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特許7263676プロセスプラズマにおけるイオンエネルギー分布を制御するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】プロセスプラズマにおけるイオンエネルギー分布を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20230418BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/302 101B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020555777
(86)(22)【出願日】2019-04-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019026261
(87)【国際公開番号】W WO2019199635
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】62/657,301
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/657,272
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508240030
【氏名又は名称】エムケーエス インストゥルメンツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】吉田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロニン,セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ランジャン,アロック
(72)【発明者】
【氏名】クムー,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,スコット
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0273341(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0062186(US,A1)
【文献】特開2014-239029(JP,A)
【文献】特開平07-201816(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0098549(US,A1)
【文献】特表2012-523134(JP,A)
【文献】特開2012-212894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をプラズマ処理するための方法であって、
プロセスチャンバを提供することと、
少なくとも基本周波数における基本周波数電圧及び第2の周波数における第2の周波数電圧を通してRF電力を前記プロセスチャンバに提供するために、前記プロセスチャンバに1つ又は複数のRF電源を結合することであって、前記第2の周波数は、前記基本周波数の第二次高調波周波数又はより高次の高調波である、結合することと、
前記プロセスチャンバ中に少なくとも第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンを提供することであって、前記第1のタイプのイオンは、第1の質量を有し、及び前記第2のタイプのイオンは、第2の質量を有し、前記第1の質量と前記第2の質量とは、異なる質量である、提供することと、
前記第1の質量及び前記第2の質量に基づくイオンエネルギー分布の選択的制御を可能にするために、前記基本周波数電圧と前記第2の周波数電圧との間の関係を調整することにより、前記第1のタイプのイオン及び前記第2のタイプのイオンの前記イオンエネルギー分布を制御することと
を含む方法。
【請求項2】
前記調整することは、前記基本周波数電圧と前記第2の周波数電圧との間の位相差及び/又は前記基本周波数電圧と前記第2の周波数電圧との振幅比を調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記調整することは、前記基本周波数電圧と前記第2の周波数電圧との間の位相差を調整することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマ処理は、プラズマエッチングプロセスであり、前記イオンエネルギー分布を前記制御することは、前記第1の質量と前記第2の質量とが異なることに基づいて、前記第1のタイプのイオン及び前記第2のタイプのイオンのエッチングの影響の選択的制御を提供する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記プラズマエッチングプロセスは、原子層エッチングプロセスであり、及び前記イオンエネルギー分布を前記制御することは、前記原子層エッチングプロセスの層改質工程又は層エッチング工程を選択的に制御する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
基板をプラズマエッチングするための方法であって、
プロセスチャンバを提供することと、
少なくとも基本周波数における基本周波数電圧及び第2の周波数における第2の周波数電圧を通してRF電力を前記プロセスチャンバに提供するために、前記プロセスチャンバに1つ又は複数のRF電源を結合することであって、前記第2の周波数は、前記基本周波数の第二次高調波周波数又はより高次の高調波である、結合することと、
前記プロセスチャンバ中に少なくとも第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンを提供することであって、前記第1のタイプのイオンは、第1の質量を有し、及び前記第2のタイプのイオンは、第2の質量を有し、前記第1の質量と前記第2の質量とは、異なる質量である、提供することと、
前記第1の質量及び前記第2の質量に基づくイオンエネルギー分布の選択的制御を可能にするために、前記基本周波数電圧と前記第2の周波数電圧との間の関係を調整することにより、前記第1のタイプのイオン及び前記第2のタイプのイオンの前記イオンエネルギー分布を制御することと
を含み、
前記イオンエネルギー分布は、前記第2のタイプのイオンについて少なくとも2つのピークを有し、第1のピークは、前記第1のタイプのイオンについての少なくとも1つのピークより低いエネルギーにあり、第2のピークは、前記第1のタイプのイオンについての前記少なくとも1つのピークより高いエネルギーにあり、前記イオンエネルギー分布を前記制御することは、前記第2のタイプのイオンの前記第2のピークを強化するために使用され、
前記イオンエネルギー分布を前記制御することは、前記第1のタイプのイオン及び前記第2のタイプのイオンの少なくとも一方のエッチングの影響を選択的に制御することを可能にする、方法。
【請求項7】
前記第1のタイプのイオンは、前記第2のタイプのイオンより重く、及び前記イオンエネルギー分布を前記制御することは、前記第2のタイプのイオンによる支配的なエッチングを提供する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記制御することは、前記イオンエネルギー分布が前記プラズマエッチングの共通の気相内で変わり得るようにプラズマ処理中に行われ得る、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記プラズマエッチングは、原子層エッチングプロセスである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記制御することは、前記イオンエネルギー分布が前記プラズマエッチングの共通の気相内で変わり得るようにプラズマ処理中に行われ得る、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記イオンエネルギー分布を前記制御することは、前記原子層エッチングプロセスを層改質工程にするために利用される、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記制御することは、前記イオンエネルギー分布が前記プラズマエッチングの共通の気相内で変わり得るようにプラズマ処理中に行われ得る、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記イオンエネルギー分布を前記制御することは、前記原子層エッチングプロセスを層エッチング工程にするために利用される、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記制御することは、前記イオンエネルギー分布が前記プラズマエッチングの共通の気相内で変わり得るようにプラズマ処理中に行われ得る、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
基板をプラズマエッチングするための方法であって、
プロセスチャンバを提供することと、
少なくとも基本周波数における基本周波数電圧及び第2の周波数における第2の周波数電圧を通してRF電力を前記プロセスチャンバに提供するために、前記プロセスチャンバに1つ又は複数のRF電源を結合することであって、前記第2の周波数は、前記基本周波数の第二次高調波周波数又はより高次の高調波である、結合することと、
前記プロセスチャンバ中に少なくとも第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンを提供することであって、前記第1のタイプのイオンは、第1の質量を有し、及び前記第2のタイプのイオンは、第2の質量を有し、前記第1の質量は、前記第2の質量より重い、
提供することと、
前記基本周波数電圧と前記第2の周波数電圧との間の位相差及び/又は前記基本周波数電圧と前記第2の周波数電圧との振幅比を調整することにより、前記第1のタイプのイオン及び前記第2のタイプのイオンのイオンエネルギー分布を制御することと
を含み、
前記イオンエネルギー分布は、前記第2のタイプのイオンについて少なくとも2つのピークを有し、第1のピークは、前記第1のタイプのイオンについての少なくとも1つのピークより低いエネルギーにあり、第2のピークは、前記第1のタイプのイオンについての前記少なくとも1つのピークより高いエネルギーにあり、前記イオンエネルギー分布を前記制御することは、前記第2のタイプのイオンの前記第2のピークを強化するために使用され、
前記イオンエネルギー分布を前記制御することは、前記第1のタイプのイオン又は前記第2のタイプのイオンの少なくとも一方の非対称のイオンエネルギー分布を生成し、
前記非対称のイオンエネルギー分布は、前記第1のタイプのイオンに対する前記第2のタイプのイオンのエッチングの影響を調整するために使用される、方法。
【請求項16】
前記プラズマエッチングは、原子層エッチングプロセスであり、及び前記イオンエネルギー分布を前記制御することは、前記原子層エッチングプロセスを層エッチング工程と層改質工程との間で切り替えるために利用される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記イオンエネルギー分布を前記制御することは、前記原子層エッチングプロセスの同じ気相内で行われる、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年4月13日に出願されたYoshidaらによる「Apparatus and Method for Controlling Ion Energy Distribution in Process Plasmas」という名称の米国特許出願第62/657,301号明細書及び2018年4月13日に出願されたYoshidaらによる「Method for Ion Mass Separation and Ion Energy Control in Process Plasmas」という名称の米国特許出願第62/657,272号明細書に関連するものであり、これらの米国特許出願の開示は、参照によりその全体が明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は、プラズマプロセス装置における基板の処理に関する。特に、本開示は、プラズマ処理装置で生成されたプラズマを制御する装置及び方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
基板の処理にプラズマシステムを使用することは、かなり以前から知られている。例えば、半導体ウェハのプラズマ処理がよく知られている。プラズマシステムは、通常、プラズマエッチングプロセス及び/又はプラズマ堆積プロセスに利用され得る。プラズマ処理には多くの技術的課題があり、基板上の構造及び層の形状が縮小し続けるにつれて、プラズマの制御が一層重要になる。一般に、プラズマは、プラズマを周囲の環境から隔てるチャンバ内でガス混合物に高周波電力を供給することによって生成される。プラズマプロセスの性能は、イオン種、イオンの密度、イオンの運動エネルギー、反応性中性粒子などを含む多くの因子、変量の影響を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
所望のプロセス性能を実現するために、プラズマ処理装置の可変設定を調整して、プラズマ特性を変更できる。これらの設定としては、当技術分野でいずれも周知のようにガス流量、ガス圧力、プラズマ励起用の電力、バイアス電圧などが挙げられるが、これらに限定されない。所望の性能を実現するための課題の1つは、プラズマ特性の制御性である。可変設定は、プラズマの特性に直接関係しないため、制御には限界がある。基板処理の要件の難易度が一層高まるにつれて、プラズマ特性のより良い制御性が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの例示的な実施形態では、プラズマ励起のために複数の高調波周波数成分を用いることにより、プラズマ中のイオンエネルギーの制御を利用する革新的なプラズマ処理方法及びシステムが本明細書で説明される。より具体的には、異なる周波数成分間の相対振幅及び/又は位相シフトは、所望のイオンエネルギープラズマ特性を提供するように制御される。相対振幅及び/又は位相シフトは、直接及び/又は手動のイオンエネルギー測定なしで制御され得る。むしろ、プラズマ内のイオンエネルギーは、例えば、インピーダンスレベル、高周波(RF)発生器の電気信号、整合回路の電気信号及びプラズマ処理装置の他の回路の電気信号など、プラズマ装置内の1つ又は複数の電気的特性を監視することによって動的に制御され得る。したがって、通常、基板を大量生産するためのプラズマ装置では、イオンエネルギーを直接測定できないため、プラズマプロセスシステムでイオンエネルギー分布を迅速且つ正確に制御する技法が提供される。イオンエネルギーの監視及び制御は、所望のイオンエネルギー分布を維持するために、プラズマプロセス中に動的に実現され得る。したがって、本明細書で説明される技法は、例えば、イオンエネルギーセンサを用いることなく、複数の高調波周波数システムにおけるその場でのイオンエネルギー最適化を有利に提供でき、また例えばプロセス中のイオンエネルギー分布の最適な動作条件を維持する動的制御機能を提供できる。本明細書で提供される本開示の利益を有する他の利点も認識されるであろう。
【0006】
一実施形態では、基板をプラズマ処理することができるプラズマ処理システムが提供される。本システムは、プロセスチャンバと、プロセスチャンバに結合され、且つ少なくとも基本周波数における基本周波数電圧及び第2の周波数における第2の周波数電圧を通してRF電力をプロセスチャンバに提供するように構成された1つ又は複数のRF電源であって、第2の周波数は、基本周波数の第二次高調波周波数又はより高次の高調波である、1つ又は複数のRF電源とを含み得る。本システムは、基板のプラズマ処理中にプラズマ処理システムの少なくとも1つの電気的特性を受け取るためにプラズマ処理システムの少なくとも1つの他のコンポーネントに結合された制御回路をさらに含む。本システムは、1つ又は複数のRF電源の少なくとも1つに結合された制御回路の少なくとも1つの出力であって、1つ又は複数のRF電源は、基板のプラズマ処理中に所望のイオンエネルギー分布を得ることができるように、基本周波数電圧及び/又は第2の周波数電圧の特性を調整するように構成される、少なくとも1つの出力も含む。
【0007】
別の実施形態では、基板をプラズマ処理するための方法が提供される。本方法は、プロセスチャンバを提供することと、少なくとも基本周波数における基本周波数電圧及び第2の周波数における第2の電圧を通してRF電力をプロセスチャンバに提供するために、プロセスチャンバに1つ又は複数のRF電源を結合することであって、第2の周波数は、基本周波数の第二次高調波周波数又はより高次の高調波である、結合することとを含み得る。本方法は、基板のプラズマ処理中にプラズマ処理システムの少なくとも1つの電気的特性を監視することも含む。本方法は、基板のプラズマ処理中に所望のイオンエネルギー分布を得るために、基本周波数電圧と第2の周波数電圧との間の位相差及び/又は基本周波数電圧と第2の周波数電圧との振幅比をプラズマ処理中に調整することをさらに含む。
【0008】
また別の実施形態では、基板を処理するための方法が提供される。本方法は、プロセスチャンバを提供することと、少なくとも基本周波数における基本周波数電圧及び第2の周波数における第2の電圧を通してRF電力をプロセスチャンバに提供するために、プロセスチャンバに1つ又は複数のRF電源を結合することであって、第2の周波数は、基本周波数の第二次高調波周波数又はより高次の高調波である、結合することとを含み得る。本方法は、プロセスチャンバと1つ又は複数のRF電源との間に整合回路を結合することも含む。本方法は、基板のプラズマ処理中に整合回路によって見られるプロセスチャンバのインピーダンスを少なくとも監視することをさらに含む。本方法は、基板のプラズマ処理中に所望のイオンエネルギー分布を得るために、少なくとも基本周波数電圧と第2の周波数電圧との間の位相差をプラズマ処理中に調整することも含む。
【0009】
別の例示的な実施形態では、印加されるRF電力の印加、具体的には基本RF周波数と高調波周波数との間の関係を制御することにより、質量の異なるイオンのイオンエネルギー分布が同時に制御される、プラズマ内のイオンエネルギー分布を制御するための技法が本明細書で説明される。したがって、本技法により、質量の異なるイオンに対するイオンエネルギー制御が可能になる。2つの周波数間のRF電力分布を制御することにより、プラズマプロセスの特性が変化され得る。例えば、エッチングを支配するイオンは、イオンが他のイオンより軽いか又は重いかに選択的に基づき得る。同様に、原子層エッチングプロセスは、プロセスがRF周波数の調整によって層改質工程と層エッチング工程との間で切り替わり得るように制御され得る。このような切り替えを、プラズマプロセスの同じ気相内で行うことができる。したがって、RF電源の調整を用いて、システムを層改質工程又は層エッチング工程にしながら、層改質工程と層エッチング工程との両方にプラズマの共通の気相を使用できる。一実施形態では、RF電力の制御は、基本RF周波数と高調波周波数との間の位相差及び/又は振幅比を制御することを含む。さらに、位相差及び/又は振幅比の制御は、例えば、インピーダンスレベル、高周波(RF)発生器の電気信号、整合回路の電気信号及びプラズマ処理装置の他の回路の電気信号など、プラズマ装置内の1つ又は複数の電気的特性の検出に依拠し得る。
【0010】
一実施形態では、基板をプラズマ処理するための方法が提供される。本方法は、プロセスチャンバを提供することと、少なくとも基本周波数における基本周波数電圧及び第2の周波数における第2の周波数電圧を通してRF電力をプロセスチャンバに提供するために、プロセスチャンバに1つ又は複数のRF電源を結合することであって、第2の周波数は、基本周波数の第二次高調波周波数又はより高次の高調波である、結合することとを含み得る。本方法は、プロセスチャンバ中に少なくとも第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンを提供することであって、第1のタイプのイオンは、第1の質量を有し、及び第2のタイプのイオンは、第2の質量を有し、第1の質量と第2の質量とは、異なる質量である、提供することをさらに含む。本方法は、第1の質量及び第2の質量に基づくイオンエネルギー分布の選択的な制御を可能にするために、基本周波数電圧と第2の周波数電圧との間の関係を調整することにより、第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンのイオンエネルギー分布を制御することも含む。
【0011】
別の実施形態では、基板をプラズマエッチングするための方法が提供される。本方法は、プロセスチャンバを提供することと、少なくとも基本周波数における基本周波数電圧及び第2の周波数における第2の周波数電圧を通してRF電力をプロセスチャンバに提供するために、プロセスチャンバに1つ又は複数のRF電源を結合することであって、第2の周波数は、基本周波数の第二次高調波周波数又はより高次の高調波である、結合することとを含み得る。本方法は、プロセスチャンバ中に少なくとも第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンを提供することであって、第1のタイプのイオンは、第1の質量を有し、及び第2のタイプのイオン、第2の質量を有し、第1の質量と第2の質量とは、異なる質量である、提供することをさらに含む。本方法は、第1の質量及び第2の質量に基づくイオンエネルギー分布の選択的な制御を可能にするために、基本周波数電圧と第2の周波数電圧との間の関係を調整することにより、第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンのイオンエネルギー分布を制御することも含む。イオンエネルギー分布を制御することは、第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンの少なくとも一方のエッチングの影響を選択的に制御することを可能にする。
【0012】
また別の実施形態では、基板をプラズマエッチングするための方法が提供される。本方法は、プロセスチャンバを提供することと、少なくとも基本周波数における基本周波数電圧及び第2の周波数における第2の周波数電圧を通してRF電力をプロセスチャンバに提供するために、プロセスチャンバに1つ又は複数のRF電源を結合することであって、第2の周波数は、基本周波数の第二次高調波周波数又はより高次の高調波である、結合することとを含み得る。本方法は、プロセスチャンバ中に少なくとも第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンを提供することであって、第1のタイプのイオンは、第1の質量を有し、及び第2のタイプのイオンは、第2の質量を有し、第1の質量は、第2の質量より重い、提供することをさらに含む。本方法は、基本周波数電圧と第2の周波数電圧との間の位相差及び/又は基本周波数電圧と第2の周波数電圧との振幅比を調整することにより、第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンのイオンエネルギー分布を制御することをさらに含む。イオンエネルギー分布を制御することは、第1のタイプのイオン又は第2のタイプのイオンの少なくとも一方の非対称のイオンエネルギー分布を生成し、及び非対称のイオンエネルギー分布は、第1のタイプのイオンに対する第2のタイプのイオンのエッチングの影響を調整するために使用される。
【0013】
本発明及びその利点のより詳細な理解は、同様の参照番号が同様の特徴を示す添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって得ることができる。しかしながら、添付の図面は、開示された概念の例示的な実施形態のみを示し、したがって範囲を限定するものと見なされるべきではなく、開示された概念に対して他の同等に効果的な実施形態を認め得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本明細書で説明されるプラズマ処理技法を実施するための例示的なプラズマ処理システムを示す。
図2】従来技術のプラズマ処理における二峰性のイオンエネルギー分布のプロットを示す。
図3】基本周波数電源と高調波周波数電源との間の位相シフト及び振幅差を示す。
図4】基本周波数電源に加えて高調波周波数電源を使用した場合に得ることができる例示的なイオンエネルギー分布のプロットを示す。
図5】高調波周波数電源を使用しない場合と異なる位相シフトで高調波周波数電源を使用した場合との例示的なイオンエネルギー分布のプロットを示す。
図6】酸化ケイ素及び窒化ケイ素のエッチング量に対する高調波周波数電源の異なる位相シフトの影響をバイアス電力の関数として示す。
図7】酸化ケイ素のエッチング量と窒化ケイ素のエッチング量との間のエッチング選択性に対する高調波周波数電源の異なる位相シフトの影響をバイアス波の関数として示す。
図8】異なる質量のイオンを用いるプラズマ処理における典型的な対称な二峰性のイオンエネルギー分布のプロットを示す。
図9】本明細書で説明される高調波周波数技法を利用した場合の、異なる質量のイオンを用いるプラズマ処理における非対称のイオンエネルギー分布のプロットを、エッチング閾値を含めて示す。
図10】本明細書で説明される高調波周波数技法を利用した場合の、異なる質量のイオンを用いるプラズマ処理における別の非対称のイオンエネルギー分布のプロットを、エッチング閾値を含めて示す。
図11A図9及び図10の非対称のイオンエネルギー分布のプロットを原子層エッチングプロセスで使用するための異なるエッチング閾値を含めて示す。
図11B図9及び図10の非対称のイオンエネルギー分布のプロットを原子層エッチングプロセスで使用するための異なるエッチング閾値を含めて示す。
図12A図9及び図10の非対称のイオンエネルギー分布のプロットを別の原子層エッチングプロセスで使用するための異なるエッチング閾値を含めて示す。
図12B図9及び図10の非対称のイオンエネルギー分布のプロットを別の原子層エッチングプロセスで使用するための異なるエッチング閾値を含めて示す。
図13】本明細書で説明されるプラズマ処理技法を使用するための例示的な方法を示す。
図14】本明細書で説明されるプラズマ処理技法を使用するための例示的な方法を示す。
図15】本明細書で説明されるプラズマ処理技法を使用するための例示的な方法を示す。
図16】本明細書で説明されるプラズマ処理技法を使用するための例示的な方法を示す。
図17】本明細書で説明されるプラズマ処理技法を使用するための例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
基本周波数RF電力と、基本周波数の高調波周波数のRF電力との印加を制御することにより、プラズマ処理結果が改善され得ることが判明した。1つの例示的な実施形態では、プラズマ励起のために複数の高調波周波数成分を用いることにより、プラズマ中のイオンエネルギーの制御を利用する革新的なプラズマ処理方法が本明細書で説明される。より具体的には、異なる周波数成分間の相対振幅及び/又は位相シフトは、所望のイオンエネルギープラズマ特性を提供するように制御される。相対振幅及び/又は位相シフトは、直接及び/又は手動のイオンエネルギー測定なしで制御され得る。むしろ、プラズマ内のイオンエネルギーは、例えば、インピーダンスレベル、高周波(RF)発生器の電気信号、整合回路の電気信号及び/又はプラズマ処理装置の他の回路の電気信号など、プラズマ処理システムの1つ又は複数の電気的特性を監視することによって動的に制御され得る。したがって、通常、基板を大量生産するためのプラズマ装置では、イオンエネルギーを直接測定できないため、プラズマプロセスシステムでイオンエネルギー分布を迅速且つ正確に制御する技法が提供される。イオンエネルギーの監視及び制御は、所望のイオンエネルギー分布を維持するために、プラズマプロセス中に動的に実現され得る。したがって、本明細書で説明される技法は、例えば、イオンエネルギーセンサを用いることなく、複数の高調波周波数システムにおけるその場でのイオンエネルギー最適化を有利に提供でき、また例えばプロセス中のイオンエネルギー分布の最適な動作条件を維持する動的制御機能を提供できる。本明細書で提供される本開示の利益を有する他の利点も認識されるであろう。
【0016】
別の例示的な実施形態では、印加されるRF電力の印加、具体的には基本RF周波数と高調波周波数との間の関係を制御することにより、質量の異なるイオンのイオンエネルギー分布が同時に制御される、プラズマ内のイオンエネルギー分布を制御するための技法が本明細書で説明される。したがって、本技法により、質量の異なるイオンに対するイオンエネルギー制御が可能になる。RF電力周波数を制御することにより、プラズマプロセスの特性が変化され得る。例えば、エッチングを支配するイオンは、イオンが他のイオンより軽いか又は重いかに選択的に基づき得る。同様に、原子層エッチングプロセスは、プロセスがRF周波数の調整によって層改質工程と層エッチング工程との間で切り替えられ得るように制御され得る。このような切り替えは、プラズマプロセスの同じ気相内で行うことができる。一実施形態では、RF電力の制御は、基本RF周波数と高調波周波数との間の位相差及び/又は振幅比を制御することを含む。さらに、位相差及び/又は振幅比の制御は、例えば、インピーダンスレベル、高周波(RF)発生器の電気信号、整合回路の電気信号及びプラズマ処理装置の他の回路の電気信号など、プラズマ装置内の1つ又は複数の電気的特性の検出に依拠し得る。
【0017】
本明細書で説明される技法は、多様なプラズマ処理システムで利用され得る。例えば、本技法は、プラズマエッチングプロセスシステム、プラズマ堆積プロセスシステム又は任意の他のプラズマプロセスシステムで利用され得る。図1は、単に例示を目的として1つの例示的なプラズマ処理システム100を示す。他のプラズマプロセスシステムも、本明細書に説明される概念を同様に実施できることが理解されるであろう。例えば、プラズマ処理システム100は、容量結合プラズマ処理装置、誘導結合プラズマ処理装置、マイクロ波プラズマ処理装置、ラジアルラインスロットアンテナ(RLSA)マイクロ波プラズマ処理装置、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ処理装置などであり得る。このように、本明細書で説明される技法は、多様なプラズマ処理システムのいずれかで利用され得ることが当業者に理解されるであろう。プラズマ処理システム100は、エッチング、堆積、洗浄、プラズマ重合、プラズマ化学気相堆積法(PECVD)、原子層堆積法(ALD)などを含むが、これらに限定されない多様な操作に使用され得る。プラズマ処理システム100の構造は、周知であり、本明細書で提示される特定の構造は、単なる例示である。
【0018】
図1の例示的なシステムに示されているように、プラズマ処理システム100は、プロセスチャンバ105を含み得る。当技術分野で知られているように、プロセスチャンバ105は、圧力制御されたチャンバであり得る。基板110(一例では半導体ウェハ)は、ステージ又はチャック115上に保持され得る。上部電極120及び下部電極125は、図示のように設けられ得る。上部電極120は、上部整合回路155を通して上部RF電源130に電気的に結合され得る。上部RF電源130は、上部周波数fにおいて上部周波数電圧135を提供し得る。下部電極125は、下部整合回路157を通して下部RF電源140に電気的に結合され得る。下部RF電源140は、複数の下部周波数電圧を提供し得る。例えば、第1の下部周波数電圧145は、第1の下部周波数fで提供され得、第2の下部周波数電圧150は、第2の下部周波数fで提供され得る。以下でより詳細に論じるように、第2の下部周波数fは、第1の下部周波数fの第二次高調波又はより高次の高調波であり得る。したがって、fは、n×fに等しく、nは、1より大きい整数であり得る。したがって、第1の下部周波数電圧145は、基本周波数電圧として動作でき、第2の下部周波数電圧150は、第2の周波数における第2の電圧として動作でき、第2の周波数は、基本周波数の第二次高調波又はより高次の高調波である。
【0019】
フィードバック回路165が設けられ得る。図示のように、フィードバック回路165は、下部整合回路157と下部RF電源140との間でフィードバックを提供する。具体的には、図示の例では、フィードバック回路165は、下部整合回路157から入力を受け取り、下部RF電源140に結合される出力を提供する。このようなフィードバックの使用は、単なる例示であり、以下で説明するように、後述するように高調波周波数の振幅及び位相シフトを制御するためにフィードバックを使用することは、下部整合回路157からのフィードバックに限定されないため、フィードバックは、プラズマ処理システム100の多様な他のコンポーネントのいずれかから下部RF電源140に提供され得ることが理解されるであろう。利用されるプラズマ処理システム100のタイプに応じて、多くの他のコンポーネント(図示せず)がプラズマ処理システム100に含められ得るか、又は示されたコンポーネントが除外され得ることが当業者に理解されるであろう。
【0020】
プラズマ処理システム100のコンポーネントは、対応するメモリストレージユニット及びユーザインターフェース(いずれも図示せず)に接続され得る制御ユニット170に接続され、制御ユニット170によって制御され得る。様々なプラズマ処理操作がユーザインターフェースを介して実行され得、様々なプラズマ処理レシピ及び操作がストレージユニットに格納され得る。したがって、所与の基板は、様々な微細加工技法を用いてプラズマ処理チャンバ内で処理され得る。制御ユニット170は、プラズマ処理システム100の様々なコンポーネントに結合されて様々なコンポーネントから入力を受け取り、様々なコンポーネントに出力を提供できるため、一実施形態では、フィードバック回路165の機能は、追加のフィードバック回路165を必要とすることなく制御ユニット170内に直接組み込まれ得ることが理解されるであろう。
【0021】
制御ユニット170は、様々に実施され得る。例えば、制御ユニット170は、コンピュータであり得る。別の例では、制御ユニットは、本明細書で説明される機能を提供するようにプログラムされた1つ又は複数のプログラム可能な集積回路から構成され得る。例えば、1つ又は複数のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置など)、プログラマブルロジックデバイス(例えば、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD))、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など)及び/又は他のプログラム可能な集積回路をソフトウェア又は他のプログラミング命令でプログラムして、禁止されたプラズマプロセスレシピの機能を実装できる。ソフトウェア又は他のプログラミング命令は、1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリストレージデバイス、フラッシュメモリ、DRAMメモリ、再プログラム可能なストレージデバイス、ハードドライブ、フロッピーディスク、DVD、CD-ROMなど)に格納され得、ソフトウェア又は他のプログラミング命令は、プログラム可能な集積回路によって実行されると、本明細書で説明されるプロセス、機能及び/又は能力をプログラム可能な集積回路に実行させることにさらに留意されたい。他の変形形態も実施され得る。フィードバック回路165は、制御ユニットに見られるものと同様の回路で構成され得る。代替的に、フィードバック回路165は、下部RF電源140の出力において見られる位相シフト及び振幅比を制御するために、プラズマ処理システム100で監視される特定の電気的特性の測定に基づいてRF電源に入力を提供するように設計されることにより、RF電源の特定のフィードバック制御を実現するように設計された特定の回路であり得る。
【0022】
動作中、プラズマ処理装置は、上部RF電源130及び下部RF電源140からシステムに電力を印加するとき、上部及び下部電極を使用して、プロセスチャンバ105内にプラズマ160を生成する。さらに、当技術分野で知られているように、プラズマ160中に生成されたイオンは、基板110に引き寄せられ得る。生成されたプラズマは、プラズマエッチング、化学気相堆積、半導体材料、ガラス材料並びに薄膜太陽電池、他の太陽電池及びフラットパネルディスプレイのための有機/無機プレートなどの大型パネルの処理などの様々な種類の処理でのターゲット基板(基板110又は処理対象の任意の材料など)の処理に使用され得る。
【0023】
電力を印加すると、上部電極120と下部電極125との間に高周波電場が発生する。次に、プロセスチャンバ105に送達された処理ガスは、解離されてプラズマに変換され得る。図1に示すように、説明される例示的なシステムは、上部RF電源及び下部RF電源の両方を利用する。例えば、例示的な容量結合プラズマシステムの場合、約3MHz~150MHzの範囲の高周波電力が上部RF電源130から印加され得、約0.2MHz~40MHzの範囲の低周波電力が下部RF電源から印加され得る。本明細書で説明される技法は、様々な他のプラズマシステムで利用され得ることが理解されるであろう。1つの例示的なシステムでは、電源が切り替えられ得る(下部電極においてより高い周波数が印加され、上部電極においてより低い周波数が印加される)。さらに、二重電源システムは、単に例示的なシステムとして示され、本明細書で説明される技法は、周波数電源が一方の電極にのみ提供されるか、直流(DC)バイアス電源が利用されるか、又は他のシステムコンポーネントが利用されるなどの他のシステムで利用され得ることが理解されるであろう。
【0024】
図1に示されているように、下部RF電源140は、第1の下部周波数電圧及び第2の下部周波数電圧の両方をそれぞれ第1の周波数f及び高調波周波数fで提供する。下部RF電源140は、2つ以上の周波数を提供する単一のRF電源と見なされ得るか、又は代替的に、下部RF電源140は、それぞれがRF電圧を提供する複数のRF電源を有するシステムと見なされ得ることが理解されるであろう。したがって、下部RF電源140は、1つ又は複数のRF電源から構成され得る。さらに、上述したように、上部電源及び下部電源としての各電源の使用を入れ替え得、したがって、高調波の使用は、下部電極への印加のみに限られるだけでなく、上部電極への印加にも利用され得る。
【0025】
プラズマシステムにおける従来のイオンエネルギー分布は、多くの場合、二峰性のイオンエネルギー分布の形をとることが当技術分野で知られている。例えば、図2は、プラズマエッチングシステムで生じ得る従来の二峰性のイオンエネルギー分布のプロット200を示す。さらに、例えば、U.Czarnetzki et al,Plasma Sources Sci.Technol.,vol.20,no.2,p.024010に示されているように、電源において高調波周波数を印加することにより、プラズマ中のイオンエネルギー分布を制御できることが当技術分野において知られている。より具体的には、異なる高調波周波数間の振幅比及び相対位相シフトの制御は、イオンエネルギー分布に影響を与え得る。したがって、例えば、図1に示すようなプラズマ処理システム100では、第1の下部周波数電圧145及び第2の下部周波数電圧150は、イオンエネルギー分布に影響を与えるために、周波数間で所望の振幅比及び相対位相シフトを与えるように制御され得る。図3は、第1の下部周波数電圧145及び第2の下部周波数電圧150の例示的な振幅A及びAを示す。図3は、第1の下部周波数電圧145と第2の下部周波数電圧150との間の例示的な位相シフトθも示す。
【0026】
したがって、例えば図4に示すように、従来の(図2に示すような)二峰性のイオンエネルギー分布は、高調波周波数の使用及び制御により、プロット400を得るように変更され得る。図4に示すように、イオンエネルギー分布は、振幅比及び相対位相シフトの制御によって調整されている。図5は、3つの例示的なイオンエネルギー分布を示す。プロット505は、単一の下部周波数RF電源(例えば、13.5MHz)を使用した場合のイオンエネルギー分布を示す。プロット510は、13.5MHzのRF電源に加えて、第2の(高調波)周波数のRF電源を使用することの影響を示す。プロット510は、2つの電源の位相シフトが0度であるときに生じるイオンエネルギー分布を示す。プロット515は、13.5MHzのRF電源に加えて第2の(高調波)周波数のRF電源を使用することの影響も示すが、この場合、位相シフトは、180度である。図からわかるように、高調波を使用すること及び位相シフトを変えることは、イオンエネルギー分布に影響を与え得る。図に示すように、イオンエネルギー分布は、単位表面積上に単位時間あたりに到達する特定のエネルギーのイオンの数である単位イオンエネルギー分布f(E)としてグラフ化される。
【0027】
特定のプラズマプロセスに依存して、イオンエネルギー分布が変化することにより、プラズマプロセスのエッチング、堆積などの特性において対応する変化が生じ得る。図6及び図7は、例示的な変化を示す。図6及び図7では、総バイアス電力は、基本周波数と高調波周波数との両方の電力の和である。示されている例では、各周波数が電力の50%を提供する。したがって、例えば、400Wの総バイアス電力は、13.56MHzにおける200W及び27.12MHzにおける200Wによって提供され得る。電力の特定のパーセンテージ配分及び選択された特定の周波数は、単なる例示であり、本明細書で開示される技法は、そのような例に限定されないことが理解されるであろう。図6に示すように、エッチング量が総バイアス電力に対してグラフ化されている。より具体的には、基本周波数に対して0度シフト及び180度シフトで追加の高調波周波数を使用した場合の酸化物及び窒化ケイ素のエッチング速度が示されている。したがって、プロット605は、0度シフトにおける酸化ケイ素のエッチング量を示し、プロット610は、180度シフトにおける酸化ケイ素のエッチング量を示す。同様に、プロット615は、0度シフトにおける窒化ケイ素のエッチング量を示し、プロット620は、180度シフトにおける窒化ケイ素のエッチング量を示す。上記の位相シフトにおける酸化ケイ素と窒化ケイ素との間の選択性の結果が図7に示され、プロット705は、0度の位相シフトでの選択性であり、プロット710は、180度の位相シフトでの選択性である。図5図7は、単なる例示であり、プラズマ処理システムにおけるRF電源の高調波制御の使用は、多様なプラズマプロセスで利用され得ることが理解されるであろう。
【0028】
プラズマプロセスの特性をよりよく制御するために、そのようなイオンエネルギー分布をその場且つリアルタイムで制御することが望ましいことが判明した。より具体的には、プラズマプロセスで利用される複数の周波数における位相シフト及び/又は振幅比などの最適な動作条件は、動作条件又はプラズマ条件が変化すると変化し得る。しかしながら、上述のように、イオンエネルギー分布の直接測定は、一般に、市販の大量生産プラズマ装置では利用できない。本明細書で説明するように、最適な位相シフト及び/又は振幅比は、他のシステム特性を監視し、それらの他のシステム特性の監視に応じてイオンエネルギー分布をリアルタイムで調整できるようにプラズマ処理システムにフィードバックを提供することによって選択され得る。
【0029】
監視される他のシステム特性は、多様な特性のいずれかであり得る。一例では、図1を参照すると、下部整合回路157によって見られるプロセスチャンバのインピーダンスは、フィードバック回路165及び/又は制御ユニット170によって監視され得る。次に、検出されたインピーダンス条件は、フィードバック回路165及び/又は制御ユニット170により、第1の下部周波数電圧145と第2の下部周波数電圧150との間の相対振幅比及び位相シフトを調整するために下部RF電源140に入力を提供するために利用され得る。したがって、制御回路(フィードバック回路又は制御ユニットのいずれか)を使用して、所望の調整を行うことができる。このようにして、プラズマ処理中、プラズマ処理中に所望のイオンエネルギー分布形状を実現するために下部RF電源140がその場で調整され得る。整合回路によって見られるインピーダンスに関して説明したが、他の電気信号が監視され得ることが理解されるであろう。例えば、整合回路内の電気信号が監視され得るか、DCバイアス電圧が監視され得るか、RF電源の様々な電圧レベルが監視され得るか、又はシステム内の様々な電圧及び電流の電圧及び電流レベルが監視され得る(例えば、ACピークツーピーク電圧(Vpp)レベル又は電圧及び互いの電流位相シフト)などである。
【0030】
一実施形態では、振幅比及び相対位相シフトが特定の範囲内でスキャンされ得、プラズマ処理システム100の電気信号(例えば、限定されないが、インピーダンスなど)が収集される。次に、プラズマ処理システム100は、イオンエネルギー分布の所望の形状に応じて、収集されたデータ及びイオンエネルギー分布と電気信号との間の相関のモデルに基づいて、複数の周波数間の最適な振幅比及び相対位相シフトを計算し得る。モデルは、理論的、実験的又は2つの組み合わせのいずれかであり得る。したがって、監視された電気信号と、得られた実現されたイオンエネルギー分布との相関は、実験的使用、理論計算又はそれらの組み合わせから得られる相関テーブル又はグラフの形成からもたらされ得ることが理解されるであろう。同様に、理論的及び/又は実験的な統計的相関を得ることができる。同様に、相関のためのシミュレーションされた及び/又は実験的な関数又はモデルを得ることができる。したがって、システムの1つ又は複数の特性(例えば、電気的特性)と、そのような特性の結果として得られるイオンエネルギー分布との間に様々な方法で相関を得ることができることが理解されるであろう。このようにして、例えばシステムの電気的測定(例えば、一実施形態ではプロセスチャンバのインピーダンス)に応じて振幅比及び/位相シフトをリアルタイムで調整することにより、所望のイオンエネルギー分布を実現するために、下部RF電源140にリアルタイムの変更を加えることができる。
【0031】
このようにして、製造プロセス中にイオンエネルギーセンサを使用する必要なしに、複数の高調波周波数システムにおけるその場でのイオンエネルギー最適化を可能にするシステムが提供され得る。さらに、動的制御機能は、動作条件(例えば、圧力、電源電力、プロセス化学など)が処理中に所望のイオンエネルギー分布の形状を変化させるように作用する場合でも、所望のイオンエネルギー分布を所望の形状に維持することを可能にする。上記の例は、1つの基本周波数電圧(第1の下部周波数電圧145)及び1つの高調波周波数電圧(第2の下部周波数電圧150)に関してなされているが、本明細書で説明される概念は、1つの基本周波数電圧と2つ以上の高調波周波数電圧とを用いて利用され得ることが理解されるであろう。
【0032】
イオンエネルギー分布を制御する機能は、質量の異なる複数のイオンを利用するプラズマプロセスで特に役立ち得る。図8は、異なる質量の2つの異なるイオンを用いるプラズマエッチングシステムで生じ得る従来の二峰性のイオンエネルギー分布を示す。例えば、プロット805は、イオンMのイオンエネルギー分布のプロットを示し、プロット810は、イオンMのイオンエネルギー分布を示し、イオンMの質量は、イオンMの質量より大きい。上述のように、RF高調波周波数並びに位相シフト及び振幅比の制御を使用することは、イオンエネルギー分布のピークの1つを強調又は強化するように、従来の二峰性のイオンエネルギー分布を調整するために用いられ得る。例えば、高調波周波数の制御は、軽イオンMが重イオンMと比較してより高いエネルギーを有するように、イオンM及びMのイオンエネルギー分布を提供し得る。したがって、図9からわかるように、プロット905は、軽イオンMのイオンエネルギー分布を示し、プロット910は、重イオンMのイオンエネルギー分布を示す。図9では、軽イオンMが重イオンMよりも高いエネルギーを有することがわかる。図9は、それを超えるとイオンMのエネルギーがエッチング作用を行う必要がある閾値である例示的なエッチング閾値915を含み、またそれを超えるとイオンMのエネルギーがエッチング作用を行う必要があるエッチング閾値920を含む。エッチング閾値は、利用される特定のプラズマ化学及び条件に依存することが理解されるであろう。同様に、高調波周波数の制御は、軽イオンMが重イオンMと比較してより低いエネルギーを有するように、イオンM及びMのイオンエネルギー分布を提供し得る。したがって、図10からわかるように、プロット1005は、軽イオンMのイオンエネルギー分布を示し、プロット1010は、重イオンMのイオンエネルギー分布を示す。図10では、軽イオンM2が重イオンMよりも低いエネルギーを有することがわかる。図10は、それを超えるとイオンMのエネルギーがエッチング作用を行う必要がある閾値である例示的なエッチング閾値1015を含み、またそれを超えるとイオンMのエネルギーがエッチング作用を行う必要があるエッチング閾値1020を含む。エッチング閾値は、利用される特定のプラズマ化学及び条件に依存することが理解されるであろう。したがって、図に示すように、質量が異なる2つの異なるイオンを含むプロセスのイオンエネルギー分布は、各イオンに対して少なくとも2つのピークを呈し得、本明細書で説明される技法は、プラズマプロセスの性能特性を変えるために、イオンの少なくとも1つのピーク、例えばイオンの第1のピーク又は第2のピークを強化し得る。
【0033】
したがって、図に示すように、非対称のイオンエネルギー分布を得ることができる。このような非対称性は、質量の異なる2つ以上のイオンを利用するプラズマプロセスにおいて有利に利用され得る。例えば、より軽いイオンM及びより重いイオンM並びに図9のエッチング閾値を用いるプラズマエッチングプロセスでは、図9に見られるような非対称のイオンエネルギー分布は、より軽いイオンMによる支配的なエッチングとなる。逆に、図10に見られるような非対称のイオンエネルギー分布及びエッチング閾値は、より重いイオンMによる支配的なエッチングとなる。1つの例示的なプラズマエッチングプロセスは、塩素(Cl)/ヘリウム(He)ベースのエッチングであり得る。そのような場合、より軽いイオンであるHeは、図9の条件で支配的な除去メカニズムを実行し得、より重いイオンであるCl 又はClは、図10の条件で支配的な除去メカニズムを実行し得る。したがって、図9及び図10に示すように、あるイオンのイオンエネルギー分布のピークは、プラズマの処理特性に影響を与えるように、一方のピーク又は他方のピークで非対称に強化され得る。このようにして、イオンエネルギー分布の制御は、利用されるプラズマプロセスの処理特性(例えば、限定されないが、エッチング特性)に影響を与えるように利用され得る。さらに、上で説明したように、高調波周波数の位相シフト及び振幅比の制御は、図9及び図10に示すようなイオンエネルギー分布のこのような変動を実現するために利用され得る。位相シフト及び振幅のリアルタイムのその場制御は、上で論じたように、プラズマ処理システムの電気的特性にさらに基づき得る。
【0034】
このようにして、特定のイオン種による選択的エッチングは、プラズマ処理システムにおいて、高調波周波数と、プラズマプロセスチャンバに電力が提供される基本周波数との間に位相シフト及び/又は振幅比の調整を適用することに基づいて、その場で制御され得る。さらに、プラズマプロセスシステムの監視された電気的特性からのフィードバックは、位相シフト及び/又は振幅比の調整を制御するために利用され得る。
【0035】
異なる質量のイオンを利用及び制御するための上記の技法は、原子層エッチング(ALE)プロセスにおいて特に有用であり得る。ALEプロセスは、一般に、1つ又は複数の自己律速型反応を通じて薄層を順次除去するプロセスを含むことが知られている。そのようなプロセスは、多くの場合、一連の周期的な層の改質工程及びエッチング工程を含む。改質工程は、露出した表面を改質でき、エッチング工程は、改質された層を除去できる。このようにして、一連の自己律速型反応が生じ得る。本明細書で使用される場合、ALEプロセスは、Quasi-ALEプロセスを含み得る。このようなプロセスでは、一連の改質工程及びエッチング工程の周期を引き続き使用できるが、改質された層を除去した後、エッチングが完全に停止することはないが、大幅に遅くなるため、除去工程は、純粋に自己律速型ではない。いずれの場合でも、ALEベースのプロセスは、一連の周期的な改質工程及びエッチング工程を含む。
【0036】
本明細書で説明される技法の使用は、層改質工程とエッチング工程との間でプラズマ処理を選択的に変更するために原子層エッチングプロセスで利用され得る。1つの例示的なプロセスでは、原子層エッチングプロセスは、層改質プロセスにおいてより重いイオンMを、層除去プロセスにおいてより軽いイオンMを利用し得る。例えば、シリコン表面で使用する場合、イオンMは、シリコン表面改質のためのCl 又はClであり得、イオンMは、不活性ガスイオン又は希ガスイオン、例えばHeなどであり得る。代替的に、関与する材料及びイオンに応じて、プロセスは、層の除去プロセスにおいてより重いイオンMを使用し得、層の改質プロセスにおいてより軽いイオンMを使用し得る。別の実施形態では、シリコン反射防止コーティング表面で使用する場合、高エネルギーのHイオンをシリコン反射防止コーティング表面改質に使用でき、フッ素系化学物質がその選択的除去に使用され得る。また別の例では、C/Heプラズマが利用され得る。このような場合、Heイオンが低エネルギーであるときに表面にCF膜が形成され得、高エネルギーにされたHeイオンによりCF膜が除去され得る。C/Heプラズマの例では、イオンエネルギー分布の形状を変更しない場合、高いバイアス電圧が必要になり、CFエネルギーイオンによる表面の損傷及び/又はエッチングが生じる。図11A及び図11Bは、示されているように異なるエッチング閾値1105及び1110が追加されていることを除いて、図9及び図10のM及びMのイオンエネルギー分布に対応する。エッチング閾値1105は、それを超えるとイオンMがエッチング作用を提供し、それを下回るとイオンMがエッチング作用を提供しないイオンエネルギー閾値を示す。エッチング閾値1110は、それを超えるとイオンMがエッチング作用を提供し、それを下回るとイオンMがエッチング作用を提供しないイオンエネルギー閾値を示す。イオンのそのようなエネルギーがエッチングの生じる閾値を下回る場合、エッチングは、実質的に生じず、イオンMの層改質プロセスが支配することになる。したがって、図11Aに示すイオンエネルギー分布は、主に、エッチング閾値を上回るより高いイオンエネルギーでエッチングイオン(より軽いイオンM)を提供し、原子層エッチングプロセスのエッチング又は除去作用を提供する。図11Bに示すイオンエネルギー分布は、主に、プロセスがより重いイオンM又はプラズマ中のラジカルの改質プロセスによって支配されるように、エッチング閾値を下回るより低いイオンエネルギーでエッチングイオン(より軽いイオンM2)を提供する。図12A及び図12Bは、また別の原子層エッチングプロセスを示す。このプロセスでは、表面改質は、より軽いイオンMによって実現され、改質された表面のエッチング又は除去は、より重いイオンM又はプラズマ中のラジカルによって行われる。図12Aに示すように、それを下回ると、より軽いイオンMがエッチング又は除去に参加しないエッチング閾値1205が提供される。エッチング閾値1210は、それを上回ると、より重いイオンMが改質された表面をエッチング又は除去するエッチング閾値を示す。
【0037】
図11A図11Bとの状態間及び図12A図12Bとの状態間において原子層エッチングプロセスが交互になるように、基本電力周波数及び高調波電力周波数の使用を制御できる。このようにして、基本周波数と高調波周波数との関係の制御を用いることにより、改質工程及びエッチング/除去工程を分離して交互に行うことができる。さらに、そのような制御は、プラズマの同じ気相内で利用され得る。様々な周波数の位相シフト及び振幅比を制御することにより、周波数の制御を上述のようにその場で得ることができることが理解されるであろう。さらに、位相シフト及び振幅比のそのような制御は、上でより詳細に説明されているようなプラズマ処理システムの電気的特性に基づき得る。したがって、RF電源の制御により、イオンエネルギー分布は、原子層エッチングプロセスの層改質工程又は層エッチング工程を選択的に制御する。
【0038】
このようにして、異なる質量のイオンに対するイオンエネルギーの同時制御が達成され得る。さらに、制御は、制御が原子層エッチングの高速処理を実施するために使用され得るように、ターゲットのイオン質量の選択的なエネルギー変調を可能にするように実施され得る。そのような原子層エッチング制御は、プラズマプロセスの気相内でさえ実現され得る。
【0039】
上述の用途は、単なる例示であり、他の多くのプロセス及び用途は、本明細書に開示された技法を有利に利用され得ることが理解されるであろう。図13図17は、本明細書で説明されるプラズマ処理技法を使用するための例示的な方法を示す。図13図17の実施形態は、単なる例示であり、さらなる方法は、本明細書に説明された技術を利用できることが理解されるであろう。さらに、説明されたステップは、排他的であることを意図されていないため、図13図17に示す方法にさらなる処理ステップを追加することができる。さらに、ステップの順序は、異なる順序が生じ得、且つ/又は様々なステップが組み合わされるか若しくは同時に実行され得るため、図面に示す順序に限定されない。
【0040】
図13に示すように、基板をプラズマ処理するための方法が提供される。ステップ1305は、プロセスチャンバを提供することを含む。ステップ1310は、少なくとも基本周波数における基本周波数電圧及び第2の周波数における第2の周波数電圧を通してRF電力をプロセスチャンバに提供するために、プロセスチャンバに1つ又は複数のRF電源を結合することであって、第2の周波数は、基本周波数の第二次高調波周波数又はより高次の高調波である、結合することを含む。ステップ1315は、基板のプラズマ処理中にプラズマ処理システムの少なくとも1つの電気的特性を監視することを含む。ステップ1320は、基板のプラズマ処理中に所望のイオンエネルギー分布を得るために、基本周波数電圧と第2の周波数電圧との間の位相差及び/又は基本周波数電圧と第2の周波数電圧との振幅比をプラズマ処理中に調整することを含む。
【0041】
図14に示すように、基板をプラズマ処理するための方法が提供される。ステップ1405は、プロセスチャンバを提供することを含む。ステップ1410は、少なくとも基本周波数における基本周波数電圧及び第2の周波数における第2の周波数電圧を通してRF電力をプロセスチャンバに提供するために、プロセスチャンバに1つ又は複数のRF電源を結合することであって、第2の周波数は、基本周波数の第二次高調波周波数又はより高次の高調波である、結合することを含む。ステップ1415は、プロセスチャンバと1つ又は複数のRF電源との間に整合回路を結合することを含む。ステップ1420は、基板のプラズマ処理中に整合回路によって見られるプロセスチャンバのインピーダンスを少なくとも監視することを含む。ステップ1425は、基板のプラズマ処理中に所望のイオンエネルギー分布を得るために、少なくとも基本周波数電圧と第2の周波数電圧との間の位相差をプラズマ処理中に調整することを含む。
【0042】
図15に示すように、基板をプラズマ処理するための方法が提供される。ステップ1505は、プロセスチャンバを提供することを含む。ステップ1510は、少なくとも基本周波数における基本周波数電圧及び第2の周波数における第2の周波数電圧を通してRF電力をプロセスチャンバに提供するために、プロセスチャンバに1つ又は複数のRF電源を結合することであって、第2の周波数は、基本周波数の第二次高調波周波数又はより高次の高調波である、結合することを含む。ステップ1515は、プロセスチャンバ中に少なくとも第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンを提供することであって、第1のタイプのイオンは、第1の質量を有し、及び第2のタイプのイオンは、第2の質量を有し、第1の質量と第2の質量とは、異なる質量である、提供することを含む。ステップ1520は、第1の質量及び第2の質量に基づくイオンエネルギー分布の選択的な制御を可能にするために、基本周波数電圧と第2の周波数電圧との間の関係を調整することにより、第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンのイオンエネルギー分布を制御することを含む。
【0043】
図16に示すように、基板をプラズマエッチングするための方法が提供される。ステップ1605は、プロセスチャンバを提供することを含む。ステップ1610は、少なくとも基本周波数における基本周波数電圧及び第2の周波数における第2の周波数電圧を通してRF電力をプロセスチャンバに提供するために、プロセスチャンバに1つ又は複数のRF電源を結合することであって、第2の周波数は、基本周波数の第二次高調波周波数又はより高次の高調波である、結合することを含む。ステップ1615は、プロセスチャンバ中に少なくとも第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンを提供することであって、第1のタイプのイオンは、第1の質量を有し、及び第2のタイプのイオンは、第2の質量を有し、第1の質量と第2の質量とは、異なる質量である、提供することを含む。ステップ1620は、第1の質量及び第2の質量に基づくイオンエネルギー分布の選択的な制御を可能にするために、基本周波数電圧と第2の周波数電圧との間の関係を調整することにより、第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンのイオンエネルギー分布を制御することを含む。ステップ1620に示すように、イオンエネルギー分布を制御することは、第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンの少なくとも一方のエッチングの影響を選択的に制御することを可能にする。
【0044】
図17に示すように、基板をプラズマ処理するための方法が提供される。ステップ1705は、プロセスチャンバを提供することを含む。ステップ1710は、少なくとも基本周波数における基本周波数電圧及び第2の周波数における第2の周波数電圧を通してRF電力をプロセスチャンバに提供するために、プロセスチャンバに1つ又は複数のRF電源を結合することであって、第2の周波数は、基本周波数の第二次高調波周波数又はより高次の高調波である、結合することを含む。ステップ1715は、プロセスチャンバ中に少なくとも第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンを提供することであって、第1のタイプのイオンは、第1の質量を有し、及び第2のタイプのイオンは、第2の質量を有し、第1の質量は、第2の質量より重い、提供することを含む。ステップ1720は、基本周波数電圧と第2の周波数電圧との間の位相差及び/又は基本周波数電圧と第2の周波数電圧との振幅比を調整することにより、第1のタイプのイオン及び第2のタイプのイオンのイオンエネルギー分布を制御することを含む。ステップ1725に示すように、イオンエネルギー分布を制御することは、第1のタイプのイオン又は第2のタイプのイオンの少なくとも一方の非対称のイオンエネルギー分布を生成する。ステップ1730に示すように、非対称のイオンエネルギー分布は、第1のタイプのイオンに対する第2のタイプのイオンのエッチングの影響を調整するために使用される。
【0045】
本発明のさらなる修正形態及び代替的な実施形態は、この説明を考慮して当業者に明らかであろう。したがって、この説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実施する方法を当業者に教示する目的のためのものである。本明細書に示され且つ記載された本発明の形態及び方法は、現在好ましい実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。本明細書に例示及び説明されたものの代わりに均等な技術を使用することができ、且つ本発明の特定の特徴は、他の特徴の使用とは無関係に利用することができ、これらは、全て本発明のこの説明の利益を享受した後に当業者に明らかになるであろう。
図1
図2
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図11A
図11B
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図12B
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