昭和43(オ)104民事訴訟 特許権
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裁判所 |
最高裁判所第三小法廷
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裁判年月日 |
昭和46年4月20日 |
事件種別 |
民事 |
法令 |
特許権
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キーワード |
特許権5回 実施5回 審決3回 侵害2回 無効1回 差止1回
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主文 |
原判決中上告人の敗訴部分を破棄し、右部分に関する被上告人の請求を棄却する。 被上告人は上告人に対し一九七万八、四六六円およびこれに対する昭和四〇年一 二月二九日から支払ずみに至るまで年五分の金員を支払え。 訴訟の総費用および上告人の民訴法一九八条二項による申立に対する裁判に関し て生じた総費用は被上告人の負担とする。 |
事件の概要 |
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判決文
主 文
原判決中上告人の敗訴部分を破棄し、右部分に関する被上告人の請求を棄却する。
被上告人は上告人に対し一九七万八、四六六円およびこれに対する昭和四〇年一
二月二九日から支払ずみに至るまで年五分の金員を支払え。
訴訟の総費用および上告人の民訴法一九八条二項による申立に対する裁判に関し
て生じた総費用は被上告人の負担とする。
理 由
上告代理人柚木要の上告理由および同代理人柚木要、同復代理人柚木司の追加上告理由に
ついて。
本件訴は、被上告人が、訴外Aを特許権者とする特許権について有するその専用実施権に
基づき、上告人がこれを侵害したことを理由とし、上告人に対し侵害の差止および損害の賠
償を請求するものであり、また、原判決が右特許権および専用実施権の存在を前提として本
件訴について判断していることはその判文に徴し明らかである。しかるところ、上告人の提
出した昭和三九年審判第一二八六号審決および特許登録原簿の各謄本の写によれば、右特許
権につき、昭和四四年一二月一三日特許を無効とする審決があり、昭和四五年六月一日右審
決は確定し、同年七月一四日特許の登録が抹消されたことが認められる。したがつて、本件
特許権は初めから存在しなかつたものとみなされ、被上告人の専用実施権もまたその当初か
ら効力がなかつたものというべく、原判決には、民訴法四二〇条一項八号所定の再審事由が
あり、右事由は適法な上告理由に当たるものというべきであつて、この点の論旨は理由があ
る。それ故、上告理由および追加上告理由のその余の点について判断するまでもなく、原判
決中上告人の敗訴部分を破棄しなければならない。そして、本件専用実施権が右のように当
初からその効力のないものである以上、右専用実施権の存在を前提とする被上告人の本件請
求は、その余の点について判断するまでもなく、すべて失当というべきであるから、上告人
の右敗訴部分に関する被上告人の請求を棄却すべきである。
上告人の民訴法一九八条二項の裁判を求める申立について。
上告人は、原審において、原判決事実摘示記載のとおり、右裁判を求める申立をし、当審
においては、その申立を減縮し、原判決が認容した部分を除くその余の部分についてのみ裁
判を求めるものであるところ、原判決が確定したところによれば、上告人がその主張のよう
に被上告人に対して支払つた金員は本件第一審判決の仮執行宣言に基づき給付したものであ
るから、前記のとおり原判決中上告人の敗訴部分を破棄し、この部分に関する被上告人の請
求を棄却すべきものである以上、一審判決に付された仮執行宣言が右部分についてもその効
力を失うことはもとよりであり、したがつて、前記仮執行宣言に基づく給付金中一九七万八、
四六六円の返還を求めるとともに、これに対する給付の翌日である昭和四〇年一二月二九日
から右金員の支払ずみに至るまで年五分の民法所定の損害金の支払を求める上告人の申立は、
正当として認容すべきである。
よつて、民訴法四〇八条、一九八条二項、九六条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 関 根 小 郷
裁判官 田 中 二 郎
裁判官 下 村 三 郎
裁判官 松 本 正 雄
裁判官 飯 村 義 美
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