過程のステップ1-3において、1-(1-((2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オンが得られた(化合物282;LC-MS: r.t. 2.20 min., m/z 423 (M+1))。
【0340】
[実施例29]
2-(2-オキソ-3-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペリジン-4-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)酢酸tert-ブチルエステル(化合物291)の合成
【0341】
【化63】
【0342】
1-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン(化合物281、67mg、0.171mmol)、ブロモ酢酸tert-ブチルエステル(50mg、0.256mmol)と60%水素化ナトリウム(10.4mg、0.256mmol)のDMF(1mL)の溶液を室温で2時間撹拌し、飽和食塩水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、残渣を分取用液体シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、表題化合物(86.6mg)を得た。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ7.55 (d, 1 H, J = 8 Hz), 7.67 (d, 1 H, J = 6.4 Hz), 7.43 (t, 1H, J = 8 Hz), 7.31 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.13 (t, 1 H, J = 7.2 Hz), 7.10 (t, 1 H, J = 7.2 Hz), 6.90 (d, 1 H, J = 7.2 Hz), 4.65 (tt, 1 H, J = 12, 4.8 Hz), 4.55 (s, 2 H), 3.77 (d, 2 H, J = 10.4 Hz), 3.15 (t, 2 H, J = 11.6 Hz), 2.70 (dq, 2 H, J = 4, 12 Hz), 1.96 (d, 2 H, J = 12 Hz), 1.46 (s, 9 H), LC-MS: r.t. 3.25 min., m/z 517 (M+1)。
【0343】
[実施例30]
2-(2-オキソ-3-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペリジン-4-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)酢酸(化合物301)の合成
【0344】
【化64】
【0345】
2-(2-オキソ-3-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペリジン-4-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)酢酸tert-ブチルエステル(化合物291、78.3mg)をDME(ジメチルエーテル、5mL)に溶かし、1N水酸化ナトリウム水溶液(2mL)を加え、室温で2時間撹拌した。1N塩酸で中和し、析出した結晶を濾取し精製水で洗浄、乾燥し表題化合物(50.8mg)を得た。
H NMR (DMSO, 400 MHz)δ8.06 - 8.11 (m, 1 H), 7.87 (d, 1 H, J = 7.6 Hz), 7.84 (t, 1H, J = 3.6 Hz), 7.31 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 7.17 (t, 1 H, J = 7.2 Hz), 7.10 (dt, 1 H, J = 1.2, 7.2 Hz), 7.06 (dt, 1 H, J = 1.2, 7.2 Hz), 4.60 (s, 2 H), 4.50 (tt, 1 H, J = 12, 4 Hz), 3.12 (t, 2 H, J = 12 Hz), 2.55 - 2.68 (m, 2 H), 1.84 (d, 2 H, J = 12 Hz), LC-MS: r.t. 2.65 min., m/z 461 (M+1)。
【0346】
[実施例31]
3-(4-(2-クロロピリジン-3-イル)ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(化合物311)の合成
【0347】
【化65】
【0348】
1-(ピリジン-2-イル)ピペラジンに代えて1-(2-クロロピリジン-3-イル)ピペラジンを用いた以外は、実施例14の方法に従って表題化合物を得た。
LC-MS: r.t. 2.60 min., m/z 315 (M+1)。
【0349】
[実施例32]
3-(4-(3-クロロピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(化合物321)の合成
【0350】
【化66】
【0351】
1-(ピリジン-2-イル)ピペラジンに代えて1-(3-クロロピリジン-2-イル)ピペラジンを用いた以外は、実施例14の方法に従って表題化合物を得た。
LC-MS: r.t. 2.89 min., m/z 315 (M+1)。
【0352】
[実施例33]
3-(4-(3,5-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(化合物331)の合成
【0353】
【化67】
【0354】
1-(2,4-ジクロロフェニル)ピペラジンに代えて1-(3,5-ジクロロフェニル)ピペラジンを用いた以外は、実施例17の方法に従って表題化合物を得た。
LC-MS: r.t. 3.40 min., m/z 348 (M+1)
【0355】
[実施例34]
5-クロロ-6-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペリジン-4-イル)ニコチン酸メチル(化合物341)の合成
【0356】
【化68】
【0357】
ステップ34-1
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボン酸tert-ブチル(618mg、2mmol)、5,6-ジクロロニコチン酸(384mg、2mmol)および炭酸カリウム(691mg、 5 mmol)、ビストリフェニルホスフィン2塩化パラジウム(140 mg、0.2 mmol)をジメトキシエタン:エタノール:水(容積比1:1:1)の混合液(12mL)に加え、窒素雰囲気下90℃で2時間加熱した。反応溶液に10%硫酸水素カリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用ジオールシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%メタノール/酢酸エチル)で精製し、696 mgの1’-(tert-ブトキシカルボニル)-3-クロロ-1’,2’,3’,6’-テトラヒドロ-[2,4’-ビピリジン]-5-カルボン酸を得た(収率103%)。
H NMR (DMSO, 400 MHz)δ8.95 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 8.27 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 6.25 - 6.33 (m, 1 H), 4.02 - 4.08 (m, 2 H), 3.51 - 3.57 (m, 2 H), 3.3 (m, 2 H), 1.44 (s, 9 H)
LC-MS: r.t. 2.78 min., m/z 284 (M+1-C4H8)。
【0358】
ステップ34-2
1’-(tert-ブトキシカルボニル)-3-クロロ-1’,2’,3’,6’-テトラヒドロ-[2,4’-ビピリジン]-5-カルボン酸(696 mg, 2 mmol)をメタノール(5 mL)に加え、次いで過剰の塩化チオニルを加え、45℃で3時間加熱した。溶媒を濃縮し、3-クロロ-1’,2’,3’,6’-テトラヒドロ-[2,4’-ビピリジン]-5-カルボン酸メチル 塩酸塩を得、精製すること無しに次のステップに用いた。
LC-MS: r.t. 1.55 min., m/z 253 (M+1)。
【0359】
ステップ34-3
3-クロロ-1’,2’,3’,6’-テトラヒドロ-[2,4’-ビピリジン]-5-カルボン酸メチル 塩酸塩(322 mg, 1.114 mmol)をメタノール(5 mL)に溶かし、Pd/C(53 mg)を加え水素雰囲気下室温で1時間撹拌した。LC/MSにより、5-クロロ-6-(ピペリジン-4-イル)ニコチン酸メチル 塩酸塩(1.114 mmol)の生成を反応液中に確認した。反応物をセライトで濾過してPd/Cを除去し、濾液を濃縮し次の反応に用いた。
LC-MS: r.t. 1.57 min., m/z 255 (M+1)。
【0360】
ステップ34-4
5-クロロ-6-(ピペリジン-4-イル)ニコチン酸メチル 塩酸塩(1.114 mmol)を含む濃縮物とトリエチルアミン(0.621 mL, 4.46 mmol)をDMF(3 mL)に加えて第1液を作製した。1.114 mmolの2-フルオロ-N-ヒドロキシ-6-(トリフルオロメチル)ベンズイミドイル クロリドをDMFに加えて第2液(0.88235 mmol/mL in DMF)を作製した。第1液全量に第2液全量を室温で加え、終夜撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、12mgの5-クロロ-6-(1-((2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペリジン-4-イル)ニコチン酸メチル(化合物342)をE/Z混合物として得た。
H NMR (DMSO, 400 MHz)δ9.48 (s, 1 H), 8.99 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 8.27 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 7.59 - 7.73 (m, 3 H), 3.89 (s, 3 H), 3.54 (bd, 1 H, J = 14.8 Hz), 3.37 - 3.49 (m, 2 H), 2.75 - 2.89 (m, 2 H), 1.65 - 1.85 (m, 4 H).
LC-MS: r.t. 3.49 min., m/z 460 (M+1)。
【0361】
ステップ34-5
5-クロロ-6-(1-((2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペリジン-4-イル)ニコチン酸メチル(12mg)とp-トルエンスルホン酸(1 mg)をDMSO(1 mL)に加え80℃で1時間加熱した。これにDBU(ジアザビシクロウンデセン;100 μL)を加え、100℃で90分間加熱した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、7.7 mgの表題化合物を得た。
H NMR (DMSO, 400 MHz)δ9.04 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 8.31 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 8.06 (dd, 1 H, J = 2.8, 6.4 Hz), 7.80 - 7.86 (m, 2 H), 3.89 (s, 3 H), 3.64 (bd, 2 H, J = 12.4 Hz), 3.44 - 3.52 (m, 1 H), 3.06 (bt, 2 H, J = 11.2 Hz), 2.04 (dq, 2 H, J = 3.2, 11.6 Hz), 1.91 (bd, 2 H, J = 10.4 Hz).
LC-MS: r.t. 4.08 min., m/z 440 (M+1)。
【0362】
[実施例35]
5-クロロ-6-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペリジン-4-イル)ニコチン酸(化合物351)の合成
【0363】
【化69】
【0364】
5-クロロ-6-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペリジン-4-イル)ニコチン酸メチル(化合物341;7.7 mg)をDME(ジメチルエーテル;1 mL)に加え、次いで1 N水酸化ナトリウム水溶液(0.2 mL)を加え、室温で終夜撹拌した。生成液を減圧濃縮し、1 N塩酸(0.2 mL)を加え中和した。生成した粉末を濾取し、減圧乾燥して3.1 mgの表題化合物を得た。H NMR (DMSO, 400 MHz)δ8.94 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 8.18 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 8.03 (dd, 1 H, J = 2.8, 6.4 Hz), 7.77 - 7.83 (m, 2 H), 3.60 (bd, 2 H, J = 12.4 Hz), 3.37 - 3.48 (m, 1 H), 3.02 (bt, 2 H, J = 11.6 Hz), 2.02 (dq, 2 H, J = 3.2, 12.4 Hz), 1.86 (bd, 2 H, J = 11.2 Hz).
LC-MS: r.t. 3.66 min., m/z 426 (M+1)。
【0365】
[実施例36]
3-(4-(2-クロロフェニル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(化合物361)の合成
【0366】
【化70】
【0367】
ステップ36-1
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボン酸tert-ブチル(309 mg, 1 mmol)、1-クロロ-2-ヨードベンゼン(238 mg, 1 mmol)および炭酸カリウム(207 mg, 1.5 mmol)、ビストリフェニルホスフィン2塩化パラジウム(70.2 mg, 0.1 mmol)をジメトキシエタン:水(容積比2:1)の混合液(12mL)に加え、窒素雰囲気下90℃で1時間加熱した。反応溶液に10%硫酸水素カリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、287.2 mgの4-(2-クロロフェニル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボン酸tert-ブチルを得た(収率98%)。
H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.34 - 7.37 (m, 1 H), 7.19 - 7.23 (m, 2 H), 7.15 - 7.18 (m, 1 H), 5.62 - 5.72 (br, 1 H), 4.02 - 4.08 (br, 2 H), 3.60 - 3.66 (bt, 2 H, J = 5.4 Hz), 2.41 - 2.48 (br, 2 H), 1.50 (s, 9 H).
LC-MS: r.t. 3.77 min., m/z 238 (M+1-C4H8)。
【0368】
ステップ36-2
4-(2-クロロフェニル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボン酸tert-ブチル(280.5 mg)を4 N塩酸/酢酸エチル(5 mL)に加え室温で一晩放置した。溶媒を濃縮し、4-(2-クロロフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン塩酸塩を得、精製すること無く次のステップに用いた。
LC-MS: r.t. 1.75 min., m/z 194 (M+1)。
【0369】
ステップ36-3
4-(2-クロロフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン塩酸塩(115 mg, 0.5 mmol)とトリエチルアミン(0.209 mL, 1.5 mmol)をDMF(3 mL)に加えて第1液を作製した。0.5 mmolの2-フルオロ-N-ヒドロキシ-6-(トリフルオロメチル)ベンズイミドイル クロリドをDMFに加えて第2液(0.88235 mmol/mL in DMF)を作製した。第1液全量に第2液全量を室温で加え、1時間撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し158.5 mgのE-(4-(2-クロロフェニル)-3、6-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)(2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル)メタノン オキシム(化合物362)をE/Z混合物として得た。そのうち80 mgを次の反応に用いるために分離し、残りを分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、E-(4-(2-クロロフェニル)-3、6-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)(2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル)メタノン オキシム(化合物362(E))とそのZ異性体(化合物362(Z))を得た。
(E)-(4-(2-クロロフェニル)-3、6-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)(2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル)メタノン オキシム(27.6 mg、Rf = 0.56)
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ 7.52 - 7.61 (m, 2 H), 7.32 - 7.41 (m, 2 H), 7.16 - 7.25 (m, 3 H), 6.25 (brs, 1 H), 5.69 (brm, 1 H), 3.84 - 3.99 (m, 2 H), 3.17 - 3.31 (m, 2 H), 2.33 - 2.49 (m, 2 H).
LC-MS: r.t. 3.41 min., m/z 399 (M+1)。
(Z)-(4-(2-クロロフェニル)-3、6-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)(2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル)メタノン オキシム(17.1 mg、Rf = 0.34)
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ 7.51 - 7.59 (m, 2 H), 7.31 - 7.39 (m, 2 H), 7.15 - 7.23 (m, 3 H), 6.25 (brs, 1 H), 5.62 (brm, 1 H), 3.91 - 4.15 (m, 2 H), 3.50 - 3.58 (m, 2 H), 2.45 - 2.51 (m, 2 H).
LC-MS: r.t. 3.49 min., m/z 399 (M+1)。
【0370】
ステップ36-4
(4-(2-クロロフェニル)-3、6-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)(2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル)メタノン オキシム(化合物362、E異性体とZ異性体の混合物;80 mg, 0,2 mmol)とp-トルエンスルホン酸(2 mg)をDMSO(1 mL)に加え80℃で30分間加熱した。これにDBU (100 μL)を加え、100℃で90分間加熱した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、67.6 mgの表題化合物を得た(収率89%)。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ 7.73 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 7.59 - 7.67 (m, 2 H), 7.38 (dd, 1 H, J = 7.2, 2.0 Hz), 7.19 - 7.28 (m, 3 H), 5.79 - 5.83 (m, 1 H), 4.05 (dd, 2 H, J = 6, 2.8 Hz), 3.53 (t, 2 H, J = 7.6 Hz), 2.67 - 2.72 (m, 2 H).
LC-MS: r.t. 4.22 min., m/z 379 (M+1)。
【0371】
[実施例37]
5-クロロ-6-(2-オキソ-4-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸エチルの合成(化合物371)の合成
【0372】
【化71】
【0373】
ステップ37-1
3-オキソピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(2.0 g, 9.99 mmol)、5,6-ジクロロニコチン酸エチル(2.3 g, 10.45 mmol)、炭酸セシウム(6.51 g, 19.98 mmol)、ザントフォス(578 mg, 0.999 mmol)およびPd(dba)(457 mg, 0.499 mmol)をトルエン(20 mL)に加え窒素雰囲気下120℃で3時間加熱した。反応溶液をシリカゲルパッドに通し、濾液を濃縮した。残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、2.67 g の4-(3-クロロ-5-(エトキシカルボニル)ピリジン-2-イル)-3-オキソピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(収率70%)。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ 9.05 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 8.40 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 4.43 (q, 2 H, J = 7.2 Hz), 4.20 - 4.35 (m, 2 H), 4.05 (brm, 1 H), 3.84 (brm, 2 H), 3.61 (brm, 1 H), 1.50 (s, 9 H), 1.41 (t, 3 H, J = 7.2 Hz).
LC-MS: r.t. 2.82 min., m/z 328 (M+1)。
【0374】
ステップ37-2
4-(3-クロロ-5-(エトキシカルボニル)ピリジン-2-イル)-3-オキソピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(369 mg, 0.961 mmol)を4 N塩酸/酢酸エチル混合液(5 mL)に加え室温で一晩撹拌し、溶媒を濃縮乾固し、5-クロロ-6-(2-オキソピペラジン-1-イル)ニコチン酸エチル塩酸塩を得た。残渣は精製することなく次のステップに用いた。
H NMR (DMSO, 400 MHz)δ 8.21 (br, 1 H), 7.08 (br, 1 H), 4.06 (br, 2 H), 3.63 (q, 2 H, J = 7.2 Hz), 2.89 - 3.42 (brm, 4 H), 0.61 (t, 3 H, J = 7.2 Hz).
LC-MS: r.t. 1.37 min., m/z 284 (M+1)。
【0375】
ステップ37-3
5-クロロ-6-(2-オキソピペラジン-1-イル)ニコチン酸エチル塩酸塩(296 mg, 0.925 mmol)とトリエチルアミン(0.515 mL, 3.7 mmol)をDMF(6 mL)に加えて第1液を作製した。0.925 mmolの2-フルオロ-N-ヒドロキシ-6-(トリフルオロメチル)ベンズイミドイル クロリドをDMFに加えて第2液を作製した(0.88235 mmol/mL in DMF)。第1液に第2液を室温で加え、一晩撹拌した。反応溶液に10%KHSO水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層をNaHCO水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、(Z)-5-クロロ-6-(4-((2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)-2-オキソピペラジン-1-イル)ニコチン酸エチル(化合物372(Z))(262.3 mg, Rf = 0.4, 1:1ヘキサン/酢酸エチル)を得た。収率58%。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ 9.00 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 8.38 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 8.17 (br, 0.5 H), 7.54 - 7.58 (m, 2 H), 7.32 - 7.40 (m, 1 H), 4.42 (q, 2 H, J = 7.2 Hz), 3.58 - 4.30 (br, 4.5 H), 1.40 (t, 3 H, J = 7.2 Hz).
LC-MS: r.t. 2.61 min., m/z 489 (M+1)。
【0376】
ステップ37-4
(Z)-5-クロロ-6-(4-((2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル)-2-オキソピペラジン-1-イル)ニコチン酸エチル(化合物372(Z);128.8 mg)とp-トルエンスルホ酸(10 mg)をDMSO(2 mL)に加え80℃で1時間加熱した。これにDBU (910 μL)を加え、120℃で30分間加熱した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、残渣を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、表題化合物を得た(50 mg、Rf = 0.4, 1:1ヘキサン/酢酸エチル)。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ 9.04 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 8.43 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 7.79 (dd, 1 H, J = 1.6, 7.2 Hz), 7.65 - 7.71 (m, 2 H), 4.44 (q, 2 H, J = 7.2 Hz), 4.15 -4.35 (brm, 3 H), 3.72 - 3.82 (m, 3 H), 1.43 (t, 3 H, J = 7.2 Hz).
LC-MS: r.t. 2.66 min., m/z 441 (M+1)。
【0377】
[実施例38]
5-クロロ-6-(2-オキソ-4-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸(化合物381)の合成
【0378】
【化72】
【0379】
5-クロロ-6-(2-オキソ-4-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)ニコチン酸エチル(化合物371;45 mg)をDME(2 mL)に加え、さらに2 N水酸化ナトリウム水溶液(1 mL)を加え、室温で一晩撹拌した。溶液を減圧濃縮し1 N塩酸(2 mL)を加え中和した。生成した粉末を濾取し、減圧乾燥し、18.3 mgの表題化合物を得た。
H NMR (DMSO, 400 MHz)δ 8.96 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 8.42 (d, 1 H, J = 1.6 Hz), 8.10 - 8.16 (m, 1 H), 7.86 - 7.89 (m, 2 H), 4.02 - 4.15 (m, 3 H), 3.62 - 3.75 (m, 3 H).
LC-MS: r.t. 2.66 min., m/z 441 (M+1)。
【0380】
[実施例39]
3-クロロー4-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾールー3-イル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンー4-イル)安息香酸メチル(化合物391)の合成
【0381】
【化73】
【0382】
1-クロロ-2-ヨードベンゼンに代えて4-ブロモ-3-クロロ安息香酸メチルを用いた以外は、実施例36の方法に従って表題化合物を得た。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.05 (d, 1 H, J = 1.2 Hz), 7.92 (dd, 1 H, J = 1.2, 8.4 Hz), 7.76 (d, 1 H, J = 7.2 Hz), 7.62 - 7.68 (m, 2 H), 7.57 (d, 1 H, J = 8.4 Hz), 5.83 (m, 1 H, J = 7.6 Hz), 4.87 (dd, 1 H, J = 3.6, 8.0 Hz), 4.10 - 4.16 (m, 1 H), 3.92 (s, 3 H), 3.64 - 3.71 (m, 1 H), 3.51 - 3.58 (m, 1 H), 2.36 - 2.46 (m, 1 H), 1.86 - 1.95 (m, 1 H).
LC-MS: r.t. 3.72 min., m/z 437 (M+1)。
【0383】
[実施例40]
3-クロロー4-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾールー3-イル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンー4-イル)安息香酸メチル(化合物401)の合成
【0384】
【化74】
【0385】
化合物371に代えて3-クロロー4-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]イソオキサゾールー3-イル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンー4-イル)安息香酸メチル(化合物391)を用いた以外は、実施例38の方法に従って表題化合物を得た。
H NMR (CDCl, 400 MHz)δ8.13 (d, 1 H, J = 2 Hz), 7.97 (dd, 1 H, J = 2, 7.6 Hz), 7.74 (d, 1 H, J = 7.6 Hz), 7.62 - 7.68 (m, 2 H), 7.39 (d, 1 H, J = 8 Hz), 5.87 - 5.91 (m, 1 H), 4.05 - 4.09 (m, 2 H), 3.54 (t, 2 H, J = 6.8 Hz), 2.68 - 2.73 (m, 2 H).
LC-MS: r.t. 3.40 min., m/z 423 (M+1)。
【0386】
[試験例1]
TRPCチャネルを一過的に発現したHEK293細胞を用いたカルシウムアッセイ
1.TRPCチャネルの細胞への導入および発現
HEK293細胞(ヒト胎児腎由来細胞)にTRPC6遺伝子をリポフェクション法で導入し、細胞膜にTRPC6チャネルを発現させた。具体的には、TRPC6のプラスミドDNA(pCI-neo (promega社))をリポフェクション剤を用いてHEK293細胞へ導入後、37℃で24~48時間培養し細胞膜にTRPC6チャネルを発現させた。同様にして、TRPC3遺伝子を導入したHEK293細胞を培養し細胞膜にTRPC3チャネルを発現させた。
【0387】
2.TRPC発現細胞内におけるカルシウムイオン濃度変化の測定
培養細胞をトリプシンで剥がし、カバーガラスに撒き直したのち、再び37℃で3時間培養した。培地にカルシウム指示薬Fura-2 AMを加え30分間37℃で培養し細胞に取り込ませた。細胞外溶液にはCa2+含有溶液およびCa2+フリー溶液を用意した。
【0388】
Ca2+含有溶液:(2 mM CaCl2, 132 mM NaCl, 4 mM KCl, 1mM MgCl2, 5 mMグルコース, 5 mM HEPES (pH7.4))
Ca2+フリー溶液:(132 mM NaCl, 4 mM KCl, 1mM MgCl2, 5 mMグルコース, 5 mM HEPES (pH7.4))
【0389】
Ca2+含有溶液に細胞を入れた後、室温で、Fura-2の蛍光強度(510 nm)をARGUS CA-20(Hamamatsu Photonics社)で経時的に測定しつつ以下の操作を行った。
【0390】
0分:Ca2+含有溶液を入れた測定用チャンバーにTRPC3発現細胞またはTRPC6発現細胞を入れる
30秒後:Ca2+含有溶液をCa2+フリー溶液に置き換える
1分後:Ca2+フリー溶液に所定量の試験化合物を添加する
3分後:Ca2+フリー溶液にカルバコール(100μM)を添加する
7分後:Ca2+フリー溶液を試験化合物およびカルバコール(100μM)を含むCa2+含有溶液に置き換える
15分後:測定終了
【0391】
試験化合物には化合物011を使用し、その添加量は、0.01、0.1、0.5、1.0、5.0、10、または50μMである。また、試験化合物に代えて0.1%のDMSOを使用しコントロールとした。なお、カルバコール(cch)は、TRPCチャネル活性化剤であり、これを細胞に適用すると、TRPCチャネルが開口し、細胞外溶液中のCa2+が細胞内に多量に流入する。また、Fura-2 AMは、AM基(アセトキシメチル基)の存在により細胞膜透過性が高く、細胞内に容易に取り込まれ、細胞内でAM基が加水分解を受けることでFura-2となる結果、Ca2+とキレート形成が可能となるとともに、AM基を失ったことで細胞外へ漏れ出しにくくなる。
【0392】
TRPC6発現細胞およびTRPC3発現細胞での測定結果をカルシウムイメージングでそれぞれ図1および2に示す。細胞内Ca2+濃度は、カルバコール(cch)添加によって、コントロール(DMSO)では100nM程度から280nM程度(TRPC6、図1)または100nM程度から350nM程度(TRPC3、図2)まで上昇したが、試験化合物(化合物011)では100nM程度から140nM程度(TRPC6、図1)または100nM程度から180nM程度(TRPC3、図2)までの上昇であり、TRPC6およびTRPC3チャネルの活性化の抑制が確認された。また、測定結果から濃度-応答曲線を作成したところTRPC6およびTRPC3チャネルの阻害のIC50は、4.6μM(TRPC6)および0.7μM(TRPC3)であった。
【0393】
[試験例2]
TRPC6チャネルを一過的に発現したHEK293細胞を用いたカルシウムアッセイ
試験例1と同様にして調製したTRPC6発現細胞を用い、10μMのPyr 4、ならびに試験化合物として10μMの化合物011、031、041、および191を使用した以外は、試験例1と同様にして、測定開始7分後以降(つまりCa2+含有溶液置換後)における最大カルシウムイオン濃度値を計測した。この最大カルシウムイオン濃度値から、測定開始後30秒までのカルシウムイオン濃度の平均の値(カルシウムイオン濃度の初期値)を控除して算出した値をカルシウムイオン増加量とした。結果を図3に示す。図3では、カルシウムイオン増加量を、コントロール(DMSO)でのカルシウムイオン増加量を100%とした相対値として表した。試験化合物の添加によって細胞内に流入するカルシウムイオンが減少したことから、TRPC6チャネルの活性化の抑制が確認された。
【0394】
[試験例2-1]
TRPC6チャネルを一過的に発現したHEK293細胞を用いたカルシウムアッセイ
試験化合物として10μMの化合物011、361、362(E)、362(Z)、371、372(Z)、381、および401を使用し、Pyr 4を使用しないこと以外は、試験例2と同様にしてカルシウムイオン濃度を測定し、カルシウムイオン増加量を求めた。 各試験化合物のカルシウムイオン増加量を、コントロール(DMSO)でのカルシウムイオン増加量を100%とした相対値として表2に示す。
【表2】
【0395】
試験化合物の添加によって細胞内に流入するカルシウムイオンが減少したことから、TRPC6チャネルの活性化の抑制が確認された。
【0396】
[試験例3]
TRPC6チャネルを一過的に発現したHEK293細胞を用いたカルシウムアッセイ
10μMのPyr 4、ならびに試験化合物として10μMの化合物202(E)、061、および071を用い、TRPCチャネル活性化剤としてカルバコールに代えてATPを使用した以外は、試験例2と同様にしてカルシウムイオン濃度を測定し、カルシウムイオン増加量を求めた。結果を図4に示す。図4では、カルシウムイオン増加量を、コントロール(DMSO)でのカルシウムイオン増加量を100%とした相対値として表した。試験化合物の添加によって細胞内に流入するカルシウムイオンが減少したことから、TRPC6チャネルの活性化の抑制が確認された。
【0397】
[試験例4]
TRPC6チャネルを一過的に発現したHEK293細胞を用いた電気生理的評価
試験例1と同様の処置を施して培養したTRPC6発現細胞を用いて評価を行った。トランスフェクションされた細胞を顕微鏡に設置したチャンバー内に置き、パッチガラス電極(5~10 MΩ)にてホールセル(全細胞)モードにてTRPC6電流を測定した。ここで用いた、細胞外溶液および細胞内溶液は以下のとおりである。
【0398】
細胞外溶液:(140 mM NaCl, 5 mM KCl, 1 mM CaCl2, 1.2 mM MgCl2, 10 mM Glucose, 10 mM HEPES (pH7.4))
細胞内溶液:(120 mM CsOH, 120 mM Aspartate, 20 mM CsCl, 2mM MgCl2, 1.5 mM CaCl2, 5 mM EGTA, 10 mM Glucose, 10 mM HEPES, 2 mM ATP-Na, 0.1 mM GTP (pH7.4))
【0399】
保持電位は-50mVに固定した。細胞にカルバコール(100 μM)を添加することでTRPC電流を惹起させた。カルバコール添加の20秒後に30μMの試験化合物(化合物011)を細胞に30秒間添加することで得られる電流変化を評価した。
【0400】
試験例4の結果(カルバコール:cchで惹起したTRPC6電流における化合物011の効果)を図5に示す。図5の左図は-50mVのトレースを示す。図5の右図は、左図のa, b の二つの時点で約1秒間のランプ波(-100~+100 mVの直線的電圧)を加え測定した電流-電圧特性カーブを示す。試験化合物添加後に電流量の顕著な減少が見られたことから、試験化合物の添加によりTRPC6チャネル活性化の抑制効果が観察された。
【0401】
[試験例5]
線維化阻害評価実験1(ウエスタンブロット法と細胞形態観察)
線維芽細胞におけるα-smooth muscle actin (α-SMA)の発現をウエスタンブロットで評価した。生後1-3日齢マウスから皮膚線維芽細胞を単離し、2.5x10個の細胞を12ウェルプレートに播種した。24時間後に牛胎児血清を除いた培地に交換し、さらに24時間培養しその後、10 ng/mlのtransforming growth factor β1 (TGFβ1)を添加し48時間培養した。なお、TGFβ1添加と同時に、所定濃度(0.1μM、1μM、10μM)の試験化合物(化合物011)、10μMのPyr 2またはDMSO(溶媒コントロール)も添加した。培養後の細胞の形態観察はオールインワン蛍光顕微鏡(Keyence BZ-X700)を使用して行った(倍率20倍)。培養後の細胞をlysis buffer (140 mM NaCl, 20 mM Tris-HCl pH7.8, 1% Triton-X100, 0.05% sodium deoxycholate, 0.1% SDS, 2 mM EDTA, proteinase inhibitor cocktail)により溶解し、SDS-PAGEにより分離後、1次抗体として抗α-SMA抗体(Sigma)、2次抗体としてhorse radish peroxidaseの融合した抗マウスIgG抗体 (Cell signaling)を用いてα-SMAを検出した。
【0402】
ウエスタンブロットの結果を図6に示す。図6では、試験化合物(特に10μM)とPyr 2は、コントロール(DMSOのTGFβ1+)と比較して、α-SMA抗体の発色が薄くなっていることが示されており、試験化合物がTGFβ1によって誘導されるα-SMAの発現を強く阻害したことが確認された。
【0403】
また、顕微鏡観察の結果、Pyr 2添加により細胞の伸長が観察されたのに対し、試験化合物添加では細胞形態の変化および細胞障害性は見られなかった。
【0404】
[試験例6]
線維化阻害評価実験2(免疫蛍光染色法)
試験例5と同様にしてマウスから皮膚線維芽細胞を単離し、滅菌処理をした直径12 mmのカバーガラスを12ウェルプレートに入れ、2.5x105個の細胞を播種し、カバーガラス上にて生育させた。24時間後に牛胎児血清を除いた培地に交換し、さらに24時間培養した。また、別途、生後1-2日齢ラットから心線維芽細胞を単離し、皮膚線維芽細胞の場合と同様の処置を加えた。その後、皮膚線維芽細胞については10 ng/mlのTGFβ1を、心線維芽細胞については2 ng/mlのTGFβ2を添加し48時間培養した。なお、TGFβ添加と同時に、10μMの試験化合物(化合物011)、10μMのPyr 2(従来の阻害剤)またはDMSO(溶媒コントロール)も添加した。別途、培養細胞にTGFβ無添加のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加した細胞も用意した。培養後、細胞を4%パラホルムアルデヒドにより固定化後、0.5% Triton-X100を含むTris buffered saline pH7.4 (TBS)により透過処理を行った。1% bovine serum albuminによりブロック後、1次抗体として抗α-SMA抗体(Sigma)、2次抗体としてAlexa488を融合した抗マウスIgG抗体(Molecular probe) を用いてα-SMAを検出し、蛍光顕微鏡 (Keyence)により20倍対物レンズを用いて画像を取得した。細胞面積当たりの平均蛍光輝度(Fluorescence intensity/pixel)をImage Jソフトウエアを用いて算出し解析した。
【0405】
蛍光染色の結果を図7(皮膚線維芽細胞)および図8(心線維芽細胞)に示す。両細胞において、TGFβ処置は線維状のα-SMAの発現を亢進させた。化合物011は、Pyr2とほぼ同様に、TGFβにより誘導されるα-SMAの発現をほぼ完全に抑制した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8