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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】接合型ウェーハの剥離方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20231225BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20231225BHJP
   B23K 26/57 20140101ALI20231225BHJP
【FI】
H01L21/02 C
H01L21/68 N
B23K26/57
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023535613
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2022035852
(87)【国際公開番号】W WO2023054321
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2021159760
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】石崎 順也
(72)【発明者】
【氏名】山田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】小川 敬典
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-506061(JP,A)
【文献】特開2007-042664(JP,A)
【文献】特表2014-517518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/683
B23K 26/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離されたデバイス構造部の製造方法であって、
AlGaInP系材料を含むエピタキシャル機能層が積層されたn型の出発基板を準備する工程、
前記エピタキシャル機能層の前記出発基板を有する側とは反対側に、熱硬化性の硬化型接合材の硬化物層を介して支持体を接合する工程、
前記出発基板を除去し、エピタキシャル機能層のn型の層を露出させる工程、
前記n型の層上に第一電極を形成する工程、
前記n型の層の、前記第一電極が形成された領域以外の領域の一部を除去し、p型の層を露出させる工程、
前記p型の層上に第二電極を形成する工程、
加熱処理によりオーミック接触を得る工程、
前記支持体側からレーザー光を照射することにより、前記硬化物層及び/又は前記硬化物層と接触する前記エピタキシャル機能層の表面の少なくとも一部にレーザー光を吸収させ、前記硬化物層及び/又は前記エピタキシャル機能層の表面を分解することで、前記第一電極及び前記第二電極を有するエピタキシャル機能層を前記支持体から分離させることを特徴とする分離されたデバイス構造部の製造方法。
【請求項2】
前記エピタキシャル機能層を、発光素子構造を有するものとすることを特徴とする請求項1に記載の分離されたデバイス構造部の製造方法。
【請求項3】
前記硬化型接合材を、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂のいずれか1つを含むものとすることを特徴とする請求項に記載の分離されたデバイス構造部の製造方法。
【請求項4】
前記レーザー光を、エキシマレーザーとすることを特徴とする請求項1に記載の分離されたデバイス構造部の製造方法。
【請求項5】
前記レーザー光照射前に、粘着剤を塗布した仮支持基板を、前記エピタキシャル機能層の前記支持体が設けられた面とは反対側の面に粘着することを特徴とする請求項1に記載の分離されたデバイス構造部の製造方法。
【請求項6】
前記粘着剤を、シリコーンとすることを特徴とする請求項に記載の分離されたデバイス構造部の製造方法。
【請求項7】
前記仮支持基板を、サファイア、SiC、合成石英、石英、ガラス、LiTaO、LiNbOのいずれかの材料からなるものとすることを特徴とする請求項又は請求項に記載の分離されたデバイス構造部の製造方法。
【請求項8】
前記デバイス構造部が、赤色LEDチップである請求項記載の分離されたデバイス構造部の製造方法
【請求項9】
前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmである請求項記載の分離されたデバイス構造部の製造方法
【請求項10】
前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmである請求項記載の分離されたデバイス構造部の製造方法
【請求項11】
前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する請求項記載の分離されたデバイス構造部の製造方法
【請求項12】
前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmであり、
記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する請求項記載の分離されたデバイス構造部の製造方法
【請求項13】
前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmであり、
記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテンを含み、
前記支持体は、サファイア基板を有する請求項記載の分離されたデバイス構造部の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合型ウェーハの剥離方法に関し、特に、エピタキシャルウェーハを異種基板に接合した接合型ウェーハの剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
出発基板からエピタキシャル機能層のみを分離し、別の基板へ移載する技術は、出発基板の物性に起因する制約を緩和し、デバイスシステムの設計自由度を上げるために重要な技術である。
【0003】
この移載を実現するためには、エピタキシャル機能層を永久基板に接合後、出発基板を除去し、移載を実現する技術が必要である。
【0004】
特許文献1では、半導体エピタキシャル基板と仮支持基板とを誘電体層を介して熱圧着接合する技術とウェットエッチングで仮支持基板とエピタキシャル機能層を分離する技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には接合性の向上とは直接かかわりはないが、接合時の一形態として、透明導電層が接着層と機能層との間に挿入される技術が開示されている。
【0006】
しかし、特許文献1では、半導体エピ基板と前記仮支持基板とを誘電体層を介して熱圧着接合する技術と、ウェットエッチングで仮支持基板とエピタキシャル機能層を分離する技術が開示されているが、仮支持を維持するためには、熱条件が一定以下であるという制約がある。そのため、出発基板除去後にエピタキシャル機能層にデバイスを作製することに制約があった。
【0007】
また、出発基板除去後にデバイス工程を実施する場合、オーミック接触を得るために熱工程は必須である。しかし、有機接合材によって接合されている状態でオーミック接触となる熱履歴をかけると仮支持から永久接合(仮支持よりも、より強固な接合)になり、剥離が困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2021-27301号公報
【文献】特開2004-158823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、接合型ウェーハとして、エピタキシャル機能層の片方の面に極性の異なる2つ以上の電極を有したデバイス構造部を有し、デバイス構造部が硬化型接合材で異種基板からなる支持体と接合されるという、硬化型接合材で強固に接合されたウェーハの分離において、デバイス構造部の残存率が高い分離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、エピタキシャル機能層の片方の面に極性の異なる2つ以上の電極を有したデバイス構造部を有し、前記デバイス構造部が硬化型接合材で異種基板からなる支持体と接合された接合型ウェーハから、前記支持体を剥離する接合型ウェーハの剥離方法であって、前記接合型ウェーハにレーザー光を照射することにより、前記硬化型接合材及び/又は前記硬化型接合材と接触する前記デバイス構造部の表面の少なくとも一部にレーザー光を吸収させ、前記硬化型接合材及び/又は前記デバイス構造部の表面を分解することで、前記デバイス構造部と前記支持体を分離させることを特徴とする接合型ウェーハの剥離方法を提供する。
【0011】
このような本発明の接合型ウェーハの剥離方法では、レーザー光を照射することにより、容易に支持体をデバイス構造部から剥離することができる。そのため、機械加工やエッチングによって支持体を除去することに比べてデバイス構造部の残存率(デバイス構造部が破壊されずに残存する割合)を高くすることができる。
【0012】
また、本発明の接合型ウェーハの剥離方法では、前記エピタキシャル機能層を、発光素子構造を有するものとすることができる。
【0013】
また、前記エピタキシャル機能層を、AlGaInP系材料を含むものとすることができる。
【0014】
本発明は、これらのような構造を有する接合型ウェーハの剥離において好適に採用するこができる。
【0015】
また、本発明の接合型ウェーハの剥離方法では、前記硬化型接合材を、熱硬化性、UV硬化性、及び、常温硬化性のいずれかの硬化特性を有するものとすることが好ましい。
【0016】
この場合、前記硬化型接合材を、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂のいずれか1つを含むものとすることが好ましい。
【0017】
本発明の接合型ウェーハの剥離方法は、このような硬化型接合材を用いた場合に、特に好適である。
【0018】
また、前記エピタキシャル機能層を、エピタキシャル成長用出発基板が除去されているものとすることが好ましい。
【0019】
本発明の接合型ウェーハの剥離方法は、出発用基板が除去されている接合型ウェーハの剥離に好適に適用することができる。
【0020】
また、前記異種基板を、サファイア、SiC、合成石英、石英、ガラス、LiTaO、LiNbOのいずれかの材料からなるものとすることが好ましい。
【0021】
このような異種基板は、レーザーに対する透過性が高くなるように選択することができ、本発明の接合型ウェーハの剥離方法に適している。
【0022】
また、前記レーザー光を、エキシマレーザーとすることが好ましい。
【0023】
このように、レーザー光としてエキシマレーザーを用いることにより、より確実に接合型ウェーハの剥離を行うことができる。
【0024】
また、前記レーザー光照射前に、粘着剤を塗布した仮支持基板を、前記エピタキシャル機能層の前記接合型ウェーハの前記異種基板とは反対側の面に粘着することが好ましい。
【0025】
このとき、前記粘着剤を、シリコーンとすることが好ましい。
【0026】
前記仮支持基板を、サファイア、SiC、合成石英、石英、ガラス、LiTaO、LiNbOのいずれかの材料からなるものとすることが好ましい。
【0027】
これらのような仮支持基板及び粘着剤を用いることにより、接合型ウェーハの剥離をより円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の接合型ウェーハの剥離方法では、レーザー光を照射することにより、容易に支持体をデバイス構造部から剥離することができる。レーザー光の照射による剥離では、デバイスに掛かる応力が少なくて済む。そのため、機械加工やエッチングによって支持体を除去することに比べてデバイス構造部の残存率(デバイス構造部が破壊されずに残存する割合)を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】接合型ウェーハを作製するプロセスの一部として、出発基板上にエピタキシャル機能層を有するエピタキシャルウェーハを作製する工程を示す概略図である。
図2】接合型ウェーハを作製するプロセスの一部として、エピタキシャルウェーハと異種基板を接合する工程を示す概略図である。
図3】接合型ウェーハを作製するプロセスの一部として、出発基板を除去する工程を示す概略図である。
図4】接合型ウェーハを作製するプロセスの一部として、第一電極を形成する工程を示す概略図である。
図5】接合型ウェーハを作製するプロセスの一部として、切り欠き部を形成する工程を示す概略図である。
図6】接合型ウェーハを作製するプロセスの一部として、第二電極を形成する工程を示す概略図である。
図7】接合型ウェーハの剥離を行う前に、接合型ウェーハと仮支持基板を接着する工程を示す概略図である。
図8】本発明の接合型ウェーハの剥離方法の第一の実施形態の一例を示す概略図である。
図9】本発明の接合型ウェーハの剥離方法の第二の実施形態の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
本発明は、エピタキシャル機能層の片方の面に極性の異なる2つ以上の電極を有したデバイス構造部を有し、前記デバイス構造部が硬化型接合材で異種基板からなる支持体と接合された接合型ウェーハから、前記支持体を剥離する接合型ウェーハの剥離方法であって、前記接合型ウェーハにレーザー光を照射することにより、前記硬化型接合材及び/又は前記硬化型接合材と接触する前記デバイス構造部の表面の少なくとも一部にレーザー光を吸収させ、前記硬化型接合材及び/又は前記デバイス構造部の表面を分解することで、前記デバイス構造部と前記支持体を分離させることを特徴とする接合型ウェーハの剥離方法である。
【0032】
本発明の剥離方法を適用することができる接合型ウェーハは、上記のように、エピタキシャル機能層の片方の面に極性の異なる2つ以上の電極を有したデバイス構造部を有しており、デバイス構造部が硬化型接合材で異種基板からなる支持体と接合された接合型ウェーハである。この接合型ウェーハは、例えば、以下のようにして作製することができるが、これに限定されない。
【0033】
[第一の実施形態]
第一の実施形態では、主に、硬化型接合材としてシリコーン樹脂を用いる場合を例示して説明する。
【0034】
まず、図1に示すように出発基板10上に、順次エピタキシャル成長を行い、各層を形成する。これにより、エピタキシャル機能層を作製する。より具体的には、以下のようにして各層のエピタキシャル成長を行うことができる。図1に示すように、出発基板10として、第一導電型のGaAs出発基板を準備した後、第一導電型のGaAsバッファ層11を積層後、第一導電型のGaInP第一エッチストップ層12を例えば0.3μm、第一導電型のGaAs第二エッチストップ層13を例えば0.3μm、第一導電型のAlGaInP第一クラッド層14を例えば1.0μm、ノンドープのAlGaInP活性層15、第二導電型のAlGaInP第二クラッド層16を例えば1.0μm、第二導電型のGaInP中間層17を例えば0.1μm、第二導電型のGaP窓層18を例えば4μm、順次成長させることができる。これにより、エピタキシャル機能層19としての発光素子構造を有するエピタキシャルウェーハ100を準備する。ここでAlGaInP第一クラッド層14からAlGaInP第二クラッド層16までをDH構造部(ダブルヘテロ構造部)と称する。
【0035】
次に、図2に示すように、エピタキシャルウェーハ100と異種基板21を、硬化型接合材22で接合する。異種基板21は、接合型ウェーハの支持体となるものである。より具体的には、以下のようにして接合を行うことができる。図2に示すように、エピタキシャルウェーハ100上に硬化型接合材(熱硬化型接合部材)22としてシリコーン樹脂をスピンコートし、異種基板21であるサファイアウェーハと対向させて重ね合わせ、熱圧着することでエピタキシャルウェーハ100と異種基板21であるサファイアウェーハとを硬化型接合材22であるシリコーン樹脂を介して接合する。このようにして、エピタキシャルウェーハ接合基板200を作製する。スピンコートにてシリコーン樹脂を塗布する際、設計膜厚は例えば1.0μm程度とすることができる。
【0036】
なお、エピタキシャルウェーハ100上に直接、硬化型接合材22をスピンコートするものに限定されるものではなく、エピタキシャルウェーハ100上に透明な膜を1層以上積層した後にスピンコートを行っても同様の効果が得られる。前記透明な膜は、SiO、SiNなどの絶縁膜、酸化インジウム、酸化スズ、ITO(インジウムスズ酸化物)などの透明導電膜を1層以上有する構造とすることができる。
【0037】
また、異種基板21はサファイアに限定されるものではなく、平坦性が担保されて、かつレーザー光の吸収率の低い材料であればどのような材料も選択可能である。サファイアの他、SiC、合成石英、石英(天然石英)、ガラス、LiTaO、LiNbO等を選択することができる。
【0038】
また、硬化型接合材22はシリコーン樹脂に限定されるものではなく、硬化性、特に熱硬化性を有するものであれば、どのような材料でも選択可能である。シリコーン樹脂の他、フッ素樹脂などを用いてもよい。
【0039】
次に、図3に示すように、異種基板21上にエピタキシャル機能層19を残し、出発基板10を除去する。より具体的には、以下のようにして除去を行うことができる。図3に示すように、GaAs出発基板10(及びGaAsバッファ層11)をアンモニア過水(アンモニア水と過酸化水素水の混合)などの選択エッチング液によりウェットエッチング処理して除去し、GaInP第一エッチストップ層12を露出させる。次にエッチャントを塩酸系に切り替えてGaInP第一エッチストップ層12を選択的に除去し、GaAs第二エッチストップ層13を露出させる。次にエッチャントを硫酸過水系に切り替えてGaAs第二エッチストップ層13を選択的に除去し、第一クラッド層14を露出させる。以上の処理を行うことにより、エピタキシャル機能層19(より具体的にはDH層(AlGaInP第一クラッド層14からAlGaInP第二クラッド層16)と窓層18)を保持する接合基板300を作製する。
【0040】
なお、ここでは、硬化型接合材22の厚さとして、1.0μmのシリコーン樹脂厚を例示したが、この厚さに限定されるものではなく、この厚さ以上に薄くても厚くても同様の効果が得られる。ただ、シリコーン樹脂をスピンコートで形成しているため、薄すぎる場合、接合処理後の面積歩留まりが低下する傾向がある。接合後、90%以上の面積歩留まりを保つためには0.05μm以上の接着層厚を設計することが好適である。また、70%以上の接合面積歩留まりを維持すればよいのであれば、0.01μm以上のシリコーン樹脂を設計しておけばよい。ただし経済合理性から10μm以下の膜厚とすることが好適である。
【0041】
次に図4に示すように、第一導電型のAlGaInP第一クラッド層14の一部領域に第一電極41を形成する。第一電極41は高反射性の金属を使用することが好適であり、Au系を用いた電極とすることができる。この第一電極41は、例えばAlGaInP第一クラッド層14と接する金属にAuBe系を用いることができる。
【0042】
次に図5に示すように、第一電極41形成後、第一導電型のAlGaInP第一クラッド層14の第一電極41の形成域以外の領域の一部をドライエッチングなどの方法により切り欠き、切り欠き部に第二導電型GaP窓層18を露出させる。
【0043】
なお、図5では半導体層部のみを切り欠く場合を例示しているが、半導体部のみを切り欠く場合に限定されず、硬化型接合材22(シリコーン樹脂)部まで切り欠いてもよいし、異種基板21部まで切り欠いてもよい。
【0044】
次に図6に示すように、側面をパッシベーション(PSV)膜65で被覆する。更に露出領域に第二電極61を形成したデバイス構造部を有する接合基板を作製する。第二電極61は高反射性の金属を使用することが好ましい。具体的にはAu系を用いることができ、AuSi系とすることが好ましい。なお、前述のように第二電極61形成前にPSV膜65を形成してもよいし、第二電極61形成後にPSV膜65を形成してもよい。また、必ずしもPSV膜65自体形成しなくてもよい。第一・第二電極形成後、オーミック接触を得るため、例えば400℃5分間のRTA熱処理を行う。
【0045】
このようにして、エピタキシャル機能層19の片方の面に極性の異なる2つ以上の電極(第一電極41及び第二電極61)を有したデバイス構造部が、硬化型接合材22で異種基板21からなる支持体と接合された接合型ウェーハ(デバイス構造部を有する接合基板)600を作製する。
【0046】
本発明は、このような接合型ウェーハ600から、異種基板21からなる支持体を剥離する接合型ウェーハの剥離方法であり、接合型ウェーハ600にレーザー光を照射することにより、硬化型接合材22及び/又は硬化型接合材22と接触するデバイス構造部の表面の少なくとも一部にレーザー光を吸収させ、硬化型接合材22及び/又はデバイス構造部の表面を分解することで、デバイス構造部と支持体を分離させることを特徴とする。第一の実施形態では、デバイス構造部の表面の分解による態様を主に説明する。この分離は具体的には以下のようにして行うことができる。
【0047】
まず、図7のように、レーザー光照射前に、粘着剤72を塗布した仮支持基板71を、エピタキシャル機能層19の接合型ウェーハの異種基板21とは反対側の面に粘着することが好ましい。この粘着は、具体的には以下の通りである。まず、図7に示すように、仮支持基板71として合成石英ウェーハ上に、層状のシリコーン粘着剤72を塗布した仮支持基板71を準備し、接合型ウェーハ600と仮支持基板71を対向させて圧迫し、粘着剤に粘着させる。
【0048】
なお、仮支持基板71としては合成石英に限定されず、サファイアや石英(天然石英)、ガラス、SiC、LiTaO、LiNbOなどを用いることができる。
【0049】
次に図8に示すように、異種基板21側よりエキシマレーザーを照射し、異種基板(サファイア基板)21及び硬化型接合材(シリコーン樹脂接合層)22を透過したレーザー光を、GaP窓層18で吸収させて分解(アブレーション)し、異種基板21をエピタキシャル機能層19から剥離する。
【0050】
[第二の実施形態]
第二の実施形態では、主に、硬化型接合材としてBCBを用いる場合を例示して説明する。第一の実施形態と類似する工程については、図1~7を参照し、接合型ウェーハの剥離について図9を参照する。
【0051】
まず、図1に示すように出発基板10上に、順次エピタキシャル成長を行い、各層を形成する。これにより、エピタキシャル機能層を作製する。より具体的には、以下のようにして各層のエピタキシャル成長を行うことができる。図1に示すように、出発基板10として、第一導電型のGaAs出発基板を準備した後、第一導電型のGaAsバッファ層11を積層後、第一導電型のGaIn1-xP(0.4≦x≦0.6)第一エッチストップ層12を例えば0.3μm、第一導電型のGaAs第二エッチストップ層13を例えば0.3μm、第一導電型の(AlGa1-yIn1-xP(0.4≦x≦0.6,0<y≦1)第一クラッド層14を例えば1.0μm、ノンドープの(AlGa1-yIn1-xP(0.4≦x≦0.6, 0≦y≦0.6)活性層15、第二導電型の(AlGa1-yIn1-xP(0.4≦x≦0.6, 0<y≦1)第二クラッド層16を例えば1.0μm、第二導電型のGaInP中間層17を例えば0.1μm、第二導電型のGaP窓層18を例えば4μm、順次成長させることができる。これにより、エピタキシャル機能層19としての発光素子構造を有するエピタキシャルウェーハ100を準備する。ここでAlGaInP第一クラッド層14からAlGaInP第二クラッド層16までをDH構造部(ダブルヘテロ構造部)と称する。
【0052】
次に、図2に示すように、エピタキシャルウェーハ100と異種基板21を、硬化型接合材22で接合する。より具体的には、以下のようにして接合を行うことができる。図2に示すように、エピタキシャルウェーハ100上に硬化型接合材(熱硬化型接合部材)22としてベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートし、異種基板21であるサファイアウェーハと対向させて重ね合わせ、熱圧着することで、エピタキシャルウェーハ100と異種基板21であるサファイアウェーハとを硬化型接合材22であるBCBを介して接合する。このようにして、エピタキシャルウェーハ接合基板200を作製する。スピンコートにてBCBを塗布する際、設計膜厚は例えば1.0μm程度とすることができる。
【0053】
なお、エピタキシャルウェーハ100上に直接、硬化型接合材22をスピンコートするものに限定されるものではなく、エピタキシャルウェーハ100上に透明な膜を1層以上積層した後にスピンコートを行っても同様の効果が得られることは言うまでもない。前記透明な膜は、SiO、SiNなどの絶縁膜、酸化インジウム、酸化スズ、ITO(インジウムスズ酸化物)などの透明導電膜を1層以上有する構造とすることができる。
【0054】
また、異種基板21はサファイアに限定されるものではなく、平坦性が担保されて、かつレーザー光の吸収率の低い材料であればどのような材料も選択可能である。サファイアの他、SiC、合成石英、石英(天然石英)、ガラス、LiTaO、LiNbO等を選択することができる。
【0055】
また、硬化型接合材22はBCBに限定されるものではなく、硬化性を有するものであれば、どのような材料でも選択可能である。BCBの他、エポキシ樹脂、SOG(spin-on-glass)、PI(ポリイミド、Polyimide)などを用いてもよい。
【0056】
次に、図3に示すように、異種基板21上にエピタキシャル機能層19を残し、出発基板10を除去する。より具体的には、以下のようにして除去を行うことができる。図3に示すように、GaAs出発基板10及びGaAsバッファ層11をアンモニア過水(アンモニア水と過酸化水素水の混合)などの選択エッチング液によりウェットエッチング処理して除去し、GaInP第一エッチストップ層12を露出させる。次にエッチャントを塩酸系に切り替えてGaInP第一エッチストップ層12を選択的に除去し、GaAs第二エッチストップ層13を露出させる。次にエッチャントを硫酸過水系に切り替えてGaAs第二エッチストップ層13を選択的に除去し、第一クラッド層14を露出させる。以上の処理を行うことにより、エピタキシャル機能層19(より具体的にはDH層(AlGaInP第一クラッド層14からAlGaInP第二クラッド層16)と窓層18)を保持する接合基板300を作製する。
【0057】
なお、ここでは、硬化型接合材22の厚さとして、1.0μmのBCB厚を例示したが、この厚さに限定されるものではなく、この厚さ以上に薄くても厚くても同様の効果が得られる。ただ、BCBをスピンコートで形成しているため、薄すぎる場合、接合処理後の面積歩留まりが低下する傾向がある。接合後、90%以上の面積歩留まりを保つためには0.05μm以上の接着層厚を設計することが好適である。また、70%以上の接合面積歩留まりを維持すればよいのであれば、0.01μm以上のBCBを設計しておけばよい。ただし経済合理性から10μm以下の膜厚とすることが好適である。
【0058】
次に図4に示すように、第一導電型のAlGaInP第一クラッド層14の一部領域に第一電極41を形成する。第一電極41は高反射性の金属を使用することが好適であり、Au系を用いた電極とすることができる。この第一電極41は、例えばAlGaInP第一クラッド層14と接する金属にAuBe系を用いることができる。
【0059】
次に図5に示すように、第一電極41形成後、第一導電型のAlGaInP第一クラッド層14の第一電極41の形成域以外の領域の一部をドライエッチングなどの方法により切り欠き、切り欠き部に第二導電型GaP窓層18を露出させる。
【0060】
なお、図5では半導体層部のみを切り欠く場合を例示しているが、半導体部のみを切り欠く場合に限定されず、硬化型接合材22(BCB)部まで切り欠いてもよいし、異種基板21部まで切り欠いてもよい。
【0061】
次に図6に示すように、側面をパッシベーション(PSV)膜65で被覆する。更に露出領域に第二電極61を形成したデバイス構造部を有する接合基板を作製する。第二電極61は高反射性の金属を使用することが好ましい。具体的にはAu系を用いることができ、AuSi系とすることが好ましい。なお、前述のように第二電極61形成前にPSV膜65を形成してもよいし、第二電極61形成後にPSV膜65を形成してもよい。また、必ずしもPSV膜65自体形成しなくてもよい。第一・第二電極形成後、オーミック接触を得るため、例えば400℃5分間のRTA熱処理を行う。
【0062】
このようにして、エピタキシャル機能層19の片方の面に極性の異なる2つ以上の電極(第一電極41及び第二電極61)を有したデバイス構造部が、硬化型接合材22で異種基板21からなる支持体と接合された接合型ウェーハ600を作製する。
【0063】
本発明は、このような接合型ウェーハ600から、異種基板21からなる支持体を剥離する接合型ウェーハの剥離方法であり、接合型ウェーハ600にレーザー光を照射することにより、硬化型接合材22及び/又は硬化型接合材22と接触するデバイス構造部の表面(すなわち、図6の場合、窓層18の表面)の少なくとも一部にレーザー光を吸収させ、硬化型接合材22及び/又はデバイス構造部の表面を分解することで、デバイス構造部と支持体を分離させることを特徴とする。第二の実施形態では、硬化型接合材22の分解による態様を主に説明する。
【0064】
この分離は具体的には以下のようにして行うことができる。まず、レーザー光照射前に、粘着剤を塗布した仮支持基板を、エピタキシャル機能層の接合型ウェーハの異種基板とは反対側の面に粘着することが好ましい。例えば、図7に示すように、仮支持基板71として合成石英ウェーハ上に、層状のシリコーン粘着剤72を塗布した仮支持基板71を準備し、接合型ウェーハ600と仮支持基板71を対向させて圧迫し、粘着剤に粘着させる。
【0065】
なお、仮支持基板71としては合成石英に限定されず、サファイアや石英(天然石英)、ガラス、SiC、LiTaO、LiNbOなどを用いることができる。
【0066】
次に図9に示すように、異種基板(サファイア基板)21側よりエキシマレーザーを照射して異種基板(サファイア基板)21を透過し、硬化型接合材(BCB接合層)22に達したレーザー光を、BCB層22が吸収し、BCB層22が分解(アブレーション)することで空隙を生じさせ、異種基板21をエピタキシャル機能層19から剥離する。
【0067】
なお、上記のように、硬化型接合材22として、シリコーン樹脂やBCBなど、主に熱硬化性の接合材を例示したが、UV硬化性や常温硬化性の硬化特性を有するものを採用した接合型ウェーハの剥離方法にも、本発明を適用することができる。
【実施例
【0068】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0069】
(実施例1)
n型のGaAs出発基板10上に、n型のGaAsバッファ層11積層後、n型のGaIn1-xP(0.4≦x≦0.6)第一エッチストップ層12を0.3μm、n型のGaAs第二エッチストップ層13を0.3μm、n型の(AlGa1-yIn1-xP(0.4≦x≦0.6, 0<y≦1)第一クラッド層14を1.0μm、ノンドープの(AlGa1-yIn1-xP(0.4≦x≦0.6, 0≦y≦0.6)活性層15、p型の(AlGa1-yIn1-xP(0.4≦x≦0.6, 0<y≦1)第二クラッド層16を1.0μm、p型のGaInP中間層17を0.1μm、p型のGaP窓層18を4μm、順次成長したエピタキシャル機能層19としての発光素子構造を有するエピタキシャルウェーハ100を準備した。(図1参照)
【0070】
次にエピタキシャルウェーハ100上に熱硬化型接合部材22としてシリコーン樹脂をスピンコートして第一接合層を形成し、異種基板21であるサファイア基板と対向させて重ね合わせ、熱圧着することで、エピタキシャルウェーハ100と異種基板21であるサファイア基板とを、硬化型接合材22であるシリコーン樹脂を介して接合したエピタキシャルウェーハ接合基板(第一の化合物半導体接合基板)200を作製した。スピンコートにてシリコーン樹脂を塗布する際、設計膜厚は1.0μmとした。(図2参照)
【0071】
GaAs出発基板10及びGaAsバッファ層11をアンモニア過水によりウェットエッチング処理して除去し、GaInP第一エッチストップ層12を露出させた。次にエッチャントを塩酸系に切り替えてGaInP第一エッチストップ層12を選択的に除去し、GaAs第二エッチストップ層13を露出させた。次にエッチャントを硫酸過水系に切り替えてGaAs第二エッチストップ層13を選択的に除去し、第一クラッド層14を露出させた。以上の処理を行うことにより、エピタキシャル機能層19(より具体的にはDH層(第一クラッド層14から第二クラッド層16)と窓層18)を保持する接合基板(第二の化合物半導体接合基板)300を作製した。(図3参照)
【0072】
次に、n型の第一クラッド層14の一部領域にAuBe系の第一電極41を形成した。(図4参照)
【0073】
第一電極形成後、n型の第一クラッド層14の第一電極41形成域以外の領域の一部をドライエッチングにより切り欠き、切り欠き部にp型GaP窓層18を露出させた。(図5参照)
【0074】
次に側面をパッシベーション(PSV)膜65で被覆し、露出領域にAuSi系の第二電極61を形成した接合型ウェーハ(デバイス構造部を有する接合基板)600を作製した。第一・第二電極形成後、オーミック接触を得るため、400℃5分間のRTA熱処理を行った。(図6参照)
【0075】
次に仮支持基板71として合成石英ウェーハ上に層状のシリコーン粘着剤72を塗布した仮支持基板71を準備し、接合型ウェーハ600と仮支持基板71を対向させて圧迫し、粘着剤に粘着させた。(図7参照)
【0076】
異種基板21であるサファイア基板側よりエキシマレーザーを照射してサファイア基板およびシリコーン接合層72を透過したレーザー光を、p型GaP窓層18で吸収させて分解(アブレーション)し、異種基板21であるサファイア基板をエピタキシャル機能層19から剥離した。(図8参照)
【0077】
(実施例2)
n型のGaAs出発基板10上に、n型のGaAsバッファ層11積層後、n型のGaIn1-xP(0.4≦x≦0.6)第一エッチストップ層12を0.3μm、n型のGaAs第二エッチストップ層13を0.3μm、n型の(AlGa1-yIn1-xP(0.4≦x≦0.6, 0<y≦1)第一クラッド層14を1.0μm、ノンドープの(AlGa1-yIn1-xP(0.4≦x≦0.6, 0≦y≦0.6)活性層15、p型の(AlGa1-yIn1-xP(0.4≦x≦0.6, 0<y≦1)第二クラッド層16を1.0μm、p型のGaInP中間層17を0.1μm、p型のGaP窓層18を4μm、順次成長したエピタキシャル機能層19としての発光素子構造を有するエピタキシャルウェーハ100を準備した。(図1参照)
【0078】
エピタキシャルウェーハ100上に熱硬化型接合部材22としてベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートして第一接合層を形成し、異種基板21であるサファイア基板と対向させて重ね合わせ、熱圧着することでエピタキシャルウェーハ100と異種基板21であるサファイア基板とをBCBを介して接合したエピタキシャルウェーハ接合基板(第一の化合物半導体接合基板)200を作製した。スピンコートにてBCBを塗布する際、設計膜厚は1.0μmとした。(図2参照)
【0079】
次にGaAs出発基板10及びGaAsバッファ層11をアンモニア過水などの選択エッチング液によりウェットエッチング処理して除去し、GaInP第一エッチストップ層12を露出させた。次にエッチャントを塩酸系に切り替えてGaInP第一エッチストップ層12を選択的に除去し、GaAs第二エッチストップ層13を露出させた。次にエッチャントを硫酸過水系に切り替えてGaAs第二エッチストップ層13を選択的に除去し、第一クラッド層14を露出させた。以上の処理を行うことにより、エピタキシャル機能層19(より具体的にはDH層(第一クラッド層14から第二クラッド層16)と窓層18)を保持する接合基板(第二の化合物半導体接合基板)300を作製した。(図3参照)
【0080】
次にn型の第一クラッド層14の一部領域にAuBe系の第一電極41を形成した。(図4参照)
【0081】
第一電極形成後、n型の第一クラッド層14の第一電極41形成域以外の領域の一部をドライエッチングにより切り欠き、切り欠き部にp型GaP窓層18を露出させた。(図5参照)
【0082】
側面をパッシベーション(PSV)膜65で被覆し、露出領域にAuSi系の第二電極61を形成した接合型ウェーハ(デバイス構造部を有する接合基板)600を作製した。
【0083】
第一・第二電極形成後、オーミック接触を得るため、400℃5分間のRTA熱処理を行った。(図6参照)
【0084】
次に仮支持基板71として合成石英ウェーハ上に層状のシリコーン粘着剤72を塗布した仮支持基板71を準備し、接合型ウェーハ600と仮支持基板71を対向させて圧迫し、粘着剤に粘着させた。(図7参照)
【0085】
異種基板21であるサファイア基板側よりエキシマレーザーを照射してサファイア基板を透過し、BCB接合層72に達したレーザー光を、BCB層が吸収し、BCB層が分解(アブレーション)することで空隙を生じさせ、異種基板21であるサファイア基板をエピタキシャル機能層から剥離した。(図9参照)
【0086】
(比較例)
n型のGaAs出発基板上に、n型のGaAsバッファ層積層後、n型のGaIn1-xP(0.4≦x≦0.6)第一エッチストップ層を0.3μm、n型のGaAs第二エッチストップ層を0.3μm、n型の(AlGa1-yIn1-xP(0.4≦x≦0.6, 0<y≦1)第一クラッド層を1.0μm、ノンドープの(AlGa1-yIn1-xP(0.4≦x≦0.6, 0≦y≦0.6)活性層、第二導電型の(AlGa1-yIn1-xP(0.4≦x≦0.6, 0<y≦1)第二クラッド層を1.0μm、p型のGaInP中間層を0.1μm、p型のGaP窓層18を4.0μm、順次成長したエピタキシャル機能層として発光素子構造を有するエピタキシャルウェーハを準備した。
【0087】
次にエピタキシャルウェーハ上に熱硬化型接合部材としてベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコートし、シリコンウェーハと対向させて重ね合わせ、熱圧着することでエピタキシャルウェーハとシリコンウェーハとをBCBを介して接合したEPW接合基板を作製した。スピンコートにてBCBを塗布する際、設計膜厚は1.0μmとした。
【0088】
GaAs出発基板をウェットエッチングで除去し、第一エッチストップ層を露出させ、エッチャントを切り替えて第二エッチストップ層を除去して第一クラッド層を露出させ、DH層と窓層のみを保持するエピタキシャル接合基板を作製した。
【0089】
次にn型の第一クラッド層の一部領域にAuBe系の第一電極を形成した。
【0090】
第一電極形成後、n型の第一クラッド層の第一電極形成域以外の領域の一部をドライエッチングにより切り欠き、切り欠き部にp型GaP窓層を露出させた。
【0091】
側面をパッシベーション(PSV)膜で被覆した。露出領域にAuSi系の第二電極を形成した接合型ウェーハ(デバイス構造部を有する接合基板)を作製した。第一・第二電極形成後、オーミック接触を得るため、400℃5分間のRTA熱処理を行った。
【0092】
次にシリコンウェーハ上に層状のシリコーン粘着剤を塗布した仮支持基板を準備し、デバイス構造部を有する接合基板と仮支持基板を対向させて圧迫し、粘着剤に粘着させた。
【0093】
シリコンウェーハ(異種基板)側を平面研削等の処理により薄膜加工した。シリコンウェーハ(異種基板)厚が150μm以下の膜厚に達した後、フッ硝酸系のエッチング液に浸してシリコンウェーハ(異種基板)を除去した。シリコンウェーハ(異種基板)除去後、アッシング処理またはドライエッチング処理にてBCBを除去した。
【0094】
表1に実施例1、実施例2と比較例における異種基板除去後のデバイス部残存率を示す。実施例1及び実施例2では剥離過程において、デバイスに掛かる応力が少なく、良好なデバイス部残存率を示すのに対し、比較例においては、異種基板の機械加工時にデバイス部に印加される機械的な応力が大きく、加工後のデバイス部の破損が発生するため、結果として、デバイス部残存率が低下している。
【0095】
【表1】
【0096】
本発明は、前記エピタキシャル成長用出発基板が不透明な基板である場合に特に有効である。このような不透明な基板はレーザーが透過しない、又はアブレーション発生に不十分な程度しかレーザーが透過しないため、エピタキシャル成長用出発基板にレーザーを照射することでデバイス構造部を分離すること(レーザーリフトオフとも呼ばれる)が困難である。したがって、エピタキシャル成長用出発基板がガリウムひ素基板である場合や、デバイス構造部が赤色LEDである場合に有効である。この赤色LEDはマイクロLEDであっても、ミニLEDであってもよい。
【0097】
また、本発明における各種基板(エピタキシャル成長用出発基板、支持体、異種基板、仮支持基板)は円盤形状であることが、コスト面や、各種装置への適用容易性などの点から好ましいが、楕円柱形状、四角柱等の多角柱形状など、他の形状であっても本発明の効果は達成可能である。
【0098】
また、図6等において、一つのデバイス構造部が描写されるように説明しているが、支持体には複数のデバイス構造部が接合されていてもよく、それらの複数のデバイス構造部はマトリックス状に配列していてもよい。
【0099】
また、支持体の主面とは垂直方向から観察した場合のデバイス構造部の形状は、円形状、楕円形状、四角形状等の多角形状等が挙げられる。これらの中でも四角形状であることが一度に製造できるデバイス構造部を増やせる点で好ましい。ここで、円形状、楕円形状、四角形状及び多角形状は、厳密な円形状、楕円形状、四角形状及び多角形状を意味するものではなく、直線部分・曲線部分における凹みや膨らみ、角部における面取り形状なども含まれる意味である。
【0100】
また、デバイス構造部を接合するための硬化物層の厚みは、デバイス構造部を支持体から剥離する迄の工程に堪え得る厚みであればよい。つまり、支持体は最終的には剥離するために、数年にわたるような接合信頼性は求められず、比較的薄くてもよい。このことはレーザーリフトオフを行う上で有利に働く。具体的には、硬化型接合材に含まれる材料や、接合性能によるが、0.1~1.0μmであることが好ましく、0.4~0.6μmであることがより好ましい。
【0101】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、一方で本発明について異なる視点から表現すると下記(1)~(15)、(U1)~(U89)及び(X1)~(X4)のようになる。
(1)デバイス構造部が硬化型接合材の硬化物層を介して支持体に接合された接合型ウェーハであって、レーザー光の照射によるデバイス構造部の剥離に用いられる接合型ウェーハ。
(2)前記デバイス構造部が、赤色LEDチップである(1)記載の接合型ウェーハ。
(3)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む(1)記載の接合型ウェーハ。
(4)前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmである(1)記載の接合型ウェーハ。
(5)前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmである(2)記載の接合型ウェーハ。
(6)前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有する(1)記載の接合型ウェーハ。
(7)前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含む(1)記載の接合型ウェーハ。
(8)前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する(1)記載の接合型ウェーハ。
(9)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmであり、
前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有し、
前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する(1)記載の接合型ウェーハ。
(10)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmであり、
前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有し、
前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテンを含み、
前記支持体は、サファイア基板を有する(1)記載の接合型ウェーハ。
(11)デバイス構造部が硬化型接合材の硬化物層を介して支持体と接合された接合型ウェーハから前記支持体を剥離する接合型ウェーハの剥離方法であって、
前記接合型ウェーハの支持体側からレーザー光を照射することにより、前記デバイス構造部と前記支持体を分離させることを特徴とする接合型ウェーハの剥離方法。
(12)デバイス構造部が硬化型接合材の硬化物層を介して支持体と接合された接合型ウェーハから前記支持体を剥離する、分離されたデバイス構造部の製造方法であって、
前記接合型ウェーハの支持体側からレーザー光を照射することにより、前記デバイス構造部と前記支持体を分離させることを特徴とする、分離されたデバイス構造部の製造方法。
(13)デバイス構造部が硬化型接合材の硬化物層を介して支持体に接合された接合体であって、レーザー光の照射によるデバイス構造部の剥離に用いられる接合体。
(14)デバイス構造部が硬化型接合材の硬化物層を介して支持体と接合された接合体から、前記支持体を剥離する接合体の剥離方法であって、
前記接合体の支持体側からレーザー光を照射することにより、前記デバイス構造部と前記支持体を分離させることを特徴とする接合体の剥離方法。
(15)デバイス構造部が硬化型接合材の硬化物層を介して支持体と接合された接合体から前記支持体を剥離する、分離されたデバイス構造部の製造方法であって、
前記接合体の支持体側からレーザー光を照射することにより、前記デバイス構造部と前記支持体を分離させることを特徴とする、分離されたデバイス構造部の製造方法。
(U1)エピタキシャル機能層の片方の面に極性の異なる2つ以上の電極を有したデバイス構造部を有し、前記デバイス構造部が硬化型接合材で異種基板からなる支持体と接合された接合型ウェーハから、前記支持体を剥離する接合型ウェーハの剥離システムであって、
前記接合型ウェーハにレーザー発振器から発振されたレーザー光を照射することにより、前記硬化型接合材及び/又は前記硬化型接合材と接触する前記デバイス構造部の表面の少なくとも一部にレーザー光を吸収させ、前記硬化型接合材及び/又は前記デバイス構造部の表面を分解することで、前記デバイス構造部と前記支持体を分離させる機構を有することを特徴とする接合型ウェーハの剥離システム。
(U2)前記エピタキシャル機能層を、発光素子構造を有するものとすることを特徴とする(U1)に記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U3)前記エピタキシャル機能層を、AlGaInP系材料を含むものとすることを特徴とする(U1)又は(U2)に記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U4)前記硬化型接合材を、熱硬化性、UV硬化性、及び、常温硬化性のいずれかの硬化特性を有するものとすることを特徴とする(U1)又は(U2)に記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U5)前記硬化型接合材を、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂のいずれか1つを含むものとすることを特徴とする請求項(U1)又は(U2)に記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U6)前記エピタキシャル機能層を、エピタキシャル成長用出発基板が除去されているものとすることを特徴とする(U1)又は(U2)に記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U7)前記異種基板を、サファイア、SiC、合成石英、石英、ガラス、LiTaO、LiNbOのいずれかの材料からなるものとすることを特徴とする(U1)又は(U2)に記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U8)前記レーザー光を、エキシマレーザーとすることを特徴とする(U1)又は(U2)に記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U9)前記レーザー光照射前に、粘着剤を塗布した仮支持基板を、前記エピタキシャル機能層の前記接合型ウェーハの前記異種基板とは反対側の面に粘着することを特徴とする(U1)又は(U2)に記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U10)前記粘着剤を、シリコーンとすることを特徴とする(U9)に記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U11)前記仮支持基板を、サファイア、SiC、合成石英、石英、ガラス、LiTaO、LiNbOのいずれかの材料からなるものとすることを特徴とする(U1)に記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U12)四角形状のデバイス構造部が硬化型接合材の硬化物層を介して支持体に接合された接合型ウェーハであって、レーザー光の照射によるデバイス構造部の剥離に用いられる接合型ウェーハ。
(U13)前記デバイス構造部が、赤色LEDチップである(U12)記載の接合型ウェーハ。
(U14)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む(U12)記載の接合型ウェーハ。
(U15)前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmである(U12)記載の接合型ウェーハ。
(U16)前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmである(U13)記載の接合型ウェーハ。
(U17)前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmである(U12)記載の接合型ウェーハ。
(U18)前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmである(U13)記載の接合型ウェーハ。
(U19)前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有する(U12)記載の接合型ウェーハ。
(U20)前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含む(U12)記載の接合型ウェーハ。
(U21)前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する(U12)記載の接合型ウェーハ。
(U22)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmであり、
前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有し、
前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する(U12)記載の接合型ウェーハ。
(U23)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmであり、
前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有し、
前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテンを含み、
前記支持体は、サファイア基板を有する(U12)記載の接合型ウェーハ。
(U24)前記デバイス構造部は、前記支持体上に複数接合されており、該複数のデバイス構造体はマトリックス状に配列している(U12)記載の接合型ウェーハ。
(U25)デバイス構造部が硬化型接合材の硬化物層を介して支持体と接合された接合型ウェーハから前記支持体を剥離する接合型ウェーハの剥離システムであって、
前記接合型ウェーハの支持体側から、レーザー発振器から発振されたレーザー光を照射することにより、前記デバイス構造部と前記支持体を分離させる機構を有することを特徴とする接合型ウェーハの剥離システム。
(U26)前記デバイス構造部が、赤色LEDチップである(U25)記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U27)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む(U25)記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U28)前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmである(U25)記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U29)前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmである(U26)記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U30)前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmである(U25)記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U31)前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmである(U26)記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U32)前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有する(U25)記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U33)前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含む(U25)記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U34)前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する(U25)記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U35)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmであり、
前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有し、
前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する(U25)記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U36)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmであり、
前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有し、
前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテンを含み、
前記支持体は、サファイア基板を有する(U25)記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U37)前記デバイス構造部は、前記支持体上に複数接合されており、該複数のデバイス構造体はマトリックス状に配列している(U25)記載の接合型ウェーハの剥離システム。
(U38)デバイス構造部が硬化型接合材の硬化物層を介して支持体と接合された接合型ウェーハから前記支持体を剥離する、分離されたデバイス構造部の製造システムであって、
前記接合型ウェーハの支持体側から、レーザー発振器から発振されたレーザー光を照射することにより、前記デバイス構造部と前記支持体を分離させる機構を有することを特徴とする、分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U39)前記デバイス構造部が、赤色LEDチップである(U38)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U40)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む(U38)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U41)前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmである(U38)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U42)前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmである(U39)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U43)前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmである(U38)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U44)前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmである(U39)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U45)前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有する(U38)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U46)前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含む(U38)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U47)前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する(U38)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U48)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmであり、
前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有し、
前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する(U38)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U49)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmであり、
前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有し、
前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテンを含み、
前記支持体は、サファイア基板を有する(U38)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U50)前記デバイス構造部は、前記支持体上に複数接合されており、該複数のデバイス構造体はマトリックス状に配列している(U38)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U51)四角形状のデバイス構造部が硬化型接合材の硬化物層を介して支持体に接合された接合体であって、レーザー光の照射によるデバイス構造部の剥離に用いられる分離された接合体。
(U52)前記デバイス構造部が、赤色LEDチップである(U51)記載の分離された接合体。
(U53)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む(U51)記載の分離された接合体。
(U54)前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmである(U51)記載の分離された接合体。
(U55)前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmである(U52)記載の分離された接合体。
(U56)前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmである(U51)記載の分離された接合体。
(U57)前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmである(U52)記載の分離された接合体。
(U58)前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有する(U51)記載の分離された接合体。
(U59)前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含む(U51)記載の分離された接合体。
(U60)前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する(U51)記載の分離された接合体。
(U61)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmであり、
前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有し、
前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する(U51)記載の分離された接合体。
(U62)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmであり、
前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有し、
前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテンを含み、
前記支持体は、サファイア基板を有する(U51)記載の分離された接合体。
(U63)前記デバイス構造部は、前記支持体上に複数接合されており、該複数のデバイス構造体はマトリックス状に配列している(U51)記載の分離された接合体。
(U64)デバイス構造部が硬化型接合材の硬化物層を介して支持体と接合された接合体から、前記支持体を剥離する接合体の剥離システムであって、
前記接合体の支持体側から、レーザー発振器から発振されたレーザー光を照射することにより、前記デバイス構造部と前記支持体を分離させる機構を有することを特徴とする接合体の剥離システム。
(U65)前記デバイス構造部が、赤色LEDチップである(U64)記載の接合体の剥離システム。
(U66)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む(U64)記載の接合体の剥離システム。
(U67)前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmである(U64)記載の接合体の剥離システム。
(U68)前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmである(U65)記載の接合体の剥離システム。
(U69)前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmである(U64)記載の接合体の剥離システム。
(U70)前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmである(U65)記載の接合体の剥離システム。
(U71)前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有する(U64)記載の接合体の剥離システム。
(U72)前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含む(U64)記載の接合体の剥離システム。
(U73)前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する(U64)記載の接合体の剥離システム。
(U74)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmであり、
前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有し、
前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する(U64)記載の接合体の剥離システム。
(U75)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmであり、
前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有し、
前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテンを含み、
前記支持体は、サファイア基板を有する(U64)記載の接合体の剥離システム。
(U76)前記デバイス構造部は、前記支持体上に複数接合されており、該複数のデバイス構造体はマトリックス状に配列している(U64)記載の接合体の剥離システム。
(U77)デバイス構造部が硬化型接合材の硬化物層を介して支持体と接合された接合体から前記支持体を剥離する、分離されたデバイス構造部の製造システムであって、
前記接合体の支持体側から、レーザー発振器から発振されたレーザー光を照射することにより、前記デバイス構造部と前記支持体を分離させる機構を有することを特徴とする、分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U78)前記デバイス構造部が、赤色LEDチップである(U77)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U79)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む(U77)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U80)前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmである(U77)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U81)前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmである(U78)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U82)前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmである(U77)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U83)前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmである(U78)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U84)前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有する(U77)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U85)前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含む(U77)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U86)前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する(U77)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U87)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.1~1.0μmであり、
前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有し、
前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、フッ素樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記支持体は、サファイア基板、SiC基板、合成石英基板、石英基板、ガラス基板、LiTaO基板及びLiNbO基板からなる群より選択される少なくとも一つを有する(U77)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U88)前記デバイス構造部が、AlGaInP系材料を含む赤色LEDチップであり、
前記硬化物層の厚みは、0.4~0.6μmであり、
前記デバイス構造部は、エピタキシャル成長用出発基板が除去されたエピタキシャル機能層を有し、
前記硬化型接合材は、ベンゾシクロブテンを含み、
前記支持体は、サファイア基板を有する(U77)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(U89)前記デバイス構造部は、前記支持体上に複数接合されており、該複数のデバイス構造体はマトリックス状に配列している(U77)記載の分離されたデバイス構造部の製造システム。
(X1)デバイス構造部が支持体に接合された接合型ウェーハの、レーザー光の照射によるデバイス構造部の剥離への応用であって、
前記デバイス構造部は、硬化型接合材の硬化物層を介して前記支持体に接合される、応用。
(X2)デバイス構造部が支持体に接合された接合型ウェーハの、レーザー光の照射によるデバイス構造部の剥離に用いられる接合型ウェーハの製造への応用であって、
前記デバイス構造部は、硬化型接合材の硬化物層を介して前記支持体に接合される、応用。
(X3)デバイス構造部が支持体に接合された接合体の、レーザー光の照射によるデバイス構造部の剥離への応用であって、
前記デバイス構造部は、硬化型接合材の硬化物層を介して前記支持体に接合される、応用。
(X4)デバイス構造部が支持体に接合された接合体の、レーザー光の照射によるデバイス構造部の剥離に用いられる接合体の製造への応用であって、
前記デバイス構造部は、硬化型接合材の硬化物層を介して前記支持体に接合される、応用。
【0102】
前述した多くの実施形態における各構成要件を細分化し、細分化された構成要件を各々単独で、又は組み合わせて、これら(1)~(15)、(U1)~(U88)及び(X1)~(X4)に導入することができる。例えば、各種基板や各種層の材料・性質・寸法、形状・形成方法、レーザー光の種類、剥離方法、デバイス構造部の構造等が代表的な例である。
【0103】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
図1
図2
図3
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図9