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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】レーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02251 20210101AFI20240924BHJP
   H01S 5/02253 20210101ALI20240924BHJP
   H01S 5/02255 20210101ALI20240924BHJP
【FI】
H01S5/02251
H01S5/02253
H01S5/02255
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021542710
(86)(22)【出願日】2020-08-12
(86)【国際出願番号】 JP2020030643
(87)【国際公開番号】W WO2021039386
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2019152824
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 哲
(72)【発明者】
【氏名】早水 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 博
(72)【発明者】
【氏名】石毛 悠太
(72)【発明者】
【氏名】大島 宏文
(72)【発明者】
【氏名】大森 雅樹
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/122792(WO,A1)
【文献】特開2007-142439(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192944(WO,A1)
【文献】特開2008-026462(JP,A)
【文献】特開2018-155791(JP,A)
【文献】特開2017-120753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子をそれぞれ有し第一方向に並んだ複数の発光ユニットと、
前記第一方向に並んで位置され前記第一方向に対して傾斜した第二方向に延び前記発光ユニットをそれぞれ載置した複数の載置面と、当該複数の載置面の裏側で前記第一方向に延びた底面と、を有したベースと、
前記第一方向に並び前記載置面のそれぞれに載置され当該載置面に載置された前記発光ユニットからのレーザ光を前記第二方向に向かわせる複数の第一偏向部品と、
前記第一偏向部品のそれぞれで偏向されたレーザ光を一つの光ファイバに導く光学部品と、
を備え、
前記光学部品は、前記複数の第一偏向部品から前記第二方向へ進むレーザ光を前記第一方向へ向かわせる第二偏向部品を有した、レーザ装置。
【請求項2】
前記光学部品は、前記ベースに設けられた、請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項3】
前記複数の第一偏向部品が前記第一方向に並ぶ複数の列が前記第一方向と直交する第三方向に間隔をあけて設けられた、請求項1または2に記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記光学部品は、前記複数の列に含まれる第一列からの第一レーザ光と、偏波方向が当該第一レーザ光とは直交し前記複数の列に含まれる第二列からの第二レーザ光と、を偏波合成する偏波合成素子を有した、請求項3に記載のレーザ装置。
【請求項5】
前記第一方向に対する前記第二方向の仰角をθ、前記第一偏向部品のそれぞれから前記第二方向へ進むレーザ光のビーム径をd、前記複数の第一偏向部品の前記第一方向における設置間隔をL、としたとき、
d<L・sinθを満たす、請求項1~4のうちいずれか一つに記載のレーザ装置。
【請求項6】
前記載置面上に突出し、前記第一偏向部品を支持する第一支持部材を備えた、請求項1~5のうちいずれか一つに記載のレーザ装置。
【請求項7】
前記ベースの表面上に突出し、前記光学部品を支持する第二支持部材を備えた、請求項1~6のうちいずれか一つに記載のレーザ装置。
【請求項8】
前記発光ユニットは、前記発光素子を収容したケースを有した、請求項1~7のうちいずれか一つに記載のレーザ装置。
【請求項9】
前記ケースは、前記発光素子を当該ケース内に気密封止した、請求項8に記載のレーザ装置。
【請求項10】
発光素子をそれぞれ含み第一方向に並んだ複数の発光ユニットと、
前記第一方向に並んで位置され前記第一方向に対して傾斜した第二方向に延び前記発光ユニットをそれぞれ載置した複数の載置面と、当該複数の載置面の裏側の部位を含み前記第一方向に延びた底面と、当該底面のうち前記複数の載置面の裏側の部位と当該複数の載置面とを有し前記第一方向に延びた板状部位と、前記底面のうち前記複数の載置面の裏側の部位とは外れた部位と前記第二方向に延びた頂面とを有し前記第一方向および前記第二方向と交差した第三方向に延びた三角柱状の柱状部位と、を有したベースと、
前記複数の発光ユニットからのレーザ光を一つの光ファイバに導く光学部品と、
を備えた、レーザ装置。
【請求項11】
前記光学部品は、前記ベースに設けられた、請求項10に記載のレーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベースに階段状の載置面が設けられ、当該載置面のそれぞれに載置された発光素子からのレーザ光を、載置面のそれぞれに載置されたミラーによって当該載置面に沿う方向に反射することにより、レーザ光を空間的に多重化し、当該多重化されたレーザ光を結合するレーザ装置が、知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、従来、板状のベースに平面状の載置面が設けられ、当該載置面上に列をなすように載置された発光素子からのレーザ光を、発光素子のそれぞれに対応して載置面上に載置されたミラーによって斜め上方に同じ角度で仰ぐように反射することにより、レーザ光を空間的に多重化し、当該多重化されたレーザ光を結合するレーザ装置が、知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/122792号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0031850号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のレーザ装置において、発光素子が生じる熱は、ベースにおいて、載置面から当該載置面とは反対側の底面へ伝達され、当該底面から放熱される。これにより、発光素子の温度上昇が抑制されている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のレーザ装置では、階段状の複数の載置面と底面とが平行であるため、階段の上に向かうほどベースが厚くなってしまい、当該階段の上に位置する発光素子に対しては、当該ベースによる放熱効果が低下する虞がある。
【0007】
この点、上記特許文献2のレーザ装置では、ベースの厚さは略一定であるため、複数の発光素子に対するベースによる放熱効果は、略一定である。
【0008】
しかしながら、特許文献2のレーザ装置では、平面状の載置面上に載置されたミラーが、発光素子からのレーザ光を、載置面に対して斜め上方に進相軸仰ぐように反射する構成であるため、載置面に対するミラーの設置角度が、発光素子からのレーザ光の反射角度に加えて、載置面に対するレーザ光の仰角にも影響を及ぼすことになる。このため、載置面に対するミラーの設置角度の調整が難しく、複数のレーザ光を精度良く結合し難くなる虞があった。また、ミラーが、載置面に対して傾いた状態で設置されるため、ミラーの姿勢が不安定になり、ひいては複数のレーザ光を精度良く結合し難くなる虞があった。
【0009】
そこで、本開示の課題の一つは、例えば、発光素子の温度上昇をより抑制しやすく、かつ複数のレーザ光をより精度良く結合しやすいレーザ装置を得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のレーザ装置は、例えば、発光素子をそれぞれ有し第一方向に並んだ複数の発光ユニットと、前記第一方向に並んで位置され前記第一方向に対して傾斜した第二方向に延び前記発光ユニットをそれぞれ載置した複数の載置面と、当該複数の載置面の裏側で前記第一方向に延びた底面と、を有したベースと、前記第一方向に並び前記載置面のそれぞれに載置され当該載置面に載置された前記発光ユニットからのレーザ光を前記第二方向に向かわせる複数の第一偏向部品と、前記第一偏向部品のそれぞれで偏向されたレーザ光を一つの光ファイバに導く光学部品と、を備える。
【0011】
また、前記レーザ装置では、例えば、前記光学部品は、前記ベースに設けられる。
【0012】
また、前記レーザ装置では、例えば、前記複数の第一偏向部品が前記第一方向に並ぶ複数の列が前記第一方向と直交する方向に間隔をあけて設けられる。
【0013】
また、前記レーザ装置では、例えば、前記光学部品は、前記複数の列に含まれる第一列からの第一レーザ光と、偏波方向が当該第一レーザ光とは直交し前記複数の列に含まれる第二列からの第二レーザ光と、を偏波合成する偏波合成素子を有する。
【0014】
また、前記レーザ装置では、例えば、前記光学部品は、前記複数の第一偏向部品から前記第二方向へ進むレーザ光を前記第一方向へ向かわせる第二偏向部品を有する。
【0015】
また、前記レーザ装置では、例えば、前記ベースは、前記複数の載置面と前記底面とを有し前記第一方向に延びた第一部位と、前記光ファイバを支持し前記第二方向に延びた第二部位と、を有する。
【0016】
また、前記レーザ装置では、例えば、前記第一方向に対する前記第二方向の仰角をθ、前記第一偏向部品のそれぞれから前記第二方向へ進むレーザ光のビーム径をd、前記複数の第一偏向部品の前記第一方向における設置間隔をL、としたとき、d<L・sinθを満たす。
【0017】
また、前記レーザ装置は、例えば、前記載置面上に突出し、前記第一偏向部品を支持する支持部材を備える。
【0018】
また、前記レーザ装置は、例えば、前記ベースの表面上に突出し、前記光学部品を支持する第二支持部材を備える。
【0019】
また、前記レーザ装置では、例えば、前記発光ユニットは、前記発光素子を収容したケースを有する。
【0020】
また、前記レーザ装置では、例えば、前記ケースは、前記発光素子を当該ケース内に気密封止する。
【0021】
また、本発明のレーザ装置は、例えば、発光素子をそれぞれ含み第一方向に並んだ複数の発光ユニットと、前記第一方向に並んで位置され前記第一方向に対して傾斜した第二方向に延び前記発光ユニットをそれぞれ載置した複数の載置面を有し、前記第一方向に延びた板状のベースと、前記複数の発光ユニットからのレーザ光を一つの光ファイバに導く光学部品と、を備える。
【0022】
また、前記レーザ装置では、例えば、前記光学部品は、前記ベースに設けられる。
【発明の効果】
【0023】
上記本発明のレーザ装置によれば、例えば、ベースの複数の載置面が第一方向に並ぶとともに、ベースの底面が第一方向に延びるため、ベースから、発光素子の放熱性能に影響を及ぼすような厚い部位を無くすことができる。また、載置面が、第一方向に対して傾斜した第二方向に延びているため、第一偏向部品を載置面上に載置することにより、当該第一偏向部品を所望の姿勢(角度)に、より容易にあるいはより精度良く設置することができ、ひいては、複数のレーザ光をより精度良く結合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、第1実施形態のレーザ装置の例示的かつ模式的な斜視図である。
図2図2は、第1実施形態のレーザ装置の例示的かつ模式的な側面図である。
図3図3は、第1実施形態のレーザ装置の一部の例示的かつ模式的な斜視図である。
図4図4は、第1実施形態のレーザ装置の一部の例示的かつ模式的な平面図である。
図5図5は、第1実施形態のベースの第一部位の例示的かつ模式的な側面図である。
図6図6は、第1実施形態のレーザ装置の載置面および第一偏向部品の例示的かつ模式的な側面図である。
図7図7は、第2実施形態のレーザ装置の例示的かつ模式的な斜視図である。
図8図8は、第2実施形態のレーザ装置の例示的かつ模式的な側面図である。
図9図9は、第2実施形態のレーザ装置の一部の例示的かつ模式的な斜視図である。
図10図10は、第3実施形態のレーザ装置の例示的かつ模式的な側面図である。
図11図11は、第4実施形態のレーザ装置の例示的かつ模式的な斜視図である。
図12図12は、第4実施形態のレーザ装置の一部の例示的かつ模式的な平面図である。
図13図13は、実施形態の変形例のレーザ装置の一部の例示的かつ模式的な斜視図である。
図14図14は、第5実施形態のレーザ装置の例示的かつ模式的な斜視図である。
図15図15は、第5実施形態のレーザ装置の例示的かつ模式的な側面図である。
図16図16は、第6実施形態のレーザ装置の例示的かつ模式的な斜視図である。
図17図17は、第7実施形態のレーザ装置の一部の例示的かつ模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0026】
以下に示される複数の実施形態および変形例は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態および変形例の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0027】
本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0028】
また、各図において、第一方向を矢印X1で表し、第二方向を矢印X2で表し、第三方向を矢印Y3で表し、第四方向を矢印Z4で表す。第一方向X1と、第三方向Y3と、第四方向Z4とは、互いに直交している。また、第二方向X2と、第三方向Y3とは、互いに直交している。
【0029】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の半導体レーザモジュール10Aの斜視図、図2は、半導体レーザモジュール10Aの側面図である。図1,2に示されるように、半導体レーザモジュール10Aは、ベース100Aと、複数の発光ユニット200A-1~200A-15と、複数の第二コリメートレンズ210-1~210-15と、複数のミラー300-1~300-15と、複数の光学部品400と、光ファイバ500を支持する支持部材130と、を備えている。なお、本実施形態では、発光ユニット200A-1~200A-15、第二コリメートレンズ210-1~210-15、およびミラー300-1~300-15の数は、一例として15であるが、これには限定されず、15より多くても少なくてもよい。半導体レーザモジュール10Aは、レーザ装置の一例である。
【0030】
[ベース]
ベース100Aは、第一方向X1に延びた板状の第一部位110Aと、第三方向Y3に延びた三角柱状の第二部位120Aと、を有している。第二部位120Aは、第二方向X2に延びた第二頂面122を有している。第二方向X2は、第一方向X1と第四方向Z4との間の方向である。
【0031】
第一部位110Aは、第一方向X1および第三方向Y3に延びた板状の壁111を有している。壁111(第一部位110A)は、例えば無酸素銅のような、熱伝導率が比較的大きい金属材料で作られている。なお、本実施形態では、壁111の第一方向X1の長さは、壁111の第三方向Y3の長さよりも長い。よって、第一方向X1は、長手方向あるいは縦方向とも称され、第三方向Y3は、短手方向あるいは幅方向とも称されうる。また、第四方向Z4は、厚さ方向あるいは高さ方向とも称されうる。
【0032】
第一部位110Aは、壁111の第四方向Z4の一端(図2では上端)に位置される第一頂面112および複数の載置面113-1~113-15と、壁111の第四方向Z4の他端(図2では下端)における第一底面114と、を有している。載置面113-1~113-15は、第一載置面とも称されうる。
【0033】
複数の載置面113-1~113-15は、第一部位110Aの第一方向X1の中央部100aと、第一方向X1の後方の端部100b(図1,2では右側の端部)との間に、設けられている。また、複数の載置面113-1~113-15は、第一部位110Aの第三方向Y3の中央部において、第一方向X1に一定のピッチ(インタバル)で並んでいる。載置面113-1~113-15は、それぞれ、第二方向X2に延びるとともに第三方向Y3に延びている。載置面113-1~113-15は、四角形状の形状を有しており、本実施形態では、一例として、第三方向Y3の長さが第二方向X2の長さよりも長い長方形状の形状を有している。図2に示されるように、第二方向X2の第一方向X1に対する仰角の大きさはθである。複数の載置面113-1~113-15は、互いに平行である。複数の載置面113-1~113-15は、階段状の構造を形成している。載置面113-1~113-15は、階段面や、実装面、設置面とも称されうる。
【0034】
第一頂面112は、第一方向X1および第三方向Y3に延びている。第一頂面112は、ベース100Aの中央部100aと端部100bとの間においては、複数の載置面113-1~113-15の周囲を取り囲むように設けられている。なお、第一頂面112は、表面とも称されうる。
【0035】
第一底面114は、第一方向X1および第三方向Y3に延びている。第一底面114は、ベース100Aの中央部100aと端部100bとの間においては、複数の載置面113-1~113-15の裏(反対側)に位置されている。第一底面114は、四角形状の形状を有しており、本実施形態では、一例として、第一方向X1の長さが第三方向Y3の長さよりも長い長方形状の形状を有している。第一底面114は、底面の一例である。
【0036】
第二部位120Aは、第一部位110Aの第一方向X1の中央部100aと第一部位110Aの第一方向X1の前方の端部100c(図1,2では左側の端部)との間の部位に対して、第四方向Z4に隣接して、設けられている。第二部位120Aは、第二頂面122と、第二底面123と、を有している。第二頂面122は、第二方向X2および第三方向Y3に延びている。第二底面123は、第一方向X1および第三方向Y3に延びている。第二底面123は、第一部位110Aの第一頂面112と接している。第一部位110Aと第二部位120Aとは、例えば、ねじのような固定具や、接着剤によって、結合されうる。第二部位120Aは、例えば、合成樹脂材料や金属材料で作られうる。第二部位120Aは、例えば、熱伝導率が第一部位110Aの熱伝導率より低い材料で作られてもよいし、比重が第一部位110Aの比重よりも軽い材料で作られてもよい。なお、第二部位120Aの、第二頂面122と第二底面123との間には、中空部や、開口、凹部等(不図示)が設けられてもよい。また、第二部位120Aは、第一部位110Aと一体であってもよい。
【0037】
[発光ユニット、コリメートレンズ、およびミラー]
図1に示されるように、複数の載置面113-1~113-15のそれぞれには、発光ユニット200A-1~200A-15、第二コリメートレンズ210-1~210-15、およびミラー300-1~300-15が、一つずつ、実装されている。発光ユニット200A-1~200A-15、第二コリメートレンズ210-1~210-15、およびミラー300-1~300-15は、載置面113-1~113-15上に、例えば、接着剤を介して取り付けられている。
【0038】
図3は、載置面113-1、発光ユニット200A-1、第二コリメートレンズ210-1、およびミラー300-1が拡大された斜視図であり、図4は、載置面113-15、発光ユニット200A-15、第二コリメートレンズ210-15、ミラー300-15、およびシリンドリカルレンズ411が拡大された、第四方向Z4の反対方向に見た平面図である。載置面113-1~113-15、発光ユニット200A-1~200A-15、第二コリメートレンズ210-1~210-15、およびミラー300-1~300-15は、いずれも添え字毎に、図3,4と同じスペック(形状、配置等)を有している。すなわち、符号の添え字は、同じ添え字の載置面113-1~113-15上に載置されていることを意味する。
【0039】
図1~4に示されるように、載置面113-1~113-15のそれぞれにおいて、発光ユニット200A-1~200A-15、第二コリメートレンズ210-1~210-15、およびミラー300-1~300-15が、第三方向Y3に並んでいる。第二コリメートレンズ210-1~210-15は、発光ユニット200A-1~200A-15と、ミラー300-1~300-15との間に位置されている。
【0040】
また、図1に示されるように、複数の発光ユニット200A-1~200A-15は、第一方向X1に等間隔で並び、複数の第二コリメートレンズ210-1~210-15は、第一方向X1に等間隔で並び、複数のミラー300-1~300-15は、第一方向X1に等間隔で並んでいる。
【0041】
図3,4に一例が示されるように、発光ユニット200A-1~200A-15は、サブマウント203-1~203-15と、当該サブマウント203-1~203-15の頂面上に実装された発光素子204-1~204-15と、を有している。第一コリメートレンズ202-1~202-15は、サブマウント203-1~203-15の第三方向Y3の端部に位置する側面上に実装されている。
【0042】
サブマウント203-1~203-15は、例えば、扁平な直方体状の形状を有している。また、サブマウント203-1~203-15は、例えば、窒化アルミニウム(AIN)や、セラミック、ガラスのような、熱伝導率が比較的大きい絶縁材料で作られうる。
【0043】
発光素子204-1~204-15は、例えば、半導体レーザ素子であり、サブマウント203-1~203-15上で、第三方向Y3に向けてレーザ光を出射する。発光ユニット200A-1~200A-15は、発光素子204-1~204-15の進相軸(FA)が、第二方向X2および第三方向Y3と直交する方向、言い換えると載置面113-1~113-15と直交する方向に沿い、かつ遅相軸(SA)が、第二方向X2に沿うように、実装される。
【0044】
第一コリメートレンズ202-1~202-15は、例えば、シリンドリカルレンズであり、発光素子204-1~204-15から出射されたレーザ光を、第一軸においてコリメートする。すなわち、発光素子204-1~204-15から出射され第一コリメートレンズ202-1~202-15を通ったレーザ光、言い換えると、発光ユニット200A-1~200A-15から出射された進相軸においてコリメートされているレーザ光は、第三方向Y3に向けて、進相軸と直交する面に沿って進む。
【0045】
第二コリメートレンズ210-1~210-15は、例えば、シリンドリカルレンズであり、発光ユニット200A-1~200A-15からの、すなわち第一コリメートレンズ202-1~202-15からのレーザ光を、遅相軸においてコリメートする。すなわち、第二コリメートレンズ210-1~210-15を通ったレーザ光、言い換えると、進相軸および遅相軸においてコリメートされたレーザ光は、第三方向Y3に進む。
【0046】
ミラー300-1~300-15は、第二コリメートレンズ210-1~210-15からの第三方向Y3の光を第二方向X2に反射する。言い換えると、ミラー300-1~300-15は、発光ユニット200A-1~200A-15からの第三方向Y3の光を、第二方向X2に向かわせる。このような構成において、発光素子204-1~204-15から出射され、第一コリメートレンズ202-1~202-15、第二コリメートレンズ210-1~210-15、およびミラー300-1~300-15を経由する間、レーザ光は、載置面113-1~113-15と平行に進む。ミラー300-1~300-15は、第一偏向部品の一例であり、光学部品の一例でもある。なお、第一偏向部品は、例えばプリズムのような、ミラー300-1~300-15とは異なる光学部品であってもよい。
【0047】
図2中に破線で示されるに示されるように、複数のミラー300-1~300-15で反射された(偏向された)複数のレーザ光は、互いに平行に、第二方向X2に向かう。複数のミラー300-1~300-15で反射された(偏向された)複数のレーザ光は、第四方向Z4に並んでいる。
【0048】
[光学部品]
シリンドリカルレンズ411は、全てのミラー300-1~300-15から第二方向X2に離間し、シリンドリカルレンズ412は、シリンドリカルレンズ411から第二方向X2に離間し、光ファイバ500の端部500aは、シリンドリカルレンズ412から第二方向X2に離間している。シリンドリカルレンズ411およびシリンドリカルレンズ412は、複数のミラー300-1~300-15からの複数のレーザ光を、光ファイバ500の端部500aに結合する。言い換えると、シリンドリカルレンズ411,412は、ミラー300-1~300-15からの第二方向X2へ向かう光を、光ファイバ500の端部500aに導いている。シリンドリカルレンズ411,412は、例えば、集光素子とも称され、光学部品400の一例である。なお、光学部品400は、シリンドリカルレンズ411,412とは異なる光学部品400であってもよいし、光学部品400は、例えば光学フィルタのようなシリンドリカルレンズ411,412とは別の光学部品400を含んでもよい。
【0049】
シリンドリカルレンズ411は、第二頂面122上に突出した支持部材141と隣接して設けられている。支持部材141は、例えば、第二部位120A(ベース100A)に設けられ第二頂面122に開口した穴に圧入されることにより、第二部位120Aに取り付けられている。シリンドリカルレンズ411は、支持部材141によって位置決めされてもよいし、支持部材141に接着等により取り付けられてもよい。支持部材141は、第二支持部材の一例であり、第二位置決め部材とも称されうる。第二頂面122は、表面の一例である。
【0050】
シリンドリカルレンズ412および光ファイバ500は、支持部材130に取り付けられ、支持部材130およびシリンドリカルレンズ411は、第二部位120Aの第二頂面122上に、取り付けられている。よって、シリンドリカルレンズ411,412は、光ファイバ500の端部500aに、より精度良くレーザ光を結合することができる。第二頂面122は、第二載置面とも称されうる。
【0051】
[ベースの製造方法]
図5は、ベース100Aの第一部位110Aの側面図である。工作機械(不図示)により第一部位110Aに載置面113-1~113-15を加工するにあたっては、第一底面114が加工された厚めの板状の素材M(二点鎖線)が、載置面113-1~113-15が工作機械による加工方向(切削方向、研磨方向、図5の左右方向)に沿うよう、第一底面114が当該加工方向に対して角度θだけ傾斜した姿勢で当該機械にセットされた状態で、当該機械により、複数の載置面113-1~113-15を階段状に加工すればよい。これにより、工作機械は、第一方向X1に対して角度θだけ傾斜した第二方向X2に延びる複数の載置面113-1~113-15を、より容易にあるいはより精度良く、加工することができる。
【0052】
[仰角および設置間隔の設定]
図6は、載置面113-1,113-2とミラー300-1,300-2とを示す側面図である。ミラー300-1,300-2によって偏向されたレーザ光Bのビーム径をdとすると、隣接する二つのレーザ光Bが互いに干渉しないための条件、すなわち、隣接する二つのレーザ光B間に隙間Gがある、すなわち隙間Gが0より大きいための条件は、第一方向X1に対する第二方向X2の仰角をθ、二つのレーザ光Bの光軸間の距離をD、ミラー300-1~300-15から第二方向X2へ進むレーザ光Bのビーム径をd、ミラー300-1~300-15の第一方向X1における設置間隔をL、とすると、G=D-2・0.5d>0、D=L・sinθであるから、d<L・sinθとなる。
【0053】
以上、説明したように、第1実施形態の半導体レーザモジュール10A(レーザ装置)は、複数の発光ユニット200A-1~200A-15と、ベース100Aと、複数のミラー300-1~300-15(第一偏向部品)と、光学部品400と、を備える。複数の発光ユニット200A-1~200A-15は、それぞれ、発光素子204-1~204-15を有し第一方向X1に並ぶ。ベース100Aは、第一方向X1に並んで位置され第一方向X1に対して傾斜した第二方向X2に延び発光ユニット200A-1~200A-15をそれぞれ載置した複数の載置面113-1~113-15と、当該複数の載置面113-1~113-15の裏側で第一方向X1に延びた第一底面114(底面)と、を有する。言い換えると、ベース100Aは、第一方向X1に延びた板状の形状を有するとともに、複数の載置面113-1~113-15を有する。複数のミラー300-1~300-15は、第一方向X1に並び載置面113-1~113-15のそれぞれに載置され当該載置面113-1~113-15に載置された発光ユニット200A-1~200A-15からのレーザ光を、第二方向X2に向かわせる。光学部品400(411,412)は、ベース100Aに設けられミラー300-1~300-15のそれぞれで反射された(偏向された)レーザ光を一つの光ファイバ500に導く。
【0054】
このような構成によれば、例えば、ベース100Aにおいて発光ユニット200A-1~200A-15が載置される部位の厚さをより薄くすることができるため、当該ベース100Aを介しての放熱性能をより高めることができる。また、ミラー300-1~300-15を、第二方向X2に延びる載置面113-1~113-15上に載置することができるため、第一方向X1に延びる面上にミラーを傾けて載置する構成に比べて、ミラー300-1~300-15をより精度良くあるいはより容易に設置することができ、ひいては、複数のレーザ光をより精度良く結合することができる。
【0055】
また、第1実施形態の半導体レーザモジュール10A(レーザ装置)では、第一方向X1に対する第二方向X2の仰角をθ、ミラー300-1~300-15(第一偏向部品)のそれぞれから第二方向X2へ進むレーザ光Bのビーム径をd、複数のミラー300-1~300-15の第一方向X1における設置間隔をL、としたとき、d<L・sinθを満たす。
【0056】
このような構成によれば、例えば、レーザ光Bのビーム径dに応じて適切な角度θ(仰角)および設置間隔Lを設定することにより、半導体レーザモジュール10Aを、隣接する二つのレーザ光同士が干渉しないよう、構成することができる。また、本実施形態によれば、ミラー300-1~300-15を載置面113-1~113-15上により精度良く設置することができるため、二つのレーザ光B間に隙間Gをより小さく設定することができ、ひいては、二つのレーザ光Bの光軸間の距離D、さらにはミラー300-1~300-15の第一方向X1における設置間隔Lをより小さく設定することができる。これにより、半導体レーザモジュール10Aを、第一方向X1によりコンパクトに構成することができる。
【0057】
また、第1実施形態の半導体レーザモジュール10A(レーザ装置)は、第二頂面122(表面)上に突出し、シリンドリカルレンズ411(光学部品)を支持する支持部材141(第二支持部材)を備えている。
【0058】
このような構成によれば、支持部材141により、シリンドリカルレンズ411の倒れや位置ずれを抑制することができる。また、シリンドリカルレンズ411を支持部材141にも接着等により取り付けることで、シリンドリカルレンズ411をより強固にあるいはより安定的に第二頂面122上に固定することができる。
【0059】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の半導体レーザモジュール10Bの斜視図、図8は、半導体レーザモジュール10Bの側面図、図9は、半導体レーザモジュール10Bの一部を拡大した斜視図である。図7図1とを比較すれば明らかとなるように、本実施形態のベース100Bは、上記第1実施形態のベース100Aとは異なる構成を有している。具体的には、第二部位120Bの構成が、上記第1実施形態の第二部位120Aの構成とは相違している。なお、ベース100Bの中央部100aと端部100bとの間における第一部位110Bの構成は、上記第1実施形態の第一部位110Aの構成と同様である。
【0060】
図7,8に示されるように、ベース100Bの第二部位120Bは、ベース100Bの中央部100aと端部100cとの間において、第二方向X2および第三方向Y3に延びた板状の壁121を有している。すなわち、第二部位120Bは、壁121の厚さ方向の一端(図8では上端)に位置される第二頂面122と、壁121の厚さ方向の他端(図8では下端)における第二底面123と、を有している。第二頂面122および第二底面123は、互いに平行であり、第二方向X2および第三方向Y3に延びている。ベース100Bは、図8に示されるような第三方向Y3とは反対側に見た側面視において、中央部100aで折れ曲がったV字状の外観を呈している。
【0061】
シリンドリカルレンズ411,412および光ファイバ500の支持部材130は、第1実施形態と同様に、第二頂面122上に載置されている。
【0062】
壁121(第二部位120B)は、一つの素材から加工されるなどにより、壁111(第一部位110B)と一体に作られてもよいし、壁111とは別に作られて当該壁111と結合されてもよい。第一部位110Bと第二部位120Bとが互いに結合される場合、第二部位120Bは、例えば、合成樹脂材料や金属材料で作られうる。また、その場合、当該第二部位120Bは、例えば、熱伝導率が第一部位110Bの熱伝導率より低い材料で作られてもよいし、比重が第一部位110Bの比重よりも軽い材料で作られてもよい。第一部位110Bと第二部位120Bとが一体に作られる場合、それら第一部位110Bおよび第二部位120B、すなわちベース100Bは、例えば無酸素銅のような、熱伝導率が比較的大きい金属材料で作られる。
【0063】
図9は、発光ユニット200B-1、第二コリメートレンズ210-1、およびミラー300-1の斜視図である。載置面113-1~113-15、発光ユニット200B-1~200B-15、第二コリメートレンズ210-1~210-15、およびミラー300-1~300-15は、いずれも添え字毎に、図9と同じスペック(形状、配置等)を有している。
【0064】
図9に一例が示されるように、発光ユニット200B-1~200B-15は、ケース201-1~201-15と、当該ケース201-1~201-15内に収容された発光素子204-1~204-15と、ケース201-1~201-15から露出した第一コリメートレンズ202-1~202-15と、を有している。発光ユニット200B-1~200B-15は、ケース201-1~201-15内に収容されたサブマウント(不図示)上に実装されている。発光ユニット200B-1~200B-15およびサブマウントは、気密封止されたケース201-1~201-15内に収容されている。ケース201-1~201-15は、ハウジングとも称されうる。
【0065】
発光素子204-1~204-15は、例えば、半導体レーザ素子であり、ケース201-1~201-15内で、第三方向Y3に向けてレーザ光を出射する。発光ユニット200B-1~200B-15は、発光素子204-1~204-15の進相軸(FB)が、第二方向X2および第三方向Y3と直交する方向、言い換えると載置面113-1~113-15と直交する方向に沿い、かつ遅相軸(SB)が、第二方向X2に沿うように、実装される。また、ケース201-1~201-15からは、第三方向Y3と反対方向に、発光素子204-1~204-15に駆動電流を供給するリード205が突出している。なお、第2実施形態の半導体レーザモジュール10Bは、上記第1実施形態の発光ユニット200A-1~200A-15を備えてもよいし、逆に上記第1実施形態の半導体レーザモジュール10Aが、第二実施形態の発光ユニット200B-1~200B-15を備えてもよい。
【0066】
以上、説明したように、第2実施形態の半導体レーザモジュール10B(レーザ装置)では、ベース100Bは、複数の載置面113-1~113-15と第一底面114(底面)とを有し第一方向X1に延びた第一部位110Bと、光ファイバ500を支持し第二方向X2に延びた第二部位120Bと、を有している。
【0067】
このような構成によれば、例えば、第二部位120Bをより薄くすることができ、ベース100Bひいては半導体レーザモジュール10Bを、より小型にあるいはより軽量に構成することができる。
【0068】
また、第2実施形態の半導体レーザモジュール10Bでは、発光ユニット200B-1~200B-15は、それぞれ発光素子204-1~204-15を収容するケース201-1~201-15を有している。
【0069】
このような構成によれば、例えば、発光素子204-1~204-15のガスや塵芥からの保護性をより高めることができる。
【0070】
さらに、第2実施形態の半導体レーザモジュール10Bでは、ケース201-1~201-15は、発光素子204-1~204-15を、当該ケース201-1~201-15内に気密封止している。
【0071】
このような構成によれば、例えば、発光素子204-1~204-15のガスや塵芥からの保護性をより一層高めることができる。
【0072】
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態の半導体レーザモジュール10Cの側面図である。図10図2,8と比較すれば明らかとなるように、本実施形態のベース100Cは、上記第1実施形態のベース100Aおよび第2実施形態のベース100Bとは異なる構成を有している。具体的には、第1実施形態のように三角柱状の第二部位120Aを有したり、第2実施形態のように第一部位110Bと第二部位120Bとが中央部100aで折れ曲がったりすることなく、端部100bと端部100cとの間に渡る平板状の形状を有している。
【0073】
このような構成を実現するため、本実施形態では、光学部品400として、ウエッジプリズム421を備えている。ウエッジプリズム421は、図10中に破線で示されるように、複数のミラー300-1~300-15から第二方向X2へ進む複数のレーザ光を、第一方向X1へ向かわせる。言い換えると、ウエッジプリズム421により、互いに平行な複数のレーザ光の進行方向が、第一方向X1から第二方向X2に変化する。よって、ウエッジプリズム421から光ファイバ500の端部500aに至るまでの複数のレーザ光の光束の中心軸Axが、第一方向X1に沿うため、ウエッジプリズム421、シリンドリカルレンズ411,412、および光ファイバ500の端部500aを、ウエッジプリズム421に対して第一方向X1に並べることができる。これにより、図10に示されるように、第一部位110Cと第二部位120C、壁111と壁121、第一頂面112と第二頂面122、および第一底面114と第二底面123を、第一方向X1に沿って並べることができる。ウエッジプリズム421は、第二偏向部品の一例である。なお、第二偏向部品は、ウエッジプリズム421とは異なる光学部品であってもよい。また、半導体レーザモジュール10Cは、複数の発光ユニット200B-1~200B-15に替えて複数の発光ユニット200A-1~200A-15を有してもよい。
【0074】
以上、説明したように、第3実施形態の半導体レーザモジュール10C(レーザ装置)では、光学部品400は、複数のミラー300-1~300-15(第一偏向部品)から第二方向X2へ進むレーザ光を第一方向X1へ向かわせるウエッジプリズム421(第二偏向部品)を有する。
【0075】
このような構成によれば、例えば、ベース100Cひいては半導体レーザモジュール10Cを全体的により平坦にあるいはより直線的に構成することができ、半導体レーザモジュール10Cをよりコンパクトに構成できたり、ひいては半導体レーザモジュール10Cをよりレイアウトしやすくなったり、といった効果が得られる。
【0076】
[第4実施形態]
図11は、第4実施形態の半導体レーザモジュール10Dの斜視図、図12は、半導体レーザモジュール10Dの一部を拡大した平面図である。図11に示されるように、本実施形態では、第一部位110D(ベース100D)の第四方向Z4の一端(図11では上端)において、複数の載置面113-1~113-15が第一方向X1に一定のピッチ(インタバル)で並ぶ複数の列LA,LBが、第三方向Y3に間隔をあけて設けられている。また、各列LA,LBにおいて、複数の発光ユニット200A-1~200A-15は、第一方向X1に等間隔で並び、複数の第二コリメートレンズ210-1~210-15は、第一方向X1に等間隔で並び、複数のミラー300-1~300-15は、第一方向X1に等間隔で並んでいる。ただし、本実施形態では、列LAと列LBとで、複数の発光ユニット200A-1~200A-15、複数の第二コリメートレンズ210-1~210-15、および複数のミラー300-1~300-15は、二つの列LA,LBの間で第一方向X1および第二方向X2に沿い第三方向Y3と直交する仮想平面(不図示)に対して面対称に配置されている。すなわち、列LAでは、第二コリメートレンズ210-1~210-15の列が、発光ユニット200A-1~200A-15の列から第三方向Y3に離間し、ミラー300-1~300-15の列LA1が、第二コリメートレンズ210-1~210-15の列から第三方向Y3に離間しているのに対し、列LBでは、第二コリメートレンズ210-1~210-15の列が、発光ユニット200A-1~200A-15の列から第三方向Y3の反対方向に離間し、ミラー300-1~300-15の列LB1が、第二コリメートレンズ210-1~210-15の列から第三方向Y3の反対方向に離間している。しかしながら、このような配置は一例であって、必ずしも面対称に配置される必要は無い。第三方向Y3は、第一方向X1と直交する方向の一例である。
【0077】
また、本実施形態でも、上記第3実施形態と同様に、ウエッジプリズム421A,421Bが設けられている。ウエッジプリズム421A,421Bは、第二部位120Dの第二頂面122上に載置されている。列LAに対応したウエッジプリズム421Aは、列LA1中の複数のミラー300-1~300-15から第二方向X2へ進む複数のレーザ光を、第一方向X1へ向かわせ、列LBに対応したウエッジプリズム421Bは、列LB1中の複数のミラー300-1~300-15から第二方向X2へ進む複数のレーザ光を、第一方向X1へ向かわせる。本実施形態においても、例えば、ベース100Dひいては半導体レーザモジュール10Dを全体的により平坦にあるいはより直線的に構成することができ、半導体レーザモジュール10Dをよりコンパクトに構成できたり、半導体レーザモジュール10Dをよりレイアウトしやすくなったり、といった効果が得られる。
【0078】
さらに、本実施形態では、図11,12に示されるように、半導体レーザモジュール10Dは、ミラー450と、半波長板430と、偏波合成素子440と、を備えている。ミラー450、半波長板430、および偏波合成素子440は、第二部位120Dの第二頂面122上に載置されている。列LA1中の複数のミラー300-1~300-15からのウエッジプリズム421Aを経由した第一方向X1へ進むレーザ光BAは、偏波合成素子440の第一入射面440aに入射する。第一入射面440aは、偏波合成素子440の第一方向X1とは反対方向の端部に位置し、ウエッジプリズム421Aと面している。他方、列LB1中の複数のミラー300-1~300-15からの複数のレーザ光BB(第二レーザ光)は、ミラー450および半波長板430を経由して、偏波合成素子440の第二入射面440bに入射する。ミラー450は、列LB1中の複数のミラー300-1~300-15からのウエッジプリズム421Aを経由した第一方向X1へ進むレーザ光BBを、第三方向Y3とは反対方向に向かわせる。ミラー450からの第三方向Y3とは反対方向に向かうレーザ光BBは、半波長板430を経由して偏波合成素子440の第二入射面440bに入射する。第二入射面440bは、偏波合成素子440の第三方向Y3の端部に位置し、半波長板430と面している。半波長板430を経由することにより、列LB1中の複数のミラー300-1~300-15からのレーザ光LBの偏波方向が90°回転する。偏波合成素子440は、偏波方向が互いに直交するレーザ光BAとレーザ光BBとを偏波合成し、出射面440cから第一方向X1に向けて出力する。出射面440cは、偏波合成素子440の第一方向X1の端部に位置し、シリンドリカルレンズ411と面している。
【0079】
偏波合成素子440から出射した複数のレーザ光は、シリンドリカルレンズ411,412を経由して、光ファイバ500の端部500aに向かう。なお、半導体レーザモジュール10Dは、複数の発光ユニット200A-1~200A-15に替えて複数の発光ユニット200B-1~200B-15を有してもよい。
【0080】
以上、説明したように、本実施形態の半導体レーザモジュール10D(レーザ装置)では、複数のミラー300-1~300-15(第一偏向部品)が第一方向X1に並ぶ複数の列LA1,LB1が第三方向Y3(第一方向X1と直交する方向)に間隔をあけて設けられている。
【0081】
仮に、列LA1,LB1に含まれる全てのミラー300-1~300-15が第一方向X1に一列に並ぶと、半導体レーザモジュール10Dが、第一方向X1に長くなってしまう。この点、本実施形態によれば、例えば、複数のミラー300-1~300-15が第一方向X1に並ぶ複数の列LA1,LB1が第三方向Y3に間隔をあけて設けられているため、半導体レーザモジュール10Dが、第一方向X1に長くなるのを抑制することができる。なお、偏波合成素子440に替えて、例えば、列LB1に含まれる全てのミラー300-1~300-15からのレーザ光をシリンドリカルレンズ411に向かわせる例えばミラーのような第三偏向部品(光学部品、不図示)が設けられ、列LA1に含まれる全てのミラー300-1~300-15からのレーザ光は、当該第三偏向部品を経由せずにシリンドリカルレンズ411に向かうような、半波長板430および偏波合成素子440を有しない構成にあっても、複数の列LA1,LB1が設けられることによる上記効果は得られる。
【0082】
また、本実施形態の半導体レーザモジュール10D(レーザ装置)では、光学部品400は、列LA1(第一列)からの第一レーザ光BAと、列LB1(第二列)からの偏波方向が当該第一レーザ光BAとは直交した第二レーザ光BBと、を偏波合成する偏波合成素子440を有する。
【0083】
このような構成によれば、例えば、偏波合成しない場合に比べて、より多くの発光ユニット200A-1~200A-15からのレーザ光を結合することができるため、半導体レーザモジュール10Dの出力をより大きくすることができる。
【0084】
[実施形態の変形例]
図13は、実施形態の変形例の半導体レーザモジュール10Eにおいて、第一部位110E(ベース100E)の載置面113-1上に配置された第二コリメートレンズ210-1、ミラー300-1、および支持部材142の斜視図である。図11に示されるように、ミラー300-1は、載置面113-1上に突出した支持部材142と隣接して設けられ、当該支持部材142に支持されている。支持部材142は、例えば、第一部位110E(ベース100E)に設けられ載置面113-1に開口した穴に圧入されることにより、取り付けられる。支持部材142は、第一支持部材の一例であり、第一位置決め部材とも称されうる。
【0085】
このような構成によれば、支持部材142により、ミラー300-1の倒れや位置ずれを抑制することができるとともに、ミラー300-1を支持部材142にも接着することで、ミラー300-1をより強固にあるいはより安定的に載置面113-1上に固定することができる。なお、図13には、載置面113-1、第二コリメートレンズ210-1、ミラー300-1、および支持部材142の一つの組み合わせのみが示されているが、載置面113-1~113-15およびミラー300-1~300-15は、いずれも添え字毎に、図13と同様の支持部材142を有することができる。また、本変形例の構成は、他の第1~第6実施形態のいずれにも適用可能である。
【0086】
[第5実施形態]
図14は、第5実施形態の半導体レーザモジュール10Fの斜視図、図15は、半導体レーザモジュール10Fの側面図である。図14図11と比較すれば明らかとなるように、複数の載置面113-1~113-15、複数の発光ユニット200A-1~200A-15、第二コリメートレンズ210-1~210-15、および複数のミラー300-1~300-15の構成は、第4実施形態と同様である。
【0087】
ただし、本実施形態の半導体レーザモジュール10Fでは、第一レーザ光BAおよび第二レーザ光BBを光ファイバ500の端部500aに導く光学部品400の構成が、上記第4実施形態とは相違する。本実施形態では、光学部品400は、ベース100Fの第二部位120F上に設けられた、ウエッジプリズム421A、ウエッジプリズム421B、ミラー450,451、シリンドリカルレンズ411F、およびシリンドリカルレンズ412を有している。なお、光学部品400の一部は、第一部位110Fや第一部位110Fと第二部位120Fとの境界などに設けられてもよい。
【0088】
具体的には、図15に示されるように、ウエッジプリズム421Aは、列LA1中の複数のミラー300-1~300-15からの第一レーザ光BAを、第一方向X1へ向かわせる。ここで、図14に示されるように、列LA1中の複数のミラー300-1~300-15のうちウエッジプリズム421Aに最も近いミラー300-15とウエッジプリズム421Aとの間の第一方向X1における距離(第一距離L1)が比較的長く設定されているため、図15に示されるように、第一レーザ光BAは、ウエッジプリズム421Aの上部421Auに入力される。これにより、ウエッジプリズム421Aからの第一レーザ光BAは、第一底面114および第一頂面112から比較的離れた位置で、第一方向X1に進み、シリンドリカルレンズ411Fの上部411Fuに入力される。ウエッジプリズム421Aは、第一光学部品の一例であり、第二偏向部品の一例でもある。
【0089】
他方、ウエッジプリズム421Bは、列LB1中の複数のミラー300-1~300-15からの第二レーザ光BBを、第一方向X1へ向かわせる。ここで、図14に示されるように、列LB1中の複数のミラー300-1~300-15のうちウエッジプリズム421Bに最も近いミラー300-15とウエッジプリズム421Bとの間の第一方向X1における距離(第二距離L2)が比較的短く設定されているため、図15に示されるように、ウエッジプリズム421Bからの第二レーザ光BBは、第一底面114および第一頂面112に比較的近い位置で、第一方向X1に進む。本実施形態では、第一距離L1は第二距離L2よりも長く設定されているため、図15に示されるように、ウエッジプリズム421Aから第一方向X1に進む第一レーザ光BAは、ウエッジプリズム421Bから第一方向X1に進む第二レーザ光BBよりも第一底面114および第一頂面112から遠くに位置される。言い換えると、ウエッジプリズム421Aから第一方向X1に進む第一レーザ光BAと、ウエッジプリズム421Bから第一方向X1に進む第二レーザ光BBとは、第四方向Z4にずれている。ウエッジプリズム421Bは、第二光学部品の一例であり、第二偏向部品の一例でもある。
【0090】
また、ウエッジプリズム421Bからの第二レーザ光BBは、二つのミラー450,451により第三方向Y3の反対方向にオフセットされ、ミラー451から第一方向X1に進む第二レーザ光BBは、シリンドリカルレンズ411Fの下部411Flに入力される。ミラー450,451は、第三光学部品の一例であり、シリンドリカルレンズ411Fは、第四光学部品の一例である。
【0091】
シリンドリカルレンズ411Fの上部411Fuに入力される第一レーザ光BAの光軸と、シリンドリカルレンズ411Fの下部411Flに入力される第二レーザ光BBの光軸とは、第四方向Z4に一列に並んでいる、言い換えると、第四方向Z4に整列されている。シリンドリカルレンズ411Fおよびシリンドリカルレンズ412は、第一レーザ光BAおよび第二レーザ光BBを、光ファイバ500の端部500aに結合する。
【0092】
以上、説明したように、本実施形態の半導体レーザモジュール10Fでは、光学部品400は、ウエッジプリズム421A(第一光学部品)、ウエッジプリズム421B(第二光学部品)、ミラー450,451(第三光学部品)、シリンドリカルレンズ411F(第四光学部品)、およびシリンドリカルレンズ412(第四光学部品)を有している。ウエッジプリズム421Aは、列LA1(第一列)から第二方向X2に進む第一レーザ光BAを第一方向X1に偏向する。ウエッジプリズム421Bは、列LB1(第二列)から第二方向X2に進む第二レーザ光BBを第一方向X1に偏向する。ウエッジプリズム421Aおよびウエッジプリズム421Bは、ウエッジプリズム421Aから第一方向X1に進む第一レーザ光BAと、ウエッジプリズム421Bから第一方向X1に進む第二レーザ光BBとが、第四方向Z4にずれるように設けられている。ミラー450,451は、第二レーザ光BBを第三方向Y3にオフセットして、第一レーザ光BAと第二レーザ光BBとを第四方向Z4に並べる。そして、シリンドリカルレンズ411F,412は、第四方向Z4に並んだ第一レーザ光BAと第二レーザ光BBとを、光ファイバ500に向けて集束する。
【0093】
このような構成によれば、第一レーザ光BAと第二レーザ光BBとを第四方向Z4にずらす、言い換えると空間的に離散化することができるため、偏波合成素子440が無い構成であっても、第一レーザ光BAと第二レーザ光BBとを光ファイバ500に結合することができる。なお、本実施形態では、第三光学部品としてのミラー450,451は、第二レーザ光BBを第三方向Y3の反対方向にオフセットしたが、これには限定されず、第一レーザ光BAを第三方向Y3にオフセットしてもよいし、第一レーザ光BAおよび第二レーザ光BBを第三方向Y3あるいは第三方向Y3の反対方向にオフセットしてもよい。
【0094】
また、本実施形態の半導体レーザモジュール10Fでは、ウエッジプリズム421A(第一光学部品)から第一方向X1に進む第一レーザ光BAは、ウエッジプリズム421B(第二光学部品)から第一方向X1に進む第二レーザ光BBよりも、第一底面114(底面)から離れて位置される。列LA1(第一列)に含まれるミラー300-1~300-15(第一偏向部品)が載置される載置面113-1~113-15が延びる方向であって第一レーザ光BAの進む方向である第二方向X2と、列LB1(第二列)に含まれるミラー300-1~300-15が載置される載置面113-1~113-15が延びる方向であって第二レーザ光BBの進む方向である第二方向X2とが、平行である。また、列LA1に含まれるミラー300-1~300-15のうちウエッジプリズム421Aに最も近いミラー300-15と当該ウエッジプリズム421Aとの間の第一方向X1における第一距離L1が、列LB1に含まれるミラー300-1~300-15のうちウエッジプリズム421Bに最も近いミラー300-15と当該ウエッジプリズム421Bとの間の第一方向X1における第二距離L2よりも長い。
【0095】
このような構成によれば、第一レーザ光BAと第二レーザ光BBとを第四方向Z4にずれる半導体レーザモジュール10Fを、比較的簡素な構成によって実現することができる。また、二つの列LA1,LA2について、載置面113-1~113-15の角度が同じであるため、当該角度が相違する構成に比べて、製造の手間やコストが低減されやすい。
【0096】
[第6実施形態]
図16は、第6実施形態の半導体レーザモジュール10Gの斜視図である。図16図15と比較すれば明らかとなるように、本実施形態の半導体レーザモジュール10Gは、上記第5実施形態の半導体レーザモジュール10Fと同様の構成要素を有している。すなわち、本実施形態でも、光学部品400は、ベース100Gの第二部位120G上に設けられた、ウエッジプリズム421A、ウエッジプリズム421B、ミラー450,451、シリンドリカルレンズ411G、およびシリンドリカルレンズ412を有している。なお、光学部品400の一部は、第一部位110Gや第一部位110Gと第二部位120Gとの境界などに設けられてもよい。
【0097】
ただし、本実施形態の半導体レーザモジュール10Gでは、列LA1に関する第二方向X21と、列LB1に関する第二方向X22とが、同一ではなく、非平行である。第二方向X21は、列LA1中に含まれるミラー300-1~300-15が載置される載置面113-1~113-15が延びる方向であって、当該列LA1中に含まれるミラー300-1~300-15からの第一レーザ光BAが進む方向である。また、第二方向X22は、列LB1に含まれるミラー300-1~300-15が載置される載置面113-1~113-15が延びる方向であって、当該列LB1中に含まれるミラー300-1~300-15からの第二レーザ光BBが進む方向である。ここで、本実施形態では、第一方向X1に対する第二方向X21の第一仰角θ1が、第一方向X1に対する第二方向X22の第二仰角θ2よりも大きい。これにより、列LA1中に含まれるミラー300-1~300-15のうちウエッジプリズム421Aに最も近いミラー300-15とウエッジプリズム421Aとの第一距離L1が比較的短い場合にあっても、列LA1中に含まれるミラー300-1~300-15からの第一レーザ光BAは、ウエッジプリズム421Aの上部421Auに入力される。ウエッジプリズム421Aは、第二方向X21に進む第一レーザ光BAを、第一方向X1に偏向する。他方、ウエッジプリズム421Bは、列LB1中に含まれるミラー300-1~300-15からの第二方向X22に進む第二レーザ光BBを、第一方向X1に偏向する。ウエッジプリズム421Bから第一方向X1に進む第二レーザ光BBは、上記第5実施形態と同様に、ミラー450,451を経由して第三方向Y3の反対方向にオフセットされる。
【0098】
このような構成にあっても、上記第5実施形態と同様に、シリンドリカルレンズ411Gの上部411Guには、第一方向X1に進む第一レーザ光BAが入力され、シリンドリカルレンズ411Gの下部411Glには、第一方向X1に進む第二レーザ光BBが入力される。言い換えると、シリンドリカルレンズ411Gの上部411Guに入力される第一レーザ光BAは、シリンドリカルレンズ411Gの下部Glに入力される第二レーザ光BBよりも、第一底面114および第二頂面122から離れている。さらに、ミラー450,451によるオフセットにより、シリンドリカルレンズ411Gの上部411Guに入力される第一レーザ光BAの光軸と、シリンドリカルレンズ411Gの下部411Glに入力される第二レーザ光BBの光軸とは、第四方向Z4に一列に並んでいる、言い換えると、第四方向Z4に整列されている。そして、シリンドリカルレンズ411Gおよびシリンドリカルレンズ412は、第一レーザ光BAおよび第二レーザ光BBを、光ファイバ500の端部500aに結合する。
【0099】
以上、説明したように、本実施形態の半導体レーザモジュール10Gでは、ウエッジプリズム421A(第一光学部品)から第一方向X1に進む第一レーザ光BAは、ウエッジプリズム421B(第二光学部品)から第一方向X1に進む第二レーザ光BBよりも、第一底面114(底面)から離れている。また、第二方向X21の第一方向X1に対する第一仰角θ1は、第二方向X22の第一方向X1に対する第二仰角θ2よりも、大きい。
【0100】
このような構成によれば、例えば、ウエッジプリズム421Aと当該ウエッジプリズム421に最も近いミラー300-15との第一距離L1をより短くすることができ、ひいては、半導体レーザモジュール10Gを第一方向X1により短く構成することができる。
【0101】
[第7実施形態]
図17は、第7実施形態の半導体レーザモジュール10Hの一部の斜視図である。図17図3等と比較すれば明らかとなるように、本実施形態の半導体レーザモジュール10Hは、ミラー300-1~300-15(第一偏向部品)を有さず、ベース100Hの第一部位110Hに設けられた載置面113-1~113-15のそれぞれにおいて、発光ユニット200A-1~200A-15(発光素子204-1~204-15および第一コリメートレンズ202-1~202-15)と、第二コリメートレンズ210-1~210-15とが、方向X2(第二方向)に並び、発光素子204-1~204-15からのレーザ光が、第一コリメートレンズ202-1~202-15および第二コリメートレンズ210-1~210-15を経由して、方向X2に向けて出射され、シリンドリカルレンズ411,412(図1図10参照)やウエッジプリズム421(図10参照)のような光学部品400を経由して光ファイバ500の端部500aに結合される。なお、本実施形態でも、複数の発光ユニット200A-1~200A-15(発光素子204-1~204-15および第一コリメートレンズ202-1~202-15)は、方向X1(第一方向)に並んでいる。また、本実施形態では、複数の第二コリメートレンズ210-1~210-15も、方向X1(第一方向)に並んでいる。
【0102】
このような構成によれば、ミラー300-1~300-15(第一偏向部品、光学部品)を省略することができる分、部品点数が減り、製造の手間やコストが低減されやすい。また、半導体レーザモジュール10Hの方向Y3(第三方向)の幅をより狭くすることができ、当該方向Y3においてよりコンパクトな半導体レーザモジュール10Hを構成することができる。
【0103】
以上、本発明の実施形態および変形例が例示されたが、上記実施形態および変形例は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0104】
また、例えば、ベースの底面には、例えば放熱フィンのようなヒートシンク(放熱部材)が接続されてもよいし、ベースとヒートシンクとが一体化されてもよい。ベースとヒートシンクとが一体化された構成にあっては、ベースは、第一方向に延びた厚さが略一定の板状の部位である。
【0105】
また、発光ユニットは、少なくとも発光素子を有するものであればよく、発光ユニットの構成部品や構造は、上記実施形態や変形例に開示されたものには限定されない。例えば、発光ユニットは、第一コリメートレンズを含まなくてもよい。また、例えば、発光ユニットは、ケースやサブマウントに加えて、第一コリメートレンズや、第二コリメートレンズを含んでもよいし、さらに第一偏向部品を含んでもよい。また、発光素子は、半導体レーザ素子には限定されない。
【0106】
また、例えば、第二レーザ光は、半波長板を介さずとも第一レーザ光に対する偏波方向が直交していてもよい。
【0107】
また、光学部品は、例えば、レーザ装置のハウジング(ケーシング)のようなベース以外の部品に設けられてもよい。
【0108】
また、本発明は、以下の[1]~[3]のような態様として実施することができる。
[1]
前記光学部品は、
前記複数の列に含まれる第一列からの前記第二方向に進む第一レーザ光を前記第一方向に偏向する第一光学部品と、
前記複数の列に含まれる第二列からの前記第二方向に進む第二レーザ光を前記第一方向に偏向する第二光学部品であって、当該第二光学部品から前記第一方向に進む前記第二レーザ光が前記第一光学部品から前記第一方向に進む前記第一レーザ光に対して前記第一方向および前記第三方向と直交する第四方向にずれるように設けられた、前記第二光学部品と、
前記第一光学部品から前記第一方向に進む前記第一レーザ光、および前記第二光学部品から前記第一方向に進む前記第二レーザ光のうち少なくとも一方を前記第三方向にオフセットして、当該第一レーザ光と当該第二レーザ光とを前記第四方向に並べる第三光学部品と、
前記第四方向に並んだ前記第一レーザ光と前記第二レーザ光とを前記光ファイバに向けて集束する第四光学部品と、
を有した、請求項2に記載のレーザ装置。
[2]
前記第一光学部品から前記第一方向に進む前記第一レーザ光は、前記第二光学部品から前記第一方向に進む前記第二レーザ光よりも前記底面から離れ、
前記第一列に含まれる前記第一偏向部品が載置される前記載置面が延びる方向であって当該第一列からの前記第一レーザ光が進む方向である前記第二方向と、前記第二列に含まれる前記第一偏向部品が載置される前記載置面が延びる方向であって当該第二列からの前記第二レーザ光が進む方向である前記第二方向とが、平行であり、
前記第一列のうち前記第一光学部品に最も近い前記第一偏向部品と前記第一光学部品との第一方向における第一距離が、前記第二列のうち前記第二光学部品に最も近い前記第一偏向部品と前記第二光学部品との第一方向における第二距離よりも長い、[1]に記載のレーザ装置。
[3]
前記第一光学部品から前記第一方向に進む前記第一レーザ光は、前記第二光学部品から前記第一方向に進む前記第二レーザ光よりも前記底面から離れ、
前記第一列に含まれる前記第一偏向部品が載置される前記載置面が延びる方向であって当該第一列からの前記第一レーザ光が進む方向である前記第二方向の前記第一方向に対する第一仰角が、前記第二列に含まれる前記第一偏向部品が載置される前記載置面が延びる方向であって当該第二列からの前記第二レーザ光が進む方向である前記第二方向の前記第一方向に対する第二仰角よりも大きい、[1]に記載のレーザ装置。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、レーザ装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0110】
10A~10H…半導体レーザモジュール(レーザ装置)
100A~100H…ベース
100a…中央部
100b…端部
100c…端部
110A~110H…第一部位
111…壁
112…第一頂面
113-1~113-15…載置面
114…第一底面(底面)
120A~120D…第二部位
121…壁
122…第二頂面(表面)
123…第二底面
130…支持部材
141…支持部材(第二支持部材)
142…支持部材(第一支持部材)
200A-1~200A-15…発光ユニット
200B-1~200B-15…発光ユニット
201-1~201-15…ケース
202-1~202-15…第一コリメートレンズ
203-1~203-15…サブマウント
204-1~204-15…発光素子
205…リード
210-1~210-15…第二コリメートレンズ
300-1~300-15…ミラー(第一偏向部品、光学部品)
400…光学部品
411…シリンドリカルレンズ
411F,411G…シリンドリカルレンズ(第四光学部品)
411Fu,411Gu…上部
411Fl,411Gl…下部
412…シリンドリカルレンズ(第四光学部品)
421…ウエッジプリズム(第二偏向部品)
421A…ウエッジプリズム(第一光学部品、第二偏向部品)
421B…ウエッジプリズム(第二光学部品、第二偏向部品)
421Au…上部
430…半波長板
440…偏波合成素子
440a…第一入射面
440b…第二入射面
440c…出射面
450…ミラー(第三光学部品)
451…ミラー(第三光学部品)
500…光ファイバ
500a…端部
Ax…中心軸
B…レーザ光
BA…レーザ光(第一レーザ光)
BB…レーザ光(第二レーザ光)
d…ビーム径
D…距離
G…隙間
L…設置間隔
L1…第一距離
L2…第二距離
LA,LB…(載置面の)列
LA1,LB1…(ミラーの)列
M…素材
X1…第一方向
X2…第二方向
Y3…第三方向(第一方向と直交する方向)
Z4…第四方向
θ…角度(仰角)
θ1…第一仰角
θ2…第二仰角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17