(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】汚染物質検出のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G03F 1/84 20120101AFI20240206BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240206BHJP
G01N 21/65 20060101ALI20240206BHJP
G03F 1/62 20120101ALI20240206BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G03F1/84
G03F7/20 501
G01N21/65
G03F1/62
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544770
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2022051403
(87)【国際公開番号】W WO2022175019
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(71)【出願人】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】パーンデー,ニテシュ
(72)【発明者】
【氏名】クロイツァー,ジャスティン,ロイド
(72)【発明者】
【氏名】パブロフスキー,ミハル,エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ウェイ
【テーマコード(参考)】
2G043
2G051
2H195
2H197
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043CA05
2G043CA07
2G043HA01
2G043HA02
2G043JA01
2G043LA03
2G043NA05
2G051AA56
2G051AB01
2G051BA10
2G051BA20
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB05
2H195BC31
2H195BD02
2H195BD05
2H195BD12
2H195BD13
2H195BD15
2H195BD24
2H197AA05
2H197BA11
2H197BA23
2H197CA05
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA10
2H197CB16
2H197CC16
2H197CD12
2H197CD13
2H197DC01
2H197DC12
2H197GA01
2H197GA08
2H197GA20
2H197GA24
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA10
(57)【要約】
システムは、ペリクルの表面を照明するように構成された光源と、ペリクルの表面をスキャンするように構成されたスキャナと、基準信号及びテスト信号のラマンスペクトルを測定するように構成されたスペクトロメータであって、基準信号はペリクル及び/又はレチクルの表面からの測定に基づき、テスト信号はペリクルの照明された表面に基づく、スペクトロメータと、プロセッサとを、含むことができる。プロセッサは、基準信号及びテスト信号のラマンスペクトル間の相違を決定するように、並びに、基準信号及びテスト信号のラマンスペクトルにおける偏差の検出に応答してペリクルの表面上の汚染物質の存在を識別するように、構成可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペリクル及び/又はレチクル表面に関連付けられた第1の値を測定すること、
前記ペリクル表面を照明すること、
前記照明されたペリクル表面に関連付けられた第2の値を測定すること、
前記第1及び第2の値のラマンスペクトル間の相違を決定すること、及び、
前記決定に応答して、前記ペリクル表面上の汚染物質の存在を識別すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記相違と複数の汚染物質の既知のスペクトルのデータベースとの比較に基づいて、汚染物質のタイプを識別することであって、前記汚染物質のタイプは、有機汚染物質又は無機汚染物質を含む、汚染物質のタイプを識別すること、
前記汚染物質のタイプに基づいて汚染物質源を識別すること、及び、
前記汚染物質のタイプに基づいて前記汚染物質を除去するための修復プロセスを識別すること、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の値を決定することは、
前記ペリクル及び/又は前記レチクル表面の複数のロケーションにおける散乱信号を測定するための要素を備える、ディテクタを使用すること、
前記要素の各々について、ヒストグラムを計算すること、
前記ヒストグラムから任意の外れ値を除去した後、前記ヒストグラム上でガウシアンフィットを実行すること、及び、
前記要素についての前記ガウシアンフィットから平均値を導出することであって、前記平均値は前記第1の値として使用され、前記平均値は前記要素の数に基づく1次元アレイを含む、導出すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数のロケーションの各々における汚染物質について前記ペリクルをスキャンするためのスキャンモード中に、前記ペリクル上の前記複数のロケーションにディテクタを移動させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ペリクル表面上の前記汚染物質の像をキャプチャすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ペリクル又は前記レチクル表面を照明することは、複数の波長を使用することを含み、
前記第1の値を測定すること、前記決定すること、及び前記識別することは、前記複数の波長の各々について実行される、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ペリクルの表面を照明するように構成された光源と、
前記ペリクルの前記表面をスキャンするように構成されたスキャナと、
テスト信号のラマンスペクトルを測定するように構成されたスペクトロメータであって、前記テスト信号は前記ペリクルの前記照明された表面に基づく、スペクトロメータと、
プロセッサであって、
基準信号と前記テスト信号の前記ラマンスペクトル間の相違を決定するように構成され、前記基準信号は前記ペリクル及び/又はレチクルの前記表面からの測定に基づき、また、
前記基準信号と前記テスト信号の前記ラマンスペクトルにおける偏差の検出に応答して、前記ペリクルの前記表面上の汚染物質の存在を識別するように構成された、
プロセッサと、
を備える、システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記基準信号及び前記テスト信号の前記ラマンスペクトル内の前記偏差と、複数の汚染物質の既知のスペクトルのデータベースとを比較するように、更に構成され、前記プロセッサは、前記比較に基づいて汚染物質のタイプを識別するように更に構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記汚染物質のタイプに基づいて汚染物質源を識別するように更に構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記汚染物質のタイプに基づいて前記汚染物質を除去するための修復プロセスを識別するように更に構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記スキャナは、複数のロケーションの各々における汚染物質についてスキャンするための前記スキャンモード中に、前記ペリクル上の前記複数のロケーションをスキャンするように更に構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
イメージセンサを使用して前記ペリクルの前記表面上の前記汚染物質の像をキャプチャするように構成されたイメージセンサを更に備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記光源は、複数の色を使用して前記ペリクルの前記表面を照明するように更に構成され、前記複数の色のうちの各色について、前記プロセッサは、前記基準信号及び前記テスト信号の前記ラマンスペクトル間の前記相違を決定し、前記汚染物質の前記存在を識別するように、更に構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
ペリクル及び/又はレチクル表面に関連付けられた第1の値を測定すること、
前記ペリクル表面を照明すること、
前記照明されたペリクル表面に関連付けられた第2の値を測定すること、
前記第1及び第2の値のラマンスペクトル間の相違を決定すること、及び、
前記決定に応答して、前記ペリクル表面上の汚染物質の存在を識別すること、
を含む動作を実行するために、1つ以上のプロセッサによる実行のための1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記第1の値を決定することは、
前記ペリクル及び/又は前記レチクル表面の複数のロケーションにおける複数の前記第1の値を測定するための要素を備える、ディテクタを使用すること、
前記要素の各々について、ヒストグラムを計算すること、
前記ヒストグラムから任意の外れ値を除去した後、前記ヒストグラム上でガウシアンフィットを実行すること、及び、
前記要素についての前記ガウシアンフィットから平均値を導出することであって、前記平均値は前記複数の前記第1の値として使用される、導出すること、
を含む、請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、リソグラフィシステム、例えば、リソグラフィ装置内のペリクル上の汚染物質を検出するための検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが付与される隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0003】
[0003] 別のリソグラフィシステムは干渉リソグラフィシステムであり、パターニングデバイスは存在しないが、光ビームが2本のビームに分割され、2本のビームは反射システムの使用を介して基板のターゲット部分において干渉される。干渉は、基板のターゲット部分においてラインを形成させる。
【0004】
[0004] リソグラフィ動作の間、異なる処理ステップは、基板上に異なる層を順次形成させる必要があり得る。層の優先順位付けは、典型的には、各パターン転送プロセスに対する各層の望ましいパターンに従って、異なるレチクルを交換することによって達成される。典型的なリソグラフィシステムは、レチクル上のパターン及びレチクルからウェーハ上に転写されるパターンに関して、サブナノメータ許容範囲内で働く。レチクル上の汚染物質粒子が、転送されたパターン上にエラーをもたらし得る。したがって、サブナノメータの確度でウェーハ上にパターンを正確に転送することが可能な、汚染物質の無いレチクルを維持することが望ましい。
【0005】
[0005] リソグラフィ装置の環境内では、非常に動的なプロセス、例えば、レチクルハンドオフ、ウェーハハンドオフ、被制御ガスフロー、真空チャンバ壁のガス抜き、液体ディスペンス(例えばフォトレジストコーティング)、温度変化、金属付着、多数の始動可能コンポーネントの高速移動、及び、構造の摩耗が、実行される。経時的に、動的プロセスは、リソグラフィ装置内に汚染物質粒子を導入及び構築する。
【発明の概要】
【0006】
[0006] リソグラフィ装置の光学的に重要なコンポーネント上の汚染物質を検出するための、改良された検査技法が求められている。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態では、方法は下記の動作を含む。ペリクル及び/又はレチクル表面に関連付けられた第1の値を測定すること。ペリクル表面を照明すること。照明されたペリクル表面に関連付けられた第2の値を測定すること。第1及び第2の値のラマンスペクトル間の相違を決定すること。決定に応答して、ペリクル表面上の汚染物質の存在を識別すること。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態では、システムは下記のコンポーネントを含む。ペリクルの表面を照明するように構成された光源、ペリクルの表面をスキャンするように構成されたスキャナ。基準信号及びテスト信号のラマンスペクトルを測定するように構成されたスペクトロメータであって、基準信号はペリクル及び/又はレチクルの表面からの測定に基づき、テスト信号はペリクルの照明された表面に基づく。基準信号とテスト信号のラマンスペクトル間の相違を決定するように、及び、基準信号とテスト信号のラマンスペクトルにおける偏差の検出に応答してペリクルの表面上の汚染物質の存在を識別するように、構成されたプロセッサ。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態では、動作を実行するために1つ以上のプロセッサによる実行のための1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体。ペリクル及び/又はレチクル表面に関連付けられた第1の値を測定すること。ペリクル表面を照明すること。照明されたペリクル表面に関連付けられた第2の値を測定すること。第1及び第2の値のラマンスペクトル間の相違を決定すること。決定に応答して、ペリクル表面上の汚染物質の存在を識別すること。
【0010】
[0010] 本開示の別の特徴並びに本発明の様々な実施形態の構造及び作用は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。本開示は、本明細書に記載する特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、例示のみを目的として本明細書に記載されている。本明細書に含まれる教示に基づいて当業者は更なる実施形態を容易に思いつくであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[0011] 本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本開示を図示し説明とともに、更に本開示の原理を説明し、当業者が本明細書に記載の実施形態を作成して使用できるようにする働きをする。
【0012】
【
図1A】[0012]いくつかの実施形態に従った反射型リソグラフィ装置を示す概略図である。
【
図1B】[0013]いくつかの実施形態に従った透過型リソグラフィ装置を示す概略図である。
【
図2】[0014]いくつかの実施形態に従った反射型リソグラフィ装置を示すより詳細な概略図である。
【
図3】[0015]いくつかの実施形態に従ったリソグラフィセルを示す概略図である。
【
図4】[0016]いくつかの実施形態に従ったメトロロジ装置を示す概略図である。
【
図5】[0016]いくつかの実施形態に従ったメトロロジ装置を示す概略図である。
【0013】
[0017] 本開示の特徴は、同様の参照符号は全体を通して対応する要素を識別する図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことで更に明白になるであろう。図面では、一般に、同様の参照番号が同一の、機能が類似した、及び/又は構造が類似する要素を示す。更に一般に、参照番号の左端の桁は、参照番号が最初に表示される図面を識別する。他に示されない限り、本開示を通じて提供される図面は縮尺通りの図面として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0018] 本明細書は、本開示の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される1つ又は複数の実施形態は例として提供される。本開示の範囲は開示される1つ又は複数の実施形態に限定されない。特許請求される特徴は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
【0015】
[0019] 記載された1つ又は複数の実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された1つ又は複数の実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。更に、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。更に、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識の範囲内にあることが理解される。
【0016】
[0020] 「下(beneath)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(above)」、「上(on)」、「上(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、図に示すように、ある要素又は特徴と別の1つ又は複数の要素又は1つ又は複数の特徴との関係を説明するのを容易にするために、本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの様々な方向を包含することを意図している。装置は、他の方法で方向付けられてもよく(90度又は他の方向に回転されてもよい)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述語は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0017】
[0021] 本明細書で使用される「約」という語は、特定の技術に基づいて変化し得る所与の量の値を示す。特定の技術に基づいて、「約」という語は、例えばその値の10~30%(例えば、その値の±10%、±20%、又は±30%)の範囲内で変化する所与の量の値を示す可能性がある。
【0018】
[0022] 本開示の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらのいずれかの組み合わせにおいて実施可能である。また、本開示の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって読み取り及び実行され得る機械読み取り可能媒体上に記憶された命令としても実施することができる。機械読み取り可能媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態の情報を記憶又は送信するためのいずれかの機構を含み得る。例えば、機械読み取り可能媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音、又は他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、及び他のものを含むことができる。更に、一定の動作を実行するものとして本明細書ではファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、及び/又は命令を記載することができる。しかしながらそのような記載は単に便宜上のものであり、そういった動作は実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスから得られることは認められよう。「非一時的」という用語は、本明細書では、一時的な伝搬信号を唯一の例外として、データ、情報、命令、その他を記憶するために使用されるコンピュータ可読媒体を特徴付けるために使用され得る。
【0019】
[0023] このような実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
【0020】
[0024] 例示的なリソグラフィシステム
【0021】
[0025]
図1A及び
図1Bは、それぞれ本開示の実施形態が実装され得るリソグラフィ装置100及びリソグラフィ装置100’の概略図である。リソグラフィ装置100及びリソグラフィ装置100’はそれぞれ以下の、放射ビームB(例えば、深紫外放射又は極端紫外放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク、レチクル、又は動的パターニングデバイス)MAを支持するように構成されるとともに、パターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成されるとともに、基板Wを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、を備える。リソグラフィ装置100及び100’は、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば、1つ以上のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するように構成された投影システムPSも有する。リソグラフィ装置100では、パターニングデバイスMA及び投影システムPSは反射型である。リソグラフィ装置100’では、パターニングデバイスMA及び投影システムPSは透過型である。
【0022】
[0026] 照明システムILは、放射ビームBを誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含んでもよい。
【0023】
[0027] 支持構造MTは、基準フレームに対するパターニングデバイスMAの方向、リソグラフィ装置100及び100’のうちの少なくとも1つの設計等の条件、及びパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、機械的、真空、静電、又は他のクランプ技術を使用して、パターニングデバイスMAを保持することができる。支持構造MTは、例えば、フレーム又はテーブルでもよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。センサを使用することにより、支持構造MTは、パターニングデバイスMAが、例えば、投影システムPSに対して確実に所望の位置に来るようにできる。
【0024】
[0028] 「パターニングデバイス」MAという用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成する等のために放射ビームBの断面にパターンを付与するのに使用され得る何らかのデバイスを指すものと広義に解釈されるべきである。放射ビームBに付与されたパターンは、集積回路を形成するためにターゲット部分Cに生成されるデバイスにおける特定の機能層に対応する可能性がある。
【0025】
[0029] パターニングデバイスMAは、(
図1Bのリソグラフィ装置100’におけるように)透過型であっても、(
図1Aのリソグラフィ装置100におけるように)反射型とすることができる。パターニングデバイスMAの例には、レチクル、マスク、プログラマブルミラーアレイ、又はプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、バイナリマスク、レベンソン型位相シフトマスク、又はハーフトーン型位相シフトマスク、更には多様なハイブリッドマスクタイプなどのマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイの一例は、それぞれが入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜され得る小さいミラーのマトリクス配列を採用する。傾斜されたミラーは、小さいミラーのマトリクスにより反射される放射ビームBにパターンを付与する。
【0026】
[0030] 本明細書において使用する「投影システム」PSという用語は、用いられる露光放射線に、又は、基板W上での液浸液の使用もしくは真空の使用などの他の要素に適切な屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はそれらのあらゆる組み合わせを含むあらゆるタイプの投影システムを含んでいてもよい。その他のガスは放射線又は電子を吸収し過ぎる可能性があるため、EUV又は電子ビーム放射線には真空環境を使用することがある。したがって、真空環境は、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に提供してもよい。
【0027】
[0031] リソグラフィ装置100及び/又はリソグラフィ装置100’は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブルWT(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプであってよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加の基板テーブルWTが並行して使用されるか、あるいは1つ以上の基板テーブルWTが露光に使用されている間に、1つ以上の他のテーブルで準備工程が実行されてよい。ある状況では、追加のテーブルは基板テーブルWTでなくてもよい。
【0028】
[0032] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野でよく知られている。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
【0029】
[0033]
図1A及び
図1Bを参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。例えば放射源SOがエキシマレーザである場合には、放射源SOとリソグラフィ装置100、100’とは別個の物理的実体であってよい。この場合、放射源SOはリソグラフィ装置100又は100’の一部を構成するとは見なされず、放射ビームBは放射源SOから、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを備えたビームデリバリシステムBD(
図1B)を介してイルミネータILへ通過する。他の場合、例えば放射源SOが水銀ランプである場合には、放射源SOはリソグラフィ装置100、100’の一体部分であってよい。放射源SOとイルミネータILとは、またビームデリバリシステムBDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射システムと呼ばれることがある。
【0030】
[0034] イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタAD(
図1B)を備えてよい。一般に、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ「σ-outer」及び「σ-inner」と呼ばれる)を調整することができる。加えてイルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の様々なコンポーネント(
図1B)を備えてもよい。イルミネータILは、ビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームBを調節するのに使用することができる。
【0031】
[0035]
図1Aを参照すると、放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTに保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン付与される。リソグラフィ装置100では、放射ビームBはパターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過する。投影システムPSは放射ビームBを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2のポジショナPWと位置センサIF2(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)の助けによって、基板テーブルWTを(例えば、放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを位置決めするように)正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサIF1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して、パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wを位置合わせすることができる。
【0032】
[0036]
図1Bを参照すると、放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブルMT)に保持されたパターニングデバイス(例えばマスクMA)に入射し、パターニングデバイスによってパターン付与される。マスクMAを横断した後、放射ビームBは投影システムPSを通過する。投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。投影システムは、照明システム瞳IPUと共役な瞳PPUを有する。放射の一部は、照明システム瞳IPUにおける強度分布から生じ、マスクパターンにおいて回折の影響を受けることなくマスクパターンを横切り、照明システム瞳IPUにおいて強度分布の像を作り出す。
【0033】
[0037] 投影システムPSは、マスクパターンMPの像MP’を投影する。像MP’は、強度分布からの放射によりマークパターンMPから生成された回折ビームによって、基板W上に被覆されたフォトレジスト層上に形成される。例えば、マスクパターンMPには、ラインとスペースのアレイが含むことができる。アレイでの放射回折でゼロ次回折でないものからは、ラインと垂直な方向に方向が変わった誘導回折ビームが生成される。非回折ビーム(すなわち、いわゆるゼロ次回折ビーム)は、伝搬方向が変化することなくパターンを横断する。ゼロ次回折ビームは、投影システムPSの共役な瞳PPUの上流にある投影システムPSの上部レンズ又は上部レンズグループを横断して、共役な瞳PPUに到達する。ゼロ次回折ビームに関連する共役な瞳PPUの面における強度分布の部分が、照明システムILの照明システム瞳IPUの強度分布の像である。開口デバイスPDは、例えば投影システムPSの共役な瞳PPUを含む平面に又は概ね平面に配置される。
【0034】
[0038] 投影システムPSは、レンズ又はレンズグループLによって、ゼロ次回折ビームのみならず、1次又は1次以上の回折ビーム(図示せず)も捉えるように配置される。いくつかの実施形態では、ラインに対して垂直な方向に延びるラインパターンを結像するためのダイポール照明を使用して、ダイポール照明の解像度向上効果を利用することができる。例えば、1次回折ビームは、対応するゼロ次回折ビームにウェーハWのレベルで干渉して、ラインパターンMPの像を可能な限り高い解像度及びプロセスウィンドウ(すなわち、使用可能焦点深度及び許容露光ドーズの変化の組み合わせ)で生成する。いくつかの実施形態では、照明システム瞳IPUの対向する象限に放射極(図示せず)を提供することによって非点収差を低減することができる。更に、いくつかの実施形態では、対向する象限の放射極に関連付けられた投影システムの共役な瞳PPUでゼロ次ビームを遮断することによって非点収差を低減することができる。このことは、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる、2009年3月31日発行の米国特許第7,511,799B2号により詳細に説明されている。
【0035】
[0039] 第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)の助けにより、(例えば放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを位置決めするように)基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、(例えばマスクライブラリの機械的な取り出し後又はスキャン中に)第1のポジショナPMと別の位置センサ(
図1Bに図示せず)とを使用して、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めすることができる。
【0036】
[0040] 一般に、マスクテーブルMTの移動は、第1のポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けを借りて実現することができる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使用して実現することができる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブラインアライメントマークとして周知である)。同様に、マスクMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0037】
[0041] マスクテーブルMT及びパターニングデバイスMAは、真空チャンバV内にあってよい。真空内ロボットIVRを用いて、マスクなどのパターニングデバイスを真空チャンバ内及び外に移動させることができる。代替的に、マスクテーブルMT及びパターニングデバイスMAが真空チャンバの外側にある場合、真空内ロボットIVRと同様に、様々な輸送作業のために真空外ロボットを用いることができる。真空内及び真空外ロボットは、共に中継ステーションの固定されたキネマティックマウントへの任意のペイロード(例えばマスク)のスムーズな移動のために較正される必要がある。
【0038】
[0042] 図示のリソグラフィ装置100及び100’は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
1.ステップモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームBに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。
2.スキャンモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、同期的にスキャンされる一方、放射ビームBに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。
3.別のモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームBに付与されたパターンをターゲット部分Cに投影する。パルス放射源SOを使用することができ、プログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、必要に応じて更新される。この動作モードは、プログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0039】
[0043] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0040】
[0044] いくつかの実施形態では、リソグラフィ装置は、DUV及び/又はEUV放射を生成し得る。例えば、リソグラフィ装置100’はDUV源を使用して動作するように構成され得る。別の例では、リソグラフィ装置100は、EUVリソグラフィのためのEUV放射のビームを生成するように構成された、極端紫外線(EUV)源を含む。一般に、EUV源は放射システム内に構成され、対応する照明システムはEUV源のEUV放射ビームを調節するように構成される。
【0041】
[0045]
図2は、ソースコレクタ装置SO、照明システムIL、及び投影システムPSを備えたリソグラフィ装置100をより詳細に示している。ソースコレクタ装置SOは、このソースコレクタ装置SOの閉鎖構造220内に真空環境を維持できるように構築及び配置される。放電生成プラズマ源によってEUV放射放出プラズマ210を形成することができる。EUV放射を生成するには、例えばXeガス、Li蒸気、又はSn蒸気のようなガス又は蒸気によって、極めて高温のプラズマ210を生成して、電磁スペクトルのEUV範囲内の放射を放出させればよい。極めて高温のプラズマ210は、例えば放電によって少なくとも不完全電離プラズマを生じさせることによって生成される。効率的な放射発生のため、例えば分圧が10PaのXe、Li、Snの蒸気又は他のいずれかの適切なガスもしくは蒸気が必要となることがある。いくつかの実施形態では、励起したスズ(Sn)のプラズマを供給してEUV放射を生成する。
【0042】
[0046] 高温プラズマ210が発した放射は、放射源チャンバ211からコレクタチャンバ212内へ、放射源チャンバ211の開口内又は開口の後ろに位置決めされた任意選択のガスバリア又は汚染物質トラップ230(場合によっては汚染物質バリア又はフォイルトラップとも呼ばれる)を介して送出される。汚染物質トラップ230はチャネル構造を含むことができる。汚染物質トラップ230は、ガスバリア又はガスバリアとチャネル構造の組み合わせを含むことができる。本明細書で更に示す汚染物質トラップ又は汚染物質バリア230は、少なくともチャネル構造を含む。
【0043】
[0047] コレクタチャンバ212は、いわゆるかすり入射型コレクタの場合もある放射コレクタCOを含むことができる。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側251及び下流放射コレクタ側252を有する。コレクタCOを横断する放射は、格子スペクトルフィルタ240で反射して、仮想光源点IFに合焦させることができる。仮想光源点IFは一般に中間焦点と呼ばれ、ソースコレクタ装置は、中間焦点IFが閉鎖構造220の開口219に又はその近傍に位置するように配置される。仮想光源点IFは、放射放出プラズマ210の像である。格子スペクトルフィルタ240は、特に赤外線(IR)放射を抑制するために用いられる。
【0044】
[0048] この後、放射は照明システムILを横断する。照明システムILは、パターニングデバイスMAにおいて放射ビーム221の所望の角度分布を与えるとともにパターニングデバイスMAにおいて所望の放射強度均一性を与えるように配置されたファセットフィールドミラーデバイス222及びファセット瞳ミラーデバイス224を備えることができる。支持構造MTにより保持されたパターニングデバイスMAで放射ビーム221が反射されると、パターン付きビーム226が形成され、このパターン付きビーム226は、投影システムPSによって反射要素228、229を介して、ウェーハステージ又は基板テーブルWTにより保持された基板W上に結像される。
【0045】
[0049] 一般に、照明光学ユニットIL及び投影システムPSには、図示するよりも多くの要素が存在することができる。格子スペクトルフィルタ240は、リソグラフィ装置のタイプに応じて任意選択的に存在することができる。更に、
図2に示したものよりも多くのミラーが存在することができ、例えば投影システムPSには、
図2に示したものに比べて1つから6つの追加の反射要素が存在することができる。
【0046】
[0050]
図2に示すようなコレクタ系COは、コレクタ(又はコレクタミラー)の単なる一例として、かすり入射型リフレクタ253、254、及び255を有する入れ子状のコレクタとして示されている。かすり入射型リフレクタ253、254、及び255は、光軸Oを中心として軸方向に対称配置され、このタイプのコレクタ系COは、DPP源と呼ばれることが多い放電生成プラズマ源と組み合わせて好適に用いられる。
【0047】
[0051] 例示的なリソグラフィセル
【0048】
[0052]
図3は、いくつかの実施形態による、リソセル又はクラスタと呼ばれることもあるリソグラフィセル300を示している。リソグラフィ装置100又は100’はリソグラフィセル300の一部を構成することができる。リソグラフィセル300は、基板に露光前プロセス及び露光後プロセスを実行する1つ以上の装置を含むこともできる。従来から、これらにはレジスト層を堆積させるためのスピンコータSC、露光したレジストを現像するためのデベロッパDE、冷却プレートCH、及びベークプレートBKが含まれる。基板ハンドラ、すなわちロボットROが、入出力ポートI/O1、I/O2から基板を取り出し、それらを様々なプロセス装置間で移動させ、リソグラフィ装置100又は100’のローディングベイLBに引き渡す。これらのデバイスは、まとめてトラックと呼ばれることも多く、トラック制御ユニットTCUの制御下にある。TCU自体は監視制御システムSCSによって制御され、SCSはリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。したがって、これらの様々な装置はスループット及び処理効率を最大化するように動作させることができる。
【0049】
[0053] 例示的な汚染物質検査装置
【0050】
[0054] いくつかの実施形態では、メトロロジシステムを使用して、オブジェクトの清浄度を決定するためにオブジェクトを検査し得る。検査技法は、誤検出(又は誤判定)を最小限にしながら、表面(例えば、レチクル又は基板の表面)上の望ましくない欠陥が首尾よく検出されるように、実行され得る。検査技法は、化学検査、光学検査、又はその両方の組み合わせを含み得る。
【0051】
[0055] 「不完全性」、「欠陥」、「汚点」などの用語は、本明細書では、指定された許容範囲からの構造の偏差又は不均一性を言い表すために使用され得る。例えば、平坦表面は、かき傷、穴、又は陥凹などの欠陥、異物粒子、染みなどの欠陥を有し得る。
【0052】
[0056] 不完全性との関連において、「異物粒子」、「汚染物質粒子」、「汚染物質」などの用語は、本明細書では、望ましくない粒状物質の存在を許容するように設計されなかった領域内又は表面上に存在するか、あるいはそうでなければ、粒状物質が存在する装置の動作に悪影響を与える、予期しない、変則的な、望ましくないなどの(本明細書では望ましくない)粒状物質を言い表すために使用され得る。こうした「異物粒子」及び「汚染物質」は、ヒト組織/細胞などの有機材料、金属/合金削りくずなどの無機汚染物質を含み得るが、限定されない。有機汚染物質は、製造、出荷、及び組み立ての間に、部品/モジュールがどのように取り扱われるかの結果であり得る。無機汚染物質は、部品/モジュールを製造するために使用される技術プロセスの結果であり得る。例えば、部品/モジュールはラッチ又はフライス盤上で処理され得、それによって、たとえ複数の後続のクリーニングステップを用いる場合であっても、依然としてテスト表面上に見られ得る、部品/モジュール上の多数の小さな粒子を生成させる。無機汚染物質のいくつかの例は、リソグラフィ装置内のダスト、漂遊フォトレジスト、又は他の除去された材料を含み得る。除去された材料の例は、スチール、Au、Ag、Al、Cu、Pd、Pt、Tiなどを含み得る。材料の除去は、例えば、基板上の金属相互接続を製作するプロセス、並びに、始動された構造の摩擦及び衝突に起因して生じ得る。汚染物質は、リソグラフィ装置内の敏感な部分(例えば、レチクル又は基板)へと進行し、リソグラフィプロセスにおけるエラーの可能性を増加させ得る。本開示の実施形態は、リソグラフィ装置又はプロセスの敏感な部分上の欠陥を検出するための構造及び機能を提供する。
【0053】
[0057]
図4は、いくつかの実施形態に従ったメトロロジシステム400の概略を示す。いくつかの実施形態では、メトロロジシステム400は、リソグラフィ装置、例えばリソグラフィ装置100及び/又は100’内に実装され得る。メトロロジシステム400は、照明システム402、ディテクタ404、スペクトロメータ405、及びプロセッサ406を備え得る。照明システム402は、放射源408及び空間光変調器410を備え得る。照明システム402は、1つ以上の放射調整要素412(例えば、ポラライザ、波長フィルタ、フォーカス要素、ビームスプリッタ、ビームコンバイナなどのうちのいずれか)を備え得る。メトロロジシステム400は、エンクロージャ414を備え得る。エンクロージャ414は、1つ以上のコンパートメントを備え得る。エンクロージャ414は、ビューポートウィンドウ416及び418を備え得る。メトロロジシステム400は、1つ以上の追加の照明システム424を備え得る。照明システム424は、構造及び機能において照明システム402と実質的に同様であり得る。エンクロージャ414は、1つ以上の追加のビューポートウィンドウ426を備え得る。
【0054】
[0058] いくつかの実施形態では、ディテクタ404は複数のセンサ要素420及びフォーカス要素422(例えば、対物レンズ又はレンズシステム)を備え得る。いくつかの実施形態では、ディテクタ404はシングルセルの光ディテクタ(他に何もなければ、像を分解できない場合がある)であり得、この場合、センサ要素420は感光性ダイオードであり得る。いくつかの実施形態では、ディテクタ404はマルチセルの光ディテクタ(例えば、光ディテクタの2次元アレイ)であり得る。センサ要素420は、電荷結合デバイス(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)を備え得る。
【0055】
[0059] プロセッサ406は、コンパレータ(例えば、比較を実行するための1つ以上の情報、量、又は値を分析するデバイス)であり得る。
【0056】
[0060] しかしながら、メトロロジシステム400の実施形態をより詳細に説明する前に、メトロロジシステム400を使用して検査され得るオブジェクト428の例を提示することが有益である。いくつかの実施形態では、オブジェクト428は連続オブジェクト又はマルチパートオブジェクトを備え得る(
図4は、マルチパート変異体の拡大図を示す)。オブジェクト428が複数の部分を有し得る実施形態では、オブジェクト428は、レチクル430の側面に配設されたペリクル432を有するレチクル430であり得る。レチクル430はパターンフィーチャ434を備え得る。パターンフィーチャ434は、例えば、リソグラフィプロセスを介して基板上に転写すべきプロダクト及びアライメントマークパターンを備え得る。パターン転写の品質は、汚染物質440がレチクル430上、特にパターンフィーチャ434上に存在する場合、悪影響を受け得る。したがって、ペリクル432は、パターンフィーチャ434をホストするレチクル430の側面上に汚染物質440が着地するのを防ぐように構成された、透明プロテクタであり得る。
【0057】
[0061] いくつかの実施形態では、オブジェクト428は表面436及び表面438を備え得る。表面436は、表面438の反対のオブジェクト428の側面上に配設される。表面436は、汚染物質440に接触し、汚染物質440がパターンフィーチャ434に達するのを防ぐように構成され得る(例えば、汚染物質440は表面436上に配設されて示されている)。表面438は、レチクル430の背面(例えば非フィーチャ側)であり得る。オブジェクト428は、ペリクル432とレチクル430との間にギャップが存在するように配置され得る。ギャップは、ミクロンからミリメートルの範囲内であり得る。表面436とパターンフィーチャ434の間の距離の結果として、汚染物質440がパターン転写で使用される照明に関して焦点外れであり得るため、表面436上に常駐する汚染物質440は、パターン転写に影響を与える可能性が減少する。しかしながら、異物粒子の数が容認できないレベルに達するのを防ぐために、ペリクル432の表面436を監視することが依然として望ましい。反対に、異物粒子がレチクル430とレチクルテーブルとの間に挟まれたとき、異物粒子はレチクル430を介してプリントされ得るか、又は場合によってはレチクル430の形状を変形させ得るため、あるいは、レチクル又はレチクルテーブル表面の間に挟まれたとき、それらにダメージを与え得るため、あるいは、レチクルテーブルに転写され、したがってこれを汚染させ、潜在的には同じステージ上に置かれた他のレチクルを汚染させるか又はダメージを与えるため、レチクル430の表面438上の異物粒子も、リソグラフィに悪影響を与え得る。
【0058】
[0062] いくつかの実施形態では、放射源408は、オブジェクト428を照明するために放射のビーム442を生成し得る。放射のビーム442は、インコヒーレント放射を含み得る。放射のビーム442はコヒーレント源を用いて供給され得ることを理解されたい。放射のビーム442は、波長(例えば、中心波長の周囲を中心とする狭帯域幅)を備え得る。放射のビーム442は、2つ以上の波長(例えば、複数の離散狭帯域又は連続体)を備え得る。1つ以上の放射調整要素412(例えば波長フィルタ)を使用して、オブジェクト428を照明するために使用されるべき波長を選択し得る。追加又は代替として、放射源408は、2つ以上の波長の別個の部分を生成するために、2つ以上の離散放射源を備え得る。
【0059】
[0063] いくつかの実施形態では、空間光変調器410は放射のビーム442をオブジェクト428の表面436に向けて誘導し得る。空間光変調器410は、表面436において放射のビーム442の空間強度分布を調整し得る。すなわち、オブジェクト428上に誘導される照明は、例えば、フラッド照明とは対照的に、ピクセルレベルで選択可能であり得る。空間光変調器410は、液晶変調器を備え得る。空間光変調器410は、照明誘導要素(例えばリフレクタ)及び/又はポラライザも備え得る。液晶は、光の偏光に基づいて動作し得る。例えば、液晶デバイスのピクセル要素は、液晶ピクセル要素の偏光状態に基づいて、放射の全透過、部分透過、又は透過なしを可能にし得る。
【0060】
[0064] いくつかの実施形態では、空間光変調器410はデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を備え得る。DMDは、光を望ましいロケーションに向かって反射する機械的に移動可能なマイクロミラーに基づいて動作し得る。いくつかの実施形態では、空間光変調器410は、オブジェクト面において投影/照明システムを介して必要な強度プロファイルを生成することが可能な、空間的可変透過プロファイルを伴う光学要素(例えばピクセル要素)を採用し得る。これは例えば、ガラスパターン上のクロム、所望の透過プロファイルを伴う写真フィルムなどであり得る。
【0061】
[0065] いくつかの実施形態では、ディテクタ404は、表面436において散乱する検出された放射444によって、及び、表面近くの構造(例えばパターンフィーチャ434)によって表される、放射を受け取り得る。表面436において散乱する検出された放射444は、表面436上に配設された汚染物質440によって散乱された放射を含み得る。ディテクタ404は、受け取った放射に基づいて検出信号を生成し得る。
【0062】
[0066] スペクトロメータ405は、検出信号を受け取って分析し得る。例えばスペクトロメータ405は、検出信号のスペクトル成分、例えばラマンスペクトルを分離及び測定し得る。スペクトロメータ405は、検出信号のラマンスペクトルをプロセッサ406に提供し得る。次にプロセッサ406は、汚染物質440がオブジェクト428上に存在するかどうかを判定するために、検出信号のラマンスペクトルを分析し得る。例えば、プロセッサ406は、検出信号の現行のラマンスペクトルを基準信号と比較し得、こうした比較に基づいて汚染物質440がオブジェクト428上に存在するかどうかを判定し得る。
【0063】
[0067] これを達成するために、プロセッサ406は、オブジェクト428、例えば、ペリクル432及び/又はレチクル430に関連付けられた第1の値を測定し得る。例えば第1の値は、オブジェクト428の表面から取った基準信号のラマンスペクトルに基づき得る。いくつかの実施形態では、スペクトロメータ405は、オブジェクト428の複数のロケーションにおいて基準信号のラマンスペクトルを測定するために使用され得る。これらの測定値を使用して、プロセッサ406は、複数のロケーションのうちの各ロケーションについて1次元アレイ(N×1アレイ)を決定し得、Nはディテクタ404の要素420の数である。プロセッサ406は、ディテクタ404の要素420のうちの各々についてヒストグラムを計算し得、任意の外れ値を除去した後、ヒストグラム上でガウシアンフィットを実行し得る。その後、プロセッサ406は、要素についてのガウシアンフィットから平均値を導出し得、平均値のアレイが基準信号として使用される。
【0064】
[0068] リソグラフィ装置100及び/又は100’は、汚染物質440を探すためにスキャンモード中にペリクル432上の複数のロケーションをスキャンするように構成され得る。スキャンモード中、ディテクタ404は、スペクトロメータ405に提供される対応する検出信号を取得し得る。次に、各ロケーションについて、スペクトロメータ405は、ペリクル432の照明される表面に関連付けられた第2の値を測定するために、検出信号を受け取って分析するために使用され得る。例えば、ペリクル432の表面は、照明システム402を使用して照明され得、スペクトロメータ405は、所与のロケーションにおいて検出信号のラマンスペクトルを測定し得る。
【0065】
[0069] プロセッサ406は、第1及び第2の値のラマンスペクトル間の相違を決定するように構成され得る。第1及び第2の値のラマンスペクトル間の相違に基づいて、プロセッサ406は、ペリクル432の表面上の汚染物質440の存在を識別し得る。例えば、汚染物質440の存在を識別するために、プロセッサ406は、第2の値から第1の値を減じ得、第1及び第2の値の間の相違に基づいて、プロセッサ406は、ペリクル432の表面上に汚染物質440が存在することを決定し得る。すなわち、プロセッサ406が第1及び第2の値の間に変化を検出したとき、プロセッサ406は、ペリクル432上に汚染物質440が存在することを決定し得る。このようにして、プロセッサ406は、光学分析ではなく化学組成分析を使用して、オブジェクト428から汚染物質440を区別し得る。
【0066】
[0070] 照明システム402は、当業者であれば理解されるように、複数の色を使用して(例えば複数の波長において)、ペリクル432の表面を照明するように構成され得る。いくつかの実施形態では、複数の色のうちの各色について、プロセッサ406は、第1及び第2の値のラマンスペクトル間の相違を決定し、それに応じて汚染物質440の存在を識別するように、更に構成され得る。
【0067】
[0071] ペリクル432の表面上での汚染物質440の検出に応答して、プロセッサ406は、第1及び第2の値のラマンスペクトル間の相違を、複数の汚染物質の既知のスペクトルのデータベースと比較し得る。こうした比較に基づいて、プロセッサ406は、汚染物質のタイプ、例えば、本明細書で考察するように、有機汚染物質又は無機汚染物質を識別し得る。
【0068】
[0072] プロセッサ406が汚染物質のタイプを識別すると、プロセッサ406はこの情報を使用して、汚染物質440源を識別し得る。例えば、汚染物質440が有機汚染物質である事象では、プロセッサ406は、汚染物質440源が、製造、出荷、及び組み立ての間に、部品/モジュールが個人によってどのように取り扱われるかの結果であり得ることを決定し得る。別の例として、汚染物質440が無機汚染物質である事象では、プロセッサ406は、汚染物質440源が、部品/モジュールを製造するために使用される技術プロセスの結果であり得ることを決定し得る。
【0069】
[0073] 汚染物質のタイプの決定に応答して、プロセッサ406は、汚染物質440を除去するための修復プロセスを識別するために使用され得る。例えば、いくつかの汚染物質は、化学ベースのクリーニング及び/又はエッチクリーニングを必要とし得るが、他の汚染物質は、当業者であれば理解されるように、侵襲的クリーニングをそれほど必要としない可能性がある。
【0070】
[0074] 異物粒子(例えば汚染物質440(
図4))の検出に関連して、特定の実施形態を説明してきたが、本明細書で説明する実施形態は、特定の汚染物質検出に限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書で説明するメトロロジシステムは、一般にかき傷、穴、又は陥凹などの欠陥、異物粒子、染みなどの欠陥を検出し得る。リソグラフィプロセスを妨害するリスクを引き起こすすべてのタイプの欠陥を検出することが望ましい。
【0071】
[0075]
図5は、いくつかの実施形態に従ったメトロロジシステム500の概略を示す。いくつかの実施形態では、メトロロジシステム500は、メトロロジシステム400と同様であるか又は同一のコンポーネント及び構成を備え得、したがって本明細書では、メトロロジシステムの相違点のみを考察する。いくつかの実施形態では、当業者であれば理解されるように、ディテクタ404はビームスプリッタも含み得る。いくつかの実施形態では、メトロロジシステム500は、ディテクタ404から検出信号を受け取り、汚染物質440の像をキャプチャするように構成された、イメージセンサ507も含み得る。いくつかの実施形態では、汚染物質440の像は、汚染物質のタイプを識別するために汚染物質440を分析する際にプロセッサ406によって、及び/又は、汚染物質440を視覚的に分析するために技術者によって、使用され得る。
【0072】
[0076] いくつかの実施形態では、本明細書で説明するメトロロジシステム400、500は、例えば、リソグラフィ装置内、例えばスキャナ内の、より大きなシステムにおいて実装され得る。
【0073】
[0077] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCD、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラックユニット(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジユニット及び/又はインスペクションユニットで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0074】
[0078] 光リソグラフィの分野での本開示の実施形態の使用に特に言及してきたが、本開示は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを適用することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0075】
[0079] 本明細書中の言い回し又は専門用語は説明を目的とするものであって限定を目的とするものではないことが理解されるべきであり、従って、本開示の専門用語又は言い回しは、本明細書中の教示に照らして当業者によって解釈されるべきである。
【0076】
本発明の他の態様は、以下の番号付き条項に記載されている。
1.ペリクル及び/又はレチクル表面に関連付けられた第1の値を測定すること、
ペリクル表面を照明すること、
照明されたペリクル表面に関連付けられた第2の値を測定すること、
第1及び第2の値のラマンスペクトル間の相違を決定すること、及び、
決定に応答して、ペリクル表面上の汚染物質の存在を識別すること、
を含む、方法。
2.相違と複数の汚染物質の既知のスペクトルのデータベースとの比較に基づいて、汚染物質のタイプを識別することを更に含む、条項1に記載の方法。
3.汚染物質のタイプは有機汚染物質又は無機汚染物質を含む、条項2に記載の方法。
4.汚染物質のタイプに基づいて汚染物質源を識別することを更に含む、条項2に記載の方法。
5.汚染物質のタイプに基づいて汚染物質を除去するための修復プロセスを識別することを更に含む、条項2に記載の方法。
6.第1の値を決定することは、
ペリクル及び/又はレチクル表面の複数のロケーションにおける散乱信号を測定するための要素を備える、ディテクタを使用すること、
要素の各々について、ヒストグラムを計算すること、
ヒストグラムから任意の外れ値を除去した後、ヒストグラム上でガウシアンフィットを実行すること、及び、
要素についてのガウシアンフィットから平均値を導出することであって、平均値は第1の値として使用される、導出すること、
を含む、条項1に記載の方法。
7.平均値は、要素の数に基づく1次元アレイを含む、条項6に記載の方法。
8.複数のロケーションの各々における汚染物質についてペリクルをスキャンするためのスキャンモード中に、ペリクル上の複数のロケーションにディテクタを移動させることを更に含む、条項1に記載の方法。
9.ペリクル表面上の汚染物質の像をキャプチャすることを更に含む、条項1に記載の方法。
10.ペリクル又はレチクル表面を照明することは、複数の波長を使用することを含み、
第1の値を測定すること、決定すること、及び識別することは、複数の波長の各々について実行される、
条項1に記載の方法。
11.ペリクルの表面を照明するように構成された光源と、
ペリクルの表面をスキャンするように構成されたスキャナと、
テスト信号のラマンスペクトルを測定するように構成されたスペクトロメータであって、テスト信号はペリクルの照明された表面に基づく、スペクトロメータと、
プロセッサであって、
基準信号とテスト信号のラマンスペクトル間の相違を決定するように構成され、基準信号はペリクル及び/又はレチクルの表面からの測定に基づき、また、
基準信号とテスト信号のラマンスペクトルにおける偏差の検出に応答して、ペリクルの表面上の汚染物質の存在を識別するように構成された、
プロセッサと、
を備える、システム。
12.プロセッサは、基準信号及びテスト信号のラマンスペクトル内の偏差と、複数の汚染物質の既知のスペクトルのデータベースとを比較するように、更に構成される、条項12に記載のシステム。
13.プロセッサは、比較に基づいて汚染物質のタイプを識別するように更に構成される、条項13に記載のシステム。
14.プロセッサは、汚染物質のタイプに基づいて汚染物質源を識別するように更に構成される、条項14に記載のシステム。
15.プロセッサは、汚染物質のタイプに基づいて汚染物質を除去するための修復プロセスを識別するように更に構成される、条項14に記載のシステム。
16.スキャナは、複数のロケーションの各々における汚染物質についてスキャンするためのスキャンモード中に、ペリクル上の複数のロケーションをスキャンするように更に構成される、条項12に記載のシステム。
17.イメージセンサを使用してペリクルの表面上の汚染物質の像をキャプチャするように構成されたイメージセンサを更に備える、条項12に記載のシステム。
18.光源は、複数の色を使用してペリクルの表面を照明するように更に構成され、複数の色のうちの各色について、プロセッサは、基準信号及びテスト信号のラマンスペクトル間の相違を決定し、汚染物質の存在を識別するように、更に構成される、条項12に記載のシステム。
19.ペリクル及び/又はレチクル表面に関連付けられた第1の値を測定すること、
ペリクル表面を照明すること、
照明されたペリクル表面に関連付けられた第2の値を測定すること、
第1及び第2の値のラマンスペクトル間の相違を決定すること、及び、
決定に応答して、ペリクル表面上の汚染物質の存在を識別すること、
を含む動作を実行するために、1つ以上のプロセッサによる実行のための1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体。
20.第1の値を決定することは、
ペリクル及び/又はレチクル表面の複数のロケーションにおける複数の第1の値を測定するための要素を備える、ディテクタを使用すること、
要素の各々について、ヒストグラムを計算すること、
ヒストグラムから任意の外れ値を除去した後、ヒストグラム上でガウシアンフィットを実行すること、及び、
要素についてのガウシアンフィットから平均値を導出することであって、平均値は複数の第1の値として使用される、導出すること、
を含む、条項19に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0077】
[0080] 本明細書で使用される「基板」という用語は、その上に材料層が追加される材料を記述する。いくつかの実施形態では、基板自体にパターンが付与されると共に、その上に追加された材料にもパターンが付与されるか、又はパターン付与されないままである場合がある。
【0078】
[0081] 本文では、ICの製造における本開示による装置及び/又はシステムの使用について特に言及しているが、そのような装置及び/又はシステムは他の多くの可能な用途を有することを明確に理解されるべきである。例えば、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCDパネル、薄膜磁気ヘッドなどに使用できる。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「レチクル」、「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「マスク」、「基板」、及び「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義(置き換えられる)と見なしてよいことが当業者には認識される。
【0079】
[0082] 以上、本開示の特定の実施形態について説明したが、本開示は、説明した以外の方法で実施することもできることが理解されよう。この説明は本開示を限定することを意図したものではない。
【0080】
[0083] 特許請求の範囲を解釈するには、「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項を使用するよう意図されていることを理解されたい。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、したがって本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも限定しないものとする。
【0081】
[0084] 本開示を、指定の機能の実施例及びそれらの関係を示す機能構築遮断の助けにより、上記で説明してきた。これらの機能構築遮断の境界は、説明の利便性のために本明細書では任意に定義されている。指定の機能及びそれらの関係が適切に実行される限り、代替の境界が定義可能である。
【0082】
[0085] 特定の実施形態の前述の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に変更及び/又はこれを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び変更は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の均等物の意味及び範囲に入るものとする。
【0083】
[0086] 保護対象の広さと範囲は、上記の例示的な実施形態によって制限されるべきではなく、特許請求の範囲及びその均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【国際調査報告】