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特表2023-528964物体ホルダ、静電シートおよび静電シートを製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】物体ホルダ、静電シートおよび静電シートを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230629BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
H01L21/68 R
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575937
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2021065418
(87)【国際公開番号】W WO2021250074
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】20179524.2
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(71)【出願人】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ フェン、バスチャン、ラムベルトゥス、ウィルヘルムス、マリヌス
(72)【発明者】
【氏名】ファン ベルケル、コウス
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ ケルクホフ、マルクス、アドリアヌス
(72)【発明者】
【氏名】ハーメリンク、ロジャー、フランシスカス、マテウス、マリア
(72)【発明者】
【氏名】シェルヴィン、シャハブ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルシューレン、マリヌス、アウグスティヌス、クリスティアーン
(72)【発明者】
【氏名】エンゲレン、ヨハネス、ベルナルデュス、チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】クリュイツィンガ、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ウィッテルディユク、タムモ
(72)【発明者】
【氏名】ガラクチオノフ、オレクシー、セルギヨビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン、キエルド、ヘルトゥルディス、ヘンドリクス
(72)【発明者】
【氏名】ペイネンブルグ、ヨハネス、アドリアヌス、コーネリス、マリア
(72)【発明者】
【氏名】ファン デルフト、ピーター
【テーマコード(参考)】
2H197
5F131
【Fターム(参考)】
2H197CA10
2H197CD02
2H197CD03
2H197CD05
2H197DC03
2H197DC14
2H197GA04
2H197GA05
2H197GA06
2H197GA18
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA10
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA32
5F131AA33
5F131BA13
5F131CA02
5F131CA03
5F131EA02
5F131EA13
5F131EA22
5F131EB11
5F131EB54
5F131EB81
5F131EB82
5F131EB84
5F131FA17
(57)【要約】
【解決手段】物体を支持するよう構成される物体ホルダである。物体ホルダは、物体を支持するための支持面内に遠位端を有する複数のバールを備える芯体と、バールの間にある静電シートであって、誘電体層の間に挟まれる電極を備える静電シートと、物体と芯体の間の空間から逃げるガスの流出を低減するための円周バリアと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を支持するよう構成される物体ホルダであって、前記物体ホルダは、
前記物体を支持するための支持面内に遠位端を有する複数のバールを備える芯体と、
前記バールの間にある静電シートであって、誘電体層の間に挟まれる電極を備える静電シートと、
前記静電シートと前記芯体との間の空間から逃げるガスの流出を低減するための円周バリアと、を備える物体ホルダ。
【請求項2】
前記円周バリアは、前記静電シートと前記芯体との間に位置する、請求項1に記載の物体ホルダ。
【請求項3】
前記円周バリアは、前記静電シートによって形成される、請求項1または2に記載の物体ホルダ。
【請求項4】
前記誘電体層の一つに設けられ、前記電極が電源に接続できるようにするためのギャップをさらに備え、前記ギャップは、前記円周バリアの径方向外側にある、請求項2または3に記載の物体ホルダ。
【請求項5】
前記静電シートは、前記バールの径方向外側に設けられ、ガスが前記静電シートを貫通して流れることができるように構成される少なくとも一つのガスベントをさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の物体ホルダ。
【請求項6】
前記ガスベントは、前記物体のエッジの径方向内側にある径方向内側エッジを有する、請求項5に記載の物体ホルダ。
【請求項7】
前記円周バリアは、前記芯体によって形成され、
前記電極は、前記円周バリアを貫通し、前記電極が電源に接続できるようにするための端子を形成する、請求項1に記載の物体ホルダ。
【請求項8】
前記静電シートは、接合材料によって前記芯体に接合され、
前記バールの間にある前記芯体の物体対向面は、
前記接合材料が設けられる上段部と、
前記上段部に隣接し、前記静電シートの下面よりも鉛直下方にある下段部と、を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の物体ホルダ。
【請求項9】
前記芯体の前記物体対向面は、前記バールを取り囲む隆起段部を備え、前記隆起段部は、前記下段部に対して隆起する、請求項8に記載の物体ホルダ。
【請求項10】
電気絶縁接合層が誘電体層の間に挟まれており、または/および、
前記物体ホルダは、前記物体ホルダの複数の場所の温度を検出するための複数の温度センサを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の物体ホルダ。
【請求項11】
前記接合層は、ベンゾシクロブテンまたは半田を備える、請求項10に記載の物体ホルダ。
【請求項12】
前記接合層は、前記電極を電気的に絶縁するように、前記電極の平面内で前記電極を取り囲む、請求項10から11のいずれか一項に記載の物体ホルダ。
【請求項13】
物体を支持するよう構成される物体ホルダのための静電シートであって、前記静電シートは、
前記物体を支持するための芯体のバールを収容するための穴と、
誘電体層と、
前記誘電体層の間に挟まれる電極と、を備え、
前記静電シートは、前記静電シートと前記芯体との間の空間から逃げるガスの流出を低減するための円周バリアをさらに備える、静電シート。
【請求項14】
物体を支持するよう構成される物体ホルダのための静電シートを製造する方法であって、前記方法は、
誘電体層に電極を付与することと、
前記電極が誘電体層の間に挟まれるように、前記誘電体層を別の誘電体層に接合することと、を備え、
前記静電シートは、前記静電シートと前記物体との間の空間から逃げるガスの流出を低減するための円周バリアを備える、方法。
【請求項15】
前記物体ホルダの芯体のバールを収容するための穴の所望の位置に基づいて、前記誘電体層を互いに接合する前に、前記誘電体層に選択的に照射することと、
前記選択的な照射に基づいて、前記誘電体層を互いに接合した後に、前記穴を形成するために材料を除去することと、を備え、
前記材料を除去するステップは、前記誘電体層の照射された部分を選択的にエッチングすることを備える、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2020年6月11日に出願された欧州出願第20179524.2号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、リソグラフィ装置に用いるための物体ホルダに関連する。より具体的には、物体ホルダは、物体ホルダをテーブルにクランプするために、および/または、物体を物体ホルダにクランプするために配置される静電クランプを備える。本発明は、静電シートおよび静電シートを製造する方法にさらに関連する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、基板上に所望のパターンを付与するように構成される機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用できる。リソグラフィ装置は、例えば、基板上に設けられた放射線感応材料(レジスト)の層上に、パターニングデバイス(例えば、マスクまたはレチクル)でのパターンを投影しうる。
【0004】
基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用しうる。この放射の波長は、基板上に形成できるフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nmの範囲内、例えば6.7nmまたは13.5nmの波長を有する極紫外(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば、193nmの波長の放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さなフィーチャを基板上に形成するために使用しうる。
【0005】
従来のリソグラフィ装置において、露光される基板は、基板テーブル(ミラーブロックまたはステージ、つまり、基板ホルダを支持し、基板ホルダを取り囲む上面を提供するテーブルといった物体)によって支持される基板ホルダ(つまり、基板を直接支持する物体)によって支持されうる。基板ホルダは、多くの場合、サイズおよび形状が基板に対応する平坦で堅固なディスクである(ただし、異なるサイズまたは形状を有してもよい)。それは、バールまたはピンプルと呼ばれ、少なくとも一面から突出する突起の配列を有する。基板ホルダは、二つの対向面上に突起のアレイを有してもよい。この場合、基板ホルダが基板テーブル上に配置されると、基板ホルダの一面上のバールの端部が基板テーブルの表面上にある間、基板ホルダの本体は、基板テーブルの上方に小さな距離で保持される。同様に、基板が基板ホルダの反対の面上のバールの頂部にあるとき、基板は基板ホルダの本体から離間している。この目的は、基板テーブルまたは基板ホルダのいずれかに存在しうる粒子(つまり、ダスト粒子などの汚染粒子) が基板ホルダまたは基板を歪ませることを防止するのに役立つことである。バールの総表面積は、基板または基板ホルダの総面積のほんの小さな部分であるため、いかなる粒子もバールの間にある可能性が非常に高く、その存在が何ら影響を及ぼさない可能性が非常に高い。多くの場合、基板ホルダおよび基板は、基板テーブルの凹部内に収容されるため、基板の上面が基板テーブルの上面と実質的に同一平面上にある。
【0006】
高スループットリソグラフィ装置の使用時に基板が経験する高加速度のために、基板を基板ホルダのバールに単に載せることを可能にするだけでは十分ではない。それは所定位置にクランプされる。基板を所定位置にクランプする二つの方法、すなわち真空クランプおよび静電クランプが知られている。真空クランプでは、基板ホルダと基板との間、およびオプションとして基板テーブルと基板ホルダとの間の空間が部分的に排気され、基板はその上の高圧の気体または液体によって所定位置に保持される。しかしながら、真空クランプは、ビーム経路および/または基板または基板ホルダ付近の環境が低い圧力または非常に低い圧力に保たれている場合、例えば、極紫外(EUV)放射リソグラフィには使用できない。この場合、基板 (または基板ホルダ) のクランプに十分となる程度に大きな圧力差を基板全体にわたって発生させることができない可能性がある。したがって、静電クランプが使用されうる。静電クランプでは、基板またはその下面にメッキされた電極と、基板テーブルおよび/または基板ホルダの上または中に設けられる電極との間に電位差が確立される。二つの電極は大きなコンデンサとして動作し、合理的な電位差で実質的なクランプ力を生成できる。静電配置は、基板テーブル上の一つと、基板上の一つとである単一ペアの電極が基板テーブル、基板ホルダおよび基板の積層体全体を一緒にクランプするようにできる。既知の配置では、基板ホルダが基板テーブルにクランプされ、基板が基板ホルダに別個にクランプされるように、一以上の電極が基板ホルダの上または中に設けられてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
基板ホルダを基板テーブルに、および/または基板を基板ホルダにクランプするための一以上の静電クランプを備える基板ホルダを改善する必要がある。より一般的には、物体ホルダをテーブルに保持し、および/または物体ホルダに対して物体を保持するための一以上の静電クランプを備える、パターニングデバイスホルダといった物体ホルダを改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、物体を支持するよう構成される物体ホルダが提供される。この物体ホルダは、物体を支持するための支持面内に遠位端を有する複数のバールを備える芯体と;バールの間にある静電シートであって、誘電体層の間に挟まれる電極を備える静電シートと;静電シートと芯体との間の空間から逃げるガスの流出を低減するための円周バリアとを備える。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、物体を支持するよう構成される物体ホルダのための静電シートが提供される。この静電シートは、物体を支持するための芯体のバールを収容するための穴と;誘電体層と;誘電体層の間に挟まれる電極とを備え;静電シートは、静電シートと芯体との間の空間から逃げるガスの流出を低減するための円周バリアをさらに備える。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、物体を支持するよう構成される物体ホルダのための静電シートを製造する方法が提供される。この方法は、誘電体層に電極を付与することと; 電極が誘電体層の間に挟まれるように、誘電体層を別の誘電体層に接合することとを備え;静電シートは、静電シートと物体との間の空間から逃げるガスの流出を低減するための円周バリアを備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の実施の形態は、単なる例示として、添付の概略的な図面を参照しながら、以下に説明されるであろう。
【0012】
図1】リソグラフィ装置および放射源を備えるリソグラフィシステムを示す図である。
【0013】
図2】本発明のある実施形態に係る物体ホルダを示す断面図である。
【0014】
図3a】本発明のある実施形態に係る物体ホルダを示す断面図である。
図3b】本発明のある実施形態に係る物体ホルダを示す断面図である。
【0015】
図4】本発明のある実施形態に係る物体ホルダの部分を示す拡大図である。
【0016】
図5】本発明に係る物体ホルダの別の実施形態を示す断面図である。
図6】本発明に係る物体ホルダの別の実施形態を示す断面図である。
【0017】
図7】本発明のある実施形態に係る物体ホルダの断面を示す平面図である。
【0018】
図8図7に示す物体ホルダの別の視点を示す図である。
【0019】
図9】本発明のある実施形態に係る物体ホルダの部分を示す拡大図である。
【0020】
図10】本発明のある実施形態に係る物体ホルダを製造する方法の部分の異なる段階を示す図である。
図11】本発明のある実施形態に係る物体ホルダを製造する方法の部分の異なる段階を示す図である。
図12】本発明のある実施形態に係る物体ホルダを製造する方法の部分の異なる段階を示す図である。
【0021】
図13】本発明のある実施形態に係る物体ホルダの部分を示す拡大図である。
【0022】
図14】本発明のある実施形態に係る物体ホルダの部分を示す拡大図である。
【0023】
図15】本発明のある実施形態に係る物体ホルダの部分を示す拡大図である。
【0024】
図16】本発明のある実施形態に係る物体ホルダの部分を示す平面図である。
【0025】
図17】本発明のある実施形態に係る静電シートを示す断面図である。
【0026】
図18図17に示す静電シートを製造する方法の異なる段階を示す図である。
図19図17に示す静電シートを製造する方法の異なる段階を示す図である。
【0027】
図20】本発明のある実施形態に係る静電シートを製造する方法の異なる段階を概略的に示す図である。
図21】本発明のある実施形態に係る静電シートを製造する方法の異なる段階を概略的に示す図である。
図22】本発明のある実施形態に係る静電シートを製造する方法の異なる段階を概略的に示す図である。
図23】本発明のある実施形態に係る静電シートを製造する方法の異なる段階を概略的に示す図である。
図24】本発明のある実施形態に係る静電シートを製造する方法の異なる段階を概略的に示す図である。
図25】本発明のある実施形態に係る静電シートを製造する方法の異なる段階を概略的に示す図である。
【0028】
図26】本発明に係る物体ホルダのある実施形態を示す断面図である。
【0029】
図27図26に示す静電シートの部分を示す平面図である。
【0030】
図28a】本発明のある実施形態に係る物体ホルダを製造する方法の異なる段階を概略的に示す図である。
図28b】本発明のある実施形態に係る物体ホルダを製造する方法の異なる段階を概略的に示す図である。
図28c】本発明のある実施形態に係る物体ホルダを製造する方法の異なる段階を概略的に示す図である。
図28d】本発明のある実施形態に係る物体ホルダを製造する方法の異なる段階を概略的に示す図である。
図28e】本発明のある実施形態に係る物体ホルダを製造する方法の異なる段階を概略的に示す図である。
図28f】本発明のある実施形態に係る物体ホルダを製造する方法の異なる段階を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、様々な変形および代替的な形態を受け入れる余地があるが、それらの特定の実施形態が図面に例示され、本明細書において詳細に説明されうる。図面は縮尺どおりではないかもしれない。しかしながら、図面および詳細な説明は、本発明を開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、逆に、添付の請求項によって定義される本発明の精神および範囲に含まれる全ての変形、均等物および代替物を網羅することを意図していることを理解されたい。
【0032】
図1は、放射源SOおよびリソグラフィ装置LAを備えるリソグラフィシステムを示す。放射源SOは、EUV放射ビームBを生成し、EUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えば、マスクまたはレチクル)を支持するように構成される支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成される基板テーブルWTとを備える。
【0033】
照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前に、EUV放射ビームBを調整するように構成される。それに、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11を含んでもよい。ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11はともに、EUV放射ビームBに所望の断面形状および所望の強度分布を提供する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11に加えて、または代わりに、他のミラーまたは他のデバイスを含んでもよい。
【0034】
このように調整された後、EUV放射ビームBは、パターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果として、パターン化されたEUV放射ビームB’が生成される。投影システムPSは、パターン化されたEUV放射ビームB’を基板W上に投影するように構成される。その目的のために、投影システムPSは、パターン化されたEUV放射ビームB’を基板テーブルWTによって保持された基板W上に投影するように構成される複数のミラー13、14を備えてもよい。投影システムPSは、パターン化されたEUV放射ビームB’に縮小係数を適用することによって、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さなフィーチャを有する像を形成してもよい。例えば、4倍または8倍の縮小係数が適用されてもよい。投影システムPSは、図1において2個のミラー13、14のみを有するように示されているが、投影システムPSは、異なる数のミラー(例えば6個または8個のミラー)を含んでもよい。
【0035】
基板Wは、以前に形成されたパターンを含んでもよい。この場合、リソグラフィ装置LAは、パターン化されたEUV放射ビームB’によって形成される像を、基板W上に以前に形成されたパターンに位置合わせする。
【0036】
相対的真空、つまり、大気圧よりも十分に低い圧力の少量のガス (たとえば水素)は、放射源SO、照明システムIL、および/または投影システムPS内に提供されてもよい。
【0037】
放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源、放電生成プラズマ(DPP)源、自由電子レーザ(FEL)、またはEUV放射を生成可能な任意の他の放射源であってもよい。
【0038】
図2は、本発明のある実施形態に係る物体ホルダ20の断面図である。物体ホルダ20は、物体を支持するように構成される。以下の説明において、本発明は、物体ホルダが基板Wを支持するように構成される基板ホルダ20であるという文脈で説明される。しかしながら、物体ホルダは、そのような基板ホルダ20に限定されない。例えば、物体ホルダは、パターニングデバイスMAを支持するように構成されてもよい。
【0039】
ある実施形態において、基板テーブルWTは、基板ホルダ20および基板ステージを備える。基板ステージは、基板ホルダ20がその中に保持される凹部を備える。基板ホルダ20は、基板テーブルWTの基板ステージに対して基板Wを保持するように構成される。
【0040】
図2に示されるように、ある実施形態において、基板ホルダ20は芯体21を備える。芯体21は板状のディスクである。図2に示されるように、ある実施形態において、芯体21は複数のバール22を備える。バール22は、芯体21の表面で突出する突起である。図2に示されるように、ある実施形態において、バール22は遠位端23を有する。芯体21は、遠位端23が基板Wを支持するための支持面24内にあるように構成される。基板Wの下面は、バール22の遠位端23と接触するようになる。基板Wの下面の位置は、支持面24に対応する。バール22は、基板Wが基板ホルダ20上でほぼ平らになるように配置される。
【0041】
バール22は、図2において縮尺どおりに示されていない。実際的な実施形態では、例えば200mm、300mm、または450mmの直径の基板ホルダ20の全体にわたって分布する数百、数千、または数万のバールが存在できる。バール22の先端は、例えば1mmの小さな面積を有するため、基板ホルダ20の一面上のバール22のすべての総面積は、基板ホルダ20の総表面積の総面積の約10%未満である。バール22が配置されるため、基板W、基板ホルダ20または基板テーブルWTの表面に存在しうる粒子はいずれもバール22の間に落下し、したがって基板Wまたは基板ホルダ20の変形を生じさせない可能性が高い。パターンを形成しうるバール配置は、規則的であってもよいし、基板Wおよび基板テーブルWTに適切な力分布を提供するために必要に応じて変化してもよい。バール22は、平面視において任意の形状を有することができるが、一般に平面視において円形である。バール22は、その高さの全体にわたって同じ形状および寸法を有することができるが、一般的にはテーパー状である。バール22は、約1μmから約5mm、望ましくは約5μmから約250μm、望ましくは約10μmの距離で、基板ホルダ20の物体対向面の残りの部分(つまり、静電シート25の上面)の上方に突出できる。したがって、バール22の遠位端23と静電シート25の上面との間の鉛直距離は、約1μmから約5mm、望ましくは約5μmから約250μm、望ましくは約10μmである。基板ホルダ20の芯体21の厚さは、約1mmから約50mmの範囲、望ましくは約5mmから20mmの範囲、典型的には10mmであることができる。
【0042】
芯体21は、硬質材料で作られてもよい。材料は、高い熱伝導率を有し、保持される物体の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有することが望ましい。 望ましくは、材料は導電性である。 望ましくは、材料は高い硬度を有する。 適切な材料は、SiC(炭化ケイ素)、SiSiC(ケイ素化炭化ケイ素)、Si(窒化ケイ素)、石英、および/またはZerodur(登録商標)ガラスセラミックといった様々な他のセラミックおよびガラスセラミックを含む。芯体21は、突出するバール22を残すようにして、関連する材料の固体ディスクから材料を選択的に除去することによって製造できる。材料を除去する適切な技術は、放電加工(EDM)、エッチング、機械加工、および/またはレーザアブレーションを含む。芯体21は、マスクを通じてバール22を成長させることによっても製造できる。バール22は、基体と同じ材料であってもよく、物理蒸着プロセスまたはスパッタリングによって成長させることができる。ある実施形態において、芯体21は、一以上の内部チャネル(図示せず)を備える。ある実施形態において、芯体21は、一緒に接合された複数の層を備える。ある実施形態において、複数の層は異なる材料で形成される。単なる一例として、ある実施形態において、芯体21は、SiSiCの層、ガラスの層、およびSiSiCの別の層をこの順序で備える。複数の層の他の組み合わせも可能である。
【0043】
図2に示されるように、ある実施形態において、基板ホルダ20は、静電クランプのための一以上の電極26を備える。電位差は、基板Wと基板ホルダ20との間、および/または基板ホルダ20と基板テーブルWTの基板ステージとの間に静電クランプ力を提供するために生成されてもよい。ある実施形態において、電極26は、誘電体層(電気絶縁層としても知られる)27、28の間に封入される。生成される電位差は、10ボルト程度から5,000ボルト程度であってよい。基板の温度を局所的に制御するための一以上のヒータおよび温度センサを用いる構成は、米国公報第2011-0222033に記載されており、その全体は参照により本書に組み込まれ、その技術は本書の技術に適用されてもよい。
【0044】
図2に示されるように、ある実施形態において、基板ホルダ20は静電シート25を備える。静電シート25は、一以上の電極26を備える。電極26を目的として、ある実施形態において、連続する金属膜の二つの半分(ただし、バール22の遠位端23から分離される)は、互いにある分離距離だけ離れて堆積され、静電クランプの正および負の要素を形成しうる。分離距離は特に限定されない。ある実施形態において、分離距離は、少なくとも約20μm、オプションとして少なくとも約50μm、オプションとして少なくとも約100μm、オプションとして少なくとも約200μm、オプションとして少なくとも約500μmである。ある実施形態において、分離距離は、最大で約2mm、オプションとして最大で約1mm、オプションとして最大で約500μmである。ある実施形態において、分離距離は約500μmである。したがって、二つの電極26が存在しうる。しかしながら、静電シート25の電極26の個数は特に限定されず、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。電極26の金属線は、約20nmより大きな層厚、望ましくは約40nmより大きな層厚を有してもよい。金属線は、約1μm以下、望ましくは約500nm未満、望ましくは約200nm未満の層厚を有することが望ましい。
【0045】
上部静電シート25の電極26は、基板Wを基板ホルダ20に静電的にクランプするように構成されてもよい。下部静電シート25の電極26は、基板ホルダ20を基板テーブルWTの残りの部分に静電的にクランプするように構成されてもよい。
【0046】
ある実施形態において、芯体21およびバール22の材料は導電性である。例えば、ある実施形態において、バール22の材料はSiSiCである。しかしながら、芯体21およびバール22の材料が導電性であることは必須ではない。ある実施形態において、二以上のバール22(オプションとして全てのバール22)の遠位端23をグランドまた共通電位に電気的に接続する接地層が設けられてもよい。接地層は、導電性材料からなる比較的厚い層を堆積させることによって形成されてもよい。導電性材料は特に限定されない。ある実施形態において、導電性材料はCrである。ある別の実施形態において、導電性材料はCrNである。ある実施形態において、その後、堆積層をパターニングして接地層を形成する。パターンは、バール22の遠位端23を一緒に接続する一連の金属線を備えてもよい。そのようなパターンは、「マンハッタン」パターンと呼ばれることがある。ある別の実施形態において、堆積層はパターニングされない。ある実施形態において、接地層または別の層は、芯体21および/またはバール22の表面を覆うように配置される。接地層または他の層は、表面を滑らかにして、表面の洗浄をより容易にするのを助けることができる。
【0047】
図2に示されるように、ある実施形態において、静電シート25は、誘電体層27、28の間に挟まれる電極26を備える。図2に示されるように、ある実施形態において、バール22および静電シート25は、基板の両方の主面上に提供される。ある別の実施形態において、バール22および静電シート25は、基板ホルダ20の二つの主面の一方のみに設けられる。図2に示されるように、ある実施形態において、静電シート25はバール22の間にある。例えば、図2に示されるように、静電シート25に穴34が設けられる。穴34は、その位置が芯体21のバール22に対応するように配置される。バール22は、誘電体層27、28の間に挟まれる電極26がバール22の間の領域に設けられるようにして、静電シート25の各穴34を通って突出する。
【0048】
図2に示されるように、ある実施形態において、基板ホルダ20は接合材料29を備える。ある実施形態において、接合材料は、少なくとも100nm、例えば約50μmの厚さを有する。接合材料29は、芯体21に対して静電シート25の位置が動かないように固定する。接合材料29は、静電シート25の穴34がバール22と位置合わせされた状態を維持する。ある実施形態において、バール22は、静電シート25の各穴34の中央に位置決めされる。
【0049】
図2に示されるように、ある実施形態において、接合材料29は、互いに接続しない別個の部分で形成される。 接合材料29の異なる部分の厚さにはいくらかの変動があってもよい。ある実施形態において、接合材料29の別個の部分は、互いに実質的に同じ厚さを有する。
【0050】
図3aは、本発明のある実施形態に係る基板ホルダ20の断面図である。説明を簡潔にするため、図2に示される構成と共通する図3aに示される特徴は、以下では説明されない。代わりに、以下の説明では、図2に示されずに図3aに示される特徴に焦点が当てられる。
【0051】
図3aに示されるように、ある実施形態において、基板ホルダ20は熱調節器を備える。熱調節器は、芯体21および/または静電シート25および/または基板Wを熱的に調節するように構成される。熱調節器は、例えば露光プロセス中に基板Wの温度を制御するために使用することができる。図3aに示されるように、ある実施形態において、熱調節器は、熱調節流体が流れる回路30を備える。熱調整流体は、気体または液体(例えば、水)であってもよい。ある実施形態において、回路30は、互いに接続される一以上のチャネルを備える。図6に示されるように、ある実施形態において、回路30のチャネルは芯体21内に設けられる。ある実施形態において、熱調節器は、熱調節機能を制御するように制御されるヒータおよびセンサを備える。
【0052】
図3aに示されるように、ある実施形態において、芯体21は二つの部品で製造され、その後に接合部31で互いに取り付けられる。回路30のチャネルは、芯体21の二つの部品の一方に形成されることができる。回路30は、芯体21の他方の部品によって取り囲まれている。芯体を二つの部品で製造することは、芯体21の製造を容易にする。
【0053】
図3aに示されるように、ある実施形態において、バール22の遠位端23にコーティングが設けられる。ある実施形態において、遠位端23のコーティングは、腐食および摩耗に抵抗し、基板Wに対する望ましい摩擦係数を提供するように構成される。ある実施形態において、コーティングは窒化クロムを備える。ある実施形態において、コーティングはダイヤモンドライクカーボン(DLC)を備える。ある実施形態において、コーティングは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)の層上にある窒化クロムの層を備える。バール22の遠位端23のコーティングとして他の材料を使用することもできる。
【0054】
図3aに示されるように、ある実施形態において、基板ホルダ20は複数の温度センサ222を備える。温度センサ222は、基板ホルダ20内の温度分布を測定しうる。EUV光はウェハを加熱し、基板ホルダ20も加熱しうるため、ウェハと基板ホルダ20の両方が変形し、オーバレイエラーが生じる。基板ホルダ20の全体にわたる(3D)温度分布を知ることにより、オーバレイエラーが低減されうるように露光パラメータが変更されてもよい。温度センサ222は、芯体21または/および静電シート25に配置されてもよい。温度センサ222は、負温度係数センサ(1mm程度の長さ)であってもよい。温度センサ222は、基板ホルダ20内に空間的に分布してもよい。温度センサ222は、回路30よりも基板ホルダ20の物体対向面の近くに配置されてもよい。温度センサ222は、基板ホルダ20に対して径方向または軸方向に配置されてもよい。
【0055】
図3aに示されるように、ある実施形態において、温度センサ222は、径方向開口部を有する穴220に配置される。穴220は、芯体21の外縁において回路30と静電シート25との間に位置する。配線224は、温度センサ222に接続される。
【0056】
図3bは、本発明のある実施形態に係る基板ホルダ20の断面図である。説明を簡潔にするために、図3aに示される構成に共通する図3bに示される特徴は、以下では説明されない。代わりに、以下の説明では、図3aには示されないが図3bに示される特徴に焦点が当てられる。図3bに示されるように、温度センサ222は、軸方向開口部を有する穴226に配置される。 穴226は、回路30と静電シート25との間に配置される。配線224は、温度センサ222に接続される。図3aのセンサ構成と比較すると、図3bのセンサ構成は、温度センサ222がより広い領域に配置されうるため、より高い自由度を有する。
【0057】
図4は、本発明のある実施形態に係る基板ホルダ20の部分の拡大図である。図4に示されるように、ある実施形態において、芯体21は、少なくとも一つのガス供給通路38を備える。ガス供給通路38は、芯体21と静電シート25との間の鉛直ギャップ40を介して、少なくとも一つのバール22の径方向外側表面41と静電シート25との間の径方向ギャップ39にガスを供給するように構成される。図8において、両端矢印はガスの流れを表す。
【0058】
上述した図3aに示されるように、ある実施形態において、基板ホルダ20は、基板Wを熱的に調整するように構成される熱調整器を備える。ガス供給通路38を設けることによって、基板Wと基板ホルダ20との間の熱伝達が増えるように、基板Wと基板ホルダ20との間にガスを供給することができる。これは、基板Wの温度の制御に役立つ。図4に示されるように、ガスは、静電シート25の直下のガス供給通路38を通じて供給される。ガス供給通路38は、静電シート25の直下の芯体21の物体対向面37の開口部で終端する。ガスは、芯体21と静電シート25との間の鉛直ギャップ40内を流れ、径方向ギャップ39に到達する。その後、ガスは、基板Wと静電シート25の上面との間のギャップを満たし、これにより、基板Wと基板ホルダ20との間の熱伝導を向上させる。
【0059】
図5は、本発明のある実施形態に係る基板ホルダ20の部分の断面図である。図5に示されるように、ある実施形態において、基板ホルダ20は円周バリア81、82を備える。円周バリア81、82は、静電シート25と芯体21との間の空間から逃げる流体の流出を低減するためのものである。上述したように、ガスは静電シート25の下に供給されてもよい。ガスは、静電シート25の下を基板Wに向かって流れることができ、基板Wと静電シート25との間のギャップに存在できる。円周バリア81、82は、芯体21と基板Wとの間の熱伝導を向上させるガスの体積を密閉するように構成される。円周バリア81、82は、基板Wと基板ホルダ20との間の流体の圧力の維持を助けるように構成される。円周バリア81、82は、基板Wを基板ホルダ20上に制御して下降させるためのピンが貫通する基板ホルダ20の穴の径方向外側にある。ある実施形態において、円周バリア81、82は、基板ホルダ20上の基板Wのエッジの径方向内側にある。本発明のある実施形態は、基板Wと基板ホルダ20との間の熱伝導の均一性を改善することが期待される。本発明のある実施形態は、露光プロセス中の基板Wの温度制御の精度を改善することが期待される。
【0060】
円周バリア81、82は、円周ガスフロー狭窄部を形成する。ある実施形態において、円周バリア81、82は、基板Wと基板ホルダ20との間のガスの体積を完全に密閉しない。ある実施形態において、円周バリア81、82は、基板Wと芯体21との間の空間からの流体(例えば水素などのガス)の漏れを許容するように構成される。円周バリア81、82を通じた流体のいくらかの漏れを許容することによって、基板Wの下のガス圧力がより急速に減少できる。これは、基板Wを基板ホルダ20からより迅速にクランプ解除することを可能にする。これは、基板Wを別の基板とより迅速に交換することを可能にする。本発明のある実施形態は、スループットを改善することが期待される。
【0061】
図5に示されるように、ある実施形態において、円周バリア82は、静電シート25と芯体21との間に位置する。ある実施形態において、静電シート25と芯体21との間の円周バリア82は、接着材料などの接合材料によって形成される。例えば、ある実施形態において、円周バリア82を形成するために使用される材料は、静電シート25を芯体21に取り付けるために使用される接合材料29と同じである。円周バリア82は、静電シート25と芯体21との間の接続の維持に役立つ。本発明のある実施形態は、基板ホルダ20をより堅固にすることが期待される。
【0062】
ある実施形態において、静電シート25と芯体21との間の円周バリア82は、円周の全体にわたって延在する。ある実施形態において、静電シート25と芯体21との間の円周バリア82は、静電シート25と芯体21との間の完全な鉛直ギャップを延在させる。ある実施形態において、静電シート25と芯体21との間の円周バリア82は、 実質的にガスが通過できないようにする。ある別の実施形態において、静電シート25と芯体21との間の円周バリア82は、いくらかのガスが通って漏れることを許容するように構成される。ある実施形態において、ガスは、基板Wの下面と静電シート25の上面との間のギャップを通じて漏れ出ることが許容される。
【0063】
図5に示されるように、ある実施形態において、静電シート25の上側に円周バリア81が設けられる。図5に示すように、ある実施形態において、円周バリア81は、静電シート25によって形成される。円周バリア81は、 静電シート25の一部として一体的に形成されてもよい。例えば、ある実施形態において、円周バリア81は、静電シート25の上部誘電体層28の一体部分として形成される。円周バリア81は、円周のまわり全体に延びるように構成される。図5に示されるように、ある実施形態において、円周バリア81は、バール22が突出する高さよりも低い高さまで基板Wに向かって突出するように構成される。図5に示されるように、ある実施形態において、円周バリア81は、基板Wの下面と円周バリア81の頂部84との間にギャップが存在するように配置される。ガスは、円周バリア81の頂部84の上方の小さなギャップを通って漏れ出ることができる。小さなギャップを設けることによって、円周バリア81は基板Wに直接接触しない。円周バリア81は、基板Wの平坦性に悪影響を及ぼさない。
【0064】
任意の実施形態において、(ガス漏れ用の)小さなギャップを形成する円周バリア81の寸法は、基板Wと芯体21との間の領域から漏れ出るガスの流量を制御するように選択される。ある実施形態において、円周バリア81は、円周バリア81の頂部84と基板Wの下面との間の鉛直ギャップ(これは、円周バリア81の頂部84とバール22の遠位端23との間の鉛直距離に対応する)が2μmより大きくなるように構成される。図26に示されるように、ある別の実施形態において、静電シート25の上側の円周バリア81が設けられない(ただし、円周バリア82が静電シート25の下側に設けられる)。ある実施形態において、鉛直ギャップは少なくとも3μmであり、オプションとして少なくとも5μmである。より大きな鉛直ギャップを提供することによって、円周バリア81が基板Wの平坦性に望ましくない影響を与えないようにしながら、円周バリア81の鉛直位置の製造公差がより大きくなる。本発明のある実施形態は、基板ホルダ20の製造を容易にすることが期待される。上述したように、接合材料29は、静電シート25を芯体21に接続するために使用される。製造公差を大きくすることによって、製造歩留まりを過度に低下させることなく接合材料29を使用できる。接合材料の使用は、静電シート25の鉛直位置を決定できる精度を低下させる可能性がある。さらに、接着剤を使用する場合、時間経過とともに接着剤がずれる(ドリフトする)可能性があり、約0.1μm程度の鉛直ずれが生じる可能性がある。本発明のある実施形態は、製造歩留まりを維持しながら接着剤の使用を可能にすることが期待される。
【0065】
ある実施形態において、円周バリア81は、0.5mmより大きい幅(基板ホルダ20の径方向)を有するように構成される。ある実施形態において、円周バリア81は、少なくとも0.6mm、オプションとして少なくとも1mm、例えば1.2mmの径方向の幅を有する。円周バリア81の径方向の幅を増加させることによって、基板Wと基板ホルダ20との間の空間から漏れ出るガスの流量を過度に増加させることなく、基板Wに対する鉛直ギャップを(上記で説明したように)増加させることができる。
【0066】
図5に示されるように、ある実施形態において、接合材料29は、静電シート25と芯体21との間の円周バリア82の径方向外側で、静電シート25を芯体21に接合するために使用される。ある実施形態において、この径方向外側の接合材料29は、円周バリア82と同様に、円周の全体にわたって延在する。ある別の実施形態においては、径方向外側の接合材料29は、静電シート25の中央部分と芯体21との間の接合材料29と同様に、接合材料の個別のドットから形成される。
【0067】
図5に示されるように、ある実施形態において、静電シート25は、基板Wを越えて径方向に延在する。図5に示されるように、ある実施形態において、基板ホルダ20は、誘電体層27、28の一方にあるギャップ83を備える。ギャップ83は、電極26を電源に接続可能にするためのものである。例えば、電極26は高電圧電源に接続されてもよい。ある実施形態において、電極26は、外部電源に接続されるように構成される。図5に示されるように、ある実施形態において、ギャップ83は円周バリア81、82の径方向外側にある。図5に示される構成において、ギャップ83は上部誘電体層28に設けられる。ある別の実施形態において、ギャップ83は下部誘電体層27に設けられる。
【0068】
基板ホルダ20は、基板Wと基板ホルダ20との間のガスの体積を密閉しながら、電極26が電源に電気的に接続可能となるように設計される。図5に示されるように、ある実施形態において、電極26はガスの漏れを許容する円周バリア81の下を通る。ある実施形態において、静電シート25は、静電シールド45を備える。静電シールド45は、導電性材料から形成される。ある実施形態において、静電シールド45は接地される。静電シールド45は、静電シート25から他の構成要素をシールドするように構成される。ある実施形態において、静電シールド45は、誘電体層28、27内の電荷から、基板Wをシールドし、および/または芯体21およびバール22の残りの部分からシールドするように構成される。静電シールド45は、静電シート25の周囲の一以上の異なる位置に設けられてもよい。図5に示されるように、ある実施形態において、静電シールド45は、円周バリア81の頂部84を覆うように設けられる。
【0069】
ある実施形態において、静電シールド45は、静電シート25の表面にある導電性メッキを備える。ある実施形態において、静電シールド45は、化学蒸着によって付与される。ある実施形態において、静電シールド45は、スパッタリングによって付与される。ある実施形態において、静電シールド45は、物理蒸着によって付与される。ある実施形態において、静電シールド45は、少なくとも50nm、オプションとして少なくとも100nm、オプションとして少なくとも200nm、オプションとして少なくとも500nmの厚さを有する。ある実施形態において、静電シールド45は、最大で1000nm、オプションとして最大で500nm、オプションとして最大で200nm、オプションとして最大で100nmの厚さを有する。ある実施形態において、静電シールド45の厚さは、静電シールドの異なるセクションごとに異なっていてもよい。
【0070】
図5に示されるように、ある実施形態において、静電シールド45は、円周バリア81を覆うように設けられる。静電シールド45は、円周バリア81の頂部84と基板Wとの間のギャップにおける放電を防ぐように構成される。図5に示されるように、ある実施形態において、静電シールド45は、円周バリアの径方向外側にある静電シート25の上面に設けられる。静電シールド45は、ギャップ83にある電極26と基板Wとの間の放電を防ぐように構成される。
【0071】
誘電体層28にギャップ83を設け、静電シート25が基板Wを越えて径方向に延びることによって、電極26と電源との間の接続が比較的簡単になる。さらに、芯体21は製造が比較的容易である。
【0072】
ある実施形態において、静電シート25は、基板Wの径方向範囲を越えて少なくとも3mm、オプションとして少なくとも5mm、オプションとして少なくとも10mmだけ径方向に延在するように構成される。例えば、ある実施形態において、基板Wは300mmの直径を有する。静電シート25は、例えば、少なくとも306mm、オプションとして少なくとも310mm、オプションとして少なくとも320mmの直径を有する。基板Wよりも大きい静電シート25を設けることによって、静電シート25の表面を、例えば基準マーカを設けるためのスペースとして使用できる。
【0073】
図26は、本発明のある実施形態に係る基板ホルダ20の部分の断面図である。図5に示される実施形態との相違点のみが以下に説明される。
【0074】
図26に示されるように、ある実施形態において、静電シート25は、静電シート25の基板対向面にある円周バリア81を備えない。円周バリア82は、静電シート25の芯体対向面に設けられる。
【0075】
図26に示されるように、ある実施形態において、静電シート25は、少なくとも一つのガスベント262を備える。ガスベント262は、静電シート25を貫通し、基板対向面を芯体対向面に接続する。ガスベント262は、静電シート25の基板対向面と芯体対向面との間でのガスの流れを許容するように構成される。ガスベント262の寸法は、特に限定されない。ある実施形態において、ガスベント262は、静電シート25の円周方向ではなく、静電シート25の径方向にさらに延在する。ある実施形態において、ガスベント262は、バール22が突出する穴34よりも静電シート25の径方向にさらに延在する。
【0076】
ある実施形態において、複数のガスベント262は、静電シート25のまわりに円周方向に異なる位置に設けられる。基板ホルダ20が基板Wを保持しているとき、基板Wの中央部分の下のガス圧は、基板Wのエッジの下のガス圧よりも高い。これは、少なくとも部分的には、基板ホルダ20と基板Wとの間の熱的接続を増加させるために提供されるバックフィルガスに起因する。基板Wの周辺領域の下では、ガス圧は、基板Wのエッジに向かう方向に減少する。圧力勾配は、基板Wの形状といった要因に依存する。
【0077】
図26に示されるように、ある実施形態において、ガスベント262は、基板Wのエッジの径方向内側にある径方向内側エッジを有する。ガスが基板Wの中央部分の下から流れるとき、ガスは、基板Wのエッジに到達する前にガスベント262を通って流れることができる。本発明のある実施形態は、圧力勾配の基板Wの形状に対する依存性を減少させることが期待される。本発明のある実施形態は、真空に向かうバックフィルガスの圧力勾配の制御を容易にすることが期待される。
【0078】
図27は、図26に示される静電シート25の部分の平面図である。図27に示されるように、ガスベント262は、バール22のための穴34の径方向外側にある。図27に示されるように、ある実施形態において、ガスベント262は、基板Wのエッジ261を横切って延在する。
【0079】
図6は、本発明のある実施形態に係る基板ホルダ20の部分の断面図である。図6に示されるように、ある実施形態において、円周バリア81は芯体21によって形成される。円周バリア81は、芯体21の部分として一体的に形成されてもよい。図6に示される円周バリア81の寸法は、 上述の図5に示される円周バリア81の寸法と同じであってもよい。したがって、説明を簡潔にするために、これらの寸法はここでは繰り返されない。
【0080】
ある実施形態において、円周バリア81の頂部84と基板Wとの間のギャップは、図5に示されるものに比べて小さくてもよい。例えば、ある実施形態において、頂部84と基板Wとの間の鉛直ギャップは、最大で10μm、オプションとして最大で5μm、オプションとして最大で2μmである。円周バリア81が芯体21によって形成されることによって、円周バリア81の頂部84とバール22の遠位端23との間の鉛直距離をより正確に制御できる。本発明のある実施形態は、より厳密な製造公差を達成することが期待される。円周バリア81の頂部84の上方の鉛直ギャップがより小さい場合、円周バリア81の径方向の幅はより小さくてもよい。これは、円周バリア81の上方のギャップを通るガスの比較的変わらない流れを維持するのに役立つ。例えば、ある実施形態において、円周バリア81の径方向幅は、最大で2mm、オプションとして最大で1mm、オプションとして最大で0.5mmである。
【0081】
図6に示されるように、ある実施形態において、基板ホルダ20は、少なくとも一つの接続線91を備える。接続線91は、芯体21を通って延びる。接続線91は、電極26を電源に電気的に接続するためのものである。ある実施形態において、接続線91は高電圧接続線である。ある実施形態において、接続線91は、電極26を外部電源に接続するように構成される。電源は高電圧電源であってもよい。
【0082】
図6に示されるように、ある実施形態において、芯体21は、少なくとも一つの接続線チャネル93を備える。接続線チャネル93は、接続線91が芯体21を通って延在可能にするように構成される。ある実施形態において、接続線91は、配線などの導電体である。ある実施形態において、配線は、接続線91と芯体21などの他の構成要素との間の電気的破壊の可能性を低減するために、その周りに絶縁材料を有する。
【0083】
図6に示されるように、ある実施形態において、接続線91は電極26の下側に接続される。ある実施形態において、絶縁材料92は、接続線91が電極26に接続する箇所に設けられる。絶縁材料92は、接続線91が真空(またはほぼ真空)に接触する可能性を低減するよう構成される。ある実施形態において、接続線91はフレキシブルである。ある実施形態において、接続線91は、接着剤によって電極26に接続される。 接続線チャネル93内の接続線91は、芯体21を通る電気フィードスルーを形成する。
【0084】
ある別の実施形態において、接続線91は、芯体21を通り、静電シート25の下方の位置で露出する電気リードを形成する。導電性エポキシは、電気リードを電極26に機械的および電気的に接続するために使用されてもよい。
【0085】
円周バリア81が芯体21の部分であることによって、円周バリア81の上方のギャップは、静電シート25の高さとは無関係となる。これは、ギャップが、組み立て公差に依存せず、例えば時間経過とともにドリフトする接合材料に依存しないことを意味する。
【0086】
ある実施形態において、静電シート25は、平面視で見たときに完全な円形である。本発明のある実施形態は、静電シート25の製造を容易にすることが期待される。本発明のある実施形態は、より均一な分布の応力を有する静電シートを提供することが期待される。
【0087】
図7は、本発明のある別の実施形態に係る基板ホルダ20の部分の断面の平面図である。図8は、図7に示される基板ホルダ20の断面図である。図7は、円周バリア81および電極26を示す。図7に示されるように、ある実施形態において、電極26は円周バリア81を貫通し、電極26を電源に接続可能にするための端子を形成する。ある実施形態において、電源は基板ホルダ20の外部にある。ある実施形態において、電源は高電圧電源である。
【0088】
図7に示されるように、ある実施形態において、静電シート25は複数の電極26を備える。例えば、二つの電極26が図7に示される。ある実施形態において、静電シート25は、電極26を分離するバリア101を備える。バリア101は、電極26を互いに電気的に絶縁するように、電気絶縁材料によって形成される。各電極26は電源に個別に接続される。
【0089】
図8に示されるように、ある実施形態において、円周バリア81は芯体21上に形成される。図8に示されるように、円周バリア81は、一以上の開口部107を備える。電極26は、開口部107を通って延在する。図8に示されるように、ある実施形態において、静電シート25(誘電体層27、28および電極26を含む)は、円周バリア81の開口部107を通って延在する。電極26は円周バリア81の外側の領域まで貫通する。電極26は、円周バリア81の径方向外側の電源に電気的に接続されることができる。
【0090】
図7および図8に示されるように、ある実施形態において、電極26と電源との間の電気的接続は、一以上の中間プレート104を備える。中間プレート104は、接続をより強固にする。ある実施形態において、中間プレート104は、給電線が実装される絶縁基体(例えば、ガラスプレート)を備える。例えば、図7に示されるように、ある実施形態において、中間プレート104は、高電圧トレース102およびグランドトレース103を有する。中間プレート104は、電極26の端子を電源コネクタ105に電気的に接続するように構成される。ある実施形態において、電源コネクタ105は、電源の動きが静電シート25に到達する前に減衰されるようにフレキシブルである。ある実施形態において、電源コネクタ105は、固定位置を有する。本発明のある実施形態は、既存のリソグラフィ装置と下位互換性があることが期待される。ある実施形態において、中間プレート104は、電源コネクタ105の動きによって基板ホルダ20の静電シート25に加わるかもしれない力を低減する。中間プレート104を設けることによって、電極26の端子が円周バリア81を越えて延びる距離を低減(または最小化)できる。これは、静電シート25の製造をより容易にし、静電シート25をより強固にする。
【0091】
電極26が円周バリア81の開口部107を貫通することによって、芯体21の内部に接続線チャネルを製造する必要がない。本発明のある実施形態は、芯体21の製造をより容易にすることが期待される。
【0092】
図8に示されるように、ある実施形態において、円周バリア81は、芯体21とは別個の構成要素として最初に形成される。円周バリア81は、接着封止部108によって芯体21に接続される。図8に示されるように、ある実施形態において、中間プレート104は、接着封止部108によって芯体21に接続される。図8に示されるように、ある実施形態において、電極26と中間プレート104との間の電気的接続は、静電シート25の上面の接着封止部108によって絶縁される。図8に示されるように、ある実施形態において、中間プレート104と電源コネクタ105との間の電気的接続は、電源コネクタ105の上面にある接着封止部108によって電気的に絶縁される。
【0093】
図8に示されるように、ある実施形態において、導電性材料106は、電極26と中間プレート104の高電圧トレース102との間に電気的接続を形成するようにして、静電シート25を貫通する。
【0094】
図9は、本発明のある実施形態に係る基板ホルダ20の部分の断面図である。図9に示されるように、ある実施形態において、静電シート25は接合材料29によって芯体21に接合される。ある実施形態において、芯体21の上面を横切る接合材料29の複数の体積は、芯体21を静電シート25に接続する。接合材料29は、例えば、接着剤または溶接材料であってもよい。接合材料29は、バール22の間に設けられる。
【0095】
図9に示されるように、ある実施形態において、バール22の間にある芯体21の物体対向面は、上段部(上位レベル)121および下段部(下位レベル)122を備える。上段部121は、下段部122よりも鉛直方向に高い(つまり、静電シート25に対してより小さいギャップが存在するようになる)。図9に示されるように、ある実施形態において、接合材料29は、上段部121上に設けられる。下段部122は、上段部121に隣接する。図9に示されるように、ある実施形態において、下段部122と上段部121との間には階段状の変化(つまり、突然の不連続な高さの変化)がある。ある別の実施形態において、下段部122と上段部121との間の高さの変化はより緩やかであってもよい。図9に示されるように、ある実施形態において、上段部121は、静電シート25の下面123よりも鉛直下方にある。図9に示されるように、ある実施形態において、下段部122の少なくとも一部は、静電シート25の下面123よりも鉛直下方にある。下段部122の一部は、静電シート25の真下にはない。例えば、下段部122の一部はバール22を直接取り囲むが、静電シート25は下段部122のその部分の真上になくてもよい。しかしながら、下段部122の一部は静電シート25の直下にある。
【0096】
ある実施形態において、上段部121は、接合パッド124の上面を形成する。接合パッド124は、芯体21の隆起部分であり、その上に接合材料29が配置される。接合パッド124の上面における上段部121の高さは、接合材料29の体積の直径に影響を与える。しかしながら、下段部122の高さは、基板ホルダ20の静電シート25の高さに影響を与えない。静電シート25の高さは、静電シート25と芯体21との間の接合材料29の量によって影響される。接合材料29の体積の直径は、接合材料29の量に依存する。接合パッド124の外側における下段部122と静電シート25との間により大きなギャップを設けることによって、接合材料29の体積の直径が接合材料29の量に影響されにくくなる。接合の剛性は、接合材料29の体積に影響されにくくなる。接合材料29の体積の剛性および形状は、接合パッド124の形状を制御することによって、より正確に制御できる。本発明のある実施形態は、基板ホルダ20の全体にわたって、静電シート25と芯体21との間の接合の特性の一貫性を向上させることが期待される。接合パッドのデザインは、クランプの外周まわりの、および基板ホルダ20上への基板Wの制御された下降のためにピンが貫通する穴のまわりのガスシール接着リングにも使用される。
【0097】
図10から図12は、芯体21の製造プロセスの異なる段階を概略的に示す図である。図13は、静電シート25を芯体21に接続した時点の基板ホルダ20の断面図である。図13に示されるように、ある実施形態において、上段部121は、下段部122よりも滑らかな表面を有する。下段部122は、接合パッド124の上部に比べて、より大きな表面粗さを有する。
【0098】
接合パッド124を設けることによって、芯体21と静電シート25との間の接合の特性は、接合パッド124の特性を制御することによって制御される。接合の特性は、接合パッド124を越える芯体21の表面の特性に影響されにくい。本発明のある実施形態は、芯体21の表面の一部について、より大きな製造の自由度を提供することが期待される。ある実施形態において、下段部122を準備する異なるステップに対し、上段部121に比べて異なる製造技術が使用される。
【0099】
図10に示されるように、ある実施形態において、バール22は、芯体21の上面から材料131を除去することによって形成される。材料131は、粗い材料除去のステップで除去されてもよい。粗い材料除去ステップは、大きな公差を有してもよい。これは、バール間の表面が、粗い材料除去ステップの直後に比較的大きな粗さを有するかもしれないことを意味する。
【0100】
図11に示されるように、芯体21を製造する方法は、局所的な粗い材料除去のステップにおいて、さらなる材料131を除去する後続ステップを備えてもよい。局所的な粗い材料除去ステップによって、接合パッド124が形成される。材料131は、下段部122が形成されるべき箇所で除去される。材料131は、パッド124の配置が意図される箇所では局所的に除去されない。局所的な粗い材料除去ステップの後、上段部121および下段部122は、粗い表面を有してもよい。ある実施形態において、粗い材料除去ステップは、レーザアブレーションによって実行される。しかしながら、他の方法が使用されてもよい。
【0101】
図12に示されるように、ある実施形態において、芯体21を製造する方法は、ボンドパッド124の頂部から、さらなる材料151を除去する後続ステップを備える。ある実施形態において、さらなる材料151は微細材料除去ステップにおいて除去される。微細材料除去ステップは、粗い材料除去ステップに比べて厳しい公差を有する。微細材料除去ステップの後、接合パッド124の頂部の表面は、芯体21の下段部122の表面よりも滑らかである。より滑らかな表面は、静電シート25と芯体21との間の接合の特性の一貫性を向上させる。
【0102】
ある実施形態において、芯体21を製造する方法は、バール22の遠位端23を研磨するステップを備える。ある実施形態において、バール22の遠位端23を研磨するステップの後、微細材料除去ステップが実行される。これは、静電シート25が所望の鉛直位置を有するように、接着パッド124における上段部121の高さを厳密に制御できることを意味する。異なるバール22は、異なる長さ(つまり、遠位端23と、バール22の間の芯体21の物体対向面との間の異なる鉛直距離)を有するかもしれない。バール22の長さは、遠位端23の全てが平坦面内にあることを保証するために異なっていてもよい。微細材料除去ステップは、静電シート25と芯体21との間の接合材料29によって充填される鉛直ギャップが注意深く制御されるようにして、接合パッド124の高さを調整することを可能にする。基板ホルダ20の全体にわたって、下段部122は異なる高さを有してもよい。
【0103】
図14は、本発明のある実施形態に係る基板ホルダ20の部分の断面図である。図14に示されるように、ある実施形態において、芯体21の物体対向面は、隆起段部(隆起レベル)171を備える。隆起段部171は、バール22を取り囲む。隆起段部171は、下段部122に対して隆起する。ある実施形態において、隆起段部171は上段部121と同じ高さにある。しかしながら、これは必ずしもそうとは限らない。ある別の実施形態において、隆起段部171は上段部121よりも高い。さらに別の実施形態において、隆起段部171は上段部121よりも低い。バール22を取り囲む隆起段部171を提供することによって、バール22は (隆起段部171が下段部122によって置き換えられる場合に比べて)より堅固になることができる。バール22の剛性は、隆起段部171の高さを制御することによって制御できる。隆起段部171と上段部121との間の下段部122は、静電シート25と芯体21との間の接合の接合材料29の量に対する感度を低下させる。
【0104】
図15は、3個のバール22の間の芯体21の上面を概略的に示す。図15に示されるように、ある実施形態において、上段部121は非円形である。図15から分かるように、接合パッド124を非円形にすることにより、バール22間の接合材料29の水平範囲(つまり、平面視における形状)を制御できる。接合材料がバール22に近づきすぎることなく、バール22の間に接合材料29のより大きな面積を提供できる。本発明のある実施形態は、静電シート25と芯体21との間の接続の強度の向上が期待される。
【0105】
図16は、本発明のある実施形態に係る基板ホルダ20の平面図を示す。図16において、静電シート25の下の接合材料29が図16で見えるように、静電シート25が透明に示されている。図16に示されるように、ある実施形態において、接合材料29の体積は、平面視において非円形形状を有する。接合材料の形状は、接合パッド124の形状に対応する。接合パッド124は非円形である。図16に示されるように、ある実施形態において、接合パッド124および接合材料29は、バール22に対向する凹部エッジ191を有する。バール間の領域における接合部のサイズは、接合部とバール22との間の距離を減少させることなく、より大きくなる。
【0106】
ある実施形態において、上段部121の高さは、静電シート25の底部と上段部121との間の鉛直ギャップが少なくとも5μm、オプションとして少なくとも10μm、オプションとして少なくとも20μm、オプションとして少なくとも50μmとなるように構成される。これは、接合材料29によって充填されるギャップがそこに存在するのに十分な製造公差を提供する。ある実施形態において、静電シート25と上段部121との間の鉛直ギャップは、最大で200μm、オプションとして最大で100μm、オプションとして最大で50μmである。より小さなギャップは、接合材料29によって形成される接合部の特性をより正確に制御すること可能にする。ある実施形態において、静電シート25と下段部122との間の鉛直ギャップは、少なくとも50μm、オプションとして少なくとも100μm、オプションとして少なくとも200μmである。より大きなギャップは、使用する接合材料の量に対する、接合材料29によって形成される接合部の直径の感度を低下させる。
【0107】
図17は、本発明のある実施形態に係る静電シート25の断面図である。図17に示されるように、ある実施形態において、電気絶縁接合層32が誘電体層27、28の間に挟まれる。接合層32が電気絶縁性であることによって、接合層32は、電極26を電気的に絶縁するように構成される。ある実施形態において、接合層32は、電極26の平面内で電極26を取り囲む。接合層32は、電極26を電気的に絶縁する。接合層32は、バール22が通って突出する穴34から電極26を電気的に絶縁する。接合層32は、誘電体層27、28を互いに接合するように構成される。
【0108】
ある実施形態において、接合層32は成形可能な状態で堆積される。接合層32は、接合されると安定(不変)になる。ある実施形態において、電気絶縁接合層32は接着剤を備える。ある実施形態において、接合層32は高分子材料(ポリマー)を備える。ある実施形態において、接合層32は有機ポリマーを備える。ある実施形態において、接合層32は、ベンゾシクロブテン(BCB)を備える。パリレンといった他の材料を接合層32に使用してもよい。
【0109】
ある実施形態において、上部誘電体層28はガラスを備える。ある実施形態において、上部誘電体層28は酸化物を備える。ある実施形態において、ガラスは、例えばコーニング(登録商標)Eagle XG(登録商標)などのホウケイ酸ガラスである。ある別の実施形態において、上部誘電体層28は、例えばULE(登録商標)などのチタニアケイ酸塩ガラスを備える。
【0110】
ある実施形態において、下部誘電体層27は、上部誘電体層28と同じ材料を備える。ある別の実施形態において、下部誘電体層27は、上部誘電体層28とは異なる材料で形成される。例えば、ある実施形態において、下部誘電体層27は、上部誘電体層28に使用される材料に比べて低い抵抗率を有する材料で形成される。ある実施形態において、下部誘電体層27は、BOROFLOAT(登録商標)33などのホウケイ酸ガラスまたは別の誘電体材料を備える。
【0111】
図18および図19は、静電シート25を製造する方法の異なる段階を概略的に示す。図18に示されるように、ある実施形態において、方法は、上部誘電体層28および下部誘電体層27を提供することを備える。図18の上部に示されるように、ある実施形態において、この方法は、電極26を上部誘電体層28に付与することを備える。電極26を上部誘電体層28に付与することにより、電極26は、静電シート25の上部により近くなる。図18に示されるように、ある実施形態において、接合層32は、電極26の二つの主面の一方のみに設けられる。電極26は、誘電体層28上に直接付与される。接合層32は、電極26と静電シート25の上部との間には存在しない。これは、電極26によって生成される静電シート25の上方の電界強度のより優れた制御を可能にする。図18は上部誘電体層28に付与される電極26を示すが、ある別の実施形態において、電極26は下部誘電体層27に付与される。
【0112】
図18に示されるように、ある実施形態において、この方法は、電気絶縁接合層32を下部誘電体層27に付与することを備える。電気絶縁接合層32は、誘電体層27、28が互いに接合される前に付与される。ある実施形態において、接合層32は、スピンコーティングプロセスによって誘電体層27に付与される。しかしながら、他のプロセスが使用されてもよい。
【0113】
図18に示される構成において、接合層32は下部誘電体層27に付与される。ある別の実施形態において、接合層32は上部誘電体層28に付与される。 図18に示されるように、ある実施形態において、電極26および接合層32は、異なる誘電体層27、28に付与される。ある別の実施形態において(例えば、以下に説明される図20図25に示されるように)、電極26および接合層32の両方が同じ誘電体層(これは、下部誘電体層27または上部誘電体層28のいずれであってもよい)に付与される。
【0114】
図18に示されるように、ある実施形態において、静電シート25を製造する方法は、誘電体層27、28を互いに接合する前に、電極26をパターニングすることを備える。ある実施形態において、電極26はクロムなどの金属を備える。ある実施形態において、電極26は、少なくとも29nm、オプションとして少なくとも50nm、オプションとして少なくとも100nmの厚さを有する。ある実施形態において、電極26は、最大で500nm、オプションとして最大で200nm、オプションとして最大で100nmの厚さを有する。ある実施形態において、電極26は、エッチングプロセスによってパターニングされる。ある別の実施形態において、電極26はリフトオフプロセスによってパターニングされる。
【0115】
ある実施形態において、電極26が付与される誘電体層28は、少なくとも100μm、オプションとして少なくとも200μm、オプションとして少なくとも500μmの厚さを有する。より厚い誘電体層28は、静電シート25を製造する方法の最中の取り扱いにおいてより頑丈である。ある実施形態において、電極26が付与される誘電体層28は、最大で2mm、オプションとして最大で1mm、オプションとして最大で500μmの厚さを有する。より薄い誘電体層28は、誘電体層27、28が接合された後に必要とされるかもしれない薄くする量を減少させる。接合層32が付与される誘電体層27の厚さは、電極26が付与される誘電体層28の厚さと同じようにして選択されてもよい。したがって、取り得る厚さはここでは繰り返さない。
【0116】
図19に示されるように、ある実施形態において、静電シート25を製造する方法は、上部誘電体層28を下部誘電体層27に接合することを備える。誘電体層27、28は一緒に結合される。ある実施形態において、この方法は、例えば接合層32を重合(ポリマー化)させるために、結合した誘電体層27、28を加熱することを備える。例えば、結合した誘電体層27、28は、250℃の温度で加熱されうるが、用いる温度は特に限定されない。接合層32は、上部誘電体層28と下部誘電体層27との間に接合部を形成する。
【0117】
ある実施形態において、静電シート25を製造する方法は、上部誘電体層28および/または下部誘電体層27を薄くすることを備える。例えば、ある実施形態において、完成した静電シートの上部誘電体層は、最大で200μm、オプションとして最大で100μmの厚さを有する。ある実施形態において、完成した静電シート25の下部誘電体層27は、最大で500μm、オプションとして最大で400μmの厚さを有する。ある実施形態において、誘電体層27、28は、それらが一緒に接合された後に薄くされる。誘電体層27、28は、より頑丈となるように接合ステップ中に厚くしてもよく、その後、破損のリスクが低減した時点で薄くしてもよい。ある別の実施形態において、誘電体層27、28は、一緒に接合される前に所望の厚さに薄くされる。ある実施形態において、誘電体層27、28は、研削プロセスおよび/または研磨プロセスによって薄くされる。
【0118】
汚染粒子は、静電シート25の製造中に構成要素の表面に接触する可能性がある。誘電体層27、28が互いに接触するときに、誘電体層27、28の間の汚染粒子は、成形可能な接合層32によって取り囲まれるようになる。したがって、汚染粒子の存在は、静電シート25の製造に悪影響を与えることができない。本発明のある実施形態は、粒子の影響を受けにくい静電シート25の製造方法を提供することが期待される。
【0119】
電気絶縁接合層32を設けることにより、接合層32は、電気絶縁および機械的/化学的接合の両方の機能を果たす。本発明のある実施形態は、静電シート25の製造プロセスを簡素化することが期待される。電気絶縁および接合の機能を果たすために、別個の材料またはプロセスを提供する必要がない。
【0120】
図20から図25は、本発明のある実施形態に係る静電シート25を製造する方法の異なる段階を概略的に示す。図20に示されるように、ある実施形態において、この方法は、上部誘電体層28および下部誘電体層27を提供することを備える。ある実施形態において、誘電体層27、28の一方または両方には、一以上のアライメントマーカ201が設けられる。アライメントマーカ201は、誘電体層27、28を互いに対して位置合わせすることを容易にする。
【0121】
図21に示されるように、ある実施形態において、この方法は、誘電体層27、28が互いに接合される前に、誘電体層27、28に選択的に照射することを備える。ある実施形態において、誘電体層27、28は、基板ホルダ20の芯体21のバール22を収容するための穴34の所望の位置に基づいて照射される。ある実施形態において、誘電体層27、28は、 レーザを適用することによって (選択レーザエッチングといった)エッチングの準備として照射される。図21に示されるように、誘電体層27、28の照射は、照射領域211および非照射領域212をもたらす。ある実施形態において、照射領域211は、バール22を収容するための穴34の所望の位置に対応する。ある別の実施形態において、非照射領域212は、バール22のための穴34の所望の位置に対応する。
【0122】
図22に示されるように、ある実施形態において、静電シート25を製造する方法は、電極26を一方の誘電体層27に付与することを備える。ある実施形態において、薄い電気構造は、電極26を形成するために付与される。ある実施形態において、接合層32は、薄い電気構造上に付与される。接合層32は、電気構造を保護する。ある実施形態において、接合層32は有機ポリマーを備える。ある実施形態において、接合層32は、BCBまたはパリレンを備える。図23に示されるように、ある実施形態において、上部誘電体層28は下部誘電体層27に接合される。接合層32は、誘電体層27、28を互いに接合するのに役立つ。
【0123】
図24に示されるように、ある実施形態において、この方法は、芯体21のバール22を収容するための穴34を形成するためにエッチングステップを適用することを備える。ある実施の形態において、誘電体層27、28を互いに接合した後に、穴34を形成するために材料が除去される。材料は、選択された照射に基づいて除去される。ある実施形態において、材料を除去するステップは、例えばレーザを適用することによって、誘電体層の照射部分211を選択的にエッチングすることを備える。
【0124】
図25に示されるように、ある実施形態において、この方法は、接合層32の露出部分を除去する酸化物プラズマに静電シート25を露出(暴露)することを備える。具体的には、誘電体層27、28の照射部分211をエッチング除去するステップの後、穴34内の接合層32の部分(セクション)が露出される。積層体(スタック)は、穴34から接合層32の材料をエッチングするために、酸化物プラズマ中に置かれる。
【0125】
図28a~fは、本発明のある実施形態に係る基板ホルダ20を製造する方法の異なる段階を概略的に示す。基板ホルダ20は、図2図27に描かれる既出の実施形態のものと同様であり、接合材料29は、有益な熱伝導率を有する半田286または溶接材料286を備える。半田286は、金属ベースであってもよい。さらに、半田286または溶接材料286は、大気から真空への移行時にクリープまたは変形しにくいかもしれないため、接着剤またはエポキシ接合に比べて、クランプ力のより好ましい均一性および安定性が提供されうる。オプションとして、白金(Pt)またはクロム(Cr)といった接着層282、284は、半田286と芯体21および/または静電シート25との間の接着を促進するために使用されてもよい。これは、半田付けにおけるフラックスの必要性を排除し、スキャナ環境におけるH-ラジカルおよび/またはH-プラズマとの互換性に有益であろう。 接着層282、284は、金属ベースの接着層であることができる。静電シート25は、図2図27に描かれる既出の実施形態のものと同様である。
【0126】
図28aに示されるように、ある実施形態において、方法は、静電シート25に対向する芯体21の表面上に接着層282をコーティングすることを備える。表面はバール22の間にある。
【0127】
図28bに示されるように、ある実施形態において、方法は、芯体21に対向する静電シート25の表面上に接着層284をコーティングすることをさらに備える。代替的に、静電シールド45がPtまたは/およびCrを備えてもよいため、静電シールド45が接着層284として機能してもよい。
【0128】
図28cに示されるように、ある実施形態において、方法は、半田286または溶接材料286を接着層284上に配置することをさらに備える。
【0129】
図28dに示されるように、ある実施形態において、方法は、半田286または溶接材料286を加熱することをさらに備える。これは、ホットプレート288を用いてなされることができる。熱は、ホットプレート288から芯体21を介して、半田286または溶接材料286に伝達されてもよい。
【0130】
図28eに示されるように、ある実施形態において、方法は、半田286または溶接材料286が加熱されている間、静電シート25を半田286または溶接材料286の上に配置することをさらに備える。配置することは、静電シート25を水平にすることを備えてもよい。静電シート25は、接着層284が芯体21に対向するように、ひっくり返されてもよい。
【0131】
図28fに示されるように、ある実施形態において、方法は、静電シート25が芯体21上に半田付けまたは溶接されるように、基板ホルダ20を冷却することをさらに備える。
【0132】
半田286は、応力による変形を最小化するために付与されうる比較的低温の半田であってもよい。オプションとして、水素脆化しやすい金属は好ましくない。可能性のある半田286の候補は以下に列挙される:
【0133】
【表1】
【0134】
実施形態に係る物体ホルダの全ての部分を製造するために使用される材料は、既知の物体ホルダを製造するために使用される既知の材料のいずれであってもよい。特に、実施形態に係る物体ホルダの部品は、WO2015/120923A1、WO2014/154428A2、およびUS2013/0094009A1に開示される材料を用いて製造されてもよく、これらの内容の全体は参照により本書に組み込まれる。
【0135】
具体的には、電極26に使用される金属は、CrまたはTiであってもよい。バールの遠位端面に使用される金属は、CrNまたはTiNであってもよい。絶縁部分は、酸化クロムであってもよい。芯体はSiSiCであってもよい。静電シールド45に使用される材料は、Cr、CrN、またはWであってもよい(ただし、他の多くの材料が可能である)。
【0136】
明確な説明を助けるために、物体ホルダの上面および下面を参照しながら実施形態が説明された。上面および下面は、物体ホルダの第1面および第2面である。第1面は、物体がクランプされうる表面である。第2面は、テーブルが固定されうる面である。物体ホルダが水平面内に向けられているとき、第1面は上面であり、第2面は下面である。しかしながら、実施形態は、水平面内に向けられていない物体ホルダも含む。
【0137】
実施形態は、任意のリソグラフィ装置で使用される物体ホルダを含む。リソグラフィ装置は、電子ビーム検査装置といった基板の製造、テストおよび検査に使用される任意の装置を含んでもよい。明確な説明を助けるために、物体ホルダの特徴は、基板ホルダ20の上側が基板Wにクランプされる文脈で主に説明されてきた。本発明の特徴は、物体ホルダの下側にも等しく適用可能であり、例えば、基板ホルダ20の下側が基板テーブルWTの残りの部分にクランプされる。単なる例として、上段部121、下段部122、および接合パッド124に関連する特徴は、基板ホルダ20の下側に適用されてもよい。
【0138】
本明細書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的に言及しているが、本書に記載されるリソグラフィ装置は他の用途を有してもよいことが理解されよう。可能性のある他の用途は、集積光学システム、磁区ドメインメモリ用の案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ (LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造を含む。
【0139】
本書では、リソグラフィ装置の文脈で本発明の実施形態について具体的な言及がなされたかもしれないが、本発明の実施形態は他の装置で使用されてもよい。本発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、またはウェハ(または他の基板)またはマスク(または他のパターニングデバイス)といった物体を測定または処理する任意の装置の部分を形成してもよい。これらの装置は、一般にリソグラフィツールと呼ばれるかもしれない。そのようなリソグラフィツールは、真空条件または大気(非真空)条件を使用してもよい。
【0140】
上記では、光リソグラフィの文脈で本発明の実施形態の使用について具体的な言及がなされたかもしれないが、本発明は、文脈が許せば、光リソグラフィに限定されず、他の用途、例えばインプリントリソグラフィで使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0141】
対象物の検査および光リソグラフィの文脈で本発明の実施形態を使用することについて上記で具体的に言及されたかもしれないが、本発明は、文脈が許せば、これらの文脈に限定されず、他の用途、例えばインプリントリソグラフィで使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0142】
本発明の特定の実施形態が上述されたが、本発明は、記載以外の方法で実施されてもよいことが理解されるであろう。上記の説明は、限定ではなく、例示を意図したものである。したがって、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、説明された本発明に変更が加えられてもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0143】
条項:
(項1)物体を支持するよう構成される物体ホルダであって、前記物体ホルダは、前記物体を支持するための支持面内に遠位端を有する複数のバールを備える芯体と、前記バールの間にある静電シートであって、誘電体層の間に挟まれる電極を備える静電シートと、前記静電シートと前記芯体との間の空間から逃げるガスの流出を低減するための円周バリアと、を備える物体ホルダ。
(項2)前記円周バリアは、前記静電シートと前記芯体の間に位置する、項1に記載の物体ホルダ。
(項3)前記円周バリアは、前記静電シートによって形成される、項1または2に記載の物体ホルダ。
(項4)前記誘電体層の一つに設けられ、前記電極が電源に接続できるようにするためのギャップをさらに備え、前記ギャップは、前記円周バリアの径方向外側にある、項2または3に記載の物体ホルダ。
(項5)前記静電シートは、前記バールの径方向外側に設けられ、ガスが前記静電シートを貫通して流れることができるように構成される少なくとも一つのガスベントをさらに備える、先行する項のいずれかに記載の物体ホルダ。
(項6)前記ガスベントは、前記物体のエッジの径方向内側にある径方向内側エッジを有する、項5に記載の物体ホルダ。
(項7)前記円周バリアは、前記芯体によって形成される、項1に記載の物体ホルダ。
(項8)前記電極は、前記円周バリアを貫通し、前記電極が電源に接続できるようにするための端子を形成する、項1に記載の物体ホルダ。
(項9)前記電極を電源に接続するために前記芯体を通って延在する高電圧接続線を備える、先行する項のいずれかに記載の物体ホルダ。
(項10)前記電極シートは、接合材料によって前記芯体に接合される、先行する項のいずれかに記載の物体ホルダ。
(項11)前記バールの間の前記芯体の物体対向面は、前記接合材料が設けられる上段部と、前記上段部に隣接し、前記静電シートの下面の鉛直下方にある下段部とを備える、項10に記載の物体ホルダ。
(項12)前記上段部は、前記下段部よりも滑らかな表面を有する、項11に記載の物体ホルダ。
(項13)前記芯体の前記物体対向面は、前記バールを取り囲む隆起段部を備え、前記隆起段部は、前記下段部に対して隆起する、項11から12のいずれかに記載の物体ホルダ。
(項14)前記上段部は、非円形である、項11から13のいずれかに記載の物体ホルダ。
(項15)電気絶縁接合層が誘電体層の間に挟まれており、または/および、前記物体ホルダは、前記物体ホルダの複数の場所の温度を検出するための複数の温度センサを備える、先行する項のいずれかに記載の物体ホルダ。
(項16)前記接合層は、ポリマーを備える、項15に記載の物体ホルダ。
(項17)前記接合層は、ベンゾシクロブテンを備える、項15から16のいずれかに記載の物体ホルダ。
(項18)前記接合層は、前記電極を電気的に絶縁するように、前記電極の平面内で前記電極を取り囲む、項15から17のいずれかに記載の物体ホルダ。
(項19)前記接合層は、前記電極の二つの主面の一方のみに設けられる、項15から18のいずれかに記載の物体ホルダ。
(項20)物体を支持するよう構成される物体ホルダのための静電シートであって、前記静電シートは、前記物体を支持するための芯体のバールを収容するための穴と、誘電体層と、前記誘電体層の間に挟まれる電極と、を備え、前記静電シートは、前記静電シートと前記芯体との間の空間から逃げるガスの流出を低減するための円周バリアをさらに備える、静電シート。
(項21)物体を支持するよう構成される物体ホルダのための静電シートを製造する方法であって、前記方法は、誘電体層に電極を付与することと、前記電極が誘電体層の間に挟まれるように、前記誘電体層を別の誘電体層に接合することと、を備え、前記静電シートは、前記静電シートと前記物体との間の空間から逃げるガスの流出を低減するための円周バリアを備える、方法。
(項22)前記誘電体層を互いに接合する前に前記電極をパターニングすることを備える、項21に記載の方法。
(項23)電気絶縁接合層は、前記誘電体層を互いに接合する前に前記他の誘電体層に付与される、項21から22のいずれかに記載の方法。
(項24)前記物体ホルダの芯体のバールを収容するための穴の所望の位置に基づいて、前記誘電体層を互いに接合する前に、前記誘電体層に選択的に照射することと、前記選択的な照射に基づいて、前記誘電体層を互いに接合した後に、前記穴を形成するために材料を除去することと、を備える、項21-23のいずれかに記載の方法。
(項25)前記材料を除去するステップは、前記誘電体層の照射された部分を選択的にエッチングすることを備える、項24に記載の方法。
(項26)前記誘電体層の照射された部分を選択的にエッチングするステップは、レーザを適用することによって実行される、項25に記載の方法。
(項27)前記材料を除去するステップは、前記接合層の露出部分を除去する酸化物プラズマに前記静電シートを露出させることを備える、項24から26のいずれかに記載の方法。
(項28)項1から19のいずれかに記載の物体ホルダを備えるリソグラフィ装置。
(項29)項20に記載の静電シートを備えるリソグラフィ装置。
図1
図2
図3a
図3b
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図28f
【国際調査報告】