(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 6/27 20060101AFI20241022BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20241022BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G02B6/27
G02B6/42
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2020199927
(22)【出願日】2020-12-01
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長島 和哉
(72)【発明者】
【氏名】石川 陽三
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 常祐
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 泰彰
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513071(JP,A)
【文献】特開2020-034801(JP,A)
【文献】特開平04-282608(JP,A)
【文献】特開2008-268245(JP,A)
【文献】国際公開第2020/138337(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0171029(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する偏波状態を有する2つの光が入力されると該2つの光を偏波合成して出力し、光が入力されると互いに直交する偏波状態を有する2つの光に偏波分波して出力する偏波合分波部を有する本体部と、第1偏光子と、第1入力部と、第2入力部と、第3入力部と、第1出力部と、第2出力部とを有する偏波制御器と、
前記偏波制御器を経由して光が入力され、前記偏波制御器を経由して光を出力する光素子と、
第1光ファイバと、
を備え、
前記光素子は、第1光と第2光とを前記偏波制御器に出力し、
前記偏波制御器は、前記第1入力部から入力された前記第1光と前記第2入力部から入力された前記第2光とを前記偏波合分波部において偏波合成して第3光として第1出力部から出力し、
前記偏波制御器は、
前記第1光ファイバから出力されて前記第3入力部から入力された第4光を
前記第1偏光子に通過させて前記第2出力部から前記光素子に出力
し、
前記偏波制御器は、前記第2光の偏波方向を回転させる半波長板をさらに備え、当該半波長板は、前記本体部に対して前記第1偏光子とは反対側に位置しており、前記第1偏光子とは物理的な干渉が生じていない
光モジュール。
【請求項2】
前記偏波制御器は、前記第1光を通過させる第2偏光子を備える
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記第1偏光子と前記第2偏光子とは一体に構成されている
請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記偏波制御器は、前記第2光を通過させる第3偏光子を備える
請求項1~3のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項5】
前記第1光ファイバは偏波保持光ファイバである
請求項1~4のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項6】
第2光ファイバを備え、
前記偏波制御器は、前記第3光を前記第2光ファイバに出力する
請求項1~
5のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項7】
前記第2光ファイバは偏波無依存光ファイバである
請求項
6に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記偏波制御器が備える偏光子は、ガラス、方解石、YVO
4、Li
2B
4O
7、およびTiO
2の少なくとも一つからなる
請求項1~
7のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項9】
前記偏波制御器が備える偏光子は、前記本体部に接合がされている
請求項1~
8のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項10】
前記接合は接着剤による
請求項
9に記載の光モジュール。
【請求項11】
前記接着剤は前記偏波制御器に入力される光に対して透明である
請求項
10に記載の光モジュール。
【請求項12】
前記接合は光学接合による
請求項
9に記載の光モジュール。
【請求項13】
前記光素子は、変調器、コヒーレントミキサ、光源または受光素子である
請求項1~
12のいずれか一つに記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
偏波合分波部を有する偏波制御器が知られている。偏波合分波部は、互いに直交する偏波状態を有する2つの光が入力されると該2つの光を偏波合成して出力する。また、光の相反性によって、偏波合分波部は、光が入力されると互いに直交する偏波状態を有する2つの光に偏波分波して出力する。このような偏波制御器は、たとえば光通信用の変調器モジュールに使用されている。変調器モジュールは、光モジュールの一種であり、変調器を備えている。変調器は、たとえば、光が入力されるとその光を変調し、互いに直交する偏波状態を有する2つの光として出力する。偏波制御器は、変調器から入力された2つの光を偏波合成して、変調器モジュールから出力する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
変調器は、入力される光の偏波状態が所望の偏波状態でない場合、設定された所望の性能を最大限に発揮できない場合があるという問題がある。たとえば、変調器は、入力される光が、偏光度が低い直線偏波状態である場合、出力する2つの光の変調度が低下する場合がある。変調器に限らず、その性能が光の偏波状態に依存する光素子の場合、同様の問題が発生しうる。
【0005】
しかしながら、光の偏波状態を所望の偏波状態にするために偏波状態の調整作業に時間を要したり、調整しても所望の精度が得られない場合があり、光モジュールの組み立ての難易度が高くなる場合がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、組み立て難易度が高くなることを抑制し、かつ光の偏波状態に応じた性能の低下を抑制できる光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様は、互いに直交する偏波状態を有する2つの光が入力されると該2つの光を偏波合成して出力し、光が入力されると互いに直交する偏波状態を有する2つの光に偏波分波して出力する偏波合分波部を有する本体部と、第1偏光子と、第1入力部と、第2入力部と、第3入力部と、第1出力部と、第2出力部とを有する偏波制御器と、前記偏波制御器を経由して光が入力され、前記偏波制御器を経由して光を出力する光素子と、を備え、前記光素子は、第1光と第2光とを前記偏波制御器に出力し、前記偏波制御器は、前記第1入力部から入力された前記第1光と前記第2入力部から入力された前記第2光とを前記偏波合分波部において偏波合成して第3光として第1出力部から出力し、前記偏波制御器は、前記第3入力部から入力された第4光を第1偏光子に通過させて前記第2出力部から前記光素子に出力する光モジュールである。
【0008】
前記偏波制御器は、前記第1光を通過させる第2偏光子を備えるものでもよい。
【0009】
前記第1偏光子と前記第2偏光子とは一体に構成されているものでもよい。
【0010】
前記偏波制御器は、前記第2光を通過させる第3偏光子を備えるものでもよい。
【0011】
前記光モジュールは、前記第4光を前記偏波制御器に出力する第1光ファイバを備えるものでもよい。
【0012】
前記第1光ファイバは偏波保持光ファイバであるものでもよい。
【0013】
前記光モジュールは、第2光ファイバを備え、前記偏波制御器は、前記第3光を前記第2光ファイバに出力するものでもよい。
【0014】
前記第2光ファイバは偏波無依存光ファイバであるものでもよい。
【0015】
前記偏波制御器は、前記第2光の偏波方向を回転させる半波長板を備えるものでもよい。
【0016】
前記偏波制御器が備える偏光子は、ガラス、方解石、YVO4、Li2B4O7、およびTiO2の少なくとも一つからなるものでもよい。
【0017】
前記偏波制御器が備える偏光子は、前記本体部に接合がされているものでもよい。
【0018】
前記接合は接着剤によるものでもよい。
【0019】
前記接着剤は前記偏波制御器に入力される光に対して透明であるものでもよい。
【0020】
前記接合は光学接合によるものでもよい。
【0021】
前記光素子は、変調器、コヒーレントミキサ、光源または受光素子であるものでもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る光モジュールは、組み立て難易度が高くなることを抑制し、かつ光の偏波状態に応じた性能の低下を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る光モジュールの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、偏波制御器の変形例1を示す模式図である。
【
図3】
図3は、偏波制御器の変形例2を示す模式図である。
【
図4】
図4は、偏波制御器の変形例3を示す模式図である。
【
図5】
図5は、偏波制御器の変形例4を示す模式図である。
【
図6】
図6は、偏波制御器の変形例5を示す模式図である。
【
図7】
図7は、偏波制御器の変形例6を示す模式図である。
【
図8】
図8は、偏波制御器の変形例7を示す模式図である。
【
図9】
図9は、偏波制御器の変形例8を示す模式図である。
【
図10】
図10は、偏波制御器の変形例9を示す模式図である。
【
図11】
図11は、偏波制御器の変形例10を示す模式図である。
【
図12】
図12は、偏波制御器の変形例11を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して実施形態について説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0025】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る光モジュールの構成を示す模式図である。
【0026】
光モジュール100は、筐体1と、筐体1に収容された部品と、筐体1に挿入された第1光ファイバ2と、第2光ファイバ3とを備えている。
【0027】
筐体1に収容された部品は、偏波制御器4と、光素子である変調器5と、レンズ6,7,8,9,10と、フォトダイオードなどの受光素子11,12,13と、ビームスプリッタ14である。
【0028】
偏波制御器4は、本体部4aと、第1偏光子4bと、第1入力部4cと、第2入力部4dと、第3入力部4eと、第1出力部4fと、第2出力部4gと、半波長板4hと、偏光子4iとを有する。
【0029】
本体部4aは、偏波合分波部4a1と、反射部4a2とを備える。本体部4aは、略直方体形状であり、ガラス、方解石、YVO4、Li2B4O7、およびTiO2の少なくとも一つからなる。
【0030】
第1入力部4c、第2出力部4g、第2入力部4dは、本体部4aの変調器5側の同一面側にこの順番で配列されている。第3入力部4e、第1出力部4fは、本体部4aの第1および第2光ファイバ2、3側の同一面側に配列されている。
【0031】
変調器5は、光入力部5aと、光出力部5b,5cとを有する。
【0032】
第1光ファイバ2は、たとえば偏波保持光ファイバであり、第4光としての光L1を偏波制御器4に出力する。光L1は略P偏波である略直線偏波状態を有する。P偏波は本実施形態では偏波方向が図面に平行方向である。レンズ6は光L1をコリメートして偏波制御器4の第3入力部4eに入力させる。
【0033】
偏波制御器4は、第3入力部4eから入力された光L1を第1偏光子4bに通過させて第2出力部4gから変調器5に出力する。第1偏光子4bは、P偏波を通過させるように配置されており、たとえば、本体部4aに接着剤や光学接合によって接合されている。接着剤は、偏波制御器4に入力される光L1に対して透明であることが好ましい。光学接合とは、接合すべき面を高精度の研磨などによって平滑性を高くし、接着剤等を使用せずに接合する技術である。
【0034】
第1偏光子4bは、ガラス、方解石、YVO4、Li2B4O7、およびTiO2の少なくとも一つからなる。また、第1偏光子4bは、ガラスの表面に、たとえば金属からなる微細なグリッドを形成して構成することもできる。
【0035】
光L1が第1偏光子4bを通過することにより変調器5に出力される光L1の偏光度が高くなる。レンズ7は光L1を集光して変調器5の光入力部5aに入力させる。
【0036】
変調器5は、偏波制御器4を経由して入力された光L1を変調して、変調光としての第1光である光L2を光出力部5bから出力し、第2光である光L3を光出力部5cから出力する。光L2、L3は、たとえばそれぞれI変調、Q変調されている。光L2、L3は、略P偏光である略直線偏波状態を有する。
【0037】
レンズ8は、光L2をコリメートして偏波制御器4の第1入力部4cに入力させる。レンズ9は、光L3をコリメートして偏波制御器4の第2入力部4dに入力させる。
【0038】
偏波制御器4は、第2入力部4dにおいて半波長板4hを備える。たとえば、本体部4aに接着剤や光学接合によって接合されている。半波長板4hは光L3の偏波方向を回転させて、略S偏光とする。ここで、S偏波とP偏波とは偏光状態が互いに直交する直線偏波状態である。半波長板4hは、本体部4aに対して第1偏光子4bとは反対側に位置する。これにより半波長板4hと第1偏光子4bとの物理的な干渉が発生しない。
【0039】
反射部4a2は、光L3を偏波合分波部4a1に向けて反射する。なお、光L3の一部は反射部4a2を透過して受光素子11に入力する。受光素子11は受光強度に応じた電気信号を出力する。この電気信号は光L3の強度モニタに使用される。
【0040】
偏波合分波部4a1は、光L2と光L3とを偏波合成して、第3光である光L4として第1出力部4fから出力する。なお、光L2の一部は偏波合分波部4a1で反射して、偏光子4iを通過した後に受光素子12に入力する。受光素子12は受光強度に応じた電気信号を出力する。この電気信号は光L2の強度モニタに使用される。偏光子4iは、P偏波を通過させるように配置されており、本体部4aに接着剤や光学接合によって接合されている。偏光子4iは偏波合分波部4a1からの光L3の漏れ光が受光素子12に入力することを抑制する。これにより受光素子12における光L2のモニタ精度の低下が抑制される。
【0041】
ビームスプリッタ14は、光L4の一部を受光素子13に向けて反射し、受光素子13に入力させる。受光素子13は受光強度に応じた電気信号を出力する。この電気信号は光L4の強度モニタに使用される。レンズ10は、光L4を集光して第2光ファイバ3に入力させる。すなわち、偏波制御器4は、光L4を第2光ファイバに出力する。第2光ファイバ3、たとえば偏波無依存光ファイバであり、偏波合成された光L4を好適に伝送できる。
【0042】
偏波制御器4では、光L1の光路は、光L2の光路と光L3の光路との間に位置する。
【0043】
以上のように構成された光モジュール100では、変調器5は、偏波制御器4を経由して光L1が入力され、偏波制御器4を経由して光L2、L3を光L4として出力する。このとき、第1光ファイバ2が出力する光L1の偏光度がある程度低くても、偏波制御器4は、第1偏光子4bによって、変調器5に出力する光L1の偏光度を高くする。その結果、変調器5が出力する2つの光L2、L3の変調度を所望の値にすることができる。
【0044】
仮に、第1光ファイバ2を、たとえば偏波保持光ファイバの光軸回りの角度を調整するなどして位置調整し、光L1の偏波状態を正確にP偏光に調整しようとすると、その調整作業は一般的に時間を要する、または調整精度が低くなる場合がある。この場合、光モジュール100の組み立ての難易度が高くなる。また、第1光ファイバ2が偏波無依存光ファイバの場合は、光L1の偏波状態を正確にP偏光に調整するのは極めて困難であり、かつ偏光状態が不安定である。
【0045】
これに対して、光モジュール100では、第1偏光子4bによって光L1の偏光度を高くしているので、光モジュール100の組み立て難易度が高くなることを抑制し、変調器5の性能の低下を抑制できる。なお、公知の技術であれば、偏波制御器4において偏波合分波部4a1や第1偏光子4bや半波長板4hを位置合わせする際の角度的な精度は、第1光ファイバ2が偏波保持光ファイバの場合の光軸回りの角度的な精度の2倍以上の精度を容易に実現できる。
【0046】
<変形例>
以下では、光モジュール100またはそれに類似した光モジュールにおいて偏波制御器4に置き換えて使用可能な偏波制御器の変形例について説明する。
(変形例1)
図2は、偏波制御器の変形例1を示す模式図である。この偏波制御器4Aは、第1偏光子4bが、本体部4aに対して半波長板4hと同じ側に接合されている点で偏波制御器4とは異なるので、その相違点を主に説明する。この偏波制御器4Aでは、光L1は、本体部4aを通過してから第1偏光子4bを通過する。
【0047】
変形例1に係る偏波制御器4Aを用いた光モジュールでは、偏波制御器4と同様に、第1偏光子4bによって光L1の偏光度を高くしているので、光モジュールの組み立て難易度が高くなることを抑制し、変調器5の性能の低下を抑制できる。
【0048】
また、偏波制御器4Aでは、第1偏光子4bが、本体部4aに対して半波長板4hと同じ側に接合されているので、第1偏光子4bと半波長板4hとの間の段差が小さくなり、第1偏光子4bと半波長板4hとの表面に一括して反射防止コーティングをし易いというメリットがある。さらに、第1偏光子4bと並べて、光L2が本体部4aへ入力する表面に、第1偏光子4bと同じ厚さであり光L2を単に透過させる機能を有するダミーのガラス板を接合すれば、本体部4aの第1偏光子が接合された側の面における段差が一層小さくなるので反射防止コーティングをより一層し易いというメリットがある。
【0049】
(変形例2)
図3は、偏波制御器の変形例2を示す模式図である。この偏波制御器4Bは、偏波制御器4にさらに第2偏光子4kと第3偏光子4jを追加した構成を有する。
【0050】
第2偏光子4kは、P偏波を通過させるように配置されており、たとえば、本体部4aに接着剤や光学接合によって接合されている。第2偏光子4kは、光L2を本体部4aに通過させる。
【0051】
第3偏光子4jは、P偏波を通過させるように配置されており、たとえば、半波長板4hに接着剤や光学接合によって接合されている。第3偏光子4jは、光L3を、半波長板4hを介して本体部4aに通過させる。
【0052】
変形例2に係る偏波制御器4Bを用いた光モジュールでは、偏波制御器4と同様に、第1偏光子4bによって光L1の偏光度を高くしているので、光モジュールの組み立て難易度が高くなることを抑制し、変調器5の性能の低下を抑制できる。
【0053】
また、偏波制御器4Aでは、第2偏光子4kが光L2を本体部4aに通過させ、第3偏光子4jが光L3を本体部4aに通過させることにより、光L2、L3の偏光度がより高くなる。その結果、本体部4aにおける偏波合成の質が向上し、偏波合成後の光L4の質も向上する。
【0054】
(変形例3)
図4は、偏波制御器の変形例3を示す模式図である。この偏波制御器4Cは、偏波制御器4Bの第3偏光子4jを削除し、第3偏光子4lを追加し、本体部4a側から第3偏光子4lと半波長板4hとをこの順番に並べた構成を有する。
【0055】
第3偏光子4lは、S偏波を通過させるように配置されており、たとえば、本体部4aに接着剤や光学接合によって接合されている。この場合、まず半波長板4hが光L3をP偏光からS偏光に変換し、第3偏光子4lがS偏光の光L3を本体部4aに通過させる。
【0056】
変形例3に係る偏波制御器4Cを用いた光モジュールでは、偏波制御器4と同様に、第1偏光子4bによって光L1の偏光度を高くしているので、光モジュールの組み立て難易度が高くなることを抑制し、変調器5の性能の低下を抑制できる。
【0057】
また、偏波制御器4Cでは、第2偏光子4kが光L2を本体部4aに通過させ、第3偏光子4lが光L3を本体部4aに通過させることにより、光L2、L3の偏光度がより高くなる。その結果、本体部4aにおける偏波合成の質が向上し、偏波合成後の光L4の質も向上する。
【0058】
さらには、偏波制御器4Cでは、まず本体部4aに第2偏光子4k、第3偏光子4lを接合し、その後半波長板4hを第3偏光子4lに接合することによって形成すれば、各偏光子の接合工程と半波長板の接合工程とを区分して行うことができる。
【0059】
(変形例4)
図5は、偏波制御器の変形例4を示す模式図である。この偏波制御器4Dは、偏波制御器4Aの第1偏光子4bを削除し、偏光子4mを追加した構成を有する。
【0060】
偏光子4mは、P偏波を通過させるように配置されており、たとえば、本体部4aに接着剤や光学接合によって接合されている。偏光子4mは、第1偏光子4bと同じように光L1の偏光度を高める機能を有するとともに、偏波制御器4Bにおける第2偏光子4kと同じように光L2の偏光度を高める機能を有する。すなわち、偏光子4mは第1偏光子と第2偏光子とが一体に構成されたものとして機能する。
【0061】
変形例4に係る偏波制御器4Dを用いた光モジュールでは、偏波制御器4と同様に、偏光子4mによって光L1の偏光度を高くしているので、光モジュールの組み立て難易度が高くなることを抑制し、変調器5の性能の低下を抑制できる。
【0062】
また、偏波制御器4Dでは、偏光子4mによって光L2の偏光度がより高くなる。その結果、本体部4aにおける偏波合成の質が向上し、偏波合成後の光L4の質も向上する。また、第1偏光子と第2偏光子とが一体に構成されたものとして機能する偏光子4mを用いることによって、本体部4aに偏光子を接合する工程を簡略化できる。
【0063】
(変形例5)
図6は、偏波制御器の変形例5を示す模式図である。この偏波制御器4Eは、変形例3の偏波制御器4Cの第1偏光子4bを偏波制御器4Dの偏光子4mに置き換え、第3偏光子4lを第3偏光子4nに置き換えた構成を有する。第3偏光子4nは第3偏光子4lと同じ機能を有する。
【0064】
変形例5に係る偏波制御器4Eを用いた光モジュールでは、偏波制御器4と同様に、偏光子4mによって光L1の偏光度を高くしているので、光モジュールの組み立て難易度が高くなることを抑制し、変調器5の性能の低下を抑制できる。
【0065】
また、偏波制御器4Eでは、偏光子4mによって光L2の偏光度がより高くなり、第3偏光子4lによって光L3の偏光度がより高くなる。その結果、本体部4aにおける偏波合成の質が向上し、偏波合成後の光L4の質も向上する。また、偏光子4mを用いることによって、本体部4aに偏光子を接合する工程を簡略化できる。
【0066】
さらには、偏波制御器4Dでは、各偏光子の接合工程と半波長板の接合工程とを区分して行うことができる。
【0067】
(変形例6)
図7は、偏波制御器の変形例6を示す模式図である。この偏波制御器4Fでは、本体部4Faを含む全体が、光L1の光路が光L3の光路に対して光L2の光路と反対側に位置するように構成されている。また、偏波制御器4Fは、第3偏光子4oを備えている。
【0068】
偏波制御器4Fでは、第1偏光子4bは、光L1が本体部4Faを通過してから第1偏光子4bを通過するように不図示の変調器5側に設けられている。
【0069】
第3偏光子4oは、P偏波を通過させるように配置されており、たとえば、半波長板4hに接着剤や光学接合によって接合されている。第3偏光子4oは、光L3を、半波長板4hを介して本体部4Faに通過させる。
【0070】
変形例6に係る偏波制御器4Fを用いた光モジュールでは、偏波制御器4と同様に、第1偏光子4bによって光L1の偏光度を高くしているので、光モジュールの組み立て難易度が高くなることを抑制し、変調器5の性能の低下を抑制できる。
【0071】
また、偏波制御器4Dでは、第2偏光子4k、第3偏光子4oによって光L2、光L3の偏光度がより高くなるので、本体部4Faにおける偏波合成の質が向上し、偏波合成後の光L4の質も向上する。
【0072】
さらには、偏波制御器4Fでは、本体部4Faを含む全体が、光L1の光路が光L3の光路に対して光L2の光路と反対側に位置するように構成されているので、たとえば偏波制御器4を使用する場合に対して、第1光ファイバ2、第2光ファイバ3の位置を変更することができ、光モジュール100から光学的レイアウトを変更できる。
【0073】
(変形例7)
図8は、偏波制御器の変形例7を示す模式図である。この偏波制御器4Gでは、本体部4Gaは、偏波合分波部4a1とは異なる偏波合分波部4a3を有する点で本体部4aとは異なる。偏波合分波部4a3は、偏波合分波部4a1に対して反射部4a2とは反対側に位置する。第1偏光子4b、半波長板4hの配置は偏波制御器4の場合と同様である。
【0074】
この偏波制御器4Gでは、光L2、L3の他に、変調器などの光素子から出力された光L5が入力される。光L5は、略P偏光である略直線偏波状態を有する。
【0075】
偏波合分波部4a1は光L2と光L3とを偏波合成して光L4として出力する。光L3の一部は偏波合分波部4a1で偏波合分波部4a3に向けて透過される。偏波合分波部4a3は、光L5と、偏波合分波部4a1で透過された光L3の一部とを偏波合成して、光L6として出力する。このとき、偏波合分波部4a3は、光L3の一部と光L5との強度比が略1:1になるように構成されることが好ましい。
【0076】
変形例7に係る偏波制御器4Gを用いた光モジュールでは、偏波制御器4と同様に、第1偏光子4bによって光L1の偏光度を高くしているので、光モジュールの組み立て難易度が高くなることを抑制し、変調器などの光素子の性能の低下を抑制できる。
【0077】
また、偏波制御器4Gを用いた場合、偏波合成された光L6を受光素子等によってモニタすることができる。
【0078】
(変形例8)
図9は、偏波制御器の変形例8を示す模式図である。この偏波制御器4H。では、本体部4Haは、偏波合分波部4a1とは異なる偏波合分波部4a3を有する偏波合分波部4a3は、偏波制御器4Gの本体部4Gaと同じ構成である。また、偏波制御器4Gにおける第1偏光子4bは偏光子4pと置き換えられている。
【0079】
光L1、L2、L5は、偏光子4pによって偏光度が高められる。また、偏波合分波部4a1は、光L2と光L3とを偏波合成して光L4として出力する。また、光L3の一部は、偏波合分波部4a1を通過し、偏波合分波部4a3に入力される。偏波合分波部4a3は、光L5と、光L3の一部とを偏波合成して、光L6として出力する。このとき、偏波合分波部4a3は、光L3の一部と光L5との強度比が略1:1になるように構成されることが好ましい。
【0080】
変形例8に係る偏波制御器4Hを用いた光モジュールでは、偏波制御器4と同様に、第1偏光子として機能する偏光子4pによって光L1の偏光度を高くしているので、光モジュールの組み立て難易度が高くなることを抑制し、変調器などの光素子の性能の低下を抑制できる。
【0081】
また、偏波制御器4Hを用いた場合、偏波合成された光L6を受光素子等によってモニタすることができる。
【0082】
(変形例9)
図10は、偏波制御器の変形例9を示す模式図である。この偏波制御器4Iは、変形例4の偏波制御器4Dとは、第4光が光L1a、光L1bの2つである点が異なる。光L1a、L1bは略P偏波である略直線偏波状態を有する。光L1a、光L1bはたとえば光L1を2分岐して生成した光である。光L1a、L1bは、偏波合分波部4a1と反射部4a2との間を通過する。
【0083】
この偏波制御器4Iは、偏波制御器4Dと同様の効果を奏する。また、光L1a、光L1bに対して一枚の偏光子4mにて偏光度を高めることができる。
【0084】
(変形例10)
図11は、偏波制御器の変形例10を示す模式図である。この偏波制御器4Jでは、本体部4Jaを含む全体が、光L1a、L1bの光路が偏波合分波部4a1および反射部4a2よりも端部側に位置するように構成されている。また、偏波制御器4Fは、第1偏光子4Jb1、4Jb2を備えている。第1偏光子4Jb1、4Jb2は、P偏波を通過させるように配置されている。
【0085】
変形例10に係る偏波制御器4Jを用いた光モジュールでは、偏波制御器4と同様に、第1偏光子4Jb1、4Jb2によって光L1a、L1bの偏光度を高くしているので、光モジュールの組み立て難易度が高くなることを抑制し、変調器などの光素子の性能の低下を抑制できる。
【0086】
(変形例11)
図12は、偏波制御器の変形例11を示す模式図である。この偏波制御器4Kでは、変形例10の偏波制御器4Jと同様に、本体部4Kaを含む全体が、光L1a、L1bの光路が偏波合分波部4a1および反射部4a2よりも端部側に位置するように構成されている。また、偏波制御器4Kは、第1偏光子4Kb1、4Kb2を備えている。第1偏光子4Kb1、4Kb2は、P偏波を通過させるように配置されている。
【0087】
変形例11に係る偏波制御器4Kを用いた光モジュールでは、偏波制御器4と同様に、第1偏光子4Kb1、4Kb2によって光L1a、L1bの偏光度を高くしているので、光モジュールの組み立て難易度が高くなることを抑制し、変調器などの光素子の性能の低下を抑制できる。さらには、第1偏光子4Kb1によって光L2の偏光度を高めることができる。
【0088】
なお、上記実施形態において、各偏波制御器の本体部は、光L1、L2、L3、L4、L5、L6のうち、光路が隣接する光の間の中心間距離が、光のモードフィールド径の1倍以上になるように構成されていることが好ましい。これにより隣接する光の干渉を防止することができる。また、各本体部は、光L1、L2、L3、L4、L5、L6のうち、光路が隣接する光の間の中心間距離が2mm以下になるように構成されていることが好ましい。これにより偏波制御器を小型化することができる。
【0089】
また、上記実施形態において、光素子は、変調器に限らず、コヒーレントミキサ、レーザ素子等の光源、またはフォトダイオード等の受光素子のように、その性能が光の偏波状態に依存する光素子でもよい。
【0090】
また、上記実施形態において、偏波制御器は光合波器として機能しているが、光の相反性により、偏波分離器としても機能し得る。
【0091】
また、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 筐体
2 第1光ファイバ
3 第2光ファイバ
4、4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、4H、4I、4J、4K 偏波制御器
4a、4Fa、4Ga、4Ha、4Ja、4Ka 本体部
4b、4Jb1、4Jb2、4Kb1、4Kb2 第1偏光子
4a1、4a3 偏波合分波部
4a2 反射部
4c 第1入力部
4d 第2入力部
4e 第3入力部
4f 第1出力部
4g 第2出力部
4h 半波長板
4i、4m、4p 偏光子
4j、4l、4o 第3偏光子
4k 第2偏光子
5 変調器
5a 光入力部
5b、5c 光出力部
6、7、8、9、10 レンズ
11、12、13 受光素子
14 ビームスプリッタ
100 光モジュール
L1、L1a、L1b、L2、L3、L4、L5、L6 光