(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-03
(54)【発明の名称】モジュール式ウェーハテーブル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240527BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240527BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H01L21/68 N
G03F7/20 521
H01L21/30 502D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566761
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2022061381
(87)【国際公開番号】W WO2022243005
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シェルビン,シャハブ
(72)【発明者】
【氏名】ウィッターダイク,タモ
(72)【発明者】
【氏名】リプソン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】フェルメーレン,マルクス,マルチヌス,ペトルス,アドリアヌス
【テーマコード(参考)】
2H197
5F131
5F146
【Fターム(参考)】
2H197AA06
2H197AA09
2H197CD02
2H197CD44
2H197CD50
2H197DB31
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA08
2H197HA10
2H197JA02
5F131AA02
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5F131EB31
5F131EB54
5F131EB78
5F131EB79
5F146AA31
(57)【要約】
本開示は、モジュール式ウェーハテーブルと、廃棄ウェーハを再生してモジュール式ウェーハテーブルを製造する方法とを対象とする。方法は、ウェーハテーブルの表面から1つ又は複数のバールを除去することと、1つ又は複数のバールを除去した後、ウェーハテーブルの表面を研磨してコアモジュールを形成することと、バールモジュールであって、複数のバールをその上に有するバールモジュールを形成することと、コアモジュールをバールモジュールに接合することとを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハテーブルの表面から1つ又は複数のバールを除去することと、
前記1つ又は複数のバールを除去した後、前記ウェーハテーブルの前記表面を研磨してコアモジュールを形成することと、
バールモジュールであって、複数のバールをその上に有するバールモジュールを形成することと、
前記コアモジュールを前記バールモジュールに接合することと
を含む方法。
【請求項2】
前記コアモジュールを前記バールモジュールに前記接合することは、光学接点を使用して前記コアモジュールと前記バールモジュールとを接合することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コアモジュールを前記バールモジュールに前記接合することは、半田接合を使用して前記コアモジュールと前記バールモジュールとを接合することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記除去することは、前記1つ又は複数のバールを機械的に研削することを含み、及び
前記研磨することは、化学機械研磨(CMP)プロセスを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のバールの各バール上に高温コーティングを形成することを更に含み、前記高温コーティングは、高温ダイヤモンドコーティングである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記コアモジュールに使用される材料と異なる材料を使用して前記バールモジュールを製造することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コアモジュールに使用される材料と同じ材料を使用して前記バールモジュールを製造することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ウェーハテーブルであって、
ウェーハテーブルの表面から1つ又は複数のバールを除去し、及び前記1つ又は複数のバールを除去した後、前記ウェーハテーブルの前記表面を研磨することによって形成されるコアモジュールと、
バールモジュールであって、その上に形成された複数のバールを有するバールモジュールと、
前記コアモジュールを前記バールモジュールに接合する複数の接合接点と
を含むウェーハテーブル。
【請求項9】
前記複数の接合接点は、複数の光学接点を含む、請求項8に記載のウェーハテーブル。
【請求項10】
前記複数の接合接点は、複数の半田接合接点を含む、請求項8に記載のウェーハテーブル。
【請求項11】
前記バールモジュールは、前記複数のバールの各バール上に形成された高温コーティングを含み、及び
前記高温コーティングは、高温ダイヤモンドコーティングを含む、請求項8に記載のウェーハテーブル。
【請求項12】
前記バールモジュールは、前記コアモジュールに使用される材料と異なる材料を含む、請求項8に記載のウェーハテーブル。
【請求項13】
前記バールモジュールは、前記コアモジュールに使用される材料と同じ材料を含む、請求項8に記載のウェーハテーブル。
【請求項14】
前記コアモジュールは、互いに接合された上層及び下層を含む、請求項8に記載のウェーハテーブル。
【請求項15】
前記複数の接合接点は、接着接合、共晶接合、陽極接合、金属間拡散接合又は陽極接合を含む、請求項8に記載のウェーハテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年5月19日に出願された米国仮特許出願第63/190,579号の優先権を主張するものであり、この特許出願は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、リソグラフィシステム、例えばモジュール式ウェーハテーブルと、廃棄ウェーハを再生してモジュール式ウェーハテーブルを製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、基板、通常、基板のターゲット部分に所望のパターンを施す機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造において使用され得る。その場合、代替的にマスク又はレチクルと呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成し得る。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)のターゲット部分(例えば、ダイの一部、1つのダイ又は複数のダイを含む)上に転写され得る。パターンの転写は、通常、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像を介して行われる。一般的に、単一の基板は、連続的にパターン形成される隣接するターゲット部分のネットワークを含む。既知のリソグラフィ装置は、いわゆるステッパ及びいわゆるスキャナを含み、ステッパでは、一度にターゲット部分上に全体パターンを露光することにより各ターゲット部分を照射し、またスキャナでは、所与の方向(「走査」方向)に放射ビームによってパターンを走査しながら、同時にこの走査方向に平行又は逆平行にターゲット部分を走査することより、各ターゲット部分を照射する。パターンを基板にインプリントすることにより、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0004】
[0004] 別のリソグラフィシステムは、干渉リソグラフィシステムであり、このシステムでは、パターニングデバイスがなく、光ビームが2つのビームに分割され、これらの2つのビームを、反射システムを用いて基板のターゲット部分で干渉させる。干渉により、基板のターゲット部分にラインが形成される。
【0005】
[0005] リソグラフィ動作中、異なる処理ステップは、異なる層が基板上に順次に形成されることを必要とし得る。層の順序付けは、通常、パターン転写工程毎に各層の所望のパターンに応じて異なるレチクルを交換することにより行われる。典型的なリソグラフィシステムは、レチクル上のパターン及びレチクルからウェーハに転写されたパターンに関して、サブナノメートルの許容値内で動作する。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 廃棄ウェーハテーブルを再生する必要がある。
【0007】
[0007] 幾つかの実施形態では、方法は、以下の動作を含む。ウェーハテーブルの表面から1つ又は複数のバールを除去すること。1つ又は複数のバールを除去した後、ウェーハテーブルの表面を研磨してコアモジュールを形成すること。バールモジュールであって、複数のバールをその上に有するバールモジュールを形成すること。コアモジュールをバールモジュールに接合すること。
【0008】
[0008] 幾つかの実施形態では、ウェーハテーブルは、以下のコンポーネントを含む。ウェーハテーブルの表面から1つ又は複数のバールを除去し、及び1つ又は複数のバールを除去した後、ウェーハテーブルの表面を研磨することによって形成されるように構成されたコアモジュール。バールモジュールであって、その上に形成された複数のバールを有するバールモジュール。コアモジュールをバールモジュールに接合するように構成された複数の接合接点。
【0009】
[0009] 幾つかの実施形態では、方法は、コアモジュールを形成するための以下の動作を含む。1つ又は複数のバールを機械的に研削することにより、ウェーハテーブルの表面から1つ又は複数のバールを除去すること。1つ又は複数のバールを除去した後、化学機械研磨(CMP)プロセスを使用してウェーハテーブルの表面を研磨すること。複数のバールを有するバールモジュールを形成すること。光学接触/接合、半田接合、接着接合、共晶接合、陽極接合、金属間拡散接合などの技術を使用して、コアモジュールをバールモジュールに接合すること。
【0010】
[0010] 本開示の更なる特徴並びに様々な実施形態の構造及び動作について、添付の図面を参照して以下で詳細に説明する。本開示は、本明細書で説明する特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。そのような実施形態は、説明目的のためにのみ、本明細書で提示される。本明細書に含まれる教示に基づいて、更なる実施形態が当業者に明らかになるであろう。
【0011】
[0011] 本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示を例示し、また説明文と併せて本開示の原理を説明し、当業者が本明細書に記載の実施形態を実施し、使用できるように更に機能する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】[0012]幾つかの実施形態による反射型リソグラフィ装置の概略図を示す。
【
図1B】[0013]幾つかの実施形態による透過型リソグラフィ装置の概略図を示す。
【
図2】[0014]幾つかの実施形態による反射型リソグラフィ装置のより詳細な概略図を示す。
【
図3】[0015]幾つかの実施形態によるリソグラフィックセルの概略図を示す。
【
図4】[0016]幾つかの実施形態による例示的なモジュール式ウェーハテーブルの例を示す。
【
図5】[0017]幾つかの実施形態による、廃棄ウェーハテーブルを再生する例示的なプロセスを示す。
【
図6】[0018]幾つかの実施形態による、モジュール式ウェーハテーブルの製造に用いられる例示的なプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0019] 本開示の特徴は、図面と併せて以下に記載する詳細な説明からより明らかになるであろう。図面では、同様の参照符号は、全体を通して対応する要素を識別する。図面では、同様の参照番号は、一般的に、同一の、機能的に類似の及び/又は構造的に類似の要素を示す。更に、一般的に、参照番号の左端の桁は、その参照番号が最初に現れる図面を識別する。特に断りのない限り、本開示を通して提供される図面は、縮尺通りの図面として解釈されるべきではない。
【0014】
[0020] 本明細書は、本開示の特徴を組み込んだ1つ又は複数の実施形態について開示する。開示される実施形態は、例として提供される。本開示の範囲は、開示される実施形態に限定されない。特許請求される特徴は、本明細書に添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0015】
[0021] 記載される実施形態及び「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的な実施形態」等への本明細書中での言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造又は特性を含み得ることを示すが、必ずしも全ての実施形態がその特定の特徴、構造又は特性を含まなくてもよい。更に、そのような語句は、必ずしも同一の実施形態を指すものではない。更に、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造又は特性が説明される場合、明示的に説明されようとされまいと、そのような特徴、構造又は特性を他の実施形態に関連してもたらすことは、当業者の知識の範囲内であると理解される。
【0016】
[0022] 「真下」、「下」、「下方」、「真上」、「上」、「上方」などの空間的に相対的な用語は、図に示すようなある要素又は特徴の別の要素又は特徴との関係を説明するために、説明を容易にするように本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示した向きに加えて、使用時又は動作時のデバイスの異なる向きを包含することを意図する。装置は、別の向き(90度回転した又は他の向き)にすることができ、本明細書で使用する空間的に相対的な記述子は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0017】
[0023] 「約」という用語は、本明細書で使用するとき、特定の技術に基づいて変化し得る所与の量の値を示す。特定の技術に基づいて、「約」という用語は、例えば、値の10~30%(例えば、値の±10%、±20%又は±30%)以内で変動する所与の量の値を示し得る。
【0018】
[0024] 本開示の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの任意の組み合わせで実装され得る。本開示の実施形態は、機械可読媒体に記憶された命令としても実装され得、その命令は、1つ又は複数のプロセッサによって読み出され実行され得る。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータデバイス)によって読み取り可能な形式で情報を記憶又は伝達するための任意の機構を含み得る。例えば、機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気的、光学的、音響的又は他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)などを含み得る。更に、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン及び/又は命令は、特定の動作を実施するものとして本明細書で説明され得る。しかしながら、そのような説明は、単に便宜上のものであり、そのような動作は、実際には、コンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ又は他のデバイスがそのファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行することから生じることを理解されたい。「非一時的」という用語は、本明細書では、一時的な伝播信号を唯一の例外として、データ、情報、命令等を記憶するために使用されるコンピュータ可読媒体を特徴付けるために使用され得る。
【0019】
[0025] しかしながら、そのような実施形態をより詳細に説明する前に、本開示の実施形態を実施することができる例示的な環境を提示することが有益である。
【0020】
[0026] リソグラフィシステムの例
【0021】
[0027]
図1A及び
図1Bは、それぞれ本開示の実施形態が実装され得るリソグラフィ装置100及びリソグラフィ装置100’の概略図を示す。幾つかの実施形態では、リソグラフィ装置100及びリソグラフィ装置100’は、それぞれ以下のものを含む:放射ビームB(例えば、深紫外線又は極端紫外線放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク、レチクル又はダイナミックパターニングデバイス)MAを支持するように構成され、及びパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジスト塗布ウェーハ)Wを保持するように構成され、及び基板Wを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTとを含む。リソグラフィ装置100及び100’は、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば、1つ又は複数のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するように構成された投影システムPSも有する。リソグラフィ装置100では、パターニングデバイスMA及び投影システムPSは、反射型である。リソグラフィ装置100’では、パターニングデバイスMA及び投影システムPSは、透過型である。
【0022】
[0028] 照明システムILは、放射ビームBの方向決め、成形又は制御のための、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁気型、静電気型などの様々な種類の光学コンポーネント若しくは他の種類の光学コンポーネント又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0023】
[0029] サポート構造MTは、基準座標系に対するパターニングデバイスMAの向き、リソグラフィ装置100及び100’の少なくとも1つの設計及びパターニングデバイスMAが真空環境に保持されるか否かなどの他の条件に依存するような方式でパターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MTは、機械式、真空式、静電気式又は他のクランプ技術を使用してパターニングデバイスMAを保持し得る。サポート構造MTは、例えば、必要に応じて固定又は可動であり得るフレーム又はテーブルであり得る。センサを使用することにより、サポート構造MTは、パターニングデバイスMAが例えば投影システムPSに対して所望の位置にあることを確実にし得る。
【0024】
[0030] 「パターニングデバイス」MAという用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するように、放射ビームBの断面にパターンを付与するために使用することができる任意のデバイスを指すものとして広く解釈されるべきである。放射ビームBに付与されたパターンは、集積回路を形成するためにターゲット部分Cに生成されるデバイスの特定の機能層に対応することができる。
【0025】
[0031] パターニングデバイスMAは、(
図1Bのリソグラフィ装置100’のように)透過型又は(
図1Aのリソグラフィ装置100のように)反射型であり得る。パターニングデバイスMAの例としては、レチクル、マスク、プログラマブルミラーアレイ又はプログラマブルLCDパネルが挙げられる。マスクは、リソグラフィでよく知られており、バイナリ型、交互位相シフト型又は減衰位相シフト型などのマスクタイプ並びに様々なハイブリッドマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型のミラーのマトリックス配置が用いられ、各小型ミラーは、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個々に傾斜し得る。傾斜したミラーは、小型ミラーのマトリックスによって反射される放射ビームBにパターンを付与する。
【0026】
[0032] 「投影システム」PSという用語は、使用される露光放射に適した又は基板W上での液浸液の使用若しくは真空の使用などの他の要因に適した屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁気型及び静電気型の光学系若しくはそれらの任意の組み合わせを含む、任意の種類の投影システムを包含することができる。真空環境は、EUV又は電子ビーム放射用に使用することができ、なぜなら、他のガスは、放射線又は電子をあまりに多く吸収し得るからである。従って、真空壁及び真空ポンプを用いて、ビームパス全体に真空環境を提供することができる。
【0027】
[0033] リソグラフィ装置100及び/又はリソグラフィ装置100’は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブルWT(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有する種類のものであり得る。そのような「マルチステージ」の機械では、追加の基板テーブルWTを並行して使用することができるか、又は1つ若しくは複数のテーブルで準備工程を実行している間、1つ若しくは複数の他の基板テーブルWTを露光用に使用することができる。場合により、追加のテーブルは、基板テーブルWTではないことがある。
【0028】
[0034] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するために、基板の少なくとも部分が、比較的高い屈折率を有する液体、例えば水によって覆われ得る種類のものでもあり得る。液浸液は、例えば、マスクと投影システムとの間におけるリソグラフィ装置内の他の空間にも適用され得る。投影システムの開口数を増大させるための液浸技法が当技術分野で周知である。「液浸」という用語は、本明細書で使用するとき、基板などの構造が液体中に浸漬されなければならないことを意味せず、むしろ露光中に液体が投影システムと基板との間に配置されることを意味するのみである。
【0029】
[0035]
図1A及び
図1Bを参照すると、イルミネータILが放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば、放射源SOがエキシマレーザである場合、放射源SO及びリソグラフィ装置100、100’は、別個の物理的要素であり得る。そのような場合、放射源SOは、リソグラフィ装置100又は100’の一部を形成するとはみなされず、放射ビームBは、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビーム拡大器を含む、ビームデリバリシステムBD(
図1B)を用いて、放射源SOからイルミネータILに通過する。他の場合、例えば放射源SOが水銀ランプである場合、放射源SOは、リソグラフィ装置100、100’の一体化された部分であり得る。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとまとめて、放射システムと呼ばれ得る。
【0030】
[0036] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調節するためのアジャスタAD(
図1B)を含むことができる。一般的に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側及び/又は内側の径方向範囲(一般的に、それぞれ「σ-外側」及び「σ-内側」と呼ばれる)を調節することができる。更に、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの様々な他の構成要素(
図1B)を含むことができる。イルミネータILを使用して、放射ビームBの断面において所望の均一性及び強度分布になるように放射ビームBを調節することができる。
【0031】
[0037]
図1Aを参照すると、放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターン付けされる。リソグラフィ装置100では、放射ビームBは、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射された後、放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、放射ビームBを基板Wのターゲット部分C上に集束させる。第2のポジショナPW及び位置センサIF2(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ又は静電容量センサ)を用いて、基板テーブルWTを(例えば、放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを位置決めするように)正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサIF1を使用して、放射ビームBの経路に対して正確にパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを位置決めすることができる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
【0032】
[0038]
図1Bを参照すると、放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスクMA)に入射し、パターニングデバイスによってパターン付けされる。マスクMAを横断した後、放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に集束させる。投影システムは、照明システムの瞳IPUへの瞳共役PPUを有する。放射の部分は、照明システムの瞳IPUでの強度分布から放射され、マスクパターンでの回折による影響を受けることなくマスクパターンを通り抜け、照明システムの瞳IPUにおける強度分布の像を生成する。
【0033】
[0039] 投影システムPSは、マスクパターンMPの像MP’を、基板W上にコーティングされたフォトレジスト層上に投影し、ここで、像MP’は、強度分布からの放射によってマークパターンMPから生成された回折ビームによって形成される。例えば、マスクパターンMPは、ライン及びスペースのアレイを含み得る。アレイにおける及び0次回折と異なる放射の回折は、ラインと垂直な方向における方向の変化を伴う変向回折ビームを生成する。非回折ビーム(即ちいわゆる0次回折ビーム)は、伝搬方向の変化を全く伴わずにパターンを横断する。0次回折ビームは、投影システムPSの瞳共役PPUの上流の、投影システムPSの上部レンズ又は上部レンズ群を横断し、瞳共役PPUに到達する。瞳共役PPUの平面内の及び0次回折ビームに関連付けられた強度分布の部分は、照明システムILの照明システムの瞳IPU内の強度分布の像である。開口デバイスPDは、例えば、投影システムPSの瞳共役PPUを含む平面に又は実質的に平面に配設される。
【0034】
[0040] 投影システムPSは、レンズ又はレンズ群Lを用いて、0次回折ビームだけでなく、1次又は1次以上の回折ビーム(図示せず)も取り込むように構成される。幾つかの実施形態では、ラインと垂直な方向に延びるラインパターンを結像させるためのダイポール照明は、ダイポール照明の解像度増強効果を利用するために使用され得る。例えば、1次回折ビームは、ウェーハWのレベルにおいて、対応する0次回折ビームと干渉し、可能な限り高い解像度及びプロセスウィンドウ(即ち許容露光線量逸脱と組み合わせた使用可能焦点深度)におけるラインパターンMPの像を作り出す。幾つかの実施形態では、照明システムの瞳IPUの反対の象限内の放射極(図示せず)を提供することにより、非点収差が低減され得る。更に、幾つかの実施形態では、反対の象限内の放射極に関連付けられた投影システムの瞳共役PPU内の0次ビームを遮断することにより、非点収差が低減され得る。これは、2009年3月31日に発行された米国特許第7,511,799B2号により詳細に記載されており、これは、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
[0041] 第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ又は静電容量センサ)を用いて、基板テーブルWTを(例えば、放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを位置決めするように)正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサ(
図1Bには図示せず)を使用して、(例えば、マスクライブラリの機械検索後又は走査中に)放射ビームBの経路に対して正確にマスクMAを位置決めすることができる。
【0036】
[0042] 概して、マスクテーブルMTの移動は、第1のポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現することができる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現することができる。(スキャナとは対照的に)ステッパの場合、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに接続されるか又は固定され得る。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。基板アライメントマークは、(図示するように)専用のターゲット部分を占めるが、これらのマークは、ターゲット部分間のスペースに配置することもできる(スクライブレーンアライメントマークとして知られる)。同様に、マスクMA上に2つ以上のダイが設けられる場合、マスクアライメントマークは、ダイ間に配置され得る。
【0037】
[0043] マスクテーブルMT及びパターニングデバイスMAは、真空チャンバV内にあり得、真空チャンバでは、真空内ロボットIVRを使用して、マスクなどのパターニングデバイスを真空チャンバの内外に移動させることができる。代わりに、マスクテーブルMT及びパターニングデバイスMAが真空チャンバの外側にある場合、真空内ロボットIVRと同様に、真空外ロボットを様々な運搬動作用に使用することができる。真空内及び真空外ロボットの両方とも、移送ステーションの固定されたキネマティックマウントに任意のペイロード(例えば、マスク)をスムーズに移送するために較正する必要がある。
【0038】
[0044] リソグラフィ装置100及び100’は、以下のモードの少なくとも1つで使用することができる。
【0039】
[0045] 1.ステップモードでは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちながら、放射ビームBに付与された全体パターンをターゲット部分Cに一度に投影する(即ち単一静的露光)。次いで、基板テーブルWTは、異なるターゲット部分Cを露光することができるようにX及び/又はY方向にシフトされる。
【0040】
[0046] 2.スキャンモードでは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを同期して走査しながら、放射ビームBに付与されたパターンをターゲット部分Cに投影する(即ち単一動的露光)。サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの(縮小)倍率及び像反転特性によって決定され得る。
【0041】
[0047] 3.別のモードでは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTを、プログラマブルパターニングデバイスを保持させながら実質的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを移動させるか又は走査しながら、放射ビームBに付与されたパターンをターゲット部分Cに投影する。パルス放射源SOを使用することができ、またプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの各移動後又は走査中の連続的な放射パルスの合間に必要に応じて更新される。この動作モードは、プログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0042】
[0048] 説明された使用モードの組み合わせ及び/又は変形形態又は全く異なる使用モードを使用することもできる。
【0043】
[0049] 幾つかの実施形態では、リソグラフィ装置は、DUV及び/又はEUV放射を生成し得る。例えば、リソグラフィ装置100’は、DUV放射源を使用して動作するように構成され得る。別の例では、リソグラフィ装置100は、極端紫外線(EUV)放射源を含み、この放射源は、EUVリソグラフィのためのEUV放射のビームを生成するように構成される。一般に、EUV放射源は、放射システム内に構成され、対応する照明システムは、EUV放射源のEUV放射ビームを調節するように構成される。
【0044】
[0050]
図2は、ソースコレクタ装置SO、照明システムIL及び投影システムPSを含めて、リソグラフィ装置100をより詳細に示す。ソースコレクタ装置SOは、ソースコレクタ装置SOの封止構造220内に真空環境を維持することができるように構成され、配置される。EUV放射放出プラズマ210が放電生成プラズマ源によって形成され得る。EUV放射は、非常に高温のプラズマ210を生成して電磁スペクトルのEUV範囲で放射線を放出するガス又は蒸気、例えばXeガス、Li蒸気又はSn蒸気によって生成することができる。非常に高温のプラズマ210は、例えば、少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを引き起こす放電によって生成される。放射線の効率的な生成のために、例えば10Paの分圧のXe、Li、Sn蒸気又は他の適切なガス若しくは蒸気が必要とされ得る。幾つかの実施形態では、EUV放射を生成するために、励起されたスズ(Sn)のプラズマが供給される。
【0045】
[0051] 高温プラズマ210によって放出された放射線は、放射源チャンバ211の開口部の中又は後ろに位置する任意選択的なガスバリア又は汚染物質トラップ230(場合により汚染物質バリア又はフォイルトラップとも呼ばれる)を介して放射源チャンバ211からコレクタチャンバ212に送られる。汚染物質トラップ230は、チャネル構造を含み得る。汚染物質トラップ230は、ガスバリア又はガスバリアとチャネル構造との組み合わせも含み得る。本明細書で更に示される汚染物質トラップ又は汚染物質バリア230は、少なくともチャネル構造を含む。
【0046】
[0052] コレクタチャンバ212は、いわゆる斜入射型コレクタであり得る放射コレクタCOを含み得る。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側251及び下流放射コレクタ側252を有する。コレクタCOを通り抜ける放射線は、格子スペクトルフィルタ240から反射されて、仮想光源点IFに集束され得る。仮想光源点IFは、一般的に、中間焦点と呼ばれ、ソースコレクタ装置は、この中間焦点IFが封止構造220の開口部219又はその近傍に位置するように構成される。仮想光源点IFは、放射放出プラズマ210の像である。格子スペクトルフィルタ240は、特に赤外線(IR)放射を抑制するために使用される。
【0047】
[0053] 続いて、放射線は、照明システムILを通り抜け、照明システムILは、パターニングデバイスMAにおいて放射ビーム221の所望の角度分布を提供し、及びパターニングデバイスMAにおいて所望の均一性の放射強度を提供するように構成されたファセット付フィールドミラーデバイス222及びファセット付瞳ミラーデバイス224を含み得る。サポート構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAにおいて放射ビーム221が反射されると、パターン付きビーム226が形成され、パターン付きビーム226は、反射要素229、230を介して投影システムPSにより、ウェーハステージ又は基板テーブルWTによって保持される基板W上に結像される。
【0048】
[0054] 一般的に、
図2に示すものよりも多くの要素が照明光学ユニットIL及び投影システムPS内に存在し得る。格子スペクトルフィルタ240は、リソグラフィ装置の種類に応じて任意選択的に存在し得る。更に、図に示したミラーよりも多くのミラーが存在し得、例えば
図2に示すものよりも更に1~6個の追加の反射要素が投影システムPSに存在し得る。
【0049】
[0055]
図2に示すように、集光光学系COは、コレクタ(又は集光ミラー)の単なる一例として、斜入射型リフレクタ253、254及び255を有する入れ子型コレクタとして示されている。斜入射型リフレクタ253、254及び255は、光軸Oの周りに軸対称に配置され、この種類の集光光学系COは、多くの場合にDPP源と呼ばれる放電生成プラズマ源と組み合わせて用いられるのが好ましい。
【0050】
[0056] 例示的なリソグラフィックセル
【0051】
[0057]
図3は、幾つかの実施形態によるリソグラフィックセル300を示し、これは、ときにリソセル又はクラスタとも呼ばれる。リソグラフィ装置100及び100’は、リソグラフィックセル300の一部を形成し得る。リソグラフィックセル300は、基板上で露光前及び露光後プロセスを実行するための1つ又は複数の装置も含み得る。従来、これらの装置は、レジスト層を堆積させるためのスピンコータSC、露光されたレジストを現像するための現像液DE、冷却プレートCH及びベークプレートBKを含む。基板ハンドラ又はロボットROは、入力/出力ポートI/O1、I/O2から基板をピックアップし、異なる処理装置間で基板を移動させ、それらをリソグラフィ装置100又は100’のローディングベイLBに届ける。これらのデバイスは、多くの場合、総称してトラックと呼ばれ、トラック制御ユニットTCUの制御下にあり、トラック制御ユニットTCUは、それ自体が監視制御システムSCSによって制御され、監視制御システムSCSは、リソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。従って、異なる装置を動作させて、スループット及び処理効率を最大化することができる。
【0052】
[0058] 例示的な装置
【0053】
[0059] 幾つかの実施形態では、ウェーハテーブルは、リソグラフィプロセス中の測定、アライメント及び露光中にウェーハを支持するために使用される。例えば、液浸プロセス及び乾燥プロセスの両方のために、ウェーハテーブルは、
図1A又は
図1Bに示すリソグラフィ装置などのリソグラフィ装置内のウェーハに接触する表面として機能する。ウェーハテーブルは、ウェーハに対する接触面を最小限に抑え、平坦な界面を与えてウェーハの平坦度を確保し、所定のラフネスを与えてウェーハロードグリッドを最小限に抑える複数のバールを含み得る。
【0054】
[0060] ウェーハテーブルを製造する現在のプロセスは、生産のサイクルタイムを増加させるとともに、ウェーハテーブルを生産するコストを増加させる連続生産ステップを含み得る。ウェーハテーブルを製造するプロセスは、使用できない多数の廃棄ウェーハテーブルをもたらし得る。ウェーハテーブルを製造する現在のプロセスでは、既存のウェーハテーブルで用いられる接合の限界に起因して、バール上に高温コーティングを適用する能力が制限され得る。高温(例えば、最大900℃)を適用して、既存のウェーハテーブルの上に高品質の材料及び新たなコーティング(所望の特性を有する新たな材料)を成長させることは、これらの高温での廃棄ウェーハテーブル材料の不安定性に起因して困難である場合がある。
【0055】
[0061]
図4は、幾つかの実施形態によるウェーハテーブル400の概略図を示す。幾つかの実施形態では、ウェーハテーブル400は、リソグラフィ装置、例えばリソグラフィ装置100及び/又は100’内に実装され得る。
【0056】
[0062] ウェーハテーブル400は、コアモジュール410と、1つ又は複数のバールモジュール420と、1つ又は複数の冷却チャネル430と、バックフィルガス(BFG)システム440と、1つ又は複数の接合接点450とを含み得る。幾つかの実施形態では、ウェーハテーブル400は、コアモジュール410及び1つ又は複数のバールモジュール420を製造する並行処理ステップを使用して製造され得る。
【0057】
[0063] 例えば、
図5に示すように、コアモジュール410は、廃棄ウェーハテーブル500を使用して形成(例えば、製造)され得る。引き続き
図4及び
図5を参照すると、幾つかの実施形態では、コアモジュール410は、廃棄ウェーハテーブル500の上面及び/又は底面からバール510を除去する(例えば、機械的研削によって除去する)ことによって製造され得る。バール510は、廃棄ウェーハテーブル500と一体化され、一体化バールと称されることがある。幾つかの実施形態では、廃棄ウェーハテーブル500から除去されたバール510は、廃棄ウェーハテーブル500と一体化されないこともある。
【0058】
[0064] バール510を機械的に研削することは、材料、例えばシリコン浸潤シリコンカーバイド(SiSiC)を研削する任意の適切な技術を使用して実施され得る。
【0059】
[0065] コアモジュール410を製造することは、バール510を除去した後、廃棄ウェーハテーブル500を研磨することも含み得る。例えば、廃棄ウェーハ500テーブルを研磨することは、化学機械研磨(CMP)プロセスを含み得る。このプロセスは、単に例示的な研磨プロセスに過ぎず、他の研磨プロセスも本開示の態様に従って更に考慮されることが当業者に理解されるはずである。
【0060】
[0066] 幾つかの実施形態では、1つ又は複数のバールモジュール420は、別々の製造プロセスにおいて形成(例えば、製造)され得る。例えば、1つ又は複数のバールモジュール420は、当業者に理解されるはずであるように、第2の基板上に製造され得る。
【0061】
[0067] 幾つかの実施形態では、1つ又は複数のバールモジュール420を別個の基板上に製造することにより、コアモジュール410に使用される材料と異なる材料を使用することが可能になる。例えば、コアモジュール410は、SiSiCを使用して製造され得る一方、1つ又は複数のバールモジュール420は、コアモジュール410に使用される材料と異なる材料を使用して製造され得る。別の例として、異なる材料は、コアモジュール410に使用される材料と異なる結晶構造を基板上に有し得る。例えば、1つ又は複数のバールモジュール420は、シリコン(Si)、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)などを使用して製造され得る。これらの材料は、1つ又は複数のバールモジュールに使用され得る材料の単なる例であり、他の材料も本開示の態様に従って更に考慮されることが当業者に理解されるはずである。
【0062】
[0068] 幾つかの実施形態では、1つ又は複数のバールモジュール420は、コアモジュール410と同じ材料を使用して製造され得る。
【0063】
[0069] 幾つかの実施形態では、コアモジュール410は、廃棄ウェーハテーブルを使用して製造されるため、接合410cを用いて互いに接合された上層410a及び下層410bを含む。
図4に示すように、上層410aに接合されたバールモジュール420のバール422は、下層410bに接合されたバールモジュール420のバール422と異なるサイズ及び形状であり得る。
【0064】
[0070] 加えて、バールモジュール420が別々のプロセスで製造され得るため、上層410aに接合されたバールモジュール420のバール422のコーティング424は、下層410bに接合されたバールモジュール420のバール422のコーティング424と異なる材料であり得る。
【0065】
[0071] 幾つかの実施形態では、1つ又は複数のバールモジュール420は、別々に製造され得るため、1つ又は複数のバールモジュール420の各バール422上のコーティング424は、高温(例えば、最大900℃)を使用して適用され得る。即ち、接合410cは、コーティング424を適用できる温度の制限要因ではなくなり、結果として、コーティング424は、バール422に適用される高温コーティングであり得る。例えば、高温コーティングは、420℃を超える温度を必要とするコーティングであり得る。一例として、高温コーティングは、600℃を必要とする高温ダイヤモンドコーティングであり得る。幾つかの実施形態によれば、製造プロセスの細分化により、接合に伴うコアモジュール410内部の構造的不安定性/感度に影響を及ぼすことなく、コーティング424を1つ又は複数のバールモジュール420に適用できるより高い温度の適用を可能にすることができる。
【0066】
[0072] 幾つかの実施形態では、ウェーハテーブル400は、コアモジュール410と1つ又は複数のバールモジュール420とを互いに接合することによって形成され得る。コアモジュール410を1つ又は複数のバールモジュール420に接合することは、光学接触、半田接合、接着接合、共晶接合、陽極接合、金属間拡散接合及び/又はこれらの組み合わせなどの技術を使用して行われ得る。
【0067】
[0073] 従って、本開示の幾つかの実施形態は、別々の製造ステップでウェーハテーブル400を製造する製造プロセスを提供し、例えば、コアモジュール410及び1つ又は複数のバールモジュール420は、互いに別々に製造される。例えば、コアモジュール410は、廃棄ウェーハテーブルを再生することによって製造され得、1つ又は複数のバールモジュール420は、別個の基板上に並行して製造され得る。コアモジュール410及び1つ又は複数のバールモジュール420が別々に製造された後、コアモジュール410及び1つ又は複数のバールモジュール420は、ウェーハテーブル400を形成するように互いに接合され得る。
【0068】
[0074]
図6は、幾つかの実施形態による例示的な方法600を示す。一例では、方法600は、モジュール式ウェーハテーブルを製造するために使用することができる。本明細書で提供される本開示を実施するために全てのステップが必要であるわけではないことを理解されたい。更に、ステップの幾つかは、当業者に理解されるように、同時に又は
図6に示す順序と異なる順序で実施することができる。
【0069】
[0075] ステップ602では、1つ又は複数のバールがウェーハテーブルの表面から除去され得る。除去することは、1つ又は複数のバールを機械的に研削することを含み得る。
【0070】
[0076] ステップ604では、ウェーハテーブルの表面は、1つ又は複数のバールを除去してコアモジュールを形成した後に研磨され得る。幾つかの実施形態によれば、研磨することは、化学機械研磨(CMP)プロセスを使用することを含み得る。
【0071】
[0077] ステップ606では、バールモジュールであって、複数のバールをその上に有するバールモジュールが形成され得る。幾つかの実施形態では、バールモジュールをコアモジュールとは別に形成することにより、コアモジュールに影響を及ぼさない可能性がある、異なる(例えば、高い)温度で適用される異なる材料を使用することを可能にし得る。
【0072】
[0078] ステップ608では、コアモジュールがバールモジュールに接合され得る。幾つかの実施形態によれば、コアモジュールをバールモジュールに接合することは、半田接合又は光学接点を使用して接合することを含み得る。
【0073】
[0079] 幾つかの実施形態によれば、方法600は、複数のバールの各バール上に高温コーティングを形成することを更に含み得る。非限定的な例として、高温コーティングは、例えば、高温ダイヤモンドコーティングであり得る。幾つかの実施形態によれば、方法600は、コアモジュールに使用される材料と同じ又は異なる材料を使用してバールモジュールを製造することを更に含み得る。
【0074】
[0080] 別々の製造ステップでのWTの提案された製造方法によって既存の製造プロセスに一連の利点及びコスト削減がもたらされることが理解され得る。(例えば、バール構造及びコア構造の)別々の製造ステップを別々に及び/又は同時に行うこともでき、それにより製造時間が短縮されることが理解され得る。幾つかの実施形態によれば、本明細書で提供される別々の製造プロセスにより、バール構造の上に高温コーティングを適用することが可能になる。別々の製造プロセスにより、コア構造及び/又は関連する接合に伴う不安定性からバール構造を切り離すことが可能になり得る。従って、これにより、バールの製造に使用できる新しい分野の材料の使用が可能になり得る。例えば、バールは、異なる結晶構造を有する異なる堅牢な材料上に製造することができる。従って、バールの特性をコアの構造/材料とは独立に設計することができる。幾つかの実施形態によれば、別々の製造プロセスは、既存のWT製造プロセスの現在のサイクルタイムを短縮でき、(適切な研削及び研磨ステップによってバールパターンを除去できる場合に)既存の廃棄WTの再生を可能にすることにより、製造コストを低減することができる。従って、高温ダイヤモンドなどの新たなコーティングをバール上に施すことができ、それにより機械的/摩擦機械的特性をより良好に制御して、より堅牢なバールを製造することが可能になる。
【0075】
[0081] 幾つかの実施形態では、本明細書で説明する提案されるモジュール式WTの製造プロセスは、新たな材料及び新たなコーティングを既存のWT技術に統合することを可能にすることができ、これにより、より堅牢なバールの製造に起因してウェーハロードグリッド(WLG)及びオーバーレイの問題が改善される。幾つかの実施形態では、これにより、単結晶基板を使用して更に設計されるバールモジュールの結晶構造の製造を可能にすることもできる。
【0076】
[0082] 実施形態について、以下の条項を使用して更に説明することができる。
1.ウェーハテーブルの表面から1つ又は複数のバールを除去することと、
1つ又は複数のバールを除去した後、ウェーハテーブルの表面を研磨してコアモジュールを形成することと、
バールモジュールであって、複数のバールをその上に有するバールモジュールを形成することと、
コアモジュールをバールモジュールに接合することと
を含む方法。
2.コアモジュールをバールモジュールに接合することは、光学接点を使用してコアモジュールとバールモジュールとを接合することを含む、条項1に記載の方法。
3.コアモジュールをバールモジュールに接合することは、半田接合を使用してコアモジュールとバールモジュールとを接合することを含む、条項1に記載の方法。
4.除去することは、1つ又は複数のバールを機械的に研削することを含み、及び
研磨することは、化学機械研磨(CMP)プロセスを使用することを含む、条項1に記載の方法。
5.複数のバールの各バール上に高温コーティングを形成することを更に含む、条項1に記載の方法。
6.高温コーティングは、高温ダイヤモンドコーティングである、条項5に記載の方法。
7.コアモジュールに使用される材料と異なる材料を使用してバールモジュールを製造することを更に含む、条項1に記載の方法。
8.コアモジュールに使用される材料と同じ材料を使用してバールモジュールを製造することを更に含む、条項1に記載の方法。
9.ウェーハテーブルであって、
ウェーハテーブルの表面から1つ又は複数のバールを除去し、及び1つ又は複数のバールを除去した後、ウェーハテーブルの表面を研磨することによって形成されるように構成されたコアモジュールと、
バールモジュールであって、その上に形成された複数のバールを有するバールモジュールと、
コアモジュールをバールモジュールに接合するように構成された複数の接合接点と
を含むウェーハテーブル。
10.複数の接合接点は、複数の光学接点を含む、条項9に記載のウェーハテーブル。
11.複数の接合接点は、複数の半田接合接点を含む、条項9に記載のウェーハテーブル。
12.バールモジュールは、複数のバールの各バール上に形成された高温コーティングを含む、条項9に記載のウェーハテーブル。
13.高温コーティングは、高温ダイヤモンドコーティングを含む、条項12に記載のウェーハテーブル。
14.バールモジュールは、コアモジュールに使用される材料と異なる材料を含む、条項9に記載のウェーハテーブル。
15.バールモジュールは、コアモジュールに使用される材料と同じ材料を含む、条項9に記載のウェーハテーブル。
16.コアモジュールは、互いに接合された上層及び下層を含む、条項9に記載のウェーハテーブル。
17.複数の接合接点は、接着接合、共晶接合、陽極接合、金属間拡散接合又は陽極接合を含む、条項9に記載のウェーハテーブル。
18.1つ又は複数のバールを機械的に研削することによってウェーハテーブルの表面から1つ又は複数のバールを除去することと、
1つ又は複数のバールを除去した後、化学機械研磨(CMP)プロセスを使用してウェーハテーブルの表面を研磨することと
により、コアモジュールを形成することと、
複数のバールを有するバールモジュールを形成することと、
光学接点又は半田接合部を使用してコアモジュールをバールモジュールに接合することと
を含む方法。
19.バールモジュールを形成することは、コアモジュールをバールモジュールに接合する前に複数のバールの各バール上に高温コーティングを形成することを更に含む、条項18に記載の方法。
20.高温コーティングは、高温ダイヤモンドコーティングである、条項19に記載の方法。
21.バールモジュールは、コアモジュールに使用される材料と異なる材料を使用している、条項18に記載の方法。
【0077】
[0083] 本明細書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的に言及される場合があるが、本明細書で説明するリソグラフィ装置は、磁区メモリ、フラットパネルディスプレイ、LCD、薄膜磁気ヘッド等のためのガイダンス及び検出パターン、集積光学システムの製造などの他の用途を有し得ることを理解されたい。当業者であれば、そのような代替の用途に関連して、本明細書での「ウェーハ」又は「ダイ」という用語の使用は、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」というより一般的な用語の同義としてみなすことができることを理解するであろう。本明細書で言及される基板は、露光前又は後に例えばトラックユニット(通常、レジストの層を基板に塗布し、露光されたレジストを現像するツール)、計測ユニット及び/又は検査ユニットで処理され得る。適用可能である場合、本明細書の開示は、そのような他の基板処理ツールに適用され得る。更に、基板は、例えば、多層ICを生成するために2度以上処理され得、その結果、本明細書で使用する基板という用語は、複数の処理済層を既に包含している基板も指し得る。
【0078】
[0084] 光リソグラフィに関連して本開示の実施形態の使用について上記で具体的に言及してきたが、本開示は、他の用途、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、状況が許せば、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィは、基板上に生成されるパターンを規定する。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジストの層にプレスされ得、基板上では、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを印加することによりレジストが硬化される。パターニングデバイスは、レジストから外部に移動され、レジストが硬化された後にレジストにパターンを残す。
【0079】
[0085] 本明細書の語句又は用語は、説明の目的のためのものであり、限定するものではなく、本開示の用語又は語句は、関連技術分野の当業者によって本明細書の教示に照らし合わせて解釈されるべきものであることを理解されたい。
【0080】
[0086] 「基板」という用語は、本明細書で使用するとき、その上に材料層が追加される材料を表す。幾つかの実施形態では、基板自体がパターン付けされ得るか、基板の上部に追加された材料もパターン付けされ得るか、又はパターン付けされないままであり得る。
【0081】
[0087] ICの製造における本開示による装置及び/又はシステムの使用について、本明細書で特定の言及がなされる場合があるが、そのような装置及び/又はシステムには、他の多くの可能な用途があることを明確に理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリのためのガイダンス及び検出パターン、LCDパネル、薄膜磁気ヘッドなどの製造において用いることができる。当業者であれば、そのような代替的な用途に関連して、「レチクル」、「ウェーハ」又は「ダイ」という用語の使用は、本明細書では、それぞれより一般的な用語「マスク」、「基板」及び「ターゲット部分」によって置き換えられるものとみなされるべきであることを理解するであろう。
【0082】
[0088] 本開示の特定の実施形態について上記で説明してきたが、本開示は、説明したものとは別の態様で実施され得ることが理解されるであろう。説明は、本開示を限定することを意図したものではない。
【0083】
[0089] 概要及び要約の章ではなく、詳細な説明の章は、請求項を解釈するために使用されるように意図されることを理解されたい。概要及び要約の章は、本発明者によって企図された本開示の例示的な実施形態の、全てではないが1つ又は複数を記載する場合があり、従って決して本開示及び添付の特許請求の範囲を限定することを意図しない。
【0084】
[0090] 本開示について、具体的な機能の実装及びそれらの関係を示す機能的構成ブロックを用いて上述した。これらの機能的構成ブロックの境界は、説明の便宜上、本明細書で任意に規定される。特定の機能及びそれらの関係が適切に実行される限り、代替の境界を規定することができる。
【0085】
[0091] 特定の実施形態についての前述の説明は、本開示の一般的性質を完全に明らかにしているため、当技術分野の技術の範疇の知識を応用することにより、他者が、本開示の一般的な概念から逸脱することなく、不適当な実験を行うことなしに、そのような特定の実施形態を容易に修正し、及び/又は様々な用途に適合させることができる。従って、そのような適合形態及び修正形態は、本明細書で提示された教示及び指導に基づいて、開示された実施形態の均等物の趣旨及び範囲の内部にあることが意図される。
【0086】
[0092] 保護される主題の広さ及び範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以降の請求項及びそれらの均等物に従ってのみ規定されるべきである。
【国際調査報告】