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特許7178048電極、電極の製造方法、および生体信号測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】電極、電極の製造方法、および生体信号測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/268 20210101AFI20221117BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20221117BHJP
   H01B 1/12 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
A61B5/268
H01B5/14 Z
H01B1/12 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019093760
(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公開番号】P2020185336
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手島 哲彦
(72)【発明者】
【氏名】上野 祐子
(72)【発明者】
【氏名】樫村 吉晃
(72)【発明者】
【氏名】竹内 昌治
(72)【発明者】
【氏名】大崎 寿久
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/157550(WO,A1)
【文献】特開2015-077414(JP,A)
【文献】特表2013-512062(JP,A)
【文献】特開2017-020944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05-5/0538
5/24-5/398
A61N 1/00-1/34
1/36-1/44
H01B 1/00-1/24
5/00-5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基材と、前記絶縁性基材の少なくとも一方の表面に積層された導電性中間層と、前記導電性中間層の前記絶縁性基材側とは反対側の表面に積層された導電性高分子層とを有し、前記絶縁性基材は、ポリパラキシレン樹脂を含む可撓性樹脂膜であって、前記導電性中間層は、グラフェン単層であって、前記導電性高分子層は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(4-スチレンスルホン酸)を含み、前記導電性中間層は、前記導電性高分子層よりも前記絶縁性基材に対する親和性が高いことを特徴とする生体内埋め込み電極。
【請求項2】
ポリパラキシレン樹脂を含む可撓性樹脂膜である 絶縁性基材の少なくとも一方の表面に、グラフェン単層である導電性中間層を形成する導電性中間層形成工程と、
導電性中間層の前記絶縁性基材側とは反対側の表面に、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(4-スチレンスルホン酸)を含む導電性高分子層をめっき法により形成する導電性高分子層形成工程とを、有する生体内埋め込み電極の製造方法。
【請求項3】
導電性中間層形成工程において、転写用基板の表面に形成した導電性中間層を前記絶縁性基材の少なくとも一方の表面に転写することにより導電性中間層を形成する請求項に記載の電極の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の電極を有する生体信号測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極と、その電極の製造方法、およびその電極を用いた生体信号測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペースメーカやブレインマシンインタフェース(BMI)、筋組織由来の電気信号の計測制御技術の向上に伴い、体内という水分を多く含む環境でも長期的かつ構造安定的に使用可能な生体内埋め込み電極の需要が高まっている。従来、金や銀、酸化インジウム錫(ITO)などの金属材料で構成された電極を用いて生体内の電気計測が広く行われてきた。
【0003】
しかしながら、金属材料で構成された電極を生体組織内に埋め込みを行うと、その金属材料の有する剛直性の高さ、親水性の低さ、さらに細胞の材料表面での生育性の低さに起因して、数か月以上の長期的の埋め込みによって接触する生体組織との乖離が生じ信号の取得が困難となる場合があった。そのため、その都度新規電極を入れ替えて刺入する必要があり、刺入される部位の損傷や個体への精神的な負荷が問題となっていた。また金属材料は光透過性が低いため、接触している生体組織の形状や様態変化などの継時的変化が観察できず、その場観察の可能性が強く求められている。さらに金属材料の希少性の高まりと共に、製造単価の増加が問題となっており、高い生体適合性と柔軟性を有し、かつ希少性が低い代替となる導電性材料の開発が盛んに行われている。
【0004】
そこで近年、生体内埋め込み電極の電極材料として、導電性高分子を利用することが検討されている。導電性高分子は単独で電極状に成形することが難しい。このため、導電性高分子を電極材料とする生体内埋め込み電極では、絶縁性基材の表面に導電性高分子層を形成するのが一般的である。例えば、特許文献1には、基材繊維に、PEDOT-PSSを含む導電体が含浸及び/又は付着されてなる導電性高分子繊維を、生体内埋め込み電極として用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】再公表WO2013/073673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
生体内埋め込み電極では、電極埋め込み時の生体の動作によって電極に歪が付与されても絶縁性基材と導電性高分子層とが剥離しないように密着性が高いことが好ましい。しかしながら、絶縁性基材の表面に直接導電性高分子層を形成した従来の電極では、過剰な歪が付与された場合には、絶縁性基材と導電性高分子層とが剥離するおそれがあった。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、絶縁性基材と導電性高分子層との密着性が高い電極およびその電極の製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、基材と導電性高分子層との密着性が高い電極を用いた生体信号測定装置を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、絶縁性基材と導電性高分子層との間に、導電性高分子層よりも絶縁性基材に対する親和性が高い導電性中間層を設けることによって、絶縁性基材と導電性高分子層との密着性を向上させることができることを見出して、本発明を完成させた。
【0009】
本発明の一の態様である電極は、絶縁性基材と、前記絶縁性基材の少なくとも一方の表面に積層された導電性中間層と、前記導電性中間層の前記絶縁性基材側とは反対側の表面に積層された導電性高分子層とを有し、前記絶縁性基材は、ポリパラキシレン樹脂を含む可撓性樹脂膜であって、前記導電性中間層は、グラフェン単層であって、前記導電性高分子層は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(4-スチレンスルホン酸)を含み、前記導電性中間層は、前記導電性高分子層よりも前記絶縁性基材に対する親和性が高い生体内埋め込み電極であることを特徴とする。
【0011】
本発明の一の態様である電極の製造方法は、ポリパラキシレン樹脂を含む可撓性樹脂膜である絶縁性基材の少なくとも一方の表面に、グラフェン単層である導電性中間層を形成する導電性中間層形成工程と、導電性中間層の前記絶縁性基材側とは反対側の表面に、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(4-スチレンスルホン酸)を含む導電性高分子層をめっき法により形成する導電性高分子層形成工程とを、有する生体内埋め込み電極の製造方法である
【0012】
本発明の一の態様である電極の製造方法において、前記導電性中間層形成工程は、転写用基板の表面に形成した導電性中間層を前記絶縁性基材の少なくとも一方の表面に転写することにより導電性中間層を形成する構成とされていてもよい。
【0013】
本発明の一の態様である生体信号測定装置は、上述の本発明の一の態様である電極を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基材と導電性高分子層との密着性が高く、耐久性が高く、かつ高精細な電極およびその電極の製造方法を提供することが可能となる。また、本発明によれば、基材と導電性高分子層との密着性が高く、耐久性が高い電極を用いた生体信号測定装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る電極の断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電極の製造方法を説明する断面図である。
図3】実施例1において、めっき法によりPEDOT-PSS層を形成したときの単位面積当たりに流れた電荷量と、形成されたPEDOT-PSS層の厚みとの関係を示すグラフである。
図4】実施例1で作製した電極の光の透過率を示すグラフである。
図5】実施例1で作製した電極のPEDOT-PSS層と液滴の接触時間と接触角との関係を示すグラフである。
図6】実施例1で作製した電極の面方向に電圧を印加したときの電圧値と電流値との関係を示すグラフである。
図7】実施例1で作製した電極のサイクリックボルタンメトリーの測定結果である。
図8】実施例1で作製した円錐状電極の斜視図である。
図9】円錐状電極が刺入されたラットの脳組織の免疫染色像である。
図10】実施例2で作製した電極のPEDOT-PSS層を積層する前と後のSEM画像である。
図11】実施例2で作製した電極のPEDOT-PSS層を積層する前と後の位相差画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0017】
<電極>
以下、本発明の一実施形態である電極について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電極の断面図である。
【0018】
図1に示すように、電極1は、絶縁性基材10と、絶縁性基材10の一方の表面(図1において上面)に積層された導電性中間層12と、導電性中間層12の絶縁性基材10側とは反対側の表面に積層された導電性高分子層13とを有する。導電性中間層12は、導電性高分子層13よりも絶縁性基材10に対する親和性が高い材料とされている。
【0019】
絶縁性基材10は可撓性樹脂膜11とされている。可撓性樹脂膜11は、用途によっても異なるが、電極1を全体的に円筒状、円錐状などの任意の形状に加工できる程度の可撓性を有していることが好ましい。可撓性樹脂膜11の材料としては特に制限はなく、次に述べるように導電性中間層12の材料との組み合わせを考慮して適宜選択することができる。
【0020】
導電性中間層12は、可撓性樹脂膜11と導電性高分子層13とが互いに剥がれないように結合するための結合層(リンカ―)として作用する。導電性中間層12は可撓性樹脂膜11が有する分子構造に対して親和性を示す構造を有することが好ましい。親和性を示す構造は、例えば、可撓性樹脂膜11が有する分子構造に対して、分子間相互作用によって、可撓性樹脂膜11と導電性中間層12との密着性を向上させる構造である。分子間相互作用の例としては、例えば、ファンデルワールス力、分散力(π-π相互作用)、静電力、水素結合が挙げられる。
【0021】
例えば、可撓性樹脂膜11が六員環を有する樹脂を含む場合は、導電性中間層12は六員環構造を有することが好ましい。可撓性樹脂膜11に含まれる六員環は、共役二重結合六員環であることが好ましい。導電性中間層12が有する六員環構造はグラフェン構造であることが好ましい。この場合、可撓性樹脂膜11と導電性中間層12は、六員環のπ電子系により非局在化した電子が豊富に存在するので、その界面においてπ-π相互作用が誘導され、可撓性樹脂膜11と導電性中間層12の密着性が向上する。π-π相互作用はファンデルワールス力や水素結合よりも強い密着力を有する。このため、大気中だけでなく水中でも剥離しにくい可撓性樹脂膜11と導電性中間層12の積層体を形成することができる。
【0022】
可撓性樹脂膜11に含まれる六員環を有する樹脂として、例えば、ポリパラキシレン樹脂を用いることができる。グラフェン構造を有する導電性中間層12の材料としては、例えば、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、黒鉛などのグラフェン系炭素材料を用いることができる。グラフェン系炭素材料は、単層のグラフェンあるいは2~30層の多層グラフェンであることが好ましい。
【0023】
導電性高分子層13は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(4-スチレンスルホン酸)、ポリチオフェン系高分子、ポリビチオフェン系高分子、ポリイソチオフェン系高分子、ポリドデシルチオフェン系高分子、ポリイソナイトチオフェン系高分子、ポリ-3-ヘキシルチオフェン系高分子、ポリアセン系高分子、ポリパラフェニレン系高分子、ポリアニリン系高分子、ポリジアセチレン系高分子、ポリピロール系高分子およびポリアニリン系高分子からなる群から選択される導電性高分子を含むことが好ましい。これらの導電性高分子は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記の導電性高分子は、いずれも生体適合性が高い。このため、上記の導電性高分子を導電性高分子層13の材料として用いることによって、電極1の生体適合性が向上する。
【0024】
導電性高分子層13は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(4-スチレンスルホン酸)を含むことが好ましく、特に、PEDOT-PSS[ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホン酸)]を含むことが好ましい。PEDOT-PSSは、π共役系導電性高分子であるPEDOTと高分子電解質であるPSSとが複合化した構造を有し、親水性と生体適合性に優れている。
【0025】
導電性高分子層13の材料として、生体毒性が低く、生体適合性が高い導電性高分子を用いることによって、電極1の表面に細胞を培養したり、生体内埋め込み電極として生体組織内に刺入したりする場合に、細胞や生体組織などの生体由来試料に対して毒性を示すことのない導電性インタフェースとしての利用が可能となる。特に、上記の導電性高分子を用いた電極1は、1年以上の長期間にわたって生体試料に接触させた状態でも、生体試料の構造や活性を変化させないという特長を有する。このため、これまで数か月程度という短期間に制限されていた生体内埋め込みの持続期間をさらに延長することができ、これにより、生体に関するデータを長期間にわたって安定的に計測することが可能となる。上記の導電性高分子を用いた電極1は、例えば癲癇や脊髄損傷のような神経組織の修復のための生体内埋植用電極、ブレインマシンインタフェース(BMI)や筋組織由来の電気信号計測電極、細胞由来の電気的信号を計測する多電極アレイ(MEA)、微細なフレキシブル電池用素子、導電性高分子を用いたアクチュエータ用の素子など幅広い基板素子としての応用が可能となる。
【0026】
また、導電性高分子層13は、厚みが厚くなると、表面の凹凸が大きくなり、電気二重層を形成する電極表面(内部における空気または溶媒と触れ合う部分)の面積が増大し、その部分に電荷が保持される傾向が高くなる(キャパシタ効果)。導電性高分子層13がキャパシタ効果を有する電極1は、ノイズに埋もれがちな微弱な信号、例えば、脳由来の生体内電気信号も計測できるほどの電極特性を得ることができる。よって、この電極1は、生体信号測定装置用の生体内埋め込み電極として有用である。
【0027】
電極1は、300~1300nmの光の波長領域において、透過率が30%以上となる波長領域を有していることが好ましい。このような光透過性を有することによって、例えば、顕微鏡観察時において、正立型・倒立型を問わずあらゆる種類の光学顕微鏡において使用可能であり、さらに蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡を利用した波長依存性の少ない観察にも応用が可能となる。このような光透過性を有する電極1は、観察対象となる細胞や生体組織の状態のその場観察が可能となるだけでなく、光遺伝学(Optogenetics)などの光学系を組み合わせた生体材料の操作・解析手法にも応用が可能となる。電極1は、300~450nmの光の波長領域において、透過率が30%以上(特に40%以上)であることが好ましい。
【0028】
電極1の可撓性樹脂膜11は、厚みが100nm以上900μm以下の範囲内にあることが好ましい。導電性中間層12は、厚みが原子1個分の厚み以上原子50個分の厚み以下の範囲内にあることが好ましい。導電性高分子層13は、厚みが10nm以上1.5μm以下の範囲内にあることが好ましい。可撓性樹脂膜11、導電性中間層12および導電性高分子層13の厚みが上記の範囲内にある電極1は、通常、可撓性に優れ、例えば、円筒状や円錐状などの種々の形状への加工が容易となる。また、光透過性にも優れ、光学顕微鏡によるその場観察が容易になる。
【0029】
以上に述べた本実施形態の電極1は、可撓性樹脂膜11と導電性中間層12とは、分子構造による親和性が高く、導電性中間層12と導電性高分子層13とは電気特性による親和性が高い。このため、本実施形態の電極1は、歪が付与された場合でも可撓性樹脂膜11と導電性高分子層13とが剥離しにくい。
【0030】
<電極の製造方法>
次に、本発明の一実施形態である電極の製造方法について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る電極の製造方法を説明する断面図である。
本実施形態の電極の製造方法は、成膜用基板用意工程(図2(a))と、絶縁性基材形成工程(図2(b))と、導電性中間層形成工程(図2(c))と、導電性中間層パターン成形工程(図2(d)~(e))と、導電性高分子層形成工程(図2(f))、剥離工程(図2(g))とを有する。
【0031】
成膜用基板用意工程では、図2(a)に示すように成膜用基板20を用意する。成膜用基板20は、電極1を成形する側の表面(図2(a)においては上面)に、剥離層21が形成されている。剥離層21は、化学的もしくは物理的な手法によって除去可能な層であり、電極1の形成後に、この層を除去することにより、電極1を成膜用基板20から剥離しやすくするための層である。
【0032】
成膜用基板20は、表面の平坦性が高いものであることが望ましい。成膜用基板20の材料として、例えば、シリコン、ソーダガラス、石英、酸化マグネシウム、サファイアなどが挙げられる。
【0033】
剥離層21の材料としては、例えば、所定のエッチング液によって溶解する金属、ゾル-ゲル転移が可能な物理ゲルを用いることができる。物理ゲルとしては、カルシウムイオンの有無によりゲル-ゾル転移を制御できるアルギン酸ゲルを用いることができる。また、光、熱、pHの変化により分解するゲルとして、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)やアゾベンゼン修飾ポリマゲルを用いることができる。
【0034】
成膜用基板用意工程では、図2(b)に示すように、成膜用基板20の剥離層21の表面に可撓性樹脂膜11を形成する。可撓性樹脂膜11の形成方法は特に制限はなく、化学気相成長法(CVD法)、スピンコーティング法、インクジェットプリンティング法、熱蒸着法、スパッタリング法、エレクトロスプレイ法など樹脂膜の形成方法として利用されている各種の方法を利用することができる。
【0035】
導電性中間層形成工程では、図2(c)に示すように、可撓性樹脂膜11の表面に導電性中間層12を形成する。導電性中間層12の形成方法としては、転写法や塗布法を用いることができる。転写法は、別に用意した転写用基板の表面に導電性中間層を形成し、その転写用基板の表面に形成した導電性中間層を、可撓性樹脂膜11の表面に転写する方法である。転写法は、導電性中間層12として単層あるいは多層のグラフェンを用いる場合に有用な方法である。塗布法は、導電性中間層12を形成する材料の粉末を溶媒に分散した塗布液を、可撓性樹脂膜11の表面に塗布して乾燥する方法である。塗布法は、導電性中間層12の材料としてグラフェン粉末、酸化グラフェン粉末、カーボンナノチューブ粉末、黒鉛粉末を用いる場合に有用な方法である。
【0036】
導電性中間層パターン成形工程では、図2(d)に示すように、導電性中間層12の表面に物理マスク22を形成する。物理マスク22は、導電性中間層12の表面にフォトレジストを塗布し、リソグラフィ技術により紫外光を照射しパターニングすることによって形成することができる。次いで、物理マスク22が形成されていない部分の導電性中間層12をエッチングにより除去する。エッチングとしては、酸素プラズマエッチング法などを用いることができる。
【0037】
次に、図2(e)に示すように、物理マスク22を除去する。これにより、所定のパターン状に形成された導電性中間層12が得られる。
【0038】
導電性高分子層形成工程では、図2(f)に示すように、導電性中間層12の表面に導電性高分子層13を形成する。導電性高分子層13はめっき法により形成する。めっき法は電気めっき法であることが好ましい。具体的には、次のようにして導電性高分子層13を形成する。まず、導電性中間層パターン成形工程で得られた成膜用基板20と、剥離層21と、可撓性樹脂膜11と、導電性中間層12とが、この順で積層された導電性積層体を、補助電極と共に導電性高分子が溶解されているめっき液に浸漬させる。次に、導電性積層体と補助電極の間に電圧を印加して、導電性中間層12の表面に導電性高分子を析出させて、導電性高分子層13を形成する。
【0039】
剥離工程では、図2(g)に示すように、剥離層21を溶解除去することによって、可撓性樹脂膜11と、導電性中間層12と、導電性高分子層13とが、この順で積層された電極1を、成膜用基板20から剥離する。得られた電極1は、必要に応じて加熱処理する。例えば、導電性高分子層13の材料としてPEDOT-PSSを用いた場合は、80℃の温度で、20分間加熱処理することが好ましい。
【0040】
本実施形態の電極の製造方法によれば、めっき法を用いて、導電性中間層12の表面に、導電性高分子層13を形成するので、導電性中間層12と導電性高分子層13との密着性が高く、歪に対する耐久性が高い電極1を製造することができる。
【0041】
また、本実施形態の電極の製造方法によれば、フォトリソグラフィ法を用いて導電性中間層12の形状や面積を任意に調整することができる。このため、任意の形状の導電性高分子層13のパターンを作製することが可能となる。なお、本実施形態では、導電性中間層12のパターンを形成する方法として、フォトリソグラフィ法を用いているが、導電性中間層12のパターン形成方法はこれに限定されるものではない。導電性中間層12のパターン形成方法としては、例えば、電子ビームリソグラフィ法やドライエッチング法、インクジェット法を用いることができる。ただし、フォトリソグラフィ法は照射する光の波長をより短くすることにより、インクジェット法のような吐出型のパターニング方法よりも微細な構造のパターンを作製できる。よって、フォトリソグラフィ法を用いることによって、より微細なパターンの導電性高分子層13を形成することが可能となる。
【0042】
<生体信号測定装置>
本発明の一実施形態である生体信号測定装置は、上述の電極1を有する。電極1は、上述のとおり、生体適合性が高いため、生体内埋め込み電極として用いられる。生体信号測定装置は、電極1で測定された生体信号を解析あるいは記録する機能を有する外部装置を備えていることが好ましい。本実施形態の生体信号測定装置は、例えば、脳波、筋電、心電などの測定装置として利用することができる。
【実施例
【0043】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
【0044】
[実施例1]
成膜用基板として、ガラス基板を用意した(縦:32mm横:24mm厚み:100μm)。ガラス基板の表面に、剥離層としてアルギン酸ゲル層を形成した。アルギン酸ゲル層は、ガラス基板の表面にスピンコート法によりアルギン酸ナトリウム薄膜を形成し、その後、ガラス基板を、カルシウムを多く含む溶液に浸漬して、アルギン酸ナトリウムをアルギン酸カルシウムに変換することにより形成した。
次に、アルギン酸ゲル層の上に、絶縁性基材として、ポリパラキシレン樹脂膜を形成した。ポリパラキシレン樹脂膜は、1.6gのパラキシレンダイマを、CVD法を用いて基板上に成長させることによって形成した。形成したポリパラキシレン樹脂膜の膜厚は1μmであった。
【0045】
次に、ポリパラキシレン樹脂膜の表面に、導電性中間層としてグラフェン単層を形成した。グラフェン単層は、単層のグラフェンを有するグラフェン単層付き銅箔を用意し、このグラフェン単層を、ポリパラキシレン樹脂膜の表面に転写することによって形成した。具体的には、グラフェン単層付き銅箔のグラフェン単層の表面に高分子薄膜(ポリメタクリル酸メチル(PMMA))を塗布した後、グラフェン単層付き銅箔の銅箔を、塩化第二鉄溶液を用いて溶解して、グラフェン単層を回収した。グラフェン単層を水面上で洗浄を繰り返した後、グラフェン単層の塗布した高分子薄膜がポリパラキシレン樹脂膜の表面に接するように重ねて、グラフェン単層をポリパラキシレン樹脂膜の表面に転写した。なお、グラフェン単層付き銅箔は、銅箔の表面に、CVD法を用いて単層のグラフェンを形成することによって作製した。
こうして、ガラス基板の表面に、アルギン酸ゲル層と、ポリパラキシレン樹脂膜と、グラフェン単層とが、この順で積層された導電性積層体を得た。
【0046】
次に、得られた導電性積層体のグラフェン単層の表面に、導電性高分子層としてPEDOT-PSS層をめっき法により形成した。具体的には、導電性積層体のグラファイト単層の端部に銀ペーストを塗布し、乾燥して導通を取るために導通部を形成した。次いで、めっき液としてPEDOT-PSS溶液が貯留されているめっき槽に、導電性積層体の導通部が形成されていない部分を浸漬した。導電性積層体の導通部を作用電極(WE)と接続し、めっき槽に補助電極(CE)と参照電極(RE)を浸漬した。参照電極には銀塩化銀電極を、補助電極には白金コイルを使用した。次いで、参照電極を基準として、作用電極を+0.8Vの電圧に設定し、電気めっき法により導電性高分子層としてPEDOT-PSS層を形成した。
【0047】
次に、PEDOT-PSS層が形成された導電性積層体をめっき槽から取り出し、水で十分に洗浄した後、乾燥して、ガラス基板の表面に、アルギン酸ゲル層と、ポリパラキシレン樹脂膜と、グラフェン単層と、PEDOT-PSS層が、この順で積層された積層体を得た。なお、めっき法によりPEDOT-PSS層を形成する際の電圧の印加時間を調整して、厚みが異なるPEDOT-PSS層を有する複数の導電性積層体を得た。得られた積層体をキレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)溶液)に浸漬してアルギン酸ゲル層を溶解除去して、ポリパラキシレン樹脂膜と、グラフェン単層と、PEDOT-PSS層が、この順で積層された電極を、ガラス基板から剥離した。
得られた電極は、80℃の温度で20分間加熱した。
【0048】
以上のようにして得られた電極について、密着安定性、PEDOT-PSS層の膜厚、光透過性、親水性、電気特性、生体適合性を下記の方法により評価した。
【0049】
[密着安定性]
得られた電極全体を座屈したり、ひねりを加えたりすることにより電極に歪を加えた。PEDOT-PSS層の厚みが異なるいずれの電極についても、ポリパラキシレン樹脂膜やPEDOT-PSS層が剥がれたり、PEDOT-PSS層が断裂したりすることはなく、歪に対する密着安定性に優れていることが確認された。
また、電極を純水中に数日浸漬した。浸漬後の電極を純水から取り出して観察したところ、ポリパラキシレン樹脂膜やPEDOT-PSS層は剥離しておらず、水中での密着安定性にも優れているが確認された。
【0050】
[PEDOT-PSS層の膜厚]
PEDOT-PSS層の膜厚は、触針式プロファイラを用いて測定した。
図3は、めっき法によりPEDOT-PSS層を形成したときの単位面積当たりに流れた電荷量と、形成されたPEDOT-PSS層の厚みとの関係を示すグラフである。図3において、横軸は単位面積当たりに流れた電荷量であり、縦軸はPEDOT-PSS層の厚みである。
図3のグラフから、めっき法によりPEDOT-PSS層を形成する際の単位面積当たりに流れた電荷量(電圧の印加時間)とPEDOT-PSS層の厚みとは高い相関性を有することがわかる。この結果から、めっき法を用いてPEDOT-PSS層を形成する際の単位面積当たりに流れた電荷量を調整することによって、PEDOT-PSS層を精度よく管理することが可能であることがわかる。
【0051】
[光透過性]
分光光度計を用いて、波長300nm~1300nmの光の透過率を測定した。その結果を図4に示す。
図4は、実施例1で作製した電極の光の透過率を示すグラフである。図4において、横軸は光の波長であり、縦軸は透過率である。なお、図4中、ポリパラキシレン樹脂膜は、ポリパラキシレン樹脂膜単体であり、グラフェン/ポリパラキシレン積層体は、ポリパラキシレン樹脂膜の表面にグラフェン単層を転写した積層体である。
【0052】
図4のグラフから、ポリパラキシレン樹脂膜およびグラフェン/ポリパラキシレン積層体は、300nm~1300nmの波長領域の光に対して80%以上の透過率を示すことがわかる。PEDOT-PSS層を積層した電極の場合、PEDOT-PSS層の厚みが増加すると共に、特に600nm以上の波長領域の光の透過率が減少することが確認された。一方、290nm~600nmの波長領域については、PEDOT-PSS層の厚みが1μm(単位面積当たりに流れた電荷量:666μC/mm)の場合でも、透過率が40%以上に維持されていることがわかる。
【0053】
[親水性]
電極の親水性を評価するために、電極のPEDOT-PSS層の表面に純水を滴下し、PEDOT-PSS層と、その表面に生成した液滴との接触角の経時変化を測定した。その結果を図5に示す。
図5は、実施例1で作製した電極のPEDOT-PSS層と液滴の接触時間と接触角との関係を示すグラフである。図5において、横軸は接触時間(秒)であり、縦軸は液滴の接触角である。なお、図5中、親水性ガラス板は、市販のガラス板の表面を洗浄し、親水処理を施したものである。疎水性ガラス板は、市販のガラス板の表面を洗浄し、市販の撥水ポリマの塗布により撥水処理を施したものである。ポリパラキシレン樹脂膜は、親水性ガラス板の表面に厚さ1μmのポリパラキシレン樹脂膜を蒸着したものであり、グラフェン/ポリパラキシレン積層体は、そのポリパラキシレン樹脂膜の表面にグラフェン単層を転写した積層体である。PEDOT-PSSスピンコート膜は、親水性ガラス板の表面にスピンコート法により形成したPEDOT-PSSスピンコート膜である。加熱処理後は、PEDOT-PSSスピンコート膜を80℃の温度で20分間加熱処理したものである。
【0054】
図5のグラフに示すように、親水性ガラス板の液滴との接触角は12度であり、疎水性ガラス板の液滴との接触角は88度であった。親水性ガラス板の形成したポリパラキシレン樹脂膜の液滴との接触角は、疎水性ガラス板と同等の80度以上であった。さらにそのポリパラキシレン樹脂膜の表面にグラフェン単層を転写すると、親水性がわずかに向上し、液滴との接触角は70度となった。これに対して、PEDOT-PSSスピンコート膜(加熱所処理前)は、純水の滴下直後の接触角は65度であったが、接触角が時間の経過と共に徐々に40度まで減少し、その後不安定になった。PEDOT-PSSスピンコート膜(加熱処理後)は、純水の滴下直後の接触角は45度であったが、水分を含有して膨潤することによって徐々に接触角が減少することが観察され、最終的に5度以下の値をなることが観察された。そして、実施例1で作製した電極は、純水の滴下直後の接触角は13度であったが、その後22度に上昇し、さらにその後徐々に減少し、5度付近で安定し、PEDOT-PSSスピンコート膜と同等の親水性を示すことが確認された。
【0055】
[電気特性]
(1)電流-電圧
電極のPEDOT-PSS層の表面に、5mmの間隙を有するように、銀ペーストを塗布、乾燥して、2つの銀端子を形成した。次いで銀端子に二端子のプローブを接続し、銀端子間に電圧を印加して、電極の面方向に電圧を印加したときの電流値を測定した。その結果を図6に示す。
図6に示すように、ポリパラキシレン樹脂膜の表面にグラフェン単層を転写したグラフェン/ポリパラキシレン積層体(GR)と比較して、電極は、PEDOT-PSS層の厚みの増加に伴って、同一電圧値での電流値が上昇すること、すなわち抵抗値が低減する傾向があることが確認された。
【0056】
(2)サイクリックボルタンメトリー
電極のサイクリックボルタンメトリーを測定した。その結果を図7に示す。
図7に示すサイクリックボルタンメトリー曲線から、実施例1で作製した電極は、電極電位を直線的に掃引し、応答電流を測定した場合に、キャパシタ効果が生じていることが確認された。
【0057】
[生体適合性]
(1)神経細胞との適合性
実施例1で作製した電極のPEDOT-PSS層表面と、ポリパラキシレン樹脂膜の表面にグラフェン単層を転写したグラフェン/ポリパラキシレン積層体のグラフェン層の表面に、ラット胎児海馬初代培養細胞を播種、培養し、播種2週間後の細胞形状と神経突起の伸展長を測定した。その結果、電極のPEDOT-PSS層表面とグラフェン/ポリパラキシレン積層体のグラフェン層表面とで、細胞形状と神経突起の伸展長に有意差がないことが確認された。
【0058】
(2)心筋細胞との適合性
実施例1で作製した電極のPEDOT-PSS層表面と、ポリパラキシレン樹脂膜の表面にグラフェン単層を転写したグラフェン/ポリパラキシレン積層体のグラフェン層の表面に、ラット胎児心筋初代培養細胞を播種、培養し、播種2週間後の細胞形状と細胞塊形成、ならびに細胞の自発的拍動の周期を測定した。その結果、電極のPEDOT-PSS層表面とグラフェン/ポリパラキシレン積層体のグラフェン層表面とで、細胞形状、細胞塊形成、ならびに細胞の自発的拍動の周期に有意差がないことが確認された。
【0059】
(3)ラットの脳細胞との適合性
実施例1で作製した電極を用いて、円錐状電極を作製した。図8に作製した円錐状電極の斜視図を示す。
図8に示すように、円錐状電極30は、電極1(PEDOT-PSS層の厚み:約1.5μm)を、導電性高分子層13(PEDOT-PSS層)が外側となるように円錐状に巻き付けたものである。円錐状電極30は、最大径3mm、長さ5mmである。
【0060】
作製した円錐状電極をガラスキャピラリの先端に取り付けて、ラットの脳内に刺入した。円錐状電極を刺入してから2ヵ月後のラットの脳切片を得て、得られた脳切片を染色した。そして、円錐状電極が刺入されたラットの脳組織の免疫染色像を、光学顕微鏡を用いて観察した。その免疫染色像を図9に示す。
図9の免疫染色像から、円錐状電極の表面と脳組織と間に乖離は観られず、脳細胞が円錐状電極の表面に生育していることが観察された。
【0061】
[実施例2]
実施例1と同様にして、ガラス基板(成膜用基板)の上に、アルギン酸ゲル層(剥離層)、ポリパラキシレン樹脂膜(絶縁性基材)、グラフェン単層(導電性中間層)を、この順に形成した。得られた導電性積層体のグラフェン単層の表面に、ポジ型フォトレジストを塗布し、リソグラフィ技術により所定パターンの紫外光を照射して、所定パターンの形状を有する物理マスクを形成した。次いで、プラズマアッシャ装置を用いて、物理マスクが形成されていない部分を酸素プラズマによりエッチングして、その部分のグラフェン単体層とポリパラキシレン樹脂膜を除去した。次いで、物理マスクを除去した。
【0062】
次に、エッチングした導電性積層体のグラフェン単層の表面に、実施例1と同様にして、導電性高分子層としてPEDOT-PSS層をめっき法により形成し、水で十分に洗浄した後、乾燥した。そして得られた積層体のアルギン酸ゲル層を溶解除去して、ポリパラキシレン樹脂膜と、グラフェン単層と、PEDOT-PSS層が、この順で積層された電極を、ガラス基板から剥離した。得られた電極は、80℃の温度で20分間加熱した。
【0063】
得られた電極のPEDOT-PSS層側の表面を、SEM(走査型電子顕微鏡)と位相差光顕微鏡とを用いて観察した。図10にPEDOT-PSS層を積層する前と後のSEM画像を、図11にPEDOT-PSS層を積層する前と後の位相差画像を示す。
図10の(a)は、PEDOT-PSS層を積層する前(エッチングした導電性積層体のグラフェン単層の表面)のSEM画像であり、(b)は、PEDOT-PSS層を積層した後のSEM画像である。図11の(a)は、PEDOT-PSS層を積層する前(エッチングした導電性積層体のグラフェン単層の表面)の位相差画像であり、(b)は、PEDOT-PSS層を積層した後の位相差画像である。
図10図11に示すように、PEDOT-PSS層は所定パターンに形成されていることが確認された。
【符号の説明】
【0064】
1…電極、10…絶縁性基材、11…可撓性樹脂膜、12…導電性中間層、13…導電性高分子層、20…成膜用基板、21…剥離層、22…物理マスク、30…円錐状電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11