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昭和31(オ)312商標登録願拒絶査定に対する抗告審判の審決取消請求

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裁判所 最高裁判所第二小法廷
裁判年月日 昭和35年3月11日
事件種別 民事
法令 商標権
キーワード 審決7回
主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。
事件の概要

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判決文

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士和久井宗次の上告理由は別紙のとおりである。
 上告理由第一点について。
 論旨は、商標法には民訴一九四条のような更正決定に関する規定はないから審決
の誤記については更正はゆるされず、誤記があるときは判決をもつて取り消さなけ
ればならない旨を主張するのであるが、審決を判決より一層厳格に解し更正をゆる
さないものと解すべき理由はない。
 (1) 論旨は、審決に誤記があり違法であつたことについては被上告人も認め
ているにかかわらず、原判決が違法でないとしたのは、当事者間に争いのない事項
について当事者の主張と異る判断をした違法がある旨を主張するのである。しかし、
原判決は誤記そのものが適法であるとしているわけではなく、審決の内容を不明違
法ならしめているものではない旨を判示しており、換言すれば、その誤記は更正に
よつて是正することができる明白な誤謬であり、判決をもつて審決を取り消すべき
理由にならない趣旨を判示したものであり、そして、右原判示は正当であつて論旨
は理由がない。
 (2) 論旨は要するに、かりに審決の更正がゆるされるものとしても、本件誤
記は更正できる誤記ではないと主張するに帰する。しかし、本件審決の理由の記載
等によつても、本件誤記は明白な誤謬であつて更正をなし得ることが明らかな場合
である。
 (3) 論旨は大審院の先例をあげて原判決を非難するのであるが、所論の先例
は本件原判示と関係がなく適切な先例でない。
 同第二点について。
 (1) 論旨は、被上告人は原審で「炭カル」は品質表示である旨を主張し、上
告人は品質表示でない旨を主張したのに対し、原判決はこの点について判断を加え
ず「炭カル」が普通名称である旨を判示したのは民訴一八六条に反するというので
ある。しかし、被上告人が原審で「炭カル」は「炭酸カルシユーム」の略称である
旨を主張し、また、「炭カル」が普通名称化している趣旨を主張していることは記
録上明白である。
 (2) 論旨は、原判決が炭酸カルシユームは炭カルと略称されていることは顕
著な事実であるとしているのは弁論主義の原則に反する旨を主張するのであるが、
前記のように、被上告人は原審で「炭カル」は「炭酸カルシユーム」の略称である
旨を主張しているのであつて所論のような違法はない。
 同第三点について。
 (1) 論旨は、原判決が当事者の立証をまたず、炭酸カルシュームが炭カルと
省略されて呼ばれていると認定したのは違法であるというのであるが、原審が裁判
所に顕著であるが故に立証を要しないものとした趣旨であることは原判文上明らか
である。
 (2)、(3)論旨は、炭カルが炭酸カルシュームの略称であつても、本件指定
商品は炭酸カルシュームそのものではないから炭カルをもつて肥料の普通名称とは
いえないというのである。しかし、本件指定商品たる肥料は炭酸カルシユームを主
成分とするものであつて、その名をそのままあるいは仮名書にして商標として用い
ても上告人の商品と同種の他の商品とを区別するについて顕著性がないものという
べく、同趣旨の原判決は十分に首肯できる。論旨は理由がない。
 同第四点について。
 論旨は原判決の判例違反を主張するのであるが、援用の判例が本件と場合を異に
することは、論旨の引用する先例の判文自体によつても明らかである。論旨は理由
がない。
 以上説明のとおり本件上告は理由がないから民訴四〇一条、九五条、八九条に従
い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

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