(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置におけるインシチュ粒子除去のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240116BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H01L21/68 R
G03F7/20 501
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2020540706
(86)(22)【出願日】2019-02-04
(86)【国際出願番号】 EP2019052581
(87)【国際公開番号】W WO2019158380
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-01-28
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(73)【特許権者】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブルルス,リチャード,ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】オルブライト,ロナルド,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】コチェスページャー,ピーター,コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】ペレス-ファルコン,ビクター,アントニオ
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-167643(JP,A)
【文献】特開2007-019443(JP,A)
【文献】特開2006-165579(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0079385(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0247935(US,A1)
【文献】特開2011-134929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージと、
前記ステージ上に配置された実質的に平面状のクリーニング基板であって、前記クリーニング
基板は非導電性材
料で作製され、前記ステージに向かい合う第1の表面及び前記ステージから離れた方を向く第2の表面を有し、前記第1の表面の少なくとも第1の部分には導電性コーティングが存在せず、前記第2の表面の少なくとも第2の部分には導電性コーティングが存在せず、前記第1の部分及び前記第2の部分は、前記クリーニング基板を電界が貫通できるように相互に対して配置されている、クリーニング基板と、
を備え、
前記クリーニング基板は、前記クリーニング基板を貫通した電界が前記クリーニング基板の前記第2の表面に粒子を引き付けるように構成された、
装置。
【請求項2】
前記ステージは静電チャックを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の表面は部分的に導電性コーティングで覆われている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記静電チャックに電圧を印加し、前記クリーニング基板を貫通して前記第2の表面に隣接した空間内へ到達する電界を発生させるための電圧源を更に備える、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記電圧源はその出力電圧の極性を交番させるように適合されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の表面は少なくとも部分的に非導電性材料でコーティングされている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の表面は少なくとも部分的に非導電性材料でコーティングされている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記非導電性材料はカプトンを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の表面も前記第2の表面も導電性材料を有するコーティングを含まず、前記クリーニング基板を前記静電チャックに固定するための機械的クランプを更に備える、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
ステージと、
第1の表面及び第2の表面を有する実質的に平面状のクリーニング基板であって、前記クリーニング
基板は非導電性材料で作製され、前記第1の表面が前記ステージに向かい合うと共に前記第2の表面が前記ステージから離れた方を向くように前記ステージ上に配置され、前記第1の表面の少なくとも第1の部分には導電性コーティングが存在せず、前記第2の表面の少なくとも第2の部分には導電性コーティングが存在せず、前記第1の部分及び前記第2の部分は、前記クリーニング基板を電界が貫通できるように相互に対して配置されている、クリーニング基板と、
前記ステージに電気的に接続され、極性をスイッチするモードで動作するように適合された電圧源と、
を備え、
前記クリーニング基板は、前記クリーニング基板を貫通した電界が前記クリーニング基板の前記第2の表面に粒子を引き付けるように構成された、
装置。
【請求項11】
前記ステージは静電チャックを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の表面は部分的に導電性コーティングで覆われている、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記第2の表面は少なくとも部分的に非導電性コーティングで覆われている、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記電圧源は、前記クリーニング基板を貫通して前記第2の表面に隣接した空間のボリューム内へ到達する電界を発生させるように適合されている、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の表面は少なくとも部分的に非導電性材料でコーティングされている、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記非導電性材料はカプトンを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の表面も前記第2の表面も導電性材料を有するコーティングを含まず、前記クリーニング基板を前記静電チャックに固定するための機械的クランプを更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
非導電性材
料を含み、実質的に平面状の上面及び実質的に平面状の下面を有する実質的に平面状のクリーニング基板であって、前記上面は、導電性材料を含む層で覆われた少なくとも1つの第1のエリア及び導電性材料を含む層で覆われていない少なくとも1つの第2のエリアを含み、
前記クリーニング基板は、前記クリーニング基板を貫通した電界が前記クリーニング基板の前記下面に粒子を引き付けるように構成された、
実質的に平面状のクリーニング基板。
【請求項19】
前記導電性材料は窒化クロムを含む、請求項18に記載の実質的に平面状のクリーニング基板。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第2のエリアは非導電性層で覆われている、請求項18に記載の実質的に平面状のクリーニング基板。
【請求項21】
前記非導電性層はポリ(4,4’-オキシジフェニレン-ピロメリトイミドを含む、請求項20に記載の実質的に平面状のクリーニング基板。
【請求項22】
前記下面上の非導電性層を含む、請求項19に記載の実質的に平面状のクリーニング基板。
【請求項23】
前記非導電性層は、前記非導電性層に入射する粒子を保持するように適合された材料を含む、請求項22に記載のクリーニング基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2018年2月13日に出願された米国仮特許出願第62/629,862号の優先権を主張する。これは援用により全体が本願に含まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、例えば、リソグラフィ装置内部のレチクル、マスク、又はウェーハ等のデバイスを保持するため使用される静電チャックのようなチャックのクランプ等のサポートの近傍から粒子汚染を除去するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが付与される隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。
【0004】
[0004] 露光波長を短くし、これによって最小プリント可能サイズを縮小するため、約5nm~約20nmの範囲内の波長、例えば約13nm~約14nmの範囲内の波長を有する電磁放射が用いられる。このような放射は、極端紫外線(EUV)放射又は軟x線放射と呼ばれる。放射源として可能なものには例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、又は電子蓄積リング(electron storage ring)によって与えられるシンクロトロン放射に基づく放射源が含まれる。
【0005】
[0005] EUV放射はプラズマを用いて生成することができる。EUV放射を生成するための放射システムは、燃料を励起してプラズマを提供するためのレーザと、プラズマを内部に収容するためのソースコレクタモジュールと、を含み得る。プラズマは例えば、適切な燃料材料(例えばスズ)の小滴、又はXeガスやLi蒸気といった適切なガスもしくは蒸気の流れ等の少量の燃料に、レーザを誘導することによって生成できる。これによって生じるプラズマは、例えばEUV放射のような出力放射を放出し、この出力放射は放射コレクタを用いて収集される。放射コレクタは、ミラー垂直入射放射コレクタとすることができ、放射を受け、この放射を合焦してビームにする。ソースコレクタモジュールは、プラズマをサポートする真空環境を提供するように構成された閉鎖構造又はチャンバを含むことができる。このような放射システムは典型的にレーザ生成プラズマ(LPP:laser produced plasma)源と呼ばれる。同様にレーザの使用を伴う場合がある代替的なシステムでは、放電を用いて形成されたプラズマによって放射を発生することができる。これは放電生成プラズマ(DPP:discharge produced plasma)源である。放射は、生成後にパターニングデバイスを用いてパターンが付与され、次いでウェーハの表面へ送られる。
【0006】
[0006] リソグラフィ装置では、例えばパターニングレチクルをスキャンステージ上に保持するために静電チャック(ESC:electrostatic chuck)が用いられる。レチクル粒子汚染(欠陥)は、EUV技術における極めて重要なパラメータである。レチクル汚染を軽減するため、レチクルステージ付近のボリュームは、いわゆるフラッシング(flushing)によって洗浄される。フラッシングは、レチクルエリアで通常よりも大きいガス流を与えて粒子を解放し(追い出し(dislodge))、粒子をEUVシステムから除去することを含む。フラッシングの欠点は、これが比較的低速のクリーニングプロセスであり、効率が限られていることである。
【0007】
[0007] 従って、より高速で効率の高いインシチュ(in-situ)クリーニング技法が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 以下は、1つ以上の実施形態の基本的な理解を得るため、それらの実施形態の簡略化された概要を示す。この概要は、想定される全ての実施形態を広く概観するものではなく、全ての実施形態の重要な要素又は不可欠な要素を識別することは意図しておらず、また、いずれかの又は全ての実施形態の範囲を画定することも意図していない。その唯一の目的は、後に提示される更に詳細な記載の前置きとして、1つ以上の実施形態のいくつかの概念を簡略化した形態で示すことである。
【0009】
[0009] 1つの態様によれば、静電チャックで発生した電界を用いて、犠牲クリーニングレチクル又は変更された基板の前面(露出面)に粒子を引き付けるシステムが開示される。このクリーニング基板は、電界がレチクル前方の空間まで貫通することを可能とするため、レチクル背面の一部にのみ導電性コーティングを有する。極性スイッチングと組み合わせてEUV暴露を用いて、又はEUV暴露を用いることなく、基板の前面に荷電粒子を引き付けることができる。
【0010】
[0010] 別の態様によれば、基板を支持するように適合されたステージと、ステージに電気的に接続され、極性をスイッチするモードで動作するように適合された電圧源と、を備える装置が開示される。
【0011】
[0011] 別の態様によれば、ステージと、ステージ上に配置された実質的に平面状の基板であって、ステージに向かい合う第1の表面及びステージから離れた方を向く第2の表面を有し、第1の表面の少なくとも第1の部分には導電性コーティングが存在せず、第2の表面の少なくとも第2の部分には導電性コーティングが存在せず、第1の部分及び第2の部分は、基板を電界が貫通できるように相互に対して配置されている、基板と、を備える装置が開示される。ステージは静電チャックを含んでもよい。第1の表面は部分的に導電性コーティングで覆われてもよい。装置は、静電チャックに電圧を印加し、基板を貫通して第2の表面に隣接した空間内へ到達する電界を発生させるための電圧源を更に備えてもよい。電圧源はその出力電圧の極性を交番させるように適合してもよい。基板は非導電性材料で作製されてもよい。第1の表面は少なくとも部分的に非導電性材料でコーティングされてもよい。第2の表面は少なくとも部分的に非導電性材料でコーティングされてもよい。非導電性材料はカプトンを含んでもよい。第1の表面も第2の表面も導電性材料を有するコーティングを含まず、組み合わせは、基板を静電チャックに固定するための機械的クランプを更に備えてもよい。
【0012】
[0012] 別の態様によれば、ステージと、第1の表面及び第2の表面を有する実質的に平面状のであって、第1の表面がステージに向かい合うと共に第2の表面がステージから離れた方を向くようにステージ上に配置され、第1の表面の少なくとも第1の部分には導電性コーティングが存在せず、第2の表面の少なくとも第2の部分には導電性コーティングが存在せず、第1の部分及び第2の部分は、基板を電界が貫通できるように相互に対して配置されている、基板と、ステージに電気的に接続され、第2の表面に粒子を引き付けるように極性をスイッチするモードで動作するように適合された電圧源と、を備える装置が開示される。ステージは静電チャックを含んでもよい。第1の表面は部分的に導電性コーティングで覆われてもよい。第2の表面は少なくとも部分的に非導電性コーティングで覆われてもよい。電圧源は、基板を貫通して第2の表面に隣接した空間のボリューム内へ到達する電界を発生させるように適合されてもよい。基板は非導電性材料で作製されてもよい。第1の表面は少なくとも部分的に非導電性材料でコーティングされてもよい。非導電性材料はカプトンを含んでもよい。第1の表面も第2の表面も導電性材料を有するコーティングを含まず、装置は、基板を静電チャックに固定するための機械的クランプを更に備えてもよい。
【0013】
[0013] 別の態様によれば、ステージを提供するステップと、ステージ上に実質的に平面状の基板を配置するステップであって、基板は第1の表面及び第2の表面を有し、第1の表面の少なくとも第1の部分には導電性コーティングが存在せず、第2の表面の少なくとも第2の部分には導電性コーティングが存在せず、第1の部分及び第2の部分は、基板を電界が貫通できるように相互に対して配置されている、ステップと、電圧極性が少なくとも1回スイッチするようにステージ及び基板に電圧を印加するステップと、を含む方法が開示される。ステージは静電チャックを含んでもよい。
【0014】
[0014] 別の態様によれば、ステージを提供するステップと、ステージ上に実質的に平面状の基板を配置するステップであって、基板の第1の表面がステージに向かい合うと共に基板の第2の表面がステージから離れた方を向くように配置し、第1の表面の少なくとも第1の部分には導電性コーティングが存在せず、第2の表面の少なくとも第2の部分には導電性コーティングが存在せず、第1の部分及び第2の部分は、基板を電界が貫通できるように相互に対して配置されている、ステップと、電圧極性が少なくとも1回スイッチするようにステージ及び基板に電圧を印加することによって第2の表面に粒子を引き付けるステップと、を含む方法が開示される。この方法は、引き付けるステップの前に粒子を帯電するステップを更に含んでもよい。粒子を帯電するステップは、粒子を電離放射に暴露することを含んでもよい。ステージは静電チャックを含んでもよい。
【0015】
[0015] 別の態様によれば、ステージを提供するステップと、ステージ上に実質的に平面状の基板を配置するステップであって、基板はステージに向かい合う第1の表面及びステージから離れた方を向く第2の表面を有し、第1の表面の少なくとも第1の部分には導電性コーティングが存在せず、第2の表面の少なくとも第2の部分には導電性コーティングが存在せず、第1の部分及び第2の部分は、基板を電界が貫通できるように相互に対して配置されている、ステップと、電界が基板を貫通して第2の表面に隣接した空間内へ到達するようにステージ及び基板に電圧を印加して、空間内の粒子を第2の表面の方へ引き付けるステップと、
を含む方法が開示される。
【0016】
[0016] 別の態様によれば、非導電性材料を含み、実質的に平面状の上面及び実質的に平面状の下面を有する実質的に平面状のクリーニング基板であって、上面は、導電性材料を含む層で覆われた少なくとも1つの第1のエリア及び導電性材料を含む層で覆われていない少なくとも1つの第2のエリアを含む、実質的に平面状のクリーニング基板が開示される。導電性材料は窒化クロムを含んでもよい。少なくとも1つの第2のエリアは非導電性材料の層で覆われてもよい。非導電性層はポリ(4,4’-オキシジフェニレン-ピロメリトイミドを含んでもよい。実質的に平面状のクリーニング基板は、第2の表面上の非導電性層を含んでもよい。非導電性層は、非導電性層に入射する粒子を保持するように適合された材料を含んでもよい。
【0017】
[0017] 本発明の別の特徴及び利点並びに本発明の様々な実施形態の構造及び作用は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載する特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、例示のみを目的として本明細書に記載されている。本明細書に含まれる教示に基づいて当業者はさらなる実施形態を容易に思いつくであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
[0018] 本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は本発明を図示し、説明とともに、更に実施形態の原理を説明し、当業者が本発明を作成して使用できるようにする働きをする。
【0019】
【
図1】[0019] 本発明の一実施形態に従ったリソグラフィ装置を示す。
【
図2】[0020] 一実施形態に従った、LPPソースコレクタモジュールを含む
図1の装置の更に詳細な図である。
【
図3】[0021] 一実施形態の一態様に従った静電チャック及び基板の構成の縮尺どおりでない図である。
【
図4A-4D】[0022] 様々なコーティング構成を有する基板のうち1つの平面図及び側面図である。
【
図5A】[0023] 一実施形態の一態様に従ったクリーニング基板及び静電チャックを用いるクリーニングプロセスを示すフローチャートである。
【
図5B】[0024] 一実施形態の一態様に従ったクリーニング基板及び静電チャックを用いる別のクリーニングプロセスを示すフローチャートである。
【
図5C】[0025] 一実施形態の一態様に従ったクリーニング基板及び静電チャックを用いる別のクリーニングプロセスを示すフローチャートである。
【0020】
[0026] 本発明の特徴及び利点は、同様の参照符号は全体を通して対応する要素を識別する図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことで更に明白になるであろう。図面では、一般に、同様の参照番号が同一の、機能が類似した、及び/又は構造が類似する要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0027] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される1つ又は複数の実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される1つ又は複数の実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
【0022】
[0028] 記載された実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。更に、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。更に、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識の範囲内にあることが理解される。
【0023】
[0029] 以下の記載及び特許請求の範囲において、「上方(up)」、「下方(down)」、「上(top)」、「下(bottom)」、「垂直方向(vertical)」、「水平方向(horizontal)」等の用語を使用することがある。これらの用語は、特に別の意図が示されない限り相対的な向きだけを示し、重力に対する向きのような絶対的な向きは示さないことが意図される。同様に、左、右、前、後ろ等の用語は、相対的な方位だけを示すことが意図される。
【0024】
[0030] 実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
【0025】
[0031]
図1は、本発明の一実施形態に従ったソースコレクタモジュールSOを含むリソグラフィ装置LAPを概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えばEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)MAを支持するように構成され、パターニングデバイスを正確に位置決めするよう構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、基板を正確に位置決めするよう構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを、基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば反射投影システム)PSと、を備える。
【0026】
[0032] 照明システムは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0027】
[0033] 支持構造MTは、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計及び、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否か等の条件に応じた方法でパターニングデバイスMAを保持する。支持構造は、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を用いて、パターニングデバイスを保持することができる。支持構造は、例えば、必要に応じて固定又は可動式にできるフレーム又はテーブルであってもよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。
【0028】
[0034] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0029】
[0035] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例は、小型ミラーのマトリクス構成を使用し、ミラーの各々は、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾けることができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射される放射ビームにパターンを付与する。
【0030】
[0036] 投影システムは、照明システムと同様に、使用する露光放射、又は真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折、反射、磁気、電磁、静電型等の光学コンポーネント、又はその任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。その他のガスは放射を吸収しすぎるため、EUV放射用には真空を使用することが望ましいことがある。したがって、真空環境は、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に提供してもよい。
【0031】
[0037] 本明細書で示すように、本装置は反射タイプである(例えば反射マスクを使用する)。リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。
【0032】
[0038]
図1を参照すると、イルミネータILはソースコレクタモジュールSOから極端紫外線放射ビームを受ける。EUV光を生成する方法は、必ずしも限定ではないが、例えばキセノン、リチウム、又はスズのような、EUV範囲内に1つ以上の輝線を持つ少なくとも1つの元素を有する材料を、プラズマ状態に変換することを含む。しばしばレーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれる1つのそのような方法では、必要な線発光元素を有する材料の小滴、流れ、又はクラスタのような燃料を、レーザビームで照射することにより、必要なプラズマを生成できる。ソースコレクタモジュールSOは、
図1には示されていない、レーザビームを提供し燃料を励起するためのレーザを含むEUV放射システムの一部とすることができる。これによって生じるプラズマは、例えばEUV放射のような出力放射を放出し、この出力放射はソースコレクタモジュール内に配置された放射コレクタを用いて収集される。例えばCO2レーザを使用して燃料励起のためのレーザビームを提供する場合、レーザとソースコレクタモジュールは別個の構成要素である可能性がある。
【0033】
[0039] そのような場合には、レーザは、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、レーザからソースコレクタモジュールへ、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合、例えば、放射源がしばしばDPP源と呼ばれる放電生成プラズマEUVジェネレータである場合においては、放射源は、ソースコレクタモジュールの一体部分であってもよい。
【0034】
[0040] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、a-outer及びa-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、ファセットフィールド及びファセット瞳ミラーデバイスなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータILを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0035】
[0041] 放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサPS1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
【0036】
[0042] 図示の装置は、いくつかのモードのうちの少なくとも1つで使用することができる。ステップモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。
【0037】
[0043] スキャンモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。
【0038】
[0044] 別のモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルス間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
【0039】
[0045] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0040】
[0046]
図2は、ソースコレクタモジュールSO、照明システムIL、及び投影システムPSを含むリソグラフィ装置LAPを更に詳細に示す。ソースコレクタモジュールSOは、このソースコレクタモジュールの閉鎖構造2内に真空環境を維持できるように構築及び配置されている。
【0041】
[0047] レーザ4は、燃料供給8(燃料流発生器と呼ばれることもある)から提供されるキセノン(Xe)、スズ(Sn)、又はリチウム(Li)等の燃料のボリューム内へ、レーザビーム6によってレーザエネルギを堆積するよう構成されている。レーザエネルギの燃料への堆積は、プラズマ形成位置12で、数十電子ボルト(eV)の電子温度を有する高度に電離したプラズマ10を生成する。これらのイオンの脱励起及び再結合中に発生した高エネルギ放射がプラズマ10から放出され、近法線入射放射コレクタ14によって収集され合焦される。レーザ4及び燃料供給8(及び/又はコレクタ14)は共に、放射源、具体的にはEUV放射源を構成すると考えることができる。EUV放射源はレーザ生成プラズマ(LPP)放射源と称されることもある。
【0042】
[0048] レーザビーム6が燃料のボリュームに入射する前に燃料のボリュームを予熱するか又は他の方法で予め調節するよう構成された第2のレーザ(図示せず)を提供してもよい。この手法を使用するLPP源をデュアルレーザパルス(DLP:dual laser pulsing)源と呼ぶことがある。
【0043】
[0049] 図示されていないが、燃料流発生器は一般に、例えば小滴の形態)である燃料の流れをプラズマ形成領域12へ向かう軌道に沿って誘導するよう構成されたノズルを備えているか、又はそのようなノズルに接続される。
【0044】
[0050] 放射コレクタ14で反射された放射Bは、仮想光源点16で合焦する。仮想光源点16は一般に中間焦点と称され、ソースコレクタモジュールSOは、中間焦点16が閉鎖構造2の開口18に又は開口18の近傍に位置するよう構成されている。仮想光源点16は放射放出プラズマ10の像である。
【0045】
[0051] この後、放射Bは照明システムILを横断する。照明システムILは、パターニングデバイスMAにおいて放射ビームBの所望の角度分布を与えると共にパターニングデバイスMAにおいて所望の放射強度均一性を与えるように配置されたファセットフィールドミラーデバイス20及びファセット瞳ミラーデバイス22を含むことができる。支持構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAで放射ビームが反射されると、パターン付きビーム24が形成され、このパターン付きビーム24は、投影システムPSによって、反射要素26、28を介して、ウェーハステージ又は基板テーブルWTにより保持された基板W上に結像される。
【0046】
[0052] 一般に、照明システムIL及び投影システムPSには、図示するよりも多くの要素が存在し得る。更に、図示するよりも多くのミラーが存在する場合があり、例えば投影システムPSには、
図2に示すものに対して追加の反射要素が存在することがある。
【0047】
[0053] 本明細書に記載されている実施形態は、極端紫外線(EUV)リソグラフィデバイス内のものを含む多くの異なるリソグラフィツールにおいて、汚染制御のために使用できる。元来反射型であるEUVレチクルは汚染に極めて弱く、手作業の手順を用いて洗浄することは難しい。
【0048】
[0054] 静電力は、EUVプラズマの有無にかかわらず、粒子輸送において重要な役割を果たし得る。原則的に、レチクルステージ静電クランプを用いて電界を発生することができる。通常、このような電界は、導電性背面コーティングを有するレチクルにクランプすることで遮断される(クランプとレチクル背面との間に閉じ込められる)。この導電性コーティングはレチクルを効果的にクランプするため必要である。しかしながら、導電性コーティングの少なくとも一部を除去すると、電界は基板を貫通して基板外の空間内に到達し得る。このような電界を、基板の表面を少なくとも部分的に覆っている非導電性コーティングと組み合わせて用いることで、粒子を追い出して非導電性表面上にトラップさせる効率的な方法の基礎が与えられる。この効果は、電界の極性(符号)を交番させた場合に増大する。
【0049】
[0055] 従って、一態様によれば、粒子は犠牲クリーニングレチクル又は変更された基板の前面に引き付けられる。このクリーニング基板は、レチクル背面を完全に覆う導電性を持たない。これによって、電界はレチクルの前方にある空間ボリュームまで貫通することができる。極性スイッチングと組み合わせてEUV暴露を用いて、又はEUV暴露を用いることなく、基板の非導電性の(外側を向いた)前面に荷電粒子を引き付けることができる。
【0050】
[0056]
図3は本開示の一態様に従った一実施形態を示す。
図3に示されているように、あるパターンのバール310を備えた前面を有する静電チャック300が図示されている。
図3は一定の縮尺どおりでなく、図を理解しやすくするため要素のいくつかの相対的な大きさを変えてある。
【0051】
[0057] 静電チャック300の前面にクリーニングレチクル又は基板320が隣接している。基板320は、基板320の(クランプに向かい合う)上面の一部を覆う第1のコーティング330を有し得る。第1のコーティング330は導電性のエリアを含むことができ、静電チャック300に電圧を印加すると静電力が生じて、この静電力により基板320の上面がバール310を備えた静電チャック300の下面に付着するようになっている。基板320は、(外側を向いた)下面にコーティング340も備えることができ、これも導電性のエリアを含み得る。これらの導電性コーティングが存在する場合、これらは、静電チャック300により発生した電界がコーティングのギャップを貫通して基板320の下面に隣接したボリューム内へ到達するように構成されている。あるいは、基板320が導電性コーティングを全く備えておらず、機械的クランプ350によって所定位置に保持することも可能である。
【0052】
[0058] 基板320の下面に隣接したボリューム内へ到達する静電界によって、そのボリューム内の粒子360は矢印Aの方向に移動して基板320の下面に付着する傾向がある。この効果により、基板320の下面に隣接したボリューム内の粒子は排除されるか又はその粒子数が減少する。
【0053】
[0059] 静電界を生成するため、静電チャック300に電圧源370から電圧を供給することが好ましい。電圧源370は、より多くの粒子360を基板320の下面へ容易に引き付けるため、極性を少なくとも1度スイッチするように構成できる。
【0054】
[0060]
図4Aは、例えばCrNのような金属等の導電性材料で作製されたコーティング330を有するガラス等の非導電性材料で作製された従来の基板320を示しており、コーティング330は基板220の全面を覆っている。
図4Aに示されているような基板320上のコーティング330は、静電力を用いて基板320をクランプに固定することを可能とするが、静電チャック300により発生した静電界が基板320を貫通して基板320の下面に隣接したボリューム内へ到達することを可能としない。このため、静電界は、そのボリューム内の粒子を基板320の下面に引き付けることができない。
【0055】
[0061]
図4Bは、基板320の上面の一部のみを覆うことで電界の貫通を可能とする導電性コーティング330を有する基板320を示す。
図4Bでは、基板320の上面の中央部に導電性フィルムを備えていない金属コート外側フレーム330が存在する。中央部のこのエリアはコーティングされないままとするか、又は非導電性フィルム(例えばカプトン(Kapton(登録商標))(ポリ(4,4’-オキシジフェニレン-ピロメリトイミド)))を設けてもよい。導電性コーティング330の存在によって基板320の上面の付着が容易になると共に、導電性コーティングを持たない基板320の上面の部分によって、静電チャック300で発生した静電界の通過が可能となる。
【0056】
[0062]
図4Cは、基板320の上面の中央部が導電性コーティング330を持たない別の構成を示す。この場合も、この中央部はコーティングを持たないか、又は非導電性材料のコーティングを有することができる。
図4Dは、基板320がコーティングを持たない構成を示す。このような基板320では、静電チャック300で発生した静電界によって基板322が静電チャック300に付着しないので、例えばセーフティキャッチ等の補足的なクランプ手段を用いて基板320を静電チャック300に固定することができる。
【0057】
[0063]
図5Aは、静電チャックの面の付近のボリュームから粒子を除去するためのプロセスを示すフローチャートである。ステップS50では、この図で単にチャックと称される静電チャックに隣接して基板を位置決めする。この時点で、追加の手段を用いて基板をチャックに固定してもよい。ステップS52では、第1の極性を有する第1の電圧をチャックに印加する。ステップS54では、第1の極性から反転させた第2の極性を有する第2の電圧をチャックに印加する。この第2の電圧は、(符号とは異なり)第1の電圧の大きさと同一であるか又は異なる大きさを有し得る。ステップS56では、チャックに対する第2の電界の印加を中断し、ステップS58では、基板をチャックから取り外す。
【0058】
[0064]
図5Bは、静電チャックの面の付近のボリュームから粒子を除去するための別のプロセスを示すフローチャートである。
図5Aに関連して記載した方法と同様、ステップS50では、静電チャックに隣接して基板を位置決めする。この時点で、追加の手段を用いて基板をチャックに固定してもよい。ステップS52では、第1の極性を有する第1の電圧をチャックに印加する。ステップS54では、第1の極性から反転させた第2の極性を有する第2の電圧をチャックに印加する。この場合も、第2の電圧は、第1の電圧の大きさと同一であるか又は異なる大きさを有し得る。ステップS60では、所定の回数の電圧反転が適用されたか否かを判定する。イエスの場合、次いでステップS56では、チャックに対する第2の電界の印加を中断し、ステップS58では、基板をチャックから取り外す。ノーの場合、次いでプロセスはステップS52に戻る。
【0059】
[0065]
図5Cは、静電チャックの面の付近のボリュームから粒子を除去するための別のプロセスを示すフローチャートである。上述の方法と同様、ステップS50では、静電チャックに隣接して基板を位置決めする。この時点で、追加の手段を用いて基板をチャックに固定してもよい。ステップS52では、第1の極性を有する第1の電圧をチャックに印加する。ステップS54では、第1の極性から反転させた第2の極性を有する第2の電圧をチャックに印加する。この場合も、第2の電圧は、第1の電圧の大きさと同一であるか又は異なる大きさを有し得る。ステップS62では、充分な粒子が除去されたか否かを判定する。この判定は例えば、粒子濃度を検知するセンサによって行うか、又は単に、充分な粒子数のボリュームを除去するのに充分であるとアプリオリにわかっている時間量が経過したこと、もしくは充分な粒子数のボリュームを除去するのに充分であるとアプリオリにわかっている回数の電圧反転が適用されたことの判定によって、行うことができる。イエスの場合、次いでステップS56では、チャックに対する第2の電界の印加を中断し、ステップS58では、基板をチャックから取り外す。ノーの場合、次いでプロセスはステップS52に戻る。
【0060】
[0066] クランプが配置されているチャンバ内の真空を阻害することなく所定位置のクランプ前方のボリュームを洗浄する機能によって、ダウンタイムが回避される。開示される主題を用いることから得られる利点は、レチクル等のパターニングデバイスを保持するクランプ構造のため、及び、処理対象のウェーハを保持するクランプ構造のために実現できる。
【0061】
[0067] 図示のように、クリーニング基板320は、粒子汚染物質の保持を促進する材料層340も含むことができる。一例において、このような層は、ポリイミド、Viton(登録商標)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、Kapton(登録商標)、及びTeflon(登録商標)を含み得る。
【0062】
[0068] 一度静電チャック300からクリーニング基板320を取り外したら、クリーニング基板320を洗浄して、付着した粒子を除去し、次いで再使用することができる。
【0063】
[0069] 上記の方法は、犠牲レチクルに隣接したボリューム内へ電界を到達させる前に、犠牲レチクルに隣接したエリアをEUV放射等の電離放射に暴露することによって向上させることができる。この放射は、粒子に電荷を与えることで、粒子が電気的に中性である場合に比べ、電界が粒子に及ぼす力の量を増大させる。粒子を帯電させる他の方法には、電離ユニットを使用すること、又はレーザで与えられるような他の放射を使用することが含まれる。
【0064】
[0070] 上記の記載は、一例として、クリーニング基板レチクルに隣接したボリューム(そのボリューム内の表面に付着している粒子を含む)を洗浄することを述べている。また、極性スイッチングは、クリーニング基板に向かい合うクランプ表面に対するクリーニング基板のクリーニング効果を増大させる。例えば、クランプ表面のバール間のギャップ内の粒子をその表面から追い出し、粒子が付着する傾向のあるクリーニング基板の表面に引き付けることができる。従って、粒子除去は少なくとも1回の極性スイッチの実行によって達成される。初期極性(例えば正)のもとで、クランプと犠牲クリーニングレチクルとの界面の粒子はクランプに引き付けられる。極性を(例えば負に)反転させると、この反対の極性によって粒子ははじかれ、クランプに向かい合う犠牲クリーニングレチクル表面へ移動する。更に極性スイッチを行うと更に粒子が除去される。これは、更に極性反転が行われるにもかかわらず、粒子は電荷を保持する傾向があり、犠牲クリーニングレチクルに付着し続けるからである。犠牲クリーニングレチクルの外側を向いた表面については、犠牲クリーニングレチクルの非導電性表面に引き付けられた粒子は、複数回の極性スイッチの後も引き付けられた状態のままであり、スイッチのたびに犠牲クリーニングレチクルに隣接したボリュームの接地表面からより多くの粒子が追い出される。しかしながら、極性が次にスイッチされた場合に犠牲レチクル上の粒子が電荷を失い、追い出されるか又は跳ね上がってクランプに戻るかもしくは接地表面に移動するほど、極性スイッチの回数及び/又は極性スイッチングが実行される時間量が大きくなることはあり得ない。
【0065】
[0071] 上記の記載は、一例として、クリーニングレチクルを用いたクリーニング基板及びレチクルクランプの使用を述べているが、本明細書の教示はEUVシステムの他の部分に適用できることは当業者には容易に認められよう。
【0066】
[0072] 以下の条項を用いて実施形態を更に記載することができる。
1.基板を支持するように適合されたステージと、
ステージに電気的に接続され、極性をスイッチするモードで動作するように適合された電圧源と、
を備える装置。
2.ステージは静電チャックを含む、条項1に記載の装置。
3.ステージと、
ステージ上に配置された実質的に平面状の基板であって、ステージに向かい合う第1の表面及びステージから離れた方を向く第2の表面を有し、第1の表面の少なくとも第1の部分には導電性コーティングが存在せず、第2の表面の少なくとも第2の部分には導電性コーティングが存在せず、第1の部分及び第2の部分は、基板を電界が貫通できるように相互に対して配置されている、基板と、
を備える装置。
4.ステージは静電チャックを含む、条項3に記載の装置。
5.第1の表面は部分的に導電性コーティングで覆われている、条項4に記載の装置。
6.静電チャックに電圧を印加し、基板を貫通して第2の表面に隣接した空間内へ到達する電界を発生させるための電圧源を更に備える、条項3に記載の装置。
7.電圧源はその出力電圧の極性を交番させるように適合されている、条項6に記載の装置。
8.基板は非導電性材料で作製されている、条項3に記載の装置。
9.第1の表面は少なくとも部分的に非導電性材料でコーティングされている、条項3に記載の装置。
10.第2の表面は少なくとも部分的に非導電性材料でコーティングされている、条項3に記載の装置。
11.非導電性材料はカプトンを含む、条項10に記載の装置。
12.第1の表面も第2の表面も導電性材料を有するコーティングを含まず、基板を静電チャックに固定するための機械的クランプを更に備える、条項3に記載の装置。
13.ステージと、
第1の表面及び第2の表面を有する実質的に平面状のであって、第1の表面がステージに向かい合うと共に第2の表面がステージから離れた方を向くようにステージ上に配置され、第1の表面の少なくとも第1の部分には導電性コーティングが存在せず、第2の表面の少なくとも第2の部分には導電性コーティングが存在せず、第1の部分及び第2の部分は、基板を電界が貫通できるように相互に対して配置されている、基板と、
ステージに電気的に接続され、第2の表面に粒子を引き付けるように極性をスイッチするモードで動作するように適合された電圧源と、
を備える装置。
14.ステージは静電チャックを含む、条項13に記載の装置。
15.第1の表面は部分的に導電性コーティングで覆われている、条項13に記載の装置。
16.第2の表面は少なくとも部分的に非導電性コーティングで覆われている、条項13に記載の装置。
17.電圧源は、基板を貫通して第2の表面に隣接した空間のボリューム内へ到達する電界を発生させるように適合されている、条項13に記載の装置。
18.基板は非導電性材料で作製されている、条項13に記載の装置。
19.第1の表面は少なくとも部分的に非導電性材料でコーティングされている、条項13に記載の装置。
20.非導電性材料はカプトンを含む、条項19に記載の装置。
21.第1の表面も第2の表面も導電性材料を有するコーティングを含まず、基板を静電チャックに固定するための機械的クランプを更に備える、条項13に記載の装置。
22.ステージを提供するステップと、
ステージ上に実質的に平面状の基板を配置するステップであって、基板は第1の表面及び第2の表面を有し、第1の表面の少なくとも第1の部分には導電性コーティングが存在せず、第2の表面の少なくとも第2の部分には導電性コーティングが存在せず、第1の部分及び第2の部分は、基板を電界が貫通できるように相互に対して配置されている、ステップと、
電圧極性が少なくとも1回スイッチするようにステージ及び基板に電圧を印加するステップと、
を含む方法。
23.ステージは静電チャックを含む、条項22に記載の方法。
24.ステージを提供するステップと、
ステージ上に実質的に平面状の基板を配置するステップであって、基板の第1の表面がステージに向かい合うと共に基板の第2の表面がステージから離れた方を向くように配置し、第1の表面の少なくとも第1の部分には導電性コーティングが存在せず、第2の表面の少なくとも第2の部分には導電性コーティングが存在せず、第1の部分及び第2の部分は、基板を電界が貫通できるように相互に対して配置されている、ステップと、
電圧極性が少なくとも1回スイッチするようにステージ及び基板に電圧を印加することによって第2の表面に粒子を引き付けるステップと、
を含む方法。
25.引き付けるステップの前に粒子を帯電するステップを更に含む、条項24に記載の方法。
26.粒子を荷電するステップは粒子を電離放射に暴露することを含む、条項25に記載の方法。
27.ステージは静電チャックを含む、条項24に記載の方法。
28.ステージを提供するステップと、
ステージ上に実質的に平面状の基板を配置するステップであって、基板はステージに向かい合う第1の表面及びステージから離れた方を向く第2の表面を有し、第1の表面の少なくとも第1の部分には導電性コーティングが存在せず、第2の表面の少なくとも第2の部分には導電性コーティングが存在せず、第1の部分及び第2の部分は、基板を電界が貫通できるように相互に対して配置されている、ステップと、
電界が基板を貫通して第2の表面に隣接した空間内へ到達するようにステージ及び基板に電圧を印加して、空間内の粒子を第2の表面の方へ引き付けるステップと、
を含む方法。
29.非導電性材料を含み、実質的に平面状の上面及び実質的に平面状の下面を有する実質的に平面状のクリーニング基板であって、上面は、導電性材料を含む層で覆われた少なくとも1つの第1のエリア及び導電性材料を含む層で覆われていない少なくとも1つの第2のエリアを含む、実質的に平面状のクリーニング基板。
30.導電性材料は窒化クロムを含む、条項29に記載の実質的に平面状のクリーニング基板。
31.少なくとも1つの第2のエリアは非導電性材料の層で覆われている、条項29に記載の実質的に平面状のクリーニング基板。
32.非導電性層はポリ(4,4’-オキシジフェニレン-ピロメリトイミドを含む、条項31に記載の実質的に平面状のクリーニング基板。
33.第2の表面上の非導電性層を含む、条項30に記載の実質的に平面状のクリーニング基板。
34.非導電性層は、非導電性層に入射する粒子を保持するように適合された材料を含む、条項33に記載のクリーニング基板。
【0067】
[0073] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0068】
[0074] 特許請求の範囲を解釈するには、「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項を使用するよう意図されていることを理解されたい。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、したがって本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも限定しないものとする。
【0069】
[0075] 以上では、特定の機能の実施態様を例示する機能的構成要素及びその関係を用いて本発明について説明してきた。これらの機能的構成要素の境界は、本明細書では説明の便宜を図って任意に画定されている。特定の機能及びその関係が適切に実行される限り、代替的境界を画定することができる。
【0070】
[0076] 特定の実施形態の前述の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に変更及び/又はこれを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び変更は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲に入るものとする。本明細書における表現又は用語は限定でなく例示による記載のためのものであるので、本明細書の表現又は用語は、当業者によって教示及び案内の観点から解釈されるべきであることは理解されよう。