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特許7369385サイトメトリーのための方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】サイトメトリーのための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/14 20060101AFI20231019BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
G01N15/14 C
C12M1/34 B
G01N15/14 D
G01N15/14 K
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021518859
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 US2019036849
(87)【国際公開番号】W WO2019241443
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】62/684,612
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/701,395
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/804,560
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/848,478
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度 国立研究開発法人科学技術振興機構 戦略的創造研究推進(さきがけ)事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】517110494
【氏名又は名称】シンクサイト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】太田 禎生
(72)【発明者】
【氏名】堀▲崎▼ 遼一
(72)【発明者】
【氏名】河村 踊子
(72)【発明者】
【氏名】鵜川 昌士
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一誠
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/073737(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0223453(US,A1)
【文献】特開2017-058361(JP,A)
【文献】国際公開第2016/085571(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2018/0127823(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0052106(US,A1)
【文献】特表2013-508775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/14
C12M 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の標識フリー細胞から1つ又は複数の標的細胞を処理するための方法であって、
(a)構造化照明を生成するために光源からの光をパターン化された光学構造を通して方向付けし、フローセルのチャネル上へ前記構造化照明を集束させて、前記構造化照明が、前記チャネルから検出器へ向かう透過スペックルパターンを生成するステップと;
(b)前記構造化照明が集束した前記フローセルの前記チャネルを通して前記複数の標識フリー細胞のうちの少なくとも1つの標識フリー細胞を通過させるステップであって、前記構造化照明が集束した前記フローセルの前記チャネルを前記少なくとも1つの標識フリー細胞が通過するとき、前記透過スペックルパターンが変調されて、変調透過スペックルパターンを生成する、ステップと;
(c)前記検出器を用いて前記変調透過スペックルパターンの少なくとも一部を収集するステップと;
(d)前記変調透過スペックルパターンの前記少なくとも一部を1つ又は複数の時間波形に変換するステップであって、前記少なくとも1つの標識フリー細胞が前記構造化照明を通過するときに、前記1つ又は複数の時間波形が、前記変調透過スペックルパターンによって付与された1つ又は複数の強度分布を含む、ステップと;
)前記1つ又は複数の時間波形に1つ又は複数の機械学習分類器を適用して、前記複数の細胞から前記1つ又は複数の標的細胞を直接識別するステップと、
)前記1つ又は複数の標的細胞を前記複数の標識フリー細胞から分離又は単離して、それによって、前記複数の標識フリー細胞の標識フリー選別を可能にするステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ又は複数の機械学習分類器が、1つ又は複数の染色した細胞に関連する波形を使用して訓練される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標的細胞が、1つ又は複数の癌細胞又は循環腫瘍細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記標的細胞が、1つ又は複数の治療用細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記標的細胞が、幹細胞、間葉系幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞から分化した細胞、胚性幹細胞から分化した細胞、遺伝子操作された細胞、血液細胞、赤血球、白血球、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、キメラ抗原受容体T細胞、キメラ抗原受容体ナチュラルキラー細胞、癌細胞、及び芽細胞から成る群から選択される1つ又は複数のメンバーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ又は複数の標的細胞が、好中球、好酸球、好塩基球、単球及びリンパ球からなる群から選択される1つ又は複数の白血球を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ又は複数の標的細胞の機能、タイプ又は特徴に基づいて前記1つ又は複数の標的細胞を分類するステップをさらに含み、前記機能、タイプ又は特徴が、前記1つ又は複数の標的細胞の生存性、発現状態、純度、分化、未分化、グルコースレベル又は解糖レベルに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又は複数の機械学習分類器が、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、人工ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、深層学習、超深層学習、勾配ブースティング、アダブースティング、決定木、線形回帰、又はロジスティック回帰を用いて作成される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の標識フリー細胞は、イメージ再構成なしで選別される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記検出器が単一ピクセル検出器を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ又は複数の標的細胞の1つ又は複数のイメージを再構成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ又は複数のイメージの各イメージは、異なる波長又は波長範囲に対応する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1つ又は複数のイメージを再構成するステップが、2段階反復収縮/閾値化(TwIST)手順を適用するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の標識フリー細胞の形態に基づいて、前記複数の標識フリー細胞を1つ又は複数のグループの選別された細胞に選別するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の標識フリー細胞から前記1つ又は複数の標的細胞を分離又は単離するステップが、少なくとも10細胞/秒の速度で生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
(c)が、前記分離又は単離された前記1つ又は複数の標的細胞のうちの1つ又は複数を、収集された細胞の1つ又は複数のグループへ収集して、濃縮された細胞混合物を生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
(c)に続いて、1つ又は複数の標的細胞を1つ又は複数のアッセイに供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記パターン化された光学構造が、規則的なパターン化された光学構造、無秩序なパターン化された光学構造、非周期的なパターン化された光学構造、ランダムに若しくは擬似ランダムにパターン化された光学構造、又は、静的光学構造を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記パターン化された光学構造が、異なる光学特性を有する複数の領域を含み、前記光学特性が、透過率、吸収率、又は反射率のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
複数の標識フリー細胞から1つ又は複数の標的細胞を処理するためのシステムであって、複数の標識フリー粒子を方向付けるように構成された流体フローセルと;前記流体フローセルの少なくとも一部と感知通信する検出器と;前記検出器に動作可能に結合された1つ又は複数のコンピュータプロセッサと;を含み、前記1つ又は複数のコンピュータプロセッサが個々に又はまとめて:
(a)構造化照明を生成するために構造化光学パターンを通して光源からの光をパターン化された光学構造を通して方向付けし、前記フローセルのチャネル上へ前記構造化照明を集束させて、前記構造化照明が、前記チャネルから前記検出器へ向かう透過スペックルパターンを生成し、
(b)前記構造化照明が集束した前記フローセルの前記チャネルを通して前記複数の標識フリー細胞のうちの少なくとも1つの標識フリー細胞を通過させ、前記構造化照明が集束した前記フローセルの前記チャネルを前記少なくとも1つの標識フリー細胞が通過するとき、前記透過スペックルパターンが変調されて、変調透過スペックルパターンを生成し、
(c)前記検出器を用いて前記変調透過スペックルパターンの少なくとも一部を収集し、
(d)前記変調透過スペックルパターンの前記少なくとも一部を1つ又は複数の時間波形に変換し、前記少なくとも1つの標識フリー細胞が前記構造化照明を通過するときに、前記1つ又は複数の時間波形が、前記変調透過スペックルパターンによって付与された1つ又は複数の強度分布を含み、
e)前記1つ又は複数の時間波形に1つ又は複数の機械学習分類器を適用して、前記複数の標識フリー細胞から前記1つ又は複数の標的細胞を直接識別し、
)前記1つ又は複数の標的細胞を前記複数の標識フリー細胞から分離又は単離して、前記標的細胞の標識フリー選別を可能にする、
ように構成された、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[001] 本出願は、2018年6月13日に出願された「METHODS AND SYSTEMS FOR CYTOMETRY」と題する米国仮特許出願第62/684,612号、2018年7月20日に出願された「METHODS AND SYSTEMS FOR CYTOMETRY」と題する米国仮特許出願第62/701,395号、2019年2月12日に出願された「METHODS AND SYSTEMS FOR CYTOMETRY」と題する米国仮特許出願第62/804,560号、及び2019年5月15日に出願された「METHODS AND SYSTEMS FOR CYTOMETRY」と題する米国仮特許出願第62/848,478,478号の利益を主張するものであり、これらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[002] フローサイトメトリーは、細胞計数、細胞選別、バイオマーカー検出及びタンパク質工学における使用のために使用され得る技術である。フローサイトメトリーは、流体の流れに細胞を懸濁させ、電子検出装置に細胞を通過させることによって実施することができる。フローサイトメーターは、粒子の物理的及び化学的特性の同時マルチパラメータ分析を可能にし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[003] 本開示は、ゴーストサイトメトリー(GC)と呼ばれるプロセスを使用する形態ベースの細胞分類及び選別のための方法及びシステムを提供する。本開示の方法及びシステムは、イメージを取得することなく、高い精度及びスループットで形態ベースの細胞分類及び選別を達成するために使用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[004] 一態様では、本開示は、(a)パターン化された光学構造に対する粒子の運動中に空間情報を取得するステップと、(b)空間情報を、検出器に順次到達する信号に圧縮変換するステップと、(c)信号を使用して、少なくとも70%の任意の精度で粒子の少なくともサブセットを識別するステップと、(d)(c)で識別された粒子の少なくともサブセットを、少なくとも10粒子/秒の速度で1つ又は複数のグループに選別するステップとを含む、粒子処理又は分析のための方法を提供する。いくつかの実施形態では、(a)は、(i)光源からの光をランダム又は擬似ランダムにパターン化された光学構造を通して方向付けるステップと、(ii)パターン化された光学構造からの光を粒子に方向付けるステップと、(iii)粒子からの光を検出器に方向付けるステップとを含む。いくつかの実施形態では、(a)は、(i)光源からの光を粒子に方向付けるステップと、(ii)パターン化された光学構造を通して粒子からの光を方向付けるステップと、(iii)パターン化された光学構造からの光を検出器に方向付けるステップとを含む。いくつかの実施形態では、光は紫外光又は可視光を含む。いくつかの実施形態では、(b)は、2段階反復収縮/閾値化(TwIST)手順を適用するステップを含む。いくつかの実施形態では、(c)は、パターン化された光学構造によって付与された1つ又は複数の強度分布を含む時間波形の組み合わせ使用によって少なくとも部分的に粒子の形態をコンピュータ的に再構成するステップを含む。いくつかの実施形態では、粒子は、1つ又は複数の生物学的粒子を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、1つ又は複数の細胞を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、1つ又は複数の希少細胞を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、1つ又は複数の癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、1つ又は複数の循環腫瘍細胞を含む。いくつかの実施形態では、(c)は、粒子の少なくともサブセットを識別するために、信号に対応する圧縮波形に1つ又は複数の機械学習分類器を適用するステップを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の機械学習分類器は、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、人工ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、深層学習、超深層学習、勾配ブースティング、アダブースティング、決定木、線形回帰、及びロジスティック回帰から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、粒子は、イメージ再構成なしで分析される。いくつかの実施形態では、検出器は単一ピクセル検出器を含む。いくつかの実施形態では、単一ピクセル検出器は、光電子増倍管を備える。いくつかの実施形態では、方法は、粒子の1つ又は複数のイメージを再構成するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のイメージは蛍光イメージを含む。いくつかの実施形態では、方法は、粒子の複数のイメージを再構成するステップをさらに含み、複数の各イメージは、異なる波長又は波長範囲を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のイメージは、ぼけアーチファクトがない。いくつかの実施形態では、粒子は、パターン化された光学構造に対して少なくとも1m/sの速度で移動する。いくつかの実施形態では、方法は、粒子の形態に基づいて、粒子を1つ又は複数のグループの選別された粒子に選別するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、速度は少なくとも100粒子/秒である。いくつかの実施形態では、速度は少なくとも1,000粒子/秒である。いくつかの実施形態では、(d)は、濃縮された粒子混合物を生成するために1つ又は複数のグループを収集するステップを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のグループは、少なくとも70%の純度を有する。いくつかの実施形態では、方法は、1つ又は複数のグループの1つ又は複数の粒子を1つ又は複数のアッセイに供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のアッセイは、溶解、核酸抽出、核酸増幅、核酸配列決定、及びタンパク質配列決定から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、本方法は、(a)の前に、粒子を流体力学的流れ集束に供するステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、パターン化された光学構造に対して粒子が移動するときに、粒子の部分透過スペックルパターンを収集するステップを含む。いくつかの実施形態では、パターン化された光学構造は、規則的なパターン化された光学構造を含む。いくつかの実施形態では、パターン化された光学構造は、無秩序なパターン化された光学構造を含む。いくつかの実施形態では、無秩序な光学構造は、非周期的なパターン化された光学構造を含む。いくつかの実施形態では、無秩序な光学構造は、ランダムに又は擬似ランダムにパターン化された光学構造を含む。いくつかの実施形態では、光学構造は静的光学構造を含む。
【0005】
[005] 別の態様では、本開示は、少なくとも70%の精度で非天然標識を使用することなく、粒子の形態に少なくとも部分的に基づいて粒子を分類又は選別するためのイメージフリーの方法を提供する。いくつかの実施形態では、粒子は、1つ又は複数の生物学的粒子を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、1つ又は複数の細胞を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、1つ又は複数の希少細胞を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、1つ又は複数の癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、1つ又は複数の循環腫瘍細胞を含む。
【0006】
[006] 別の態様では、本開示は、粒子を方向付けるように構成された流体流路と、流体流路の少なくとも一部と感知通信する検出器と、検出器に動作可能に結合された1つ又は複数のコンピュータプロセッサと、を備える粒子処理又は分析のためのシステムを提供し、1つ又は複数のコンピュータプロセッサは、(a)ランダムに又は擬似ランダムにパターン化された光学構造に対する粒子の運動中に空間情報を取得し、(b)空間情報を検出器に順次到達する信号に圧縮変換し、(c)信号を使用して少なくとも70%の任意の精度で粒子の少なくともサブセットを識別し、(d)(c)で識別された粒子の少なくともサブセットを少なくとも10粒子/秒の速度で1つ又は複数のグループに選別するように個々に又はまとめてプログラムされる。いくつかの実施形態では、検出器は単一ピクセル検出器である。
【0007】
[007] 別の態様では、本開示は、1つ又は複数のコンピュータプロセッサによる実行時に、粒子分析のための方法を実施する機械実行可能コードを含む非一時的コンピュータ可読媒体を提供し、方法は、(a)ランダムにパターン化された光学構造に対する粒子の運動中に空間情報を取得するステップと、(b)空間情報を単一ピクセル検出器に順次到達する信号に圧縮変換するステップと、(c)信号を使用して、少なくとも70%の精度で粒子の少なくともサブセットを識別するステップと、(d)(c)で識別された粒子の少なくともサブセットを、少なくとも10粒子/秒の速度で1つ又は複数のグループに選別するステップと、を含む。
【0008】
[008] 別の態様では、本開示は、(a)パターン化された光学構造に対する細胞の運動中に空間情報を取得するステップと、(b)空間情報を、検出器に順次到達する信号に圧縮変換するステップと、(c)信号を使用して、細胞の少なくともサブセットを癌性であると識別するステップと、(d)(c)で識別された細胞の少なくともサブセットを、1つ又は複数のグループの癌性細胞及び1つ又は複数のグループの非癌性細胞に選別するステップとを含む、細胞処理又は分析のための方法を提供する。
【0009】
[009] 別の態様では、本開示は、(a)パターン化された光学構造に対する細胞の運動中に空間情報を取得するステップと、(b)空間情報を、検出器に順次到達する信号に圧縮変換するステップと、(c)信号を使用して、細胞の少なくともサブセットを治療用であると識別するステップと、(d)(c)で識別された細胞の少なくともサブセットを、1つ又は複数のグループの治療用細胞及び1つ又は複数のグループの非治療用細胞に選別するステップとを含む、細胞処理又は分析のための方法を提供する。
【0010】
[0010] 別の態様では、本開示は、複数の細胞から1つ又は複数の標的細胞を識別するための方法であって、(a)パターン化された光学構造に対する複数の細胞の運動中に空間情報を取得するステップと、(b)空間情報を訓練された機械学習アルゴリズムに入力して、複数の細胞から1つ又は複数の標的細胞を識別するステップと、を含む方法を提供する。
【0011】
[0011] 別の態様では、本開示は、(a)複数の細胞の空間情報を取得するステップと、(b)少なくとも空間情報を使用して、少なくとも1,000細胞/秒の速度で複数の細胞から複数の細胞のサブセットを分離又は単離するステップと、を含む、細胞処理のための方法を提供する。
【0012】
[0012] 別の態様では、本開示は、複数の細胞から1つ又は複数の標的細胞を処理するための方法であって、(a)パターン化された光学構造に対する複数の細胞の運動中に空間情報を取得するステップと、(b)空間情報を使用して複数の細胞から1つ又は複数の標的細胞を識別するステップと、(c)(b)で識別された1つ又は複数の標的細胞に少なくとも部分的に基づいて、1つ又は複数の標的細胞を複数の細胞から少なくとも10細胞/秒の速度で分離又は単離するステップと、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、(a)は、(i)光源からの光をパターン化された光学構造を通して方向付けるステップと、(ii)パターン化された光学構造からの光を複数の細胞に方向付けるステップと、(iii)複数の細胞からの光を検出器に方向付けるステップと、を含む。いくつかの実施形態では、(a)は、(i)光源からの光を複数の細胞に方向付けるステップと、(ii)複数の細胞からの光をパターン化された光学構造を通して方向付けるステップと、(iii)パターン化された光学構造からの光を検出器に方向付けるステップと、を含む。いくつかの実施形態では、パターン化された光学構造は、無秩序なパターン化された光学構造を含む。いくつかの実施形態では、(c)は、パターン化された光学構造によって付与された1つ又は複数の強度分布を含む1つ又は複数の時間波形の組み合わせ使用によって少なくとも部分的に細胞の形態をコンピュータ的に再構成するステップを含む。いくつかの実施形態では、標的細胞は、1つ又は複数の癌細胞又は循環腫瘍細胞を含む。いくつかの実施形態では、標的細胞は、1つ又は複数の治療用細胞を含む。いくつかの実施形態では、標的細胞は、幹細胞、間葉系幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞から分化した細胞、胚性幹細胞から分化した細胞、遺伝子操作された細胞、血液細胞、赤血球、白血球、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、キメラ抗原受容体T細胞、キメラ抗原受容体ナチュラルキラー細胞、癌細胞、及び芽細胞から成る群から選択される1つ又は複数のメンバーを含む。いくつかの実施形態では、(b)は、空間情報に対応する圧縮波形に1つ又は複数の機械学習分類器を適用して、1つ又は複数の標的細胞を識別するステップを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の機械学習分類器は、感度、特異度、及び少なくとも70%の精度のうちの1つ又は複数を達成する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の機械学習分類器は、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、人工ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、深層学習、超深層学習、勾配ブースティング、アダブースティング、決定木、線形回帰、及びロジスティック回帰から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、複数の細胞は、イメージ再構成なしで処理される。いくつかの実施形態では、検出器は単一ピクセル検出器を含む。いくつかの実施形態では、単一ピクセル検出器は、光電子増倍管を備える。いくつかの実施形態では、方法は、複数の細胞の1つ又は複数のイメージを再構成するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、複数の細胞の複数のイメージを再構成するステップをさらに含み、複数の各イメージは、異なる波長又は波長範囲を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のイメージは、ぼけアーチファクトがない。いくつかの実施形態では、複数の細胞は、パターン化された光学構造に対して少なくとも1m/sの速度で移動する。いくつかの実施形態では、(c)は、(i)複数の細胞を分析した結果に基づいて、複数の細胞を1つ又は複数のグループの選別された細胞に選別するステップと、(ii)1つ又は複数のグループの選別された細胞から1つ又は複数の標的細胞を収集するステップとを含む。いくつかの実施形態では、(c)は、複数の細胞の形態に基づいて、複数の細胞を1つ又は複数のグループの選別された細胞に選別するステップを含む。いくつかの実施形態では、選別は、少なくとも10細胞/秒の速度で達成される。いくつかの実施形態では、本方法は、濃縮された細胞混合物を生成するために、1つ又は複数のグループの選別された細胞を収集するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のグループの選別された細胞は、少なくとも70%の純度を有する。いくつかの実施形態では、方法は、1つ又は複数のグループの選別された細胞の1つ又は複数の細胞を1つ又は複数のアッセイに供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のアッセイは、溶解、核酸抽出、核酸増幅、核酸配列決定、及びタンパク質配列決定から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、方法は、(a)の前に、細胞を流体力学的流れ集束に供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、複数の細胞が、パターン化された光学構造に対して移動するときに複数の細胞の部分透過スペックルパターンを収集するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、空間情報は、複数の細胞に関する特徴、特性、又は情報に対応する。いくつかの実施形態では、空間情報は、複数の細胞に関する特徴、特性、又は情報と1対1に対応する。いくつかの実施形態では、複数の細胞に関する特徴、特性、又は情報は、以下から成る群から選択される1つ又は複数のメンバーを含む:代謝状態、増殖状態、分化状態、成熟状態、マーカータンパク質の発現、マーカー遺伝子の発現、細胞の形態、細胞小器官の形態、細胞小器官の位置、細胞小器官の大きさ又は範囲、細胞質の形態、細胞質の位置、細胞質の大きさ又は範囲、核の形態、核の位置、核の大きさ又は範囲、ミトコンドリアの形態、ミトコンドリアの配置、ミトコンドリアの大きさ又は範囲、リソソームの形態、リゾチームの配置、リゾチームの大きさ又は範囲、細胞内分子の分布、細胞内ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質の分布、細胞内核酸の分布、細胞内糖類又は多糖類の分布、及び細胞内脂質の分布。
【0013】
[0013] 本開示の別の態様は、1つ又は複数のコンピュータプロセッサによって実行されると、上記又は本明細書の他の箇所の方法のいずれかを実施する機械実行可能コードを含む非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【0014】
[0014] 本開示の別の態様は、1つ又は複数のコンピュータプロセッサと、それに結合されたコンピュータメモリとを備えるシステムを提供する。コンピュータメモリは、1つ又は複数のコンピュータプロセッサによって実行されると、上記又は本明細書の他の箇所の方法のいずれかを実施する機械実行可能コードを含む。
【0015】
[0015] 本開示の追加の態様及び利点は、本開示の例示的な実施形態のみが示され、説明される以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、すべて本開示から逸脱することなく、様々な明白な点で修正が可能である。したがって、図面及び説明は、本質的に例示的なものとみなされるべきであり、限定的なものとみなされるべきではない。
【0016】
参照による組み込み
[0016] 本明細書で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個々の刊行物、特許、又は特許出願が、参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
[0017] 本発明の新規な特徴は、特に添付の特許請求の範囲に記載されている。本発明の特徴及び利点のより良好な理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を示す以下の詳細な説明、及び添付の図面(本明細書では「図(Figure)」及び「図(FIG.)」とも呼ばれる)を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】[0018]ゴーストサイトメトリー(GC)プロセスで使用される光学圧縮感知プロセスの概略図を示す。
図1B】[0019]粒子分析方法の例のフローチャートを示す。
図1C】[0020]粒子を分類又は選別するためのイメージフリー光学的方法の例のフローチャートを示す。
図2A】[0021]構造化照明(SI)素子を備える運動ベースの圧縮蛍光イメージングのための光学セットアップの例を示す。
図2B】[0022]構造化検出(SD)素子を備える運動ベースの圧縮蛍光イメージングのための光学セットアップの例を示す。
図2C】[0023]SI素子を含む光学系を用いて取得された、移動蛍光ビーズに関連する時間波形の例を示す。
図2D】[0024]SI素子を含む光学系によって取得された時間波形からコンピュータ的に再構成された移動蛍光ビーズの2次元(2D)蛍光イメージの例を示す。
図2E】[0025]SD素子を含む光学系を使用して取得された、移動蛍光ビーズに関連する時間波形の例を示す。
図2F】[0026]SD素子を含む光学系によって取得された時間波形からコンピュータ的に再構成された移動蛍光ビーズの2D蛍光イメージの例を示す。
図2G】[0027]アレイピクセルカメラを用いて取得された移動蛍光ビーズの蛍光イメージの例を示す。
図3A】[0028]SD素子を備える、多色運動ベースの圧縮蛍光イメージングのための光学セットアップを示す。
図3B】[0029]多色運動ベースの圧縮蛍光イメージングのための光学セットアップを使用して取得された移動蛍光細胞に関連する時間波形の例を示す。
図3C】[0030]多色運動ベースの圧縮蛍光イメージングのための光学セットアップによって取得された時間波形からコンピュータ的に再構成された、移動蛍光細胞の2D蛍光イメージの例を示す。
図3D】[0031]10,000細胞/秒を超えるスループット速度で流れる細胞の多色サブミリ秒蛍光イメージングの例を示す。
図4A】[0032]GC信号に適用される分類器モデルを訓練するための手順を示す。
図4B】[0033]分類器モデルを試験するための手順の例を示す。
図4C】[0034]種々のサンプルにおけるMCF-7細胞の濃度比の例を示す。
図4D】[0035]分類器モデルに関連する真陽性率と偽陽性率との間の相関の例を示す。
図4E】[0036]末梢血単核細胞の複合混合物に対してモデル癌(MCF-7)細胞を分類するための能力に基づく分類器モデルに関連する真陽性率と偽陽性率との間の相関の例を示す。
図5A】[0037]本開示のシステム及び方法とともに使用するためのマイクロ流体デバイスの例を示す。
図5B】[0038]本開示のシステム及び方法を用いた、形態学的に類似したMCF-7細胞に対するMIA PaCa-2細胞の正確な単離を示す。
図5C】[0039]本開示のシステム及び方法を使用した、末梢血単核細胞(PBMC)の複合混合物に対するモデル癌(MIA PaCa-2)細胞の正確な単離の例を示す。
図6】[0040]SI素子又はSD素子などの光学エンコーダパターンの強度分布を推定するための光学系の例を示す。
図7】[0041]細胞のGCベースの多色蛍光イメージングを実証するために使用される光学エンコーダの、光学セットアップ及び較正された強度分布の例を示す。
図8】[0042]超高速多色蛍光イメージング及びGCによるイメージフリーイメージングサイトメトリーに使用される光学エンコーダの光学セットアップ及び較正された強度分布の例を示す。
図9】『図9A』[0043]本明細書に記載されるシステム及び方法とともに使用するための流体の流体力学的3次元(3D)集束のための流動細胞の例の幾何学形状の例を示す。 『図9B』[0044]緩く及びきつく集束された流れの例を示す。 『図9C』[0045]20μL/分の流量下で取得されたGC信号を用いて分類器を訓練した場合に、20μL/分の流量下で取得されたGC信号を用いて細胞を分類するための機械学習分類器の精度の例を示す。 『図9D』[0046]30μL/分の流量下で取得されたGC信号を用いて分類器を訓練した場合に、30μL/分の流量下で取得されたGC信号を用いて細胞を分類するための機械学習分類器の精度の例を示す。 『図9E』[0047]20μL/分の流量下で取得されたGC信号を用いて分類器を訓練した場合に、30μL/分の流量下で取得されたGC信号を用いて細胞を分類するための機械学習分類器の精度の例を示す。 『図9F』[0048]20μL/分の流量及び30μL/分の流量下で取得されたGC信号を用いて分類器を訓練した場合に、20μL/分の流量下で取得されたGC信号を用いて細胞を分類するための機械学習分類器の精度の例を示す。
図10A】[0049]mCF-7細胞の全青色蛍光強度のヒストグラムの例を示す。
図10B】[0050]mIA PaCa-2細胞の全青色蛍光強度のヒストグラムの例を示す。
図10C】[0051]mCF-7及びMIA PaCa-2細胞の混合物の例の全青色蛍光強度のヒストグラムの例を示す。
図10D】[0052]mCF-7及びMIA PaCa-2細胞の混合物の例の全緑色蛍光強度のヒストグラムの例を示す。
図11】[0053]サポートベクターマシン(SVM)ベースの機械学習分類器を使用して、広範囲の濃度比にわたって分類の一貫した精度を確認する例を示す。
図12A】[0054]ソフトリソグラフィー技術を用いて作製された流れ集束セグメント及び細胞選別セグメントを含む細胞選別チップの例を示す。
図12B】[0055]流れ集束セグメントの顕微鏡イメージの例を示す。
図12C】[0056]細胞選別セグメントの顕微鏡イメージの例を示す。
図12D】[0057]本開示のシステム及び方法とともに使用するためのリアルタイム分類及び電気制御システムのためのプロセスフローの例を示す。
図13】[0058]本開示の方法及びシステムを実装するようにプログラムされるか、又は別様に構成される、コンピュータシステムの例を示す。
図14】[0059]GCを利用した標識フリー細胞選別機の例を示す。
図15】[0060]標識フリー細胞選別機のための運動駆動圧縮GCの例を示す。
図16A】[0061]標識フリー細胞選別機を用いたJurkat及びMIA PaCa-2細胞の選別の例を示す。
図16B】[0062]細胞選別前後のJurkat及びMIA PaCa-2細胞集団のヒストグラムの例を示す。
図17A】[0063]人工多能性幹細胞(iPSC)を生存、初期アポトーシス、又は死として分類するためのヨウ化プロピジウム(PI)及びアネキシンVの蛍光強度の散布図の例を示す。
図17B】[0064]iPSCについての前方散乱(FSC)及び側方散乱(SSC)の散布図の例を示す。
図17C】[0065]生細胞及び死細胞の分類のための受信者動作特性(ROC)曲線及びSVMスコアヒストグラムの例を示す。
図17D】[0066]生細胞及び初期アポトーシス細胞の分類のためのROC曲線及びSVMスコアヒストグラムの例を示す。
図17E】[0067]死細胞及び初期アポトーシス細胞の分類のためのROC曲線及びSVMスコアヒストグラムの例を示す。
図18A】[0068]機械学習分類器を訓練するために使用される神経前駆細胞(NPC)及びiPSCの混合物についてのカルセインAM及びrBC2LCN-635強度の散布図の例を示す。
図18B】[0069]NPC及びiPSCの分類のためのROC曲線及びSVMスコアヒストグラムの例を示す。
図18C】[0070]機械学習分類器を訓練するために使用される肝芽細胞及びiPSCの混合物についてのカルセインAM及びrBC2LCN-635強度の散布図の例を示す。
図18D】[0071]肝芽細胞及びiPSCの分類のためのROC曲線及びSVMスコアヒストグラムの例を示す。
図19A】[0072]T細胞のfab FITC強度のヒストグラムの例を示す。
図19B】[0073]細胞周期における異なる状態を分類するためのROC曲線及びSVMスコアヒストグラムの例を示す。
図19C】[0074]raji細胞の2-(N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ)-2-デオキシグルコース(2-NBDG)強度のヒストグラムの例を示す。
図19D】[0075]高レベル及び低レベルのグルコースを有する細胞を分類するためのROC曲線及びSVMスコアヒストグラムの例を示す。
図20A】[0076]好中球の集団を含む訓練データセットを示す。
図20B】[0077]好中球及び非好中球に対応する標識フリー光学信号の例を示す。
図20C】[0078]好中球及び非好中球の分類のためのSVMスコアヒストグラムの例を示す。
図20D】[0079]好酸球の集団を含む訓練データセットを示す。
図20E】[0080]好酸球及び非好酸球に対応する標識フリー光学信号の例を示す。
図20F】[0081]好酸球及び非好酸球の分類のためのSVMスコアヒストグラムの例を示す。
図20G】[0082]好塩基球の集団を含む訓練データセットを示す。
図20H】[0083]好塩基球及び非好塩基球に対応する標識フリー光信号の例を示す。
図20I】[0084]好塩基球及び非好塩基球の分類のためのSVMスコアヒストグラムの例を示す。
図21A】[0085]口腔細胞及びHeLa細胞の分類のためのSVMスコアヒストグラムの例を示す。
図21B】[0086]BM1細胞及びK562細胞の分類のためのSVMスコアヒストグラムの例を示す。
図22A】[0087]第1のタイプの粒子に起因する信号、第2のタイプの粒子に起因する信号、並びに第1及び第2のタイプの粒子が同時に存在することに起因する信号の例を示す。
図22B】[0088]本開示の検出領域に同時に存在する異なるタイプの粒子を区別するための混同行列の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0089] 本発明の様々な実施形態が本明細書に示され、記載されているが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換を思いつくことができる。本明細書に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替形態を使用することができることを理解されたい。
【0020】
[0090] 「少なくとも」、「より大きい」、又は「以上」という用語が、一連の2つ以上の数値における第1の数値に先行する場合は常に、「少なくとも」、「より大きい」、又は「以上」という用語は、その一連の数値における数値の各々に適用される。例えば、1、2又は3以上とは、1以上、2以上又は3以上と等価である。
【0021】
[0091] 用語「以下」、「未満」、「以下」、又は「最大」が、一連の2つ以上の数値における第1の数値に先行するときはいつでも、用語「以下」、「未満」、「以下」、又は「最大」は、その一連の数値における数値のそれぞれに適用される。例えば、3、2、又は1以下は、3以下、2以下、又は1以下と等価である。
【0022】
[0092] 本明細書で使用されるように、用語「光学空間情報」は、概して、物体の部品又は構成要素の空間配置に関する光学感知プロセスから導出される情報を指す。例えば、「光学空間情報」は、細胞内の細胞成分(細胞小器官、膜、又は細胞質など)の空間的配置又は組織化、組織内の細胞の空間的配置又は組織化、材料内の微細構造の空間的配置又は組織化などを指し得る。
【0023】
[0093] 本明細書で使用されるように、「圧縮感知」、「圧縮された感知」、「圧縮サンプリング」、「圧縮されたサンプリング」、「スパース感知」、及び「スパースサンプリング」という用語は、一般に、ナイキスト-シャノンサンプリング定理によって必要とされるよりも少ない信号のサンプルから光学空間情報を復元することによって、光学空間情報を含む信号を効率的に取得及び再構成するための信号処理技法を指す。圧縮サンプリングは、時間領域、時間周波数領域、空間領域、空間周波数領域、ウェーブレット変換領域、離散コサイン変換領域、又は離散サイン変換領域など、いくつかの領域における光学空間情報のスパース性を利用することができる。
【0024】
[0094] 本明細書で使用されるように、「ランダム」という用語は、一般に、パターン若しくは予測可能性を欠くプロセス、又はそのようなプロセスの生成物を指す。ランダムプロセスは、認識可能な順序を有さなくてもよく、及び/又は容易に理解可能なパターンに従わなくてもよい。ランダムプロセスは、結果が決定論的パターンに従わないイベントのシーケンスを含むことができる。ランダムプロセスは、結果が確率的又は確率論的パターンに従うイベントのシーケンスを含むことができる。
【0025】
[0095] 本明細書で使用されるように、「擬似ランダム」という用語は、一般に、ほぼランダムな生成物を生成する決定論的又は部分的に決定論的なプロセス、又はそのようなプロセスの生成物を指す。
【0026】
[0096] 本開示は、生物学的分析のための方法及びシステムを提供する。そのような方法及びシステムは、細胞などの粒子、又はタンパク質若しくは核酸などの生物学的材料を分析するために使用され得る。
【0027】
[0097] 本明細書に記載の方法を用いて分析及び/又は処理される粒子は、細胞などの生物学的粒子であってもよい。細胞は、任意のタイプであり得、任意の特性を有し得る。細胞は、任意のサイズ及び体積を有し得る。細胞は、任意の可能な供給源に由来し得る。例えば、細胞は、ヒト細胞、動物細胞、非ヒト霊長類細胞、ウマ細胞、ブタ細胞、イヌ細胞、ネコ細胞、マウス細胞、植物細胞、細菌細胞、又は他の細胞であり得る。細胞は、組織又は器官に由来し得る。例えば、細胞は、心臓、動脈、静脈、脳、神経、肺、脊椎、脊髄、骨、結合組織、気管、食道、胃、小腸若しくは大腸、膀胱、肝臓、腎臓、脾臓、尿道、尿管、前立腺、精管、陰茎、卵巣、子宮、子宮内膜、卵管、若しくは膣、又は前述のいずれかに関連する任意の組織に由来し得る。細胞は、癌性であり得るか、又は癌性であると疑われ得る(例えば、腫瘍細胞)。例えば、細胞は腫瘍組織に由来し得る。細胞は、天然又は非天然成分を含み得る。例えば、細胞は、デオキシリボ核酸(DNA)若しくはリボ核酸(RNA)などの核酸、タンパク質、又は炭水化物を含み得る。細胞は、1つ又は複数のフルオロフォアなどの1つ又は複数の光学的に検出可能な要素を含み得る。フルオロフォアは、細胞にとって天然であっても非天然であってもよい。例えば、フルオロフォアは、1つ又は複数の細胞染色又は標識技術などによって細胞に導入された非天然フルオロフォアであってもよい。
【0028】
[0098] いくつかの場合において、複数の粒子が、本明細書中に記載される方法を使用して分析され得る。複数の粒子の粒子は、同じ供給源又は異なる供給源に由来し得る。粒子は、同じ又は異なる特性を有し得る。例えば、第1の粒子は第1のサイズを有してもよく、第2の粒子は第2のサイズを有してもよく、第1のサイズ及び第2のサイズは同じではない。本明細書に記載される方法及びシステムは、複数の粒子を特徴付け及び/又は識別するために使用され得る。例えば、本方法及びシステムは、第1の粒子及び第2の粒子を特徴付け得、粒子のサイズ及び形態に関する情報を提供し得、それによって、第1の粒子を第2の粒子とは異なるものとして識別し得る。
【0029】
[0099] 多くの単一細胞のイメージング及び分析は、免疫学(1)、癌(2)、神経科学(3)、血液学(4)、及び発達(5)に関与する不均一系の理解を実質的に増加させる可能性を保持する。これらの分野における多くの重要な用途は、ハイコンテントイメージに含まれる情報に従って、細胞の特定の集団の正確かつハイスループットな単離を必要とする。これはいくつかの課題を提起する。第1に、最近の発展(6-10)にもかかわらず、高感度、多色性、高シャッター速度、高フレームレート、連続取得、及び低コストの要求を同時に満たすことは困難なままである。第2に、超高速かつ連続的なイメージ取得は、その後、時間及び費用の両方に関して費用がかかるコンピュータによるイメージ再構成及び分析を必要とする(11)。そのような課題のため、蛍光イメージング活性化細胞選別(FiCS)は、本明細書に開示される方法及びシステムの前には実現されていない。本明細書に開示されるのは、単一ピクセル検出器を使用して測定された圧縮イメージング信号に機械学習方法を適用して、超高速、高感度、かつ正確な形態ベースの細胞分析を可能にし得る、方法及びシステムである。本方法及びシステムは、イメージフリー(イメージ生成を必要としない)であり得るが、本方法及びシステムは、所望される場合、イメージ生成を組み込み得る。本方法及びシステムは、リアルタイムで粒子を選別するようにさらに構成されてもよい。そのような方法及びシステムは、「ゴーストサイトメトリー」(GC)と呼ばれ得る。
【0030】
[00100] 図1Aは、GCプロセスで使用される光学圧縮感知プロセスの例の概略図を示す。パターン化された光学構造を横切る物体の相対運動を用いて、物体の空間情報を時間信号列に圧縮マッピングすることができる。パターン化された光学構造は、光学構造内の各領域における光学特性(透過率、吸収率、反射率、又はそれらの指標など)の値を含む行列H(x、y)によって定義され得る。図1Aに示されるように、F及びFは、物体内の代表的な特徴(蛍光特徴など)を描写し得る。物体の運動に基づいて、H(x、y)の空間的に変化する光学特性は、フルオロフォアF及びFからの光強度(蛍光発光強度など)の時間的変調として符号化され得る(図1Aにおいて、それぞれ「Fからの発光強度」及び「Fからの発光強度」として示される)。それらの合計g(t)は、図1Aの下部に示されるように、単一ピクセル検出器を使用して記録され得る。イメージングモードでは、物体の2次元(2D)イメージは、多重化された時間波形g(t)と光学構造の強度分布H(x、y)との組み合わせ使用によってコンピュータ的に再構成され得る。イメージフリーモードでは、機械学習方法を圧縮時間波形に直接適用することにより、ハイスループット、高精度、イメージフリーの形態ベースの細胞分類をもたらすことができる。図1Aに示される概略図は、縮尺通りではない。
【0031】
[00101] GCでは、物体が、パターン化された光学構造を通過するとき、構造内の各配置されたスポットは、物体の順次異なる場所であり得る。例えば、構造内に配置された各スポットは、物体の異なる位置にあるフルオロフォアを順次励起することができる。各位置からの符号化された強度は、検出器(例えば、光電子増倍管(PMT)等の単一ピクセル検出器)を使用して測定される単一時間波形として、多重化され、圧縮的かつ連続的に測定されてもよい。物体が速度vで一定の一方向運動をしていると仮定すると、信号取得は数学的に次のように記述することができる。
【0032】
【数1】
【0033】
ここで、g(t)は多重化時間波形であり、H(x、y)は光学構造の強度分布であり、I(x、y)は移動物体の強度分布である。空間符号化演算子として作用するH(x、y)は、静的であり得、その結果、走査又は連続的な光投影は、GCにおいて必要とされ得ないことに留意されたい。光学構造のためのバイナリランダムパターンは、単純な実装として本明細書に記載される。GCの測定プロセスでは、物体は、x方向に沿って光学構造と畳み込まれてもよく、結果として生じる信号は、y方向に沿って積分されてもよい。圧縮感知の文献では、ランダム化された畳み込みは、イメージングモダリティとみなされ得る(12)。式(1)が順モデルとして与えられると、イメージ再構成プロセスは逆問題を解くことになる。解は、多重化された時間波形g(t)と光学構造の強度分布H(x、y)との組み合わせ使用によって計算され得る目的関数を最小化することによって反復的に推定され得る。正則化領域におけるスパースイベントに対して、移動物体は、2段階反復収縮/閾値化(TwIST)などの圧縮検知アルゴリズムを採用することによって、測定された信号g(t)から合理的に推定され得る(13)。このような再構成プロセスは、ゴーストイメージングとその概念を共有することができ、ゴーストイメージングでは、多数のランダムな光学パターンを物体上に順次投影し、単一ピクセル検出器を使用して結果として生じる信号を記録した後に、元のイメージがコンピュータ的に復元される(14-19)。ゴーストイメージングは科学界においてかなりの注目を集めてきたが、光パターンの逐次投影はゴーストイメージングを遅くし、その実用的使用を妨げてきた。光投影に必要な時間を短縮するために圧縮感知を使用した場合でも、本方法は従来のアレイピクセルカメラよりも依然として遅かった(18)。対照的に、GCは、機器のいかなる移動も必要とせず、イメージ取得の速度は、物体の運動とともに増加し得る。GCにおけるイメージ取得の速度は、単一ピクセル検出器の帯域幅によってのみ制限され得る。そのような帯域幅は、少なくとも約1メガヘルツ(MHz)、10MHz、100MHz、1ギガヘルツ(GHz)、又はそれ以上など、非常に高くなり得る。したがって、GCにおける運動の使用は、低速ゴーストイメージングを実用的な超高速の連続イメージング手順に変換することができる。例えば、GCは、従来の蛍光ゴーストイメージング方法よりも少なくとも10,000倍速い取得速度に達し得る。
【0034】
[00102] 一態様では、本開示は、粒子分析のための方法を提供する。方法は、パターン化された光学構造に対する粒子の運動から空間情報を取得するステップを含んでもよい。次に、空間情報は、検出器に順次到達する信号に圧縮変換され得る。次いで、信号を使用して粒子を分析することができる。
【0035】
[00103] 図1Bは、粒子分析の方法100のフローチャートを示す。第1の動作110において、方法100は、パターン化された光学構造に対する粒子の運動から空間情報を取得するステップを含むことができる。空間情報は、光学空間情報を含んでもよく、光学空間情報は、光学感知アプローチによって取得された空間情報であってもよい。代替的に又は組み合わせて、空間情報は、インピーダンス測定等の非光学感知アプローチによって取得され得る、非光学空間情報を備えてもよい。
【0036】
[00104] 粒子は、1つ又は複数の生物学的粒子を含み得る。粒子は、1つ又は複数の細胞を含み得る。
【0037】
[00105] 粒子は、1つ又は複数の希少細胞を含み得る。希少細胞は、最大で約10分の1、20分の1、30分の1、40分の1、50分の1、60分の1、70分の1、80分の1、90分の1、100分の1、200分の1、300分の1、400分の1、500分の1、600分の1、700分の1、800分の1、900分の1、1,000分の1、2,000分の1、3,000分の1、4,000分の1、5,000分の1、6,000分の1、7,000分の1、8,000分の1、9,000分の1、10,000分の1、20,000分の1、30,000分の1、40,000分の1、50,000分の1、60,000分の1、70,000分の1、80,000分の1、90,000分の1、100,000分の1、200,000分の1、300,000分の1、400,000分の1、500,000分の1、600,000分の1、700,000分の1、800,000分の1、900,000分の1、1,000,000分の1、2,000,000分の1、3,000,000分の1、4,000,000分の1、5,000,000分の1、6,000,000分の1、7,000,000分の1、8,000,000分の1、9,000,000分の1、10,000,000分の1、20,000,000分の1、30,000,000分の1、40,000,000分の1、50,000,000分の1、60,000,000分の1、70,000,000分の1、80,000,000分の1、90,000,000分の1、100,000,000分の1、200,000,000分の1、300,000,000分の1、400,000,000分の1、500,000,000分の1、600,000,000分の1、700,000,000分の1、800,000,000分の1、900,000,000分の1、1,000,000,000分の1、またはそれ以上の濃度で(分析下の他の細胞と比較して)存在し得る。希少細胞は、少なくとも約1,000,000,000分の1、900,000,000分の1、800,000,000分の1、700,000,000分の1、600,000,000分の1、500,000,000分の1、400,000,000分の1、300,000,000分の1、200,000,000分の1、100,000,000分の1、90,000,000分の1、80,000,000分の1、70,000,000分の1、60,000,000分の1、50,000,000分の1、40,000,000分の1、30,000,000分の1、20,000,000分の1、10,000,000分の1、9,000,000分の1、8,000,000分の1、7,000,000分の1、6,000,000分の1、5,000,000分の1、4,000,000分の1、3,000,000分の1、2,000,000分の1、1,000,000分の1、900,000分の1、800,000分の1、700,000分の1、600,000分の1、500,000分の1、400,000分の1、300,000分の1、200,000分の1、100,000分の1、90,000分の1、80,000分の1、70,000分の1、60,000分の1、50,000分の1、40,000分の1、30,000分の1、20,000分の1、10,000分の1、9,000分の1、8,000分の1、7,000分の1、6,000分の1、5,000分の1、4,000分の1、3,000分の1、2,000分の1、1,000分の1、900分の1、800分の1、700分の1、600分の1、500分の1、400分の1、300分の1、200分の1、100分の1、90分の1、80分の1、70分の1、60分の1、50分の1、40分の1、30分の1、20分の1、10分の1、またはそれ以上の濃度で存在し得る。希少細胞は、前述の値のいずれか2つによって定義される範囲内の濃度で存在し得る。
【0038】
[00106] 粒子は、1つ又は複数の癌細胞を含み得る。粒子は、1つ又は複数の循環腫瘍細胞を含み得る。粒子は、本明細書に記載される任意の細胞を含み得る。細胞は、本明細書に記載される任意の供給源に由来し得る。細胞は、本明細書に記載される任意の天然又は非天然成分を含み得る。
【0039】
[00107] パターン化された光学構造は、複数の領域を含むことができる。例えば、パターン化された光学構造は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、900,000、1,000,000、又はそれ以上の領域を含み得る。パターン化された光学構造は、最大で約1,000,000、900,000、800,000、700,000、600,000、500,000、400,000、300,000、200,000、100,000、90,000、80,000、70,000、60,000、50,000、40,000、30,000、20,000、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1つの領域を含み得る。パターン化された光学構造は、前述の値のいずれか2つによって定義される範囲内にあるいくつかの領域を含むことができる。
【0040】
[00108] 複数の領域の各領域は、1つ又は複数の透過率、吸収率、又は反射率などの1つ又は複数の特定の光学特性を含むことができる。例えば、各領域は、少なくとも約0%、1%、2%、3%、4%、5%、60%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の透過率、吸収率、又は反射率を備え得る。各領域は、最大で約100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又は0%の透過率、吸収率、又は反射率を備え得る。各領域は、前述の値のうちの任意の2つによって定義される範囲内にある透過率、吸収率、又は反射率を備えてもよい。
【0041】
[00109] 光学特性は、領域ごとに異なっていてもよい。例えば、任意の2つの領域は、同じ又は異なる透過率、吸収率、又は反射率を含むことができる。光学特性は、領域ごとに異なっていてもよい。
【0042】
[00110] パターン化された光学構造は、空間光変調器(SLM)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、液晶(LC)デバイス、またはフォトマスクを含むことができる。
【0043】
[00111] パターン化された光学構造は、微細加工またはナノ加工技術を用いて製造され得る。例えば、パターン化された光学構造は、溶媒洗浄、ピラーニャ洗浄、RCA洗浄、イオン注入、紫外線フォトリソグラフィー、深紫外線フォトリソグラフィー、極限紫外線フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、ナノインプリントリソグラフィー、湿式化学エッチング、乾式化学エッチング、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング、深部反応性イオンエッチング、電子ビームミリング、熱アニーリング、熱酸化、薄膜堆積、化学蒸着、分子有機化学蒸着、低圧化学蒸着、プラズマ増強化学蒸着、物理蒸着、スパッタリング、原子層蒸着、分子ビームエピタキシー、電気化学蒸着、ウエハボンディング、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、サーモソニックボンディング、ウエハダイシング、又はその他の微細加工若しくはナノ加工製造技術の内の任意の1つ又は複数を用いて製造され得る。
【0044】
[00112] パターン化された光学構造は、規則的なパターン化された光学構造を含んでもよい。規則的なパターン化された光学構造は、異なる光学特性の領域の周期的配置又は他の規則的配置を含んでもよい。パターン化された光学構造は、無秩序なパターン化された光学構造を含んでもよい。無秩序なパターン化された光学構造は、異なる光学特性の領域の無秩序な配置を含むことができる。パターン化された光学構造は、非周期的なパターン化された光学構造を含んでもよい。非周期的なパターン化された光学構造は、異なる光学特性の領域の非周期的配置を含んでもよい。パターン化された光学構造は、ランダムに又は擬似ランダムにパターン化された光学構造を含んでもよい。ランダムに又は擬似ランダムにパターン化された光学構造は、異なる光学特性の領域のランダム又は擬似ランダム配置を含むことができる。
【0045】
[00113] ランダムに又は擬似ランダムにパターン化された光学構造などの無秩序な又は非周期的な光学構造は、例えば、周波数(又はフーリエ)領域にわたる減衰を低減することによって、(物体に対応するイメージのより正確な再構成などの)検査中の物体に対するより高い忠実度を有する光学空間情報の取得を可能にすることができる。本開示のシステム及び方法を使用して測定された信号は、パターン化された光学構造及び検査中の物体の1次元畳み込みと見なされ得る。測定値が周波数領域で解釈されるとき、これは、畳み込み定理に起因して、パターン化された光学構造のフーリエ変換と検査中の物体のフーリエ変換との乗算に対応し得る。したがって、減衰なしに検査中の物体に対応する光学空間情報を測定するために、均一な分布に近いパターン化された光学構造のフーリエ変換を取得することが有益であり得る。無秩序な又は非周期的関数のフーリエ変換は一様分布である。したがって、ランダムに又は擬似ランダムにパターン化された光学構造などの無秩序な又は非周期的なパターン化された光学構造は、検査中の物体に対してより高い忠実度で光学空間情報を取得することを可能にすることができる。
【0046】
[00114] 第2の動作120において、方法100は、空間情報を、検出器に順次到達する信号に圧縮変換するステップを含むことができる。検出器は、1つ又は複数の単一ピクセル検出器を備えてもよい。検出器は、1つ又は複数のマルチピクセル検出器を備えてもよい。検出器は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、900,000、1,000,000、又はそれ以上のピクセルを含み得る。検出器は、最大で約1,000,000、900,000、800,000、700,000、600,000、500,000、400,000、300,000、200,000、100,000、90,000、80,000、70,000、60,000、50,000、40,000、30,000、20,000、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1つのピクセルを含み得る。検出器は、前述の値のうちの任意の2つによって定義される範囲内にあるいくつかのピクセルを備え得る。
【0047】
[00115] 検出器は、1つ又は複数の光電子増倍管(PMT)、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、フォトトランジスタ、逆バイアス発光ダイオード(LED)、電荷結合素子(CCD)、又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)カメラを備えてもよい。
【0048】
[00116] 検出器は、光を検出するように構成され得る。光は、赤外(IR)光、可視光、又は紫外(UV)光を含むことができる。光は、複数の波長を含むことができる。光は、少なくとも約200nm、210nm、220nm、230nm、240nm、250nm、260nm、270nm、280nm、290nm、300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm、410nm、420nm、430nm、440nm、450nm、460nm、470nm、480nm、490nm、500nm、510nm、520nm、530nm、540nm、550nm、560nm、570nm、580nm、590nm、600nm、610nm、620nm、630nm、640nm、650nm、660nm、670nm、680nm、690nm、700nm、710nm、720nm、730nm、740nm、750nm、760nm、770nm、780nm、790nm、800nm、810nm、820nm、830nm、840nm、850nm、860nm、870nm、880nm、890nm、900nm、910nm、920nm、930nm、940nm、950nm、960nm、970nm、980nm、990nm、1,000nm、又はそれ以上の、1つ又は複数の波長を含むことができる。
【0049】
[00117] 光は、少なくとも約1,000nm、990nm、980nm、970nm、960nm、950nm、940nm、930nm、920nm、910nm、900nm、890nm、880nm、870nm、860nm、850nm、840nm、830nm、820nm、810nm、800nm、790nm、780nm、770nm、760nm、750nm、740nm、730nm、720nm、710nm、700nm、690nm、680nm、670nm、660nm、650nm、640nm、630nm、620nm、610nm、600nm、590nm、580nm、570nm、560nm、550nm、540nm、530nm、520nm、510nm、500nm、490nm、480nm、470nm、460nm、450nm、440nm、430nm、420nm、410nm、400nm、390nm、380nm、370nm、360nm、350nm、340nm、330nm、320nm、310nm、300nm、290nm、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、230nm、220nm、210nm、200nm、又はそれ以下の、1つ又は複数の波長を含むことができる。光は、前述の値のうちの任意の2つによって定義される範囲内にある1つ又は複数の波長を含んでもよい。
【0050】
[00118] 光は、少なくとも約0.001nm、0.002nm、0.003nm、0.004nm、0.005nm、0.006nm、0.007nm、0.008nm、0.009nm、0.01nm、0.02nm、0.03nm、0.04nm、0.05nm、0.06nm、0.07nm、0.08nm、0.09nm、0.1nm、0.2nm、0.3nm、0.4nm、0.5nm、0.6nm、0.7nm、0.8nm、0.9nm、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、又はそれ以上の帯域幅を有し得る。光は、最大で約100nm、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nm、9nm、8nm、7nm、6nm、5nm、4nm、3nm、2nm、1nm、0.9nm、0.8nm、0.7nm、0.6nm、0.5nm、0.4nm、0.3nm、0.2nm、0.1nm、0.09nm、0.08nm、0.07nm、0.06nm、0.05nm、0.04nm、0.03nm、0.02nm、0.01nm、0.009nm、0.008nm、0.007nm、0.006nm、0.005nm、0.004nm、0.003nm、0.002nm、0.001nm、またはそれ以下の帯域幅を有し得る。光は、前述の値のうちの任意の2つによって定義される範囲内にある帯域幅を有し得る。
【0051】
[00119] 検出器は、少なくとも約1MHz、2mHz、3mHz、4mHz、5mHz、6mHz、7mHz、8mHz、9mHz、10mHz、20mHz、30mHz、40mHz、50mHz、60mHz、70mHz、80mHz、90mHz、100mHz、200mHz、300mHz、400mHz、500mHz、600mHz、700mHz、800mHz、900mHz、1GHz、2GHz、3GHz、4GHz、5GHz、6GHz、7GHz、8GHz、9GHz、10GHz、20GHz、30GHz、40GHz、50GHz、60GHz、70GHz、80GHz、90GHz、100GHz、200GHz、300GHz、400GHz、500GHz、600GHz、700GHz、800GHz、900GHz、1,000GHz、又はそれ以上のリフレッシュレートを有し得る。
【0052】
[00120] 検出器は、最大で約1,000GHz、900GHz、800GHz、700GHz、600GHz、500GHz、400GHz、300GHz、200GHz、100GHz、90GHz、80GHz、70GHz、60GHz、50GHz、40GHz、30GHz、20GHz、10GHz、9GHz、8GHz、7GHz、6GHz、5GHz、4GHz、3GHz、2GHz、1GHz、900mHz、80mHz、700mHz、600mHz、500mHz、400mHz、300mHz、200mHz、100mHz、90mHz、80mHz、70mHz、60mHz、50mHz、40mHz、30mHz、20mHz、10mHz、9mHz、8mHz、7mHz、6mHz、5mHz、4mHz、3mHz、2mHz、1MHz、又はそれ以下のリフレッシュレートを有し得る。検出器は、前述の値のうちの任意の2つによって定義される範囲内にあるリフレッシュレートを有し得る。
【0053】
[00121] 第2の動作120は、2段階反復収縮/閾値化(TwIST)手順を適用するステップを含むことができる。
【0054】
[00122] 第3の動作130において、方法100は、信号を使用して粒子の少なくともサブセットを識別するステップを含むことができる。第3の動作130は、(例えば、図1Aに関して)本明細書に記載されるように、パターン化された光学構造によって付与される1つ又は複数の光強度分布を含む1つ又は複数の時間波形の組み合わせ使用を少なくとも部分的に通して、粒子の形態をコンピュータ的に再構成するステップを含んでもよい。
【0055】
[00123] 第1の動作110は、(i)光源からの光をパターン化された光学構造を通して方向付けるステップと、(ii)パターン化された光学構造からの光を粒子に方向付けるステップと、(iii)粒子からの光を検出器に方向付けるステップとを含むことができる。そのようなシナリオでは、パターン化された光学構造は、光と粒子との相互作用の前に、光源からの光に光学符号化を与えることができる。そのようなシナリオは、構造化照明(SI)と呼ばれることがある。
【0056】
[00124] 代替的に又は組み合わせて、第1の動作110は、(i)光源からの光を粒子に方向付けるステップと、(ii)粒子からの光をパターン化された光学構造を通して方向付けるステップと、(iii)パターン化された光学構造からの光を検出器に方向付けるステップとを含んでもよい。そのようなシナリオでは、パターン化された光学構造は、光と粒子との相互作用の後に、光源からの光に光学符号化を付与することができる。そのようなシナリオは、構造化検出(SD)と呼ばれることがある。
【0057】
[00125] 光源はレーザを含むことができる。例えば、光源は連続波レーザを含むことができる。光源は、パルスレーザを含むことができる。光源は、ヘリウム-ネオン(HeNe)レーザ、アルゴン(Ar)レーザ、クリプトン(Kr)レーザ、キセノン(Xe)イオンレーザ、窒素(N)レーザ、二酸化炭素(CO)レーザ、一酸化炭素(CO)レーザ、横方向励起大気(TEA)レーザ、又はエキシマレーザなどのガスレーザを含むことができる。例えば、光源は、アルゴン二量体(Ar)エキシマレーザ、クリプトン二量体(Kr)エキシマレーザ、フッ素二量体(F)エキシマレーザ、キセノン二量体(Xe)エキシマレーザ、フッ化アルゴン(ArF)エキシマレーザ、塩化クリプトン(KrCl)エキシマレーザ、フッ化クリプトン(KrF)エキシマレーザ、臭化キセノン(XeBr)エキシマレーザ、塩化キセノン(XeCl)エキシマレーザ、又はフッ化キセノン(XeF)エキシマレーザを含むことができる。光源は、色素レーザを含むことができる。
【0058】
[00126] 光源は、ヘリウム-カドミウム(HeCd)金属-蒸気レーザ、ヘリウム-水銀(HeHg)金属-蒸気レーザ、ヘリウム-セレン(HeSe)金属-蒸気レーザ、ヘリウム-銀(HeAg)金属-蒸気レーザ、ストロンチウム(Sr)金属-蒸気レーザ、ネオン-銅(NeCu)金属-蒸気レーザ、銅(Cu)金属-蒸気レーザ、金(Au)金属-蒸気レーザ、マンガン(Mn)金属-蒸気、又は塩化マンガン(MnCl2)金属-蒸気レーザなどの金属-蒸気レーザを含むことができる。
【0059】
[00127] 光源は、ルビーレーザ、金属ドープ結晶レーザ、又は金属ドープファイバレーザなどの固体レーザを含むことができる。例えば、光源は、ネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)レーザ、ネオジム/クロムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Nd/Cr:YAG)レーザ、エルビウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Er:YAG)レーザ、ネオジムドープイットリウムフッ化リチウム(Nd:YLF)レーザ、ネオジムドープイットリウムオルトバナジン酸(ND:YVO)レーザ、ネオジムドープイットリウムカルシウムオキソホウ酸(Nd:YCOB)レーザ、ネオジムガラス(Nd:ガラス)レーザ、チタンサファイア(Ti:サファイア)レーザ、ツリウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Tm:YAG)レーザ、イッテルビウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Yb:YAG)レーザ、イッテルビウムドープガラス(Yt:ガラス)レーザ、ホルミウムイットリウムアルミニウムガーネット(Ho:YAG)レーザ、クロムドープセレン化亜鉛(Cr:ZnSe)レーザ、セリウムドープフッ化リチウムストロンチウムフッ化アルミニウム(Ce:LiSAF)レーザ、セリウムドープリチウムカルシウムフッ化アルミニウム(Ce:LiCAF)レーザ、エルビウムドープガラス(Er:ガラス)レーザ、エルビウムイッテルビウムコドープガラス(Er/Yt:ガラス)レーザ、ウランドープフッ化カルシウム(U:CaF)レーザ、又はサマリウムドープフッ化カルシウム(Sm:CaF)レーザを含み得る。
【0060】
[00128] 光源は、窒化ガリウム(GaN)レーザ、窒化インジウムガリウム(InGaN)レーザ、アルミニウムガリウムインジウムリン(AlGaInP)レーザ、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)レーザ、インジウムガリウムヒ素リン(InGaAsP)レーザ、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、又は量子カスケードレーザなどの半導体レーザ又はダイオードレーザを含むことができる。
【0061】
[00129] 光源は、光を放射するように構成され得る。光は、赤外(IR)光、可視光、又は紫外(UV)光を含むことができる。光は、複数の波長を含むことができる。光は、少なくとも約200nm、210nm、220nm、230nm、240nm、250nm、260nm、270nm、280nm、290nm、300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm、410nm、420nm、430nm、440nm、450nm、460nm、470nm、480nm、490nm、500nm、510nm、520nm、530nm、540nm、550nm、560nm、570nm、580nm、590nm、600nm、610nm、620nm、630nm、640nm、650nm、660nm、670nm、680nm、690nm、700nm、710nm、720nm、730nm、740nm、750nm、760nm、770nm、780nm、790nm、800nm、810nm、820nm、830nm、840nm、850nm、860nm、870nm、880nm、890nm、900nm、910nm、920nm、930nm、940nm、950nm、960nm、970nm、980nm、990nm、1,000nm、又はそれ以上の、1つ又は複数の波長を含むことができる。
【0062】
[00130] 光は、少なくとも約1,000nm、990nm、980nm、970nm、960nm、950nm、940nm、930nm、920nm、910nm、900nm、890nm、880nm、870nm、860nm、850nm、840nm、830nm、820nm、810nm、800nm、790nm、780nm、770nm、760nm、750nm、740nm、730nm、720nm、710nm、700nm、690nm、680nm、670nm、660nm、650nm、640nm、630nm、620nm、610nm、600nm、590nm、580nm、570nm、560nm、550nm、540nm、530nm、520nm、510nm、500nm、490nm、480nm、470nm、460nm、450nm、440nm、430nm、420nm、410nm、400nm、390nm、380nm、370nm、360nm、350nm、340nm、330nm、320nm、310nm、300nm、290nm、280nm、270nm、260nm、250nm、240nm、230nm、220nm、210nm、200nm、又はそれ以下の、1つ又は複数の波長を含むことができる。光は、前述の値のうちの任意の2つによって定義される範囲内にある1つ又は複数の波長を含んでもよい。
【0063】
[00131] 光は、少なくとも約0.001nm、0.002nm、0.003nm、0.004nm、0.005nm、0.006nm、0.007nm、0.008nm、0.009nm、0.01nm、0.02nm、0.03nm、0.04nm、0.05nm、0.06nm、0.07nm、0.08nm、0.09nm、0.1nm、0.2nm、0.3nm、0.4nm、0.5nm、0.6nm、0.7nm、0.8nm、0.9nm、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、又はそれ以上の帯域幅を有し得る。光は、最大で約100nm、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nm、9nm、8nm、7nm、6nm、5nm、4nm、3nm、2nm、1nm、0.9nm、0.8nm、0.7nm、0.6nm、0.5nm、0.4nm、0.3nm、0.2nm、0.1nm、0.09nm、0.08nm、0.07nm、0.06nm、0.05nm、0.04nm、0.03nm、0.02nm、0.01nm、0.009nm、0.008nm、0.007nm、0.006nm、0.005nm、0.004nm、0.003nm、0.002nm、0.001nm、またはそれ以下の帯域幅を有し得る。光は、前述の値のうちの任意の2つによって定義される範囲内にある帯域幅を有し得る。
【0064】
[00132] 光は、少なくとも約1マイクロワット(μW)、2μW、3μW、4μW、5μW、6μW、7μW、8μW、9μW、10μW、20μW、30μW、40μW、50μW、60μW、70μW、80μW、90μW、100μW、200μW、300μW、400μW、500μW、600μW、700μW、800μW、900μW、1ミリワット(mW)、2mW、3mW、4mW、5mW、6mW、7mW、8mW、9mW、10mW、20mW、30mW、40mW、50mW、60mW、70mW、80mW、90mW、100mW、200mW、300mW、400mW、500mW、600mW、700mW、800mW、900mW、1ワット(W)、2W、3W、4W、5W、mW、mW、mW、mW、mW、mW、mW、mW、1ワット(W)、2W、3W、4W、5W、6W、7W、8W、9W、10W、又はそれ以上の平均光パワーを有し得る。
【0065】
[00133] 光は、最大で約10W、9W、8W、7W、6W、5W、4W、3W、2W、1W、900mW、800mW、700mW、600mW、500mW、400mW、300mW、200mW、100mW、90mW、80mW、70mW、60mW、50mW、40mW、30mW、20mW、10mW、9mW、8mW、7mW、6mW、5mW、4mW、3mW、2mW、1mW、900μW、800μW、700μW、600μW、500μW、400μW、300μW、200μW、100μW、90μW、80μW、70μW、60μW、50μW、40μW、30μW、20μW、10μW、9μW、8μW、7μW、6μW、5μW、4μW、3μW、2μW、1μW、又はそれ以下の平均光パワーを有し得る。光は、前述の値のうちの任意の2つによって定義される範囲内にある光パワーを有し得る。
【0066】
[00134] 光は、少なくとも約1mW、2mW、3mW、4mW、5mW、6mW、7mW、8mW、9mW、10mW、20mW、30mW、40mW、50mW、60mW、70mW、80mW、90mW、100mW、200mW、300mW、400mW、500mW、600mW、700mW、800mW、900mW、1W、2W、3W、4W、5W、6W、7W、8W、9W、10W、10W、20W、30W、40W、50W、60W、70W、80W、90W、100W、200W、300W、400W、500W、600W、700W、800W、900W、1,000W、又はそれ以上のピーク光パワーを有し得る。
【0067】
[00135] 光は、最大で約1,000W、900W、800W、700W、600W、500W、400W、300W、200W、100W、90W、80W、70W、60W、50W、40W、30W、20W、10W、9W、8W、7W、6W、5W、4W、3W、2W、1W、900mW、800mW、700mW、600mW、500mW、400mW、300mW、200mW、100mW、90mW、80mW、70mW、60mW、50mW、40mW、30mW、20mW、10mW、9mW、8mW、7mW、6mW、5mW、4mW、3mW、2mW、1mW、又はそれ以下のピーク光パワーを有し得る。光は、前述の値のうちの任意の2つによって定義される範囲内にあるピーク光パワーを有し得る。
【0068】
[00136] 光は、少なくとも約100フェムト秒(fs)、200fs、300fs、400fs、500fs、600fs、700fs、800fs、900fs、1ピコ秒(ps)、2ps、3ps、4ps、5ps、6ps、7ps、8ps、9ps、10ps、20ps、30ps、40ps、50ps、60ps、70ps、80ps、90ps、100ps、200ps、300ps、400ps、500ps、600ps、700ps、800ps、900ps、1ナノ秒(ns)、2ns、3ns、4ns、5ns、6ns、7ns、8ns、9ns、10ns、20ns、30ns、40ns、50ns、60ns、70ns、80ns、90ns、100ns、200ns、300ns、400ns、500ns、600ns、700ns、800ns、900ns、1マイクロ秒(μs)、2μs、3μs、4μs、5μs、6μs、7μs、8μs、9μs、10μs、20μs、30μs、40μs、50μs、60μs、70μs、80μs、90μs、100μs、200μs、300μs、400μs、500μs、600μs、700μs、800μs、900μs、1ミリ秒(1ms)、又はそれ以上のパルス長を有し得る。
【0069】
[00137] 光は、最大で約1ms、900μs、800μs、700μs、600μs、500μs、400μs、300μs、200μs、100μs、90μs、80μs、70μs、60μs、50μs、40μs、30μs、20μs、10μs、9μs、8μs、7μs、6μs、5μs、4μs、3μs、2μs、1μs、900ns、800ns、700ns、600ns、500ns、400ns、300ns、200ns、100ns、90ns、80ns、70ns、60ns、50ns、40ns、30ns、20ns、10ns、9ns、8ns、7ns、6ns、5ns、4ns、3ns、2ns、1ns、900ps、800ps、700ps、600ps、500ps、400ps、300ps、200ps、100ps、90ps、80ps、70ps、60ps、50ps、40ps、30ps、20ps、10ps、9ps、8ps、7ps、6ps、5ps、4ps、3ps、2ps、1ps、900fs、800fs、700fs、600fs、500fs、400fs、300fs、200fs、100fs、又はそれ以下のパルス長を有し得る。光は、前述の値のうちの任意の2つによって定義される範囲内にあるパルス長を有し得る。
【0070】
[00138] 方法100は、1つ又は複数の機械学習分類器を、信号に対応する1つ又は複数の圧縮波形に適用するステップをさらに含むことができる。方法100は、1つ又は複数の機械学習分類器を、本明細書で説明する1つ又は複数の時間波形に、又は本明細書で説明する1つ又は複数の時間波形に関連する圧縮波形に適用するステップをさらに含むことができる。
【0071】
[00139] 1つ又は複数の機械学習分類器を波形に適用して、本明細書に記載される粒子のうちの1つ又は複数を識別することができる。1つ又は複数の機械学習分類器は、1つ又は複数の粒子を識別して、少なくとも約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.91%、99.92%、99.93%、99.94%、99.95%、99.96%、99.97%、99.98%、99.99%、又はそれ以上の感度、特異度、及び精度のうちの少なくとも1つ、2つ、又は3つを取得するように構成され得る。
【0072】
[00140] 1つ又は複数の機械学習分類器は、1つ又は複数の粒子を識別して、最大で約99.99%、99.98%、99.97%、99.96%、99.95%、99.94%、99.93%、99.92%、99.91%、99.9%、99.8%、99.7%、99.6%、99.5%、99.4%、99.3%、99.2%、99.1%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、60%、又はそれ以下の感度、特異度、及び精度のうちの少なくとも1つ、2つ、又は3つを取得するように構成され得る。機械学習分類器は、1つ又は複数の粒子を識別して、前述の値のうちの任意の2つによって定義される範囲内にある、感度、特異度、及び、精度のうちの少なくとも1つ、2つ、又は3つを取得するように構成され得る。
【0073】
[00141] 1つ又は複数の機械学習分類器は、1つ又は複数のデータセットから1つ又は複数の形質を推論するために統計的技法を使用するための任意の方法及び技術を含むことができる。そのような方法及び技術は、教師あり、教師あり、半教師あり、又は教師なしの機械学習技術を含み得る。機械学習技法は、回帰分析、正則化、分類、次元削減、アンサンブル学習、メタ学習、強化学習、相関ルール学習、クラスタ分析、異常検出、又は深層学習を含み得る。機械学習技術は、k平均、k平均クラスタリング、k-最近傍、学習ベクトル量子化、線形回帰、非線形回帰、最小二乗回帰、部分最小二乗回帰、ロジスティック回帰、ステップワイズ回帰、多変量適応回帰スプライン、リッジ回帰、主成分回帰、最小絶対縮小、選択操作、最小角回帰、正準相関分析、因子分析、独立成分分析、線形判別分析、多次元スケーリング、非負行列因数分解、主成分分析、主座標分析、射影追跡、サモンマッピング、t分布確率的近傍埋め込み、AdaBoost、ブースティング、ブートストラップ集計、アンサンブル平均化、決定木、条件付き決定木、ブースト決定木、勾配ブースト決定木、ランダムフォレスト、スタック一般化、ベイジアンネットワーク、ベイジアン信念ネットワーク、ナイーブベイズ、ガウシアンナイーブベイズ、多項式ナイーブベイズ、隠れマルコフモデル、階層的隠れマルコフモデル、サポートベクターマシン、エンコーダ、デコーダ、自動エンコーダ、スタック型自動エンコーダ、パーセプトロン、多層パーセプトロン、人工ニューラルネットワーク、フィードフォワードニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、長期短期記憶、ディープビリーフネットワーク、ディープボルツマンマシン、ディープ畳み込みニューラルネットワーク、ディープリカレントニューラルネットワーク、又は生成的敵対的ネットワーク、を含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0074】
[00142] 1つ又は複数の機械学習分類器は、時間波形又は圧縮された時間波形から直接粒子の識別を学習するように訓練され得る。したがって、粒子は、イメージ再構成なしで分析され得る。
【0075】
[00143] 代替的に又は組み合わせて、1つ又は複数の機械学習分類器は、時間波形又は圧縮された時間波形から再構成された1つ又は複数のイメージから粒子の識別を学習するように訓練され得る。したがって、方法100は、粒子の1つ又は複数のイメージを再構成するステップをさらに含むことができ、粒子は、再構成されたイメージに基づいて分析することができる。1つ又は複数のイメージは、1つ又は複数の明視野、交差偏光、暗視野、位相コントラスト、微分干渉コントラスト(DIC)、反射干渉、Sarfus、蛍光、エピ蛍光、共焦点、光シート、多光子、超解像、近接場走査光学、近接場光学ランダムマッピング(NORM)、構造化照明(SIM)、空間変調照明(SMI)、4-pi、誘導放出枯渇(STED)、基底状態枯渇(GSD)、可逆可飽和光学線形蛍光遷移(RESOLFT)、結合活性化局在化(BALM)、光活性化局在化(PALM)、確率的光学再構成(STORM)、直接確率的光学再構成(dSTORM)、超解像光学変動(SOFI)、又は偏在局在化(OLM)イメージを含んでもよい。
【0076】
[00144] 方法100は、粒子の複数のイメージ、例えば、粒子の少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、又はそれ以上のイメージ、粒子の最大で約100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1つのイメージ、又は前述の値のうちの任意の2つによって定義される範囲内にある粒子のいくつかのイメージを再構成するステップをさらに含むことができる。複数の各イメージは、異なる波長又は波長範囲を含むことができる。
【0077】
[00145] 1つ又は複数のイメージは、ぼけアーチファクトがないことがある。例えば、1つ又は複数のイメージは、粒子が、パターン化された光学構造に対して、少なくとも約1ミリメートル/秒(mm/s)、2mm/s、3mm/s、4mm/s、5mm/s、6mm/s、7mm/s、8mm/s、9mm/s、10mm/s、20mm/s、30mm/s、40mm/s、50mm/s、60mm/s、70mm/s、80mm/s、90mm/s、100mm/s、200mm/s、300mm/s、400mm/s、500mm/s、600mm/s、700mm/s、800mm/s、900mm/s、1メートル/秒(m/s)、2m/s、3m/s、4m/s、5m/s、6m/s、7m/s、8m/s、9m/s、10m/s、20m/s、30m/s、40m/s、50m/s、60m/s、70m/s、80m/s、90m/s、100m/s、200m/s、300m/s、400m/s、500m/s、600m/s、700m/s、800m/s、900m/s、1,000m/s、又はそれ以上の速度で移動するとき、ぼけアーチファクトがなくてもよい。
【0078】
[00146] 1つ又は複数のイメージは、粒子が、パターン化された光学構造に対して最大で約1,000m/s、900m/s、800m/s、700m/s、600m/s、500m/s、400m/s、300m/s、200m/s、100m/s、90m/s、80m/s、70m/s、60m/s、50m/s、40m/s、30m/s、20m/s、10m/s、9m/s、8m/s、7m/s、6m/s、5m/s、4m/s、3m/s、2m/s、1m/s、900mm/s、800mm/s、700mm/s、600mm/s、500mm/s、400mm/s、300mm/s、200mm/s、100mm/s、90mm/s、80mm/s、70mm/s、60mm/s、50mm/s、40mm/s、30mm/s、20mm/s、10mm/s、9mm/s、8mm/s、7mm/s、6mm/s、5mm/s、4mm/s、3mm/s、2mm/s、1mm/s、又はそれ以下の速度で移動するとき、ぼけアーチファクトがなくてもよい。粒子が、パターン化された光学構造に対して、前述の値のうちの任意の2つによって定義される範囲内にある速度で移動するとき、1つ又は複数のイメージは、ぼけた物品を含まなくてもよい。
【0079】
[00147] 方法100は、粒子の少なくともサブセットを、選別された粒子の1つ又は複数のグループに選別するステップをさらに含むことができる。例えば、本方法は、粒子の形態に基づいて、粒子を1つ又は複数のグループの選別された粒子に選別するステップを更に含んでもよい。粒子(例えば、細胞)は、1つ又は複数のアクチュエータ(例えば、圧電ユニット)を作動させて、1つ又は複数の粒子、又は1つ又は複数の粒子を含む流体流を、例えば、1つのチャネルから別のチャネルへと方向付けるか又は方向転換させることによって、識別及び分離、単離、又は選別され得る。そのような1つ又は複数のアクチュエータは、例えば、流体又は圧力パルスを(例えば、超音波信号を介して)提供してもよい。
【0080】
[00148] 粒子(例えば細胞)は、少なくとも約1粒子/秒、2粒子/秒、3粒子/秒、4粒子/秒、5粒子/秒、6粒子/秒、7粒子/秒、8粒子/秒、9粒子/秒、10粒子/秒、20粒子/秒、30粒子/秒、40粒子/秒、50粒子/秒、60粒子/秒、70粒子/秒、80粒子/秒、90粒子/秒、100粒子/秒、200粒子/秒、300粒子/秒、400粒子/秒、500粒子/秒、600粒子/秒、700粒子/秒、800粒子/秒、900粒子/秒、1,000粒子/秒、2,000粒子/秒、3,000粒子/秒、4,000粒子/秒、5,000粒子/秒、6,000粒子/秒、7,000粒子/秒、8,000粒子/秒、9,000粒子/秒、10,000粒子/秒、20,000粒子/秒、30,000粒子/秒、40,000粒子/秒、50,000粒子/秒、60,000粒子/秒、70,000粒子/秒、80,000粒子/秒、90,000粒子/秒、100,000粒子/秒、200,000粒子/秒、300,000粒子/秒、400,000粒子/秒、500,000粒子/秒、600,000粒子/秒、700,000粒子/秒、800,000粒子/秒、900,000粒子/秒、1,000,000粒子/秒、又はそれ以上の速度で、識別及び分離、単離、又は選別され得る。
【0081】
[00149] 粒子(例えば細胞)は、最大で約1,000,000粒子/秒、900,000粒子/秒、800,000粒子/秒、700,000粒子/秒、600,000粒子/秒、500,000粒子/秒、400,000粒子/秒、300,000粒子/秒、200,000粒子/秒、100,000粒子/秒、90,000粒子/秒、80,000粒子/秒、70,000粒子/秒、60,000粒子/秒、50,000粒子/秒、40,000粒子/秒、30,000粒子/秒、20,000粒子/秒、10,000粒子/秒、9,000粒子/秒、8,000粒子/秒、7,000粒子/秒、6,000粒子/秒、5,000粒子/秒、4,000粒子/秒、3,000粒子/秒、2,000粒子/秒、1,000粒子/秒、900粒子/秒、800粒子/秒、700粒子/秒、600粒子/秒、500粒子/秒、400粒子/秒、300粒子/秒、200粒子/秒、100粒子/秒、90粒子/秒、80粒子/秒、70粒子/秒、60粒子/秒、50粒子/秒、40粒子/秒、30粒子/秒、20粒子/秒、10粒子/秒、9粒子/秒、8粒子/秒、7粒子/秒、6粒子/秒、5粒子/秒、4粒子/秒、3粒子/秒、2粒子/秒、1粒子/秒、又はそれ以下の速度で、識別及び分離、単離、又は選別され得る。粒子(例えば、細胞)は、識別及び分離、単離、又は選別され得、前述の値のうちの任意の2つによって定義される範囲内にある速度で達成され得る。
【0082】
[00150] 方法100は、選別された粒子のグループのうちの1つ又は複数を収集して、濃縮された粒子混合物を生成するステップをさらに含むことができる。選別された粒子のグループのうちの1つ又は複数は、少なくとも約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.91%、99.92%、99.93%、99.94%、99.95%、99.96%、99.97%、99.98%、99.99%、又はそれ以上の純度を有し得る。
【0083】
[00151] 選別された粒子のグループのうちの1つ又は複数は、最大で約99.99%、99.98%、99.97%、99.96%、99.95%、99.94%、99.93%、99.92%、99.91%、99.9%、99.8%、99.7%、99.6%、99.5%、99.4%、99.3%、99.2%、99.2%、99.1%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、60%、又はそれ以下の純度を有し得る。選別された粒子のグループのうちの1つ又は複数は、前述の値のうちの任意の2つによって定義される範囲内にある純度を有してもよい。
【0084】
[00152] 方法100は、選別された粒子の1つ又は複数のグループからの1つ又は複数の粒子を1つ又は複数のアッセイに供するステップをさらに含むことができる。1つ又は複数のアッセイは、溶解、核酸抽出、核酸増幅、核酸配列決定、及びタンパク質配列決定から成る群から選択される1つ又は複数のメンバーを含み得る。
【0085】
[00153] 方法100は、粒子を流体力学的流れ集束に供するステップをさらに含み得る。粒子は、動作110の前に、動作110の間に、動作110の後に、動作120の前に、動作120の間に、動作120の後に、動作130の前に、動作130の間に、及び/又は動作130の後に、流体力学的流れ集束を受けてもよい。
【0086】
[00154] 方法100は、粒子が、パターン化された光学構造に対して移動するときに、粒子の部分透過スペックルパターンを収集するステップをさらに含むことができる。スペックルパターンは、パターン化された光学構造を通過した光の回折によって生成され得る。例えば、コヒーレント光は、パターン化された光学構造と相互作用して、構造化照明を生成することができ、これは、対物レンズの焦点に方向付けることができる。合焦後、コヒーレント光は広がり、回折によりスペックルパターンを生成する。焦点から離れたかなりの長さで、スペックルパターンは、スペックルパターンの第1の部分が遮断され得る一方でスペックルパターンの第2の部分が透過されるのに十分な大きさであり得る。そのような遮断は、例えば、虹彩(iris)を使用して実施され得る。元のスペックルパターンのこの小さい部分は、本明細書に記載の任意の検出器を使用して検出することができる。細胞粒子が構造化照明を通過するとき、透過光の位相及び強度の変化は、スペックルパターンの変化をもたらす可能性があり、これは、検出器で検出される光の強度の変化を引き起こす可能性がある。検出された信号の変調から、粒子の位相及び/又は強度情報を取得することができる。
【0087】
[00155] 本明細書に記載されるシステム及び方法は、種々の治療用途で使用されてもよい。
【0088】
[00156] 場合によっては、方法100は、複数の細胞から1つ又は複数の標的細胞を識別するために利用され得る。複数の細胞から1つ又は複数の標的細胞を識別するための方法は、方法100の動作110、120、及び130のうちの1つ又は複数のうちのいずれかなど、本明細書で説明する方法100の任意の1つ又は複数の動作を含み得る。例えば、複数の細胞から1つ又は複数の標的細胞を識別するための方法は、(a)(例えば、方法100の動作110に関して本明細書で説明されるように)パターン化された光学構造に対する複数の細胞の運動から空間情報を取得するステップと、(b)空間情報を使用して複数の細胞から1つ又は複数の標的細胞を識別するステップとを含んでもよい。
【0089】
[00157] 複数の細胞から1つ又は複数の標的細胞を識別するために空間情報を使用するステップは、(例えば、方法100の動作130に関して本明細書で説明したように)1つ又は複数の標的細胞を分析するために空間情報を使用するステップを含み得る。例えば、粒子の形態は、本明細書に記載されるように(例えば、図1Aに関して)、パターン化された光学構造によって付与される1つ又は複数の光強度分布を含む1つ又は複数の時間波形の組み合わせ使用によって少なくとも部分的にコンピュータ的に再構成され得る。
【0090】
[00158] 複数の細胞から1つ又は複数の標的細胞を識別するために空間情報を使用するステップは、複数の細胞から標的細胞を識別するために1つ又は複数の機械学習分類器を適用するステップを含み得る。1つ又は複数の機械学習分類器は、本明細書で説明される任意の機械学習分類器を備え得る。1つ又は複数の機械学習分類器は、空間情報(又は空間情報に関連付けられた信号)を利用して、標的細胞を識別することができる。例えば、1つ又は複数の機械学習分類器は、方法100に関して本明細書で説明したように、空間情報に(又は空間情報に関連する信号に)適用され得る。
【0091】
[00159] 1つ又は複数の機械学習分類器は、空間情報から(又は空間情報に関連付けられた信号から)直接、複数の細胞の(又は標的細胞の)識別を学習するように訓練され得る。したがって、複数の細胞(又は標的細胞)は、イメージ再構成なしに分析され得る。
【0092】
[00160] 代わりに、又は組み合わせて、1つ又は複数の機械学習分類器は、空間情報から(又は空間情報と関連付けられた信号から)再構成される1つ又は複数のイメージから、複数の細胞の(又は標的細胞の)識別を学習するように訓練されてもよい。したがって、1つ又は複数の標的細胞を識別するために信号を使用するステップは、複数の細胞(又は標的細胞)の1つ又は複数のイメージを再構成するステップをさらに含むことができる。複数の細胞(又は標的細胞)は、再構成されたイメージに基づいて分析され得る。1つ又は複数のイメージは、(例えば、方法100に関して)本明細書で説明する任意のイメージを備え得る。
【0093】
[00161] 空間情報は、複数の細胞に関する特徴、特性、又は情報に対応し得る。空間情報は、複数の細胞に関する特徴、特性、又は情報と1対1に対応し得る。複数の細胞に関する特徴、特性、又は情報は、以下から成る群から選択される1つ又は複数のメンバーを含み得る:代謝状態、増殖状態、分化状態、成熟状態、マーカータンパク質の発現、マーカー遺伝子の発現、細胞の形態、細胞小器官の形態、細胞小器官の位置、細胞小器官の大きさ又は範囲、細胞質の形態、細胞質の位置、細胞質の大きさ又は範囲、核の形態、核の位置、核の大きさ又は範囲、ミトコンドリアの形態、ミトコンドリアの配置、ミトコンドリアの大きさ又は範囲、リソソームの形態、リゾチームの配置、リゾチームの大きさ又は範囲、細胞内分子の分布、細胞内ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質の分布、細胞内核酸の分布、細胞内糖類又は多糖類の分布、及び細胞内脂質の分布。
【0094】
[00162] 1つ又は複数の標的細胞を単離するために信号を使用するステップは、本明細書に記載されるように(例えば、方法100又は図5A、5B、5C、12A、12B、12C、12D、及び14のいずれかに関して)、複数の細胞の形態に基づいて、複数の細胞を1つ又は複数のグループの選別された細胞に選別するステップをさらに含んでもよい。1つ又は複数のグループの選別された細胞は、標的細胞を含み得る。
【0095】
[00163] 1つ又は複数の標的細胞を単離するために信号を使用するステップは、本明細書に記載されるように(例えば、方法100又は図5A、5B、及び5Cのいずれかに関して)、1つ又は複数のグループの選別された細胞を収集して、濃縮された細胞混合物を生成するステップをさらに含んでもよい。
【0096】
[00164] 空間情報は、方法100に関して本明細書で説明するように、検出器に順次到達する信号に圧縮変換され得る。
【0097】
[00165] 1つ又は複数の標的細胞は、空間情報(又は空間情報に関連する信号)に基づいて複数の細胞から単離され得る。1つ又は複数の標的細胞を単離するステップは、(i)空間情報(又は空間情報に関連する信号)を使用して複数の細胞を分析するステップと、(ii)複数の細胞を分析した結果に基づいて複数の細胞を1つ又は複数のグループの選別された細胞に選別するステップと、(iii)1つ又は複数のグループの選別された細胞から1つ又は複数の標的細胞を収集するステップとを含むことができる。
【0098】
[00166] 複数の細胞から1つ又は複数の標的細胞を単離するために空間情報(又は空間情報に関連付けられた信号)を使用するステップは、(例えば、方法100の動作130に関して本明細書で説明したように)1つ又は複数の標的細胞を分析するために空間情報(又は空間情報に関連付けられた信号)を使用するステップを備え得る。例えば、粒子の形態は、本明細書に記載されるように(例えば、図1Aに関して)、パターン化された光学構造によって付与される1つ又は複数の光強度分布を含む1つ又は複数の時間波形の組み合わせ使用によって少なくとも部分的にコンピュータ的に再構成され得る。
【0099】
[00167] 複数の細胞から1つ又は複数の標的細胞を単離するために空間情報(又は空間情報に関連付けられた信号)を使用するステップは、(例えば、方法100に関して)本明細書で説明するように、空間情報に(又は空間情報に関連付けられた信号に)対応する1つ又は複数の時間波形又は圧縮された時間波形に1つ又は複数の機械学習分類器を適用するステップを含み得る。
【0100】
[00168] 空間情報(又は空間情報に関連付けられた信号)を使用して1つ又は複数の標的細胞を単離するステップは、複数の細胞を分析した結果に基づいて、複数の細胞を1つ又は複数のグループの選別された細胞に選別するステップをさらに含むことができる。例えば、1つ又は複数のグループの選別された細胞は、本明細書に記載されるように(例えば、方法100又は図5A、5B、5C、12A、12B、12C、12D、及び14のいずれかに関して)、複数の細胞の形態に基づいてもよい。1つ又は複数のグループの選別された細胞は、標的細胞を含み得る。
【0101】
[00169] 1つ又は複数の標的細胞を単離するために空間情報(又は空間情報に関連する信号)を使用するステップは、1つ又は複数のグループの選別された細胞から1つ又は複数の標的細胞を収集するステップをさらに含むことができる。例えば、1つ又は複数のグループの選別された細胞は、本明細書に記載されるように(例えば、方法100又は図5A、5B、及び5Cのいずれかに関して)、濃縮された細胞混合物を生成するために収集され得る。
【0102】
[00170] 標的細胞は、1つ又は複数の治療用細胞を含み得る。標的細胞は、幹細胞、間葉系幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞から分化した細胞、胚性幹細胞から分化した細胞、遺伝子操作された細胞、血液細胞、赤血球、白血球、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、キメラ抗原受容体T細胞、キメラ抗原受容体ナチュラルキラー細胞、癌細胞、及び芽細胞から成る群から選択される1つ又は複数のメンバーであり得る。
【0103】
[00171] 別の態様では、本開示は、少なくとも80%又はそれ以上の精度で非天然標識を使用することなく、粒子の形態に少なくとも部分的に基づいて粒子を分類又は選別するためのイメージフリーの方法を提供する。
【0104】
[00172] 図1Cは、粒子を分類又は選別するためのイメージフリー光学的方法150の一例のフローチャートを示す。第1の動作160において、方法150は、非天然標識を使用せずに、粒子の形態に少なくとも部分的に基づいて粒子を分類又は選別するステップを含み得る。動作160は、本明細書で説明する動作110、120、及び130のうちの任意の1つ又は複数など、本明細書で説明する方法100の動作のうちの任意の1つ又は複数を備え得る。
【0105】
[00173] 本明細書で提供される方法100又は150に基づく多くの変形、変更、及び適合が可能である。例えば、方法100又は150の動作の順序は、必要に応じて、変更されてもよく、動作のうちのいくつかは除去されてもよく、動作のうちのいくつかは複製されてもよく、追加の動作が追加されてもよい。動作のうちのいくつかは、連続して実施されてもよい。動作のうちのいくつかは、並列に実施され得る。動作のうちのいくつかは、1回実施され得る。動作のうちのいくつかは、2回以上実施され得る。動作のうちのいくつかは、サブ動作を含むことができる。動作のうちのいくつかは自動化されてもよく、動作のうちのいくつかは手動であってもよい。
【0106】
[00174] 別の態様では、本開示は、粒子分析のためのシステムを提供する。システムは、粒子を方向付けるように構成された流体流路を備えることができる。システムは、流体流路の少なくとも一部と感知通信する検出器と、検出器に動作可能に結合された1つ又は複数のコンピュータプロセッサとをさらに備えることができる。1つ又は複数のコンピュータプロセッサは、本明細書で説明される方法100又は150を実施するように個々に又はまとめてプログラムされ得る。例えば、1つ又は複数のコンピュータプロセッサは、(i)ランダムに又は擬似ランダムにパターン化された光学構造に対する粒子の運動から空間情報を取得し、(ii)空間情報を検出器に順次到達する信号に圧縮変換し、(iii)信号を使用して粒子を分析するように、個々に又はまとめてプログラムすることができる。いくつかの実施形態では、検出器はマルチピクセル検出器である。あるいは、検出器は単一ピクセル検出器であってもよい。
【0107】
コンピュータシステム
[00175] 本開示は、開示の方法及びシステムを実施するようにプログラムされたコンピュータシステムを提供する。図13は、中央処理装置(CPU、本明細書では「プロセッサ」及び「コンピュータプロセッサ」とも呼ばれる)1305を含むコンピュータシステム1301を示し、中央処理装置は、シングルコア又はマルチコアプロセッサ、又は並列処理のための複数のプロセッサとすることができる。コンピュータシステム1301はまた、メモリ又はメモリ位置1310(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置1315(例えば、ハードディスク)、1つ又は複数の他のシステムと通信するための通信インターフェース1320(例えば、ネットワークアダプタ)、並びにキャッシュ、他のメモリ、データストレージ及び/又は電子ディスプレイアダプタなどの周辺デバイス1325を含む。メモリ1310、記憶装置1315、インターフェース1320、及び周辺デバイス1325は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU1305と通信する。記憶装置1315は、データを記憶するためのデータ記憶装置(又はデータリポジトリ)であり得る。コンピュータシステム1301は、通信インターフェース1320の助けを借りてコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)1330に動作可能に結合することができる。ネットワーク1330は、インターネット、インターネット及び/又はエクストラネット、又はインターネットと通信するイントラネット及び/又はエクストラネットとすることができる。ネットワーク1330は、場合によっては、電気通信及び/又はデータネットワークである。ネットワーク1330は、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にすることができる1つ又は複数のコンピュータサーバを含むことができる。ネットワーク1330は、場合によってはコンピュータシステム1301の助けを借りて、コンピュータシステム1301に結合されたデバイスがクライアント又はサーバとして動作することを可能にし得るピアツーピアネットワークを実装することができる。
【0108】
[00176] CPU1305は、プログラム又はソフトウェアで具現化することができる機械可読命令のシーケンスを実行することができる。命令は、メモリ1310などのメモリ位置に記憶され得る。命令は、CPU1305に向けられることができ、CPU1305は、その後、本開示の方法を実施するようにCPU1305をプログラムするか、又はそうでなければ構成することができる。CPU1305によって実施される動作の例は、フェッチ、デコード、実行、及びライトバックを含むことができる。
【0109】
[00177] CPU1305は、集積回路などの回路の一部とすることができる。システム1301の1つ又は複数の他の構成要素は、回路に含まれ得る。場合によっては、回路は特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0110】
[00178] 記憶装置1315は、ドライバ、ライブラリ、及び保存されたプログラムなどのファイルを記憶することができる。記憶装置1315は、ユーザデータ、例えば、ユーザ選好及びユーザプログラムを記憶することができる。コンピュータシステム1301は、場合によっては、イントラネット又はインターネットを介してコンピュータシステム1301と通信するリモートサーバ上に配置されるなど、コンピュータシステム1301の外部にある1つ又は複数の追加のデータ記憶装置を含むことができる。
【0111】
[00179] コンピュータシステム1301は、ネットワーク1330を介して1つ又は複数のリモートコンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム1301は、ユーザのリモートコンピュータシステムと通信することができる。リモートコンピュータシステムの例は、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、スレート又はタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad(登録商標)、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone(登録商標)、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))、又は携帯情報端末を含む。ユーザは、ネットワーク1330を介してコンピュータシステム1301にアクセスすることができる。
【0112】
[00180] 本明細書に記載される方法(例えば、本明細書に記載される、粒子分析のための1つ又は複数の方法、イメージフリー光学的方法、又は複数の細胞から1つ又は複数の標的細胞を識別するための方法)は、コンピュータシステム1301の電子記憶位置、例えば、メモリ1310又は電子記憶装置1315など、に記憶された機械(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実施され得る。機械実行可能コード又は機械可読コードは、ソフトウェアの形態で提供することができる。使用中、コードは、プロセッサ1305によって実行され得る。場合によっては、コードは、記憶装置1315から取り出され、プロセッサ1305による容易なアクセスのためにメモリ1310上に記憶され得る。いくつかの状況では、電子記憶装置1315を除外することができ、機械実行可能命令がメモリ1310に記憶される。
【0113】
[00181] コードは、コードを実行するように適合されたプロセッサを有する機械とともに使用するために事前にコンパイルされ、構成され得るか、又はランタイム中にコンパイルされ得る。コードは、コードが事前コンパイルされた形又はコンパイルされたままの形で実行できるように選択することができるプログラミング言語で供給することができる。
【0114】
[00182] コンピュータシステム1301などの、本明細書で提供されるシステム及び方法の態様は、プログラミングにおいて具現化され得る。本技術の様々な態様は、典型的には、あるタイプの機械可読媒体上で搬送されるか又はその中で具現化される機械(又はプロセッサ)実行可能コード及び/又は関連データの形態の「製品」又は「製造品」と考えられ得る。機械実行可能コードは、メモリ(例えば、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)又はハードディスクなどの電子記憶装置に記憶することができる。「ストレージ」タイプの媒体は、コンピュータ、プロセッサなどの有形メモリ、又は、ソフトウェアプログラミングのためにいつでも非一時的ストレージを提供することができる、様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどその関連モジュールのいずれか又はすべてを含むことができる。ソフトウェアのすべて又は一部は、インターネット又は様々な他の電気通信ネットワークを介して通信されることがある。そのような通信は、例えば、1つのコンピュータ又はプロセッサから別のコンピュータ又はプロセッサへの、例えば、管理サーバ又はホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームへのソフトウェアのロードを可能にし得る。したがって、ソフトウェア要素を担持し得る別のタイプの媒体は、有線及び光固定ネットワークを通して、並びに様々なエアリンクを介して、ローカルデバイス間の物理インターフェースにわたって使用されるような、光、電気、及び電磁波を含む。有線又は無線リンク、光リンクなど、そのような波を搬送する物理素子も、ソフトウェアを担持する媒体と見なすことができる。本明細書で使用される場合、非一時的有形「記憶」媒体に限定されない限り、コンピュータ又は機械「可読媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。
【0115】
[00183] したがって、コンピュータ実行可能コードなどの機械可読媒体は、有形記憶媒体、搬送波媒体又は物理伝送媒体を含むが、それらに限定されない、多くの形態をとり得る。不揮発性記憶媒体は、例えば、図面に示されるデータベース等を実装するために使用され得るような、任意のコンピュータ等における任意の記憶デバイス等の光ディスク又は磁気ディスクを含む。揮発性記憶媒体は、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどの動的メモリを含む。有形の伝送媒体は、コンピュータシステム内のバスを備えるワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバを含む。搬送波伝送媒体は、電気信号若しくは電磁信号、又は無線周波数(RF)データ通信及び赤外線(IR)データ通信中に生成されるものなどの音響波若しくは光波の形態をとることができる。したがって、コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVD又はDVD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード紙テープ、ホールのパターンを有する任意の他の物理記憶媒体、RAM、ROM、PROM及びEPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、任意の他のメモリチップ又はカートリッジ、データ又は命令を搬送する搬送波、そのような搬送波を搬送するケーブル又はリンク、あるいはコンピュータがプログラミングコード及び/又はデータを読み取ることができる任意の他の媒体を含む。コンピュータ可読媒体のこれらの形態の多くは、実行のために1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスをプロセッサに搬送することに関与し得る。
【0116】
[00184] コンピュータシステム1301は、例えば、ユーザに情報を提供するためのユーザインターフェース(UI)1340を備える電子ディスプレイ1335を含むか、又はそれと通信することができる。UIの例としては、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)及びウェブベースのユーザインターフェースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
[00185] 本開示の方法及びシステムは、1つ又は複数のアルゴリズム(例えば、粒子分析のための1つ又は複数の方法、イメージフリーの光学的方法、又は本明細書中に記載される複数の細胞から1つ又は複数の標的細胞を識別するための方法に対応する1つ又は複数のアルゴリズム)によって実施され得る。アルゴリズムは、中央処理装置1305による実行時にソフトウェアによって実施することができる。
【0118】
[00186] 方法及びシステムは、例えば、WO2016136801及びWO2017073737などの、他の方法及びシステムと組み合わされてもよく、又は他の方法及びシステムによって修正されてもよく、これらのそれぞれは、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0119】
実施例
実施例1:材料及び方法
[00187] 本研究で使用した全ての光電子増倍管は、Hamamatsu Photonics Inc.から購入した。図2、3B及び3Cでは、PMT信号は、オシロスコープ(8ビット、1GHz、Tektronix)を使用して10オーム抵抗を使用して記録された。増幅器(H10723-210MOD2)を内蔵した10MHzの帯域幅を有するPMTを青色及び緑色信号の検出に使用し、電流増幅器(HCA-40M-100K-C,FEMTO)に接続された別のPMT(7422-40)を赤色信号の検出に使用した。
【0120】
[00188] 図3D、4、及び5では、PMT信号は、デジタイザ(M4i.4451又はM2i.4932-Expa、Spectrum、Germany)又はアナログ/デジタルコンバータ(ADC、部分的に修正された、Texas Instruments、AD11445EVM)を有するFPGA開発ボード(TR4、Terasic)を使用して、電子フィルタを用いて記録された。デジタイザ及び/又はFPGAは、緑色信号に適用される固定トリガ条件を用いて、各色チャネルから同時に固定長の信号セグメントを連続的に収集した。
【0121】
[00189] 図17A~E、図18A~F、及び図19A~19Dでは、内蔵増幅器(H10723-210mOD2)を有する10MHzの帯域幅を有するPMTを使用してGC信号を検出し、一方、1MHz(H10723-210mOD3)又は10MHz(H10723-210mOD2)の帯域幅を有するPMTを使用して蛍光及び側方散乱(SSC)信号を検出した。前方散乱(FSC)信号は、光検出器(PDA100A又はPDA100A2、Thorlabs)を使用して取得された。PMT信号は、デジタイザ(M4i.4451又はM2i.4932-Expa、Spectrum、ドイツ)又はアナログ/デジタルコンバータ(部分的に修正された、Texas Instrument、AD11445EVM)を有するFPGA開発ボード(TR4、Terasic)を使用して電子フィルタで記録された。デジタイザ及び/又はFPGAは、緑色信号に適用される固定トリガ条件を用いて、各色チャネルから同時に固定長の信号セグメントを連続的に収集した。
【0122】
[00190] TwIST手順(13)を使用して以下の最適化問題を解くことによって、式(1)に規定されるように、GCを使用して測定された時間信号から物体のイメージを再構成した。
【0123】
【数2】
【0124】
ここで、gは、測定された時間信号のベクトルであり、H(x、y)は、GCのシステム行列であり、iは、入力物体イメージlから再形成されたベクトルであり、Rは、スパース性を有する正則化項であり、τは、正則化のための定数である。
【0125】
【数3】
【0126】
【0127】
【数4】
【0128】
ノルムを表す。CSでは、イメージ物体は、正則化空間においてスパースであり得、式(1)に示されるランダム化畳み込み測定プロセスとインコヒーレントである(32)。
【0129】
[00191] 図3Cのパネル(i)におけるイメージを再構成する際に、ウェーブレット変換が、正則化項としてFejer-Korovkinスケーリングフィルタを用いて選択された(33)。他のイメージを再構成する際に、全変動(total variation)が正則化項として選択された(34)。2次元の全変動RTVは次のように書かれる。
【0130】
【数5】
【0131】
全変動は、物体のイメージ内のエッジを保存しながら滑らかさを向上させる。TwISTは、ウェーブレット変換又は全変動を用いて符号化する。
【0132】
[00192] 図3Cのパネル(iv)における再構成されたイメージIは、ピーク信号対雑音比(PSNR)に基づいて、アレイピクセルカラーカメラによって撮影された図3Cのパネル(v)におけるベースラインイメージI’を用いて評価された。PSNRは以下のように計算される。
【0133】
【数6】
【0134】
ここで、MAX(I’)はI’における最大ピクセル強度であり、MSE(I、I’)はIとI’との間の平均二乗誤差である。より大きなPSNRは、より良好な再構成を意味し、その最大値は無限大である。
【0135】
[00193] 全ての試薬は、特に明記しない限り、Wako、Sigma-Aldrich又はInvitrogenのいずれかから購入した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液には、D-PBS(-)(Wako)を用いた。
【0136】
[00194] Stem Fit AK02N(Ajinomoto)を、すべてのサプリメントとともに、10μMのY-27632(Wako)及び0.25μg/cmのiMatrix-511シルク(Nippi)とともに、人工多能性幹細胞(iPSC)培養培地として使用した。サプリメントCを含まず、10μMのSB431542(Wako)及び10μMのDMH(Wako)を含むStem Fit AK02Nを、神経前駆細胞(NPC)分化培地として使用した。サプリメントCを含まず、10ng/mLアクチビンA(Wako)及び3μM CHIR99021(Wako)を含むStem Fit AK02Nを、内胚葉分化培地として使用した。20%Stemsure Serum Replacement(Wako)、1%L-アラニルL-グルタミン溶液(Nacalai Tesque)、1%モノチオグリセロール溶液(Wako)、1%MEM非必須アミノ酸溶液(Nacalai Tesque)及び1%DMSO(Sigma-Aldrich)を含むStemsure DMEM(Wako)を肝芽細胞分化培地として使用した。
【0137】
[00195]mCF-7及びMIA PaCa-2細胞は、RIKEN BRC CELL BANKから購入した。末梢血単核細胞(PBMC)はAstarte Biologics,Inc.から購入した。Jurkat細胞、Y-79網膜芽細胞腫細胞、及びRaji細胞は、JCRBから購入した。T細胞はProMabから購入した。iPSCは以前に報告されたように調製し、Coriell Institute(GM25256)から購入することができる。
【0138】
[00196]mIA PaCa-2細胞を、L-グルタミン、フェノールレッド及び10%FBSを含むピルビン酸ナトリウム(Wako)を含むD-MEM(高グルコース)中で培養した。Jurkat細胞及びRaji細胞を、それぞれ10%及び20%FBSを含むL-グルタミン及びフェノールレッド(Wako)を含むRPMI-1640中で培養した。Y-79細胞を、20%FBSを含むRPMI1640培地(Gibco)中で培養した。
【0139】
[00197] NPCを以下の手順でiPSCから分化させた。iPSCをiPS培養培地中に2,500細胞/cmで播種した(0日目)。1日目に、培地をNPC分化培地に交換した。3日目及び5日目に培地を同じ培地に交換した。6日目に、90%を超える細胞がPAX6陽性NPCであった。
【0140】
[00198] 肝芽細胞を以下の手順でiPSCから分化させた。iPSCをiPS培養培地中に2,500細胞/cmで播種した(0日目)。1日目に、培地を内胚葉分化培地に交換した。3日目に、培地を同じ培地に交換した。5日目に、培地を肝芽細胞分化培地に交換し、培地を7日目と9日目に同じ培地に交換した。10日目に、細胞は免疫染色試験下でAFP陽性を示した。
【0141】
[00199]mIA PaCa-2細胞を、トリプシンを用いて培養フラスコから分離した。培養フラスコからJurkat細胞をピペッティングにより取り出した。PBS溶液で洗浄後、各々の型の細胞を4%パラホルムアルデヒドPBS溶液(Wako)で15分間固定した。その後、細胞をPBS溶液で洗浄した。Jurkat細胞にFITCマウス抗ヒトCD45(BD Biosciences)を添加して30分間培養した。染色したJurkat細胞をPBS溶液で洗浄した。次に、各々の型の細胞を混合して、選別システムに流した。
【0142】
[00200] iPSC、T細胞、又はraji細胞のいずれかを各実験に使用した。分離する前に、iPSCのための培養培地を、PBS溶液中の0.5mM EDTAに交換し、3分間培養した。次いで、培地をiPSC培養培地に戻し、細胞スクレーパーを使用して細胞を剥離した。培養フラスコからT細胞及びraji細胞をピペッティングにより取り出した。結合緩衝液で洗浄した後、細胞をPI(医学生物学研究所)及びアネキシンV-FITC(医学生物学研究所)で15分間染色し、次いで洗浄せずに系に流した。細胞を最初にFSC-SSC散布図を用いてゲートしてデブリを除去し、次いでFSC高さ対幅散布図を用いてゲートしてダブレットを除去した。ゲートされた細胞をさらにゲートし、PI及びアネキシンV-FITCの蛍光強度に従って、生細胞、死細胞又はアポトーシス細胞として標識した。同数の未分化細胞及び分化細胞を用いてランダムに(重複なしで)それぞれ選択された1,000個の細胞を、訓練データ及び試験データとして使用した。
【0143】
[00201] iPSC、NPC、及び肝芽細胞をそれぞれ、細胞スクレーパーを使用して培養フラスコから分離した。緩衝液(1%FBS、X%EDTA in D-PBS)で洗浄後、カルセイン AM(Dojindo)、rBC2LCN-635(Wako)で染色し、緩衝液で洗浄した。未分化細胞(iPSC)及び分化細胞(NPC又は肝芽細胞)の分類のために、各細胞を等しい濃度で混合した。混合懸濁液をiSGCシステムに流した。細胞を最初にFSC-SSC散布図を用いてゲートして死細胞及びデブリを除去し、次いでFSC高さ対幅散布図を用いてゲートしてダブレットを除去し、再びFSC-カルセインAM散布図を用いてゲートして残りの死細胞を除去した。ゲートされた細胞をさらにゲートし、rBC2LCN-635及びカルセインAMの蛍光強度に従って未分化細胞又は分化細胞として標識した。同数の未分化細胞及び分化細胞を用いてランダムに(重複なしで)選択した5,000個及び1,000個の細胞を、それぞれ訓練データ及び試験データとして使用した。
【0144】
[00202] 細胞を、石英フローセル(Hamamatsu)又はPDMSマイクロ流体デバイスのいずれかを通して、シース流体のためのカスタマイズされた圧力ポンプ(IsoFlow、Beckman Coulter)及びサンプル流体のためのシリンジポンプ(KD Scientific)を使用して流した。石英フローセルは、測定位置におけるチャネル断面寸法が250μm×500μmであり、これを使用する場合、シースフローは、特に明記しない限り、約25kPaの圧力で駆動された。PDMSデバイスは、測定位置で50×50μmのチャネル断面寸法を有し、これを使用する場合、シースフローは、特に明記しない限り、約170kPaの圧力で駆動された。サンプル流体は、特に明記しない限り、20μL/分の流量で駆動した。
【0145】
[00203] 細胞染色前に、細胞計数チップを用いて、細胞数を1試験あたり約8×10細胞となるように調整した。染色後、細胞の濃度を調整して、PBS中約1×10細胞/mLの細胞懸濁液を調製した。MCF-7細胞を複数の色で染色した場合(図3Bから5に示されるように)、それらの膜を、まず、100μLの、PBS中0.5%BSA、次いで5μLのPE-CF594-EpCAM抗体溶液を添加することによって、PE-CF594-EpCAM(BD、PE-CF594マウス抗ヒトCD326抗体)で標識し、続いて室温で15分間培養した。ホルムアルデヒドを用いて細胞を固定した後、2mLの、PBS中の3-60μM DAPIストック溶液を細胞ペレットに添加し、それらを室温で15分間培養することによって、細胞の核をDAPI(Invitrogen,DAPI核酸染色)で標識した。細胞をPBSで厳密に洗浄した後、200μLの、PBS中1%Tween20、次いで5μLのFG蛍光反応性色素溶液を細胞ペレットに添加することによって、細胞質を最終的にFG(Thermo Fisher Scientific、LIVE/DEAD(登録商標)Fixable Green Dead Cell Stain Kit、488nm波長励起用)で標識し、室温で1時間超培養した。細胞イメージングのために、細胞懸濁液を一対のカバースライドの間に挟んで細胞の位置を固定し、0.2mm/sの一定速度で所望の方向に細胞を移動させるための電子ステージ(Sigma Koki,Japan)上にサンプルを載せた。
【0146】
[00204] 図4C~4Eに示されるイメージフリーGC分析実験では、全てのMCF-7、MIA PaCa-2細胞及びPBMCの細胞質を、FGを用いて緑色で標識した。異なる細胞型間で全蛍光強度が同等になるように、反応時間及び色素濃度が調整された。これにより、正確な分類は形態学的情報によるものであり、総強度によるものではないことが確認された。MCF-7細胞の膜は、ホルムアルデヒドによる固定とその後の室温での2時間の培養後、細胞ペレットに420μLの、PBS中の0.5%BSA及び80μLのBV421-EpCAM抗体溶液を添加することによって、BV421-EpCAM(BV421結合マウス抗ヒトCD326抗体、BD)を使用して青色発光のために標識した。
【0147】
[00205] (図5Bに示されるような)MCF-7細胞及びMIA PaCa-2細胞を分類するイメージフリーGC選別実験において、MCF-7細胞の膜を、上記と同じ様式でBV421-EpCAMを使用して青色発光について標識した。(図5Cに示されるような)MIA PaCa-2細胞及びPBMCを分類する実験において、MIA PaCa-2細胞の細胞質を、一次マウスモノクローナル抗パンサイトケラチンAE1/AE3抗体(Abcam)及び二次AF405結合ロバ抗マウスIgG抗体(Abcam)を使用して青色発光について標識した。この染色は、まず450μLの、PBS中0.5%Tween20及び0.5%BSA、並びに50μLの一次抗体溶液を固定細胞のペレットに添加し、続いて4℃で一晩培養し、次いで490μLの、PBS中0.5%Tween20及び0.5%BSA、並びに10μLの二次抗体溶液を添加し、続いて室温で1時間培養することによって行った。MCF-7、MIA PaCa-2細胞及びPBMCの細胞質を、両実験において上記免疫染色後にFGを用いて緑色で標識した。異なる細胞型間で総蛍光発光強度が同等になるように、反応時間及び色素濃度が調整された。各染色プロセス後に細胞を厳密に洗浄した。
【0148】
[00206] 図4において、モデルを訓練するために、時間波形の訓練データセットを、シリンジポンプ(Harvard)及びカスタマイズされた高圧ポンプを使用して、光学構造を通して各細胞型(MCF-7及びMIA PaCa-2)を別々に流すことによって収集した。過剰適合を回避するために十分に一般化されたモデルを構築することは、訓練されていない信号に対して信頼できる予測を行うための鍵である。この目的のために、外側流体の流量を維持しながら内側流体の流量を変化させることによって様々な時間波形を収集した:内側流量を20μL/分及び30μL/分で変化させ、外側流量を180kPaの圧力で駆動した。モデルを試験する前に、MCF-7及びMIA PaCa-2細胞の混合溶液を異なる濃度比で調製した。モデルを実験的に試験する際、内側流量を20μL/分に維持した。SVMモデルの訓練及び試験を通して、細胞のフローストリームの中心線を同じ位置に維持した。最後に、同じ条件を複合PBMCからの癌細胞検出の実証に適用した。
【0149】
[00207] 全ての信号を、PMTを用いて検出し、ADCボードを用いて収集及び変換し、Pythonを用いて処理した。データセットを準備する際に、流れる単一の物体の波形は、訓練のために記録された信号全体の平均レベルに基づく閾値化によって選択的に収集された。この研究で使用される放射基底関数(RBF)を有するSVMは、以下のスコアリング関数fを計算することによって入力時間信号/波形gの標識を推定する。
【0150】
【数7】
【0151】
[00208] ここで、α(0≦α≦C)及びyは、第j番目の訓練された時間信号gについての訓練された係数及びクラス標識であり、bは、バイアス項であり、γは、カーネルスケールパラメータであり、Nは、訓練された時間信号の数であり、Cは、正則化係数である。C及びγは、グリッド検索によって最適化された。FPGAにおけるハイスループット処理のために、N、及び、gの長さは、生物学的サンプル及び分類目的に応じて、オフラインコンピュータにおいて調整された。
【0152】
[00209] 細胞の分類のために、サポートベクターマシン(SVM)技術は、線形又は放射基底関数カーネルのいずれかを使用した。SVMにおけるハイパーパラメータは、グリッド検索によって調整された。特に明記しない限り、訓練及び検証は、各クラス標識について細胞型の等しい混合物を使用して実施し、精度、ROC曲線、及びROC-AUCは、10回のランダムサンプリングで検証し、10回の試行の平均及び標準偏差で表した。
【0153】
実施例2:ゴーストサイトメトリーの感度の推定
[00210] システム全体について、検出可能なフルオロフォアの最小数は、モデルフルオロフォアがフルオレセイン分子であり、PMTが単一光子を検出することができ、フルオロフォアが光飽和から遠く、ダイクロイックミラー及びバンドパスフィルタによる光損失が無視できるという仮定の下で、以下のように推定することができる。
【0154】
[00211] 検出可能なフルオロフォア分子の最小数は、以下によって与えられる。
【0155】
【数8】
【0156】
[00212] 実験セットアップにおける光子収集の効率は、以下によって与えられる。
【0157】
【数9】
【0158】
[00213] 開口数a=0.75。一群のフルオロフォアがランダムな光学パターンによって規定される単位スポットを通過するときの放出される蛍光光子の数は、Nによって与えられる。フルオロフォアの数は、Nによって与えられる。1分子当たりの光子吸収率は次式で与えられる。
【0159】
【数10】
【0160】
[00214] 入射光子束は次式で与えられる。
【0161】
【数11】
【0162】
[00215] サンプル面における構造化照明の輝点への入射光子束は、fによって与えられる。吸収断面積は次式で与えられる。s=1.5×10-20[m](35).量子効率は次式で与えられる。q=0.95(36).露光時間は次式で与えられる。
【0163】
【数12】
【0164】
[00216] ターンオーバー速度(1/寿命)は次式で与えられる。γ=1/4[1/nsec](37).したがって、理想的な場合には、約3つのフルオロフォア(N~3)が必要とされる。
【0165】
実施例3:運動ベースの圧縮蛍光イメージング
[00217] 図2A~2Gは、運動ベースの圧縮蛍光イメージングの実証を示す。SIモード及びSDモードのための光学セットアップを、それぞれ図2A及び図2Bに示す。蛍光ビーズの凝集体を、電子並進ステージを用いて光学構造を横切ってガラスカバースリップ上で移動させた。図2(c)に示すように、SIモードの場合、ビーズが運動に応じて構造化照明を通過し、蛍光強度の時間波形が生成される。図2Dに示されるように、この取得された時間信号から、2D蛍光イメージがコンピュータ的に再構成される。図2Eに示すように、SDモードの場合、ビーズは均一な光によって照射される。次いで、ビーズの結合蛍光イメージは、構造化ピンホールアレイを通過し、時間波形の生成をもたらす。図2Fに示すように、この時間信号から、2D蛍光イメージがコンピュータ的に再構成される。図2Gは、アレイピクセルカメラを用いて得られた、同じ凝集ビーズの蛍光イメージを示す。
【0166】
[00218] イメージングモードにおけるGCの実験的概念実証として、ガラスカバースリップ上に載せられた蛍光ビーズをイメージングし、電子並進ステージを使用して、ランダム又は擬似ランダムにパターン化された光学構造にわたって移動させた。ビーズは、H(x、y)の列方向に平行な方向に移動する際に焦点が合った状態に保たれた。サンプルの前又は後の光路に、パターン化された光学構造を組み込むことは、数学的に等価である。これは、GCベースのイメージングが、(図2Aに示されるような)ランダム擬似ランダムに構造化された照明、又は(図2Bに示されるような)ランダムな構造化検出のいずれかによって実験的に実現され得ることを意味する。これらの構成は、それぞれ、コンピュータによるゴーストイメージング及び単一ピクセル圧縮イメージングに対応する。SIモードにおける式(1)における符号化演算子H(x、y)は、試料面内の励起強度分布として実験的に測定することができる。他方、SDモードにおける演算子H(x、y)は、サンプル面における励起強度分布と、サンプルと検出器との間の結合面におけるフォトマスクの透過率分布との点に関する積として測定することができる。正確な演算子H(x、y)は、蛍光ポリマーの薄いシートをサンプル面に配置し、空間分解マルチピクセル検出器を用いてその強度分布を測定することによって実験的に較正することができる。インコヒーレントな青色発光ダイオード(LED)を励起光源として使用した。物体の運動中に、PMTは、(SIモード及びSDモードそれぞれに関して図2C及び2Eに示されるように)時間的に変調された蛍光強度として物体から放出された光子を収集した。図2D及び2Fは、各波形について、複数のビーズのコンピュータ的に復元された蛍光イメージを示す。比較のために、図2Gは、アレイ検出器ベースの科学的相補型金属酸化膜半導体(CMOS)カメラを使用して取得されたイメージを示す。ビーズの形態学的特徴は明らかであり、SIモード及びSDモードの両方でのGCイメージングを確認する。
【0167】
実施例4:多色ハイスループット蛍光細胞イメージング
[00219] 図3A~3Dは、GCによる多色及びハイスループット蛍光細胞イメージングの実証を示す。図3Aは、多色運動ベースの圧縮蛍光イメージング(SDモード)のための光学セットアップを示す。このセットアップは、ダイクロイックミラーによって結合された励起光源として、コヒーレントな473nm波長の青色レーザ及びインコヒーレントな375nm波長のUV LEDを利用した(図7)。実験は、それぞれ赤色、緑色及び青色に蛍光染色された膜、細胞質及び核を有する培養MCF-7細胞を使用した。標識された細胞が電子並進ステージで移動すると、それらの結合イメージは光学エンコーダを通過し、時間波形を生成する。次いで、信号を、ダイクロイックミラーを使用して(i)赤色、(ii)緑色、及び(iii)青色の3色チャネルに分割し、異なるPMTによって最終的に記録し、代表的なトレースを図3Bに示す。図3Cに示されるように、各PMTについての時間信号から、標識された細胞の蛍光イメージを、それぞれ赤色(図3Cのパネル(i))、緑色(図3Cのパネル(ii))、及び青色(図3Cのパネル(iii))でコンピュータ的に復元した。図3Cのパネル(iv)は、図3Cのパネル(i)、(ii)、及び(iii)から組み合わされた擬似カラー多色イメージを示す。図3Cのパネル(iv)は、アレイピクセルカラーカメラを使用して取得された多色蛍光イメージを示す。10,000細胞/秒を超えるスループット速度で流れる細胞の多色サブミリ秒蛍光イメージングを図3Dに示す。実験では、488nm波長の青色レーザ及び405nm波長の紫色レーザが回折光学素子を通過して、細胞流に対するランダム構造化照明を生成した。図3Dのパネル(i)及び(ii)は、それぞれ細胞質及び核からの緑色及び青色蛍光信号を示す。各PMTについての時間信号から、標識された細胞の蛍光イメージを、それぞれ緑色(図3Dのパネル(iii))及び青色(図3Dのパネル(iv))でコンピュータ的に復元した。図3Dのパネル(v)は、再構成された多色蛍光イメージを示す。
【0168】
[00220] GC光学系の単純な設計は、複数の光源、誘電体ミラー、及び光学フィルタを追加することにより、図3Aに示すように、単一のフォトマスクを用いた多色蛍光イメージングが可能になることを意味する。細胞イメージングのためのGCを検証するために、MCF-7細胞(乳腺癌に由来するヒト細胞株)を3色で染色した-膜、核、及び細胞質をそれぞれ赤色(EpCAM PE-CF594)、青色(DAPI)、及び緑色(FG:fixable green)色素で染色した。染色した細胞をカバーガラススリップ上に載せた。コヒーレント青色連続波(CW)レーザ及びインコヒーレント紫外(UV)LED光源を、フルオロフォアを励起するために使用した。SDモードを使用し、各励起光源について演算子H(x、y)を実験的に推定した。実験では、カバーガラスを載せたステージを移動させ、各色チャネルからの時間信号を3つのPMTをそれぞれ用いて測定した。各色についてのコンピュータ的に再構成された蛍光イメージは、細胞膜、細胞質及び核の微細な特徴を明らかに示す。比較のために、図3Cのパネル(iv)は、重ね合わされたカラーイメージを示し、図3Cのパネル(v)は、従来のカラーカメラ(Wraycam SR130、WRAYMER Inc.,Japan)を使用して取得された蛍光イメージを示す。式(8)に従って計算される、赤、緑、及び青チャネルのピーク信号対雑音比の平均は、GCの再構成イメージ(図3Cのパネル(iv)に示される)とカメライメージ(図3Cのパネル(v)に示される)との間で26.2dBである。これらの結果は、細胞の形態学的特徴を描写する際の多色GCイメージングの良好な性能を実証する。
【0169】
[00221] GCはまた、流動細胞の高速多色連続蛍光イメージングを達成することができる。3次元空間における流れる蛍光細胞の流れを集束させるためのフローセルアセンブリ(Hamamatsu Photonics,Japan)を使用して、細胞が、エンコーダH(x、y)の長さ方向に平行に整列された流れに垂直な平面内で集束されるようにすることができる。フローセル内で構造化照明を生成する回折光学素子を使用して、100ピクセルの連続的な広がった光学点走査を、コンピュータによる再構成におけるy方向のイメージサイズに対応して、流れに対して垂直に実施した。図3Dのパネル(i)及び(ii)は、その細胞質がFGで標識され、その核がDAPIで標識された、単一のMCF-7細胞の各色チャネルからの時間波形を示す。蛍光イメージは、それぞれ図3Dのパネル(iii)及び(iv)の各波形についてコンピュータ的に再構成した。図3Dのパネル(v)は、コンピュータ的に再構成された多色蛍光イメージを示し、明確に分解された細胞の形態学的特徴を有する。電荷結合素子(CCD)及びCMOSなどのアレイピクセルカメラが完全に運動をぼかしたイメージを生成する速度である10,000細胞/秒より高いスループットで細胞を流した。対物レンズ後の構造化照明の全入力励起強度は、488nm及び405nmレーザに対してそれぞれ~58mW及び~14mWであったが、個々のランダムスポットに割り当てられたものは、平均でそれぞれ<43μW及び<10μWであった。適切なDOEを設計及び採用することによって、光パターンは、最小限の損失で作成され、単一分子レベルに近い、(方法において詳述されるような)検出可能なフルオロフォアの最小数として計算される、GCイメージングの高い感度を示唆した。
【0170】
[00222] 光学符号化及びスパースサンプリングのために光パターンH(x、y)にわたる物体の運動を使用して、ぼけのない高フレームレートイメージングが、高い信号対雑音比で達成された。フレームレートr及びピクセル走査速度pは次のように定義される。
【0171】
【数13】
【0172】
【数14】
【0173】
ここで、Iは最終イメージであり、pはフルオロフォアがH(x、y)における各励起スポットを通過するのに要する時間の逆数である。第1に、圧縮符号化は、H(x、y)の長さによって定義され、1つのフレーム取得に必要とされる、サンプリング点の数を低減し、その結果、高いフレームレートを達成するための必要とされる帯域幅が効果的に低減される。ショットノイズは帯域幅が増加するにつれて増加するので、この低減は、特に少数の光子を用いる超高速イメージングにおいて重要である。この特徴により、蛍光信号の励起パワーを効果的に低減してノイズを克服することができる。第2に、十分な信号対雑音比では、GCは、物体が励起光のピクセルを通過する前に励起強度を時間的に変調する他の技法とは異なり、時間的に静的であり得るH(x、y)として単一ピクセル検出器の高帯域幅を十分に利用することができる。したがって、ピクセル走査速度がPMTの帯域幅速度の少なくとも2倍を超えない限り、GCはぼけのないイメージをもたらす。例えば、500nmのスポットサイズを有するH(x、y)及び100MHzの高帯域幅を有するPMTに関して、GCは、100m/sまでの流量に対してぼけのないイメージを提供する。
【0174】
実施例5:蛍光標識細胞の機械学習分類
[00223] 図4A~4Eは、圧縮信号の直接機械学習を介したGCによるハイスループットかつ高精度の蛍光イメージフリー「イメージング」サイトメトリーを示す。図4Aは、GCにおいて分類器モデルを訓練するための手順を示す。図4Aのパネル(i)は、異なるが形態学的に類似した細胞型(MCF-7及びMIA PaCa-2細胞)が蛍光標識されたことを示す。両方の細胞型について、細胞質はFGによって緑色に染色され、MCF-7細胞のみの膜はBV421-EpCAMによって青色に染色された。スケールバー=20μm。図4Aのパネル(ii)は、>10,000細胞/秒のスループット速度で、図3Dで使用される符号化光学構造を通して異なる細胞型を別々に流すことを示す。図4Aのパネル(iii)は、蛍光強度の時間変調信号からまとめて抽出された各細胞型の圧縮波形を示す。図4Aのパネル(iv)は、細胞分類器を構築するための訓練データセットとして使用された各細胞型で標識された波形のライブラリを示す。サポートベクターマシンモデルをこの研究で使用した。図4Bは、分類器モデルを試験するための手順を示す。図4Bのパネル(i)は、異なる型の細胞が、分析前に種々の濃度比で実験的に混合されたことを示す。図4Bのパネル(ii)は、同じスループット速度でエンコーダを通る細胞混合物の流れを示す。図4Bのパネル(iii)は、細胞型を分類するために、訓練されたモデルを波形に直接適用することを示す。図4Cのパネル(i)に示されるように、青色のプロットは、BV421の総強度を測定することによって取得されたもの(図4Cのパネル(ii)に詳細に示される)と比較した、FG強度の波形(図4Cのパネル(iv)に詳細に示される)に訓練されたSVMベースの分類を直接適用することによって推定された、各サンプル中のMCF-7細胞の濃度比である。赤色プロットは、SVMベースの分類の同じ手順を総FG強度に適用することによって推定されたMCF-7細胞の濃度比である:BV421の測定された総強度と比較して、訓練されたSVMベースの分類を(図4Cのパネル(iii)に詳細に示される)総FG強度に適用すること。70個のサンプルを様々な濃度比について測定し、各サンプルはランダムに混合した細胞の700回の試験を含んだ。イメージフリーGCの結果(図4Cのパネル(i)に青色のプロットで示される)は、y=xからの0.046の小さい二乗平均平方根誤差(RMSE)、及び約5000個の細胞にわたる0.971の受信者動作特性(ROC、図4Dに示される)曲線下面積(AUC)を明らかにするが、これらの細胞の形態はヒトの眼に類似しているように見える。ROC曲線上の各点は、訓練されたSVMモデルからのスコアに適用される閾値に対応し、ヒストグラム中の赤色及び青色は、BV421の強度に従って標識される。対照的に、図4Cのパネル(i)の赤色プロットは、0.289の大きなRMSD及び0.596の不良なROC-AUCを有する劣った分類結果を示す。図4Eに示すように、末梢血単核細胞(PBMC)の複合混合物に対してモデル癌(MCF-7)細胞を分類する際に、超高速イメージフリーGCは、AUC~0.998の高い値を記録し、実際の使用におけるそのロバストで正確な性能を確認した。
【0175】
[00224] 強力なイメージング装置としてのGCの使用に加えて、GCからの圧縮的に生成された信号の直接分析は、他のイメージング方法と比較して著しく低いコンピュータによるコストで細胞の形態のハイスループットかつ正確な分類を可能にし、超高速蛍光「イメージング」活性化細胞分析及び選別(FiCS)の実現につながる。これは、GCにおける圧縮感知が、物体イメージを再構成するための十分な情報を保持しながら、イメージングデータのサイズを著しく低減するために達成され得る。ヒトの認知は波形を直接分類することができないが、機械学習方法は、イメージ生成なしに波形を分析することができる。~10,000細胞/秒の速度で測定された波形に直接適用された教師あり機械学習は、既存のフローサイトメーター及びヒトのイメージ認知のものを超える高い性能を有する蛍光標識細胞を分類した。さらに、このイメージフリーGCは、リアルタイムFiCSを可能にするために、マイクロ流体選別システムと統合することができる。
【0176】
[00225] イメージフリーGCは、2つのステップを含むことができる。細胞分類のモデルを1)訓練すること、及び2)試験すること。モデルは、異なる細胞型からの蛍光信号の波形をコンピュータ的に混合することによって、サポートベクターマシン(SVM)技術(23)に基づいて構築した。波形のこの訓練データは、各細胞型を別々に光学エンコーダに実験的に通すことによって収集された。次いで、実験的に混合した細胞を流し、細胞型を分類することによってモデルを試験した。実験前に、2つの異なる型の細胞を培養し、固定し、蛍光標識した:図4Aのパネル(i)に示すように、MCF-7細胞及びMIA PaCa-2細胞。両方の細胞型について、図4Aのパネル(i)に示すように、イメージフリーGCによる分類のために、FGを用いて細胞質を緑色で標識した。一方、MCF-7細胞においてのみ、BV421-EpCAMを用いて膜を青色で標識した。MIA PaCa-2細胞は、青色チャネルにおいて低い自己蛍光のみを有し、図10A~10Cに示されるように、このチャネルにおいて容易に区別可能なコントラストを提供した)。これを使用して、両方の細胞型における類似の細胞質標識に依存するGCの分類を検証した。これらのフルオロフォアを励起するために、紫色及び青色CWレーザの両方を使用し、一方で、デジタイザ(M4i.4451,Spectrum,Germany)は、PMTからの得られた信号を記録した。マイクロ流体システムは、再構成されたイメージにおける細胞の位置に対応する、ランダムな光学構造に対して細胞の流れの位置を空間的に制御するために開発された。この光学流体プラットフォームを用いて、各細胞型について細胞質から緑色蛍光強度の波形を収集した。この訓練データセットから、任意の特徴抽出を伴わないSVMベースの分類器を構築した。この訓練された分類器を試験するために、様々な濃度比で混合された異なる細胞型の組み合わせを含有する一連の溶液を導入した。次いで、各分類器は、混合細胞の~700個の波形を単一のデータセットとして識別し、それぞれについて濃度比を推定した。MCF-7とMIA PaCa-2との組み合わせを使用したので、MCF-7細胞の膜におけるBV421の全蛍光強度を測定することによって、分類結果を定量的にスコア化することができた。
【0177】
[00226] 青色蛍光強度を用いて測定したMCF-7及びMIA PaCa-2細胞の濃度比対モデルを緑色蛍光波形に適用することによって測定した濃度比のプロットは、y=xから0.046の小さい二乗平均平方根誤差(RMSE)を有する対角線上の線を与える。~49,000個の混合細胞のGCベースの分類を評価するためにBV421の測定値を使用すると、0.971の受信者動作特性(ROC)曲線下面積(AUC)が得られ、GCによる細胞分類が正確であることが確認された。ROC曲線上の各点は、訓練されたSVMモデルから得られたスコアに適用された閾値に対応し、ヒストグラム中の赤色及び青色は、図4D中のBV421の強度に従って標識される。GCの高い性能が波形において符号化された空間情報によるものであることを確認するために、SVMベースの分類の同じ手順を、各GC波形を経時的に積分することによって取得された全緑色蛍光強度に適用した。図4Cにおいて赤色プロットとして見られる結果は、y=xからの0.596の乏しいROC-AUC及び0.289の大きいRMSEを与え、したがって、GCの高い性能に対する全蛍光強度の寄与がほとんどないことを示す。加えて、単純な線形適合を計算することによって(図11に示されるように)、SVMベースの分類が、広範囲の濃度比にわたってその精度を一貫して保持することが確認された。したがって、イメージフリーGCは、標的細胞が、サイズ、全蛍光強度、及び見かけの形態学的特徴において類似しており、異なる濃度で混合物中に存在する場合であっても、正確な細胞分類器である。実際、分子特異的標識が存在しない場合、そのような類似の細胞型を分類することは、以前のサイトメーターにとって、さらにはヒトの認知にとっても重要な課題であった。
【0178】
[00227] 類似の形態を共有する2つの細胞型を分類することに加えて、GCは、ハイスループットで複合細胞混合物から特定の細胞型を正確に分類することができる。このような技術は、例えば、患者の末梢血中の希少な循環腫瘍細胞(CTC)を検出する際に重要である(24-27)。モデル癌細胞(MCF-7)を末梢血単核細胞(Astarte Biologics,IncからのPBMC)、リンパ球及び単球を含む血液細胞の不均一集団から分類するためのイメージフリーGCのワークフローを適用した。再度、全ての細胞の細胞質を、イメージフリーGCによる分類のためにFGを用いて緑色で標識し、一方、MCF-7細胞のみの膜を、BV421-EpCAMを用いて青色で標識して、GC分類結果を確認した。分類器SVMモデルは、標識されたMCF-7細胞及びPBMC細胞についての緑色蛍光波形を実験的に収集し、それらをコンピュータ的に混合することによって最初に訓練された。次いで、実験的に混合した細胞を流し、それらの細胞型を1つずつ分類することによってこのモデルを試験した。全ての信号を、10,000細胞/秒を超えるスループットで測定した。モデルを訓練するために、1,000個のMCF-7細胞及び1,000個のPBMCを使用した。モデルを試験するために、MCF-7細胞及びPBMCのランダム混合物からの1,000個の細胞を使用した。相互検証を10回行った後、GC波形のSVMベースの分類器についてAUCは0.998を記録した。図4Eは、ROC曲線のうちの1つを示し、複合細胞混合物からの特定の細胞型の超高速かつ正確な検出の能力を証明する。
【0179】
実施例6:超高速精密細胞選別
[00228] 図5A~5Cは、機械学習ベースの蛍光「イメージング」活性化細胞選別機(FiCS)の実証を示す。図5Aの左パネルに示されるように、マイクロ流体デバイスは、3つの機能的部位を含み得る。細胞のフローストリームは、最初に3D流体力学的流れ集束によって集束され、次いでランダム構造化光照明を受け、最後に選別領域に到達した。選別動作時に、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)アクチュエータが入力電圧によって駆動され、標的細胞を収集出口に選別するために流体を接合部に向かって横方向に変位させるように曲げられた。図5Aの右パネルに示されるように、細胞のリアルタイム分類及び選択的単離のために、PMTで測定されたアナログ信号をデジタル化し、次いで、訓練されたSVMベースの分類器が実装されたFPGAで分析した。分類結果がポジティブであった場合、FPGAは時間遅延パルスを送出し、その結果、PZTデバイスを作動させた。実験は、~3,000細胞/秒のスループット速度で実施した。全てのMIA PaCa-2、MCF-7、及びPBMC細胞の細胞質を、FGを用いて緑色で標識した。(図5Bに示す)中のMCF-7細胞の膜及び(図5Cに示す)中のMIA PaCa-2細胞の細胞質を、それぞれBV421結合EpCAM抗体及び抗パンサイトケラチン一次/AF405結合二次抗体を用いて青色で標識した。
【0180】
[00229] 図5Bは、形態学的に類似したMCF-7細胞に対するMIA PaCa-2細胞の正確な単離を示す。GCは、イメージ再構成なしに緑色蛍光波形を直接分類した。図5Bのパネル(i)は、細胞混合物について測定された最大青色蛍光強度のヒストグラムを示し、0.626のMIA PaCa-2の純度を示し、一方、図5Bのパネル(ii)は、FiCSを適用した後の同じ混合物についての最大青色蛍光強度のヒストグラムを示し、0.951のMIA PaCa-2の純度を示す。0.05の閾値に対応する破線を使用して、2つの細胞型の集団を区別した。
【0181】
[00230] 図5Cは、PBMCの複合混合物に対するモデル癌(MIA PaCa-2)細胞の正確な単離を示す。図5Cのパネル(i)は、細胞混合物について測定された最大青色蛍光強度のヒストグラムを示し、0.117のMIA PaCa-2の純度を示し、一方、図5Cのパネル(ii)は、FiCSを適用した後の同じ混合物についての最大青色蛍光強度のヒストグラムを示し、0.951のMIA PaCa-2の純度を示す。破線は、2つの細胞型の集団を区別するために使用された40の閾値に対応する。
【0182】
[00231] 圧縮感知によるデータサイズの低減及びGCにおけるイメージ再構成の回避は、単一波形を分類するために必要とされる計算時間を短縮する。この効率的な信号処理をマイクロ流体システムと組み合わせることによって、「イメージング」データのリアルタイム分析に基づく超高速且つ正確な細胞選別が実現された。形態学的に類似した細胞の別の集団から及び複合細胞混合物から特定の細胞集団を単離する能力が、ハイスループットかつ高精度で実証された。図5Aの左パネルは、ポリジメチルシロキサン製のマイクロ流体デバイスを示す。図12Aに示すように、3つの機能的部位を設計した。まず、図12Bに示すように、細胞のフローストリームを、3D流体力学的流れ集束(28,29)構造によって密なストリームに集束させた。次いで、細胞は、GCのランダム構造化光照明を受け、最終的に選別接合部に到達した。鉛チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)アクチュエータを、図12Cに示すように、メインのフローストリームに垂直な方向に方向付けられたチャネルを通してこの接合部に接続した。選別動作のために、アクチュエータを入力電圧によって駆動して、流体を曲げて、接合部に向かって横方向に変位させて、標的細胞を収集出口に選別した。図5A及び図12Dに示すように、細胞のリアルタイム分類及び選択的単離のために、それらの蛍光信号をPMTによってアナログ電圧として記録し、アナログ-デジタルコンバータによってデジタル化し、次いでフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA、Stratix IV、Altera)によって分析した。SVMベースの分類器は、事前に実装された。関心のある細胞をFPGAがポジティブと分類したとき、FPGAは時間遅延パルスを送出し、その結果、チップ内のPZTアクチュエータを駆動した。各圧縮波形を分類するためのFPGAにおける計算時間は、再現可能な選別を可能にするのに十分に短かった(<10μ秒)。実験を通して、GC波形の長さは、約3,000細胞/秒のスループットに対応する約300μ秒に維持された。最大青色蛍光強度によって作製されたそれらの標識を有する陽性及び陰性細胞の緑色蛍光波形を測定した後、分類器モデルをオフラインでコンピュータにおいて構築し、FPGAに実装した。実験では、MIA PaCa-2、MCF-7及びPBMC細胞の全ての細胞質を、FGを用いて緑色で標識し、さらに、MCF-7細胞の膜(図5Bに示す)及びMIA PaCa-2細胞の細胞質(図5Cに示す)を、それぞれBV421結合EpCAM抗体及び抗パンサイトケラチン一次/AF405結合二次抗体を用いて青色で標識した。
【0183】
[00232] 統合されたFiCSは、MCF-7細胞からのMIA PaCa-2細胞の正確な単離を可能にし、これは、サイズ、全蛍光強度、及び見かけの形態が類似している。MIA PaCa-2細胞の200個の波形及びMCF-7細胞の200個を、SVMモデルを訓練するために使用した。2つの細胞型を混合し、それらの最大青色蛍光強度を、自家製フローサイトメーター(分析器)を使用して測定し、(図5Bのパネル(i)に示すように)ヒストグラムに現れた2つの細胞型に対応する2つの別個のピークを得た。緑色蛍光波形を分類することによって同じ細胞混合物に機械学習駆動FiCSを適用した後、選別された混合物の最大青色蛍光強度を同様に測定した。その結果、MCF-7細胞に対応する、より強い強度のピークは消失し、MIA PaCa-2細胞の純度は0.625(図5Bのパネル(i)に示す)から0.951(図5Bのパネル(ii)に示す)に増加した。これにより、標的分子を特異的に標識しない、細胞質染色(FG)のみを使用するだけで、FiCSは、見かけ上類似する細胞型を、それらの形態に基づいて高い精度及びスループットで認識し、物理的に単離することができることが確認された。
【0184】
[00233] FiCSはまた、PBMCの複合混合物に対してMIA PaCa-2細胞を正確に濃縮することができる。MIA PaCa-2細胞の200個の波形及びPBMCの200個を、SVMモデルを訓練するために使用した。2つの細胞型を混合し、それらの最大青色蛍光強度を、自家製フローサイトメーター(分析器)を使用して測定した。MIA PaCa-2細胞の集団に対応する、より強い強度でのピークは、比較的小さかった(図5Cのパネル(i)に示す)。緑色蛍光波形を分類することによって同じ細胞混合物にFiCSを適用した後、選別された混合物の最大青色蛍光強度を同じ方法で測定した。その結果、MIA PaCa-2細胞の純度は、0.117(図5Cのパネル(i)に示す)から0.951(図5Cのパネル(ii)に示す)に増加した。これにより、FiCSが、いかなる特定のバイオマーカーなしで、高い精度及びスループットで、複合細胞混合物のバックグラウンドに対してモデル癌細胞を有意に濃縮できることが確認された。
【0185】
[00234] 最近の研究は、腫瘍学、免疫学及び薬物スクリーニングを含む様々な分野において、重要な細胞の検出及び/又は特徴付けのためにイメージングフロー分析器を広く使用している(30,31)。分析スループットを有意に増加させ、高含有量情報に従ってリアルタイムで細胞集団を選択的に単離するGCの能力は、単一細胞レベルでの包括的な下流オミクス分析との形態ベースの分析の統合をもたらし得る。ヒトの限られた知識及び能力に依存する従来のイメージ生成及び処理を超えて、圧縮モダリティに直接適用される機械学習方法は、大量かつ高次元のデータのリアルタイム適用のための広い適用可能性を有し得る。
【0186】
実施例7:光学エンコーダパターンの取得
[00235] 図6は、SIモードにおける及びSDモードにおけるビーズの蛍光イメージングにおいて使用される光学エンコーダパターンH(x、y)の取得を示す。図6の左下の部分は、(図6の右上の部分に示されるような)エンコーダH(x、y)の正確な強度分布を推定するために使用される光学セットアップを示す。同一の擬似ランダムホールアレイを有するクロム層で作製されたフォトマスクを、SIモード及びSDモードに関するサンプルの前(図6に示す平面1)及び後(図6に示す平面2)のいずれかの結合イメージ面にそれぞれ配置した。作製したホールは、一辺が8μmの正方形であり、800×9,600μmの矩形領域にわたってランダムに広がっており、充填率は~1%であった。光学構造のスパース性(充填率)は、GCの測定プロセスを実験ノイズに対してロバストにするように設計された(38,39)。これら8μmのホールは、回折及び幾何学的収縮後のサンプル面における約1μmのスポットに対応し、GCベースのイメージングの空間分解能を規定する。各光学部品に起因する色収差に由来する誤差を最小限に抑えるために、蛍光ポリマーの薄いフィルムをサンプル面に配置し、そのパターン化された発光を記録した。
【0187】
[00236] SIモードでは、ポリマーフィルムはフォトマスクを通過する光で励起された。フィルムの蛍光イメージを平面2に転写し、さらに、各々が200mmの焦点距離を有する2つの色収差補正レンズを備える4f顕微鏡システムを通してイメージセンサに転写した。SDモードでは、ポリマーフィルムは、均一に広がった光で励起された。フィルムの蛍光イメージを、フォトマスクが配置された平面2に転写した。擬似ランダムにパターン化されたホールを通過する光子は、各々が200mmの焦点距離を有する2つの色収差補正レンズを備える4f顕微鏡システムを通してそのイメージを形成した。スケールバーは50μmである。実験では、青色LED(UHP-T-LED-460UV LED、Prizmatix、イスラエル)を励起光源として使用し、科学的CMOSカメラ(Flash4.0V2、Hamamatsu Photonics)をイメージの取得のために使用した。対物レンズは20倍であり、オリンパス(UPlanSApo)から入手した。イメージ化ビーズはSpherotech Inc.から購入した。(FP-10052-2蛍光黄色粒子、直径:10.0-14.0μm)。青色LEDからの励起光は、474/27nmバンドパスフィルタ(Semrock)を通過し、ダイクロイックミラー(ZT488rdc、Chroma)によって反射され、サンプルを照射した。放出された光は、ミラーを通過し、525/50nmバンドパスフィルタ(Semrock)を通過して収集された。
【0188】
[00237] 図7は、蛍光標識された細胞の3色イメージングのために使用されたエンコーダH(x、y)の光学設定及び測定された強度分布を示す。擬似ランダムホールアレイを有するクロム層のフォトマスクを、SDモード用のサンプルの後の結合イメージ面に配置した。作製したホールは、辺長が8μmの正方形であり、800×10,800μmの矩形領域にわたって~1%の充填率でランダムに広がっていた。
【0189】
[00238] 青色レーザ(GEM473-500、Laser Quantum)からの光は、クリアリングフィルタ(実施例1、Semrock)を通過し、UV LED(UHP-T-LED-385UV LED、Prizmatix)からの光は377/50nmバンドパスフィルタ(実施例2、Semrock)を通過した。これらの励起光源は、420ロングパスダイクロイックミラー(DM1、Chroma)と組み合わされ、トリプルエッジダイクロイックミラー(DM2、Di01-R405/488/594、Semrock)によって反射され、20倍の対物レンズを通してサンプルを均一に照射した。サンプルからの発光は、DM2、トリプルバンドパス発光フィルタ(Em.1,FF01-432/523/702,Semrock)、及び光学的に符号化されるフォトマスクを通過した。GCベースのイメージングでは、フォトマスク後の放射光は、ダイクロイックミラー(DM3は、Semrock製のFF-573-Di01であり、DM4は、Chroma製のZT488rdcである)の組み合わせ使用によって3つの色チャネルに分割され、各バンドパスフィルタ(Em.2、Em.3、及びEm.4は、Semrock製の593ロングパスフィルタ、535/50nmバンドパスフィルタ、及び435/40nmバンドパスフィルタである)を通して3つのPMTを使用して記録された。H(x、y)の較正では、蛍光ポリマーの薄いフィルムをサンプル面に配置し、536/40nmバンドパスフィルタ(Em.5、Chroma)及びsCMOSカメラを使用した異なる励起による照明下で、パターン化された発光を別々に記録した。スケールバーは50μmである。
【0190】
[00239] 図8は、超高速多色蛍光イメージング及びGCによるイメージフリーイメージングサイトメトリーに使用される光学エンコーダの光学セットアップ及び較正された強度分布を示す。図8の左下の部分は、イメージフリーGCに使用される光学セットアップを示しており、回折光学素子(DOE)を使用する構造化照明が、サンプルの前に結合イメージ面において各波長レーザに関して照明された。構造化照明は、~1%の輝点を有する擬似ランダムパターンを有する100×1350ピクセルのパターンを有するように設計され、各正方形ピクセルは、405nm(DOE-1)に対して150mmの焦点距離を有するレンズを使用して~10.5μm及び488nm(DOE-2)に対して~12μmの辺長を有する。サンプルの前の結合イメージ面に、空間フィルタを配置して、0次及び多次の回折パターンを遮断した。
【0191】
[00240] 488nm青色レーザ(Cobolt06-MLD488nm、Cobolt)からの光及び405nm紫色レーザ(Stradus405-250、Vortran)からの光を、ロングパスダイクロイックミラー(DM1、ChromaからのZT405rdc-UF1)と組み合わせ、クワッドバンドダイクロイックミラー(DM2、Di03-R405/488/561/635-t3、Semrock)によって反射し、20倍対物レンズを通してサンプルを均一に照射した。サンプルからの発光は、DM2を通過し、ダイクロイックミラー(DM3、Semrock製のFF506-Di03)によって2つの色チャネルに分割され、各バンドパスフィルタ(Em.1及びEm.2は、Semrock製の535/50nmバンドパスフィルタ及び440/40nmバンドパスフィルタである)を通して2つのPMTを使用して記録された。較正は、図7に関して本明細書で説明したように、Em.5およびsCMOSを使用して同じ方法で実施した。イメージフリーイメージングサイトメトリーを実施する場合(図4)、DOE-1を円柱レンズに置き換えた。スケールバーは50μmである。
【0192】
実施例8:流体力学的流れ集束
[00241] 図9A~9Fは、流体力学的集束強度を制御することの、イメージフリーGCによる分類の性能に対する効果を示す。図9Aに示されるフローセル(Hamamatsu Photonics K.K.,Japan)の幾何学的形状は、外側流体による内側流体の流体力学的3次元(3D)流れ集束をもたらし、流れる細胞が集束した状態に保たれることを可能にし、示されるようなイメージにおけるそれらの位置の制御を可能にする。さらに、デバイスは、図9Bに示されるように、内側流体と外側流体との間の流量比を変化させることによって、集束強度の制御を可能にする。すなわち、1つの型の細胞を緩く集束した状態で流すと、強く集束した状態と比較して、より多様で一般化された時間波形が生成される。以下のような集束強度の様々な組合せを包括的に調査した後、高度に一般化され、ロバストで、感度の高い分類器モデルの構築を可能にする流体条件の組合せを使用した:モデルを訓練するために緩い集束条件ときつい集束条件を組み合わせ、モデルを試験するためにきつい集束条件を使用した。
【0193】
[00242] SVMベースのイメージフリーGCを使用して流れ集束が細胞分類に及ぼす効果を決定するために、図図9C~9Fに示すように、モデルを訓練及び試験する際に、集束強度の様々な組み合わせを包括的に試験した。GCの分類結果を評価するために、モデルを訓練することに関する各タイプ(MCF-7又はMIA PaCa-2細胞)で標識された波形のセットから波形をランダムに選択した。図9C図9Fに示すように、モデルは、分類器を訓練するために使用される波形の数を増加させることによって改善する。モデルを試験するために他の波形からの各細胞型について1,000個の波形を選択し、それを10回繰り返すことによってエラーバーを取得した。ここで、きつく集束されたストリームとは、体積における内側流量及び流速における外側速度がそれぞれ20μL/分及び>10m/秒であるシナリオを示す。緩く集束されたストリームは、内側速度が30μL/分であるシナリオを示す。
【0194】
[00243] 図9Cの曲線は、きつく集束されたストリームが、高度に制御された実験条件(最小の実験誤差)下で訓練及び試験の両方に使用されるとき、精度が、少数の訓練点で高いプラトーに急速に達することを示す。図9Dの曲線は、緩く集束されたストリームが訓練及び試験の両方に使用されるとき、精度がゆっくりと増加し、より多くの数の訓練点を必要とすることを示す。これらの結果は、きつく集束された条件が、分類器の感度を増加させるのに役立つことを示す。しかし、厳密な条件で訓練されたモデルは、試験条件が訓練条件と完全には同じでない場合、過剰適合され、精度を失う可能性があり、これは実際にはよくあることである。実際に、図9Eの曲線は、きつく集束されたストリームが訓練に使用され、緩く集束されたストリームが試験に使用された場合、精度ははるかにゆっくりと増加し、低いプラトーに達したことを示す。
【0195】
[00244] 細胞分類に対する高い感度及びロバスト性を同時に追求するために、訓練データセットは、きつく集束されたストリーム及び緩く集束されたストリームの両方を使用して収集されたデータセットからランダムに選択された波形を含むように調製された。この訓練されたモデルが、きつく集束されたストリームを使用することによって測定されたデータセットを試験するために使用された場合、図9Fに示されるように、精度は急速に増加し、最終的に高いプラトーに達した。したがって、モデルは一般化され、良好に機能する。これらの結果は、緩く集束されたストリームを使用してモデルを訓練することが感度を低減する一方で、サンプルに関するモデルのロバスト性が増加し、これは、機械学習モデルにおける一般化能力と等価であることを示す。高感度でロバストなサイトメトリーを達成するために、本発明者らは、モデルを訓練するために緩い集束条件ときつい集束条件とを組み合わせ、モデルを試験するためにきつい集束条件を使用した。
【0196】
実施例9:イメージフリーゴーストサイトメトリーによる分類の検証
[00245] 図10A~10Dは、イメージフリーGCの分類及びイメージフリーGCのワークフローのBV421-EpCAMベースの検証を示す。時間的に変調された緑色蛍光強度を分類する際のイメージフリーGCの性能を評価するために、同じ細胞の全青色蛍光(BV421-EpCAM)強度を定量した。図10Aは、MCF-7細胞のみの全青色蛍光強度のヒストグラムを示し、図10Bは、MIA PaCa-2細胞のみの全青色蛍光強度のヒストグラムを示す。図10Cは、細胞混合物の例のデータセットについての強度ヒストグラムを示し、これは、図4Dにおける単一のドットに対応する。図4A~4Eにおける実験の全体を通して、BV421-EpCAMの全蛍光強度を使用して、2,500をMIA PaCa-2細胞を区別するための上部ゲーティング閾値として使用し、4,000を、MCF7細胞を区別するための下部ゲーティング閾値として使用した。このゲーティングによって排除された細胞は、全集団のわずか0.7%であり、無視できると考えられた。BV421の全強度の明確な分布とは対照的に、同じサンプル細胞についてのFGの全蛍光強度のヒストグラムは、図10Dに示されるように、区別できない分布を示す。
【0197】
[00246] 図10Dは、区別可能なピークが明らかでないFGの全蛍光強度のヒストグラムを示す。対照的に、図4Dは、式(9)を使用して計算されたスコアのヒストグラムを示し、これは区別可能な2つのピークを有する。図4DのROC曲線上の各点は、この訓練されたSVMモデルから取得されたスコアに適用された閾値に対応する。SVMベースの細胞分類方法は、0.971のROC曲線下面積(AUC)によって測定される高い性能を実証した。図4及び図11の実証で採用したサンプル及び流体条件を表1に要約する。
【0198】
【表1】
【0199】
実施例10:SVMベースの分類の一貫した精度の確認
[00247] 図11は、広範囲の濃度比にわたるSVMベースの分類の一貫した精度の確認を示す。
単純な線形適合を計算して、モデルが広範囲の濃度比にわたってその精度を一貫して保持することを実証した。図11において、GCによってMCF-7を区別する真陽性率及び偽陽性率をそれぞれα及びβとして示すと、BV421の強度の測定についての結果に対するGCについての結果は、以下のように推定され得る。
n=αm+β(1-m)
ここで、mはBV421の測定により推定されたMCF-7の濃度比であり、nはGC分類により取得されたものである。量α及びβは、MCF-7及びMIA PaCa-2の純粋な溶液についてのDAPI測定に対するGC分類結果を比較することによって計算した。計算されたα及びβは、図4Dに示されるフィッティングに対して0.949及び0.068である。これは、異なる濃度比について、プロットとフィットとの間の一貫して良好な一致を実証する。図4Aのパネル(i)に示されるように、MIA PaCa-2及びMCF-7細胞の緑色蛍光細胞質イメージ間のサイズ及び真円度などの明らかに異なる形態学的特徴を見出すことは、肉眼では困難である。
【0200】
実施例11:機械学習ベースの蛍光「イメージング」活性化オンチップ細胞選別
[00248] 図12A~12Dは、機械学習ベースの蛍光「イメージング」活性化オンチップ細胞選別システム(FiCS)を示す。図12A~12Cは、GCシステムと組み合わせてFiCSを可能にした機能的マイクロ流体デバイスを示す。図12Aに示す細胞選別チップは、標準的なソフトリソグラフィー技術を用いて作製した。チャネルの特徴を、SU-8フォトレジストモールドによってフォトリソグラフィーでパターニングし、ポリジメチルシロキサン(PDMS)に転写した。PDMSチャネルを、酸素プラズマ活性化結合によってガラス基板上に固定した。サンプル及びシース注入の両方を、シリンジポンプ(Harvard Apparatus Pump11 Elite Syringe Pump)によって、それぞれ約10μL/分及び400μL/分の一定流量で駆動した。顕微鏡イメージとして図12Bに示されるチップ設計(28)は、光学測定部位の前の3D流体力学的流れ集束によって、狭い細胞ストリームにサンプル流れが集束されることを可能にした。顕微鏡イメージとして図12Cに示されるチップ設計(29)は、分類に基づく選択的細胞選別を可能にした。この選別部位で、圧電PZTアクチュエータを、メインのフローストリームに対して垂直に走るチャネルを通して接合部に接続した。選別部位に入る標的細胞は、PZTアクチュエータの曲げ作用によって駆動される変位流体によって収集出口に偏向された。圧電アクチュエータの直径は20mmであり、固有共振周波数は約6.5kHzである。図12B及び図12Cにおけるスケールバーは50μmである。
【0201】
[00249] 図12Dは、この研究で使用されるリアルタイム分類及び電気制御システムのプロセスフローを示す。PMTによってアナログ電圧として検出されたGC波形は、まず、14ビットの分解能で20MHzのサンプリング速度を有するアナログ-デジタルコンバータ(ADC、部分的に修正されたTexas InstrumentのAD11445EVM)を介してデジタル化された。FPGA開発ボード(Terasic TR4)上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA、Stratix IV、Altera)によるSVMベースの分類では、各波形を1,000データ点に間引いた。FPGAが分類に基づいて標的細胞の存在を決定すると、それは自動的に時間遅延信号を出力して関数発生器(Tektronix AGF1022)を駆動する。関数発生器から直ちに送出される矩形パルスは、高電圧増幅器(Trekmod el2210)を介して増幅され、選別作用を誘発するためにPZTアクチュエータの電極に送出された。FPGAはまた、訓練データを収集し、SVMパラメータをアップロードし、トリガ条件を設定し、試験データを記憶するためにコンピュータに接続された。
【0202】
[00250] 細胞選別システムの性能を評価するために、フローセル(Hamamatsu Photonics)を備えた(図8に示されるような)光学セットアップを含む自家製分析器を使用して、選別の前後にサンプルを分析した。ここで、サンプルからの最大青色蛍光強度(標識として)及び緑色蛍光強度は、緑色蛍光信号に適用されるトリガ条件によって単純に検出された。
【0203】
[00251] 例の流体力学的流れ集束デバイスでは、細胞ストリームの位置は、内側流れと外側流れとの間の速度の比を変化させることによって、3次元空間内で制御された。
【0204】
実施例12:部分透過スペックルパターンに基づく標識フリー選別
[00252] 本明細書に記載のシステム及び方法は、標識フリー選別を実施するために使用することができる。そのような標識フリー選別は、圧縮感知によってマイクロ流体チャネル内の高速で流れる細胞の位相情報を取得することによって達成され得る。これは、細胞が本明細書に記載の構造化照明を通過するときに、検出器(単一ピクセルPMT又は本明細書に記載の任意の他の検出器など)を用いて透過スペックルパターンの変調波形を測定することによって行うことができる。位相回復イメージング技術と比較して、この方法は、イメージを再生成するために必要なスペックルパターン全体の一部のみを取得することができる。それでもなお、高精度で細胞を分類することは十分であり得、取得前のこの光学次元の低減は、高速かつリアルタイムの分類及び選別を可能にし得る。
【0205】
[00253] 図14は、GCを利用した標識フリー細胞選別機を示す。光検出器(PD)によって取得された波形から直接、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)は、PDを通過する各セルを分類する機械学習分類器を実装し得る。次に、FPGAは、PZTにパルスを送信して、対象の細胞として識別された細胞を隣接チャネルに押し出すことができる。
【0206】
[00254] 図15は、標識フリー細胞選別機のための運動駆動圧縮ゴーストサイトメトリーを示す。細胞が構造化照明を通過するとき、透過スペックルパターンは、構造化照明によって変調され得る。このスペックルパターンの一部を光検出器(PD)で取得することにより、変調波形を取得することができる。
【0207】
[00255]mIA PaCa-2細胞及びJurkat細胞(類似のサイズ及び見かけの形態を有する2つの細胞株)を、本開示のシステム及び方法を使用して分類及び選別した。細胞を3m/sの速度で流し、各細胞の波形を110マイクロ秒(μs)で取得したが、これは9,000細胞/秒を超えるスループットに対応する。機械分類器を訓練し、検証するために、MIA PaCa-2細胞を緑色蛍光で染色した。各細胞型の150個の細胞を用いて機械分類器を訓練することによって、混合物中の2つの型の細胞を93%の精度で分類することができた。実際に選別された細胞を蛍光により分析したところ、89%の純度を有していた。従来の前方散乱(FSC)及び側方散乱(SSC)プロットは、2つの細胞がサイズで完全に分類することが困難であることを示す。
【0208】
[00256] 図16Aは、標識フリー細胞選別機を用いたJurkat及びMIA PaCa-2細胞の選別を示す。図16Aの左上部分は、Jurkat細胞の位相差イメージを示す。図16Aの右上部分は、MIA PaCa-2細胞の位相差イメージを示す。図16Aの左下の部分は、Jurkat細胞のFSC及びSSCプロットを示す。図16Aの右下部分は、MIA PaCa-2細胞のFSC及びSSCプロットを示す。図16Aに示されるように、Jurkat細胞及びMIA PaCa-2細胞のFSC及びSSCプロットは重複し、FSC及びSSCプロット単独によるサイズ決定を用いて2つの型の細胞を区別することを困難にする。
【0209】
[00257] 図16Bは、細胞選別前後のJurkat及びMIA PaCa-2細胞集団のヒストグラムを示す。MIA PaCa-2細胞のみが緑色で染色された。図16Bの上部は、選別前のサンプルを示す。図16Bの下部は、選別後のサンプルを示す。選別後、PaCa-2に対するMIAの比率は51%から89%に増加した。
【0210】
実施例13:死滅及び初期アポトーシス人工多能性幹細胞(iPSC)の分類
[00258] 図17Aは、人工多能性幹細胞(iPSC)を生存、初期アポトーシス、又は死として分類するためのヨウ化プロピジウム(PI)及びアネキシンVの蛍光強度の散布図の例を示す。図17Aに示されるように、青色、赤色、及び緑色領域内の集団は、それぞれ、生細胞、死細胞、及び初期アポトーシス細胞として標識される。
【0211】
[00259] 図17Bは、iPSCについての前方散乱(FSC)及び側方散乱(SSC)の散布図の例を示す。青色、赤色及び緑色の点は、それぞれ、生細胞、死細胞及び初期アポトーシス細胞に対応する。FSC及びSSCなどの従来の方法を使用して、生細胞は、死/アポトーシス細胞からほとんど区別され得るが、死細胞及びアポトーシス細胞は、互いに区別することが困難である。
【0212】
[00260] 図17Cは、本開示のシステム及び方法を用いた生細胞及び死細胞の分類のためのROC曲線及びSVMスコアヒストグラムの例を示す。点線は、参照のために従来のFSC及びSSCのみを用いた分類についてのROC曲線である。図17Cに示されるように、従来のFSC及びSSCは、生細胞及び死細胞が0.876のAUCで区別されることを可能にし、一方、本開示のシステム及び方法を使用する分類は、0.995になるAUCを達成し、非常に優れた性能を示す。
【0213】
[00261] 図17Dは、本開示のシステム及び方法を用いた生細胞及び初期アポトーシス細胞の分類のためのROC曲線及びSVMスコアヒストグラムの例を示す。点線は、参照のために従来のFSC及びSSCのみを用いた分類についてのROC曲線である。図Cに示されるシナリオと同様に、本開示のシステム及び方法による分類は、従来のFSC及びSSC(AUC=0.875)を使用して取得されるものと比較して、優れた性能(AUC=0.947)を示す。
【0214】
[00262] 図17Eは、本開示のシステム及び方法を使用した、死細胞及び初期アポトーシス細胞の分類のためのROC曲線及びSVMスコアヒストグラムの例を示す。点線は、参照のために従来のFSC及びSSCのみを用いた分類についてのROC曲線である。従来のFSC及びSSCを単独で使用すると、2つの集団を区別するのが困難である(AUC=0.657)が、本開示のシステム及び方法では、それらは0.931のAUCで区別することができる。
【0215】
[00263] 本明細書で説明されるシステム及び方法は、再生医療及び細胞療法等のプロセスで使用するための細胞製造プロセスへの有意な適用性を示し得る。このようなプロセスでは、細胞の品質は、様々な要件に従って監視及び制御されるべきである。本明細書に記載されるシステム及び方法は、人工多能性幹細胞(iPSC)を使用するパイプラインに適用され得る。パイプラインは、凍結保存されたiPSCの解凍で開始されてもよく、これは次いで、複数の分化ステップを通過し、最終細胞産物をもたらす。このパイプライン全体を通して、細胞集団の生存性、発現状態、及び純度を監視する必要がある場合があり、細胞を選別する必要がある場合がある。iPSCの以前の試験は、細胞に対してしばしば毒性であるか、又はそうでなければ(例えば、免疫応答に起因して)細胞に悪影響を及ぼす分子染色を必要とした。さらに、細胞生成物の化学的汚染は、これらがヒトの体内に誘導されるとき、患者に対して潜在的な副作用を有し得る。対照的に、本明細書に記載されるシステム及び方法は、実際の生産ライン細胞を染色することなく、それらの生存性、発現状態、及び純度に基づく細胞の高速評価を可能にし得、したがって、分子染色によって潜在的に引き起こされる問題を解決する。
【0216】
[00264] 本明細書に記載されるシステム及び方法は、死細胞だけでなく、初期アポトーシス状態にある細胞を生細胞から高い精度で区別することができる。これは、品質制御のために細胞集団を監視する際に不可欠であり得る。なぜなら、死細胞の残りは、周囲の細胞にストレスを潜在的に引き起こし、iPSC又は他の幹細胞の分化を変化させ得るからである。さらに、死細胞及び初期アポトーシス細胞による汚染は、移植における機能的細胞数の不正確な推定をもたらし得る。培養フラスコから分離した培養iPSCの生存率及びアポトーシス分析を実施した。図17Aに示すように、訓練標識は、それぞれ死細胞及び初期アポトーシス細胞の指標であるヨウ化プロピジウム(PI)及びアネキシンVの蛍光強度を用いて作成した。死細胞及び初期アポトーシス細胞は、図17Bに示されるように、従来のFSC及びSSCプロットから、生細胞からある程度の正確さで区別され得る。しかしながら、そのような分類は完全に正確ではない可能性があり、従来の方法は、死細胞を排除するために追加の死細胞排除染色を必要とする場合がある。
【0217】
[00265] 本開示のシステム及び方法を使用して、波形の訓練データセットを、生細胞、死細胞、及び初期アポトーシス細胞としてゲートされ標識された細胞集団を用いて調製した。図17Bに示されるように、死細胞は、0.996±0.001の高いROC-AUCを有する生細胞と区別され(図17Cの実線によって示されるように)、初期アポトーシス細胞は、0.947±0.005のROC-AUCを有する生細胞と区別された(図17Dの実線によって示されるように)。対照的に、同じ標識を有する従来のFSC及びSSCデータのみを使用して、従来のフローサイトメトリーは、死-生及びアポトーシス-生の区別について、それぞれ、0.890±0.009(図17Cにおいて破線によって示されるように)及び0.875±0.013(図17Dにおいて破線によって示されるように)のROC-AUCを有する限定された性能を達成した。加えて、本開示のシステム及び方法は、0.931±0.006のROC-AUC(図17Eの実線によって示されるように)で初期アポトーシス細胞を死細胞から区別することができ、これは、0.657±0.012のROC-AUC(図17Eの破線によって示されるように)を達成する従来のFSC及びSSCのみでは困難であった。
【0218】
実施例14:分化及び未分化iPSCの分類
[00266] 図18Aは、機械学習分類器を訓練するために使用される神経前駆細胞(NPC)及びiPSCの混合物についてのカルセインAM及びrBC2LCN-635強度の散布図の例を示す。青色領域及び赤色領域内の集団を、それぞれNPC及びiPSCと標識した。
【0219】
[00267] 図18Bは、本開示のシステム及び方法を用いたNPC及びiPSCの分類のためのROC曲線(図18Bの外側パネル)及びSVMスコアヒストグラム(図18Bの内側パネル)の例を示す。ROC曲線のAUCは0.933であった。青色及び赤色のSVMスコアヒストグラムは、図18Aに由来する、それぞれNPC及びiPSCと標識された細胞に対応する。
【0220】
[00268] 図18Cは、機械学習分類器を訓練するために使用される肝芽細胞及びiPSCの混合物についてのカルセインAM及びrBC2LCN-635強度の散布図の例を示す。青色領域及び赤色領域内の集団を、それぞれ肝芽細胞及びiPSCと標識した。
【0221】
[00269] 図18Dは、本開示のシステム及び方法を使用した、肝芽細胞及びiPSCの分類のためのROC曲線(図18Dの外側パネル)及びSVMスコアヒストグラム(図18Dの内側パネル)の例を示す。ROC曲線のAUCは0.947であった。青色及び赤色のSVMスコアヒストグラムは、図18Cに由来する、それぞれ肝芽細胞及びiPSCと標識された細胞に対応する。
【0222】
[00270] 本開示のシステム及び方法は、未分化細胞を分化細胞から分類することができ、これは、細胞製造パイプラインにおける最も重要なプロセスのうちの1つを表し得る。残りの未分化細胞が依然として増殖する能力を有し得、これが最終的に細胞を癌細胞にさせ得るため、そのような分類は重要であり得る。未分化iPSCを、両方とも同じiPSCに由来する、神経前駆細胞(NPC)及び肝芽細胞の形態における分化細胞と比較した。訓練プロセスでは、未分化であったiPSCのみを染色した未分化マーカーで細胞を標識した。標識フリーのサイトメトリー様式も実施した。訓練標識は、未分化細胞を示すマーカーであるrBCLCN-635(Wako)で細胞を染色し、rBCLCN-635強度を測定することにより作成した(図18A及び図18Cに示す)。未分化マーカーによって標識された各細胞型についての波形を訓練データセットとして使用して、分類器は、(図18Bに示されるように)0.933±0.008のROC-AUCでiPSC及びNPCを、並びに(図18Dに示されるように)0.944±0.004のROC-AUCでiPSC及び肝芽細胞を区別し、その高い分類能力を示した。対照的に、従来のFSC及びSSC情報のみを使用して、細胞の各対の分類についてのROC-AUCは、それぞれ0.862±0.013及び0.697±0.020に限定された。
【0223】
実施例15:機能に基づく細胞の分類
[00271] 図19Aは、T細胞のfab FITC強度のヒストグラムの例を示す。赤色閾値線の右側の細胞をCAR T細胞と標識した。閾値は陰性対照サンプルによって決定した。
【0224】
[00272] 図19Bは、図19Aからの標識を用いて細胞周期における異なる状態を分類するためのROC曲線及びSVMスコアヒストグラムの例を示す。
【0225】
[00273] 図19Cは、raji細胞の2-(N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ)-2-デオキシグルコース(2-NBDG)強度のヒストグラムの例を示す。緑色閾値線の左側の細胞を低グルコース細胞として標識し、赤色閾値の右側の細胞を高グルコース細胞として標識した。
【0226】
[00274] 図19Dは、図19Cからの標識を用いて、高レベル及び低レベルのグルコースを有する細胞を分類するためのROC曲線及びSVMスコアヒストグラムの例を示す。
【0227】
[00275] 本明細書に記載されるシステム及び方法は、それらの機能に基づいて細胞を選択することによって、細胞集団の質を改善するために使用され得る。これは、例えば、免疫細胞が癌細胞を攻撃するように改変され得る癌治療において重要であり得る。
【0228】
[00276] 非形質導入T細胞及びCAR T細胞の混合物からのキメラ抗原受容体(CAR)T細胞の分類を、図19Aに示されるように、CAR T細胞上でのみ発現されるfabマーカーに対して訓練された機械学習を用いて、本開示のシステム及び方法を使用して実施した。ROC-AUCは、(図19Bに示されるように)0.887±0.007であり、本開示のシステム及び方法を使用して、CAR T細胞を、これらの細胞が患者を処置するために直接使用され得るように、標識フリー様式で高精度に精製することができることを示す。
【0229】
[00277] 解糖レベルに基づく細胞分類も実施した。解糖レベルの差は、異なる細胞代謝をもたらし、異なる細胞活性をもたらす。例えば、CAR T細胞において、低グルコースレベルの細胞は、癌に対してより高い有効性を有することが報告されている。解糖レベルを監視するために、蛍光グルコース類似体である2-(N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ)-2-デオキシグルコース(2-NBDG)が一般に使用されるが、細胞に対して非常に毒性である。したがって、解糖レベルに基づいて生細胞を選別する従来の方法は困難であった。Raji細胞を2-NBDGで処理した。全集団内の高レベル及び低レベルの2-NBDGを有する細胞を、オフラインで抽出した(図19Cに示すように)。高2-NBDGレベル及び低2-NBDGレベルのこれらの細胞を使用して、分類器を訓練し、次いで検証した。結果として、分類器は、0.88の精度で2つの集団を分類することができ(図19Dに示されるように)、本開示のシステム及び方法が、それらの解糖レベルに基づいて細胞を分類することができることを示す。
【0230】
実施例16:混合流体中の特定の細胞型の検出
[00278] 本開示のシステム及び方法は、混合流体(血液、尿、涙、唾液、胸水、脳脊髄液、又は本明細書に記載される任意の他の流体等)中の特定の細胞型(疾患細胞等)を検出又は選別するために使用されてもよい。システム及び方法は、種々の従来の実験室試験において必要とされ得るような、フルオロフォアによる標識又は抗体による免疫染色を必要とせずに、そのような特定の細胞型の検出又は選別を可能にし得る。
【0231】
[00279] 図20A~Iは、混合流体中の様々なタイプの白血球の標識フリー検出を示す。
【0232】
[00280] 図20Aは、好中球の集団を含む訓練データセットを示す。好中球は、CD66マーカーの比較的高レベルの発現及びCD193マーカーの比較的低レベルの発現によって特徴付けられた。好中球を、本明細書に記載のパターン化された光学構造を通過させて流し、好中球に対応する光学信号を記録した。
【0233】
[00281] 図20Bは、好中球及び非好中球に対応する標識フリー光学信号の例を示す。光学信号は、好中球及び非好中球の事前標識なしで取得された。光学信号を使用して、機械学習分類器を訓練して、好中球を非好中球から区別した。
【0234】
[00282] 図20Cは、好中球及び非好中球の分類のためのSVMスコアヒストグラムの例を示す。分類は、好中球及び非好中球の事前標識なしで取得された。SVM分類は、91.4%の精度及び0.941のROC-AUCを取得した。
【0235】
[00283] 図20Dは、好酸球の集団を含む訓練データセットを示す。好酸球は、CD66マーカーの比較的高レベルの発現及びCD193マーカーの比較的高レベルの発現によって特徴付けられた。好酸球を本明細書に記載のパターン化された光学構造を通過させて流し、好酸球に対応する光学信号を記録した。
【0236】
[00284] 図20Eは、好酸球及び非好酸球に対応する標識フリー光学信号の例を示す。光学信号は、好酸球及び非好酸球の事前標識なしで取得された。光学信号を使用して、機械学習分類器を訓練して、好酸球を非好酸球から区別した。
【0237】
[00285] 図20Fは、好酸球及び非好酸球の分類のためのSVMスコアヒストグラムの例を示す。分類は、好酸球及び非好酸球の事前標識なしで取得された。SVM分類は、94.7%の精度及び0.992のROC-AUCを取得した。
【0238】
[00286] 図20Gは、好塩基球の集団を含む訓練データセットを示す。好塩基球は、CD66マーカーの比較的低レベルの発現及びCD193マーカーの比較的低レベルの発現によって特徴付けられた。好塩基球を、本明細書に記載のパターン化された光学構造を通過させて流し、好塩基球に対応する光学信号を記録した。
【0239】
[00287] 図20Hは、好塩基球及び非好塩基球に対応する標識フリー光信号の例を示す。光学信号は、好塩基球及び非好塩基球の事前標識なしで取得された。光学信号を使用して、機械学習分類器を訓練して、好塩基球を非好塩基球から区別した。
【0240】
[00288] 図20Iは、好塩基球及び非好塩基球の分類のためのSVMスコアヒストグラムの例を示す。分類は、好塩基球及び非好塩基球の事前標識なしで取得された。SVM分類は、94.0%の精度及び0.970のROC-AUCを取得した。
【0241】
[00289] 図21A~22Bは、混合流体中の疾患細胞の標識フリー検出を示す。
【0242】
[00290] 図21Aは、口腔細胞及びHeLa細胞の分類のためのSVMスコアヒストグラムの例を示す。口腔細胞及びHeLa細胞を、本明細書に記載のパターン化された光学構造を通過させて流し、口腔細胞及びHeLa細胞に対応する光学信号を記録した。光学信号は、口腔細胞又はHeLa細胞の事前標識なしで取得された。光学信号を使用して、機械学習分類器を訓練して、口腔細胞をHeLa細胞から区別した。SVM分類により、0.995のROC-AUCが取得された。
【0243】
[00291] 図21Bは、BM1細胞及びK562細胞の分類のためのSVMスコアヒストグラムの例を示す。BM1細胞及びK562細胞を、本明細書に記載のパターン化された光学構造を通過させて流し、BM1細胞及びK562細胞に対応する光学信号を記録した。光学信号は、BM1細胞又はK562細胞の事前標識なしで取得された。光学信号を使用して、機械学習分類器を訓練して、BM1細胞をK562細胞から区別した。SVM分類により、0.969のROC-AUCが取得された。
【0244】
実施例16:検出領域に同時に存在する異なるタイプの粒子の区別(Differentiation)
[00292] 本開示のシステム及び方法は、異なるタイプの粒子が、本開示の検出器が感度を有する領域内に同時に存在する場合であっても、異なるタイプの粒子を区別するために適用され得る。2つ以上の粒子がそのような領域に同時に位置する場合、検出器によって検出される信号に重複が生じ得る。本明細書に記載されるシステム及び方法は、線形方程式に関して表現されることができるため、そのようなイベントは、領域内の全ての他の粒子から独立した各粒子に起因する信号の合計として表され得る。
【0245】
[00293] 本明細書に記載されるシステム及び方法は、本明細書で説明されるように、異なるタイプの粒子に対応する異なる波形を学習するために使用され得る。そのような波形は、異なる時間間隔中に領域を通って移動する異なる粒子を考慮するために任意の時間オフセットを使用して、任意に合計され得る。多種多様なそのような総和を生成し、異なるタイプの粒子が同時に存在することに起因する測定波形と比較することができる。このようにして、粒子を区別することができる。
【0246】
[00294] 代わりに、又は組み合わせて、本明細書に説明される機械学習手順は、異なるタイプの粒子の同時存在のために生じる重複波形を使用して訓練されてもよい。
【0247】
[00295] 図22Aは、第1のタイプの粒子に起因する信号(図22Aの上部)、第2のタイプの粒子に起因する信号(図22Aの中央部)、及び第1及び第2のタイプの粒子が同時に存在することに起因する信号(図22Aの下部)の例を示す。
【0248】
[00296] 図22Bは、本開示の検出領域に同時に存在する異なるタイプの粒子を区別するための混同行列の例を示す。混同行列は、MIA PaCa-2細胞及びMCF-7細胞を含む粒子の混合物について生成された6つの状態を示す。図22Bに示されるように、本開示のシステム及び方法は、検出器が感知できる領域における2つの型の細胞の同時存在に対応する重複信号の場合でさえ、MCF-7細胞からMIA PaCa-2を正確に区別した。
【0249】
[00297] 本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、記載されているが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書中に提供される特定の実施例によって限定されることは意図されない。本発明を前述の明細書を参照して説明してきたが、本明細書における実施形態の説明及び例示は、限定的な意味で解釈されることを意図していない。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換を思いつくであろう。さらに、本発明のすべての態様は、様々な条件及び変数に依存する、本明細書に記載の特定の描写、構成、又は相対的比率に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替物が、本発明を実施する際に使用され得ることが理解されるべきである。したがって、本発明は、任意のそのような代替形態、修正形態、変形形態、又は均等物も包含するものとすることが企図される。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法及び構造並びにそれらの等価物がそれによって包含されることが意図される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18A
図18B
図18C
図18D
図19A
図19B
図19C
図19D
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図20F
図20G
図20H
図20I
図21A
図21B
図22A
図22B