(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】長期抗菌維持効果を有する抗菌素材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A01N 25/34 20060101AFI20220614BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220614BHJP
A01N 33/12 20060101ALI20220614BHJP
A01N 43/40 20060101ALI20220614BHJP
D06M 13/46 20060101ALI20220614BHJP
B32B 27/12 20060101ALI20220614BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
A01N25/34 B
A01P3/00
A01N33/12 101
A01N43/40 101K
D06M13/46
B32B27/12
B32B27/18 Z
(21)【出願番号】P 2018031383
(22)【出願日】2018-02-23
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】518048802
【氏名又は名称】メディカルクラフトン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591016460
【氏名又は名称】ダイヤホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100117226
【氏名又は名称】吉村 俊一
(72)【発明者】
【氏名】石井 正雄
(72)【発明者】
【氏名】松江 雄二
(72)【発明者】
【氏名】松尾 健哉
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 哲也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】槇田 洋二
(72)【発明者】
【氏名】小比賀 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】阿部 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 洋平
(72)【発明者】
【氏名】長岡 紀幸
(72)【発明者】
【氏名】吉原 久美子
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-178475(JP,A)
【文献】特開平04-292410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
D06M
B32B
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌素材である抗菌糸又は抗菌布を単独で又は他の糸もしくは布と複合化して繊維複合抗菌製品とすることができる前記抗菌素材の製造方法であって、
塩化セチルピリジニウムをモンモリロナイトに担持させた抗菌剤と、ノニオン系又はカチオン系親水性樹脂を含むアクリル系の接着性エマルジョンとの抗菌化処理液を準備する抗菌化処理液準備工程と、前記抗菌化処理液と、抗菌化させたい糸又は布とを接触させた後に乾燥して、抗菌素材である抗菌糸又は抗菌布を得る抗菌素材形成工程と、を有し、
前記抗菌剤として、1.0gの抗菌剤を40mL蒸留水に浸漬し、これを3分間振とう処理した場合において、上澄み液中の前記塩化セチルピリジニウム濃度が600ppm以下のものを用いる、ことを特徴とする抗菌素材の製造方法。
【請求項2】
抗菌素材である抗菌フィルムを他の糸又は布もしくはシートと複合化して繊維複合抗菌製品とすることができる前記抗菌素材の製造方法であって、
塩化セチルピリジニウムをモンモリロナイトに担持させた抗菌剤と、ノニオン系又はカチオン系親水性樹脂を含むアクリル系の接着性エマルジョンとの抗菌化処理液を準備する抗菌化処理液準備工程と、前記抗菌化処理液を流延させた後に乾燥して、抗菌素材である抗菌フィルムを得る抗菌素材形成工程と、を有し、
前記抗菌剤として、1.0gの抗菌剤を40mL蒸留水に浸漬し、これを3分間振とう処理した場合において、上澄み液中の前記塩化セチルピリジニウム濃度が600ppm以下のものを用いる、ことを特徴とする抗菌素材の製造方法。
【請求項3】
前記塩化セチルピリジニウムとモンモリロナイトの配合割合(質量比、塩化セチルピリジニウム:モンモリロナイト)が、60:40~40:60である、請求項1又は2に記載の抗菌素材の製造方法。
【請求項4】
前記抗菌剤に化学吸着している抗菌化合物の含有量は、5~25質量%の範囲内であり、前記抗菌剤に物理吸着している抗菌化合物の含有量は、30~40質量%の範囲内である、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗菌素材の製造方法。
【請求項5】
前記接着性エマルジョンが、カチオン系又はノニオン系の界面活性剤を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗菌素材の製造方法。
【請求項6】
単独で又は他の糸もしくは布と複合化して繊維複合抗菌製品とすることができる抗菌素材であって、塩化セチルピリジニウムをモンモリロナイトに担持させた抗菌剤と、ノニオン系又はカチオン系親水性樹脂を含むアクリル系の接着性エマルジョンとの抗菌化処理液を前記単独で又は他の糸もしくは布に接触させた後に乾燥してなる親水性樹脂成分とが、表面に接着してなる抗菌糸又は抗菌布である、ことを特徴とする抗菌素材。
【請求項7】
他の糸又は布もしくはシートと複合化して繊維複合抗菌製品とすることができる抗菌素材であって、塩化セチルピリジニウムをモンモリロナイトに担持させた抗菌剤と、ノニオン系又はカチオン系親水性樹脂を含むアクリル系の接着性エマルジョンとの抗菌化処理液を前記他の糸又は布もしくはシートに接触又は流延させた後に乾燥
させた親水性樹脂成分とを含む抗菌フィルである、ことを特徴とする抗菌素材。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の抗菌素材を、単独で又は他の糸、布もしくはシートと複合化してなるものである、ことを特徴とする繊維複合抗菌製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期抗菌維持効果を有する抗菌素材及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、単独で又は他の糸もしくは布と複合化して繊維複合抗菌製品とすることができ、含まれる抗菌成分が徐々に放出される徐放作用により、安全で高い抗菌効果が長期にわたって維持できる抗菌素材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日常生活の快適性や衛生性が重視され、これに対応するように抗菌機能や消臭機能を有する繊維が多くの商品に応用されている。このため、抗菌機能を有する繊維製品の市場は、今後も引き続き継続的な拡大が期待されている。このような市場動向の中で、繊維に抗菌性を付与する方法としては、銀系無機抗菌剤に代表される無機抗菌剤や、光触媒機能を示す無機材料等を、繊維紡糸工程で繊維内に練り込む方法が主流である。また、別の方法としては、第四級アンモニウム化合物水溶液を繊維表面に塗工する方法もある。
【0003】
しかしながら、繊維紡糸工程で抗菌剤を繊維内に練り込む方法では、繊維内に練り込まれた抗菌剤は抗菌効果を発揮しにくく、さらに紡糸段階で糸切れを起こし易く、安定的に抗菌剤を練り込むには限界がある。また、第四級アンモニウム化合物水溶液を繊維表面に塗工する方法では、得られた抗菌繊維表面に塗工された抗菌剤が水溶性であるため、洗濯処理により溶解してしまい、抗菌効果の持続性が乏しい。
【0004】
具体的には、例えば特許文献1では、銀イオン等の抗菌性金属イオンを担持したゼオライト粒子と樹脂とを含有する抗菌性樹脂組成物が提案されている。また、特許文献2~6では、銀、亜鉛、銅イオン等の抗菌性金属イオンを担持したリン酸塩粒子又はハイドロキシアパタイト粒子、或いはこのような粒子を含有する樹脂組成物等が提案されている。これらの抗菌性物質は、ゼオライト粒子やハイドロキシアパタイト粒子を担体として用いているため、優れた吸着性と抗菌性とを併せ持つとされている。
【0005】
しかしながら、抗菌性の粒子を樹脂組成物中に錬り込んだ場合、その粒子が外部に露出する量が極めて少なくなるため、それら粒子の持つ優れた抗菌性が活かされていない。また、これら粒子の粒子径は、数μm~数十μmであるため、繊維溶融紡糸工程で糸切れ等のトラブルの原因となりやすく、大きな製造上の問題となっている。
【0006】
一方、例えば特許文献7では、繊維の表面に水酸アパタイト粒子の核を形成し、その後に水酸アパタイトを成長させて、繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜を形成し、次いで、水酸アパタイト皮膜付き繊維を、抗菌性金属の塩を溶解した水溶液中に浸漬する抗菌性繊維の製造方法が提案されている。この方法で製造した抗菌性繊維は、繊維の表面に、水酸アパタイトからなる皮膜が形成され、この皮膜に抗菌性金属、そのイオン又は塩が担持されるため、これらの金属、そのイオン又は塩のほとんどに抗菌剤としての機能を持たせることができるとされている。
【0007】
しかしながら、この抗菌性繊維の製造方法では、水酸アパタイトを繊維に物理的又は静電的に固着させているため、水酸アパタイトと基材間の接着強度が弱く、洗濯等の実使用で抗菌剤が脱落しやすく、抗菌効果の長期耐久性が不十分である。こうした問題に対し、接着強度を高めるために接着剤で水酸アパタイトと基材とを接合することも考えられる。しかし、この場合、接着剤が水酸アパタイトの表面を覆ってしまい、抗菌性や吸着能が低下するおそれがある。また、水中でこのような繊維を使用した場合は、接着剤が溶出するおそれもある。
【0008】
また、上記方法以外にも、抗菌剤をバインダー樹脂を用いて繊維品に付与する方法が知られているが、バインダー樹脂を用いる方法は、抗菌剤が樹脂に覆われて充分な抗菌効果が期待できないこと、繊維本来の風合が損なわれること、バインダー樹脂の種類によっては耐洗濯性の点で難があること等の問題点がある。
【0009】
こうした問題に対し、例えば特許文献8,9では、バインダー樹脂を用いることなく、抗菌性が優れ、安全性が高く、耐洗濯性もある抗菌性繊維の製造法が提案されている。特許文献8では、繊維を無機系抗菌剤水性分散液と接触させた後、水洗及び乾燥を行って、繊維の表面に無機系抗菌剤水性分散液の浸透による無機系抗菌剤担持層を形成する方法が提案され、上記の無機系抗菌剤水性分散液としては、バインダー樹脂を含まないものを用いると共に、上記の接触処理を加温条件下でかつ非常圧条件下(つまり減圧条件下または加圧条件下)に実施する手段が提案されている。また、特許文献9では、無機担体に抗菌性金属を担持させてなる無機抗菌剤をホウ酸、ホウ酸アルカリ金属塩及びリン酸アルカリ金属塩から選ばれる無機分散剤にて水に分散させてなる繊維品の抗菌加工剤が提案され、さらに、その抗菌加工剤をカチオン界面活性剤、カチオン性水溶性合成樹脂及びカチオン性柔軟剤から選ばれる少なくとも1種の抗菌加工助剤の存在下に繊維品に付与することからなる繊維品の抗菌加工法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特公昭63-54013号公報
【文献】特開平2-96508号公報
【文献】特開平2-180270号公報
【文献】特開平3-43457号公報
【文献】特開平3-38504号公報
【文献】特開平3-83905号公報
【文献】特開平10-140472号公報
【文献】特開平7-243180号公報
【文献】特開2002-370911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来の問題点、例えば無機系抗菌剤を使用することによる変色、毒性、加工性の問題点を解決でき、さらに有機系抗菌剤の水溶化による抗菌持続性が短いという問題点も解決できる新しい手法を提案するものである。
【0012】
本発明の目的は、単独で又は他の糸もしくは布と複合化して繊維複合抗菌製品とすることができ、含まれる抗菌成分が徐々に放出される徐放作用により、安全で高い抗菌効果が長期にわたって維持できる抗菌素材を提供することにある。さらに、抗菌剤濃度の調節が容易であるとともに、抗菌性を付与するための加工工程を簡略化して効率のよい製造を可能とする抗菌素材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明に係る抗菌素材の製造方法は、抗菌素材である抗菌糸又は抗菌布を単独で又は他の糸もしくは布と複合化して繊維複合抗菌製品とすることができる前記抗菌素材の製造方法であって、第四級アンモニウム塩化合物をモンモリロナイトに担持させた抗菌剤と、ノニオン系又はカチオン系親水性樹脂を含む接着性エマルジョンとの抗菌化処理液を準備する抗菌化処理液準備工程と、前記抗菌化処理液と、抗菌化させたい糸又は布とを接触させた後に乾燥して、抗菌素材である抗菌糸又は抗菌布を得る抗菌素材形成工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、準備された抗菌化処理液で糸又は布(布は面状の繊維製品であり、例えば織物や編み物等である。)を抗菌化させて抗菌素材である抗菌糸又は抗菌布を得ることができるので、例えば抗菌糸を単独で又は他の糸と複合化して織物、編み物、組紐等の繊維複合抗菌製品とすることができ、例えば抗菌布を単独で又は他の糸もしくは布・シート等と複合化して繊維複合抗菌製品とすることができる。第四級アンモニウム塩化合物がモンモリロナイトに担持した抗菌剤は、抗菌性を有する第四級アンモニウム化合物の溶出がモンモリロナイトにより制限されるため、短時間で抗菌剤の溶出が無く、抗菌効果を長期間持続させることができる。これに加えて、抗菌素材から抗菌剤が溶出しても、その抗菌素材を再度第四級アンモニウム水溶液中に浸漬させることで抗菌剤をリチャージすることも可能であり、抗菌性を復元するように使用してもよい。
【0015】
(2)本発明に係る抗菌素材の製造方法は、抗菌素材である抗菌フィルムを他の糸又は布もしくはシートと複合化して繊維複合抗菌製品とすることができる前記抗菌素材の製造方法であって、第四級アンモニウム塩化合物をモンモリロナイトに担持させた抗菌剤と、ノニオン系又はカチオン系親水性樹脂を含む接着性エマルジョンとの抗菌化処理液を準備する抗菌化処理液準備工程と、前記抗菌化処理液を流延させた後に乾燥して、抗菌素材である抗菌フィルムを得る抗菌素材形成工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、準備された抗菌化処理液を流延して抗菌素材である抗菌フィルムを得ることができるので、例えば抗菌フィルムを他の糸や布・シート等と複合化した繊維複合抗菌製品とすることができる。また、例えば、この抗菌フィルムを各種繊維製品に貼り付けたり、縫いつけたり、ポケットを付けたりして複合化する等の方法で容易に繊維複合抗菌製品とすることができる。
【0017】
(3)本発明に係る抗菌素材の製造方法において、前記第四級アンモニウム塩化合物が、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム及び塩化ベンゼトニウムから選ばれるいずれか1又は2以上である。
【0018】
(4)本発明に係る抗菌素材の製造方法において、前記抗菌剤として、1.0gの抗菌剤を40mL蒸留水に浸漬し、これを3分間振とう処理した場合において、上澄み液中の第四級アンモニウム塩化合物濃度が600ppm以下のものを用いる。
【0019】
(5)本発明に係る抗菌素材の製造方法において、前記接着性エマルジョンが、アクリル系エマルジョンであることが好ましい。
【0020】
(6)本発明に係る抗菌素材の製造方法において、前記接着性エマルジョンが、カチオン系又はノニオン系の界面活性剤を含むことが好ましい。
【0021】
(7)本発明に係る抗菌素材は、単独で又は他の糸もしくは布と複合化して繊維複合抗菌製品とすることができる抗菌素材であって、第四級アンモニウム塩化合物をモンモリロナイトに担持させた抗菌剤と、親水性樹脂成分とが、表面に接着してなる抗菌糸又は抗菌布であることを特徴とする。
【0022】
(8)本発明に係る抗菌素材は、他の糸又は布もしくはシートと複合化して繊維複合抗菌製品とすることができる抗菌素材であって、第四級アンモニウム塩化合物をモンモリロナイトに担持させた抗菌剤と、親水性樹脂成分とを含む抗菌フィルであることを特徴とする。
【0023】
(9)発明に係る繊維複合抗菌製品は、上記本発明に係る抗菌素材を、単独で又は他の糸、布もしくはシートと複合化してなるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、含まれる抗菌成分が徐々に放出される徐放作用により、安全で高い抗菌効果が長期にわたって維持できる抗菌素材を提供することができる。さらに、抗菌剤濃度の調節が容易であるとともに、抗菌性を付与するための加工工程を簡略化して効率のよい製造を可能とする抗菌素材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係る抗菌素材である抗菌フィルムを用いた繊維複合抗菌製品の種々の例(1A~1E)を示す断面構成図である。
【
図2】抗菌化処理液に接触する前の糸の例であり、(A)は220dtexの繊維糸の写真であり、(B)は1100dtexの繊維糸の写真である。
【
図3】抗菌化処理液に接触させて抗菌化した後の抗菌糸の例であり、(A)は断面写真であり、(B)は表面写真である。
【
図4】抗菌フィルムの製造プロセスの概念図と、抗菌フィルムを用いて作製した繊維複合抗菌製品の断面構成図である。
【
図5】湿式ケーク水洗浄の回数によって抗菌剤から溶出するCPC量を示すグラフである。
【
図6】乾式処理抗菌剤の洗浄回数と抗菌剤から溶出するCPC量を示すグラフである。
【
図7】水洗と乾燥を繰り返す試験によって抗菌フィルムから溶出するCPC量を示すグラフである。
【
図8】抗菌素材の抗菌性(細胞生存率)についての測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る抗菌素材及びその製造方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、その要旨の範囲で以下の実施形態に限定されず、種々の変形例や応用例を包含する。最初に、繊維複合素材の製造方法について説明し、その後に抗菌素材とそれを用いた繊維複合抗菌製品を説明する。
【0027】
[抗菌素材の製造方法]
本発明に係る抗菌素材の製造方法は、抗菌素材である抗菌糸、抗菌布又は抗菌フィルムを単独で又は他の糸、布もしくはシート等の被複合素材と複合化して繊維複合抗菌製品とすることができる抗菌素材の製造方法である。そして、その特徴は、第四級アンモニウム塩化合物をモンモリロナイトに担持させた抗菌剤と、ノニオン系又はカチオン系親水性樹脂を含む接着性エマルジョンとの抗菌化処理液を用いることにあり、その抗菌化処理液を抗菌化させたい糸又は布とを接触させた後に乾燥して抗菌素材である抗菌糸又は抗菌布を得たり、その抗菌化処理液を流延させた後に乾燥して抗菌素材である抗菌フィルムを得たりすることに特徴がある。
【0028】
抗菌剤は、モンモリロナイトと第四級アンモニウム塩化合物とを水中で混合することで、インターカレーションと呼ばれる形態で第四級アンモニウム塩化合物がモンモリロナイト層間中に担持されて得ることができる。本願では、この抗菌剤が、周辺が水や水蒸気等の環境下において、担持されている第四級アンモニウム塩化合物がゆっくり徐放され、高い抗菌性を長期間持続するという特徴を活用した抗菌素材(抗菌糸、抗菌布、抗菌フィルム)を製造する方法を提供する。抗菌素材を得る方法として、本願では、抗菌剤と接着性エマルジョンとを混合した抗菌化処理液を繊維表面に塗布する第1実施形態と、抗菌剤と接着性エマルジョンとを混合した抗菌化処理液をキャステイング(流延)する第2実施形態とを提案する。
【0029】
第1実施形態は、第四級アンモニウム塩化合物をモンモリロナイトに担持させた抗菌剤と、ノニオン系又はカチオン系親水性樹脂を含む接着性エマルジョンとの抗菌化処理液を準備する抗菌化処理液準備工程と、前記抗菌化処理液と、抗菌化させたい糸又は布とを接触させた後に乾燥して、抗菌素材である抗菌糸又は抗菌布を得る抗菌素材形成工程と、を有するものである。第2実施形態は、第四級アンモニウム塩化合物をモンモリロナイトに担持させた抗菌剤と、ノニオン系又はカチオン系親水性樹脂を含む接着性エマルジョンとの抗菌化処理液を準備する抗菌化処理液準備工程と、前記抗菌化処理液を流延させた後に乾燥して、抗菌素材である抗菌フィルムを得る抗菌素材形成工程と、を有するものである。
【0030】
これらの実施形態で得られた抗菌素材では、抗菌剤は、抗菌性を有する第四級アンモニウム化合物の溶出がモンモリロナイトにより制限されるため、短時間で抗菌剤の溶出が無く、抗菌効果を長期間持続させることができる。これに加えて、抗菌素材から抗菌剤が溶出しても、その抗菌素材を再度第四級アンモニウム水溶液中に浸漬することで抗菌剤をリチャージすることも可能であり、抗菌性を復元するように使用してもよい。そして、製造された抗菌素材は、抗菌糸においては単独で又は他の糸もしくは布と複合化して、抗菌フィルムにおいては他の糸又は布もしくはシートと複合化して、繊維複合抗菌製品とすることができる。
【0031】
特に第1実施形態の製造方法では、準備された抗菌化処理液で糸又は布(布は面状の繊維製品であり、例えば織物や編み物等である。)を抗菌化させて抗菌素材である抗菌糸又は抗菌布を得ることができるので、例えば抗菌糸を単独で又は他の糸と複合化して織物、編み物、組紐等の繊維複合抗菌製品とすることができ、例えば抗菌布を単独で又は他の糸もしくは布・シート等と複合化して繊維複合抗菌製品とすることができる。また、第2実施形態の製造方法では、準備された抗菌化処理液を流延して抗菌素材である抗菌フィルムを得ることができるので、例えば抗菌フィルムを他の糸や布・シート等と複合化した繊維複合抗菌製品とすることができる。また、例えば、この抗菌フィルムを各種繊維製品に貼り付けたり、縫いつけたり、ポケットを付けたりして複合化する等の方法で容易に繊維複合抗菌製品とすることができる。
【0032】
以下、抗菌素材の各構成について説明する。
【0033】
<抗菌化処理液準備工程>
抗菌化処理液準備工程は、抗菌剤と、ノニオン系又はカチオン系親水性樹脂を含む接着性エマルジョンとの抗菌化処理液を準備する工程である。
【0034】
(抗菌剤)
抗菌剤は、第四級アンモニウム塩化合物をモンモリロナイトに担持させたものである。第四級アンモニウム塩化合物は、抗菌作用を有する化合物(抗菌化合物という。)であればよく、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウムから選ばれるいずれか1又は2以上を用いることができる。これらのうち、特に塩化セチルピリジニウム(CPCとも呼ばれている。)が好ましい。なお、特開2016-160192号公報には、抗菌化合物として各種のアニオン性抗菌化合物、非イオン性抗菌化合物、カチオン性抗菌化合物、両イオン性抗菌化合物が挙げられており、なかでも、モンモリロナイト等の層状ケイ酸塩との反応性の観点からカチオン性抗菌化合物が好ましく、第四級アンモニウム塩化合物がより好ましいとされているが、本発明では、後述の実施例に記載のように、塩化セチルピリジニウムを特に好ましく適用することができる。
【0035】
抗菌化合物としては、1.0gの抗菌化合物を40mL蒸留水に浸漬し、これを3分間振とう処理した場合において、その上澄み液中の第四級アンモニウム塩化合物濃度が600ppm以下のものを用いる。第四級アンモニウム塩化合物濃度が600ppm以下のものとすることにより、皮膚に触れた際の刺激がない。四級アンモニウム塩化合物濃度が600ppmを超えても抗菌効果の観点では問題ないが、皮膚に触れた際に刺激を与える場合があり、刺激性の観点からは避けることが望ましい。
【0036】
抗菌化合物の使用量は、モンモリロナイトにどの程度の抗菌性を付与するかによって任意に選択することができるが、モンモリロナイト100質量部に対して、67~150質量部の範囲内が好ましい。この範囲で付与することにより、本発明の効果を奏するものとすることができる。抗菌化合物の使用量が67質量部未満では、CPCの溶出が少ないため、十分な抗菌性が発揮できなくなることがあり、150質量部を超えると、それ以上のCPCがモンモリロナイトの層間に入らないため、CPCを無駄に過剰添加することになる。なお、抗菌化合物とモンモリロナイトを配合割合(質量比)で表せば、抗菌化合物:モンモリロナイト=60:40~40:60とすることができる。
【0037】
モンモリロナイトは、いわゆる層状構造を持つケイ酸塩(層状ケイ酸塩ともいう。)であり、層電荷が0.2~0.6のスメクタイト族である。モンモリロナイトは、層間には、Na+、Mg2+、Ca2+等の陽イオンを水和した状態で取り込むことができ、親水性を有している。好ましくは、Na型モンモリロナイトを挙げることができる。
【0038】
本発明では、入手容易性、コスト、取り扱い易さ、実用性との観点からモンモリロナイトを採用しているが、モンモリロナイト以外の層上ケイ酸塩をモンモリロナイトと一緒に又は単独で用いても構わない。例えば、モンモリロナイト以外のスメクタイト族、バーミキュライト族や雲母(マイカ)等の粘土鉱物、Na型テニオライト、Li型テニオライト等を挙げることができる。これらは天然に存在するものを精製したものであってもよいし、水熱法等公知の方法で合成したものであってもよい。
【0039】
モンモリロナイトの平均粒径としては、特に限定されるものではなく、操作性の観点から、20~100μmの範囲内のものを用いることができる。ここでの平均粒径とは、層部分の最大面積を有する面の径を意味し、長径と短径がある場合はその平均値のことであり、粒度分布計(ベックマン・コールター社製)により測定することができる。モンモリロナイトの平均粒径の調整は、例えば、粉砕又は篩等により分級することにより、容易に行うことができる。なお、モンモリロナイトと抗菌化合物との配合割合(質量比)は、上記したとおりである。
【0040】
抗菌化合物である第四級アンモニウム塩化合物を層状ケイ酸塩であるモンモリロナイトに担持させて抗菌剤とする手段は、抗菌化合物とモンモリロナイトとを溶媒中にて接触させて行う方法を挙げることができる。例えば、モンモリロナイトをイオン交換水に添加して調製した懸濁液に、抗菌化合物をイオン交換水に溶解した溶液を徐々に滴下して攪拌する方法を例示できる。用いる溶媒の種類及びその量、攪拌時の温度及び時間、その他の条件は特に限定されず、適宜調整することができる。固形成分である得られた抗菌剤は、ろ取後に洗浄、乾燥してもよく、乾燥後に粉砕又は凍結乾燥してもよい。
【0041】
抗菌剤の平均粒径としては、特に限定されないが、抗菌化処理液中に分散して単独で又は他の糸、布もしくはシート等の被複合素材と複合化して繊維複合抗菌製品とすることができる抗菌素材の製造に適用する観点から、好ましくは、3~50μmの範囲内であることが好ましい。この平均粒径も前述と同様の方法により測定することができる。
【0042】
抗菌剤に化学吸着している抗菌化合物の含有量は、特に限定されないが、層状ケイ酸塩であるモンモリロナイトの層表面に存在する負の電荷と結合して層間を広げる観点から、5~25質量%の範囲内であることが好ましい。一方、抗菌剤に物理吸着している抗菌化合物の含有量は、特に限定されないが、抗菌性を発揮する観点から、30~40質量%の範囲内であることが好ましい。化学吸着した抗菌化合物及び物理吸着した抗菌化合物の含有量は、例えば、熱天秤により測定することができる。
【0043】
(接着性エマルジョン)
接着性エマルジョンは、ノニオン系又はカチオン系親水性樹脂を含むものであり、上記した抗菌剤とともに抗菌素材を構成する。ノニオン系親水性樹脂としては、スチレン・アクリル系、エチレン、酢酸ビニル系、酢酸ビニル系等を挙げることができ、カチオン系親水性樹脂としては、アクリル系、スチレン・アクリル系等を挙げることができる。なかでも、スチレン・アクリル系を好ましく用いることができる。
【0044】
(抗菌化処理液)
抗菌化処理液は、上記した抗菌剤と接着性エマルジョンとを有する。抗菌化処理液の配合割合としては、抗菌剤と接着性エマルジョンとの固形分含有比(配合比と同じ。)が、抗菌剤:接着性エマルジョン(質量比)=5:2~2:1の範囲内であることが好ましい。この範囲内とすることにより、抗菌化処理液単独で又は抗菌化処理液を他の糸、布もしくはシート等の被複合素材と複合化して繊維複合抗菌製品とすることができる。
【0045】
抗菌化処理液は、抗菌剤及び接着性エマルジョン以外に、その他の成分を本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。その他の成分としては、例えば、重合性単量体、重合開始剤、樹脂、フィラー、重合禁止剤、酸化防止剤、顔料、染料、香味剤、紫外線吸収剤、有機溶媒、粘度調整剤、緩衝剤、研磨剤、抗菌性を示す他の成分、薬効を示す成分、防カビ剤等を挙げることができる。
【0046】
(抗菌化工程)
抗菌化工程は、上記抗菌化処理液と、抗菌化させたい糸又は布とを接触させ、乾燥させる工程である。この工程は、パディング処理(処理液中に織物等を通過させ、ローラーで絞り、処理液を含ませること。)を適用することができる。バディング処理条件は、任意に設定することができるので、効果的な製造を確立する上で便利である。
【0047】
抗菌フィルムの形成においては、抗菌化処理液を流延(キャスティング)させた後に乾燥して抗菌フィルムを得ることができる。この場合の抗菌フィルムは、水中でフイルム内のCPCを効果的に溶出させるという理由により、吸水率が5%以上であることが好ましい。吸水率が5%未満の場合は、水中でフイルム内からCPCが溶出しにくいこととなってしまうことがある。
【0048】
抗菌フィルム中の抗菌剤割合については、抗菌フィルム中の抗菌剤が20質量%以上80質量%以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内とすることにより、徐放作用を有する抗菌フィルムとすることができる。20質量%未満の場合には、期待する抗菌性が発揮されないことがあり、80質量%を超えると、フイルムが成形できなくなってしまうことがある。
【0049】
抗菌剤と接着性エマルジョンとの配合比は、任意に設定することができるが、好ましくは、抗菌剤:接着性エマルジョン(質量比)=5:2~2:1の範囲内である。この範囲内とすることにより、水分の存在下でCPCが徐放して長期間抗菌性を発揮する良好な抗菌糸、抗菌布、抗菌フィルムを得ることができる。その範囲外の場合には、糸、布から抗菌剤が脱落して抗菌性が発現しないことがある。
【0050】
[抗菌素材及び繊維複合抗菌製品]
本発明に係る抗菌素材は、上記した製造方法の2つの実施形態で製造されたものである。第1実施形態は、抗菌剤と親水性樹脂成分とが表面に接着した抗菌糸又は抗菌布からなり、単独で又は他の糸もしくは布と複合化して繊維複合抗菌製品とすることができる抗菌素材であって、前記抗菌剤が、第四級アンモニウム塩化合物をモンモリロナイトに担持させたものであることを特徴とする。
【0051】
図2は、抗菌化処理液に接触する前の糸の例であり、(A)は220dtexの繊維糸の写真であり、(B)は1100dtexの繊維糸の写真である。この繊維糸を抗菌化処理液に接触させて抗菌化した後の抗菌糸は、
図3(A)(B)に示すように、CPCがモンモリロナイトに担持した抗菌剤粒子が、繊維糸の表面に接着しているの確認できる。こうした抗菌糸を用いて、各種の抗菌性繊維製品とすることができる。
【0052】
また、第2実施形態は、抗菌剤と親水性樹脂成分とを含む抗菌フィルムからなり、他の糸又は布と複合化して繊維複合抗菌製品とすることができる抗菌素材であって、前記抗菌剤が、第四級アンモニウム塩化合物をモンモリロナイトに担持させたものであることを特徴とする。
【0053】
図1は、本発明に係る抗菌素材である抗菌フィルム11を用いた繊維複合抗菌製品1の種々の例(1A~1E)を示す断面構成図である。抗菌フィルム11を用いた製品形態は特に限定されないが、例えば
図1(A)に示すように、下側から、伸縮性サポーター生地12、抗菌フィルム11、接着性フィルム13、伸縮性サポーター生地14、で構成された繊維複合抗菌製品1Aとしてもよい。また、
図1(B)に示すように、下側から、伸縮性のないサポーター生地15、抗菌フィルム11、接着性フィルム13、マジックテープ(登録商標)16、で構成された繊維複合抗菌製品1Bとしてもよい。また、
図1(C)に示すように、下側から、伸縮性のないサポーター生地15、接着性フィルム13、抗菌フィルム11、マジックテープ(登録商標)16、で構成された繊維複合抗菌製品1Cとしてもよい。また、
図1(D)に示すように、下側から、伸縮性サポーター生地12、接着性フィルム13、抗菌フィルム11、マジックテープ(登録商標)16、で構成された繊維複合抗菌製品1Dとしてもよい。また、
図1(E)に示すように、下側から、接着性フィルム13、抗菌フィルム11、マジックテープ(登録商標)16、で構成された繊維複合抗菌製品1Eとしてもよい。
【0054】
抗菌フィルム11を両面から挟むものは特に限定されず、各種のフィルム等であればよいが、好ましくは、抗菌フィルム11の一方の面は接着性フィルム13が貼り合わされており、他方の面は接着性フィルムが貼り合わされることなく布生地に重ね合わされていることが好ましい。こうした構成とすることにより、抗菌フィルム11に含まれる抗菌成分が徐々に放出される徐放作用を発揮することができ、安全で高い抗菌効果が長期にわたって維持できることになる。なお、ここでの接着性フィルム13の種類は特に限定されず、ホットメルト接着性フィルムやその他接着性フィルムを採用することができる。また、マジックテープ(登録商標)16を採用することにより、着脱可能なサポーター製品に適用することもできる。本発明に係る繊維複合抗菌製品1は、サポーター製品等のように繰り返し使用する繊維製品に適用することが好ましく、特に洗濯等を行って長く使用するものに対して好ましく適用することができる。
【0055】
また、
図1(E)に示すように、接着性フィルム13が露出したものは、様々なものに貼り合わせて抗菌製品とすることができるので、非常に便利である。
【0056】
図4は、抗菌フィルムの製造プロセスの概念図と、抗菌フィルムを用いて作製した繊維複合抗菌製品の断面構成図である。抗菌フィルム22は、抗菌剤21が分散した抗菌化処理液20を流延処理して得ることができ、得られた抗菌フィルム22の一面又は両面に接着剤24及び基布23を積層して繊維複合抗菌製品1を得ることができる。
【0057】
繊維複合抗菌製品は、こうした抗菌素材を、単独で又は他の糸もしくは布と複合化してなるものである。用途としては各種に適用可能であり、例えば、サポーター、衣服、カーテン、タオル、ハンカチ、シーツ、風呂マット、トイレマット、食品用袋、おべんとう袋等に応用することができる。
【実施例】
【0058】
以下の実験例によって、本発明をさらに具体的に説明する。
【0059】
[抗菌剤の作製方法]
抗菌剤を以下の手順で作製した。先ず、モンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製、クニピアF)を187.5g秤量し、蒸留水4500gと配合して、ホモジナイザーで10分間処理した分散液を準備した。別に、塩化セチルピリジニウム(CPCと略す。和光純薬工業株式会社製)を236g秤量し、温水3000gに配合したCPC溶液を準備した。モンモリロナイトの分散液を撹拌しながらCPC溶液を徐々に滴下した後、25℃で24時間撹拌した。得られた分散液は、CPC/モンモリロナイト(質量比)=3と表現するが、以下においてこの値はCPCとモンモリロナイトの陽イオン交換容量の比である。
【0060】
この分散液をろ過した後、フィルタープレスで圧入・絞り(0.5MPaの圧力で絞水が滴下状態になるまで)を行い、ケークとして取り出した。これを、7500gの蒸留水中でホモジナイザーを用いて撹拌して再分散液を得た。この再分散液をフィルタープレスで圧入し、3Lの水を通水し、さらに20L(30℃)の蒸留水を通水し、0.5MPaで絞り水が滴下状態になるまで絞ったケークを取り出し、水分64.2%(固形分35.8%)のケークを得た。このケークを乾燥粉砕し、各種使用に供した。
【0061】
[抗菌剤のCPC溶出試験方法]
得られた抗菌剤のCPC溶出実験は、以下の手順で行った。先ず、水分64.2%(固形分35.8%)の抗菌剤ケークを固形分相当で1gを秤り、50mLの遠沈管に入れ、水40mLを入れた。手で20回振盪した後の水を採取し、遠心分離機で4500回転で5分間遠心分離を行った。上澄み液を採取し、100倍に希釈して、UV分光器(日本電子株式会社製、V-730型)を用い、UVスペクトル検量線法にて259nmの吸光度を測定し、CPCの濃度を測定した。
【0062】
[抗菌化処理液の調製方法]
次に、抗菌糸や抗菌フィルムの作製に使用する抗菌化処理液を調製した。先ず、上記した水分64.2%(固形分35.8%)の抗菌剤ケークを用い、固形分測定値から4%スラリーになるように5Lの蒸留水を加え、ホモジナイザーで9000回転・10分間処理した。処理後の液を湿式微粉砕化処理して抗菌剤水分散液を得た。この湿式微粉砕化処理は、株式会社スギノマシン社製のスターバーストラボを用い、最適条件で処理したものである。得られた抗菌剤水分散液を、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、LA-960回折粒度分布計)で測定した。測定には、分散媒として0.2%ヘキサメタリン酸含有水を用い、粒度分布計内での分散操作として超音波を用いた。測定の結果、湿式微微粉化処理前の分散粒子のメジアン径41μmから処理後の分散粒子のメジアン径14μmになったのが確認できた。こうした粒径を有する抗菌剤水分散液に接着性エマルジョンを混合することにより、抗菌糸及び抗菌フィルム作製用の抗菌化処理液を得た。
【0063】
[抗菌糸の作製方法]
得られた抗菌化処理液を用いて抗菌糸を作製した。糸として、345dtexのポリエステル糸を用い、連続装置で、抗菌化処理液が入った槽を通過・浸漬させた後、140℃の乾燥炉を通過させて巻き取った。こうして抗菌糸を得た。なお、組紐は、この抗菌糸で作製した。
【0064】
[抗菌フィルムの作製方法]
得られた抗菌化処理液を用いて抗菌フィルムを作製した。具体的には、抗菌化合物としてCPCを用い、CPC/モンモリロナイト=3/1の質量比で25℃、24時間混合反応させた。その後、フィルタープレスでろ過、水洗、絞りを行った。取得した抗菌剤ケークに対し、固形分40%になるように水を加えて分散させた。その後、湿式粉砕器(株式会社スギノマシン製、スターバーストラボ)で、処理前のメジアン径41μmから処理後のメジアン径14μmに粉砕した後、接着性エマルジョン(昭和電工株式会社製、AE850)を添加し、容器に流し込み、1昼夜乾燥させ、厚さ1mm、幅400mm、長さ500mmの抗菌フィルムを作製した。なお、抗菌剤/接着性エマルジョンは、任意(例えば、固形分比で、91/10,75/25,60/40,50/50,40/60等)となるように、抗菌剤水分散液中に接着性エマルジョンを配合して抗菌化処理液としたものである。
【0065】
[実施例1~5]
抗菌フィルムを用い、
図1に示す5つの形態の繊維複合抗菌製品を作製した。抗菌フィルムは、上記した「抗菌フィルムの作製方法」と同じ方法で作製し、抗菌剤/接着性エマルジョン=固形分比(質量比)で60/40のものを用いた。
【0066】
図1(A)の実施例1の繊維複合抗菌製品1Aは、下側から、伸縮性サポーター生地12、抗菌フィルム11、接着性フィルム(ポリウレタンホットメルトフィルム)13、伸縮性サポーター生地14、で構成されている。
図1(B)の実施例2の繊維複合抗菌製品1Bは、下側から、伸縮性のないサポーター生地15、抗菌フィルム11、接着性フィルム(ポリウレタンホットメルトフィルム)13、マジックテープ(登録商標)16、で構成されている。
図1(C)の実施例3の繊維複合抗菌製品1Cは、下側から、伸縮性のないサポーター生地15、接着性フィルム(ポリウレタンホットメルトフィルム)13、抗菌フィルム11、マジックテープ(登録商標)16、で構成されている。
図1(D)の実施例4の繊維複合抗菌製品1Dは、下側から、伸縮性サポーター生地12、接着性フィルム(ポリウレタンホットメルトフィルム)13、抗菌フィルム11、マジックテープ(登録商標)16、で構成されている。
図1(E)の実施例5の繊維複合抗菌製品1Eは、下側から、接着性フィルム(ポリウレタンホットメルトフィルム)13、抗菌フィルム11、マジックテープ(登録商標)16、で構成されている。
【0067】
なお、伸縮性サポーター生地12は、主に伸縮性が必要な部位に使用するサポーター部材であり、伸縮性のないサポーター生地15は、主に固定が必要な部位に使用するサポーター部材であり、マジックテープ(登録商標)16は、面的に着脱できるファスナーで、布に特殊な加工をし、主に衣類用に、再び脱着可能な状態で結合できるというものであり、接着性フィルムは、いわゆるアイロン等で加熱してヒートシールすることができるフィルムのことである。
【0068】
[抗菌剤と接着性エマルジョンとの相溶性実験]
抗菌化合物としてCPCを用い、CPC/モンモリロナイト=3/1の質量比で水に投入し、25℃、24時間反応させた。その後、フィルタープレスでろ過、水洗、絞りを行い、固形分4%になるように水を加えて分散させた。その後、湿式粉砕器(株式会社スギノマシン製、スターバーストラボ)で、処理前のメジアン径41μmから処理後のメジアン径14μmに粉砕して、抗菌剤を得た。一方、接着性エマルジョン(接着性を有するポリマーを水中に分散安定化させたエマルジョンのことである。)として、下記5種類を用いた。抗菌剤分散液は、得られた抗菌剤と下記5種類の接着性エマルジョンとをそれぞれ溶媒(水)に混合したものとし、試験管に入れた後、手で10回振盪した後に放置し、沈降、凝集又は分離が生じるか否かで相溶性を判断した。
【0069】
(接着性エマルジョン)
No.1・・スチレン・アクリル/ノニオン性(昭和電工株式会社製、AE-850)
No.2・・アクリル/カチオン性(昭和電工株式会社製、AE-803)
No.3・・アクリル/アニオン性(昭和電工株式会社製、F-375)
No.4・・ポリエステル/アニオン性(ユニチカ株式会社製、KT-0507)
No.5・・ポリエステル/アニオン性(ユニチカ株式会社製、KT-8701)
【0070】
No.1の接着性エマルジョンを配合したものは、抗菌剤との相溶性が良く、沈降、凝集及び分離のいずれも生じなかった。No.2の接着性エマルジョンは、抗菌剤との相溶性はあまり良くなかったが使用可能範囲であった。No.3~No.5の接着性エマルジョンは、抗菌剤との相溶性は悪く、凝集・分離が生じていた。この実験より、抗菌剤との相溶性は、アクリル系のノニオン性接着性エマルジョンが好ましく、アクリル系のアニオン性接着性エマルジョンは使用可能であることがわかった。
【0071】
[抗菌化合物の溶出実験1]
得られた繊維複合抗菌製品からの抗菌化合物の溶出実験を行った。繊維複合抗菌製品としては、実施例1~3で得られた各抗菌製品を実験試料とした。2槽式の洗濯機に、縦100mm・横200mmの実験試料3枚をネット袋に入れて投入し、負荷布(複数枚のバスタオル)と合わせて1kgとした。洗濯水槽に水道水を30L入れ、花王株式会社製の「ウルトラアタックNeo」(コンパクト洗剤)を使用例通りの10g入れ、10分間の洗濯を行った。洗濯後、実験試料と負荷布を脱水し、常温の新しい水ですすぎ洗いを行った後に脱水した。これを1サイクルとした。
【0072】
計5サイクルの洗濯を行い、各洗濯後の実験試料を1g切り取って遠沈管に入れ、水40mLを入れた。手で20回振盪した後の水を採取し、UV分光器(日本電子株式会社製、V-730型)を用い、UVスペクトル検量線法にてCPCの濃度を測定した。その結果を表1の「洗濯直後」の欄に示した。水を交換(第1回水交換)して1日経過した後の水を採取し、同様の方法にてCPC濃度を測定し、結果を表1の「第1回水交換後1日経過」の欄に示した。その水を交換(第2回水交換)し、さらに8日経過した後の水を採取し、同法でCPC濃度を測定し、結果を表1の「第2回水交換後8日経過」の欄に示した。その水を交換(第3回水交換)し、さらに5日経過した後の水を採取し、同法にてCPC濃度を測定し、結果を表1の「第3回水交換後5日経過」の欄に示した。表1の結果より、日数が経過した後であっても、実験試料からCPCが溶出しており、抗菌作用が継続できていることがわかった。
【0073】
【0074】
[抗菌化合物の溶出実験2]
得られた繊維複合抗菌製品からの抗菌化合物の溶出実験を行った。繊維複合抗菌製品としては、実施例2,4,5で得られた各抗菌製品を実験試料とした。
1g切り取って遠沈管に入れ、水40mLを入れた。手で20回振盪した後の水を採取し、UV分光器(日本電子株式会社製、V-730型)を用い、UVスペクトル検量線法にてCPCの濃度を測定した。その結果を表2の「水浸漬直後」の欄に示した。その後水を交換(1回目)し、手で20回振盪した後に1日経過させ、その水を採取し、同法によりCPC濃度を測定し、結果を表2の「水交換1回目1日後」の欄に示した。その水を6回目まで交換し、所定の日数経過させた後、溶出したCPC濃度を測定した。その結果をそれぞれ表2に示した。これらのCPC溶出試験を通じて、表1及び表2の結果に示したように、洗浄回数を重ねても、また洗浄日数が経過した後であっても、実験試料からCPCが溶出しており、抗菌作用が継続できていることがわかった。
【0075】
【0076】
[抗菌化合物の溶出実験3]
接着性エマルジョンと抗菌剤の比を、接着性エマルジョン/抗菌剤(質量比)=90/10、75/25、60/40、40/60(固形分比)のように変化させて得た抗菌糸を準備した。各抗菌糸0.5gを遠沈管に入れ、水20mLを入れた。手で20回振盪した後の水を採取し、UV分光器(日本電子株式会社製、V-730型)を用い、UVスペクトル検量線法にてCPCの濃度を測定しその結果を表3に示した。表3に示したそれぞれの欄は、「水浸漬直後」、その後水を交換(第1回水交換)し、手で20回振盪した直後後の水を採取してCPC濃度を測定したものを「第1回水交換直後」の欄に示した。第1回水交換して1日経過、2日経過、3日経過したものについての測定結果をそれぞれの欄に示した。また、3日経過後に第2回水交換を行い、その直後と3日経過後の水をそれぞれ採取してCPC濃度を測定した結果も表3に示した。表3の結果より、樹脂/抗菌剤(質量比)=90/10の場合は1日目と2日目の溶出量が少なかったが、それ以外の場合は全て同様の溶出特性を示した。この結果より、接着性エマルジョン/抗菌剤の比は、少なくとも、この実験で行った範囲で好ましい結果が得られた。
【0077】
【0078】
[抗菌化合物の溶出実験4]
接着性エマルジョンと抗菌剤の比を、接着性エマルジョン/抗菌剤(質量比)=60/40(固形分比)とした抗菌糸を準備した。その抗菌糸と通常糸(抗菌処理していない糸)の2種を素材糸として、抗菌糸/通常糸(質量比)=100/0、50/50、25/50となるようにして、3種類の組紐を作製した。組紐とは、糸や糸条(繊維類の束)を複数種用いて、一定方式で斜め、前後又は上下に交差させて作る紐である。組紐を作製した後、3種類の組紐から各々1gを切り取って遠沈管に入れ、水40mLを入れた。手で20回振盪した後の水を採取し、UV分光器(日本電子株式会社製、V-730型)を用い、UVスペクトル検量線法にてCPCの濃度を測定した。その結果を表4に示した。表4の各欄は、「水浸漬直後」、その後水を交換し、手で20回振盪した後、その水を採取し常法によりCPC濃度を測定したもの(水交換1回目)、及び同様にして、水交換9回目までのものを示した。表4の結果より、抗菌糸と通常糸とは、100/0~25/75の広い範囲で同様の溶出特性を示した。この結果より、抗菌糸は、通常糸との組み合わせにおいて広い範囲で使用できることがわかった。
【0079】
【0080】
[皮膚刺激性試験]
皮膚刺激性試験は、種々の条件で調製した抗菌剤を用い、OECD(経済協力開発機構)テストガイドラインの「TG439:In vitro皮膚刺激性:再生ヒト表皮試験法」で行った。その結果を表5に示す。
【0081】
表5中、「CPC/モ」は、CPCとモンモリロナイトを反応させる際の配合比(CPCとモンモリロナイトの陽イオン交換容量比)である。表5中、湿式洗浄回数とは、CPCとモンモリロナイトを反応させた後のスラリーを遠沈管に入れ、遠心分離器で水と沈殿した抗菌剤を分離し、その後、再度水を加えて湿式洗浄した回数である。また、乾燥粉体洗浄回数は、抗菌剤の乾燥粉体に再度水を加えて洗浄処理した回数である。表5中、「刺激性」は、OECDテストガイドライン「TG439」で行った結果である。表5中、溶出試験は、各配合比の抗菌剤1.0gと水40mLを50mL遠沈管に投入し、手で上下に20回振盪し、遠心分離機にて4800rpmで5分間遠心分離し、その上澄み液を採取し、1000倍希釈した後、UV分光光度計でCPC測定(検量線法)を行った。表5中、CPC含有量は、TG(加熱減量測定)にて行った結果であり、「CPC+/CPC」の表記において、「CPC+」とはモンモリロナイトとCPCとが化学的に吸着した量を示しており、これは抗菌剤からは溶出しない。これに対し、「CPC」とは物理的に吸着した量を表し、これが溶出し抗菌性を発現させる。このCPC+とCPCを加えた値が「CPC含有量」となる。
【0082】
【0083】
表5の結果より、乾燥粉体を3回洗浄したNo.Hは、皮膚刺激性試験が合格であり、No.Dはボーダーラインの結果を示した。このため、本発明で最適に使用可能な抗菌剤からのCPC溶出量は600ppm以下としている。皮膚刺激性試験は、試料からのCPC溶出度合(=溶出速度)に大きく影響を受けると考えられることから、溶出速度を評価するパラメータとして、CPC溶出試験データを使用した。このCPC溶出試験データは、皮膚刺激性試験結果との間で良好な相関関係が得られた。また、TGによるCPC含有量測定結果からも、洗浄を強化することにより、抗菌剤中のCPC含有量は減少しているが、なお相当量残留していることがわかった。このことから、本発明の繊維複合抗菌製品に含まれる抗菌成分が徐々に放出される徐放作用を維持するとともに、皮膚刺激性も満たす現実的な仕様とするためには、適度な洗浄操作を行うことで解決できることがわかった。
【0084】
[湿式及び乾式洗浄とCPC溶出実験1]
洗浄回数とCPC溶出量との関係を検討した。その結果を
図5及び
図6に示した。
図5に示すように、皮膚刺激性の合格判断基準をCPC溶出量500ppm以下とした場合、表5で行った実験と同じ湿式洗浄を4回行うことでクリアできることがわかった。また、
図6に示すように、皮膚刺激性の合格判断基準をCPC溶出量500ppm以下とした場合、表5で行った実験と同じ乾燥粉体の洗浄を2回行うことでクリアできることがわかった。これらの結果より、乾燥粉体の洗浄がより効果的であることがわかった。また、湿式洗浄や乾燥粉体の洗浄のいずれも洗浄条件を任意に変えることが可能であることから、洗浄回数を含めた洗浄条件を任意に設計さえすれば、皮膚刺激性の合格判断基準に適合させることは容易であることがわかった。
【0085】
[抗菌フィルムの洗浄とCPC溶出実験2]
上記した「抗菌フィルムの作製方法」により、接着性エマルジョン/抗菌剤(質量比)=77.6/22.4(
図7のa)、60.0/40.0(
図7のb)、42.0/58.0(
図7のc)及び26.0/74.0(
図7のd)の4種類の抗菌フィルムを作製し、洗浄とCPC溶出実験を行った。溶出実験は、それぞれの抗菌フィルム1.0グラムを水40mLに加えた後、手で20回振盪し、その後、その水を採取し、常法によりCPC濃度を測定したものを「初日」とした。その後、このフィルムを乾燥した後に1日放置し、再度水40mLを加えた後、手で20回振盪し、その後、その水を採取し、常法によりCPC濃度を測定したものを「1日後」とした。同様の方法で、「3日後」、「7日後」での測定を行い、その結果を
図7に示した。
図7に示すように、水洗と乾燥を繰り返しても、抗菌フィルムに含まれる抗菌成分が徐々に放出される徐放作用が維持できることがわかった。したがって、実用に際しては、この抗菌フィルムを装着した衣類の洗濯を行っても、安全で高い抗菌効果が長期にわたって維持できることがわかった。
【0086】
[細胞生存率試験]
上記した皮膚刺激性試験に関連して、細胞生存率試験を行った。CPC/Mont(質量比)=3,4,5の条件で調製した抗菌剤を用い、それぞれ未洗浄のもの、2回洗浄したもの(2WASH、CPC/Mont=5)、3回洗浄したもの(3WASH、CPC/Mont=5)で試験した。なお、コントロールとして、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)を細胞生存率100%のものとして用い、参考例(ポジティブコントロール)として、細胞生存率3%のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を用いた。評価は、OECD(経済協力開発機構)テストガイドラインの「TG439:In vitro皮膚刺激性:再生ヒト表皮試験法」で行った。その結果を
図8に示す。細胞生存率50%以上であれば、「刺激性なし」と評価できる。
図8の結果より、洗浄の程度を強化すれば、十分な安全性のものを得ることができることがわかった。
【0087】
以上の各実験により、含まれる抗菌成分が徐々に放出される徐放作用により、安全で高い抗菌効果が長期にわたって維持できる抗菌素材を提供することができることが明らかになった。さらに、抗菌剤濃度の調節が容易であるとともに、抗菌性を付与するための加工工程を簡略化して効率のよい製造を可能とする抗菌素材の製造方法を提供することができることがわかった。
【符号の説明】
【0088】
1(1A,1B,1C,1D,1E) 繊維複合抗菌製品
11 抗菌フィルム
12,14 伸縮性サポーター生地
13 接着性フィルム
15 伸縮性のないサポーター生地
16 マジックテープ(登録商標)
20 抗菌化処理液
21 抗菌剤
22 抗菌フィルム
23 基布
24 接着剤