平成28(ネ)10051不正競争行為差止等請求控訴事件
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裁判所 |
控訴棄却 知的財産高等裁判所 東京地方裁判所
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裁判年月日 |
平成28年10月31日 |
事件種別 |
民事 |
当事者 |
被告)株式会社INK 控訴人(一審原告)株式会社メディアハーツ島川知子 被控訴人(一審被告)株式会社INK
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法令 |
不正競争
不正競争防止法2条1項3号7回 不正競争防止法2条4項1回
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キーワード |
商標権13回 侵害8回 損害賠償2回 差止2回
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主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は,控訴人の負担とする。 |
事件の概要 |
本件は,控訴人商品を販売する控訴人が,被控訴人商品が控訴人商品の形態を模
倣したものであるから被控訴人による被控訴人商品の販売は不正競争防止法2条1
項3号の不正競争に当たるとともに,被控訴人による被控訴人商品の販売及びウェ
ブ広告の配信は債務不履行に当たると主張して,被控訴人に対し,①同法3条1項
に基づく被控訴人商品の販売の差止め,②同条2項に基づく被控訴人商品の販売に
関する広告の禁止及び被控訴人商品の廃棄,③同法4条,5条2項に基づく損害賠
償金6840万円のうち500万円(一部請求)及び債務不履行に基づく損害賠償
金500万円の合計1000万円並びにこれに対する不正競争行為の後であり,訴
状送達の日の翌日である平成27年10月29日から支払済みまで民法所定の年5
分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 |
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判決文
平成28年10月31日判決言渡
平成28年(ネ)第10051号 不正競争行為差止等請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所平成27年(ワ)第29222号)
口頭弁論終結日 平成28年8月29日
判 決
控訴人(一審原告 ) 株式会社メディアハーツ
訴 訟 代 理 人 弁 護 士 大 熊 裕 司
島 川 知 子
被控訴人(一審被告) 株 式 会 社 I N K
訴 訟 代 理 人 弁 護 士 倉 田 伸 彦
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は,控訴人の負担とする。
事 実 及 び 理 由
用語の略称及び略称の意味は,本判決で付するもののほか,原判決に従い,原判決に「原告」
とあるのは「控訴人」と,「被告」とあるのは「被控訴人」と,原判決で付された略称も含め
て適宜読み替える。
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,被控訴人商品を販売してはならない。
3 被控訴人は,被控訴人商品の販売の広告をしてはならない。
4 被控訴人は,被控訴人商品を廃棄せよ。
5 被控訴人は,控訴人に対し,1000万円及びこれに対する平成27年10
月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,控訴人商品を販売する控訴人が,被控訴人商品が控訴人商品の形態を模
倣したものであるから被控訴人による被控訴人商品の販売は不正競争防止法2条1
項3号の不正競争に当たるとともに,被控訴人による被控訴人商品の販売及びウェ
ブ広告の配信は債務不履行に当たると主張して,被控訴人に対し,①同法3条1項
に基づく被控訴人商品の販売の差止め,②同条2項に基づく被控訴人商品の販売に
関する広告の禁止及び被控訴人商品の廃棄,③同法4条,5条2項に基づく損害賠
償金6840万円のうち500万円(一部請求)及び債務不履行に基づく損害賠償
金500万円の合計1000万円並びにこれに対する不正競争行為の後であり,訴
状送達の日の翌日である平成27年10月29日から支払済みまで民法所定の年5
分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原審は,(a)不正競争防止法に基づく請求については,控訴人商品の包装箱及び銀
包の形状及び寸法,包装箱の表面及び裏面の記載は,いずれも同法2条1項3号に
より保護されるべき「商品の形態」に当たらないから,被控訴人商品は控訴人商品
の「商品の形態を模倣した商品」ではないとして,(b)債務不履行に基づく請求につ
いては,控訴人が主張する,被控訴人が被控訴人商品のウェブ広告の配信を停止す
るとともに,被控訴人商品の商品名を変更することを内容とする合意(本件合意)
は認められないとして,控訴人の請求をいずれも棄却した。
1 前提事実
本件の前提事実は,原判決の「事実及び理由」欄の第2,1に記載のとおりであ
る。
2 争点及び争点に関する当事者の主張
本件の争点及び争点に関する当事者の主張は,以下に当審における控訴人の補充
主張とそれに対する被控訴人の反論を加えるほか,原判決の「事実及び理由」欄の
第2,2に記載のとおりである。
(1) 当審における控訴人の補充主張
ア 不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為該当性について
(ア) 包装箱及び銀包の形状及び寸法について
原判決は,控訴人商品及び被控訴人商品の包装箱の形状及び寸法が同一であると
認定したにもかかわらず,控訴人商品の包装箱は,内部に仕切りが設けられている
ものの,簡易な構造で3か所に仕切られているにすぎず,外観も封筒と同様の形状
であることからすれば,全体としてみると,包装材の形状として特徴的なものでは
ないものと認められると判断した。
しかしながら,不正競争防止法2条1項3号によって保護される「商品の形態」
に当たるためには,創作的なものであることは要求されず,これがありふれた形態
に当たるか否かは,特段の資金や労力をかけることなく作り出すことができるもの
か否かについて,商品全体を観察して判断されるべきものである(東京地裁平成2
4年12月25日判決・判タ1407号308頁参照)。
そして,控訴人は,控訴人商品の旧包装箱(甲5)には,商品を完成させるのに
30分以上かかり,配送途中で包装箱が潰れてしまうなどの問題があったことを踏
まえ,内部を3つの収納部分に分け,各部分に10包ずつ収納するようにすること
で,商品の完成時間を1分程度に抑え,内部の区切りがクッションのような役割を
果たして,包装箱が潰れにくくすることに成功した。控訴人は,このような現包装
箱(甲3)を完成させるために,株式会社サガシキと共同して開発を進め,時間と
費用をかけて作り出したから,現包装箱には不正競争防止法2条1項3号の保護が
及ぶべきである。
(イ) 包装箱の表面の一部及び裏面の記載について
原判決は,控訴人商品の包装箱の表面及び裏面の記載のうち被控訴人商品と共通
する部分は,いずれも控訴人商品を説明した文章にすぎないから,商品の形状に結
合した模様には当たらないと判断した。
しかしながら,青汁をイメージさせる緑色に白色で「すっきりフルーツ青汁」と
商品名を記載したこと,ピンク色と緑色で「81種類の酵素と青汁」という文字を
記載したことは,商品の形状に結合した模様に該当する。
不正競争防止法2条1項3号の趣旨からすれば,同条4項の「模様」を一定程度
デザイン化されたものに限定して解する必要はなく,商品の形状に結合しており,
それが商品の特徴を表す機能を有しているような場合には,商品の説明内容を含む
ものであったとしても「模様」に当たると解すべきであり,包装箱の裏面の記載に
ついても商品の形状に結合した模様である。
イ 債務不履行の有無について
原判決は,被控訴人代表者は,控訴人の側から商標権侵害の指摘を受けて,暫定
的にウェブ広告の配信を停止すること及び商品名の変更等を含めて今後の対応を検
討することを伝えたにとどまり,被控訴人代表者が,①被控訴人商品のウェブ広告
の配信を停止すること,②被控訴人商品の商品名を変更することを内容とする確定
的な意思表示をしたとはいえないとして,控訴人と被控訴人との間での本件合意の
成立を否定した。
しかしながら,録音反訳(甲8)によれば,控訴人と被控訴人との間で,平成2
7年4月6日,上記①及び②を内容とする本件合意が成立したことは明らかであり,
本件合意の成否は,被控訴人商品の商品名が控訴人の商標権を侵害するか否かとは
無関係である。
(2) 被控訴人の反論
ア 不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為該当性について
(ア) 包装箱及び銀包の形状及び寸法について
控訴人が現包装箱を完成させるために時間と費用をかけて作り出したことを裏付
けるような証拠は,何ら提出されておらず,包装材の形状として特徴的なものでは
ないとした原判決の判断を覆すような立証はされていない。また,現包装箱は,日
本郵便が使用しているレターパックの形状を真似て作成されたものであり,時間と
費用をかけて作成されたものではないことは,被控訴人が原審において主張したと
おりである。
(イ) 包装箱の表面の一部及び裏面の記載について
包装箱の表面の一部及び裏面の記載については,控訴人商品を説明した文章にす
ぎないことはその記載内容から明らかであり,商品の形状に結合した模様に当たら
ないとの原判決の判断に誤りはない。
イ 債務不履行の有無について
被控訴人は,①被控訴人商品のウェブ広告の配信を停止すること,②被控訴人商
品の商品名を変更することについて,控訴人との間で何ら確定的な合意はしておら
ず,この点に関する原判決の判断に誤りはない。
また,控訴人は,上記①及び②に関する本件合意について,録音反訳(甲8)の
ほかには,代表者の捺印がなされた書証等の本件合意の存在を裏付ける証拠を何ら
提出しておらず,本件合意の存在を認めるに足りる立証はなされていない。
第3 当裁判所の判断
当裁判所も,控訴人の請求はいずれも棄却すべきものと判断する。その理由は,
下記1のとおり原判決を補正し,下記2のとおり当審における控訴人の補充主張に
対する判断を示すほかは,原判決「事実及び理由」欄の第3に記載のとおりである。
1 原判決の補正
(1) 原判決「事実及び理由」欄の第3の1(2)(6頁2行~19行)を,次のと
おり改める(なお,原判決と異なる部分(ただし,細かな表現についての訂正等を
除く。)については,ゴシック体で表記する。。
)
「 (2) 上記(1)によれば,控訴人商品と被控訴人商品は,(ア)包装箱及び銀包の形
状及び寸法,(イ)包装箱の表面の一部及び裏面の記載について,実質的に同一である
ということができる。
しかし,(ア)の点については,控訴人商品の包装箱は,内部に仕切りが設けられて
いるものの,簡易な構造で3か所に仕切られているにすぎず,外観も封筒と同様の
形状であることからすれば,全体としてみると,包装材の形状として特徴的なもの
でないものと認められる。また,控訴人商品の銀包についても,粉末を密封する包
装材としてありふれた形状である。
(イ)の点については,「商品の形態」とは,需要者が通常の用法に従った使用に際
して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状
に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいうから(不正競争防止法2条4項),控訴
人商品の包装箱の表面及び裏面の記載について,商品の形状に結合した模様と認め
られる限度においてこれを参酌することが相当である。
そこで検討すると,甲3の1,甲4の1及び弁論の全趣旨によれば,①控訴人主
張の控訴人商品の包装箱の表面に記載された控訴人商品の商品名は,白地の表面中
央部に配置された直径約14cmの濃緑色に塗り潰された円の中央部に,白抜きで
4文字(すっきり),4文字(フルーツ),2文字(青汁)の3段に,概ね同一のフ
ォントで書されたものであり,上記円内の商品名の下部には黄色に塗り潰された円
と黄色の欧文字6字(FABIUS)とが横一列に配置されていること,これに対
し,被控訴人商品の商品名は,表面右側に配置された縦約15cm,横約7cmの
薄緑色に塗り潰された帯状の長方形の上部に,白抜きで5文字(フレッシュ),4文
字(フルーツ),2文字(青汁)の3段に,最下段の青汁の文字が他の文字の約2倍
のフォントで書されたものであり,その長方形内の商品名の下部には濃緑色の液体
が注がれたワイングラスが配置されていること,②控訴人主張の控訴人商品の包装
箱の表面に記載された「81種類の酵素と青汁」という文字は,表面上部に,表面
全体の背景色である白色を背景として,「あなたの美と健康をサポート。」という文
字とともに,その右側に,
「81種類の酵素」がピンク色,
「と」が黒色,
「青汁」が
緑色で,横一列に書されていること,これに対し,被控訴人商品の「80種類の酵
素と青汁」という文字は,表面最下部に縦約2cmの幅で水平方向を貫く黄色に塗
り潰された長方形内に,「あなたの『取り戻したい!』を応援します。」という文字
とともに,その右側に,「80種類の」が白抜き,「酵素」がオレンジ色の円内に白
抜き,「と」が白抜き,「青汁」が緑色の円内に白抜きで,横一列に書されているこ
とがそれぞれ認められる(別紙控訴人商品・被控訴人商品の各表面の形状等一覧参
照)。
そうすると,被控訴人商品の商品名及び「80種類の酵素と青汁」という表示を
含む包装箱表面の模様は,緑色の背景に白抜きで商品名が記載されており,
「80種
類の酵素と青汁」という文字列が記載されているという点において,控訴人商品の
包装箱表面の模様と類似するということができるものの,商品名が配置されている
位置や背景の形状,同一の背景の中に描かれた他の模様が著しく相違しているし,
「80種類の酵素と青汁」という文字列が配置されている位置,背景及び文字色も
大きく異なっており,その余の部分も含めた包装箱表面の模様全体としてみると,
その類似性は低いものと認められる。
また,甲3の2,甲4の2及び弁論の全趣旨によれば,③控訴人主張の控訴人商
品及び被控訴人商品の各裏面の栄養成分表示と商品説明文は,配置や記載内容は類
似するものの,いずれも青汁という製品に共通する格別の特徴がないありふれた形
態であると認められる。
以上によれば,控訴人主張の控訴人商品の形態のうち,包装箱及び銀包の形状並
びに包装箱裏面の栄養成分表示と商品説明文については,同種の製品に共通する特
徴のないごくありふれた形態であって,
「商品の形態」を構成するものとはいえない
し,包装箱表面の商品名及び「81種類の酵素と青汁」という文字を商品の形状に
結合した模様として参酌しても,それらを含む包装箱表面の模様全体の類似性は低
く,実質的に同一の形態ということはできないから,被控訴人商品が控訴人商品の
「商品の形態を模倣した商品」であると認めることはできない。
したがって,不正競争防止法に基づく控訴人の請求は,その余の点を判断するま
でもなく理由がない。」
(2) 原判決「事実及び理由」欄の第3の2(2)及び(3)(6頁25行~7頁13
行)を,次のとおり改める(なお,原判決と異なる部分(ただし,細かな表現につ
いての訂正等を除く。)については,ゴシック体で表記する。。
)
「 (2) そこで判断するに,証拠(甲8)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人代表
者及び控訴人の従業員らと被控訴人代表者が平成27年4月6日に面談した際,控
訴人代表者らは,被控訴人代表者に対し,被控訴人商品の商品名が控訴人の有する
商標権に係る登録商標に類似するので,被控訴人商品の販売等が商標権侵害に当た
る旨指摘したこと,これに対して,被控訴人代表者は,被控訴人商品に関するウェ
ブ広告の配信を一旦停止するとともに,被控訴人商品の商品名やパッケージの変更
を含めて今後の対応を検討する旨伝えたこと,被控訴人代表者は,控訴人が上記商
標権を有することを知らなかった旨を述べるとともに,商標権による制約(禁止権)
がどこまで及ぶものなのかを尋ねていること,以上の事実が認められる。他方,一
件記録を精査検討しても,控訴人と被控訴人との間に事前交渉があり,被控訴人代
表者が企業としての意思形成をした上で上記面談に臨んだことを窺わせる証拠は見
当たらないし,被控訴人が,上記面談後に,控訴人との間に上記(1)の①及び②を内
容とする合意が成立したことを前提とした言動を行ったことを窺わせる証拠も見当
たらない。
(3) 前記認定の事実によれば,被控訴人代表者がウェブ広告の配信停止と被控訴
人商品の商品名やパッケージの変更を含めて今後の対応を検討する旨述べたのは,
控訴人から商標権侵害の指摘を受けたからであるが,被控訴人代表者は,控訴人主
張の商標権の存在を知らなかった旨述べているのみならず,商標権侵害を現に主張
する控訴人に対し商標権による制約(禁止権)の範囲を尋ねており,控訴人の指摘
する商標権侵害の存否をあらかじめ検討した上で前記面談に臨んだものでないばか
りか,前記面談の場で直ちに商標権侵害の存否を判断することができるだけの材料
を有していなかったものと認められる。そうすると,被控訴人が従業員数20名弱
の比較的小規模な企業であることを考慮しても,被控訴人代表者が,前記(1)の①及
び②を内容とする確定的な意思表示をしたものと直ちに認めることは困難であり,
前記面談後に被控訴人が前記(1)の①及び②を内容とする合意の成立を前提とした言
動を行ったことも窺われない本件においては,前記面談における被控訴人代表者の
発言は,控訴人から商標権侵害の指摘を受けて,暫定的にウェブ広告の配信を停止
すること及び商品名の変更等を含めて今後の対応を検討することを伝えたにとどま
るものと認めるのが相当である。
したがって,控訴人と被控訴人との間で控訴人の主張するような合意があったと
は認められないから,債務不履行に基づく控訴人の請求も理由がない。」
2 当審における控訴人の補充主張に対する判断
(1) 不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為該当性について
ア 控訴人は,控訴人商品の現包装箱(甲3)は,旧包装箱(甲5)の有し
ていた課題を踏まえ,株式会社サガシキと共同して開発を進め,時間と費用をかけ
て作り出したから,不正競争防止法2条1項3号の保護が及ぶべきであると主張す
る。
しかしながら,控訴人商品の現包装箱(甲3)及び銀包の形状及び寸法が同種の
商品と比べて格別の特徴がないありふれた形態であることは,前記1(1)のとおり補
正して引用する原判決が認定説示するとおりである。また,仮に控訴人が第三者と
共同して開発するに当たり時間と費用をかけたことが事実であったとしても,この
ような控訴人における主観的な事情によって,ありふれた形態であるという客観的
判定が左右されるものではない。そして,控訴人商品の現包装箱(甲3)の形状及
び寸法は,被控訴人主張の日本郵便のレターパックの形状に類似することを直接認
めるに足りる証拠は提出されていないものの,外観は横長の洋封筒と同様の形状で
あり,内部は厚紙様のものを山形に折られてなる2つの仕切りによって,簡易に3
か所に仕切られているにすぎないものであって(乙2),全体として,包装材の形状
として特徴的なものではなく,ありふれた形態といわざるを得ない。控訴人の主張
は,採用できない。
イ 控訴人は,控訴人商品の包装箱表面の商品名及び「81種類の酵素と青
汁」という記載並びに包装箱裏面の記載は,商品の形状に結合した模様に当たると
主張するが,控訴人指摘の各記載を踏まえても,被控訴人商品が控訴人商品と実質
的に同一の形態であるとは認められないことは,前記1(1)のとおり補正して引用す
る原判決が認定説示するとおりである。
(2) 債務不履行の有無について
控訴人は,録音反訳(甲8)によれば,控訴人と被控訴人との間で,①被控訴人
商品のウェブ広告の配信を停止すること,②被控訴人商品の商品名を変更すること
を内容とする本件合意が成立したことは明らかであると主張するが,本件合意の成
立を認めることができないことは,前記1(2)のとおり補正して引用する原判決が認
定説示するとおりである。
第4 結論
よって,控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由
がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官
清 水 節
裁判官
片 岡 早 苗
裁判官
古 庄 研
(別紙)
控訴人商品・被控訴人商品の各表面の形状等一覧
1 控訴人商品
2 被控訴人商品
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