(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-08
(45)【発行日】2025-07-16
(54)【発明の名称】アンモニアの製造方法
(51)【国際特許分類】
C01C 1/04 20060101AFI20250709BHJP
B01J 31/22 20060101ALI20250709BHJP
【FI】
C01C1/04 E
B01J31/22 M
(21)【出願番号】P 2022539484
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 JP2021027709
(87)【国際公開番号】W WO2022025046
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2024-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2020126568
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業「分子触媒を用いたアンモニア合成に関する研究」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西林 仁昭
(72)【発明者】
【氏名】荒芝 和也
(72)【発明者】
【氏名】芦田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 章一
(72)【発明者】
【氏名】菊池 隆正
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/168063(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/164182(WO,A1)
【文献】特開2010-195703(JP,A)
【文献】ASHIDA Yuya et al.,Molybdenum-Catalyzed Ammonia Formation Using Simple Monodentate and Bidentate Phosphines as Auxiliar,Inorganic Chemistry,米国,2019年06月25日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01C 1/00 - 1/28
B01J 21/00 - 38/74
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアの製造方法は、モリブデン錯体、還元剤及びプロトン源の存在下、窒素分子からアンモニアを製造する方法であって、
前記モリブデン錯体は、式(1):
【化1】
(式(1)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、炭素原子数3乃至6のアルキル基を表し、
Xはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子であり、
R
3及びR
4は、塩素原子を表す。)
で表されるモリブデン錯体であり、
前記還元剤は、ランタノイド系金属のハロゲン化物(II)であり、
前記プロトン源は、アルコール又は水であり、
前記モリブデン錯体の触媒回転頻度が、150を超える、
アンモニアの製造方法。
【請求項2】
触媒回転頻度が、250を超える、請求項1に記載のアンモニア製造方法。
【請求項3】
30分間の製造時間で、前記触媒回転頻度を得ることができる、請求項1または請求項2に記載のアンモニア製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒素分子からアンモニアを製造する方法において、触媒にモリブデン錯体を使用し、プロトン源として水を用いたアンモニアの製造に関する報告例がある(非特許文献1)。さらには、触媒にモリブデン錯体を使用し、還元剤としてヨウ化サマリウム(II)を、プロトン源としてアルコール類又は水を用いたアンモニアの製造に関する報告例がある(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】日本化学会 第99春季年会予稿集 2019年,講演番号4D1-37
【文献】Nature 2019年,568(7753)巻,536-540ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
窒素分子からアンモニアを製造する方法において、触媒にモリブデン錯体を用いた場合に、実用化の観点から必要な時に直ちにアンモニアが得られることも一つの重要な要求性能であり、従って、この性能を達成するために反応開始の初期から高速で反応できる触媒が望まれている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、反応開始の初期から高速で反応できるモリブデン錯体を創出することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明者らは、分子設計に基づき合成した多種多様なモリブデン錯体を用いて、触媒性能の向上を図ったところ、反応開始の初期にて、触媒1分子が単位時間当たりに行う物質変換量である触媒回転頻度(Turnover Frequency(以下、TOFと略す。)[1/分]が150を超えるモリブデン錯体を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
TOFの高い触媒は、一般に短い反応時間でも触媒の回転数が多いことを意味するので、アンモニアを製造する上での効率の向上が見込まれ、非常に有益である。
【0008】
即ち、第一観点として、本発明のアンモニアの製造方法は、モリブデン錯体、還元剤及びプロトン源の存在下、窒素分子からアンモニアを製造する方法であって、
前記モリブデン錯体は、式(1):
【化1】
(式(1)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、炭素原子数3乃至6のアルキル基を表し、
Xはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子であり、
R
3及びR
4は、塩素原子を表す。)
で表されるモリブデン錯体であり、
前記還元剤は、ランタノイド系金属のハロゲン化物(II)であり、
前記プロトン源は、アルコール又は水であり、
前記モリブデン錯体の触媒回転頻度が、150を超える、
アンモニアの製造方法。
第二観点として、触媒回転頻度が、250を超える、第一観点に記載のアンモニア製造方法。
第三観点として、30分間の製造時間で、前記触媒回転頻度を得ることができる、第一観点または第二観点に記載のアンモニア製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアンモニアの製造方法によれば、高速で反応できるモリブデン錯体を用いることで、反応開始の初期からアンモニアの製造を効率よく為すことができる方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書における「n」はノルマルを、「s」はセカンダリーを、「t」はターシャリーを表す。
【0011】
「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を、「tBu」はターシャリーブチル基を、「TMS」はトリメチルシリル基を、「thf」はテトラヒドロフランを表す。
【0012】
本発明のアンモニアの製造方法、及び該製造方法に用いる式(1)で表されるモリブデン錯体の好適な実施形態を以下に示す。
本発明のアンモニアの製造方法及び製造装置の好適な実施形態を以下に示す。
【0013】
式(1)で表されるモリブデン錯体において、
R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素原子数3乃至6のアルキル基を表す。ここで、炭素原子数3乃至6のアルキル基の具体例としては、例えば、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられ、t-ブチル基が好ましい。
Xはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子を表す。ここで、Xはヨウ素原子及び塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
R3及びR4は、塩素原子を表す。
【0014】
本実施形態のアンモニアの製造法において、還元条件に晒すとは、例えば還元剤を共存させること、または、電極と接触させることによって電子を供給することが、挙げられる。
【0015】
本実施形態のアンモニアの製造方法において、前記還元剤としては、ランタノイド系金属のハロゲン化物(II)が挙げられ、ランタノイド系金属としては、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLu等が挙げられ、このうちSmが好ましく、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、このうちヨウ素が好ましい。
ランタノイド系金属のハロゲン化物(II)としては、ハロゲン化サマリウム(II)が好ましく、ヨウ化サマリウム(II)がより好ましい。
【0016】
本実施形態のアンモニアの製造方法において、プロトン源は、アルコール及び水が挙げられる。用いるアルコールとしては、グリコールを用いてもよいし、ROH(Rは水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至6の鎖状、環状又は分岐状のアルキル基、又は、アルキル基を有していてもよいフェニル基)を用いてもよい。
グリコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコール等が挙げられる。
ROHは、例えば、鎖状又は分岐状のアルキルアルコールとして、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブチルアルコール、s-ブチルアルコール、イソブチルアルコール及びt-ブチルアルコール等が挙げられ、環状のアルキルアルコールとしては、シクロプロパノール、シクロペンタノール及びシクロヘキサノール等が挙げられ、フッ素原子を含むアルコールとしては、トリフルオロエチルアルコール及びテトラフルオロエチルアルコール等が挙げられ、フェノール誘導体であるフェノール、クレゾール及びキシレノール等が挙げられる。本実施形態のアンモニアの製造方法において、好ましいプロトン源は、水及びエチレングリコールであり、水がより好ましい。
【0017】
本実施形態のアンモニアの製造方法において、窒素分子からアンモニアの製造を溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、特に限定するものではないが、環状エーテル系溶媒、鎖状エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒、炭化水素系溶媒、及び含ハロゲン炭化水素溶媒等が挙げられる。環状エーテル系溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン及び1,4-ジオキサン等が挙げられる。鎖状エーテル系溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、及びシクロペンチルメチルエーテル等が挙げられる。ニトリル系溶媒としては、例えばアセトニトリル及びプロピオニトリル等が挙げられる。炭化水素系溶媒としては、例えばトルエン及びo-キシレン等の芳香族炭化水素、並びにヘキサン、ヘプタン、石油エーテル等の飽和炭化水素等が挙げられる。含ハロゲン炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等が挙げられる。本実施形態のアンモニアの製造方法において、好ましい溶媒は、テトラヒドロフランである。本実施形態のアンモニアの製造方法において、触媒に用いるモリブデン錯体を加える際に、好ましい溶媒は、ジクロロメタンである。
【0018】
生成したアンモニアの収量は公知の方法により測定できる。硫酸水溶液中のアンモニアの定量は、例えば、公知のインドフェノール法(Analytical Chemistry,1967年,39巻,971-974ページ)を用いて行うことができる。
【0019】
本発明において、モリブデン触媒の性能は、触媒回転頻度であらわされる。ここで、触媒回転頻度Turnover Frequency(TOFともいう))は、触媒1分子が単位時間当たりに行う物質変換量である。
【0020】
本発明において得られる、TOFの値は、150を超えるものであり、より好ましくは、200を超えるものであり、さらに好ましくは、250を超えるものである。
【0021】
本発明におけるアンモニア製造時の時間は、反応設備やその他の条件によって、適宜最適化されるものであるが、例えば、モリブデン錯体(1a)0.05mmol/L溶液を使用した場合は、30分間で、TOFを見積もることができる。
【0022】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【実施例】
【0023】
以下に、本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0024】
[実験例1]アンモニア製造
触媒としてモリブデン錯体(1a)
【化2】
を用いて、窒素分子からアンモニアを製造した。シュレンク反応容器に、モリブデン錯体(1a)の0.05mmol/Lのジクロロメタン溶液を調製した。常圧の窒素雰囲気下、反応容器に、触媒である該モリブデン錯体(1a)のジクロロメタン溶液(500μL、25nmol)と還元剤であるジヨードビス(テトラヒドロフラン)サマリウム(II)(397.6mg、0.725mmol、モリブデン錯体のモル数に対して29000当量)のテトラヒドロフラン溶液(5mL)を加え、次にプロトン源である水(13.1mg,0.725mmol,モリブデン錯体のモル数に対して29000当量)のテトラヒドロフラン溶液(1mL)を加え、室温である20~25℃にて30分間攪拌した。その後、反応を停止するため、水酸化カリウム水溶液(30質量%、5mL)を反応容器に加えた。次に本反応で発生したアンモニア量を定量するため、反応容器を減圧蒸留して蒸留液を硫酸水溶液(0.5M、10mL)にて回収した。該硫酸水溶液中のアンモニア量はインドフェノール法にて決定した。その結果、触媒(モリブデン錯体)当たり8000当量のアンモニアが生成した。触媒回転頻度であるTOFは、267(1/分)であった。
【0025】
[比較例1]
比較例1では、触媒であるモリブデン錯体(1a)を変更して、モリブデン錯体(6)
【化3】
を使用した以外の実験操作は、実験例1と同様の操作を行い、窒素分子からアンモニアを製造した。その結果、触媒(モリブデン錯体)当たり4500当量のアンモニアが生成した。触媒回転頻度であるTOFは、150(1/分)であった。比較例1で用いたモリブデン錯体(6)は、非特許文献のNature 2019年,568(7753)巻,536-540ページに記載の方法で合成できる。
【0026】
上記の結果より先行技術であるモリブデン錯体(6)の触媒回転頻度であるTOF=150(1/分)と比較すると、本発明のモリブデン錯体(1a)は、TOFが、267(1/分)以上の値となり、反応開始の初期から高速で反応できる触媒であることを明らかにした。
【0027】
[合成例1]
触媒として用いたモリブデン錯体(1a)の合成ルートを、下記に示し説明する。
【化4】
【0028】
化合物(2a)の合成
【化5】
化合物(2a)の合成を以下に示す。反応容器にジ-tert-ブチルホスフィン(2.25g、14.9mmol)及びパラホルムアルデヒド(450mg、15.0mmol)を加え、窒素雰囲気下60℃で16時間攪拌した。その後、反応容器に、ジクロロエタン(150mL)及び1,2-ジアミノ-4,5-ジクロロベンゼン(1.07g、6.02mmol)を加えて、窒素雰囲気下60℃で24時間攪拌した。次に、セレン(1.26g、16.0mmol)を加えて、窒素雰囲気下室温である20~25℃にて24時間攪拌した。反応物を濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:ヘキサン=1/1)により分離した。回収したフラクションを濃縮し、真空下乾固することで化合物(2a)を白色固体として2.58g(3.97mmol、66%収率)で単離した。
融点=195.4~196.5℃
1H NNR(CDCl
3):δ6.66(s,2H),4.85(br,2H),3.30(d,J=7.2Hz,4H),1.42(d、J=15.2Hz,36H).
13C NNR(CDCl
3):δ137.2(s),121.7(s),112.4(s),37.1(d,J=32.6Hz),34.6(d,J=40.3Hz),28.0(s).
31P NMR(CDCl
3):δ79.7(s with Se satellites,J=706.1Hz).
【0029】
化合物(3a)の合成
【化6】
化合物(3a)の合成を以下に示す。反応容器に、化合物(2a)(2.48g、3.81mmol)、オルトギ酸トリエチル(10mL)及びヘキサフルオロリン酸アンモニウム(629mg、3.86mmol)を加えた後、空気下、120℃で3時間攪拌した。次に反応混合物を濃縮した後、ジクロロメタン(4mL)及びジエチルエーテル(8mL)からなる混合溶液を用いて2回洗浄し、更にジエチルエーテル(10mL)で1回洗浄した。この反応混合物を真空下で乾燥して、化合物(3a)を白色固体として2.49g(3.09mmol、81%収率)で単離した。
1H NNR(Acetone-d
6):δ10.69(s,1H),8.69(s,2H),5.57(d,J=2.8Hz,4H),1.50(d,J=16.4Hz,36H).
13C NNR(Acetone-d
6):δ144.6(s),132.1(s),131.7(s),117.0(s),40.8(d,J=26.8Hz),39.2(d,J=30.7Hz),28.0(s).
31P NMR(Acetone-d
6):δ-143.9(seq,J=708.3Hz),83.1(s with Se satellites,J=732.3Hz).
【0030】
化合物(4a)の合成
【化7】
化合物(4a)の合成を以下に示す。反応容器に、化合物(3a)(2.58g、3.20mmol)、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン(1.5mL)及びジクロロメタン(40mL)を加えた後、窒素雰囲気下、室温である20~25℃にて4時間攪拌した。次に反応混合物を濃縮した後、トルエン(7mL)で3回洗浄し、この反応混合物を真空下で乾燥して、化合物(4a)を白色固体として1.83g(2.81mmol、88%収率)で単離した。
1H NNR(THF-d
8):δ9.87(s,1H),9.87(s,1H),8.42(s,2H),4.81(s,4H),1.23(d,J=12.0Hz,36H).
13C NNR(THF-d
8):δ145.8(t,J=12.0Hz),132.5(s),131.7(s),117.1(d,J=6.7Hz),43.6(d,J=28.7Hz),32.8(d,J=20.1Hz),29.5(d,J=13.5Hz).
31P NMR(THF-d
8):δ-146.0(seq,J=711.9Hz),24.7(s).
【0031】
モリブデン錯体(1a)の合成
【化8】
モリブデン錯体(1a)の合成を以下に示す。反応容器に、化合物(4a)(1.30g、2.00mmol)、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(561mg、2.81mmol)及びトルエン(45mL)を加えた後、アルゴン雰囲気下、室温である20~25℃にて1時間攪拌した。次に、反応混合物をセライトにて濾過した後、トリクロロトリス(テトラヒドロフラン)モリブデン(III)(756mg、1.81mmol)を加えて、80℃で26時間攪拌した。更に、反応混合物を5mLまで濃縮し、濾紙を用いて濾過した後、真空下にて乾固させた。得られた固体をトルエン(5mL)で2回洗浄した後、ジクロロメタン(20mL)に溶解させた溶液を、セライトを用いて濾過をした。濾過した濾液に、ヘキサン(30mL)を静かに加えた後、5日間静置させて結晶を生成させた。該結晶を生成させた上澄み液を取り除き、ヘキサン(5mL)で3回洗浄した後、真空下で乾燥することでモリブデン錯体(1a)を茶色結晶として166.3mg(0.24mmol、13%収率)で単離した。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、アンモニアの製造方法に利用可能である。