(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】軽質炭化水素の部分酸化触媒ならびに該触媒による一酸化炭素と水素の製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 29/24 20060101AFI20240112BHJP
C01B 32/40 20170101ALI20240112BHJP
【FI】
B01J29/24 M
C01B32/40
(21)【出願番号】P 2019170208
(22)【出願日】2019-09-19
【審査請求日】2022-09-07
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30、31年度国立研究開発法人科学技術振興機構 戦略的イノベーション創造プログラム「平衡制約脱却を目指した低温部分酸化型CH4改質プロセスの開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福岡 淳
(72)【発明者】
【氏名】小林 広和
(72)【発明者】
【氏名】堤内 出
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 亮
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-113719(JP,A)
【文献】特開2000-061312(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105642288(CN,A)
【文献】国際公開第2009/011133(WO,A1)
【文献】特表2000-508286(JP,A)
【文献】特開2003-144935(JP,A)
【文献】特開2003-190742(JP,A)
【文献】Aurimas URBUTIS et al.,“Dual function adsorbent-catalyst CuO-CeO2/NaX for temperature swing oxidation of benzene, toluene and xylene”,Central European Journal of Chemistry,2014年04月01日,Vol. 12, No. 4,p.492-501,DOI: 10.2478/s11532-013-0398-x
【文献】Acacio Nobre MENDES et al.,“Potential synergic effect between MOR and BEA zeolites in NOx SCR with methane: A dual bed design approach”,Applied Catalysis A: General,2015年10月,Vol. 506,p.246-253,DOI: 10.1016/j.apcata.2015.09.005
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C01B 32/40
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライトに、
Rh、Ru、Pt、Pd及びIrを除く周期表第8族~11族の遷移金属から選択される少なくとも1種の元素
をゼオライト100重量部に対し1重量部以上10重量部以下担持し、周期表第1族~3族の金属から選択される少なくとも1種の元素
を前記遷移金属100重量部に対し20重量部以上100重量部以下担持し、かつ、前記遷移金属と異なる元素であって、Rh、Ru、Pt、Pd及びIrから選択される少なくとも1種の元素を前記遷移金属100重量部に対し0.05重量部以上10重量部以下担持した、軽質炭化水素の部分酸化触媒。
【請求項2】
前記周期表第8族~11族の遷移金属から選択される少なくとも1種の元素が、Niである請求項
1に記載の部分酸化触媒。
【請求項3】
前記遷移金属と異なる元素がRhである、請求項1又は2に記載の部分酸化触媒。
【請求項4】
前記ゼオライトが、International Zeolite Association(IZA)が定めるコードで、MOR、FAU、BEA、CHA及びCONから選択される少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の部分酸化触媒。
【請求項5】
前記周期表第1族~3族の金属から選択される少なくとも1種の元素が、
Ceである、請求項1~4のいずれか1項に記載の部分酸化触媒。
【請求項6】
前記軽質炭化水素がメタンである、請求項1~5のいずれか1項に記載の部分酸化触媒。
【請求項7】
軽質炭化水素と酸素とを、請求項1~
5のいずれか1項に記載の部分酸化触媒と接触さ
せる工程、を含む、一酸化炭素の製造方法。
【請求項8】
前記軽質炭化水素は、
メタンである、請求項7に記載の一酸化炭素の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
軽質炭化水素を部分酸化することで一酸化炭素を製造し得る部分酸化触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
軽質炭化水素を部分酸化することにより、水素や一酸化炭素を得ることが検討されている。軽質炭化水素を用いて部分酸化により水素や一酸化炭素を得る方法は、触媒を用いたとしても通常温度850℃以上、圧力2~3MPa程度の反応条件が必要である。そのため、このような過酷な反応条件に耐え得る製造設備を用意するためには、どうしても製造設備のコストが高くなる。
【0003】
このような状況下、軽質炭化水素を部分酸化する反応温度を下げる検討が行われており、例えば特許文献1には、遷移金属をゼオライトに担持させた触媒、具体的にはゼオライト上にロジウムを担持した触媒が、より低温領域で部分酸化反応が可能な触媒として開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
軽質炭化水素を部分酸化する反応においては、より一層の低温での反応が可能となる触媒が期待されている。本発明では、軽質炭化水素の部分酸化をより低温で為し得る触媒を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ゼオライトに、周期表第8族~11族の遷移金属から選択される少なくとも1種の元素と、周期表第1族~3族の金属から選択される少なくとも1種の元素と、を担持させた、軽質炭化水素の部分酸化触媒により課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明の要旨は以下のとおりである。
【0007】
[1]ゼオライトに、周期表第8族~11族の遷移金属から選択される少なくとも1種の元素と、周期表第1族~3族の金属から選択される少なくとも1種の元素と、を担持した、軽質炭化水素の部分酸化触媒。
[2]前記周期表第8族~11族の遷移金属から選択される少なくとも1種の元素が、Ni、Co、Cu及びAuから選択される、[1]に記載の部分酸化触媒。
[3]前記周期表第8族~11族の遷移金属から選択される少なくとも1種の元素が、Niである[1]又は[2]に記載の部分酸化触媒。
[4]前記ゼオライトが、International Zeolite Association(IZA)が定めるコードで、MOR、FAU、BEA、CHA及びCONから選択される少なくとも1種を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の部分酸化触媒。[5]前記周期表第1族~3族の金属から選択される少なくとも1種の元素が、La、Ce、Ca、Mg、Na、K及びSrから選択される、[1]~[4]のいずれかに記載の部分酸化触媒。
[6]前記周期表第8族~11族の遷移金属から選択される少なくとも1種の元素とは異
なる元素であって、Rh、Ru、Pt、Pd及びIrから選択される少なくとも1種の元素を更に担持する、[1]~[5]のいずれかに記載の部分酸化触媒。
[7]軽質炭化水素と酸素とを、[1]~[6]のいずれかに記載の部分酸化触媒と接触させる工程、を含む、一酸化炭素の製造方法。
[8]前記軽質炭化水素は、炭素数6以下の炭化水素である、[7]に記載の一酸化炭素の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、従来よりも低温であっても、軽質炭化水素の部分酸化を可能とし、一酸化炭素や水素を得ることができる。そのため、製造設備のコストを下げることが可能となる。また、エネルギー量使用料も少なく、高効率で一酸化炭素や水素を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0010】
本発明の一実施形態は、ゼオライトに、周期表第8族~11族の遷移金属から選択される少なくとも1種の元素と、周期表第1族~3族の金属から選択される少なくとも1種の元素と、を担持した、軽質炭化水素の部分酸化触媒である。
【0011】
軽質炭化水素は特に限定されず、例えばメタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブテン、ヘキサン、ヘキセン、ペンタン、ペンテンなどがあげられる。炭素数6以下の炭化水素であることが好ましく、炭素数4以下の炭化水素であることがより好ましい。
【0012】
周期表第8族~11族の遷移金属としては特に限定されず、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Rt、Auなどがあげられ、Ni、Co、Cu、Auから選択されることが好ましく、Niであることがより好ましい。周期表第8族~11族の遷移金属は、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0013】
周期表第1族~3族の金属としては特に限定されず、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ランタノイド、アクチノイドから選択され、La、Ce、Ca、Mg、Na、K及びSrから選択されることが好ましい。周期表第1族~3族の金属は、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0014】
本実施形態では、周期表第1族~3族の金属を担体としてではなく、ゼオライトに担持させることで、軽質炭化水素の部分酸化反応を低温で進行させ得る触媒とすることができる。この理由としては、周期表第1族~3族の金属が炭素質の燃焼触媒として機能していること、或いは炭素生成そのものの抑制効果が発現していると考えられること、また、担体として特にゼオライトを用いる場合には、周期表第8族~11族の遷移金属を微粒子化できるため、それによって炭素析出活性を押さえつつ、軽質炭化水素の酸化活性を高めることができると、本発明者らは推定する。
【0015】
部分酸化触媒の担体としては、上記周期表第8族~11族の遷移金属及び周期表第1族~3族の金属を担持することができれば特段限定されないが、本実施形態ではゼオライトを担体として用いる。
【0016】
ゼオライトは特に限定されないが、例えば、International Zeoli
te Association (IZA)が定めるコードで、AEI、AEL、AFI、AFX、APC、ATO、BEA、BRE、CDO、CHA、CON、DDR、EAB、EPI、ERI、ESV、EUO、FAU、FER、GIS、GME、HEU、ITH
、KFI、LEV、LTA、LTL、MER、MEL、MFI、MON、MOR、MSE、MTF、MTT、MTW、MWW、NES、OFF、PAU、PHI、RHO、RTE、RTH、SOD、STI、STT、SZR、TON、TSC、TUN、UFI、VNI、WEI、YUGなどがあげられる。中でも、MOR、FAU、BEA、CHA及びCONから選択される1種以上を含むことが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0017】
ゼオライトの細孔径は、特に限定されないが、0.3nm以上が好ましく、0.35nm以上がより好ましい。また0.9nm以下が好ましく、0.8nm以下がより好ましい。なお、ここで言う細孔径とは、International Zeolite Association (IZA)が定める結晶学的なチャネル直径を示す。
【0018】
ゼオライトとして好ましくは、構成元素としてAlを含有する結晶性アルミノシリケートや、Gaを含有する結晶性ガロシリケートが挙げられる。これらのゼオライトは、ゼオライト骨格内のAlやGaが酸点となり、触媒反応の活性点として働くため、触媒活性に優れる。
【0019】
結晶性アルミノシリケート、結晶性ガロシリケートの場合、その構成元素の比率としては特に限定されるものではないが、そのSi/Alモル比、またはSi/Gaモル比は、通常5以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは25以上、特に好ましくは50以上、とりわけ好ましくは100以上であり、通常5000以下、好ましくは1000以下、さらに好ましくは500以下である。
【0020】
ゼオライトのイオン交換サイトは、特に限定されず、H型であっても、金属イオンで交換されたものであってもよい。ここで、金属イオンとは、具体的にはアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオン等である。
【0021】
ゼオライトのBET比表面積は、特に限定されるものではなく、通常200m2/g以上、好ましくは250m2/g以上、より好ましくは300m2/g以上であって、通常2000m2/g以下、好ましくは1500m2/g以下、より好ましくは1000m2/g以下である。
また、ゼオライトの細孔容積は、特に限定されるものでなく、通常0.1ml/g以上、好ましくは0.2ml/g以上であって、通常3ml/g以下、好ましくは2ml/g以下である。
【0022】
ゼオライトの平均粒子径は、特に限定されるものではなく、通常10μm以下、好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下、特に好ましくは700nm以下である。また通常20nm以上、好ましくは40nm以上である。
【0023】
ゼオライトは市販のものを用いてもよく、既知の方法で合成してもよい。CON型ゼオライトである場合は、ACS Catal., 5, 4268-4275(2015)に記載の方法など公知の方法で合成したものなどを用いることができる。
【0024】
ゼオライトは一般的に水熱合成法によって調製することが可能である。例えば、水にアルミニウム源、アルカリ源およびシリカ源等を加えて均一なゲルを生成させ、これに構造規定剤を加えて攪拌し、得られた原料ゲルを加圧加熱容器中で120~200℃に保持して結晶化させる。結晶化の際に、必要に応じて種結晶を添加してもよく、製造性の面では
種結晶を添加する方が、操作性が向上する点で好ましい。次いで結晶化した原料ゲルを濾過および洗浄した後、固形分を100~200℃で乾燥し、引き続き400~900℃で焼成することによって、ゼオライト粉末として得ることができる。
【0025】
本実施形態の部分酸化触媒は、上記周期表第8族~11族の遷移金属から選択される少なくとも1種の元素とは異なる元素であって、Rh、Ru、Pt、Pd及びIrから選択される少なくとも1種の元素(その他金属元素)を更に担持することが好ましい。その他金属元素を担持することで、メタンの活性化がより促進され、CO選択率が向上する。
【0026】
本実施形態の部分酸化触媒において、周期表第8族~11族の遷移金属の担持量は、ゼオライト100重量部に対し通常0.1重量部以上であり、1重量部以上であることが好ましく、また通常10重量部以下であり、5重量部以下であることが好ましい。
本実施形態の部分酸化触媒において、周期表第1族~3族の金属の担持量は、上記周期表第8族~11族の遷移金属100重量部に対し通常20重量部以上であり、また通常100重量部以下であり、70重量部以下であることが好ましい。
【0027】
その他金属元素を担持する場合、その他金属元素の担持量は、上記周期表第8族~11族の遷移金属100重量部に対し通常0.05重量部以上であり、0.1重量部以上であることが好ましく、また通常10重量部以下であり、1重量部以下であることが好ましい。
【0028】
本実施形態に係る部分酸化触媒を用いた一酸化炭素の製造方法を説明する。
一酸化炭素の製造方法は、軽質炭化水素と酸素とを、上記部分酸化触媒と接触させる接触工程を含む。
本実施形態における反応様式としては、軽質炭化水素と酸素が反応域において気相であれば特に限定されず、流動床反応装置、移動床反応装置または固定床反応装置を用いた公知の気相反応プロセスを適用することができる。固定床反応装置の場合、特に附帯設備を含めた設備費、触媒コスト、運転管理の点で有利である。
また、バッチ式、半連続式または連続式のいずれの形態でも行われ得るが、連続式で行うのが好ましく、その方法は、単一の反応器を用いた方法でもよいし、直列または並列に配置された複数の反応器を用いた方法でもよい。
【0029】
なお、流動床反応器に前述の触媒を充填する際、触媒層の温度分布を小さく抑えるために、石英砂、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ等の反応に不活性な粒状物を、触媒と混合して充填してもよい。この場合、石英砂等の反応に不活性な粒状物の使用量は特に制限はない。なお、この粒状物は、触媒との均一混合性の面から、触媒と同程度の粒径であることが好ましい。
また、反応器には、反応に伴う発熱を分散させることを目的に、反応基質(反応原料)を分割して供給してもよい。
【0030】
反応器に供給する、軽質炭化水素と酸素の比率に関して特に制限はないが、軽質炭化水素と酸素との炭素(C/O2)モル比は、0.5~5.0、好ましくは1.0~2.5である。
【0031】
反応器内には、軽質炭化水素と酸素の他に、ヘリウム、アルゴン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、水、パラフィン類、芳香族化合物類、および、それらの混合物など、を存在させることができるが、この中でも水(水蒸気)および/または二酸化炭素が共存しているのが、触媒上への炭素析出を抑制する効果が期待できることから好ましい。
このような希釈剤としては、反応原料に含まれている不純物をそのまま使用してもよいし、別途調製した希釈剤を反応原料と混合して用いてもよい。また、希釈剤は反応器に入
れる前に反応原料と混合してもよいし、反応原料とは別に反応器に供給してもよい。
【0032】
反応温度の下限としては、通常約500℃以上、好ましくは600℃以上、反応温度の上限としては、通常1000℃以下、好ましくは800℃以下である。反応温度が低すぎると、反応速度が低く、未反応原料が多く残る傾向となる。一方で反応温度が高すぎると触媒の安定活性が得られにくい。なお、ここで、反応温度とは、触媒層入口の温度をさす。
【0033】
反応圧力の上限は通常3MPa(絶対圧、以下同様)以下、好ましくは1MPa以下である。また、反応圧力の下限は特に制限されないが、通常0.1kPa以上、好ましくは1kPa以上、より好ましくは10kPa以上である。反応圧力が高すぎると好ましくない副生成物の生成量が増える傾向にある。反応圧力が低すぎると反応速度が遅くなる傾向がある。
【0034】
反応器出口ガス(反応器流出物)としては、反応生成物である一酸化炭素、副生成物および希釈剤を含む混合ガスが得られる。該混合ガス中の一酸化炭素濃度は通常5~95重量%である。
【実施例】
【0035】
以下、実施例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲は実施例により制限されるものではない。
【0036】
<参考例1:NiCe/MOR>
550℃で8時間焼成したモルデナイト型ゼオライト(触媒学会参照触媒JRC-Z-HM90(Si/Al比=45))500mgを10.2mM硝酸ニッケル水溶液25mL、硝酸セリウム六水和物31mgの混合溶液に懸濁させ、室温で24時間撹拌させた。エバポレーターを用いて溶媒を留去した後、110℃のオーブン中で1晩乾燥させ、更に、550℃で6時間焼成することにより部分酸化触媒(NiCe/MOR)を得た。
【0037】
石英ガラス製反応管(外径10mm、長さ420mm)を有する固定床気相流通式反応装置を用い、該ガラス製反応管の中段に、得られた部分酸化触媒20mgを充填し、窒素流通下(12.5ml/min)で電気炉を150℃まで昇温した。その後、メタンを5.0ml/min及び酸素を2.5ml/minで導入し、反応温度650℃でメタンの部分酸化を行った。反応器の下流をリボンヒーターにより120℃一定にして、生成物の凝集を防ぎ、オンラインGC分析を行い、生成物の確認を行った。その際のガスクロマトグラフ(GC)は(商品名)GC-8A(島津製作所製)を用い、GCのカラムには(商
品名)Shincarbon ST 50/80(信和化工株式会社製、φ3mm×長さ2m)、Molecular Sieve 5A 60/80(信和化工株式会社製、φ3mm×長さ2m)を用い、カラム温度は100℃一定とした。検出器にはTCDを用いた。反応結果はメタン転化率72%、CO収率62%、CO2収率10%、CO選択率86%であった。
【0038】
<実施例2:NiRhCe/MOR>
550℃で8時間焼成したモルデナイト型ゼオライト(触媒学会参照触媒JRC-Z-HM90(Si/Al比=45)500mgを0.486mM塩化ロジウム水溶液0.50mL、10.2mM硝酸ニッケル水溶液25mL、硝酸セリウム六水和物31mgの混合溶液に懸濁させ、室温で24時間撹拌させた。エバポレーターを用いて溶媒を留去した後、110℃のオーブン中で1晩乾燥させ、更に、550℃で6時間焼成することにより部分酸化触媒(NiRhCe/MOR)を得た。
【0039】
石英ガラス製反応管(外径10mm、長さ420mm)を有する固定床気相流通式反応装置を用い、該ガラス製反応管の中段に、得られた部分酸化触媒20mgを充填し、ヘリウム流通下(9.2ml/min)で電気炉を600℃まで昇温した。その後、メタンを10ml/min及び酸素を0.8ml/minで導入し、メタンの部分酸化を行った。反応器の下流をリボンヒーターにより120℃一定にして、生成物の凝集を防ぎ、オンラインGC分析を行い、生成物の確認を行った。その際のガスクロマトグラフ(GC)は(商品名)GC-8A(島津製作所製)を用い、GCのカラムには(商品名)Shinca
rbon ST 50/80(信和化工株式会社製、φ3mm×長さ2m)、Molecular Sieve 5A 60/80(信和化工株式会社製、φ3mm×長さ2m)を用い、カラム温度は100℃一定とした。検出器にはTCDを用いた。反応結果はメタン転化率12.0%、CO収率10.5%、CO2収率1.44%、CO選択率91.3%であった。
【0040】
<比較例1:NiCe/SiO2>
触媒調製でモルデナイト型ゼオライトの代わりにシリカ(触媒学会参照触媒、JRC-
SIO-9A)を用いた以外は参考例1と同様の操作を行った。反応結果はメタン転化率
5.1%、CO収率0%、CO2収率5.1%、CO選択率0%であった。
【0041】
<比較例2:Ni/SiO2>
触媒調製で硝酸セリウム六水和物を用いず、モルデナイト型ゼオライトの代わりにシリカ(触媒学会参照触媒、JRC-SIO-9A)を用い、ヘリウムの代わりに窒素を用いた以外は実施例2と同様の操作を行った。反応結果はメタン転化率1.36%、CO収率0%、CO2収率1.36%、CO選択率0%であった。
【0042】
<比較例3:Ni/CeO2>
触媒調製でシリカ(触媒学会参照触媒、JRC-SIO-9A)の代わりにセリア(触媒
学会参照触媒、JRC-CEO-2)を用いた以外は比較例2と同様の操作を行った。反
応結果はメタン転化率1.27%、CO収率0%、CO2収率1.27%、CO選択率0%であった。