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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142993
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】α化穀粉類の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/212 20160101AFI20241003BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20241003BHJP
   A23L 7/109 20160101ALI20241003BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20241003BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20241003BHJP
   A23L 29/244 20160101ALI20241003BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20241003BHJP
【FI】
A23L29/212
A23L5/00 N
A23L7/109 B
A23L7/109 A
A23L29/269
A23L29/238
A23L29/244
A23L29/256
A23L7/109 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055429
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
(71)【出願人】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】株式会社日清製粉ウェルナ
(71)【出願人】
【識別番号】312015185
【氏名又は名称】日清製粉プレミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 開
(72)【発明者】
【氏名】柴本 憲幸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 匡
(72)【発明者】
【氏名】中村 健治
(72)【発明者】
【氏名】豊田 肇
(72)【発明者】
【氏名】野村 慧
(72)【発明者】
【氏名】踏分 湧太
【テーマコード(参考)】
4B025
4B035
4B041
4B046
【Fターム(参考)】
4B025LD02
4B025LD03
4B025LE01
4B025LG28
4B025LG29
4B025LG43
4B025LK02
4B025LP01
4B025LP07
4B025LP10
4B025LP12
4B025LP15
4B035LC03
4B035LC05
4B035LE20
4B035LG01
4B035LG15
4B035LG21
4B035LG23
4B035LG24
4B035LG25
4B035LG27
4B035LG32
4B035LG35
4B035LK14
4B035LK19
4B035LP06
4B035LP21
4B035LP26
4B035LP33
4B035LP43
4B035LP55
4B035LP59
4B041LC03
4B041LD01
4B041LE10
4B041LH02
4B041LH07
4B041LH08
4B041LH10
4B041LH16
4B041LK03
4B041LK15
4B041LK23
4B041LK28
4B041LP01
4B041LP03
4B041LP04
4B041LP07
4B041LP09
4B041LP11
4B041LP16
4B041LP21
4B041LP25
4B046LA02
4B046LB04
4B046LB09
4B046LC01
4B046LC09
4B046LC20
4B046LG02
4B046LG15
4B046LG16
4B046LG18
4B046LG20
4B046LG29
4B046LG34
4B046LG37
4B046LP03
4B046LP10
4B046LP15
4B046LP41
4B046LP51
4B046LP58
4B046LP80
4B046LQ02
4B046LQ04
(57)【要約】
【課題】食品の食味食感を向上させるとともに、食品に老化耐性を付与し得るα化澱粉類を提供すること。
【解決手段】原料穀粉類100質量部、多糖類0.1~3質量部及び水500質量部以上を含むスラリーを、該スラリーの品温が90℃以上となる条件で加熱するスラリー加熱工程と、
前記スラリー加熱工程を経たスラリーを乾燥して固形物を得る工程とを有し、
前記スラリー加熱工程において、前記スラリーの加熱中に該スラリーを攪拌する、α化穀粉類の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料穀粉類100質量部、多糖類0.1~3質量部及び水500質量部以上を含むスラリーを、該スラリーの品温が90℃以上となる条件で加熱するスラリー加熱工程と、
前記スラリー加熱工程を経たスラリーを乾燥して固形物を得る工程とを有し、
前記スラリー加熱工程において、前記スラリーの加熱中に該スラリーを攪拌する、α化穀粉類の製造方法。
【請求項2】
前記多糖類は、キサンタンガム、グアガム、マンナン及びアルギン酸プロピレングリコールエステルからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載のα化穀粉類の製造方法。
【請求項3】
前記原料穀粉類は澱粉を含む、請求項1又は2に記載のα化穀粉類の製造方法。
【請求項4】
前記スラリー加熱工程において、前記スラリーをその品温が100℃以上となる条件で加熱する、請求項1~3のいずれか1項に記載のα化穀粉類の製造方法。
【請求項5】
前記スラリー加熱工程において、前記スラリーをその品温が110~140℃となる条件で加熱する、請求項1~4のいずれか1項に記載のα化穀粉類の製造方法。
【請求項6】
前記スラリー加熱工程において、前記スラリーを加圧雰囲気で加熱する、請求項1~5のいずれか1項に記載のα化穀粉類の製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたα化穀粉類を用いる、加工食品の製造方法。
【請求項8】
前記加工食品が麺類である、請求項7に記載の加工食品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用途に好適なα化穀粉類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
α化澱粉は、原料澱粉を水分存在下で加熱してα化(糊化)させたものである。α化により、澱粉粒内部の分子配列が崩壊し、澱粉粒の膨潤、複屈折性の喪失、天然の微結晶の融解、澱粉の可溶化等が、性状の不可逆変化として現れる。このため、α化澱粉は原料澱粉とは異なる特有の性状を示し、食品用途や工業用途等に幅広く用いられている。α化澱粉の製造方法としては従来、澱粉のスラリーをスプレードライヤー、ドラムドライヤー等を用いて乾燥する方法が知られている。また、澱粉に加水してエクストルーダーで混錬しつつ加熱する方法、澱粉が収容された容器内に過熱蒸気を通して加熱・加湿する方法等も知られている。
【0003】
特許文献1には、α化穀粉類の製造工程と、該製造工程で製造されたα化穀粉類を特定量含有する穀粉類を用いて麺生地を調製する工程とを有する、麺類の製造方法が記載されており、前記α化穀粉類の製造工程は、原料穀粉類100質量部及び水500質量部以上を含むスラリーを、該スラリーの品温が90℃以上となる条件で加熱するスラリー加熱工程と、該スラリー加熱工程を経たスラリーを乾燥して固形物を得る工程とを有している。
【0004】
特許文献2には、穀粉類100質量部及び水500質量部以上を含むスラリーを、該スラリーの品温が90℃以上となる条件で加熱し、該穀粉類に含まれる澱粉をα化するα化工程と、前記α化工程を経た前記スラリーを乾燥して固形物を得る工程とを有し、前記α化工程において、前記スラリーの加熱中に該スラリーを攪拌する、α化穀粉類の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2022/230840号
【特許文献2】国際公開第2021/084663号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
澱粉を含有する食品においては、澱粉の老化が問題となる。例えば、麺類では、生麺又は調理済み麺を冷凍、冷蔵又はチルド状態で輸送・販売・保存することも多く、そのような場合に、粘弾性に優れた麺本来の食味食感が経時的に失われてしまうという問題がある。澱粉の老化は、α化澱粉がその抱き込んでいた水分を放出してベータ結晶へと変化する現象である。食品の食味食感を高いレベルで改善するとともに、老化等の経時的劣化を抑制し得る技術が要望されている。
【0007】
本発明の課題は、食品の食味食感を向上させるとともに、食品に老化耐性を付与し得るα化澱粉類を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、原料穀粉類100質量部、多糖類0.1~3質量部及び水500質量部以上を含むスラリーを、該スラリーの品温が90℃以上となる条件で加熱するスラリー加熱工程と、
前記スラリー加熱工程を経たスラリーを乾燥して固形物を得る工程とを有し、
前記スラリー加熱工程において、前記スラリーの加熱中に該スラリーを攪拌する、α化穀粉類の製造方法である。
【0009】
また、本発明は、上記製造方法で製造されたα化穀粉類を用いる、加工食品の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、食品の食味食感を向上させるとともに、食品に老化耐性を付与し得るα化澱粉類を提供することができ、該α化澱粉類は、特に麺類における使用に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のα化穀粉類の製造方法は、原料穀粉類、多糖類及び水を含むスラリーを加熱する工程(スラリー加熱工程)と、該スラリー加熱工程を経たスラリーを乾燥して固形物を得る工程(スラリー乾燥工程)とを有する。前記スラリー加熱工程により、スラリー中の原料穀粉類に含まれる澱粉がα化され、該原料穀粉類はα化穀粉類となる。したがって、前記スラリー加熱工程はα化工程とも言うことができる。
【0012】
本発明のα化穀粉類の製造方法は、典型的には、前記スラリー加熱工程の加熱対象であるスラリーを調製する工程(スラリー調製工程)を有する。すなわち本発明のα化穀粉類の製造方法は、典型的には、スラリー調製工程、スラリー加熱工程(α化工程)、スラリー乾燥工程を有し、各工程はこの順で実施される。
【0013】
前記スラリー調製工程で用いる原料穀粉類としては、基本的に、食品の製造に使用可能な穀粉類を特に制限なく用いることができる。本明細書において「穀粉類」は、穀物由来の常温常圧で粉体の物質であり、穀粉及び澱粉を含む概念である。ここで言う「澱粉」とは、小麦等の植物から単離された「純粋な澱粉」を指し、穀粉又は全粒粉中に本来的に内在する澱粉とは区別される。また、「穀粉類」の由来となる前記穀物は、禾穀類(イネ科植物の種子)のみならず、擬禾穀類(双子葉植物の種子)、菽穀類(マメ科植物の種子)、イモ類(食用となる塊根又は塊茎)等、その中に成分として澱粉が内在しているものであればよい。
【0014】
前記スラリー調製工程で用いる原料穀粉類(穀粉、澱粉)は、澱粉を含むものであればよく、アミロース含量の多少は問わず、イネ科植物の場合は粳種でも糯種でもよい。前記スラリー調製工程で用いる原料穀粉類は、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
穀粉の具体例として、小麦粉(具体的には例えば、強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉、デュラムセモリナ)、米粉、そば粉、ライ麦粉、大豆粉、大麦粉、コーンフラワー等の、胚乳部を主体とする穀粉の他、少なくとも外皮部及び/又は胚部を含む穀粉、例えば、外皮部を主体とする「ふすま」、胚乳部、外皮部及び胚部の主要3成分を含む「全粒粉」が挙げられる。ふすま、全粒粉の具体例として、小麦由来である小麦ふすま、小麦全粒粉が挙げられる。ただし、ふすまは、澱粉含有量が比較的少なく、本発明で目的とするα化穀粉類の原料適性にやや劣るため、本工程で用いる原料穀粉類としては、ふすま以外の穀粉類を用いることが好ましい。
澱粉の具体例として、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、タピオカ澱粉等の未加工澱粉;未加工澱粉に油脂加工、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋処理、酸化処理等の処理の1つ以上を施した加工澱粉が挙げられる。
【0015】
前記スラリー調製工程で用いる原料穀粉類は、典型的には、加熱等の前処理が施されていない未加工穀粉類であるが、前処理を施した原料穀粉類を用いることもできる。前記前処理としては、例えば、原料穀粉類に各種の穀粉類改質剤を添加する処理が挙げられる。前記穀粉類改質剤は、穀粉類を所望の性質に改質し得る剤であり、例えば、酵素、酸又はアルカリ剤、乳化剤、触媒、糖類、アミノ酸、ペプチド類、増粘多糖類等の増粘剤等が挙げられる。前記酵素としては、例えば、アミラーゼ、穀粉類に含まれるタンパクを分解するプロテアーゼ等が挙げられる。
【0016】
前記スラリー調製工程で用いる原料穀粉類は、澱粉を含むことが好ましい。ここで言う「澱粉」は、前述したとおり、小麦等の植物から単離された「純粋な澱粉」を指す。α化穀粉類の原料として澱粉を用いることは、特に小麦粉等の穀粉を使用した場合と比較して、スラリーの泡立ち等がないためにハンドリングが容易である点で有利である。
【0017】
前記スラリー調製工程では、原料穀粉類100質量部に対し、水500質量部以上を添加してスラリーを調製する。穀粉類含有スラリーにこのような比較的多量の水を含有させることで、その後の該スラリーの乾燥工程において、穀粉類に含まれる澱粉の側鎖が開きやすくなり、その結果、澱粉の老化耐性の向上等について、従来製法に比べて優れた効果が奏されると推察される。加水量が穀粉100質量部に対し500質量部未満では、このような本発明の所定の効果は奏されない。
【0018】
前記スラリー調製工程において、原料穀粉類100質量部に対する加水量は、好ましくは600~2500質量部、より好ましくは700~2000質量部、更に好ましくは800~1500質量部である。加水量が多すぎると、次工程のスラリーの乾燥工程で固形物を得るために多くの時間及びエネルギーが必要となり、生産コストの上昇、生産効率の低下を招くおそれがある。
【0019】
前記スラリー調製工程においては、穀粉類含有スラリーに特定量の多糖類も含有させる。穀粉類含有スラリーが特定量の多糖類を含有すると、穀粉類中の澱粉が加熱により糊化した際に、澱粉中のアミロースやアミロペクチンと多糖類が相互作用すると考えられ、その結果、澱粉の老化耐性の向上等について、穀粉類含有スラリーが多糖類を含有していない場合に比べて優れた効果が奏されると推察される。多糖類を含有していない穀粉類含有スラリーからα化穀粉類を得て、加工食品の製造においてかかるα化穀粉類を多糖類と併用したとしても、多糖類を含む穀粉類含有スラリーから得られたα化穀粉類を使用したときのような顕著な効果は得られない。
【0020】
前記スラリー調製工程において、多糖類の添加量は、原料穀粉類100質量部に対し0.1~3質量部であり、好ましくは0.1~2質量部である。多糖類の添加量が少なすぎると、本発明で意図する効果が十分に得られないおそれがあり、多糖類の添加量が多すぎると、喫食時に粘りやぬるつきを感じるおそれがある。
【0021】
多糖類としては、キサンタンガム、グアガム、マンナン、アルギン酸プロピレングリコールエステル、タマリンドシードガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、カラヤガム、ジェランガム、ペクチン、プルラン、カラギーナン、寒天、結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル化メチルセルロース等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、キサンタンガム、グアガム、マンナン及びアルギン酸プロピレングリコールエステルからなる群から選択される1種以上を用いることが好ましい。キサンタンガム、グアガムは、費用対効果が高い点で好ましい。マンナン、アルギン酸プロピレングリコールエステルは、少量でも高い使用効果を得ることができる点で好ましい。
尚、本発明において、前述の澱粉は、多糖類には該当しないものとする。
【0022】
前記スラリー調製工程で調製するスラリーは、典型的には、原料穀粉類、多糖類及び溶媒としての水のみを含有するが、必要に応じ、これら以外の成分、例えば、前記の原料穀粉類の前処理で使用可能な穀粉類改質剤を含有してもよい。その場合、1)穀粉類改質剤で前処理した穀粉類を含むスラリーに、該穀粉類改質剤と同じか又はこれと異なる穀粉類改質剤を含有させてもよく、あるいは2)未加工穀粉類を含むスラリーに穀粉類改質剤を含有させてもよい。なお、穀粉類改質剤を含有するスラリーにおいては、酵素反応等の、穀粉類改質剤が関わる反応が生じるところ、この反応は、該スラリーを次の乾燥工程に供する前に終了していてもよく、あるいは該乾燥工程の実施中に生じていてもよい。
【0023】
前記スラリー加熱工程では、前記スラリー調製工程で調製したスラリーを加熱するところ、本発明の所定の効果を奏させるようにするためには、このスラリーの加熱は、該スラリーの品温が90℃以上となる条件で行う必要がある。本発明では前述したとおり、原料穀粉類100質量部に対して500質量部以上の水を加えて多加水のスラリーを調製しており、このことが、原料穀粉類に含まれる澱粉の側鎖が開きやすくなることに少なからず寄与し、延いては、澱粉の老化耐性の向上をもたらすと推察されるところ、この多加水のスラリーを、前記の条件で加熱することで、開いた澱粉の側鎖の熱による損傷を抑えつつ、高品質のα化穀粉類を製造することが可能になる。
【0024】
スラリーの加熱温度が高いほど、澱粉の改質が進行し、本発明の所定の効果が奏されやすくなるが、加熱温度が高すぎると、スラリーを収容する容器内の圧力の管理や必要な蒸気等の熱量が増加するため、生産コストの上昇や生産性の低下に繋がるおそれがある。このようなことを考慮すると、前記スラリー加熱工程における加熱中のスラリーの品温は、好ましくは100℃以上、より好ましくは105℃以上、更に好ましくは110~140℃、更に好ましくは115~135℃、更に好ましくは120~130℃である。スラリーの品温が100℃超となる条件で加熱することは、例えばスラリーを加圧雰囲気で加熱することで実施できる。
【0025】
前記スラリー加熱工程において、スラリーの加熱時間(前記品温を維持する時間)は、本発明の所定の効果を一層確実に奏させるようにする観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上である。一方、α化工程における加熱時間の上限は、生産効率の観点から、好ましくは180分以下、より好ましくは120分以下である。
【0026】
前記スラリー加熱工程におけるスラリーの加熱方法は、前記の高加水且つ高温の条件に対応できる方法であればよく、特に制限されない。典型的なスラリーの加熱方法は、容器に穀粉類及び多糖類を含むスラリーを収容し、該容器を加熱する方法である。スラリーの加熱は、バッチ式で行ってもよく、連続式で行ってもよい。スラリーを加熱する際にこれを収容する容器としては、バッチ式を採用する場合には圧力釜、連続式を採用する場合にはスタティックミキサー等のラインミキサーをそれぞれ例示できる。加熱手段も特に制限されず、例えば、電気式、ガス式、蒸気式が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることできる。蒸気式の加熱手段を用いたスラリーの加熱方法としては、例えば、被乾燥物(穀粉類)が収容された容器内に飽和蒸気又は過熱蒸気を直接導入する方法が挙げられる。
【0027】
前記スラリー加熱工程においては、スラリーの加熱中に該スラリーを攪拌する。スラリーを攪拌せず、静置した状態で加熱すると、該スラリーに含有されている穀粉類がダマになってしまい、澱粉のα化が不十分・不均一となるおそれがあるが、加熱中にスラリーを攪拌することで、このような不都合が防止され、澱粉のα化が促進され得る。スラリーの攪拌方法は、含有されている穀粉類がスラリー全体に分散され得る方法であればよく特に制限されない。典型的には、容器と該容器の内容物を攪拌する攪拌機とを備えた、公知の攪拌機付き容器を用い、常法に従って実施することができる。例えば、スラリーの加熱をバッチ式で行う場合は、攪拌羽根を有する装置を例示でき、連続式で行う場合は、スタティックミキサーを例示できる。また、スラリー攪拌手段としては、公知の超音波振動発生手段を用いることもでき、この場合、超音波振動発生手段から発生した超音波の振動により、スラリー中に細かい気泡を発生させてスラリーを攪拌する。また、攪拌羽根の如き攪拌具を使用せずに、スラリー中に蒸気等の気体を吹き込むことで、加熱中のスラリーを攪拌してもよい。
【0028】
前記スラリー加熱工程は、加熱対象のスラリーが原料穀粉類100質量部に対して水500質量部以上を含む状態で終了することが好ましい。その理由は、前記スラリー加熱工程後のスラリー(次工程のスラリー乾燥工程に供されるスラリー)の含水量が、原料穀粉類100質量部に対して500質量部を下回るような少量であると、該スラリー加熱工程で原料穀粉類中の澱粉のα化が抑制され、本発明の所定の効果が奏されないおそれがあるためである。
【0029】
前記スラリー加熱工程を、前述したように、加熱対象のスラリーが原料穀粉類100質量部に対して水500質量部以上を含む状態で終了させる方法の一例として、スラリーを加圧雰囲気で、すなわち1気圧超の雰囲気圧力下で加熱する方法が挙げられる。この場合、スラリーを収容する容器は、耐圧性を有するものが好ましい。加圧雰囲気の圧力は、スラリーに含まれる溶媒の量や加熱温度(スラリーの品温)に応じて適宜調整すればよく、特に制限されない。加熱に伴うスラリーの上限温度は圧力に依存するため、求める加熱温度に対応した圧力に設定することが好ましい。
【0030】
前記スラリー乾燥工程では、前記スラリー加熱工程で加熱したスラリーを乾燥して、α化穀粉類を含む固形物を得る。スラリーの乾燥方法は特に制限されず、公知の乾燥方法を利用することができ、例えば、凍結乾燥、スプレードライヤー等を用いた噴霧乾燥、ドラムドライヤーを用いた加熱乾燥等が挙げられる。スラリーの乾燥の程度は特に制限されないが、典型的には、スラリーを乾燥して得られる固形物の含水量が、前記スラリー調製工程で用いた原料穀粉類の含水量と同程度になるまで、より具体的には15質量%程度になるまで乾燥する。
【0031】
前記スラリー乾燥工程を経て得られたスラリーの固形物は、そのままα化穀粉類として使用してもよく、粉砕して粉末にしてもよい。固形物の粉砕は、コーヒーミル、ジューサー等の家庭用粉砕機;ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の産業用粉砕機を用いて常法に従って行うことができ、所望の粒度になるまで固形物を粉砕すればよい。
【0032】
得られたα化穀粉類のα化度(糊化度)は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であり得る。このような高α化度のα化穀粉類を食品に配合することで、その食品の食味食感が大幅に向上し、更には食品に優れた老化耐性が付与される。本明細書において、α化度とは、BAP法(β-アミラーゼ・プルラナーゼ法)で測定されたα化度をいう。BAP法によるα化度の測定は、既報(家政学雑誌32(9),653-659,1981)に準じて、以下のとおりに実施することができる。
【0033】
〔β-アミラーゼ・プルラナーゼ法によるα化度の測定方法〕
(A)試薬
使用する試薬は、以下のとおりである。
1)0.8M酢酸-酢酸Na緩衝液
2)10N水酸化ナトリウム溶液
3)2N酢酸溶液
4)酵素溶液:β-アミラーゼ(ナガセケムテックス株式会社、#1500S)0.017g及びプルラナーゼ(林原生物化学研究所、No.31001)0.17gを前記0.8M酢酸-酢酸Na緩衝液に溶かして100mLとしたもの。
5)失活酵素溶液:前記酵素溶液を10分間煮沸させて調製したもの。
6)ソモギー試薬及びネルソン試薬(還元糖量の測定用試薬)
【0034】
(B)測定方法
B-1)サンプル(α化穀粉類)をホモジナイザーで粉砕し、100メッシュ以下とする。この粉砕したサンプル穀粉0.08~0.10gをガラスホモジナイザーに取る。
B-2)ガラスホモジナイザーの内容物に脱塩水8.0mLを加え、該ガラスホモジナイザーを10~20回上下させて該内容物の分散を行い、分散液を得る。
B-3)2本の25mL容目盛り付き試験管に前記B-2)の分散液を2mLずつとり、その2本のうちの1本は、0.8M酢酸-酢酸Na緩衝液で定容し、試験区とする。
B-4)前記2本のうちの他の1本に、10N水酸化ナトリウム溶液0.2mLを添加し、50℃で3~5分間反応させ、前記B-2)の分散液を完全に糊化させる。その後、該他の1本に2N酢酸溶液1.0mLを添加し、pHを6.0付近に調整した後、0.8M酢酸-酢酸Na緩衝液で定容し、糊化区とする。
B-5)前記B-3)及びB-4)で調製した試験区及び糊化区の試験液をそれぞれ0.4mLとり、それぞれに酵素溶液0.1mLを加えて、40℃で30分間酵素反応させ、反応済液を得る。同時に、ブランクとして、酵素溶液の代わりに失活酵素溶液0.1mLを加えたものも調製する。酵素反応は途中で反応液を時々攪拌させながら行う。
B-6)前記反応済液及びブランクそれぞれの0.5mLにソモギー試薬0.5mLを添加し、沸騰浴中で15分間煮沸する。煮沸後、流水中で5分間冷却した後、ネルソン試薬1.0mLを添加・攪拌し、15分間放置する。
B-7)その後、前記反応済液及びブランクそれぞれに脱塩水8.00mLを加えて攪拌し、500nmの吸光度を測定する。
【0035】
(C)α化度の算出
下記式によりα化度を算出する。
α化度(%)={(試験液の分解率)/(完全糊化試験液の分解率)}×100
={(A-a)/(A’-a’)}×100
前記式中、A、A’、a、及びa’は下記のとおりである。
A =試験区の吸光度
A’=糊化区の吸光度
a =試験区のブランクの吸光度
a’=糊化区のブランクの吸光度
【0036】
本発明の製造方法によって製造されたα化穀粉類(以下、「特定α化穀粉類」ともいう)は、公知のα化穀粉やα化澱粉の代わりに使用することができ、典型的には、食品工業分野において、加工食品の製造に用いることができる。ここでいう加工食品は、穀粉類を原材料として用いて製造されるものであり、例えば、うどん、そうめん、ひやむぎ、中華麺、パスタ、即席めん(ノンフライ含む)等の麺類;ベーカリー食品;天ぷら、から揚げ、竜田揚げ、フリッター等の揚げ物類;インスタントスープ等の粉末食品が挙げられる。加工食品は冷凍食品であってもよい。本発明の製造方法により得られるα化穀粉類は特に麺類において好適であり、粘弾性に優れ食味食感が良好な麺類を得ることができ、耐老化性も付与することができる。加工食品の製造は、当該加工食品の種類に応じて常法に従って行うことができる。
【0037】
本発明の製造方法で製造されたα化穀粉類を用いる、麺類の製造方法(以下、「本発明の麺類の製造方法」ともいう)について説明する。
本発明の麺類の製造方法は、特定α化穀粉類を用いて麺生地を調製する工程(麺生地の調製工程)を有する。麺生地の調製は、常法に従って行うことができる。典型的には、特定α化穀粉類を含む原料粉に液体原料を添加し、ミキサー等を用いて混捏することで麺生地を調製する。ここで言う「原料粉」とは、常温常圧下で粉体の原料を指し、典型的には、穀粉類(特定α化穀粉類を含む)、小麦蛋白等の植物性蛋白質が含まれ、食塩、砂糖、油脂等の副原料は含まれない。前記液体原料は、典型的には水を主体とするが、水に加えて更に、食塩、卵類等、その他水溶性の原料を含有してもよい。前記原料粉への前記液体原料の添加量は、製造する麺類の種類等に応じて適宜調整すればよく特に制限されない。
【0038】
前記麺生地の調製工程で用いる原料粉は、少なくとも穀粉類を含有するところ、穀粉類における特定α化穀粉類の含有量は、該穀粉類の全質量に対して好ましくは0.5~40質量%であり、より好ましくは1~30質量%であり、より一層好ましくは2~20質量%である。これにより、粘弾性に優れ食味食感が良好で且つ経時劣化耐性に優れる麺類が得られるようになる。前記含有量が0.5質量%未満では、特定α化穀粉類を使用する意義に乏しく、前記含有量が40質量%を超えると、二次加工性や麺類の品質に悪影響が出るおそれがある。
【0039】
前記麺生地の調製工程で用いる原料粉は、典型的には、特定α化穀粉類に加えて更に、特定α化穀粉類以外の他の穀粉類を含有する。特定α化穀粉類以外の他の穀粉類の種類及びその含有量は特に制限されず、製造する麺類の種類等に応じて適宜選択し得る。特定α化穀粉類以外の他の穀粉類としては、前記スラリー調製工程で用いる原料穀粉類の具体例の中から1種類以上を選択し得る。前述したとおり、斯かる原料穀粉類としてはふすま以外の穀粉類を用いることが好ましいが、前記麺生地の調製工程で用いる原料粉についてはそのような制限はなく、ふすまを用いてもよい。
【0040】
前記麺生地の調製工程で用いる原料粉は、穀粉類以外の他の成分を含有し得る。前記他の成分としては、麺類の製造に使用可能なものを特に制限無く用いることができ、例えば、グルテン、大豆蛋白質、大豆多糖類、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、卵蛋白酵素分解物、脱脂粉乳等の蛋白質素材;動植物油脂、粉末油脂等の油脂類;増粘多糖類等の増粘剤;かんすい、焼成カルシウム、難消化性澱粉以外の食物繊維、膨張剤、食塩、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、デキストリン、アルコール、保存剤、pH調整剤、酵素剤、モルト等が挙げられ、製造する麺類の種類等に応じて、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
本発明の麺類の製造方法は、典型的には、前記麺生地の調製工程の後に、該麺生地を麺線形状等の所定形状に成形する工程(成形工程)を有する。前記成形工程は、常法に従って実施することができ、製造する麺類の種類、麺類の形状等に応じて、機械製法、手延べ製法、手打ち製法、押出製法等の公知の製麺法から選択し得る。
本発明の麺類の製造方法で採用可能な麺生地の成形方法の一例として、圧延製麺、ロール製麺等の各種製麺法により、麺生地に圧力をかけて伸ばして麺帯を得、該麺帯を切り出して麺線を得る方法が挙げられる。本発明の麺類の製造方法で採用可能な麺生地の成形方法の他の一例として、麺生地に圧力をかけて押出製麺する方法が挙げられる。押出製麺は、パスタ製造用の一軸押出製麺機や二軸押出製麺機等を用いて常法に従って行うことができ、その際、押出製麺機の麺線の押出部に所望の形状の孔を有するダイスを設置して押出し成形することで、その孔に対応した形状の麺線が得られる。麺線の横断面の形状は特に限定されず、円形、方形、楕円形、三角形等の何れの形状であってもよい。
【0042】
本発明の麺類の製造方法は、製造目的物が乾麺である場合は、前記成形工程の後、成形した生地(生麺)を乾燥させる工程を有する。あるいは、製造目的物が即席麺である場合は、生麺を加熱調理した後、その調理済み麺を乾燥させる工程を有する。生麺又は調理済み麺の乾燥方法は特に制限されず、自然乾燥、温湿度管理乾燥・熱風乾燥等の、油調せずに乾燥させる非油調乾燥法でもよく、油調して乾燥させる油調乾燥法でもよく、製造目的物の種類等に応じて適宜選択し得る。
【0043】
本発明が適用可能な麺類は特に制限されず、例えば、うどん、素麺、冷麦、中華麺、パスタ(ショートパスタ、ロングパスタ、平打ちパスタ等を含む)等の麺線類;餃子、焼売、ワンタン等の麺皮類が挙げられる。本発明は、麺線類の中ではうどん、麺皮類の中では餃子に特に有用である。また本発明は、生麺、調理麺(茹で麺、蒸し麺等)、生麺又は調理麺の冷凍麺、冷蔵麺又はチルド麺、ノンフライ即席麺、フライ即席麺、乾麺等に適用可能である。
【0044】
また、食品工業分野でのα化穀粉類のその他の使用例として、具体的には、1)熱調理を省く用途(例えばインスタントスープ)の増粘や保型、2)ケーキミックスの生地の改質や冷凍食品の組織の安定化、3)穀粉類としてコーンスターチを用いて製造されたα化穀粉類の場合、スープやらくがん粉の代用、4)穀粉類としてワキシーコーンスターチを用いて製造されたα化穀粉類の場合、豆菓子の衣が挙げられる。
【0045】
また、本発明の製造方法で製造されたα化穀粉類は、食品工業分野以外の分野で使用することもできる。食品工業分野以外の分野でのα化穀粉類の使用例として、穀粉類として馬鈴薯澱粉を用いて製造されたα化穀粉類の場合、飼料の粘結;鋳物砂型、線香、研磨砥石等の粘結;家庭用洗濯ノリ;紙力増強剤等が挙げられる。
【実施例0046】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
〔実施例1~9、比較例1~3〕
加工タピオカ澱粉を原料穀粉類として用い、表1及び2に示す配合で原料穀粉類に多糖類及び水を加えて水性のスラリーを調製した(スラリー調製工程)。このスラリーを、攪拌機(回転可能に設置されたパドル)付き圧力容器の該圧力容器に入れ、該攪拌機で攪拌しつつ、120℃(該スラリーの品温)にて20分間(該品温の維持時間)加熱した(スラリー加熱工程)。次に、前記スラリー加熱工程を経たスラリー(糊化液)を市販の凍結乾燥機(商品名「ジェネシスSQ」、SPインダストリーズ社製)を用いて凍結乾燥し、固形物を得た(スラリー乾燥工程)。次に、得られた固形物を市販のコーヒーミルを用いて粉砕し、α化穀粉類(より具体的にはα化澱粉)を製造した。前記α化穀粉類の製造に使用した原料の詳細は以下のとおりである。
【0048】
・加工タピオカ澱粉(エーテル化リン酸架橋タピオカ澱粉):松谷化学工業株式会社製「ゆり8」
・キサンタンガム:Cargill France SAS社製「SATIAXANE CX 90」
・グアガム:HABGEN GUARGUMS社製「PROCO S-1」
・マンナン:伊那食品工業社製「ウルトラマンナンG5」
・アルギン酸プロピレングリコールエステル(以下、「アルギン酸PG」とも言う):太陽化学社製「ネオソフトAL-31」
【0049】
【表1】
【0050】
〔試験例1〕
上記で製造したα化穀粉類を用いて麺生地を調製した。具体的には、表2及び3に記載の試験対象物(実施例若しくは比較例のα化穀粉類、又は比較例1のα化穀粉類と多糖類との混合物)5質量%、中力粉(日清製粉株式社製「宝雲」)70質量%及びエーテル化リン酸架橋タピオカ澱粉(松谷化学工業株式会社製「あさがお」)25質量%を含有する穀粉類100質量部に対し、小麦蛋白(グリコ栄養食品株式会社製「AグルG」)5質量部を添加して原料粉Aを調製した。
原料粉A100質量部に、食塩3質量部を溶解した適量の水を添加し、-90kPaの減圧下で混捏し麺生地を調製した。次に、麺生地を圧延し、切刃(#10番角)により厚み3mmの麺線に切り出した。次に、麺線を沸騰した湯で茹で調理した後、水洗冷却し、調理麺の一種である茹でうどんを製造した。
【0051】
茹でうどんをその製造直後に10名の専門パネラーに食してもらい、食感(粘弾性)を下記評価基準により採点してもらった。
また、茹でうどんの一部を用いて冷製茹でうどんを製造し、該冷製茹でうどんについて、茹でうどんと同様に食感(粘弾性)を採点した。具体的には、前記茹でうどん100質量部に、ほぐれ剤(不二製油株式会社製「ソヤアップM3000」)3質量部をスプレーにより均一に付着させた後、庫内温度4℃の冷蔵庫内で冷やして冷製茹でうどんとし引き続き冷蔵庫内で3日間保存した後、これを冷蔵庫から取り出してそのまま専門パネラーに食してもらい、食感(粘弾性)を下記評価基準により採点してもらった。
【0052】
下記評価基準における「対照例」は、試験対象物として、加工タピオカ澱粉「ゆり8」(松谷化学工業株式会社製;実施例及び比較例で原料穀粉類として用いたものと同じ)を用いて、上述と同様にして製造した茹でうどんである。
採点結果(10名の専門パネラーによる採点の算術平均点)を表2及び3に示す。表2及び3において、試験対象物として実施例のα化穀粉類を用いた試験例は、当該試験例の左隣の試験例(試験対象物として、比較例のα化穀粉類と多糖類との混合物を使用)を比較対象とする。例えば、試験例1-3の比較対象は試験例1-2、試験例1-5の比較対象は1-4である。
表2及び3中、「製造直後」は茹でうどんを指し、「冷蔵保存後」は冷製茹でうどんを指す。
【0053】
<食感(粘弾性)の評価基準>
5点:対照例に比べて粘弾性に非常に優れる。
4点:対照例に比べて粘弾性に優れる。
3点:対照例より粘弾性にやや優れる。
2点:対照例と同等である。
1点:対照例に比べて粘弾性が劣る。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】