(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】除去装置、選別装置、及び、搬送用車両
(51)【国際特許分類】
B07C 5/36 20060101AFI20240206BHJP
B07C 5/342 20060101ALI20240206BHJP
A01D 17/00 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B07C5/36
B07C5/342
A01D17/00
(21)【出願番号】P 2020039077
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2023-01-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・農業基盤技術」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】深尾 隆則
(72)【発明者】
【氏名】村上 則幸
(72)【発明者】
【氏名】辻 博之
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-001115(JP,A)
【文献】特開平11-196640(JP,A)
【文献】特開2018-202305(JP,A)
【文献】特開平03-089981(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0236994(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/00 - 5/38
B65G 47/00 - 47/96
A01D 17/00 - 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置に対して、搬送方向に角度を有するように配列された複数の除去ユニットと、
前記除去ユニットの駆動を個別に制御可能な制御部と、
センサと、
を備え、
前記除去ユニットは、それぞれ、前記制御部によって駆動が制御されることによって前記搬送装置の搬送面上の、各前記除去ユニットから所定範囲にある物体を、前記搬送面から除去する除去動作を行い、
前記制御部は、前記搬送装置で搬送されている前記搬送面上の収穫物と前記収穫物以外の異物との混在した搬送物のうちの前記異物に応じて、前記複数の除去ユニットのうちから必要な除去ユニットを選択し、選択した前記除去ユニットを駆動さ
せ、
前記センサは、前記搬送装置の前記搬送面上の前記搬送物から前記異物を検出するためのものであり、
前記センサは、前記除去ユニットの前記搬送方向の上流側における前記搬送装置上において、前記搬送方向に長さを有する領域における前記搬送物の撮影画像を得るためのカメラを含み、
前記制御部は、前記搬送物の撮影画像を入力として前記収穫物又は前記異物を出力するように機械学習された検出器に対して前記カメラによる前記撮影画像を入力し、前記検出器からの出力を得ることによって、前記撮影画像中における前記異物の位置を検出し、
前記制御部は、前記カメラの前記搬送方向に対する位置と、前記搬送装置の搬送速度に関連する指標とを用いて、前記画像中における前記異物の位置から前記除去ユニットを駆動させるタイミングを決定する
除去装置。
【請求項2】
前記除去ユニットは、
前記制御部の制御に従って、先端に取り付けられた除去板を進退させるアームを有し、
前記除去動作は、前記除去板を前記異物に接触させることによって前記搬送面から前記異物を除去するように、前記除去板を進出させる動作を含む
請求項1に記載の除去装置。
【請求項3】
前記搬送面は、前記搬送方向の上流側の第1の搬送面と、前記搬送方向の下流側にあって、前記第1の搬送面に対して段差をもって配置された第2の搬送面と、を有し、前記第1の搬送面の最下流まで搬送された前記搬送物は前記第1の搬送面から前記第2の搬送面に落下して前記第2の搬送面上を搬送され、
前記除去ユニットは、前記除去板を進出させた状態で前記除去板が前記第1の搬送面から前記第2の搬送面に落下する前記異物に接触して前記異物を前記段差の間隙を通過させて前記搬送面から除去し、前記除去板を後退させた状態で前記除去板が接触しないように構成されている
請求項2に記載の除去装置。
【請求項4】
前記除去板は、鉛直方向に対して角度を有し、かつ、前記搬送方向の上流側を低くして前記アームに取り付けられており、前記搬送方向の上流側の端部が上向きになるように湾曲している
請求項3に記載の除去装置。
【請求項5】
前記複数の除去ユニットは、それぞれの前記除去板が前記搬送方向に直交する前記搬送面の幅方向に連続するように配置されており、
前記制御部は、前記異物の位置及び大きさに対応した位置に前記除去板を有する前記除去ユニットを選択する
請求項2~4のいずれか一項に記載の除去装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の除去装置と、
搬送装置と、を備えた、
選別装置。
【請求項7】
収穫物を搬送可能な搬送用車両であって、
請求項1~
5のいずれか一項に記載の除去装置と、
前記搬送用車両の車速に関連した搬送速度になる搬送装置と、を搭載
しており、
前記制御部は、前記搬送装置の搬送速度に関連する指標として、前記車速を用いる
搬送用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、除去装置、選別装置、及び、搬送用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
地中で生育する根菜類等の地下作物を収穫すると、収穫物と土塊や石などの異物とが混在した状態で収穫される。このように収穫物と異物との混合物から正確に収穫物を選別する必要がある。
【0003】
この方法について、特開2018-1115号公報(以下、特許文献1)では、搬送されて、端部から一定間隔を空けて落下された物体に所定の波長を有する光を照射し、その物体を撮像して撮像結果に基づいて収穫物である馬鈴薯か異物かを判断している。そして、馬鈴薯と異物とによって落下位置を異ならせて異なる場所へ分配できるように、落下軌道を異ならせている。画像から判断する方法として、例えば、特表2015-529154号公報(以下、特許文献2)は、撮影画像を解析して、優良なジャガイモ、土、石などに類別する具体的な手法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-1115号公報
【文献】特表2015-529154号公報
【発明の概要】
【0005】
特許文献2の手法のような画像解析を行うことで収穫物と異物との混合物から収穫物と異物とが特定され、特許文献1の手法でそれらを選別することが考えられる。しかしながら、特許文献1の手法では、一度に落下させる物体が少ないほど分配の精度を向上させることができる一方、処理速度が落ちてしまうという問題が生じる。そのため、収穫物と異物との選別を、精度と処理速度とを両立しつつ行うことが望まれる。
【0006】
ある実施の形態に従うと、除去装置は、搬送装置に対して、搬送方向に角度を有するように配列された複数の除去ユニットと、除去ユニットの駆動を個別に制御可能な制御部と、を備え、除去ユニットは、それぞれ、制御部によって駆動が制御されることによって搬送装置の搬送面上の、各除去ユニットから所定範囲にある物体を、搬送面から除去する除去動作を行い、制御部は、搬送装置で搬送されている搬送面上の収穫物と収穫物以外の異物との混在した搬送物のうちの異物に応じて、複数の除去ユニットのうちから必要な除去ユニットを選択し、選択した除去ユニットを駆動させる。
【0007】
他の実施の形態に従うと、選別装置は、上記の除去装置と、搬送装置と、を備える。
【0008】
他の実施の形態に従うと、搬送用車両は、収穫物を搬送可能な搬送用車両であって、上記の除去装置と、搬送装置と、を搭載している。
【0009】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る運搬用車両(以下、単に車両と略する)の側面概略図である。
【
図3】
図3は、搬送装置、及び、除去装置に含まれる除去ユニットの側面概略図である。
【
図4】
図4は、搬送装置、及び、除去装置の上面概略図である。
【
図5】
図5は、搬送装置、及び、除去装置の前方からの概略図である。
【
図7】
図7は、複数の除去ユニットのうちの除去動作をさせる除去ユニットの選択方法を説明する図である。
【
図9】
図9は、土塊の検出方法の一例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、除去装置で土塊を除去するための処理を表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<1.除去装置、選別装置、及び、搬送用車両の概要>
【0012】
(1)本実施の形態にかかる除去装置は、搬送装置に対して、搬送方向に角度を有するように配列された複数の除去ユニットと、除去ユニットの駆動を個別に制御可能な制御部と、を備え、除去ユニットは、それぞれ、制御部によって駆動が制御されることによって搬送装置の搬送面上の、各除去ユニットから所定範囲にある物体を、搬送面から除去する除去動作を行い、制御部は、搬送装置で搬送されている搬送面上の収穫物と収穫物以外の異物との混在した搬送物のうちの異物に応じて、複数の除去ユニットのうちから必要な除去ユニットを選択し、選択した除去ユニットを駆動させる。
【0013】
搬送方向に角度を有するように配列された複数の除去ユニットのうちから必要な除去ユニットを選択し、選択した除去ユニットを駆動させることで、複数の搬送物を同時に搬送しながらその中から異物を除去することができる。その結果、精度と処理速度とを両立しつつ搬送物から収穫物と異物とを選別することができる。
【0014】
(2)好ましくは、除去ユニットは、制御部の制御に従って、先端に取り付けられた除去板を進退させるアームを有し、除去動作は、除去板を異物に接触させることによって搬送面から異物を除去するように、除去板を進出させる動作を含む。これにより、簡単な構成で異物を除去することができる。
【0015】
(3)好ましくは、搬送面は、搬送方向の上流側の第1の搬送面と、搬送方向の下流側にあって、第1の搬送面に対して段差をもって配置された第2の搬送面と、を有し、第1の搬送面の最下流まで搬送された搬送物は第1の搬送面から第2の搬送面に落下して第2の搬送面上を搬送され、除去ユニットは、除去板を進出させた状態で除去板が第1の搬送面から第2の搬送面に落下する異物に接触して異物を段差の間隙を通過させて搬送面から除去し、除去板を後退させた状態で除去板が接触しないように構成されている。これにより、簡単な除去動作によって異物を除去することができる。
【0016】
(4)好ましくは、除去板は、鉛直方向に対して角度を有し、かつ、搬送方向の上流側を低くしてアームに取り付けられており搬送方向の上流側の端部が上向きになるように湾曲している。これにより、接触した異物を搬送面から押し出しやすくなり、その結果、異物を除去しやすくなる。
【0017】
(5)好ましくは、複数の除去ユニットは、それぞれの除去板が搬送方向に直交する搬送面の幅方向に連続するように配置されており、制御部は、異物の位置及び大きさに対応した位置に除去板を有する除去ユニットを選択する。これにより、除去板を精度よく異物に接触させることができ、精度よく異物を除去することができる。
【0018】
(6)好ましくは、除去装置は、搬送面上の搬送物から異物を検出するためのセンサを有し、制御部は、センサによって検出された異物の位置及び大きさに応じて除去ユニットを選択する。これにより、異物の位置及び大きさを精度よく検出できる。その結果、除去板を精度よく異物に接触させることができ、精度よく異物を除去することができる。
【0019】
(7)好ましくは、制御部は、センサの搬送方向に対する位置と、搬送装置の搬送速度に関連する指標とを用いて、除去ユニットを駆動させるタイミングを決定する。これにより、除去板を精度よく異物に接触させることができ、精度よく異物を除去することができる。
【0020】
(8)好ましくは、センサはカメラを含み、制御部は、搬送物の撮影画像を入力として収穫物又は異物を出力するように機械学習された検出器に対してカメラによる撮影画像を入力し検出器からの出力を得ることによって、搬送物から異物を検出する。これにより、異物の位置及び大きさを精度よく検出できる。
【0021】
(9)本実施の形態に係る選別装置は、上記の除去装置と、搬送装置と、を備える。この選別装置を用いることにより、複数の搬送物を同時に搬送しながらその中から異物を除去することができる。その結果、精度と処理速度とを両立しつつ搬送物から収穫物と異物とを選別することができる。
【0022】
(10)本実施の形態に係る搬送用車両は収穫物を搬送可能な搬送用車両であって、上記の除去装置と、搬送装置と、を搭載している。この搬送用車両を用いることにより、収穫物を搬送しつつ、複数の搬送物を同時に搬送しながらその中から異物を除去することができる。その結果、精度と処理速度とを両立しつつ搬送物から収穫物と異物とを選別することができる。
【0023】
<2.除去装置、選別装置、及び、搬送用車両の例>
【0024】
本実施の形態に係る運搬用車両(以下、単に車両と略する)100は、地中で生育する根菜類等の地下作物を収穫し、収穫物と土塊や石などの異物とを選別しつつ運搬する車両である。地下作物は、例えば、ジャガイモであり、以下の説明ではジャガイモであるものとする。また、異物は、以下の説明では土塊であるものとする。選別することは、収穫物と異物との混合物から一方を除去することである。以下の説明では、具体的に、車両100は、ジャガイモと土塊との混在したものから土塊を除去することでジャガイモと土塊とを選別しつつ運搬する。
【0025】
図1及び
図2を参照して、車両100は、走行機体11を備える。走行機体11は、移動装置13によって走行する。移動装置13は、例えば、左右一対の走行ローラを有する。車両100は、移動装置13により、圃場内を移動することができる。移動装置13の移動速度を車速V1とする。
【0026】
走行機体11の一方端には、操縦部12が設けられている。操縦部12が設けられている側の端部を、走行機体11の前、逆側の端部を後ろとする。すなわち、走行機体11の前方端には操縦部12が設けられている。
【0027】
操縦部12には、作業者が着座するための操縦座席が設けられている。操縦部12は、操向ハンドル及び車両100を操作するためのその他の操作具が設けられている。本実施の形態に係る車両100は、作業者によるマニュアル操作が可能である。
【0028】
操縦部12の下方には動力源としての図示しないエンジンが搭載されており、エンジンからの動力が適宜変速されて移動装置13に伝達される。操縦部12の下方には、さらに、後述するコントローラ50が搭載されており、エンジンの駆動を制御する。
【0029】
車両100は、操縦部12の側方に配置された収穫作業部14を備える。収穫作業部14は、収穫物であるジャガイモを取り込んで、車両100の後部に搬送する。収穫作業部14は、ジャガイモを土中から掘り出す収穫部141を備える。収穫部141は、操縦部12の前方に配置されている。なお、収穫部141は、より正確には、操縦部12の斜め前方に配置されている。
【0030】
収穫作業部14は、収穫部141によって掘り出されたジャガイモを後方に搬送する搬送部142を備える。搬送部142は、後側ほど高くなるように前傾姿勢で設けられている。搬送部142は、例えばベルトコンベアであって、ジャガイモを後ろ斜め上方に搬送する。搬送部142の搬送方向A1は、前方から後方の向きである。
【0031】
好ましくは、搬送部142には、収穫対象とするジャガイモより小さいサイズの孔が形成されている。これにより、運搬中にジャガイモよりも小さな土塊や砂や根茎部などは圃場上に落下する。
【0032】
車両100は、選別装置17を備えている。選別装置17は、搬送装置15を含む。搬送装置15は、搬送部142の搬送方向の先端であって、操縦部12の背後であり、走行機体11上に設けられ、搬送部142の搬送物をさらに後方に搬送する。搬送装置15は、一例としてベルトコンベアであって、搬送部142の搬送方向Aは、前方から後方に向かう向きである。前方を搬送方向Aの上流側、後方を下流側とも称する。搬送装置15は、搬送方向Aの上流側の第1の搬送装置15Aと、下流側の第2の搬送装置15Bとを含む。第1の搬送装置15Aの搬送物は第2の搬送装置15Bまで搬送され、次に、第2の搬送装置15Bによって最下流まで搬送される。搬送装置15の搬送方向Aの最下流の位置には図示しないストッカーが搭載可能であって、搬送装置15の搬送物が一時的に収容される。
【0033】
選別装置17は、除去装置16を含む。除去装置16は、搬送装置15で搬送されているジャガイモと土塊との混在した搬送物のうちの土塊を除去する。これにより、搬送装置15の後方に配置されたストッカーには、土塊の取り除かれた搬送物、つまり、ジャガイモが収容されることになる。除去装置16は、第2の搬送装置15Bの搬送面152よりも上方であって、第1の搬送装置15Aとの境界付近に配置される。除去装置16の具体的な構成については後述する。
【0034】
図3~
図4を参照して、第1の搬送装置15Aと第2の搬送装置15Bとは、段差をもって配置されている。具体的には、
図3に示されたように、第1の搬送装置15Aは、第2の搬送装置15Bより高さH、高い位置に配置されている。そのため、第1の搬送装置15Aの搬送面151と、第2の搬送装置15Bの搬送面152とには搬送方向Aと逆向きに間隙Gが形成されている。第1の搬送装置15Aによって搬送面151上を搬送方向Aに搬送されてきた搬送物は、高さH落下して、搬送面152に到達する。そして、第2の搬送装置15Bによって、搬送面152上を搬送方向Aに搬送される。
【0035】
図3及び
図5に示されるように、除去装置16は、第1の搬送装置15Aと第2の搬送装置15Bとの間隙Gと概ね同じ高さに配置される。除去装置16は、複数の除去ユニット20を含む。図示された例では、除去装置16は、10個の除去ユニット20A~20Jを含む。除去ユニット20A~20Jを代表させて除去ユニット20とも称する。また、除去装置16は、除去ユニット20の駆動を個別に制御可能なコントローラ10を含む。
【0036】
除去ユニット20は、それぞれ、コントローラ10によって駆動が制御されることによって除去動作を行う。除去動作は、搬送面151,152上の、各除去ユニット20から所定範囲にある物体を、搬送面151,152から除去するための動作である。除去動作の詳細については後述する。
【0037】
除去ユニット20は、アーム21と、アーム21の先端に取り付けられた除去板22と、を有する。アーム21は、先端に取り付けられた除去板22を、アーム21の長手方向に進退させる。除去板22を進退させるための動作の一例として、アーム21は長手方向に伸長及び収縮する。長手方向に伸長及び収縮するアーム21の一例として、エアシリンダとソレノイドバルブとの組み合せである。アーム21は、一例として、30cm程度のストロークで伸長及び収縮可能であり、その伸縮速度は、一例として30cm/s以上である。これにより、短時間で除去板22を進退させることができる。
【0038】
コントローラ10の制御に従って伸長及び収縮するアーム21の伸長及び収縮する方向は、概ね搬送方向Aに一致する。すなわち、除去ユニット20は、アーム21の長手方向が搬送方向Aに概ね一致するように配置される。これにより、先端に取り付けられた除去板22が、アーム21の伸長及び収縮に従って概ね搬送方向Aに進退する。
【0039】
図4及び
図5に示されるように、複数の除去ユニット20は、搬送面152の、搬送方向Aに直交する幅方向に配列される。除去板22の幅方向の長さwは、一般的なジャガイモの幅より小さく、例えば5cm程度である。複数の除去ユニット20それぞれの除去板22の幅方向の長さwの合計は、概ね、搬送面152の幅方向の長さに一致する。これにより、除去動作によって土塊を除去しやすくなる。
【0040】
好ましくは、除去板22は、
図3に示されたように、鉛直方向に対して角度を有し、かつ、搬送方向Aの上流側を低くしてアーム21に取り付けられてる。また、
図3に示されたように、除去板22は、搬送方向Aの上流側の端部が上向きになるように湾曲している。これにより、除去動作によって土塊を除去しやすくなる。
【0041】
図6を参照して、除去ユニット20による除去動作は、アーム21を伸長し(ステップS1)、その後に収縮する(ステップS2)動作である。これに伴って、除去板22は搬送方向Aと概ね同じ方向Bに往復する。すなわち、ステップS1では除去板22が搬送方向Aと逆行する向きに移動する。その後、ステップS2では除去板22が搬送方向Aと概ね同じに移動する。
【0042】
搬送装置5による搬送物は、第1の搬送装置15Aの搬送面151から第2の搬送装置15Bの搬送面152に落下する。除去ユニット20は、除去動作のステップS1で移動した除去板22が落下する搬送物に接触し、ステップS2で移動した除去板22が落下する搬送物に接触しない位置に配置される。これにより、土塊が落下するタイミングに合わせて除去動作が行われることによって、
図6に示されたように、落下する土塊Cに除去板22が接触し、それにより土塊Cが搬送面152に落下せずに間隙Gから搬送面152外に押し出されて除去される。また、土塊C以外のジャガイモが落下する場合には除去動作が行われないことによって、ジャガイモは搬送面152から除去されることなく落下し、搬送される。
【0043】
上記のように除去板22の形状を搬送方向Aの上流側の端部が上向きになるように湾曲した形状とすることにより、除去動作によって土塊Cが間隙Gから外に除去されやすくなる。また、アーム21を伸縮させる速度を、例えば30cm/s以上程度などの高速としておくことで、除去対象の土塊Cに除去板22を接触させ、ジャガイモには接触しないように制御しやすくなる。
【0044】
複数の除去ユニット20は、搬送方向Aと直交する幅方向に配列されるため、
図7に示されたように、搬送される土塊Cの位置や大きさに応じて複数の除去ユニット20のうちの除去動作を行う除去ユニット20が選択される。例えば、
図7の例では、搬送面151上の土塊Cの位置、及び、土塊Cの大きさ、具体的には幅方向の長さw1に応じて、複数の除去ユニット20A~20Jのうちの除去ユニット20D,20Eが選択されている。なお、以降の説明において、複数の除去ユニット20のうちの除去動作を行う除去ユニット20を動作ユニットとも称する。
【0045】
動作ユニットは、搬送面151上の土塊Cの位置、及び、土塊Cの大きさに応じて、コントローラ10において決定される。そのため、除去装置16は、搬送面151上の搬送物から土塊Cを検出するためのセンサをさらに有する。具体的には、センサは土塊Cの搬送面151上の位置、及び、大きさを検出するものであって、一例としてカメラ161である。
【0046】
カメラ161は、
図2及び
図7に示されたように、除去ユニット20より搬送方向Aの上流側に設置されている。
【0047】
図8を参照して、コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ31、及び、情報記憶のためのメモリ32を備えるコンピュータによって構成される。メモリ32は、一次記憶装置であってもよいし、二次記憶装置であってもよい。メモリ32には、プロセッサ31によって実行されるコンピュータプログラム121が格納されている。
【0048】
コントローラ10は、インタフェース(I/F)33を有し、カメラ161と接続可能である。プロセッサ31は、I/F33を介してカメラ161に対して制御信号を出力するとともに、カメラ161から画像データの入力を受け付ける。
【0049】
コントローラ10は、I/F34を有し、除去ユニット20と接続可能である。プロセッサ31は、I/F34を介して除去ユニット20に対して制御信号を出力する。
【0050】
コントローラ10は、I/F35を有し、コントローラ50と接続可能である。プロセッサ31は、I/F35を介してコントローラ50からデータの入力を受け付ける。
【0051】
プロセッサ31は、コンピュータプログラム121を実行することによって検出処理111を実行する。検出処理111は、カメラ161から得られた画像データを解析することによって、搬送面151上の搬送物から土塊Cを検出する処理である。
【0052】
一例として、プロセッサ31は、搬送物の撮影画像の画像データを入力としてジャガイモ又は土塊を出力するように機械学習された検出器であるモデル112を有し、モデル112を用いて検出処理111を実行する。すなわち、プロセッサ31はモデル112にカメラ161から得られた画像データを入力し、モデル112からの出力を得る。
【0053】
例えば、カメラ161から
図9の画像P1を示す画像データが得られた場合を例にして説明する。画像P1には、5つのオブジェクトO1~O5が存在している。検出処理111においては、プロセッサ31は画像P1をモデル112に入力し、画像P2を出力として得る。
【0054】
モデル112では、画像P1の各オブジェクトO1~O5が認識され、画像P2においてそれぞれバウンディングボックスB1~B5で示されている。さらに、モデル112では、搬送物のうちの土塊が認識され、オブジェクトO3に対応したバウンディングボックスB3が他のバウンディングボックスとは異なる表示態様で表示されている。
図9ではバウンディングボックスB3が他のバウンディングボックスより太線で示され、表示態様が異なっていることが示されている。
【0055】
検出処理111において、プロセッサ31は画像P2をモデル112から出力として得る。これにより、画像P1に含まれるオブジェクトO1~O5のうちのオブジェクトO3を土塊として検出する。
【0056】
なお、検出処理111は機械学習された検出器を用いて検出する方法に限定されず、テンプレートマッチングなどの他の方法を採用してもよい。
【0057】
プロセッサ31は、コンピュータプログラム121を実行することによって選択処理113を実行する。選択処理113は、検出処理111で検出された土塊の位置及び大きさに応じて、複数の除去ユニット20A~20Jのうちの動作ユニットを選択する処理である。具体的に、選択処理113において、プロセッサ31は、検出された土塊の位置及び大きさに対応した位置に除去板22を有する除去ユニットを動作ユニットとして選択する。
図7の例では、土塊Cの位置及び幅方向の大きさw1に応じて除去ユニット20D,20Eを選択する。
【0058】
プロセッサ31は、コンピュータプログラム121を実行することによって決定処理114を実行する。決定処理114は、動作ユニットに除去動作をさせるタイミングを決定する処理である。決定処理114において、プロセッサ31は、カメラ161の搬送方向Aに対する位置と、搬送装置15の搬送速度に関連する指標とを用いる。
【0059】
カメラ161の搬送方向Aに対する位置は、一例として、
図7に示された長さLである。長さLは、搬送面151の最上流位置からカメラ161までの搬送方向Aの長さである。長さLが特定されることによって、撮影画像中に検出された土塊の搬送面151上における位置、つまり、搬送面151の最上流位置から土塊までの距離が特定される。
【0060】
搬送装置15の搬送速度に関連する指標は、一例として、第1の搬送装置15Aの搬送速度V2である。搬送速度V2は、予め記憶していてもよいし、コントローラ50から取得してもよい。また、搬送速度V2と車両100の速度(車速)V1とに関連がある場合、車速V1をコントローラ50から取得して搬送速度V2が算出されてもよい。
【0061】
カメラ161の搬送方向Aに対する位置と、搬送装置15の搬送速度に関連する指標とが得られることで、検出された土塊が搬送面151から落下するタイミングが特定される。プロセッサ31はそのタイミングに応じたタイミングで除去ユニット20に除去動作を行わせることで、落下する土塊を除去板22に接触させて除去することができる。
【0062】
プロセッサ31は、コンピュータプログラム121を実行することによって駆動処理115を実行する。駆動処理115は、除去動作を行わせるように除去ユニット20を制御する処理である。具体的には、動作ユニットと除去動作のタイミングとを指定して駆動動作を指示する制御信号をI/F34を介して除去ユニット20に出力する処理である。
【0063】
図10を用いて除去装置16での除去方法について説明する。
図10のフローチャートに示された動作は、一例として、選別装置17での選別を開始するタイミングで開始される。選別を開始するタイミングは、例えば、搬送装置15の稼働を開始するタイミングなどである。
【0064】
図10を参照して、除去装置16では、処理を開始すると所定のタイミングでカメラ161による撮影が行われる(ステップS101)。所定のタイミングでの撮影は、コントローラ10からカメラ161に出力される、撮影を指示する制御信号にて特定されるタイミングで行われるものであって、例えば、極めて短い時間間隔での静止画の撮影、連続的な動画の撮影であってもよい。
【0065】
プロセッサ31は、カメラ161の撮影によって撮影画像が得られると、撮影画像を示す画像データを機械学習された学習モデルであるモデル112に入力することで(ステップS103)、出力を得る。モデル112からの出力によって画像データ中に土塊が存在していることが検出される場合(ステップS105でYES)、プロセッサ31は、モデル112からの出力に基づいて土塊の位置及びサイズを特定する(ステップS107)。土塊が検出されなければ(ステップS105でNO)、ステップS107以降の処理をスキップする。
【0066】
土塊の位置及びサイズが特定されると、プロセッサ31は、位置及びサイズに基づいて複数の除去ユニット20A~20Jから動作ユニットを選択する(ステップS109)。また、プロセッサ31は、動作ユニットに除去動作を行わせるタイミングを決定する(ステップS111)。
【0067】
プロセッサ31は、決定したタイミングに達するまで除去動作の指示を待機する(ステップS113でNO)。そして、タイミングに達すると、動作ユニットに除去動作を指示する(ステップS115)。
【0068】
プロセッサ31は、以上の処理を、選別装置17で選別を行っている間(ステップS117でNO)、繰り返し実行する。選別装置17で選別を行っている間とは、一例として、搬送装置15の稼働中である。そして、プロセッサ31は、選別装置17での選別が終了すると(ステップS117でYES)、一連の処理を終了する。
【0069】
除去装置16において、複数の除去ユニット20A~20Jが搬送方向Aと角度を有して配列され、そのうちの搬送面151上の土塊の位置及びサイズに応じた除去ユニット20に除去動作を行わせる構成とすることによって、複数の搬送物を同時に搬送しながらその中から異物である土塊を除去することができる。これにより、1つずつ搬送物を同時に搬送しながらその中から異物である土塊を除去する、つまり、1列で搬送しながら土塊を除去する方法と比較して、処理速度を格段に早めることができる。その結果、この除去装置16を用いて選別することで精度と処理速度とを両立しつつ搬送物から土塊を除去し、ジャガイモと土塊とを選別することができる。
【0070】
なお、以上の例では、除去装置16の除去ユニット20は除去板22を含み、除去板22を進出させることで落下する土塊に接触させ、その衝撃によって搬送面151から土塊を押し出して除去するものである。この除去方法は一例であって、他の除去方法であってもよい。
【0071】
他の除去方法は、例えば、除去板22を搬送面151上に対して進出させることで搬送面151上において土塊に除去板22を押し付けて、土塊を搬送面151上にて細分化させる方法であってもよい。この場合、搬送面151に間隙Gを設ける必要がなく、搬送面151にジャガイモより小さい孔を設けておくことによって、細分化された土塊をその孔より落下させて除去することができる。
【0072】
また、他の除去方法は、例えば、除去ユニット20が除去板22に替えて先端の尖った針状の部材を備え、その部材を進出させることによって搬送面151上の土塊を突き刺して除去する方法であってもよい。この場合も、搬送面151に間隙Gを設ける必要がなく、除去ユニット20に、上記部材に突き刺した土塊を搬送面151から遠ざける機構を設ければよい。
【0073】
<3.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0074】
5 :搬送装置
10 :コントローラ
11 :走行機体
12 :操縦部
13 :移動装置
14 :収穫作業部
15 :搬送装置
15A :第1の搬送装置
15B :第2の搬送装置
16 :除去装置
17 :選別装置
20 :除去ユニット
20A :除去ユニット
20B :除去ユニット
20C :除去ユニット
20D :除去ユニット
20E :除去ユニット
20F :除去ユニット
20G :除去ユニット
20H :除去ユニット
20I :除去ユニット
20J :除去ユニット
21 :アーム
22 :除去板
31 :プロセッサ
32 :メモリ
33 :I/F
34 :I/F
35 :I/F
50 :コントローラ
100 :車両
111 :検出処理
112 :モデル
113 :選択処理
114 :決定処理
115 :駆動処理
121 :コンピュータプログラム
141 :収穫部
142 :搬送部
151 :搬送面
152 :搬送面
161 :カメラ
A :搬送方向
A1 :搬送方向
B :方向
B1 :バウンディングボックス
B2 :バウンディングボックス
B3 :バウンディングボックス
B4 :バウンディングボックス
B5 :バウンディングボックス
C :土塊
G :間隙
H :高さ
O1 :オブジェクト
O2 :オブジェクト
O3 :オブジェクト
O4 :オブジェクト
O5 :オブジェクト
P1 :画像
P2 :画像
V1 :車速
V2 :搬送速度