(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】粒子トラップおよび粒子抑制用バリア
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230322BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2020504233
(86)(22)【出願日】2018-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2018069463
(87)【国際公開番号】W WO2019020445
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-07-16
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(73)【特許権者】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ニーンハイス、ハン-クワン
(72)【発明者】
【氏名】オルブライト、ロナルド、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ブリンカート、ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ヤン-シャン
(72)【発明者】
【氏名】シンメル、ヘンドリクス、ガイスベルトス
(72)【発明者】
【氏名】フェルヴェイ、アントニー、ヘンドリック
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-209555(JP,A)
【文献】特開2012-248834(JP,A)
【文献】特表2013-534727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H05G 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1チャンバと、
第2チャンバと、
第1表面を有する第1構造と、
前記第2チャンバ内の対象物を支持するよう構成され、前記第1構造に対して可動である第2構造であって、前記第1構造の前記第1表面と対向する第2表面を備えることにより前記第1構造と前記第2構造の間において前記第1チャンバと前記第2チャンバの間を延びるギャップを定義し、
前記第2表面とは異なる前記第1チャンバ内の第3表面を備える第2構造と、
前記第3表面の少なくとも一部に配置され、汚染粒子が前記ギャップを通過するのを抑制するよう構成される複数のバッフルを備える第1トラップと、を備えることを特徴とする対象物ステージ。
【請求項2】
前記第1表面の少なくとも一部に配置される第2トラップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の対象物ステージ。
【請求項3】
第1バッフルと前記第1バッフルの隣の第2バッフルとの間の第1距離は、第2バッフルと前記第2バッフルの隣の第3バッフルとの間の第2距離とは異なることを特徴とする請求項1に記載の対象物ステージ。
【請求項4】
前記複数のバッフルの各バッフルは、三角形の断面を有し、前記三角形の断面は、前記三角形の断面に隣接する谷の間を結ぶ仮想線と前記バッフルの第1突出面の間で定義される第1角度と、前記三角形の断面に隣接する谷の間を結ぶ前記仮想線と前記バッフルの第2突出面の間で定義される第2角度とを含むことを特徴とする請求項1に記載の対象物ステージ。
【請求項5】
前記三角形の断面は、前記三角形の断面に隣接する谷の間を結ぶ仮想線と前記バッフルの第1突出面の間で定義される第1角度と、前記三角形の断面に隣接する谷の間を結ぶ前記仮想線と前記バッフルの第2突出面の間で定義される第2角度とを含み、
前記複数のバッフルのうちの第1バッフルの前記第1角度は、前記複数のバッフルのうちの第2バッフルの前記第1角度とは異なることを特徴とする請求項4に記載の対象物ステージ。
【請求項6】
前記第1トラップは、前記第3表面に着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の対象物ステージ。
【請求項7】
前記第1トラップは、前記複数のバッフルが突出する微細構造テープを備えることを特徴とする請求項1に記載の対象物ステージ。
【請求項8】
前記複数のバッフルには、液体が含浸されていることを特徴とする請求項1に記載の対象物ステージ。
【請求項9】
前記第2構造は、ロングストロークモジュールとショートストロークモジュールを備え、
前記第2表面は、前記ロングストロークモジュールの一部であり、
前記第1構造は、静止していることを特徴とする請求項1に記載の対象物ステージ。
【請求項10】
前記対象物は、レチクルであり、
前記第2構造は、前記レチクルを支持するよう構成されるチャックであることを特徴とする請求項1に記載の対象物ステージ。
【請求項11】
前記第1チャンバおよび前記第2チャンバは、それぞれ真空圧で保持されるよう構成されることを特徴とする請求項1に記載の対象物ステージ。
【請求項12】
第1チャンバと、
第2チャンバと、
第1表面を有する第1構造と、
前記第2チャンバ内の対象物を支持するよう構成され、前記第1構造に対して可動である第2構造であって、前記第1構造の前記第1表面と対向する第2表面を備えることにより前記第1構造と前記第2構造の間において前記第1チャンバと前記第2チャンバの間を延びるギャップを定義
する第2構造と、
前記
第1チャンバ内に配置され、汚染粒子が前記ギャップを通過するのを抑制するよう構成されるバリアと、を備えることを特徴とする対象物ステージ。
【請求項13】
前記バリアは、
前記第1表面から突出する第1の複数のバッフルと、
前記第2表面から突出し、前記第1の複数のバッフルと間挿する第2の複数のバッフルと、を備えることを特徴とする請求項12に記載の対象物ステージ。
【請求項14】
前記第2構造は、スキャン方向に移動するよう構成され、
前記第1および前記第2の複数のバッフルの各バッフルは、前記スキャン方向に沿って延びることを特徴とする請求項13に記載の対象物ステージ。
【請求項15】
前記第1および前記第2の複数のバッフルは、前記スキャン方向に直交する方向に沿った視線を共同で遮ることを特徴とする請求項14に記載の対象物ステージ。
【請求項16】
前記第1の複数のバッフルの各バッフルは、前記第2の複数のバッフルの隣り合うバッフルの表面に平行な表面を備えることを特徴とする請求項13に記載の対象物ステージ。
【請求項17】
前記バリアは、前記第1および前記第2の複数のバッフルよりも小さい第3の複数の突出バッフルをさらに備え、前記第3の複数の突出バッフルは、前記第1の複数のバッフル、前記第2の複数のバッフル、前記第1の複数のバッフルの間、または、前記第2の複数のバッフルの間に配置されることを特徴とする請求項13に記載の対象物ステージ。
【請求項18】
前記バリアは、
前記第1構造および前記第2構造の第1側にて前記第1表面および前記第2表面に連結される第1箔と、
前記第1構造および前記第2構造の前記第1側とは反対の第2側にて前記第1表面および前記第2表面に連結される第2箔と、を備えることを特徴とする請求項12に記載の対象物ステージ。
【請求項19】
前記第2構造は、スキャン方向に移動するよう構成され、
前記第1箔および前記第2箔は、前記スキャン方向に巻回(ロール)するよう構成されることを特徴とする請求項18に記載の対象物ステージ。
【請求項20】
前記バリアは、
前記第1箔から離れて、前記第1構造および前記第2構造の前記第1側にて前記第1表面および前記第2表面に連結する第3箔と、
前記第2箔から離れて、前記第1構造および前記第2構造の前記第2側にて前記第1表面および前記第2表面に連結する第4箔と、をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の対象物ステージ。
【請求項21】
前記第3箔の一部は、前記第1箔の一部と重なり、
前記第4箔の一部は、前記第2箔の一部と重なることを特徴とする請求項20に記載の対象物ステージ。
【請求項22】
前記第3箔と前記第1箔の間にギャップが形成され、
前記第4箔と前記第2箔の間にギャップが形成されることを特徴とする請求項20に記載の対象物ステージ。
【請求項23】
前記第1箔および前記第2箔のそれぞれは、金属またはポリマーを備えることを特徴とする請求項18に記載の対象物ステージ。
【請求項24】
前記第2構造は、ロングストロークモジュールとショートストロークモジュールを備え、
前記第2表面は、前記ロングストロークモジュールの一部であり、
前記第1構造は、静止していることを特徴とする請求項12に記載の対象物ステージ。
【請求項25】
前記対象物は、レチクルであり、
前記第2構造は、前記レチクルを支持するよる構成されるチャックであることを特徴とする請求項12に記載の対象物ステージ。
【請求項26】
前記第1チャンバおよび前記第2チャンバは、それぞれ真空圧で保持されるよう構成されることを特徴とする請求項12に記載の対象物ステージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2017年7月28日に出願された米国仮特許出願62/538,198号の利益を主張し、その全体が参照により本書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、例えばリソグラフィにおける粒子トラップおよび粒子バリアなどを用いる粒子抑制に関連する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に付与し、通常基板のターゲット部分に付与する装置である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、代替的にマスクまたはレチクルとも称されるパターニングデバイスがICの個々の層に対応する回路パターンを生成するために使用されうる。このパターンは、基板(例えばシリコンウェハ)上の(例えばダイの一部、一つのダイまたはいくつかのダイを備える)ターゲット部分に転写できる。パターンの転写は、典型的に基板上に設けられる放射感受性材料(レジスト)の層への結像を介する。一般に、単一の基板は、連続的にパターン化される隣接するターゲット部分のネットワークを含むであろう。
【0004】
リソグラフィは、ICおよび他のデバイスおよび/または構造の製造における重要なステップの一つして広く認識される。しかしながら、リソグラフィを使用して作られるフィーチャの寸法が小さくなるにつれて、リソグラフィは小型のICまたは他のデバイスおよび/または構造を製造することを可能にするためにより重要な要素になっている。
【0005】
パターン印刷の限界の理論的推定値は、式(1)に示される解像度のレイリー基準によって与えることができる。
【数1】
ここで、λは使用される放射の波長であり、NAはパターンを印刷するために使用される投影システムの開口数であり、k
1はレイリー定数とも呼ばれるプロセス依存調整係数であり、CDは印刷されるフィーチャのフィーチャサイズ(または限界寸法)である。式(1)によれば、露光波長λを短くすること、開口数NAを大きくすること、またはk
1の値を小さくすることの三つの方法により、印刷可能な最小のフィーチャサイズを減少させることができる。
【0006】
露光波長を短くし、したがって印刷可能な最小サイズを縮小するために、極端紫外(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射は、5-20nmの範囲内、例えば13-14nmの範囲内の波長を有する電磁放射である。10nmよりも短い波長、例えば、6.7nmまたは6.8nmといった5-10nmの範囲内のEUV放射を使用できることがさらに提案されている。そのような放射は、極端紫外放射または軟X線放射と呼ばれる。可能性のある放射源は、例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、または電子貯蔵リングにより提供されるシンクロトロン放射に基づく放射源を含む。
【0007】
リソグラフィ装置は、パターニングデバイス(例えばマスクまたはレチクル)を含む。放射は、パターニングデバイスを透過して、または、パターニングデバイスで反射されて基板上に像を形成する。パターニングデバイスは、真空環境で保持されることができる。この真空環境内では、ケーブル・ホースキャリアなどの汚染粒子源が存在し、これらは汚染粒子を発生させることができる。これらの汚染粒子がパターニングデバイスおよび/またはパターニングデバイスの近傍領域に到達すると、形成される像に欠陥が生じうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、広範囲のサイズ、材料、移動速度および入射角の汚染粒子が粒子の影響を受けやすい環境に到達する可能性を低減する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のある態様によれば、第1チャンバおよび第2チャンバを備える対象物ステージが提供される。この対象物ステージは、第1表面を有する第1構造と、第2構造とをさらに備える。第2構造は、第2チャンバ内の対象物を支持するよう構成され、第1構造に対して可動である。第2構造は、第1構造の第1表面に対向する第2表面を備えることにより第1構造と第2構造の間において第1チャンバと第2チャンバの間を延びるギャップを定義する。第2構造は、第1チャンバ内の第3表面をさらに備える。対象物ステージは、第3表面の少なくとも一部に配置されるトラップをさらに備え、トラップは、汚染粒子がギャップを通過するの抑制するよう構成される複数のバッフルを備える。
【0010】
本開示のある態様によれば、パターニングデバイスから基板にパターンを転写するよう構成されるリソグラフィ装置が提供される。このリソグラフィ装置は、基板を保持してスキャン方向に沿って移動させるよう構成される基板テーブルと、レチクルを保持して移動させるよう構成されるレチクルステージとを備える。レチクルステージは、第1チャンバおよび第2チャンバを備える。レチクルステージは、第1表面を有する第1構造と、第2構造とをさらに備える。第2構造は、第2チャンバ内でレチクルを支持するよう構成され、第1構造に対して可動である。第2構造は、第1構造の第1表面と対向する第2表面を備えることにより第1構造と第2構造の間において第1チャンバと第2チャンバの間を延びるギャップを定義する。第2構造は、第1チャンバ内の第3表面をさらに備える。レチクルステージは、第3表面の少なくとも一部に配置されるトラップをさらに備え、トラップは、汚染粒子がギャップを通過するのを抑制するよう構成される複数のバッフルを備える。
【0011】
本開示のある態様によれば、第1チャンバおよび第2チャンバを備える対象物ステージが提供される。対象物ステージは、第1表面を有する第1構造と、対象物を第2チャンバ内で保持するよう構成され、第1構造に対して可動な第2構造とをさらに備える。第2構造は、第1構造の第1表面と対向する第2表面を備えることにより第1構造と第2構造の間において第1チャンバと第2チャンバの間を延びるギャップを定義する。対象物ステージは、ギャップ内に配置され、汚染粒子がギャップを通過するのを抑制するよう構成されるバリアをさらに備える。
【0012】
本開示のある態様によれば、パターニングデバイスから基板にパターンを転写するよう構成されるリソグラフィ装置が提供される。このリソグラフィ装置は、基板を保持してスキャン方向に沿って移動させるよう構成される基板テーブルと、レチクルを保持して移動させるよう構成されるレチクルステージとを備える。レチクルステージは、第1チャンバおよび第2チャンバを備える。レチクルステージは、第1表面を有する第1構造と、第2チャンバ内でレチクルを支持するよう構成され、第1構造に対して可動である第2構造とをさらに備える。第2構造は、第1構造の第1表面と対向する第2表面を備えることにより第1構造と第2構造の間において第1チャンバと第2チャンバの間を延びるギャップを定義する。レチクルステージは、ギャップ内に配置され、汚染粒子がギャップを通過するのを抑制するよう構成されるバリアをさらに備える。
【0013】
本発明のさらなる特徴および利点は、本発明の様々な実施の形態の構造および動作ととともに、添付の図面を参照しながら以下に詳述される。本発明は、本書に記載される特定の実施の形態に限定されないことに留意されたい。このような実施の形態は、本書において理解を助けることを目的のために示されるにすぎない。追加の実施の形態は、本書に含まれる教示に基づいて当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本書に含まれる明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示を例示し、その記載とともに本開示の原理を説明し、当業者が発明を実施できるようにするのにさらに役立つであろう。
【0015】
【
図1A】本開示のある実施の形態に係る反射型リソグラフィ装置を模式的に示す図である。
【0016】
【
図1B】本開示のある実施の形態に係る透過型リソグラフィ装置を模式的に示す図である。
【0017】
【
図2】本開示のある実施の形態に係る反射型リソグラフィ装置のより詳細を模式的に示す図である。
【0018】
【
図3】本開示のある実施の形態に係るリソグラフィセルを模式的に示す図である。
【0019】
【
図4】本開示のある実施の形態に係るレチクルステージを模式的に示す断面図である。
【0020】
【
図5】本開示のある実施の形態に係る粒子抑制バリアまたはトラップを有する装置を模式的に示す斜視図である。
【0021】
【
図6A】本開示の様々な実施の形態に係る粒子抑制用の粒子バリアの様々な構成を模式的に示す断面図である。
【
図6B】本開示の様々な実施の形態に係る粒子抑制用の粒子バリアの様々な構成を模式的に示す断面図である。
【
図6C】本開示の様々な実施の形態に係る粒子抑制用の粒子バリアの様々な構成を模式的に示す断面図である。
【
図6D】本開示の様々な実施の形態に係る粒子抑制用の粒子バリアの様々な構成を模式的に示す断面図である。
【0022】
【
図7】本開示のある実施の形態に係るバッフル粒子バリアを有する装置を模式的に示す斜視断面図である。
【0023】
【
図8】本開示のある実施の形態に係るバッフル粒子バリアを有する装置を模式的に示す斜視断面図である。
【0024】
【
図9】本開示のある実施の形態に係る微細バッフルを有する粒子バリアの例を模式的に示す断面図である。
【0025】
【
図10A】本開示の様々な実施の形態に係るバッフル粒子バリアの間挿する突出バッフルの例を模式的に示す断面図である。
【
図10B】本開示の様々な実施の形態に係るバッフル粒子バリアの間挿する突出バッフルの例を模式的に示す断面図である。
【
図10C】本開示の様々な実施の形態に係るバッフル粒子バリアの間挿する突出バッフルの例を模式的に示す断面図である。
【
図10D】本開示の様々な実施の形態に係るバッフル粒子バリアの間挿する突出バッフルの例を模式的に示す断面図である。
【0026】
【
図11A】本開示の様々な実施の形態に係る粒子抑制用の粒子トラップを有する装置の様々な構成を模式的に示す断面図である。
【
図11B】本開示の様々な実施の形態に係る粒子抑制用の粒子トラップを有する装置の様々な構成を模式的に示す断面図である。
【0027】
【
図12A】本開示の様々な実施の形態に係る粒子トラップを模式的に示す図である。
【
図12B】本開示の様々な実施の形態に係る粒子トラップを模式的に示す図である。
【
図12C】本開示の様々な実施の形態に係る粒子トラップを模式的に示す図である。
【
図12D】本開示の様々な実施の形態に係る粒子トラップを模式的に示す図である。
【
図12E】本開示の様々な実施の形態に係る粒子トラップを模式的に示す図である。
【
図12F】本開示の様々な実施の形態に係る粒子トラップを模式的に示す図である。
【
図12G】本開示の様々な実施の形態に係る粒子トラップを模式的に示す図である。
【
図12H】本開示の様々な実施の形態に係る粒子トラップを模式的に示す図である。
【
図12I】本開示の様々な実施の形態に係る粒子トラップを模式的に示す図である。
【
図12J】本開示の様々な実施の形態に係る粒子トラップを模式的に示す図である。
【
図12K】本開示の様々な実施の形態に係る粒子トラップを模式的に示す図である。
【
図12L】本開示の様々な実施の形態に係る粒子トラップを模式的に示す図である。
【0028】
本開示の特徴および利点は、全体を通して同様の参照符号が対応する要素を識別する図面と併せて解釈される場合に、以下に記載される詳細な説明からより明らかになるであろう。図面において、同様の参照符号は一般に、同一の、機能的に類似の、および/または構造的に類似の要素を示す。要素が最初に表示される図面は、対応する参照番号の左端の数字で示される。別記のない限り、本開示を通じて与えられる図面は、縮尺通りの図面として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書は、本開示の特徴を包含する一以上の実施の形態を開示する。開示される実施の形態は、本開示を例示するにすぎない。本開示の範囲は、開示される実施の形態に限定されない。本開示は、本書に添付される請求項により定義される。
【0030】
記載される実施の形態および明細書における「一つの実施の形態」「ある実施の形態」「ある実施例」「実施例」「例」などへの参照は、記載される実施の形態が特定の特徴、構造または特性を含んでもよいが、全ての実施の形態が特定の特徴、構造または特性を必ずしも含まなくてもよいことを示す。さらに、そのようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造または特性がある実施の形態に関連して記載される場合、明示的に記載されるか否かによらず、他の実施の形態に関連してこのような特徴、構造または特性を達成することが当業者の知識の範囲内であることが理解されよう。
【0031】
しかしながら、このような実施の形態をより詳細に記載する前に、本開示の実施の形態が実装されうる例示的な環境を示すことが有益である。
【0032】
反射型および透過型リソグラフィシステムの実施例
【0033】
図1Aおよび
図1Bは、本開示の実施の形態が実装されうるリソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’をそれぞれ模式的に示す。リソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’のそれぞれは、放射ビームB(例えば、深紫外または極端紫外放射)を調整するよう構成される照明システム(イルミネータ)ILと;パターニングデバイス(例えば、マスク、レチクルまたは動的パターニングデバイス)MAを支持するよう構築され、パターニングデバイスMAを正確に位置決めするよう構成される第1位置決め装置PMに接続される支持構造(例えば、レチクルステージまたはマスクテーブル)MTと;基板(例えばレジストコートされたウェハ)Wを保持するよう構成され、基板Wを正確に位置決めするよう構成される第2位置決め装置PWに接続される基板テーブル(例えばウェハテーブル)WTとを含む。リソグラフィ装置100および100’は、基板Wのターゲット部分(例えば、一以上のダイを備える)CにパターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを投影するよう構成される投影システムPSも有する。リソグラフィ装置100において、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSは反射型である。リソグラフィ装置100’において、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSは透過型である。
【0034】
照明システムILは、放射ビームを方向付け、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁気型、静電型といった様々な形式の光学素子、または、他の形式の光学素子、または、これらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0035】
サポート構造MTは、基準フレームに対するパターニングデバイスMAの向き、リソグラフィ装置100および100’の少なくとも一つのデザイン、および、パターニングデバイスMAが真空環境で保持されるか否かといった他の条件に応じた態様でパターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MTは、機械式、真空式、静電式または他のクランプ技術を用いてパターニングデバイスMAを保持してもよい。サポート構造MTは、必要に応じて固定または可動にできるフレームまたはテーブルなどであることができる。センサを用いることで、サポート構造MTは、パターニングデバイスMAが例えば投影システムPSに対して所望の位置にあることを確実にできる。
【0036】
「パターニングデバイスMA」の用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するといった目的のために、放射ビームBの断面にパターンを付与するために用いることのできる任意のデバイスを参照するものと広く解釈されるべきである。放射ビームBに付与されるパターンは、集積回路を形成するためにターゲット部分Cに生成されているデバイスの特定の機能層に対応できる。
【0037】
パターニングデバイスMAは、(
図1Bのリソグラフィ装置100’のように)透過型であってもよいし、(
図1Aのリソグラフィ装置100のように)反射型であってもよい。パターニングデバイスMAの例は、レチクル、マスク、プログラマブルミラーアレイおよびプログラマブルLCDパネルを含む。マスクは、リソグラフィにおいて周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、さらに様々なハイブリッド型マスクが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例は、マトリックス状に配列される小型のミラーを採用し、各ミラーは入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜できる。傾斜されるミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームBにパターンを付与する。
【0038】
「投影システムPS」の用語は、用いられる露光放射、または、基板Wでの液浸液の使用や真空の使用といった他の要素について適切となるよう、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁気型、静電型を含む任意の形式の投影システムを包含できる。EUVや電子ビーム放射では、他のガスが放射や電子を吸収しすぎるため、真空環境を用いることができる。したがって、真空壁および真空ポンプの助けを借りて、ビーム経路の全体に真空環境を提供できる。
【0039】
リソグラフィ装置100および/またはリソグラフィ装置100’は、二つ(デュアルステージ)またはそれより多い基板テーブルWT(および/または二以上のマスクテーブル)を有する形式であることができる。このような「マルチステージ」の機械において、追加の基板テーブルWTを並行して用いることができ、または、準備工程を一以上の基板テーブルWTで実行する間、一以上の他のテーブルWTを露光のために用いることができる。いくつかの状況において、追加のテーブルは、基板テーブルWTでなくてもよい。
【0040】
図1Aおよび
図1Bを参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。放射源SOおよびリソグラフィ装置100,100’は、例えば放射源SOがエキシマレーザである場合、分離した存在であることができる。このようなケースでは、放射源SOは、リソグラフィ装置100または100’の一部を形成するものとみなされず、放射ビームBは、例えば適切な方向付けミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBD(
図1B)の助けを借りて、放射源SOからイルミネータILに向けて通過する。他のケースでは、例えば放射源SOが水銀ランプである場合、放射源SOがリソグラフィ装置100,100’の一体的な部分であることができる。放射源SOおよびイルミネータILは、ビームデリバリシステムBDとともに、必要であれば、放射システムと呼ぶことができる。
【0041】
イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタAD(
図1B)を含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側径範囲および/または内側径範囲(通常、それぞれσ-アウタおよびσ-インナと呼ばれる)を調整できる。さらにイルミネータILは、インテグレータINやコンデンサCOといった様々な他の要素(
図1B)を備えることができる。イルミネータILは、ビーム断面に所望の均一性および強度分布を有する放射ビームBを調整するために用いることができる。
【0042】
図1Aを参照すると、放射ビームBは、サポート構造(例えば、レチクルステージまたはマスクテーブル)MTに保持されるパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスMAによりパターン化される。リソグラフィ装置100において、放射ビームBはパターニングデバイス(例えばマスク)MAで反射される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAで反射された後、放射ビームBは、放射ビームBを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる投影システムPSを通過する。第2位置決め装置PWおよび位置センサPS2(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダまたは静電容量センサ)の助けを借りて、基板テーブルWTを(例えば放射ビームBの経路上に異なるターゲット部分Cが位置するように)正確に移動できる。同様に、第1位置決め装置PMおよび別の位置センサIF1は、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めするために用いることができる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1,M2および基板アライメントマークP1,P2を用いてアライメントできる。
【0043】
図1Bを参照すると、放射ビームBは、サポート構造(例えば、レチクルステージまたはマスクテーブルMT)上に保持されるパターニングデバイス(例えばマスクMA)に入射し、パターニングデバイスによりパターン化される。マスクMAを横切ると、放射ビームBは、基板Wのターゲット部分Cにビームを合焦させる投影システムPSを通過する。投影システムは、照明システム瞳IPUと共役な瞳PPU有する。放射の各部分は、照明システム瞳IPUでの強度分布から生じ、マスクパターンでの回折に影響されることなくマスクパターンを横切り、照明システム瞳IPUにて強度分布の像を生成する。
【0044】
第2位置決め装置PWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダまたは静電容量センサ)の助けを借りて、基板テーブルWTを(例えば放射ビームBの経路上に異なるターゲット部分Cが位置するように)正確に移動できる。同様に、第1位置決め装置PMおよび別の位置センサ(
図1Bに不図示)は、(例えば、マスクライブラリからの機械検索の後、または、スキャン中に)放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めするために用いることができる。
【0045】
一般に、レチクルステージまたはマスクテーブルMTの移動は、第1位置決め装置PMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(精細位置決め)の助けを借りて実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2位置決め装置PWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、レチクルステージまたはマスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに接続されることができ、または、固定されることができる。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1,M2および基板アライメントマークP1,P2を用いてアライメントできる。基板アライメントマークは(図示されるように)専用のターゲット部分を占めるが、これらはターゲット部分の間のスペースに配置できる(スクライブラインアライメントマークとして知られる)。同様に、二以上のダイがマスクMA上に設けられる状況では、マスクアライメントマークは、ダイの間に配置できる。
【0046】
レチクルステージまたはマスクテーブルMTおよびパターニングデバイスMAは、真空チャンバ内に存在でき、真空チャンバの内外でマスクまたはレチクルといったパターニングデバイスを移動させるために真空内ロボットIVRを使用できる。代替的に、レチクルステージまたはマスクテーブルMTおよびパターニングデバイスMAは、真空チャンバの外側に存在する場合、真空内ロボットIVRと同様に、様々な輸送動作のために真空外ロボットを使用できる。真空内および真空外ロボットの双方は、任意の荷重(例えばマスク)を輸送ステーションの固定されたキネマティックマウントにスムーズに輸送するため、較正される必要がある。
【0047】
リソグラフィ装置100および100’は、以下のモードの少なくとも一つで用いることができる。
【0048】
1.ステップモードでは、サポート構造(例えば、レチクルステージまたはマスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTが実質的に静止状態とされる間、放射ビームBに付与されたパターン全体がターゲット部分Cに1回で投影される(つまり、単一静的露光)。基板テーブルWTはその後、X方向および/またはY方向にシフトされ、異なるターゲット部分Cを露光できる。
【0049】
2.スキャンモードでは、サポート構造(例えば、レチクルステージまたはマスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTが同期してスキャンされる間、放射ビームBに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(つまり、単一動的露光)。サポートテーブル構造(例えば、レチクルステージまたはマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの拡大(縮小)特性および像反転特性により決定されることができる。
【0050】
3.別のモードでは、サポート構造(例えば、レチクルステージまたはマスクテーブル)MTがプログラマブルパターニングデバイスを保持して実質的に静止状態を維持し、基板テーブルWTが移動またはスキャンされる間、放射ビームBに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される。パルス放射源SOを用いることができ、基板テーブルWTの各移動の後またはスキャン中の一連の放射パルスの間に必要に応じてプログラマブルパターニングデバイスが更新される。この動作モードは、プログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
【0051】
上記の使用モードの組み合わせおよび/または変更を加えたものの使用、または、全く異なるモードの使用も採用できる。
【0052】
ある別の実施の形態において、リソグラフィ装置100は、EUVリソグラフィ用のEUV放射ビームを生成するよう構成される極端紫外(EUV)源を含む。一般に、EUV源は放射システム内に構成され、対応する照明システムはEUV源のEUV放射ビームを調整するよう構成される。
【0053】
図2は、リソグラフィ装置100をより詳細に示し、ソースコレクタ装置SO、照明システムILおよび投影システムPSが含まれる。ソースコレクタ装置SOは、ソースコレクタ装置SOの包囲構造220内で真空環境が維持できるように構築および構成される。EUV放射放出プラズマ210は、放電生成プラズマ源により生成されてもよい。EUV放射は、ガスまたは蒸気、例えばXeガス、Li蒸気またはSn蒸気により生成されてもよく、この中で超高温プラズマ210が生成され、EUV範囲内の電磁スペクトルの放射が放出される。超高温プラズマ210は、例えば、少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを生じさせる放電により生成される。放射の効率的な生成のために、例えば10Paの分圧のXe,Li,Sn蒸気または任意の他の適切なガスまたは蒸気が必要とされてもよい。ある実施の形態において、EUV放射を生成するための励起したスズ(Sn)のプラズマが与えられる。
【0054】
高温プラズマ210により放出される放射は、ソースチャンバ211からコレクタチャンバ212に向けて、ソースチャンバ211の開口内または開口の後方に位置する追加のガスバリアまたは汚染物質トラップ230(いくつかのケースでは、汚染物質バリアまたは箔トラップとも称される)を介して通過する。汚染物質トラップ230は、チャネル構造を含んでもよい。汚染物質トラップ230は、ガスバリアまたはガスバリアとチャネル構造の組み合わせを含んでもよい。本書でさらに示される汚染物質トラップまたは汚染バリア230は、少なくともチャネル構造を含む。
【0055】
コレクタチャンバ212は、いわゆるグレージング入射コレクタであってもよい放射コレクタCOを含んでもよい。放射コレクタCOは、上流側放射コレクタ側面251と下流側放射コレクタ側面252を有する。コレクタCOを横切る放射は、グレーティングスペクトルフィルタ240で反射されて仮想ソース点IFに合焦されることができる。仮想ソース点IFは一般に中間フォーカスと称されてもよく、中間フォーカスIFが包囲構造220の開口219またはその近傍に位置するようにソースコレクタ装置が構成される。仮想ソース点IFは、放射放出プラズマ210の像である。グレーティングスペクトルフィルタ240は、特に赤外(IR)放射を抑制するために用いられる。
【0056】
その後、放射は照明システムILを横切る。この照明システムILは、パターニングデバイスMAにて放射強度の所望の均一性を提供するとともに、パターニングデバイスMAにて放射ビーム221の所望の角度分布を提供するよう構成されるファセットフィールドミラー装置222およびファセット瞳ミラー装置224を含んでもよい。サポート構造MTにより保持されるパターニングデバイスMAにて放射ビーム221が反射されると、パターン化されたビーム226が形成され、パターン化されたビーム226は、ウェハステージまたは基板テーブルWTに保持される基板W上に反射要素228、230を介して投影システムPSによって結像される。
【0057】
一般に、示されるよりも多くの要素が照明光学ユニットILおよび投影システムPSに存在してもよい。グレーティングスペクトルフィルタ240は、リソグラフィ装置の形式に応じて選択的に存在してもよい。さらに、図示されるものより多くのミラーが存在してもよく、例えば、
図2に示すものと比べて1-6個の追加の反射要素が投影システムPS内に存在してもよい。
【0058】
コレクタ光学系COは、
図2に示されるに、コレクタ(またはコレクタミラー)の一例として、グレージング入射リフレクタ253,254および255を持つネスト型コレクタとして描かれる。グレージング入射リフレクタ253,254および255は、光軸Oまわりに軸対称に設けられる。この形式のコレクタ光学系COは、しばしばDPP源と呼ばれる放電生成プラズマ源と組み合わせて用いることが好ましい。
【0059】
リソグラフィセルの実施例
【0060】
図3は、しばしばリソセルまたはクラスタとも称される、リソグラフィセル300を示す。リソグラフィ装置100または100’は、リソグラフィセル300の一部を形成してもよい。リソグラフィセル300は、基板上での露光前および露光後プロセスを実行する装置を含んでもよい。伝統的に、これらは、レジスト層を堆積させるスピンコータSC、露光されたレジストを現像する現像装置DE,冷却プレートCHおよびベークプレートBKを含む。基板ハンドラまたはロボットROは、基板を入力/出力ポートI/O1,I/O2から取り出し、異なるプロセス装置間で基板を移動させ、リソグラフィ装置のローディングベイLBに運ぶ。これらの装置は、しばしば集合的にトラックと称され、トラック制御ユニットTCUの制御下にある。TCU自体は、監視制御システムSCSにより制御され、SCSはリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。したがって、スループットおよびプロセス効率を最大化させるように異なる装置を動作させることができる。
【0061】
粒子抑制用システムの実施例
【0062】
本開示の実施の形態は、
図1A、
図1B、
図2および/または
図3の一以上の装置とともに用いることができる。例えば、本開示の実施の形態は、対象物ステージ(例えば、レチクルステージまたはマスクテーブルMTといったサポート構造、または基板テーブルWT)に適用でき、それらは基板WやパターニングデバイスMAといった対象物を支持するよう構成される。
図4は、レチクルステージ400の一実施の形態の断面を模式的に示す。本開示のいくつかの実施の形態は、レチクルステージについて説明するが、本開示の実施の形態は、リソグラフィ装置(例えば、本開示に記載されるようなリソグラフィ装置100および100’)の他の適切な要素(例えば、基板テーブルWT、ウェハステージ、ウェハハンドラ、レチクルハンドラ、または、粒子汚染の影響を受けやすい他の要素)、または、計測システム、チューブ、ガスフローダクトもしくはガスダクト/パイプのボックスといった他の粒子の影響を受けやすい装置に適用することができる。本開示の実施の形態は、望ましくない汚染粒子の数を低減するために任意の粒子の影響を受けやすい装置にも適用できる。
【0063】
レチクルステージ400は、パターニングデバイス412を支持および移動するよう構成される。レチクルステージ400は、汚染粒子がパターニングデバイス412および/またはパターニングデバイス412の近傍領域に到達する可能性を低減するよう構成される一以上の粒子トラップおよび/または一以上の粒子バリアを有することができる。例えば、
図4に示されるように、レチクルステージ400は、互いに対して可動な第1構造402および第2構造404を含むことができる。いくつかの実施の形態において、第1構造420は静止しており、第2構造404は可動である。いくつかの実施の形態において、第1構造は可動であり、第2構造404は静止している。また、いくつかの実施の形態において、第1構造402および第2構造404の双方が必要に応じて可動であり、または、静止している。
【0064】
第1構造402および第2構造404は、筐体401内に位置できる。いくつかの実施の形態において、
図4に示されるように、第1構造402は、筐体401から分離している。いくつかの実施の形態(不図示)において、第1構造402は、筐体401の部分である。筐体401は、真空圧、つまり、大気圧未満の圧力で保持される容積を定義できる。いくつかの実施の形態において、筐体401は、放射が照明システムILからパターニングデバイス412に向けて通過して投影システムPSに戻ることを可能にするよう構成される開口465を含む。筐体401内において、一以上の第1構造402および第2構造404は、少なくとも第1チャンバ403および第2チャンバ404を少なくとも部分的に定義できる。いくつかの実施の形態において、筐体401は、三以上の真空チャンバを含むことができる。いくつかの実施の形態において、ギャップ414は、第1チャンバ403と第2チャンバ405の間を延びる。いくつかの実施の形態において、ギャップ414は、第1構造402と第2構造404の間の連結により生成され、これは両者間での相対運動を可能にする。いくつかの実施の形態において、第1チャンバ403と第2チャンバ405の間の境界は、ギャップ414により定義される。
【0065】
いくつかの実施の形態によれば、第1チャンバ403および第2チャンバ405は、真空圧、つまり、大気圧未満の圧力で保持されることができる。例えば、真空圧は、約0.1Paから約8.5Paまでの範囲となることができる。いくつかの実施の形態において、真空圧は、約0.5Paから約8.5Paまでの範囲となることができる。例えば、真空圧は、約1.5Paから約8.5Paまでの範囲となることができる。いくつかの実施の形態において、真空圧は、約2Paから約5までの範囲となることができる。いくつかの実施の形態において、真空圧は、約2Paから約3Paまでの範囲となることができる。いくつかの実施の形態において、第2チャンバ405の圧力P405は、第1チャンバ403の圧力P403と同様になることができ、または、異なることができる。例えば、第2チャンバ405の圧力P405は、第1チャンバ403の圧力P403よりも大きい。例えば、第1チャンバ403の圧力P403は、約0.25Paから約1Paであることができ、第2チャンバ405の圧力P405は、約2Paから約3Paであることができる。第2チャンバ405の圧力P405が第1チャンバ403の圧力P403よりも大きい場合、第2チャンバ405から第1チャンバ403に向けて、例えばギャップ414を通過してガスが自然と流れうる(例えば、パージガスフロー)。レチクルステージ400は、以下に詳述される様々な粒子トラップおよび/または粒子バリアの構成を含むことができ、汚染粒子が第2チャンバ405内のパターニングデバイス412および/またはパターニングデバイス412の近傍領域に到達できる可能性を低減する。
【0066】
いくつかの実施の形態において、パターニングデバイス412は、第2構造404が第2チャンバ405内でパターニングデバイス412を移動させることができるように第2構造404に取り付けられる。例えば、第2構造404は、パターニングデバイス412を支持および移動させるよう構成されるチャック(の全体または一部)であることができる。いくつかの実施の形態によれば、第2構造404は、パターニングデバイス412をスキャン方向(例えば、
図4のY軸に平行な方向)およびスキャン方向に対して横切る方向(例えば、
図4のX軸に平行な方向)に移動させることができる。いくつかの実施の形態において、第2構造404は、第1部分408と、第1部分408に対して可動な第2部分410とを含む。また、パターニングデバイス412は、いくつかの実施の形態において、第2部分410に取り付けられることができる。
【0067】
いくつかの実施の形態において、第2部分410は、パターニングデバイス412を支持するレチクルステージ400のショートストロークモジュール(精細位置決め)であることができる。第2部分410は、第2部分410が第1部分408に対して移動できるが、第1部分408によって駆動されるように第1部分410に連結されることができる。非限定的な例において、第2部分410は、第2部分410を移動させるように構成されるモータなどの一以上のアクチュエータ(不図示)によって第1部分408に連結される。いくつかの実施の形態において、第2部分410は、スキャン方向(例えば、
図4のY軸に平行な方向)およびスキャン方向に対して横切る方向(例えば、
図4のX軸に平行な方向)に移動できる。いくつかの実施の形態によれば、第1部分408は、第1構造402に対して移動するよう構成されるレチクルステージ400のロングストロークモジュール(粗動位置決め)であることができる。いくつかの実施において、第1部分408は、スキャン方向(例えば、
図4のY軸に平行な方向)、スキャン方向に対して横切る方向(例えば、
図4のX軸に平行な方向)に移動でき、かつ、スキャン方向および横切る方向の双方に直交する軸(例えば、
図4のZ軸に平行な軸)まわりに回転できる。いくつかの実施の形態において、第2部分410は、第1構造402に対する第1部分408の移動範囲に比べて小さい移動範囲にわたって第1部分408に対して移動できる。ショートストロークモジュールおよびロングストロークモジュールは、部分410および408のそれぞれの例にすぎず、他の構造が部分408および410として用いられることができる。さらに、上述した部分408および410の動きは、例示的な動きであり、本開示の実施の形態は、他の方向および移動範囲を含むことができる。
【0068】
非限定的な例として、第1部分408および第2部分410を含む第2構造404は、金属からなることができる。使用できる金属の一例は、アルミニウムである。しかしながら、他の金属も同様に使用できる。別の非限定的な例として、第2構造404はニッケル(Ni)で被覆されたアルミニウムからなることができ、第1構造420はステンレス鋼などの金属からなることができるが、これに限定されるものではない。第1部分408および第2部分410は、同じまたは異なる金属を含むことができる。いくつかの実施の形態において、第1構造402および第2構造404のそれぞれは、ステンレス鋼、ニッケルで被覆されたアルミニウム、または、任意の他の適切な金属などの金属からなる。いくつかの実施の形態において、第1構造402および第2構造404のそれぞれは、プラスチックまたは任意の他の適切な材料からなる。
【0069】
第1構造402と第2構造404の間のギャップ414は、第1構造402および第2構造404の対向つまり離間する表面415および417により形成できる。いくつかの実施の形態において、第1チャンバ403、第1構造402および第2構造404は、汚染粒子源となりうる部分、例えば、ケーブル・ホースキャリア419を含みうる。これは、第1構造402またはリソグラフィ装置の他の構成要素に第2構造404を電気的および/または流体的に接続する電気配線、流体ホースおよび/またはガスホースを収容する。ケーブル・ホースキャリア419(しばしば、ケーブルスラブとも呼ばれる)は、ケーブルおよび/またはホースを収容および/または支持するための任意の適切な構成を有することができる。いくつかの実施の形態において、ケーブル・ホースキャリアは、機械的なヒンジを有しない非分割型、または、機械的なヒンジを有する分割型であることができる。例えば、パターニングデバイス412の位置決めのために第2構造404が移動すると、ケーブル・ホースキャリア419も同様に移動する。いくつかの実施の形態において、ケーブル・ホースキャリア419は、巻回(ロール)した輪(ループ)として設計できる。ケーブル・ホースキャリア419の動きは、第1チャンバ403から第2チャンバ405に向けてギャップ414を介して進みうる汚染粒子を発生させうる。したがって、いくつかの実施の形態において、ギャップ414は、ギャップ414を通過して第2チャンバ405に入り込む粒子の量を低減または遮断するシールとして機能するよう構成される。様々な粒子トラップおよび粒子バリアの構成は、以下に説明され、ギャップ414を通過して第2チャンバ405内のパターニングデバイス412に最終的に付着する可能性のある粒子の量をさらに低減する。いくつかの実施の形態において、ギャップ414は、第1構造402と第2構造404のシール部分406との間の連結により生成される。
【0070】
繰り返しになるが、第1チャンバ403は、少なくとも部分的に、静止する第1構造402および可動である第2構造404によって定義される。
図4に示されるように、静止する第1構造402は、一以上のケーブル・ホースキャリア419が通過する開口421を含むことができる。いくつかの例によれば、負の圧力差を生成するように構成される吸引ポンプ、真空ポンプなどのポンプ461Aは、第1チャンバ403内および第2チャンバ405内で真空圧を生成するために、(例えば、第1構造402の上側部分にて)第1チャンバ403に動作可能に連結されることができる。ポンプにより生成される流れも、第1チャンバ403から粒子を引き寄せるかもしれない。いくつかの例において、ポンプ461Aは、筐体401の外側に配置され、導管463を通じて第1チャンバ403に動作可能に連結されることができる。追加的または代替的に、ポンプ461Aは、筐体401の内側に存在して第1チャンバ403に動作可能に連結されることができる。いくつかの例によれば、負の圧力差を生成するように構成される吸引ポンプ、真空ポンプなどのポンプ461Bは、例えば、第2チャンバ405内で真空圧を生成するために第2チャンバ405に動作可能に連結されることができる。
【0071】
ポンプ461Aは、開口421から離れた筐体401の側面に図示されているが、ポンプ461Aは、いくつかの実施の形態において、開口421の近傍および/または粒子汚染源の近傍などの他の場所に配置されることができる。いくつかの実施の形態において、ポンプ461Aが開口421の近傍および/または粒子汚染源の近傍に位置する場合、チャンバ405から離れるガスの流れの速度が最大化される。
【0072】
いくつかの例において、ギャップ414は、約0.1mmから約5mmの高さ423((a)第1構造402の表面415と(b)静止する第1構造402と対向する第2構造404の表面417との間の距離)を有することができる。例えば、ギャップ414は、約1.5mmから2.5mmの高さ423を有することができる。しかしながら、これらは例示的な寸法であり、本開示の実施の形態がこれらの例に限定されないことに留意されたい。
【0073】
いくつかの実施の形態において、ギャップ414は、第1構造402の表面415が第2構造404の表面417に隣り合う長さ425を有することができる。例えば、ギャップ414の長さ425は、約50-350mmであることができる。例えば、ギャップ414の長さ425は、約70-320mmであることができる。例えば、ギャップ414の長さ425は、約75-315mmであることができる。しかしながら、これらは例示的な寸法であり、本開示の実施の形態がこれらの例に限定されないことに留意されたい。ギャップ414を通って移動する汚染粒子は、表面415と表面417の間で跳ねる。この跳ねは、粒子のエネルギーおよび速度を失わせ、粒子が表面415および表面417のいずれかに付着することを可能にするか、もしくは、ギャップ414を通ってチャンバ403に向かう(例えば、チャンバ403とチャンバ405の圧力差に起因する)ガスがチャンバ403に粒子を押し戻すことを可能にする程度に粒子を遅くさせる。したがって、ギャップ414は、第1チャンバ403からの汚染粒子の量であって、第2チャンバ405内のパターニングデバイス402および/またはパターニングデバイス402の近傍領域に到達する汚染粒子の量を削減または低減するシールとして機能する。
【0074】
いくつかの実施の形態において、長さ425(表面417の長さに対応することができる)と、第2構造404のスキャン方向(例えば、
図4のY軸に沿う)の動作範囲との和は、表面415の長さよりも小さい。このようにして、ギャップ414により形成されるシールは、第2構造404のスキャン方向の通常動作中、維持される。
【0075】
いくつかの例において、第2構造404の表面417は、第2構造404の外周から内側に(例えば第1チャンバ403に向けて)または外側に(例えば第1チャンバ403から離れて)突出することができる。
【0076】
いくつかの実施の形態において、シールは、第1チャンバ403の外周のまわりで全体的または部分的に延在することができる。シールが有するスキャン方向(例えばY軸)に沿った長さとスキャン方向に対して横切る方向(例えばX軸)に沿った長さは、同様であることができ、または、異なることができる。非限定的な例において、シールのスキャン方向に対して横切る方向(例えばX軸)に沿った長さは、スキャン方向(例えばY軸)に沿った長さより大きくてもよい。
【0077】
粒子抑制用のバリアおよびトラップの実施例
【0078】
図5は、本開示の様々な実施の形態に係る一以上の粒子抑制バリアを有することができる装置500を模式的に示す斜視分解図である。装置500は、いくつかの実施の形態において、
図4のレチクルステージ400といったレチクルステージであることができる。したがって、レチクルステージ400の特徴と同様の装置500の特徴は、
図4と同様の符号が付与されるが、頭文字が4の代わりに5である。しかしながら、
図5の実施の形態は、望ましくない汚染粒子の数を低減するために、リソグラフィ装置(例えば、本開示に記載されるリソグラフィ装置100および100’)の他の適切な要素や、計測システム、チューブ、ガスフローダクトまたはガスダクト/パイプのボックスといった他の粒子の影響を受けやすい装置、および/または、任意の粒子の影響を受けやすい装置に適用できる。
【0079】
図5に示されるように、装置500は、静止する第1構造502と、可動である第2構造504とを含むことができる。繰り返しになるが、静止および可動の用語は、相互に交換可能であり、構造間の相対運動を説明するために用いるにすぎない。いくつかの実施の形態において、構造502が可動であることができ、構造504が静止することができる。もしくは、いくつかの実施の形態において、構造502および504の双方が必要に応じて可動であり、または、静止する。
【0080】
可動構造504の表面517および対向表面515は、ゾーン504Aおよびゾーン504Bをそれぞれ含むことができる。
図5に示されるように、ゾーン504Aは、第1構造502および第2構造504によって共同で定義される開口521のエッジ516Aに沿ってスキャン方向(例えばY軸)に延びる。また、
図5に示されるように、ゾーン504Bは、開口521のエッジ516Bに沿ってスキャン方向に対して横切る方向(例えばX軸)に延びる。ギャップ514は、静止する第1構造502と可動な第2構造504の間の連結により生成されることができ、両者間の相対運動を可能にする。
【0081】
より詳細は後述されるが、一以上の粒子抑制バリア(例えば、箔またはバッフルバリア)は、ギャップ514の一以上のゾーン504Aおよび504Bに配置できる。粒子抑制バリアは、第1チャンバ503を出発してギャップ514を通過し、第2チャンバ505に向かう可能性のある粒子の量を低減するように構成されることができる。いくつかの実施の形態において、これらの粒子抑制バリアは、ギャップ514の少なくとも一方向に沿う(例えば、スキャン方向(Y軸)に沿う、または、スキャン方向に対して横切る方向(X軸)に沿う)視線を遮る。
【0082】
箔バリアの実施例
【0083】
いくつかの実施の形態において、装置は、第1構造と第2構造の間に形成されるギャップ内に配置され、汚染粒子のギャップ通過を抑制する箔バリアを含む。
図6A-6Dは、本開示の様々な実施の形態に係る粒子抑制用の箔バリアを有する装置600の様々な構成を模式的に示す断面図である。装置600は、いくつかの実施の形態において、
図4および
図5のレチクルステージ400および500のようなレチクルステージであることができる。したがって、レチクルステージ400および500の特徴と同様の装置600の特徴には、
図4および
図5と同様の符号が付与されるが、頭文字が4または5の代わりに6である。しかしながら、
図6A-6Dの実施の形態は、望ましくない汚染粒子の数を低減するために、リソグラフィ装置(例えば、本開示に記載されるリソグラフィ装置100および100’)の他の適切な要素や、計測システム、チューブ、ガスフローダクトまたはガスダクト/パイプのボックスといった他の粒子の影響を受けやすい装置、および/または、任意の粒子の影響を受けやすい装置に適用できる。
【0084】
側断面図である
図6Aに示されるように、装置600は、静止する第1構造602および可動である第2構造604を含むことができる。繰り返しになるが、静止および可動の用語は、相互に交換可能であり、システムの異なる部分間の相対運動を説明するために用いるにすぎない。第1構造602が可動、かつ、第2構造604が静止であることが可能であり、もしくは、双方の構造が必要に応じて可動または静止であることができる。第1チャンバ603は、静止する第1構造602および可動である第2構造604によって少なくとも部分的に定義される。第2構造604を第1構造602またはリソグラフィ装置の他の構成要素に電気的および/または流体的に連結するケーブル・ホースキャリア619は、第1チャンバ603の内側に配置される。
【0085】
図6A-6Dの実施の形態は、第1チャンバ603を出発してギャップ614を通過する可能性のある粒子の量を低減または削減するよう構成される。例えば、いくつかの実施の形態によれば、装置600は、第1構造602と第2構造604の間のギャップ614内に一以上のバリアを含んでもよい。バリアは、第1チャンバ603を出発してギャップ614を通過する可能性のある粒子を止める、または、粒子の量を低減するよう構成されることができる。
図6A-6Dに示されるようないくつかの実施の形態において、一以上のバリアのそれぞれは、ギャップ614内に配置され、静止する第1構造602と可動である第2構造604の間を延びる箔630であることができる。いくつかの実施の形態において、箔630は、第1チャンバ603から第2チャンバ605に向けてスキャン方向(例えばY軸)に沿う方向にギャップ614を通って移動するかもしれない任意の汚染粒子を止めることができる。いくつかの実施の形態において、箔630の第1端部631は、静止する第1構造602の表面615に固定的に連結され、箔630の第2端部633は、可動である第2構造604の表面617に固定的に連結される。いくつかの実施の形態において、箔630の端部631および633は、任意の接合技術(接着成分、レーザまたは超音波溶接、化学接合、締結部材(ボルトやねじなど)、クランプ、もしくはこれらの組み合わせなどであるが、これらに限られない)を用いて、第1構造602および第2構造604に連結されることができる。
【0086】
また、いくつかの例において、箔630の中間部分632は、箔630の第1端部631および第2端部633よりも第1チャンバ603の近くに位置し、曲線状に巻回(ロール)する箔構造を形成する。このような箔630の巻回する箔構造は、第1チャンバ603を出発してギャップ614を通過する可能性のある粒子を止めることができる一方で、第1構造602と第2構造604の間の動き、例えば、
図6A-6DのY軸に沿った動きに干渉しない。
【0087】
図6Bは、本開示の様々な実施の形態に係る装置600の断面の上面視を示す。
図6Bに示されるように、装置600は、第1構造602(
図6Bに不図示)の第1側618Aにある単一の第1箔630Aと、第1構造602(
図6Bに不図示)の第2側618Bにある単一の第2箔630Bとを含むことができる。
図6Bに示されるようないくつかの例において、箔630Aおよび630Bは、シール部分606の寸法の実質的に全体に沿ってスキャン方向に対して横切る方向(例えばX軸に沿う方向)に延びる。例えば、箔630Aおよび630Bは、ギャップ614において
図5のゾーン504Bに対応する領域をカバーするように配置される。このようにして、ギャップ614内の視線(
図6Bに不図示)は、スキャン方向(例えばY軸)に沿って遮られる。
【0088】
図6Cは、本開示の様々な実施の形態に係る装置600の断面の上面視を示す。
図6Cに示されるように、装置600は、第1構造602(
図6Cに不図示)および第2構造604のそれぞれの側にある二以上の箔630を含むことができる。例えば、装置600は、第1構造602(
図6Cに不図示)および第2構造604の第1側618Aにおいて可動な第2構造604のシール部分606に連結される三つの箔630A,630Bおよび630Cを含むことができ、かつ、装置600は、第1構造602(
図6Cに不図示)および第2構造604の第2側618Bにおいて可動な第2構造604のシール部分606に連結される三つの箔630A,630Bおよび630Cを含むことができる。
【0089】
図6Cに示されるように、それぞれの側618Aおよび618Bにある箔630A、630Bおよび630Cは、スキャン方向に対して横切る方向(例えばX軸)に沿って一列に並んでいる。いくつかの実施の形態において、箔630A、630Bおよび630Cは、隣の箔からギャップ635だけ離れている。ギャップ635によって離れた箔630A、630Bおよび630Cは、表面617により定義される平面に直交する軸まわりに第2構造604を第1構造602(
図6Cに不図示)に対して回転させることを可能にする(例えば、Z軸まわりの回転)。ギャップ635によって離れた箔630A、630Bおよび630Cは、静止する第1構造602と可動である第2構造604の間において、例えばスキャン方向に対して横切る方向(例えばX軸)に沿った動きを可能にする。Z軸まわりの回転およびX軸に沿った並進などを可能にする一方で、箔630A、630Bおよび630Cは、第1チャンバ603を出発してギャップ614を通過する可能性のある粒子を止める、または、粒子の量を低減することもできる。追加的に、箔630A、630Bおよび630Cは、これらの巻回(ロール)する構成に起因して、静止する第1構造602と可動である第2構造604の間の例えばスキャン方向(Y軸)に沿った動きにも干渉しないようにできる。
図6Cに示されるようないくつかの例において、箔630A、630Bおよび630Cは、
図5のゾーン504Bに対応する領域を実質的にカバーするようにギャップ614内に配置される。このようにして、ギャップ635に一致する領域を除いて、ギャップ614内の視線(
図6Cに不図示)は、スキャン方向(例えばY軸)に沿って遮られる。
【0090】
図6Dは、本開示の様々な実施の形態に係る装置600の断面の上面視を示す。
図6Dに示されるように、装置600は、第1構造602(
図6Dに不図示)および第2構造604のそれぞれの側にある二以上の箔630を含むことができる。例えば、装置600は、第1構造602(
図6Dに不図示)および第2構造604の第1側618Aにおいて可動である第2構造604のシール部分に連結される三つの箔630A、630Bおよび630Cを含むことができ、かつ、装置600は、第1構造602(
図6Dに不図示)および第2構造604の第2側618Bにおいて可動である第2構造604のシール部分に連結される三つの箔630A、630Bおよび630Cを含むことができる。
【0091】
図6Dに示されるように、箔630A、630Bおよび630Cは、それぞれの側618Aおよび618Bにおいて、スキャン方向に対して横切る方向(例えばX軸)に沿って延びることができる。この例において、箔630A-630Cは、箔630Bが箔630Aおよび630Cに部分的に重なるように配置される。
図6Dに示されるように箔630A、630Bおよび630Cを部分的に重なるように位置決めすることは、表面617により定義される平面に直交する軸まわりに第2構造604を第1構造602(
図6Cに不図示)に対して回転させることを可能にする(例えば、Z軸まわりの回転)。
図6Dに示されるように箔630A、630Bおよび630Cを部分的に重なるように位置決めすることは、静止する第1構造602と可動である第2構造604の間において、例えばスキャン方向に対して横切る方向(例えばX軸)に沿った動きを可能にする。Z軸まわりの回転およびX軸に沿った並進などを可能にする一方で、箔630A、630Bおよび630Cは、第1チャンバ603を出発してギャップ614を通過する可能性のある粒子を止める、または、粒子の量を低減することもできる。追加的に、箔630A、630Bおよび630Cは、これらの巻回(ロール)する構成に起因して、静止する第1構造602と可動である第2構造604の間の例えばスキャン方向(Y軸)に沿った動きにも干渉しないようにできる。
図6Dに示されるようないくつかの例において、箔630A、630Bおよび630Cは、
図5のゾーン504Bに対応する領域を実質的にカバーするようにギャップ614内に配置される。このようにして、ギャップ614内の視線(
図6Dに不図示)は、スキャン方向(例えばY軸)に沿って遮られる。
【0092】
図6Cおよび
図6Dは、第1構造602(
図6Cおよび
図6Dに不図示)および第2構造604のそれぞれの側にある三つの箔630A-630Cを示しているが、本開示の実施の形態は、任意の数の箔を含むことができる。
【0093】
いくつかの例によれば、箔630は、金属からなることができる。非限定的な例として、箔630はアルミニウムであることができ、いくつかの実施の形態において、ニッケル(Ni)で被覆されたアルミニウムであることができる。用いることのできる金属の他の例は、錫、鉄、ステンレス鋼または任意の他の適切な金属である。別の非限定的な例として、箔630は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で被覆された金属箔であることができる。
【0094】
いくつかの例によれば、箔630は、ポリマーからなることができる。このポリマーは、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、カプトン、PTFEまたは任意の他の適切なポリマーを含むことができる。
【0095】
いくつかの例において、箔630の長さ(例えば、Y軸に沿って平らに置いたとき(巻回していない構成)の端部631と端部633の間の距離)、箔630のスキャン方向に対して横切る方向(例えばX軸)に沿った幅、箔630の幅の厚さ、および、巻回した構成における中間部分632の曲線の半径は、異なるパラメータおよび設計上の要求に応じて変わることができる。一例において、巻回した構成における中間部分の曲線の曲げ半径は、約0.5mmから約1.5mmであることができる。例えば、箔630の中間部分632の曲線の曲げ半径は、約0.75mmから約1.25mmであることができる。例えば、箔630の中間部分632の曲線の曲げ半径は、約1mmであることができる。一例において、箔630の厚さは、約50μmから約200μmであることができる。例えば、箔630の厚さは、約75μmから約150μmであることができる。いくつかの例において、箔630のスキャン方向(例えばY軸)に沿った長さ(Y軸に沿って平らに置いたとき(巻回していない構成)の端部631と端部633の間の距離)は、ギャップ514の長さ425(
図4に図示)の約2倍であることができる。例えば、箔630の長さは、約150mmから約650mmであることができる。しかしながら、これらは例示的な寸法であり、本開示の実施の形態はこれらの例に限定されないことに留意されたい。
【0096】
バッフルバリアの実施例
【0097】
図7は、本開示の様々な実施の形態に係る間挿する突出バッフルでできた粒子抑制バリアを有する装置700の部分斜視図である。装置700は、いくつかの実施の形態において、
図4、
図5および
図6のレチクルステージ400、500および600といったレチクルステージであることができる。したがって、レチクルステージ400、500および600の特徴と同様である
図7の実施の形態の特徴は、
図4、
図5および
図6と同様の符号が付与されるが、頭文字が4、5または6の代わりに7である。しかしながら、
図7の実施の形態は、望ましくない汚染粒子の数を低減するために、リソグラフィ装置(例えば、本開示に記載されるリソグラフィ装置100および100’)の他の適切な要素や、計測システム、チューブ、ガスフローダクトまたはガスダクト/パイプのボックスといった他の粒子の影響を受けやすい装置、および/または、任意の粒子の影響を受けやすい装置に適用できる。
【0098】
図7に示されるように、装置700は、静止する第1構造702および可動である第2構造704を含むことができる。繰り返しになるが、静止および可動の用語は、相互に交換可能であり、これらの構造間の相対運動を説明するために用いるにすぎない。第1構造702が可動であることができ、かつ、第2構造704が静止であることができる。もしくは、双方の構造が必要に応じて可動または静止であることができる。
【0099】
図7に示されるように、装置700は、複数(つまり、二以上)の間挿する突出バッフルを含む粒子抑制バリアを含み、これは、第1構造702と第2構造704の間のギャップ714を通過して最終的にパターニングデバイスに付着することができる粒子の量を減らすことができる。いくつかの例によれば、一以上の突出バッフル799Aは、静止する第1構造702の表面から延在する。同様に、一以上の突出バッフル799Bは、可動である第2構造704の表面717から延在する。バッフル799Aは、バッフル799Bと間挿する。
【0100】
いくつかの実施の形態において、バッフル799Aおよび799Bは、
図5に関して上述したゾーン504Aに対応する領域内のギャップ714内に配置される。いくつかの例において、ゾーン504Aに対応する領域の実質的に全体が間挿する突出バッフル799Aおよび799Bを含む。追加的または代替的に、いくつかの例において、バッフル799Aおよび799Bは、
図5に関して上述したゾーン504Bに対応する領域内のギャップ714内に配置される。いくつかの例において、ゾーン504Bに対応する領域の実質的に全体が間挿する突出バッフル799Aおよび799Bを含む。
【0101】
いくつかの例によれば、互いに間挿するバッフル799Aおよび799Bは、スキャン方向(例えばY軸)およびスキャン方向に対して横切る方向(例えばX軸)により定義される平面に直交する方向(例えばZ軸)にそれぞれの表面715および717から延在する。また、
図7に示されるように、互いに間挿するバッフル799Aおよび799Bのそれぞれの主寸法798は、スキャン方向(例えばY軸)に沿って延在し、隣り合うバッフル799Aおよび799Bと平行である。
【0102】
いくつかの実施の形態において、間挿する突出バッフル799Aおよび799Bは、装置700の動作中、静止する第1構造702と可動である第2構造704の間のスキャン方向(例えばY軸)に沿った相対運動に干渉しないように設計される。例えば、隣り合うバッフル799Aおよび799Bがスキャン方向に沿って平行な構成に起因して、第2構造704がスキャン方向に沿って移動するときに、バッフル799Aおよびバッフル799Bは互いに接触しない。いくつかの実施の形態において、間挿する突出バッフル799Aおよび799Bは、装置700の動作中、静止する第1構造702と可動である第2構造704の間のスキャン方向に対して横切る方向(例えばX軸)に沿った相対運動に干渉しないように設計される。例えば、第2構造704がスキャン方向に対して横切る方向に移動するときに、バッフル799Aおよびバッフル799Bは互いに接触しない。例えば、動作中、スキャン方向に対して横切る方向(例えばX軸)に沿った相対運動は、あるバッフル799Aと隣のバッフル799Bの間の距離よりも典型的に小さい。しかしながら、スキャン方向に対して横切る方向(例えばX軸)に沿った静止構造および可動構造の互いに対する動きが隣り合うバッフル間の距離よりも大きい場合、隣り合うバッフルが接触してさらなる動きを妨げてしまうであろう。
【0103】
いくつかの実施の形態によれば、間挿する突出バッフル799Aおよび799Bは、スキャン方向に対して横切る方向(例えばX軸)に少なくとも沿ってギャップ714を通過できる粒子を止める、または、粒子の量を低減するためのバリアとして機能する。互いに間挿する構成に起因して、突出バッフル799Aおよび799Bは、スキャン方向に対して横切る方向(例えばX軸)に沿ったギャップ714内の視線を遮る。粒子は、ギャップ414/514を通るクリアな視線に沿って、第1チャンバ403から第2チャンバ405に進むことができる。いくつかの例によれば、間挿する突出バッフル799Aおよび799Bは、Y軸に平行に走るため、ゾーン504Aを通過する視線を完全に遮ることができ、かつ、ゾーン504Bを通過する視線のためにY軸にほぼ平行ではない視線を遮ることができる。視線の抑制は、ほぼL/Wに起因する。ここで、Wは、同じ表面から突出する隣り合う突出バッフルの距離(例えば、隣り合うバッフル799Aの距離)であり、Lは、バッフル799Aおよび799Bを有する対向面715および717のスキャン方向(例えばY軸)に沿った長さ798である。
【0104】
いくつかの実施の形態によれば、間挿する突出バッフル799Aおよび799Bは、スキャン方向(例えばY軸)に沿ってギャップ714を通過できる粒子を止める、または粒子の量を低減するためのバリアとしても機能できる。つまり、隣り合うバッフル799Aおよび799Bがスキャン方向に沿って平行な構成に起因して、バッフル799Aおよび799Bがスキャン方向(例えばY軸)に沿った視線を遮断しないにもかかわらず、間挿する突出バッフル799Aおよび799Bは、スキャン方向(Y軸)に沿ってギャップ714を通過できる汚染粒子の低減または停止をさらに助けることができる。汚染粒子がスキャン方向に沿ってギャップ714を通過するとき、間挿する突出バッフル799Aおよび799Bは、粒子が跳ねる回数を増加させ、したがって、汚染粒子がパターニングデバイスを有するチャンバに到達する前にギャップ714内で止まる可能性を増加させる。
【0105】
いくつかの実施の形態において、間挿する突出バッフル799Aおよび799Bは、チャップ714を通過する粒子をさらに抑制するために、間挿する突出バッフルから延びる微細(マイクロ)バッフルまたはバンプ(
図7に不図示)を有することができる。これらの微細バッフルは、ギャップ714を通過する汚染粒子の跳ねをさらにランダムにすることができ、ギャップ714を出てパターニングデバイスを含むチャンバに入る前に必要とされる跳ねる回数を増やすことができ、その結果、ギャップ714を出る前に粒子が止まる可能性を高めることができる。いくつかの実施の形態において、微細バッフルの高さ(つまり、突出バッフル799Aおよび799Bの主表面から微細バッフルの最も離れた点までの距離)は、ギャップ714内にあることが予測される汚染粒子の最大直径よりも大きいが、ギャップ714のギャップ高さHよりも小さい。例えば、微細バッフルの高さは、約50μmであることができる。
【0106】
図9は、静止する第1構造902または可動である第2構造904に用いることができる微細バッフルの実施例を開示する。いくつかの例において、微細バッフル構造982は、
図5に関して上述したゾーン504Aに対応する領域内のギャップ914内に配置される。例えば、ゾーン504Aに対応する領域の一部または実質的に全体が微細バッフル構造982を含むことができる。追加的または代替的に、微細バッフル構造982は、
図5に関して上述したゾーン504Bに対応する領域内のギャップ914内に配置される。例えば、ゾーン504Bに対応する領域の一部または実質的に全体が微細バッフル構造982を含むことができる。例えば、微細バッフル構造982は、第1構造902または第2構造904から例えばZ軸に沿った方向に延びることができる。いくつかの例によれば、各微細バッフル構造982のサイズは、第1構造902と第2構造904の間のギャップ914の通過が予測される最大粒子サイズよりも大きくできる。いくつかの例によれば、微細バッフル構造982の各突起のサイズは、第1構造と第2構造の間のギャップ高さよりも小さくできる。例えば、各微細バッフル構造982のサイズは、約1μmから約60μmにできる。例えば、各微細バッフル構造982のサイズは、約1μmから約10μmにできる。例えば、各微細バッフル構造982のサイズは、約10μmから約20μmにできる。例えば、各微細バッフル構造982のサイズは、約20μmから約40μmにできる。例えば、各微細バッフル構造982のサイズは、約40μmから約60μmにできる。しかしながら、他の寸法を用いることができる。微細バッフル構造982の数、サイズ、形状、構成および分布は、異なるパラメータおよび設計上の要求に基づいて変わることができる。微細バッフル構造982は、異なる地形(トポグラフィ)を有することができる。いくつかの例によれば、微細バッフル構造982は、周期的ではなく、かつ、平行な尾根ではない。追加的または代替的に、微細バッフル構造982は、表面内のディンプル(くぼみ)であることができる。
【0107】
上述したように、微細バッフル構造982は、第1構造902または第2構造904に用いることができる。追加的または代替的に、微細バッフル構造982は、いくつかの実施の形態におけるバッフル799Aまたは799Bに配置できる。例えば、各バッフル799Aまたは799Bは、バッフル799Aまたは799Bの一以上の表面上に配置される複数の微細バッフル構造982を含むことができる。例えば、微細バッフル構造982は、各バッフル799Aまたは799Bから延在できる。追加的または代替的に、微細バッフル構造982は、バッフル799Aまたは799Bの間の表面上に配置できる。例えば、
図7に関して、微細バッフル構造982は、バッフル799Bの間の第2構造704の表面717上に配置できる。追加的または代替的に、微細バッフル構造982は、バッフル799Aの間の第1構造702の表面715上に配置できる。
【0108】
複数の微細バッフル構造982の機能例は、
図9を参照しながら以下に説明される。ギャップ914を通過する汚染粒子は、微細バッフル構造982に衝突するであろう。例えば
図9に示されるように、微細バッフル構造982は、粒子が微細バッフル構造982に複数回衝突することとなるように、汚染粒子の進行方向981を複数回変化させることができる。いくつかの実施の形態において、微細バッフル構造982は、急峻なバンプを含むことができる。各衝突によって、粒子は運動エネルギーを失う。また、十分に低い速度または運動エネルギーとなることによって、粒子はファンデルワールス相互作用に起因して微細バッフル構造982の表面に付着するであろう。ある実施の形態において、微細バッフル構造982は、汚染粒子と微細バッフル構造982の表面の間のファンデルワールス力を高めるために高ハマーカ定数を有する材料からなることができ、汚染粒子が微細バッフル構造982の表面に付着する確率をより高くできる。微細バッフル構造982と粒子の衝突は、汚染粒子の運動エネルギーを顕著に減少させ、粒子が微細バッフル構造982に捕捉されうるようにする。追加的または代替的に、
図9の微細バッフル構造982は、いくつかの例において、微細バッフル構造982に入射する汚染粒子の速度ベクトルと、構造982で反射した汚染粒子の速度ベクトルとの間の相関を最小化できる。別の言い方をすれば、
図9の微細バッフル構造982は、いくつかの例において、微細バッフル構造982で汚染粒子が反射した後の汚染粒子の速度ベクトルをランダムにすることができる。追加的または代替的に、微細バッフル構造982は、平行な溝を持つ溝付きの表面を含むことができる。
【0109】
図9の微細バッフル構造982は、静止する第1構造402の表面および可動である第2構造404の表面といった他の表面上に設けることもできる。
【0110】
図7に示されるように、バッフル799Aおよび799Bの(X軸およびZ軸に直交する平面に沿った)断面形状は、いくつかの実施の形態において矩形であることができる。
【0111】
間挿する突出バッフル799Aおよび799Bの数、サイズ、形状、構成および分布は、異なるパラメータおよび設計上の要求に応じて変わることができる。追加の非限定的な例が
図8および
図10A-10Dに与えられる。例えば、突出バッフル799Aおよび799Bは、任意の適当な断面形状、例えば、矩形、三角形、菱形、または、任意の他の適切な断面形状を有してもよい。これらの構成の例は、
図8および
図10A-10Dに示される。
【0112】
例えば、
図8は、(X軸およびZ軸に直交する平面に沿って)三角形の断面を持つ間挿する突出バッフルおよび複数の微細バッフル構造882を有する装置800の部分斜視図を示す。装置800は、いくつかの実施の形態において、
図4、
図5、
図6および
図7のレチクルステージ400、500、600および700といったレチクルステージであることができる。したがって、レチクルステージ400、500、600および700の特徴と同様である
図8の実施の形態の特徴は、
図4、
図5、
図6および
図7と同様の符号が付与されるが、頭文字が4、5、6または7の代わりに8である。
【0113】
図10A-10Dは、本開示の様々な実施の形態に係る間挿する突出バッフルの実施例の断面を模式的に示す。レチクルステージ400、500、600、700および800の特徴と同様である
図10の実施の形態の特徴には、
図4、
図5、
図6、
図7および
図8と同様の符号が付与されるが、頭文字が4、5、6、7または8の代わりに10である。
【0114】
図10Aは、静止する第1構造1002の表面1015上に設けられる突出バッフル1099Aと、可動構造1004の表面1017上に設けられる突出バッフル1099Bとを示す。
図10Aに示されるように、バッフル1099Aおよびバッフル1099Bは、間挿している。いくつかの例によれば、間挿する突出バッフル1099Aおよび1099Bは、図示されるような三角形の断面を有してもよく、突出バッフル1099Aおよび1099Bのそれぞれがバッフル高さ(
図10Aのh-g)および幅tを持つ。隣り合う突出バッフル1099Aおよび1099Bの幅tは、高さ(h-g)と等しくてもよいし、異なってもよい。いくつかの実施の形態において、突出バッフル1099Aおよび/または突出バッフル1099Bは、各表面1015および1017上において等間隔ではない。別の実施の形態において、突出バッフル1099Aおよび/または突出バッフル1099Bは、各表面1015および1017上において等間隔である。バッフル高さ(これは、表面1015と表面1017の間の距離hから、各バッフル1099Aおよび1099Bの上面1070と対向する表面(例えば表面1015または1017のいずれか)との間の距離gを引いたものと等しくなることができる)、バッフル幅t、および、隣り合う突出バッフル1099Aおよび1099Bの間の距離pは、ターゲットとする汚染粒子の特性に基づいて構成されてもよい。例えば、突出バッフル1099Aおよび1099Bの構成は、汚染粒子の予想される速度、入射角、寸法、材料または重さに基づいて具体的に構成されることができる。
【0115】
いくつかの例によれば、距離pは、第1構造1002と構造1004の例えばX軸に沿った相対運動および第1構造1002と第2運動1004のZ軸まわりの相対回転に基づいて設計できる。
【0116】
【0117】
図10Cは、静止する第1構造1002の表面1015上に設けられる突出バッフル1099Aと、可動である第2構造1004の表面1017上に設けられる間挿する突出バッフル1099Bの別の例を示す。いくつかの例によれば、間挿する突出バッフル1099Aおよび1099Bは、
図10Cに示されるような台形の断面形状を有する。
【0118】
いくつかの実施の形態によれば、突出バッフル1099Aおよび1099Bの構成は、汚染粒子の予想される速度、入射角、寸法、材料または重さに基づいて具体的に構成されることができる。いくつかの例によれば、距離p(二つの隣り合うバッフル1099Aおよび1099Bの隣り合う壁の距離)は、第1構造1002と構造1004の例えばX軸に沿った相対運動および第1構造1002と第2運動1004のZ軸まわりの相対回転に基づいて設計できる。
【0119】
図10Dは、間挿する突出バッフルの別の例を示す。
図10Dに示されるように、バッフル1099Aは、静止する第1構造1002の表面1015上に設けられ、バッフル1099Bは、可動である第2構造1004の表面1017上に設けられる。いくつかの例によれば、間挿する突出バッフル1099Aおよび1099Bは、三角形の断面形状を有してもよい。例えば、バッフル1099Aおよび1099Bの各バッフルは、各表面1015または1017に対して角度θ
1で傾斜する第1表面1076と、各表面1015または1017に対して角度θ
2で傾斜する第1表面1077とを有することができる。いくつかの実施の形態において、角度θ
1およびθ
2は等しい。いくつかの実施の形態において、いくつかの実施の形態によれば、角度θ
1およびθ
2は等しくない。
【0120】
いくつかの実施の形態によれば、
図10A-10Dに示されるように、バッフル1099Aは、側壁面1076および1077を含み、バッフル1099Bは、側壁面1076および1077を含む。いくつかの例によれば、バッフル1099Aの側壁面1076は、バッフル1099Bの隣り合う側壁面1076と平行である。いくつかの例によれば、バッフル1099Aの側壁面1077は、バッフル1099Bの隣り合う側壁面1077と平行である。
【0121】
いくつかの実施の形態において、バッフル1099Aおよび1099Bは、
図5に関して上述したゾーン504Aに対応する領域内に配置される。いくつかの例において、ゾーン504Aに対応する領域の実質的に全体が間挿する突出バッフル1099Aおよび1099Bを含む。追加的または代替的に、いくつかの例において、バッフル1099Aおよび1099Bは、
図5に関して上述したゾーン504Bに対応する領域内に配置される。いくつかの例において、ゾーン504Bに対応する領域の実質的に全体が間挿する突出バッフル1099Aおよび1099Bを含む。
【0122】
図10A-10Dは、間挿する突出バッフルの例として提供される。しかしながら、本開示の実施の形態は、これらの例に限られない、一つの例として、間挿する突出バッフルは、正弦波の断面形状を有することができる。追加的または代替的に、間挿する突出バッフルは、
図12A-12Hにおいて説明されるバッフルと同様に設計されることができ、および/または、
図12A-12Hにおいて説明されるバッフルを含むことができる。
【0123】
図7-9および
図10A-10Dの間挿する突出バッフルは、粒子の動きの速度および方向に基づいて設計されることができる。例えば、粒子がX軸(例えば
図10A-10Dに示される)の方向に大きな速度を有する場合、間挿する突出バッフルは、同じ方向により垂直な構造を有するように設計される。別の例において、粒子がZ軸(例えば
図10A-10Dに示される)の方向に大きな速度を有する場合、間挿する突出バッフルは、あまり垂直ではない構造を有するように設計され、ギャップh(例えば
図10Aおよび10Cに示される)は小さくなるだろう。
【0124】
いくつかの例によれば、間挿する突出バッフルは、装置700および800の一体的な構成要素であってもよい。間挿する突出バッフルは、いくつかの実施の形態において、必要に応じて第1構造および第2構造上に取り付けるできる着脱可能な構成要素であってもよい。着脱可能な間挿する突出バッフルは、いくつかの実施の形態において、使い捨てであることもできる。
【0125】
本開示において例示的なデザインが示されたが、本開示の実施の形態はこれらの例に限られない。例えば、本開示の実施の形態は、説明されたデザインの実施例の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0126】
粒子抑制用トラップの実施例
【0127】
図11Aおよび
図11Bは、本開示の様々な実施の形態に係る粒子抑制用の一以上のトラップを有する装置1100および1100’の様々な構成の断面を模式的に示す。装置1100および1100’は、いくつかの実施の形態において、
図4、
図5、
図6A-6Dのレチクルステージ400、500および600といったレチクルステージであることができる。したがって、レチクルステージ400、500および600の特徴と同様である装置1100および1100’の特徴は、
図4、
図5および
図6と同様の符号が付与されるが、頭文字が4、5または6の代わりに11である。しかしながら、
図11Aおよび11Bの実施の形態は、望ましくない汚染粒子の数を低減するために、リソグラフィ装置(例えば、本開示に記載されるリソグラフィ装置100および100’)の他の適切な要素や、計測システム、チューブ、ガスフローダクトまたはガスダクト/パイプのボックスといった他の粒子の影響を受けやすい装置、および/または、任意の粒子の影響を受けやすい装置に適用できる。
【0128】
図11Aおよび11Bに示されるように、装置1100および1100’は、静止する第1構造1102および可動である第2構造1104を含むことができる。繰り返しになるが、静止および可動の用語は、相互に交換可能であり、これらの構造間の相対運動を説明するために用いるにすぎない。例えば、静止する第1構造1102が可動であることができ、かつ、可動である第2構造1104が静止であることができる。もしくは、双方の構造が必要に応じて可動または静止であることができる。
【0129】
図11Aおよび
図11Bに描かれるように、第1チャンバ1103は、静止する第1構造1102および可動である第2構造1104によって少なくとも部分的に定義される。装置1100および1100’は、第1チャンバ1103を出発して第1構造1102と第2構造1104の間のギャップ1114を通過できる粒子の量を止めるまたは低減するための第1チャンバ1103内の一以上のトラップを含むことができる。
【0130】
図11Aに示されるように、一以上の粒子トラップ1190は、様々な速度、入射角または他の粒子特性を持つ汚染粒子を捕捉するために第1チャンバ1103内に配置されることができる。例えば、一以上の粒子トラップ1190は、いくつかの実施の形態に係る第1チャンバ1103を少なくとも部分的に定義する可動である第2構造1104の一以上の表面上に配置されることができる。例えば、
図11Aに示されるように、一以上の粒子トラップ1190は、第1チャンバ1103の底部を定義する可動な第2構造1104の表面1159上に配置されることができ、かつ、一以上の粒子トラップ1190は、第1チャンバ603の側部を定義する可動な第2構造1104の表面1161上に配置されることができる。いくつかの実施の形態において、可動な第2構造1104の表面1161上に配置される一以上の粒子トラップ1190は、表面1161を部分的に、または、実質的に全体をカバーできる。いくつかの実施の形態において、可動な第2構造1104の表面1159上に配置される一以上の粒子トラップ1190は、表面1161を部分的に、または、実質的に全体をカバーできる。
【0131】
いくつかの実施の形態において、一以上の粒子トラップ1190は、第1チャンバ1103内の静止する第1構造1102の一以上の表面上に配置されてもよい。例えば、
図11Aに示されるように、粒子トラップ1190は、第1チャンバ1103を少なくとも部分的に定義する静止する第1構造1102の表面1115上に配置されることができる。表面1115は、いくつかの実施の形態において、可動な第2構造1104と対向する。別の例として、
図11Aに示されるように、粒子トラップ1190は、静止する第1構造1102の表面1120上に配置されることができる。いくつかの実施の形態において、静止する第1構造1102の表面1115および1120上に配置される一以上の粒子トラップ1190は、表面1115および1120を部分的に、または、実質的に全体をカバーできる。粒子トラップ1190は、第1チャンバ1103(および
図4の第1チャンバ403)内にある静止する第1構造1102および可動である第2構造1104の表面上に配置されることができる。
【0132】
粒子トラップ1190は、様々な実施の形態によれば、第1チャンバ1103内にある静止する第1構造1102および可動である第2構造1104の双方の他の表面に配置されることもできる。いくつかの実施の形態において、
図11Bに描かれるように、粒子トラップ1190は、内側に(例えば第1チャンバ1103の中心に向かって)突出する第2構造1104の表面1157上および第2構造1104の対向面1159上に配置されることができる。粒子トラップ1190は、第1チャンバ1103内にある静止する第1構造1102または可動である第2構造1104の任意の構造の表面上に配置されることもできる。
【0133】
いくつかの例によれば、装置1100および1100’の製造中において、装置1100および1100’の様々な部分の表面が粒子トラップ1190の機械的構造を形成してもよく、したがって、粒子トラップ1190が装置1100および1100’の一体的な構成要素となってもよい。粒子トラップ1190は、いくつかの実施の形態によれば、必要に応じて静止する第1構造1102または可動である第2構造1104上に取り付けできる着脱可能な構成要素であってもよい。着脱可能な粒子トラップ1190は、いくつかの実施の形態において、使い捨てであることもできる。いくつかの実施の形態において、粒子トラップ1190の検査に際して、例えば、周期的なメンテナンス中、および/または、ある期限の満了に際して、粒子トラップ1190を取り除くことができ、かつ、新しい着脱可能な粒子トラップを静止する第1構造1102および/または可動である第2構造1104の一以上の表面に取り付けることができる。
【0134】
単純化のため、粒子トラップ1190の構造的な詳細の実施例は
図11Aおよび
図11Bに示されないが、以下に説明する
図12A-12Eに示される。
【0135】
図12A-12Lは、本開示の様々な実施の形態に係る粒子トラップ1290を模式的に示す。粒子トラップ1290は、いくつかの実施の形態において、
図11Aおよび
図11Bの粒子トラップ1190であることができる。しかしながら、
図12A-12Lの実施の形態は、望ましくない汚染粒子の数を低減するために、リソグラフィ装置(例えば、本開示に記載されるリソグラフィ装置100および100’)の他の適切な要素や、計測システム、チューブ、ガスフローダクトまたはガスダクト/パイプのボックスといった他の粒子の影響を受けやすい装置、および/または、任意の粒子の影響を受けやすい装置に適用できる。
【0136】
例えば、
図12Aは、本開示のある実施の形態に係る粒子トラップ1290の断面を模式的に示す。粒子トラップ1290は、複数の突出バッフル1292を備える。突出バッフル1292は、
図11Aおよび
図11Bの第1チャンバ1102内の汚染粒子を抑制するよう構成され、
図11Aおよび
図11Bのギャップ1114にそれらが到達するのを妨げる。突出バッフル1292は、略矩形、三角形、略三角形、菱形または略菱形などの任意の適切な断面形状を有してもよく、これらの構造のさらなる例は、
図12B-12Hに示される。
【0137】
図12Aに示されるように、突出バッフル1292は、矩形の断面形状を有してもよく、各突出バッフル1292が高さHおよび幅Wを有し、隣のバッフルから距離Pで離間してもよい。突出バッフル1292の幅Wは、高さHと等しくてもよいし、異なってもよい。いくつかの実施の形態において(
図12Aに不図示)、バッフルは、変化する距離Pで離間する(つまり、突出バッフル1292が等間隔で離間しない)。別の実施の形態において、突出バッフル1292は、等間隔である(つまり、距離Pが一定である)。例えば、隣り合う突出バッフルの対向する側壁間の距離Pは、約500μmである。突出バッフル1292の高さH、幅Wおよび距離Pは、ターゲットとする汚染粒子の特性に基づいて構成されてもよい。例えば、突出バッフル1292の構成は、汚染粒子の速度、入射角、寸法、材料または重さに基づいて変化してもよい。いくつかの例によれば、突出バッフル1292の幅Wは、約1μmから約20mmであることができる。例えば、突出バッフル1292の幅Wは、約1μmから約1mmであることができる。例えば、突出バッフル1292の幅Wは、約1mmから約20mmであることができる。例えば、突出バッフル1292の幅Wは、約1mmから約5mmであることができる。例えば、幅Wは、約1.5mmから約4.5mmであることができる。例えば、幅Wは、約1.5mmから約2.5mmであることができる。別の例として、幅Wは、約3.5mmから約4.5mmであることができる。いくつかの例によれば、
図12Aの突出バッフル1292の高さHは、約1μmから約20mmであることができる。例えば、
図12Aの突出バッフル1292の高さHは、約1μmから約1mmであることができる。例えば、
図12Aの突出バッフル1292の高さHは、約1mmから約20mmであることができる。例えば、
図12Aの突出バッフル1292の高さHは、約1mmから約6mmであることができる。本開示のある実施の形態は、広範囲のサイズ、材料、移動速度および入射角の粒子が
図4のパターニングデバイス412に到達する可能性を低減することが期待される。
【0138】
粒子トラップ1290の動作の実施例は、
図11A、
図11Bおよび
図12Aを参照しながら以下に説明される。第1チャンバ1103内の汚染粒子は、粒子トラップ1290の複数のバッフル1292に複数回衝突するであろう。各衝突において、粒子は運動エネルギーを失うとともに速度を失い、十分に低い速度および運動エネルギーとなると、ファンデルワールス相互作用に起因して粒子トラップ1290の表面に粒子がくっつくであろう。ギャップ1114に入るのに十分となる残りのエネルギーを粒子が有していたとしても、粒子の速度は少なくとも低減されているであろうから、チャンバ1105からチャンバ1103に入り込むパージガスの流れによって粒子がより制御されやすくなる。また、粒子の速度方向は、粒子トラップ1290のバッフル1292との衝突に起因して、チャンバ1103に戻るようにも変化しうる。ある実施の形態において、突出バッフル1292は、汚染粒子と粒子トラップ1290の間のファンデルワールス力を高めるために高ハマーカ定数を有する材料からなることができ、これにより汚染粒子がトラップ1290の表面にくっつく可能性が高められる。追加的に、粒子トラップ1290の複数のバッフルは、表面積を増やすことができ、これにより、汚染粒子が粒子トラップ1290により捕まる可能性が高められる。
【0139】
図12Bおよび
図12E-12Hに示されるように、突出バッフル1292は、ある実施の形態によれば、三角形の断面領域を有してもよく、各突出バッフル1292が高さHおよび幅Wを有してもよい。説明のため、各突出バッフル1292は、それぞれが三角形の断面領域の最高点および最低点となるピーク1278およびトラフ(谷)1279を有する。突出バッフル1292は、
図12Cに示されるような三角形に近い断面領域を有してもよく、例えばパターニングデバイス412を収容する第2チャンバ405からの粒子を所望の進行方向に反射させるよう構成されてもよい。または、例えば、突出バッフル1292は、
図12Dに示されるような台形の断面を有することができる。
【0140】
図12Bに戻り、突出バッフル1292は、高さHおよび幅Wを有してもよい。いくつかの例によれば、突出バッフル1292の幅Wは、約1mmから5mmであることができる。例えば、幅Wは、約1.5mmから約4.5mmであることができる。例えば、幅Wは、約2mmであることができる。別の例として、幅Wは、約4mmであることができる。いくつかの例によれば、
図12Bの突出バッフル1292の高さHは、約1mmから約6mmであることができる。例えば、高さHは、約2mmから約5mmであることができる。例えば、高さHは、約2.4mmから約4.5mmであることができる。これらの寸法は、例示として与えられ、他の寸法を用いることができる。
【0141】
バッフル1292は、バッフル1292の隣接するトラフ(谷)の間の仮想線と突出面とにより定義される角度θ
1およびθ
2を有することもできる。一例において、
図12Bに示されるように、角度θ
1およびθ
2は等しい。別の例において、
図12E-12Hに示されるように、角度θ
1およびθ
2は等しくない。例えば、
図12Eにおいて、角度θ
1は約90°である一方、角度θ
2は約90°より小さくてもよい。例えば、
図12Fにおいて、角度θ
2は約90°である一方、角度θ
1は約90°より小さくてもよい。例えば、
図12Gおよび
図12Hにおいて、角度θ
1およびθ
2は、等しくない鋭角である。
【0142】
いくつかの実施の形態において、角度θ
1およびθ
2は、突出バッフル1292のうちで変化することができる。例えば、
図12Gに示されるように、第1突出バッフル1292における角度θ
1またはθ
2は、隣の第2突出バッフル1292’における対応する角度θ
1’またはθ
2’とは異なることができる。
【0143】
図12Hにおいて、角度θ
1およびθ
2は異なる角度であるが、突出バッフル1292のそれぞれは実質的に同一である。いくつかの例によれば、
図12Hの突出バッフル1292の角度θ
1は、約60度であることができ、
図12Hの突出バッフル1292の角度θ
2は、約30度であることができる。この例において、
図12Hの突出バッフル1292の幅Wは、約1.5mmから約4.5mmであることができる。例えば、
図12Hの突出バッフル1292の幅Wは、約2mmであることができる。別の例として、
図12Hの突出バッフル1292の幅Wは、約4mmであることができる。しかしながら、これらは例示的な値であり、角度θ
1およびθ
2は他の値を取ることができる。
【0144】
いくつかの実施の形態によれば、ピッチ(例えば、隣り合うバッフルのピーク1278間の距離)は、固定されることができる。追加的または代替的に、ピッチが可変であることができる。例えば、
図12Gの粒子トラップ1290は、隣り合うバッフルのピーク1278の間の距離d
1、d
2およびd
3が異なる例を示す。別の例として、
図12Hの粒子トラップ1290は、ピッチdがバッフル間で実質的に同様である例を示す。
【0145】
図12Iおよび
図12Jは、粒子トラップ1290の様々な実施の形態を模式的に示す平面図である。
図12Iは、
図12Bに記載される粒子トラップ1290の平面視であってもよい。
図12Iに示されるように、突出バッフル1292の列は、互いに平行であり、隣り合うピークまたはトラフ(谷)の間隔が等しい。代替的に、突出バッフル1292の各列が特定の形状を形成するように構成されてもよい。
図12Jに示されるように、各列がV形状となるように形成され、突出バッフル1292の列が互いに平行である一方、隣り合うピークまたはトラフ(谷)の間隔が異なってもよい。例示的な構成が与えられるが、粒子トラップ1290(およびその平面視)は、斜めの構成や多面的な構成といった任意の他の構成を含むことができるが、これらに限られるものではない。
【0146】
図12Kは、様々な実施の形態に係る別の粒子トラップ1290を模式的に示す。
図12Kの粒子トラップ1290は、微細(マイクロ)構造(例えば微細バッフル)1297を含む微細構造テープ1295であることができる。微細構造1297は、
図12A-12Hにおいて説明したようなデザインおよび構成といった他のデザインおよび構成を含むことができるが、これらに限られるものではない。例えば、微細構造1297は、略矩形、三角形、略三角形、菱形または略菱形などの任意の適切な断面形状を有することができる。例えば、微細構造1297は、円錐形状、球形状、ピラミッド(角錐)形状、または、任意の他の適切な形状を有することができる。追加的または代替的に、微細構造テープ1295は、ポリマーからなることができる。追加的または代替的に、微細構造テープ95は、シリコーン樹脂からなることができる。いくつかの例において、微細構造テープ1295は、微細構造テープ1295が真空に適合可能となるようにニッケル(Ni)で被覆されることができる。いくつかの例において、微細構造テープ1295は、Gottlieb Binder GmbHにより製造されるGecko(登録商標)Nanoplast(登録商標)を含むことができる。しかしながら、
図12Kの粒子トラップ1290は、任意の他のマイクロ構造またはナノ構造を含むことができる。いくつかの実施の形態によれば、微細構造テープ1295は、上述したような可動および着脱可能な粒子トラップであることができる。別の例として、
図12Kの粒子トラップ1290は、対象の表面にボルトで着脱できる微細構造を含むことができる。
【0147】
追加的または代替的に、
図12Lに示されるように、粒子トラップ1290は、マイクロ構造またはナノ構造(例えば、マイクロバッフルまたはナノバッフル)1292とともに、汚染粒子が粒子トラップ1290に接着可能となるよう構成されるマイクロ構造またはナノ構造の表面上の材料1291を含むことができる。例えば、材料1291は、粒子トラップ1290のくっつく作用を高めることができる。いくつかの実施の形態によれば、材料1291は、液体を含むことができる。例えば、粒子トラップは、表面に液体が固定されたマイクロ構造を含むことができ、これは粒子トラップ1290のくっつく作用を高める。いくつかの例において、マイクロ構造またはナノ構造1291は、液体が含浸された複数のバッフルを含む。いくつかの例において、マイクロ構造の表面上に与えられる液体は、水または油を含むことができる。しかしながら、他の液体を用いることもできる。いくつかの例において、液体分子の一端がマイクロ構造にくっつき、その分子の他端が粒子トラップ1290のための粒子トラップ部分を提供する。
図12Lの粒子トラップ1290は、液体を有するマイクロ構造またはナノ構造の実施の形態の一例を示すが、他のデザインを用いることもできる。
【0148】
図12A-12Jの突出バッフル1292の各一つ、および/または、
図12Kおよび
図12Lのマイクロ構造またはナノ構造1297および1292は、粒子トラップ1290の表面から突起する別個の突出物であることができる。追加的または代替的に、
図12A-12Jの突出バッフル1292の各一つ、および/または、
図12Kおよび
図12Lのマイクロ構造またはナノ構造1297および1292のそれぞれは、
図12A-12Lの表面に直交する方向に沿って延在することができる。
【0149】
図12A-12Lは、上述のように、可動構造1204上に配置される粒子トラップ1290を示すが、粒子トラップ1290は、第1チャンバ1103内にある静止する第1構造1102または可動である第2構造1104の表面上に配置されることができる。さらに、粒子トラップ1190および1290は、第1チャンバ1103内にある静止する第1構造1102または可動である第2構造1104上の任意の構造の表面上に配置されることができる。
【0150】
追加的に、本開示に説明される粒子トラップの例は、ギャップ414内の第1構造402の表面415上、ギャップ414内の第2構造404の表面417上、または、それらの組み合わせに配置されることができる。追加的または代替的に、本開示で説明される粒子トラップの例は、第2チャンバ405内に位置する第1構造402および/または第2構造404の表面上に配置されることができる。追加的または代替的に、本開示で説明される粒子トラップの例は、第2チャンバ405と対向する筐体401の表面上に配置されることができる。
【0151】
実施の形態は、以下の項を用いて記載されてもよい。
(項1)第1チャンバと、
第2チャンバと、
第1表面を有する第1構造と、
前記第2チャンバ内の対象物を支持するよう構成され、前記第1構造に対して可動である第2構造であって、前記第1構造の前記第1表面と対向する第2表面を備えることにより前記第1構造と前記第2構造の間において前記第1チャンバと前記第2チャンバの間を延びるギャップを定義し、前記第1チャンバ内の第3表面を備える第2構造と、
前記第3表面の少なくとも一部に配置され、汚染粒子が前記ギャップを通過するのを抑制するよう構成される複数のバッフルを備える第1トラップと、を備える対象物ステージ。
(項2)前記第1表面の少なくとも一部に配置される第2トラップをさらに備える、項1に記載の対象物ステージ。
(項3)第1バッフルと前記第1バッフルの隣の第2バッフルとの間の第1距離は、第2バッフルと前記第2バッフルの隣の第3バッフルとの間の第2距離とは異なる、項1に記載の対象物ステージ。
(項4)前記複数のバッフルの各バッフルは、三角形の断面を有し、前記三角形の断面は、前記三角形の断面に隣接する谷の間を結ぶ仮想線と前記バッフルの第1突出面の間で定義される第1角度と、前記三角形の断面に隣接する谷の間を結ぶ前記仮想線と前記バッフルの第2突出面の間で定義される第2角度とを含む、項1に記載の対象物ステージ。
(項5)前記三角形の断面は、前記三角形の断面に隣接する谷の間を結ぶ仮想線と前記バッフルの第1突出面の間で定義される第1角度と、前記三角形の断面に隣接する谷の間を結ぶ前記仮想線と前記バッフルの第2突出面の間で定義される第2角度とを含み、
前記複数のバッフルのうちの第1バッフルの前記第1角度は、前記複数のバッフルのうちの第2バッフルの前記第1角度とは異なる、項4に記載の対象物ステージ。
(項6)前記第1トラップは、前記第3表面に着脱可能に取り付けられる、項1に記載の対象物ステージ。
(項7)前記第1トラップは、前記複数のバッフルが突出する微細構造テープを備える、項1に記載の対象物ステージ。
(項8)前記複数のバッフルには、液体が含浸されている、項1に記載の対象物ステージ。
(項9)前記第2構造は、ロングストロークモジュールとショートストロークモジュールを備え、
前記第2表面は、前記ロングストロークモジュールの一部であり、
前記第1構造は、静止している、項1に記載の対象物ステージ。
(項10)前記対象物は、レチクルであり、
前記第2構造は、前記レチクルを支持するよう構成されるチャックである、項1に記載の対象物ステージ。
(項11)前記第1チャンバおよび前記第2チャンバは、それぞれ真空圧で保持されるよう構成される、項1に記載の対象物ステージ。
(項12)第1チャンバと、
第2チャンバと、
第1表面を有する第1構造と、
前記第2チャンバ内の対象物を支持するよう構成され、前記第1構造に対して可動である第2構造であって、前記第1構造の前記第1表面と対向する第2表面を備えることにより前記第1構造と前記第2構造の間において前記第1チャンバと前記第2チャンバの間を延びるギャップを定義し、前記第1チャンバ内の第3表面を備える第2構造と、
前記ギャップ内に配置され、汚染粒子が前記ギャップを通過するのを抑制するよう構成されるバリアと、を備えることを特徴とする対象物ステージ。
(項13)前記バリアは、
前記第1表面から突出する第1の複数のバッフルと、
前記第2表面から突出し、前記第1の複数のバッフルと間挿する第2の複数のバッフルと、を備える、項12に記載の対象物ステージ。
(項14)前記第2構造は、スキャン方向に移動するよう構成され、
前記第1および前記第2の複数のバッフルの各バッフルは、前記スキャン方向に沿って延びる、項13に記載の対象物ステージ。
(項15)前記第1および前記第2の複数のバッフルは、前記スキャン方向に直交する方向に沿った視線を共同で遮る、項14に記載の対象物ステージ。
(項16)前記第1の複数のバッフルの各バッフルは、前記第2の複数のバッフルの隣り合うバッフルの表面に平行な表面を備える、項13に記載の対象物ステージ。
(項17)前記バリアは、前記第1および前記第2の複数のバッフルよりも小さい第3の複数の突出バッフルをさらに備え、前記第3の複数の突出バッフルは、前記第1の複数のバッフル、前記第2の複数のバッフル、前記第1の複数のバッフルの間、または、前記第2の複数のバッフルの間に配置される、項13に記載の対象物ステージ。
(項18)前記バリアは、
前記第1構造および前記第2構造の第1側にて前記第1表面および前記第2表面に連結する第1箔と、
前記第1構造および前記第2構造の前記第1側とは反対の第2側にて前記第1表面および前記第2表面に連結する第2箔と、を備える、項12に記載の対象物ステージ。
(項19)前記第2構造は、スキャン方向に移動するよう構成され、
前記第1箔および前記第2箔は、前記スキャン方向に巻回(ロール)するよう構成される、項18に記載の対象物ステージ。
(項20)前記バリアは、
前記第1箔から離れて、前記第1構造および前記第2構造の前記第1側にて前記第1表面および前記第2表面に連結する第3箔と、
前記第2箔から離れて、前記第1構造および前記第2構造の前記第2側にて前記第1表面および前記第2表面に連結する第4箔と、をさらに備える、項18に記載の対象物ステージ。
(項21)前記第3箔の一部は、前記第1箔の一部と重なり、
前記第4箔の一部は、前記第2箔の一部と重なる、項20に記載の対象物ステージ。
(項22)前記第3箔と前記第1箔の間にギャップが形成され、
前記第4箔と前記第2箔の間にギャップが形成される、項20に記載の対象物ステージ。
(項23)前記第1箔および前記第2箔のそれぞれは、金属またはポリマーを備える、項18に記載の対象物ステージ。
(項24)前記第2構造は、ロングストロークモジュールとショートストロークモジュールを備え、
前記第2表面は、前記ロングストロークモジュールの一部であり、
前記第1構造は、静止している、項12に記載の対象物ステージ。
(項25)前記対象物は、レチクルであり、
前記第2構造は、前記レチクルを支持するよる構成されるチャックである、項12に記載の対象物ステージ。
(項26)前記第1チャンバおよび前記第2チャンバは、それぞれ真空圧で保持されるよう構成される、項12に記載の対象物ステージ。
(項27)パターニングデバイスからのパターンを基板上に転写するよう構成されるリソグラフィ装置であって、前記リソグラフィ装置は、
前記基板を保持してスキャン方向に移動させるよう構成される基板テーブルと、
レチクルを保持して移動させるよう構成されるレチクルステージと、を備え、前記レチクルステージは、
第1チャンバと、
第2チャンバと、
第1表面を有する第1構造と、
前記第2チャンバ内の対象物を支持するよう構成され、前記第1構造に対して可動である第2構造であって、前記第1構造の前記第1表面と対向する第2表面を備えることにより前記第1構造と前記第2構造の間において前記第1チャンバと前記第2チャンバの間を延びるギャップを定義し、前記第1チャンバ内の第3表面を備える第2構造と、
前記第3表面の少なくとも一部に配置され、汚染粒子が前記ギャップを通過するのを抑制するよう構成される複数のバッフルを備えるトラップと、を備えるリソグラフィ装置。
(項28)パターニングデバイスからのパターンを基板上に転写するよう構成されるリソグラフィ装置であって、前記リソグラフィ装置は、
前記基板を保持してスキャン方向に移動させるよう構成される基板テーブルと、
レチクルを保持して移動させるよう構成されるレチクルステージと、を備え、前記レチクルステージは、
第1チャンバと、
第2チャンバと、
第1表面を有する第1構造と、
前記第2チャンバ内の対象物を支持するよう構成され、前記第1構造に対して可動である第2構造であって、前記第1構造の前記第1表面と対向する第2表面を備えることにより前記第1構造と前記第2構造の間において前記第1チャンバと前記第2チャンバの間を延びるギャップを定義し、前記第1チャンバ内の第3表面を備える第2構造と、
前記ギャップ内に配置され、汚染粒子が前記ギャップを通過するのを抑制するよう構成されるバリアと、を備えるリソグラフィ装置。
(項29)前記バリアは、
前記第1表面から突出する第1の複数のバッフルと、
前記第2表面から突出し、前記第1の複数のバッフルと間挿する第2の複数のバッフルと、を備える、項28に記載のリソグラフィ装置。
(項30)前記第2構造は、スキャン方向に移動するよう構成され、
前記第1および前記第2の複数のバッフルの各バッフルは、前記スキャン方向に沿って延びる、項29に記載のリソグラフィ装置。
(項31)前記第1および前記第2の複数のバッフルは、前記スキャン方向に直交する方向に沿った視線を共同で遮る、項30に記載のリソグラフィ装置。
(項32)前記バリアは、
前記第1構造および前記第2構造の第1側にて前記第1表面および前記第2表面に連結される第1箔と、
前記第1構造および前記第2構造の前記第1側とは反対の第2側にて前記第1表面および前記第2表面に連結される第2箔と、を備える、項28に記載のリソグラフィ装置。
(項33)前記第2構造は、スキャン方向に移動するよう構成され、
前記第1箔および前記第2箔は、前記スキャン方向に巻回(ロール)するよう構成される、項32に記載のリソグラフィ装置。
【0152】
例示的なデザインが本開示において説明されたが、本開示の実施の形態はこれらの例に限られない。例えば、本開示の実施の形態は、説明された例示的なデザインの任意の組み合わせを含む。
【0153】
本書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、本書に説明したリソグラフィ装置は他の用途、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどにも適用可能であるものと理解されたい。当業者であれば、このような他の用途において、本書の「ウェハ」または「ダイ」の用語の任意の使用は、より一般的な用語である「基板」または「ターゲット部分」のそれぞれと同義とみなしうることが理解されよう。本書に参照される基板は、露光の前または後に処理されてもよく、トラック(一般にレジストの層を基板に適用して露光されたレジストを現像するツール)、計測ツールおよび/または検査ツールで処理されてもよい。適用可能であれば、本書の開示は、このような基板処理ツールや他の基板処理ツールに適用されてもよい。さらに、例えば多層ICを作製するために、基板が2回以上処理されてもよく、本書で使用される基板の用語は、複数回処理された層をすでに含む基板を指してもよい。
【0154】
上記では光学リソグラフィの文脈において開示される実施の形態の使用について具体的な言及がなされたが、本開示は、他の用途、例えばインプリントリソグラフィに用いられてもよく、文脈上許されれば、光学リソグラフィに限定されないことが理解されよう。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内の地形(トポグラフィ)が基板上に生成されるパターンを定義する。パターニングデバイスの地形は、基板に供給されるレジストの層に押し込まれ、電磁放射、熱、圧力またはこれらの組み合わせを適用することで基板上においてレジストが硬化する。パターニングデバイスは、レジストから除去され、レジストが硬化した後のレジスト内にパターンを残す。
【0155】
本書の語法または用語は、本開示の語法または用語が当業者によって本書の教示の観点から解釈されるように説明することを目的とし、限定を目的とするものではないことが理解されよう。
【0156】
さらに、本書で用いる「放射」および「ビーム」の用語は、紫外(UV)放射(例えば、365、248、193、157または126nmの波長λを有する)、極端紫外(EUVまたは軟X線)放射(例えば、13.5nmなどといった5-20nmの範囲の波長を有する)、または、5nm未満で動作する硬X線、および、イオンビームや電子ビームといった粒子ビームを含む、任意の種類の電磁放射を包含する。一般に、約400から約700nmの間の波長を有する放射は可視放射とみなされ、約780-3000nm(またはそれ以上)の間の波長を有する放射はIR放射とみなされる。UVは、約100-400nmの波長を持つ放射を指す。リソグラフィにおいて、「UV」の用語は、水銀放電ランプにより生成することのできる波長:G線436nm;H線405nm;および/またはI線365nmにも適用される。真空UVまたはVUV(つまり、ガスにより吸収されるUV)は、約100-200nmの波長を有する放射を指す。深UV(DUV)は、126nmから428nmの範囲の波長を有する放射を一般的に指し、ある実施の形態において、エキシマレーザがリソグラフィ装置に用いられるDUV放射を生成できる。例えば5-20nmの範囲内の波長を有する放射は、波長帯の少なくとも一部が5-20nmの範囲内にある特定の波長帯を有する放射に関連するものと理解されるべきである。
【0157】
本書で用いる「基板」の用語は、その上に後続する材料層が追加される材料を一般に記述する。実施の形態において、基板自体がパターニングされ、かつ、基板上に追加される材料がパターニングされてもよいし、または、基板自体がパターニングされずに残ってもよい。
【0158】
本書で用いられる一以上の具体的な特徴、構造または特性間の相対的な空間的な記載は、例示を目的とするものにすぎず、本開示の思想および範囲から逸脱しない限りにおいて、本書に記載される構造の具体的な実施にミスアライメント許容誤差が含まれてもよいことが理解されよう。
【0159】
本開示の特定の実施の形態が上述されたが、本開示は記載とは異なる態様で実施されてもよいことが理解されよう。本記載は、本開示を限定することを意図しない。
【0160】
「発明の概要」および「要約書」のセクションではなく、「発明を実施するための形態」のセクションが請求項の解釈に用いられることを意図することが理解されよう。「発明の概要」および「要約書」のセクションは、発明者によって熟慮された本開示の一以上の例示的な実施の形態を説明しうるが、全ての例示的な実施の形態を説明するわけではなく、したがって、本開示および添付の請求項をいかなる態様によっても限定することを意図しない。
【0161】
本開示は、特定の機能の実装およびそれらの関係を示す機能構成ブロックを用いながら上述された。これらの機能構成ブロックの境界は、説明の便宜のために本書にて恣意的に定義されている。特定の機能およびそれらの関係が適切に動作する限り、代替の境界を定義することができる。
【0162】
特定の実施の形態の前述の記載は、当業者の知識を適用することにより、過度の実験をすることなく、本開示の一般的な概念から逸脱することなく、そのような特定の実施の形態の様々な用途に容易に改変および/または適合させることができる本開示の一般的性質を十分に明らかにするであろう。したがって、そのような適合および改変は、本明細書に示された教示およびガイダンスに基づいて、開示された実施の形態の均等物の意味および範囲内にあることが意図される。
【0163】
本開示の幅および範囲は、上述の例示的な実施の形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の請求項およびそれらの同等物にしたがってのみ定義されるべきである。