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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】選鉱方法
(51)【国際特許分類】
   B03D 1/006 20060101AFI20240424BHJP
   C22B 15/14 20060101ALI20240424BHJP
   B03D 1/012 20060101ALI20240424BHJP
   B03D 101/02 20060101ALN20240424BHJP
   B03D 101/04 20060101ALN20240424BHJP
   B03D 103/02 20060101ALN20240424BHJP
【FI】
B03D1/006
C22B15/14
B03D1/012
B03D101:02
B03D101:04
B03D103:02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020024965
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021130064
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣吉 直樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真由美
(72)【発明者】
【氏名】パク イルファン
(72)【発明者】
【氏名】ホーン ウォッティ
(72)【発明者】
【氏名】島田 啓正
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 樹人
(72)【発明者】
【氏名】青木 悠二
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-042612(JP,A)
【文献】特開2016-215093(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109092562(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 1/00- 3/06
C22B 1/00-61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子径D50が5μm以下の銅鉱物の微細粒子を含む鉱物スラリーに界面活性剤を含む乳化ケロシンを添加し、該銅鉱物の微細粒子を凝集させる凝集工程と、
前記凝集工程の後、前記鉱物スラリーを用いて浮遊選鉱を行なう浮遊選鉱工程と、を備え
前記銅鉱物は黄銅鉱、斑銅鉱、硫砒銅鉱、輝銅鉱、砒四面銅鉱または銅藍である
ことを特徴とする選鉱方法。
【請求項2】
前記界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウムである
ことを特徴とする請求項記載の選鉱方法。
【請求項3】
前記凝集工程の前または前記凝集工程において前記鉱物スラリーにザンセートを添加する
ことを特徴とする請求項1または2記載の選鉱方法。
【請求項4】
前記ザンセートはカリウム・アミル・ザンセートである
ことを特徴とする請求項に記載の選鉱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選鉱方法に関する。さらに詳しくは、銅鉱物の微細粒子を回収するための選鉱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銅精錬の分野では、銅を含有する銅鉱石、銅精鉱などの原料から銅を回収する様々な方法が提案されている。例えば、銅鉱石から銅を回収するには以下の処理が行なわれる。
【0003】
(1)選鉱工程
選鉱工程では、鉱山で採掘された銅鉱石を粉砕した後、水を加えてスラリーとし、浮遊選鉱を行なう。浮遊選鉱では、スラリーに抑制剤、起泡剤、捕収剤などで構成される浮選剤を添加し、空気を吹き込んで疎水性の銅鉱物を気泡に付着させて浮遊させつつ、脈石を沈降させて分離を行なう。これにより銅品位30%前後の銅精鉱が得られる。
【0004】
(2)乾式製錬工程
乾式製錬工程では、選鉱工程で得られた銅精鉱を自溶炉などの炉を用いて熔解し、転炉および精製炉を経て銅品位99%程度の粗銅にまで精製する。粗銅は次工程の電解工程で用いられるアノードに鋳造される。
【0005】
(3)電解工程
電解工程では、硫酸酸性溶液(電解液)で満たされた電解槽に前記アノードを挿入し、カソードとの間に通電して電解精製を行なう。電解精製によって、アノードの銅は溶解し、カソード上に純度99.99%の電気銅として析出する。
【0006】
選鉱工程で行なわれる浮遊選鉱では、一般に、銅鉱石を粒子径D50が数十~数百μmとなるように粉砕して、水を加えてスラリーとする。しかし、銅鉱石に含まれる銅鉱物が脈石に比べて粉砕されやすい場合には、銅鉱物は粒子径D50が5μm以下の微細粒子にまで粉砕されることがある。銅鉱物が微細粒子となると、疎水性を有する銅鉱物であっても浮遊しにくくなり、銅鉱物の浮選回収率が低下する。
【0007】
特許文献1には、銅鉱物の微細粒子を含む鉱物スラリーにケロシンを添加した後に浮遊選鉱を行なうことが開示されている。ケロシンの添加により銅鉱物の微細粒子が凝集し、粒径が大きくなるため、浮遊選鉱において銅鉱物が浮遊しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-042612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の技術を適用したとしても、条件によっては、ケロシンと鉱物スラリー中の水とが二相分離し、ケロシンの一部が銅鉱物の微細粒子に作用せず、微細粒子の凝集が不十分になることがある。そこで、微細粒子をより効率的に凝集させることが求められている。
【0010】
なお、本願発明者らは、ケロシン添加後の鉱物スラリーを強く撹拌すれば、ケロシンと微細粒子との接触頻度が高くなり、微細粒子を効率よく凝集させることができるとの知見を得ている。しかし、この方法では、鉱物スラリーを撹拌力の強い撹拌機で処理した後に、浮遊選鉱装置に移送する必要がある。実操業においては、大型の撹拌機が必要となり、設備コスト、操業コストが高くなるという別の問題が生じる。
【0011】
本発明は上記事情に鑑み、銅鉱物の微細粒子を効率よく凝集させることができる選鉱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明の選鉱方法は、粒子径D50が5μm以下の銅鉱物の微細粒子を含む鉱物スラリーに界面活性剤を含む乳化ケロシンを添加し、該銅鉱物の微細粒子を凝集させる凝集工程と、前記凝集工程の後、前記鉱物スラリーを用いて浮遊選鉱を行なう浮遊選鉱工程と、を備え、前記銅鉱物は黄銅鉱、斑銅鉱、硫砒銅鉱、輝銅鉱、砒四面銅鉱または銅藍であることを特徴とする。
第2発明の選鉱方法は、第1発明において、前記界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウムであることを特徴とする。
第3発明の選鉱方法は、第1または第2発明において、前記凝集工程の前または前記凝集工程において前記鉱物スラリーにザンセートを添加することを特徴とする。
第4発明の選鉱方法は、第3に発明において、前記ザンセートはカリウム・アミル・ザンセートであることを特徴とする
【発明の効果】
【0013】
乳化ケロシンは水相と油相とに分離しにくいので、ケロシンの大部分が銅鉱物に作用する。また、乳化ケロシンに含まれるケロシンは銅鉱物の微細粒子と同程度の粒径の油滴となっているので銅鉱物に付着しやすい。そのため、鉱物スラリーに乳化ケロシンを添加することで、銅鉱物の微細粒子を効率よく凝集させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】乳化ケロシンに含まれるケロシンの油滴の粒度分布を示すグラフである。
図2】図(A)はSDSを添加した乳化ケロシンに含まれるケロシンの油滴の撹拌直後および1日後の粒度分布を示すグラフである。図(B)はKAXを添加した乳化ケロシンに含まれるケロシンの油滴の撹拌直後および1日後の粒度分布を示すグラフである。
図3】図(A)は実施例1~3および比較例1における銅回収率を示すグラフである。図(B)は実施例4~6および比較例2における銅回収率を示すグラフである。
図4】図(A)は実施例7~9における銅回収率を示すグラフである。図(B)は実施例7~9における分離効率を示すグラフである。
図5】図(A)は黄銅鉱からなる鉱物スラリーに含まれる鉱物粒子の粒度分布を示すグラフである。図(B)は黄銅鉱からなる鉱物スラリーに含まれる鉱物粒子の粒度分布の頻度の鉱物重量を乗じて得た値の分布を示すグラフである。
図6】図(A)は銅藍からなる鉱物スラリーに含まれる鉱物粒子の粒度分布を示すグラフである。図(B)は銅藍からなる鉱物スラリーに含まれる鉱物粒子の粒度分布の頻度の鉱物重量を乗じて得た値の分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
つぎに、本発明の実施形態を説明する。
本発明の一実施形態に係る選鉱方法は、(1)凝集工程と、(2)浮遊選鉱工程とを備えている。
【0016】
原料である鉱石には、少なくとも、銅を含有する鉱物(以下、「銅鉱物」と称する。)が含まれていればよい。銅鉱物としては黄銅鉱(CuFeS2)、斑銅鉱(Cu5FeS4)、硫砒銅鉱(Cu3AsS4)、輝銅鉱(Cu2S)、砒四面銅鉱((Cu,Fe,Zn)12(Sb,As)413)、銅藍(CuS)などが挙げられる。
【0017】
鉱石を粉砕して鉱物粒子を得る。鉱物粒子の粒度は、鉱石に含まれる鉱物の大きさに合わせて、単独鉱物が得られるように調整される。黄銅鉱の場合、通常篩下100μm程度に調整することが一般的である。しかし、銅鉱石に含まれる銅鉱物が脈石に比べて粉砕されやすい場合には、銅鉱物は粒子径D50が5μm以下の微細粒子にまで粉砕されることがある。
【0018】
本実施形態の選鉱方法は、粒子径D50が5μm以下の銅鉱物の微細粒子を回収することを目的としている。ここで、「粒子径D50」とはレーザー回折法にて測定した粒度分布から得られる体積基準での積算分布値が50%であるときの粒子径をいい、メジアン径とも称される。
【0019】
鉱石を粉砕して得られた鉱物粒子に水を加えて鉱物スラリーを製造する。必要に応じて鉱石に含まれる脈石を除去することが好ましい。脈石の除去には浮遊選鉱をはじめとする種々の選鉱方法を採用できる。
【0020】
(1)凝集工程
凝集工程では鉱物スラリーに乳化ケロシンを添加する。これにより、鉱物スラリーに含まれる銅鉱物の微細粒子を凝集させる。銅鉱物の微細粒子が凝集することで、次工程の浮遊選鉱において浮遊しやすくなる。そのため、銅鉱物の微細粒子を効率よく回収できる。
【0021】
例えば、黄銅鉱の粒子径を篩下100μm程度に調整した場合、浮遊選鉱における黄銅鉱の回収率は90%程度となることが知られている。しかし、黄銅鉱の粒子径D50が3μmである場合、浮遊選鉱における黄銅鉱の回収率は30%程度まで低下する。
【0022】
一般に、粒子の直径が気泡の直径に対して小さいほど、粒子が気泡に接触する頻度が低くなる。気泡よりも細かい微細粒子は、気泡の周囲の生じる水流に押し流され、気泡に接触しづらいからである。粒子径が数μmの微細粒子は直径数mmの気泡に接触しづらい。そのため、銅鉱物の微細粒子は、疎水性であるとしても、浮遊選鉱装置内に発生した気泡に接触しにくくなり、浮遊しにくくなると考えられる。そこで、銅鉱物の微細粒子を凝集させて粒子径を大きくすれば、気泡に接触しやすくなり、浮遊しやすくなると考えられる。
【0023】
鉱物スラリーにケロシンを添加すると、銅鉱物の微細粒子間に架橋が形成されて、微細粒子が互いに引き寄せられて凝集する。自然疎水性を持つ黄銅鉱などの微細粒子に疎水性のケロシンが付着して、ケロシンが架橋液体として働き、水の中で微細粒子を凝集させる。
【0024】
ここで、鉱物スラリーに添加するケロシンを乳化したもの、すなわち乳化ケロシンとする。乳化していない状態のケロシンを鉱物スラリーに添加すると、ケロシンと鉱物スラリー中の水とが二相分離し、ケロシンの一部が銅鉱物の微細粒子に作用しないことがある。これに対して、乳化ケロシンは水相と油相とに分離しにくいので、ケロシンが鉱物スラリー中に分散した状態となり、ケロシンの大部分が銅鉱物に作用しやすい。
【0025】
また、乳化ケロシンに含まれるケロシンは銅鉱物の微細粒子と同程度のサイズの油滴となっている。例えば、ケロシンの油滴は粒径が1~5μm程度であり、銅鉱物の微細粒子(粒径5μm以下)と同程度である。そのため、銅鉱物の微細粒子がケロシンの油滴に接触する頻度が高く、ケロシンが銅鉱物に付着しやすい。
【0026】
以上のように、鉱物スラリーに乳化ケロシンを添加することで、銅鉱物の微細粒子を効率よく凝集させることができる。ケロシン添加後の鉱物スラリーを強く撹拌しなくても、ケロシンと銅鉱物との接触頻度が高くなるため、大型の撹拌機を必要としない。
【0027】
乳化ケロシンは界面活性剤を含むことが好ましい。そうすれば、通常の浮遊選鉱処理に要する時間ケロシンの油滴を維持でき、ケロシンが銅鉱物に作用しやすい。乳化ケロシンに含まれる界面活性剤の種類は特に限定されない。一般に、界面活性剤はイオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とに大別される。また、イオン性界面活性剤はアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤に分類される。これらのいずれの種類の界面活性剤でもケロシンの乳化状態を維持できる。
【0028】
界面活性剤として、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、カリウム・アミル・ザンセート(KAX)などが挙げられる。これらの中でも、ドデシル硫酸ナトリウムを用いることが好ましい。そうすれば、次工程の浮遊選鉱において銅回収率を高くできる。
【0029】
乳化ケロシンを得るには、水にケロシン、および必要に応じて界面活性剤を添加し、撹拌すればよい。撹拌には、超音波撹拌機などの撹拌力の強いもの使用することが好ましい。
【0030】
鉱物スラリーへの乳化ケロシンの添加量は、乳化ケロシンに含まれるケロシンの体積が鉱物スラリーに含まれる銅鉱物1tに対して5~15Lとなる量とすることが好ましい。乳化ケロシンの添加量をこの範囲に調整すれば、銅鉱物の微細粒子を十分に凝集させることができ、浮遊選鉱における銅回収率を高めることができる。
【0031】
凝集工程において鉱物スラリーを撹拌することが好ましい。銅鉱物の微細粒子は静置すると沈殿してケーキ化する。そうすると、銅鉱物とケロシンとが十分に接触しない。鉱物スラリーを撹拌することで、銅鉱物を分散し、ケロシンと十分に接触させることができる。
【0032】
凝集工程における鉱物スラリーの固形分濃度は、銅鉱物とケロシンとが十分に接触できる程度であれば特に限定されない。ただし、鉱物スラリーの固形分濃度が高い方が、処理効率を向上させることができる。
【0033】
凝集工程の前または凝集工程において鉱物スラリーにザンセート(キサントゲン酸塩類とも称される。)を添加することが好ましい。鉱物スラリーにザンセートを添加すれば、銅鉱物の微細粒子の表面にザンセートが吸着して銅鉱物粒子の疎水性が高くなる。これにより、ケロシンによる粒子間の架橋作用が促進される。なお、銅鉱物の微細粒子にザンセートが吸着した後にケロシンにより銅鉱物粒子が凝集するという反応の流れからすると、凝集工程の前の条件付け工程において鉱物スラリーにザンセートを添加することが好ましい。
【0034】
ザンセートは浮遊選鉱に用いられる捕収剤として知られている。ザンセートアルカリ金属塩の化学式はR・O・CS・SMで表される。ここで、Rはアルキル基、Mはアルカリ金属を示す。式中のアルキル基Rは疎水性である。また、式中のCS・SMが液中でアルカリ金属Mを放出すると、CS・S-となって親水性を示す。銅鉱物中のCuが電子を放出すると、CS・S-と結びつく。これにより、銅鉱物粒子の表面にアルキル基Rが現れ、銅鉱物粒子が疎水性となる。
【0035】
ザンセートとして種々のものが知られているが、いずれも銅鉱物粒子を疎水性にする機能を有する。ザンセートとしてカリウム・アミル・ザンセート(KAX)が知られている。カリウム・アミル・ザンセートは、キサントゲン酸カリウムまたはPAXとも称され、化学式はC611KOS2である。カリウム・アミル・ザンセートは浮選剤として知られており、浮遊選鉱に対する目的外の悪影響がないことが知られている。そのため、鉱物スラリーに添加するザンセートとしてカリウム・アミル・ザンセートを用いることが好ましい。
【0036】
カリウム・アミル・ザンセートの添加量を鉱物スラリーに含まれる銅鉱物1tに対して50g以上とすることが好ましい。これにより、銅鉱物の微細粒子の疎水性を十分に高くできる。
【0037】
(2)浮遊選鉱工程
浮遊選鉱工程では鉱物スラリーを用いて浮遊選鉱を行なう。浮遊選鉱により銅鉱物を浮鉱として回収する。浮遊選鉱に用いる装置および方式は特に限定されない、一般的な多段式浮遊選鉱装置を用いればよい。
【0038】
浮遊選鉱工程では鉱物スラリーに抑制剤、起泡剤、捕収剤などで構成される浮選剤を添加する。鉱物スラリーの液相が浮遊選鉱に適したpHとなるように、pH調整を行なうことが好ましい。
【0039】
pH調整剤は特に限定されないが、アルカリとして水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)などを用いることができ、酸として塩酸(HCl)などを用いることができる。pH調整剤を水溶液の形態で用いる場合には、その濃度は特に限定されず、鉱物スラリーを目的のpHに調整することが困難とならない濃度であればよい。
【0040】
鉱物スラリーのpH調整は浮遊選鉱工程の前に行なえばよい。すなわち、pH調整を凝集工程で行なってもよい。また、浮遊選鉱工程において処理時間の経過に伴って液相のpHが変化する場合には、工程の途中であってもpH調整を行なってもよい。
【0041】
前述のごとく、鉱物スラリーに乳化ケロシンを添加することにより、銅鉱物の微細粒子が凝集し、銅鉱物が浮遊しやすくなる。そのため、銅鉱物の微細粒子を効率よく回収できる。
【0042】
なお、凝集工程、浮遊選鉱工程、および必要に応じて条件付け工程を、浮遊選鉱装置内で順次進行させるよう構成してもよい。そうすれば、鉱物スラリーの移送の手間が省ける。
【実施例
【0043】
つぎに、ケロシンの油滴サイズに関する試験を説明する。
水とケロシン(和光純薬工業、特級、以下同じ)を重量比800:200で混合し、超音波撹拌機(IKA-Werke社製ULTRA-TURRAX、型番T45 S5、出力600W、振動数10,000rpm、以下同じ)で1分間撹拌して、乳化ケロシンを得た。これを試料1とする。
【0044】
水、ケロシン、および界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(以下、SDSと称する。)を重量比800:200:1で混合し、超音波撹拌機で1分間撹拌して、乳化ケロシンを得た。これを試料2とする。
【0045】
水、ケロシン、および界面活性剤としてカリウム・アミル・ザンセート(以下、KAXと称する。)を重量比800:200:1で混合し、超音波撹拌機で1分間撹拌して、乳化ケロシンを得た。これを試料3とする。
【0046】
試料1~3について、撹拌直後のケロシンの油滴の粒度分布を測定した。その結果を図1に示す。界面活性剤を添加していない試料1は粒度分布のピークが4~5μmであった。界面活性剤としてSDSを用いた試料2は粒度分布のピークが1~2μmであった。界面活性剤としてKAXを用いた試料3は粒度分布のピークが約2μmであった。これより、界面活性剤を添加すると油滴の粒径が小さくなることが確認された。また、界面活性剤としてSDSを用いたほうが、KAXを用いるよりも油滴の粒径が小さくなることが確認された。
【0047】
試料2、3について、撹拌終了から1日経過後にケロシンの油滴の粒度分布を測定した。試料2の結果を図2(A)に示す。試料3の結果を図2(B)に示す。界面活性剤を添加してケロシンを乳化すると1日経過しても粒度分布にほとんど変化がみられない。これより、通常の浮遊選鉱に要する処理時間を大幅に超える時間、ケロシンの乳化状態を維持できるといえる。また、乳化ケロシンの作り置きも可能と考えられる。
【0048】
つぎに、ケロシンの油滴安定性に関する試験を説明する。
水、ケロシン、および界面活性剤を重量比400:80:1で混合し、超音波撹拌機で1分間撹拌して、乳化ケロシンを得た。遠心分離機(KUBOTA社製、型番ICE61010-2-020、回転数25,000)を用いて乳化ケロシンに対して油水分離操作を20分間行なった。油水分離後、分離した油相の体積率を測定した。
【0049】
界面活性剤としてSDS、KAX、KIX、DAA、Tween20を用いて試験を行なった。また、界面活性剤を添加しない条件でも試験を行なった。その結果を表1にまとめる。
【表1】
【0050】
油相の体積率が低いほど油水分離操作により分離した油相の量が少ない。つまり、油相の体積率が低いほど油滴の安定性が高いといえる。表1より、界面活性剤はいずれも、その種類によらず、界面活性剤を添加しない場合に比べて、油滴を安定させる機能を有することが分かる。特に、SDS、DAA、Tween20は油相体積率が2%であり、油滴を安定させる効果が高い。
【0051】
つぎに、単体鉱物系の試験を説明する。
(実施例1)
銅鉱物として黄銅鉱を用意した。粉砕装置(Retsch社製ディスクミルRS100、以下同じ)を用いて黄銅鉱を粉砕した。粉砕後の鉱物粒子の粒度分布を粒度分布測定装置(マイクロトラック社製MT3300SX、以下同じ)で測定したところ、粒子径D50は3μmであった。
【0052】
黄銅鉱20gに水を添加して鉱物スラリーを調製した。鉱物スラリーの体積は400mLであり、固形分濃度は5%である。
【0053】
水80gにケロシン20gを添加し、超音波撹拌機で1分間撹拌して、乳化ケロシンを得た。
【0054】
鉱物スラリー400mLを回分式浮遊選鉱機(平工製作所製FT-1000、以下同じ)に装入し、浮遊選鉱機に備えられた撹拌機(回転数1,000rpm)で5分間撹拌した。
【0055】
つぎに、浮遊選鉱機内の鉱物スラリーに乳化ケロシンを添加した。ここで、乳化ケロシンの添加量を鉱物重量に対するケロシンの体積が15L/tとなる量(鉱物重量に対する乳化ケロシンの体積63L/t)とした。その後、浮遊選鉱機に備えられた撹拌機(回転数1,000rpm)で30分間撹拌した。
【0056】
つぎに、浮遊選鉱機内の鉱物スラリーに起泡剤としてMIBC(メチルイソブチルケトン)(東京化成、特級、以下同じ)を添加した。MIBCの添加量は鉱物スラリーに対して25μL/Lである。
【0057】
浮遊選鉱機に備えられた撹拌機(回転数1,000rpm)を稼働させ、外気の導入量を1L/分とし、浮遊選鉱を行なった。浮遊選鉱の開始から1分、3分、5分、7分、10分の各タイミングにおいてスラリー槽の上面に溜まった浮鉱を掻きとって別の容器に回収した。浮選時間1分で得られた浮鉱を浮鉱1、浮選時間3分で得られた浮鉱を浮鉱2、浮選時間5分で得られた浮鉱を浮鉱3、浮選時間7分で得られた浮鉱を浮鉱4、浮選時間10分で得られた浮鉱を浮鉱5と称する。
【0058】
銅(黄銅鉱)の回収率をつぎの手順で求めた。浮遊選鉱の後、回収された浮鉱1~5の重量を測定する。そして、次式にしたがい、黄銅鉱の投入量に対する浮鉱として回収された黄銅鉱の量(回収量)の割合として回収率を求めた。
回収率[%]=(回収量/投入量)×100
【0059】
(実施例2)
乳化ケロシンを調製する際に界面活性剤を添加した。すなわち、水80gにケロシン20gおよび界面活性剤を添加し、超音波撹拌機で1分間撹拌して、乳化ケロシンを得た。ここで、界面活性剤としてSDSを用い、添加量を0.2g(濃度0.2%)とした。鉱物スラリーへの乳化ケロシンの添加量を鉱物重量に対するケロシンの体積が15L/tとなる量とした。したがって、添加された乳化ケロシンに含まれるSDSの量は鉱物重量に対して120g/tである。それ以外の条件は実施例1と同様である。
【0060】
(実施例3)
乳化ケロシンを調製する際に添加する界面活性剤としてKAXを用いた。乳化ケロシンへのKAXの添加量は0.2g(濃度0.2%)である。鉱物スラリーに添加された乳化ケロシンに含まれるKAXの量は鉱物重量に対して120g/tである。それ以外の条件は実施例2と同様である。
【0061】
(比較例1)
鉱物スラリーに乳化ケロシンを添加しなかった。ただし、浮遊選鉱機に備えられた撹拌機(回転数1,000rpm)による30分間の撹拌は行なった。それ以外の条件は実施例1と同様である。
【0062】
実施例1~3および比較例1における銅回収率は表2のとおりである。また、図3(A)に実施例1~3および比較例1における浮選時間と銅回収率との関係を示す。
【表2】
【0063】
鉱物スラリーに乳化ケロシンを添加した実施例1~3は、乳化ケロシンを添加しなかった比較例1に比べて銅回収率が高い。これより、鉱物スラリーに乳化ケロシンを添加すれば、銅回収率が高くなることが確認された。
【0064】
また、乳化ケロシンに界面活性剤を添加した実施例2、3は、乳化ケロシンに界面活性剤を添加しなかった実施例1に比べて銅回収率が高い。これより、ケロシンに界面活性剤を添加して乳化したほうが好ましいことが確認された。なお、界面活性剤としてSDSを用いた場合(実施例2)とKAXを用いた場合(実施例3)とで、銅回収率に有意な差はみられなかった。
【0065】
(実施例4)
鉱物スラリー400mLを回分式浮遊選鉱機に装入した後、乳化ケロシンを添加する前に、鉱物スラリーにKAXを鉱物重量に対して200g/tとなる量添加した。その後、浮遊選鉱機に備えられた撹拌機(回転数1,000rpm)で5分間撹拌した。それ以外の条件は実施例1と同様である。
【0066】
(実施例5)
乳化ケロシンを調製する際に界面活性剤を添加した。すなわち、水80gにケロシン20gおよび界面活性剤を添加し、超音波撹拌機で1分間撹拌して、乳化ケロシンを得た。ここで、界面活性剤としてSDSを用い、添加量を0.2g(濃度0.2%)とした。鉱物スラリーへの乳化ケロシンの添加量を鉱物重量に対するケロシンの体積が15L/tとなる量とした。したがって、添加された乳化ケロシンに含まれるSDSの量は鉱物重量に対して120g/tである。それ以外の条件は実施例4と同様である。
【0067】
(実施例6)
乳化ケロシンを調製する際に添加する界面活性剤としてKAXを用いた。乳化ケロシンへのKAXの添加量は0.2g(濃度0.2%)である。鉱物スラリーに添加された乳化ケロシンに含まれるKAXの量は鉱物重量に対して120g/tである。それ以外の条件は実施例5と同様である。
【0068】
(比較例2)
鉱物スラリーに乳化ケロシンを添加しなかった。ただし、浮遊選鉱機に備えられた撹拌機(回転数1,000rpm)による30分間の撹拌は行なった。それ以外の条件は実施例4と同様である。
【0069】
実施例4~6および比較例2における銅回収率は表3のとおりである。また、図3(B)に実施例4~6および比較例2における浮選時間と銅回収率との関係を示す。
【表3】
【0070】
実施例4~6および比較例2は鉱物スラリーにKAXを添加して条件付けを行なった点で、実施例1~3および比較例1と異なる。実施例4~6および比較例2は、実施例1~3および比較例1に比べて、全体的に銅回収率が高くなっている。これより、KAXによる条件付けを行なうと銅回収率が高くなることが確認された。また、KAXによる条件付けを行なった場合、界面活性剤としてSDSを用いた場合(実施例5)のほうが、KAXを用いた場合(実施例6)よりも、銅回収率が高くなることが確認された。
【0071】
つぎに、混合鉱物系の試験を説明する。
(実施例7)
銅鉱物として黄銅鉱を用意した。粉砕装置を用いて黄銅鉱を粉砕した。粉砕後の鉱物粒子の粒度分布を粒度分布測定装置で測定したところ、粒子径D50は3μmであった。また、脈石として酸化ケイ素(SiO2)を用意した。粉砕装置を用いて酸化ケイ素を粉砕した。粉砕後の鉱物粒子の粒度分布を粒度分布測定装置で測定したところ、粒子径D50は6μmであった。
【0072】
黄銅鉱10gおよび酸化ケイ素10gの混合鉱物に水を添加して鉱物スラリーを調製した。鉱物スラリーの体積は400mLであり、固形分濃度は5%である。
【0073】
水80gにケロシン20gおよび界面活性剤を添加し、超音波撹拌機で1分間撹拌して、乳化ケロシンを得た。ここで、界面活性剤としてSDSを用い、添加量を0.2g(濃度0.2%)とした。
【0074】
鉱物スラリー400mLを回分式浮遊選鉱機に装入し、KAXを鉱物重量に対して200g/tとなる量添加した後、浮遊選鉱機に備えられた撹拌機(回転数1,000rpm)で5分間撹拌した。
【0075】
つぎに、浮遊選鉱機内の鉱物スラリーに乳化ケロシンを添加した。ここで、乳化ケロシンの添加量を鉱物重量に対するケロシンの体積が15L/tとなる量(鉱物重量に対する乳化ケロシンの体積63L/t)とした。したがって、添加された乳化ケロシンに含まれるSDSの量は鉱物重量に対して120g/tである。その後、浮遊選鉱機に備えられた撹拌機(回転数1,000rpm)で30分間撹拌した。
【0076】
つぎに、浮遊選鉱機内の鉱物スラリーに起泡剤としてMIBCを添加した。MIBCの添加量は鉱物スラリーに対して25μL/Lである。
【0077】
浮遊選鉱機に備えられた撹拌機(回転数1,000rpm)を稼働させ、外気の導入量を1L/分とし、浮遊選鉱を行なった。浮遊選鉱の開始から1分、3分、5分、7分、10分の各タイミングにおいてスラリー槽の上面に溜まった浮鉱を掻きとって別の容器に回収した。浮選時間1分で得られた浮鉱を浮鉱1、浮選時間3分で得られた浮鉱を浮鉱2、浮選時間5分で得られた浮鉱を浮鉱3、浮選時間7分で得られた浮鉱を浮鉱4、浮選時間10分で得られた浮鉱を浮鉱5と称する。
【0078】
銅の回収率をつぎの手順で求めた。浮遊選鉱の後、回収された浮鉱1~5の重量を測定し、これと蛍光X線分析による銅の含有割合の測定結果から銅の回収率を求めた。そして、次式にしたがい、銅の投入量に対する浮鉱として回収された銅の量(回収量)の割合として回収率を求めた。
回収率[%]=(銅の回収量/銅の投入量)×100
【0079】
同様にケイ素(酸化ケイ素)の回収率を、酸化ケイ素の投入量に対する浮鉱として回収された酸化ケイ素の量の割合として求めた。そして、次式にしたがい、銅とケイ素との分離効率を求めた。分離効率が大きいほど、銅とケイ素との回収率の差が大きく、効率よく分離できることを意味する。
分離効率[%]=銅の回収率[%]-ケイ素の回収率[%]
【0080】
その結果は表4のとおりである。浮選時間10分の分離効率は66%である。
【表4】
【0081】
(実施例8)
乳化ケロシンを調製する際に、界面活性剤としてSDSに代えてKAXを用いた。それ以外の条件は実施例7と同様である。
【0082】
その結果は表5のとおりである。浮選時間10分の分離効率は53%である。
【表5】
【0083】
(実施例9)
乳化ケロシンを調製する際に界面活性剤を添加しなかった。すなわち、水80gにケロシン20gを添加し、超音波撹拌機で1分間撹拌して、乳化ケロシンを得た。それ以外の条件は実施例7と同様である。
【0084】
その結果は表6のとおりである。浮選時間10分の分離効率は34%である。
【表6】
【0085】
図4(A)に実施例7~9における浮選時間と銅回収率との関係を示す。図4(B)に実施例7~9における浮選時間と分離効率との関係を示す。乳化ケロシンを調製する際に界面活性剤を添加した実施例7、8は、乳化ケロシンを調製する際に界面活性剤を添加しなかった実施例9に比べて、銅回収率も分離効率も高い。これより、ケロシンに界面活性剤を添加して乳化したほうが好ましいことが確認された。
【0086】
また、ケロシンに添加する界面活性剤としてSDSを用いた実施例7は、KAXを用いた実施例8に比べて、銅回収率も分離効率も高い。これより、界面活性剤としては、KAXよりもSDSのほうが好ましいことが確認された。
【0087】
つぎに、鉱物スラリーの固形分濃度に関する試験を説明する。
銅鉱物として黄銅鉱を用意した。粉砕装置を用いて黄銅鉱を粉砕した。粉砕後の鉱物粒子の粒度分布を粒度分布測定装置で測定したところ、粒子径D50は4μmであった。
【0088】
黄銅鉱に水を添加して鉱物スラリー400mLを調製した。ここで、鉱物の重量が0.2g、2.0g、10.0g、20.0gの4種の鉱物スラリーを調製した。
【0089】
鉱物スラリー400mLを回分式浮遊選鉱機に装入し、KAXを鉱物重量に対して200g/tとなる量添加した後、浮遊選鉱機に備えられた撹拌機(回転数1,000rpm)で5分間撹拌した。
【0090】
つぎに、鉱物スラリー400mLを高速撹拌機(回転数15,000rpm)に移し、ケロシンを鉱物重量に対して15L/tとなる量添加して、30分撹拌した。
【0091】
その後、各鉱石スラリーに含まれる鉱物粒子の粒度分布を粒度分布測定装置で測定した。その結果を図5(A)に示す。また、粒度分布の頻度に鉱物スラリーに含まれる鉱物重量を乗じて得た値の分布を図5(B)に示す。
【0092】
図5(A)から分かるように、鉱物スラリーの固形分濃度によって、凝集した鉱物粒子の粒度分布が変化する。鉱物粒子の粒度分布のピークは、固形分濃度が0.5%(鉱物重量2.0g)のときに最も大径側にシフトする。これより、鉱物粒子の粒度分布のピークを大径側にシフトさせるには、固形分濃度を0.5%程度にすればよいといえる。
【0093】
しかし、図5(B)から分かるように、固形分濃度が5%(鉱物重量20g)のときの鉱物粒子は、他の固形分濃度の鉱物スラリーに含まれる鉱物粒子に比べて、粒径の大きい領域においても量が多い。したがって、大粒径の鉱物粒子を多く生産するという観点からは固形分濃度が高いほうが好ましい。
【0094】
銅鉱物として銅藍を用意した。粉砕装置を用いて銅藍を粉砕した。粉砕後の鉱物粒子の粒度分布を粒度分布測定装置で測定したところ、粒子径D50は3μmであった。
【0095】
銅藍に水を添加して鉱物スラリー400mLを調製した。ここで、鉱物の重量が1.0g、2.0g、10.0g、20.0gの4種の鉱物スラリーを調製した。
【0096】
その後の手順は前記試験と同様である。その結果を図6(A)に示す。また、粒度分布の頻度に鉱物スラリーに含まれる鉱物重量を乗じて得た値の分布を図6(B)に示す。
【0097】
図6(A)から分かるように、銅藍の場合も、鉱物粒子の粒度分布のピークは、固形分濃度が0.5%(鉱物重量2.0g)のときに最も大径側にシフトする。図6(B)から分かるように、固形分濃度が5%(鉱物重量20g)のときの鉱物粒子は、他の固形分濃度の鉱物スラリーに含まれる鉱物粒子に比べて、粒径の大きい領域においても量が多い。
【0098】
以上のように、鉱物スラリーの固形分濃度に依存して、凝集後の鉱物粒子のサイズ(粒度分布)が変化する。したがって、鉱物スラリーの固形分濃度を調整することで、最適なプロセスが実現される可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6