昭和54(オ)145不正競争防止法に基づく差止
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裁判所 |
最高裁判所第三小法廷
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裁判年月日 |
昭和56年10月13日 |
事件種別 |
民事 |
原審 |
昭和51(ネ)1839 (昭和53年10月25日) |
法令 |
不正競争
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キーワード |
商標権3回 侵害1回
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主文 |
本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする。 |
判示事項 |
一 不正競争防止法一条一項一号にいう商品の混同と同項柱書にいう「営業上ノ利益ヲ害セラルル虞アル者」
二 商標権者による登録商標に類似する標章の使用と不正競争防止法六条 |
事件の概要 |
一 不正競争防止法一条一項一号にいう他人の商品との混同の事実が認められる場合には、特段の事情がない限り、右他人は営業上の利益を害されるおそれがある者にあたるというべきである。
二 商標権者が登録商標に類似する標章を使用する行為は、不正競争防止法六条にいう「商標法ニ依リ権利ノ行使ト認メラルル行為」に該当しない。 |
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判決文
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理 由
上告代理人横山寛の上告理由第一点一について
原判決において当事者間に争いがないものと判示された所論指摘の部分が原判決
の引用する第一審判決の事実摘示において当事者間に争いがないものとされた部分
であることは、第一審判決及び原判決の判文に照らして明白であり、記録によれば
所論指摘の上告人らの第三回準備書面は原審口頭弁論期日において陳述されていな
いことが明らかであるから、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することが
できない。
同第一点三について
原審認定にかかる、被上告人使用の本件標章がわが国において広く認識され、顕
著な識別力を有する周知の標章と認められるにいたつた経緯、上告人ら使用の本件
標章が使用されるにいたつた経過及び右両者の時間的先後関係等の事実並びにこれ
に基づく原判決の説示に照らすと、原審は所論上告人らの主張を排斥しているもの
と見ることができるから、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することがで
きない。
上告代理人横山寛の上告理由第二点一、同増田彦一、同石井正春、同脇田輝次の
上告理由第五点及び同三野研太郎、同木村和夫、岡山内道生、同岡田尚、同星山輝
男の上告理由四について
不正競争防止法一条一項一号にいう商品の混同の事実が認められる場合には特段
の事情がない限り営業上の利益を害されるおそれがあるものというべきであり、こ
れと同旨の原審の判断は正当として是認することができ、また、本件において右の
特段の事情は認められないとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照ら
し、正当として是認することができる。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する
事実の認定を非難するか、又は独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎ
ず、採用することができない。
上告代理人増田彦一、同石井正春、同脇田輝次の上告理由第六点について
商標権は、指定商品について当該登録商標を独占的に使用することができること
をその内容とするものであり、指定商品について当該登録商標に類似する標章を排
他的に使用する権能までを含むものではなく、ただ、商標権者には右のような類似
する標章を使用する者に対し商標権を侵害するものとしてその使用の禁止を求める
こと等が認められるにすぎないから(商標法二五条、三六条、三七条参照)、本件
登録商標と類似する本件標章を上告人らが使用することは不正競争防止法六条にい
う「商標法ニ依リ権利ノ行使ト認メラルル行為」には該当しないものと解すべきで
あつて、これと同旨の原判決に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、独自の見
解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。
上告代理人横山寛のその余の上告理由、同増田彦一、同石井正春、同脇田輝次の
その余の上告理由及び同三野研太郎、同木村和夫、同山内道生、同岡田尚、同星山
輝男のその余の上告理由について
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし
て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審
の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原判決を正解しな
いで原判決を論難するものにすぎず、いずれも採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意
見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 環 昌 一
裁判官 横 井 大 三
裁判官 伊 藤 正 己
裁判官 寺 田 治 郎
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