(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置におけるレチクルの熱調節のためのシステム、方法、およびデバイス
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 502
G03F7/20 503
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579187
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2022066044
(87)【国際公開番号】W WO2022268560
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(71)【出願人】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ファン ダンメ、ジーン-フィリップ、シャビエル
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、リチャード、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニアン、ラージャ ガナパシー
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA05
2H197CA06
2H197CA10
2H197DA02
2H197DA03
2H197DA09
2H197DB18
2H197DB34
2H197DC03
2H197GA01
2H197GA24
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA08
2H197HA10
(57)【要約】
【解決手段】ここでの実施形態は、リソグラフィ装置におけるパターニングデバイスの熱調節のためのシステム、方法、およびデバイスを記述する。リソグラフィ装置のパターニングデバイスを熱調節するためのパターニングデバイス冷却システムが記述される。冷却システムは、パターニングデバイスを熱調節する熱調節器と、パターニングデバイスの温度状態を判定し、リソグラフィ装置の生産状態を判定し、温度状態およびリソグラフィ装置の生産状態に基づいて、露光のためにパターニングデバイスを熱調節する、熱調節器を制御するコントローラと、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置のパターニングデバイスを熱調節するためのパターニングデバイス冷却システムであって、
前記パターニングデバイスを熱調節するように構成される熱調節器と、
前記パターニングデバイスの温度状態を判定し、
前記リソグラフィ装置の生産状態を判定し、
前記温度状態および前記生産状態に基づいて、露光のために前記パターニングデバイスを熱調節する、
前記熱調節器を制御するように構成されるコントローラと、
を備える冷却システム。
【請求項2】
前記温度状態は、前記パターニングデバイスの検出された温度または予測された温度を含み、
前記リソグラフィ装置の前記生産状態は、前記パターニングデバイスの露光生産性を優先する生産性優先状態である、
請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記温度状態は、前記パターニングデバイスの検出された温度または予測された温度を含み、
前記リソグラフィ装置の前記生産状態は、スループットより前記パターニングデバイスの調節を優先するオーバーレイ優先状態である、
請求項1に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記パターニングデバイスの調節状態を判定し、
前記温度状態、前記生産状態、および前記パターニングデバイスの前記調節状態に基づいて、露光のために前記パターニングデバイスを熱調節する、
ように前記熱調節器を制御するように更に構成され、
前記調節状態は、前記パターニングデバイスが前記リソグラフィ装置のロードポートで検出された時に判定される、
請求項1に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記パターニングデバイスの前記調節状態が調節済状態でないことに応じて、前記コントローラが、前記パターニングデバイスを前記熱調節器内のアクティブ調節スロットに配置し、前記パターニングデバイスの前記調節状態をアクティブ調節状態に変えるように、前記熱調節器を制御するように更に構成される、請求項4に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記アクティブ調節スロットは、空気および流体の循環の少なくとも一つを含み、
前記コントローラは、
前記パターニングデバイスが所定の期間に亘って前記アクティブ調節状態に置かれたことに応じて、前記パターニングデバイスの前記調節状態を調節済状態に設定し、
前記調節状態が前記アクティブ調節状態から前記調節済状態に変わったことに応じて、前記パターニングデバイスを前記熱調節器内のパッシブ調節スロットに移す、
ように前記熱調節器を制御するように更に構成される、
請求項5に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記リソグラフィ装置の前記生産状態は、前記パターニングデバイスの露光生産性を優先する生産性優先状態と、前記パターニングデバイスの調節を優先するオーバーレイ優先状態の間で、前記リソグラフィ装置の優先状態を変えるレシピ依存状態である、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記温度状態を示すデータを前記リソグラフィ装置に対して送り、
パターニングデバイス歪を示すデータを前記リソグラフィ装置から受け取る、
ように更に構成され、
前記コントローラは、前記パターニングデバイス歪を示すデータに基づいて、前記温度状態を判定するように構成される、
請求項1に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記温度状態を示すデータを前記リソグラフィ装置に対して送り、
前記パターニングデバイスの温度を示すデータを前記リソグラフィ装置から受け取る、
ように更に構成され、
前記コントローラは、前記パターニングデバイスの温度を示すデータに基づいて、前記温度状態を判定するように構成される、
請求項1に記載の冷却システム。
【請求項10】
リソグラフィ装置のパターニングデバイスを熱調節するための方法であって、
前記パターニングデバイスの温度状態を判定することと、
前記リソグラフィ装置の生産状態を判定することと、
調節デバイスによって、前記温度状態および前記生産状態に基づいて、露光のために前記パターニングデバイスを熱調節することと、
を備える方法。
【請求項11】
前記温度状態を判定することは、前記パターニングデバイスの温度を検出または予測することを備え、
前記リソグラフィ装置の前記生産状態が生産優先状態であることに応じて、前記パターニングデバイスの露光スループットを最適化することと、
前記リソグラフィ装置の前記生産状態がオーバーレイ優先状態であることに応じて、前記パターニングデバイスの調節を優先することと、
を更に備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記パターニングデバイスの調節状態を判定することと、
前記温度状態、前記生産状態、および前記パターニングデバイスの前記調節状態に基づいて、露光のために前記パターニングデバイスを熱調節することと、
前記パターニングデバイスが前記リソグラフィ装置のロードポートで検出された時に前記調節状態を判定することと、
前記パターニングデバイスの前記調節状態が調節済状態でないことに応じて、前記パターニングデバイスを熱調節器内のアクティブ調節スロットに配置し、前記パターニングデバイスの前記調節状態をアクティブ調節状態に変えることと、
空気および流体の循環の少なくとも一つによって、前記パターニングデバイスを熱調節することと、
を更に備える請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記パターニングデバイスが所定の期間に亘って前記アクティブ調節状態に置かれたことに応じて、前記パターニングデバイスの前記調節状態を調節済状態に設定することと、
前記調節状態が前記アクティブ調節状態から前記調節済状態に変わったことに応じて、前記パターニングデバイスを前記熱調節器内のパッシブ調節スロットに移すことと、
を更に備える請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記パターニングデバイスが予測された温度に達したことに応じて、前記パターニングデバイスの前記調節状態を調節済状態に設定することと、
前記調節状態が前記アクティブ調節状態から前記調節済状態に変わったことに応じて、前記パターニングデバイスを前記熱調節器内のパッシブ調節スロットに移すことと、
を更に備える請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記リソグラフィ装置の前記生産状態がレシピ依存状態であることに応じて、前記リソグラフィ装置の前記生産状態を、前記パターニングデバイスの露光スループットを優先する生産優先状態と、前記パターニングデバイスの調節を優先するオーバーレイ優先状態の間で変えること、を更に備える請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2021年6月23日に出願された米国仮特許出願63/213,898号の優先権を主張し、その全体が参照によって本書に援用される。
【0002】
[技術分野]
本開示は、リソグラフィ装置における熱調節およびレチクル冷却のためのシステム、方法、およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、基板上、通常は基板のターゲット部分上に所望のパターンを適用する装置である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造において使用されうる。この場合、マスクまたはレチクルとも表されるパターニングデバイスが、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために使用されうる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの部分、一つのダイ、または複数のダイを含む)上に転写されうる。パターンの転写は、典型的に、基板上に提供される放射感応性材料(レジスト)の層上へのイメージングによる。一般的に、単一の基板は、連続的にパターン形成される近接したターゲット部分のネットワークを含む。公知のリソグラフィ装置は、ターゲット部分上に全体パターンを一度に露光することで各ターゲット部分が照明されるいわゆるステッパ、および、放射ビームを通じてパターンを所定方向(「スキャン」方向)にスキャンすると同時に、このスキャン方向に平行または非平行にターゲット部分をスキャンすることで、各ターゲット部分が照明されるいわゆるスキャナを含む。基板上にパターンをインプリントすることで、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0004】
パターンを基板上に投影するために、リソグラフィ装置は、電磁放射を使用してもよい。この放射の波長が、基板上に形成されうるフィーチャの最小サイズを決定する。リソグラフィ装置は、4-20nmの範囲内の波長(例えば、6.7nmまたは13.5nm)を有する極端紫外(EUV)放射、または約120と約400nmの間の範囲における波長(例えば、193または248nm)を有する深紫外(DUV)放射を使用してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DUVリソグラフィでは、放射ビームが、レチクルにおける熱応答をもたらしうる。特に、レチクルはDUV放射ビームから大量の熱エネルギーを吸収し、レチクルの加熱と膨張がもたらされうる。レチクルハンドラおよびレチクルステージモジュールに亘る様々なメカトロニクスデバイス等の他のソースも、レチクル加熱に寄与しうる。レチクルの非一様な熱プロファイルをもたらすレチクル加熱は、リソグラフィシステムにおけるイメージ歪およびオーバーレイエラーの主因となる可能性がある。そこで、変形およびオーバーレイの問題を防ぐために、レチクル冷却方法が利用されうる。いくつかの場合では、レチクル冷却のためにレチクルの表面および支持構造の近くにガス流を提供するために、カスタマイズされたノズルおよびガスアウトレットを利用する熱調節システムが、パターニング装置において実装されてもよい。しかし、このような冷却およびレチクル温度を制御するためのシステムおよび方法では、高いコストおよびシステム複雑度をもたらすカスタマイズされた部品および追加的なハードウェアが必要になってしまう。
【0006】
このため、DUVリソグラフィにおけるレチクル冷却および熱調節のための、複雑度が低減された低コストソリューションに対する需要が存在しうる。そこで、本開示は、パターニングデバイスハンドリング装置およびリソグラフィ装置における支持構造でのレチクルの熱調節のためのシステム、方法、およびデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態では、リソグラフィ装置のパターニングデバイスを熱調節するためのパターニングデバイス冷却システムが記述される。冷却システムは、パターニングデバイスを熱調節するように構成される熱調節器を含む。冷却システムは、パターニングデバイスの温度状態を判定し、リソグラフィ装置の生産状態を判定し、温度状態および生産状態に基づいて、露光のためにパターニングデバイスを熱調節する、熱調節器を制御するコントローラも含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、リソグラフィ装置のパターニングデバイスを熱調節するための方法が記述される。方法は、パターニングデバイスの温度状態を判定することと、リソグラフィ装置の生産状態を判定することと、調節デバイスによって、温度状態および生産状態に基づいて、露光のためにパターニングデバイスを熱調節することと、を含む。
【0009】
開示の更なる特徴は、開示の様々な実施形態の構造および動作と共に、付随する図面を参照して以下で詳細に記述される。開示は、ここで記述される具体的な実施形態に限定されないと理解される。このような実施形態は、例示のみを目的として、ここで提示される。追加的な実施形態は、ここに含まれる教示に基づいて、当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
ここで援用されて明細書の一部を構成する付随する図面は本開示を例示し、その記述と共に、開示を当業者が製造および使用できるように、開示の原理を説明するために更に用いられる。
【0011】
図1Aは、本開示の実施形態に係る反射型リソグラフィ装置の模式図である。
【0012】
図1Bは、本開示の実施形態に係る透過型リソグラフィ装置の模式図である。
【0013】
図2は、本開示の実施形態に係る、パターニングデバイスと結合されるパターニングデバイスハンドリング装置のパターニングデバイスサポートおよびグリッピングデバイスの透視図である。
【0014】
図3は、本開示の実施形態に係る、パターニングデバイス温度オフセットの影響を例示する、
図2のパターニングデバイスサポートの透視図である。
【0015】
図4は、本開示の実施形態に係る、パターニングデバイスロードシーケンスおよび温度オフセットの原因を例示する。
【0016】
図5は、本開示の実施形態に係るパターニングデバイス調節状態モデルを例示する。
【0017】
図6は、本開示の実施形態に係る、熱い入って来るパターニングデバイスに対する感度レベルを例示する。
【0018】
図7は、本開示の実施形態に係る、パターニングデバイスの熱調節を提供するための例示的な方法のフローチャートである。
【0019】
本開示の特徴は、図面(同様の参照記号は一貫して対応する要素を表す)と併せて解釈される以下の詳細な記述からより明らかになる。図面における同様の参照番号は、概して、同一、機能的に同様、および/または構造的に同様の要素を示す。加えて、概して、参照番号における最も左の数字は、当該参照番号が最初に現れる図を表す。特に断らない限り、開示を通じて提供される図面は、実際の寸法に忠実なものと解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書は、本開示の特徴を備える一または複数の実施形態を開示する。開示される実施形態は、開示を単に例示するものに過ぎない。開示の範囲は、開示される実施形態に限定されない。開示は、添付される特許請求の範囲によって定められる。
【0021】
記述される実施形態や、明細書における「一つの実施形態」「一実施形態」「一実施例」等への言及は、記述される実施形態が特定の特徴、構造、または特質を含んでもよいが、全ての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、または特質を含まなくてもよいということを表す。更に、このような言い回しは、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。更に、特定の特徴、構造、または特質がある実施形態に関して記述される場合、このような特徴、構造、または特質を他の実施形態に関して有効にすることは、明示的に記述されるか否かによらず当業者の知識の範囲内であると理解される。
【0022】
「下」(例えば、beneath、below、lower)や「上」(例えば、above、on、upper)等の空間的に相対的な用語は、図示される一方の要素または特徴の、他方の要素または特徴に対する関係の記述を容易にするためにここで使用されてもよい。空間的に相対的な用語は、図示される方向に加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる方向も包含する趣旨である。装置は異なる方向(90度回転された方向や他の方向)を向いていてもよく、ここで使用される空間的に相対的な用語は、それに合わせて同様に解釈されてもよい。
【0023】
ここで使用される用語「約」は、特定の技術に基づいて変動しうる与えられた量の値を示す。特定の技術に基づいて、用語「約」は、例えば、値の10-30%(例えば、値の±10%、±20%、または±30%)の範囲内で変動する与えられた量の値を示しうる。
【0024】
開示の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの任意の組合せとして実装されてもよい。開示の実施形態は、一または複数のプロセッサによって読み込まれて実行されてもよい、機械読取可能媒体に格納された命令として実装されてもよい。機械読取可能媒体は、装置(例えば、演算デバイス)によって読取可能な態様で情報を格納または送信するための任意のメカニズムを含んでもよい。例えば、機械読取可能媒体は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスクストレージ媒体、光学ストレージ媒体、フラッシュメモリデバイス、電気/光/音その他の態様の伝送信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)等を含んでもよい。更に、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、および/または命令は、特定のアクションを実行するものとしてここで記述されてもよい。但し、このような記述は単に便宜的なものに過ぎず、このようなアクションは実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する演算デバイス、プロセッサ、コントローラその他のデバイスによって引き起こされると理解されるべきである。
【0025】
このような実施形態を詳細に記述する前に、本開示の実施形態が実施されてもよい環境例を参考のために提示する。
【0026】
リソグラフィシステム例
【0027】
図1Aおよび1Bは、本開示の実施形態が実装されてもよいリソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’のそれぞれの模式図である。リソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’のそれぞれは次の要素を含む:放射ビームB(例えば、深紫外(DUV)放射ビームまたは極端紫外(EUV)放射ビーム)を調整するように構成される照明システム(イルミネータ)IL;パターニングデバイス(例えば、マスク、レチクル、または動的なパターニングデバイス)MAを支持するように構成され、当該パターニングデバイスMAを正確に配置するように構成される第1ポジショナPMに接続される支持構造(例えば、マスクテーブル)MT;基板(例えば、レジストがコーティングされたウェーハ)Wを保持するように構成され、当該基板Wを正確に配置するように構成される第2ポジショナPWに接続される基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WT。リソグラフィ装置100および100’は、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに形成されたパターンを、基板Wのターゲット部分(例えば、一または複数のダイを含む)C上に投影するように構成される投影システムPSも有する。リソグラフィ装置100では、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSが反射型である。リソグラフィ装置100’では、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSが透過型である。
【0028】
照明システムILは、放射ビームBの方向付け、形成、または制御のための、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁気型、静電型その他のタイプの光学コンポーネント、またはそれらの任意の組合せ等の様々なタイプの光学コンポーネントを含んでもよい。
【0029】
支持構造MTは、参照フレームに対するパターニングデバイスMAの方向、リソグラフィ装置100および100’の少なくとも一つのデザイン、およびパターニングデバイスMAが真空環境に保持されるか否か等の他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、パターニングデバイスMAを保持するために、機械型、真空型、静電型、または他のクランプ技術を使用してもよい。支持構造MTは、例えば、必要に応じて固定されまたは移動可能なフレームまたはテーブルでもよい。センサを使用することで、支持構造MTは、パターニングデバイスMAを、例えば投影システムPSに対する所望の位置に確実に配置できる。
【0030】
用語「パターニングデバイス」MAは、例えば、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するように、放射ビームBの断面にパターンを形成するために使用されうる任意のデバイスを指すものと広義に解釈されるべきである。放射ビームBに形成されるパターンは、集積回路を形成するためにターゲット部分Cに生成されるデバイスにおける特定の機能層に対応しうる。
【0031】
パターニングデバイスMAは、透過型(例えば、
図1Bのリソグラフィ装置100’におけるように)でもよいし、反射型(例えば、
図1Aのリソグラフィ装置100におけるように)でもよい。パターニングデバイスMAの例は、レチクル、マスク、プログラマブルミラーアレイ、またはプログラマブルLCDパネルを含む。マスクは、バイナリ型、レベンソン型位相シフト、またはハーフトーン型位相シフト、および様々なハイブリッドマスクタイプ等のマスクタイプを含みうる。一例では、プログラマブルミラーアレイが、入射ビームを異なる方向に反射するために個別に傾けられうる小ミラーのマトリックス配置を含みうる。傾けられたミラーは、放射ビームBにパターン(小ミラーのマトリックスによって反射されたもの)を形成する。
【0032】
用語「投影システム」PSは、使用される露光放射や、基板W上での液浸液の使用または真空の使用等の他のファクタにとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁気型および静電型の光学システム、またはそれらの任意の組合せを含む、任意のタイプの投影システムを包含しうる。他のガスが放射または電子を過剰に吸収しうるため、EUVまたは電子ビームの放射のために真空環境が使用されうる。このため、真空壁および真空ポンプによって、真空環境がビーム経路全体に提供されうる。
【0033】
リソグラフィ装置100および/またはリソグラフィ装置100’は、2(デュアルステージ)またはそれより多い基板テーブルWT(および/または、2以上のマスクテーブル)を有するタイプでもよい。このような「複数ステージ」装置では、追加的な基板テーブルWTが並列に使用されうる、または、一または複数の他の基板テーブルWTが露光のために使用されている間に、準備ステップが一または複数のテーブル上で実行されうる。いくつかの側面では、追加的なテーブルが、基板テーブルWTでなくてもよい。
【0034】
図1Aおよび1Bを参照して、イルミネータILは、放射ソースSOから放射ビームBを受け取る。例えば、ソースSOがエキシマレーザの場合、ソースSOおよびリソグラフィ装置100、100’は、物理的に別の物でもよい。このような場合、ソースSOは、リソグラフィ装置100または100’の一部を構成するものと解釈されず、例えば、適切な方向付けミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBD(
図1B参照)によって、放射ビームBがソースSOからイルミネータILに渡される。例えば、ソースSOが水銀ランプである他の場合では、ソースSOが、リソグラフィ装置100、100’の一部でもよい。ソースSOおよびイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDと共に、放射システムと表されうる。
【0035】
イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するためのアジャスタAD(
図1B参照)を含みうる。一般的に、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側半径範囲および/または内側半径範囲(一般的に、「σ-outer」および「σ-inner」とそれぞれ表される)が調整されうる。加えて、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCO等の様々な他のコンポーネント(
図1B参照)を備えうる。イルミネータILは、放射ビームBが断面における所望の均一性および強度分布を有するように調整するために使用されうる。
【0036】
図1Aを参照して、稼働中の放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射し、当該パターニングデバイスMAによってパターン形成される。リソグラフィ装置100では、放射ビームBが、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射される。放射ビームBは、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射された後、基板Wのターゲット部分C上に放射ビームBを集光する投影システムPSを通過する。第2ポジショナPWおよび位置センサIF2(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、または容量センサ)によって、基板テーブルWTが正確に駆動されうる(例えば、放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを配置するように)。同様に、第1ポジショナPMおよび他の位置センサIF1は、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に配置するために使用されうる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用してアラインされうる。
【0037】
図1Bを参照して、放射ビームBは、支持構造MT(例えば、マスクテーブル)上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射し、当該パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを通過した放射ビームBは、基板Wのターゲット部分C上にビームを集光する投影システムPSを通過する。投影システムは、照明システム瞳IPUに対する瞳共役PPUを有する。放射の部分は、照明システム瞳IPUでの強度分布から発出され、マスクパターンでの回折によって影響されることなく当該マスクパターンを通過し、照明システム瞳IPUでの強度分布のイメージを生成する。
【0038】
第2ポジショナPWおよび位置センサIF(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、または容量センサ)によって、基板テーブルWTが正確に駆動されうる(例えば、異なるターゲット部分Cを放射ビームBの経路上に配置するように)。同様に、第1ポジショナPMおよび他の位置センサ(
図1Bでは不図示)が、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に配置するために使用されうる(例えば、マスクライブラリからの機械的な取出し後やスキャン中)。
【0039】
一般的に、支持構造MTの移動は、第1ポジショナPMの一部を構成する長ストロークモジュール(粗動位置決め)および短ストロークモジュール(微動位置決め)によって実現されうる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2ポジショナPWの一部を構成する長ストロークモジュールおよび短ストロークモジュールを使用して実現されうる。(スキャナではない)ステッパの場合、支持構造MTは短ストロークアクチュエータのみに接続されてもよいし、固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用してアラインされうる。基板アライメントマークは、図示のように専用のターゲット部分を占めるが、ターゲット部分の間のスペースに配置されうる(スクライブラインアライメントマークとして知られている)。同様に、複数のダイがマスクMA上に提供される状況では、マスクアライメントマークがダイの間に配置されうる。
【0040】
支持構造MTおよびパターニングデバイスMAは、真空内ロボットIVRがマスク等のパターニングデバイスを真空チャンバ内外で駆動するために使用されうる真空チャンバV内に置かれうる。あるいは、支持構造MTおよびパターニングデバイスMAが真空チャンバ外にある場合、真空外ロボットが、真空内ロボットIVRと同様に様々な移送オペレーションのために使用されうる。真空内および真空外ロボットは共に、移送ステーションの固定されたキネマティックマウントに任意のペイロード(例えば、マスク)を円滑に移送するために較正される必要がある。
【0041】
リソグラフィ装置100および100’は、以下のモードの少なくとも一つにおいて使用されうる。
【0042】
1.ステップモードでは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTが、放射ビームBに形成された全体パターンがターゲット部分C上に一度に投影される(すなわち、単一静的露光)間、実質的に静止状態に保たれる。そして、異なるターゲット部分Cが露光されうるように、基板テーブルWTがXおよび/またはY方向にシフトされる。
【0043】
2.スキャンモードでは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTが、放射ビームBに形成されたパターンがターゲット部分C上に投影される(すなわち、単一動的露光)間、同時にスキャンされる。支持構造(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの倍率および像反転特性によって決定されうる。
【0044】
3.他のモードでは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MTが、プログラマブルパターニングデバイスを保持しながら実質的に静止状態に保たれ、放射ビームBに形成されたパターンがターゲット部分C上に投影される間に、基板テーブルWTが駆動またはスキャンされる。パルス放射ソースSOが利用されてもよく、プログラマブルパターニングデバイスは、必要に応じて、基板テーブルWTの各移動後またはスキャン中の連続する放射パルスの間に更新される。この動作モードは、プログラマブルミラーアレイ等のプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用されうる。
【0045】
以上の使用モードの組合せおよび/または変形や、全く異なる使用モードが利用されてもよい。
【0046】
更なる実施形態では、リソグラフィ装置100’が、深紫外(DUV)リソグラフィのためのDUV放射のビームを生成するように構成されるDUVソースを含む。一般的に、DUVソースは放射システムにおいて構成され、対応する照明システムはDUVソースのDUV放射ビームを調整するように構成される。
【0047】
レチクルハンドリング装置の例示的な実施形態
【0048】
いくつかのリソグラフィ装置は、パターニングデバイスを交換するパターニングデバイスハンドリング装置を含む。リソグラフィ装置のパターニングデバイスサポート上にパターニングデバイスを搭載するために、パターニングデバイスハンドリング装置のグリッピングデバイスが、例えば、真空吸引を使用することによって、パターニングデバイスと結合する。そして、パターニングデバイスハンドリング装置は、パターニングデバイスを搭載するパターニングデバイスサポートに向かって、パターニングデバイスを駆動する(例えば、タレットの周りで回転させることによって)。
【0049】
図2は、本開示の実施形態に係る、パターニングデバイス202と結合されるオブジェクトハンドリング装置のオブジェクトサポート200およびグリッピングデバイス210の透視図である。いくつかの実施形態では、パターニングデバイス202が、リソグラフィ装置における使用のためのパターニングデバイス、例えば、リソグラフィ装置との使用のためのマスクまたはレチクル、または基板(例えば、ウェーハ)でもよい。いくつかの実施形態では、オブジェクトサポート200が、パターニングデバイスサポート、マスクテーブルまたはレチクルステージでもよいし、基板サポート、例えば、ウェーハテーブルでもよい。いくつかの実施形態では、グリッピングデバイス210が、真空吸引を使用してレチクルをピックアップし、オブジェクトサポート200のレチクルステージエリアに配置するロボットアームを備えうる。グリッピングデバイス210は、レチクルをオブジェクトハンドリング装置に結合するための真空吸引を生成する一または複数の真空ユニット212を備えうる。
【0050】
いくつかの実施形態では、パターニングデバイスサポート200が、パターニングデバイス202が配置されうるパターニングエリア203(例えば、レチクルエリア)を含みうる。いくつかの実施形態では、パターニングデバイスサポート200が、パターニングデバイス202を駆動(例えば、面に沿った並進または面を外れた並進)するように構成される可動コンポーネント204を含みうる。例えば、
図2および3に例示されるように、パターニングデバイス202は、x軸およびy軸によって定められる面(XY面)に沿って並進できる。可動コンポーネント204は、パターニングデバイス202が並進する面に実質的に平行な面に沿って、第2コンポーネント(不図示)に対して移動可能でもよい。いくつかの実施形態では、第2コンポーネントが、リファレンス、例えば、フレームまたはバランスマス(不図示)に対して移動可能である。
【0051】
いくつかの実施形態では、可動コンポーネント204が短ストロークコンポーネントであり、第2コンポーネント(不図示)が長ストロークコンポーネントである。長ストロークアクチュエータ(不図示)は、リファレンスに対して第2可動コンポーネントを駆動する。一または複数の短ストロークアクチュエータ(不図示)は、第2可動コンポーネントに対して可動コンポーネント204を駆動できる。典型的に、短ストロークアクチュエータは、第2可動コンポーネントに対して可動コンポーネント204を比較的高い精度で配置する。短ストロークアクチュエータは、限られた動作範囲を有する。典型的に、長ストロークアクチュエータは、大きい動作範囲(例えば、パターニングデバイスサポート200の動作スペース全体)を有する。長ストロークアクチュエータは、第2可動コンポーネントを比較的低い精度で配置する。稼働中、長ストロークアクチュエータおよび第2可動コンポーネントは、パターニングデバイス202を駆動し、パターニングデバイス202の所望の位置を含む短ストロークアクチュエータの動作可能範囲内に配置する。そして、短ストロークアクチュエータおよび可動コンポーネント204は、パターニングデバイス202を所望の位置に駆動する。いくつかの実施形態では、第1可動コンポーネント204および第2コンポーネントが、任意の適切な形状を有しうる。
【0052】
いくつかの実施形態では、パターニングデバイスサポート200が、パターニングデバイス202を選択的および確実に可動コンポーネント204に結合するように構成される、一または複数のクランピングインターフェースを含みうる。
図2に示されるように、例えば、パターニングデバイスサポート200は、第1クランピングインターフェース206aおよび第2クランピングインターフェース206bを含みうる。クランピングインターフェース206aおよび206bのそれぞれは、可動コンポーネント204に対するパターニングデバイス202の移動を防ぐために、パターニングデバイス202と選択的および実質的に結合するように構成されうる。
【0053】
いくつかの実施形態では、クランピングインターフェース206aおよび206bが、真空パッドを備えうる。いくつかの実施形態では、クランピングインターフェース206aまたは206bの一方によって生成される真空力が選択的に低減される、または略大気圧に等しく設定される一方で、クランピングインターフェース206aまたは206bの他方によって生成される真空力が大気圧より高く維持されるように、クランピングインターフェース206aおよび206bの真空パッドが構成されうる。
【0054】
いくつかの実施形態では、各クランピングインターフェース、例えば、クランピングインターフェース206aおよび206bが、真空生成器、例えば、各クランピングインターフェースにおいて負の圧力を生成できる任意の適切なデバイスとの間で、流体が流通可能でもよい。いくつかの実施形態では、クランピングインターフェース206aおよび206bが、例えば、パターニングデバイス202を確実に可動コンポーネント204に結合する漏れ真空シールを生成するメンブレンでもよい。このようなメンブレンの実施形態では、クランピングインターフェース206aおよび206bが、パターニングデバイス202をクランピングインターフェース206aおよび206bに対して引き寄せる真空力を生成し、パターニングデバイス202を可動コンポーネント204に結合するために、流体の流れが通過することを許容するための一または複数の開口を備えうる。真空力は、パターニングデバイス202およびクランピングインターフェース206aおよび206bの間の摩擦を生成する。この摩擦は、グリッピングデバイス210がパターニングデバイス202を解放した後に、パターニングデバイス202の内部応力が部分的または完全に解放されることを防ぎうる。
【0055】
いくつかの実施形態では、パターニングデバイス202が、パターニングデバイスハンドリング装置(
図2では不図示)のグリッピングデバイス210からパターニングデバイスサポート200に移送または交換され、オペレーション使用のために可動コンポーネント204に結合される。いくつかの実施形態では、パターニングデバイスハンドリング装置が、タレットタイプのハンドリング装置である。
【0056】
いくつかの実施形態では、デバイスハンドリング装置がパターニングデバイス202をパターニングデバイスサポート200の近くに移動させると、グリッピングデバイス210が、パターニングデバイス202をパターニングデバイスハンドリング装置(不図示)に結合する。パターニングデバイス202は、パターニングデバイスサポート200のクランピングインターフェース206aおよび206bの表面から離れて設けられうる。いくつかの実施形態では、パターニングデバイス202が、グリッピングデバイス210と結合されなくてもよい。例えば、グリッピングデバイス210の真空ユニット212によって生成される真空が、パターニングデバイス202との結合を解くために完全に解放されてもよく、グリッピングデバイス210は、パターニングデバイス202との接触状態から脱するように駆動されうる。
【0057】
パターニングデバイス202は、パターニングデバイスサポート200に選択的および確実に結合されうる。例えば、パターニングデバイス202をパターニングデバイスサポート200の可動コンポーネント204に結合する真空を生成することによって、クランピングインターフェース206aおよび206bが作動され、可動コンポーネント204に対するパターニングデバイス202の移動を実質的に防ぎうる。
【0058】
パターニングデバイスは、放射(例えば、DUV放射および/またはEUV放射)中で昇温および膨張しうると理解されうる。このようなパターニングデバイスの加熱および膨張は、究極的にはオーバーレイエラーをもたらす欠陥をもたらしうる。
図3は、本開示の実施形態に係る、パターニングデバイス温度オフセットの影響を例示する、
図2のパターニングデバイスサポートの透視図である。いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイスサポート300は、パターニングデバイス202、クランピングインターフェース206aおよび206b、および可動コンポーネント204を含みうる。いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイス202が光に曝され(例えば、DUVまたはEUV光312で照明される)、パターニングデバイス202の温度、およびその周りの温度316aおよび316bの上昇がもたらされる。周りの温度の変化は、パターニングデバイス202およびレンズ314がDUVまたはEUV光312によって照明される時の、パターニングデバイス202の露光が原因であると理解されうる。いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイス202の温度の変化が、オーバーレイに影響して精度を低下させうる。これらは、露光されたイメージを歪ませる、パターニングデバイス202を囲む空気の屈折率の局所的な変化を含みうる。また、これらは、非一様な熱プロファイル、歪、およびオーバーレイエラーをもたらす、パターニングデバイス202の物理的な歪を含んでもよい。
【0059】
図4は、本開示の実施形態に係る、パターニングデバイスロードシーケンスおよび温度オフセットの原因を例示する。いくつかの実施形態によれば、
図4は、リソグラフィ装置内のコンポーネントの間のロードシーケンス400を例示する。このようなコンポーネントは、ローディングポート402aおよび402b、移送ロボット404、調節デバイス406、検査装置408、移送タレット410、およびレチクルステージ412を含んでもよい。いくつかの例によれば、リソグラフィ装置および/またはリソグラフィ装置のコントローラは、以下のシーケンスを実行してもよい。以下の搭載/調節シーケンスは一つの非限定的な例に過ぎず、他のシーケンスが実行されてもよいと理解されうる。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、リソグラフィ装置は、ロードポート402aにおけるパターニングデバイスの存在を検出してもよい。一または複数のポッドにおいて、単一のパターニングデバイスまたは複数のパターニングデバイスが検出されてもよい。一例によれば、移送ロボット404は、ロードポート402a/402b(ステップ1および14)、調節デバイス406(ステップ2、3、6、7、12、13)、検査装置408(ステップ4、5)、および移送タレット410(ステップ8、11)との間で、パターニングデバイスを移送するように構成されうる。いくつかの実施形態によれば、移送タレット410は、移送ロボット404の一部でもよい。いくつかの実施形態によれば、ロードシーケンスは次のように進んでもよい。最初のステップとして、パターニングデバイス202が、調節デバイス406に移されうる。これは、パターニングデバイスの最初の状態が未知の場合もあるため、リソグラフィ装置が調節のベースラインを設定することを可能にする。その後、パターニングデバイス202は、パターニング露光の前の検査のために検査装置408に移されうる。パターニングデバイスの温度は、移送および検査による変化の影響を受けうると理解されうる。例えば、移送ロボット404は、移送中のパターニングデバイス温度の上昇をもたらし、同様に、検査装置408は、検査オペレーションのためにパターニングデバイス温度の上昇をもたらしうる。一実施形態によれば、移送ロボット404は、パターニングデバイスを所望の温度に調節する(例えば、パターニングデバイスを冷却する)ために、パターニングデバイス202を調節装置406に戻すように構成されうる。所望の温度は、パターニングデバイスの構成に応じて異なってもよいと理解されうる。いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイスにとっての所望の公称温度は、約22℃でもよい。所望/公称温度は変動し、パターニングデバイス自体(例えば、材料組成等)に関するファクタに依存してもよいと理解されうる。調節オペレーションは、以下の
図5に関して更に記述される。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、移送ロボット404は、調節されたパターニングデバイス(例えば、パターニングデバイス202)を、パターニング露光のためにレチクルステージ412との間で移送するように構成されうる(例えば、ステップ8、9、10、11)。露光後、パターニングデバイス202は、更なる調節のために調節デバイス406に戻されうる。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、調節デバイス406は、パターニングデバイスの調節状態、リソグラフィ装置のロードシーケンス、およびリソグラフィ装置の生産状態に基づいて、調節オペレーションを優先してもよい。いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイスの調節状態は、未調節状態、パッシブ調節状態、アクティブ調節状態、調節済状態および非調節状態を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、パッシブ調節状態は、調節デバイスのパッシブ調節スロットに現在あるパターニングデバイスの状態である。いくつかの実施形態によれば、アクティブ調節状態は、パターニングデバイスが調節デバイスのアクティブ調節スロットにある状態である。いくつかの実施形態によれば、調節済状態は、パターニングデバイスが所望の最適な温度にあると見なされる状態である。いくつかの実施形態によれば、これは、アクティブスロットからパッシブスロットに移っている間、または調節デバイスから搬出されている間のパターニングデバイスの状態でもよい。いくつかの実施形態によれば、非調節状態は、調節済状態および未調節済状態の間のパターニングデバイス温度が上昇している遷移状態でもよい。いくつかの実施形態によれば、ロードシーケンスは、パターニングデバイスがいる場所およびパターニングデバイスが移送されうる場所を示す、
図4において記述されるロードシーケンスを含んでもよい。例えば、ロードシーケンスは、パターニングデバイスが検査オペレーションまたはパターニングオペレーションから移送されていることを反映してもよい。このようなオペレーションは、異なる露光時間を含んでもよく、結果として異なる調節要件を有してもよい。いくつかの実施形態によれば、リソグラフィ装置の生産状態は、オーバーレイ重視状態(例えば、スループットを遅くして調節を優先する)または生産性重視状態(例えば、スループットを速くして生産性を優先する)を含んでもよい。生産状態は、オペレータの好み、レシピに基づく露光のタイプおよび持続時間等に基づいて、異なる優先度が決定される可変状態を含んでもよいと理解されうる。従って、このような生産状態は、追加的なファクタに基づいて優先度が変化してもよい、レシピ依存生産状態と表されてもよい。レシピ依存生産状態は、パターニングデバイスが先に調節されるか、先にスキャニング/パターニングオペレーションで処理されるかの決定を支援できると理解されうる。
【0063】
図5は、本開示の実施形態に係るパターニングデバイス調節状態モデル500を例示する。いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイス調節状態は、未調節状態502、アクティブ調節状態504、パッシブ調節状態506、調節済状態508、および非調節状態510でもよい(が、これらに限られない)。いくつかの実施形態によれば、例えば、パターニングデバイスが最初にリソグラフィ装置で受け取られる時に、パターニングデバイスの最初の状態が未調節状態502として設定されてもよい。いくつかの実施形態によれば、リソグラフィ装置の使用および動作状態に応じて、パターニングデバイスが、調節デバイス406内のパッシブ調節スロットまたは調節デバイス406内のアクティブ調節スロットに移されてもよい。いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイス温度が公称温度内の許容可能な閾値内であると判定された時、またはパターニングデバイスがすぐに使われないと判定された場合、パターニングデバイスが調節デバイス406内のパッシブ調節スロットに移されてもよい(例えば、ステップ2)。いくつかの実施形態によれば、例えば、パターニングデバイスが最初に受け取られた時(例えば、デフォルト測定として)、パターニングデバイスが調節デバイス406内のアクティブ調節スロットに移されてもよい(例えば、ステップ1)。いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイス温度が公称温度内の許容可能な閾値内であると判定されなかった時、またはパターニングデバイスがすぐに使われると判定された場合、パターニングデバイスが調節デバイス406内のアクティブ調節スロットに移されてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、調節デバイス406が、任意および全ての調節状態の下でのパターニングデバイスの調節時間を継続的にトラッキングしてもよい。例えば、アクティブ調節状態は、より強い調節オペレーション(例えば、流体および空気の循環冷却方法を通じて)を提供する。このような強い調節状態は、予め設定された期間後には必要とされない可能性がある。一例では、予め設定された時間が経過した後(例えば、5分未満、10分未満、n分未満の期間が調節デバイス406によってトラッキングされる)、パターニングデバイスがアクティブ調節スロットからパッシブ調節スロットに移されてもよい。パッシブ調節スロットは、一定の公称温度を有する環境を提供することによって、パターニングデバイスの調節/調節済状態を維持するように構成されてもよいと理解されうる。いくつかの実施形態によれば、アクティブ調節時間外イベントが検出された時、またはパッシブ調節時間外イベントが検出された時(例えば、調節デバイス406が、予め設定された時間が調節済状態のために充足されたことを判定する)、パターニングデバイスが、アクティブからパッシブ調節スロットに移される、またはここで記述されるようにパッシブ調節スロットに留まる(例えば、ステップ3および4)。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイスが移送のためにピックアップされた時に、パターニングデバイス状態が調節済状態から非調節状態510に変えられてもよい。パターニングデバイスが他のスロットへの移送のためにピックアップされた場合、パターニングデバイスが当該スロットに置かれると、パターニングデバイスは調節済状態に戻される(例えば、アクティブからパッシブスロットへの移送(ステップ7および8))。いくつかの実施形態によれば、移送オペレーション(ロボット404またはタレット410による)が調節デバイスの外部である場合(例えば、検査またはパターン形成のために)、パターニングデバイスの調節状態は未調節状態502戻される。この非調節状態510および未調節状態502の間の状態の変更は、直ちに行われてもよいし、予め設定された時間に基づいて行われてもよい。例えば、デバイスが予め設定された時間より長く非調節状態510に留まった場合、デバイス調節状態は未調節状態502に変えられる。
【0066】
図6は、本開示の実施形態に係る、熱い入って来るパターニングデバイスに対する感度レベル600を例示する。いくつかの実施形態によれば、感度チャートは、公称温度のパターニングデバイス602、温かいパターニングデバイス604、および熱いパターニングデバイス606を例示する。例示されうるように、パターニングデバイスが公称である時にオーバーレイは最小化され、パターニングデバイスが公称から乖離するとオーバーレイは増加する。いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイスが熱い時にオーバーレイ感度が指数関数的に増加する。図において記述される温度の変化は例示であり、温かいおよび熱いパターニングデバイスを判定する時に、他の温度デルタが設定されてもよいと理解されうる。いくつかの実施形態によれば、感度の指数レベルは、パターニングデバイスの屈折率の変化およびパターニングデバイスの膨張の結果でもよい。このような膨張は、特定の点(例えば、クランピングインターフェース206aおよび206b)でのパターニングデバイスに対する特定の圧力を提供すると理解されうる。いくつかの実施形態によれば、プロット608、610、612、および614は、スキャニング/照明オペレーション中にパターニングデバイスの歪メトリックをトラッキングする異なる熱モデルに基づく、パターニングデバイスについての異なる感度応答を表す。モデルは、パターニングデバイスの温度上昇がオーバーレイエラーを増加させるという重要な点を例示すると理解されうる。いくつかの実施形態によれば、熱膨張およびパターニングデバイスの屈折特性の変化のために、エラーが指数関数的に増加しうる(例えば、614)。
【0067】
図7は、本開示の実施形態に係る、パターニングデバイスの熱調節を提供するための例示的な方法のフローチャートである。いくつかの実施形態によれば、リソグラフィ装置のパターニングデバイスを熱調節するためのパターニングデバイス冷却システムが提供される。この冷却システムは、パターニングデバイスを熱調節する熱調節器(例えば、調節デバイス406)と、調節方法を実行するために熱調節器を制御するコントローラを含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、ステップ702に示されるように、コントローラはパターニングデバイスの温度状態を判定できる。ここで記述されるように、温度状態は、パターニングデバイスの温度でもよい。これは、パターニングデバイス上で実行されるオペレーションのトラッキングに基づいてパターニングデバイスの温度を推定するために、コントローラによって実行されるモデルに基づいて判定されてもよい。加えてまたは代えて、温度は、検出器によって測定されてもよい。いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイス冷却システムのコントローラは、パターニングデバイスの温度状態を示すデータ(例えば、パターニングデバイス搭載温度)を、リソグラフィ装置(例えば、リソグラフィ装置のコントローラ)に対して送るように構成されてもよい。リソグラフィ装置のコントローラは、パターニングデバイス冷却システムのコントローラから受け取った温度状態を示すデータに基づいて、パターニングデバイスの歪を判定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイス冷却システムのコントローラは、パターニングデバイス歪を示すデータを、リソグラフィ装置(例えば、リソグラフィ装置のコントローラ)から受け取るように構成されてもよい。加えておよび/または代えて、パターニングデバイス冷却システムのコントローラは、パターニングデバイスの温度を示すデータを、リソグラフィ装置(例えば、リソグラフィ装置のコントローラ)から受け取るように構成されてもよい。パターニングデバイス冷却システムのコントローラは、リソグラフィ装置から受け取ったパターニングデバイス歪を示すデータおよび/またはパターニングデバイスの温度を示すデータに基づいて、パターニングデバイスの温度状態を判定するように構成されてもよい。検出された歪に基づいてパターニングデバイスの温度が判定されてもよいように、パターニングデバイス歪のレベルは温度上昇のレベルと相関されてもよいと理解されうる。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、ステップ704に示されるように、コントローラはリソグラフィ装置の生産状態を判定してもよい。ここで記述されるように、リソグラフィ装置の生産状態は、オーバーレイ重視状態、生産重視状態、および/またはレシピ依存状態を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、ステップ706に示されるように、判定された温度状態および生産状態に基づいてパターニングデバイスを調節するように、コントローラは調節デバイスを制御してもよい。
【0069】
いくつかの実施形態によれば、温度状態は、パターニングデバイスの検出された温度または予測された温度を含む。ここで更に記述されるように、リソグラフィ装置の生産状態は、パターニングデバイスの露光スループットを最適化する生産優先状態である。あるいは、リソグラフィ装置の生産状態は、パターニングデバイスの調節を優先するオーバーレイ優先状態である。いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイスの調節状態を判定し、温度状態、生産状態、およびパターニングデバイスの調節状態に基づいて、露光のためにパターニングデバイスを熱調節するように、コントローラは熱調節器を制御してもよい。いくつかの実施形態によれば、流体(例えば、冷却のために使用されうる水または任意の他の流体)が、公称温度またはその近くに調節されてもよく、レチクル温度を調節するための使用のために、レチクルハンドラにループ状に流れてもよい。いくつかの実施形態によれば、外部の熱源からエネルギーを吸収するために、流体は調節デバイスの壁を通過してもよい。流体は、一連の熱交換器において、空気を公称温度に調節するために使用されてもよい。いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイスに到達する時の周りの温度を公称温度+/-0.05℃にするために、流体に加えてまたは代えて、空気が、例えば、一連の熱交換器、フィルタ、レギュレータ、バルブ、およびいくつかのバランシングリストリクタを通過してもよい。いくつかの実施形態によれば、アクティブ調節スロットでは、調節された空気の高い流量が、所定の短期間(例えば、10分未満)内で公称温度に調節するために、パターニングデバイスの頂面に対して下方に吹き付ける数百の衝突噴流に形成される。いくつかの実施形態によれば、パッシブ調節スロットでは、公称温度での調節済状態を維持するため、および/または異なる所定の期間において公称温度に調節するために、空気の低い流量がパターニングデバイス上を後方から前方へ通過する(平行流)。異なる所定の期間は、所定の期間より長くてもよい。いくつかの実施形態によれば、冷却オペレーションは、各タイプのスロットにおける持続時間、調節された空気、流体の流量、またはこれらのパラメータの任意の組合せ/変形によって制御されてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、リソグラフィ装置のロードポートでパターニングデバイスが検出された時に、調節状態が判定される。いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイスの調節状態が未調節状態であることに応じて、パターニングデバイスを熱調節器内のアクティブ調節スロットに配置し、パターニングデバイスの調節状態をアクティブ調節状態に変えるように、コントローラが熱調節器を制御できる。アクティブ調節スロットは、空気および水の冷却法に依存してもよいと理解されうる。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、パターニングデバイスが予測された温度に達した時に、パターニングデバイスの調節状態は調節済状態に設定されうる。いくつかの実施形態によれば、予測された温度は、予測モデルに基づいて演算されてもよい。温度判定のために予測モデリングを展開することは、レチクル温度センサ等のリソグラフィ装置/調節装置内のハードウェアコンポーネントの必要性を低減しうる。加えて、パターニングデバイスは、調節状態がアクティブ調節状態から調節済状態に変わった時に、熱調節器内のパッシブ調節スロットに続いて移されてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、コントローラは、パターニングデバイスが所定の期間に亘ってアクティブ調節状態に置かれていることに応じて、パターニングデバイスの調節状態を調節済状態に設定し、調節状態がアクティブ調節状態から調節済状態に変わったことに応じて、パターニングデバイスを熱調節器内のパッシブ調節スロットに移すように、調節デバイスを更に制御してもよい。
【0073】
本テキストにおいて、「レチクル」について具体的な参照がなされたかもしれないが、これはパターニングデバイスの単なる一例に過ぎず、ここで記述される実施形態は、任意のタイプのパターニングデバイスに適用可能であると理解されるべきである。加えて、ここで記述される実施形態は、クランプの失敗が、オブジェクトの落下や、それ自体または他の設備の損傷をもたらさないことを担保するために、任意のオブジェクトに対して安全サポートを提供するために使用されてもよい。
【0074】
実施形態は、以下の項目を使用して更に記述されてもよい。
項目1:
リソグラフィ装置のパターニングデバイスを熱調節するためのパターニングデバイス冷却システムであって、
前記パターニングデバイスを熱調節するように構成される熱調節器と、
前記パターニングデバイスの温度状態を判定し、
前記リソグラフィ装置の生産状態を判定し、
前記温度状態および前記生産状態に基づいて、露光のために前記パターニングデバイスを熱調節する、
前記熱調節器を制御するように構成されるコントローラと、
を備える冷却システム。
項目2:
前記温度状態は、前記パターニングデバイスの検出された温度または予測された温度を含む、項目1に記載の冷却システム。
項目3:
前記リソグラフィ装置の前記生産状態は、前記パターニングデバイスの露光生産性を優先する生産性優先状態である、項目2に記載の冷却システム。
項目4:
前記リソグラフィ装置の前記生産状態は、スループットより前記パターニングデバイスの調節を優先するオーバーレイ優先状態である、項目2に記載の冷却システム。
項目5:
前記コントローラは、
前記パターニングデバイスの調節状態を判定し、
前記温度状態、前記生産状態、および前記パターニングデバイスの前記調節状態に基づいて、露光のために前記パターニングデバイスを熱調節する、
ように前記熱調節器を制御するように更に構成される、
項目1に記載の冷却システム。
項目6:
前記調節状態は、前記パターニングデバイスが前記リソグラフィ装置のロードポートで検出された時に判定される、項目5に記載の冷却システム。
項目7:
前記パターニングデバイスの前記調節状態が調節済状態でないことに応じて、前記コントローラが、前記パターニングデバイスを前記熱調節器内のアクティブ調節スロットに配置し、前記パターニングデバイスの前記調節状態をアクティブ調節状態に変えるように、前記熱調節器を制御するように更に構成される、項目6に記載の冷却システム。
項目8:
前記アクティブ調節スロットは、空気および流体の循環の少なくとも一つを含む、項目7に記載の冷却システム。
項目9:
前記コントローラは、
前記パターニングデバイスが所定の期間に亘って前記アクティブ調節状態に置かれたことに応じて、前記パターニングデバイスの前記調節状態を調節済状態に設定し、
前記調節状態が前記アクティブ調節状態から前記調節済状態に変わったことに応じて、前記パターニングデバイスを前記熱調節器内のパッシブ調節スロットに移す、
ように前記熱調節器を制御するように更に構成される、
項目7に記載の冷却システム。
項目10:
前記リソグラフィ装置の前記生産状態は、前記パターニングデバイスの露光生産性を優先する生産性優先状態と、前記パターニングデバイスの調節を優先するオーバーレイ優先状態の間で、前記リソグラフィ装置の優先状態を変えるレシピ依存状態である、項目1に記載の冷却システム。
項目11:
前記コントローラは、
前記温度状態を示すデータを前記リソグラフィ装置に対して送り、
パターニングデバイス歪を示すデータを前記リソグラフィ装置から受け取る、
ように更に構成され、
前記コントローラは、前記パターニングデバイス歪を示すデータに基づいて、前記温度状態を判定するように構成される、
項目1に記載の冷却システム。
項目12:
前記コントローラは、
前記温度状態を示すデータを前記リソグラフィ装置に対して送り、
前記パターニングデバイスの温度を示すデータを前記リソグラフィ装置から受け取る、
ように更に構成され、
前記コントローラは、前記パターニングデバイスの温度を示すデータに基づいて、前記温度状態を判定するように構成される、
項目1に記載の冷却システム。
項目13:
リソグラフィ装置のパターニングデバイスを熱調節するための方法であって、
前記パターニングデバイスの温度状態を判定することと、
前記リソグラフィ装置の生産状態を判定することと、
調節デバイスによって、前記温度状態および前記生産状態に基づいて、露光のために前記パターニングデバイスを熱調節することと、
を備える方法。
項目14:
前記温度状態を判定することは、前記パターニングデバイスの温度を検出または予測すること、を備える項目13に記載の方法。
項目15:
前記リソグラフィ装置の前記生産状態が生産優先状態であることに応じて、前記パターニングデバイスの露光スループットを最適化すること、を更に備える項目14に記載の方法。
項目16:
前記リソグラフィ装置の前記生産状態がオーバーレイ優先状態であることに応じて、前記パターニングデバイスの調節を優先すること、を更に備える項目14に記載の方法。
項目17:
前記パターニングデバイスの調節状態を判定することと、
前記温度状態、前記生産状態、および前記パターニングデバイスの前記調節状態に基づいて、露光のために前記パターニングデバイスを熱調節することと、
を更に備える項目13に記載の方法。
項目18:
前記パターニングデバイスが前記リソグラフィ装置のロードポートで検出された時に前記調節状態を判定すること、を更に備える項目17に記載の方法。
項目19:
前記パターニングデバイスの前記調節状態が調節済状態でないことに応じて、前記パターニングデバイスを熱調節器内のアクティブ調節スロットに配置し、前記パターニングデバイスの前記調節状態をアクティブ調節状態に変えること、を更に備える項目18に記載の方法。
項目20:
空気および流体の循環の少なくとも一つによって、前記パターニングデバイスを熱調節すること、を更に備える項目18に記載の方法。
項目21:
前記パターニングデバイスが所定の期間に亘って前記アクティブ調節状態に置かれたことに応じて、前記パターニングデバイスの前記調節状態を調節済状態に設定することと、
前記調節状態が前記アクティブ調節状態から前記調節済状態に変わったことに応じて、前記パターニングデバイスを前記熱調節器内のパッシブ調節スロットに移すことと、
を更に備える項目20に記載の方法。
項目22:
前記パターニングデバイスが予測された温度に達したことに応じて、前記パターニングデバイスの前記調節状態を調節済状態に設定することと、
前記調節状態が前記アクティブ調節状態から前記調節済状態に変わったことに応じて、前記パターニングデバイスを前記熱調節器内のパッシブ調節スロットに移すことと、
を更に備える項目20に記載の方法。
項目23:
前記リソグラフィ装置の前記生産状態がレシピ依存状態であることに応じて、前記リソグラフィ装置の前記生産状態を、前記パターニングデバイスの露光スループットを優先する生産優先状態と、前記パターニングデバイスの調節を優先するオーバーレイ優先状態の間で変えること、を更に備える項目13に記載の方法。
【0075】
本テキストにおいて、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な参照がなされたかもしれないが、ここで記述されるリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁気ドメインメモリのためのガイダンスおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCD、薄膜磁気ヘッド等の製造等の、他の用途を有してもよいと理解されるべきである。このような代替的な用途の文脈において、「ウェーハ」または「ダイ」の用語のここでの使用は、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」の用語と同義と解釈されてもよいと当業者は理解する。ここで参照される基板は、露光の前または後において、例えば、トラックユニット(典型的に、基板に対してレジストの層を適用し、露光されたレジストを現像するツール)、計測ユニットおよび/または検査ユニットにおいて処理されてもよい。適用可能な場合、ここでの開示は、このような他の基板処理ツールに適用されてもよい。更に、例えば、複数層のICを生成するために、基板は複数回に亘って処理されてもよく、ここで使用される「基板」の用語は、複数の処理された層を既に含む基板を表してもよい。
【0076】
光学リソグラフィの文脈における開示の実施形態の使用について以上で具体的な参照がなされたかもしれないが、開示は、インプリントリソグラフィ等の他の用途において使用されてもよく、文脈が許す限り、光学リソグラフィに限定されないと理解される。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスにおけるトポグラフィが、基板上に生成されるパターンを定める。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に対して供給されたレジストの層内にプレスされてもよく、その上で電磁放射、熱、圧力またはこれらの組合せを適用することによってレジストが硬化される。レジストが硬化された後にパターニングデバイスがレジスト外に動かされると、当該レジスト内にパターンが残る。
【0077】
ここでの表現または用語は、非限定的な記述を目的としており、本開示の用語または表現は、ここでの教示の下で当業者によって解釈されるものであると理解される。
【0078】
ここで使用される用語「基板」は、材料層が上に加えられる材料を記述する。いくつかの実施形態では、基板自体がパターン形成され、その上に加えられる材料もパターン形成されてもよいし、またはパターン形成されないままでもよい。
【0079】
ICの製造における開示に係る装置および/またはシステムの使用について、本テキストにおいて具体的な参照がなされたかもしれないが、このような装置および/またはシステムは、多くの他の可能な用途を有すると明示的に理解されるべきである。例えば、集積光学システム、磁気ドメインメモリのためのガイダンスおよび検出パターン、LCDパネル、薄膜磁気ヘッド等の製造において、開示に係る装置および/またはシステムが利用されうる。このような代替的な用途の文脈において、用語「レチクル」「ウェーハ」または「ダイ」の本テキストにおける使用は、それぞれより一般的な用語「マスク」「基板」および「ターゲット部分」によって置換可能と解釈されるべきであると当業者は理解する。
【0080】
開示の具体的な実施形態が前述されたが、開示は、記述されたものと異なる態様で実施されうると理解される。記述は開示を限定する趣旨ではない。
【0081】
「発明の概要」および「要約書」ではなく、「発明を実施するための形態」が「特許請求の範囲」を解釈するために使用されることが意図されていると理解される。「発明の概要」および「要約書」は、発明者が想到した一または複数の本開示の実施例を記述するが、その全てを明示するものではないため、本開示および付随する「特許請求の範囲」を、いかなる方法でも限定する趣旨ではない。
【0082】
特定の機能およびそれらの関係の実装を例示する機能構成ブロックによって、本開示が前述された。これらの機能構成ブロックの境界は、記述の便宜のために、ここで任意に定められている。特定の機能およびそれらの関係が適切に実現される限り、他の境界が定められうる。
【0083】
具体的な実施形態の以上の記述は、他者が、当技術分野内の知識を適用することによって、過度な実験や本開示の一般的な概念からの逸脱を伴わずに、このような具体的な実施形態を様々な用途に合わせて容易に改変できる、および/または、適合させられるように、開示の一般的な性質を完全に明らかにする。従って、このような適合および改変は、ここで提示される教示および示唆に基づいて、開示された実施形態の均等物の意味および範囲内にあることが意図されている。
【0084】
本開示の幅および範囲は、前述された例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきでなく、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物のみによって定められるべきである。
【国際調査報告】