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昭和40(行ツ)60商標登録無効抗告審判の審決取消請求

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裁判所 最高裁判所第三小法廷
裁判年月日 昭和43年11月5日
事件種別 民事
原審 昭和36(行ナ)155 (昭和40年4月22日)
法令 商標権
キーワード 商標権9回
分割1回
主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。
判示事項 旧商標法第一二条第一項にいう商標権をその営業とともに移転するとの意義
事件の概要 旧商標法(大正一〇年法律第九九号)第一二条第一項にいう商標権をその営業とともに移転するとは、商標権の譲渡人が従来その商標を使用した指定商品の営業において以後これを使用せず、譲受人がその商標を使用して譲渡人と同様の指定商品の営業をなしうる状態を現出すれば足り、その譲渡される商標権とともにこれを行使していた範囲の営業がことごとく包括的に移転されることを要するものではない。

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判決文

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人松田喬の上告理由第一について。
 旧商標法(大正一〇年法律第九九号)一二条一項が商標権者はその営業とともに
する場合に限り商標権を移転することができる旨を規定したのは、商標の使用され
る商品の品質、特性がその商標権者の営業に由来することにかんがみ、商標権の移
転には営業をこれに伴わせることにより、商標権者に交替があつてもその商標によ
る商品の品質、特性が維持され、商標を信頼してその商品を購入する需要者一般の
期待に反することなからしめようとする配慮に出でたものにほかならない。従つて、
商標権の譲渡人が従来その商標を使用した指定商品の営業において以後これを使用
せず、譲受人がその商標を使用して譲渡人と同様の指定商品の営業をなしうる状態
を現出するならば、商標権は営業とともに移転されたものと解して妨げない。それ
には、必ずしも所論のようにその譲渡される商標権とともにこれを行使していた範
囲の営業が悉く包括的に移転されることを要するものではなく、その範囲の営業の
一部の移転だけでも足りる場合もあるのである。
 本件についてみるに、原判決の認定によれば、被上告会社引用の登録商標の前主
であつたD株式会社は、右商標の指定商品たる金属製壜栓、いわゆる王冠の製造設
備を有し、自家用清涼飲料等の販売用王冠の製造のみならず、他からの注文に応じ
て王冠の製造販売をも営業とする建前をとつていたのであるが、過度経済力集中排
除法三条による指定を受けた結果、同社は被上告会社および訴外E株式会社を設立
して全資産を分割して右両社に現物出資して解散したのであつて、右現物出資の履
行として被上告会社の取得した資産のうちに前記引用商標および王冠製造設備の一
部(川口工場および尼ケ崎工場の分)が含まれていたというのである。してみれば、
これを前記引用商標を営業とともに被上告会社に移転したものと解した原判決に所
論の違法の認めがたいことは、前叙したところからも明らかである。論旨は理由が
ない。
 同第二について。
 原判決がその挙示の各証拠に基づき適法に認定したところによれば、前記D株式
会社は、王冠の製造販売を主たる営業とするものではなく、その製造は自家用を優
先させていたとしても、なお他からの注文にも応じて製造販売する建前をとり、そ
のような実績もあつたというのである。されば、同社が王冠の製造販売を営業とし
ていたものと認めて妨げなく、資材不足の時代において外注に応じかねる状態にあ
つたとしても、それだけで同社が右営業を廃止したものとはいいがたい。それは、
前記商標権とともに被上告会社に承継される営業として十分なものということがで
きる。これを営業の存在は認めがたいとして原判決を非難する所論は肯認しがたく、
論旨は理由がない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    飯   村   義   美

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