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特許7451071湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物及び積層体又は成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物及び積層体又は成形体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/12 20060101AFI20240311BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20240311BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20240311BHJP
   C08G 18/30 20060101ALI20240311BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20240311BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20240311BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20240311BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20240311BHJP
   C09J 175/06 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
C08G18/12
B32B27/36 102
B32B27/40
C08G18/30 070
C08G18/40 009
C08G18/42
C08G18/44
C09J5/06
C09J175/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017165599
(22)【出願日】2017-08-30
(65)【公開番号】P2019044004
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-08-27
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100215935
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 茂輝
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 優子
(72)【発明者】
【氏名】二宮 淳
【合議体】
【審判長】近野 光知
【審判官】藤井 勲
【審判官】大畑 通隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/065921(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/115138(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/031296(WO,A1)
【文献】特開2017-114925(JP,A)
【文献】特開2012-117075(JP,A)
【文献】特開平06-220399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00- 18/87
C08L 1/00-101/16
C09D 1/00-201/10
C09J 1/00-201/10
CA(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含む湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物であって、
前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーが、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との反応物であり、
前記ポリオール(A)が、一般式(1)で表されるヒドロキシ化合物(d1)に由来する単位を有するポリカーボネートポリオール(a1)及び結晶性ポリエステルポリオール(a2)を含むものであり、
前記ヒドロキシ化合物(d1)が、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールであるか、又は、トリエチレングリコールであり、且つトリエチレングリコールを20質量%以上含有することを特徴とする湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物。
【化1】

[一般式(1)中、nは、2以上7以下の整数を表す。]
【請求項2】
前記ポリカーボネートポリオール(a1)の含有率が、前記ポリオール(A)中、5質量%以上55質量%以下である請求項1記載の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物。
【請求項3】
前記結晶性ポリオール(a2)の含有率が、前記ポリオール(A)中、10質量%以上である請求項1又は2記載の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリカーボネートポリオール(a1)の数平均分子量が、500以上8,000以下である請求項1~3のいずれか1項記載の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物。
【請求項5】
前記化合物(d1)の含有率が、前記ポリカーボネートポリオール(a1)の原料であるヒドロキシ化合物(D)中、40質量%以上である請求項1~4のいずれか1項記載の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物からなることを特徴とする接着剤。
【請求項7】
請求項6記載の接着剤の硬化物層を有することを特徴とする積層体。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項記載の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物から形成される成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物及びそれを用いて得られる積層体又は成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機溶剤系樹脂組成物は、例えば接着剤や粘着剤等として多岐の分野で使用されている。しかしながら、前記有機溶剤系樹脂組成物は、有機溶剤を多量に含むことから、人体への有害性、引火の危険性、水質や大気などの環境汚染、乾燥による生産性の低下、溶剤の回収ロス、溶剤回収のためのエネルギー負担などの種々の問題があった。
【0003】
そこで、有機溶剤系樹脂組成物に代わるものとして、無溶剤の樹脂組成物が種々検討されている。中でも反応性ホットメルトは、優れた接着性を有し、且つ接着時間の調整が容易であることから、連続生産を必要とする接着加工や封止作業などの成形加工に適するものとして注目を集めている。こうした反応性ホットメルトとして、例えば、特定のポリオールとポリイソシアネートとを結晶核剤の存在下で反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含む湿気硬化性ホットメルトが提案されている(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-177016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来から知られる湿気硬化性ホットメルトでは、厚みが大きくなると内部硬化しにくくなる傾向があり、且つ硬化物外観のフクレを抑制することが困難である場合があった。
【0006】
本発明の課題は、硬化物外観のフクレを抑制しつつ内部硬化性を良好なものとすることができる湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含む湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物であって、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーが、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との反応物であり、前記ポリオール(A)が、一般式(1)で表されるヒドロキシ化合物(d1)に由来する単位を有するポリカーボネートポリオール(a1)及び結晶性ポリエステルポリオール(a2)を含むものであり、前記ヒドロキシ化合物(d1)が、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールであるか、又は、トリエチレングリコールであり、且つトリエチレングリコールを20質量%以上含有することを特徴とする湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物に関する。
【0008】
【化1】
[一般式(1)中、nは、2以上7以下の整数を表す。]
【発明の効果】
【0009】
本発明の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物によれば、硬化物外観のフクレを抑制しつつ内部硬化性を良好なものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含むものであり、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーは、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との反応物である。イソシアネート基は、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの末端に存在することが好ましい。前記ポリオール(A)は、2個以上の水酸基を有する化合物であり、ヒドロキシ化合物(D)に由来する単位を有するポリカーボネートポリオール(a1)及び結晶性ポリエステルポリオール(a2)を含む。
【0011】
前記ポリカーボネートポリオール(a1)の含有率は、ポリオール(A)中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは12質量%以上であり、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
【0012】
前記ヒドロキシ化合物(D)は、ヒドロキシ基を2個以上有する化合物である。前記ヒドロキシ化合物(D)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジオール;トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオールなどが挙げられる。
【0013】
特に、前記ヒドロキシ化合物(D)は、一般式(1)で表されるヒドロキシ化合物(d1)を含む。前記ポリカーボネートポリオール(a1)が、一般式(1)で表されるヒドロキシ化合物(d1)に由来する単位(-O-(-(CHO-)-)を含むことで、得られる硬化物の内部硬化性を向上できる。
【0014】
【化2】
[一般式(1)中、nは、2以上7以下の整数を表す。]
【0015】
前記ヒドロキシ化合物(d1)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(好ましくは分子量160~360、より好ましくは分子量190~330)等が挙げられる。中でも、いっそう優れた内部硬化性の観点から、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールが好ましい。
【0016】
前記ヒドロキシ化合物(d1)の含有率は、ヒドロキシ化合物(D)100質量%中、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99質量%以下である。ヒドロキシ化合物(d1)の含有率が上記範囲にあると、得られる硬化物の外観及び内部硬化性を両立できる。
【0017】
中でも、ヒドロキシ化合物(d1)は、トリエチレングリコール及び/又はポリエチレングリコールを含むことが好ましく、この場合、含有率は、ヒドロキシ化合物(d1)100質量%中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99質量%以下である。トリエチレングリコール及び/又はポリエチレングリコールの含有率が上記範囲にあると、得られる硬化物の内部硬化性に有利である。
【0018】
前記ヒドロキシ化合物(D)が、ヒドロキシ化合物(d1)以外の他のヒドロキシ化合物を含む場合、前記他のヒドロキシ化合物としては、外観及び内部硬化性維持の観点から、ブタンジオール、トリメチロールプロパンが好ましい。
【0019】
前記ポリカーボネートポリオール(a1)は、前記ヒドロキシ化合物(D)とカーボネート化合物(E)とを、必要に応じて用いるポリカーボネート化又はエステル交換触媒の存在下で反応させることにより製造することができる。
前記反応の際、ポリカーボネート化又はエステル交換触媒として、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどのチタンアルコラート、テトラフェニルチタネートなどのチタンフェノラート等のチタン化合物を共存させてもよい。前記ポリカーボネート化又はエステル触媒としては、金属触媒、酸触媒等を用いてもよい。
前記ポリカーボネート化又はエステル交換触媒の量は、前記ヒドロキシ化合物(D)及びカーボネート化合物(E)の合計100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上であり、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下である。
また、前記ポリカーボネートポリオール(a1)は、前記ヒドロキシ化合物(D)とホスゲンを反応させて得られたものなど、既知の製造方法を用いて得られたものを用いることができる。
【0020】
前記カーボネート化合物(E)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、脂肪族カーボネート、芳香環含有カーボネートが挙げられる。脂肪族カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジ-n-ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、エチル-n-ブチルカーボネート、エチルイソブチルカーボネート等の飽和脂肪族カーボネート;エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,2-プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、1,3-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、1,3-ペンチレンカーボネート、1,4-ペンチレンカーボネート、1,5-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネートおよび2,4-ペンチレンカーボネート等の不飽和脂肪族カーボネートなどが挙げられる。芳香環含有カーボネートとしては、ジフェニルカーボネート、ジベンジルカーボネート等が挙げられる。中でも、優れた耐薬品を有するウレタン樹脂成形物を得られることから、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の飽和脂肪族カーボネート;ジフェニルカーボネート等の芳香族カーボネートなどが好ましい。
【0021】
前記ポリカーボネートポリオール(a1)の数平均分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは1,000以上であり、好ましくは8,000以下、より好ましくは6,000以下である。
なお本明細書において、数平均分子量、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を表すものとする。
【0022】
前記ポリカーボネートポリオール(a1)の水酸基価は、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは20mgKOH/g以上であり、好ましくは210mgKOH/g以下、より好ましくは120mgKOH/g以下である。前記水酸基価は、ポリカーボネートポリオール1g中の水酸基に相当する水酸化カリウムのmg数と定義し、JISK1557-1:2007に準拠して測定した値を表す。
【0023】
前記結晶性ポリエステルポリオール(a2)は、直鎖脂肪族ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオールであることが好ましい。
【0024】
前記結晶性ポリエステルポリオールとしては、例えば、水酸基を有する化合物と多塩基酸との反応物を用いることができる。なお、本発明において、「結晶性」とは、JISK7121:2012に準拠したDSC(示差走査熱量計)測定において、結晶化熱あるいは融解熱のピークを確認できるものを示す。
【0025】
前記水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸等を用いることができる。これらの多塩基酸は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0027】
中でも、ホットメルト樹脂組成物の粘度安定性及び溶融粘度の低下防止の観点から、炭素原子数4以上12以下の直鎖脂肪族ポリカルボン酸と、炭素原子数2以上12以下の直鎖脂肪族ポリオールの組合せが好ましい。
【0028】
前記ポリラクトンポリオールとしては、例えば、α-アセトラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合により得られるポリラクトンポリオール等が挙げられる。
【0029】
前記結晶性ポリエステルポリオール(a2)の含有量は、ポリカーボネートポリオール(a1)1質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
【0030】
前記直鎖脂肪族ポリエステルポリオールを形成する脂肪族ポリオールが有する水酸基と、脂肪族ポリカルボン酸が有するカルボキシル基との当量比(即ち[OH/COOH当量比]は、モル基準で、好ましくは1.02以上、より好ましくは1.05以上であり、好ましくは1.50以下、より好ましくは1.30以下である。前記[OH/COOH当量比]がかかる範囲であれば、水酸基末端のポリオールをより多く生成させることができ、ポリイソシアネート(B)とのウレタン化反応をより容易に進行させることができる。
【0031】
前記直鎖脂肪族ポリエステルポリオールは、直鎖脂肪族ポリオールと、直鎖脂肪族ポリカルボン酸とをエステル化又はエステル交換反応させることにより製造することができる。反応温度は好ましくは150℃以上250℃以下であり、反応時間は、好ましくは5時間以上50時間以下である。
【0032】
前記エステル化又はエステル交換反応の際は、触媒を共存させてもよく、前記触媒としては、チタンテトラブトキシド等のチタン系触媒、ジブチルスズオキシド等のスズ系触媒などが挙げられる。
【0033】
前記結晶性ポリエステルポリオール(a2)の数平均分子量は、強度及び伸び等の物性バランスを良好にする観点から、好ましくは500以上、より好ましくは1,000以上、さらに好ましくは2,000以上であり、好ましくは10,000以下、より好ましくは8,000以下、さらに好ましくは6,000以下である。
【0034】
前記ポリオール(A)は、ポリカーボネートポリオール(a1)及び前記結晶性ポリエステルポリオール(a2)以外に、その他のポリオール(a3)を含んでいてもよい。前記その他のポリオール(a3)としては、非晶性ポリエステルポリオール、前記ポリカーボネートポリオール(a1)以外のポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールなどが挙げられる。
【0035】
前記非晶性ポリエステルポリオールとしては、芳香族ポリエステルポリオール、脂環式ポリエステルポリオール、分岐鎖脂肪族ポリエステルポリオールが挙げられる。前記芳香族ポリエステルポリオールは、芳香族ポリカルボン酸と芳香族ポリオールの反応物、芳香族ポリカルボン酸と脂肪族若しくは脂環式ポリオールの反応物又は脂肪族ポリカルボン酸と芳香族ポリオールの反応物であることが好ましい。前記脂環式ポリエステルポリオールは、脂環式構造を有するポリエステルポリオールであり、脂肪族ポリカルボン酸と脂環式ポリオールの反応物であることが好ましい。前記分岐鎖脂肪族ポリエステルポリオールは、分岐鎖を有する脂肪族ポリエステルポリオールであり、脂肪族ポリカルボン酸と分岐鎖脂肪族ポリオールとの反応部物であることが好ましい。
【0036】
前記芳香族ポリカルボン酸は、芳香族環に2個以上のカルボキシ基が結合したカルボン酸である。前記芳香族ポリカルボン酸の炭素原子数は、8以上24以下であることが好ましい。前記芳香族ポリカルボン酸としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ビフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。中でも、オルトフタル酸、テレフタル酸が好ましい。
前記芳香族ポリカルボン酸としては、例えば、メチルエステル等の低級アルキルエステル誘導体、酸無水物、酸ハロゲン化物等の酸誘導体を用いてもよい。
【0037】
前記芳香族ポリオールは、芳香族ポリカルボン酸にアルキレングリコールを付加させた化合物;1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の、芳香族ポリオールにアルキレングリコールを付加させた化合物などが挙げられる。
前記芳香族ポリカルボン酸としては、例えば、オルトフタル酸、テレフタル酸等が挙げられ、前記アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられ、前記芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ベンゼンジオール等が挙げられる。
【0038】
前記脂肪族ポリオールとしては、前記結晶性ポリエステルポリオール(a2)に用いられる直鎖脂肪族ポリオールとして例示した化合物と同様の化合物;ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチルプロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の分岐鎖脂肪族ポリオールなどが挙げられる。前記脂環式ポリオールとしては、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ポリオール;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0039】
また、前記脂肪族ポリカルボン酸としては、前記結晶性ポリエステルポリオール(a2)に用いられる直鎖脂肪族ポリカルボン酸として例示した化合物と同様の化合物を用いることができ、アジピン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ポリカルボン酸が好ましく、セバシン酸、ドデカン二酸がより好ましい。
【0040】
前記非晶性ポリエステルポリオールを形成する脂肪族ポリオール及び/又は芳香族ポリオールが有する水酸基と、脂肪族ポリカルボン酸及び/又は芳香族ポリカルボン酸が有するカルボキシル基との当量比(即ち[OH/COOH当量比]は、モル基準で、好ましくは1.02以上、より好ましくは1.05以上であり、好ましくは1.50以下、より好ましくは1.30以下である。前記[OH/COOH当量比]がかかる範囲であれば、水酸基末端のポリオールをより多く生成させることができる。
【0041】
前記非晶性ポリエステルポリオールは、直鎖若しくは分岐鎖脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール及び/又は芳香族ポリオールと、脂肪族ポリカルボン酸又は芳香族ポリカルボン酸とをエステル化又はエステル交換反応させることにより製造することができる。反応温度は好ましくは150℃以上250℃以下であり、反応時間は、好ましくは5時間以上50時間以下である。
【0042】
前記エステル化又はエステル交換反応の際は、前記結晶性ポリエステルポリオール(a2)の製造に用いてもよい触媒と同様の触媒を共存させてもよい。
【0043】
前記非晶性ポリエステルポリオールの数平均分子量は、強度及び伸び等の物性バランスを良好にする観点から、好ましくは500以上、より好ましくは1,000以上、さらに好ましくは2,000以上であり、好ましくは10,000以下、より好ましくは8,000以下、さらに好ましくは6,000以下である。
【0044】
前記ポリカーボネートポリオール(a1)以外のポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前記他のヒドロキシ化合物に由来する単位を有し、前記ヒドロキシ化合物(d1)に由来する単位を有しないポリカーボネートポリオール化合物等が挙げられる。
【0045】
前記ポリエーテルポリオールとしては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、活性水素原子を2つ以上有する化合物の1種又は2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させた化合物などが挙げられる。前記活性水素原子を2つ以上有する化合物としては、例えば、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、水、ヘキサントリオール等が挙げられる。また、前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0046】
前記ポリイソシアネート(B)は、イソシアネート基を2個以上有する化合物であり、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。
【0047】
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0048】
前記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0049】
前記芳香族ポリイソシアネートとしては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI;その2,4体又は2,6体若しくはそれらの混合物)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI;その4,4’体、2,4’体又は2,2’体、若しくはそれらの混合物、クルードMDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネートのホルマリン縮合体、ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変性体等のイソシアネート基を3個以上有する芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0050】
前記ポリイソシアネート(B)が有するイソシアネート基と、前記ポリオール(A)が有する水酸基の当量比([NCO/OH当量比])は、湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物の溶融温度及び作業性、フィルム物性及び速硬化性等の観点から、モル基準で、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上であり、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。
【0051】
前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有率は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上であり、好ましくは8質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。
【0052】
前記ポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)とを反応させることにより、本発明の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物に含まれるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造することができる。反応温度は、好ましくは80℃以上130℃以下であり、反応時間は、好ましくは1時間以上10時間以下である。反応雰囲気は、乾燥空気雰囲気又は密閉雰囲気等水分が混入しない条件であればよく、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気が好ましい前記反応の際は、溶媒を共存させてもよく、溶媒を共存させる場合は、反応途中又は反応終了後に脱溶媒することが好ましい。
【0053】
また、前記反応に際して、触媒を共存させてもよい。前記触媒としては、例えば、遷移金属化合物触媒、例えば、チタンテトラブトキシド、ジブチルスズオキシド、ジラウリン酸ジブチルスズ、2-エチルカプロン酸スズ、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、2-エチルカプロン酸亜鉛、グリコール酸モリブデン、塩化鉄、塩化亜鉛などや、アミン触媒、たとえばトリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジブチルアミン等が挙げられる。
【0054】
本発明の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物の溶融粘度は、測定温度120℃において、好ましくは500mPa・s以上、より好ましくは1,000mPa・s以上であり、好ましくは50,000mPa・s以下、より好ましくは30,000mPa・s以下である。溶融粘度が前記範囲にあることで、成形時の作業性向上及びエアーだまり等の外観不良防止に有効である。
【0055】
本発明の湿気硬化性ホットメルト樹脂組成物の加工温度は、前記樹脂組成物の少なくとも融点以上であり、好ましくは80℃以上130℃以下、より好ましくは100℃以上120℃以下である。加工温度が前記範囲にあることで、成形作業上の不具合が生じにくく、作業効率が良好であり、且つ樹脂組成物の変質、分解、ゲル化などを抑制できる。
【0056】
本発明の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物は、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー以外に、結晶核剤、整泡剤、酸化防止剤、脱泡剤、紫外線吸収剤、砥粒、充填剤、顔料、染料、着色剤、増粘剤、界面活性剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、粘着付与剤、硬化触媒、安定剤、蛍光増白剤、シランカップリング剤、ワックス等の添加剤や、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等のブレンド用樹脂を含んでいてもよい。
【0057】
本発明の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物からなる接着剤と成形体も本発明の技術的範囲に包含される。前記硬化物層の厚みは、好ましくは0.03mm以上、より好ましくは0.1mm以上10mm以下である。
【0058】
本発明の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物の硬化物層と、前記金属基材とが積層された積層体も本発明の技術的範囲に包含される。本発明の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物は、建材・繊維分野に加えて、電気・電子部品製造工業、自動車製造工業、半導体部品製造工業、製靴工業、材木加工工業、建築材料工業、製本工業、金属工業、樹脂加工工業などの広範囲の分野に利用可能である。
【0059】
また、本発明の湿気硬化性ホットメルト樹脂組成物を用いて成形体を作製することもできる。前記成形体は、前記湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物のみから成形することも可能であり、部品の挿入物や接着、封止などを行った上で成形することも可能である。前記湿気硬化性ホットメルト樹脂組成物成形加工時の加工方法は、特に制限なく、例えば射出成形機や押出成形機、アプリケーターなどの加工機器を使用してもよい。
【0060】
射出成形法の場合、前記樹脂組成物を融点以上の温度で溶融させ、この溶融物を流動可能な状態で加圧しながら密閉金型中に射出し、前記金型中で結晶化が促進され短時間にて冷却固化した成形品を金型から取り出し(脱型し)、次いで湿気(水)により硬化させる。前記湿気(水)は、例えば、大気中に存在する水分であっても、噴霧や浸漬など適当な手段により強制的に供給される水分であってよい。
【0061】
なお前記密閉金型中には、成形前の部品を接着用あるいは封止用の部材として挿入することも可能である。予め部品を金型内にセットしておき、本発明の湿気硬化性ホットメルト樹脂組成物を流動可能な状態で前記金型内に注入させれば、従来の成形実績と較べて極めて短時間で結晶固化が完結して、部品と樹脂組成物が強固に接着した成形品(即ちホットメルトモールディング成形品)を得ることができる。
【0062】
本発明の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物は、硬化物外観のフクレを抑制しつつ内部硬化性を良好なものとすることができるので、電気・電子部品や自動車部品などの封止材料の生産ラインのようにラインスピードが高速で、且つ大量安定生産が要求される成形品の成形に有用である。前記成形品の形状としては、フィルム、シート、繊維などの各種形状のものが挙げられる。前記成形品としては、例えば、半導体封止製品および、コンピューター、ビデオ、カメラ、ゲーム機、テレビ、ラジオや携帯電話部品などの、回路板、素子、スイッチ、配線、プラグコネクター、表示装置、電池を挿入し、反応性ホットメルト組成物で封止し、一体化させた電気・電子部品、電気・電子製品などのホットメルトモールディング成形品などが挙げられる。
【実施例
【0063】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0064】
(合成例1:ポリカーボネートポリオール(1)の合成)
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに、ジエチレングリコール50質量部とトリエチレングリコール50質量部とジフェニルカーボネート152質量部を仕込み、ポリカーボネート化触媒としてテトライソプロピルチタネートを0.01質量%添加し、200℃で5時間反応させ、次いで、減圧条件下で10時間反応させ、ポリカーボネートポリオール(1)を得た。このポリカーボネートポリオール(1)の水酸基値は55mgKOH/gであった。
【0065】
(合成例2:ポリカーボネートポリオール(2)の合成)
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに、ジエチレングリコール70質量部とポリエチレングリコール(日油株式会社製「PEG#200」)30質量部とジフェニルカーボネート153質量部を仕込み、ポリカーボネート化触媒としてテトライソプロピルチタネートを0.01質量%添加し、200℃で5時間反応させ、次いで、減圧条件下で10時間反応させ、ポリカーボネートポリオール(2)を得た。このポリカーボネートポリオール(2)の水酸基値は57mgKOH/gであった。
【0066】
(合成例3:ポリカーボネートポリオール(3)の合成)
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに、トリエチレングリコール50質量部と1,4-ブタンジオール50質量部とジフェニルカーボネート173質量部を仕込み、ポリカーボネート化触媒としてテトライソプロピルチタネートを0.01質量%添加し、200℃で5時間反応させ、次いで、減圧条件下で10時間反応させ、ポリカーボネートポリオール(3)を得た。このポリカーボネートポリオール(3)の水酸基値は37mgKOH/gであった。
【0067】
(合成例4:ポリカーボネートポリオール(4)の合成)
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに、トリエチレングリコール20質量部と1,4-ブタンジオール80質量部とジエチルカーボネート127質量部を仕込み、ポリカーボネート化触媒としてテトライソプロピルチタネートを0.01質量%添加し、120℃で10時間反応させ、次いで190℃で2時間反応させたのち、減圧しながら10時間反応させ、ポリカーボネートポリオール(4)を得た。このポリカーボネートポリオール(4)の水酸基値は38mgKOH/gであった。
【0068】
【表1】
【0069】
[合成例5]ウレタンプレポリマー(X-1)の合成
攪拌機、還流管、及び温度計を有する反応装置に、ポリカーボネートポリオール(1)15質量部とPES-1(DIC製:MX-2547、結晶性ポリオール)12質量部とPES-2(DIC製:MX-2555、結晶性ポリオール)25質量部とPES-3(パーストープ製:CAPA6400、結晶性ポリオール)9質量部とPES-4(DIC製:MX-2570、非晶性ポリオール)11質量部とPES-5(DIC製:MX-2913、非晶性ポリオール)12質量部とPET-1(旭硝子製:PPG3000、非晶性ポリオール)16質量部を加え、減圧条件下で水分含有率が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、容器内温度70℃に冷却後、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート15質量部とメチレンジフェニルジイソシアネートのホルマリン縮合体(日本ポリウレタン工業株式会社製「ミリオネートMR-200」)7質量部を加え、100℃まで昇温して、イソシアネート基含有率が一定となるまで約3時間反応させて、NCO%;3.2のウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X-1)を得た。
【0070】
[合成例6]ウレタンプレポリマー(X-2)の合成
攪拌機、還流管、及び温度計を有する反応装置に、ポリカーボネートポリオール(1)27質量部とPES-1(DIC製:MX-2547、結晶性ポリオール)12質量部とPES-2(DIC製:MX-2555、結晶性ポリオール)25質量部とPES-3(パーストープ製:CAPA6400、結晶性ポリオール)9質量部とPES-4(DIC製:MX-2570、非晶性ポリオール)11質量部とPET-1(旭硝子製:PPG3000、非晶性ポリオール)16質量部を加え、減圧条件下で水分含有率が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、容器内温度70℃に冷却後、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート13質量部とメチレンジフェニルジイソシアネートのホルマリン縮合体(日本ポリウレタン工業株式会社製「ミリオネートMR-200」)6質量部を加え、100℃まで昇温して、イソシアネート基含有率が一定となるまで約3時間反応させて、NCO%;3.1のウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X-2)を得た。
【0071】
[合成例7]ウレタンプレポリマー(X-3)の合成
攪拌機、還流管、及び温度計を有する反応装置に、ポリカーボネートポリオール(2)27質量部とPES-1(DIC製:MX-2547、結晶性ポリオール)12質量部とPES-2(DIC製:MX-2555、結晶性ポリオール)25質量部とPES-3(パーストープ製:CAPA6400、結晶性ポリオール)9質量部とPES-4(DIC製:MX-2570、非晶性ポリオール)11質量部とPET-1(旭硝子製:PPG3000、非晶性ポリオール)16質量部を加え、減圧条件下で水分含有率が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、容器内温度70℃に冷却後、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート13質量部とメチレンジフェニルジイソシアネートのホルマリン縮合体(日本ポリウレタン工業株式会社製「ミリオネートMR-200」)6質量部を加え、100℃まで昇温して、イソシアネート基含有率が一定となるまで約3時間反応させて、NCO%;3.0のウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X-3)を得た。
【0072】
[合成例8]ウレタンプレポリマー(X-4)の合成
攪拌機、還流管、及び温度計を有する反応装置に、ポリカーボネートポリオール(3)38質量部とPES-1(DIC製:MX-2547、結晶性ポリオール)12質量部とPES-2(DIC製:MX-2555、結晶性ポリオール)25質量部とPES-3(パーストープ製:CAPA6400、結晶性ポリオール)9質量部とPET-1(旭硝子製:PPG3000、非晶性ポリオール)16質量部を加え、減圧条件下で水分含有率が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、容器内温度70℃に冷却後、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート13質量部とメチレンジフェニルジイソシアネートのホルマリン縮合体(日本ポリウレタン工業株式会社製「ミリオネートMR-200」)6質量部を加え、100℃まで昇温して、イソシアネート基含有率が一定となるまで約3時間反応させて、NCO%;3.1のウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X-4)を得た。
【0073】
[合成例9]ウレタンプレポリマー(X-5)の合成
攪拌機、還流管、及び温度計を有する反応装置に、ポリカーボネートポリオール(4)38質量部とPES-1(DIC製:MX-2547、結晶性ポリオール)12質量部とPES-2(DIC製:MX-2555、結晶性ポリオール)25質量部とPES-3(パーストープ製:CAPA6400、結晶性ポリオール)9質量部とPET-1(旭硝子製:PPG3000、非晶性ポリオール)16質量部を加え、減圧条件下で水分含有率が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、容器内温度70℃に冷却後、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート13質量部とメチレンジフェニルジイソシアネートのホルマリン縮合体(日本ポリウレタン工業株式会社製「ミリオネートMR-200」)6質量部を加え、100℃まで昇温して、イソシアネート基含有率が一定となるまで約3時間反応させて、NCO%;3.3のウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X-5)を得た。
【0074】
[合成例10]ウレタンプレポリマー(X-6)の合成
攪拌機、還流管、及び温度計を有する反応装置に、ポリカーボネートポリオール(3)60質量部とPES-2(DIC製:MX-2555、結晶性ポリオール)25質量部とPET-1(旭硝子製:PPG3000、非晶性ポリオール)16質量部を加え、減圧条件下で水分含有率が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、容器内温度70℃に冷却後、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート13質量部とメチレンジフェニルジイソシアネートのホルマリン縮合体(日本ポリウレタン工業株式会社製「ミリオネートMR-200」)6質量部を加え、100℃まで昇温して、イソシアネート基含有率が一定となるまで約3時間反応させて、NCO%;3.0のウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X-6)を得た。
【0075】
[合成例11]ウレタンプレポリマー(X’-1)の合成
攪拌機、還流管、及び温度計を有する反応装置に、PES-1(DIC製:MX-2547、結晶性ポリオール)12質量部とPES-2(DIC製:MX-2555、結晶性ポリオール)25質量部とPES-3(パーストープ製:CAPA6400、結晶性ポリオール)9質量部とPES-4(DIC製:MX-2570、非晶性ポリオール)11質量部とPES-5(DIC製:MX-2913、非晶性ポリオール)27質量部とPET-1(旭硝子製:PPG3000、非晶性ポリオール)16質量部を加え、減圧条件下で水分含有率が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、容器内温度70℃に冷却後、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート16質量部とメチレンジフェニルジイソシアネートのホルマリン縮合体(日本ポリウレタン工業株式会社製「ミリオネートMR-200」)8質量部を加え、100℃まで昇温して、イソシアネート基含有率が一定となるまで約3時間反応させて、NCO%;3.0のウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X’-1)を得た。
【0076】
[合成例12]ウレタンプレポリマー(X’-2)の合成
攪拌機、還流管、及び温度計を有する反応装置に、ポリカーボネートポリオール(1)27質量部とPES-4(DIC製:MX-2570、非晶性ポリオール)45質量部とPES-5(DIC製:MX-2913、非晶性ポリオール)12質量部とPET-1(旭硝子製:PPG3000、非晶性ポリオール)16質量部を加え、減圧条件下で水分含有率が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、容器内温度70℃に冷却後、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート15質量部とメチレンジフェニルジイソシアネートのホルマリン縮合体(日本ポリウレタン工業株式会社製「ミリオネートMR-200」)7質量部を加え、100℃まで昇温して、イソシアネート基含有率が一定となるまで約3時間反応させて、NCO%;3.0のウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X’-2)を得た。
【0077】
[実施例1]
合成例5で得た湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物(ホットメルトモールディング用RHM)を110℃に加熱溶融させ、23℃のアルミ製金型(Φ50mm×9tmmクローズ型)に18g注入し5秒後に脱型して、成形品(ホットメルトモールディング)(Y-1)を作成した。
【0078】
[実施例2~6、比較例1,2]
湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物(X-2)~(X-6)と(X’-1)と(X’-2)を用いる以外は、実施例1と同様にして成形品(ホットメルトモールディング)(Y-2)~(Y-6)と(Y’-1)と(Y’-2)を得た。
[外観]
実施例および比較例で得られた成形品を、湿気硬化処理(温度23℃、相対湿度65%の恒温恒湿槽中1ヶ月間放置)したのち、外観を確認。
○:フクレなし、△:1mm未満のフクレあり、×:1mm以上のフクレあり
[内部硬化性]
実施例および比較例で得られた成形品を、湿気硬化処理(温度23℃、相対湿度65%の恒温恒湿槽中1ヶ月間放置)したのち、断面を確認。
◎:未硬化部分なし ○:未硬化部分の厚み2mm未満 △:未硬化部分の厚み2mm以上3mm未満 ×:未硬化部分の厚み3mm以上
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
本発明の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物である実施例1~6の湿気硬化型ホットメルト樹脂組成物は、硬化物外観のフクレが抑制され、且つ内部硬化性が良好であった。
【0082】
これに対して、比較例1の組成物は、一般式(1)で表されるヒドロキシ化合物(d1)に由来する単位を有するポリカーボネートポリオールを含まないポリオールを用いて形成されたものであり、内部硬化性に劣るものであった。
【0083】
比較例2の組成物は、結晶性ポリオールを含まないポリオールを用いて形成されたものであり、硬化物外観のフクレが抑制されないものであった。