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特表2024-531044フォトニック結晶又は高非線形ファイバにおける広帯域放射発生の改良
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】フォトニック結晶又は高非線形ファイバにおける広帯域放射発生の改良
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/365 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
G02F1/365
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579674
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2022072178
(87)【国際公開番号】W WO2023025578
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/236,954
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21201043.3
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(71)【出願人】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アイガオンカー,マヘシュ,ウペンドラ
(72)【発明者】
【氏名】アブドルヴァンド,アミール
(72)【発明者】
【氏名】ポンジャーズ,ウィレム,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】バセルマンズ,ヨハネス,ヤコブス,マシューズ
(72)【発明者】
【氏名】ニー,ヨンフェン
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA05
2K102BA20
2K102BB03
2K102BC01
2K102DA06
2K102DD00
2K102EA25
2K102EB02
2K102EB06
2K102EB12
2K102EB20
(57)【要約】
スペクトル広がりにより広帯域放射を発生させるための放射源アセンブリ及び方法。放射源アセンブリは、広帯域入力放射を提供するように構成されたポンプアセンブリを備える。ポンプアセンブリは、ポンプ波長で第1の放射を提供するように構成されたポンプ源と、連続波長範囲を含む第2の放射を提供するように構成された広帯域アセンブリと、を備え、第1の放射及び第2の放射は、広帯域入力放射を形成する。放射源アセンブリは、広帯域入力放射を受け取るように構成された光ファイバをさらに備える。光ファイバは、スペクトル広がりによって、ファイバによって出力される広帯域放射を発生させるために、ファイバの長さの少なくとも一部に沿って、ファイバを伝播する間に受け取った広帯域入力放射をガイドするように構成されたコアを備える。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトル広がりにより広帯域放射を発生させるための放射源アセンブリであって、前記放射源アセンブリが、
広帯域入力放射を提供するポンプアセンブリであって、前記ポンプアセンブリが、
ポンプ波長で第1の放射を提供するポンプ源と、
連続波長範囲を含む第2の放射を提供する広帯域アセンブリと、
を備え、
前記第1の放射及び前記第2の放射が前記広帯域入力放射を形成する、ポンプアセンブリと、
前記広帯域入力放射を受け取る光ファイバであって、スペクトル広がりにより、前記ファイバによって出力される広帯域放射を発生させるために、前記ファイバの前記長さの少なくとも一部に沿って、前記ファイバを伝播する間に前記受け取った広帯域入力放射をガイドするコアを備える、光ファイバと、
を備える、放射源アセンブリ。
【請求項2】
前記広帯域アセンブリが、前記放射源アセンブリの前記出力放射の一部をフィードバックして前記第2の放射を提供する光フィードバックループを備える、請求項1に記載の放射源アセンブリ。
【請求項3】
前記広帯域アセンブリが、前記第2の放射の偏光の少なくとも一部が前記第1の放射の偏光と合致するように、前記第2の放射の前記偏光を設定する偏光フィルタを備える、請求項1又は2に記載の放射源アセンブリ。
【請求項4】
前記光フィードバックループが、前記ファイバによって出力される前記広帯域放射の前記波長範囲の部分範囲を選択するフィルタを備える、請求項2に記載の放射源アセンブリ。
【請求項5】
前記入力放射及び前記広帯域放射がパルス放射であり、前記光フィードバックループが、出力放射パルスの前記一部が前記ファイバコア内の前記第1の放射パルスの少なくとも一部と空間的及び時間的にオーバーラップする、請求項2に記載の放射源アセンブリ。
【請求項6】
前記光ファイバが中空コアファイバである、請求項1~5の何れか一項に記載の放射源アセンブリ。
【請求項7】
前記光ファイバがフォトニック結晶ファイバである、請求項1~6の何れか一項に記載の放射源アセンブリ。
【請求項8】
前記フォトニック結晶ファイバが、前記光ファイバの前記中空コアを取り囲む単一のリング状のマイクロ構造を含む、請求項6に従属する場合の請求項7に記載の放射源アセンブリ。
【請求項9】
前記単一リング構造が、前記中空コアを取り囲む複数のキャピラリを含む、請求項8に記載の放射源アセンブリ。
【請求項10】
前記中空コアが、20μm~50μmの範囲内の直径を有するか、又は30μmの直径を有する、請求項6に記載の放射源アセンブリ。
【請求項11】
前記広帯域放射がスーパーコンティニウム放射を含む、請求項1~10の何れか一項に記載の放射源アセンブリ。
【請求項12】
前記ファイバの前記コアが、スペクトル広がりを促すための非線形媒体流体を含む、請求項6に記載の放射源アセンブリ。
【請求項13】
前記ファイバの前記長さが5cm~40cmの範囲内であること、
前記第1の放射が、1μJ~10μJ、又は2.5μJ~4.0μJの範囲内のパルスエネルギーを有すること、前記第2の、及び
放射が、前記第1の放射放射の前記強度の1%、2%、5%、10%、又は15%を超えない強度を有すること、
のうちの少なくとも1つである、請求項1~12の何れか一項に記載の放射源アセンブリ。
【請求項14】
スペクトル広がりにより広帯域放射を発生させる方法であって、前記方法が、
ポンプアセンブリによって、広帯域入力放射を提供することであって、広帯域入力放射を提供することが、
ポンプ源によって、ポンプ波長の第1の放射を提供することと、
広帯域アセンブリによって、連続波長範囲を含む第2の放射を提供することと、
を含み、
前記第1の放射及び前記第2の放射が前記広帯域入力放射を形成する、提供することと、
光ファイバにおいて、前記広帯域入力放射を受け取ることと、
前記ファイバの前記長さの少なくとも一部に沿った前記ファイバのコアにおいて、前記ファイバを伝播する間に、前記受け取った広帯域入力放射をガイドすることによって、スペクトル広がりにより広帯域放射を発生させることと、
前記発生した広帯域放射を前記ファイバの出力として提供することと、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項1~13の何れか一項に記載の放射源アセンブリを備える基板上の構造の関心対象の特性を決定するためのメトロロジツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年8月25日に出願された米国特許出願第63/236,954号及び2021年10月5日に出願された欧州特許出願第21201043.3号の優先権を主張するものであり、これらの出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、スペクトル広がりにより広帯域放射を発生させるための放射源アセンブリ及び方法に関する。具体的には、これらのアセンブリ、システム、及び方法は、広帯域出力放射を発生させるために、連続波長範囲を含むポンプ放射及び広帯域入力放射(両者はファイバに沿って伝播する)を使用する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に施すように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)にあるパターン(「デザインレイアウト」又は「デザイン」と呼ばれることも多い)を、基板(例えば、ウェーハ)上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層に投影し得る。
【0004】
[0004] リソグラフィ装置は、基板にパターンを投影するために電磁放射を使用し得る。この放射の波長により、基板上に形成できるフィーチャの最小サイズが決まる。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm及び13.5nmである。波長が4~20nmの範囲、例えば6.7nm又は13.5nmである極端紫外線(EUV)の放射を使用するリソグラフィ装置であれば、例えば、波長が193nmである放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成することが可能である。
【0005】
[0005] リソグラフィ装置の古典的な解像限界より小さい寸法を有するフィーチャをプロセスするために、低kリソグラフィが用いられ得る。そのようなプロセスでは、解像度の式は、CD=k×λ/NAで表され得、ここで、λは、使用される放射線の波長であり、NAは、リソグラフィ装置の投影光学系の開口数であり、CDは、「クリティカルディメンジョン」であり(一般には印刷される最小フィーチャサイズであるが、この場合にはハーフピッチ)、kは、経験的な解像度ファクタである。一般に、kが小さいほど、特定の電気的な機能性及び性能を達成するために回路設計者が計画した形状及び寸法に似せたパターンを基板上に複写することが困難になる。このような困難を克服するために、高度な微調整ステップがリソグラフィ投影装置及び/又はデザインレイアウトに適用され得る。そのようなステップとして、例えば、NAの最適化、照明方式のカスタマイズ、位相シフトパターニング装置の使用、デザインレイアウトの様々な最適化、例えば、デザインレイアウトにおける光近接効果補正(OPC(「光学及びプロセス補正」と呼ばれることもある))又は他の一般的に「解像度向上技術」(RET)と定義される方法があるが、これらに限定されない。代わりに、低kでのパターン複写を改善するために、リソグラフィ装置の安定性を管理する厳格管理ループが用いられ得る。
【0006】
[0006] リソグラフィは、時にリソグラフィでパターン形成された構造と呼ばれる基板上の構造を作成するために使用され得る。これらの構造は、製造プロセス中及び/又は製造プロセス後の幾つかの段階で測定及び/又は検査されることがある。測定は、電磁放射などの放射を用いて行われ得る。測定は、広帯域放射を用いて行われ得る。これらは、メトロロジ装置内に含まれ得るか、又はメトロロジ装置に接続され得る放射源によって提供され得る。
【0007】
[0007] 一部の広帯域放射源は、非線形光学効果を用いて入力放射のスペクトル広がりにより広帯域放射を発生させる。ポンプ放射とも呼ばれることがある入力放射は、非線形効果を促すために高いピーク電力を有し得る。この高電力は、スペクトル広がりが生じるシステム内の材料の加熱及びイオン化を引き起こすという欠点を有し得る。これは、損傷を引き起こし、放射源の寿命を縮める可能性がある。本明細書では、高ピーク電力放射に関連する課題の幾つかに対処する、広帯域放射を発生させるためのアセンブリ及び方法を説明する。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本開示の一態様によれば、スペクトル広がりにより広帯域放射を発生させるための放射源アセンブリが提供される。放射源アセンブリは、広帯域入力放射を提供するように構成されたポンプアセンブリを備える。ポンプアセンブリは、ポンプ波長で第1の放射を提供するように構成されたポンプ源と、連続波長範囲を含む第2の放射を提供するように構成された広帯域アセンブリと、を備える。第1の放射及び第2の放射は、広帯域入力放射を形成する。放射源アセンブリは、広帯域入力放射を受け取るように構成された光ファイバをさらに備える。ファイバは、スペクトル広がりにより、ファイバによって出力される広帯域放射を発生させるために、ファイバの長さの少なくとも一部に沿って、ファイバを伝播する間に受け取った広帯域入力放射をガイドするように構成されたコアを備える。光ファイバは、非線形ファイバであり得る。
【0009】
[0009] 任意選択的に、広帯域アセンブリは、放射源アセンブリの出力放射の一部をフィードバックして第2の放射を提供するように構成された光フィードバックループを備え得る。
【0010】
[00010] 任意選択的に、広帯域アセンブリは、第2の放射の偏光の少なくとも一部が第1の放射の偏光と合致するように、第2の放射の偏光を設定するように構成された偏光フィルタを備え得る。
【0011】
[00011] 任意選択的に、光フィードバックループは、ファイバによって出力される広帯域放射の波長範囲の部分範囲を選択するように構成されたフィルタを備え得る。
【0012】
[00012] 任意選択的に、入力放射及び広帯域放射は、パルス放射であり得る。光フィードバックループは、出力放射パルスの一部がファイバコア内の第1の放射パルスの少なくとも一部と空間的及び時間的にオーバーラップするように構成され得る。
【0013】
[00013] 任意選択的に、光ファイバは、中空コアファイバであり得る。
【0014】
[00014] 任意選択的に、光ファイバは、フォトニック結晶ファイバであり得る。
【0015】
[00015] 任意選択的に、フォトニック結晶ファイバは、光ファイバの中空コアを取り囲む単一のリング状のマイクロ構造を含み得る。
【0016】
[00016] 任意選択的に、単一リング構造は、中空コアを取り囲む複数のキャピラリを含み得る。
【0017】
[00017] 任意選択的に、中空コアは、20μm~50μmの範囲内の直径、例えば30μmの直径を有し得る。
【0018】
[00018] 任意選択的に、広帯域放射は、スーパーコンティニウム放射を含み得る。
【0019】
[00019] 任意選択的に、広帯域放射は、400nm~2200nmの範囲内の波長を有する放射を含み得る。
【0020】
[00020] 任意選択的に、ファイバのコアは、スペクトル広がりを促すための非線形媒体流体を含むように構成され得る。
【0021】
[00021] 任意選択的に、放射源アセンブリは、非線形媒体流体を収容するためのリザーバをさらに備え得る。リザーバ及び光ファイバは、非線形媒体流体を光ファイバの中空コアに提供するように構成され得る。
【0022】
[00022] 任意選択的に、流体は、希ガスを含むガス混合物を含み得る。
【0023】
[00023] 任意選択的に、流体は、分子ガスを含むガス混合物を含み得る。
【0024】
[00024] 任意選択的に、ファイバの長さは、5cm~40cmの範囲内であり得る。
【0025】
[00025] 任意選択的に、第1の放射は、1μJ~10μJ、又は2.5μJ~4.0μJの範囲内のパルスエネルギーを有し得る。
【0026】
[00026] 任意選択的に、第2の放射は、第1の放射放射の強度の1%、2%、5%、10%、又は15%を超えない強度を有し得る。
【0027】
[00027] 本開示の別の態様によれば、スペクトル広がりにより広帯域放射を発生させる方法が提供される。本方法は、ポンプアセンブリによって、広帯域入力放射を提供することを含む。広帯域入力放射を提供することは、ポンプ源によって、ポンプ波長の第1の放射を提供することと、広帯域アセンブリによって、連続波長範囲を含む第2の放射を提供することと、を含む。第1の放射及び第2の放射は、広帯域入力放射を形成する。本方法は、(非線形ファイバであり得る)光ファイバにおいて、広帯域入力放射を受け取ることをさらに含む。本方法は、ファイバの長さの少なくとも一部に沿ったファイバのコアにおいて、ファイバを伝播する間に、受け取った広帯域入力放射をガイドすることによって、スペクトル広がりにより広帯域放射を発生させることと、発生した広帯域放射をファイバの出力として提供することと、をさらに含む。本方法は、上記の放射源アセンブリとの関連で記載したフィーチャの何れかをさらに備えてもよく、及び/又はそれを含んでいてもよい。
【0028】
[00028] 本開示の別の態様によれば、上記のような放射源アセンブリを備えた基板上の構造の関心対象の特性を決定するためのメトロロジツールが提供される。
【0029】
[00029] 本開示の別の態様によれば、上記のような放射源アセンブリを備えた基板上の構造を検査するための検査ツールが提供される。
【0030】
[00030] 本開示の別の態様によれば、上記のような放射源アセンブリを備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0031】
[00031] 本開示の別の態様によれば、上記のような装置又はツールを備えたリソセルが提供される。
【0032】
[00032] 以下では、添付の概略図面を参照して、本発明の実施形態をあくまで例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】リソグラフィ装置の概略的概要を示す。
図2】リソグラフィセルの概略的概要を示す。
図3】ホリスティックリソグラフィの概略図を示し、半導体製造を最適化するための重要な3つの技術間の協調を表す。
図4】スキャトロメータの概略図を示す。
図5】レベルセンサの概略図を示す。
図6】アライメントセンサの概略図を示す。
図7】スペクトル広がりによって出力広帯域放射を発生させるための放射源アセンブリの概略図を示す。
図8a】エネルギースペクトル密度を波長及びファイバに沿った伝播距離の関数として表した例示的グラフを示す。
図8b】エネルギースペクトル密度を波長及びファイバに沿った伝播距離の関数として表した例示的グラフを示す。
図9】スペクトル広がりにより、広帯域出力放射を発生させるための放射源アセンブリの概略図を示す。
図10a】ある広帯域入力放射範囲に関する、波長及びファイバに沿った伝播距離の関数としての、エネルギースペクトル密度の例示的グラフを示す。
図10b】異なる広帯域入力放射範囲に関する、波長及びファイバに沿った伝播距離の関数としての、エネルギースペクトル密度の例示的グラフを示す。
図11a】あるフィードバック強度の割合に関する、広帯域放射アセンブリの広帯域出力放射のパワースペクトル密度値を示すグラフを示す。
図11b】異なるフィードバック強度の割合に関する、広帯域放射アセンブリの広帯域出力放射のパワースペクトル密度値を示すグラフを示す。
図12a】入力放射のあるピークパルス強度に関する、広帯域出力放射のパワースペクトル密度値を示すグラフを示す。
図12b】入力放射の異なるピークパルス強度に関する、広帯域出力放射のパワースペクトル密度値を示すグラフを示す。
図13】実施形態による、放射源の一部を形成し得る中空コア光ファイバの横断面(すなわち、光ファイバの軸に垂直な)における概略断面図である。
図14】実施形態による、広帯域出力放射を提供するための放射源の概略表現を示す。
図15a】スーパーコンティニウム発生のための中空コアフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)設計の例の横断面を概略的に示す。
図15b】スーパーコンティニウム発生のための中空コアフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)設計の例の横断面を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[00033] 本文書では、「放射」及び「ビーム」という用語は、あらゆるタイプの電磁放射を包含するように使用され、そのような電磁放射には、紫外線(例えば、365、248、193、157又は126nmの波長を有する)及びEUV(例えば、約5~100nmの範囲の波長を有する極端紫外線)が含まれる。
【0035】
[00034] 本明細書で使用される「レチクル」、「マスク」又は「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分に作成されるべきパターンに対応するパターン化された断面を、入射する放射ビームに提供するために使用可能な一般的なパターニングデバイスを意味するものとして広義に解釈され得る。これに関連して「ライトバルブ」という用語も使用される場合がある。古典的なマスク(透過型又は反射型のマスク、バイナリマスク、位相シフトマスク、ハイブリッドマスク等)に加えて、他のそのようなパターニングデバイスの例として、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイがある。
【0036】
[00035] 図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えば、UV放射、DUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された(イルミネータとも呼ばれる)照明システムILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築されて、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたマスク支持部(例えば、マスクテーブル)Tと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築されて、特定のパラメータに従って基板支持部を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板支持部(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば、1つ以上のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを含む。
【0037】
[00036] 稼働中、照明システムILは、放射源SOから(例えば、ビーム送達システムBDを介して)放射ビームを受ける。照明システムILは、放射の誘導、整形及び/又は制御のために様々なタイプの光学コンポーネントを含み得、例えば屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型及び/又は他のタイプの光学コンポーネント又はこれらの任意の組合せを含み得る。イルミネータILは、放射ビームBがパターニングデバイスMAの面において所望の空間強度分布及び角度強度分布をその断面に有するように、放射ビームBを調節するために使用され得る。
【0038】
[00037] 本明細書で使用される「投影システム」PSという用語は、様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈されたい。そのようなシステムには、使用されている露光放射の必要に応じて及び/又は他の要因(例えば、液浸液の使用又は真空の使用)の必要に応じて、屈折型、反射型、反射屈折型、アナモルフィック型、磁気型、電磁型及び/又は静電光学型のシステム又はこれらの任意の組合せが含まれ得る。本明細書で「投影レンズ」という用語が使用されている場合、それらは、すべてより一般的な用語である「投影システム」PSと同義であると見なされ得る。
【0039】
[00038] リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wとの間の空間を埋めるように、基板の少なくとも一部分が、屈折率が比較的高い液体(例えば、水)で覆われ得るタイプであり得、これは、液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技術の詳細については、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6952253号に示されている。
【0040】
[00039] リソグラフィ装置LAは、基板支持部WTが2つ以上あるタイプ(「デュアルステージ」とも呼ばれる)であり得る。そのような「複数ステージ」マシンでは、それらの基板支持部WTは並行して使用されてよく、及び/又は、それらの基板支持部WTの一方に載っている基板Wが、その基板Wにパターンを露光することに使用されている間に、他方の基板支持部WTに載っている別の基板Wに対して、その別の基板Wのその後の露光の準備の手順が実施され得る。
【0041】
[00040] 基板支持部WTに加えて、リソグラフィ装置LAは測定ステージを含み得る。測定ステージは、センサ及び/又はクリーニング装置を保持するように構成されている。センサは、投影システムPSの特性、又は放射ビームBの特性を測定するように構成され得る。測定ステージは複数のセンサを保持し得る。クリーニング装置は、リソグラフィ装置の一部、例えば、投影システムPSの一部、又は液浸液を供給するシステムの一部をクリーニングするように構成され得る。測定ステージは、基板支持部WTが投影システムPSから離れている時に、投影システムPSの下を動き得る。
【0042】
[00041] 稼働中は、放射ビームBが、パターニングデバイス(例えば、マスク支持物T上に保持されたマスクMA)に入射し、パターニングデバイスMA上にあるパターン(設計レイアウト)によってパターニングされる。放射ビームBは、マスクMAを横断した後、投影システムPSを通り抜け、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上にフォーカスさせる。第2のポジショナPW及び位置測定システムIFの支援により、基板支持部WTは正確に動くことが可能であり、例えば、様々なターゲット部分Cが、放射ビームBの経路中のフォーカス及びアライメントされる位置に位置決めされるように正確に動くことが可能である。同様に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めするために、第1のポジショナPMと、場合によっては別の位置センサ(これは図1に明示されていない)とが使用され得る。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2、及び基板アライメントマークP1、P2を使用してアライメントされ得る。基板アライメントマークP1、P2は、図示されたように専用ターゲット部分を占有するが、ターゲット部分間の空間に配置され得る。基板アライメントマークP1、P2は、ターゲット部分C間に配置される場合には、スクライブラインアライメントマークと呼ばれる。
【0043】
[00042] 図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、リソグラフィセルLC(リソセル又は(リソ)クラスタと呼ばれることもある)の一部をなし得、リソグラフィセルLCは、基板Wに対して露光前プロセス及び露光後プロセスを実施するための装置も含むことが多い。従来、そのような装置として、レジスト層を堆積させるスピンコータSC、露光したレジストを現像するデベロッパDE、冷却プレートCH及びベークプレートBK(これらは、例えば、基板Wの温度を調節するものであり、それは、例えば、レジスト層中の溶剤を調節するために行われる)がある。基板ハンドラ(即ちロボット)ROが基板Wを入出力ポートI/O1、I/O2からピックアップし、それらの基板Wを様々なプロセス装置間で動かし、それらの基板Wをリソグラフィ装置LAのローディングベイLBまで送達する。リソセル内のデバイスは、まとめてトラックと呼ばれることも多く、典型的にはトラック制御ユニットTCUの管理下にあり、トラック制御ユニットTCU自体は、監視制御システムSCSによって制御され得、監視制御システムSCSは、リソグラフィ装置LAも(例えば、リソグラフィ制御ユニットLACUを介して)制御し得る。
【0044】
[00043] リソグラフィ装置LAによって露光される基板Wが正確且つ確実に露光されるために、基板を検査して、パターン形成された構造の特性、例えば連続する層間のオーバーレイエラー、線の太さ、クリティカルディメンジョン(CD)等を測定することが望ましい。そのため、検査ツール(図示せず)がリソセルLCに含まれ得る。エラーが検出された場合、例えば、連続する基板の露光又は基板Wに対して実施されるべき他のプロセスステップに対する調節が行われ得、これは、特に同じバッチ又はロットの他の基板Wが引き続き露光又はプロセスされる前に検査が行われる場合に行われ得る。
【0045】
[00044] メトロロジ装置と呼ばれることもある検査装置は、基板Wの特性を測定するために使用され、特に異なる基板Wの特性がどのようにばらつくか、又は同じ基板Wの異なる層に関連付けられた特性が層ごとにどのようにばらつくかを測定するために使用される。検査装置は、代わりに、基板W上の欠陥を識別するように構築され得、例えばリソセルLCの一部分であり得るか、又はリソグラフィ装置LAに組み込まれ得るか、又はスタンドアロン装置であり得る。検査装置は、潜像(露光後のレジスト層内の像)に関する特性、又は半潜像(露光後ベーク工程PEB後のレジスト層内の像)に関する特性、又は現像されたレジスト像(レジストの露光部分又は非露光部分が除去されている)に関する特性、又はさらに(エッチング等のパターン転写工程後の)エッチングされた像に関する特性を測定し得る。
【0046】
[00045] 典型的には、リソグラフィ装置LAにおけるパターニングプロセスは、基板W上の構造の寸法決定及び配置に高い精度を必要とする、処理の中で最もクリティカルなステップの1つである。この高い精度を確保するために、図3に概略的に示されるように、3つのシステムをいわゆる「ホリスティック」管理環境として組み合わせ得る。これらのシステムの1つは、リソグラフィ装置LAであり、これは、メトロロジツールMT(第2のシステム)及びコンピュータシステムCL(第3のシステム)と(仮想的に)接続される。そのような「ホリスティック」環境の鍵は、これらの3つのシステム間の協調を最適化して、プロセスウィンドウ全体を強化し、厳格管理ループを実現することにより、リソグラフィ装置LAによって実施されるパターニングがプロセスウィンドウ内にとどまるようにすることである。プロセスウィンドウは、プロセスパラメータ(例えば、ドーズ、フォーカス、オーバーレイ)の範囲を規定し、この範囲内で特定の製造プロセスが規定の結果(例えば、機能する半導体デバイス)を産出し、典型的には、この範囲内でリソグラフィプロセス又はパターニングプロセスのプロセスパラメータが変動し得る。
【0047】
[00046] コンピュータシステムCLは、パターニングされるデザインレイアウト(の一部)を使用することにより、何れの解像度向上技術を使用すべきかを予測することが可能であり、且つ計算機リソグラフィのシミュレーション及び計算を実施して、パターニングプロセスのプロセスウィンドウ全体の最大化を達成するマスクレイアウト及びリソグラフィ装置設定を決定することが可能である(図3において第1のスケールSC1の両方向矢印で示されている)。典型的には、解像度向上技術は、リソグラフィ装置LAのパターニング可能性に適合するように用意される。コンピュータシステムCLは、プロセスウィンドウ内の何れの箇所でリソグラフィ装置LAが現在動作しているかを(例えば、メトロロジツールMTからの入力を使用して)検出することにより、(例えば、準最適な処理のために)欠陥が存在する可能性があるかどうかを予測することがさらに可能である(図3において第2のスケールSC2の「0」を指す矢印で示されている)。
【0048】
[00047] メトロロジツールMTは、正確なシミュレーション及び予測を可能にする入力をコンピュータシステムCLに与えることが可能であり、(例えば、リソグラフィ装置LAの較正ステータスにおいて)起こり得るドリフトを識別するフィードバックをリソグラフィ装置LAに与えることが可能である(図3において第3のスケールSC3の複数の矢印で示されている)。
【0049】
[00048] リソグラフィプロセスでは、作成された構造を(例えば、プロセスの管理及び検証のために)頻繁に測定することが望ましい。そのような測定を行うツールは、一般にメトロロジツールMTと呼ばれる。そのような測定を行うメトロロジツールMTとして様々なタイプが知られており、例えば走査電子顕微鏡又は様々な形式のスキャトロメータメトロロジツールMTがある。スキャトロメータは、リソグラフィプロセスのパラメータの測定を可能にする多目的計器であり、測定は、スキャトロメータの対物レンズの瞳若しくは瞳に対する共役面にセンサを有すること(通常、瞳ベースの測定と呼ばれる測定)により、又は像面若しくは像面に対する共役面にセンサを有すること(この場合、通常、像ベース若しくはフィールドベースの測定と呼ばれる測定)により行われる。そのようなスキャトロメータ及び関連する測定技術については、参照によって全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20100328655号、同第2011102753A1号、同第20120044470A号、同第20110249244号、同第20110026032号又は欧州特許出願公開第1,628,164A号に詳述されている。上述のスキャトロメータは、軟X線及び可視波長~近赤外波長の範囲の光を使用して格子を測定することが可能である。
【0050】
[00049] 第1の実施形態では、スキャトロメータMTは、角度分解スキャトロメータである。そのようなスキャトロメータでは、格子の特性を再構築又は計算する再構築方法が測定信号に適用され得る。そのような再構築は、例えば、散乱する放射線とターゲット構造の数学モデルとの相互作用をシミュレーションし、シミュレーション結果を測定結果と比較することの結果であり得る。数学モデルのパラメータは、相互作用のシミュレーションにより、実際のターゲットから観察された回折パターンと同様の回折パターンが生成されるまで調節される。
【0051】
[00050] 第2の実施形態では、スキャトロメータMTは、分光スキャトロメータMTである。そのような分光スキャトロメータMTでは、放射線源から放射された放射線がターゲットに向かい、ターゲットから反射又は散乱した放射線がスペクトロメータ検出器に向かい、スペクトロメータ検出器が、鏡面反射した放射線のスペクトルを測定する(即ち強度を波長の関数として測定する)。このデータから、検出されたスペクトルを引き起こしているターゲットの構造又はプロファイルを再構築することが可能であり、この再構築は、例えば、厳密結合波理論及び非線形回帰により、又はシミュレーションされたスペクトルのライブラリとの比較により可能である。
【0052】
[00051] 第3の実施形態では、スキャトロメータMTは、エリプソスキャトロメータである。エリプソスキャトロメータは、偏光状態のそれぞれについて、散乱した放射線を測定することによってリソグラフィプロセスのパラメータを決定することを可能にする。そのようなメトロロジ装置は、偏光光(例えば、直線偏光光、円形偏光光又は楕円偏光光)を、例えばメトロロジ装置の照明セクションにおいて適切な偏光フィルタを使用して放射する。メトロロジ装置に好適な源は、偏光放射線も同様に提供可能である。既存のエリプソスキャトロメータの様々な実施形態は、参照によって全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第11/451,599号、同第11/708,678号、同第12/256,780号、同第12/486,449号、同第12/920,968号、同第12/922,587号、同第13/000,229号、同第13/033,135号、同第13/533,110号及び同第13/891,410号に記載されている。
【0053】
[00052] 既知のスキャトロメータの例は、多くの場合、アンダーフィルターゲット(測定ビームが格子より小さいスポットを発生させるのに十分な大きさの、単純な格子若しくは異なる複数の層でオーバーラップする格子の形態のターゲット)又はオーバーフィルターゲット(照明スポットがターゲットを部分的若しくは完全に含む)などの専用のメトロロジターゲットの提供に依存する。さらに、例えば格子などのアンダーフィルターゲットを照明する角度分解スキャトロメータといったメトロロジツールの使用は、散乱放射とターゲット構造の数学モデルとの相互作用をシミュレーションし、シミュレーション結果を測定結果と比較することによって格子の特性を計算することができる、いわゆる再構築法の使用を可能にする。モデルのパラメータは、シミュレーションされた相互作用が実際のターゲットから観測されたものと同様の回折パターンを生成するまで調節される。
【0054】
[00053] スキャトロメータMTの一実施形態では、スキャトロメータMTは、反射スペクトル及び/又は検出構成の非対称性を測定することによって、2つのミスアライメントのある格子又は周期構造のオーバーレイを測定するように適応させており、非対称性は、オーバーレイの程度に関連する。2つの(典型的にはオーバーラップしている)格子構造は、2つの異なる層(必ずしも連続層というわけではない)において適用することができ、ウェーハ上の実質的に同じ位置に形成することができる。スキャトロメータは、いかなる非対称性も明確に区別できるように、例えば、共同所有する欧州特許出願公開第1628164A号において説明されるような、対称的な検出構成を有し得る。これにより、格子のミスアライメントを測定するための単刀直入な方法が提供される。ターゲットが周期構造の非対称性を通じて測定される際の、周期構造を含む2つの層の間のオーバーレイエラーを測定するためのさらなる例は、全体として参照により本明細書に援用される、PCT特許出願公開の国際公開第2011/012624号又は米国特許出願第20160161863号から入手することができる。
【0055】
[00054] 他の対象のパラメータは、フォーカス及びドーズであり得る。フォーカス及びドーズは、全体として参照により本明細書に援用される、米国特許出願第2011-0249244号において説明されるような、スキャトロメトリによって(又は代わりに走査電子顕微鏡によって)、同時に決定することができる。フォーカスエネルギーマトリックス(FEM、フォーカス露光マトリックスとも呼ばれる)の各ポイントに対するクリティカルディメンジョン及び側壁角度測定値の独特の組合せを有する単一の構造を使用することができる。クリティカルディメンジョン及び側壁角度のこれらの独特の組合せが利用可能である場合は、フォーカス及びドーズ値は、これらの測定値から独特に決定することができる。
【0056】
[00055] メトロロジターゲットは、複合格子の集合体であり得、大部分がレジストにおけるリソグラフィプロセスによって形成されるが、例えば、エッチングプロセスの後にも形成される。典型的には、格子の構造のピッチ及び線幅は、メトロロジターゲットから得られる回折次数を捕捉できるように、測定光学系(具体的には、光学系のNA)に強く依存する。以前に示した通り、回折信号は、2つの層の間のシフト(「オーバーレイ」とも呼ばれる)を決定するために使用することも、リソグラフィプロセスによって生成されるようなオリジナルの格子の少なくとも一部を再構築するために使用することもできる。この再構築は、リソグラフィプロセスの質のガイダンスを提供するために使用することができ、リソグラフィプロセスの少なくとも一部を制御するために使用することができる。ターゲットは、ターゲットにおけるデザインレイアウトの機能部分の寸法を模倣するように構成された、より小さなサブセグメンテーションを有し得る。このサブセグメンテーションにより、ターゲットは、全プロセスパラメータ測定値がデザインレイアウトの機能部分に酷似するように、デザインレイアウトの機能部分に一層類似するように挙動する。ターゲットは、アンダーフィルモード又はオーバーフィルモードで測定することができる。アンダーフィルモードでは、測定ビームは、ターゲット全体より小さいスポットを発生させる。オーバーフィルモードでは、測定ビームは、ターゲット全体より大きいスポットを発生させる。そのようなオーバーフィルモードでは、異なるターゲットを同時に測定することも可能であり得、したがって、それと同時に異なる処理パラメータを決定することも可能であり得る。
【0057】
[00056] 特定のターゲットを使用したリソグラフィパラメータの全体的な測定の質は、少なくとも部分的には、このリソグラフィパラメータの測定に使用される測定レシピによって決まる。「基板測定レシピ」という用語は、測定自体の1つ若しくは複数のパラメータ、測定された1つ若しくは複数のパターンの1つ若しくは複数のパラメータ又はその両方を含み得る。例えば、基板測定レシピで使用される測定が回折ベースの光学的測定である場合は、この測定のパラメータの1つ又は複数は、放射線の波長、放射線の偏光、基板に対する放射線の入射角、基板上のパターンに対する放射線の方位などを含み得る。測定レシピを選択する際の基準の1つは、例えば、プロセス変動に対する測定パラメータのうちの1つの感受性であり得る。さらなる例は、参照によって全体として本明細書に援用される、米国特許出願第2016-0161863号及び公開済みの米国特許出願第2016/0370717A1号に記載されている。
【0058】
[00057] スキャトロメータSM1などのメトロロジ装置が図4に示される。それは、放射を基板6上に投影する広帯域(白色光)放射プロジェクタ2を含む。反射又は散乱放射がスペクトロメータ検出器4に送られ、スペクトロメータ検出器4は、鏡面反射放射のスペクトル10を測定する(すなわち、波長λの関数としての強度INTの測定)。このデータから、検出スペクトルを生じさせる構造又はプロファイルが、処理ユニット(PU)によって、例えば厳密結合波分析及び非線形回帰によって、又は図4の下部に示されるようなシミュレーションスペクトルのライブラリとの比較によって再構築され得る。一般に、再構築のために、構造の一般形態は分かっており、幾つかのパラメータは、構造が作られたプロセスの知識から想定され、それによって、スキャトロメトリデータから決定されるべき、構造の数個のパラメータのみが残される。そのようなスキャトロメータは、法線入射スキャトロメータ又は斜め入射スキャトロメータとして構成され得る。
【0059】
[00058] トポグラフィ測定システム、レベルセンサ、又は高さセンサは、リソグラフィ装置に組み込まれてもよく、基板(又はウェーハ)の上面のトポグラフィを測定するように配置される。基板のトポグラフィのマップ(高さマップとも呼ばれる)は、基板上の位置の関数として基板の高さを示すこれらの測定から生成され得る。この高さマップは、基板上の適切なフォーカス位置にパターニングデバイスの空間像を提供するために、基板上のパターンの転写中に基板の位置を補正するために後に使用され得る。この文脈における「高さ」とは、基板に対して広く面外の寸法を指す(Z軸とも呼ばれる)ことが理解されるだろう。一般的に、レベル又は高さセンサは、(それ自体の光学系に対して)定位置で測定を行い、基板と、レベル又は高さセンサの光学系の相対移動は、基板にわたる場所における高さ測定をもたらす。
【0060】
[00059] 当該技術分野で公知のレベル又は高さセンサLSの一例は、図5に概略的に示され、図5は、動作原理のみを示す。この例では、レベルセンサは、光学系を含み、光学系は、投影ユニットLSP及び検出ユニットLSDを含む。投影ユニットLSPは、投影ユニットLSPの投影格子PGRによって付与される放射ビームLSBを提供する放射源LSOを含む。放射源LSOは、例えば、偏光又は非偏光、パルス又は連続の(偏光又は非偏光レーザビームなど)スーパーコンティニウム光源などの狭帯域又は広帯域放射でもよい。放射源LSOは、異なる色、又は波長範囲を有する複数の放射源(複数のLEDなど)を含み得る。レベルセンサLSの放射源LSOは、可視放射に限定されず、追加的又は代替的に、UV及び/又はIR放射、並びに基板の表面からの反射に適した任意の波長範囲を包含し得る。
【0061】
[00060] 投影格子PGRは、周期的に変化する強度を持つ放射ビームBE1をもたらす周期構造を含む周期格子である。周期的に変化する強度を持つ放射ビームBE1は、0度~90度、一般的には70度~80度の入射基板表面に垂直な軸(Z軸)に対する入射角ANGを有する基板W上の測定場所MLOに向けて誘導される。測定場所MLOでは、パターン形成された放射ビームBE1は、基板Wによって反射され(矢印BE2によって示される)、検出ユニットLSDに向けて誘導される。
【0062】
[00061] 測定場所MLOにおいて高さレベルを決定するために、レベルセンサは、検出格子DGR、検出器DET、及び検出器DETの出力信号を処理するための処理ユニット(図示せず)を含む検出システムをさらに含む。検出格子DGRは、投影格子PGRと同じであり得る。検出器DETは、受け取った光を示す、例えば受け取った光の強度を示す(光検出器など)、又は受け取った強度の空間分布を表す(カメラなど)検出器出力信号を生成する。検出器DETは、1つ又は複数の検出器のタイプの任意の組合せを含み得る。
【0063】
[00062] 三角測量技術により、測定場所MLOにおける高さレベルを決定することができる。検出された高さレベルは、一般的に、検出器DETによって測定されるような信号強度に関連し、信号強度は、数ある中でも、投影格子PGRの設計及び(斜め)入射角ANGに依存する周期性を有する。
【0064】
[00063] 投影ユニットLSP及び/又は検出ユニットLSDは、投影格子PGRと検出格子DGRとの間のパターン形成された放射ビームの経路に沿って、レンズ及び/又はミラーなどのさらなる光学素子を含み得る(図示せず)。
【0065】
[00064] ある実施形態では、検出格子DGRは、省かれてもよく、検出器DETは、検出格子DGRがある位置に配置され得る。そのような構成は、投影格子PGRの像のより直接的な検出を提供する。
【0066】
[00065] 基板Wの表面を効果的にカバーするために、レベルセンサLSは、基板Wの表面上に測定ビームBE1のアレイを投影し、それによって、より大きな測定範囲をカバーする、測定エリアMLO又はスポットのアレイを生成するように構成され得る。
【0067】
[00066] 一般タイプの様々な高さセンサが、例えば米国特許第7265364号及び米国特許第7646471号に開示され、これらは共に援用される。可視又は赤外線放射の代わりにUV放射を使用する高さセンサが、援用される米国特許出願公開第2010233600A1号に開示される。援用される国際公開第2016102127A1号では、検出格子を必要とすることなく、格子像の位置の検出及び認識を行うために多素子検出器を使用する小型高さセンサが記載される。
【0068】
[00067] 複雑なデバイスの製造では、典型的には、多くのリソグラフィパターニングステップが実行され、それによって基板上の連続する層に機能的フィーチャが形成される。したがって、リソグラフィ装置の性能の重要な側面は、(同じ装置又は異なるリソグラフィ装置によって)前の層に築かれたフィーチャに関連して正しく及び正確に施されたパターンを配置する能力である。このために、基板は、マークの1つ又は複数のセットを備える。各マークは、後に位置センサ(一般的に光位置センサ)を使用して、それ自体の位置が測定され得る構造である。位置センサは、「アライメントセンサ」と呼ばれることがあり、マークは、「アライメントマーク」と呼ばれることがある。
【0069】
[00068] リソグラフィ装置は、1つ以上の(例えば複数の)アライメントセンサを含んでもよく、アライメントセンサによって、基板上に設けられたアライメントマークの位置を正確に測定することができる。アライメント(又は位置)センサは、回折及び干渉などの光学現象を使用して、基板上に形成されたアライメントマークから位置情報を取得し得る。現在のリソグラフィ装置で使用されるアライメントセンサの一例は、米国特許第6961116号に記載されるような自己参照干渉計に基づくものである。例えば米国特許出願公開第2015261097A1号に開示されるように、位置センサの様々な改善及び修正が開発されている。これらの公報のすべての内容が本明細書に援用される。
【0070】
[00069] マーク又はアライメントマークは、基板上に設けられた層又は基板に(直接)形成された層の上又は内部に形成された一連のバーを含み得る。バーは、規則的な間隔で配置され、マークを周知の空間周期(ピッチ)を有する回折格子と見なすことができるように、格子線として機能する。これらの格子線の配向に応じて、マークは、X軸に沿った、又はY軸(これは、X軸に実質的に垂直に配向される)に沿った位置の測定を可能にするように設計することができる。X軸及びY軸の両方に対して+45度及び/又は-45度に配置されたバーを含むマークは、参照により組み込まれる米国特許出願公開第2009/195768A号に記載されている技術を使用して、X軸及びY軸を組み合わせた測定を可能にする。
【0071】
[00070] アライメントセンサは、放射スポットで各マークを光学的にスキャンし、それによって、正弦波などの周期的に変化する信号を取得する。この信号の位相は、アライメントセンサに対するマークの位置、ひいては基板の位置を決定するために分析され、アライメントセンサは、リソグラフィ装置の基準フレームに対して固定される。アライメントセンサが周期信号の異なるサイクル及びサイクル内の正確な位置(位相)を区別できるように、異なる(粗い及び細かい)マーク寸法に関連する、いわゆる粗いマーク及び細かいマークが設けられ得る。この目的のために、異なるピッチのマークを使用することもできる。
【0072】
[00071] マークの位置を測定することにより、マークが設けられた基板の変形に関する情報を、例えばウェーハグリッドの形態で提供することもできる。基板の変形は、例えば、基板テーブルへの基板の静電クランプ、及び/又は基板が放射に曝されたときの基板の加熱によって生じ得る。
【0073】
[00072] 図6は、例えば、援用される米国特許第6961116号に記載されるような公知のアライメントセンサASの一実施形態の概略ブロック図である。放射源RSOは、1つ又は複数の波長の放射ビームRBを提供し、放射ビームRBは、方向転換光学部品によって、照明スポットSPとして、マーク(基板W上に位置するマークAMなど)上へと方向転換される。この例では、方向転換光学部品は、スポットミラーSM及び対物レンズOLを含む。照明スポットSP(照明スポットSPによって、マークAMが照明される)は、マーク自体の幅よりも直径がわずかに小さくてもよい。
【0074】
[00073] マークAMによって回折された放射は、(この例では、対物レンズOLによって)情報伝達ビームIBへとコリメートされる。「回折される」という用語は、マークからの0次回折(これは、反射と呼ばれることがある)を含むことが意図される。例えば上述の米国特許第6961116号に開示されるタイプの自己参照干渉計SRIは、ビームIBをそれ自体と干渉させ、その後に、ビームは、光検出器PDによって受け取られる。放射源RSOによって2つ以上の波長が作られる場合には別個のビームを提供するために、さらなる光学部品(図示せず)が含まれ得る。光検出器は、単一素子でもよく、又はそれは、必要に応じて幾つかのピクセルを含み得る。光検出器は、センサアレイを含み得る。
【0075】
[00074] 方向転換光学部品(この例では、方向転換光学部品は、スポットミラーSMを含む)は、情報伝達ビームIBがマークAMからの高次回折放射のみを含むように(これは、測定にとって必須ではないが、信号対雑音比を向上させる)、マークから反射された0次放射をブロックするようにも機能し得る。
【0076】
[00075] 強度信号SIは、処理ユニットPUに供給される。ブロックSRIの光学的処理及びユニットPUの計算処理の組合せによって、基準フレームに対する基板上のX及びY位置の値が出力される。
【0077】
[00076] 図示されるタイプの単一測定は、マークの位置をマークの1ピッチに対応した特定の範囲内にのみ固定する。これと併せて、より粗い測定技術を使用して、正弦波のどの周期がマーク位置を含むものであるかを識別する。精度の向上のため、及び/又はマークを作る材料、並びに上及び/又は下にマークが設けられる材料を問わないマークのロバストな検出のために、より粗いレベル及び/又はより細かいレベルで同じプロセスが、異なる波長で繰り返され得る。波長は、同時に処理されるように、光学的に多重化及び逆多重化されてもよく、及び/又は波長は、時分割若しくは周波数分割によって多重化され得る。
【0078】
[00077] この例では、アライメントセンサ及びスポットSPは、静止したままであり、移動するのは基板Wである。したがって、アライメントセンサは、基板Wの移動方向とは反対方向にマークAMを効果的にスキャンしながら、基準フレームにしっかりと正確に取り付けることができる。基板Wは、この移動において、基板サポート上へのそれの取り付け、及び基板サポートの移動を制御する基板位置決めシステムによって制御される。基板サポート位置センサ(例えば干渉計)は、基板サポート(図示せず)の位置を測定する。ある実施形態では、1つ又は複数の(アライメント)マークが基板サポート上に設けられる。基板サポート上に設けられたマークの位置の測定は、位置センサによって決定されるような基板サポートの位置が(例えば、アライメントシステムが接続されるフレームに対して)較正されることを可能にする。基板上に設けられたアライメントマークの位置の測定は、基板サポートに対する基板の位置が決定されることを可能にする。
【0079】
[00078] 上記のスキャトロメータ、レベルセンサ、及びアライメントセンサなどのメトロロジツールMTは、放射を使用して測定を行うことができる。放射は、電磁放射であり得る。放射は、例えば、電磁スペクトルの赤外、可視、及び/又は紫外部分(例えば、300nm~2000nmの範囲内)の波長を含む光学放射であり得る。放射は、深紫外(例えば、200nm~300nmの範囲内))及び/又は真空紫外(例えば、100nm~200nmの範囲内)の波長を含み得る。放射は、電磁スペクトルの極端紫外線EUV(例えば、1nm~10nm、又は1nm~100nm)、及び又は軟X線SXR(例えば、0.1nm~10nm)部分の波長を含み得る。メトロロジツールMTによって使用される放射は、広帯域放射であり得る。メトロロジツールMTは、放射源を含み得るか、又は放射源に接続され得る。メトロロジツールMTによって実行される測定の種類及び品質は、使用される放射の特性によって影響を受ける場合がある。異なる種類の放射が、異なる種類の放射源によって提供される場合がある。一部の放射源は、単一波長又は小さい/狭い波長範囲の放射を提供し得る。他の放射源が、広帯域放射を提供するのに適する場合がある(例えば、200nm~2000nmの波長範囲を完全に又は部分的にカバーする放射源)。
【0080】
[00079] 広帯域放射は、狭帯域放射又は単一波長放射よりも著しく大きな波長範囲にわたる放射であり得る。広帯域放射は、連続した、又は実質的に連続した波長範囲を含む。波長範囲は、スペクトル/スペクトル範囲と呼ばれることもある。連続した波長範囲は、少なくとも10nm、20nm、50nm、100nm、又は200nm以上の範囲にわたり得る。広帯域放射は、波長範囲にギャップを有し得る。これらのギャップは、波長範囲内の1つ又は複数の連続的な部分範囲を分離し得る。実質的に連続した範囲は、1つ若しくは複数の離散波長及び/又は範囲から欠落した狭い1つ又は複数の波長帯域を有し得、それでもなお連続的であると見なされ得る。パワースペクトル密度は非連続的であってもよく、パワーは広帯域波長範囲にわたって変化し得る。
【0081】
[00080] 放射を発生させ、提供するために使用される効果及び技術は、放射の種類によって異なり得る。例えば、広帯域放射を提供する放射源は、所望の放射源出力放射とは異なるパワースペクトル密度プロファイルを有する入力放射のスペクトル広がりを使用し得る。スペクトル広がりを意図した入力放射は、ポンプ放射と呼ばれることもある。幾つかの公知の例では、入力放射は、例えばレーザ源からの単一波長放射又は狭帯域波長放射であり得る。このレーザ源は、市販のものであり得る。レーザは、パルスレーザであり得るし、又は連続波レーザであり得る。
【0082】
[00081] 広帯域放射は、非線形プロセスを用いて発生させられる場合がある。非線形プロセスは、効率的に開始されるためには、高い放射強度を必要とする場合がある。これは例えば、高強度の放射を光ファイバに結合させることによって達成され得る。ファイバコア内では、放射は、小さな体積/断面内に閉じ込められ得る。その結果、局所的な高強度の放射を得ることができる。光ファイバは、フォトニック結晶ファイバであってもよく、これは、例えばファイバコア内の放射の強力な閉じ込めを達成することができる。これは、局所的な高強度の放射を提供することに寄与し得る。場合によっては、光ファイバに結合された放射の少なくとも80%が、中空コア内に閉じ込められ得る。場合によっては、光ファイバに結合された放射の少なくとも85%が、中空コア内に閉じ込められ得る。場合によっては、光ファイバに結合された放射の実質的にすべてが、中空コア内に閉じ込められ得る。適切な整合光学系を使用することにより、ファイバへの放射エネルギーの効率的な結合を達成することができる。
【0083】
[00082] ファイバは、放射が伝播するように構成された細長い寸法を有し得る。この細長い寸法に垂直なフォトニック結晶ファイバの断面は、コアを取り囲むマイクロ構造の分布を含み得る。この分布は、放射をガイドし、及び閉じ込めるためのフォトニック結晶構造を形成し得る。放射は、ファイバのコアの内部に閉じ込められ得る。この断面における分布は、ファイバの細長い寸法に沿って実質的に一定であり得る。中空コアのフォトニック結晶ファイバの一例は、カゴメファイバ、又は中空コアを取り囲む単一リング状のキャピラリ(例えば、6つのキャピラリ)を含むファイバを含み得る。
【0084】
[00083] 非線形プロセスは、非線形プロセスが起こり得る非線形媒体をさらに必要とし得る。これは例えば、非線形結晶、又は非線形流体、例えば非線形ガス若しくはガス混合物であり得る。非線形媒体は、ファイバ内に設けられ得る。ファイバは、例えば中空コアフォトニック結晶ファイバといった中空コアファイバであり得る。ファイバは、代替的にソリッドコアファイバであり得る。非線形流体などの非線形媒体は、中空コアの内部に設けられ得る。コアが中実の場合、非線形媒体は、ファイバが作られる材料であってもよく、これは、ガラスであり得る。ガラスは、例えば、純粋シリカ(SiO)、又はドープされたSiOであり得る。場合によっては、ガス(例えば、水素ガスH、又は重水素ガスD)を中実コアの内部に拡散させてもよい。これは例えば、ファイバを高圧ガスチャンバ内に置くことによって実現することができる。その結果、高強度放射を光ファイバのコア内に強力に閉じ込めることができ、それによって、高強度放射が広帯域放射を発生させるための非線形媒体と相互作用することが可能となる。
【0085】
[00084] ファイバの分散特性及びファイバにおいて提供される1つ又は複数の波長に応じて、異なる現象が広帯域放射の発生に寄与し得る。広帯域の発生が機能し得るレジームの例には、自己位相変調(SPM)及び変調不安定性(MI)が含まれる。SPM及びMIは共に、例えば、(中空コア)フォトニック結晶ファイバなどの放射が閉じ込められたファイバにおけるスーパーコンティニウム発生で生じ得る。例えばSPMなどの一部のスペクトル広がりプロセスは、放射と非線形媒体との相互作用に関連している。高強度放射と非線形媒体との相互作用は、例えばカー効果によって経験される分散に起因する放射パルスの広がりといった、非線形効果の発生を引き起こし得る。それは、放射パルスのスペクトル広がりをもたらし得る。例えば変調不安定性及び四光波混合といった他のスペクトル広がりプロセスは、非線形媒体中で2つ以上の放射波長を混合する効果によって生じ得る。放射波長範囲の広がりは、放射パルスの偏差又は変調が非線形カー効果によって強化されることに起因し得る。変調不安定性は、変調された放射のスペクトル広がりをもたらし、広帯域放射の発生に寄与し得る。上述の両方のケースにおいて、放射源の出力放射に寄与するのに十分に高い強度でスペクトル広がりを促し、及び達成するためには、高強度のポンプ放射が望ましい。多くの場合、スペクトル広がり及び白色光/広帯域放射の発生は、ファイバに沿って伝播する際にポンプ放射に影響を与え得る複数の非線形効果の組み合わせの結果であり得る。ファイバは、非線形ファイバであり得る。非線形ファイバは、放射と相互作用する際に光学的非線形性を示し得る任意の光ファイバであり得る。例えばこれは、例えば電気通信産業で使用されるような市販のファイバであり得る。非線形ファイバの別の例は、ガス充填中空コアフォトニック結晶ファイバであり得る。このファイバは、そのコアに沿ってレーザパルス及び/又は連続波レーザ放射が伝播するように構成され得る。
【0086】
[00085] スペクトル広がりのセットアップ及びプロセスにおいて、幾つかの課題が生じる場合がある。広帯域放射の発生をもたらし得る変調不安定性は、確率的プロセスである。それは、変調不安定性の発生を可能にするために、受け取った放射の変調を引き起こすノイズに依存し得る。したがって、一定時間後に、例えばファイバ内を一定距離伝播した後に、変調不安定性によって生じるスペクトル広がり量を予測することは困難な場合がある。このため、プロセスの信頼性が低くなる場合があり、これは、意図した量のスペクトル広がりが生じた確率を高めるために、相互作用時間/伝播長を長くする必要を生じさせ得る。これは、システムを非効率にする場合がある。
【0087】
[00086] 広帯域発生における別の課題は、スペクトル広がりを開始するために高出力のポンプパルスを使用することによって生じ得る。高出力パルスは、放射源内部で非常に高い局所強度をもたらす場合があり、これは、周囲の材料のイオン化及び加熱に関連した変形を引き起こし得る。例えば、入力ポンプパルスは、フォトニック結晶ファイバ内部でイオン化及び/又は加熱に関連した変形を引き起こし得る。イオン化は、例えばファイバ内部のガス媒体のイオン化であり得る。次に、イオン化は、ファイバ内のエリアのさらなる加熱をもたらし得る。この加熱により、ファイバが損傷し、ファイバの効率が低下し、最終的にはファイバ、広帯域発生セットアップ、ひいては放射源自体が故障する場合がある。これにより、放射源の寿命が短くなる場合がある。
【0088】
[00087] 放射源内の材料の(過剰な)加熱及び/又はイオン化を回避するために、入力ポンプレーザの繰り返し率を低下させることが可能な場合がある。しかしながら、パルスレートを低下させることにより、信号対雑音比が低下し得る。これは、結果として、測定センサ(例えば、アライメントセンサ)の積分時間が、より高いパルスレートの場合と同じままである場合、より高い測定雑音をもたらし得る。したがって、用途によっては、パルスレートを低下させることにより、信号の積分時間を長くする必要があるため(信号対雑音比を低下させるため)、測定センサの全体的なスループットの低下がもたらされる場合がある。また、単一パルスのパワーを同じに保ちながらパルスレートを低下させることは、平均入力パワー、ひいては平均出力パワーも低下することを意味する。したがって、この解決策は、常に望ましいとは限らず、加熱に関連する損傷を軽減するための別の解決策が望ましい場合もある。
【0089】
[00088] 上記のように、変調不安定性は、量子雑音をシードとする確率的プロセスである。MIの条件が満たされた場合であっても、スペクトル広がりプロセスが開始されるまでにしばらく時間がかかる場合がある。ファイバ内で行われる場合、これは、MIによって広げられたスペクトルが発達するまで、ポンプ放射がファイバの一部分を伝播し得ることを意味し得る。MIによって広げられたスペクトルの発達に必要なファイバの長さは、ポンプ強度及び/又はポンプパルスエネルギーを増加させることによって短くすることができる。しかしながら、このような強度及び/又はエネルギーの増加は、上記の段落に記載した問題(例えば、過熱、イオン化)を引き起こす場合がある。代替セットアップでは、ポンプ放射強度は、(例えば、パルスエネルギーを減少させること及び/又はその持続時間を長くすることによって)低減することができる。これを行うには、MIスペクトルをより長いファイバ長にわたって発達させる必要がある場合がある。ファイバに追加されるこの追加の長さにより、ファイバに沿って放射が伝播する距離が長くなるため、ファイバ内部の損失が大きくなる場合がある。これらの問題点を考慮すると、十分に発達したMIスペクトルを得るためには、必要な入力パルス強度及び/又はエネルギーを減少させること、及び/又はファイバ長を短くすることが有益な場合がある。
【0090】
[00089] 変調不安定性に関連するさらなる課題は、それが、スペクトル的に広げられた放射範囲にわたって均等なパワー分布をもたらさないことである。一部の波長では、より多くのパワーが変換され得るが、他の波長では、比較的かなり低い強度のままであり得る。さらに、すべての入力放射エネルギーがスペクトル広がりによって他の波長に変換されるわけではなく、これは、1つ又は複数の高強度入力パルスの1つ又は複数の波長において、出力放射に強度ピークが残る場合があることを意味する。これは例えば、ファイバの長さが十分でないため、すべての入力放射が変換される前にファイバの出力端部に到達するような場合である。このようなより短いファイバ長の選択は、それが損失の低減をもたらし得るため、又は放射源の小型化にとって、依然として有利な場合がある。
【0091】
[00090] 本明細書では、変調不安定性プロセスをシードすることによって受け取った放射を広げるためのアセンブリ、装置、及び方法を説明する。説明されるアセンブリ及び方法は、上記の課題のうちの1つ又は複数に対処することができる。
【0092】
[00091] 図7は、スペクトル広がりによって出力広帯域放射702を発生させるための放射源アセンブリ700を示す。放射源アセンブリは、広帯域放射を提供するように構成されたポンプアセンブリ704を含む。ポンプアセンブリは、ポンプ波長でポンプ放射710を提供するように構成されたポンプ源706を含む。ポンプ放射は、第1の放射とも呼ばれることもある。ポンプ波長は、第1の波長と呼ばれることがある。ポンプアセンブリは、少なくとも連続波長範囲を含む(入力)広帯域放射712を提供するように構成された広帯域アセンブリ708をさらに含む。広帯域放射は、第2の放射と呼ばれることもある。ポンプ放射及び入力広帯域放射は、組み合わされて広帯域入力放射714を形成する。
【0093】
[00092] 放射源アセンブリ700は、広帯域入力放射714を受け取るように構成された光ファイバ716をさらに含む。光ファイバ716は、広帯域放射714を受け取るように構成されたコア718を含む。ファイバの少なくとも一部は、ファイバ716を伝播する間に入力放射のスペクトル広がりを達成するために放射を閉じ込めるように構成される。スペクトル的に広げられた放射は、出力端部からファイバ716を出て、放射源アセンブリ700によって出力広帯域放射702として提供される。アセンブリ700は、ポンプ放射をファイバ716に結合するための要素を含み得る。アセンブリ700は、広帯域放射702をファイバ716から結合するための要素を含み得る。
【0094】
[00093] 広帯域入力放射でシードされたポンプ放射を使用して広帯域出力放射を発生させるためのアセンブリを有する利点は、はるかに平坦な広帯域出力スペクトルを達成することができる点であり得る。これは、例えば5dBなどの、10dBより良好なパワースペクトル密度の平坦性を有する広帯域スペクトルとなり得る。この場合の平坦とは、広帯域スペクトルにわたる出力放射の強度分布が(例えば、広帯域入力放射を提供しないセットアップと比較して)より小さい値範囲を有することを意味する。この平坦な出力強度スペクトルは、放射源にとって望ましい場合がある。
【0095】
[00094] 図7のアセンブリ700の別の利点は、広帯域入力放射が存在する結果として、変調不安定性の確率的プロセスが著しく早期に開始される点である。これは、ファイバへの入力として提供される広帯域放射が変調不安定性プロセスのシードとして機能し得るためであり得る。ある波長において少量の放射が存在するだけでも、変調不安定性に起因するスペクトル広がりが誘発され得る。多くの異なるシード波長が存在することは、変調不安定性を開始するために入力放射への雑音の確率的導入に依存する代わりに、入力放射に存在する広範囲の波長が変調不安定性プロセスの開始の可能性及び一貫性を高め得ることを意味する。入力に広帯域放射が存在することによって、この放射が存在しないセットアップと比較して、広い波長アレイの生成を著しく早期に開始することができる。広帯域入力放射は、変調不安定性プロセスのシードと見なすことができる。
【0096】
[00095] スペクトル広がりプロセスを早期に開始させることの利点には、広帯域入力放射が提供されないセットアップと比較して、より短いファイバを使用できることが含まれ得る。図8は、エネルギースペクトル密度を波長及びファイバに沿った伝播長の関数として表した例示的グラフである。図8(a)では、説明目的及び比較目的で、入力広帯域放射なしのセットアップを示している。横軸は、波長スペクトルを表す。縦軸は、ファイバコアの長さに沿った位置を表す。入力では、エネルギーは狭い波長の一セットにのみ存在する。これは、1つ又は複数の入力ポンプ放射波長であり得る。入力放射は、ファイバ長に沿って伝播し得る。入力放射は、まず、最初の自己位相変調広がりを経てもよい。入力がポンプ放射のみである場合、確率的MIスペクトル広がりプロセスが開始されるまでにしばらく時間がかかる。図8(a)に示されるように、ポンプ放射は、広がりプロセスを開始する前に、例えば10~15cmの範囲内の距離に沿って伝播し得る。
【0097】
[00096] MIスペクトル広がりが開始されると、それは、四光波混合(FWM)プロセスの利得及び位相整合条件に従って、ポンプ波長とリンクした波長で始まり得る。これらの波長は、最初に現れ、次にさらなる広がりを生じさせ、他の波長領域にカスケードする場合がある。その結果、これは、広帯域波長スペクトルを発生させ得る。広帯域波長範囲にわたるエネルギー/パワーの広がりは、エネルギースペクトル密度の形で記述することができ、これは、放射に存在するエネルギーを波長(又は周波数)の関数として記述する。ファイバの出力端部では、過剰な入力ポンプ放射エネルギーのすべてが他の波長に変換されていない可能性がある。したがって、ファイバの出力におけるエネルギースペクトル密度グラフにおいて、ポンプ波長付近にエネルギーピークが存在する可能性がある。
【0098】
[00097] 図8(b)は、図8(a)と同じ種類のファイバに沿ったエネルギースペクトル密度を示しているが、入力放射は、ポンプ放射及び広帯域放射の両方を含む。MIスペクトル広がりプロセスを「シードする」ために存在する連続した波長範囲を有することは、変調不安定性を開始するために入力放射への雑音の確率的導入に依存する代わりに、入力放射に存在する広範囲の波長が変調不安定性プロセスの開始の可能性及び一貫性を高め得ることを意味する。これにより、広帯域発生プロセスの安定性及び/又は予測可能性が向上し得る。広帯域入力ポンプ放射を使用しない実装形態と比較して、本明細書に記載のアセンブリ及び方法は、広帯域放射の発生に必要な相互作用時間/伝播長を短くすることができる。
【0099】
[00098] ポンプ放射のパワーは、入力広帯域放射のパワーより著しく大きい場合がある。これは、ファイバの入力端部におけるグレイスケールの強度プロファイルから分かる場合がある。スペクトル広がりは、ポンプ放射の広がりであり得る。これは、ポンプ波長から広帯域範囲内の他の波長へのエネルギーの移動であり得る。広帯域放射の存在により、潜在的に低いポンプエネルギーであっても、(図8(a)のセットアップと比較して)ファイバに沿ったより短い伝播距離の後に変調不安定性プロセスが誘発され得る。
【0100】
[00099] 広帯域入力放射が連続した波長範囲を提供するため、FWMプロセスは、これらの波長の多くに対して開始される。これは、広範囲の波長の発生がファイバの入力端部で又はその近傍で始まり得ることを意味する。これは、FWM波長の単一のセットから広がりプロセスが開始される図8(a)の初期FWMとは対照的である場合がある。その結果、入力としてポンプ放射及び広帯域放射の両方を有する放射源アセンブリのエネルギースペクトル密度は、範囲内の波長にわたってより均等に分布し得る。このことは、図8において理解することができ、図(b)のグレイスケール分布は、図(a)のグレイスケール分布よりも一定である。
【0101】
[000100] 本明細書に記載の広帯域入力放射を有するアセンブリによって発生する広帯域放射の範囲は、ポンプ放射のみを含む入力、又は1つ若しくは複数の離散シード波長の組み合わせを有するポンプ放射などの広帯域入力放射を持たないセットアップよりも大きくなる場合がある。ポンプ放射のみを使用するセットアップ、又は1つ若しくは複数の離散/狭波長のシード放射を有するポンプ放射を使用するセットアップは、あまり平坦でない/あまり連続的でないエネルギー密度スペクトルをもたらし得る。
【0102】
[000101] 広帯域入力放射714は、出力広帯域放射702の範囲にわたるエネルギーと比較して、広帯域放射範囲にわたって低量のエネルギーしか有していないことに気付くことが重要である。広帯域出力放射のエネルギースペクトル密度の大部分は、ファイバ内部で生じるポンプ放射のスペクトル広がりに起因する。広帯域放射712は、スペクトル広がりを誘発するために提供されてもよく、全広帯域出力エネルギーに著しく寄与することは意図されていない。
【0103】
[000102] 一部のアセンブリでは、スペクトル広がりを誘発するための高度に局所的な強度を達成する放射を閉じ込めるようにファイバの一部のみがコア構成を有することが可能である。これは、ファイバコアの内部構造及び/又はコアを取り囲むエリアがファイバの長さに沿って変化するファイバが提供され得ることを意味する。ファイバの長さとは、通常動作時に放射がファイバに沿って伝播する経路を意味する。
【0104】
[000103] ポンプ放射は、スペクトルの赤外又は可視部分において提供され得る。ポンプ放射の波長範囲は狭くてもよく、これは、単一波長であり得る。ポンプ放射の波長は、市販の放射源によって提供され得るように設定され得る。容易に入手可能な放射源によって提供される波長の例には、1550nmの波長、1030nmの波長、及び700~800nmの範囲内の波長が含まれる。ポンプ放射は、パルス放射であってもよく、ポンプ放射は、5MHz程度のパルス繰り返し率を有し得る。パルス繰り返し率は、1~20MHzの範囲内であり得る(例えば、2.5MHz、5MHz、8MHz、10MHz、又は15MHz)。
【0105】
[000104] 広帯域放射は、例えば、放射源アセンブリの一部を形成し得るか又は放射源アセンブリに接続され得る放射源によって提供され得る。一部の実装形態では、広帯域放射は、放射源アセンブリによって形成される広帯域出力放射からの出力放射の一部から成り得る。広帯域出力放射の一部を分離して、それを入力に送り返すためのフィードバックループが放射源アセンブリに含まれ得る。
【0106】
[000105] 図9は、広帯域出力放射902を発生させるための放射源アセンブリ900を示す。ポンプアセンブリ904は、ポンプ放射910を提供するように構成されたポンプ源906を含み得る。広帯域アセンブリ908は、広帯域入力放射912に寄与するために出力放射902の一部をフィードバックするように構成された光フィードバックループ909を含み得る。フィードバック部分は、広帯域入力放射全体を形成し得るか、又はファイバ916に結合されるように追加される広帯域放射を形成するために、他の放射と組み合わされるように追加され得る。広帯域放射912とポンプ放射とを組み合わせて広帯域入力放射914を形成し得る。広帯域入力放射は、スペクトル広がりのために光ファイバ916のコア918に結合され得る。フィードバック光学系は、例えばダイクロイックミラーを含み得る。シードの偏光が入力の偏光と直交する場合、フィードバックループに偏光ビームスプリッタが設けられ得る。
【0107】
[000106] 光フィードバックループ909は、フィルタ920又は放射のフィードバック部分のフィルタリングを含み得る。フィルタは、例えば、放射の1つ又は複数の偏光をフィルタリングすることができる。入力にフィードバックされる偏光は、例えば、入力放射の偏光とオーバーラップするように選択され得る。シード放射の偏光は、ポンプ放射の偏光と部分的に又は完全にオーバーラップし得る。ポンプ放射の広帯域放射への変換は、(フィードバックされた)シード放射の偏光とポンプ放射の偏光とがアライメントされるときに最適な場合がある。しかしながら、シードの偏光は、広げられたスペクトルの形状(すなわち振幅)を制御するために、ポンプの偏光に対して操作され得る。
【0108】
[000107] フィードバックループ909は、出力放射902の一部を出力放射の大部分の経路から分離するための1つ又は複数の光学素子922を含み得る。1つ又は複数の光学素子922は、例えば、ビームスプリッタを含み得る。1つ又は複数の光学素子は、出力波長範囲全体にわたる放射をフィードバックループ909へと選択し得る。一部の例示的な実装形態では、1つ又は複数の光学素子は、フィードバックループに送られる広帯域出力放射範囲の部分範囲を選択し得る。部分範囲は、例えば、1000nmを超える波長を有する放射、1000nm未満の波長を有する放射、スペクトルの可視部分の放射などのみを実質的に含み得る。
【0109】
[000108] 入力放射及び出力広帯域放射がパルス放射である実装形態では、光フィードバックループは、フィードバックされた広帯域放射パルスがポンプ放射パルスと空間的及び時間的にオーバーラップして広帯域入力放射を形成するように構成される。これを実現するために、フィードバックループは、遅延線を含み得る。ある例示的な実装形態では、ポンプ放射のパルス繰り返し率は、5MHzであり得る。このようなセットアップでは、約40mのオーダーの長さを有する遅延線を設けることができる。放射のフィードバック部分は、バックグラウンド雑音を上回るエネルギースペクトル密度(例えば、周波数ビン当たり1光子)を有し得る。フィードバック部分の上限は、放射源のアーキテクチャによってのみ定義され得る。
【0110】
[000109] 広帯域入力を使用してMIスペクトル広がりを促すプロセスは、広帯域入力波長の正確な範囲に対して感度が高くない場合がある。図10は、異なる広帯域入力放射範囲を持つ2つの例示的グラフを示す。図10(a)では、1000nm未満の波長の放射が、広帯域入力放射として提供されている。図10(b)では、1000nmを超える波長の放射が広帯域入力放射として提供されている。図8(b)のセットアップと比較すると、入力放射は、MIスペクトル広がりプロセスが始まる前に、僅かにより長い伝播距離を必要とする場合がある。しかしながら、全体的な広がりの結果により、均等に分布したエネルギースペクトル密度及びポンプ放射の効率的な変換が依然としてもたらされ得る。これは、本明細書に記載するプロセスが広帯域入力放射の正確な範囲に対して比較的感度が高くないことを意味し得る。この利点は、入力において大量の異なる(連続した)波長の存在によって生じ得る。
【0111】
[000110] 図11は、フィードバック強度の割合が異なる場合の広帯域放射アセンブリの広帯域出力放射のパワースペクトル密度値を示すグラフを示している。グラフは、フィードバック放射なし(グラフ1102)、0.05%フィードバック(グラフ1104)、0.5%フィードバック(グラフ1106)、及び5%フィードバック(グラフ1108)に対応している。グラフ1102から分かるように、フィードバックなしの場合、すなわちアセンブリが広帯域入力放射を受け取らない場合、広帯域フィードバック(及び広帯域入力放射)を有するグラフ1104、1106、及び1108と比較して、パワースペクトル密度曲線はあまり平坦ではない。広帯域入力放射のパワースペクトル密度のグラフは、ポンプ波長の波長付近(波長1100nm付近)での強度の低下を示し得る。これは、スペクトル広がりを高めたセットアップが、ポンプ放射のより大きな割合を広帯域スペクトルに変換し得るため、すなわちポンプ放射からの変換効率が向上するためと考えることができる。広帯域入力放射のパワースペクトル密度グラフは、広帯域スペクトルの短波長側で発生する強度の増加を示し得る。これは例えば、広帯域スペクトルの400~600nm範囲付近で強度のピークの上昇をもたらし得る。これは、例えば、短波長放射に関心がある用途(例えば、より小さいサイズのフィーチャを測定するために、より短い波長が使用され得るため)において望ましい場合がある。
【0112】
[000111] 広帯域フィードバックの強度が増加すると(5%のグラフ1108、0.5%のグラフ1106、及び0.05%のグラフ1104を比較)、ポンプ放射波長付近での強度の減少が大きくなり得る。また、広帯域フィードバックの強度が増加すると(5%のグラフ1108、0.5%のグラフ1106、及び0.05%のグラフ1104を比較)、広帯域スペクトルの短波長側付近の強度のピークがより高くなり得る。しかしながら、より低いフィードバック強度(例えば、曲線1104)であっても、出力広帯域放射パワースペクトル密度に対する広帯域入力放射の影響は大きく、そして有益であることが分かる。
【0113】
[000112] 図11(a)は、広帯域出力スペクトル全体からの波長を含むフィルタリングされていないフィードバックのパワースペクトル密度グラフを示す。図11(b)は、広帯域出力スペクトルの可視部分からの波長を含むフィルタリングされたフィードバックのパワースペクトル密度グラフを示す。フィルタリングされていないフィードバックアセンブリのパワースペクトル密度グラフと、フィルタリングされたフィードバックアセンブリのパワースペクトル密度グラフとの間の差は小さい。これは、広帯域入力放射の正確な波長範囲に対する感度が比較的低いことを示し得る。
【0114】
[000113] 正確な波長範囲に対するこの感度の低さは、例えば、放射源アセンブリが使用される用途にとって、出力放射範囲の一部のみが関心対象であるセットアップにおいて有益な場合がある。このような場合、その用途に使用されない放射(の一部)は、入力にフィードバックされ得る。関心対象の放射は、フィードバックされる部分によって枯渇することなく、用途によって使用されるために出力に供給され得る。これにより、放射源アセンブリの全体的な効率が向上し得る。例示的セットアップでは、放射源アセンブリは、400nm~2200nmの範囲内の広帯域放射を発生させることができる。放射源アセンブリが使用され得る用途は、例えば、スペクトルの可視部分、又は1000nm未満のスペクトルの部分の放射を使用し得る。このようなセットアップでは、フィードバックループは、例えば、スペクトルの赤外IR部分の放射(の一部)(例えば、1000nmを超える放射、又は800nmを超える放射)を反射/分離するように構成されたビームスプリッタを使用し得る。ビームスプリッタは、より低い波長の放射が放射線アセンブリの出力に向かってビームスプリッタを通過することを可能にし得る。これは、図10(b)に示されている。ここでは1000nmを超える波長範囲及び1000nm未満の波長範囲について説明するが、他の放射の選択を行うこともできる。
【0115】
[000114] 所望のスペクトル広がり量を得るために必要なファイバの長さは、入力放射がスペクトル的に広がり、広帯域出力放射を形成するのに必要な相互作用時間/相互作用長さの量によって少なくとも部分的に決定され得る。図8及び図10は、ファイバに沿った伝播長の関数として、発生放射波長のグラフを示す。広帯域入力放射を提供することによって変調不安定性を促すことにより、必要なファイバ長を短くすることができる。
【0116】
[000115] 図12は、入力放射のピークパルス強度が異なる場合の広帯域出力放射のパワースペクトル密度値を示すグラフを示している。グラフは、2.5μJ(グラフ1202)、3.0μJ(グラフ1204)、3.5μJ(グラフ1206)、及び4.0μJ(グラフ1208)のパルスエネルギーに対応している。図12(a)は、フィードバックを全く提供しないアセンブリのグラフ、及びスペクトル広がりプロセスのための広帯域入力放射を供給しないアセンブリのグラフを示す。見て分かるように、ポンプ放射付近(波長1100nm付近)のエネルギーは、すべてのピークパルスエネルギーグラフで高いままである。スペクトルの短波長側のエネルギーピークも、すべてのピークエネルギーグラフで低いままであり得る。図12(b)は、入力放射に5%の広帯域放射フィードバックを提供するセットアップを使用した、同じピークパルスエネルギーのパワースペクトル密度グラフを示す。見て分かるように、広帯域入力を形成するためのフィードバックが存在することにより、より多くのポンプ放射が出力スペクトルにわたりスペクトル的に広げられるため、ポンプ放射付近でエネルギーの著しい減少がもたらされ得る。スペクトルの短波長側付近のエネルギーピークも増加し得る。
【0117】
[000116] 狭帯域/単一波長入力放射のみを提供するセットアップでは、ファイバの長さは、例えば40cmを超えてもよい。(本明細書に記載するような)広帯域入力放射を形成するために広帯域放射がポンプ放射と共に提供されるセットアップにおいては、ファイバ内で類似の量、同量、又は許容可能な量のスペクトル広がりを得るために、より短い長さが使用され得る。これは、広帯域入力放射が存在する結果として、MIプロセスがファイバの長さに沿って早期に開始されるためであり得る。広帯域入力放射を使用する放射源アセンブリのファイバの長さは、5cm~40cm、又は5cm~30cm、又は5cm~20cm、又は5cm~15cm、又は5cm~10cmの範囲内であり得る。場合によっては、前述の例示的範囲の何れかが、10cmの下限を有し得る。例えばファイバ長が許容可能な最短の長さに最適化されていない場合は、より長いファイバ長が提供され得る。また、MIに基づくスペクトル広がりを誘発するために必要なパルスエネルギーをさらに低減することが有益な場合があるため、より長いファイバ長が提供され得る。
【0118】
[000117] スペクトル的に広げられる入力放射のエネルギーの大部分は、ポンプ放射によって提供され得る。ポンプ放射は、パルス放射であり得る。ポンプパルスは、1μJ~10μJの範囲内、又は2.5μJ~4.0μJの範囲内のピークエネルギーを有し得る。入力放射をシードするために提供される第2の(広帯域)放射は、ポンプ放射よりも著しく低いエネルギーを有し得る。広帯域放射は、ポンプ放射の強度の15%、又は10%、又は5%、又は2%、又は1%を超えない強度を有し得る。
【0119】
[000118] ファイバ716のコア718は、放射が流体と相互作用するときにスペクトル広がりを可能にするため及び/又は生じさせるための流体を含み得る。流体は、非線形媒体であり得る。流体は、ガスであり得る。ガスは、純粋なガスであり得るし、又はガス混合物であり得る。混合物は、水素(H)を含み得る。ガス混合物は、希ガス(例えば、Ar、He、Kr、Xe、Ne)を含み得る。ガスは、分子ガス(例えば、N)を含み得る。ファイバ716は、流体を収容するのに適し得る再密封可能なリザーバ内に位置決めされ得る。リザーバは、例えば、ファイバ716のコア718内にガス混合物を供給し、及び制御するための1つ又は複数のガス供給源を有し得る。
【0120】
[000119] ファイバ718のコア716は、中空コアであり得る。代替的に、コアは、中実コアであり得る。ファイバは、フォトニック結晶ファイバ、例えば中空コアフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)であり得る。フォトニック結晶ファイバは、例えば、中空コアを取り囲む単一リング状のキャピラリを含み得る。キャピラリは、隣接するマイクロ構造のエッジが互いに接触しないように、空間的に分離していてもよい。キャピラリは、反共振要素(RCE)と呼ばれることがある。単一リング構造は、ファイバのコア内部に放射を強力に閉じ込めるのに適し得る。この強力な閉じ込めは、放射の局所強度を増加させ、その結果、非線形スペクトル広がりプロセスの効率を向上させるという利点を有し得る。ファイバコア内部で放射の強力な閉じ込めを実現する他のフォトニック結晶ファイバ構造も使用され得る。中空コアは、20μm~50μmの範囲内、又は25μm~35μmの範囲内の直径を有し得る。中空コアは、例えば30μmの直径を有し得る。
【0121】
[000120] 放射源アセンブリによって発生した広帯域放射は、スーパーコンティニウム放射を含み得る。スーパーコンティニウム放射は、連続した波長範囲にわたる放射を含み得る。広帯域放射は、400nm~2200nmの範囲内の放射を含み得る。スーパーコンティニウム放射は、少なくとも400nm~2200nmの範囲内の連続した波長範囲を含み得る。
【0122】
[000121] 本明細書に記載する広帯域放射を発生させるための方法、装置、及びアセンブリは、複数の用途において実装され得る。それらは、例えば、以下に記載する放射源に実装することができる。
【0123】
[000122] 上述のスキャトロメータ、トポグラフィ測定システム又は位置測定システムなどのメトロロジツールMTは、測定を実行するために、放射源を発生源とする放射を使用し得る。メトロロジツールによって使用される放射の特性は、実行され得る測定の種類と質に影響を及ぼし得る。幾つかの用途の場合、基板を測定するために複数の放射周波数を使用することが有利であり得、例えば、広帯域放射を使用することができる。複数の異なる周波数は、他の周波数との干渉が全くないか又は最小限に抑えた状態で、メトロロジターゲットからの伝播、照射及び散乱が可能であり得る。したがって、例えば、より多くのメトロロジデータを同時に得るために異なる周波数を使用することができる。また、異なる放射周波数は、メトロロジターゲットの異なる特性を問い合わせたり、発見したりすることも可能であり得る。広帯域放射は、例えば、レベルセンサ、アライメントマーク測定システム、スキャトロメトリツール又は検査ツールなど、メトロロジシステムMTにおいて役立ち得る。広帯域放射源は、スーパーコンティニウム光源であり得る。
【0124】
[000123] 高質の広帯域放射(例えば、スーパーコンティニウム放射)は、発生が困難であり得る。広帯域放射を発生させるための方法の1つは、例えば、非線形及び高次効果を利用して、高出力狭帯域若しくは単一周波数入力放射を広げることであり得る。入力放射(レーザを使用して生成され得る)は、ポンプ放射と呼ぶことができる。代わりに、入力放射は、シード放射と呼ぶことができる。広がり効果のための高出力放射を得るため、放射は、強い局所的な高強度放射が達成されるように、小さなエリア内に閉じ込めることができる。それらのエリアでは、放射は、非線形媒体を形成する広がり構造及び/又は材料と相互作用し、広帯域出力放射が生み出され得る。高強度放射エリアでは、適切な非線形媒体を提供することによって放射広がりを可能にするため及び/又は改善するために、異なる材料及び/又は構造を使用することができる。
【0125】
[000124] 幾つかの実装形態では、広帯域出力放射は、フォトニック結晶ファイバ(PCF)において生み出される。幾つかの実施形態では、そのようなフォトニック結晶ファイバは、ファイバを通じてファイバコア内を移動する放射を閉じ込める支援を行うために、そのファイバコアの円周方向に沿ってマイクロ構造を有する。ファイバコアは、非線形特性を有し、且つ、高強度ポンプ放射がファイバコアを通じて伝送される際に広帯域放射の発生が可能な、固体材料で作られ得る。固体コアフォトニック結晶ファイバにおいて広帯域放射を発生させることは可能であるが、固体材料の使用には、不利点が幾つか存在し得る。例えば、固体コアにおいてUV放射を発生させた場合は、放射の大部分が固体材料に吸収されるため、この放射は、ファイバの出力スペクトルには見られない可能性がある。
【0126】
[000125] 幾つかの実装形態では、図14を参照して以下でさらに論じられるように、入力放射を広げるための方法及び装置は、入力放射を閉じ込め、且つ、入力放射を広げて出力広帯域放射にするためのファイバを使用することができる。ファイバは、中空コアファイバであり得、ファイバ内における放射の効果的なガイド及び閉じ込めを達成するための内部構造を含み得る。ファイバは、中空コアフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)であり得、それは特に、主にファイバの中空コアの内部への強力な放射閉じ込めに適しており、高い放射強度を達成することができる。ファイバの中空コアは、入力放射を広げるための広がり媒体の働きをするガスで満たすことができる。このようなファイバ及びガスの配置は、スーパーコンティニウム放射源を作るために使用され得る。ファイバに入力される放射は、電磁放射、例えば、赤外線、可視光線、UV、及び極端UVスペクトルのうちの1つ又は複数の放射であり得る。出力放射は、本明細書では白色光と呼ばれることがある広帯域放射から成るか、又は広帯域放射を含み得る。
【0127】
[000126] 幾つかの実施形態は、光ファイバを含むそのような広帯域放射源の新しい設計に関連する。光ファイバは、中空コアフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)である。具体的には、光ファイバは、放射の閉じ込めのための反共振構造を含む種類の中空コアフォトニック結晶ファイバであり得る。反共振構造を含むそのようなファイバは、当技術分野では、反共振ファイバ、管状ファイバ、単一リングファイバ、負曲率ファイバ又は抑制結合ファイバとして知られている。当技術分野では、そのようなファイバの様々な異なる設計が知られている。代わりに、光ファイバは、フォトニックバンドギャップファイバ(HC-PBF、例えば、カゴメファイバ)であり得る。
【0128】
[000127] それぞれが異なる物理的ガイダンス機構に基づくHC-PCFの幾つかの種類がエンジニアリングされ得る。2つのそのようなHC-PCFは、中空コアフォトニックバンドギャップファイバ(HC-PBF(hollow-core photonic bandgap fiber))及び中空コア反共振反射ファイバ(HC-ARF(hollow-core anti-resonant reflecting fiber))を含む。HC-PCFの設計及び製造に関する詳細は、参照によって本明細書に援用される、米国特許第2004/015085A1号(HC-PBFの場合)及び国際PCT特許出願の国際公開第2017/032454A1号(中空コア反共振反射ファイバの場合)から入手することができる。図15(a)は、カゴメ格子構造を含むカゴメファイバを示す。
【0129】
[000128] ここでは、図13を参照して、放射源において使用するための光ファイバの例について説明する。図13は、光ファイバOFの横断面における概略断面図である。図13のファイバの実用例と同様のさらなる実施形態は、国際公開第2017/032454A1号で開示されている。
【0130】
[000129] 光ファイバOFは、細長いボディを含み、ファイバOFのある寸法は、他の2つの寸法と比べて長い。この長い方の寸法は、軸方向と呼ぶことができ、光ファイバOFの軸を定義し得る。他の2つの寸法は、横断面と呼ぶことができる平面を定義する。図13は、この横断面(すなわち、軸に垂直な)における光ファイバOFの断面を示し、この横断面は、x-y平面とラベル付けされる。光ファイバOFの横断面は、ファイバ軸に沿って実質的に一定であり得る。
【0131】
[000130] 光ファイバOFは、ある程度の柔軟性を有し、したがって、軸の方向は、一般に、光ファイバOFの長さに沿って均一にはならないことが理解されよう。光軸、横断面及び同様のものなどの用語は、局所的な光軸、局所的な横断面などを意味することが理解されよう。さらに、コンポーネントが円筒状又は管状であるものとして説明されている場合は、これらの用語は、光ファイバOFを曲げると歪んでしまうような形状を包含することが理解されよう。
【0132】
[000131] 光ファイバOFは、いかなる長さも有し得、光ファイバOFの長さは、用途に依存し得ることが理解されよう。光ファイバOFは、1cm~10mの長さを有し得、例えば、光ファイバOFは、10cm~100cmの長さを有し得る。
【0133】
[000132] 光ファイバOFは、中空コアCORと、中空コアCORを取り囲むクラッド部分と、クラッド部分を取り囲んで支持する支持部分SPとを含む。光ファイバOFは、中空コアCORを有するボディ(クラッド部分及び支持部分SPを含む)を含むと考えることができる。クラッド部分は、中空コアCORを通じて放射を導くための複数の反共振要素を含む。具体的には、複数の反共振要素は、光ファイバOFを通じて伝播する放射を主に中空コアHC内に閉じ込め、光ファイバOFに沿って放射を導くように配置される。光ファイバOFの中空コアHCは、実質的には、光ファイバOFの中心領域に配置することができ、その結果、光ファイバOFの軸は、光ファイバOFの中空コアHCの軸も定義し得る。
【0134】
[000133] クラッド部分は、光ファイバOFを通じて伝播する放射を導くための複数の反共振要素を含む。具体的には、この実施形態では、クラッド部分は、6つのキャピラリ管CAPの単一リングを含む。キャピラリ管CAPの各々は、反共振要素の働きをする。
【0135】
[000134] また、キャピラリCAPは、チューブと呼ぶこともできる。キャピラリCAPは、断面が円形であっても、別の形状を有してもよい。各キャピラリCAPは、一般的に円筒形の壁部分WPを含み、壁部分WPは、光ファイバOFの中空コアHCを少なくとも部分的に定義し、中空コアHCとキャピラリキャビティCCを分離する。壁部分WPは、中空コアHCを通じて伝播する(斜入射角で壁部分WPに入射し得る)放射に対する反射防止ファブリペロー共振器の働きをし得ることが理解されよう。壁部分WPの厚さは、キャピラリキャビティCCへの透過が一般に抑制される一方で、反射して中空コアHCに戻るようにすることが一般に強化されることを保証するのに適したものであり得る。幾つかの実施形態では、キャピラリ壁部分WPは、0.01~10.0μmの厚さを有し得る。
【0136】
[000135] 本明細書で使用される場合、クラッド部分という用語は、光ファイバOFを通じて伝播される放射を導くための光ファイバOFの部分(すなわち、放射を中空コアCOR内に閉じ込めるキャピラリCAP)を意味することが意図されることが理解されよう。放射は、横モード(ファイバ軸に沿って伝播する)形式で閉じ込めることができる。
【0137】
[000136] 支持部分は、一般に、管状であり、クラッド部分の6つのキャピラリCAPを支持する。6つのキャピラリCAPは、内側支持部分SPの場合は、内面の円周方向に沿って均等に分布する。6つのキャピラリCAPは、一般的な六角形の形態に配置されているものとして説明され得る。
【0138】
[000137] キャピラリCAPは、キャピラリの各々が他の何れのキャピラリCAPとも接触しないように配置される。キャピラリCAPの各々は、内側支持部分SPと接触し、リング構造において、隣接するキャピラリCAPから離隔される。そのような配置は、光ファイバOFの伝送帯域幅を増加し得るため(例えば、キャピラリが互いに接触している配置と比べて)、有益であり得る。代わりに、幾つかの実施形態では、キャピラリCAPの各々は、リング構造において、隣接するキャピラリCAPと接触し得る。
【0139】
[000138] クラッド部分の6つのキャピラリCAPは、中空コアCORの円周方向に沿ってリング構造で配置される。キャピラリCAPのリング構造の内面は、光ファイバOFの中空コアHCを少なくとも部分的に定義する。中空コアHCの直径d(対向するキャピラリ間の最小寸法として定義され得、矢印dによって示される)は、10~1000μmであり得る。中空コアHCの直径dは、中空コア光ファイバOFのモードフィールド直径、衝突損失、分散、モード複数性及び非線形性特性に影響を及ぼし得る。
【0140】
[000139] この実施形態では、クラッド部分は、キャピラリCAP(反共振要素の働きをする)の単一リング配置を含む。したがって、中空コアHCの中心から光ファイバOFの外側に向かういかなる半径方向の線も、1つのキャピラリCAPのみ通過する。
【0141】
[000140] 他の実施形態には、反共振要素の異なる配置を提供できることが理解されよう。これらは、反共振要素の複数のリングを有する配置や、入れ子反共振要素を有する配置を含み得る。さらに、図13に示される実施形態は、6つのキャピラリを含む1つのリングを含むが、他の実施形態では、クラッド部分には、いかなる数の反共振要素(例えば、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個のキャピラリ)も含む1つ又は複数のリングを提供することができる。
【0142】
[000141] 図15(b)は、単一リング状のキャピラリ管を有する上述のHC-PCFの修正実施形態を示す。図15(b)の例では、キャピラリ管21の同軸リングが2つある。キャピラリ管21の内側リング及び外側リングを保持するために、HC-PCF内に支持管STが含まれ得る。支持管はシリカ製であり得る。
【0143】
[000142] 図13図15(a)、及び図15(b)の例のキャピラリ管は、円形の断面形状を有し得る。キャピラリ管について、楕円形又は多角形断面などの他の形状も可能である。さらに、図13図15(a)、及び図15(b)の例のキャピラリ管の中実材料は、PMAのようなプラスチック材料、シリカのようなガラス、又は軟質ガラスを含み得る。
【0144】
[000143] 図14は、広帯域出力放射を提供するための放射源RDSを示す。放射源RDSは、パルスポンプ放射源PRS、又は、所望の長さ及びエネルギーレベルの短パルスの発生が可能な他の任意の種類の放射源と、中空コアCORを有する光ファイバOF(例えば、図13に示される種類のもの)と、中空コアCOR内に配置される作動媒体WM(例えば、ガス)とを含む。図14では、放射源RDSは、図13に示される光ファイバOFを含むが、代替の実施形態では、他の種類の中空コア光ファイバを使用することができる。
【0145】
[000144] パルスポンプ放射源PRSは、入力放射IRDを提供するように構成される。光ファイバOFの中空コアHCは、パルスポンプ放射源PRSから入力放射IRDを受け取り、入力放射IRDを広げて出力放射ORDを提供するように配置される。作動媒体WMは、広帯域出力放射ORDを提供するために、受け取った入力放射IRDの周波数範囲を広げられるようにする。
【0146】
[000145] 放射源RDSは、リザーバRSVをさらに含む。光ファイバOFは、リザーバRSV内に配置される。また、リザーバRSVは、ハウジング、コンテナ又はガスセルと呼ぶこともできる。リザーバRSVは、作動媒体WMを含むように構成される。リザーバRSVは、リザーバRSV内の作動媒体WM(ガスであり得る)の組成の制御、加減及び/又はモニタリングを行うための、当技術分野で知られている1つ又は複数のフィーチャを含み得る。リザーバRSVは、第1の透明ウィンドウTW1を含み得る。使用中、光ファイバOFは、第1の透明ウィンドウTW1が光ファイバOFの入力端部IEのすぐ近くに位置するように、リザーバRSV内に配置される。第1の透明ウィンドウTW1は、リザーバRSVの壁の一部を形成し得る。第1の透明ウィンドウTW1は、受け取った入力放射周波数に対して少なくとも透過的であり得、その結果、受け取った入力放射IRD(又は少なくともその大部分)を、リザーバRSV内に位置する光ファイバOFにカップリングすることができる。入力放射IRDを光ファイバOFにカップリングするための光学系(図示せず)を提供できることが理解されよう。
【0147】
[000146] リザーバRSVは、リザーバRSVの壁の一部を形成する第2の透明ウィンドウTW2を含む。使用中、光ファイバOFがリザーバRSV内に配置される際、第2の透明ウィンドウTW2は、光ファイバOFの出力端部OEのすぐ近くに位置する。第2の透明ウィンドウTW2は、装置120の広帯域出力放射ORDの周波数に対して少なくとも透過的であり得る。
【0148】
[000147] 代わりに、別の実施形態では、光ファイバOFの両端部は、異なるリザーバ内に置くことができる。光ファイバOFは、入力放射IRDを受け取るように構成された第1の端部セクションと、広帯域出力放射ORDを出力するための第2の端部セクションとを含み得る。第1の端部セクションは、作動媒体WMを含む第1のリザーバ内に置くことができる。第2の端部セクションは、第2のリザーバ内に置くことができ、第2のリザーバもまた、作動媒体WMを含み得る。リザーバの機能は、上記の図14に関して説明されるようなものであり得る。第1のリザーバは、入力放射IRDに対して透過的であるように構成された第1の透明ウィンドウを含み得る。第2のリザーバは、広帯域出力広帯域放射ORDに対して透過的であるように構成された第2の透明ウィンドウを含み得る。また、第1及び第2のリザーバは、リザーバの内側に部分的に及び外側に部分的に光ファイバOFを置けるようにするための密封可能な開口部も含み得、その結果、リザーバ内にガスを密封することができる。光ファイバOFは、リザーバ内に含まれない中間セクションをさらに含み得る。2つの別個のガスリザーバを使用したそのような配置は、光ファイバOFが比較的長い(例えば、長さが1mを超える際の)実施形態に対して特に便利であり得る。2つの別個のガスリザーバを使用するような配置の場合、2つのリザーバ(2つのリザーバ内のガスの組成の制御、加減及び/又はモニタリングを行うための、当技術分野で知られている1つ又は複数のフィーチャを含み得る)は、光ファイバOFの中空コアHC内に作動媒体WMを提供するための装置を提供すると考えられることが理解されよう。
【0149】
[000148] この文脈では、ウィンドウは、ウィンドウへの周波数の入射放射の少なくとも50%、75%、85%、90%、95%又は99%がウィンドウを通じて透過する場合は、その周波数に対して透過的であり得る。
【0150】
[000149] 第1の透明ウィンドウTW1と第2の透明ウィンドウTW2は、両方とも、リザーバRSVの壁内に気密シールを形成することができ、その結果、作動媒体WM(ガスであり得る)をリザーバRSV内に含めることができる。ガスWMは、リザーバRSVの周囲圧力とは異なる圧力でリザーバRSV内に含めることができることが理解されよう。
【0151】
[000150] 作動媒体WMは、アルゴン、クリプトン及びキセノンなどの希ガス、水素、重水素及び窒素などのラマン活性ガス、又は、アルゴン/水素混合物、キセノン/重水素混合物、クリプトン/窒素混合物若しくは窒素/水素混合物などのガス混合物を含み得る。充填ガスの種類に応じて、非線形光学的プロセスは、変調不安定性(MI)、ソリトン自己圧縮、ソリトン分裂、カー効果、ラマン効果及び分散波発生を含み得、それらの詳細は、国際公開第2018/127266A1号及び米国特許第9160137B1号(両方とも、参照によって本明細書に援用される)において説明されている。充填ガスの分散は、リザーバRSR内の作動媒体WMの圧力(すなわち、ガスセル圧力)を変化させることによって調整できるため、生じた広帯域パルスダイナミクス及び関連のスペクトル広がり特性は、周波数変換を最適化するように調節することができる。
【0152】
[000151] 一実装形態では、作動媒体WMは、少なくとも広帯域出力放射ORDを発生させるための入力放射IRDを受け取っている間は、中空コアHC内に配置することができる。光ファイバOFが広帯域出力放射を発生させるための入力放射IRDを受け取っていない間は、ガスWMは、中空コアCOR内に全く又は部分的に存在しなくともよいことが理解されよう。
【0153】
[000152] 周波数広がりを達成するため、高強度放射が望ましい。中空コア光ファイバOFを有する利点は、それにより、光ファイバOFを通じて伝播する放射の強力な空間的閉じ込めを通じて高強度放射を達成することができ、局所的な高強度放射を達成できることである。光ファイバOF内の放射強度は、例えば、受け取った高強度の入力放射及び/又は光ファイバOF内の放射の強力な空間的閉じ込めが原因で、高い可能性がある。中空コア光ファイバの利点は、ソリッドコアファイバ及び具体的には中空コア光ファイバが紫外線範囲と赤外線範囲の両方の放射を導くことができるような、より広い波長範囲を有する放射を導くことができることである。
【0154】
[000153] 中空コア光ファイバOFを使用する利点は、光ファイバOF内で導かれる放射の大部分が中空コアCORに閉じ込められることであり得る。したがって、光ファイバOF内の放射の相互作用の大部分は、光ファイバOFの中空コア内に提供される作動媒体WMとの間で起こる。その結果、作動媒体WMによる放射の広がり効果を高めることができる。
【0155】
[000154] 受け取る入力放射IRDは、電磁放射であり得る。入力放射IRDは、パルス放射として受け取ることができる。例えば、入力放射IRDは、例えばレーザによって発生する、超高速パルスを含み得る。
【0156】
[000155] 入力放射IRDは、コヒーレント放射であり得る。入力放射IRDは、コリメートされた放射であり得、その利点は、入力放射IRDを光ファイバOFにカップリングする上での効率性を促進及び改善することであり得る。入力放射IRDは、単一の周波数、又は狭い範囲の周波数を含み得る。入力放射IRDは、レーザによって発生し得る。同様に、出力放射ORDは、コリメートされてもよく、及び/又はコヒーレントであり得る。
【0157】
[000156] 出力放射ORDの広帯域範囲は、連続した放射周波数範囲を含む連続した範囲であり得る。出力放射ORDは、スーパーコンティニウム放射を含み得る。連続放射は、幾つかの用途、例えばメトロロジ用途での使用に有益な場合がある。例えば、連続した周波数範囲は、多数の特性を問い合わせるために使用することができる。連続した周波数範囲は、例えば、測定された特性の周波数依存性を決定及び/又は除去するために使用することができる。スーパーコンティニウム出力放射ORDは、例えば、100nm~4000nmの波長範囲にわたる電磁放射を含み得る。広帯域出力放射ORDの周波数範囲は、例えば、400nm~900nm、500nm~900nm、又は200nm~2000nmであり得る。スーパーコンティニウム出力放射ORDは、白色光を含み得る。
【0158】
[000157] パルスポンプ放射源PRSによって提供される入力放射IRDは、パルス状であり得る。入力放射IRDは、200nm~2μmの間の1つ又は複数の周波数の電磁放射を含み得る。入力放射IRDは、例えば、波長1.03μmの電磁放射を含み得る。パルス放射IRDの繰り返し率は、1kHz~100MHzのオーダーであり得る。パルスエネルギーは、0.1μJ~100μJ、例えば1~10μJのオーダーを有し得る。入力放射IRDのパルス持続時間は、10fs~10psの間、例えば300fsであり得る。入力放射IRDの平均パワーは、100mW~数100Wの間であり得る。入力放射IRDの平均パワーは、例えば20~50Wであり得る。
【0159】
[000158] パルスポンプ放射源PRSは、レーザであり得る。光ファイバOFに沿って伝送されるそのようなレーザパルスの時空間伝送特性、例えばそのスペクトル振幅及び位相は、(ポンプ)レーザパラメータ、作動コンポーネントWMの変動、及び光ファイバOFパラメータの調節を通じて変化させること及び調整することができる。時空間伝送特性は、出力パワー、出力モードプロファイル、出力時間プロファイル、出力時間プロファイルの幅(又は出力パルス幅)、出力スペクトルプロファイル、及び出力スペクトルプロファイルの帯域幅(又は出力スペクトル帯域幅)のうちの1つ又は複数を含み得る。パルスポンプ放射源PRSパラメータは、ポンプ波長、ポンプパルスエネルギー、ポンプパルス幅、ポンプパルス繰り返し率のうちの1つ又は複数を含み得る。光ファイバOFパラメータは、光ファイバの長さ、中空コア101のサイズ及び形状、キャピラリのサイズ及び形状、中空コアを取り囲むキャピラリの壁の厚さのうちの1つ又は複数を含み得る。作動コンポーネントWM、例えば充填ガスのパラメータは、ガスの種類、ガスの圧力、及びガスの温度のうちの1つ又は複数を含み得る。
【0160】
[000159] 放射源RDSによって提供される広帯域出力放射ORDは、少なくとも1Wの平均出力パワーを有し得る。平均出力パワーは、少なくとも5Wであり得る。平均出力パワーは、少なくとも10Wであり得る。広帯域出力放射ORDは、パルス広帯域出力放射ORDであり得る。広帯域出力放射ORDは、少なくとも0.01mW/nmの出力放射の全波長帯域におけるパワースペクトル密度を有し得る。広帯域出力放射の全波長帯域におけるパワースペクトル密度は、少なくとも3mW/nmであり得る。
【0161】
[000160] さらなる実施形態は、後続の番号付き条項リストに開示される。
1.スペクトル広がりにより広帯域放射を発生させるための放射源アセンブリであって、放射源アセンブリが、
広帯域入力放射を提供するように構成されたポンプアセンブリであって、ポンプアセンブリが、
ポンプ波長で第1の放射を提供するように構成されたポンプ源と、
連続波長範囲を含む第2の放射を提供するように構成された広帯域アセンブリと、
を備え、
第1の放射及び第2の放射が広帯域入力放射を形成する、ポンプアセンブリと、
広帯域入力放射を受け取るように構成された光ファイバであって、スペクトル広がりによって、ファイバによって出力される広帯域放射を発生させるために、ファイバを伝播する間に受け取った広帯域入力放射をガイドするようにファイバの長さの少なくとも一部に沿って構成されたコアを備える、光ファイバと、
を備える、放射源アセンブリ。
2.広帯域アセンブリが、放射源アセンブリの出力放射の一部をフィードバックして第2の放射を提供するように構成された光フィードバックループを備える、条項1に記載の放射源アセンブリ。
3.広帯域アセンブリが、第2の放射の偏光の少なくとも一部が第1の放射の偏光と合致するように、第2の放射の偏光を設定するように構成された偏光フィルタを備える、先行する条項の何れか一項に記載の放射源アセンブリ。
4.光フィードバックループが、ファイバによって出力される広帯域放射の波長範囲の部分範囲を選択するように構成されたフィルタを備える、条項2に記載の放射源アセンブリ。
5.入力放射及び広帯域放射がパルス放射であり、光フィードバックループが、出力放射パルスの一部がファイバコア内の第1の放射パルスの少なくとも一部と空間的及び時間的にオーバーラップするように構成される、条項2に記載の放射源アセンブリ。
6.光ファイバが中空コアファイバである、先行する条項の何れか一項に記載の放射源アセンブリ。
7.光ファイバがフォトニック結晶ファイバである、先行する条項の何れか一項に記載の放射源アセンブリ。
8.フォトニック結晶ファイバが、光ファイバの中空コアを取り囲む単一のリング状のマイクロ構造を含む、条項6に従属する場合の条項7に記載の放射源アセンブリ。
9.単一リング構造が、中空コアを取り囲む複数のキャピラリを含む、条項8に記載の放射源アセンブリ。
10.中空コアが、20μm~50μmの範囲内の直径を有するか、又は30μmの直径を有する、条項6に記載の放射源アセンブリ。
11.広帯域放射がスーパーコンティニウム放射を含む、先行する条項の何れか一項に記載の放射源アセンブリ。
12.広帯域放射が、400nm~2200nmの範囲内の波長を有する放射を含む、先行する条項の何れか一項に記載の放射源アセンブリ。
13.ファイバのコアが、スペクトル広がりを促すための非線形媒体流体を含むように構成された、条項6に記載の放射源アセンブリ。
14.非線形媒体流体を収容するためのリザーバをさらに備え、リザーバ及び光ファイバが、非線形媒体流体を光ファイバの中空コアに提供するように構成される、条項13に記載の放射源アセンブリ。
15.流体が希ガスを含むガス混合物を含む、条項13又は14に記載の放射源アセンブリ。
16.流体が分子ガスを含むガス混合物を含む、条項13~15の何れか一項に記載の放射源アセンブリ。
17.ファイバの長さが5cm~40cmの範囲内である、先行する条項の何れか一項に記載の放射源アセンブリ。
18.第1の放射が、1μJ~10μJ、又は2.5μJ~4.0μJの範囲内のパルスエネルギーを有する、先行する条項の何れか一項に記載の放射源アセンブリ。
19.第2の放射が、第1の放射放射の強度の1%、2%、5%、10%、又は15%を超えない強度を有する、先行する条項の何れか一項に記載の放射源アセンブリ。
20.スペクトル広がりにより広帯域放射を発生させる方法であって、方法が、
ポンプアセンブリによって、広帯域入力放射を提供することであって、広帯域入力放射を提供することが、
ポンプ源によって、ポンプ波長の第1の放射を提供することと、
広帯域アセンブリによって、連続波長範囲を含む第2の放射を提供することと、
を含み、
第1の放射及び第2の放射が広帯域入力放射を形成する、提供することと、
光ファイバにおいて、広帯域入力放射を受け取ることと、
ファイバの長さの少なくとも一部に沿ったファイバのコアにおいて、ファイバを伝播する間に、受け取った広帯域入力放射をガイドすることによって、スペクトル広がりにより広帯域放射を発生させることと、
発生した広帯域放射をファイバの出力として提供することと、
を含む、方法。
21.条項1~19の何れか一項に記載の放射源アセンブリを備える基板上の構造の関心対象の特性を決定するためのメトロロジツール。
22.条項1~19の何れか一項に記載の放射源アセンブリを備える基板上の構造を検査するための検査ツール。
23.条項1~19の何れか一項に記載の放射源アセンブリを備えるリソグラフィ装置。
24.条項21、22、23の何れか一項に記載の装置を備えるリソセル。
【0162】
[000161] 本明細書では、リソグラフィ装置をICの製造で使用することが具体的に参照されているが、本明細書に記載のリソグラフィ装置は、他の用途を有し得ることが理解されるべきである。可能な他の用途として、一体型光学系、磁区メモリのガイダンスパターン及び検出パターン、平面パネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造がある。
【0163】
[000162] 本明細書では、本発明の実施形態をリソグラフィ装置に関連して具体的に参照している場合があるが、本発明の実施形態は、他の装置で使用され得る。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置或いはウェーハ(若しくは他の基板)又はマスク(若しくは他のパターニングデバイス)等の物体を測定又はプロセスする任意の装置の一部をなし得る。これらの装置は、まとめてリソグラフィツールと呼ばれ得る。そのようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を用い得る。
【0164】
[000163] 本発明の実施形態を光リソグラフィに関連して使用することをここまで具体的に参照してきたが、本発明は、文脈が許す限り、光リソグラフィに限定されず、他の用途で使用され得、例えばインプリントリソグラフィで使用され得ることが理解される。
【0165】
[000164] ここまで本発明の特定の実施形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明は、説明された以外の方法で実施され得る。上述の説明は、限定的ではなく、例示的であるものとする。したがって、当業者であれば明らかなように、以下に示される特許請求項の範囲から逸脱しない限り、記載された本発明に対する修正形態がなされ得る。
【0166】
[000165] 「メトロロジ装置/ツール/システム」又は「検査装置/ツール/システム」について具体的に言及しているが、これらの用語は、同一又は類似の種類のツール、装置、又はシステムを指す場合がある。例えば、本発明のある実施形態を含む検査装置又はメトロロジ装置は、基板上又はウェーハ上の構造の特性を決定するために使用することができる。例えば、本発明のある実施形態を含む検査装置又はメトロロジ装置は、基板の欠陥、又は基板上若しくはウェーハ上の構造の欠陥を検出するために使用することができる。このような実施形態では、基板上の構造の関心対象の特性は、構造の欠陥、構造の特定の部分の欠如、又は基板上若しくはウェーハ上の不要な構造の存在に関連し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10a
図10b
図11a
図11b
図12a
図12b
図13
図14
図15(a)】
図15(b)】
【手続補正書】
【提出日】2024-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトル広がりにより広帯域放射を発生させるための放射源アセンブリであって、前記放射源アセンブリが、
広帯域入力放射を提供するポンプアセンブリであって、前記ポンプアセンブリが、
ポンプ波長で第1の放射を提供するポンプ源と、
連続波長範囲を含む第2の放射を提供する広帯域アセンブリと、
を備え、
前記第1の放射及び前記第2の放射が前記広帯域入力放射を形成する、ポンプアセンブリと、
前記広帯域入力放射を受け取る光ファイバであって、スペクトル広がりにより、前記ファイバによって出力される広帯域放射を発生させるために、前記ファイバの前記長さの少なくとも一部に沿って、前記ファイバを伝播する間に前記受け取った広帯域入力放射をガイドするコアを備える、光ファイバと、
を備える、放射源アセンブリ。
【請求項2】
前記広帯域アセンブリが、前記放射源アセンブリの前記出力放射の一部をフィードバックして前記第2の放射を提供する光フィードバックループを備える、請求項1に記載の放射源アセンブリ。
【請求項3】
前記広帯域アセンブリが、前記第2の放射の偏光の少なくとも一部が前記第1の放射の偏光と合致するように、前記第2の放射の前記偏光を設定する偏光フィルタを備える、請求項1又は2に記載の放射源アセンブリ。
【請求項4】
前記光フィードバックループが、前記ファイバによって出力される前記広帯域放射の前記波長範囲の部分範囲を選択するフィルタを備える、請求項2に記載の放射源アセンブリ。
【請求項5】
前記入力放射及び前記広帯域放射がパルス放射であり、前記光フィードバックループが、出力放射パルスの前記一部が前記ファイバコア内の前記第1の放射パルスの少なくとも一部と空間的及び時間的にオーバーラップする、請求項2に記載の放射源アセンブリ。
【請求項6】
前記光ファイバが中空コアファイバである、請求項1又は2に記載の放射源アセンブリ。
【請求項7】
前記光ファイバがフォトニック結晶ファイバである、請求項に記載の放射源アセンブリ。
【請求項8】
前記フォトニック結晶ファイバが、前記光ファイバの前記中空コアを取り囲む単一のリング状のマイクロ構造を含む、請求項7に記載の放射源アセンブリ。
【請求項9】
前記単一リング構造が、前記中空コアを取り囲む複数のキャピラリを含む、請求項8に記載の放射源アセンブリ。
【請求項10】
前記中空コアが、20μm~50μmの範囲内の直径を有するか、又は30μmの直径を有する、請求項6に記載の放射源アセンブリ。
【請求項11】
前記広帯域放射がスーパーコンティニウム放射を含む、請求項1又は2に記載の放射源アセンブリ。
【請求項12】
前記ファイバの前記コアが、スペクトル広がりを促すための非線形媒体流体を含む、請求項6に記載の放射源アセンブリ。
【請求項13】
前記ファイバの前記長さが5cm~40cmの範囲内であること、
前記第1の放射が、1μJ~10μJ、又は2.5μJ~4.0μJの範囲内のパルスエネルギーを有すること、及
前記第2の放射が、前記第1の放射の前記強度の1%、2%、5%、10%、又は15%を超えない強度を有すること、
のうちの少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の放射源アセンブリ。
【請求項14】
スペクトル広がりにより広帯域放射を発生させる方法であって、前記方法が、
ポンプアセンブリによって、広帯域入力放射を提供することであって、広帯域入力放射を提供することが、
ポンプ源によって、ポンプ波長の第1の放射を提供することと、
広帯域アセンブリによって、連続波長範囲を含む第2の放射を提供することと、
を含み、
前記第1の放射及び前記第2の放射が前記広帯域入力放射を形成する、提供することと、
光ファイバにおいて、前記広帯域入力放射を受け取ることと、
前記ファイバの前記長さの少なくとも一部に沿った前記ファイバのコアにおいて、前記ファイバを伝播する間に、前記受け取った広帯域入力放射をガイドすることによって、スペクトル広がりにより広帯域放射を発生させることと、
前記発生した広帯域放射を前記ファイバの出力として提供することと、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項1又は2に記載の放射源アセンブリを備える基板上の構造の関心対象の特性を決定するためのメトロロジツール。
【国際調査報告】