(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】較正システム及び較正方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2022522918
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(86)【国際出願番号】 EP2020078615
(87)【国際公開番号】W WO2021083649
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-05-31
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アルサッカ,アリ
(72)【発明者】
【氏名】アル-グセイン,ファディ
(72)【発明者】
【氏名】ケッセルス,ランベルトゥス,ゲラルドゥス,マリア
(72)【発明者】
【氏名】レズヴァニ ナラギ,ロクサーナ
(72)【発明者】
【氏名】ショーム,クリシャヌ
(72)【発明者】
【氏名】ブルナー,ティモシー,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ソコロフ,セルゲイ
【審査官】三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-529969(JP,A)
【文献】特開平10-041219(JP,A)
【文献】特表2019-521378(JP,A)
【文献】特開2004-279405(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0107124(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0026878(US,A1)
【文献】特開平10-070068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24
9/00-9/02
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
較正システムであって、
ウェーハ上に配置されたウェーハアライメントマークに隣接したプレートと、
前記プレート上に配置され、前記較正システムの初期較正のための基準マークの役割を果たす固定アライメントマークと、
前記プレート上に配置され、複数の可変アライメントマークを形成する複数の単位セルを備えた可変回折格子と、を備え、
前記可変回折格子が、前記可変アライメントマークの1つと前記固定アライメントマークとの次数間シフトを較正するために前記ウェーハアライメントマークに一致する、較正システム。
【請求項2】
前記次数間シフトが、前記可変アライメントマークの1つと前記固定アライメントマークとの測定位置の差異である、請求項1の較正システム。
【請求項3】
前記複数の単位セルのそれぞれが、微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータを備える、請求項1の較正システム。
【請求項4】
前記複数の単位セルのそれぞれが、液晶(LC)空間光変調器(SLM)を備える、請求項1の較正システム。
【請求項5】
前記固定アライメントマークが、固定アライメントマークピッチ、固定アライメントマークデューティサイクル、固定アライメントマーク小区分、及び固定アライメントマーク深さを含む、請求項1の較正システム。
【請求項6】
前記可変アライメントマークが、前記固定アライメントマークピッチと異なる可変アライメントマークピッチを含む、請求項5の較正システム。
【請求項7】
前記可変アライメントマークが、前記固定アライメントマークデューティサイクル、前記固定アライメントマーク小区分、及び前記固定アライメントマーク深さと同じ、可変アライメントマークデューティサイクル、可変アライメントマーク小区分、及び可変アライメントマーク深さを含む、請求項6の較正システム。
【請求項8】
前記可変アライメントマークが、前記固定アライメントマークデューティサイクルと異なる可変アライメントマークデューティサイクルを含む、請求項7の較正システム。
【請求項9】
前記可変アライメントマークが、前記固定アライメントマークピッチ、前記固定アライメントマーク小区分、及び前記固定アライメントマーク深さと同じ、可変アライメントマークピッチ、可変アライメントマーク小区分、及び可変アライメントマーク深さを含む、請求項8の較正システム。
【請求項10】
前記可変アライメントマークが、前記固定アライメントマーク小区分と異なる可変アライメントマーク小区分を含む、請求項7の較正システム。
【請求項11】
前記可変アライメントマークが、前記固定アライメントマークピッチ、前記固定アライメントマークデューティサイクル、及び前記固定アライメントマーク深さと同じ、可変アライメントマークピッチ、可変アライメントマークデューティサイクル、及び可変アライメントマーク深さを含む、請求項10の較正システム。
【請求項12】
前記可変アライメントマークが、前記固定アライメントマーク深さと異なる可変アライ
メントマーク深さを含む、請求項7の較正システム。
【請求項13】
パターニングデバイスを照明する照明システムと、
前記パターニングデバイスの像をウェーハ上に投影する投影システムと、
請求項1から12の1つに記載の較正システムと、を備えるリソグラフィ装置。
【請求項14】
リソグラフィ装置の較正方法であって、前記方法が、
プレート上の固定アライメントマークの固定アライメントマーク位置を測定すること、
前記プレート上の、複数の可変アクチュエータを含む複数の可変アライメントマークのうちの1つの可変アライメントマーク位置を測定すること、
前記プレートに隣接したウェーハ上のウェーハアライメントマークのウェーハアライメントマーク位置を測定すること、
前記プレートの前記固定アライメントマーク位置と前記可変アライメントマーク位置とを比較して、前記可変アライメントマークの1つと前記固定アライメントマークとの次数間シフトを決定すること、及び
前記リソグラフィ装置を前記次数間シフトに基づいて較正すること、を含む方法。
【請求項15】
前記ウェーハアライメントマークの特徴に基づいて前記複数の可変アライメントマークを形成するために、前記複数の可変アクチュエータを活性化することを更に含む、請求項14の方法。
【請求項16】
前記活性化することが、前記複数の可変アクチュエータのピッチ、デューティサイクル、小区分、深さ、又はこれらのいくつかの組み合わせを調整することを含む、請求項
15の方法。
【請求項17】
前記較正することが、前記ウェーハアライメントマーク位置に次数間シフト修正を適用することを含む、請求項14の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2019年10月29日出願の米国仮特許出願第62/927,206号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、例えばリソグラフィ装置及びシステム用の較正装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク、レチクル)のパターンを、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
[0004] 基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば193nmの波長を有する放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成するのに使用することができる。
【0005】
[0005] リソグラフィプロセスを制御して基板上に正確にデバイスフィーチャを配置するために、例えば基板上に1つ以上の回折ターゲット(例えばアライメントマーク)が一般に設けられ、リソグラフィ装置は、例えば基準板上に1つ以上のアライメントマークと、回折ターゲットの位置を正確に測定し得るアライメントセンサとを備える。既存の較正システム及び技術はいくつかの欠点及び制約を免れない。例えば、基準板上のスペースには限りがあり、限られた数のマークしか利用できない。基準板上で特定の関心のあるピッチが利用できない場合、利用可能な最も近い2つのピッチ間の補間が必要である。これによって、アライメント及び較正の誤差や不整合、例えば次数間シフト(SBO)較正で最大2nmが生じる可能性がある。
【0006】
[0006] 動的又は可変システムは、同じ共通のプラットフォームに何百もの異なるタイプのアライメントマークを実装できるため、正確性、較正、及び汎用性を改善することができる。可変システムは、較正のための様々な異なるタイプのアライメントマークを形成するために個別に制御可能なアクチュエータ(例えば単位セル)を備えることができる。
【発明の概要】
【0007】
[0007] したがって、現在の較正システムの能力を拡大し、動的又は可変システムの正確性、精度、較正、及び汎用性を改善する必要性がある。
【0008】
[0008] 一部の実施形態では、較正システムが、プレート、固定アライメントマーク、及び可変回折格子を備える。プレートは、基板上に配置されたウェーハアライメントマークに隣接している。固定アライメントマークはプレート上に配置される。固定アライメントマークは、較正システムの初期較正のための基準マークの役割を果たすように構成される。可変回折格子はプレート上に配置される。可変回折格子は、複数の可変アライメントマークを形成するように構成された複数の単位セルを備える。可変回折格子は、可変アライメントマークの1つと固定アライメントマークとの次数間シフトを較正するように構成される。
【0009】
[0009] 一部の実施形態では、次数間シフトは、可変アライメントマークの1つと固定アライメントマークとの測定位置の差異である。一部の実施形態では、複数の単位セルのそれぞれは、微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータを備える。一部の実施形態では、MEMSアクチュエータはピエゾ材料又は相変化材料(PCM)を含む。一部の実施形態では、複数の単位セルのそれぞれは、液晶(LC)空間光変調器(SLM)を備える。
【0010】
[0010] 一部の実施形態では、固定アライメントマークは、固定アライメントマークピッチ、固定アライメントマークデューティサイクル、固定アライメントマーク小区分、及び固定アライメントマーク深さを含む。
【0011】
[0011] 一部の実施形態では、可変アライメントマークは、固定アライメントマークピッチと異なるように構成された可変アライメントマークピッチを含む。一部の実施形態では、可変アライメントマークは、固定アライメントマークデューティサイクル、固定アライメントマーク小区分、及び固定アライメントマーク深さと同じであるように構成された、可変アライメントマークデューティサイクル、可変アライメントマーク小区分、及び可変アライメントマーク深さを含む。一部の実施形態では、可変アライメントマークピッチは約0.2μm~約6.4μmである。
【0012】
[0012] 一部の実施形態では、可変アライメントマークは、固定アライメントマークデューティサイクルと異なるように構成された可変アライメントマークデューティサイクルを含む。一部の実施形態では、可変アライメントマークは、固定アライメントマークピッチ、固定アライメントマーク小区分、及び固定アライメントマーク深さと同じであるように構成された、可変アライメントマークピッチ、可変アライメントマーク小区分、及び可変アライメントマーク深さを含む。一部の実施形態では、可変アライメントマークデューティサイクルは複数の単位セルの一部である。
【0013】
[0013] 一部の実施形態では、可変アライメントマークは、固定アライメントマーク小区分と異なるように構成された可変アライメントマーク小区分を含む。一部の実施形態では、可変アライメントマークは、固定アライメントマークピッチ、固定アライメントマークデューティサイクル、及び固定アライメントマーク深さと同じであるように構成された、可変アライメントマークピッチ、可変アライメントマークデューティサイクル、及び可変アライメントマーク深さを含む。一部の実施形態では、可変アライメントマーク小区分は、横線、縦線、斜線、多角形、又はこれらのいくつかの組み合わせを含む。一部の実施形態では、可変アライメントマーク小区分は可変サブピッチを含む。
【0014】
[0014] 一部の実施形態では、可変アライメントマークは、固定アライメントマーク深さと異なるように構成された可変アライメントマーク深さを含む。一部の実施形態では、可変アライメントマークは、固定アライメントマークピッチ、固定アライメントマークデューティサイクル、及び固定アライメントマーク小区分と同じであるように構成された、可変アライメントマークピッチ、可変アライメントマークデューティサイクル、及び可変アライメントマーク小区分を含む。一部の実施形態では、可変アライメントマーク深さは約10nm~約150nmである。
【0015】
[0015] 一部の実施形態では、リソグラフィ装置は、照明システム、投影システム、及び較正システムを備える。照明システムは、パターニングデバイスを照明するように構成される。投影システムは、パターニングデバイスの像をウェーハ上に投影するように構成される。較正システムは、複数の可変アライメントマークのうちの1つと固定アライメントマークとの次数間シフトを較正するために、ウェーハ上のウェーハアライメントマークを較正システム上の複数の可変アライメントマークのうちの1つと一致させるように構成される。較正システムは、プレート及び可変回折格子を備える。プレートはウェーハアライメントマークに隣接しており、固定アライメントマークを備える。可変回折格子は、プレート上に配置され、複数の可変アライメントマークを形成するように構成された複数の単位セルを備える。
【0016】
[0016] 一部の実施形態では、ウェーハアライメントマークは、ウェーハアライメントマークピッチ及びウェーハアライメントマーク深さを含み、可変アライメントマークの1つは、ウェーハアライメントマークピッチに一致するように構成された可変アライメントマークピッチと、ウェーハアライメントマーク深さに一致するように構成された可変アライメントマーク深さとを含む。一部の実施形態では、可変回折格子は、ウェーハアライメントマークの様々な回折次数を測定するように構成された可変アライメントマークデューティサイクルを含む。一部の実施形態では、ウェーハアライメントマークは、ウェーハアライメントマーク小区分を含み、可変アライメントマークの1つは、ウェーハアライメントマーク小区分に一致するように構成された可変アライメントマーク小区分を含む。
【0017】
[0017] 一部の実施形態では、リソグラフィ装置の較正方法が、プレート上の固定アライメントマークの固定アライメントマーク位置を測定することを含む。較正方法は、プレート上の複数の可変アライメントマークのうちの1つの可変アライメントマーク位置を測定することを更に含む。複数の可変アライメントマークは、複数の可変アクチュエータを含む。較正方法は、プレートに隣接したウェーハ上のウェーハアライメントマークのウェーハアライメントマーク位置を測定することを更に含む。較正方法は、プレートの固定アライメントマーク位置と可変アライメントマーク位置とを比較して、可変アライメントマークの1つと固定アライメントマークとの次数間シフトを決定することを更に含む。較正方法は、リソグラフィ装置を次数間シフトに基づいて較正することを更に含む。
【0018】
[0018] 一部の実施形態では、較正方法は、ウェーハアライメントマークの特徴に基づいて複数の可変アライメントマークを形成するために、複数の可変アクチュエータを活性化することを更に含む。一部の実施形態では、活性化することは、複数の可変アクチュエータのピッチ、デューティサイクル、小区分、深さ、又はこれらのいくつかの組み合わせを調整することを含む。一部の実施形態では、較正することは、ウェーハアライメントマーク位置に次数間シフト修正を適用することを含む。
【0019】
[0019] 実施形態の更なる特徴及び例示的な側面、並びに様々な実施形態の構造及び動作が、添付の図面を参照しながら以下で詳細に説明される。実施形態が本明細書で説明される特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、本明細書では単に例示的な目的で提示される。当業者には、本明細書に含まれる教示に基づいた追加の実施形態が明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
[0020] 本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、また、記述と併せて、実施形態の原理を説明し、当業者が実施形態を実施し使用できるように更に機能する。
【0021】
【
図1】[0021]例示的な実施形態に係る、リソグラフィ装置の概略図である。
【
図2】[0022]例示的な実施形態に係る、較正システムの概略的上部斜視図である。
【
図3】[0023]例示的な実施形態に係る、
図2の較正システムの概略的上部平面図である。
【
図4】[0024]例示的な実施形態に係る、可変回折格子の概略的上部平面図である。
【
図5】[0025]例示的な実施形態に係る、可変回折格子の概略的上部平面図である。
【
図6】[0026]例示的な実施形態に係る、可変回折格子の概略的上部平面図である。
【
図7】[0027]例示的な実施形態に係る、可変回折格子の概略的側面図である。
【
図8】[0028]例示的な実施形態に係る、可変回折格子の概略的側面図である。
【
図9】[0029]例示的な実施形態に係る、可変回折格子の概略的上部平面図である。
【
図10】[0030]例示的な実施形態に係る、可変回折格子の概略的上部平面図である。
【
図11】[0031]例示的な実施形態に係る、可変回折格子の概略的上部平面図である。
【
図12】[0032]例示的な実施形態に係る、可変回折格子の概略的上部平面図である。
【
図13】[0033]例示的な実施形態に係る、可変回折格子の概略的上部平面図である。
【
図14】[0034]例示的な実施形態に係る、リソグラフィ装置を較正するためのフローチャートを示す。
【
図15】[0035]例示的な実施形態に係る、可変回折格子の概略的側面図である。
【0022】
[0036] 実施形態の特徴及び例示的な態様は、全体を通して類似の参照符号が対応する要素を特定する、図面と併せて解釈される場合に、以下に記載する詳細な説明からより明らかになるであろう。図面中では、類似の参照番号は概して、同一の、機能的に同様の、及び/又は構造的に同様の要素を示す。追加的に、概して、参照番号の左端の数字は、その参照番号が最初に現れる図面を特定する。別段の指示がない限り、本開示を通じて提供される図面は、縮尺通りの図面として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0037] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される1つ又は複数の実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される1つ又は複数の実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
【0024】
[0038] 記載された実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。更に、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。更に、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識の範囲内にあることが理解される。
【0025】
[0039] 「下(beneath)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(above)」、「上(on)」、「上(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、図に示すように、ある要素又は機能と別の1つ又は複数の要素又は1つ又は複数の機能との関係を説明するのを容易にするために、本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの様々な方向を包含することを意図している。装置は、他の方法で方向付けられてもよく(90度又は他の方向に回転されてもよい)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述語は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0026】
[0040] 本明細書で使用される「約」という語は、特定の技術に基づいて変化し得る所与の量の値を示す。特定の技術に基づいて、「約」という語は、例えばその値の10~30%(例えば、その値の±10%、±20%、又は±30%)の範囲内で変化する所与の量の値を示す可能性がある。
【0027】
[0041] 本開示の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらのいずれかの組み合わせにおいて実装可能である。また、本開示の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって読み取り及び実行され得る機械読み取り可能媒体上に記憶された命令としても実装することができる。機械読み取り可能媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態の情報を記憶又は送信するためのいずれかの機構を含み得る。例えば、機械読み取り可能媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音、又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、及び他のものを含むことができる。更に、一定の動作を実行するものとして本明細書ではファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、及び/又は命令を記載することができる。しかしながらそのような記載は単に便宜上のものであり、そういった動作は実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスから得られることは認められよう。
【0028】
[0042] このような実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実装することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
【0029】
[0043] 例示的なリソグラフィシステム
[0044]
図1は、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備えたリソグラフィシステムを示している。放射源SOは、EUV放射ビームBを生成し、このEUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。
【0030】
[0045] 照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にEUV放射ビームBを調節するように構成される。そのため、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を備えることができる。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は共に、EUV放射ビームBに所望の断面形状と所望の強度分布とを与える。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又はこれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを備えることができる。
【0031】
[0046] このように調節された後、EUV放射ビームBはパターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果、パターン付きEUV放射ビームB’が生成される。投影システムPSは、パターン付きEUV放射ビームB’を基板Wに投影するように構成される。この目的のため、投影システムPSは、基板テーブルWTにより保持された基板Wにパターン付きEUV放射ビームB’を投影するように構成された複数のミラー13、14を備えることができる。投影システムPSは、パターン付きEUV放射ビームB’に縮小係数を適用し、これによってパターニングデバイスMAにおける対応するフィーチャよりも小さいフィーチャの像を形成することができる。例えば、4又は8の縮小係数を適用することができる。投影システムPSは、
図1では2つのミラー13、14のみを有するものとして示されているが、投影システムPSは様々な数のミラー(例えば6個又は8個のミラー)を備えることができる。
【0032】
[0047] 基板Wは、前もって形成されたパターンを含むことができる。このような場合、リソグラフィ装置LAは、パターン付きEUV放射ビームB’により形成された像を、基板W上に前もって形成されたパターンと位置合わせする。
【0033】
[0048] 相対真空、すなわち大気圧を大きく下回る圧力の少量のガス(例えば水素)を、放射源SO、照明システムIL、及び/又は投影システムPS内に供給することができる。
【0034】
放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源、放電生成プラズマ(DPP)源、自由電子レーザ(FEL)、又はEUV放射を発生させることができる任意の他の放射源である場合がある。
【0035】
[0049] 例示的な較正システム
[0050] 以上で考察したように、リソグラフィプロセスを制御して基板(例えばウェーハ)上に正確かつ精密にデバイスフィーチャを配置するために、例えば基板上に1つ以上の回折ターゲット(例えばアライメントマーク)が一般に設けられ、リソグラフィ装置は、例えば基準板上に1つ以上のアライメントマークと、回折ターゲットの位置を正確に測定し得るアライメントセンサとを備える。各アライメントマークは、その(1)ピッチ、(2)デューティサイクル、(3)小区分、(4)小区分ピッチ、及び/又は(5)深さによって特徴付けることができる。既存の較正システム及び技術はいくつかの欠点及び制約を免れない。例えば、基準板上のスペースには限りがあり、限られた数の特定のピッチのみを利用する(例えば、基準板上に直接印刷又は製造する)ことができる。具体的には、限られた数のマークのみが利用可能であり、それらのマークはユーザが使用に関心があり得るピッチのほんの一部を表す。その結果、基準板上で特定の関心のあるピッチが利用できない場合、利用可能な最も近い2つのピッチ間の補間(例えば、2つの既知の値の範囲内の値の推定、線形補間など)が必要である。これによって、アライメント及び較正のエラーや不整合、例えば次数間シフト(SBO)較正で最大2nmが生じる可能性がある。
【0036】
[0051] SBO較正を利用して、固定アライメントマークと可変アライメントマークの間のアライメントエラー(例えば、波長及び/又は次数固有のものなど)を修正することができる。SBOは、(1)異なる回折次数が測定される、(2)同じ回折次数について異なる波長が測定される、又は(3)異なる回折次数について異なる波長が測定される場合に生じる測定位置の差異を指す。回折格子を用いたSBO較正は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2006年9月26日発行の米国特許第7,112,813号に既に記載されている。
【0037】
[0052] 動的又は可変システムは、共通のプラットフォーム(例えば基準板)上に何百もの異なるタイプのアライメントマークを実装できるため、正確性、精度、較正、及び汎用性を改善することができる。可変システムは、較正のための様々な異なるタイプのアライメントマークを形成し得る、サブセルを含む個別に制御可能なアクチュエータ(例えば単位セル)を備えることができる。例えば、各個別に制御可能なアクチュエータは、微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータである場合がある。
【0038】
[0053] 可変システム(例えば可変回折格子)は、様々なパラメータを変化させて異なるアライメントマークを得ることができる。例えば、可変システムは、アライメントマークのピッチ(例えばウェーハ上のウェーハアライメントマークのピッチに一致するように)、デューティサイクル(例えば同じピッチを維持しながら様々な回折次数を測定するように)、深さ(例えば、検出を最適化するためにアライメントマークからの光の強度を調整するように、及び/又はウェーハアライメントマーク強度に一致するように)、及び/又は小区分(例えばアライメントマーク内の様々なサブマークに一致するように)を変化させることができる。
【0039】
[0054] 各単位セル(例えばサブセル)は、例えばウェーハ上のウェーハアライメントマークにより良く一致するように各アライメントマークのカスタマイズ、及び固定アライメントマークによる較正、例えばSBO較正を可能にし得る20nm×20nm(例えば400nm2)ほど小さい可能性がある。以下で考察される動的又は可変較正装置及びシステムは、現在の較正システムの能力を拡大し、例えばリソグラフィ装置における正確性、精度、較正、及び汎用性を改善することができる。
【0040】
[0055]
図2及び
図3は、様々な例示的な実施形態に係る較正システム200を示している。較正システム200は、ウェーハ202上のウェーハアライメントマーク210の特性(例えば、アライメント位置、ピッチ、回折次数、深さ、小区分など)を測定し、例えばリソグラフィ装置LAにおけるアライメント及び較正(例えばSBO較正)を改善するように構成することができる。
図2及び
図3には較正システム200がスタンドアロン装置として示されているが、本開示の実施形態はこの例に限定されず、本開示の較正システム200の実施形態は、限定的ではないが、リソグラフィ装置LA、基板テーブルWT、及び/又は他の光学システムなどの他の光学システムと一緒に使用することができる。
【0041】
[0056]
図2は、例示的な実施形態に係る、較正システム200の概略的上部斜視図である。較正システム200は、ウェーハ202、ウェーハアライメントマーク210、プレート220、可変回折格子300、及び/又は固定アライメントマーク310’を備えることができる。
図3は、例示的な実施形態に係る、
図2に示す較正システム200の概略的上部平面図である。
【0042】
[0057]
図3に示すように、ウェーハアライメントマーク210はウェーハ202上に配置することができる。ウェーハ202はプレート220に隣接して配置することができる。一部の実施形態では、ウェーハ202はプレート220上に配置することができる。一部の実施形態では、プレート220はウェーハ202の上方に配置することができる。ウェーハアライメントマーク210は、ウェーハアライメントマークピッチ212、ウェーハアライメントマーク小区分214、及び/又はウェーハアライメントマーク深さ216を含むことができる。一部の実施形態では、ウェーハアライメントマーク210は、較正プロセス、例えばSBO較正において使用することができる。一部の実施形態では、ウェーハ202は、例えばそれぞれがウェーハアライメントマーク210と同様の複数のウェーハアライメントマークを備えることができる。一部の実施形態では、ウェーハ202は、リソグラフィ装置LAにおける基板Wである可能性がある。一部の実施形態では、プレート220は、リソグラフィ装置LAにおいて基板W(例えばウェーハ202)を支持するように構成された基板テーブルWTである可能性がある。
【0043】
[0058]
図2及び
図3に示すように、可変回折格子300はプレート220上に配置することができる。可変回折格子300は、複数の可変アライメントマーク310を形成するように構成された複数の単位セル306を備えることができる。可変回折格子300は、例えば、複数の可変アライメントマーク310(例えば、ピッチ、デューティサイクル、小区分、小区分ピッチ、及び/又は深さ)のうちの1つを調整することによって、ウェーハアライメントマーク210に一致するように構成することができる。更に、可変回折格子300は、可変アライメントマーク310の1つと固定アライメントマーク310’との次数間シフト(SBO)を較正するように構成することができる。以上で考察したように、SBO較正は、固定アライメントマーク310’と可変アライメントマーク310の間のアライメントエラーを修正するのに用いることができる。一部の実施形態では、SBO302は、可変アライメントマーク310の1つと固定アライメントマーク310’の間の測定位置の差異304である可能性がある。例えば、固定アライメントマーク310’の測定位置(例えば、絶対位置、相対位置、ピッチ、回折次数など)を可変アライメントマーク310の測定位置(例えば、絶対位置、相対位置、ピッチ、回折次数など)と比較することができ、例えば較正システム200及び/又はリソグラフィ装置LAにおけるプロセッサ(図示せず)及び/又はアライメントセンサ(図示せず)によって、誤差を決定及び較正することができる。
【0044】
[0059] 一部の実施形態では、可変回折格子300は均一な形状である可能性がある。例えば
図3に示すように、可変回折格子300は複数の単位セル306を含む線形配列である可能性がある。一部の実施形態では、可変回折格子300は不均一な形状である可能性がある。例えば可変回折格子300は、プレート220のウェーハ202の周辺にある上面領域に及ぶことができる。一部の実施形態では、プレート220は1つ以上の可変回折格子300を備えることができる。例えば
図2及び
図3に示すように、プレート220は、プレート220の両端に配置された2つの可変回折格子300を備えることができる。例えば、プレート220は、可変回折格子300と、例えば可変回折格子300に隣接した固定アライメントマーク310’とを備えることができる。一部の実施形態では、ウェーハ202は1つ以上のウェーハアライメントマーク210を備えることができる。例えば、
図2及び
図3に示すように、ウェーハ202は、ウェーハ202の両端に配置された2つのウェーハアライメントマーク210を備えることができる。一部の実施形態では、
図3に示すように、可変回折格子300は固定アライメントマーク310’を備えることができる。例えば、複数の単位セル306の一部は、固定アライメントマーク310’を形成するために固定された(例えば、固定ピッチ、固定デューティサイクル、固定小区分、固定深さなど)活性セル309である可能性がある。
【0045】
[0060] 複数の単位セル306のそれぞれは、微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータ308を含むことができる。一部の実施形態では、複数の単位セル306のそれぞれは、それぞれMEMSアクチュエータ308と同様のMEMSアクチュエータであり得る複数のサブセル(図示せず)を含むことができる。例えば、各単位セル306は、約100nm×約4μm(例えば0.4μm
2)である可能性があり、各単位セル306が、例えば1000個のサブセル(図示せず)を含むように、各サブセル(図示せず)は約20nm×約20nm(例えば400nm
2)である可能性がある。一部の実施形態では、MEMSアクチュエータ308は、ピエゾ材料、相変化材料、又は可変作動制御可能な任意の他の適切な材料を含むことができる。例えば
図5に示すように、MEMSアクチュエータ308は、ピエゾ材料を含み、不活性セル307及び活性化セル309を形成するために印加電圧によって個別に活性化することができる。
【0046】
[0061]
図3に示すように、可変アライメントマーク310は、可変アライメントマークピッチ312、可変アライメントマーク小区分330、及び/又は可変アライメントマーク深さ316を含むことができる。一部の実施形態では、可変アライメントマーク310は、較正プロセス、例えばSBO較正用である可能性がある。一部の実施形態では、可変アライメントマーク310は、別のアライメントマーク、例えばウェーハアライメントマーク210に一致するように構成することができる。一部の実施形態では、可変回折格子300は、例えばそれぞれが可変アライメントマーク310と同様の複数の可変アライメントマークを備えることができる。一部の実施形態では、
図3に示すように、可変回折格子300は、特定の可変アライメントマークデューティサイクル314で動作することができる。一部の実施形態では、可変アライメントマーク310は、透過センサイメージ(TIS)マーク、スキャナ統合レンズ干渉計(ILIAS)マーク、スキャナ並列統合レンズ干渉計(PARIS)マーク、及び/又はこれらのいくつかの組み合わせを含むことができる。例えば、
図3に示すように、可変回折格子300は、TISマーク318、ILIASマーク320、及びPARISマーク322を備えることができる。一部の実施形態では、ウェーハアライメントマーク210は、TISマーク、ILIASマーク、PARISマーク、及び/又はこれらのいくつかの組み合わせを備えることができる。
【0047】
[0062]
図2及び
図3に示すように、較正システム200は、プレート220上に配置された固定アライメントマーク310’を備えることができる。固定アライメントマーク310’は、較正システム200及び/又はリソグラフィ装置LA(例えばアライメントセンサ)の初期較正のための基準マーク(例えば固定)の役割を果たすように構成することができる。例えば、固定アライメントマーク310’として、任意のマーク(例えば、3.2μmピッチ、50%デューティサイクル、小区分なし、120nm深さ)を使用することができる。アライメントセンサは、初期較正及び/又は測定条件のために固定アライメントマーク310’を測定することができる(例えば、8つのチャネルのうちの1つ、例えば赤X偏光を、4つの色(例えば、赤、緑、青、UV)及び2つの偏光(例えば、X偏光(水平に偏光された)、Y偏光(垂直に偏光された))から任意に選ぶことができる)。一部の実施形態では、ウェーハアライメントマーク210が固定アライメントマーク310’に一致し(例えば、同じピッチ、同じデューティサイクル、同じ小区分、同じ深さ)、同じ初期較正(例えば赤X偏光)がウェーハアライメントマーク210に対して用いられる場合、更なる較正(例えばSBO較正)は不要である。
【0048】
[0063]
図3から
図13に示す可変アライメントマーク310の実施形態及び
図2及び
図3に示す固定アライメントマーク310’の実施形態は同様である場合がある。
図3から
図13に示す可変アライメントマーク310の実施形態の同様の特徴及び
図2及び
図3に示す固定アライメントマーク310’の実施形態の同様の特徴を示すのに同様の参照番号を使用する。
図3から
図13に示す可変アライメントマーク310の実施形態と
図2及び
図3に示す固定アライメントマーク310’の実施形態との主な違いは、固定アライメントマーク310’が、可変であり(例えば固定されず)、ウェーハアライメントマーク210に一致するように構成される可変アライメントマーク310ではなく、固定され(例えば不変であり)、較正システム200の初期較正(例えばリソグラフィ装置LA)のための基準マークの役割を果たすように構成される点である。
【0049】
[0064]
図3に示すように、固定アライメントマーク310’は、固定アライメントマーク位置311’、固定アライメントマークピッチ312’、固定アライメントマーク314’デューティサイクル、固定アライメントマーク小区分330’、及び/又は固定アライメントマーク深さ316’を含むことができる。一部の実施形態では、固定アライメントマーク310’は、1つ以上のMEMSアクチュエータ308’を含むことができる。一部の実施形態では、プレート220は1つ以上の固定アライメントマーク310’を備えることができる。例えば、
図2及び
図3に示すように、プレート220は、プレート220の両端に配置された2つの固定アライメントマーク310’を備えることができる。
【0050】
[0065] 一部の実施形態では、可変回折格子300は、可変アライメントマーク310の1つと固定アライメントマーク310’との次数間シフトを較正するために、ウェーハアライメントマーク210に一致するように構成することができる。一部の実施形態では、次数間シフト(SBO)は、可変アライメントマーク位置311と固定アライメントマーク位置311’との差である。一部の実施形態では、固定アライメントマーク310’は、微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータを備えることができる。例えば、固定アライメントマーク310’は、ピエゾ材料又は相変化材料(PCM)を含むことができる。一部の実施形態では、固定アライメントマーク310’は、液晶(LC)空間光変調器(SLM)を備えることができる。
【0051】
[0066] 一部の実施形態では、固定アライメントマーク310’は、固定アライメントマークピッチ312’、固定アライメントマークデューティサイクル314’、固定アライメントマーク小区分330’、及び/又は固定アライメントマーク深さ316’を含むことができる。一部の実施形態では、可変アライメントマークピッチ312は、固定アライメントマークピッチ312’と異なるように構成することができる一方、可変アライメントマークデューティサイクル314、可変アライメントマーク小区分330、及び可変アライメントマーク深さ316は、固定アライメントマークデューティサイクル314’、固定アライメントマーク小区分330’、及び/又は固定アライメントマーク深さ316’と同じであるように構成される。一部の実施形態では、固定アライメントマークピッチ312’及び/又は可変アライメントマークピッチ312は、約0.2μm~約6.4μmである可能性がある。
【0052】
[0067] 一部の実施形態では、可変アライメントマークデューティサイクル314は、固定アライメントマークデューティサイクル314’と異なるように構成することができる一方、可変アライメントマークピッチ312、可変アライメントマーク小区分330、及び可変アライメントマーク深さ316は、固定アライメントマークピッチ312’、固定アライメントマーク小区分330’、及び固定アライメントマーク深さ316’と同じであるように構成される。一部の実施形態では、固定アライメントマークデューティサイクル314’及び/又は可変アライメントマークデューティサイクル314は、複数の単位セル306の一部である可能性がある。
【0053】
[0068] 一部の実施形態では、可変アライメントマーク小区分330は、固定アライメントマーク小区分330’と異なるように構成することができる一方、可変アライメントマークピッチ312、可変アライメントマークデューティサイクル314、及び可変アライメントマーク深さ316は、固定アライメントマークピッチ312’、固定アライメントマークデューティサイクル314’、及び固定アライメントマーク深さ316’と同じであるように構成される。一部の実施形態では、固定アライメントマーク小区分330’及び/又は可変アライメントマーク小区分330は、横線332、縦線334、斜線336、多角形338、又はこれらのいくつかの組み合わせを含むことができる。一部の実施形態では、固定アライメントマーク小区分330’及び/又は可変アライメントマーク小区分330は、可変サブピッチ、例えば第1の可変サブピッチ333(例えば縦)、第2の可変サブピッチ335(例えば横)、及び/又は第3の可変サブピッチ337(例えば斜め)を含むことができる。
【0054】
[0069] 一部の実施形態では、可変アライメントマーク深さ316は、固定アライメントマーク深さ316’と異なるように構成することができる一方、可変アライメントマークピッチ312、可変アライメントマークデューティサイクル314、及び可変アライメントマーク小区分330は、固定アライメントマークピッチ312’、固定アライメントマークデューティサイクル314’、及び固定アライメントマーク小区分330’と同じであるように構成される。一部の実施形態では、固定アライメントマーク深さ316’及び/又は可変アライメントマーク深さ316は、約10nm~約220nmである可能性がある。例えば固定アライメントマーク深さ316’及び/又は可変アライメントマーク深さ316は、例えば約880nmの波長(λ)について、約λ/4である可能性がある。
【0055】
[0070]
図3から
図13は、様々な実施形態に係る可変回折格子300を示す。
図4から
図6及び
図9から
図13は、可変回折格子300の概略的上部平面図であり、
図7及び
図8は、可変回折格子300の概略的側面図である。
図7は
図5の概略的側面図である。
【0056】
[0071] 以上で考察したように、可変回折格子300は、複数の単位セル306の様々なパラメータを変化させることができる。例えば可変回折格子300は、可変アライメントマークピッチ312、可変アライメントマークデューティサイクル314、可変アライメントマーク深さ316、可変アライメントマーク小区分330、及び/又はこれらのいくつかの組み合わせを変化させることができる。
【0057】
[0072]
図4に示すように、可変回折格子300は、可変アライメントマーク310を形成する、それぞれがMEMSアクチュエータ308であり得る複数の単位セル306を含むことができる。一部の実施形態では、複数の単位セル306は複数の可変アライメントマーク310を形成することができる。
【0058】
[0073]
図5に示すように、可変回折格子300は、複数の単位セル306を選択的に活性化して、可変アライメントマークピッチ312を有する不活性セル307及び活性化セル309を形成することができる。一部の実施形態では、可変回折格子300は、複数の単位セル306に電圧を印加することによって複数の単位セル306を選択的に活性化することができる。例えば、
図9に示すように、活性化セル309及び不活性セル307の交互パターン(例えば回折格子)を形成するために、複数の単位セル306に電圧を印加することができる。一部の実施形態では、可変回折格子300は、特定の可変アライメントマークデューティサイクル314(例えば25%、50%など)で動作するように複数の単位セル306を選択的に活性化することができる。例えば、
図5に示すように、50%の可変アライメントマークデューティサイクル314(例えば活性化セル309が空間的周期の半分に対応する)に対応する活性化セル309及び不活性セル307の交互パターン(例えば回折格子)を形成するために、可変アライメントマークピッチ312を有する複数の単位セル306に電圧を印加することができる。例えば、
図6に示すように、25%の可変アライメントマークデューティサイクル314(例えば活性化セル309が空間的周期の4分の1に対応する)に対応する活性化セル309及び不活性セル307の異なるパターン(例えば非対称回折格子)を形成するために、可変アライメントマークピッチ312を有する複数の単位セル306に電圧を印加することができる。一部の実施形態では、可変アライメントマークデューティサイクル314(例えば25%、50%など)は空間的周期である可能性がある。
【0059】
[0074] 一部の実施形態では、
図5及び9に示すように、可変アライメントマーク310は、不活性セル307及び活性化セル309から繰り返される周期(例えば可変アライメントマークピッチ312)で形成することができる。例えば、可変アライメントマーク310は回折格子である可能性がある。一部の実施形態では、ウェーハアライメントマーク210はウェーハアライメントマークピッチ212を含むことができ、可変アライメントマーク310は、ウェーハアライメントマークピッチ212に一致するように構成された可変アライメントマークピッチ312を含むことができる。例えば、可変アライメントマークピッチ312は、較正プロセス(例えばSBO較正、補間)のためにウェーハアライメントマークピッチ212に一致することができる。一部の実施形態では、可変アライメントマーク310(例えばウェーハアライメントマーク210に一致するように構成された)と固定アライメントマーク310’の比較が、SBO較正誤差及び/又は補間較正誤差を減らすように構成される可能性がある。一部の実施形態では、可変アライメントマークピッチ312は約0.2μm~約6.4μmである可能性がある。例えば、可変アライメントマークピッチ312は、約0.8μm、1μm、1.2μm、1.4μm、1.6μm、1.8μm、2μm、2.2μm、2.4μm、2.6μm、2.8μm、3μm、又は3.2μmである可能性がある。
【0060】
[0075]
図5及び6に示すように、可変回折格子300は、可変アライメントマークピッチ312の可変アライメントマークデューティサイクル314を含むことができる。可変アライメントマークデューティサイクル314は、例えばウェーハアライメントマーク210及び/又は固定アライメントマーク310’の様々な回折次数を測定するように構成することができる。例えば、
図5は、可変アライメントマークピッチ312に対して50%の可変アライメントマークデューティサイクル314を示している一方、
図6は、可変アライメントマークピッチ312に対して25%の可変アライメントマークデューティサイクル314を示している。ウェーハアライメントマークピッチ212(例えば関心のあるピッチ)に一致するように調整され得る同じピッチ(例えば可変アライメントマークピッチ312)を維持することによって、様々な回折次数が、可変アライメントマークデューティサイクル314(例えば25%、50%、75%など)を調整することによってスキャンされる可能性がある。一部の実施形態では、可変アライメントマークデューティサイクル314は、複数の単位セル306の一部である可能性がある。例えば、
図6に示すように、可変アライメントマークデューティサイクル314は25%(例えば16個の単位セル306のうちの4個)である。
【0061】
[0076]
図7及び
図8に示すように、可変アライメントマーク310は、様々な深さで形成することができ、可変アライメントマークベース深さ315、可変アライメントマーク深さ316、及び/又は可変アライメントマーク第2深さ317を含むことができる。例えば、
図5に示した可変回折格子300の概略的側面図である
図7に示すように、可変アライメントマーク310は、可変アライメントマークベース深さ315に不活性セル307を有し、可変アライメントマーク深さ316に活性化セル309を有することができる。一部の実施形態では、ウェーハアライメントマーク210はウェーハアライメントマーク深さ216を含むことができ、可変アライメントマーク310は、ウェーハアライメントマーク深さ216に一致するように構成された可変アライメントマーク深さ316を含むことができる。例えば、可変アライメントマーク深さ316は、較正プロセス(例えばSBO較正、補間)のためにウェーハアライメントマーク深さ216に一致することができる。一部の実施形態では、可変アライメントマーク深さ316は、可変アライメントマーク310からの強度を固定アライメントマーク310’の強度に最適化及び/又は調整してSBO較正誤差及び/又は補間較正誤差を減らし、検出を改善する(例えば強度を正規化する)ように構成することができる。一部の実施形態では、可変回折格子300は、複数の単位セル306について複数の深さ、例えば可変アライメントマークベース深さ315、可変アライメントマーク深さ316、及び/又は可変アライメントマーク第2深さ317を含むことができる。例えば、
図8に示すように、可変アライメントマーク310は、例えば三重回折格子(例えば可変アライメントマークピッチ312にわたりλ/6深さ間隔を有する)を作製する繰り返し可能なパターンとして可変アライメントマークベース深さ315、可変アライメントマーク深さ316、及び可変アライメントマーク第2深さ317を含むことができる。一部の実施形態では、可変アライメントマーク深さ316及び/又は可変アライメントマーク第2深さ317は約10nm~約220nmである可能性がある。例えば、可変アライメントマーク深さ316は約50nmである可能性があり、可変アライメントマーク第2深さ317は約100nmである可能性がある。
【0062】
[0077] 以上で説明し、
図9に示すように、可変アライメントマーク310は、不活性セル307及び活性化セル309から繰り返される周期(例えば可変アライメントマークピッチ312)で形成することができる。
図10から
図13は、活性化セル309の代替的な可変アライメントマーク小区分330、例えば横線332、第1の可変サブピッチ333(縦ピッチ)、縦線334、第2の可変サブピッチ335(横ピッチ)、斜線336、第3の可変サブピッチ337、多角形338、及び/又はこれらのいくつかの組み合わせを示している。可変アライメントマーク小区分330は、更なるパターン解像度及び/又は複雑さのための各活性化セル309内のサブセル(図示せず)の活性化、例えば第1の可変サブピッチ333を含む横線332を形成することである可能性がある。各サブセル(図示せず)は、約20nm×20nm(例えば400nm
2)である可能性がある。例えば、
図10に示すように、活性化セル309は、横線332と第1の可変サブピッチ333とを含む可変アライメントマーク小区分330を含むことができる。例えば、
図11に示すように、活性化セル309は、縦線334と第2の可変サブピッチ335とを含む可変アライメントマーク小区分330を含むことができる。例えば、
図12に示すように、活性化セル309は、横線332と、縦線334と、第1及び第2の可変サブピッチ333、335のそれぞれとの組み合わせを含む可変アライメントマーク小区分330を含むことができる。例えば、
図12に示すように、活性化セル309は、斜線336と第3の可変サブピッチ337とを含む可変アライメントマーク小区分330を含むことができる。例えば、
図13に示すように、活性化セル309は、各活性化セル309内に多角形338、例えば正方形を含む可変アライメントマーク小区分330を含むことができる。
【0063】
[0078] 一部の実施形態では、ウェーハアライメントマーク210はウェーハアライメントマーク小区分214を含むことができ、可変アライメントマーク310の1つは、ウェーハアライメントマーク小区分214に一致するように構成された可変アライメントマーク小区分330を含むことができる。例えば、可変アライメントマーク小区分330は、較正プロセス(例えばSBO較正)のためにウェーハアライメントマーク小区分214に一致することができる。一部の実施形態では、可変アライメントマーク小区分330は、SBO較正誤差を減らす、及び/又は可変アライメントマーク310の回折次数を最適化するように構成することができる。一部の実施形態では、可変アライメントマーク小区分330は、横線332、縦線334、斜線336、多角形336、及び/又はこれらのいくつかの組み合わせを含むことができる。例えば
図12に示すように、可変アライメントマーク小区分330は、横線332と縦線334の組み合わせを含むことができる。
【0064】
[0079] 一部の実施形態では、リソグラフィ装置LAは、プレート220上の固定アライメントマーク310’と可変回折格子300上の複数の可変アライメントマーク310の1つとの次数間シフト302を較正するように構成された較正システム200を備えることができる。一部の実施形態では、ウェーハアライメントマーク210は、ウェーハアライメントマークピッチ212及びウェーハアライメントマーク深さ216を含むことができ、複数の可変アライメントマーク310の1つは、ウェーハアライメントマークピッチ212に一致するように構成された可変アライメントマークピッチ312と、ウェーハアライメントマーク深さ216に一致するように構成された可変アライメントマーク深さ316とを含むことができる。一部の実施形態では、可変回折格子300は、固定アライメントマーク310’の様々な回折次数を測定するように構成された可変アライメントマークデューティサイクル314を含むことができる。一部の実施形態では、ウェーハアライメントマーク210はウェーハアライメントマーク小区分214を含むことができ、複数の可変アライメントマーク310の1つは、ウェーハアライメントマーク小区分214に一致するように構成された可変アライメントマーク小区分330を含むことができる。
【0065】
[0080] 例示的なフローチャート
[0081]
図14は、ある実施形態に係る、リソグラフィ装置LA(例えば、アライメント位置、SBOなど)を較正するためのフローチャート1400を示している。本明細書に示された開示内容を実行するために
図14の全てのステップが必要とされるわけではないことを理解されたい。更に、ステップの一部は同時に、又は
図14に示すのと異なる順序で実行されることがある。フローチャート1400は
図3を参照して説明されるものとする。ただし、フローチャート1400はこれらの例示的な実施形態に限定されない。
【0066】
[0082] ステップ1402では、
図3の例に示すように、プレート220上の固定アライメントマーク310’の固定アライメントマーク位置311’が測定される。例えば、固定アライメントマーク位置311’は、XYZ座標及び/又は回折次数位置を含むことができ、リソグラフィ装置LA及び/又は較正システム200のプロセッサ(図示せず)及び/又はアライメントセンサ(図示せず)によって測定することができる。一部の実施形態では、固定アライメントマーク位置311’の測定はリアルタイムで、例えば0.2秒以内に行うことができる。
【0067】
[0083] ステップ1404では、
図3の例に示すように、プレート220上のウェーハ202に隣接した可変回折格子300の複数の可変アライメントマーク310のうちの1つの可変アライメントマーク位置311が測定される。複数の可変アライメントマーク310は、複数の可変アクチュエータ、例えばMEMSアクチュエータ308を含む。例えば可変アライメントマーク位置311は、XYZ座標及び/又は回折次数位置を含むことができ、リソグラフィ装置LA及び/又は較正システム200のプロセッサ(図示せず)及び/又はアライメントセンサ(図示せず)によって測定することができる。一部の実施形態では、可変アライメントマーク位置311の測定は、ステップ1402と同時に、又はリアルタイムで、例えば0.2秒以内に行うことができる。
【0068】
[0084] ステップ1406では、
図3の例に示すように、ウェーハ202上のウェーハアライメントマーク210のウェーハアライメントマーク位置211が測定される。例えば、ウェーハアライメントマーク位置211は、XYZ座標及び/又は回折次数位置を含むことができ、リソグラフィ装置LA及び/又は較正システム200のプロセッサ(図示せず)及び/又はアライメントセンサ(図示せず)によって測定することができる。一部の実施形態では、ウェーハアライメントマーク位置211の測定はリアルタイムで、例えば0.2秒以内に行うことができる。
【0069】
[0085] ステップ1408では、
図3の例に示すように、固定アライメントマーク位置311’(例えばXYZ座標、回折次数位置)と可変アライメントマーク位置311(例えばXYZ座標、回折次数位置)とは、複数の可変アライメントマーク310のうちの1つと固定アライメントマーク310’との次数間シフト(SBO)302を決定するために、リソグラフィ装置LA及び/又は較正システム200のプロセッサ(図示せず)及び/又はアライメントセンサ(図示せず)、例えば差動センサによって比較することができる。例えば、測定位置(例えばXYZ座標、回折次数位置など)の差異304を比較することができる。
【0070】
[0086] ステップ1410では、
図3の例に示すように、リソグラフィ装置LAはSBO302に基づいて較正される。例えば、可変アライメントマーク310と固定アライメントマーク310’の間の測定位置の誤差は、例えばリソグラフィ装置LA及び/又は較正システム200のプロセッサ(図示せず)及び/又はアライメントセンサ(図示せず)によって修正することができる。
【0071】
[0087] 一部の実施形態では、フローチャート1400は、複数のアクチュエータ(例えばMEMSアクチュエータ308)を活性化して、ウェーハアライメントマーク210の特徴に基づいて複数の可変アライメントマーク310を形成することを更に含むことができる。例えばウェーハアライメントマーク210の特徴は、ピッチ、回折次数、アライメント位置、小区分、深さ、及び/又はこれらのいくつかの組み合わせを含むことができる。一部の実施形態では、活性化することは、複数の可変アクチュエータ(例えばMEMSアクチュエータ308)のピッチ、デューティサイクル、小区分、深さ、又はこれらのいくつかの組み合わせを調整することを含むことができる。一部の実施形態では、較正することは、ウェーハアライメントマーク位置211に次数間シフト(SBO)修正を加えることを含むことができる。
【0072】
[0088] 一部の実施形態では、アライメントセンサ(図示せず)が、初期較正及び/又は測定条件のために固定アライメントマーク310’を測定することができる(例えば、8つのチャネルのうちの1つ、例えば赤X偏光を、4つの色(例えば、赤、緑、青、UV)及び2つの偏光(例えば、X偏光(水平に偏光された)、Y偏光(垂直に偏光された))から任意に選ぶことができる)。一部の実施形態では、ウェーハアライメントマーク210が固定アライメントマーク310’(例えば、同じピッチ、同じデューティサイクル、同じ小区分、同じ深さ)に一致しない、及び/又は同じ初期較正(例えば赤X偏光)がウェーハアライメントマーク210に用いられない場合、正確なウェーハアライメントマーク位置211のために較正/修正(例えばSBO修正)が必要である。例えば可変アライメントマーク310は、例えば可変アライメントマーク位置311を固定アライメントマーク位置311’と比較することによって、SBO較正に追加のマーク(例えば固定アライメントマーク310’に加えて)を提供するために、固定アライメントマーク310’と異なる(例えば、異なるピッチ、異なるデューティサイクル、異なる小区分、異なる深さ)、ウェーハアライメントマーク210(例えば、同じピッチ、同じデューティサイクル、同じ小区分、同じ深さ)に一致するように構成することができる。一部の実施形態では、可変アライメントマーク位置311と固定アライメントマーク位置311’との得られた差異/比較(例えばSBO修正)は、ウェーハアライメントマーク位置211に適用することができる。
【0073】
[0089] 例示的な可変回折格子
[0090]
図15は、様々な実施形態に係る、代替的な可変回折格子300’’を示している。一部の実施形態では、可変回折格子300’’は複数の可変アライメントマーク310’’を提供するように構成することができる。
【0074】
[0091]
図15は、例示的な実施形態に係る可変回折格子300’’を示している。
図3から
図13に示す可変回折格子300の実施形態と
図15に示す可変回折格子300’’の実施形態とは同様である場合がある。
図3から
図13に示す可変回折格子300の実施形態の類似の特徴及び
図15に示す可変回折格子300’’の実施形態の類似の特徴を示すために、類似の参照番号を使用する。
図3から
図13に示す可変回折格子300の実施形態と
図15に示す可変回折格子300’’の実施形態との主な違いは、可変回折格子300’’が、
図3から
図13に示すMEMSアクチュエータ308を含む可変回折格子300ではなく、液晶(LC)空間光変調器(SLM)308’’を含む点である。一部の実施形態では、
図15に示すように、可変回折格子300’’は、可変アライメントマーク310’’、活性化セル309’’、及び液晶(LC)空間光変調器(SLM)308’’を含むことができる。
【0075】
[0092]
図15に示すように、可変回折格子300’’の例示的な態様は、液晶(LC)空間光変調器(SLM)308’’である。液晶(LC)空間光変調器(SLM)308’’は、反射光形状及び/又は強度を変化させ得る、可変回折格子300’’の位相遅延を変化させるように構成することができる。一部の実施形態では、液晶(LC)空間光変調器(SLM)308’’は、ベース格子340を物理的に変化させることなく反射光形状及び/又は強度を変化させるように構成することができる。例えば、異なる反射光形状及び/又は強度を生成するために、異なる電圧を第1及び第2の導電層342、344に印加することができる。
【0076】
[0093] 可変回折格子300’’は、液晶(LC)空間光変調器(SLM)308’’及び電圧源350を備えることができる。液晶(LC)空間光変調器(SLM)308’’は、ベース格子340、第1の導電層342、液晶(LC)層344、及び第2の導電層344を備えることができる。液晶(LC)層344は、第1及び第2の導電層342、344間に配置することができる。一部の実施形態では、第1の導電層342は、ベース格子340、例えば反射金属(例えば、金、アルミニウム、銀など)の表面を覆うことができる。一部の実施形態では、第2の導電層344は、透明導電ファーム、例えば酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、及び/又はドープ酸化亜鉛である可能性がある。一部の実施形態では、液晶(LC)層344はネマチックである可能性がある。
【0077】
[0094] 電圧源350は、第1の接続352及び第2の接続354を備えることができる。電圧源350は、液晶(LC)層344に電圧差を印加するように構成することができる。第1の接続352は、第1の導電層342に接続し、第1の電位(例えば負又は接地)を供給するように構成することができる。第2の接続354は、第2の導電層344に接続し、第2の電位(例えば正)を供給するように構成することができる。一部の実施形態では、液晶(LC)層344に電圧差を印加することは、液晶(LC)空間光変調器(SLM)308’’の位相遅延を変化させることができる。例えば、反射光形状及び/又は強度は、様々な電圧を印加することによって変化させることができる。
【0078】
[0095] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCD、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板(例えばウェーハ)は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0079】
[0096] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本実施形態は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを適用することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0080】
[0097] 本明細書中の言い回し又は専門用語は説明を目的とするものであって限定を目的とするものではないことが理解されるべきであり、従って、本明細書の専門用語又は言い回しは、本明細書中の教示に照らして当業者によって解釈されるべきである。
【0081】
[0098] 本明細書で使用される「ウェーハ」という用語は、その上に材料層が追加される材料を記述する。一部の実施形態では、ウェーハ自体にパターンが付与されると共に、その上に追加された材料にもパターンが付与されるか、又はパターン付与されないままである場合がある。
【0082】
[0099] 実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらのいずれかの組み合わせにおいて実装可能である。また、実施形態は、1つ以上のプロセッサによって読み取り及び実行され得る機械読み取り可能媒体上に記憶された命令としても実装することができる。機械読み取り可能媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態の情報を記憶又は送信するためのいずれかの機構を含み得る。例えば、機械読み取り可能媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音、又は他の形態の伝搬信号、及び他のものを含むことができる。更に、一定の動作を実行するものとして本明細書ではファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、及び/又は命令を記載することができるが、そのような記載は単に便宜上のものであり、そういった動作は実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、及び/又は命令を実行する他のデバイスから得られることは認められよう。
【0083】
[0100] 以下の例はこの開示の実施形態を説明するものであるが限定的ではない。本技術分野で通常見られ、当業者に自明と思われる各種の条件及びパラメータのその他の適切な変更形態及び適応形態も本開示の趣旨及び範囲内にある。
【0084】
[0101] 本文では、ICの製造における装置及び/又はシステムの使用について特に言及しているが、そのような装置及び/又はシステムは他の多くの可能な用途を有することを明確に理解されるべきである。例えば、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCDパネル、薄膜磁気ヘッドなどに使用できる。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「レチクル」、「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「マスク」、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。
【0085】
[0102] 特定の実施形態が上に記載されているが、本実施形態は、記載されている以外の方法で実施され得ることが理解されるであろう。この説明は、本発明を限定することを意図するものではない。
【0086】
[0103] 特許請求の範囲を解釈するには、「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項を使用するよう意図されていることを理解されたい。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、したがって本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも限定しないものとする。
【0087】
[0104] 以上では、特定の機能の実施例を例示する機能的構成要素及びその関係を用いて本実施形態について説明してきた。これらの機能的構成要素の境界は、本明細書では説明の便宜を図って任意に画定されている。特定の機能及びその関係が適切に実行される限り、代替的境界を画定することができる。
【0088】
[0105] 特定の実施形態の前述の説明は、本実施形態の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本実施形態の全体的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に変更及び/又はこれを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び変更は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲に入るものとする。
【0089】
[0106] 本実施形態の幅及び範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるものである。