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昭和36(オ)364商標権消滅確認請求

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裁判所 最高裁判所第一小法廷
裁判年月日 昭和39年1月16日
事件種別 民事
法令 商標権
キーワード 商標権9回
無効1回
主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。
判示事項 旧商標法(大正一〇年法律第九九号)にいう「営業ノ廃止」。
事件の概要 旧商標法(大正一〇年法律第九九号)にいう「営業ノ廃止」とは、商標権者が自発的意思によつて積極的にその営業を廃止する場合をいうと解すべきである。

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判決文

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人渡部繁太郎、同桂川史の上告理由について。
 所論は、訴外Dが昭和二五年七月一〇日同族会社たる訴外株式会社E商店を設定
することにより、従前の個人営業を廃止したものであるから、それと同時に本件商
標権は当然に消滅することになり、その後における本件商標権の譲渡はすべて無効
であると主張する。
 ところで、旧商標法(大正一〇年法律第九九号)一三条は「商標権ハ商標権者カ
其ノ営業ヲ廃止シタル場合ニ於テハ消滅ス」と規定しており、右にいわゆる営業の
廃止とは原判決の判示しているとおり、商標権者が自発的な意思によつて積極的に
(自ら進んで)その営業を廃止してしまう場合を指すものと解すべきところ、商標
権者が同族会社を設立して、これに営業および商標権を承継せしめる場合は、むし
ろその営業の存続を企図しているものに外ならないのであるから、旧商標法にいわ
ゆる営業の廃止に当らない。しかして、原判決が適法に認定しているところによる
と、Dは昭和二五年七月一〇日株式会社E商店に、営業とともに本件各商標権を譲
渡したのであるが、原判示の経緯によつてその移転登録は、同三元年一月一日に譲
渡したものとしてなされたものであるというのであるから、譲渡人たるDについて
昭和二五年七月一〇日以降における廃業を論じることは無用の論議である。その他
の所論は、ひつきよう原審の裁量に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難する
か、原判決の認定にそわない事実を前提とした独自の見解に立つて原審の判断を攻
撃するにすぎないものであつて、採用できない。
 上告代理人金子新一の上告理由第一点について。
 所論は、原判決には旧商標法一三条の解釈を誤つた違法があると主張するが、原
判決のその解釈の正当であることは、上告代理人渡部繁太郎外一名の上告理由につ
いて説示したとおりである。したがつて、所論企業整備令によつて、戦争目的遂行
のため戦争状態継続中の処置として企業の廃止をやむなくされたような場合は、特
段の事情がない限り自発的な意思により積極的に営業を廃止する意思を有していた
と認められないので、旧商標法一三条にいわゆる営業を廃止した場合に当らないと
した原判決の判断は、正当である。所論引用の判例は事案を異にし本件に適切でな
い。なお、昭和二五年七月一〇日以降においてDが営業廃止の意思を有していたか
どうかを論じることの無用であることは、上告代理人渡部繁太郎外一名の上告理由
について説示したとおりである。それ故、原判決に所論の違法はない。
 同第二点について。
 所論は要するに、訴外株式会社E商店の営業目的は「菓子その他食料品の販売及
びこれに附帯する事業、但し官庁の許可を要するものを除く。」となつており、し
たがつて主食である米を原料とする「かきもち」「あられ」の製造および販売をす
ることは会社の目的の範囲外であると主張する。しかし、将来統制法規が撤廃され
たときは、本来の目的である「菓子その他食料品の販売及びこれに附帯する事業」
として、米を原料とする菓子類の販売をすることができることになるとの理由で、
本件商標権の譲り受けが右会社の権利能力の範囲内であるとした原審の判断は、正
当である。所論は、右と異る独自の見解であつて、採用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   朔   郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾

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