(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フォトニック結晶周期構造が、ナノインプリントリソグラフィー法による転写技術を用いて加工されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体発光素子。
前記ナノインプリントリソグラフィー法による前記フォトニック結晶周期構造の転写が、加工対象の構造体に対しエッチング選択比の大きい下層レジストをコートし、その上に流動性と酸素耐性を有する上層レジストとコートする、二層レジスト法を用いた転写技術であることを特徴とする請求項3に記載の半導体発光素子。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)や有機EL(OLED)に代表される半導体発光素子はディスプレイ及び照明用途の光源として高輝度が求められており、表面にミクロンサイズの凹凸を形成したサファイア基板(PSS:Patterned Sapphire Substrate)を用いて光取出し効率を向上させる方法が一般的である。また、光取出し効率を上げる新たな方法として、光の波長程度の周期を有するフォトニック結晶周期構造を光取出し層に形成する技術が紹介されている。フォトニック結晶周期構造は、異なる屈折率を有する2つの構造体の界面において形成され、主にピラー構造又はホール構造からなる凹凸であることが一般的である。そして、この周期構造が形成された領域では光の存在が禁止されることで全反射が抑制され、これを利用することで光取出し効率の向上に寄与することで知られている。
【0003】
しかし、半導体発光素子の発光層からの発光には、Transversal Magnetic光(TM光)及びTransversal Electric光(TE光)の両方が含まれ、周期構造におけるそれぞれの挙動、すなわち、周期構造で反射するのか透過するのかに応じた周期構造の最適化については、明らかにされていない。
【0004】
なお、InGaNベースのLEDの発光は、主にTE光であるのに対し、サファイア基板のc面上にシングル井戸層を形成したAl
xGa
1−xNベースのLEDにおいては、Alの組成比x=0.25を境にTM光が主体的となり、さらにxが大きくなるにつれてTM光の割合が増加することで知られている(但し、量子井戸のTE/TM偏光特性を温度8.5Kにてフォトルミネッセンス強度を計測し評価。「Applied Physics Letters」、No.25、21 June 2004、Vol.84)。
【0005】
さらに、サファイア基板のc面上にAlNバッファー層とAl
xGa
1−xN/AlNの多重量子井戸を成長した場合においては、Alの組成比がx=0.82を境にTM光が主体的になり、また、同一組成比においては、井戸層の厚さを3nm以下にするとTM光の割合が大きくなることが報告されている(「Physical Review」、B 79、121308(2009)」)。
【0006】
なお、本発明におけるTE光とTM光の関係を次のとおり定義する。本発明において、TE光とは、電界成分が、フォトニック結晶周期構造面、すなわち周期構造が周期的に変化する方向の面に対し横向きに振動する光であり、一方のTM光は、その磁界成分が、周期構造面に対し横向きに振動する光をいう。換言すれば、後者のTM光は、その電界成分が周期構造面に対し縦向きに振動する光である。
【0007】
特許文献1では、光取出し層におけるフォトニック結晶周期構造パラメータの設計において、TE光とTM光の両方のフォトニックバンド構造を計算し、その結果、PBGが大きく開いているTE光を選択した上で、その周期構造パラメータの設計の最適化を行っている。
【0008】
特許文献2では、TMライクモードとTEライクモードの両モードに対しPBGを有するフォトニック結晶スラブ内に導波路を設計することにより、この結晶面内に光が漏れ出ることを防ぎ、高いQ値を発揮させている。
【0009】
特許文献3では、第1導電型半導体層に、この層の屈折率より小さな屈折率を有するSiO
2及びエアギャップからなるフォトニック結晶周期構造を形成し、その上の非伝導性半導体層へと光を入射させている。
【0010】
特許文献4では、第1の蛍光体層と第2の蛍光体層にフォトニック結晶を形成し第2の変換光を透過し第1の変換光を反射させている。
【0011】
特許文献5では、TE偏光に対しフォトニックバンドギャップを有する二次元周期構造を有する蛍光体層を光導波路の外縁部に配置した構造により、TE偏波を効率よく導波路に閉じ込める効果が記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態を、図を用いて説明する。なお、以下に挙げる実施形態におけるLED素子の構造や組成材料はもちろん、周期構造の形状(ピラー構造、ホール構造等)等は、これに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することができる。さらに、その実施形態も、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜変更して実施することができる。例えば、周期構造の設計プログラム、本発明に基づいて加工された金型なども、本発明に含まれる。
【0027】
第1の実施の形態
本実施の形態による半導体発光素子は、設計波長をλとする半導体発光素子を構成する各層間における界面のうち一以上の界面において、波長λの光の透過と反射が界面ごとに個別に制御されたフォトニック結晶周期構造を有する半導体発光素子である。
【0028】
ここで、界面におけるフォトニック結晶周期構造は、異なる屈折率を持つ2つの構造体からなり、かつ、その周期構造パラメータである周期a及び半径Rは、波長λとの間でブラッグ条件を満たす関係の下で設計される。界面が複数の場合は、それぞれのフォトニック結晶周期構造において独立して設計された構造である。
【0029】
周期aと半径Rの比(R/a)は、TE光のフォトニックバンドギャップ(PBG)が該周期構造ごとに最大となるように決定された値である。このような構造体は、例えば、大きな屈折率の媒体中に小さな屈折率の構造を形成した構造体である。
【0030】
或いは、周期aと半径Rの比(R/a)は、TM光の所定のPBGが、該周期構造ごとに最大となるように決定された値である。このような構造体は、例えば、小さな屈折率の媒体中に大きな屈折率の構造を形成した構造体である。
【0031】
例えば、周期aと半径Rの比(R/a)は、波長λの周期構造における光の透過と反射のうち、どちらに着目しこれを最適化するのかに応じて、TE光又はTM光に対するフォトニックバンドギャップ(PBG)の大きさを計算し決定された値である。例えば、界面において光の反射を透過より大きく、かつ、最大化することを目的とする場合は、TE光に対するPBGが最大となるよう決定されたR/a値である。これは、TE光の電界は周期構造面内に平行に存在する誘電体の連結構造に溜まりやすく、周期構造パラメータと設計波長がブラッグ条件を満たす場合は、その電界面においてブラッグ回折により反射されることによると考えられる。
【0032】
逆に、周期aと半径Rの比(R/a)は、界面において光の透過を反射より大きく、かつ、最大化することを目的とする場合は、TM光に対するPBGが最大となるよう決定されたR/a値である。これは、TM光の電界は周期構造面内に垂直に存在する誘電スポットに溜まりやすく、周期構造パラメータと設計波長がブラッグ条件を満たす場合は、その電界面においてブラッグ回折により反射される、すなわち周期構造面に対しては透過することによると考えられる。
【0033】
なお、後者の場合におけるTM光に対するR/a値は、周期構造がその第1バンドと第2バンド間でPBG1を有し、かつ、第3バンドと第4バンド間でPBG2を有し、該PBG1と該PBG2の合計が最大を示す値であることを特徴とする。
【0034】
そして、各周期構造パラメータは、ブラッグ条件の次数mに応じてR/aから決定する周期a及び半径R、並びに、0.5a以上の周期構造の深さhを変数として行うFDTD法を用いたシミュレーションの解析結果により、波長λに対する半導体発光素子全体の光取出し効率が最大となるように最終決定された値からなる。ここで、0.5a以上の深さを有する周期構造の深さhは、実際の加工精度によってもその上限が制限される値である。
【0035】
ところで、一以上の界面とは、半導体発光素子の基板の裏面と空気の界面、基板の表面と窒化物半導体層の界面、発光層と窒化物半導体層間における窒化物半導体層と空気の界面、基板を剥離した後の窒化物半導体層と空気の界面、蛍光体と空気の界面、基板の裏面と反射膜の界面などであり、異なる屈折率を持つ2つの構造体からなる周期構造においてPBGが得られる位置であればよく、ここに列挙した位置に限定されない。さらに、周期構造は、界面内における一部の領域において形成される場合を含む。
【0036】
第1の実施の形態における光半導体装置においては、以下の構造を有する。
【0037】
1)フォトニック結晶周期構造において、TE光のフォトニックバンドギャップ(PBG)が、例えば周期構造ごとに最大となるように周期aと半径Rの比(R/a)を決定した構造を有している。この構造体は、例えば、大きな屈折率の媒体中に小さな屈折率の構造を形成した第1の構造体であり、例えばホールが形成された構造体である。
【0038】
図1Aは、本発明の第2の実施の形態によるフォトニック結晶周期構造のパラメータの第1の最適化処理の流れを示すフローチャート図であり、TE光のPBGを最大にするフローについてその概略を示す。
【0039】
まず、ステップS101において、周期構造パラメータである周期aと構造体の半径Rの比(R/a)を仮決定する。
【0040】
ステップS102において、構造体のそれぞれの屈折率n
1とn
2、及びこれらと前記R/aから平均屈折率n
avを算出し、これをブラッグ条件の式に代入し、次数mごとの周期aと半径Rを得る。
【0041】
ステップS103において、R/a及び波長λ並びに屈折率n
1、n
2から得られる各構造体の誘電率ε
1及びε
2を用いた平面波展開法により、TE光のフォトニックバンド構造を解析する。
【0042】
ステップS104において、TE光の第一フォトニックバンドと第二フォトニックバンド間のPBGが最大となるR/aを、前記仮決定のR/aの値を変えて繰り返し行う解析により決定する。
【0043】
ステップS105において、PBGを最大にするR/aについて、ブラッグ条件の次数mに応じた個別の周期a及び半径R、並びに、任意の周期構造の深さhを変数として行うFDTD法によるシミュレーション解析により、前記波長λに対する光取出し効率を求める。
【0044】
ステップS106において、FDTD法によるシミュレーションを繰り返し行うことにより、波長λに対する光取出し効率が最大となるブラッグ条件の次数mと、その次数mに対応する周期構造パラメータの周期a、半径R、及び、深さhを決定する。
【0045】
2)フォトニック結晶周期構造において、TM光のフォトニックバンドギャップ(PBG)が、例えば周期構造ごとに最大となるように周期aと半径Rの比(R/a)を決定した構造を有している。この構造体は、例えば、小さな屈折率の媒体中に大きな屈折率の構造を形成した第2の構造体であり、例えばピラーが形成された構造体である。
【0046】
図1Bは、本発明の第2の実施の形態によるフォトニック結晶周期構造のパラメータの第2の最適化処理の流れを示すフローチャート図であり、TM光のPBGを最大にするフローについてその概略を示す。
【0047】
ステップS111において、周期構造パラメータである周期aと構造体の半径Rの比(R/a)を仮決定する。
【0048】
ステップS112において、構造体のそれぞれの屈折率n
1とn
2、及びこれらと前記R/aから平均屈折率n
avを算出し、これをブラッグ条件の式に代入し、次数mごとの周期aと半径Rを得る。
【0049】
ステップS113において、R/a及び前記波長λ並びに前記屈折率n
1、n
2から得られる各構造体の誘電率ε
1及びε
2を用いた平面波展開法により、TM光のフォトニックバンド構造を解析する。
【0050】
ステップS114において、TM光の第一フォトニックバンドと第二フォトニックバンド間のPBG1と第三フォトニックバンドと第四フォトニックバンド間のPBG2の合計のPBGが最大となるR/aを、前記仮決定のR/aの値を変えて繰り返し行う解析により決定する。
【0051】
ステップS115において、前記のPBGを最大にするR/aについて、ブラッグ条件の次数mに応じた個別の周期a及び半径R、並びに、任意の周期構造の深さhを変数として行うFDTD法によるシミュレーション解析により、前記波長λに対する光取出し効率を求める。
【0052】
ステップS116において、前記FDTD法によるシミュレーションを繰り返し行うことにより、波長λに対する光取出し効率が最大となるブラッグ条件の次数mと、その次数mに対応する周期構造パラメータの周期a、半径R、及び、深さhを決定する。
【0053】
第2の実施の形態
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態における半導体発光素子が有するフォトニック結晶周期構造の個別具体的なパラメータの計算方法に関するものである。
【0054】
前提として、周期構造が三角格子状に配列されている場合を想定し説明するものであるが、他の正方格子状の配列においても同様の計算方法となる。また、周期構造を構成する凹凸構造は、ピラー構造又はホール構造のいずれでも構わない。すなわち加工の難易度と次のプロセスの容易さにより選択することができる。
【0055】
設計段階においては、半導体発光素子を構成する各層間の一以上の界面に形成された、本実施の形態における技術に基づき設計されたPBGを有するフォトニック結晶周期構造により、その形成目的である発光層からの光の反射又は透過の制御ないし最適化を通して、素子全体の光取出し効率の最大化を図ることが可能である。
【0056】
図1Cは、周期構造パラメータの最適化のための計算を行う処理のフローの概略例を示した図である。
【0057】
ステップS1においては、フォトニック結晶周期構造を形成する候補となる界面を検討する。ここでは、例えば、その界面において、半導体発光素子の設計波長λに対し、透過と反射のどちらを目的とするかを、周期構造を構成する構造体の異なる屈折率n
1とn
2の大小関係と、光の伝搬方向とから考察し、その目的ために行う周期構造パラメータの最適化の対象とする偏光(TM光/TE光)を決定する。次表(表1)において、その具体的な組み合わせパターンを示す。
【表1】
【0058】
ステップS2においては、周期構造パラメータである周期aと構造体の半径Rの比(R/a)を仮決定する。
【0059】
ステップS3においては、構造体のそれぞれの屈折率n
1とn
2、及びこれらとR/aから、式(数1)を用いて算出される平均屈折率n
avを算出し、これをブラッグ条件の式(数2)に代入し、次数mごとの周期aを得る。また、仮決定したR/aとaにより、同じく次数mごとに半径Rを得る。
【0060】
(数1)
n
av2=n
22+(n
12−n
22)(2π/√3)(R/a)
2
【0061】
(数2)
mλ/n
av=2a
以上を基に、以下、平面波展開法によるバンドギャップの解析を行う。
【0062】
ステップS4においては、ステップS2において仮決定したR/a、波長λ、並びに、屈折率(n
1、n
2)から得られる各構造体の誘電率ε
1及びε
2を、波長λの平面波を電界E、磁界Hで展開したマックスウェルの電磁界波動方程式(数3)に入力する。
【0063】
(数3)
ここで、ε
−1は誘電率の逆数、Gは逆格子ベクトル、ωは周波数、cは光速、kは波数ベクトルを表す。
【0064】
以下、周期構造において目的を「反射」(r)とした場合について説明する。ステップS5rにおいては、ステップS1において決定した最適化すべきTE光に対し、マックスウェルの電磁界波動方程式の固有値計算を波数空間で行い、TE光のバンド構造を求める。
【0065】
ステップS6rにおいては、フォトニックバンドのうち、第1フォトニックバンドと第2フォトニックバンドとの差から、PBGを求める。
【0066】
ステップS7rにおいては、ステップS2からS6rを繰り返し行い、いずれのR/aのときにTE光のPBGが最大になるかを検討する。
【0067】
ここで、ステップS1で、周期構造において目的を「透過」(t)とした場合における、ステップS5rからS7rと入れかえて行うステップS5tからS7tを説明する。
【0068】
ステップS5tにおいては、ステップ1において決定した最適化すべきTM光に対し、マックスウェルの電磁界波動方程式の固有値計算を波数空間で行い、TM光のバンド構造を求める。
【0069】
ステップS6tにおいては、ステップS5tで求めたフォトニックバンド構造において、第1フォトニックバンドと第2フォトニックバンドとの差からPBG1を、同じく第3フォトニックバンドと第4フォトニックバンドとの差からPBG2を求め、これらの合計を算出する。
【0070】
ステップS7tにおいては、ステップS2からS6tを繰り返し行い、いずれのR/aのときにTM光のPBG1とPBG2の合計のPBGが最大になるかを検討する。
【0071】
以下、ステップS7r又はステップS7tに続く共通ステップを説明する。ステップS8においては、ステップS7r又はS7tにおいて最大を示すR/aについて、ブラッグ条件の次数mに応じた個別の周期a及び半径R並びに任意の周期構造の深さhを変数として、FDTD法によるシミュレーション解析を行う。これにより、波長λに対する光取出し効率を求める。
【0072】
ステップS9においては、ステップS8を繰り返すことにより波長λに対する光取出し効率が最大となるブラッグ条件の次数mと、その次数mに対応する周期構造パラメータの周期a、半径R、及び、深さhを決定する。ここで深さhは、加工精度の限界を考慮して、一定の光取出し効率を得られる値を採用しても良いが、0.5a以上の数値が望ましい。
【0073】
以上のように、本発明の第2の実施の形態によれば、形成目的に応じた周期構造の具体的かつ効率的な設計を可能にする。
【0074】
第3の実施の形態
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態により最適化された周期構造を有する界面とは異なる界面において形成する、第二、第三の周期構造のパラメータを最適化するためのパラメータ計算方法である。なお、周期構造の数には制限はない。
【0075】
はじめに、ステップS10として、異なる界面について改めてステップS1の検討を行う。
【0076】
図1Dに示すように、次のステップS11においては、ステップS1からS9までを、異なる界面における第二の周期構造に対して行い、最適な第二の周期構造パラメータである周期a、半径R及び深さhを決定する。
【0077】
ステップS12においては、ステップS11を繰り返し、第三の周期構造以降のそれぞれの周期構造における最適な周期構造パラメータを決定し、最終的には、素子全体の光取出し効率を最大化するための各周期構造パラメータが決定される。
【0078】
第3の実施の形態によれば、半導体発光素子の構造に応じて、素子全体の光取出し効率の最大化に寄与する複数の界面に前記周期構造を形成するにあたり、その具体的かつ効率的な設計を可能にする。
【0079】
第4の実施の形態
本発明の第4の実施の形態は、フォトニック結晶周期構造が、ナノインプリントリソグラフィー法による転写技術を用いて加工されたものであることを特徴とする半導体発光素子である。
【0080】
第4の実施の形態によれば、周期構造を被加工物面上に大面積で一括転写にて加工することを可能にする。
【0081】
第5の実施の形態
本発明の第5の実施の形態は、ナノインプリントリソグラフィー法によるフォトニック結晶周期構造の転写技術が、加工対象の構造体に対しエッチング選択比の大きい下層レジストをコートし、その上に流動性と酸素耐性を有する上層レジストとコートする、二層レジスト法を用いた転写技術であることを特徴とする。
【0082】
また、転写には金型を用い、金型には樹脂フィルムを用いることも可能である。具体的には、周期構造を形成する基板面上に該基板に対しエッチング選択比の大きい、一例として、有機下層レジストをスピンコートする。次に、流動性と酸素耐性機能を有する、一例として、シリコン含有上層レジストを下層レジスト面上にスピンコートする。次に、上層レジスト面上に金型を用いたナノインプリントリソグラフィー法にて、周期構造を転写する。次に、周期構造が転写された上層レジストを酸素プラズマに曝し、酸素耐性を付与するとともに、ナノインプリント転写において残存した上層レジストの残膜を除去する。次に、酸素耐性を有した上層レジストをマスクとして、有機下層レジストを酸素プラズマでエッチングし、基板のドライエッチングのためのマスクを形成する。最後に、このマスクをエッチングマスクとして、基板をICPプラズマでドライエッチングする。
【0083】
以上のステップが、基板に対して二層レジスト法を用いた転写技術である。なお、この技術を用いる場合、下層レジストの膜厚を変化させる事により、金型上の周期構造の深さに対し1.5倍程度(サファイア基板の場合。)のエッチング深さを被転写物上に得ることが可能である。さらに、エッチングマスクとしての酸素耐性を有したパターン転写された上層レジストを介した、有機下層レジストの酸素プラズマエッチングにおいて、該酸素プラズマ条件を変化させる事により、金型上の周期構造の直径に対し30%程度の調整が可能である。
【0084】
第5の実施の形態によれば、ナノインプリントリソグラフィー法において、精細な前記周期構造を被加工物面上に精度よく、正確に、かつ、制御可能な状態で再現することが可能となる。
【実施例1】
【0086】
本実施例1における半導体発光素子は一般的な深紫外LEDであり、その構造は
図2に示すとおり、Al反射電極1、例えば積層されたp−AlGaNコンタクト層2、p−AlGaN層3、電子ブロック層4、バリア層5、井戸層6、バリア層7、n−AlGaNバッファー層8、AlNバッファー層9と、サファイア基板10で構成される。井戸層6で発光した光は、サファイア基板10の表面、Al反射電極1及びサファイア基板10の側壁からLED素子の外部へ取出される。
【0087】
本実施例1におけるLEDの設計波長λ(中心出力波長λ)は280nmであり、この設計波長λの光取出し効率を最大にするフォトニック結晶周期構造を形成した。この構造体は、小さな屈折率の媒体中に大きな屈折率の構造を形成した第2の構造体であり、形成箇所には、
図3A(a)に示すとおり、光取出し層であるサファイア基板10の表面(光取出し面)20aと空気の界面を選択した。ここで、
図3A(b)にXY平面図として示すとおり、光取出し面10aは、最適な高さを有するピラー部20aからなる構造体と、空間部20bからなる構造体が、該光取出し面10a内において、X方向及びY方向に沿って周期aで三角格子状に形成されたピラー構造とした。
【0088】
本実施例1では、井戸層6で発光した光がサファイア基板10から外部に向けて伝搬する際に、その透過が最大となるようにフォトニック結晶周期構造を最適化することを目的とする。この場合、サファイア基板の屈折率は透過した外部の空気の屈折率より大きいことから、その周期構造パラメータの最適化に用いるべき偏光はTM光である。
【0089】
はじめに、最適化すべき周期構造の周期aとピラー構造体の半径Rの比であるR/aを仮決定する。この値は、以降の解析を繰り返すたびに変動するが本実施例1においては、結果として0.24≦R/a≦0.40を用いた。
【0090】
本実施例1では、ピラー構造体であるサファイアの屈折率n
1は1.82、空気の屈折率n
2は1.0であり、n
1>n
2である。また、式(数1)からn
avを求める。ここでは、R/a=0.31の場合について、その具体的な計算例を示す。次に、前提であるところのブラッグ条件を、式(数2)により付与する。
【0091】
なお、ブラッグ条件式(数2)は、
図4Aに示すとおり、TM光の電界はピラー構造ロッド間に垂直に存在する誘電スポットに溜まりやすく、平均屈折率n
av、周期a及び設計波長λがブラッグ条件を満たす場合は、その電界面においてブラッグ回折により反射、すなわち本実施例1における周期構造面に対してはTM光が透過することから理解できる。
【0092】
ところで、本実施例1とは異なるが、同様の理解として、
図3B、
図4Bに示すとおり、TE光の電界は周期構造面内に平行に存在する誘電体の連結構造に溜まりやすく、平均屈折率n
av、周期a及び設計波長λがブラッグ条件を満たす場合は、その電界面においてブラッグ回折により反射、すなわち、周期構造面に対してTE光は反射する。
【0093】
すなわち、
図3B(a)では、大きな屈折率の媒体中に小さな屈折率の構造を形成した第1の構造体であり、形成箇所には、
図3B(a)に示すとおり、光取出し面10aは、最適な高さを有する空欠部20dからなる構造体が、大きな屈折率の媒体20c中に形成された構造体が、該光取出し面10a内において、X方向及びY方向に沿って周期aで三角格子状に形成されたホール構造である。以下、第2の構造体の場合を例に詳細に説明する。
【0094】
さて、本実施例1においては、R/a=0.31のときは、ブラッグ条件の次数mごとに周期構造パラメータの周期aと半径Rが算出される。具体的には、m=2のときa=208nm、R=64.5nm、m=3のときa=313nm、R=97nm、m=4のときa=417nm、R=129nmである。なお、ここで次数mを限定している理由については後述する。
【0095】
次に、R/a=0.31のときのTM光のバンド構造を平面波展開法で解析する。すなわち、マックスウェルの電磁界波動方程式の式(数3)の固有値計算をおこない、PBGの存在及び大きさを確認する。この固有値計算に用いる各構造体の誘電率ε
1、ε
2は、次式(数4)により、各屈折率n
1、n
2ごとに求めることができる。
【0096】
(数4)
n
2=με/μ
0ε
0
(ここで、μは透磁率、μ
0は真空の透磁率、ε
0は真空の誘電率を表す。)
【0097】
以上により求められたR/a=0.31のときのフォトニックバンド構造(フォトニック結晶(ピラー))を
図5に示す。縦軸のωa/2πcはa/λで表すこともできる。この
図5に基づき、第一フォトニックバンド(ω1TM)と第二フォトニックバンド(ω2TM)のギャップPBG1と、第三フォトニックバンド(ω3TM)と第四フォトニックバンド(ω4TM)のギャップPBG2とを求め、その和であるPBGを算出する。
【0098】
なお、
図5にはTE光のフォトニックバンド構造もプロットしたが、その結果からわかるとおり、TE光においてはPBGが存在しない。しかし、TM光と同様にバンド端で群速度異常が見られており、光の伝搬方向がこのバンド端で変化し、光の一部は反射すると考えられる。
【0099】
以上により、R/a=0.31のときのPBG1とPBG2の合計のPBGが求められたが、これを最大にする周期構造パラメータを探すため、R/aの範囲(0.24≦R/a≦0.40)で同様の解析を繰り返す。その結果を
図6に示す(TM光のPBG−R/a特性)。そうすると、R/a=0.31のときのPBGが最大であることがわかる。
【0100】
TM光のPBG(=PBG1+PBG2)が最大となるR/aが求められたところで、この比からブラッグ条件の次数mごとに個別の周期aと半径Rを求める。さらに、このパラメータに周期構造の深さhを加え、FDTD法を用いたシミュレーションを行い、本実施例1における設計波長λに対するLED素子としての光取出し効率を算出する。
【0101】
なお、ここで用いた次数mは、1<m<5の範囲に限定した。次数m=1の場合、ピラー構造の直径は40nm程度であり、計算モデルを離散化した場合の差分空間分解能20nmと大きな差がないため、実際のピラー形状を正しく反映していないと判断し、これを除外した。また次数m=5についても、その周期が500nm程度と、設計波長の280nmと大きく異なるので、m≧5も除外した。
【0102】
さて、本実施例1にけるFDTD法を用いたシミュレーションは、
図7に示す大きさと構造の深紫外LEDモデルについて、高性能PCを使用して行った。そこでは、光源として、設計波長(中心波長)を280nm、半値幅を20nm程度、発光時間を60fsの、x,y,z方向に振動する電気双極子パルス光源を、井戸層6の面内中心に1個配置し発光させ、この光の偏光度pは、0.38とした。ここで、偏光度p=(I
⊥−I
//)/(I
⊥+I
//)であり、I
⊥はサファイア基板のc軸に垂直な成分の強度、I
//はサファイア基板のc軸に平行な成分の強度を表す(以下同じ。)。また、Al反射電極1の屈折率、消衰係数、比透磁率、瞬間比誘電率は280nmにおけるドルーデ分散モデルで補正し70%の反射率が得られるよう設定した。さらに井戸層6で発光した光は、自由キャリア吸収により半導体中で消滅する可能性を考慮し、n−AlGaNバッファー層8からp−AlGaNコンタクト層2において30μm程度の距離を光が伝搬した場合1%まで減衰するよう消衰係数を設定した。電界及び磁界の観測面は、LED素子の外部に6面配置し、ポインティングベクトルを算出のうえ出力した。なお、LEEの増減率の比較は、フォトニック結晶周期構造無し(Non−PhC)と有り(PhC)の出力値の比較から算出した。
【0103】
ここで、一般的に、FDTD法での出力値には遠方界と近傍界があり、その算出方法と出力値の性質が異なる。近傍界の場合は、LED素子の外部の観測面で電界及び磁界の時間波形E(t)、H(t)を取得し、その時間波形を周波数スペクトルE(ω)、H(ω)にフーリエ変換することで得られる。また、出力値は電界と時間の外積であるポインティングベクトルS=E×Hから算出し、観測面上で面積分を行い出力波長特性が得られる。
【0104】
他方、遠方界は、近傍界とは計算方法が異なる。まず、LED素子の外部に閉領域(等価電磁流領域)を設定する。そして、LEDから生じる閉領域表面上の磁界Hsと電界Esから等価電流Js=n×Hsと等価磁流Ms=n×Es(但し、nは閉領域面sの法線ベクトル)を算出する。ここでは、LEDから生じる電磁界と、等価電磁流からその領域の外側に生じる電磁界は等しいという電磁波の等価定理を用いている。従って、遠方界の計算はLEDから遠い任意の距離にある観測面上の電界を真空中におけるマクスウエル方程式を解いて次式(数5)のように求めることになる。
【0105】
(数5)
W(r,t)=(1/4)πrc{∂/∂t[∫s Js(t−(r−r
1)r
0/c]ds}
U(r,t)=(1/4)πrc{∂/∂t[∫s Ms(t−(r−r
1)r
0/c]ds}
Eθ(r,t)≒−Uφ(r,t)−ZWθ(r,t)
Eφ(r,t)≒Uθ(r,t)−ZWφ(r,t)
Eθ(r,ω)=F[Eθ(r,t)]
Eφ(r,ω)=F[Eφ(r,t)]
但し、θ:観測球面上の緯度、φ:観測球面上の経度、r:LED光源と観測点間距離、r
1:LED光源と閉領域面間距離、r
0:LED光源と観測点間の単位ベクトル、c:光速、Z:界インピーダンスF[ ]:フーリエ変換を表す。
【0106】
以上より、波長(周波数)毎の遠方界を得ることができる。本実施例1における解析では、計算モデルは実際のLEDと同等でない事及びR/aが異なるフォトニック結晶周期構造と光取出し効率を相対比較する理由から、近傍界のみを使用した。
【0107】
さて、FDTDシミュレーションの結果は次表(表2)のとおりであり、ここではる。LED素子の側壁部(4面)、上面部、及びその両方(合計)における光取出し効率について、フォトニック結晶周期構造無しの場合に対する増減率を、波長275nm〜285nmにおける平均値として示す。
【表2】
【0108】
ここでは275nmから285nmにおける光取出し効率の増減率の平均値である。加えて、本実施例1において採用したピラー構造のほか、ホール構造によるシミュレーションや、TM光におけるPBG1とPBG2の和が最大となるR/a(=0.31)以外のR/aについても検証を兼ねてシミュレーションし、その結果を示している。
【0109】
また、
図8は深紫外LEDモデルにおける側壁(
図8A)、上部(
図8B)及びこれらの合計(
図8C)の出力波長特性を、フォトニック結晶周期構造の有無と形状の違いに応じて示している。さらに、各数値は、周期構造の深さhが500nmのときの値のみ記載している。
【0110】
これらの結果から、最も光取出し効率が大きい周期構造パラメータは、ピラー構造、R/a=0.31、次数m=4、周期a=417nm、半径R=129nmのときで、側壁増減率、上部増減率及び合計増減率は、それぞれ9.1%、47.4%、20.5%(対フォトニック結晶周期構造無し)であった。
【実施例2】
【0111】
次に、本実施例2では一般的な白色LED素子を構成する各層間の一以上の界面に光取出し効率を最大化するためのフォトニック結晶周期構造の形成例を説明する。はじめに、白色LED素子の概略構造を
図9に示す。すなわち、この白色LED素子は、反射膜11、サファイア基板12、n−GaN層13、発光層14、p−GaN層15、ITO膜16、保護膜17及びLED素子を覆う蛍光体18から構成される。発光層14で発光した光は、ITO透明電極膜16及び保護膜17を透過し、蛍光体18と空気の界面から外部に取り出される光L1と、サファイア基板12とn−GaN層13の界面で反射されたのち光L1と同様に外部に取り出される光L2と、光L2がサファイア基板12とn−GaN層13の界面を透過したのち、サファイア基板12と反射膜11の界面で反射され再び光L1と同様に外部に取り出される光L3とに大まかには分けることができる。また、この白色LEDにおいては、光の偏光度pを0.89とした。
【0112】
そこで、本実施例2では実施例1に倣い、蛍光体18と空気の界面にはピラー構造からなるフォトニック結晶周期構造P1を、サファイア基板12とn−GaN層13の界面にはピラー構造からなるフォトニック結晶周期構造P2を、及び、サファイア基板12と反射膜11との界面には空穴からなるホール構造からなるフォトニック結晶周期構造P3をそれぞれ形成する。
【0113】
ここで、周期構造P1においては、蛍光体18の屈折率>空気の屈折率であって、光L1の透過を目的にそのパラメータを最適化するため、TM光に対し本発明を実施する。また、周期構造P2においては、n−GaN層13の屈折率>サファイア基板12の屈折率であって、光L2の反射を目的にそのパラメータを最適化するため、TE光に対し本発明を実施する。さらに、周期構造P3においては、サファイア基板12の屈折率>空気(空穴)の屈折率であって、光L3の反射を目的にそのパラメータを最適化するため、TE光に対し本発明を実施する。
【0114】
なお、発光層14に屈折率差と深さの条件を満たすホール構造のフォトニック結晶周期構造P4を形成してもよい。この場合、発光層14がフォトニック結晶周期構造面内に、かつ、深さ方向に存在するので光は上下に散乱される。また、発光層14の厚みが十分でない場合、発光層14との屈折率差が無い発光層14を挟む各GaN層(13又は15)にホール構造の形成が及んでも構わない。
【0115】
さらに、特に図示はしていないものの、フリップチップ構造のようにサファイア基板12を除去して得られるn−GaN層13の露出面と空気との界面にピラーを形成すると、光は空気中に効率良く透過される。
【0116】
以上の周期構造P1からP4のうち任意の周期構造の形成を組み合わせることで、LED素子全体の光取出し効率が最も向上する組合せ、及び各周期構造の最適な周期構造パラメータ(次数m、周期a及び半径R)及び深さhを得ることができる。
【0117】
次表(表3)に、周期構造の加工位置におけるフォトニック結晶周期構造の機能(目的)と本発明の実施により得られた周期構造パラメータとの関係を示す。
【表3】
【実施例3】
【0118】
表2に示すとおり、次数m=4、R/a=0.31とR/a=0.32のピラーの光取出し効率の差は、上部で1.3ポイント、合計値で0.6ポイントある。その形状(直径/周期)を比較するとそれぞれ258nm/417nm、263nm/411nmで両者の形状差は数nmと僅かである。従って、より良い光取出し効率を得るには、nmオーダーの加工を計算通りに形成する必要がある。
【0119】
そこで本実施例3では、流動性とエッチング選択比の両方の特徴を兼ね備えた二層レジストを用いた、ナノインプリントリソグラフィー法による転写技術を用いて、nmオーダーの微細なパターンを有するフォトニック結晶周期構造を
図10に示すとおり、一例として、サファイア基板に転写した。これを、以下
図10に沿って説明する。
【0120】
はじめに、本発明の実施により最適化された周期構造を正確にサファイア基板上に再現するための金型を作成する。この金型は、
図10(b)に示すとおり基板の反りに追従できるよう樹脂製の金型を使用することもできる。
【0121】
次に、サファイア基板にエッチング選択比の大きい有機下層レジストを厚さgにてスピンコートする。なお、この厚さgは、サファイア基板に対する下層レジストのエッチング選択比に応じて選択的に決定する。その後、下層レジスト面上に流動性と酸素耐性機能を有するシリコン含有上層レジストを所定の厚さにてスピンコートする(
図10(a))。
【0122】
次に、上層レジストに、金型のパターンをナノインプリント装置を用いて転写する(
図10(b))。
【0123】
次に、金型のパターンが転写された上層レジストを酸素プラズマに曝し、酸素耐性を付与するとともに、ナノインプリント転写において残存した上層レジストの残膜を除去する。(
図10(c))。
【0124】
次に、酸素耐性を有した上層レジストをマスクとして、有機下層レジストを酸素プラズマでエッチングし、サファイア基板をドライエッチングするためのパターンマスクを形成する(
図10(d))。なお、
図10(e)に記載のパターンマスクのサファイア基板側の直径d
1は、酸素プラズマの条件を調整することで、d
1の30%程度の範囲内で微調整することができる。
【0125】
パターンマスクを介しICPプラズマでサファイア基板をドライエッチングし、本発明の実施により最適化された周期構造の形成がなされる(
図10(e))。
【0126】
周期構造がピラー構造による場合、エッチング後の形状は
図10(f)に示すとおり概ねd
1<d
2の台形状となり、側壁角度は有機下層レジストのエッチング選択比に依存する。なお、本実施例3によれば、有機下層レジストの厚さgを変更すれば、容易にドライエッチング後のサファイア基板に形成するフォトニック結晶周期構造の深さを、金型の深さに対し1.5倍程度の深さとすることができる。
【0127】
また、パターンマスク形成時に直径d
1を変更すると、周期構造の直径を30%程度容易に変更することができる。これは、金型の作り直しに代えることが可能であり、金型の製作時間とコスト削減に寄与し、ひいては半導体発光素子の製造コスト上大きなメリットとなる。
【0128】
なお、
図11(a)から(c)までに、
図10(b)、
図10(e)及び
図10(f)の実際のSEM写真(ナノインプリントプロセスphCピラー断面SEM)を、それぞれ「ナノインプリント」、「パターンマスク形成」、「ドライエッチング・アッシング」として掲載した。
【0129】
処理および制御は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)によるソフトウェア処理、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)によるハードウェア処理によって実現することができる。
【0130】
また、上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0131】
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。
【0132】
また、本実施の形態で説明した機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。尚、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0133】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
【0134】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。またプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。機能の少なくとも一部は、集積回路などのハードウェアで実現しても良い。