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昭和58(行ツ)101行政訴訟 特許権

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裁判所 却下 最高裁判所第一小法廷
裁判年月日 昭和60年3月28日
事件種別 民事
法令 特許権
キーワード 審決9回
主文 原判決を破棄する。上告人の本件訴えを却下する。訴訟の総費用は上告人の負担とする。理 由職権をもつて、上告人に本件審決の取消を求める法律上の利益があるか否かについて判断する。一 上告人は、本件特許出願の願書に添附した明細書の補正をしたところ、補正却下の決定を受け、右決定に対する不服の審判を請求したが、審判の請求は成り立たない旨の本件審決を受けたので、本訴により本件審決の取消を求めているものである。二 記録によれば、上告人は、昭和五九年八月一三日、特許庁長官あてに同日付「出願放棄書」と題する書面を提出して本件特許出願の放棄をしたことが認められる。補正却下の決定に対する不服の審判の係属中に特許出願の放棄がされると、そところで、の後は特許出願が係属しないことになるので、右審判は審理の対象を失うものといわなければならない。したがつて、補正却下の決定に対する不服の審判請求は成り立たない旨の審決があり、その審決に対する取消訴訟の係属中に特許出願の放棄がされると、特許出願人は、右取消訴訟において右審決を取り消す旨の勝訴判決を得たとしても、補正却下の決定に対する不服の審判請求を認容する審決を得ることはできないから、補正却下の決定に対する不服の審判請求は成り立たない旨の審決の取消を求めるにつき法律上の利益を失つたものというべきである。三 そうすると、上告人は、本件特許出願の放棄をしたことによつて、本件審決の取消を求めるにつき法律上の利益を失うに至つたものというべきであるから、本件訴えは、不適法として却下すべきであり、これを適法として本案につき判断をした原判決は、破棄を免れない。よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条、九六条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官 和 田 誠 一裁判官 谷 口 正 孝裁判官 角 田 禮 次 郎裁判官 矢 口 洪 一裁判官 高 島 益 郎
事件の概要

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判決文

主 文
原判決を破棄する。
上告人の本件訴えを却下する。
訴訟の総費用は上告人の負担とする。
理 由
職権をもつて、上告人に本件審決の取消を求める法律上の利益があるか否かについて判断
する。
一 上告人は、本件特許出願の願書に添附した明細書の補正をしたところ、補正却下の決
定を受け、右決定に対する不服の審判を請求したが、審判の請求は成り立たない旨の本件審
決を受けたので、本訴により本件審決の取消を求めているものである。
二 記録によれば、上告人は、昭和五九年八月一三日、特許庁長官あてに同日付「出願放
棄書」と題する書面を提出して本件特許出願の放棄をしたことが認められる。
ところで、補正却下の決定に対する不服の審判の係属中に特許出願の放棄がされると、そ
の後は特許出願が係属しないことになるので、右審判は審理の対象を失うものといわなけれ
ばならない。したがつて、補正却下の決定に対する不服の審判請求は成り立たない旨の審決
があり、その審決に対する取消訴訟の係属中に特許出願の放棄がされると、特許出願人は、
右取消訴訟において右審決を取り消す旨の勝訴判決を得たとしても、補正却下の決定に対す
る不服の審判請求を認容する審決を得ることはできないから、補正却下の決定に対する不服
の審判請求は成り立たない旨の審決の取消を求めるにつき法律上の利益を失つたものという
べきである。
三 そうすると、上告人は、本件特許出願の放棄をしたことによつて、本件審決の取消を
求めるにつき法律上の利益を失うに至つたものというべきであるから、本件訴えは、不適法
として却下すべきであり、これを適法として本案につき判断をした原判決は、破棄を免れな
い。
よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条、九六条、八九条に従い、裁判官全員一致
の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 和 田 誠 一
裁判官 谷 口 正 孝
裁判官 角 田 禮 次 郎
裁判官 矢 口 洪 一
裁判官 高 島 益 郎

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