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昭和42(行ツ)9行政訴訟 商標権

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裁判所 最高裁判所第一小法廷
裁判年月日 昭和46年1月21日
事件種別 民事
法令 商標権
キーワード
主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。
事件の概要

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判決文

主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人磯崎良誉、同福田為勝の上告理由第一点について
原判決は、 その挙示の 証拠に基づき 、「つぶ 」という語は 、高知地方 において、古 くから、
上告人主張の形状のもののほか、種々の形状の飴菓子を意味する地方的な言葉として、広く
使用されて今日に及んでいる事実を肯認しうるとし、引用商標のうち「つぶ」の文字は、け
つきよく、その指定商品である飴菓子を指称するものにほかならず、したがつて、右引用商
標のうち、取 引者、需要 者の注意をも つとも強く 引く部分は「 松魚(カツ ヲ )」の文 字部分で
あり、その結 果、引用商 標からは、一 般に「松魚 (かつを )」の観念を も生ずるもの と認める
を相当とするとしたもので、原審の右認定判断は、当裁判所もこれを相当として是認すべき
ものと考える。
論旨は、商標の有する観念を、その外観や称呼と切り離し、それらと無関係に理解するこ
とは適当でないと主張するところ、かかる見地を是認しうる場合のあることも認めえないで
はない(当裁判所昭和三九年(行ツ)第一一〇号同四三年二月二七日第三小法廷判決、民集
二二巻二号三九九頁参照)が、原判決は、本件登録商標が観念の点において引用商標と類似
である以上、商標全体として両者は類似するというを妨げないとしたものであることが、そ
の判文上明らかであり、本件においては、その判断は相当として是認することができる。ま
た、論旨は、原審が本件登録商標および引用商標から抽出した「かつを」という観念はきわ
めて適用範囲の広い観念であつて 、「かつを 」 「カツヲ 」 「カツオ」あるいは「鰹」の語は、
、 、
飴菓子を指定商品とする場合においても、特別顕著性なしとして登録を認められないもので
あると主張するが、右の「かつを」等の語は魚の普通名称であるにせよ、本件登録商標また
は引用商標の 指定商品に つき 、「其 ノ商品ノ普 通名称」たる ものではな いから、これ に特別顕
著性なしとは断定し難いのであつて、飴菓子を指定商品とする場合においても特別顕著性な
しとする所論は、たやすく採用しえないものといわなければならない。論旨は、さらに、本
件登録商標および引用商標から生ずる観念が、ともに「かつを」という同一種類の観念に属
するとしても、両者が季節によつて区別されうる以上、混同の虞れがないから類似しないと
主張し、諸種の登録例を挙げるが、本件両商標からともに「かつを」の観念を生ずるとしな
がら、その混同を生ずる虞れがないということはできず、また、商標の登録出願の許否は、
その出願時ないし登録時の社会事情等を考慮して決定されるものであるから、所論のような
登録例があるからといつて、本件においても、ただちに同一の結論に達しなければならない
ものということはできない。
原判決に所論の違法はなく、論旨は採用しえない。
同第二点について
論旨は、本件登録商標は、そのうち「土佐自慢」の四字について権利を要求していないと
はいえ、全体として「土佐自慢初鰹」の六字をもつて構成されるものであるのに、原判決が
権利不要求部分をまつたく判断の対象から除外し、もつぱら「初鰹」の二字につき引用商標
「松魚(カツヲ)つぶ」との類否を判断したのは違法である、と主張する。
引用商標等において権利不要求の部分がある場合においても、商標の類否の判定は、当該
権利不要求部分をも含めて全体としてなされるべきことは、所論のとおりであるが、本件の
審理の経過に徴すれば、原判決がとくに右権利不要求部分に触れるところがないのは、上告
人においてこの点を取り上げて論ずるところがなかつたことによるにすぎず、権利不要求部
分をとくに除外して判断した趣旨でないことは、その判文全体を通読して窺うに難くなく、
所論権利不要求部分を含めた趣旨においても、原判決の判断を支持することができる。
原判決に所論の違法はなく、論旨は採用しえない。
上告代理人工藤吉正の上告理由第一点および第二点について
第 一 点 (2 )に 原 判 決 の 判 示 部 分 と し て 引 用 す る と こ ろ は 、 原 判 決 が 被 上 告 代 理 人 の 主 張 と
して摘示したものにすぎず、なんら原審の判決理由をなすものではない。また、原判決は、
本件登録商標は観念において引用商標と類似であり、したがつて両商標が互いに類似するも
のである以上、上告人の本訴請求はその余の点につき判断するまでもなく失当であるとした
も の で あ る こ と が 、 そ の 判 文 上 明 ら か で 、 第 二 点 (2 )の 所 論 は 、 こ れ を 正 解 せ ざ る に 出 た も
のである。
以上により、第一点(2)(3)および第二点(2)の所論は、その前提を欠くものであつて、採
用のかぎりでなく、その余の論旨の採用しえないことは、前記上告代理人磯崎良誉ほか一名
の上告理由第一点につき説示したとおりである。
上告代理人福田為勝の上告理由第一点について
所論の点に関する原審の認定判断は相当で、その過程にも所論の違法は認められない。論
旨は採用しえない。
同第二点について
論旨の採用しえないことは、前記上告代理人磯崎良誉ほか一名の上告理由第一点につき説
示したとおりで、所論引用の出願公告例もなんら右の結論を左右するに足りない。
よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一
致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 長 部 謹 吾
裁判官 岩 田 誠
裁判官 大 隅 健 一 郎
裁判官 藤 林 益 三

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