平成28(ネ)10072地位確認請求控訴事件
判決文PDF
▶ 最新の判決一覧に戻る
裁判所 |
控訴棄却 知的財産高等裁判所 東京地方裁判所
|
裁判年月日 |
平成28年12月22日 |
事件種別 |
民事 |
法令 |
著作権
民法90条10回
|
キーワード |
許諾140回 無効16回 実施2回
|
主文 |
1 本件各控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は,控訴人らの負担とする。 |
事件の概要 |
1 本件は,コミュニティ放送を行う放送局(FMラジオ局)を運営する控訴人
ら(一審原告ら)が,被控訴人(一審被告)に対し,被控訴人による本件更新
拒絶(控訴人らがそれぞれラジオ音楽番組をスマートフォン及びパソコン向け
無料配信サービス「Listen Radio」〔リスラジ〕においてインターネット配信
〔本件各音楽番組配信〕しているのは,被控訴人が管理するレコード〔管理レ
コード〕の利用に関する,控訴人らと被控訴人との間の利用許諾契約〔本件利
用許諾契約〕に基づく使用料規程〔本件使用料規程〕の細則〔本件使用料規程
細則〕の適用基準に違反するとして,本件利用許諾契約の更新を拒絶した行為)
は,著作権等管理事業法(管理事業法)16条所定の正当な理由のない利用の
許諾の拒否,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独禁法)所定
の不公正な取引方法に該当し,又は信義則に反するから,私法上無効であると
主張して,本件利用許諾契約に基づき,①主位的に,本件使用料規程細則第3
条に定める使用料を支払うことにより,被控訴人による著作隣接権管理に係る
商業用レコード(被控訴人の管理レコード)を録音したコミュニティ放送番組
をインターネット上で同時に配信することを目的として,被控訴人の管理レコ |
▶ 前の判決 ▶ 次の判決 ▶ 著作権に関する裁判例
本サービスは判決文を自動処理して掲載しており、完全な正確性を保証するものではありません。正式な情報は裁判所公表の判決文(本ページ右上の[判決文PDF])を必ずご確認ください。
判決文
平成28年12月22日判決言渡
平成28年(ネ)第10072号 地位確認請求控訴事件(原審:東京地方裁判所
平成27年(ワ)第8615号)
口頭弁論終結日 平成28年10月13日
判 決
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
主 文
1 本件各控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は,控訴人らの負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 控訴の趣旨
別紙「控訴の趣旨」記載のとおり
第2 事案の概要
1 本件は,コミュニティ放送を行う放送局(FMラジオ局)を運営する控訴人
ら(一審原告ら)が,被控訴人(一審被告)に対し,被控訴人による本件更新
拒絶(控訴人らがそれぞれラジオ音楽番組をスマートフォン及びパソコン向け
無料配信サービス「Listen Radio」〔リスラジ〕においてインターネット配信
〔本件各音楽番組配信〕しているのは,被控訴人が管理するレコード〔管理レ
コード〕の利用に関する,控訴人らと被控訴人との間の利用許諾契約〔本件利
用許諾契約〕に基づく使用料規程〔本件使用料規程〕の細則〔本件使用料規程
細則〕の適用基準に違反するとして,本件利用許諾契約の更新を拒絶した行為)
は,著作権等管理事業法(管理事業法)16条所定の正当な理由のない利用の
許諾の拒否,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独禁法)所定
の不公正な取引方法に該当し,又は信義則に反するから,私法上無効であると
主張して,本件利用許諾契約に基づき,①主位的に,本件使用料規程細則第3
条に定める使用料を支払うことにより,被控訴人による著作隣接権管理に係る
商業用レコード(被控訴人の管理レコード)を録音したコミュニティ放送番組
をインターネット上で同時に配信することを目的として,被控訴人の管理レコ
ードを複製及び送信可能化する方法で利用することができる契約上の地位にあ
ることの確認を求め,②予備的に,本件使用料規程「第3節1(2)本表」(本
件使用料規程本則)に定める使用料(本件使用料規程細則第3条に定める使用
料よりも高額である。)を支払うことにより,上記契約上の地位にあることの
確認を求める事案である。
原判決は,本件更新拒絶について,控訴人らの主張(管理事業法16条所定
の正当な理由のない利用の許諾の拒否,独禁法所定の不公正な取引方法,信義
則違反)をいずれも認めず,控訴人らの請求を棄却したため,これを不服とし
て控訴人らが控訴した。
なお,略称の表記や用語の定義については,特に断らない限り,原判決のそ
れに従うものとする。
2 前提事実
次のとおり付加,訂正,削除するほか,原判決「事実及び理由」の第2の2
(原判決3頁12行目から同14頁19行目まで)に記載のとおりであるから,
これを引用する。
(1) 原判決4頁1行目から2行目にかけての「地上波放送と『同時に』といっ
ても,」を削除する。
(2) 同7頁2行目の「本件利用許諾契約約款には,」の後に「概ね」を加える
とともに,同頁3行目の「各原告により約款の具体的な記載が異なることが
ある」を「各原告により約款の具体的な記載や条数が異なることがある」と
改める。
(3) 同8頁12行目の「7の35,」の後に「7の36,」を加える。
(4) 同9頁下から7行目の「使用料を定めるものとする。」の後に鍵括弧(閉
じる)を加える。
(5) 同頁下から5行目の冒頭に「被控訴人は,」を加える。
(6) 同11頁21行目から22行目の「10の35,」の後に「10の36,」
を挿入する。
(7) 同12頁2行目の末尾に,次のとおり加える。
「なお,従来の契約書(甲7)の文言は代表例であり,作成時期によって表
現に若干の相違が存在する。」
第3 争点及び争点に関する当事者の主張
1 以下のとおり原判決を付加,訂正し,次項のとおり「当審における当事者の
主張」を加えるほかは,原判決「事実及び理由」の第3(原判決14頁20行
目から同32頁4行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1) 原判決14頁24行目の「本件ご連絡文書」を「本件ご連絡書面」と改め
る。
(2) 同15頁4行目から5行目にかけての「本件利用許諾契約約款12条ただ
し書」の後に「(ただし,控訴人らによっては,13条ただし書のことがあ
る。以下同じ。)」を加える。
(3) 同頁7行目の「上記被告の解除」を「上記解除の予告による解除」と,同
12行目から13行目にかけての「意思表示」 「意思表示を」
を と各改める。
(4) 同頁16行目の「本件ご連絡文書」を「本件ご連絡書面」と改める。
(5) 同16頁22行目及び26行目の「自社において製作する」を「自社にお
いて制作する」と各改める。
(6) 同22頁26行目の「コミュニティ放送事業者が自ら制作し」の部分に下
線を付した上,同23頁3行目の「下線は引用に際して付したもの」の後に
「。以下同じ。」を加える。
(7) 同24頁18行目の「管理委託契約約款3条(2)ア③」の前に「本件管
理委託契約の内容を定める」を加える。
(8) 同27頁15行目の「使用料規程細則」を「本件使用料規程細則」と改め
る。
(9) 同28頁26行目の「レコード制作者」を「レコード製作者」と改める。
(10) 同29頁9行目の「MTIの」を「MTIを」と改める。
(11) 同31頁17行目の「取り扱い」を「取扱い」と改める。
(12) 同頁22行目の「本件利用許諾契約書」 「本件利用許諾契約」
を と改める。
2 当審における当事者の主張
(1) 争点1(被控訴人の本件更新拒絶は,管理事業法16条にいう「正当な理
由がなく」利用の許諾を拒んでいるものとして無効〔民法90条〕といえる
か)について
(控訴人らの主張)
ア コミュニティ放送事業者たる控訴人らは,被控訴人策定・公表に係る使
用料規程(本件使用料規程)に基づき,所定の使用料を支払うことにより,
「自ら制作し放送するラジオ番組」(以下「自主制作番組」という。)を
放送と同時にストリーム送信(サイマル配信)する目的で,被控訴人が管
理するレコードを録音した放送番組等を送信可能化することが許容される
(甲4の使用料規程2頁の「1.放送と同時のストリーム送信を目的とす
る利用」のうち,「(2)コミュニティ放送事業者が自ら制作し放送する
ラジオ番組(コマーシャルを除く。)」を参照)。
控訴人らと被控訴人との間の本件利用許諾契約は,本件使用料規程の上
記内容を踏襲したものであるため,結局のところ,被控訴人による本件更
新拒絶が,管理事業法16条にいう「正当な理由がなく」利用の許諾を拒
んでいるものとして公序良俗(民法90条)に反し無効となるか否かは,
本件各音楽番組が控訴人らの「自主制作番組」に該当するか否かに帰着す
る。
イ 本件各音楽番組が控訴人らの自主制作番組に該当することは,以下のと
おりである。
(ア) 自主制作とは,自社が制作著作となるものであり,制作著作とは,発
意と責任を有し,制作に必要な手配をするものとしての権利と責任の主
体の表示をするものである(甲96)。そして,本件各音楽番組の制作
に「発意」を有するとは,必ずしも最初にその企画を立案することを要
するものではなく,第三者からの働きかけにより当該番組を制作する意
思を有するに至った場合も含まれる。控訴人らは,MTIからの提案を
契機としてはいるが,放送事業者としての自らの経営判断によって本件
各音楽番組を制作するに至ったものであるから,本件各音楽番組の制作
に「発意」を有する者は控訴人らにほかならない。すなわち,
a 控訴人らによる本件各音楽番組の企画への参加
控訴人らコミュニティ放送事業者は,そもそも本件各音楽番組の企
画に参加するか否かにつき,自社内で慎重に検討を行っている。そし
て,その検討に際しては,本件各音楽番組については,自局において
地上波放送をすることから,放送番組として自社の放送方針,地域テ
イスト,放送番組の編集の基準(番組基準)等に合致するかが慎重に
判断されることになる。無論,MTIや他のコミュニティ放送事業者
から参加を強要されることはない。
また,MTI等の要望によって,直ちに控訴人らの番組の企画や編
成が変更されることもない。かかる判断は,飽くまで放送事業者たる
控訴人らによってなされる。このことは,放送法3条において「放送
番組は,法律に定める権限に基づく場合でなければ,何人からも干渉
され,又は規律されることがない。」と定められていることからも明
らかである。
b 控訴人らによるFM KENTOに対する本件各音楽番組に係る意
向や要望の伝達
控訴人らコミュニティ放送事業者が本件各音楽番組の企画に参加す
る際には,コミュニティ放送事業者として控訴人の一人であり,他の
控訴人らコミュニティ放送事業者から本件各音楽番組の制作の委託を
受けているFM KENTOに対し,自局の音楽番組として使用できる
音楽の種別(洋楽,Jポップ,演歌,ROCK等),番組や選曲に係
る意向や要望等を伝え,番組制作を委託している。
c FM KENTOによる本件各音楽番組の制作と控訴人らコミュニ
ティ放送事業者への納品
FM KENTOは,もともと洋楽を中心とした音楽番組を数多く制
作・放送していた実績があり,控訴人らコミュニティ放送事業者が求
める,よりラジオライクな音楽番組(DJが曲目を読み上げる,効果
音を入れるなどの技術によりラジオファンを惹きつけるような演出を
行う音楽番組)を制作する能力を有していた。そのため,本件各音楽
番組の企画においても,こうした能力を買われ,制作費の見積りや試
作品の提供等を経て,控訴人らコミュニティ放送事業者から本件各音
楽番組の制作を受託するに至った。
FM KENTOは,合算すると,毎月,24時間分の本件各音楽番
組を毎週1セットのペースで計4セット制作するが(1時間につき1
本,計96本),本件各音楽番組を制作するに当たっては,まず自局
内で制作会議を開催し,週ごとに,本件各音楽番組それぞれのテーマ
(例えば,80年代のヒットチャート,夏の名曲トップ10等)を決
定する。この検討に際しては,各コミュニティ放送事業者から事前に
聴取していた意向や要望を十分に踏まえつつ,流行,季節等の要素を
取り入れ,放送時間帯等に配慮しながら,テーマを決定する。その上
で,これらに沿って,DJ等の経験により様々なジャンルの音楽に精
通したスタッフらが,本件各音楽番組の楽曲を選定する。1時間枠で
必要な楽曲数は30~40曲程度であり,1か月の放送のために必要
な楽曲数は2880曲~3840曲にも上るが,かかる楽曲の音源は
全てFM KENTOが調達する(甲20の1~11)。
楽曲の選定に当たっては,候補とされた楽曲全てにつき,当該楽曲
が当該音楽番組のテーマと実際に合致しているか等を調査する。具体
的には,例えば,テーマが「90年代の音楽」であった場合には,選
定した楽曲の発売日等を調べ,正しく90年代の音楽に該当するかな
どを調査する。
また,選定した楽曲について,FM KENTOに楽曲が存在しない
場合には,iTunes(アイチューンズ)からの購入等(甲20の
1~11)により楽曲のデータをパソコンに取り込む方法により取り
揃える(甲21)。
パソコンに取り込まれた楽曲は,一曲ごとに,ワンフレーズでカッ
トするとともに,音量調節,フェードアウトなど様々な調節を行う必
要がある。これらの調節には,特別なソフトウェアが必要であるとと
もに,音楽編集の技術も必要となる。FM KENTOでは,かかる音
楽編集の技術を有する数人のスタッフを雇用しており,これらのスタ
ッフが手分けして調節を行っている。そして,FM KENTOにおい
て収録したナレーション等を織り交ぜながら,一番組当たり30~4
0曲の楽曲を繋ぎ合わせ,通しで聴取することにより内容を確認の上,
番組音声データのコピーを取る。その後,各放送局が使用しやすいよ
うに,wavデータとして編集した番組音声データをmp3データに
変換する。その上で,番組音声データとして必要な情報が全て網羅さ
せているか等を確認するため,FM KENTO独自で作成したエクセ
ルシートを用い,合計1000カ所にも及ぶチェックを行っている。
上記チェックを完了した番組音声データは,FM KENTOが契約
し,管理しているインターネットのクラウドサービス上で,控訴人ら
ごとに仕分けされたフォルダにアップロードすることによって,控訴
人らに納品される(甲119)。その際には,本件各音楽番組で使用
される楽曲の曲名などが記載された番組表・タイムテーブル(放送番
組データ)も,同時に同様の方法により納品される(甲118の1,
甲118の2)。なお,控訴人らの中には,CD―Rでの納品を求め
るコミュニティ放送事業者も存在するため,当該事業者に対しては,
CD―Rを郵送することにより納品される。
d 納品後の本件各音楽番組に係る控訴人らの意向・要望等の反映
前記のとおり,控訴人らは,本件各音楽番組企画の参加時に,あら
かじめFM KENTOに対し自社の番組として使用できる音楽の種
別やテイスト等を伝えているが,当然,具体的にFM KENTOによ
って制作された本件各音楽番組についても控訴人らによる検収がなさ
れ,番組内容に問題がないと判断された場合にのみ放送,配信される
ことになる。番組内容に不都合がある場合には,各控訴人からFM K
ENTOに連絡が入ることになっており(甲120の1~3),FM
KENTOはこれに対応して番組内容を修正する。
さらに,控訴人らは,FM KENTOが制作した本件各音楽番組に
ついて不満や懸念すべき事由があった場合には,その都度選曲の要望
などをFM KENTOに伝え(甲47,甲120の4及び5),FM
KENTOは,こうした控訴人らの要望を踏まえ,番組内容を変更・
決定する。
e MTIが本件各音楽番組の制作者たり得ないこと
前記のとおり,本件各音楽番組については,控訴人らの意向及び要
望がFM KENTOに伝えられ,これらを受けたFM KENTOに
よってその制作が具体的に進められる。
一方で,MTIは,本件各音楽番組のスポンサーとして,広告代理
店であるCWLを通じて,控訴人らから必要な放送枠を購入し,放送
枠を調整するが,本件各音楽番組の制作過程は前記a~dのとおりで
あって,同過程には一切関与していない。したがって,MTIが本件
各音楽番組の制作者たり得ないことは明らかである。
(イ) 本件各音楽番組の制作費の負担と収支,責任等の帰属主体が控訴人ら
であることも,次のa~cからすれば,明らかである。
a 本件各音楽番組の制作費については,FM KENTOがMTIから
月額55万円程度を受領しているが,控訴人らは,スポンサーである
MTIに対し本件各音楽番組の放送枠を通常より安価で提供してお
り,これにより,本件各音楽番組の制作費については,MTIではな
く,控訴人らが実質的に負担しているといえる。
b 本件各音楽番組には,MTIのほか,控訴人らの地元企業や地域店
舗等がスポンサーとして広告を出しているところ,かかる広告料収入
は全て控訴人らに帰属するほか,その他のスポンサーとの契約に係る
権利義務の一切も控訴人らコミュニティ放送事業者に帰属する。
c 本件各音楽番組の内容等についての責任や権利義務も,全て放送事
業者である控訴人らに帰属する(例えば,本件各音楽番組において放
送及び配信された楽曲の歌詞に不適切な表現が含まれていた場合,そ
の責任は放送事業者たる控訴人らが負担することになる。)。
(ウ) 以上のとおり,控訴人らは,自局の放送方針,地域テイスト,放送番
組の編集の基準(番組基準)等に合致するか否かについて慎重に判断し
た上で本件各音楽番組の企画に参加するに至ったものであり,委託先で
あるFM KENTOが制作した本件各音楽番組の内容についても逐一
チェックを行っている。また,本件各音楽番組の制作費についても,本
件各音楽番組の放送枠をスポンサーであるMTIに対し通常より安価
で提供することにより,実質的には控訴人らが負担している。また,そ
の他本件各音楽番組の放送及び配信に係る責任や権利義務の一切は,控
訴人ら各コミュニティ放送事業者に帰属する。これらの事実からすれば,
控訴人らこそが,本件各音楽番組について発意と責任を有する者であり,
本件各音楽番組が控訴人らによる「自主制作番組」に該当することは明
らかである。
ウ 被控訴人による本件更新拒絶は,本件各音楽番組がスマートフォン等用
アプリケーションソフトウェア「Listen Radio」(リスラジ/リスラジアプ
リ)のまとめチャンネル機能により聴取され得ることを理由とするもので
あるが,自主制作番組として制作された本件各音楽番組が,リスラジのま
とめチャンネル機能により聴取され得ることをもって,事後的に「自主制
作番組」でなくなるなどということはあり得ない。
エ そもそも本件使用料規程及び本件利用許諾契約における「自主制作番組」
との要件は,いずれも「他から供給を受ける放送番組」を排除する趣旨で
設けられたものにすぎない。
すなわち,本件使用料規程に「自主制作番組」との内容が加えられたの
は,平成18年の規程改訂時であったところ,被控訴人は,同年3月3日
に「商業用レコードを用いた放送番組のネット利用に係る集中管理」と題
する文書(甲45)において,サイマル配信における送信可能化権につい
ても集中管理を行うことを公表し(同1頁),併せて,コミュニティ放送
番組のうち,「自主制作番組」に限り管理対象とするとの方針を発表した
(同2頁図の赤枠中の青色欄,3頁)。
ここで企図されていたのは,左欄の「衛星放送番組」のうち,MUSI
C BIRD(ミュージックバード)やJ-WAVE(ジェイウェイブ)
を含む,衛星放送を使用したデジタル方式のラジオである「衛星ラジオ」
について集中管理の対象としない(同2頁図の灰色欄),つまり被控訴人
として利用許諾の対象としないということであった(原告第3準備書面3,
4頁)。
この点に関し,被控訴人は,平成23年10月まではミュージックバー
ドが提供する音楽番組について,コミュニティ放送事業者によるサイマル
配信を認めていなかったが,現在は,サイマル配信を許容するに至ってい
る。しかしながら,ミュージックバードが制作しコミュニティ放送事業者
に提供する音楽番組は,コミュニティ放送事業者の意向が反映される余地
が全くない,完全な「他者制作番組」であり(甲83,98),コミュニ
ティ放送事業者が同番組の提供を受けた場合には「他から供給を受ける放
送番組」となるはずである。本件各音楽番組が「自主制作番組」に該当し
ないとの被控訴人の立場を前提とすれば,かかる音楽番組のサイマル配信
が許容される余地はないはずであるが,被控訴人は,ミュージックバード
及び各コミュニティ放送事業者に対し,かかる音楽番組が「自主制作番組」
であるとのお墨付きを与えている。このことは,ミュージックバードのコ
ミュニティ放送事業者向けセールスシート(甲98)のスライド12に,
「◇音楽の権利団体から,コミュニティ局の自主制作番組として認定され
ています」「・ミュージックバードの制作番組は,ご契約局様からの制作
委託番組です」との記載があることからも明らかである。
オ 本件各音楽番組は控訴人らによる「自主制作番組」であり,被控訴人が
控訴人らに対し本件各音楽番組の送信可能化を許諾することは,被控訴人
がレコード製作者等から委託された利用許諾権限の範囲内であることが明
らかである(乙1の第3条(2)アの③)。
カ 以上のとおり,本件各音楽番組が本件使用料規程及び本件利用許諾契約
における「自主制作番組」に該当し,被控訴人による本件更新拒絶が管理
事業法16条にいう「正当な理由がなく」利用の許諾を拒んでいるものと
して無効(民法90条)となることは明らかである。
(被控訴人の主張)
ア 本件各音楽番組は,控訴人らがFM放送することを主たる目的として制
作されるものではなく,MTI側でその制作・放送・配信を企画・発意し
た上で,MTI又はMTIの広告代理店であるCWLが控訴人らに参加を
呼びかけ,控訴人らに分散して放送を担当させることにより,結果として
24時間連続してヒット曲を流し続けることを目的として制作されている
番組である。本件各音楽番組で流す音楽の選択・決定を行う主体はMTI
であり,MTIが番組制作費を負担している。そして,本件各音楽番組の
「番組音声」は,全てMTIがエヌ・ティ・ティ・スマートコネクトの代
行サービスを利用して配信している。かかる事情を総合的に考慮すれば,
本件各音楽番組が控訴人らの「自主制作番組」に該当しないことは明らか
である。
イ 控訴人らは,被控訴人がミュージックバードについて「自主制作番組」
であるとの「お墨付き」を与えており,そのことは甲98の記載からも明
らかであると主張する。
しかし,ミュージックバードが制作した番組をコミュニティ放送局がサ
イマル配信することについて,現時点において被控訴人が許諾したり公認
したりしている事実はない。甲98は飽くまでミュージックバードが作成
した資料にすぎず,被控訴人の見解を記載したものではないし,記載内容
について被控訴人がミュージックバードから確認を依頼された事実もない。
また,そもそも被控訴人以外にも「音楽の権利団体」は存在しており,こ
れが被控訴人に関する言及であるかも不明である。
ただし,ミュージックバードの番組をコミュニティ放送局が放送する場
合には,音楽だけを24時間連続して聴き続けられるように複数のコミュ
ニティ放送局の放送時間が調整されているような事実は一切なく,利用者
がアプリを使って当該番組を自動的に連続して聴き続けられるような方法
もない(「FM聴」や「i-コミュラジ」のアプリによってもそのような
聴取方法はできない。)。同番組は,リスラジを通じて24時間連続して
音楽番組を流すという特徴を有するリスラジの「おすすめ番組まとめ」チ
ャンネルの番組編成に合うように作成された音楽番組である本件各音楽番
組とは全く異なるものである。そのため,被控訴人の知る限り,各レコー
ド会社はミュージックバードを事実上問題視しておらず,本件各音楽番組
とは前提が異なっている。
ウ 仮に,本件各音楽番組が控訴人らの「自主制作番組」に該当するとして
も,本件更新拒絶が管理事業法16条にいう「正当な理由がなく」利用の
許諾を拒むものとして無効(民法90条)となるものではない。
すなわち,被控訴人がレコード製作者から許諾権限を与えられていない
(管理委託を受けていない)レコードの利用についてこれをコミュニティ
放送事業者に許諾できないのは当然である。レコード製作者がどのような
番組のインターネット配信について許諾権限を被控訴人に管理委託してい
るのかは,専らレコード製作者と被控訴人との間の管理委託契約によって
定まる。そして被控訴人は,「レコード製作者自らの音楽配信事業と競合
しないと考えられる範囲の利用を対象」として管理事業を行うものであっ
て(乙8の2枚目),それを前提としてレコード製作者から管理委託を受
けているのであるから,24時間連続して音楽を聴けるようにして全国の
需要を満たすリスラジの「おすすめ番組まとめ」チャンネルの番組編成に
合うように作成される本件各音楽番組のインターネット配信に対する許諾
権限は,管理委託契約の双方当事者であるレコード製作者と被控訴人の合
理的な意思解釈からしても,被控訴人に管理委託されていないことが明ら
かである。
仮に百歩譲って,被控訴人が,形式的には本件各音楽番組のインターネ
ット配信に対する許諾権限を有しており,しかも本件更新拒絶をした上で
「3月6日契約書案」を提示して控訴人らに申込みの誘引をする被控訴人
の対応が「許諾を拒む」ものであるとしても,一般に,①許諾をすること
が委託者の意思に反する場合,②許諾をすることが通常委託者の合理的意
思に反すると認められる場合には,管理事業法16条にいう「正当な理由」
があるとされているところ(乙9の2枚目),リスラジを通じて24時間
いつでも音楽を連続して聴けるようにして全国の需要を満たすことを目的
として制作された番組のインターネット配信に対して許諾をすることは,
「レコード製作者自らの音楽配信事業と競合」する利用を対象とするもの
であるから,委託者であるレコード製作者の意思に反し,通常委託者の合
理的意思にも反する。よって,そのような許諾を拒むことには「正当な理
由」がある。
(2) 争点2(被控訴人の本件更新拒絶は,信義則に反し,無効であるといえる
か)について
(控訴人らの主張)
前記のとおり,被控訴人は,本件各音楽番組とミュージックバードが制作
しコミュニティ放送事業者に供給している音楽番組とで不当に取扱いを異に
しており,控訴人らに対してのみ本件更新拒絶により本件各音楽番組のサイ
マル配信を認めていないが,かかる取扱いが信義則に反することは明らかで
ある。
したがって,本件更新拒絶は,信義則に反し無効である。
(被控訴人の主張)
被控訴人は,全てのコミュニティ放送事業者に対して同一内容の契約を提
示しており,ミュージックバードの番組を配信しているコミュニティ放送事
業者との間で特別の条件で許諾契約を締結しているという事実は一切ない。
したがって,ミュージックバードとの関係を議論するまでもなく,本件更
新拒絶が信義則に反することはあり得ない。
(3) 争点3(被控訴人の本件更新拒絶は,「共同の取引拒絶」〔独禁法19条,
2条9項1号イ又は同項6号イ,一般指定1項〕又は「その他の取引拒絶」
〔独禁法19条,2条9項6号イ,一般指定2項〕に該当するため,無効〔民
法90条〕といえるか)について
(控訴人らの主張)
前記のとおり,被控訴人は,本件各音楽番組とミュージックバードが制作
しコミュニティ放送事業者に供給している音楽番組とで不当に取扱いを異に
している。すなわち,後者を各コミュニティ放送事業者による自主制作番組
として認めながら,本件各音楽番組は自主制作番組ではないとして本件更新
拒絶を行った。
かかる被控訴人の行為が,被控訴人の圧倒的市場支配力に照らし,強度の
公正競争阻害性を生じさせることは論をまたないというべきであり,これが
独禁法上の「共同の取引拒絶」又は「その他の取引拒絶」に該当することは
明らかである。
(被控訴人の主張)
前記のとおり,本件各音楽番組は自主制作番組に当たらず,被控訴人は管
理レコードについての許諾権限を有していない。そもそも許諾権限を有して
いない被控訴人が,控訴人らを排除する目的で本件更新拒絶を行うなどとい
うことはあり得ず,本件更新拒絶が「共同の取引拒絶」や「その他の取引拒
絶」に当たらないことは明らかである。
また,前記のとおり,被控訴人は,全てのコミュニティ放送事業者に対し
て3月6日契約書案を提示して申込みの誘引をしており,申込みがあった全
てのコミュニティ放送事業者との間で同契約書案の内容による許諾契約を締
結しているところ,被控訴人は,控訴人らに対しても同様に同契約書案を提
示してそれに基づく申込みを誘引しており,本件訴訟の元原告であったコミ
ュニティ放送事業者からの申込みについても(過去の使用料の未払分を清算
しておらず許諾を拒む正当な理由のあるコミュニティ放送事業者からの申込
みを除いては)それに応じて許諾契約を締結しているのであるから,そもそ
も被控訴人が控訴人らの取引を拒絶している事実がない。
以上に加え,そもそも音楽配信ビジネスを行うことを希望する事業者は,
被控訴人からではなく,各レコード製作者から個別に許諾を受けて実施して
いる。放送のサイマル配信に係る仕組みを悪用して実質的な音楽配信ビジネ
スを行っている事業者は,控訴人ら及びMTIのほかにはいない。ミュージ
ックバードの番組がこれに該当しないことは前記のとおりである。したがっ
て,控訴人らが被控訴人から本件各音楽番組のサイマル配信の許諾が得られ
ないとしても,それによって控訴人らが他の事業者との関係で競争上不利に
なることはないし,控訴人らによるコミュニティFM事業の提供が困難とな
ることもない。よって,いわゆる公正競争阻害性も認められない。
(4) 争点4(被控訴人の本件更新拒絶は,「取引条件等の差別的取扱い」〔独
禁法19条,2条9項6号イ,一般指定4項〕に該当するため,無効〔民法
90条〕といえるか)について
(控訴人らの主張)
前記のとおり,被控訴人は,本件各音楽番組とミュージックバードが制作
しコミュニティ放送事業者に供給している音楽番組とで不当に取扱いを異に
している。すなわち,後者を各コミュニティ放送事業者による自主制作番組
として認めながら,本件各音楽番組は自主制作番組ではないとして本件更新
拒絶を行った。
かかる被控訴人の行為が,独禁法上の取引条件等の差別的取扱いに該当す
ることは明らかである。
(被控訴人の主張)
前記のとおり,被控訴人は,全てのコミュニティ放送事業者に対して3月
6日契約書案を提示して申込みの誘引をしており,申込みがあった全てのコ
ミュニティ放送事業者との間で同契約書案の内容による許諾契約を締結して
いるところ,被控訴人は,控訴人らに対しても同様に同契約書案を提示して
それに基づく申込みを誘引しており,本件訴訟の元原告であったコミュニテ
ィ放送事業者からの申込みについてもそれに応じて同契約書案の内容にて許
諾契約を締結している。
また,本件更新拒絶を行った平成27年2月より前に被控訴人がコミュニ
ティ放送事業者と締結していた全ての許諾契約について,被控訴人は自動更
新を拒絶して一旦許諾契約を終了させた上で,3月6日契約書案を提示して
申込みを誘引し,その内容の許諾契約を締結している(平成27年1月6日
に締結した甲29の許諾契約についても,被控訴人は締結後数か月しか経て
いない同年9月9日に更新拒絶の意思表示をした上,同契約の許諾先である
コミュニティ放送事業者との間で,3月6日契約書案による許諾契約を締結
している。)。
さらに,被控訴人が,ミュージックバードの番組を配信しているコミュニ
ティ放送事業者に対しては更新拒絶をしていないとか,3月6日契約書案と
は異なる特別の条件で許諾契約を締結しているというような事実は一切ない。
したがって,本件更新拒絶が「取引条件等の差別的取扱い」に当たるとの
控訴人らの主張には理由がない。
第4 当裁判所の判断
1 事実関係
次のとおり付加,訂正,削除するほかは,原判決「事実及び理由」の第4の
1(原判決32頁6行目から同46頁2行目まで)に記載のとおりであるから,
これを引用する。
(1) 原判決34頁4行目の「(乙4・7頁,11頁)」を「(乙4・7頁~1
1頁)」と,同16行目の「分離」を「分類」と各改める。
(2) 同頁24行目から同35頁2行目までを次のとおり改める。
「総務省開催の『ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会』(座長:
A 日本大学芸術学部教授)が取りまとめた平成22年7月9日付け報告書
(甲96,97)87頁においては,『自社において制作する番組』につい
て,次のような説明がなされている。
・『自社において制作する放送番組』とは,自社が『制作著作』となるもの
をいう。
・『制作著作』とは,発意と責任を有し,制作に必要な手配をするものとし
ての権利と責任の主体の表示とする。
・『自社において制作する番組』は,下記により区分する。」
(3) 同35頁12行目から同36頁22行目までを次のとおり改める。
「ア 従前,商業用レコードの利用に関する被控訴人の関与(著作権等管理)
は限定的であり,送信可能化権については,各レコード製作者が,利用
者,利用音源,利用目的及び利用時間等を勘案し,個別に許諾の可否と
許諾料を決定しているのが実態であった。
しかし,インターネットの急速な普及により,平成13年頃から,過
去のテレビ番組のオンデマンドサービスや放送の補完として放送と同時
のインターネット送信(サイマルキャスト)等の新たなビジネスの試み
が行われるようになり,レコードを録音した放送番組のインターネット
における利用において,レコード製作者が有する送信可能化権について
も被控訴人が集中管理することを求める声が高まった。
そこで,被控訴人は,商業用レコードを録音した放送番組のネットワ
ークにおける二次利用を促進するため,当該利用に係るレコード製作者
の権利の一任型管理事業を開始することとし,関係諸団体との協議を重
ねた後,平成18年9月8日付けで,管理事業法に基づき使用料規程及
び管理委託契約約款等を文化庁に届出し,同年10月に同管理事業を開
始するに至った。
イ 事業開始に先立つ同年3月には,被控訴人は,日本コミュニティ放送
協会の会員各社に対し,『商業用レコードを用いた放送番組のネット利
用に係る集中管理』と題する資料(甲45)を配布して,同管理事業に
関する説明を行っており,同資料において,放送番組をインターネット
送信するいわゆるサイマル配信における送信可能化権について,これま
ではレコード会社で個別に許諾の判断をしていたところ,被控訴人にお
いて包括許諾する形式の集中管理を導入すること(同1頁),コミュニ
ティ放送のインターネット利用に関しては,集中管理の対象となる放送
番組は,『コミュニティ放送事業者が自らの放送のために制作したラジ
オ放送番組(ただし,コマーシャルを除く)』とし,対象となる利用方
法については,『コミュニティ放送と同時に送信可能化し,ストリーム
送信する方法』とし,使用レコードについては,『全曲の報告をお願い
する』こと等の方針が示された(同2頁の図の赤枠中の青色欄,及び同
3頁)。
ウ また,事業開始時である同年11月には,被控訴人事務局長Bが,コ
ピライト2006年11月号に『放送番組のインターネット利用に関す
るレコード製作者の権利の一任型管理事業について』と題する論稿(乙
8)を寄稿して,同管理事業に関する被控訴人の取組やこれまでの経緯
を紹介しているところ,同論稿においては,今後の課題として,『新た
な管理事業は限定した範囲内でスタートするが,これは,現時点におい
て,レコード製作者自らの音楽配信事業等と競合しないと考えられる範
囲の利用を対象としており,今後のインターネットにおけるコンテンツ
の流通状況やビジネス環境の変化等により,必要に応じて見直しする予
定である』ことなどが説明されていた。
エ 同管理事業開始後,被控訴人と控訴人らとの間で締結された本件利用
許諾契約の内容及び本件使用料規程等の内容は,第2の2(4)及び(5)の
とおりである。
また,被控訴人が作成した平成25年9月付け『コミュニティFMの
ネット同時配信(サイマルラジオ)に係るレコード利用許諾契約のご案
内』と題する書面(甲8)には,レコードの利用許諾範囲として,『1
配信サイト・配信サーバ』の欄に,『利用許諾契約書に記載の配信サイ
ト・配信サーバのみが許諾対象です。配信サイト・配信サーバを変更す
るときは,事前にレコード協会(判決注:被控訴人)宛てに書面にてお
知らせ下さい。 ,
』 『各局様が送出するサイマルラジオのストリームを,
第三者が受信して更に公衆向けに配信する行為は許諾対象外です。』な
どと記載され,『2 配信番組』の欄には,『各局様が自ら制作し放送
するラジオ番組(コマーシャルを除く)のみが許諾対象です。』,『他
社への制作発注番組,他社との共同制作番組等の取扱いにつきましては,
各局様から個別具体的なご相談を承った上で諾否を判断します。』など
と記載されていた。」
(4) 同37頁10行目末尾の鍵括弧(閉じる)を削除し,同14行目から15
行目までの「放送の二次使用料金と同額(…)する」を「放送の二次使用料
金と同額(…)とする」と改める。
(5) 同38頁4行目の「1週間に8時間だけ」の後に「(毎週月曜日から土曜
日までは午後10時から午後11時までの1時間,毎週日曜日は午後9時か
ら午後11時までの2時間)」を加える。
(6) 同頁19行目の「MTIが」を「MTIに」と改める。
(7) 同39頁3行目の「MTIは」から同12行目の「無料とした」までを次
のとおり改める。
「同日のプレスリリース(乙7)によれば,同サービスは,音楽番組に特化
したラジオアプリであり,専用のアプリをダウンロードして起動するだけで,
無料で24時間音楽番組を聴くことができ,日本全国どこにいても楽しめる
こと,同サービスは,CSRA加盟局で放送する音楽番組『Find your music!』
をスマートフォンでも同時に楽しめるサービスであること,他のアプリや地
上波のラジオが休止中の,日曜深夜から早朝も含めた24時間放送を行って
いるので,いつでも聴けることが特長であること,『music.jp』のダウンロ
ードランキングを全曲紹介する『週間ランキングTOP30』を始め,邦楽・
洋楽・アニメソング・韓流などのヒット曲や最新曲を幅広く放送しているこ
となどが謳い文句とされており,また,アプリケーションにかかる課金額は
無料とされていた」
(8) 同40頁3行目の「都会での地方の」を「都会で地方の」と改める。
(9) 同頁6行目の「リスラジの画面上に」を「リスラジのウェブサイト上に」
と改める。
(10) 同頁11行目から同42頁2行目までを次のとおり改める。
「ア 前記のとおり,平成24年4月には,ほぼ24時間にわたり,『Find
Your Music!』番組が放送されるようになったところ,同年12月,被控
訴人担当者は,CSRA事務局に対し,リスラジアプリのサービス内容
について問合せを行い,CSRA事務局は,MTIとの共同制作番組(M
TIにサポートしてもらっている番組)として同番組を放送しており,
そのサイマル放送を視聴するのをナビゲートするシステムである旨回答
した(甲71の1・2,乙27の1・2)。
イ 被控訴人担当者は,その後もCSRA事務局との間でリスラジアプリ
についての協議を重ね,平成25年4月,同事務局に対し,改めて同旨
の問合せを行うとともに(乙27の3・4),同年9月には,被控訴人
からリスラジでの共同制作番組配信がサイマル配信に係る従前の許諾契
約の範囲外である旨の指摘を受けてお詫びする旨の文書を自ら起案し,
これを同事務局に示した上,CSRA事務局長名義で提出するよう促す
に至った(甲72)。これに対し,同事務局長は,飽くまで従前からの
規程に従った利用の範囲内であるとの認識であった旨の文書を作成して
被控訴人担当者に示したが,同文書においては,リスラジアプリを開始
した経緯として,『各コミュニティ放送局は,サイマル放送するにあた
り,連携して,各コミュニティ放送局の放送をタイムテーブル上組み合
わせて,サイマル放送時には連続して1つのアクセス先から聴取できる
サービスを提供したいとの考え』に至り,MTIからリスラジアプリの
提供を受けてサイマル放送を実施することにした旨の説明がなされてい
た(乙24の2)。
ウ 被控訴人は,同月,控訴人らを含むコミュニティ放送事業者に対し,
『サイマルラジオに係る平成25年度レコード使用料の取扱いについて』
と題する書面(甲73)を送付し,同書面において,『情報料又は広告
料等収入がなく,放送区域における電波不到達地域の解消を目的とした
送信で一定の基準を満たす』サイマルラジオについては,使用料規程本
則によらず,被控訴人が年度ごとに策定する細則に基づき使用料を申し
受けているところ,このたび,平成25年度使用料に係る細則を策定し
たとして,同細則の適用を希望する事業者は届出書を提出するよう促し
た(甲73)。
同細則においては,前年までのそれと比較して,第2条が定める『情
報料又は広告料等収入がなく,放送区域内における電波不到達地域の解
消を目的とした送信で別に定める基準』としての三要件が,それぞれ次
のとおり変更されていた。すなわち,『(1) 放送番組の同時ストリーム
送信から得る収入がないこと』 『(1)
が コミュニティ放送事業者その他
の者が放送番組の同時ストリーム送信から一切の情報料及び広告料収入
を得ないこと』に,『(2) 放送区域内に電波不到達地域が存在し,著し
く大きな支障が生じていること』 『(2)
が 放送区域内における電波不到
達地域の解消を専らの目的として送信すること』にそれぞれ変更される
とともに,『(3) 以下のいずれかの条件を満たすこと ① 同時ストリ
ーム送信の対象となる番組時間のうち,放送事項別分類が「報道」,「教
育」,「教養」,「行政情報」,「生活情報」又は「観光情報」に該当
する番組時間が8割を超える(放送事項別分類は,年2回総務省に提出
する事業計画変更届けに記載する分類に基づくものとする)。② 送信
する曲名等の事前告知を行わず,なおかつ,楽曲のフルサイズを送信し
ない。』のうち,『(放送事項別分類は,年2回総務省に提出する事業
計画変更届けに記載する分類に基づくものとする)』の部分が削除され
ていた(甲5)。
また,被控訴人は,甲73の書面に添付された『届出書の記載に係る
注意点』と題する書面(甲74)において,上記変更後の文言について
の解釈を示した(その解釈は,原判決添付の別紙『届出書の記載に係る
注意点』に記載されているものと同一である。)。
エ その後,被控訴人は,平成26年3月には,控訴人らとの利用許諾契
約を自動更新したものの,MTIを含む当事者間においては,引き続き
リスラジによるサイマル配信についての協議が続けられ,同年5月に行
われた被控訴人とMTIとの打合せ時には,被控訴人担当者が,MTI
側に対し,①基本的にはリスラジについてはサービスを停止してほしい,
②インターネット放送部分とサイマル放送部分についてはサービス可能
としても,『Find Your Music!』番組についてはすぐにでもサービスを
停止してほしいなどと強く要請しており,今後の対応としても,文書か
口頭か何らかの形でサービス停止要請を行うか,それとも別の形で調整
を行うか,理事と検討する旨の方向性を伝えていた(甲76)。
また,同年6月に行われた被控訴人担当者とCSRA事務局との間で
の協議においても,被控訴人担当者は,同事務局に対し,『Find Your
Music!』番組について,ユーザやレコード会社としては音楽アプリに見
えてしまうし,MTIに許諾をしていない楽曲も流れているのが問題で
あること,リスラジのサービスは,レコード会社のビジネスとバッティ
ングするので看過できないこと,あるレコード会社は,被控訴人に信託
をしていることができなくなるので引き上げるとも言っており,そうな
ると他のアプリ(サービス)もサイマルができなくなるので大ごとにな
ることなどを伝えていた(甲75)。
オ 平成27年1月末に行われた被控訴人とMTIとの協議においては,
MTI側が,番組まとめ機能の一時停止,ユーザが既存の番組を任意に
登録したマイ番組表(ユーザオリジナルの番組表)を作成し,マイ番組
表を選択すると,登録されたとおりに番組を視聴できる仕組に変更する
などの一定の変更を検討した案(甲77)を提案したが,協議の成立に
は至らず,被控訴人は,同年2月9日付けで,控訴人らに対し,本件催
告書を送付して本件各番組配信の即時中止を求めるに至った。
(個別に掲記した証拠のほか,甲89,90)」
(11) 同45頁17行目から18行目にかけての「「11:00-12:00娯
楽・音楽番組」といった包括的な表示,又は,」を「時間帯と番組名などの
包括的な番組情報や」と,同46頁1行目の「ほか,企業のバナー広告等も
常時表示されている。」を「。なお,リスラジのアプリにおいては企業のバ
ナー広告等が常時表示されるが,他のアプリ(FM聴,i-コミュラジ)に
おいてはこれが表示されない。」と各改め,同2行目の「107,」の後に
「乙21,22,25,」を加える。
(12) 同46頁2行目の後に改行して次のとおり加える。
「(11) 本件各音楽番組の制作費の負担等
控訴人らは,本件各音楽番組の制作費は全てMTIが負担しており,
MTIが同制作費としてFM KENTOに対し月額55万円程度を支
払っている事実を認めている(控訴理由書22~24頁。なお,控訴人
らは,かかる事実を前提にしながらも,スポンサーであるMTIに対し,
本件各音楽番組の放送枠を通常より安価で提供することにより,番組の
制作費は控訴人らが実質的に負担している旨主張するが,もともと控訴
人らが『Find Your Music!』番組に参加した動機は,スポンサーの付き
にくい夜間・深夜の時間帯の放送枠を購入してもらえることにあったの
であるから,この点も放送枠の価格に反映しているとみるのが合理的で
ある上,控訴人らが,個々の番組制作費を具体的にどのように見積もっ
て,どのように割引額に反映させているのかについての説明もなされて
いないのであるから,控訴人らの主張は容易に採用することはできな
い。)。
また,本件各音楽番組に係る番組ファイルの納品は,少なくとも,平
成23年11月頃までは,MTIが行っており,しかも,MTIは,一
旦納品した後は,選曲に偏りがあるなどとして変更を求められても,同
一の番組を他局にも納品していることを理由に改めて番組を制作するこ
とは難しいなどとして,そのまま放送するよう要請していた(甲120
の4)。
(12) 本件各音楽番組の配信状況等
被控訴人担当者が,平成28年8月22日午前0時から同月25日午
後11時までの間,リスラジの『おすすめ番組まとめ』チャンネルで流
れる番組内容を調査したところ,1時間ごとに配信元となる放送局が自
動的に切り替わっていくが,調査に失敗した2時間分を除く1時間ごと
の93番組の配信は,20番組の繰り返し配信であり,繰り返し配信さ
れている番組は,異なる放送局の,異なる番組名の番組として配信され
ているにもかかわらず,内容が完全に同一であることが確認されている
(乙25)。
また,控訴人らは,少なくとも,本件各音楽番組の制作に当たり,M
TIから,同社が音楽配信サービスによって蓄積したデータに基づく聴
取者に好まれる楽曲のトレンドや聴取者からのリクエスト曲等に関する
情報の提供を受けていることを認めている(控訴理由書24頁)。」
2 検討
(1) 争点1(被控訴人の本件更新拒絶は,管理事業法16条にいう「正当な理
由がなく」利用の許諾を拒んでいるものとして無効(民法90条)といえる
か)について
ア 本件更新拒絶の理由が,控訴人らがリスラジのまとめチャンネル機能を
利用して配信する本件各音楽番組が控訴人ら・被控訴人間の本件利用許諾
契約において管理レコードの利用許諾の前提となっている「自ら制作し放
送するラジオ番組」(自主制作番組)に当たらず,同番組における管理レ
コードの配信が本件利用許諾契約に反するとされている点にあることは明
らかである。よって,まず,この点に誤認がないかどうか,すなわち,本
件各音楽番組が控訴人らの自主制作番組といえるか否かについて検討する。
イ 本件各音楽番組が本件利用許諾契約における控訴人らの自主制作番組と
いえるか
(ア) 前記認定事実によれば,控訴人らは,市区町村の一部の区域において,
地域に密着した情報を提供するために制度化されたFM放送局であるコ
ミュニティ放送局を運営するものであり,コミュニティ放送局を開設す
るに当たっては,総務大臣の免許を受けなければならず,特に,コミュ
ニティ放送局が行う放送においては,コミュニティ放送局の特色である
地域密着性の確保のため,地域に密着した各種の情報に関する番組等,
地域住民の要望に応える放送が,できる限り1週間の放送時間の50%
以上を占めていることなどが定められているほか,「自社において制作
する放送番組」(「完全局制作」,「制作会社協力」,「共同制作」,
「制作委託」及び「再放送」の5つに区分される。)と「他から供給を
受ける放送番組」のそれぞれにおける時間と比率についても免許申請時
に明らかにすることが求められている。
また,総務省開催の有識者会議において,コミュニティ放送における
「自社において制作する放送番組」とは,自社が「制作著作」となるも
のをいい,「制作著作」とは,「発意と責任を有し,制作に必要な手配
をするものとしての権利と責任の主体の表示とする」ものとされており,
さらに,「自社において制作する番組」は,上記と同様に,「完全局制
作」,「制作会社協力」,「共同制作」,「制作委託」及び「再放送」
の5つに区分されるものとされている。
しかるところ,本件管理委託契約3条における「コミュニティ放送事
業者が自ら制作し放送するラジオ番組」及び本件利用許諾契約における
「乙が自ら制作し放送するラジオ番組」の各文言が,上記「自社におい
て制作する(放送)番組」を念頭に置いて定められていることは明らか
であるから,コミュニティ放送事業者である控訴人らと被控訴人との間
の本件利用許諾契約における自主制作番組の意義についても,基本的に
は,上記と同様に解するのが相当である(この点は,控訴人ら及び被控
訴人も積極的に争うものではない。)。
したがって,本件各音楽番組が控訴人らの自主制作番組といえるか否
かについては,まずは,本件各音楽番組が,控訴人らの発意と責任によ
り制作されたものといえるかどうか,前記5つの区分のうち「再放送」
以外のいずれかに該当し得るものであるかどうかという観点から検討す
るのが相当であり,その際,控訴人らが地域密着メディアとして独自性
のある番組制作が求められていることからすれば,番組制作の全体を通
じてコミュニティ放送事業者の自主制作番組であるといい得るだけの主
体的な関与が行われているか否かという点を考慮してこれを決するのが
相当である。
(イ) そこで,前記認定事実に基づいて検討すると,本件各音楽番組につい
ては,次の点を指摘することができる。すなわち,
a 本件各音楽番組は,そもそも,MTIが,スマートフォンやタブレ
ット端末を媒体として,音楽産業の活性化を図り,その収益を向上さ
せるという名目で,コミュニティ放送局の番組放送枠を買い取り,
「ス
ポンサー」となることで,音楽情報番組である「Find your music!」
番組を各コミュニティ放送局に流してもらい,これをサイマル放送で
配信するアプリケーションソフトであるリスラジ(アプリ)を開発提
供することを企画して始まったものであり,控訴人らコミュニティ放
送事業者側からの企画・提案によるものではない。
b 本件各音楽番組は,当初は,週8時間だけの試験的な運用であった
が,MTIと当時の子会社であるリッスンジャパンは,未放送時間枠
を活用するため,レコード製作者らに対し,その利用を呼び掛けてお
り,その際の説明資料には,「Find your music!」番組はリッスンジ
ャパンが提供する音楽番組であることが明記されていた。
c 平成24年にリスラジの24時間放送サービスが開始したときも,
MTIがプレスリリースを行っており,同プレスリリースにおいて,
同サービスは,音楽番組に特化したラジオアプリであり,専用のアプ
リをダウンロードして起動するだけで,無料で24時間音楽番組を聴
くことができ,日本全国どこにいても楽しめること,他のアプリや地
上波のラジオが休止中の,日曜深夜から早朝も含めた24時間放送を
行っているので,いつでも聴けることが特長であることなどが謳い文
句とされていた。
d 本件各音楽番組で使用される楽曲は,FM KENTOが調達して
おり,その選曲において,控訴人らは少なくともMTIから情報提供
を受けていることを認めている。また,FM KENTOは,あらか
じめMTIの広告代理店であるCWLによって調整された放送枠に合
わせて控訴人ごと(ただし,異なる放送局が同一の音楽番組を配信し
ている事実が認められることは,後記fのとおりである。)に楽曲を
編成して番組(放送音声部分)を制作しており,楽曲と楽曲の間には
数曲ごとにMTIが運営する音楽配信事業である「music.jp」や「リ
スラジ」のCMが流れるように編成されていた。さらに,FM KE
NTOは,放送音声部分に対応した本件各音楽番組の番組表及びタイ
ムテーブルのテキストデータ(放送番組データ)を作成し,これをM
TIが管理する管理システムへと送付することになっていた。他方,
控訴人らは,FM KENTOから納品された番組(放送音声)を地
上波放送として放送する際,同時にエンコーダサーバーを通じてデジ
タル放送にエンコードした上,デジタル音声をMTIが提供を受けて
いる番組配信用リアルタイムクラウドサーバーに送信していた。
e このようにして制作された本件各音楽番組を,リスラジの「おすす
め番組まとめ」チャンネルを利用して視聴すると,各番組が自動的に
切り替わり,24時間連続して音楽番組を視聴することができる。そ
の際,各放送局固有のCMなどは流れず,また,画面上には,現に放
送中の楽曲のみならず,それまでに放送された楽曲名及びアーティス
ト名が表示されるところ,同機能を利用しないで番組を視聴する際に
は,そのようなことは生じない(なお,リスラジのアプリにおいては
企業のバナー広告等が常時表示される。)。
f 被控訴人従業員の調査によれば,リスラジの「おすすめ番組まとめ」
チャンネルで流れる本件各音楽番組は,複数の音楽番組の繰り返し配
信であり,繰り返し配信されている番組は,異なる放送局の,異なる
番組名の番組として配信されているにもかかわらず,内容が完全に同
一であることが確認されている。
g 本件各音楽番組の制作費は全てMTIが負担しており,控訴人らは
これを負担していない(当然のことながら,控訴人らとMTIとの間,
あるいは,FM KENTOを除く控訴人らとFM KENTOとの
間において,MTIあるいはFM KENTOを受託者とする番組制
作委託契約が締結されたこと及びその具体的内容を認めるに足りる的
確な証拠もない。)。また,本件各音楽番組に係る番組ファイルの納
品は,少なくとも,平成23年11月頃までは,MTIが行っており,
一旦納品した後は,同一の番組を他局にも納品していることを理由に,
改めて番組を制作することが難しい旨も,MTIから放送局側に伝え
られていた。
(ウ) 以上のとおり,本件各音楽番組は,個々的に見れば,控訴人らが地上
波放送している音楽番組のサイマル配信であるかのような体裁がとられ
ているものの,もともとMTIが企画したリスラジの「おすすめ番組ま
とめ」チャンネルに提供されることを目的として制作されたものであっ
て,あらかじめMTI側によって調整された放送枠に合わせて楽曲等が
編成され(しかも,各番組の内容は,控訴人ら各社のニーズや要望に応
えて個別的に作られるというよりは,控訴人らをグループ分けした上,
それぞれのグループに同一の番組が割り当てられていたにすぎない疑い
が高い。),放送番組データとデジタル化された放送音声は全てMTI
に提供されている(すなわち,放送番組データは,FM KENTOか
らMTIに提供され,デジタル化された放送音声は,MTIが提供を受
けているクラウドサーバーを通じて配信されている。)。そして,制作
された番組をリスラジの「おすすめ番組まとめ」チャンネルを利用して
視聴すると,各番組が自動的に切り替わり,あたかも一つの音楽チャン
ネルであるかのように,24時間連続して音楽番組を視聴することがで
きるようになっていることに加えて,その制作費は全てMTIが負担し
ており,控訴人らはこれを一切負担していないことや,控訴人らを委託
者とし,MTIないしFM KENTOを受託者とする番組制作委託契
約が締結された事実も認められないこと,番組データの納品についても
MTIが行っていた時期があり,しかも,一旦納品した後は他局にも納
品している関係で容易に変更できないとされていたこと等の事情も認め
られるのであって,これらの事情を総合すると,本件各音楽番組は,飽
くまでMTIの企画により,MTIのサービスに合致するよう制作され
るものであって,全体を通じてMTIの意向が強く反映され,経済的負
担もMTIが負っているものであるということができる。
以上によれば,本件各音楽番組はMTIの発意と責任の下で制作され
ていると認めるのが合理的であって,およそ控訴人らの主体的な関与の
下で制作されたものとはいえず,控訴人らの「完全局制作」や「制作会
社協力」に当たらないのはもちろんのこと(この点は,控訴人らも争っ
ていない。),「共同制作」や「制作委託」にも当たらないというのが
相当である。
(エ) これに対し,控訴人らは,①本件各音楽番組の企画に参加するかどう
かは,MTIや他のコミュニティ放送事業者に強要されることなく自主
的に検討及び判断していること,②本件各音楽番組に参加する際は,F
M KENTOに対し,選曲等に関する意向や要望を伝えて番組制作を
委託していることや,③FM KENTOにおける具体的な番組制作過
程においても控訴人らの意向が十分に反映されていること,④納品後も
控訴人らの検収がなされ,番組内容に問題がないと判断された場合にの
み放送及び配信されることなどの事情を指摘してMTIが本件各音楽番
組の制作者たり得ないことは明らかであるとし,また,⑤控訴人らがス
ポンサーであるMTIに対し本件各音楽番組の放送枠を通常より安価で
提供することにより,実質的に同番組の制作費を負担していること,⑥
控訴人らの地元企業や地域店舗等からの広告料収入は全て控訴人らに帰
属し,スポンサー契約に係る権利義務も全て控訴人らに帰属すること,
⑦本件各音楽番組の内容等についての責任や権利義務も,全て控訴人ら
に帰属することなどを指摘して,経済的にも責任の帰属主体は控訴人ら
であることが明らかであるから,本件各音楽番組は控訴人らの自主制作
番組に当たると主張する。
しかしながら,①に関しては,本件各音楽番組の企画への参加を控訴
人らが自主的に検討及び判断しているからといって,直ちに同番組が控
訴人らの自主制作番組になるわけではないし,②③に関しても,飽くま
で視聴者が24時間連続して音楽番組が楽しめるよう,全体を通じて番
組の内容が調整されることは既に説示したとおりであって,控訴人らの
独自性を反映するには限界があるといわざるを得ない(事実,リスラジ
の「おすすめ番組まとめ」チャンネルで流れる本件各音楽番組は,複数
の音楽番組の繰り返し配信であり,繰り返し配信されている番組は,異
なる放送局の,異なる番組名の番組として配信されているにもかかわら
ず,内容が完全に同一であることが確認されていることは,前記のとお
りである。)。④に関しても,検収の結果,実際に放送及び配信に至ら
なかった例は示されておらず(証拠が提出されているのは,事後的に要
望や意見が伝えられた例のみであり,検収の結果,放送及び配信に至ら
なかった例ではない。むしろ,放送音源の誤りのため,放送音声とリス
ラジの画面上に表示された楽曲等の食い違い等が生じると,MTIから
確認を求められ,後日番組枠料の減額処理がなされること〔甲57の1・
2〕,台風等の地域災害が発生した際も,リスラジの放送枠で災害情報
を伝える際には,MTIから事前に連絡を求められていること〔甲59,
60〕等の事実からは,一旦参加した後は,控訴人らの自主性は相当程
度制約されていたことがうかがわれる。),⑤に関しては,控訴人らの
主張が採用できないことは前記1(11)のとおりである。⑥⑦の点も,控
訴人ら名義で番組配信が行われる以上当然のことを指摘しているにすぎ
ず,これらの点は,何ら本件各音楽番組が控訴人らの自主制作番組に当
たるかどうかを左右するものではない。
控訴人らの主張は,総合的にみても,前記(イ)(ウ)の認定及び判断を覆
すには足らず,採用することができない。
(オ) 以上の次第であるから,本件各音楽番組は,本件利用許諾契約におけ
る控訴人らの自主制作番組とはいえないとするのが相当である。
ウ 被控訴人の管理レコードに係る利用許諾の権限について
レコードの管理委託の範囲を定める管理委託契約3条(2)ア③は,「コミ
ュニティ放送事業者が自ら制作し放送するラジオ番組(コマーシャルを除
く。)」と定めており,これによれば,被控訴人がコミュニティ放送事業
者に対し管理レコードに係る利用許諾の権限を有するのは,自主制作番組
に限られることが明らかである。
しかるところ,控訴人らが放送する本件各音楽番組が控訴人らの自主制
作番組に当たらないことは,前記イのとおりであるから,リスラジの「お
すすめ番組まとめ」チャンネルに提供されることを前提とした本件各音楽
番組の配信に関する利用許諾権限を被控訴人が有していないこともまた明
らかというべきである。
エ 以上のとおり,リスラジの「おすすめ番組まとめ」チャンネルを通じて
の本件各音楽番組の配信については,そもそも本件利用許諾契約の効力は
及ばないものと解されるから,そのような配信に係る管理レコードの利用
許諾は,本件利用許諾契約に反するものであるし,もともと,被控訴人に
与えられた許諾の権限の範囲外のものでもある。このことを明確にし,契
約違反状態を解消するために,被控訴人が,本件利用許諾契約の自動更新
をせずに本件更新拒絶をし,正しい契約の趣旨を明確にした3月6日契約
書案(別紙「届出書の記載に係る注意点」と題する書面を含む。)を提示
して,新たな契約文言での利用許諾契約締結の申込みの誘引をしたことは,
正当である。したがって,本件更新拒絶は,管理事業法16条所定の正当
な理由のない利用の許諾の拒否には該当しない。
よって,本件更新拒絶が民法90条により無効になることはない。
オ 控訴人らの主張について
(ア) 控訴人らは,本件各音楽番組が控訴人らの自主制作番組に当たる旨を
主張するが,同主張が採用できないことは前記のとおりである。よって,
本件各音楽番組が控訴人らの自主制作番組であることを前提とするその
余の主張もまた失当である。
(イ) また,控訴人らは,ミュージックバードが提供する音楽番組について,
同音楽番組は完全な「他者制作番組」であり,被控訴人の立場を前提と
すれば,同音楽番組のサイマル配信が許容される余地はないはずである
が,被控訴人はミュージックバード及び各コミュニティ放送事業者に対
し,同音楽番組が「自主制作番組」であるとのお墨付きを与えていると
主張する。
しかしながら,被控訴人はかかる事実を全面的に否定しており,同事
実を認めるに足りる的確な証拠もない(控訴人らが提出する甲98はミ
ュージックバードが作成した資料であって,被控訴人の認識を表すもの
ではないし,そこに記されている「音楽の権利団体」が被控訴人を示す
ものであることを認めるに足りる証拠もない。)。また,そもそも,同
音楽番組において,リスラジの「おすすめ番組まとめ」チャンネルのよ
うに,音楽だけを24時間連続して聴き続けられるように複数のコミュ
ニティ放送局の放送時間が調整されているような事実も認められないの
であるから,控訴人らの主張は,比較の前提を欠くものであり,失当で
ある。
(ウ) 以上の次第であるから,控訴人らの主張はいずれも採用することがで
きない。
(2) 争点2(被控訴人の本件更新拒絶は,信義則に反し,無効であるといえる
か)について
次のとおり付加するほかは,原判決「事実及び理由」の第4の2(2)(原判
決57頁7行目から同58頁4行目まで)に記載のとおりであるから,これ
を引用する。
「原判決が説示するように,被控訴人は,リスラジの『おすすめ番組まとめ』
チャンネルについて,配信開始後間もない時期から問題視し,CSRAなど
と協議を重ねてきており,協議の経過においては,明確に,被控訴人の利用
許諾権限の範囲外であることも伝えていたことが認められるのであって,被
控訴人が,最終的に,協議が整う見込みがないと判断して,本件利用許諾契
約を自動更新させないという対応をとったことが,信義則に反するとはいえ
ないし,協議の継続中に契約が自動更新されたことをもって,直ちに被控訴
人が控訴人らによる本件各音楽番組の配信を黙示に承諾したとか,黙認した
と評価することも相当でない。リスラジの『おすすめ番組まとめ』チャンネ
ルを通じた本件各音楽番組の配信が本件利用許諾契約の範囲外である以上,
これを明確に除外する意図で規定された3月6日契約書案の内容についても
合理性があり,被控訴人が,本件更新拒絶の後も,同契約書案を控訴人らに
提示して,かかる利用許諾の範囲内での契約締結に応じる旨も明らかにして
いたことも踏まえれば,被控訴人の控訴人らに対する本件更新拒絶が信義則
に反し,無効であるとはいえない。
また,控訴人らは,被控訴人が本件各音楽番組とミュージックバードが制
作しコミュニティ放送事業者に供給している音楽番組とで不当に取扱いを異
にしているとして,この点をも信義則違反の理由として主張するが,かかる
主張が失当であることは,前記のとおりである。
以上によれば,信義則違反を理由とする控訴人らの主張は採用することが
できない。」
(3) 争点3(被控訴人の本件更新拒絶は,「共同の取引拒絶」(独禁法19条,
2条9項1号イ又は同項6号イ,一般指定1項)又は「その他の取引拒絶」
(独禁法19条,2条9項6号イ,一般指定2項)に該当するため,無効(民
法90条)といえるか)について
既に説示したとおり,本件更新拒絶は,控訴人らによる契約違反状態を解
消し,正しい契約の趣旨を明確にするために行われたものであるから,それ
が(正しい契約の趣旨を明確にすることに応じようとしない者にとっては)
取引の拒絶に当たるとしても,契約に基づいた正当なものであるということ
ができるから,これを正当な理由がない共同の取引拒絶であるとか,不当な
取引拒絶であると認めることはできない。そして,本件利用許諾契約の内容
や,本件更新拒絶に至る経緯等本件において現れた諸般の事情に照らしてみ
ても,他に本件更新拒絶が,独禁法違反行為としての「共同の取引拒絶」や
「その他の取引拒絶」に当たると判断すべき契機を見出すことはできない。
したがって,本件更新拒絶は,前記「共同の取引拒絶」にも「その他の取
引拒絶」にも該当するとは認められず,控訴人らの主張は採用することがで
きない。
(4) 争点4(被控訴人の本件更新拒絶は,「取引条件等の差別的取扱い」(独
禁法19条,2条9項6号イ,一般指定4項)に該当するため,無効(民法
90条)といえるか)について
控訴人らは,本件更新拒絶は,リスラジの「おすすめ番組まとめ」チャン
ネルに参加しているコミュニティ放送局だけを差別的に取り扱うために行わ
れたもので,取引条件等の差別的取扱い(独禁法19条,2条9項6号イ,
一般指定4項)に該当するため,無効(民法90条)である旨主張するが,
そのような差別的取扱いが行われていることを認めるに足りる的確な証拠は
ない。また,被控訴人が,本件各音楽番組とミュージックバードが制作しコ
ミュニティ放送事業者に供給している音楽番組とで不当に取扱いを異にして
いるとの主張が失当であることも前記のとおりである。
したがって,本件更新拒絶は,前記「取引条件等の差別的取扱い」に該当
するとは認められず,控訴人らの主張は採用することができない。
第5 結論
以上の次第であるから,控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当で
あり,本件各控訴はいずれも理由がない。よって,本件各控訴をいずれも棄却
することとし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 鶴 岡 稔 彦
裁判官 大 西 勝 滋
裁判官 寺 田 利 彦
(別紙)
当 事 者 目 録
控 訴 人 株式会社えふえむ・エヌ・ワン
控 訴 人 株式会社フラワーコミュニティ放送
控 訴 人 株式会社クレスト
控 訴 人 株式会社MID-FM
控 訴 人 株式会社らむれす
控 訴 人 株式会社いわき市民コミュニティ放送
控 訴 人 株式会社エフエムびざん
控 訴 人 株式会社FMうるま
控 訴 人 敦賀FM放送株式会社
控 訴 人 大和ラジオ放送株式会社
控 訴 人 株式会社ラヂオもりおか
控 訴 人 せんだい泉エフエム放送株式会社
控 訴 人 株式会社Mot.Comもとみや
控 訴 人 つくばコミュニティ放送株式会社
控 訴 人 水戸コミュニティ放送株式会社
控 訴 人 エフエム高松コミュニティ放送株式会社
控 訴 人 すまいるエフエム株式会社
控 訴 人 株式会社エフエム会津
控 訴 人 エフエムラジオ立川株式会社
控 訴 人 株式会社おびひろ市民ラジオ
控 訴 人 株式会社けんと放送
控 訴 人 株式会社DARAZコミュニティ放送
控 訴 人 株式会社FMしまじり
控 訴 人 エフエムベイエリア株式会社
控 訴 人 海老名エフエム放送株式会社
控 訴 人 沖縄ラジオ株式会社
控 訴 人 株式会社ニセコリゾート観光協会
上記27名訴訟代理人弁護士
安 保 智 勇
同 國 吉 雅 男
同訴訟復代理人弁護士 江 藤 寿美怜
被 控 訴 人 一般社団法人日本レコード協会
訴訟代理人弁護士 前 田 哲 男
同 中 川 達 也
同 福 田 祐 実
以上
(別紙)
控 訴 の 趣 旨
1 原判決を取り消す。
2(主位的請求)
(1) 控訴人株式会社えふえむ・エヌ・ワンは,被控訴人との間で締結した被控訴
人の管理にかかる商業用レコード製作者の複製権,譲渡権および送信可能化権
等に関する権利の利用許諾契約(以下,本別紙において,各控訴人共通して,
単に「利用許諾契約」という。)に基づき,被控訴人作成,届出及び公表に係
る使用料規程(平成14年3月1日届出,平成26年6月30日最終変更届出。
以下,本別紙において,各控訴人共通して,単に「使用料規程」という。)の
第3節1.(2)の備考①に基づき作成された使用料規程細則(以下,本別紙にお
いて,各控訴人共通して,単に「細則」という。)第3節(レコードを録音し
た放送番組の送信可能化)第3条に定める使用料を支払うことによって,被控
訴人による著作隣接権管理に係る商業用レコードを録音したコミュニティ放送
番組をインターネット上で同時に配信することを目的として,当該商業用レコ
ードを複製及び送信可能化する方法で利用することができる契約上の地位(以
下,本別紙において,各控訴人共通して,単に「本件契約上の地位」という。)
にあることを確認する。
(2) 控訴人株式会社フラワーコミュニティ放送は,被控訴人との間で締結した
利用許諾契約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払
うことによって,本件契約上の地位にあることを確認する。
(3) 控訴人株式会社クレストは,被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基
づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって,
本件契約上の地位にあることを確認する。
(4) 控訴人株式会社MID-FMは,被控訴人との間で締結した利用許諾契約
に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによっ
て,本件契約上の地位にあることを確認する。
(5) 控訴人株式会社らむれすは,被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基
づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって,
本件契約上の地位にあることを確認する。
(6) 控訴人株式会社いわき市民コミュニティ放送は,被控訴人との間で締結し
た利用許諾契約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支
払うことによって,本件契約上の地位にあることを確認する。
(7) 控訴人株式会社エフエムびざんは,被控訴人との間で締結した利用許諾契
約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによ
って,本件契約上の地位にあることを確認する。
(8) 控訴人株式会社FMうるまは,被控訴人との間で締結した利用許諾契約に
基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって,
本件契約上の地位にあることを確認する。
(9) 控訴人敦賀FM放送株式会社は,被控訴人との間で締結した利用許諾契約
に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによっ
て,本件契約上の地位にあることを確認する。
(10) 控訴人大和ラジオ放送株式会社は,被控訴人との間で締結した利用許諾契
約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによ
って,本件契約上の地位にあることを確認する。
(11) 控訴人株式会社ラヂオもりおかは,被控訴人との間で締結した利用許諾契
約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによ
って,本件契約上の地位にあることを確認する。
(12) 控訴人せんだい泉エフエム放送株式会社は,被控訴人との間で締結した利
用許諾契約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払う
ことによって,本件契約上の地位にあることを確認する。
(13) 控訴人株式会社Mot.Comもとみやは,被控訴人との間で締結した利
用許諾契約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払う
ことによって,本件契約上の地位にあることを確認する。
(14) 控訴人つくばコミュニティ放送株式会社は,被控訴人との間で締結した利
用許諾契約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払う
ことによって,本件契約上の地位にあることを確認する。
(15) 控訴人水戸コミュニティ放送株式会社は,被控訴人との間で締結した利用
許諾契約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うこ
とによって,本件契約上の地位にあることを確認する。
(16) 控訴人エフエム高松コミュニティ放送株式会社は,被控訴人との間で締結
した利用許諾契約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を
支払うことによって,本件契約上の地位にあることを確認する。
(17) 控訴人すまいるエフエム株式会社は,被控訴人との間で締結した利用許諾
契約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことに
よって,本件契約上の地位にあることを確認する。
(18) 控訴人株式会社エフエム会津は,被控訴人との間で締結した利用許諾契約
に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによっ
て,本件契約上の地位にあることを確認する。
(19) 控訴人エフエムラジオ立川株式会社は,被控訴人との間で締結した利用許
諾契約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うこと
によって,本件契約上の地位にあることを確認する。
(20) 控訴人株式会社おびひろ市民ラジオは,被控訴人との間で締結した利用許
諾契約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うこと
によって,本件契約上の地位にあることを確認する。
(21) 控訴人株式会社けんと放送は,被控訴人との間で締結した利用許諾契約に
基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって,
本件契約上の地位にあることを確認する。
(22) 控訴人株式会社DARAZコミュニティ放送は,被控訴人との間で締結し
た利用許諾契約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支
払うことによって,本件契約上の地位にあることを確認する。
(23) 控訴人株式会社FMしまじりは,被控訴人との間で締結した利用許諾契約
に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによっ
て,本件契約上の地位にあることを確認する。
(24) 控訴人エフエムベイエリア株式会社は,被控訴人との間で締結した利用許
諾契約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うこと
によって,本件契約上の地位にあることを確認する。
(25) 控訴人海老名エフエム放送株式会社は,被控訴人との間で締結した利用許
諾契約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うこと
によって,本件契約上の地位にあることを確認する。
(26) 控訴人沖縄ラジオ株式会社は,被控訴人との間で締結した利用許諾契約に
基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって,
本件契約上の地位にあることを確認する。
(27) 控訴人株式会社ニセコリゾート観光協会は,被控訴人との間で締結した利
用許諾契約に基づき,使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払う
ことによって,本件契約上の地位にあることを確認する。
3(予備的請求)
(1) 控訴人株式会社えふえむ・エヌ・ワンは,被控訴人との間で締結した利用許
諾契約に基づき,使用料規程の第3節1.(2)本表(以下,本別紙において,各
控訴人共通して,単に「本則」という。)に定める使用料を支払うことによっ
て,本件契約上の地位にあることを確認する。
(2) 控訴人株式会社フラワーコミュニティ放送は,被控訴人との間で締結した
利用許諾契約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによっ
て,本件契約上の地位にあることを確認する。
(3) 控訴人株式会社クレストは,被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基
づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本件契約上の
地位にあることを確認する。
(4) 控訴人株式会社MID-FMは,被控訴人との間で締結した利用許諾契約
に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本件契約
上の地位にあることを確認する。
(5) 控訴人株式会社らむれすは,被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基
づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本件契約上の
地位にあることを確認する。
(6) 控訴人株式会社いわき市民コミュニティ放送は,被控訴人との間で締結し
た利用許諾契約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによ
って,本件契約上の地位にあることを確認する。
(7) 控訴人株式会社エフエムびざんは,被控訴人との間で締結した利用許諾契
約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本件契
約上の地位にあることを確認する。
(8) 控訴人株式会社FMうるまは,被控訴人との間で締結した利用許諾契約に
基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本件契約上
の地位にあることを確認する。
(9) 控訴人敦賀FM放送株式会社は,被控訴人との間で締結した利用許諾契約
に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本件契約
上の地位にあることを確認する。
(10) 控訴人大和ラジオ放送株式会社は,被控訴人との間で締結した利用許諾契
約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本件契
約上の地位にあることを確認する。
(11) 控訴人株式会社ラヂオもりおかは,被控訴人との間で締結した利用許諾契
約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本件契
約上の地位にあることを確認する。
(12) 控訴人せんだい泉エフエム放送株式会社は,被控訴人との間で締結した利
用許諾契約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,
本件契約上の地位にあることを確認する。
(13) 控訴人株式会社Mot.Comもとみやは,被控訴人との間で締結した利
用許諾契約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,
本件契約上の地位にあることを確認する。
(14) 控訴人つくばコミュニティ放送株式会社は,被控訴人との間で締結した利
用許諾契約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,
本件契約上の地位にあることを確認する。
(15) 控訴人水戸コミュニティ放送株式会社は,被控訴人との間で締結した利用
許諾契約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,
本件契約上の地位にあることを確認する。
(16) 控訴人エフエム高松コミュニティ放送株式会社は,被控訴人との間で締結
した利用許諾契約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことに
よって,本件契約上の地位にあることを確認する。
(17) 控訴人すまいるエフエム株式会社は,被控訴人との間で締結した利用許諾
契約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本件
契約上の地位にあることを確認する。
(18) 控訴人株式会社エフエム会津は,被控訴人との間で締結した利用許諾契約
に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本件契約
上の地位にあることを確認する。
(19) 控訴人エフエムラジオ立川株式会社は,被控訴人との間で締結した利用許
諾契約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本
件契約上の地位にあることを確認する。
(20) 控訴人株式会社おびひろ市民ラジオは,被控訴人との間で締結した利用許
諾契約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本
件契約上の地位にあることを確認する。
(21) 控訴人株式会社けんと放送は,被控訴人との間で締結した利用許諾契約に
基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本件契約上
の地位にあることを確認する。
(22) 控訴人株式会社DARAZコミュニティ放送は,被控訴人との間で締結し
た利用許諾契約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによ
って,本件契約上の地位にあることを確認する。
(23) 控訴人株式会社FMしまじりは,被控訴人との間で締結した利用許諾契約
に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本件契約
上の地位にあることを確認する。
(24) 控訴人エフエムベイエリア株式会社は,被控訴人との間で締結した利用許
諾契約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本
件契約上の地位にあることを確認する。
(25) 控訴人海老名エフエム放送株式会社は,被控訴人との間で締結した利用許
諾契約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本
件契約上の地位にあることを確認する。
(26) 控訴人沖縄ラジオ株式会社は,被控訴人との間で締結した利用許諾契約に
基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,本件契約上
の地位にあることを確認する。
(27) 控訴人株式会社ニセコリゾート観光協会は,被控訴人との間で締結した利
用許諾契約に基づき,使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって,
本件契約上の地位にあることを確認する。
4 訴訟費用は1,2審とも被控訴人の負担とする。
以上
最新の判決一覧に戻る