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特許7464583共役ジエン系共重合体及び共役ジエン系共重合体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】共役ジエン系共重合体及び共役ジエン系共重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08C 19/20 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
C08C19/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021509678
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020014288
(87)【国際公開番号】W WO2020196886
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2019062529
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】317015928
【氏名又は名称】ZSエラストマー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100221992
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真由美
(72)【発明者】
【氏名】青嶋 紘
(72)【発明者】
【氏名】カスタノン ヘスス ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】▲はま▼ 久勝
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-006148(JP,A)
【文献】特開2015-127383(JP,A)
【文献】特開2018-172548(JP,A)
【文献】特開2014-080535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構造を有する、共役ジエン系共重合体。
【化1】

[式(1)中、mは0~30の整数を表し、P、P、P及びPは共役ジエン単位を含む重合体鎖を表し、c1、c2、c3及びc4はそれぞれ独立に0~3の整数を表し、c1+c2+c3+c4は1以上であり、R、R、R及びRは、置換基を有してもよいヒドロカルビル基、あるいは、RとR及び/又はRとRが結合して、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を有していてもよいヒドロカルビレン基又は複素芳香環を表し、L、L、L及びLは水素原子又は任意の結合基を表す。]
【請求項2】
前記式(1)において、RとRとが結合した環状構造及びRとRとが結合した環状構造を有する、請求項に記載の共役ジエン系共重合体。
【請求項3】
ヘテロ原子を含有する変性剤に基づく単位を更に有する、請求項1又は2に記載の共役ジエン系共重合体。
【請求項4】
炭化水素溶媒中で、重合開始剤の存在下、共役ジエン化合物を含む単量体を重合させ、活性末端を有する共役ジエン系共重合体を得る工程と、
前記活性末端を有する共役ジエン系共重合体と、熱で可逆的に解離-付加する共有結合を有する化合物とを反応させて、前記共有結合を有する共役ジエン系共重合体を得る工程と、を備え
前記化合物が下記式(2)で表される化合物である、共役ジエン系共重合体の製造方法。
【化2】

[式(2)中、mは0~30の整数を表し、R 、R 、R 及びR は、置換基を有してもよいヒドロカルビル基、あるいは、R とR 及び/又はR とR が結合して、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を有していてもよいヒドロカルビレン基又は複素芳香環を表し、Y 、Y 、Y 及びY は水素原子又は活性末端を有するジエン系共重合体と反応する官能基を表す。]
【請求項5】
前記活性末端を有する共役ジエン系共重合体と、ヘテロ原子を含有する変性剤とを反応させて、前記共役ジエン系共重合体に前記変性剤に基づく単位を導入する工程を更に備える、請求項に記載の共役ジエン系共重合体の製造方法。
【請求項6】
前記活性末端を有する共役ジエン系共重合体を得る工程において、ヘテロ原子を含有する変性剤を添加する、請求項4又は5に記載の共役ジエン系共重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共役ジエン系共重合体及び共役ジエン系共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車タイヤ用の重合体組成物としては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン-スチレン共重合体等の共役ジエン系重合体を含有する重合体組成物が用いられている。近年、環境及び資源の問題から、自動車用タイヤに用いる重合体組成物には、機械強度に優れることが求められている。
【0003】
例えば、特許文献1では、共役ジエン系重合体を作製する際に、シラン化合物等のカップリング剤を用いて重合体の分子量を高めることにより、共役ジエン系重合体の機械強度を改善することが検討されている。また、特許文献2では、共役ジエン系重合体を作製する際に、スズ化合物等のカップリング剤を用いて重合体の分子量を高めることにより、共役ジエン系重合体の機械強度を改善することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭61-255917号公報
【文献】特公平1-29802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シラン化合物を用いて作製される共役ジエン系重合体は、機械強度を向上できるものの、重合体組成物を調製する際の混練加工性に劣る傾向が見られ、スズ化合物を用いて作製される共役ジエン系重合体は、混練加工性は優れるものの、重合体中の炭素―スズ結合が弱いため、機械強度が低下する傾向が見られる。このため、共役ジエン系重合体の混練加工性及び機械強度を両立することが求められている。
【0006】
そこで、本発明は、混練加工性と機械強度とのバランスに優れる共役ジエン系共重合体及び該共役ジエン系共重合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、熱で可逆的に解離-付加する共有結合を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法により40℃及び60℃で測定される分子量分布曲線において、少なくとも2つのピークを有し、40℃の測定における最も分子量の低いピークの面積割合に対する、60℃の測定における最も分子量の低いピークの面積割合の変化率が2%以上である、共役ジエン系共重合体に関する。
【0008】
本発明はまた、下記式(1)で表される構造を有する共役ジエン系共重合体に関する。
【0009】
【化1】
式(1)中、mは0~30の整数を表し、P、P、P及びPは共役ジエン単位を含む重合体鎖を表し、c1、c2、c3及びc4はそれぞれ独立に0~3の整数を表し、c1+c2+c3+c4は1以上であり、R、R、R及びRは、置換基を有してもよいヒドロカルビル基、あるいは、RとR及び/又はRとRが結合して、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を有していてもよいヒドロカルビレン基又は複素芳香環を表し、L、L、L及びLは水素原子又は任意の結合基を表す。
【0010】
本発明はさらに、炭化水素溶媒中で、重合開始剤の存在下、共役ジエンを含む単量体を重合させ、活性末端を有する共役ジエン系共重合体を得る工程と、活性末端を有する共役ジエン系共重合体と、熱で可逆的に解離-付加する共有結合を有する化合物とを反応させて、上記共有結合を有する共役ジエン系共重合体を得る工程と、を備える共役ジエン系共重合体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、混練加工性と機械強度とのバランスに優れる共役ジエン系共重合体及び該共役ジエン系共重合体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の共役ジエン系共重合体のGPCチャートである。
図2】比較例1の共役ジエン系共重合体のGPCチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
本明細書では、ヒドロカルビル基は炭化水素から1個の水素原子を除いた1価の基を表す。ヒドロカルビレン基は、炭化水素から2個の水素原子を除いた2価の基を表す。ヒドロカルビルオキシ基は、ヒドロキシ基の水素原子がヒドロカルビル基で置き換えられた構造を有する1価の基を表す。置換基を有するアミノ基(以下、「置換アミノ基」と記すこともある。)は、アミノ基の少なくとも1個の水素原子が、水素原子以外の1価の原子又は1価の基に置き換えられた構造を有する基、又はアミノ基の2個の水素原子が2価の基で置き換えられた構造を有する基を表す。置換基を有するヒドロカルビル基(以下、「置換ヒドロカルビル基」と記すこともある。)は、ヒドロカルビル基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置き換えられた構造を有する1価の基を表す。窒素原子及び/又は酸素原子を有するヒドロカルビレン基とは、ヒドロカルビレン基の水素原子が除かれている炭素原子以外の炭素原子及び/又は水素原子が、窒素原子及び/又は酸素原子を有する基で置き換えられた構造を有する2価の基を表す。
【0015】
[共役ジエン系共重合体]
本実施形態の共役ジエン系共重合体は、熱で可逆的に解離-付加する共有結合(以下、「動的共有結合」と記すこともある。)を有している。該共役ジエン系共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC)により40℃及び60℃で測定される分子量分布曲線において、少なくとも2つのピークを有し、40℃の測定における最も分子量の低いピークの面積割合に対する、60℃の測定における最も分子量の低いピークの面積割合の変化率が2%以上である。
【0016】
上記ピーク面積に変化が生じる理由は、共役ジエン系共重合体が有している動的共有結合が40℃では解離しないが、60℃で解離することによる。本実施形態の共役ジエン系共重合体は、動的共有結合が熱により解離することで重合体の分子量が低下し、共役ジエン系共重合体を加熱しながら混練する際の粘度を低減できる。一方、混練後に温度が下がると、解離した動的共有結合が付加等することで機械強度を維持することができると、本発明者らは推測している。
【0017】
上記変化率は、混練加工性を向上する観点から、好ましくは2%以上であり、より好ましくは5%以上、更に好ましくは8%以上であり、特に好ましくは10%以上である。変化率の上限値は、130%以下、100%以下、80%以下、60%以下、又は40%以下であってよい。
【0018】
動的共有結合は、ポリスルフィド結合であることが好ましく、ジアミノポリスルフィド結合であることがより好ましく、ジアミノジスルフィド結合であることが更に好ましい。
【0019】
本実施形態の共役ジエン共重合体は、共役ジエン化合物に基づく共役ジエン単位に基づく重合体鎖を有している。機械強度を向上する観点から、共役ジエン系共重合体は、芳香族ビニル化合物に基づく芳香族ビニル単位を更に有してよい。すなわち、共役ジエン系共重合体は、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物に基づく重合体鎖を有してよい。
【0020】
共役ジエン化合物としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、及び3-ブチル-1,3-オクタジエンが挙げられる。共役ジエン化合物として、好ましくは1,3-ブタジエン又はイソプレンである。これらの共役ジエン化合物は、1種類を単独で用いても2種類以上を組合せて用いてもよい。
【0021】
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、α-メチル-p-メチルスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、t-ブチルスチレン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、及びジビニルナフタレンが挙げられる。芳香族ビニル化合物として、好ましくはスチレンである。これらの芳香族ビニル化合物は、1種類を単独で用いても2種類以上を組合せて用いてもよい。
【0022】
本実施形態の共役ジエン系共重合体は、下記式(1)で表される構造を有することができる。
【0023】
【化2】
【0024】
式(1)中、mは0~30の整数を表し、P、P、P及びPは芳香族ビニル単量単位を含む重合体鎖を表し、c1、c2、c3及びc4はそれぞれ独立に0~3の整数を表し、c1+c2+c3+c4は1以上であり、R、R、R及びRは、置換基を有してもよいヒドロカルビレン基、あるいは、RとR及び/又はRとRとが結合して、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を有していてもよいヒドロカルビレン基又は複素芳香環を表し、L、L、L及びLは水素原子又は任意の結合基を表す。
【0025】
、R、R及びRにおいて、置換基を有してもよいヒドロカルビレン基は、ヒドロカルビレン基又は置換ヒドロカルビレン基である。ヒドロカルレン基としては、例えば、アルキレン基、アルケンジイル基、アリーレン基、及びアリーレン基がアルキレン基に結合して成る基(以下、アリーレン-アルキレン基と称することがある。)が挙げられる。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、及び2,2,4-トリメチルへキサン-1,6-ジイル基が挙げられる。アルケンジイル基としては、例えば、ペンタン-2-エン-1,5-ジイル基が挙げられる。アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、及びビフェニレン基が挙げられる。アリーレン-アルキレン基としては、例えば、フェニレン-アルキレン基、ナフチレン-アルキレン基、及びビフェニレン-アルキレン基が挙げられる。
【0026】
置換ヒドロカルビレン基としては、例えば、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を有するヒドロカルビレン基である。窒素原子含有ヒドロカルビレン基としては、例えば、-CH=N-CH=CH-で表される基及び-CH=N-CH-CH-で表される基が挙げられる。酸素原子含有ヒドロカルビレン基としては、例えば、-CH-CH-O-CH-CH-で表される基が挙げられる。硫黄原子含有ヒドロカルビレン基としては、例えば、-CH-CH-S-CH-CH-で表される基が挙げられる。
【0027】
とR及び/又はRとRは窒素原子とともにシクロヘテロアルキル基又は含窒素複素芳香環基を形成してよい。該シクロヘテロアルキル基又は含窒素複素芳香環基中の任意の位置の水素原子は、L、L、L及びLで置換されていてもよい。式(1)において、RとRとが結合した環状構造及びRとRとが結合した環状構造を有してもよい。L、L、L及びLは水素原子又は任意の結合基を表す。任意の結合基としては、活性末端を有する共役ジエン系共重合体と反応しうる官能基との反応により得られる構造を表し、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を有していてもよいヒドロカルビレン基を表す。
【0028】
式(1)中、mは0~30であるが、好ましくは0~20であり、より好ましくは0~10であり、更に好ましくは0~5であり、特に好ましくは0又は1であり、最も好ましくは0である。
【0029】
式(1)で表される構造は、下記式(2)で表される化合物をカップリング剤として用いて、活性末端を有する共役ジエン系共重合体と反応させることで共役ジエン系共重合体に導入することができる。すなわち、本実施形態の共役ジエン系共重合体は、式(2)で表される化合物に基づく、動的共有結合を有することできる。式(2)で表される化合物は、温度が上昇するとポリスルフィド結合が解離し、温度が下がると元の構造に戻る性質を有している。
【0030】
【化3】
【0031】
式(2)中、mは0~30の整数を表し、R、R、R及びRは、置換基を有してもよいヒドロカルビレン基、あるいは、RとR及び/又はRとRとが結合して、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群から選択される少なくとも1種の原子を有していてもよいヒドロカルビレン基又は複素芳香環を表し、Y、Y、Y及びYは水素原子又は活性末端を有するジエン系共重合体と反応する官能基を表す。
【0032】
活性末端を有するジエン系共重合体と反応する官能基としては、例えば、グリシジルエーテル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、アルコキシシリル基、カルボニル基、ハロゲン基、イソシアナート基等が挙げられる。
【0033】
本実施形態の共役ジエン系共重合体は、ヘテロ原子を含有する変性剤に基づく単位を更に有してよい。上記共役ジエン系共重合体は、ヘテロ原子を有する化合物で変性されていることで、後述する重合体組成物を作製する際に配合する充填剤の分散性を向上することができる。ヘテロ原子を有する化合物は、動的共有結合を有しない化合物である。
【0034】
ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びケイ素原子が挙げられる。窒素及び/又はケイ素を含有する変性剤としては、式(3)で表される構造を有する化合物を用いることができる。当該化合物は、共役ジエン化合物と共重合可能な官能基を有している。共役ジエン化合物と、式(3)で表される構造を有する化合物とを重合することで、式(3)で表される構造を有する化合物に基づく単位を分子鎖中に有する共役ジエン系共重合体を得ることができる。
【0035】
【化4】
【0036】
式(3)中、R31は水素原子又はヒドロカルビル基を表し、sは0又は1(0~1の整数)を表し、R32はヒドロカルビレン基を表し、Aは置換アミノ基、含窒素複素環基又は置換シリル基を表す。
【0037】
31におけるヒドロカルビル基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基及びアリール基を挙げることができる。
【0038】
アルキル基としては、炭素原子数1~12のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基を挙げることができ、好ましくはメチル基である。アルケニル基としては、炭素原子数2~12のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基及びイソプロペニル基を挙げることができ、好ましくはビニル基である。アリール基としては、炭素原子数6~12のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、メチルフェニル基及びエチルフェニル基を挙げることができ、好ましくはフェニル基である。
【0039】
31として、好ましくは水素原子、メチル基、ビニル基又はフェニル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0040】
32におけるヒドロカルビレン基としては、例えば、アルキレン基、アリーレン基、及び、アリーレン基とアルキレン基とが結合した基を挙げることができる。
【0041】
アルキレン基としては、炭素原子数2~6のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基及びトリメチレン基を挙げることができ、より好ましくは、メチレン基又はエチレン基である。アリーレン基としては、炭素原子数5~12のアリーレン基が好ましく、例えば、フェニレン基、ナフチレン基及びビフェニレン基を挙げることができ、より好ましくはフェニレン基である。アリーレン基とアルキレン基とが結合した基としては、例えば、フェニレン基とアルキレン基とが結合した基、ナフチレン基とアルキレン基とが結合した基及びビフェニレン基とアルキレン基とが結合した基を挙げることができ、好ましくはフェニレン基とアルキレン基とが結合した基である。
【0042】
アリーレン基とアルキレン基とが結合した基としては、式(3)のR31が結合している炭素原子に、当該基のアリーレン基の炭素原子が結合していることが好ましい。
【0043】
フェニレン基とアルキレン基とが結合した基(フェニレン-アルキレン基)としては、例えば、式(3-R)で表される基を挙げることができる。
【0044】
【化5】
式中、dは1~10の整数を表す。
【0045】
フェニレン-アルキレン基としては、アルキレン基が結合するベンゼン環上の炭素原子の位置によって、パラ-フェニレン-アルキレン基、メタ-フェニレン-アルキレン基、オルト-フェニレン-アルキレン基を挙げることができる。式(3-R)で表される基の場合、パラ-フェニレン-アルキレン基は式(3-Ra)で表される基であり、メタ-フェニレン-アルキレン基は式(3-Rb)で表される基であり、オルト-フェニレン-アルキレン基は式(3-Rc)で表される基である。
【0046】
【化6】
式中、d1、d2及びd3はそれぞれ独立に、1~10の整数を表す。
【0047】
アリーレン基とアルキレン基とが結合した基としては、好ましくは、フェニレン基とアルキレン基とが結合した基(フェニレン-アルキレン基)であり、より好ましくは、式(3-Ra)で表される基又は式(3-Rb)で表される基であり、更に好ましくは、パラ-フェニレン-メチレン基(d1=1である式(3-Ra)で表される基)、メタ-フェニレン-メチレン基(d2=1である式(3-Rb)で表される基)、パラ-フェニレン-エチレン基(d1=2である式(3-Ra)で表される基)又はメタ-フェニレン-エチレン基(d2=2である式(3-Rb)で表される基)である。
【0048】
の置換アミノ基として、例えば、式(3-X)で表される基及び式(3-Y)で表される基が挙げられる。
【0049】
【化7】
式(3-X)中、R33及びR34はそれぞれ独立に、ヒドロカルビル基又はトリヒドロカルビルシリル基を表すか、あるいは、R33の一部とR34の一部とが結合して成る、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基を表す。
【0050】
【化8】
式(3-Y)中、R35は、ヒドロカルビリデン基を表す。なお、R35は、式(3-X)において、R33及びR34が一つの基であって、窒素原子に二重結合で結合する基に対応する基である。
【0051】
33及びR34における、ヒドロカルビル基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びアラルキル基を挙げることができる。アルキル基としては、炭素原子数1~12のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基を挙げることができる。アルケニル基としては、炭素原子数2~12のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基及びイソプロペニル基を挙げることができる。アルキニル基としては、炭素原子数2~12のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基及び2-プロピニル基を挙げることができる。アリール基としては、炭素原子数6~12のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基及びキシリル基を挙げることができる。アラルキル基としては、炭素原子数7~13のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基を挙げることができる。
【0052】
ヒドロカルビル基の炭素原子数は、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~4であり、更に好ましくは1~2である。ヒドロカルビル基としては、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは直鎖アルキル基である。
【0053】
33及びR34における、トリヒドロカルビルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチル-ジメチルシリル基等の炭素原子数3~12のトリアルキルシリル基を挙げることができる。
【0054】
トリヒドロカルビルシリル基としては、好ましくは、炭素原子数が3~9のトリアルキルシリル基であり、より好ましくは、ケイ素原子に結合したアルキル基が炭素原子数1~3のアルキル基であるトリアルキルシリル基であり、更に好ましくは、トリメチルシリル基である。
【0055】
33の一部とR34の一部とが結合した、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基としては、例えば、ヒドロカルビレン基、窒素原子含有ヒドロカルビレン基及び酸素原子含有ヒドロカルビレン基を挙げることができる。
【0056】
ヒドロカルビレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキレン基を挙げることができる。
【0057】
窒素原子含有ヒドロカルビレン基としては、例えば、-CHCH-NH-CH-で表される基、-CHCH-N=CH-で表される基、-CH=CH-N=CH-で表される基、及び-CHCH-NH-CHCH-で表される基を挙げることができる。酸素原子含有ヒドロカルビレン基としては、例えば、-CHCH-O-CHCH-で表される基を挙げることができる。
【0058】
窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基の炭素原子数は、好ましくは2~20であり、より好ましくは2~7であり、更に好ましくは4~6である。
【0059】
窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基としては、好ましくはヒドロカルビレン基であり、より好ましくはアルキレン基であり、更に好ましくはポリメチレン基である。
【0060】
33及びR34としては、好ましくは、それぞれ独立にアルキル基又はトリアルキルシリル基であるか、R33の一部とR34の一部とが結合したアルキレン基であり、より好ましくはそれぞれ独立にアルキル基である。
【0061】
式(3-X)で表される基としては、非環状アミノ基又は環状アミノ基を挙げることができる。
【0062】
非環状アミノ基のうち、式(3-X)においてR33及びR34がヒドロカルビル基である基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n-プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n-ブチル)アミノ基、ジ(sec-ブチル)アミノ基、ジ(tert-ブチル)アミノ基、エチルメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基を挙げることができる。
【0063】
非環状アミノ基のうち、式(3-X)においてR33及びR34がトリヒドロカルビルシリル基である基としては、例えば、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ビス(tert-ブチル-ジメチルシリル)アミノ基等のビス(トリアルキルシリル)アミノ基を挙げることができる。
【0064】
環状アミノ基のうち、式(3-X)において、R33の一部とR34の一部とが結合した基がヒドロカルビレン基である基としては、例えば、1-アジリジニル基、1-アゼチジニル基、1-ピロリジニル基、1-ピペリジニル基、1-ヘキサメチレンイミノ基及び1-ピロリル基を挙げることができる。
【0065】
環状アミノ基のうち、式(3-X)において、R33の一部とR34の一部とが結合した基が窒素原子含有ヒドロカルビレン基である基としては、例えば、1-イミダゾリル基、4,5-ジヒドロ-1-イミダゾリル基、1-イミダゾリジニル基、1-ピペラジニル基を挙げることができる。
【0066】
環状アミノ基のうち、式(3-X)において、R33の一部とR34の一部とが結合した基が酸素原子含有ヒドロカルビレン基である基としては、モルホリノ基を挙げることができる。
【0067】
35におけるヒドロカルビリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基、1-メチルエチリデン基、1-メチルプロピリデン基及び1,3-ジメチルブチリデン基を挙げることができる。ヒドロカルビリデン基の炭素原子数は、好ましくは2~20であり、より好ましくは2~6である。
【0068】
式(3-Y)で表される基としては、例えば、エチリデンアミノ基、1-メチルプロピリデンアミノ基、1,3-ジメチルブチリデンアミノ基、1-メチルエチリデンアミノ基、4-N,N-ジメチルアミノベンジリデンアミノ基等の非環状アミノ基を挙げることができる。
【0069】
の含窒素複素環基としては、含窒素脂環族複素環基、含窒素芳香族複素環基を挙げることができる。含窒素脂環族複素環基は、含窒素脂環族複素環を有する化合物の複素環の炭素原子に結合している水素原子から1つの水素原子を除いた基を表し、含窒素脂環族複素環は、環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子を有する脂環族複素環を表す。また、含窒素芳香族複素環基は、含窒素芳香族複素環を有する化合物の複素環の炭素原子に結合している水素原子から1つの水素原子を除いた基を表し、含窒素芳香族複素環は、環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子を有する芳香族複素環を表す。
【0070】
環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子のみを有する含窒素芳香族複素環基としては、ピロール環を有する基、イミダゾール環を有する基、ピラゾール環を有する基、ピリジン環を有する基、ピリダジン環を有する基、ピリミジン環を有する基、ピラジン環を有する基などを挙げることができる。
【0071】
ピロール環を有する基としては、例えば、2-ピロリル基、3-ピロリル基、1-アルキル-2-ピロリル基及び1-アルキル-3-ピロリル基を挙げることができる。イミダゾール環を有する基としては、例えば、2-イミダゾリル基、4-イミダゾリル基、5-イミダゾリル基、1-アルキル-2-イミダゾリル基、1-アルキル-4-イミダゾリル基及び1-アルキル-5-イミダゾリル基を挙げることができる。ピリジン環を有する基としては、例えば、2-ピリジル基、3-ピリジル基及び4-ピリジル基を挙げることができる。環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子のみを有する含窒素芳香族複素環基としては、好ましくは、イミダゾール環を有する基、ピリジン環を有する基を有する基である。
【0072】
式(3)で表される化合物のうち、R31が水素原子であり、sが1であり、R32がフェニレン基であり、Aが置換アミノ基である化合物として、例えば、4-ジメチルアミノスチレン、4-ジエチルアミノスチレン、4-ジプロピルアミノスチレン、4-ジブチルアミノスチレン、4-ビス(トリメチルシリル)アミノスチレン、4-ビス(tert-ブチル-ジメチルシリル)アミノスチレン、4-(1-ピロリジニル)スチレン、4-(1-ピペリジニル)スチレン及び4-(1-ヘキサメチレンイミノ)スチレンを挙げることができる。
【0073】
式(3)で表される化合物のうち、R31が水素原子であり、sが1であり、R32が式(3-Ra)で表される基であり、式(3-Ra)中のd1が1又は2であり、Aが置換アミノ基である化合物として、例えば、4-(ジメチルアミノメチル)スチレン、4-(ジエチルアミノメチル)スチレン、4-[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]スチレン、4-[ビス(tert-ブチル-ジメチルシリル)アミノメチル]スチレン、4-(1-ピロリジニル)メチルスチレン、4-(1-ピペリジニル)メチルスチレン、4-(1-ヘキサメチレンイミノ)メチルスチレン、4-[2-(ジメチルアミノ)エチル]スチレン、4-[2-(ジエチルアミノ)エチル]スチレン、4-{2-[ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチル}スチレン、4-{2-[ビス(tert-ブチル-ジメチルシリル)アミノ]エチル}スチレン、4-[2-(1-ピロリジニル)エチル]スチレン、4-[2-(1-ピペリジニル)エチル]スチレン及び4-[2-(1-ヘキサメチレンイミノ)エチル]スチレンを挙げることができる。
【0074】
式(3)で表される化合物のうち、R31がビニル基であり、sが0であり、Aが置換アミノ基である化合物として、例えば、2-ジメチルアミノ-1,3-ブタジエン、2-ジエチルアミノ-1,3-ブタジエン、2-[ビス(トリメチルシリル)アミノ]-1,3-ブタジエン、2-[ビス(tert-ブチル-ジメチルシリル)アミノ]-1,3-ブタジエン、2-(1-ピロリジニル)-1,3-ブタジエン、2-(1-ピペリジニル)-1,3-ブタジエン、2-(1-ヘキサメチレンイミノ)-1,3-ブタジエン、2-(1-ピロリル)-1,3-ブタジエン及び2-(1-イミダゾリル)-1,3-ブタジエンを挙げることができる。
【0075】
式(3)で表される化合物のうち、R31がフェニル基であり、sが1であり、R32がフェニレン基であり、Aが置換アミノ基である化合物として、例えば、1-(4-ジメチルアミノフェニル)-1-フェニルエチレン、1-(4-ジエチルアミノフェニル)-1-フェニルエチレン、1-[4-(1-ピロリジニル)フェニル]-1-フェニルエチレン、1-[4-(1-ピペリジニル)フェニル]-1-フェニルエチレン、1-[4-(1-ヘキサメチレンイミノ)フェニル]-1-フェニルエチレン、1-(4-モルホリノフェニル)-1-フェニルエチレン、1-{4-[ビス(トリメチルシリル)アミノ]フェニル}-1-フェニルエチレン及び1-{4-[ビス(tert-ブチル-ジメチルシリル)アミノ]フェニル}-1-フェニルエチレンを挙げることができる。
【0076】
式(3)で表される化合物のうち、R31が水素原子であり、sが0であり、A1が含窒素芳香族複素環基である化合物として、例えば、1-メチル-2-ビニルイミダゾール、1-メチル-4-ビニルイミダゾール、1-メチル-5-ビニルイミダゾール、2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン及び4-ビニルピリジンを挙げることができる。
【0077】
式(3)で表される化合物のうち、Aが置換アミノ基又は含窒素複素環である化合物として特に好ましくは、4-[2-(1-ピロリジニル)エチル]スチレン、3-[2-(1-ピロリジニル)エチル]スチレン、4-ビニルピリジン又は3-ビニルピリジンである。
【0078】
の置換シリル基として、例えば、式(3-Z)で表される基が挙げられる。
【0079】
【化9】
式(3-Z)中、X、X及びXはそれぞれ独立に、置換アミノ基、又は、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基を表し、X、X及びXの少なくとも1つが置換アミノ基である。
【0080】
、X及びXにおける、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基としては、ヒドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基を挙げることができる。
【0081】
、X及びXのヒドロカルビル基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びアラルキル基を挙げることができる。アルキル基としては、炭素原子数1~12のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基を挙げることができる。アルケニル基としては、炭素原子数2~12のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基及びイソプロペニル基を挙げることができる。アルキニル基としては、炭素原子数2~12のアルキニル基が好ましく、エチニル基及び2-プロピニル基を挙げることができる。アリール基としては、炭素原子数6~12のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基及びキシリル基を挙げることができる。アラルキル基としては、炭素原子数7~13のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基を挙げることができる。ヒドロカルビル基として、好ましくはアルキル基である。
【0082】
、X及びXの置換ヒドロカルビル基としては、酸素原子、窒素原子及びケイ素原子からなる原子群より選択される少なくとも一種の原子を有する基を挙げることができる。
【0083】
酸素原子を有する置換ヒドロカルビル基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基を挙げることができる。窒素原子を有する置換ヒドロカルビル基としては、例えば、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基等のジアルキルアミノアルキル基を挙げることができる。ケイ素原子を有する置換ヒドロカルビル基としては、例えば、トリメチルシリルメチル基、トリメチルシリルエチル基、トリエチルシリルメチル基、トリエチルシリルエチル基等のトリアルキルシリルアルキル基を挙げることができる。
【0084】
置換基を有していてもよいヒドロカルビル基の炭素原子数は、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~4である。置換基を有していてもよいヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基又はアルコキシアルキル基である。アルキル基としては、更に好ましくは炭素原子数が1~4のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基又はエチル基である。アルコキシアルキル基としては、好ましくは、炭素原子数2~4のアルコキシアルキル基である。
【0085】
、X及びXにおける置換アミノ基として、例えば、式(3-X)で表される基及び式(3-Y)で表される基が挙げられる。
【0086】
式(3―Z)において、X、X及びXにおける置換アミノ基は、好ましくは非環状アミノ基であり、より好ましくは、ジアルキルアミノ基であり、更に好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n-プロピル)アミノ基又はジ(n-ブチル)アミノ基であり、特に好ましくは、ジメチルアミノ基又はジエチルアミノ基である。
【0087】
式(3―Z)において、X、X及びXの少なくとも1つが置換アミノ基であり、好ましくは、X、X及びXの2つ以上が、置換アミノ基であり、より好ましくは、X、X及びXのうちの2つが、置換アミノ基である。
【0088】
式(3)で表される化合物のうち、Aが置換シリル基であり、R31が水素原子であり、式(3-Z)中のX、X及びXのうち1つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
【0089】
式(3)中のsが0である化合物としては、例えば、(ジメチルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジプロピルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジブチルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジエチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジエチルビニルシラン、(ジプロピルアミノ)ジエチルビニルシラン及び(ジブチルアミノ)ジエチルビニルシランが挙げられる。
【0090】
式(3)中のsが1である化合物としては、例えば、(ジメチルアミノ)ジメチル(4-ビニルフェニル)シラン、(ジメチルアミノ)ジメチル(3-ビニルフェニル)シラン、(ジエチルアミノ)ジメチル(4-ビニルフェニル)シラン、(ジエチルアミノ)ジメチル(3-ビニルフェニル)シラン、(ジプロピルアミノ)ジメチル(4-ビニルフェニル)シラン、(ジプロピルアミノ)ジメチル(3-ビニルフェニル)シラン、(ジブチルアミノ)ジメチル(4-ビニルフェニル)シラン、(ジブチルアミノ)ジメチル(3-ビニルフェニル)シラン、(ジメチルアミノ)ジエチル(4-ビニルフェニル)シラン、(ジメチルアミノ)ジエチル(3-ビニルフェニル)シラン、(ジエチルアミノ)ジエチル(4-ビニルフェニル)シラン、(ジエチルアミノ)ジエチル(3-ビニルフェニル)シラン、(ジプロピルアミノ)ジエチル(4-ビニルフェニル)シラン、(ジプロピルアミノ)ジエチル(3-ビニルフェニル)シラン、(ジブチルアミノ)ジエチル(4-ビニルフェニル)シラン及び(ジブチルアミノ)ジエチル(3-ビニルフェニル)シランが挙げられる。
【0091】
式(3)で表される化合物のうち、R31が水素原子であり、Aが置換シリル基であり、式(3-Z)中のX、X及びXのうち2つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
【0092】
式(3)中のsが0である化合物としては、例えば、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジブチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジプロピルアミノ)エチルビニルシラン及びビス(ジブチルアミノ)エチルビニルシランが挙げられる。
【0093】
式(3)中のsが1である化合物としては、例えば、ビス(ジメチルアミノ)メチル(4-ビニルフェニル)シラン、ビス(ジメチルアミノ)メチル(3-ビニルフェニル)シラン、ビス(ジエチルアミノ)メチル(4-ビニルフェニル)シラン、ビス(ジエチルアミノ)メチル(3-ビニルフェニル)シラン、ビス(ジプロピルアミノ)メチル(4-ビニルフェニル)シラン、ビス(ジプロピルアミノ)メチル(3-ビニルフェニル)シラン、ビス(ジブチルアミノ)メチル(4-ビニルフェニル)シラン、ビス(ジブチルアミノ)メチル(3-ビニルフェニル)シラン、ビス(ジメチルアミノ)エチル(4-ビニルフェニル)シラン、ビス(ジメチルアミノ)エチル(3-ビニルフェニル)シラン、ビス(ジエチルアミノ)エチル(4-ビニルフェニル)シラン、ビス(ジエチルアミノ)エチル(3-ビニルフェニル)シラン、ビス(ジプロピルアミノ)エチル(4-ビニルフェニル)シラン、ビス(ジプロピルアミノ)エチル(3-ビニルフェニル)シラン、ビス(ジブチルアミノ)エチル(4-ビニルフェニル)シラン及びビス(ジブチルアミノ)エチル(3-ビニルフェニル)シランが挙げられる。
【0094】
式(3)で表される化合物のうち、R31がメチル基であり、Aが置換シリル基であり、式(3-Z)中のX、X及びXのうち2つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
【0095】
式(3)中のsが1である化合物としては、例えば、ビス(ジメチルアミノ)メチル(4-イソプロペニルフェニル)シラン、ビス(ジメチルアミノ)メチル(3-イソプロペニルフェニル)シラン、ビス(ジエチルアミノ)メチル(4-イソプロペニルフェニル)シラン、ビス(ジエチルアミノ)メチル(3-イソプロペニルフェニル)シラン、ビス(ジプロピルアミノ)メチル(4-イソプロペニルフェニル)シラン、ビス(ジプロピルアミノ)メチル(3-イソプロペニルフェニル)シラン、ビス(ジブチルアミノ)メチル(4-イソプロペニルフェニル)シラン、ビス(ジブチルアミノ)メチル(3-イソプロペニルフェニル)シラン、ビス(ジメチルアミノ)エチル(4-イソプロペニルフェニル)シラン、ビス(ジメチルアミノ)エチル(3-イソプロペニルフェニル)シラン、ビス(ジエチルアミノ)エチル(4-イソプロペニルフェニル)シラン、ビス(ジエチルアミノ)エチル(3-イソプロペニルフェニル)シラン、ビス(ジプロピルアミノ)エチル(4-イソプロペニルフェニル)シラン、ビス(ジプロピルアミノ)エチル(3-イソプロペニルフェニル)シラン、ビス(ジブチルアミノ)エチル(4-イソプロペニルフェニル)シラン及びビス(ジブチルアミノ)エチル(3-イソプロペニルフェニル)シランが挙げられる。
【0096】
式(3)で表される化合物としては、R31がビニル基であり、Aが置換シリル基であり、式(3-Z)中のX、X及びXのうち2つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
【0097】
式(3)中のsが0である化合物としては、例えば、ビス(ジメチルアミノ)メチル(1-メチレン-2-プロペニル)シラン、ビス(ジエチルアミノ)メチル(1-メチレン-2-プロペニル)シラン、ビス(ジプロピルアミノ)メチル(1-メチレン-2-プロペニル)シラン、ビス(ジブチルアミノ)メチル(1-メチレン-2-プロペニル)シラン、ビス(ジメチルアミノ)エチル(1-メチレン-2-プロペニル)シラン、ビス(ジエチルアミノ)エチル(1-メチレン-2-プロペニル)シラン、ビス(ジプロピルアミノ)エチル(1-メチレン-2-プロペニル)シラン及びビス(ジブチルアミノ)エチル(1-メチレン-2-プロペニル)シランが挙げられる。
【0098】
式(3)で表される化合物としては、R31がフェニル基であり、Aが置換シリル基であり、式(3-Z)中のX、X及びXのうち2つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
【0099】
式(3)中のsが1である化合物としては、例えば、1-{4-[ビス(ジメチルアミノ)メチルシリル]フェニル}-1-フェニルエチレン、1-{4-[ビス(ジエチルアミノ)メチルシリル]フェニル}-1-フェニルエチレン、1-{4-[ビス(ジプロピルアミノ)メチルシリル]フェニル}-1-フェニルエチレン、1-{4-[ビス(ジブチルアミノ)メチルシリル]フェニル}-1-フェニルエチレン、1-{4-[ビス(ジメチルアミノ)エチルシリル]フェニル}-1-フェニルエチレン、1-{4-[ビス(ジエチルアミノ)エチルシリル]フェニル}-1-フェニルエチレン、1-{4-[ビス(ジプロピルアミノ)エチルシリル]フェニル}-1-フェニルエチレン及び1-{4-[ビス(ジブチルアミノ)エチルシリル]フェニル}-1-フェニルエチレンが挙げられる。
【0100】
式(3)で表される化合物としては、R31が水素原子であり、Aが置換シリル基であり、式(3-Z)中のX、X及びXの3つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
【0101】
式(3)中のsが0である化合物としては、例えば、トリス(ジメチルアミノ)ビニルシラン、トリス(ジエチルアミノ)ビニルシラン、トリス(ジプロピルアミノ)ビニルシラン及びトリス(ジブチルアミノ)ビニルシランが挙げられる。
【0102】
式(3)中のsが1である化合物としては、例えば、トリス(ジメチルアミノ)(4-ビニルフェニル)シラン、トリス(ジメチルアミノ)(3-ビニルフェニル)シラン、トリス(ジエチルアミノ)(4-ビニルフェニル)シラン、トリス(ジエチルアミノ)(3-ビニルフェニル)シラン、トリス(ジプロピルアミノ)(4-ビニルフェニル)シラン、トリス(ジプロピルアミノ)(3-ビニルフェニル)シラン、トリス(ジブチルアミノ)(4-ビニルフェニル)シラン及びトリス(ジブチルアミノ)(3-ビニルフェニル)シランが挙げられる。
【0103】
式(3)で表される化合物としては、R31がメチル基であり、Aが置換シリル基であり、式(3-Z)中のX、X及びXの3つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
【0104】
式(3)中のsが1である化合物としては、例えば、トリス(ジメチルアミノ)(4-イソプロペニルフェニル)シラン、トリス(ジメチルアミノ)(3-イソプロペニルフェニル)シラン、トリス(ジエチルアミノ)(4-イソプロペニルフェニル)シラン、トリス(ジエチルアミノ)(3-イソプロペニルフェニル)シラン、トリス(ジプロピルアミノ)(4-イソプロペニルフェニル)シラン、トリス(ジプロピルアミノ)(3-イソプロペニルフェニル)シラン、トリス(ジブチルアミノ)(4-イソプロペニルフェニル)シラン及びトリス(ジブチルアミノ)(3-イソプロペニルフェニル)シランが挙げられる。
【0105】
式(3)で表される化合物としては、R31がビニル基であり、Aが置換シリル基であり、式(3-Z)中のX、X及びXの3つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
【0106】
式(3)中のsが0である化合物としては、例えば、トリス(ジメチルアミノ)(1-メチレン-2-プロペニル)シラン、トリス(ジエチルアミノ)(1-メチレン-2-プロペニル)シラン、トリス(ジプロピルアミノ)(1-メチレン-2-プロペニル)シラン及びトリス(ジブチルアミノ)(1-メチレン-2-プロペニル)シランが挙げられる。
【0107】
式(3)で表される化合物としては、R31がフェニル基であり、Aが置換シリル基であり、式(3-Z)中のX、X及びXのうち3つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
【0108】
式(3)中のsが1である化合物としては、例えば、1-[4-トリス(ジメチルアミノ)シリルフェニル]-1-フェニルエチレン、1-[4-トリス(ジエチルアミノ)シリルフェニル]-1-フェニルエチレン、1-[4-トリス(ジ-n-プロピルアミノ)メチルシリルフェニル]-1-フェニルエチレン及び1-[4-トリス(ジ-n-ブチルアミノ)メチルシリルフェニル]-1-フェニルエチレンが挙げられる。
【0109】
式(3)で表される基で好ましい化合物としては、式(3-Z)中のX、X及びXのうち2つがジアルキルアミノ基である化合物であり、より好ましくは、式(3)中のX、X及びXのうち2つがジアルキルアミノ基であり、R31が水素原子であり、sが0である化合物である。
【0110】
式(3)で表され、Aが置換シリル基である化合物として最も好ましくは、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジブチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジプロピルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジブチルアミノ)エチルビニルシランである。
【0111】
ヘテロ原子を有する変性剤として、式(4)で表される構造を有する化合物を用いることができる。当該化合物は、重合体の活性末端と反応し得る官能基を有している。工程2で得られた活性末端を有する重合体を、式(4)で表される構造を有する化合物と反応させることで、式(4)で表される構造を有する化合物に基づく単位を末端に有する共役ジエン系共重合体を得ることができる。
【0112】
【化10】
【0113】
式(4)中、X、X及びXはそれぞれ独立に、ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、ハロゲン原子、又は、共役ジエン系共重合体の活性末端と反応しうる官能基を表し、R41及びR42はそれぞれ独立に、水素原子又はヒドロカルビル基を表し、R41及びR42が複数ある場合はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Aは、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子及びケイ素原子からなる群より選択される少なくとも一種の原子を有する有機基(酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子又はケイ素原子のいずれか、あるいは複数を含む有機基)を表し、Aは環構造を有していてもよく、X、X及びXの構造の一部がAの一部と結合していてもよい。すなわち、Aは、X、X及びXを介して式(4)中のケイ素原子と結合していてもよい。aは0~10の整数を表す。
【0114】
、X及びXにおける、ヒドロカルビル基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基及びアラルキル基が挙げられる。アルキル基としては、好ましくは炭素原子数1~12のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。アリール基としては、好ましくは炭素原子数6~12のアリール基であり、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ベンジル基、トリル基及びキシリル基が挙げられる。アルケニル基としては、好ましくは炭素原子数2~12のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基及びイソプロペニル基が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基が挙げられる。
【0115】
ヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、アルコキシ基及びアリールオキシ基が挙げられる。アルコキシ基としては、好ましくは炭素原子数1~12のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基及びtert-ブトキシ基が挙げられる。アリールオキシ基としては、好ましくは炭素原子数6~12のアリールオキシ基であり、例えば、フェノキシ基及びベンジルオキシ基が挙げられる。ヒドロカルビルオキシ基として、好ましくはアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
【0116】
ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0117】
共役ジエン系共重合体の活性末端と反応しうる官能基としては、例えば、エポキシ基を有する炭化水素基及びカルボニル基を有する炭化水素基が挙げられる。
【0118】
41及びR42における、ヒドロカルビル基としては、好ましくは炭素原子数1~4のヒドロカルビル基であり、より好ましくは炭素原子数1~4のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基又はエチル基である。R41が複数ある場合、複数のR41は互いに同じであっても異なっていてもよく、R42が複数ある場合、複数のR42は互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0119】
aは、省燃費性を高める観点から、好ましくは3以上であり、製造時の経済性を高める観点から、好ましくは4以下である。
【0120】
少なくとも窒素原子を有する有機基であるAとしては、例えば、式(4-1)で表される基を挙げることができる。
【0121】
【化11】
【0122】
式(4-1)中、R43及びR44はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基又はトリヒドロカルビルシリル基を表すか、あるいは、R43の一部とR44の一部とが結合して成る、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる原子群より選択される少なくとも一種の原子を有していてもよいヒドロカルビレン基を表す。
【0123】
ここで、式(4-1)で表される基は、R43の一部とR44の一部とが結合していない場合、非環状アミノ基であり、R43とR44とが結合している場合、環状アミノ基である。
【0124】
43及びR44における、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基である。
【0125】
ヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基等の炭素原子数1~12のアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等の炭素原子数2~12のアルケニル基;フェニル基、ベンジル基等の炭素原子数6~12のアリール基を挙げることができ、好ましくはアルキル基又はアリール基であり、より好ましくはメチル基、エチル基又はベンジル基である。
【0126】
置換ヒドロカルビル基としては、例えば、オキシラニル基、テトラヒドロフラニル基等のオキサシクロアルキル基を挙げることができ、好ましくはテトラヒドロフラニル基である。
【0127】
本明細書において、オキサシクロアルキル基は、シクロアルキル基の脂環上のCHが酸素原子に置き換わった基を表す。
【0128】
43及びR44における、トリヒドロカルビルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、tert-ブチル-ジメチルシリル基を挙げることができ、好ましくはトリメチルシリル基である。
【0129】
43の一部及びR44の一部が結合して成る、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる原子群より選択される少なくとも一種の原子を有していてもよいヒドロカルビレン基は、ヒドロカルビレン基、又は、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる原子群より選択される少なくとも一種の原子を有するヒドロカルビレン基(ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基)である。
【0130】
ヒドロカルビレン基としては、例えば、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4-トリメチルへキサン-1,6-ジイル基等の炭素原子数2~12のアルキレン基を挙げることができ、中でも炭素原子数4~7のアルキレン基が好ましく、ペンタメチレン基又はヘキサメチレン基が特に好ましい。
【0131】
ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、例えば、ケイ素原子含有ヒドロカルビレン基、窒素原子含有ヒドロカルビレン基及び酸素原子含有ヒドロカルビレン基を挙げることができる。
【0132】
ケイ素原子含有ヒドロカルビレン基としては、例えば、-Si(CH-CH-CH-Si(CH-で表される基を挙げることができる。窒素原子含有ヒドロカルビレン基としては、例えば、-CH=N-CH=CH-で表される基及び-CH=N-CH-CH-で表される基を挙げることができる。酸素原子含有ヒドロカルビレン基としては、例えば、-CH-CH-O-CH-CH-で表される基を挙げることができる。
【0133】
少なくとも酸素原子を有する有機基であるAとしては、例えば、式(4-2)で表される基を挙げることができる。
【0134】
【化12】
【0135】
式(4-2)中、Xは酸素原子を有していてもよい炭素原子数が1~6のヒドロカルビレン基を表し、R45は水素原子又は炭素原子数が1~6のヒドロカルビル基を表す。
【0136】
における、酸素原子を有していてもよい炭素原子数が1~6のヒドロカルビレン基としては、例えば、無置換のヒドロカルビレン基、及び、酸素原子を有する基を置換基として有するヒドロカルビレン基を挙げることができる。
【0137】
として、具体的には、ヒドロカルビレン基及びヒドロカルビレンオキシ基を挙げることができ、より具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、1-オキシエチレン基、1-オキシトリメチレン基及び1-オキシテトラメチレン基を挙げることができる。Xとして好ましくは、1-オキシトリメチレン基である。
【0138】
45における、炭素原子数が1~6のヒドロカルビル基としては、例えば、アルキル基及びアリール基を挙げることができ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基及びフェニル基を挙げることができる。R45として好ましくは、水素原子又はメチル基である。
【0139】
少なくとも硫黄原子を有する有機基であるAとしては、例えば、式(4-3)で表される基を挙げることができる。
【0140】
【化13】
【0141】
式(4-3)中、R40はトリヒドロカルビルシリル基を表す。トリヒドロカルビルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチル-ジメチルシリル基を挙げることができ、好ましくはトリメチルシリル基又はトリエチルシリル基である。
【0142】
少なくともケイ素原子を有する有機基であるAとしては、例えば、式(4-4)で表される基を挙げることができる。すなわち、式(4)で表される化合物としては、例えば、Aとして式(4-4)で表される基を有するポリオルガノシロキサン化合物を挙げることができる。
【0143】
【化14】
【0144】
式(4-4)中、R46、R47及びR48はそれぞれ独立に、ヒドロカルビル基、又は、ヒドロカルビレンオキシ基の繰り返し単位を含有する基を表し、X及びXはそれぞれ独立に、ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビレンオキシ基の繰り返し単位を含有する基、ハロゲン原子、又は、共役ジエン系共重合体の活性末端と反応しうる官能基を表し、gは0~600の整数を表し、複数存在するR46及びXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0145】
46、R47、R48、X及びXにおける、ヒドロカルビル基としては、例えば、アルキル基、アリール基及びアラルキル基が挙げられる。アルキル基としては、炭素原子数1~12のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。アリール基としては、炭素原子数6~12のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、トリル基及びキシリル基が挙げられる。アラルキル基としては、炭素原子数7~13のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基が挙げられる。
【0146】
46、R47、R48、X及びXにおける、ヒドロカルビレンオキシ基の繰り返し単位を有する基としては、例えば、アルキレングリコールに基づく繰り返し単位を有する基が挙げられる。ヒドロカルビレンオキシ基としては、例えば、1-オキシエチレン基、1-オキシトリメチレン基及び1-オキシテトラメチレン基が挙げられ、好ましくは1-オキシエチレン基である。
【0147】
及びXにおける、ヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、アルコキシ基及びアリールオキシ基が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素原子数1~12のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基及びオクチルオキシ基が挙げられる。アリールオキシ基としては、炭素原子数6~12のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェノキシ基及びベンジルオキシ基が挙げられる。
【0148】
ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0149】
共役ジエン系共重合体の活性末端と反応しうる官能基としては、例えば、エポキシ基を有する炭化水素基、及び、カルボニル基を有する炭化水素基が挙げられる。
【0150】
gは、取扱いの観点から、好ましくは3~360であり、省燃費性能の観点から好ましくは4~20である。
【0151】
式(4)で表される構造を有する化合物のうち、Aが式(4-1)で表される非環状アミノ基である化合物として、例えば、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3-(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、[3-(ジエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メチルジメトキシシラン、[3-(ジエチルアミノ)プロピル]メチルジメトキシシラン、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]エチルジメトキシシラン、[3-(ジエチルアミノ)プロピル]エチルジメトキシシラン、[(3-メチル-3-エチルアミノ)プロピル]メチルジメトキシシラン、[(3-メチル-3-エチルアミノ)プロピル]エチルジメトキシシラン、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メチルジエトキシシラン、[3-(ジエチルアミノ)プロピル]メチルジエトキシシラン、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]エチルジエトキシシラン、[3-(ジエチルアミノ)プロピル]エチルジエトキシシラン、[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]メチルジエトキシシラン、[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]エチルジエトキシシラン、[3-(ベンジルメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3-(ベンジルメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、{3-[ジ(メトキシメチル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、{3-[ジ(メトキシエチル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、{3-[ジ(メトキシメチル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、{3-[ジ(メトキシエチル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、{3-[ジ(エトキシエチル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、{3-[ジ(エトキシメチル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、{3-[ジ(エトキシエチル)アミノ]プロピル]トリエトキシシラン、{3-[ジ(エトキシメチル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、{3-[N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、{3-[N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、{3-[N,N-ビス(t-ブチルジメチルシリル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、{3-[N,N-ビス(t-ブチルジメチルシリル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、{3-[N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、{3-[N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、{3-[N,N-ビス(t-ブチルジメチルシリル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、{3-[N,N-ビス(t-ブチルジメチルシリル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]メチルジメトキシシラン、[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]エチルジメトキシシラン、[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]メチルジエトキシシラン及び[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]エチルジエトキシシランを挙げることができる。
【0152】
式(4)で表される構造を有する化合物のうち、Aが式(4-1)で表される非環状アミノ基である化合物としては、省燃費性を高める観点から、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3-(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン又は[3-(ジエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシランが好ましい。
【0153】
式(4)で表される構造を有する化合物のうち、Aが式(4-1)で表される環状アミノ基である化合物として、例えば、3-モルホリノプロピルトリメトキシシラン、3-モルホリノプロピルトリエトキシシラン、3-モルホリノプロピルメチルジメトキシシラン、3-モルホリノプロピルエチルジメトキシシラン、3-モルホリノプロピルメチルジエトキシシラン、3-モルホリノプロピルエチルジエトキシシラン、3-ピペリジノプロピルトリメトキシシラン、3-ピペリジノプロピルトリエトキシシラン、3-ピペリジノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ピペリジノプロピルエチルジメトキシシラン、3-ピペリジノプロピルメチルジエトキシシラン、3-ピペリジノプロピルエチルジエトキシシラン、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-4,5-イミダゾール、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-イミダゾール、3-ヘキサメチレンイミノプロピルトリメトキシシラン、3-ヘキサメチレンイミノプロピルトリエトキシシラン、3-ヘキサメチレンイミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ヘキサメチレンイミノプロピルエチルジメトキシシラン、3-ヘキサメチレンイミノプロピルメチルジエトキシシラン及び3-ヘキサメチレンイミノプロピルエチルジエトキシシランを挙げることができる。
【0154】
式(4)で表される構造を有する化合物のうち、Aが式(4-1)で表される環状アミノ基である化合物としては、省燃費性を高める観点から、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-4,5-イミダゾール又はN-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-イミダゾールが好ましい。
【0155】
式(4)で表される構造を有する化合物のうち、Aが式(4-2)で表される基である化合物としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及び3-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシランを挙げることができる。
【0156】
式(4)で表される構造を有する化合物のうち、Aが式(4-2)で表される基である化合物としては、省燃費性を高める観点、化合物の入手容易性、長期保存安定性を高める観点から、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0157】
式(4)で表される構造を有する化合物のうち、Aが式(4-3)で表される基である化合物としては、例えば、S-トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン、S-トリメチルシリルメルカプトプロピルトリエトキシシラン、S-トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、S-トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、S-トリエチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン、S-トリエチルシリルメルカプトプロピルトリエトキシシラン、S-トリエチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン及びS-トリエチルシリルメルカプトプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。
【0158】
式(4)で表される構造を有する化合物のうち、Aが式(4-4)で表される基である化合物としては、例えば、ジグリシドキシポリジメチルシロキサン、ジメチル(メトキシ-メチルシロキサン)ポリジメチルシロキサン、ジメチル(アセトキシ-メチルシロキサン)ポリジメチルシロキサン、ジグリシジルポリシロキサン及びジクロロポリジメチルシロキサン、R46がメチル基及び3-グリシドキシプロピル基であり、R47、R48、X及びXがメチル基であり、gが200であるポリシロキサン等が挙げられる。
【0159】
ヘテロ原子を有する変性剤は、下記式(10)で表されるポリオルガノシロキサンであってもよい。
【化15】
【0160】
式(10)中、R21~R28は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。X21及びX24は、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数1~5のアルコキシ基、及びエポキシ基を含有する炭素数4~12の基からなる群より選ばれるいずれかの基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。X22は、炭素数1~5のアルコキシ基又はエポキシ基を含有する炭素数4~12の基を表し、X22が複数存在するときは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。X23は、2~20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、X23が複数存在するときは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。hは1~200の整数、jは0~200の整数、kは0~200の整数を表し、h+j+kは1以上である。
【0161】
21~R28、X21及びX24を構成し得る炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。炭素数6~12のアリール基としては、例えば、フェニル基及びメチルフェニル基が挙げられる。これらの中でも、ポリオルガノシロキサン自体の製造の容易性の観点から、メチル基及びエチル基が好ましい。
【0162】
21、X22及びX24を構成し得る炭素数1~5のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基及びブトキシ基が挙げられる。これらの中でも、ポリオルガノシロキサン自体の製造の容易性の観点から、メトキシ基及びエトキシ基が好ましい。
【0163】
21、X22及びX24を構成し得るエポキシ基を含有する炭素数4~12の基としては、例えば、下記式(5)で表される基が挙げられる。
-Z-Z-E (5)
式(5)中、Zは炭素数1~10のアルキレン基又はアルキルアリーレン基を表し、Zはメチレン基、硫黄原子又は酸素原子を表し、Eはエポキシ基を有する炭素数2~10の炭化水素基を表す。
【0164】
式(5)で表される基としては、Zが酸素原子であるものが好ましく、Zが酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものがより好ましく、Zが炭素数1~3のアルキレン基であり、Zが酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものが特に好ましい。
【0165】
式(10)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X21及びX24としては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4~12の基又は炭素数1~6のアルキル基が好ましい。X22としては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4~12の基が好ましい。X21及びX24が炭素数1~6のアルキル基であり、X22がエポキシ基を含有する炭素数4~12の基であることがより好ましい。
【0166】
式(10)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X23、すなわち2~20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基としては、下記式(6)で表される基が好ましい。
【化16】
式(6)中、tは2~20の整数を表し、X13は炭素数2~10のアルキレン基又はアルキルアリーレン基であり、R11は水素原子又はメチル基を表し、X14は炭素数1~10のアルコキシ基又はアリールオキシ基を表す。これらの中でも、tが2~8の整数であり、X13が炭素数3のアルキレン基であり、R11が水素原子であり、かつ、X14がメトキシ基であるものが好ましい。
【0167】
式(10)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、hは1~200の整数を表し、好ましくは20~150の整数、より好ましくは30~120の整数である。hが1~200であると、式(10)で表されるポリオルガノシロキサン自体の製造がより容易になると共に、その粘度が高くなりすぎず、取り扱いもより容易となる。
【0168】
式(10)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、jは0~200の整数を表し、好ましくは0~150の整数、より好ましくは0~120の整数である。kは0~200の整数を表し、好ましくは0~150の整数、より好ましくは0~130の整数である。h、j及びkの合計数は1以上であり、1~400であることが好ましく、20~300であることがより好ましく、30~250であることが特に好ましい。h、j及びkの合計数が1以上であると、式(10)で表されるポリオルガノシロキサンと活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖との反応が進行し易く、更に、h、j及びkの合計数が400以下であると、式(10)で表されるポリオルガノシロキサン自体の製造が容易になると共に、その粘度が高くなりすぎず、取り扱いも容易となる。
【0169】
式(4)で表される構造を有する化合物は、加工性及び耐久性により一層優れる共役ジエン系共重合体を得る観点から、Aが式(4-2)、(4-3)又は(4-4)で表される基である化合物であることが好ましい。
【0170】
上記化合物以外の式(4)で表される構造を有する化合物としては、例えば、トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、トリス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、トリス[3-(トリプロポキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、トリス[3-(トリブトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート等のトリス[(アルコキシシリル)アルキル]イソシアヌレート化合物を挙げることができる。中でも、式(4)で表される化合物として、トリス[3-(トリアルコキシシリル)プロピル]イソシアヌレートが好ましく、アルコキシ基が炭素原子数1~4のアルコキシ基であるトリス[3-(トリアルコキシシリル)プロピル]イソシアヌレートがより好ましく、トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレートが更に好ましい。
【0171】
上記化合物以外の式(4)で表される構造を有する化合物としては、例えば、1,4-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,4-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ピペラジン、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-N-トリメチルシリルアミン、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-N-トリメチルシリルアミン、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]メチルアミン、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]メチルアミン、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチルアミン、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]エチルアミン、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(トリエトキシシリルメチル)アミン、2,2-ジメトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、N-[2-(トリメトキシシラニル)-エチル]-N,N’,N’-トリメチルエタン-1,2-ジアミン、2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,3-ジメチルイミダゾリジン及び2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,3-(ビストリメチルシリル)イミダゾリジンが挙げられる。
【0172】
ヘテロ原子を有する変性剤として、下記式(5)で表される構造を有する化合物を用いることもできる。活性末端を有する共役ジエン系共重合体を、式(5)で表される構造を有する化合物と反応させることで、式(5)で表される構造を有する化合物に基づく単位を末端に有する共役ジエン系共重合体を得ることができる。
【0173】
【化17】
【0174】
式(5)中、R51及びR52は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基を表すか、又は、R51の一部とR52の一部とが結合して成る、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、R54は、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基、又は水素原子を表し、あるいは、R51及びR52のいずれかの一部とR54の一部とが結合して成る、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基を形成する。また、R53は2価の基を表し、nは0又は1である。
【0175】
51、R52及びR54における置換基を有していてもよいヒドロカルビル基とは、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基である。置換ヒドロカルビル基としては、例えば、ヒドロカルビルオキシ基で置換されたヒドロカルビル基、置換アミノ基で置換されたヒドロカルビル基等を挙げることができる。
【0176】
ヒドロカルビル基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びアラルキル基を挙げることができる。アルキル基としては、炭素原子数1~12のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基を挙げることができる。アルケニル基としては、炭素原子数2~12のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基及びイソプロペニル基を挙げることができる。アルキニル基としては、炭素原子数2~12のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基及び2-プロピニル基を挙げることができる。アリール基としては、炭素原子数6~12のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ベンジル基、トリル基及びキシリル基を挙げることができる。アラルキル基としては、炭素原子数7~13のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基を挙げることができる。
【0177】
ヒドロカルビルオキシ基で置換されたヒドロカルビル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基を挙げることができる。
【0178】
置換アミノ基で置換されたヒドロカルビル基としては、例えば、N,N-ジメチルアミノメチル基、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル基、2-(N,N-ジエチルアミノ)エチル基、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル基、3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピル基等の(N,N-ジアルキルアミノ)アルキル基;4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル基、3-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル基、4-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル基、3-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル基等の(N,N-ジアルキルアミノ)アリール基;4-(N,N-ジメチルアミノ)メチルフェニル基、4-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル]フェニル基等の(N,N-ジアルキルアミノ)アルキルアリール基;3-(1-ピロリジニル)プロピル基、3-(1-ピペリジニル)プロピル基、3-(1-イミダゾリル)プロピル基等の環状アミノ基で置換されたアルキル基;4-(1-ピロリジニル)フェニル基、4-(1-ピペリジニル)フェニル基、4-(1-イミダゾリル)フェニル基等の環状アミノ基で置換されたアリール基;4-[2-(1-ピロリジニル)エチル]フェニル基、4-[2-(1-ピペリジニル)エチル]フェニル基、4-[2-(1-イミダゾリル)エチル]フェニル基等の環状アミノ基で置換されたアルキルアリール基を挙げることができる。
【0179】
51の一部とR52の一部とが結合して成る基、あるいは、R51及びR52のいずれかの一部とR54の一部とが結合して成る基において、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基とは、ヒドロカルビレン基、又は、窒素原子及び/又は酸素原子を有するヒドロカルビレン基である。
【0180】
ヒドロカルビレン基としては、例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4-トリメチルへキサン-1,6-ジイル基等のアルキレン基;1,4-フェニレン基等のアリーレン基を挙げることができる。窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基としては、例えば、-CH=N-CH=CH-で表される基、-CH=N-CH-CH-で表される基、及び-(CH-O-(CH-で表される基(t及びuは1以上の整数である。)を挙げることができる。
【0181】
53における2価の基としては、例えば、ヒドロカルビレン基、窒素原子及び/又は酸素原子を有するヒドロカルビレン基、ヒドロカルビレン基と酸素原子とが結合して成る基、又はヒドロカルビレン基と-NR55-で表される基(R55はヒドロカルビル基又は水素原子を表す。)とが結合して成る基を挙げることができる。
【0182】
ヒドロカルビレン基としては、例えば、アルキレン基、アルケンジイル基、アリーレン基、アリーレン基とアルキレン基とが結合して成る基(以下、アリーレン-アルキレン基と称することがある。)が挙げられる。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基及び2,2,4-トリメチルへキサン-1,6-ジイル基を挙げることができる。アルケンジイル基としては、例えば、ペンタン-2-エン-1,5-ジイル基を挙げることができる。アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基及びビフェニレン基を挙げることができる。アリーレン-アルキレン基として、例えば、フェニレン-アルキレン基、ナフチレン-アルキレン基及びビフェニレン-アルキレン基を挙げることができる。
【0183】
窒素原子及び/又は酸素原子を有するヒドロカルビレン基としては、例えば、-CH=N-CH=CH-で表される基、-CH=N-CH-CH-で表される基、及び-(CH-O-(CH-で表される基(t及びuは1以上の整数である。)を挙げることができる。ヒドロカルビレン基と酸素原子とが結合して成る基としては、例えば、-(CH-O-で表される基(uは1以上の整数である。)を挙げることができる。
【0184】
ヒドロカルビレン基と-NR55-で表される基(R55は、ヒドロカルビル基又は水素原子を表す。)とが結合して成る基としては、例えば、-(CH)v-NR-で表される基(Rは、炭素原子数1以上10以下のヒドロカルビル基、又は水素原子を表し、vは1以上の整数である。)等を挙げることができる。
【0185】
上記式(5)で表される化合物として、好ましくは、nが0であり、R54が置換基を有していてもよいヒドロカルビル基又は水素原子を表す化合物、すなわち、下記式(5-1)で表される化合物;nが0であり、R51の一部とR54の一部とが結合して成る、ヒドロカルビレン基、又は、ヒドロカルビレン基と-NR55-で表される基(R55はヒドロカルビル基又は水素原子を表す。)とが結合して成る基を表す化合物、すなわち、下記式(5-2)で表される化合物;nが1であり、R53がヒドロカルビレン基を表す化合物、すなわち、下記式(5-3)で表される化合物;又はnが1であり、R53がヒドロカルビレン基と酸素原子とが結合して成る基、又はヒドロカルビレン基と-NR55-で表される基(R55はヒドロカルビル基又は水素原子を表す。)とが結合して成る基を表す化合物、すなわち、下記式(5-4)で表される化合物である。
【0186】
【化18】
式(5-1)中、R51、R52及びR54は、上記式(5)におけるR51、R52及びR54と同義である。
【0187】
【化19】
式(5-2)中、R52は、上記式(5)におけるR52と同義である。R56は、ヒドロカルビレン基、又はヒドロカルビレン基と-NR55-で表される基とが結合して成る基(R55はヒドロカルビル基又は水素原子を表す。)を表す。
【0188】
【化20】
式(5-3)中、R51、R52及びR54は、上記式(5)におけるR51、R52及びR54と同義である。R53はヒドロカルビレン基を表す。
【0189】
【化21】
式(5-4)中、R51、R52及びR54は、上記式(5)におけるR51、R52及びR54と同義である。R57はヒドロカルビレン基を表し、Aは酸素原子又は-NR55-(R55はヒドロカルビル基又は水素原子を表す。)を表す。
【0190】
式(5-1)におけるR51及びR52としては、それぞれ独立して、炭素原子数1以上10以下のヒドロカルビル基を表すか、あるいは、R51の一部とR52の一部とが結合して成る、炭素原子数3以上10以下のヒドロカルビレン基、又は炭素原子数3以上10以下の窒素原子を有するヒドロカルビレン基を表すことが好ましく、それぞれ独立して、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上10以下のアリール基を表すか、あるいは、R51の一部とR52の一部とが結合して成る、炭素原子数3以上10以下のアルキレン基、-CH=N-CH=CH-で表される基、又はCH=N-CH-CH-で表される基を表すことがより好ましく、それぞれ独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが更に好ましく、それぞれ独立して、メチル基又はエチル基を表すことが一層好ましい。
【0191】
式(5-1)におけるR54としては、ヒドロカルビル基、又は水素原子を表すことが好ましく、炭素原子数1以上10以下のヒドロカルビル基、又は水素原子を表すことがより好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は水素原子を表すことが更に好ましく、水素原子、メチル基、又はエチル基を表すことが一層好ましい。
【0192】
式(5-1)で表される化合物のうち、R54がヒドロカルビル基を表す化合物としては、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-N-エチルアセトアミド等のN,N-ジヒドロカルビルアセトアミド;N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-メチル-N-エチルアクリルアミド等のN,N-ジヒドロカルビルアクリルアミド;N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-メチル-N-エチルメタクリルアミド等のN,N-ジヒドロカルビルメタクリルアミドを挙げることができる。
【0193】
式(5-1)で表される化合物のうち、R54が水素原子を表す化合物としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチル-N-エチルホルムアミドなどのN,N-ジヒドロカルビルホルムアミドを挙げることができる。
【0194】
式(5-2)において、R56におけるヒドロカルビレン基としては、例えば、アルキレン基、アルケンジイル基、アリーレン基、アリーレン基がアルキレン基に結合して成る基(以下、アリーレン-アルキレン基と称することがある。)等が挙げられる。アルキレン基としては、炭素原子数1~12のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、2,2,4-トリメチルへキサン-1,6-ジイル基等を挙げることができる。アルケンジイル基としては、炭素原子数4~12のアルケンジイル基が好ましく、例えば、ペンタン-2-エン-1,5-ジイル基等を挙げることができ、アリーレン基としては、炭素原子数6~12のアリーレン基が好ましく、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等を挙げることができる。アリーレン-アルキレン基として、例えば、フェニレン-アルキレン基、ナフチレン-アルキレン基、ビフェニレン-アルキレン基等を挙げることができる。R56におけるヒドロカルビレン基と-NR55-で表される基(R55はヒドロカルビル基又は水素原子を表す。)とが結合して成る基としては、例えば、-(CH-NR-で表される基(Rは、炭素原子数1以上10以下のヒドロカルビル基、又は水素原子を表し、vは1以上の整数である。)等を挙げることができる。
【0195】
式(5-2)におけるR52としては、炭素原子数1以上10以下のヒドロカルビル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上10以下のアリール基を表すことがより好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基を表すことが更に好ましく、メチル基、エチル基又はフェニル基を表すことが一層好ましい。
【0196】
式(5-2)におけるR56としては、炭素原子数1以上10以下のヒドロカルビレン基、又は、炭素原子数1以上10以下のヒドロカルビレン基と-NR88-で表される基(R88は、炭素原子数1以上10以下のヒドロカルビル基又は水素原子を表す。)とが結合して成る基を表すことが好ましく、炭素原子数3以上6以下のアルキレン基、又は-(CH-NR-で表される基(Rは、炭素原子数1以上10以下のヒドロカルビル基を表し、wは2以上5以下の整数である。)を表すことがより好ましく、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、又は-(CH-N(CH)-で表される基を表すことが更に好ましい。
【0197】
式(5-2)で表される化合物のうち、R56がヒドロカルビレン基を表す化合物としては、例えば、N-メチル-β-プロピオラクタム、N-フェニル-β-プロピオラクタム等のN-ヒドロカルビル-β-プロピオラクタム;N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-フェニル-2-ピロリドン、N-tert-ブチル-2-ピロリドン、N-メチル-5-メチル-2-ピロリドン等のN-ヒドロカルビル-2-ピロリドン;N-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-ピペリドン、N-フェニル-2-ピペリドン等のN-ヒドロカルビル-2-ピペリドン;N-メチル-ε-カプロラクタム、N-フェニル-ε-カプロラクタム等のN-ヒドロカルビル-ε-カプロラクタム;N-メチル-ω-ラウリロラクタム、N-ビニル-ω-ラウリロラクタム等のN-ヒドロカルビル-ω-ラウリロラクタムを挙げることができる。これらの中では、好ましくはN-メチル-2-ピロリドン、N-フェニル-2-ピロリドン、N-メチル-ε-カプロラクタム、N-フェニル-ε-カプロラクタムであり、更に好ましくはN-フェニル-2-ピロリドン、N-メチル-ε-カプロラクタムである。
【0198】
式(5-2)で表される化合物のうち、R56がヒドロカルビレン基と-NR55-で表される基(R55はヒドロカルビル基又は水素原子)とが結合して成る基を表す化合物としては、例えば、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジビニル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリジノン等の1,3-ジヒドロカルビル-2-イミダゾリジノンを挙げることができる。これらの中では、好ましくは1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノンであり、更に好ましくは1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンである。
【0199】
式(5-3)におけるR53としては、炭素原子数1以上10以下のヒドロカルビレン基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基、又は炭素原子数6以上10以下のアリーレン基を表すことがより好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基又はフェニレン基を表すことが更に好ましく、エチレン基、トリメチレン基又は1,4-フェニレン基を表すことが一層好ましい。
【0200】
式(5-3)におけるR54としては、炭素原子数1以上10以下のヒドロカルビル基、又はジアルキルアミノ基で置換された炭素原子数3以上10以下のヒドロカルビル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数6以上10以下のアリール基、炭素原子数3以上6以下のジアルキルアミノアルキル基、又は炭素原子数8以上10以下のジアルキルアミノアリール基を表すことがより好ましく、メチル基、エチル基、炭素原子数3以上6以下のジアルキルアミノメチル基、炭素原子数4以上6以下のジアルキルアミノエチル基、フェニル基、又は炭素原子数8以上10以下のジアルキルアミノフェニル基を表すことが更に好ましい。
【0201】
式(5-3)におけるR51及びR52としては、それぞれ独立して、炭素原子数1以上10以下のヒドロカルビル基を表すか、あるいは、R51の一部とR52の一部とが結合して成る、炭素原子数3以上10以下のヒドロカルビレン基、又は炭素原子数3以上10以下の窒素原子を有するヒドロカルビレン基を表すことが好ましく、それぞれ独立して、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上10以下のアリール基を表すか、あるいは、R51がR52に結合し、R51がR52に結合して成る基が、炭素原子数3以上10以下のアルキレン基、-CH=N-CH=CH-で表される基、-CH=N-CH-CH-で表される基、又は-(CH-O-(CH-で表される基を表すことがより好ましく、それぞれ独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すか、あるいは、R51の一部とR52の一部とが結合して成る、炭素原子数3以上6以下のアルキレン基、-CH=N-CH=CH-で表される基、又は-CH=N-CH-CH-で表される基を表すことが更に好ましく、それぞれ独立して、メチル基又はエチル基を表すか、R51の一部とR52の一部とが結合して成る、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基又は-CH=N-CH=CH-で表される基を表すことが一層好ましい。
【0202】
式(5-3)で表される化合物のうち、R53がアリーレン基を表し、R54がアルキル基を表す化合物としては、例えば、4-(N,N-ジメチルアミノ)アセトフェノン、4-(N-メチル-N-エチルアミノ)アセトフェノン、4-(N,N-ジエチルアミノ)アセトフェノン等の4-(N,N-ジヒドロカルビルアミノ)アセトフェノン;4’-(イミダゾール-1-イル)アセトフェノン等の4-環状アミノアセトフェノン化合物を挙げることができる。これらの中では、4-環状アミノアセトフェノン化合物が好ましく、4’-(イミダゾール-1-イル)アセトフェノンがより好ましい。
【0203】
式(5-3)で表される化合物のうち、R53がヒドロカルビレン基を表し、R54がヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基を表す化合物としては、例えば、1,7-ビス(メチルエチルアミノ)-4-ヘプタノン、1,3-ビス(ジフェニルアミノ)-2-プロパノン等のビス(ジヒドロカルビルアミノアルキル)ケトンが挙げられる。R53がアリーレン基を表し、R54がアリール基又は置換アリール基を表す化合物としては、例えば、4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジエチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジ-t-ブチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジフェニルアミノベンゾフェノン等の4-(ジヒドロカルビルアミノ)ベンゾフェノン;4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン等の4,4’-ビス(ジヒドロカルビルアミノ)ベンゾフェノンを挙げることができる。これらの中では、1,7-ビス(メチルエチルアミノ)-4-ヘプタノン、4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましく、4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンがより好ましい。
【0204】
式(5-4)において、Aにおける酸素原子又はNR55-(R55はヒドロカルビル基又は水素原子を表す。)としては、酸素原子、又は-NR-(Rは、炭素原子数1以上5以下のヒドロカルビレン基又は水素原子を表す。)で表される基を表すことが好ましく、酸素原子、又は-NH-で表される基を表すことがより好ましく、-NH-で表される基を表すことが更に好ましい。
【0205】
式(5-4)において、R57におけるヒドロカルビレン基としては、例えば、アルキレン基、アルケンジイル基、アリーレン基及びアリーレン基とアルキレン基とが結合して成る基(以下、アリーレン-アルキレン基と称することがある。)が挙げられる。アルキレン基としては、炭素原子数1~12のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基及び2,2,4-トリメチルへキサン-1,6-ジイル基を挙げることができる。アルケンジイル基としては、炭素原子数4~12のアルケンジイル基が好ましく、例えば、ペンタン-2-エン-1,5-ジイル基を挙げることができる。アリーレン基としては、炭素原子数6~12のアリーレン基が好ましく、例えば、フェニレン基、ナフチレン基及びビフェニレン基を挙げることができる。アリーレン-アルキレン基として、例えば、フェニレン-アルキレン基、ナフチレン-アルキレン基及びビフェニレン-アルキレン基を挙げることができる。
【0206】
式(5-4)におけるR54としては、炭素原子数1以上10以下のヒドロカルビル基を表すことが好ましく、炭素原子数2以上5以下のアルケニル基を表すことがより好ましく、ビニル基、又はイソプロペニル基を表すことが更に好ましく、ビニル基を表すことが一層好ましい。
【0207】
式(5-4)におけるR57としては、炭素原子数1以上10以下のヒドロカルビレン基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基を表すことがより好ましく、エチレン基又はトリメチレン基を表すことが更に好ましく、トリメチレン基を表すことが一層好ましい。
【0208】
式(5-4)におけるR51及びR52としては、それぞれ独立して、炭素原子数1以上10以下のヒドロカルビル基を表すか、あるいは、R51の一部とR52の一部とが結合して成る、炭素原子数3以上10以下のヒドロカルビレン基、又は炭素原子数3以上10以下の窒素原子を有するヒドロカルビレン基を表すことが好ましく、それぞれ独立して、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上10以下のアリール基を表すか、あるいは、R51の一部とR52の一部とが結合して成る、炭素原子数3以上10以下のアルキレン基、-CH=N-CH=CH-で表される基、-CH=N-CH-CH-で表される基、又は-(CH-O-(CH-で表される基を表すことがより好ましく、それぞれ独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すか、あるいは、R51の一部とR52の一部とが結合して成る、炭素原子数3以上6以下のアルキレン基、-CH=N-CH=CH-で表される基、又は-CH=N-CH-CH-で表される基を表すことが更に好ましく、それぞれ独立して、メチル基、又はエチル基を表すか、R51の一部とR52の一部とが結合して成る、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、又は-CH=N-CH=CH-で表される基を表すことが一層好ましい。
【0209】
式(5-4)で表される化合物のうち、Aが酸素原子を表す化合物としては、例えば、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルアクリレート等の2-(ジヒドロカルビルアミノ)エチルアクリレート;3-(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート等の3-(ジヒドロカルビルアミノ)プロピルアクリレート;2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート等の2-(ジヒドロカルビルアミノ)エチルメタクリレート;3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート等の3-(ジヒドロカルビルアミノ)プロピルメタクリレートを挙げることができる。これらの中では、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレートが好ましく、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルアクリレートがより好ましい。
【0210】
式(5-4)で表される化合物のうち、Aが-NR55-(R55はヒドロカルビレン基又は水素原子を表す。)で表される基を表す化合物としては、例えば、N-(2-ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N-(2-ジエチルアミノエチル)アクリルアミド等のN-(2-ジヒドロカルビルアミノエチル)アクリルアミド;N-(3-ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N-(3-ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド等のN-(3-ジヒドロカルビルアミノプロピル)アクリルアミド;N-(4-ジメチルアミノブチル)アクリルアミド、N-(4-ジエチルアミノブチル)アクリルアミド等のN-(4-ジヒドロカルビルアミノブチル)アクリルアミド;N-(2-ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N-(2-ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド等のN-(2-ジヒドロカルビルアミノエチル)メタクリルアミド;N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N-(3-ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド等のN-(3-ジヒドロカルビルアミノプロピル)メタクリルアミド;N-(4-ジメチルアミノブチル)メタクリルアミド、N-(4-ジエチルアミノブチル)メタクリルアミド等のN-(4-ジヒドロカルビルアミノブチル)メタクリルアミドを挙げることができる。これらの中では、N-(2-ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N-(4-ジメチルアミノブチル)アクリルアミドが好ましく、N-(2-ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)アクリルアミドがより好ましい。
【0211】
ヘテロ原子を有する変性剤は、ヒドロカルビルオキシシラン化合物であってもよい。ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、特に限定されないが、下記式(7)で表される化合物を好適に用いることができる。
【0212】
【化22】
式(7)中、R12はヒドロカルビル基を表し、R13はヒドロカルビルオキシ基を表し、R14は、窒素原子を有する基を表し、pは0~2の整数を表し、qは1~3の整数を表し、rは1~3の整数を表し、p+q+r=4である。
【0213】
式(7)中のR12におけるヒドロカルビル基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基が挙げられる。ヒドロカルビル基は、炭素数1~6のアルキル基であってもよい。炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基がより好ましい。
【0214】
式(7)中のR13におけるヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基等のアルケニルオキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基等のアリーロキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点より、アルコキシ基及びアリーロキシ基が好ましく、アルコキシ基がより好ましく、メトキシ基及びエトキシ基が更に好ましい。
【0215】
式(7)中のR14における窒素原子を有する基は、特に限定されないが、窒素原子を有する有機基であることが好ましい。窒素原子を有する有機基としては、例えば、3-アミノプロピル基、4-アミノブチル基、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル基、2-ジメチルアミノエチル基、3-ジメチルアミノプロピル基、3-ジエチルアミノプロピル基、3-ジプロピルアミノプロピル基、3-ジブチルアミノプロピル基、3-フェニルメチルアミノプロピル基、3-(4-メチルピペラジニル)プロピル基、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル基、N,N-ビス(トリエチルシリル)アミノプロピル基、及びN,N’,N’-トリス(トリメチルシリル)-N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基が挙げられる。これらの中でも、得られるゴム架橋物の低発熱性及びウェットグリップ性をより向上させることができる点から、3-アミノプロピル基、4-アミノブチル基、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル基等の、活性水素原子を有する1級アミノ基及び/又は活性水素原子を有する2級アミノ基を有する基であることが好ましい。なお、「活性水素原子」とは、炭素原子以外の原子に結合した水素原子をいい、ポリメチレン鎖の炭素-水素結合よりも結合エネルギーが低いものであることが好ましい。
【0216】
式(7)で表される化合物において、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖や、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖とシロキサン化合物との反応により生成した反応残基との反応性の観点より、好ましくは、pが0又は1、qが2又は3、rが1又2であり、より好ましくは、pが0、qが3、rが1である。pが2である場合、式(7)で表される化合物1分子中に2個含まれるR12で表される基は、同一でもよく異なってもよい。qが2又は3である場合、式(7)で表される化合物1分子中に複数含まれるR13で表される基は、同一でもよく異なってもよい。rが2又は3である場合、式(7)で表される化合物1分子中に複数含まれるR14で表される基は、同一でもよく異なってもよい。
【0217】
式(7)中のR14が、活性水素原子を有する1級アミノ基及び/又は活性水素原子を有する2級アミノ基を有する基である化合物としては、例えば、3-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン等のR14として、3-アミノプロピル基を有する化合物;4-アミノブチルジメチルメトキシシラン、4-アミノブチルメチルジメトキシシラン、4-アミノブチルトリメトキシシラン、4-アミノブチルジメチルエトキシシラン、4-アミノブチルメチルジエトキシシラン、4-アミノブチルトリエトキシシラン等のR14として、4-アミノブチル基を有する化合物;3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメチルメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメチルエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン等のR14として、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル基を有する化合物が挙げられる。
【0218】
式(7)中のR14が、活性水素原子を有する1級アミノ基及び/又は活性水素原子を有する2級アミノ基を含有する基以外の基である化合物としては、例えば、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルジメチルメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルジメチルエトキシシラン等のR14として、3-ジメチルアミノプロピル基を有する化合物;3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルジメチルメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルジメチルエトキシシラン等のR14として、3-ジエチルアミノプロピル基を有する化合物;3-ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ジプロピルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ジプロピルアミノプロピルジメチルメトキシシラン、3-ジプロピルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-ジプロピルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-ジプロピルアミノプロピルジメチルエトキシシラン等のR14として、3-ジプロピルアミノプロピル基を有する化合物;3-ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ジブチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ジブチルアミノプロピルジメチルメトキシシラン、3-ジブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-ジブチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-ジブチルアミノプロピルジメチルエトキシシラン等のR14として、3-ジブチルアミノプロピル基を有する化合物;3-フェニルメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-フェニルメチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-フェニルメチルアミノプロピルジメチルメトキシシラン、3-フェニルメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-フェニルメチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-フェニルメチルアミノプロピルジメチルエトキシシラン等のR14として、3-フェニルメチルアミノプロピル基を有する化合物;3-(4-メチルピペラジニル)プロピルトリメトキシシラン、3-(4-メチルピペラジニル)プロピルメチルジメトキシシラン、3-(4-メチルピペラジニル)プロピルジメチルメトキシシラン、3-(4-メチルピペラジニル)プロピルトリエトキシシラン、3-(4-メチルピペラジニル)プロピルメチルジエトキシシラン、3-(4-メチルピペラジニル)プロピルジメチルエトキシシラン等のR14として、3-(4-メチルピペラジニル)プロピル基を有する化合物;N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のR14として、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル基を有する化合物;N,N-ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のR14として、N,N-ビス(トリエチルシリル)アミノプロピル基を有する化合物;N,N’,N’-トリス(トリメチルシリル)-N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’,N’-トリス(トリメチルシリル)-N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’,N’-トリス(トリメチルシリル)-N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N’,N’-トリス(トリメチルシリル)-N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のR14として、N,N’,N’-トリス(トリメチルシリル)-N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基を有する化合物が挙げられる。
【0219】
共役ジエン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、引張破断強度及び耐摩耗性を高めるために、好ましくは30,000以上であり、より好ましくは80,000~3,000,000であり、更に好ましくは100,000~1,500,000である。
【0220】
共役ジエン系共重合体のムーニー粘度(ML1+4)は、引張破断強度及び耐摩耗性を高めるために、好ましくは10以上であり、より好ましくは20以上であり、更に好ましくは30以上である。また、共役ジエン系共重合体のムーニー粘度は、加工性を高めるために、好ましくは100以下であり、より好ましくは90以下であり、更に好ましくは80以下である。ムーニー粘度(ML1+4)は、JIS K6300-1(2013)に従って、100℃にて測定される。
【0221】
共役ジエン系共重合体のビニル結合量は、共役ジエン化合物に由来する単量体単位の含有量を100mol%として、省燃費性能を高めるために、好ましくは80mol%以下であり、より好ましくは70mol%以下であり、更に好ましくは60mol%以下である。また、共役ジエン系共重合体のビニル結合量は、ウェットグリップ性能を高めるために、共役ジエン化合物に由来する単量体単位の含有量を100mol%として、好ましくは30mol%以上であり、より好ましくは40mol%以上であり、更に好ましくは50mol%以上である。該ビニル結合量は、赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm-1付近の吸収強度より求められる。
【0222】
本実施形態の共役ジエン系共重合体は、炭化水素溶媒中、重合開始剤の存在下、共役ジエン化合物を含む単量体を重合させ、活性末端を有する共役ジエン系共重合体を得る第1の工程と、活性末端を有する共役ジエン系共重合体と、熱で可逆的に解離-付加する共有結合を有する化合物とを反応させて、動的共有結合を有する共役ジエン系共重合体を得る第2の工程と、を備える。
【0223】
重合開始剤としては、アルカリ金属、有機アルカリ金属化合物、アルカリ金属と極性化合物との錯体、アルカリ金属を有するオリゴマー等を用いることができる。
【0224】
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムが挙げられる。有機アルカリ金属化合物としては、例えば、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、iso-プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-オクチルリチウム、n-デシルリチウム、フェニルリチウム、2-ナフチルリチウム、2-ブチルフェニルリチウム、4-フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4-シクロペンチルリチウム、ジメチルアミノプロピルリチウム、ジエチルアミノプロピルリチウム、t-ブチルジメチルシリルオキシプロピルリチウム、N-モルホリノプロピルリチウム、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、1,4-ジリチオ-2-ブテン、ナトリウムナフタレニド、ナトリウムビフェニリド及びカリウムナフタレニドが挙げられる。アルカリ金属と極性化合物との錯体としては、例えば、カリウム-テトラヒドロフラン錯体及びカリウム-ジエトキシエタン錯体が挙げられる。アルカリ金属を有するオリゴマーとしては、例えば、3-(ジメチルアミノ)プロピルリチウム又は3-(ジエチルアミノ)プロピルリチウムに、イソプレンを反応させて得られる化合物、α-メチルスチレンテトラマーのナトリウム塩が挙げられる。これらの中でも、重合開始剤として、有機リチウム化合物及び有機ナトリウム化合物が好ましく、炭素原子数が2~20の有機リチウム化合物及び有機ナトリウム化合物がより好ましい。重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0225】
重合開始剤として活性末端を有する共役ジエン系重合体を用いてもよい。活性末端を有する共役ジエン系重合体は重合開始剤と共役ジエン化合物を含む単量体を反応させて得ることができる。重合開始剤としては上述した化合物と同様のものを用いることができる。活性末端を有する共役ジエン系重合体に用いる単量体はとくに制限されないが、上述した共役ジエン化合物、芳香族ビニル化合物、又は共役ジエン化合物と共重合可能な化合物を用いることができる。活性末端を有する共役ジエン系重合体は単量体単位としてイソプレンのみ、またはイソプレンと芳香族ビニル化合物を含んでいることが好ましい。
【0226】
重合開始剤の使用量は、芳香族ビニル化合物及び共役ジエン化合物の総量100gあたり、好ましくは0.01mmol~15mmolである。
【0227】
炭化水素溶媒は、重合開始剤を失活させない溶媒であり、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素等を用いることができる。脂肪族炭化水素としては、例えば、プロパン、n-ブタン、iso-ブタン、n-ペンタン、iso-ペンタン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、n-ヘキサン、プロペン、1-ブテン、iso-ブテン、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテン、1-ヘキセン及び2-ヘキセンが挙げられる。芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼンが挙げられる。脂環族炭化水素としては、例えば、シクロペンタン、メチルシクロペンタン及びシクロヘキサンが挙げられる。これらの中でも、炭素原子数が2~12の炭化水素が好ましい。炭化水素溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよく、工業用ヘキサンのような脂肪族炭化水素及び脂環族炭化水素の混合物を用いてもよい。
【0228】
第1の工程では、共役ジエン化合物を含む単量体を重合させ、上述の重合開始剤由来の活性末端を有するジエン系共重合体を得ることができる。機械強度を向上する観点から、上記単量体は、芳香族ビニル化合物を更に含んでもよい。
【0229】
第1の工程における重合は、共役ジエン単位のビニル結合量を調整する剤、共役ジエン系共重合体鎖中での共役ジエン単位と共役ジエン以外の単量体単位の分布を調整する剤(以下、総称して「調整剤」と記す。)の存在下で行ってもよい。調整剤としては、エーテル化合物、第三級アミン、ホスフィン化合物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属フェノキシド等を用いることができる。
【0230】
エーテル化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン等の環状のエーテル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等の脂肪族モノエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等の脂肪族ジエーテル;ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等の脂肪族トリエーテル;ジフェニルエーテル、アニソール、1,2-ジメトキシベンゼン、3,4-ジメトキシトルエン等の芳香族エーテルが挙げられる。第三級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、1,1,2,2-テトラメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルアニリン、ピリジン及びキノリンが挙げられる。ホスフィン化合物として、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン及びトリフェニルホスフィンが挙げられる。アルカリ金属アルコキシドとしては、例えば、ナトリウム-tert-ブトキシド、カリウム-tert-ブトキシド、ナトリウム-tert-ペントキシド及びカリウム-tert-ペントキシドが挙げられる。アルカリ金属フェノキシドとしては、例えば、ナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキシドが挙げられる。調整剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0231】
第1の工程の重合温度は、通常25~100℃であり、好ましくは35~90℃であり、より好ましくは50~80℃である。重合時間は、通常10分~5時間である。
【0232】
第2の工程では、カップリング剤として動的共有結合を有する化合物を用いて、第1の工程で得られた共役ジエン系共重合体に動的共有結合が導入される。動的共有結合を有する化合物として、式(2)で表される化合物を用いることができる。
【0233】
第2の工程において、第2の工程で得られた共重合体と式(2)で表される化合物とを反応させる温度は、通常25~100℃であり、好ましくは35~90℃であり、より好ましくは50~80℃である。反応時間は、通常、1分~1時間であり、好ましくは5分~1時間であり、より好ましくは10分~30分である。
【0234】
本実施形態に係る製造方法は、活性末端を有する共役ジエン系共重合体と、上述のヘテロ原子を含有する変性剤とを反応させて、共役ジエン系共重合体に変性剤に基づく単位を導入する第3の工程を更に備えてもよい。
【0235】
第3の工程は、第1の工程中、第2の工程の前、又は、第2の工程の後に行ってもよい。例えば、第1の工程において、活性末端を有する共役ジエン系共重合体を得る際に、ヘテロ原子を含有する変性剤を添加し、共重合させてもよい。
【0236】
共役ジエン系共重合体は、公知の回収方法、例えば、共役ジエン系共重合体の炭化水素溶液に凝固剤を添加する方法、共役ジエン系共重合体の炭化水素溶液にスチームを添加する方法によって、共役ジエン系共重合体の炭化水素溶液から回収することができる。回収した共役ジエン系共重合体は、バンドドライヤー、押出型ドライヤー等の公知の乾燥機で乾燥してもよい。
【0237】
[重合体組成物]
本実施形態の共役ジエン系共重合体に、補強材、他の重合体成分、添加剤等を配合して、重合体組成物を調製してもよい。本実施形態の共役ジエン系共重合体は、混練加工性と機械強度とのバランスに優れている。
【0238】
補強材としては、例えば、シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム及びカーボンブラックが挙げられる。補強材は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0239】
シリカとしては、例えば、乾式シリカ(無水ケイ酸)、湿式シリカ(含水ケイ酸)、コロイダルシリカ及び沈降シリカが挙げられる。シリカのBET比表面積は、好ましくは、50m/g~250m/gである。該BET比表面積は、ASTM D1993-03に従って測定される。シリカの市販品としては、エボニック社製の商品名「ウルトラシルVN3-G」、東ソー・シリカ社製の商品名「VN3」、「AQ」、「ER」、「RS-150」、ソルベイ社製の商品名「Zeosil 1115MP」、「Zeosil 1165MP」等を用いることができる。シリカは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0240】
カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック及びグラファイトが挙げられる。チャンネルブラックとしては、例えば、EPC、MPC及びCCが挙げられる。ファーネスカーボンブラックとしては、例えば、SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCF及びECFが挙げられる。サーマルブラックとしては、例えば、FT及びMTが挙げられる。カーボンブラックは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0241】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは5m/g~200m/gである。カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、好ましくは5mL/100g~300mL/100gである。窒素吸着比表面積は、ASTM D4820-93に従って測定することができ、DBP吸収量は、ASTM D2414-93に従って測定することができる。カーボンブラックの市販品としては、三菱化学社製の商品名「ダイヤブラックN339」、東海カーボン社製の商品名「シースト6」、「シースト7HM」、「シーストKH」、オリオンエンジニアドカーボンズ社製の商品名「CK 3」、「Special Black 4A」等を用いることができる。
【0242】
重合体組成物における補強材の含有量は、共役ジエン系共重合体100質量部に対して、ウェットグリップ性能を向上する観点から、10質量部以上であり、好ましくは20質量部以上であり、より好ましくは30質量部以上である。また、補強材の含有量は、補強性を高めるために、150質量部以下であり、好ましくは120質量部以下であり、より好ましくは100質量部以下である。
【0243】
他の重合体成分としては、例えば、ポリブタジエンゴム、ブタジエン-イソプレン共重合体ゴム、ブチルゴム、天然ゴム、エチレン-プロピレン共重合体及びエチレン-オクテン共重合体が挙げられる。これらの重合体成分は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0244】
添加剤としては、公知のものを用いることができ、硫黄等の加硫剤;チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤等の加硫促進剤;ステアリン酸、酸化亜鉛等の加硫活性化剤;有機過酸化物;シランカップリング剤;伸展油;加工助剤;老化防止剤;滑剤を例示することができる。
【0245】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、γ-トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド及びγ-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが挙げられる。シランカップリング剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。市販品としては、エボニック社製の商品名「Si69」、「Si75」、「Si266」等、Momentive Performance Materials社製の商品名 「NXT Silane」、「NXT-Z30」、「NXT-Z45」、「NXT-Z60」、「NXT-Z100」等を用いることができる。
【0246】
シランカップリング剤の配合量は、補強材100質量部に対して、好ましくは1~20質量部であり、より好ましくは2~15質量部であり、更に好ましくは5~10質量部である。
【0247】
伸展油としては、例えば、アロマチック系鉱物油(粘度比重恒数(V.G.C.値)0.900~1.049)、ナフテン系鉱物油(V.G.C.値0.850~0.899)及びパラフィン系鉱物油(V.G.C.値0.790~0.849)が挙げられる。伸展油の多環芳香族含有量は、好ましくは3質量%未満であり、より好ましくは1質量%未満である。多環芳香族含有量は、英国石油学会346/92法に従って測定される。伸展油の芳香族化合物含有量(CA)は、好ましくは20質量%以上である。伸展油は、単独で又は2種以上組み合わされて用いてもよい。
【0248】
加硫促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤が挙げられる。加硫促進剤は、単独で又は2種以上組み合わされて用いてもよい。
【0249】
加硫促進剤の配合量は、重合体成分100質量部に対して、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.2~3質量部である。
【0250】
本実施形態に係る重合体組成物を製造する方法としては、公知の方法、例えば、各成分をロール、バンバリーミキサー等の公知の混合機で混練する方法を用いてもよい。
【0251】
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を配合する場合、混練温度は、通常50~200℃であり、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分であり、好ましくは1分~30分である。加硫剤、加硫促進剤を配合する場合、混練温度は、通常100℃以下であり、好ましくは室温~80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を配合した組成物は、通常、プレス加硫等の加硫処理を行って用いられる。加硫温度としては、通常120~200℃、好ましくは140~180℃である。
【0252】
本実施形態に係る重合体組成物は、優れた機械強度を有し、自動車タイヤに好適に用いられる。
【実施例
【0253】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0254】
物性評価は、次の方法で行った。
【0255】
1.ムーニー粘度(ML1+4
JIS K6300-1(2013)に従って、100℃にて共役ジエン系共重合体の初期のムーニー粘度を測定した。
【0256】
2.ビニル結合量(単位:mol%)
赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm-1付近の吸収強度より重合体における共役ジエンのビニル結合量を求めた。
【0257】
3.スチレンに由来する単量体単位の含有量(単位:質量%)
JIS K6383(2001)に従って、屈折率から共役ジエン系共重合体のスチレンに由来する単量体単位の含有量を求めた。
【0258】
4.重量平均分子量(Mw)
下記の条件(1)~(8)でのGPC測定により得られる分子量分布曲線から、共役ジエン系共重合体のMwを求めた。
(1)装置:東ソー社製 HLC-8321GPC/HT
(2)分離カラム:東ソー社製 TSKgel GMHHR-H(S)HT 7.8mm I.D.×300mm 3本
(3)測定温度:40℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン(BHT0.1wt/V含有)
(5)流量:1mL/分
(6)注入量:300μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準:東ソー製 標準ポリスチレン
【0259】
5.面積変化率
上記測定温度を60℃に変更してGPC測定を行い、分子量分布曲線(GPCチャート)を得た。分子量分布曲線の面積の全体を100として、最も低分子量側のピーク面積割合を算出し、以下の式に従って面積変化率を計算した。
面積変化率(%)=[(60℃における最も低分子量側のピーク面積割合)-(40℃における最も低分子量側のピーク面積割合)]÷(40℃における最も低分子量側のピーク面積割合)×100
【0260】
6.コンパウンドムーニー粘度(ML1+4
JIS K6300-1(2013)に従って、100℃にて重合体組成物のムーニー粘度を測定した。コンパウンドムーニー粘度が小さいほど、加工性に優れる。
【0261】
7.引張破断強度(単位:MPa)
加硫シートから3号形ダンベル試験片を打ち抜き、試験に供した。JIS K6251に従い、3号形ダンベル試験片を用い、引張速度を500mm/分として、該試験片が破断する時の応力(引張破断強度)を23℃で測定した。表1に示す引張破断強度は、比較例1の値を100とする相対値であり、表2に示す引張破断強度は、比較例3の値を100とする相対値である。数値が大きいほど強度が高くなる。
【0262】
8.耐摩耗性(単位:mg/1000回転)
リング状の加硫シートを試験片とし、アクロン摩耗試験機(上島製作所)によって、荷重10ポンド、試験片の回転数300rpmの条件下、500回転から1500回転での摩耗量と、1500回転から2500回転での摩耗量と、2500回転から3500回転での摩耗量を測定し、摩耗量の平均値を算出した。表1に示す耐摩耗性は、比較例1の値を100とする相対値であり、表2に示す耐摩耗性は、比較例3の値を100とする相対値である。数値が大きいほど耐摩耗性に優れる。
【0263】
9.グリップ性
加硫シートから幅1mm又は2mm、長さ40mmの短冊上試験片を打ち抜き、試験に供した。測定は、粘弾性測定装置(上島製作所社製)によって、歪み2.5%及び周波数10Hzの条件下で、温度0℃での試験片の損失正接(tanδ(0℃))を測定した。表1に示すグリップ性は、比較例1の値を100とする相対値であり、表2に示すグリップ性は、比較例3の値を100とする相対値である。数値が大きいほどグリップ性に優れる。
【0264】
10.省燃費性
加硫シートから幅1mm又は2mm、長さ40mmの短冊状試験片を打ち抜き、試験に供した。測定は、粘弾性測定装置(上島製作所社製)によって、歪み1%及び周波数10Hzの条件下で、温度70℃での試験片の損失正接(tanδ(70℃))を測定した。表1に示す省燃費性は、比較例1の値を100とする相対値であり、表2に示す省燃費性は、比較例3の値を100とする相対値である。数値が小さいほど、省燃費性に優れる。
【0265】
<共役ジエン系共重合体の作製>
[実施例1]
内容積20Lの撹拌装置付きステンレス製重合反応器を洗浄及び乾燥し、重合反応器の内部の雰囲気を乾燥窒素に置換した。次に、工業用ヘキサン(住友化学社製、商品名「ヘキサン(一般品)」、密度0.68g/mL)10.2kg、1,3-ブタジエン420g、スチレン140g、テトラヒドロフラン4.25mL及びエチレングリコールジエチルエーテル2.97mLを重合反応容器内に投入した。次に、スカベンジャーとして少量のn-BuLiのヘキサン溶液を重合反応器内に投入した後、n-BuLiを9.62mmol含有するn-ヘキサン溶液を投入し、重合を開始した。
【0266】
1,3-ブタジエンとスチレンとの共重合を2.0時間行った。重合中、撹拌速度を130rpm、重合反応器内の温度を65℃とし、1,3-ブタジエン630gとスチレン210gとを重合反応容器内に連続的に供給した。次いで、温度を65℃に保ちながら、得られた重合溶液を重合反応器内で130rpmの撹拌速度で撹拌し、カップリング剤としてビス(4-グリシジロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピぺリジン-1-イル)ジスルフィド(以下、「BiTEMPS-Gli」と略記する。)4.51mmolを重合溶液に添加し、15分間撹拌した。次いで、メタノール0.5mLを含むヘキサン溶液5mLを重合反応器内に投入し、重合溶液を5分間撹拌した。
【0267】
上記重合溶液に、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート(住友化学社製、商品名:スミライザーGM)8.0g、及び、ペンタエリスリチルテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)(住友化学社製、商品名:スミライザーTP-D)4.0gを加え、混合物を得た。混合物中の揮発分の大部分を、常温、24時間で蒸発させ、更に55℃で12時間減圧乾燥し、共役ジエン系共重合体を得た。
【0268】
<重合体組成物の調製>
共役ジエン系共重合体を100質量部、シリカ(エボニック社製、商品名:Ultrasil VN3-GR)を80.0質量部、シランカップリング剤(エボニック社製、商品名:Si69)を6.4質量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)を5.0質量部、伸展油(JXTGエネルギー社製、商品名:JOMOプロセスNC-140)を40.0質量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン6C)を2.0質量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)を1.5質量部、ワックス(Schill+Seilacher社製、商品名:ストラクトールEF44)を2.0質量部、ステアリン酸(新日本理化社製、商品名:ステアリン酸50S)を2.0質量部、亜鉛華(正同化学工業社製、商品名:酸化亜鉛 二種)を2.0質量部、ラボプラストミルにて混練して、重合体組成物を調製した。
【0269】
<加硫シートの作製>
重合体組成物に、加硫促進剤(川口化学工業社製、商品名:ACCEL CZ-R)2.0質量部、加硫促進剤(川口化学工業社製、商品名:ACCEL D-R)1.5質量部、硫黄(鶴見化学工業社製、商品名:微粉硫黄 200mesh)1.5質量部を添加し、6インチロールでシートに成形し、該シートを160℃で55分加熱して加硫させ、加硫シートを作製した。
【0270】
[実施例2]
内容積20Lの撹拌装置付きステンレス製重合反応器を洗浄及び乾燥し、重合反応器の内部の雰囲気を乾燥窒素に置換した。次に、工業用ヘキサン10.2kg、1,3-ブタジエン540g、スチレン180g、テトラヒドロフラン6.08mL及びエチレングリコールジエチルエーテル4.24mLを重合反応容器内に投入した。次に、スカベンジャーとして少量のn-BuLiのヘキサン溶液を重合反応器内に投入した後、n-BuLiを13.33mmol含有するn-ヘキサン溶液を投入し、重合を開始した。
【0271】
1,3-ブタジエンとスチレンとの共重合を2.5時間行った。重合中、撹拌速度を130rpm、重合反応器内の温度を65℃とし、1,3-ブタジエン810gとスチレン270gとを重合反応容器内に連続的に供給した。重合反応を20分行った後、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニレシラン7.49mmo1を重合反応器内に投入して重合反応を160分行った。次いで、温度を65℃に保ちながら、得られた重合溶液を重合反応器内で130rpmの撹拌速度で撹拌し、カップリング剤としてBiTEMPS-Gli4.40mmolを重合溶液に添加し、15分間撹拌した。次に、変性剤であるN-(3-ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド(以下、「PAM」と略記する。)7.55mmo1を重合溶液に添加し、15分間撹拌した。次いで、メタノール0.8mLを含むヘキサン溶液20mLを重合反応器内に投入し、重合溶液を5分間撹拌した。
【0272】
上記重合溶液に、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(BASF社製、商品名:Irganox 1520L)10.8gを加え、混合物を得た。混合物中の揮発分の大部分を、常温、24時間で蒸発させ、更に55℃で12時間減圧乾燥し、共役ジエン系共重合体を得た。当該共重合体を用いた以外は実施例1と同様にして、重合体組成物を調製し、加硫シートを作製した。
【0273】
[実施例3]
BuLiを13.3mmol含有するn-ヘキサン溶液に代えてn-BuLiを11.1mmol含有するn-ヘキサン溶液を用い、BiTEMPS-Gliを4.40mmolに代えて3.91mmol、PAM7.55mmo1に代えて下記式(10a)で表されるポリオルガノシロキサンを、-Si-O-の繰り返し単位数に換算して25.2mmolとなるように添加し、15分間反応させた後、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(式(7)におけるR13がメトキシ基、R14が3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル基、pが0、qが3、rが1である化合物)11.85mmolを添加し、15分間反応させたこと以外は実施例2と同様にして、共役ジエン共重合体を得た。当該共重合体を用いた以外は実施例1と同様にして、重合体組成物を調製し、加硫シートを作製した。
【0274】
【化23】
【0275】
[比較例1]
カップリング剤として、BiTEMPS-Gliに代えてジメチルジクロロシラン2.11mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、共役ジエン共重合体を得た。当該共重合体を用いた以外は実施例1と同様にして、重合体組成物を調製し、加硫シートを作製した。
【0276】
[比較例2]
BuLiを9.62mmol含有するn-ヘキサン溶液に代えてn-BuLiを10.4mmol含有するn-ヘキサン溶液を用い、カップリング剤として、BiTEMPS-Gliに代えてジメチルスズジクロリド2.25mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、共役ジエン共重合体を得た。当該共重合体を用いた以外は実施例1と同様にして、重合体組成物を調製し、加硫シートを作製した。
【0277】
[比較例3]
カップリング剤として、BiTEMPS-Gliに代えてジメチルジクロロシラン2.467mmolを用いた以外は実施例2と同様にして、共役ジエン共重合体を得た。当該共重合体を用いた以外は実施例1と同様にして、重合体組成物を調製し、加硫シートを作製した。
【0278】
[比較例4]
カップリング剤として、BiTEMPS-Gliに代えてジメチルスズジクロリド2.893mmolを用いた以外は実施例2と同様にして、共役ジエン共重合体を得た。当該共重合体を用いた以外は実施例1と同様にして、重合体組成物を調製し、加硫シートを作製した。
【0279】
実施例1の共役ジエン系共重合体の40℃及び60℃で測定したGPCチャートを図1に、比較例1の共役ジエン系共重合体の40℃及び60℃で測定したGPCチャートを図2に示す。
【0280】
【表1】
【0281】
【表2】
図1
図2