IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インプリア・コーポレイションの特許一覧 ▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

特表2024-535334高解像度の潜像加工、コントラスト増強及び熱現像、加工のための装置
<>
  • 特表-高解像度の潜像加工、コントラスト増強及び熱現像、加工のための装置 図1
  • 特表-高解像度の潜像加工、コントラスト増強及び熱現像、加工のための装置 図2
  • 特表-高解像度の潜像加工、コントラスト増強及び熱現像、加工のための装置 図3
  • 特表-高解像度の潜像加工、コントラスト増強及び熱現像、加工のための装置 図4
  • 特表-高解像度の潜像加工、コントラスト増強及び熱現像、加工のための装置 図5
  • 特表-高解像度の潜像加工、コントラスト増強及び熱現像、加工のための装置 図6
  • 特表-高解像度の潜像加工、コントラスト増強及び熱現像、加工のための装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】高解像度の潜像加工、コントラスト増強及び熱現像、加工のための装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/38 20060101AFI20240920BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240920BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G03F7/38 511
G03F7/38
G03F7/004
G03F7/004 531
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518191
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 US2022044336
(87)【国際公開番号】W WO2023049237
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/247,885
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511130955
【氏名又は名称】インプリア・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Inpria Corporation
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】カルディノー,ブライアン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル・デ・シェッペル
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA01
2H196BA09
2H196FA04
2H196GA03
2H196GA36
2H196GA37
2H197CA03
2H197CA06
2H197CA10
2H197CE01
2H197CE10
2H197GA01
2H197HA03
2H197JA13
2H197JA15
2H197JA17
2H225AB03
2H225AN80P
2H225CA12
2H225CC01
2H225CC03
(57)【要約】
カルボン酸、アミド、スルホン酸、アルコール、ジオール、ハロゲン化シリル、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化スズ、アミン、チオール、又はそれらの混合物(ここで、混合物は、化合物の同じクラス又は異なるクラスであり得る)が含まれ得る、コントラスト増強剤のガス形態を使用して有機金属放射線感受性組成物のパターン形成を促進することができる。前記有機金属組成物の照射後にコントラスト増強反応性化合物との接触がなされて潜像を形成する。物理的パターンの現像前又は後にコントラスト増強剤を送達することができ、コントラスト増強剤による加工は、非照射有機金属組成物の一部又は実質的に全ての熱プロセスにおける除去を必要とし得る。コントラスト増強剤を乾式熱現像工程において使用することができる。コントラスト増強剤が別個の現像工程の後に使用される場合、コントラスト増強剤の使用は、パターン品質の改良を伴なうことができる。コントラスト増強剤による加工を実施するための装置が記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を有する基材表面上の放射線感受性有機金属組成物の照射部分と非照射部分との間の現像のコントラストを増強するための方法であって、前記有機金属組成物を独立チャンバ内で反応ガスと接触させて前記照射部分、前記非照射部分又は両方の組成を変える工程において、前記反応ガスがアミド、スルホン酸、アルコール、ジオール、ハロゲン化シリル、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化スズ、アミン、又はそれらの混合物を含む工程を含む、方法。
【請求項2】
前記非照射部分がSn-C結合を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機金属組成物が、式RSnO(2-z/2-x/2)(OH)(式中、0<x<3、0<z≦2、x+z≦4であり、
Rが、1~31個の炭素原子を有するヒドロカルビル又は有機基であり、Snに結合した炭素原子を有し、1個以上の炭素原子が1つ以上のヘテロ原子官能基で任意に置換されていてもよい)で表される組成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記有機金属組成物がオキソ-ヒドロオキソ網状構造を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記反応ガスが、1~10個の炭素原子を有する化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記反応ガスが、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、アセトアミド、尿素、プロパンアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、1-ブタノール、イソ-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、フェノール、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、イソプロパンチオール、ブチロチオール、イソブチロチオール、tert-ブチルチオール、メチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジオール、トリメチルシリルクロリド、トリメチルシリルブロミド、ジメチルシリルクロリド、ジメチルシリルブロミド、モノメチルシリルクロリド、モノメチルシリルブロミド、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、及びそれらの組合せを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記反応ガスが水を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
接触が前記有機金属組成物中のM-O-M及び/又はM-OH結合の切断をもたらす、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
接触が前記有機金属組成物からの揮発性スズ含有種の放出をもたらす、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記非照射部分が初期厚さを有し、接触が、調節された厚さを有する前記非照射部分をもたらし、前記調節された厚さが前記初期厚さよりも小さい、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記調節された厚さが、前記初期厚さの90%以下である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記調節された厚さが、前記初期厚さの50%以下である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記非照射部分が10分以下の間接触後に本質的に完全に除去されて、現像された構造物を形成する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
液体洗浄及び/又はパターン改良反応性ガスを使用して、現像された構造物を加工してパターンを改良することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記パターン改良反応性ガスが水、カルボン酸、アミド、スルホン酸、アルコール、ジオール、ハロゲン化シリル、ハロゲン化水素、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化スズ、アミン、又はそれらの混合物を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基材が半導体ウエハを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
接触が、選択された流量を有する反応ガスを用いて行われる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記選択された流量が約1標準立方センチメートル/分(sccm)~約1000sccmである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
不活性ガス流量が約0.5標準リットル/分(SLM)~約30SLMである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記接触が約100トール~約1200トールのチャンバ圧力で行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
接触が約3秒~約15分間行われる、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
接触が、約0.001トール~約10トールのチャンバ圧力で行われる、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記チャンバ圧力が、前記独立チャンバ内へのガスの前記流量を変化させることによって調節され、前記チャンバ圧力が、前記接触の時間の間に変化することができる、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記基材、前記反応ガス、及び/又は前記独立チャンバが接触の間約-45℃~約350℃の温度である、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
接触が少なくとも約10秒間約100℃~約250℃の温度及び少なくとも約0.1トールのチャンバ圧力で行われる、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
接触が現像プロセス前に行われる、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
接触が現像プロセス後に行われる、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記現像プロセスが液体ベースの現像プロセスである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記現像プロセスが、現像反応性ガスを用いて又はプラズマを用いて行われる乾式現像プロセスである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記現像プロセスが、前記有機金属組成物の照射部分を実質的に維持するネガパターンを形成する、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記現像プロセスが、前記有機金属組成物の照射部分を実質的に維持するポジパターンを形成する、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
接触が、同時に又は連続して使用される複数の反応ガスで行われる、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
接触前に、前記有機金属組成物を約45℃~約300℃の温度に少なくとも約0.1分間加熱すること及び/又は前記有機金属組成物を少なくとも約10分間老化させることを更に含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
それぞれの照射部分と非照射部分とによって形成される潜像を有する基材表面上の放射線感受性有機金属組成物を改質するための方法であって、
前記有機金属組成物を、約0.1トール~約50トールの分圧及び/又は約1sccm~約5000sccmの流量、約-45℃~約250℃の温度の独立チャンバ内のカルボン酸の蒸気と接触させて、前記非照射部分の相対量((初期非照射厚さ-最終非照射厚さ)/初期非照射厚さ)を除去する工程において、除去される前記照射部分の厚さの相対量((初期照射厚さ-最終照射厚さ)/初期照射厚さ)が除去される前記非照射部分の前記相対量の1/3以下でありながら、除去される前記非照射部分の前記相対量が少なくとも約10%である工程を含む、方法。
【請求項35】
前記非照射部分がSn-C結合を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記有機金属組成物が、式RSnO(2-z/2-x/2)(OH)(式中、0<x<3、0<z≦2、x+z≦4であり、
Rが、1~31個の炭素原子を有するヒドロカルビル又は有機基であり、Snに結合した炭素原子を有し、1個以上の炭素原子が1つ以上のヘテロ原子官能基で任意に置換されていてもよい)で表される組成物を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記カルボン酸が、1~10個の炭素原子を有するアルキル鎖を有する化合物、それらの異性体、それらのハロゲン化誘導体、及び/又はそれらのアミド誘導体を含む、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記カルボン酸が蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、安息香酸、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、アセトアミド、尿素、プロパンアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、及びそれらの組合せを含む、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記カルボン酸が酢酸を含む、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記有機金属組成物がオキソ-ヒドロオキソ網状構造を含む、請求項34~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
接触が前記有機金属組成物からの揮発性種の放出をもたらす、請求項34~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記非照射部分の10%~約90%の除去をもたらす、請求項34~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記有機金属組成物を接触後に前記非照射部分が本質的に完全に除去される、請求項34~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
接触が約10秒~約15分間行われ、前記流量が約1sccm~約5000sccmである、請求項34~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
接触が約0.001トール~約10トールのチャンバ圧力で、少なくとも1つのガスの約1~約5000sccmの流量で少なくとも約10秒間行われる、請求項34~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
接触前に、前記有機金属組成物を約45℃~約300℃の温度に少なくとも約0.1分間加熱すること及び/又は前記放射線感受性有機金属組成物を少なくとも約10分間老化させることを更に含む、請求項34~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
実質的に除去される非照射有機金属組成物を有する基材表面上の照射有機金属組成物に相当するネガパターンを有するか又は実質的に除去される照射有機金属組成物を有する基材表面上の非照射有機金属組成物に相当するポジパターンを有するパターン形成構造物の品質を改良するための方法であって、
基材表面上の放射線感受性有機金属組成物を照射することによって形成される潜像からパターンを現像してパターン形成構造物を形成する工程と、
現像工程の終了後に、前記パターン形成構造物を独立チャンバ内で反応ガスと接触させて前記パターンからスカムを除去する工程において、前記反応ガスが水、カルボン酸、アミド、スルホン酸、アルコール、ジオール、ハロゲン化シリル、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化スズ、アミン、チオール、ハロゲン化水素又はそれらの混合物から選択される工程とを含む方法。
【請求項48】
パターン形成材料がSn-C及び/又はSn-O結合を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記スカムが、ネガパターンに混在した不完全に除去された非照射有機金属組成物、ポジパターンに混在した不完全に除去された照射有機金属組成物、部分的に照射された有機金属組成物、又はそれらの混合物を含む、請求項47又は請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記スカムがマイクロブリッジを含む、請求項47~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
接触が前記スカムの組成を変化させて前記スカムからの揮発性種の放出をもたらす、請求項47~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記反応ガスが、1~10個の炭素原子を有する化合物を含む、請求項47~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記反応ガスがホルムアミド、N-メチルホルムアミド、アセトアミド、尿素、プロパンアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、1-ブタノール、イソ-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、フェノール、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、イソプロパンチオール、ブチロチオール、イソブチロチオール、tert-ブチルチオール、メチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジオール、トリメチルシリルクロリド、トリメチルシリルブロミド、ジメチルシリルクロリド、ジメチルシリルブロミド、モノメチルシリルクロリド、モノメチルシリルブロミド、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、及びそれらの組合せを含む、請求項47~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
接触が約-45℃~約350℃の温度で及び少なくとも約0.001トールのチャンバ圧力で少なくとも約3秒間行われる、請求項47~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
接触が、同時に又は連続して使用される複数の反応ガスで行われる、請求項47~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
基材上に放射線でパターン形成された潜像を有する放射線感受性有機金属組成物を乾式現像させるための方法であって、
前記潜像を有する前記組成物を反応ガスと接触させてコーティングの非照射領域のかなりの部分を除去する工程において、前記コーティングの前記非照射領域がSn-C結合を含み、前記反応ガスがアミド、スルホン酸、アルコール、ジオール、ハロゲン化シリル、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化スズ、アミン、チオール、又はそれらの混合物を含む工程を含む、方法。
【請求項57】
前記コーティングの前記非照射領域がSn-C結合を含み、前記反応ガスがカルボン酸、アミド、スルホン酸、アルコール、ジオール、ハロゲン化シリル、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化スズ、アミン、又はチオールから選択される少なくとも2つのガスの混合物を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記コーティングの前記非照射領域がSn-C結合を含み、前記反応ガスが少なくとも2つのカルボン酸、少なくとも2つのアミド、少なくとも2つのスルホン酸、少なくとも2つのアルコール、少なくとも2つのジオール、少なくとも2つのハロゲン化シリル、少なくとも2つのハロゲン化ゲルマニウム、少なくとも2つのハロゲン化スズ、少なくとも2つのアミン、又は少なくとも2つのチオールの混合物を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記組成物が、式RSnO(2-z/2-x/2)(OH)(式中、0<x<3、0<z≦2、x+z≦4であり、Rが、1~31個の炭素原子を有するヒドロカルビル又は有機基であり、Snに結合した炭素原子を有し、1個以上の炭素原子が1つ以上のヘテロ原子官能基で任意に置換されていてもよい)で表される組成物を含む、請求項56~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記反応ガスが、1つ以上のヘテロ原子官能基で任意に置換されていてもよい、1~10個の炭素原子を有する化合物を含む、請求項56~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記反応ガスがホルムアミド、N-メチルホルムアミド、アセトアミド、尿素、プロパンアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、1-ブタノール、イソ-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、フェノール、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、イソプロパンチオール、ブチロチオール、イソブチロチオール、tert-ブチルチオール、メチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジオール、トリメチルシリルクロリド、トリメチルシリルブロミド、ジメチルシリルクロリド、ジメチルシリルブロミド、モノメチルシリルクロリド、モノメチルシリルブロミド、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、及びそれらの組合せを含む、請求項56~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記反応ガスが水を更に含む、請求項56~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
接触が前記コーティングの前記非照射領域におけるSn-O-Sn及び/又はSn-OH結合の切断をもたらす、請求項56~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
接触が前記組成物からの揮発性種の放出をもたらす、請求項56~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
接触が約1sccm~約5000sccmの反応ガスの流量で行われる、請求項56~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
接触が約3秒~約15分間行われる、請求項56~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
接触が約0.001トール~約50トールの圧力の独立チャンバ内で行われる、請求項56~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記圧力が、前記独立チャンバ内への前記反応ガスの流量を変化させることによって調節される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
接触が約-45℃~約350℃の温度で行われる、請求項67又は請求項68に記載の方法。
【請求項70】
接触前に、前記有機金属組成物を約45℃~約300℃の温度に少なくとも約0.1分間加熱すること及び/又は前記有機金属組成物を少なくとも約10分間老化させることを更に含む、請求項67又は請求項68に記載の方法。
【請求項71】
基材上に放射線でパターン形成された潜像を有する放射線感受性有機金属組成物を現像するための方法であって、
放射線パターン形成材料を第1の反応ガス組成物と接触させてコーティングの非照射領域を改質させ、初期パターンを形成する工程において、前記コーティングの前記非照射領域がSn-C結合を含み、前記第1の反応ガス組成物がカルボン酸、アミド、スルホン酸、アルコール、ジオール、ハロゲン化シリル、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化スズ、アミン、チオール、又はそれらの混合物を含む工程と、
前記初期パターンを前記第1の反応ガス組成物と異なる第2の反応ガス組成物と接触させて前記初期パターンの部分を除去する工程において、前記第2の反応ガス組成物がカルボン酸、アミド、スルホン酸、アルコール、ジオール、ハロゲン化シリル、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化スズ、アミン、チオール、又はそれらの混合物を含む工程とを含む、方法。
【請求項72】
前記初期パターンを第2の反応ガスと接触させることが、前記コーティングの前記非照射領域を実質的に除去して、現像されたパターンを形成する、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記初期パターンを第2の反応ガス組成物と接触させる前に、前記初期パターンを先行して約45℃~約300℃の温度で少なくとも約0.1分間加熱すること及び/又は前記初期パターンを少なくとも約10分間老化させることを更に含む、請求項71又は請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記第1の及び/又は第2の反応ガスが水を更に含む、請求項71~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記組成物が、式RSnO(2-z/2-x/2)(OH)(式中、0<x<3、0<z≦2、x+z≦4であり、Rが、1~31個の炭素原子を有するヒドロカルビル又は有機基であり、Snに結合した炭素原子を有し、1個以上の炭素原子が1つ以上のヘテロ原子官能基で任意に置換されていてもよい)で表される組成物を含む、請求項71~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記第1の及び/又は第2の反応ガスとの接触が、前記コーティングの前記非照射領域におけるSn-O-Sn及び/又はSn-OH結合の切断をもたらす、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記第1の及び/又は第2の反応ガスがフッ素化カルボン酸及び/又はフッ素化アルコールを含む、請求項71~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
密閉チャンバと;
前記密閉チャンバ内の基材支持体において基材を回すように構成される基材支持体と;
ガス源リザーバと、前記基材支持体上に取り付けられた基材の方向に向けられ且つ基材表面の範囲にわたるガス分配を提供するように分散された複数の開口を有するガス噴霧ディスペンサーと、ガス流制御装置と、前記ガス源リザーバ及び前記ガス噴霧ディスペンサーを、前記ガス流制御装置によって加減される導管を通る流れと接続するガス導管とを含むガス供給サブシステムと;
液体リザーバと、ノズルと、前記ノズルを位置決めするための平行移動可能なアームを有するノズル支持体と、流れ制御装置と、前記液体リザーバと前記ノズルとの間に流路を提供する管材とを含む液体供給サブシステムにおいて前記ノズル支持体が、前記基材支持体上に取り付けられた基材上に液体を積もらせるように前記ノズルを構成する構造を有する、液体供給サブシステムと;
前記チャンバを出る1つ以上の排気管と;
ポンプとを含む装置。
【請求項79】
前記基材支持体のモーターと連結されて前記基材の回転を制御する制御装置と、ガス流を制御する前記ガス供給サブシステムと、前記液体供給サブシステムからの液体の送達を制御する液体供給サブシステムとを更に含む、請求項78に記載の装置。
【請求項80】
前記ガス源リザーバが、カルボン酸、アミド、スルホン酸、アルコール、ジオール、ハロゲン化シリル、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化スズ、アミン、チオール、又はそれらの混合物を含む第1のコントラスト増強剤の第1のリザーバを含む、請求項78又は請求項79に記載の装置。
【請求項81】
前記ガス源リザーバが不活性ガス供給源を更に含む、請求項80に記載の装置。
【請求項82】
前記コントラスト増強剤が前記リザーバ内で液体であり、且つ前記ガス供給サブシステムが、質量流量制御装置を通る蒸気として前記コントラスト増強剤を送達するために構成される、請求項80又は請求項81に記載の装置。
【請求項83】
前記ガス源リザーバが、第2のコントラスト増強剤の第2のリザーバを更に含む、請求項80~82のいずれか一項に記載の装置。
【請求項84】
前記液体リザーバが現像液を含む、請求項78~83のいずれか一項に記載の装置。
【請求項85】
前記現像液が有機液体を含む、請求項84に記載の装置。
【請求項86】
前記現像液が水性液体を含む、請求項84に記載の装置。
【請求項87】
基材、チャンバ、リザーバ、フローライン、ガス/蒸気又はそれらの組合せを加熱するように構成される1つ以上の加熱要素を更に含む、請求項78~86のいずれか一項に記載の装置。
【請求項88】
アクチュエーターアームが、前記ノズルを前記ガス噴霧ディスペンサーからの流路の外に移動させることができる、請求項78~87のいずれか一項に記載の装置。
【請求項89】
前記ガス分配サブシステム及び前記液体計量分配サブシステムが0.001トール~大気圧の圧力で作動するために十分なポンピング能力を有するポンプを使用して構成される、請求項78~88のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、“High Resolution Latent Image Processing and Thermal Development”(参照によって本願明細書に組み込む)と題された、2021年9月24日に出願されたCardineauらに対する係属中の米国仮特許出願第63/247,885号明細書に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、有機金属放射線パターン形成組成物の後堆積及び照射加工に関し、それはコントラスト増強剤との接触と、照射後の物理画像の現像とを必要とし得る。特に、本発明は、画像コントラストを改良する反応性蒸気処理に関し、材料の熱的除去を容易にする可能性があり、パターンの現像及び/又はパターン形成の改良を容易にする。また、本発明は、加工を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体パターン形成は、ますます小さい特徴を可能にする高性能且つ高解像度フォトレジストを必要とする。半導体デバイスの製造は一般的に、所望のデバイスを実現するために堆積、パターン形成、及びエッチングの多くの繰り返し加工工程を必要とする。パターン形成は一般的に、リソグラフィ法の使用によって達成される。リソグラフィにおいて、放射線の空中線パターンは、フォトレジストと現像プロセスの使用によって物理的パターンに変換される。
【0004】
フォトリソグラフィによって得られるパターン解像度の更なる変更をもたらす取り組みが、新規なフォトレジスト化学の開発の推進力となっている。この文脈において、有機金属放射線パターン形成可能組成物が開発されている。これらの組成物によって導入される新しい化学によって、多くの新しいプロセス能力が、パターン形成プロセスを更に改良するために利用できる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、コントラスト増強剤を含む組成物で有機スズレジストを現像するための方法に関し、ここで、前記コントラスト増強剤は、例えば、アミン、ハロゲン化シリル、アルコール、アミド、スルホン酸、カルボン酸、チオール、ハロゲン化スズ、ハロゲン化ゲルマニウム、及びそれらの混合物から選択することができる。いくつかの実施形態では、コントラスト増強剤を気体酸ハロゲン化物、HF、HCl、HBr及び/又はHIと組合せて使用して、反応を促進することができる。望ましい他の反応体と組合せて若干の水蒸気が望ましい場合がある。
【0006】
本発明の別の態様は、トリメチルハロゲン化シリルを含むコントラスト増強剤組成物で有機スズレジストを現像するための方法に関する。
【0007】
本発明の別の態様は、アルキル基を含む組成物で有機スズレジストを現像するための方法に関する。
【0008】
別の態様では、本発明は、初期現像プロセス後にパターン形成基材から材料を除去するための方法に関し、ここで、方法は、パターン形成基材を蒸気形態のコントラスト増強剤に接触させることを含む。
【0009】
第1の態様では、本発明は、潜像を有する基材表面上の放射線感受性有機金属組成物の照射部分と非照射部分との間の現像のコントラストを増強するための方法に関し、方法は、
有機金属組成物を独立チャンバ内で反応ガスと接触させて照射部分、非照射部分又は両方の組成を変える工程において反応ガスがアミド、スルホン酸、アルコール、ジオール、ハロゲン化シリル、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化スズ、アミン、又はそれらの混合物を含む工程を含む。
【0010】
第2の態様では、本発明は、それぞれの照射部分と非照射部分とによって形成される潜像を有する基材表面上の放射線感受性有機金属組成物を改質するための方法に関し、
方法は、有機金属組成物を、約0.1トール~約50トールの分圧、約100℃~約250℃の温度、約0.1sccm~約5000sccmの流量、約-45℃~約250℃の温度の独立チャンバ内のカルボン酸の蒸気と接触させて、非照射部分の相対量((初期非照射厚さ-最終非照射厚さ)/初期非照射厚さ)を除去する工程において、除去される照射部分の厚さの相対量((初期照射厚さ-最終照射厚さ)/初期照射厚さ)が除去される非照射部分の相対量の1/3以下でありながら、除去される非照射部分の相対量が少なくとも約10%である工程を含む。
【0011】
第3の態様では、本発明は、実質的に除去される非照射有機金属組成物を有する基材表面上の照射有機金属組成物に相当するネガパターンを有するか又は実質的に除去される照射有機金属組成物を有する基材表面上の非照射有機金属組成物に相当するポジパターンを有するパターン形成構造物の品質を改良するための方法に関し、方法は、
基材表面上の放射線感受性有機金属組成物を照射することによって形成される潜像からパターンを現像してパターン形成構造物を形成する工程と、
現像工程の終了後に、パターン形成構造物を独立チャンバ内で反応ガスと接触させてパターンからスカムを除去する工程において反応ガスが水、カルボン酸、アミド、スルホン酸、アルコール、ジオール、ハロゲン化シリル、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化スズ、アミン、チオール、ハロゲン化水素又はそれらの混合物から選択される工程とを含む。
【0012】
第4の態様では、本発明は、基材上に放射線でパターン形成された潜像を有する放射線感受性有機金属組成物を乾式現像させるための方法に関し、方法は、
潜像を有する組成物を反応ガスと接触させてコーティングの非照射領域のかなりの部分を除去する工程においてコーティングの非照射領域がSn-C結合を含み、反応ガスがアミド、スルホン酸、アルコール、ジオール、ハロゲン化シリル、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化スズ、アミン、チオール、又はそれらの混合物を含む工程を含む。
【0013】
第5の態様では、本発明は、基材上に放射線でパターン形成された潜像を有する放射線感受性有機金属組成物を現像するための方法に関し、方法は、
放射線パターン形成材料を第1の反応ガス組成物と接触させてコーティングの非照射領域を改質させ、初期パターンを形成する工程においてコーティングの非照射領域がSn-C結合を含み、第1の反応ガス組成物がカルボン酸、アミド、スルホン酸、アルコール、ジオール、ハロゲン化シリル、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化スズ、アミン、チオール、又はそれらの混合物を含む工程と、
初期パターンを第1の反応ガス組成物と異なる第2の反応ガス組成物と接触させて初期パターンの部分を除去する工程において第2の反応ガス組成物がカルボン酸、アミド、スルホン酸、アルコール、ジオール、ハロゲン化シリル、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化スズ、アミン、チオール、又はそれらの混合物を含む工程とを含む。
【0014】
第6の態様では、本発明は、
密閉チャンバと;
密閉チャンバ内の基材支持体において基材を回すように構成される基材支持体と;
ガス源リザーバと、基材支持体上に取り付けられた基材の方向に向けられ且つ基材表面の範囲にわたるガス分配を提供するように分散された複数の開口を有するガス噴霧ディスペンサーと、ガス流制御装置と、ガス源リザーバ及びガス噴霧ディスペンサーを、ガス流制御装置によって加減される導管を通る流れと接続するガス導管とを含むガス供給サブシステムと;
液体リザーバと、ノズルと、ノズルを位置決めするための平行移動可能なアームを有するノズル支持体と、流れ制御装置と、液体リザーバとノズルとの間に流路を提供する管材とを含む液体供給サブシステムにおいてノズル支持体が、基材支持体上に取り付けられた基材上に液体を積もらせるようにノズルを構成する構造を有する、液体供給サブシステムと;
チャンバを出る1つ以上の排気管と;
ポンプとを含む装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】コントラスト増強剤及び乾式現像剤.を使用する処理によるパターン形成有機スズコーティングの潜像加工のフローチャートである。
図2】現像後にコントラスト増強剤を使用する処理によるパターン形成有機スズコーティングの潜像加工のフローチャートである。
図3】蒸気反応性現像剤としてコントラスト増強剤を使用するパターン形成有機スズコーティングの潜像加工のフローチャートである。
図4】プロセスチャンバに接続される蒸気送達システムと共に示されるプロセスシステムの略図である。
図5】シャワーヘッド蒸気分配装置を有するプロセスシステムの略図である。
図6】プロセスチャンバに接続される蒸気送達システム及び液体送達システムと共に示されるプロセスシステムの略図である。
図7】様々な加工条件下でコントラスト増強剤に供されるパターン形成されたコートされた基材の照射領域及び非照射領域についてコーティング厚対時間の一連のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
物理的パターンの現像を促進する潜像を有する有機金属パターン形成組成物を有する基材に、化合物を乾式プロセス、すなわち、蒸気送達プロセスによって送達する。露光領域と非露光領域との間の高度のコントラストを提供する有機金属フォトレジストが開発されている。いくつかの実施形態では、パターン形成材料は、放射線感受性金属-配位子相互作用を形成するスズ-炭素結合を有するオキソ-ヒドロオキソ網状構造を形成する有機スズ組成物を含むことができる。このプロセス及び補助装置及び組成物はより広く有効であり得るが、考察は、より直接的な商業的重要性がある有機スズ組成物に主に焦点を合わせている。この高いコントラストを直接使用して物理的パターンを形成することができ、マスクとしてパターン形成レジストを使用して付加又は腐蝕によって基材にパターンを移すためにこれを使用できる。それにもかかわらず、本明細書に記載されるようなプロセスの改良は、パターン形成の効率及びパターン品質の改良及びパターン欠陥の低減をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、コントラスト増強剤化合物を使用して、有機金属パターン形成組成物の非照射部分と隣接した照射された領域との間の化学的差異を増幅する。蒸気加工工程は、コントラスト増強剤を導入するために且つコントラスト増強剤によって誘起される反応のための作業条件を制御するために望ましいことがあり得る。いくつかの実施形態では、コントラスト増強剤による処理は、パターン形成されている基材の適切な熱現像のために十分な蒸気圧を有する化合物への変換によって、処理された非照射部分の熱現像をもたらす。一連のプロセス可能性において、コントラスト増強剤は、潜像の有機金属組成物と示差的に反応して、場合により非照射材料の除去と共に(これは十分に除去される場合パターンの現像をもたらす)、組成物の照射部分と非照射部分との間のコントラストを更に増加させることができる。このように、一連の範囲の一方の端では、コントラスト増強処理は乾式現像プロセスを実際にもたらす。一連の範囲の反対側の端では、コントラスト増強処理は、コントラスト増強剤による処理の間にほとんど材料を取り除かずに後続の湿式又は乾式現像工程の間にコントラストを改良する。一連のプロセス可能性のこれらの範囲の間に中程度の加工がある。
【0017】
一段階プロセスにおいて、特に効果的な現像のためにコントラスト増強反応と熱現像とが同時に行われ、これらの実施形態のために、コントラクト増強剤は、蒸気反応性現像剤と称することができる。熱現像は、プラズマによる現像のために使用されるプラズマ発生を防ぐ代替の乾式現像プロセスを提供する。代替の又は更に別の実施形態では、コントラスト増強剤による処理の後に湿式現像又は別個の乾式現像を使用することができる。別個の乾式現像は、異なる反応性ガスの使用又はプラズマ駆動プロセスの使用を含むことができる。更に別の又は追加の実施形態では、旧来の現像プロセスの後にコントラスト増強剤及び/又は熱現像を適用して、残留物を除去して欠陥を低減することができる。更に、これらの実施形態のいずれかに基づく現像の後又は現像工程と乾燥スカム除去工程との間にある洗浄工程を使用して、パターン形成欠陥の事象を低減することができる。有機金属パターン形成組成物は、特にEUVパターン形成の文脈において、高解像度パターン形成の大きな将来性があり、パターン形成欠陥の低減は、有機金属の可能性の完全な開発を可能にする現像プロセスにおける重要な工程である。
【0018】
要約すると、コントラスト増強ガスは、それらが非照射有機金属組成物の除去を直接もたらすかどうかに関わらず、現像のために使用することができ、現像の終了後に、別個の加工工程でパターンの改良のために使用することができ、又は一般的に異なるコントラスト増強ガス組成物を使用して、両方の別個の工程について別々に行なうことができる。現像のために、コントラスト増強剤は、非照射有機金属組成物の組成を変化させる役割から乾式熱現像において非照射有機金属組成物の実質的に全てを有効に除去する役割まで、又は無除去と実質的に完全な除去との間の任意の程度の一連の役割において必要とされ得る。非照射有機金属組成物の実質的に完全な除去が達成されない場合、現像を終了するための後続の工程は、任意の湿式現像又は任意の乾式現像工程であり得、これは熱駆動であってもプラズマ駆動であってもよい。現像を終了して非照射有機金属組成物の実質的に全てを除去した後、パターンの改良工程を行なうことができる。パターンの改良のための湿式処理を下記のように行なうことができる。いくつかの実施形態では、現像が行われる方法に関係なく、熱プロセスにおけるパターンの改良のための別個の工程においてコントラスト増強ガスを使用することができる。コントラスト増強ガスを使用するパターンの改良は、これらの試剤を使用するための別個の形態である。これらのプロセスと他のプロセス態様との統合化を以下に説明する。
【0019】
パターン形成半導体デバイスの絶え間ない縮小に対する要求は、小さな且つ高忠実度の特徴を製造することができるより高性能のフォトレジスト材料の開発を促している。フォトレジストは、放射線で照射時に化学変化を受ける材料である。このような材料が、照射領域と非照射領域との間の物理的且つ化学的画像として放射線の空像を忠実に再現することが望ましい。この化学的画像は、湿式又は乾式方法によってフォトレジストの選択された領域を除去することによって現像することができる。放射線源は一般的に、フォトマスクの使用によって又はフォトレジスト全体にわたって放射線源を制御可能にラスタリングすることによって所望のパターンを形成することに向けることができる光子(可視線、紫外線、極紫外線、又はX線など)又はイオンビーム(電子ビームなど)の任意の供給源である。最新技術の適用のために、デバイス及び特徴サイズができる限り小さくなることが一般的に望ましく、一般的には、特徴サイズと放射線源の波長との間の直接的な関係が示される。例えば、現在の最新技術の商用リソグラフィ加工において、13.5nmの波長を有する極紫外線(EUV)供給源が使用される。
【0020】
ウエハ加工は一般的に、コーティング/堆積から基材からのパターンマスクの除去に至るまで基材又はウエハが受ける一連の個別プロセスを包含する。いくつかの実施形態では、基材は、任意の表面コーティング又は他の改良形態を有するシリコンウエハなどの半導体ウエハである。更に、フォトレジストパターンの階調を逆にするために階調反転プロセスを実施することができる。一般的には、ウエハプロセスは、とりわけ、コーティング、ベーク、転写工程、裏面及びエッジビード洗浄、放射線の露光、現像、アニーリング、及びエッチを包含することができ、しばしば各タイプの複数の工程を有する。これらの工程を実施するために、半導体デバイス製造中に液体、プラズマ、及びガス/蒸気プロセスがしばしば使用される。有機金属フォトレジスト、例えば、有機スズ組成物については、ガス/蒸気プロセスの使用は、有用な工程を提供することができ、全プロセスの進行との関連で本明細書に記載されている。
【0021】
最近、有機スズ化合物は、非常に高解像度を達成することができる有効なEUVフォトレジストであることが示された。高解像度パターン形成を可能にするために、これらの有機スズ材料は薄膜/コーティングとして堆積され得、従来のポリマーフォトレジスト材料との相関から高いエッチコントラストを有し、したがって下にある基材へのより効率的なパターン転写を可能にする。以下に更に記載されるように、放射線感受性パターン形成組成物を形成するために加水分解性配位子を含む前駆体を使用することができる。湿式又は乾式加工によって有機スズ堆積を実施することができるが、スピン・オン有機スズレジストは現在、Inpria Corporation(Oregon,USA)から市販されている。本明細書に記載される後照射加工は、フォトレジストの非照射部分との選択的反応によって現像のコントラストを増加させることを目的としている。
【0022】
有機スズフォトレジストなどの金属酸化物水酸化物フォトレジストは、フォトリソグラフィパターン形成において使用するためにフォトレジストとしてすぐれた性質を有することが示されている。金属酸化物水酸化物フォトレジストの例には、Stowersらによる“Patterned Inorganic Layers, Radiation Based Patterning Compositions And Corresponding Methods”と題された米国特許第9,176,377B2号明細書、及びStowersらによる “Solution Processible Hardmasks for High Resolution Lithography”と題された米国特許第9,281,207B2号明細書(それらの両方とも参照によって本願明細書に組み込む)に記載されているハフニウム及びジルコニウム酸化物水酸化物が含まれる。有機スズ酸化物水酸化物フォトレジストは、特に、高解像度及び高感度を達成することが示されている。望ましい有機スズ酸化物水酸化物フォトレジストには、“Organometallic Solution Based High Resolution Patterning Compositions”と題された、Meyersらに対する米国特許第9,310,684B2号明細書(’684号特許)、“Organometallic Solution Based High Resolution Patterning Compositions and Corresponding Methods”と題された、Meyersらに対する米国特許出願公開第2016/0116839A1号明細書及び“Organotin Oxide Hydroxide Patterning Compositions, Precursors, and Patterning”と題された、米国特許第10,228,618B2号明細書(以下、’618号特許)(それらの全てを参照によって本願明細書に組み込む)に記載されるような有機スズ材料が含まれる。特定の有機スズ組成物に関するより詳細な内容を以下に記載する。
【0023】
理論に限定されることを望まないが、EUV光子、UV光子、及びイオンビームなどの電離線への暴露中に、Sn-C結合が切断され、おそらくRを有する種の形成がある。結合の切断はヒドロカルビルR基の揮発、及び充足していない配位数を有する高反応性Sn部位の生成をもたらす。次に、コーティングにおいて他の部分との反応によって、又は加工環境中、例えば、水中での種との反応によってSn部位間の架橋及び/又は縮合により高密度化が起こり得る。このようにして、コーティングを放射線のパターンに照射することによって、コーティングにおける密度の相当するパターン形成により潜像を生じ、ここで、照射された領域は一般的に、非照射領域よりも密度が高い。典型的なEUVリソグラフィプロセスにおいて、EUV放射線への露光後にコーティングを周囲空気に暴露し、ここで水及び/又はCOとの追加の反応がコーティングの照射された領域内に起こって縮合網状構造の形成を促すことができ、それによって照射領域と非照射領域との間にかなりの化学的コントラストを生じることができる。
【0024】
化学的コントラストの物理画像を達成するために、フォトレジストは典型的に、非照射材料が選択的に除去されるネガ型プロセスで、又は照射された材料が選択的に除去されるポジ型プロセスのどちらかで現像される。有機スズフォトレジストは、どちらの型でも機能することができる。有機スズ酸化物水酸化物コーティングの照射された領域は一般的に親水性であり、したがって、水性酸又は塩基に可溶性であり、有機溶媒に不溶性である。逆に、非照射領域は一般的に疎水性であり、したがって、有機溶媒に可溶性であり、水性酸又は塩基に不溶性である。これらの有機スズ酸化物フォトレジストのためのいくつかの有用な現像剤組成物は、“Organometallic Photoresist Developer Compositions and Processing Methods”と題されたJiangらに対する米国特許出願公開第2020/0326627号明細書(以下、出願第’627号)(参照によって本願明細書に組み込む)に記載されている。本明細書に記載される加工は、コーティングの非照射部分との優先反応によって化学的コントラストを増加させて非照射コーティング部分をより疎水性及び/又はより揮発性にするように設計されるコントラスト増強剤を扱う。いくつかの実施形態では、コントラスト増強剤は、著しい揮発性を有して乾式現像においてプラズマ補助(それはプラズマグローのためにコントラストを低減し得る)を求めずに熱現像を乾式現像プロセスとして達成することができるようにする製品コーティング組成物を形成することができる。蒸気反応性現像剤としてコントラスト増強剤の併発反応がある一段階乾式現像は、先行の反応済みコーティングが除去されるときに浸透を利用することによって特に効率的であり得る。一般的には、コントラスト増強剤は、非照射の及び場合により照射された有機金属パターン形成組成物を改質することができ、非照射パターン形成組成物の一部分を除去するか、又は非照射パターン形成組成物を実質的に完全に除去することができる。
【0025】
また、現像工程後にコントラスト増強剤を使用することができる。この場合、コントラスト増強剤を使用して、マイクロブリッジを形成し得る、スカム、すなわち、不完全に除去された残留パターン形成材料の除去等によってパターン品質を改良することができ、その他のパターン欠陥は、品質管理問題のためにデバイスレベルの構成要素の不良品をもたらし得る。出願第’627号に記載されるように、代わりに又は溶液洗浄に加えて、スカム及びその他の欠陥を除去するために蒸気コントラスト増強剤を使用して、ネガ型パターンの品質を改良することができる。
【0026】
照射された有機スズパターン形成組成物を変質させる反応性ガスによる加工は、“Process Environment for Inorganic Resist Patterning”と題された、Teleckyらに対する米国特許出願公開第2021/0271170号明細書(以下、出願第’170号)(参照によって本願明細書に組み込む)に記載されている。出願第’170号に記載されるように、反応性ガスをコントラスト増強剤として使用して、照射された有機金属コーティングを反応処理することができる。いくつかの実施形態では、出願第’170号に教示される化合物を照射後に送達して、コーティングの照射部分と反応させ、親水性性質を増加させることができる。出願第’170号における反応ガスには、CO、SO、HS、CHSH、CO、COS、HOOH、NH、H、O、酸化窒素、PH、SiH、CH、エチレンオキシド又はそれらの組合せが含まれる。コーティングの照射部分のこの加工を一般的には本明細書に記載されるコントラスト増強剤と組み合わせて、コーティングの非照射部分と反応させることができる。
【0027】
また、乾式現像とも称される、無溶媒現像を有機スズ材料と共に使用できることも記載されている。乾式現像には、例えば、材料を適切なプラズマ又は適切な流動ガスに暴露することによるフォトレジストの照射領域又は非照射領域の選択的除去が含まれ得る。有機スズレジストの乾式現像は、“Dry Development of Resists”と題されたVolosskiyらによるPCT特許公開第2020/132281A1号明細書(参照によって本願明細書に組み込む)に記載されている。また、“Photoresist Development With Halide Chemistries”と題されたTanらのPCT特許出願第WO2020/264158号明細書(参照によって本願明細書に組み込む)も参照のこと。このような乾式現像プロセスにおいて、現像は、RがB、Al、Si、C、S、又はSOである小分子Rなど、ハロゲン化物(F、Cl、Br)を含有するルイス酸、例えばBCl、メチル基又は水素を含むガスを流しながら、照射された基材をプラズマ又は熱プロセスに暴露することによって達成することができる。Tanの公表は、ハロゲン化水素又は他のハロゲン化物含有化学を使用するプラズマ又は熱現像に言及する。
【0028】
更なる乾式エッチング方法は、“Photoresist Development with Organic Vapor”と題されたDictusらに対するPCT出願第WO2022/125388号明細書(以下、出願第’388号)(参照によって本願明細書に組み込む)に記載されている。出願第’388号において、乾式現像において使用するために、酸ハロゲン化物HX、X=F、Cl、Br、Iと組み合わせることができるカルボン酸蒸気が記載されている。出願第’388号に実施例は示されておらず、適切な条件は記載されていない。出願第’388号におけるプロセスは、レジスト材料の蒸着の副生成物としてチャンバを通って堆積される残留物をチャンバから清浄化するために有用であることが更に教示されている。出願第’388号における好ましい有機酸は、酸度を増加させるためにハロゲン化される。本明細書に記載されるように、カルボン酸を使用する非照射材料の示差的な除去のための適切な作業条件が記載されている。出願第’388号は、全ての蒸気加工を重要視する。
【0029】
本開示には、コーティングの非照射領域と選択的に反応して、選択された領域をより揮発性にして材料の除去を改良することができるコントラスト増強剤の使用による有機スズコーティングの現像が記載されている。コントラスト増強剤の適切な選択は、例えば、低密度有機スズ部分をより揮発性の低分子量種に変換することによって非照射領域の除去を改良することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、熱プロセスの間にコントラスト増強剤への暴露を実施することができ、この場合、コントラスト増強剤は蒸気反応性現像剤として機能することができる。いくつかの実施形態では、熱プロセスは、コントラスト増強剤を基材と接触させる前にその温度を制御することを含むことができる。他の実施形態では、熱プロセスは、コントラスト増強剤と接触させる間に基材の温度を制御することを含むことができる。このような熱プロセスには一般的に冷却又は加熱が含まれ得、ここで、例えば、コントラスト増強剤との反応が発熱性であり著しい熱を発生する場合、冷却を実施することができる。具体的には、高反応性コントラスト増強剤(すなわち、コーティングと急速に反応する試剤)については、除去速度及び後続のパターン忠実度をより良く制御するためにコントラスト増強剤へのその暴露中に基材を冷却することが有益である場合がある。他の実施形態では、熱プロセスは、除去速度を改良するために基材及び/又はコントラスト増強剤を加熱することを含むことができる。コントラクト増強剤を不活性ガスと共に送達することができる。
【0031】
照射された有機スズコーティングの現像を改良するために、現像する間にその材料の除去を容易にするためにコーティングの非照射領域と選択的に反応することができるコントラスト増強剤に基材を暴露することが有益であり得る。いくつかの実施形態では、コントラスト増強剤へのコーティングの暴露は、後続の現像剤工程の前に行なうことができる。例えば、コントラスト増強剤への暴露は、その材料の即時的除去(揮発)をほとんど伴わずに非照射領域をより低い分子量及び/又はより揮発性の種に変換することができ、次いでそれを後続の現像工程で除去することができ、ここで前記領域は基材から実質的に除去される。他の実施形態では、コントラスト増強剤へのコーティングの暴露を現像工程の間に行なうことができる。例えば、揮散剤への基材の暴露は、非照射材料のかなりの揮発(すなわち、除去及び/又は現像)を生じて物理的パターンをもたらすことができる。
【0032】
パターン形成組成物及びコーティングの形成
特に重要な実施形態では、有機金属パターン形成組成物は、基材表面上にオキソ-ヒドロオキソ網状構造を形成する有機スズ組成物である。これらの組成物は、溶液コーティング又は蒸着法を使用して形成することができ、蒸着のためにオキソ-ヒドロオキソ溶液を使用することができるが、代替の実施形態は、蒸着の間及び/又は後に加水分解してオキソ-ヒドロオキソ網状構造を形成する加水分解性配位子を有する前駆体の使用を必要とする。有機スズオキソ-ヒドロオキソ組成物を有する基材を任意に後堆積ベークに供して材料を安定化することができる。放射線を使用してコーティングをパターン形成して潜像を形成する。以下の欄において、後照射加工及びパターンの現像が考察される。
【0033】
いくつかの実施形態では、有機金属放射線感受性レジストは、式RSnO(2-z/2-x/2)(OH)(式中、0<x<3、0<z≦2、x+z≦4であり、Rは、炭素とスズ原子との結合を形成するヒドロカルビル又は有機基であり、一般的に炭素原子はsp混成状態又はsp混成状態である)でほぼ表される、酸化水酸化アルキルスズなどのアルキルスズ組成物をベースとして現像された。式がRSnO(3/2-x/2)(OH)になる場合、z=1組成物は特に重要であり得る。組成物全体において異なるR基のブレンドを使用する時にパターン形成の利点があり得、上記の式においてRは材料中の複数の異なるR基を表すことができることを理解できる。これらの組成物の特に有効な形態は酸化水酸化モノアルキルスズであり、ここで上記の式においてz=1である。特に、Rは、O、N、Si、Ge、Sn、Te、及び/又はハロゲン原子を含有する基などの多くのヘテロ原子官能基の1つで1個以上の炭素原子が任意に置換されていてもよい1~31個の炭素原子を有する部分、又はアルキル、又はフェニル若しくはシアノ基で更に官能化されたシクロアルキルであり得る。いくつかの実施形態では、Rは≦10個の炭素原子を含むことができ、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、イソブチル、又はt-アミルであり得る。R基は、直鎖、分岐状(すなわち、金属に結合した炭素原子が第二級又は第三級)、又は環状ヒドロカルビル基であり得る。各R基は個々に及び一般的に1~31個の炭素原子を有し、第二級の結合炭素原子を有する基については3~31個の炭素原子及び第三級の結合炭素原子を有する基については4~31個の炭素原子を有する。特に、分岐状アルキル配位子がいくつかのパターン形成組成物のために望ましいことがあり得、ここで、化合物は、RCSn(NR’)(R及びRは独立に、1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、及びRは水素又は1~10個の炭素原子を有するアルキル基である)として表すことができる。以下に言及するように、アルキル配位子Rのこの表現は、一般的にRCSn(X)(Xはトリアルコキシド又はトリアミド部分に相当する)の他の実施形態に同様に適用可能である。いくつかの実施形態ではR及びRは環状アルキル部分を形成することができ、Rもまた、環状部分における他の基を接合することができる。適した分岐状アルキル配位子は、例えば、イソプロピル(R及びRはメチルであり、Rは水素である)、tert-ブチル(R、R及びRはメチルである)、t-アミル(R及びRはメチルであり、Rは-CHCHである)、sec-ブチル(Rはメチルであり、Rは-CHCHであり、及びRは水素である)、ネオペンチル(R及びRは水素であり、及びRは-C(CHである)、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、及びシクロプロピルであり得る。適した環状基の例には、例えば、1-アダマンチル(第三級炭素が金属に結合した-C(CH(CH)(CH又はトリシクロ(3.3.1.13,7)デカン)及び2-アダマンチル(第二級炭素が金属に結合した-CH(CH)(CH(CH)(CH)又はトリシクロ(3.3.1.13,7)デカン)が含まれる。他の実施形態では、ヒドロカルビル基には、アリール又はアルケニル基、例えば、ベンジル又はアリル、又はアルキニル基が含まれ得る。他の実施形態では、ヒドロカルビル配位子Rには、C及びHだけからなり且つ1~31個の炭素原子を含有する任意の基が含まれ得る。要約すると、スズに結合した適したアルキル基のいくつかの例には例えば、直鎖又は分岐状アルキル(i-Pr((CHCH-)、t-Bu((CHC-)、Me(CH-)、n-Bu(CHCHCHCH-))、シクロ-アルキル(シクロ-プロピル、シクロ-ブチル、シクロ-ペンチル)、オレフィン系(アルケニル、アリール、アリル誘導体)、又はアルキニル基(スズに直接に結合したsp炭素を一般的に有さない)、又はそれらの組合せが含まれる。更なる実施形態では、適したR基には、シアノ、チオ、シリル、エーテル、ケト、エステル、又はハロゲン化基などのヘテロ原子官能基又はそれらの組合せで置換されたヒドロカルビル基が含まれ得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、Xがハロゲン化物、アミド又はアルコキシド基などの加水分解性基であるRSnX(又は一般的にRSnX4-nであり、n=1,2、若しくは3)を含む前駆体を使用してコーティングを形成することができるが、酸化水酸化アルキルスズ組成物を直接に堆積させることができる。適した加水分解性配位子には、例えば、アルキニド(RC≡C-)、アルコキシド(RO-)、カルボン酸塩(RCOO-)、ハロゲン化物、ジアルキルアミド又はそれらの組合せが含まれ得、ここで、R基は、Rについて上に記載した同じ部分のうちの1つであり得る。特に、有機スズトリアルコキシド組成物は、式RSn(ORで表すことができる。また、有機スズトリジアルキルアミド組成物は式RSn(NRで表すことができ、ここで、R及びR基はRについて上に記載した同じ部分のうちの1つであり得る。いくつかの実施形態では、有機スズ組成物は、ブレンドされた組成物が2つ以上の別個のR基を含むようにブレンドされた組成物中に存在することができる。
【0035】
加水分解性配位子を有する適切に選択された有機スズ化合物は、蒸着のために適度な温度で適切な蒸気圧を有する。代わりに、有機スズ化合物を有機溶媒中に溶解して、例えばスピンコーティングによって堆積させることができる。水蒸気又は他の酸素供給源を使用して加水分解性配位子をin situ加水分解して、オキソ-ヒドロオキソ網状構造を形成することができる。加水分解は、コーティングプロセスの間に、コーティングプロセスの後に又はそれらのいくつかの組合せで行なうことができる。
【0036】
溶液ベースの堆積については、コーティングの厚さは一般的に、前駆体溶液の濃度、粘度、及びプロセスパラメーター、例えばスピン速度などの関数であり得る。蒸着などの他のコーティングプロセスについては、一般的に厚さもまた、堆積及びコーティングパラメーター、例えば流量、サイクル時間、サイクル数等の選択によって調節することができる。いくつかの実施形態では、薄いコーティングを使用して小さな且つ高解像度の特徴の形成を促進することが望ましいことがある。いくつかの実施形態では、コーティング材料の、現像前の平均乾燥厚さは約1ミクロン以下、更なる実施形態では約250ナノメートル(nm)以下、更なる実施形態では約1ナノメートル(nm)~約100nm、更なる実施形態では約1nm~約50nm、他の実施形態では約1nm~約40nm及びいくつかの実施形態では約1nm~約25nmであり得る。上記の明示範囲内の厚さの更に別の範囲が考えられ且つ本開示の範囲内であることを当業者は認識するであろう。
【0037】
パターン形成プロセスのために有効である加工条件を選択するために得られたコーティング材料の性質の実験的評価を一般的に実施することができる。加熱はプロセスのより良い適用のために必要とされない場合があるが、コートされた基材を加熱してコーティングを高密度化して、加工を改良し、プロセスの再現性を増加させ、及び/又は揮発性副生成物の気化を促進することが望ましいことがある。ポストアプライベーク(PAB)において堆積後にコーティング材料に熱を適用する実施形態では、コーティング材料を約45℃~約250℃及び更なる実施形態では約55℃~約225℃の温度に加熱することができる。溶媒除去のための加熱は一般的に、少なくとも約0.1分、更なる実施形態では約0.5分~約30分及び更なる実施形態では約0.75分~約10分間行なうことができる。最終フィルムの厚さは、前駆体のベーキング温度及び時間並びに初期濃度によって決定される。上記の明示範囲内の加熱温度及び時間の更に別の範囲が考えられ、本開示の範囲内であることを当業者は認識するであろう。コーティング材料の熱処理、潜在加水分解、及び高密度化の結果として、コーティング材料は、溶解速度のコントラストの低下がほとんどなく屈折率及び放射線の吸収量の増加を示すことができる。
【0038】
適した放射線源には、極紫外線(EUV)、紫外線(UV)、又は電子ビーム(EB)放射線が含まれる。半導体デバイスの製造のために、EUV放射線は、紫外線と比べてそのより高解像度、及び電子ビーム(EB)による加工と比べてそのより高い処理量のために望ましいことがあり得る。一般的に放射線をマスクを通して支持材料に向けることができるか、又は放射線ビームを基材全体にわたり制御可能に走査して、レジストコーティング内に潜像を形成することができる。国際標準ISO21348(2007)(参照によって本願明細書に組み込む)に従って、紫外線は100nm以上~400nm未満の波長の間に広がり、極紫外線(EUV)は10nm以上~121nm未満である。13.5nmのEUV放射線がリソグラフィのために使用されており、この光は、高エネルギーレーザー又は放電パルスを使用して励起されるXe又はSnプラズマ供給源から発生される。EUV光子の商用供給源には、ASML Holding N.V.(オランダ)によって製造されたスキャナーが含まれる。
【0039】
コントラスト増強剤による後照射加工及び画像の現像
潜像がパターン形成放射線の露光によって形成されると、例えば、老化有り又は無しで任意の後露光ベークによって、コントラスト増強剤の蒸気送達によって、画像の現像によって、及び/又はパターンの改良によって、例えばスカム除去によって構造物を更に加工することができる。工程を任意の適当な順序で構成することができ、工程のいくつかは一緒に混ざり合うことができる。別個の現像工程が使用される場合、このような現像は液体ベースであるか、又は熱若しくはプラズマ法を使用して乾式であり得る。コントラスト増強剤は一般的に、コーティングの低密度(例えば、非照射)領域内に選択的に拡散及び/又は移動して材料の即時の又は後続の除去を容易にすることができる小分子反応体であり得る。このようなコントラスト増強剤は、例えば錯化、配位、酸/塩基化学、レドックス化学、又はそれらの組合せによって、コーティングの非照射領域と相互作用することができる。いずれの場合でも、コントラスト増強剤が非照射領域内の有機スズマトリックスと必要な反応性を有することが望ましく、オキソ及びヒドロオキソ結合(例えば、Sn-O-Sn及びSn-OH結合、又はより一般的にはM-O-M及びM-OH)が切断されるか又は割り込まれるようにでき、より揮発性又はより可溶性の種が形成されるようにできる。
【0040】
放射線への露光及び潜像の形成後、後続の後露光ベーク(PEB)が一般的に行われる。いくつかの実施形態では、周囲環境においてPEBを実施することができ、更なる実施形態ではHO、CO、CO、SO、HS、ホスフィンs、Hなどの反応性ガス、又は上に引用した出願第’170号に記載される他の反応性ガスの存在下でPEBを実施することができる。いくつかの実施形態では、PEBは約40℃~約350℃、更なる実施形態では約45℃~約300℃、更なる実施形態では約60℃~約275℃、いくつかの実施形態では約100℃~約250℃の温度で実施することができる。後露光加熱は一般的に、少なくとも約0.1分、更なる実施形態では約0.2分~約5分、更なる実施形態では約0.25分~約3分、他の実施形態では約0.3分~約2分間実施することができる。明示範囲内のPEB温度及び時間の更に別の範囲並びに上記の上限及び下限を交換した範囲(例えば0.1分~約3分)が考えられ、本開示の範囲内であることを当業者は認識するであろう。PEBは、非露光領域を金属酸化物に分解することなく露光領域を更に高密度化及び/又は圧密するように設計することができる。
【0041】
また、露光されたウエハが老化される後露光遅延を有するのが望ましいことがあり得る。後露光遅延を後露光ベークに代わる選択肢として使用することができ(しかしいくつかの実施形態ではどちらも使用できない場合もある)、又は後露光遅延を後露光ベークの前に実施することができ、又は後露光遅延を後露光ベークの後に実施することができ、又は第1の後露光遅延の後及び第2の後露光ベークの前の両方で後露光ベークを実施することができる。連続した時間枠で温度を老化温度まで冷却させておくだけである及び/又は温度を上昇させて老化工程からPEB工程まで移行させることができるので、老化工程は後露光ベークに対して不鮮明になり得る。後露光遅延の間に加熱が行われる場合、加熱温度は一般的に、後露光ベークの温度よりも低く、適切な温度傾斜を用いて異なる加熱領域間で移行させる。
【0042】
後露光遅延は、少なくとも約10分、更なる実施形態では少なくとも約20分、更なる実施形態では約25分~約7日、いくつかの実施形態では約30分~約3日、他の実施形態では約40分~約2日の時間であり得、更に別の範囲は明示的に、これらの範囲の遅延エンドポイントの任意の及び全ての組合せを包含する。後露光遅延(PED)は、本明細書に記載されるように、ウエハ上で指定雰囲気を使用して、例えば空気、改質ガス含有量を有する空気、N、アルゴン又は他の不活性ガス、又は真空を使用して実施することができる。後露光遅延は一般的に約200トール~約1200トールの圧力で実施することができ、ほぼ大気圧で実施することができる。プロセス圧力は下記に更に記載される。後露光遅延を周囲温度又は高温で実施することができ、これは、プロセス時間を加速してより短い遅延を可能にすることができる。後露光遅延の間又は後露光遅延の選択された部分の温度は、約30℃~約150℃、更なる実施形態では約40℃~約130℃、更なる実施形態では約50℃~約120℃、いくつかの実施形態では約55℃~約95℃であり得、並びに30℃~95℃などのこれらの温度エンドポイントに基づく更に別の範囲を明示的に含む。上記の明示範囲内の時間及び温度の更に別の範囲が考えられ、本開示の範囲内であることを当業者は認識するであろう。より高い温度は一般的に、長時間の間維持されない。しかし様々なプロセスパラメーターを本明細書の教示に基づいて最適化して、パターン形成の望ましい改良を得ることができる。
【0043】
有機金属レジスト組成物の放射線への露光は一般的に結合の切断を伴う。特に重要なレジスト組成物において、結合の切断は一般的に、炭素-金属結合の切断を必要とする。炭素金属結合の切断は、別の配位子-金属結合を形成することができるラジカル及び/又は金属原子などの反応種を残すことができる。有機種は一般的に、材料を出ていくガス副生成物を形成し、金属酸化物水酸化物は縮合してより金属酸化物状の構造となり及び/又は強く結合した種の網状構造を形成して高密度化し、パターン形成構造物が照射領域と非照射領域との間に高いエッチコントラストを有するようにする。例えば、高密度化された照射コーティングは、元の有機金属組成物を可溶化するために使用される有機溶媒中により不溶性になる。
【0044】
後露光加工は一般的に、露光されたコーティングの網状結合形成及び高密度化の促進及び増強を目的としている。一般的に加熱は、一般的に高密度化プロセスの一部である、格子構造の固体状態再組織化を加速することができ、加熱はまた、特定の反応を促進することができる。しかし過度の加熱は、現像のコントラストを減少させ得るコーティングの非照射部分に影響を与えることができ、そこで加熱は適切に制御されるのがよい。潜像の現像前の後露光遅延による更なる老化は、高密度化プロセスが行われる追加の時間をもたらすことができる。後コーティング加工の間、コートされたウエハを囲む雰囲気は、加工の効果にかなり影響を与え得る。雰囲気は、組成及び圧力によって特性決定され得る。
【0045】
高密度化プロセスは小さな体積変化を伴い、そこで圧力の増加は、高密度化を熱力学的に促進する傾向がある。逆もまた一般的に当てはまり、そのため、圧力の低下は高密度化を熱力学的に妨げる傾向がある。後露光遅延の間に真空が適用される出願第’170号に示される結果は、エッチコントラストの減少をもたらすことが示された。同様に、雰囲気の化学的性質は、後露光加工の効果を変えることができる。適した気体雰囲気には、例えば、空気、空気+付加的なガス、窒素、アルゴン及びその他の不活性ガス、並びに反応性ガスが含まれ得る。別個の後露光ベークとは別の後露光遅延の間に又はそれと一緒に、後露光遅延の間の加熱よりも高い温度であり得る、特定の熱を適用することができ、2つのプロセス形態が区別されるようにできる。
【0046】
様々なプロセスの時点でのウエハ上の雰囲気の化学組成に関係なく、圧力をそれに応じて調節することができる。プロセス設備における大気圧は、ベースラインとしての役割を果たすことができる。大抵の設備は海面の上にあるので、実際の平均大気圧は標準大気圧よりも小さく、天候による更なる一時的な変化がある。また、換気システムは、外圧に対してわずかな負圧を維持して設備内への又はから外へのガスの相対的な流れを制御するように設定することができる。プロセスチャンバ内で、わずかな超過圧力を維持してチャンバ内のガスを入れ換えることができる。当業者はこれらの圧力問題を認識し、実用的な観点から、約600トール~約800トールの圧力は大気圧とみなすことができ、いくつかの実施形態では800トール~1200トールの圧力は、ウエハと接触している雰囲気の正圧流を維持することに関して重要であり得る。他の圧力範囲が加工のために有用であり得る。潜在的に重要な別の範囲には少なくとも約200トールの圧力が含まれ、ウエハの加工のために真空又は低い圧力は約1トール以下の任意の圧力とみなすことができる。上記の明示範囲内の更に別の圧力範囲が考えられ、本開示の範囲内であることを当業者は認識するであろう。
【0047】
コントラスト増強剤と有機スズマトリックスとの反応は、より容易に除去可能な、おそらくより揮発性の種の形成をもたらすことができ、そのときそれを即時に又はその後基材から除去することができる。コントラスト増強剤によってもたらされる反応には一般的に、付加反応、置換反応、及び/又は酸/塩基中和反応が含まれ得る。いくつかの実施形態では、オキソ及びヒドロオキソ結合を有する反応は一般的に、網状構造形成-O-及び/又は-OH配位子を網状構造形成の傾向がずっと少ない配位子で置換することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、有機スズマトリックスの配位子の置換を含む反応は、酸/塩基中和反応を含むことができ、例えば:
RSnOH+HX→RSnX+H
RSnO+XOH→RSnX+H
コントラスト増強剤が-O-又は-OH配位子と反応して置換する傾向は一般的に、そのpKaに依存し得る。いくつかの実施形態では、コントラスト増強剤はプロトン性であり得、-O-及び/又は-OH配位子のプロトン付加を引き起こし有機スズオキソ-ヒドロオキソ網状構造を破壊し、現像において容易に除去されるより低分子量の種をもたらすことができる。他の実施形態では、コントラスト増強剤は非プロトン性であり得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、コントラスト増強剤は、配位子の置換が有機スズマトリックスにおいて達成される置換反応を受けることができる化合物を含むことができ、例えば:
RSnOH+AX→RSnX+AOH
いくつかの実施形態では、コントラスト増強剤は、コントラスト増強剤が有機スズマトリックスと錯体を形成し、配位し、又は同様に相互作用して新しい組成物を製造する付加反応を受けることができる求核性化合物を含むことができ、例えば:
RSnOH+X→RSnXOH
上記の一般反応のために、反応体を連続的に供給しながら生成物、例えばHOを連続的に除去することによって反応平衡を進めるために、熱現像プロセスに連続流又はパルス化流としてコントラスト増強剤を導入することが有利であり得る。同様に、スズ生成物が一段階プロセスにおいて同様に蒸発させられる場合、このように現像が終了されるかどうかに関わらず、又は更に別の現像が行われる場合、これは、現像目標を達成しながら平衡を更に進める。また、上記の反応は例示的であり限定的ではないことを意図していることも、理解されるはずである。
【0049】
コントラスト増強剤の使用は、プロセスの流れにおいて1つ以上の役割で使用することができる。例えば、それを照射後に及び任意の後露光ベーク後に使用して、パターンを示差的に改良することができる。加工のこの段階で、コントラスト増強剤は、非照射有機金属組成物の部分的な又は本質的に完全な除去をもたらすことができる。この加工は、非照射領域からほとんどスズが除去されないことから本質的に完全なスズの除去に至るまでこれらの境界の連続した範囲にわたることができる。下記のように、更なる加工をそれに応じて選択することができる。更に別の又は代替の実施形態では、液体現像工程又は乾式現像工程、例えば別個のコントラスト増強剤を使用する蒸気現像(乾式熱現像)又は乾式現像としてのプラズマエッチ、並びに本明細書に記載されるコントラスト増強剤を使用する乾式現像工程などであり得る、別個の現像工程の後にコントラスト増強剤を供給することができる。コントラスト増強剤の後現像工程の使用は、スカム除去、マイクロブリッジ除去等のパターンの改良をもたらすことができる。いずれの場合でも、スズ反応生成物をin situ、すなわち、反応の進行中に除去して、パターンの現像を促進することができる。
【0050】
また、コントラスト増強剤の適切な選択は、照射された材料と非照射材料との相対密度の差異に依存し得る。ネガ型現像については、その領域の材料の除去を容易にするためにコントラスト増強剤が非照射領域内に選択的に拡散することが望ましいことがある。したがって、コントラスト増強剤が立体的嵩高さと酸度との間のバランスを有することが望ましいことがある。言い換えれば、コントラスト増強剤が非照射領域内で選択的に結合及び拡散することが望ましいことがあり、それがその領域で実質的に反応するだけであるようにする。有機スズコーティングの組成物及び加工に応じて、広範な材料密度がコーティングに存在することができる。例えば、上で定義したより嵩高なR基を有する有機スズ組成物については、放射線による分解は、より小さなR基を有する組成物と比較してより大きい体積減少をもたらし得る。
【0051】
有機スズフォトレジストコーティングの密度は一般的に、関連コーティングの化学組成及び加工の両方に依存し得る。一般的には、照射前に、tert-ブチル(CHC-などのより大きい又はより嵩高なR基を有する有機スズ組成物は、メチルCHなどのより小さなR基を有する組成物よりも小さなスズ数密度を有する。密度は、所定の体積内のSn-O-Sn及び/又はSn-OH結合の数とほぼ相関関係にあり得、より嵩高なR基は一般的に、このような結合間の距離を増加させる。EUV光子などの適切な放射線源によって照射後、照射された材料は、照射された領域の縮合を抑制するR基の減少のために、非照射材料よりも大きい程度に縮合することができる。
【0052】
また、コーティングの加工は、Sn-O-Sn及び/又はSn-OH結合の濃度を増加させるその密度、特にプロセス又は工程に影響を与え得る。例えば、より高い温度での基材のベークは一般的に、コーティングを高密度化及び濃縮し、したがってSn-O-Sn及び/又はSn-OH結合の濃度を増加させる。Sn-O-Sn及びSn-OH結合は、末端であるか又は架橋、例えばO及び/又はOH結合を介した2個以上のSn原子の架橋であり得る。材料の密度は一般的に、O及びOH結合の架橋濃度によって増加し、それによってコントラスト増強剤及びその他の反応体がマトリックス内に拡散することをいっそう難しくする。上に記載したように、照射された材料の密度は一般的に、非照射材料よりも高い。
【0053】
また、有機スズコーティングの疎水性及び/又は極性は、コントラスト増強剤の適切な選択に影響を与え得る。より多い炭素を有するコーティング、例えば、R基がより多いC原子を有する組成物は一般的に、より少ない炭素を有するコーティングよりも極性が小さい。同様に、放射線に露光後、非照射領域は一般的に、実質的に完全なSn-C結合を含む、すなわち、完全なR基を含むが、照射された領域は一般的に、かなり少ないSn-C結合、すなわち、かなり少ないC含有量を含む。このようにして、コーティングの極性は、有機スズコーティングの加工及び化学組成によって具体的に制御することができる。極性がより小さい反応体は一般的に、コーティングのそれほど極性でない非照射部分にいっそう浸透性である。
【0054】
適したコントラスト増強剤は、例えば、アミン(例えば、RNH、RNH、RN)、ケイ素及びハロゲン化シリル(例えば、SiX、RSiX4-n)、アルコール(例えば、ROH)及びチオール(例えば、RSH)、ジオール(例えば、ROHR’OH)、カルボン酸(例えば、RCOOH)及びアミド誘導体(例えば、RCONH)、スルホン酸(例えば、RSOOH)、並びにそれらの組合せ及び混合物を含むことができ、ここで、R及びR’は独立に、1~10個の炭素を有する直鎖、分岐状、又は環状炭化水素基である。蒸気送達のために、コントラスト増強剤は、加工温度で十分な蒸気圧を有するのがよい。いくつかの実施形態では、基材をこれらの試剤の1つ以上に同時に又は別々に暴露することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、付加反応を引き起こすコントラスト増強剤を使用することができ、例えば、アミンを使用することができる。具体的には、適したアミンは、アンモニアNH及び/又はアルキルアミン及び1~4個の炭素を有するアルキル鎖を有するそれらの異性体、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミンジブチルアミン、ジイソブチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ピリジン、ピロリジン等、及びそれらの混合物を含むことができる。適したアミンの更なる例は、シリル誘導体、例えば、トリメチルシリルトリス(ジメチルアミン)(CHSi(NMe及びトリメチルシリルトリス(ジエチルアミン)(CHSi(NEtなどのトリメチルシリルアミンを含むことができる。いくつかの実施形態では、シリルアミドとアルキルアミンとの混合物を使用することができる。以下に更に記載されるように、コントラスト増強剤を不活性ガスと共に送達することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、置換反応を引き起こすコントラスト増強剤、例えば、ケイ素及び/又はハロゲン化シリル、ハロゲン化ゲルマニウム、及び/又はハロゲン化スズなどの14族ハロゲン化物を使用することができる。適した14族ハロゲン化物は、例えば、式RMX4-n(M=Si、Ge、又はSn、R=CH又はCHCH、n=0~3、及びX=Cl又はBr)で表される組成物を含むことができる。M=Siである適した組成物は例えば、トリメチルシリルクロリド(CHSiCl、トリメチルシリルブロミド(CHSiBr、ジメチルシリルクロリド(CHSiCl、ジメチルシリルブロミド(CHSiBr、モノメチルシリルクロリド(CH)SiCl、モノメチルシリルブロミド(CH)SiBr、テトラクロロシランSiCl、テトラブロモシランSiBr、及びそれらの組合せであり得る。また、類似したGe及びSnハロゲン化物組成物も使用することができる。14族ハロゲン化物の立体的嵩高さは一般的に、M原子のアルキル化度と相関関係にあり得、例えば、(CHSiClは一般的に、(CH)SiClよりも嵩高い。更に、14族ハロゲン化物の酸度は一般的に、M原子のアルキル化度と間接的に相関があり、例えば、(CHSiClは一般的に、(CH)SiClほど酸性ではない。14族ハロゲン化物の適切な選択は、フォトレジストコーティングの照射領域と非照射領域との間の密度及び/又は疎水性の差異によって、並びに14族ハロゲン化物のpKaによって決めることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、アルコールを使用して付加反応、置換反応、又はそれらの組合せを引き起こすことができる。適したアルコールは、R-OH(Rは1~10個の炭素を有する直鎖、分岐状、又は環状アルキル基である)、例えば、限定されないが、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、1-ブタノール、イソ-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、フェノール等、及びそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、アルキル基は、ハロゲン(例えば、F、Cl、I、Br)で置換された水素原子を含むことができ、例えばノナフルオロ-tert-ブチルアルコール((CFCOH)、ペンタフルオロフェノール(C6F5OH)等が挙げられる。アルコールコントラスト増強剤の適切な選択は、-OH基の疎水性及び/又は立体障害によって決めることができ、コーティングの非照射領域への試剤の拡散が最適であるようにする。例えば、第一アルコールは一般的に、第二アルコールほど立体障害性でなく、そして次に一般的に第三アルコールほど立体障害性でない。いくつかの実施形態では、アルコールのチオール誘導体、例えばメタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、イソプロパンチオール、ブチロチオール、イソブチロチオール、tert-ブチルチオール等、及びそれらの組合せを使用することができる。アルコールをハロゲン化することができ、例えばフッ素化することができる。いくつかの実施形態では、アルコールとチオールとの混合物を使用することができる。いくつかの実施形態では、アルコールの選択は、一つには、スズ含有反応生成物の揮発性に基づくことができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、ジオールを使用することができる。適したジオールは、1~10個の炭素原子を有する組成物及びそれらの異性体、並びにそれらの環状及びエーテル類似体、例えば、限定されないが、メチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジオール、それらの混合物等を含むことができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、カルボン酸を使用することができる。適したカルボン酸は、1~10個の炭素原子を有するアルキル鎖を有する化合物及びそれらの異性体、例えば蟻酸HCOOH、酢酸CHCOOH、プロピオン酸CHCHCOOH、酪酸CH(CHCOOH、イソ酪酸(CHCHOOH、安息香酸(C)COOH等、及びそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、アルキル鎖はハロゲン(例えば、F、Cl、I、Br)で置換された水素原子を含むことができ、例えばトリフルオロ酢酸(CFCOOH)、トリクロロ酢酸(CClCOOH)等が挙げられる。いくつかの実施形態では、カルボン酸のアミド誘導体を使用することができ、このようなアミドは、例えば、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、アセトアミド、尿素、プロパンアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド等、及びそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、カルボン酸とアミドとの混合物を使用することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、スルホン酸を使用することができる。適したスルホン酸は、一般式RSOOH(Rは1~10個の炭素原子を有する直鎖、分岐状、又は環状アルキル鎖である)で表される組成物、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸(CSOOH)等、及びそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、Rは、水素原子がハロゲン(例えば、F、Cl、I、Br)で置換されたアルキル鎖、例えばトリフリック酸(CFSOOH)を含むことができる。他の実施形態では、Rは、アミン(-NH)、チオール(-SH)、及びアルコール(-OH)などの官能基を含むことができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、コントラスト増強剤組成物は、水を更に含むことができる。いくつかのコントラスト増強剤、例えば、カルボン酸については、水は、供給源から完全に除くのは難しいことがあり得、それは、基材の表面へのコントラスト増強剤の送達を更に促進することができる。それはまた、本明細書に記載されるコントラスト増強剤と共に送達するための反応体助剤として水に加えて又は代替選択肢として、ハロゲン化水素(HF、HCl、HBr、HI、又はそれらの混合物)ガスを含有することが望ましいことがある。コントラスト増強剤と同じ分圧範囲で反応促進手段として水及びハロゲン化水素を供給することができる。同様に、同時に、順次に送達することができるコントラスト増強剤の混合物又はそれらのいくつかの組合せを使用することが望ましいことがある。
【0062】
コントラスト増強剤の望ましい選択は特定の有機スズ組成物及び作業変数に依存し得、日常実験は本明細書の教示に基づいて適切な選択を提供することができることを当業者は理解するであろう。上に記載したように、所定のコントラスト増強剤のpKaは、現像の間に反応速度に影響を与え得る。理論に限定されることを望まないが、カルボン酸及びスルホン酸などの低いpKaを有するコントラスト増強剤、又は有機スズマトリックスに対して高いpKaは、酸/塩基中和反応を引き起こして、中和種の除去を促進できることが一般的に予想される。したがって、コントラスト増強剤の適切な選択は、本明細書で考察される他の因子と共に所望のpKaによって提供することができる。
【0063】
立体的嵩高さもまた、反応表面への及び有機スズマトリックス中へのコントラスト増強剤の拡散に対する因子である。例えば、理論によって限定されることを望まないが、トリメチルシリル(TMS)基を含む組成物は、TMS基のサイズ及びH置換基へのその一般的な同様な挙動のために、特定のコントラスト増強剤組成物を調節するのに有用であり得ると考えられ、したがって、それは、所定の有機スズ組成物の現像のためにコントラスト増強剤の組成物を適切に調節するための独自の機会を与える。他の実施例において、コントラスト増強剤のR基をより嵩高な基で置換することによって、密度の高い有機スズオキソ-ヒドロオキソマトリックス内への拡散する能力が低くなるため、照射された領域の反応速度を減少させることができる。いくつかの実施形態では、複数のコントラスト増強剤を同時に又は連続して使用することができる。いくつかの実施形態では、コントラスト増強剤をN、He、Ne、Ar、Kr、及び/又はXeなどの不活性ガスの存在下で又はこれを使用して送達することができ、それは一般的に、システムを通るパルス化流又は連続流を必要とする。
【0064】
揮発ガスとして機能し得る、コントラスト増強剤を導入して照射されたコーティングと反応させることは一般的に、放射線に露光後に実施することができる。いくつかの実施形態では、照射された基材上で後露光ベーク(PEB)を実施してコーティングを加熱し、照射された領域を更に濃縮し、それによって照射領域と非照射領域との間の化学的(例えば、疎水性)及び/又は物理的(例えば、密度)コントラストを増加させることが有益であり得る。後露光ベークの適用は、上に更に説明されている。後露光ベークの特定の条件をコントラスト増強剤の選択と適合しているように調節して、コントラスト増強剤からの所望の性能を達成することができる。放射線への露光後、照射された領域は一般的に、非照射領域よりも少ない炭素含有量を有し、したがって、一般的に、非照射領域に対してより高い密度に促進され得る。
【0065】
後露光ベークが行われるかどうかに関わらず、現像及び/又はコントラスト増強剤への暴露と同時に熱を適用することが望ましいことがある。熱は、反応生成物を揮発させて、プロセスチャンバからのそれらの除去並びにコントラスト増強剤との反応の促進を可能にするために有用であり得る。ウエハ/基材、ガス及び/又はチャンバ自体を加熱又は冷却して、加工のための所望の温度を提供することができる。温度は約-45℃~約350℃、更なる実施形態では約-10℃~約300℃、更なる実施形態では約0℃~約250℃であり得る。反応時間は少なくとも約0.1分、更なる実施形態では約10秒~約5分、更なる実施形態では約20秒~約3分であり得る。いくつかの実施形態では、チャンバ圧力は約100トール~約1200トール及び更なる実施形態では約200トール~ほぼ大気圧(約760トール)であり得るが、以下に言及するように、チャンバ内のガスは一般的に流動しており、流量もまた重要である。反応ガスの低めの分圧を考慮してこれらの圧力を維持するために、不活性希釈ガスをコントラスト増強剤と共に送達することができる。代替の実施形態では、不活性ガスを使用しなくてもよく、以下に指示した通り、チャンバ圧力はコントラスト増強剤の分圧にほぼ等しくなるようにする。当業者は、上記の明示範囲内の反応/加熱時間、圧力及び温度の更に別の範囲が考えられ、本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0066】
気化されたコントラスト増強剤を所望の流量及び/又は定圧でチャンバ内に流入させることによって、コントラスト増強剤を、基材を保有するプロセスチャンバ内に導入することができる。2つ以上のコントラスト増強剤及び/又は不活性ガスがプロセスにおいて使用される場合、それぞれ個別のコントラスト増強剤又は不活性ガスの分圧及び/又は流量を制御することができる。いくつかの実施形態では、チャンバ内のそれぞれのコントラスト増強剤及び/又は不活性ガスの分圧は、いくつかの実施形態では約1ミリトール~約10トールの間、他の実施形態では約10ミリトール~約8トール、他の実施形態では約50ミリトール~約7トール、及び更なる実施形態では約100ミリトール~約5トールであり得る。プロセスチャンバ内へのそれぞれの個別の反応性ガスの流量を、例えば、いくつかの実施形態では、約0.5sccm~約1000sccm、他の実施形態では、約1sccm~約500sccm及び更なる実施形態では約2sccm~約200sccmに変化させることによって圧力を特定のポンピング速度で制御することができる。より高いチャンバ圧力が使用されるか又はより低いチャンバ圧力が使用されるかにかかわらず、チャンバ圧力を要望通りに加工の進行中に変化させることができる。使用される場合、不活性ガスをより高い速度で送達することができ、これらを使用して反応性ガスの選択された流量を変化させずにより高いチャンバ圧力を維持することができる。不活性ガス流量は、約0.5標準リットル/分(SLM)~約30SLM、更なる実施形態では約1SLM~約20SLM及び更なる実施形態では約3SLM~約15SLMであり得る。望ましいガス流量は、加工を実施するために使用されるチャンバのサイズに依存し得ることは当業者によって一般的に理解されるべきである。一般的には、より低いガス流量をより小さなチャンバのために使用することができ、より高い流量をより大きなチャンバのために使用することができる。例えば、約1Lのサイズを有するチャンバ及び1~100sccmのガス流量を含むプロセスについては、より大きい50Lチャンバは50~5000sccmという約50倍高い流量を相応して必要とすることを予想することができる。上記の範囲内の圧力及び流量の更に別の範囲が考えられ、本開示の範囲内であることを当業者は理解するであろう。
【0067】
コントラスト増強剤の使用のためのプロセスの流れは、いくつかの現在望ましい実施に関連するより具体的な実施形態を示すために3つの図面で提供するのが便利である。図1は、パターン形成有機スズコーティングの潜像プロセスのフローチャートを示し、ここで、コントラスト増強剤は乾式現像剤による処理前に使用されるが、代替の実施形態は液体現像剤を必要とし得る。図2は、パターン形成有機スズコーティングの潜像加工のフローチャートを示し、ここで、コントラスト増強剤はパターンの改良のために現像工程後に使用される。図3は、パターン形成有機スズコーティングの潜像加工のフローチャートを示し、ここで、コントラスト増強剤は蒸気反応性現像剤として使用される。
【0068】
図1のフローチャートにおいて、有機スズ組成物が基材上に堆積される100。堆積は、スピンコーティングなどの溶液ベースの方法、又は物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)などの蒸気ベースの方法、又はそれらの改良形態を使用することができる。任意の予備露光ベーク102後に、コートされた基材をEUV放射線などの放射線に露光して104、潜像を有するコーティングを形成する。任意の後露光ベーク(PEB)及び/又は遅延106後に、パターン形成コート基材を適したチャンバ内で蒸気ベースのコントラスト増強剤/乾式現像剤による処理108に供する。コントラスト増強剤と共に使用するための任意の加熱プロトコルは、コントラスト増強剤の温度を制御すること、基材の温度を制御すること、及び/又は後処理ベークを実施することを包含することができる。選択された時間の間及び選択された流量/チャンバ圧力でコントラスト増強剤と接触後、次にコートされた基材を、コントラスト増強剤とは別の蒸気ベースの乾式現像剤と接触させる。任意の加熱プロトコルは、乾式現像剤の温度を制御すること、基材の温度を制御すること、又は後現像ベークを実施することを包含することができる。蒸気ベースのコントラスト増強剤による処理108を繰り返すことができる。
【0069】
画像の部分的現像、言い換えれば非照射材料の除去は、コントラスト増強剤による処理と同時に行われてもよい。揮発性種などの反応生成物を処理工程の間にチャンバから除去することができる。いくつかの実施形態では、揮発性種は、反応性ガス流を使用してコーティングの表面から及び/又はチャンバから除去される。いくつかの実施形態では、パージガスのパルスを用いてもよい。揮発性種の除去は、コントラスト増強剤及び/又は乾式現像剤による処理の間連続しているか又は処理の間不連続な時間であり得る。他の実施形態では、例えばコントラスト増強剤による処理後及び乾式現像剤による処理前に、反応生成物は洗浄液体を使用して除去されるが、代替の実施形態は液体現像剤の使用を含むことができる。洗浄液体を室温などの選択された温度で送達することができる。別個の現像工程が使用される場合、熱現像のためのすでに確認された反応ガスを使用して又はプラズマを使用して乾式現像を実施することができる。本明細書に記載されるコントラスト増強剤は、現像プロセスを促進するために有効であり得、液体洗浄に代わる選択肢として別個の現像の後に乾式現像反応体として及び/又はパターンの改良のための有効な試剤として作用する。
【0070】
現像後、次に基材を任意の洗浄/スカム除去110に供して、例えば、スカム除去、マイクロブリッジ除去、又は他の特徴の増強によって、改良されたパターン形成基材を提供する。洗浄/スカム除去110は、現像されたコーティングの部分を除去して、パターン寸法を制御することができる。いくつかの実施形態では洗浄/スカム除去110は、コントラスト増強剤との反応の生成物を除去することができる。洗浄/スカム除去100は、現像されたコーティングのための溶媒である液体による洗浄及び/又は蒸気ベースのコントラスト増強剤によるスカム除去を必要とし得、任意に乾燥又はベーク工程の導入を有する。パターンの改良/スカム除去のための蒸気ベースのコントラスト増強剤の使用条件は、現像前のコントラスト増強のために上に記載された同じ範囲内であり得、本明細書の教示に基づいて所望の結果を得るために調節を行なうことができる。パターンの改良のための洗浄溶液の使用は、“Patterned Organometallic Photoresists and Methods of Patterning”と題されたKocsisらに対する米国特許出願公開第2020/0124970号明細書(以下、出願第’970号)(参照によって本願明細書に組み込む)に更に記載されている。
【0071】
図2のフローチャートを参照して、有機スズ組成物が基材上に堆積される120。堆積は、スピンコーティングなどの溶液ベースの方法、又は物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)などの蒸気ベースの方法、又はそれらの改良形態を使用することができる。任意の予備露光ベーク122後に、コートされた基材をEUV放射線などの放射線124に露光して、潜像を有するコーティングを形成する。任意の後露光ベーク(PEB)及び/又は遅延126及び蒸気ベースのコントラスト増強剤による任意の処理128後に、パターン形成コート基材を現像130に供する。現像130は液体ベースであっても蒸気ベースのプロセスであってもよい。蒸気ベースの現像が以下に例示される。一般的には、コントラスト増強剤による加工は、化学的改質と共に非照射有機スズパターン形成組成物の若干の揮発を伴うことがある。いかなる程度の材料の除去も有益であり得る。コントラスト増強剤が非照射有機スズ組成物の全ての又は本質的に除去をもたらす限り、コントラスト増強剤は乾燥展開剤であるとみなすことができる。任意の湿式現像又は代替の乾式現像プロセスが以下に更に記載されている。
【0072】
現像130後、パターン形成コート基材を適したチャンバ内で蒸気ベースのコントラスト増強剤による処理132に供して、改良されたパターン形成基材を提供することができる。処理時間、コントラスト増強剤蒸気の流量、及び/又はチャンバ圧力を調節することができ、適切なパラメーター範囲は上に詳細に考察されている。任意の加熱プロトコルは、コントラスト増強剤の温度を制御すること、基材の温度を制御すること、後現像乾燥及び/又はベーク工程を実施すること、及び/又は後処理ベークを実施することを包含することができる。更なる選択肢として、洗浄/スカム除去工程を蒸気ベースのコントラスト増強剤による処理132後に実施することができる。蒸気ベースのコントラスト増強剤による処理132の間に揮発性種などの反応生成物をチャンバから除去することができる。いくつかの実施形態では、揮発性種は、蒸気処理プロセスの間に又は任意にパージガスを使用してコーティングの表面から及び/又はチャンバから除去される。いくつかの実施形態では、パージガスのパルスを用いてもよい。他の実施形態では、反応生成物は、蒸気ベースのコントラスト増強剤による処理132後に洗浄液体を使用して除去され、洗浄液体は、代わりに、液体現像剤とみなすことができる。洗浄液体を室温などの選択された温度で送達することができる。図2によるプロセスは、基材120上への有機スズの堆積、蒸気ベースのコントラスト増強剤による任意の処理128、現像130、及び蒸気ベースのコントラスト増強剤による処理132のための適したチャンバを順次に使用して実施することができる。代わりに、図2によるプロセスは、図6の実施例に対して以下に説明されるような、液体ベースのプロセス及び蒸気ベースのプロセスの両方に対応するように設計された多機能性チャンバプロセスシステムにおいて実施することができる。
【0073】
図3のフローチャートを参照して、略述した手順において、有機スズ組成物が基材140上に堆積される。堆積は、スピンコーティングなどの溶液ベースの方法、又は物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)などの蒸気ベースの方法、又はそれらの改良形態を使用することができる。任意の予備露光ベーク142後に、コートされた基材をEUV放射線などの放射線144に露光して、潜像を有するコーティングを形成する。任意の後露光ベーク(PEB)及び/又は遅延146後に、適したチャンバ内でパターン形成コート基材を蒸気反応性現像剤で処理される処理148に供して、物理的にパターン形成されたコーティングを基材上に提供する。蒸気反応性現像剤の温度、基材の温度、及びチャンバからの揮発性種の流出を蒸気反応性現像剤による処理148の間に制御することができる。揮発性種などの反応生成物を処理工程の間にチャンバから除去することができる。いくつかの実施形態では、揮発性種は、反応ガス流を使用して又は別々にパージガスを使用してコーティングの表面から及び/又はチャンバから除去される。いくつかの実施形態では、パージガスのパルスを用いてもよい。揮発性種の除去は、処理148の間連続しているか又は処理148の間不連続な時間であり得る。他の実施形態では、反応生成物及び/又は残留材料は、洗浄液体を使用して処理148後に除去され得る。洗浄液体を室温などの選択された温度で送達することができる150。洗浄液体との任意の接触中、基材を洗浄/スカム除去150に供して、例えば、スカム除去、マイクロブリッジ除去、又は他の特徴の増強によって、改良されたパターン形成基材を提供する。洗浄/スカム除去150は、現像されたコーティングの部分を除去して、パターン寸法を制御することができる。いくつかの実施形態では洗浄/スカム除去150は、処理148から生じる蒸気反応性現像剤との反応の生成物を除去することができる。洗浄/スカム除去150は、現像されたコーティングのための溶媒である液体による洗浄及び/又は蒸気ベースのコントラスト増強剤によるスカム除去を必要とし得、任意に乾燥又はベーク工程の導入を有する。代替の又は更に別の実施形態では、異なるコントラスト増強組成物を使用してコントラスト増強剤を現像後に送達して148、パターンの改良のプロセスを実施することができる。
【0074】
現像プロセスの温度を制御して、例えば、照射領域と非照射領域との間の、又はコントラスト増強剤及び/又はプラズマイオン及び/又はラジカルに少なくとも部分的に暴露され得るレジスト及びその他の層の任意の領域の間のエッチを選択的に調節するのを助けるのが望ましいことがある。いくつかの実施形態では、様々な加熱及び/又は冷却要素及び関連制御装置が、チャンバ内に又はその周りに存在していてもよい。いくつかの実施形態では、基材マウントは、チャンバ内のウエハを加熱することができる加熱要素を含むことができる。他の実施形態では、基材マウントは、チャンバ内のウエハを冷却することができる冷却要素を含むことができる。他の実施形態では、基材マウントは、ウエハを加熱又は冷却することができる要素を含むことができる。
【0075】
加工のいくつかの実施形態では、多数の入口及び出口をチャンバに取り付けてチャンバ内への所望のガスの送達をもたらすことができ、真空又はガス流によってチャンバから種を除去することができる。コントラスト増強剤及び/又は関連プラズマ発生イオン及び/又はラジカルが基材表面上のフォトレジストに達することができるように、現像されることが要求されるフォトレジストを含む基材のためのマウントは、チャンバ内に、又はチャンバに十分に近接して存在することができる。
【0076】
蒸気ベースの処理のための適したプロセスシステム300の配置図が図4に示される。プロセスシステム300は、蒸気送達システム301及びプロセスチャンバ314を有する。いくつかの実施形態では、蒸気送達システム301はプロセスガス302を有する。いくつかの実施形態では、蒸気送達システム301は、蒸気送達のためのプロセス液体のリザーバ303を有する。プロセスガス供給302及び/又はプロセス液体リザーバ303は、上に記載されたようにコントラスト増強剤を含む。いくつかの実施形態では、蒸気送達システム301は不活性ガスの供給源304を有する。プロセス液体303を液体流れ制御装置305によって気化装置306に送達することができる。混合装置307は、プロセスガス302、気化されたプロセス液体、及び/又は不活性ガス304の制御された流れを受け取り、それぞれを1つ以上の入口弁308によって制御する。いくつかの実施形態では、蒸気送達システム301はプラズマ装置309を有する。温度調節器310を提供して、プロセスチャンバ314に入るプロセス蒸気312の温度を制御する。
【0077】
プロセスチャンバ314は蒸気分配装置316を有する。蒸気分配装置316は、様々な適した形状及び設計からの選択を有することができる。いくつかの実施形態では、蒸気分配装置316は複数の孔設計を有するシャワーヘッド形状を有し、その1つの実施形態は図5に示される。プロセスチャンバ314は支持体318を有する。基材320は蒸気分配装置316の下に配置され、支持体318上にある。いくつかの実施形態では、支持体318は加熱/冷却装置322によって温度制御され得る。支持体318をモーターに接続して基材加工のために支持体318を回転させることができる。支持体318を手動で又はリモートで上下させて基材と蒸気分配装置との間の距離を調節することができる。圧力弁324は、プロセスチャンバ314内の揮発性反応生成物の圧力及び濃度の制御をもたらす。圧力弁324を真空ポンプなどのポンプに接続することができる。いくつかの実施形態では、制御装置326を提供してプロセスシステム300の要素をリモートで制御する。
【0078】
図5は、プロセスシステム300の簡略図の一部として蒸気分配装置306の一実施形態を示す。蒸気送達システム402と圧力弁412を有するプロセスチャンバ404とを有するプロセスシステム400が示される。プロセスチャンバ404内にシャワーヘッド蒸気分配装置406、基材408、及び支持体410がある。基材表面上のより均一な蒸気接触をもたらすための任意のゲート付きナノチャネルグリッドを有するシャワーヘッド蒸気分配装置406が示される。
【0079】
図6は、適した多機能性チャンバプロセスシステム600の配置図を示す。プロセスシステム600は、蒸気送達システム601及びプロセスチャンバ614を有する。いくつかの実施形態では、蒸気送達システム601は、プロセスガスのリザーバ602を有する。いくつかの実施形態では、蒸気送達システム601は、プロセス液体のリザーバ603を有する。プロセスガスのリザーバ602及び/又はプロセス液体のリザーバ603は、上に記載されたようにコントラスト増強剤を含む。いくつかの実施形態では、蒸気送達システム601は、不活性ガス604のリザーバを有する。プロセス液体603を液体流れ制御装置605によって気化装置606に送達することができる。混合装置607は、プロセスガス602、気化されたプロセス液体、及び/又は不活性ガス604の制御された流れを受け取り、それぞれを1つ以上の入口弁608によって制御する。いくつかの実施形態では、蒸気送達システム601はプラズマ装置609を有する。温度調節器610を提供して、プロセスチャンバ614に入るプロセス蒸気612の温度を制御する。
【0080】
プロセスチャンバ614は蒸気分配装置616を有する。蒸気分配装置は、様々な適した形状及び設計からの選択を有することができる。いくつかの実施形態では、蒸気分配装置616は、その1つの実施形態が図6に示される、複数の孔設計を有するシャワーヘッド形状を有する。プロセスチャンバ614は支持体618を有する。基材620は蒸気分配装置616の下に配置され、支持体618上にある。いくつかの実施形態では、支持体618は、加熱/冷却装置622によって温度制御され得る。流体送達ノズル628は、それぞれ入口弁636、638、及び640、並びに入口弁642によって制御されるプロセス液体リザーバ630、プロセス液体リザーバ632、又はプロセス液体リザーバ634からの制御された流れを受け取る。いくつかの実施形態では、プロセス液体リザーバ630は有機スズ前駆体溶液を貯蔵する。いくつかの実施形態では、プロセス液体リザーバ632は現像剤液体を貯蔵する。いくつかの実施形態では、プロセス液体リザーバ634は洗浄液体を貯蔵する。リトラクタブルアーム644を提供して流体送達ノズル628を支持すると共に流体送達ノズル628の位置の調節を可能にし、これはまた、蒸気送達を終えて送達ノズル628の移動を提供することができる。支持体618をモーター646に接続して、スピンコーティングによる基材上へのフィルムの堆積、液体ベースの現像、及び/又は洗浄/スカム除去などの基材加工のために支持体618を回転させる。加工液体の除去のためにドレイン648を提供する。支持体618を手動で又はリモートで上下させて基材と蒸気分配装置との間の距離を調節することができる。圧力弁624は、プロセスチャンバ614内の揮発性反応生成物の圧力及び濃度の制御をもたらす。圧力弁624を真空ポンプに接続することができる。いくつかの実施形態では、制御装置626を提供してプロセスシステム600の要素をリモートで制御する。
【0081】
より具体的には、現像プロセスは一般的に、熱的及び/又はプラズマプロセスにおいて、処理されたコーティングを基材上に導入して接触させることを含むことができる。いくつかの実施形態では、熱プロセスは、コントラスト増強剤をコートされた基材と接触させる前にそれの温度を制御することを含むことができる。更に別の又は代替の実施形態では、熱プロセスは、コントラスト増強剤と接触させる間に基材の温度を制御することを含むことができる。このような熱プロセスには一般的に冷却又は加熱が含まれ得る。高反応性コントラスト増強剤(すなわち、著しく高いpKa又は低いpKaを有するコントラスト増強剤)を使用するいくつかの実施形態では、除去速度をより良く制御し且つ後続のパターン忠実度を改良するためにコントラスト増強剤へのその暴露中に基材を冷却することが有益である場合がある。冷却を使用する実施形態では、熱プロセスは、約-80℃~約0℃、他の実施形態では約-60℃~約-20℃、及び更なる実施形態では約-50℃~約-30℃であり得る。いくつかの冷却実施形態については、液体窒素は特に有用な冷却液であり得る。他の実施形態では、熱プロセスは、基材を加熱することを含むことができる。いくつかの実施形態では、熱プロセスを行なうために適した温度範囲は約20℃~約400℃、他の実施形態では約40℃~300℃、更なる実施形態では約50℃~200℃であり得る。熱プロセスの時間はいくつかの実施形態では約0.1分~約10分、更なる実施形態では約0.2分~約5分、また更なる実施形態では約0.3分~約2分であり得る。上記の範囲内の温度及び時間の更に別の範囲が考えられ、本開示の範囲内であることを当業者は理解するであろう。
【0082】
図1~3のプロセスの流れの文脈で考察するとき、いくつかの実施形態では、別個の現像工程を通じてこれを支援してコントラスト増強剤を使用することができる。別個の現像工程に対して、液体現像工程又は乾式現像工程を使用することができる。乾式現像工程は、熱プロセスにおいて及び/又はプラズマの使用によって非照射材料を現像するガスをベースとすることができる。上に記載されたように、現像工程は、コントラスト増強剤の使用に対して選択されたプロセス位置で使用することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、照射された基材をプラズマと接触させてガス/蒸気コントラスト増強剤による処理とは別個の工程として現像を行なうことが望ましい場合がある。プラズマ乾式現像プロセスにおいて、フォトレジストを1つ以上のガスのイオン及び/又はラジカルなどの適した化学種に暴露する。乾式現像プロセスは、プラズマ発生チャンバ内で又はプラズマ発生チャンバの近傍で行われることができ、イオン及び/又はラジカルがフォトレジスト材料に達することができるようにする。プラズマ発生チャンバは、誘導結合プラズマ(ICP)反応器、変成器結合プラズマ(TCP)反応器、又は容量結合プラズマ(CCP)反応器などの任意の適したプラズマ反応器を含むことができる。このような反応器は、本技術分野に公知の適切な技術及び装置を使用して構成することができる。プラズマを使用する乾式現像は、プラズマ発生のための適した化合物の概要と共に上に更に記載されている。
【0084】
本明細書に記載の有機スズ組成物は一般的に、ネガ又はポジパターン形成のための溶液と共にパターン形成され得るが、ここでの焦点はネガパターン形成にある。これらの有機スズ酸化物フォトレジストのための有用な現像剤組成物は、“Organometallic Photoresist Developer Compositions and Processing Methods”と題されたJiangらに対する米国特許出願公開第2020/0326627号明細書(本願明細書に参照によって組み込む)に記載されている。一般的には、有機溶媒が現像剤として使用される場合ネガ型パターン形成が達成され、ここで、露光されていない材料は溶解除去され、露光された材料は残存する。
【0085】
特に、ネガ型画像形成については、現像剤は、前駆体溶液を形成するために使用される溶媒など、有機溶媒を含むことができる。一般的には、適切な現像剤溶媒組成物の選択は、照射済み及び非照射の両方のコーティング材料に対する溶解パラメーター、並びに現像剤の揮発性、易燃性、毒性、粘度、及び他のプロセス材料との潜在的化学的相互作用によって影響され得る。特に、適した現像剤溶媒には、例えば、芳香族化合物(例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン)、エステル(例えば、プロピレングリコールモノメチルエステルアセテート、エチルアセテート、エチルラクテート、n-ブチルアセテート、ブチロラクトン)、アルコール(例えば、4-メチル-2-ペンタノール、1-ブタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、メタノール)、ケトン(例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール)等が含まれる。現像は、約5秒~約30分、更なる実施形態では約8秒~約分及び更なる実施形態では約10秒~約10分間行なうことができる。上記の明示範囲内の更に別の範囲が考えられ、且つ本開示の範囲内であることを当業者は認識するであろう。
【0086】
ネガ型又はポジ型現像プロセスにおけるように、上記の考察に基づいて初期現像の間に、相当な量の材料が基材から除去される。しかしながら、いくつかの場合、初期現像プロセスは、例えば、不完全な現像、材料の不均質性、及び確率的影響のために基材上に残っている、スカム、残留物、マイクロブリッジ等の有害に高いライン幅の荒さ(LWR)及び/又は欠陥を有するパターンを生じ得る。いくつかの実施形態では、したがって、液体、熱又はプラズマ法などの追加のプロセスを実施して、本明細書に記載されるコントラスト増強剤組成物を含む現像化学の影響をより受けるようになり得る、不要な材料を除去することが望ましいことがある。上記の図1~3の場合では、パターンの改良のためのコントラスト増強剤の使用が様々なプロセスの流れにおいて考察される。このように、コントラスト増強剤の送達及びコントラスト増強剤で改質されたコーティングの熱現像又は他の後続の現像を初期に現像されたパターンに適用してパターンの改良を行なうことができる。コントラスト増強剤の使用のための上記のプロセス選択肢の全てを初期に現像された基材の場合に同様に適用することができる。
【0087】
代わりに又は更に、いくつかの実施形態では、液体化学物質を含む後続の現像工程又は洗浄工程は、不要な材料を除去するために望ましいことがある。例えば、乾式現像工程(熱又はプラズマ)など、コントラスト増強剤を使用する現像工程を実施した後、適した有機溶媒などのネガ型液体現像剤を提供することができる。更に、洗浄工程は欠陥率の著しい低下のために有効であり得ることが発見された。洗浄工程は、部分的に照射された材料並びにパターンのエッジを除去するために例えばアルカリ性水溶液で処理することを含むことができる。
【0088】
上記の考察において、基材及びウエハという用語は、本技術分野において一般的に使用されるものとして解釈されるのがよいことを当業者は理解するであろう。本技術分野において理解されるように、「基材」自体は、複数の層によって構造化され得、ここで、層の少なくとも一部がパターン化されてもよく、デバイスの形成物は、層状パターン形成構造物を作る複数の連続的なリソグラフィ工程を含むことができる。特定のリソグラフィ工程について、先行の加工された構造物がそのプロセス工程のための基材になる。上記の実施形態は例示的であり限定的ではないことを意図している。更に別の実施形態はクレームの範囲内にある。更に、本発明は特定の実施形態を参照して記載されたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに形式において及び詳細に変更を加えることができることを当業者は認識するであろう。本明細書における明示された開示とは反対の主題は組み込まれないように上記の文献の参照による任意の組み込みは限定される。特定の構造物、組成物及び/又はプロセスが、構成要素、要素、成分又は他の配分を使用して本明細書に記載される限りにおいて、本明細書における開示は、特に記載のない限り、考察において示唆されるように、主題の基本的な性質を変えない付加的な特徴を含むことができる特定の実施形態、特定の構成要素、要素、成分、他の配分又はそれらの組合せを含む実施形態並びにこのような特定の構成要素、成分又は他の配分又はそれらの組合せから本質的になる実施形態に及ぶと理解されなければならない。当業者によって理解されるように、本明細書における「約」という用語の使用は、明示的に別記しない限り、特定のパラメーターの測定誤差を意味する。
【0089】
後現像加工
任意の任意選択のパターンの改良工程と共に、フォトレジストを現像してパターン形成コーティング材料を形成した後、後続のアニールを実施して、パターン形成特徴を更に固体化し、安定化することができる。他の加工工程と同様に、特定の濃度の特定の反応性ガスを有する環境でこのアニールを実施することができる。先行の工程において存在していない反応性ガスがこのアニールにおいて存在していることが望ましい場合がある。放射線パターン形成がすでに行われているので、材料の感光性は保持される必要はなく、代わりに材料を新しい組成物に変換して、エッチなどの追加の加工を容易にすることができる。例えば、一酸化炭素、水素ガス、メタン等、及びそれらの混合物などの還元性反応性ガスがこのアニールの間に存在していて、材料の少なくとも一部を新しい組成物に変換することができる。このアニール工程の間に存在している反応性ガスは、パターン形成材料の少なくとも一部を新しい組成物に変換することによって後続のエッチ工程又は他の加工を可能にすることができる。このようにして、パターン形成材料を反応性ガスと反応させることによって形成される組成物と相互作用する後続のエッチ又は他のプロセス工程を調整することによって、スカム形成、マイクロブリッジング、又は他の欠陥を減少又は軽減できる後加工技術を可能にすることができる。反応性ガスによる後現像熱加工は、上に引用された出願第’170号において更に説明されている。
【0090】
補助的な層又は材料が十分なエッチコントラストなどのそれらのそれぞれの性質を保持することができる限りにおいて、及び選択された反応性ガスの反応性が十分である限りにおいてこのアニールのための温度は特に限定されない。いくつかの実施形態では、アニールは100℃~500℃の間、他の実施形態では200℃~500℃、及び更なる実施形態では300℃~400℃であり得る。上記の明示範囲内の温度の更に別の範囲が考えられ、本開示の範囲内であることを当業者は認識するであろう。
【0091】
現像を評価するのを助けるために、ウエハをパターン形成して、EUV線量の関数としてパターン形成を評価することができる。まず最初に、画像形成は、照射領域及び非照射領域の階段関数とみなされる。パターン形成構造物は自動画像形成装置を使用して評価することができ、走査電子顕微鏡イメージャーが一般的に使用される。例えば、特定の商用CD-SEM測定器は臨界線寸法(線幅)を測定することができ、マイクロブリッジングなどの欠陥を評価することもできる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される改良された加工は、等価現像、コーティング形成及び照射を用いて臨界寸法の増加をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、臨界寸法の増加は、少なくとも約0.25nm、更なる実施形態では少なくとも約0.50nm、更なる実施形態では少なくとも約0.75nmであり得る。上記の明示範囲内の臨界寸法の増加の更に別の範囲が考えられ、本開示の範囲内であることを当業者は認識するであろう。言い換えれば、臨界寸法の概念は、特定の特徴サイズを得るために使用される放射線線量である、線量-サイズ値として表わすことができる。そこで臨界寸法の増加は、線量-サイズ値の減少と相応する。
【0092】
パターン形成コーティング材料を形成後、コーティング材料を更に加工して、選択されたデバイスの形成を容易にすることができる。更に、追加の材料の堆積、エッチング及び/又はパターン形成を一般的に実施して構造物を完成することができる。コーティング材料は最終的に除去されてもされなくてもよい。より小さな設置面積を有するデバイス等の改良されたデバイスの形成のためにパターン形成コーティング材料の品質をどんな場合でも進展させることができる。層が除去されない場合、パターン形成コーティング(レジスト)材料を構造物中に導入する。パターン形成コーティング(レジスト)材料を構造物中に導入する実施形態については、コーティング(レジスト)材料の性質は、所望のパターン形成性質並びにまた、構造物中の材料の性質を提供するように選択することができる。
【実施例
【0093】
実施例:反応性蒸気による有機スズフォトレジストの乾式現像
この実施例は、カルボン酸蒸気によって有機スズフォトレジストを現像する有効性を説明する。この実施例はまた、様々な加工条件がコントラスト増強に及ぼす効果を実証する。
【0094】
一般的なコーティング及び加工工程
スピン・オン-ガラス(SOG)の10nm層を有するシリコンウエハを基材として使用した。有機スズレジスト組成物を1394rpmのスピンコーティングによってそれぞれのウエハ上に堆積させて、エリプソメトリーによって測定されるとき、約15nmの厚さを有する層を生じた。この実施例において使用される有機スズレジスト組成物は、Inpria Corporationによって製造された、上に引用された’618号特許に記載された組成物を有するYATU1011であった。コートされたウエハを60秒間100℃でベーク処理した。次に、オープンフレーム暴露条件を使用してウエハを50mJ/cmの線量のチャンバ内のKrF放射線に暴露して、照射領域及び非照射領域を有する放射線パターン形成層をウエハの表面上に有する一組のウエハ試料を形成した。選択されたウエハ試料を更に、後露光ベークとして90秒間200℃の追加のベークに供した。
【0095】
酢酸蒸気による加工
上に説明されて図4に例示された装置と同様な装置を使用してそれぞれのウエハ試料を酢酸蒸気に暴露した。現像剤ガスの流れ312をウエハ表面に送達するように構成された、チャンバ314内のウエハ台318上にそれぞれのウエハ試料320を載せた。追加のベークに供されたウエハ試料(図7のセットA)及び追加のベークに供されないウエハ試料(図7のセットB)は、異なるチャンバ圧力及びウエハ温度条件を有する酢酸蒸気雰囲気下で加工された。酢酸の蒸気流量を5~10sccm(標準立方センチメートル/分)の値から調節して、約0.5トール又は約5トールのどちらかの測定チャンバ圧力を与えた。ウエハ試料を120℃又は180℃のどちらかの温度に加熱した。加熱されたウエハ試料を0秒~600秒の範囲の様々な時間の間流れる酢酸蒸気に暴露した。酢酸蒸気を使用する選択された加工条件に従って、エリプソメトリーを実施して、それぞれのウエハ試料の照射領域及び非照射領域のフィルムの厚さを想定した。
【0096】
図7は、それぞれのウエハ試料の非照射領域(「a」と記載)及びそれぞれのウエハ試料の照射された領域(「b」と記載)について時間の関数としてのフィルムの厚さを示す。120℃のウエハ温度による加工によって、照射領域(「b」)は一般的に、酢酸蒸気との接触前の非照射領域(「a」)よりも薄いという結果が得られた(例えば、t=0の場合)。非照射領域と照射領域との間の初期厚さのこの差異は、Sn-C結合の放射線による切断によって引き起こされる有機物含量の低下に帰せられ、“Organotin Oxide Hydroxide Patterning Compositions,Precursors,And Patterning”と題されたMeyersらに対する米国特許第10/732,505号明細書(参照によって本願明細書に組み込む)に更に記載されている。また、図7は、180℃で加熱されるウエハ試料の非照射領域(「a」)の初期厚さは、120℃で加熱されるウエハ試料の非照射領域(「a」)の初期厚さよりも小さいことを示す。この差異は、非照射層の温度による予備収縮に帰せられる。
【0097】
図7に示されるように、より高いチャンバ圧力(すなわち、酢酸蒸気のより高い流量)は非照射材料の改良された除去をもたらした。例えば、180℃におけるセットAにおいて、非照射材料の厚さは、0.5トールのチャンバ圧力で約4nmに対して、5トールのチャンバ圧力で125秒で約1nmに低減された。別々に、より高いウエハ温度は非照射材料の改良された除去をもたらした。例えば、5トールにおけるセットAにおいて、非照射材料の厚さは、120℃のウエハ温度で約9nmに対して、180℃のウエハ温度で125秒で約1nmに低減された。セットAをセットBと比較するとき、セットAウエハ試料に与えられる追加の高温後露光ベークは、試験時間にわたって比較的一定である照射領域の厚さに基づいて照射領域の安定性を改良したと考えられる。対照的にセットBウエハ試料の厚さは一般的に、試験時間の間わずかに減少した。より高いチャンバ圧力とより高いウエハ温度とを一緒にすることによって、非照射材料の最も急速な選択的除去がもたらされた。例えば、5トール及び180℃で、非照射材料の厚さは(セットAにおいて)約125秒で約9nmから約1nmに低減され、(セットBにおいて)約125秒で約10.5nmから約0.5nmに低減された。
【0098】
酢酸蒸気へのウエハ試料の暴露はより良い熱的パターンの現像のための時間の関数として非照射材料の選択的除去をもたらすことができることをこの実施例は示す。結果は、カルボン酸組成物を使用する液体現像プロセスにおいて見られるネガ型現像挙動と一致している。パターン形成有機金属レジストの蒸気ベースの現像、洗浄、及び/又はコントラスト増強は温度、圧力、及び蒸気組成物の調節によって加工を微調整する能力など、標準的加工に対して改良された加工をもたらし得ることを結果は示唆する。
【0099】
上記の実施形態は例示的であり限定的ではないことを意図している。更に別の実施形態はクレームの範囲内である。更に、本発明は特定の実施形態を参照して記載されたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに形式において及び詳細に変更を加えることができることを当業者は認識するであろう。本明細書における明示された開示とは反対の主題は組み込まれないように上記の文献の参照による任意の組み込みは限定される。特定の構造物、組成物及び/又はプロセスが、構成要素、要素、成分又は他の配分を使用して本明細書に記載される限りにおいて、本明細書における開示は、特に記載のない限り、考察において示唆されるように、主題の基本的な性質を変えない付加的な特徴を含むことができる特定の実施形態、特定の構成要素、要素、成分、他の配分又はそれらの組合せを含む実施形態並びにこのような特定の構成要素、成分又は他の配分又はそれらの組合せから本質的になる実施形態に及ぶと理解されなければならない。本明細書における「約」という用語の使用は、当業者によって特定の文脈で理解される関連値の予想される不確実性を意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】