知財判決速報/裁判例集知的財産に関する判決速報,判決データベース

ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 平成29(ワ)5273 特許権に基づく損害賠償請求権不存在確認等請求事件

この記事をはてなブックマークに追加

平成29(ワ)5273特許権に基づく損害賠償請求権不存在確認等請求事件

判決文PDF

▶ 最新の判決一覧に戻る

裁判所 却下 東京地方裁判所
裁判年月日 平成30年7月13日
事件種別 民事
法令 特許権
キーワード 特許権104回
ライセンス80回
侵害47回
実施31回
損害賠償25回
優先権1回
無効1回
主文 1 本件訴えを却下する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
3 原告アップルインコーポレイテッドのために,この判決に対10する控訴のための付加期間を30日と定める。
事件の概要 本件は,原告らが,被告らに対し,原告製品の生産,譲渡,貸渡し,輸入 又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡若しくは貸渡しのための展示を含20 む。)につき,被告らが,原告らに対し,被告クアルコム インコーポレイテ ッド(以下「被告クアルコム」という。)が保有する特許権の侵害に基づく 損害賠償請求権及び上記特許権に基づく実施料請求権を有しないことの確認 を求める事案である。

▶ 特許権に関する裁判例

本サービスは判決文を自動処理して掲載しており、完全な正確性を保証するものではありません。正式な情報は裁判所公表の判決文(本ページ右上の[判決文PDF])を必ずご確認ください。

判決文

平成30年7月13日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成29年(ワ)第5273号 特許権に基づく損害賠償請求権不存在確認等請求

事件

口頭弁論終結日 平成30年5月30日

判 決

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

主 文

1 本件訴えを却下する。

2 訴訟費用は原告らの負担とする。

3 原告アップルインコーポレイテッドのために,この判決に対

する控訴のための付加期間を30日と定める。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

被告らは,原告らによる別紙物件目録記載の各製品(以下「原告製品」という。)の生産,譲渡,貸渡し,輸入又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡若しくは貸渡しのための展示を含む。)につき,特許第4913343号の特許権に基づく損害賠償請求権及び実施料請求権を有しないことを確認する。

第2 事案の概要等

本件は,原告らが,被告らに対し,原告製品の生産,譲渡,貸渡し,輸入又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡若しくは貸渡しのための展示を含む。)につき,被告らが,原告らに対し,被告クアルコム インコーポレイテッド(以下「被告クアルコム」という。)が保有する特許権の侵害に基づく損害賠償請求権及び上記特許権に基づく実施料請求権を有しないことの確認を求める事案である。1 前提事実(当事者間に争いのない事実及び掲記した証拠により認定できる事実)

(1) 当事者ア 原告ら原告アップルインコーポレイテッド(以下「原告アップル」という。)は,携帯通信機器,コンピュータ及び携帯音楽プレーヤー並びにこれらに

5 関連するソフトウェア等の設計,製造及び販売を業とするアメリカ合衆国(以下「米国」という。)カリフォルニア州法に基づき設立された法人である。原告Apple Japan合同会社(以下「原告アップルジャパン」という。)は,原告アップルの携帯通信機器等の販売及び輸入を業とする合同会社である。イ 被告ら被告クアルコムは,ワイヤレス通信機器等の設計及び販売を業とする米国デラウェア州法に基づき設立された法人である。被告クアルコムジャパン株式会社(以下「被告クアルコムジャパン」という。)は,被告クアルコムのワイヤレス通信機器等の販売,輸入,輸出等を業とする株式会社である。被告クアルコム テクノロジーズ インク(以下「被告QTI」という。)は,被告クアルコムの製品等の営業,設計,研究,開発等を業とする米国デラウェア州法に基づき設立された法人である。被告クアルコム シーディーエムエー テクノロジーズ アジア-パシフィック ピーティーイー エルティーディー(以下「被告QCTAP」という。)は,ワイヤレス通信機器等の製造等を業とするシンガポール共和国法に基づき設立された法人である。

(2) 被告クアルコムの特許権被告クアルコムは,次の特許権(以下「本件特許権」といい,その特許を「本件特許」という。)の特許権者である(甲1,2)。特許番号:第4913343号発明の名称:通信システムにおいて逆方向リンクでデータを伝送するための方法及び装置出願日:平成15年12月17日(特願2004-562265)

5 優先日:平成14年12月19日優先権主張国:米国登録日:平成24年1月27日2 争点

(1) 国際裁判管轄の有無

(2) 確認の利益の有無

(3) 被告らの原告らに対する本件特許権侵害に基づく損害賠償請求権又は本件特許権に基づく実施料請求権の有無3 争点に関する当事者の主張

(1) 争点(1)(国際裁判管轄の有無)について〔原告らの主張〕ア 本件訴えは,原告らによる日本国内における原告製品の生産,譲渡等の行為につき,被告らが原告らに対して本件特許権侵害に基づく損害賠償請求権及び本件特許権に基づく実施料請求権を有しないことの確認を求める訴えである。これらの請求のうち,特許権侵害に基づく損害賠償請求権の不存在確認の訴えの国際裁判管轄としては,不法行為地管轄(民訴法3条の3第8号)がその管轄原因として認められるべきである。そして,損害賠償債務不存在確認の訴えについて不法行為地管轄が認められるためには,特許権を保有する被告が原告の行為によって特許権が侵害されて損害が生じたとの事実関係を主張していることを主張立証すれば足りる。本件では,被告らは,原告らによる日本国内における原告製品の生産,譲渡等の行為により本件特許権が日本国内で侵害されて損害が生じたとの事実関係を主張しているから,日本の裁判所に管轄権が認められる。本件訴えのうち,本件特許権に基づく実施料請求権の不存在確認請求は,上記損害賠償請求権の不存在確認請求と予備的併合の関係にあり,両請求

5 は密接な関連があるので民訴法3条の6前段に基づき日本の裁判所に管轄権が認められる。イ 被告クアルコム,被告QTI及び被告QCTAPは,いずれも被告クアルコムジャパンを通じて日本において事業を行い,本件特許権に係る発明を日本国内において実施しているので,被告らはいずれも「日本において事業を行う者」に該当し,本件訴えは被告らの日本における業務に関するものであるといえるから,民訴法3条の3第5号により日本の裁判所に管轄権が認められる。ウ 被告らは,本件には民訴法3条の9の「特別の事情」があるとして本件訴えを却下するように求めているが,本件訴えは日本の特許権の侵害に関する訴えであること,本件特許権を対象とする当事者間の訴訟は本件のみであること,本件訴えを日本国外で訴訟提起したとしても管轄を否定される可能性が高いこと,原告アップルと被告クアルコムとの間で実際に係属している米国での訴訟においても,裁判所は本件特許権についての審理を行わないことを明らかにしていることなどに鑑みれば,本件訴えには同条の「特別の事情」は存在しない。〔被告らの主張〕ア 不法行為地管轄に関し,原告製品の生産,譲渡等の行為により本件特許権が日本国内で侵害されて損害が生じたとの事実関係を被告らが主張したことはないので,特許権侵害に基づく損害賠償請求権の不存在確認の訴えについて日本の裁判所は管轄権を有しない。同訴えについて日本の裁判所が管轄権を有しない以上,同訴えに係る請求権と客観的併合の関係にある本件特許権に基づく実施料請求権の不存在確認請求に係る訴えについても,日本の裁判所は管轄権を有しない。イ 被告クアルコム,被告QTI及び被告QCTAPはいずれも外国法人であり,主たる事務所又は営業所は日本国外にあるから,これらの被告に対する

5 訴えにつき,日本の裁判所に管轄権は認められない。被告クアルコムジャパンについては,その主たる事務所が日本国内に存在するが,後記のとおり他の被告らに対する訴えは確認の利益を欠き却下されるべきものである以上,主観的併合による管轄(民訴法3条の6後段)も認められない。ウ 原告アップル及び被告クアルコムは,いずれも米国州法に基づき設立された米国法人であり,両社は,全世界における原告製品の生産,譲渡等をめぐり,各国において登録された被告保有の特許権の利用関係を含む両社の事業上の関係全体について,米国において協議を行ってきた。また,米国においては,原告アップルによって本件訴えと重複する内容の訴えが提起され,現在,米国南カリフォルニア地区の連邦地方裁判所に係属中である。このような状況において,原告らと被告らとの間の紛争のごく一部にすぎない本件訴えについて,日本の裁判所が審理及び裁判を行うことは,当事者間の衡平を害し,適正かつ迅速な審理の実現を妨げる結果となる。以上を考慮すると,仮に,日本の裁判所が管轄権を有する場合であっても,本件には,民訴法3条の9の「特別の事情」があり,本件訴えは却下されるべきである。

(2) 争点(2)(確認の利益の有無)について〔原告らの主張〕ア 消極的確認訴訟においては,①原告の法律上の地位に現に危険又は不安が存在し,②その不安が被告に起因し,③確認判決がその不安の除去のために必要かつ適切である場合に,確認の利益が認められる。本件においては,次のとおり,被告らと原告らとの間に本件特許権に関する紛争が存在しており,今後もその紛争が継続する相当の蓋然性が存在するので,被告らの行為によって原告の法律上の地位に危険又は不安があるということができる。この危険又は不安の除去のためには確認判決が必要かつ適切であるから,本件訴えには確認の利益がある。

5 イ 被告らは,本件訴訟において,原告らに対し本件特許権侵害に基づく損害賠償請求及び本件特許権に基づく実施料請求権を有するものではなく,これらの請求権を行使する意思もないと表明したと主張する。しかし,これは一時的な表明にすぎず,基本的事実関係に変化がない限り,口頭弁論終結後においても権利主張を行う意思がない旨を確定的に表明するものではない。被告らが,原告らに対して,例えば,①本件の訴訟物である損害賠償請求権等を口頭弁論終結後も行使しない旨を記載した書面を裁判所に提出する,②両当事者間でその旨の合意書を締結する,③本件訴えに係る請求を認諾するなどの方法によりその意思を表明しない限り,原告らの法律上の地位に関する現実の危険又は不安は解消されない。ウ 被告クアルコムは,原告アップルとのライセンス交渉において,次のとおり,原告製品が同被告の保有する特許権を侵害する旨の主張をしてきた。(ア) 被告クアルコムと原告アップルは,平成26年頃以降,同被告が保有する,本件特許権を含む3G/UMTS規格及び4G/LT E規格(以下「本件通信規格」という。)に関する全世界的な必須宣言特許に関するライセンス交渉(以下「本件ライセンス交渉」という。)を継続している(甲8)。(イ) 被告クアルコムは,平成28年2月17日,本件通信規格に準拠している原告アップルの製品は,同被告が保有する同規格に関する多数の必須宣言特許を侵害していると主張した(甲10)。そして,被告クアルコムは,同年3月18日,その根拠資料として,同被告が保有する必須宣言特許をほぼ完全に網羅する約2000頁に及ぶ特許リスト(本件特許権を含む。)を提示した(甲7)。(ウ) 被告クアルコムは,平成28年6月12日,原告アップルに対するレター(甲6)において,ライセンスがなければ同原告の製品が多くの被告クアルコムの特許を侵害しているなどと主張した。

5 (エ) 被告クアルコムは,平成28年7月15日,原告アップルに対し,その保有する3G及び4Gに係る中国以外の全世界の特許権につき,ポートフォリオを一括してライセンスを提供する意思がある旨を表明するとともに(甲15),自社の保有する必須宣言特許の一部のクレームチャートを提示した。(オ) 以上のとおり,被告クアルコムは,原告製品の日本国内での販売により,本件特許権が日本国内で侵害されていると主張している。エ 被 告 ら は , 被 告 ク ア ル コ ム が 原 告 製 品 の 製 造 受 託 業 者 ( ContractManufacturer。以下「CM」という。)に対してその保有する特許権(本件特許権を含む。)についてライセンス(以下「CMライセンス」という。)を供与しているところ,本件ライセンス交渉は,CMライセンスに代えて,同被告が原告アップルに対し直接ライセンスを付与することを前提とした交渉であったと主張する。この点,被告クアルコムは,平成28年頃までは,原告アップルに対し,CMライセンスは,同被告が保有するほぼ全ての特許ポートフォリオを対象としていると表明していた。このため,原告アップルは,CMライセンスが有効に存続する限りは,被告クアルコムが原告らに対して特許権侵害訴訟を提起することはないと考えてきた。しかし,その後,被告クアルコムは,CMライセンスはそれまで表明していたものよりも限られたものであると主張するに至った(甲32)。原告アップルは,本件ライセンス交渉の過程において,被告クアルコムに対しCMライセンスの対象範囲の確認を求めたが,同被告はこれにも応じようとしなかった(甲11,32)。このように,被告クアルコムは,本件ライセンス交渉中,CMライセンスの対象特許の範囲を明確にすることなく,上記ウのとおり,同被告の保有する特許権を原告らが侵害していると主張しているのであり,原告らは,被告らによる特許権侵害に基づく権利行使の現実的な危

5 険にさらされている状況にある。また,被告クアルコムは,原告アップルとの間で係属しているドイツのマンハイム地方裁判所の訴訟において,CMライセンス契約上の再交渉義務を履行していないことを自認している。また,台湾の競争当局である公平交易委員会(以下「TFTC」という。)は,平成29年10月20日,被告クアルコムらが台湾の競争法に違反する行為を行っていると認定し,被告クアルコムに対し,是正措置として,CMライセンス契約についてライセンス条件の再交渉を行うように命じた(甲35,36)。これを受けて,各CMは,現在,被告クアルコムとの間で再交渉を行っている。このように,現時点におけるCMライセンスの有効性及びその内容については疑義がある。オ 被告クアルコムは,次のとおり,外国において係属中の訴えにおいても特許権侵害の主張をしている。被告クアルコムは,本件特許の米国対応特許に関し,原告アップルが提起した米国における債務不存在等の確認を求める訴訟において,「係争性」を争っていない。また,被告クアルコムは,同訴訟において,原告アップルに提示した必須宣言特許ポートフォリオ(本件特許権を含む。)のライセンス案がFRAND宣言に適合することの確認や,仮にFRAND宣言に適合しないとする場合のFRAND条件によるロイヤリティの確認を求めている(甲16,17,33)。被告クアルコムがこのような確認請求をすることは,その前提として,原告アップルが本件特許権を含む必須宣言特許全てを侵害していると主張していることにほかならない。また,被告クアルコムは,以前,中国において,携帯通信端末メーカーであるMeizu Technology Co.,Ltd.(以下「メイズ社」という。)を被告として,本件特許の中国対応特許に係る特許権の侵害訴訟を提起している。カ 上記のとおり,被告クアルコムと原告アップルとの間には本件特許権に関する紛争が存在しているところ,被告QTIは,事実上,特許ライセンシン

5 グ事業を含む被告クアルコムの製品及びサービスに関する事業の全てを行っている。被告QCTAP及び被告クアルコムジャパンは,被告クアルコムの製品の販売等を通じて特許に係る実施料の徴収を行っている。このように,被告QTI,被告QCTAP及び被告クアルコムジャパンは,被告クアルコムと一体となってライセンス料請求を行っているのであるから,本件特許権が侵害された場合には,侵害者に対して,ライセンス料債権が侵害されたとして,自ら又は本件特許権侵害に基づく権利を代位行使し,ライセンス料相当額の支払を求める現実の危険がある。したがって,被告クアルコムだけではなく,被告QTI,被告QCTAP及び被告クアルコムジャパンと原告らとの間にも本件特許権に関する紛争が存在している。キ 以上によれば,本件訴えについては確認の利益があるというべきである。〔被告らの主張〕ア 被告クアルコムは,CMに対し,同被告が保有する特許の一部についてCMライセンスを付与している。CMライセンスの対象には本件特許権も含まれており,原告らはCMから原告製品全ての供給を受けているのであるから,被告らは,原告らによる原告製品の生産,譲渡等につき,本件特許権侵害に基づく損害賠償請求権及び本件特許権に基づく実施料請求権を有するものではない。また,被告クアルコムは原告アップルとの間で,CMとの間のCMライセンス契約を解除することができないとの合意をしているから,上記の事実関係が変化する客観的な可能性は乏しい。イ そして,被告らは,本件訴訟において,原告らによる原告製品の生産,譲渡等につき,本件特許権侵害に基づく損害賠償請求権及び本件特許権に基づく実施料請求権を行使する意思がない旨を表明している。ウ 原告らは,本件ライセンス交渉において,被告クアルコムが,原告アップルに対し,原告製品が本件特許権を含む被告クアルコムの保有する多くの特

5 許権を侵害していると主張したと指摘する。しかし,本件ライセンス交渉は,CMライセンスに依拠することに代えて,被告クアルコムが原告アップルに対して直接ライセンスを付与することを目的とする交渉であり,同被告は,CMライセンスが存在するにもかかわらず原告製品が本件特許権を含む同被告が保有する特許権を侵害していると主張した事実はない。まして,被告クアルコムが本件特許権やその対応特許を具体的に挙げて侵害の主張をしたことはない。エ 原告らは,被告クアルコムが,中国において,メイズ社を被告として,本件特許の中国対応特許に係る特許権の侵害訴訟を提起したと主張する。しかし,メイズ社に対する訴えは,同社がCMライセンスを有するCMから製品の供給を受けているという事情もないのに,被告クアルコムからライセンスを受けることなく同被告が保有する特許の実施品を販売したことから提起したものであり,本件とは事情が異なる。また,原告らは,原告アップルが米国において提起した債務不存在確認訴訟において,被告クアルコムが係争性を争っていないと主張する。しかし,本件訴訟における確認の対象は,本件特許権に基づく損害賠償請求権及び実施料請求権という最終的な法的権利の不存在であるのに対し,米国訴訟における確認の対象は,対象となる特許が原告アップルの使用する規格に必須のものではないため特許権侵害の事実がないこと,対象となる特許が無効であることなどであり,CMライセンスの有無を考慮する必要はない。確認の対象の違いに応じ,確認判決を基礎付ける係争性も異なるのであるから,被告クアルコムが米国訴訟において係争性を争っていないことは,本件訴えにおける確認の利益を基礎付けるものではない。オ 被告QTI,被告QCTAP及び被告クアルコムジャパンは,いずれも本件特許権の特許権者ではないし,ライセンス料を請求する権利も有していないから,同被告らに対する請求が確認の利益を欠くことは明らかである。

5 カ 以上によれば,本件訴えは確認の利益を欠く。

(3) 争点(3)(被告らの原告らに対する本件特許権侵害に基づく損害賠償請求権又は本件特許権に基づく実施料請求権の有無)について〔被告らの主張〕前記のとおり,被告らは,原告らによる原告製品の生産,譲渡等につき,本件特許権侵害に基づく損害賠償請求権及び本件特許権に基づく実施料請求権を有していない。〔原告らの主張〕原告製品は3G/UMTS規格に準拠した製品であるところ,同規格は,本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項9の「前記プロセッサは,現行のデータ伝送速度から限られた量だけ低下するように制約されている新たなデータ速度を決定するように構成されており」との構成及び請求項26の「前記制限を行うデータ速度は,現行データ伝送速度及びスティッキーレートのうちのいずれか速い方の速度と等しい速度に設定されるランプアップに基づいて制限されるデータ速度を含む,装置」との構成を必須としない。このため,原告製品は本件特許に係る発明の技術的範囲に属さず,原告らが原告製品を生産,譲渡等する行為は本件特許権を侵害しない。また,本件特許権は,被告らが原告製品の製造を行うCMに対してチップセットを販売したことによって消尽した。仮に本件特許権が消尽しないとしても,被告らがCMから原告製品の最終価格に基づき算定されたライセンス料を収受していることからすれば,被告らは,原告らに対し,本件特許権につき,黙示のライセンスを付与したと評価できる。CMによるライセンス料の支払は,原告らによる被告らに対する間接的なライセンス料の支払にほかならないから,被告らは,原告らに対し,更なるライセンス料の支払を求めることは許されない。したがって,被告らは,原告らに対し,本件特許権侵害に基づく損害賠償請

5 求権及び本件特許権に基づく実施料請求権を有しない。また,仮に被告らが原告らに対して上記各権利を有するとしても,被告クアルコムは,本件特許権につきFRAND宣言をしており,FRAND宣言をした特許権者はFRAND条件でのライセンス料相当額を超える額を請求することはできないから,被告らは,原告らに対し,少なくともFRAND条件でのライセンス料相当額を超える損害賠償請求権及び実施料請求権を有しない。

第3 当裁判所の判断

1 認定事実

前提事実に加え,当事者間に争いのない事実,証拠(後記文中及び末尾掲記の各証拠)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。

(1) 被告クアルコムは,同社が保有する特許権の一部(本件特許権を含む。)

につき,原告製品のCM(製造受託業者)である4社(以下「CM4社」ということがある。)に対し,原告製品の生産,譲渡等に関しライセンス(CMライセンス)を付与しており,原告らは,CM4社から,全ての原告製品の供給を受けている。(乙4,弁論の全趣旨)

(2) 原告アップルと被告クアルコムは,平成26年頃,同被告が保有する本件

通信規格に関する全世界的な必須宣言特許ポートフォリオについて,同原告が同被告から直接ライセンスの付与を受けることを目的とした交渉(本件ライセンス交渉)を開始した。本件ライセンス交渉の経過は,次のとおりである。ア 原告アップル担当者は,被告クアルコム担当者に対し,以下の内容を含む平成28年2月5日付けレター(甲9)を送付した。(ア) ●(省略)●(イ) ●(省略)●(ウ) ●(省略)●(エ) ●(省略)●

5 イ 被告クアルコム担当者は,原告アップル担当者に対し,以下の内容を含

む平成28年2月17日付けレター(甲10)を送付した。(ア) ●(省略)●(イ) ●(省略)●(ウ) ●(省略)●ウ 被告クアルコム担当者は,原告アップル担当者に対し,平成28年3月18日付けで,被告クアルコムがETSIに開示した多数の特許が記載された一覧表を送付し,同一覧表のうち,原告製品が実施していない特許があれば知らせるよう求めた(甲7)。同一覧表には,本件特許の米国又は中国対応特許の「付与/公開/出願番号」,「名称」,「要約」,「規格公開」及び「地理的範囲」 が記載されており,本件特許権の特許番号(「日本:4913343」)も掲載されている(甲7の2頁目)。エ 原告アップル担当者は,被告クアルコム担当者に対し,以下の内容を含む平成28年4月18日付けレター(甲11)を送付した。(ア) ●(省略)●(イ) ●(省略)●オ 被告クアルコム担当者は,原告アップル担当者に対し,以下の内容を含む平成28年6月12日付けレター(甲6)を送付した。(ア) ●(省略)●(イ) ●(省略)●(ウ) ●(省略)●カ 被告クアルコム担当者は,原告アップル担当者に対し,平成28年7月15日付けレター(甲15)を送付した。同レターには,●(省略)●旨の記載がある。キ 原告アップルは,被告クアルコムの上記提案をFRAND義務に違反するとして拒絶し,平成28年9月,同被告に対し,それぞれの携帯電話の

5 標準必須特許について相互ライセンスをすることを提案した(甲8)。

これに対し,被告クアルコム担当者は,原告アップル担当者に対して平成28年10月12日付けレター(甲13)を送付し,●(省略)●などと主張し,同原告の提案を拒絶した。(甲8)ク 被告クアルコムは,平成28年12月頃,原告アップルに対し,同被告が保有する特許権の一部について,「クレームチャート一覧サンプル」を提供した(甲14)。当該クレームチャート一覧サンプルには,本件特許米国対応特許(特許番号7,095,725)が記載されている。

(3) 被告クアルコムは,平成28年6月,中国において,携帯通信端末メーカ

ーであるメイズ社を被告として,本件特許に対応する中国特許に係る特許権につき侵害訴訟を提起した(甲8)。

(4) 原告アップルは,平成29年1月20日,被告クアルコムを被告として,

米国南カリフォルニア地区連邦地方裁判所に訴訟を提起した。原告アップルは,上記訴訟において,被告クアルコムによるCMへの被告クアルコム製ベースバンド・プロセッサ・チップセットの販売行為が,同チップセットに包含される特許権に関する同被告の特許権を消尽させることの確認,同被告が同原告に対し,合理的な実施料率及び合理的な条件による非差別的なライセンスの申出をしていないことの確認,同原告が実施する被告クアルコムが保有する特許について,合理的な実施料率を用いたFRAND料率の設定等を求めた。これに対し,被告クアルコムは,被告クアルコムが本件ライセンス交渉において原告アップルに示したライセンス提案がFRAND条件を充足していることの確認等を求めた。(甲17,18,33,乙2)

(5) 被告らは,本件訴訟において,被告クアルコムは,原告製品のCM4社に

対して本件特許権を含む特許権のライセンス(CMライセンス)を付与しており,原告アップルはCM4社から原告製品全ての供給を受けているから,

5 被告らは,原告らに対し,本件特許権侵害に基づく損害賠償請求権及び本件

特許権に基づく実施請求権を有するものではなく,行使する意思もない旨表明している。

2 争点(2)(確認の利益の有無)について

(1) 確認の訴えは,現に,原告の有する権利又は法律的地位に危険又は不安が

存在し,これを除去するため被告に対し確認判決を得ることが必要かつ適切な場合に限り許されるものである(最高裁判所昭和27年(オ)第683号同30年12月26日第三小法廷判決・民集9巻14号2082頁参照)。

(2) 原告らは,本件訴えについて確認の利益がある根拠として,被告クアルコ

ムが,平成28年頃,本件ライセンス交渉において,原告アップルに対し,原告製品が本件特許権を含む被告クアルコムの保有する多くの特許権を侵害していると主張したとの事実を挙げる。しかし,前記認定によると,本件ライセンス交渉は,原告アップルと被告クアルコムとの間の「直接のライセンス」を目的とするもの(上記1(2)ア),すなわち,原告製品の生産,譲渡等につき,被告クアルコムからライセンスの供与を受けたCM4社から原告アップルが製品の供給を受けるという取引形態を改め,被告クアルコムが原告アップルに対して直接のライセンスを供与することを目的とするものであったと認めるのが相当である。このような交渉の目的,経緯によれば,被告クアルコム担当者作成に係る平成28年2月17日付けレター(甲10)や同年6月12日付けレター(甲6)における原告製品が被告クアルコムの保有する多くの特許を侵害する旨の記載は,ライセンス供与の相手方をCMから原告アップルに切り替えた場合に,ライセンスがなければ特許侵害となる特許権が多くあることから,これらの特許権をライセンス供与の対象とすべきであるとの意見の表明にすぎないというべきである。そうすると,上記記載をもって,被告クアルコムによる本件特許権に基づく権利行使の現実的な危険があるということはでき

5 ない。

また,本件ライセンス交渉の過程において,被告クアルコムからライセンスの供与を受けたCMから原告アップルが製品の供給を受けるという取引形態を前提として,被告クアルコムが,原告アップルに対して特許権侵害に基づく損害賠償請求権を有し,又はこれを行使する意思を有していることを表明したと認めるに足りる証拠はない。

(3)ア 原告らは,被告クアルコムがメイズ社に対して本件特許の中国対応特許

に係る特許権の侵害訴訟を提起したことを指摘する。しかし,被告らは,被告クアルコムがメイズ社に対して訴えを提起したのは,メイズ社が被告クアルコムからライセンスを受けずに同被告の保有する特許の実施品を販売したからであると主張するところ,メイズ社と被告クアルコム間のライセンス契約の存否も含め,同訴訟の基礎となる事実関係は明らかではなく,上記訴えの提起をもって,原告らが被告らによる権利行使の危険にさらされているということはできない。イ 原告らは,被告クアルコムは,米国での訴訟において,原告アップルに提示した必須宣言特許ポートフォリオ(本件特許権を含む。)のライセンス案がFRAND宣言に適合すること等の確認を求めており,このような確認請求をすることは,原告アップルが本件特許権を含む必須宣言特許全てを侵害していると主張していることにほかならないと指摘する。しかし,前記認定事実のとおり,米国での訴訟において,原告アップルは,被告クアルコムは合理的な実施料率及び合理的な条件による非差別的なライセンスの申出をしていないことの確認や,原告アップルが実施する被告クアルコムが保有する特許のFRAND料率の設定等を求め,被告クアルコムはこの原告アップルの請求に対する反訴として,被告クアルコムが本件ライセンス交渉において示したライセンス提案がFRAND宣言に適合することなどの確認を求めているものである。このように,米国での

5 訴訟において,被告クアルコムは,本件特許に対応する米国特許侵害に基

づく損害賠償請求権を有することの確認を求めているものではないのであり,米国における上記確認請求をもって,同被告による権利行使の現実的な危険があるということはできない。また,原告らは,米国での上記訴訟において被告クアルコムが係争性を争っていないと主張するが,本件訴えの請求の内容と上記訴訟における請求の内容は異なるのであるから,同被告が米国における上記訴訟で係争性を争っていないことをもって,本件訴えにおいて確認の利益があるということはできない。

(4) 前記1(1)のとおり,被告クアルコムと原告製品を供給しているCMとの

間のライセンス契約の対象には本件特許権も含まれており,CMライセンス契約は現時点でも有効に存続しているものと認められ,これを覆すに足りる証拠はない。そうすると,現時点において,被告らは,原告に対し,本件特許権に基づく損害賠償請求権及び実施料請求権を有しないというべきであり,被告らもこれを自認している。これに対して,原告らは,被告クアルコムは本件ライセンス交渉においてCMライセンスの対象範囲を明確にせず,その主張を変遷させている上,同被告がCMライセンス契約上の再交渉義務を履行していないことを自認していることや,TFTCの是正措置に基づきCMと再交渉中であることに照らすと,現時点におけるCMライセンスの有効性及びその内容について疑義があると主張する。しかし,被告クアルコムは本件ライセンス交渉においてCMとのライセンス契約の内容や対象範囲を原告アップルに開示しなかったとしても,そのことから直ちにCMとのライセンス契約の存否や有効性に疑義があるということはできない。また,同被告がCMライセンス契約上の再交渉義務を履行していないことを自認しているとの事実やTFTCの是正措置に基づきCMと

5 再交渉中であるとの事実も,前記認定を左右するものではない。

(5) 前記1(5)のとおり,被告らは,本件特許権がCMライセンス対象であるこ

とを認めた上で,このことを理由として,本件訴訟において,一貫して,原告製品につき本件特許権侵害に基づく損害賠償請求権及び本件特許権に基づく実施料請求権を有しないことを表明している。これに対し,原告らは,これは一時的な表明にすぎず,本件の訴訟物である損害賠償請求権等を口頭弁論終結後も行使しない旨を記載した書面を裁判所に提出するなどの方法によらないと,原告らの法律上の地位に関する現実の危険又は不安は解消されないと主張するが,権利行使をしない旨の表明の方法に特に限定はなく,原告らの主張するような方法によらなければならないとする理由はない。

(6) 原告らは,被告QTI,被告QCTAP及び被告クアルコムジャパンは被

告クアルコムの製品等に関する事業や製品の販売を行っていることから被告クアルコムと一体となって本件特許権を行使していると主張する。しかし,本件特許権を有しない者がその実施品に関する事業等を行っていることから本件特許権自体や実施料請求権を保有又は行使しているということはできないし,被告QTI,被告QCTAP及び被告クアルコムジャパンがそれらの権利を具体的に行使した事実を認めるに足りる証拠はない。したがって,これらの被告らが本件特許権侵害に基づく損害賠償請求権及び本件特許権に基づく実施料請求権を行使する具体的なおそれがあるとは認められない。

(7) 以上によれば,本件訴えのうち原告アップルの被告クアルコムに対する訴

え並びに原告アップルと被告QTI,被告QCTAP及び被告クアルコムジャパンとの間の訴えは,確認の利益がない。また,被告らが,原告アップルとは別に,原告アップルジャパンに対して,本件特許権侵害に基づく損害賠償請求権及び本件特許権に基づく実施料請求

5 権を行使する具体的なおそれがあることを基礎づける事実の主張はなく,原

告アップルジャパンと被告らとの間の訴えについても,確認の利益は認められない。

3 結論

よって,その余の争点について判断するまでもなく,本件訴えは確認の利益を欠き,不適法であるから,これを却下することとし,主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第40部裁判長裁判官佐 藤 達 文裁判官遠 山 敦 士裁判官今 野 智 紀別紙当事者目録原 告 アップルインコーポレイテッド

5 原 告 Apple Japan合同会 社

上記二名訴訟代理人弁護士 長 沢 幸 男矢 倉 千 栄稲 瀬 雄 一石 原 尚 子金 子 晋 輔雲 居 寛 隆仲 野 覚 成同訴訟代理人弁理士 大 塚 康 徳同 補 佐 人 弁 理 士 大 塚 康 弘江 嶋 清 仁前 田 浩 次吉 田 晴 人西 守 有 人被 告 クアルコム インコーポレイテッド被 告 クアルコムテクノロジーズイン ク被 告 クアルコム シディーエムエー テクノロジーズアジア-パシフィック ピーティーイー エルティーディー被 告 クアルコムジャパン株式会社上記4名訴訟代理人弁護士 城 山 康 文早 田 尚 貴岩 瀬 吉 和柴 田 義 人髙 橋 綾村 上 遼小 島 諒 万宗 川 帆 南同訴訟代理人弁理士 市 川 祐 輔同 補 佐 人 弁 理 士 市 川 英 彦別紙物件目録

1 iPhone 7 Plus 32GB

5 2 iPhone 7 Plus 128GB

3 iPhone 7 Plus 256GB

4 iPhone 7 32GB

5 iPhone 7 128GB

6 iPhone 7 256GB

7 iPhone 6S Plus 32GB

8 iPhone 6S Plus 128GB

9 iPhone 6S 32GB

10 iPhone 6S 128GB

11 iPhone SE 16GB

12 iPhone SE 64GB

13 12.9インチiPad Pro Wi-Fi 32GB

14 12.9インチiPad Pro Wi-Fi 128GB

15 12.9インチiPad Pro Wi-Fi 256GB

16 12.9インチiPad Pro Wi-Fi+Cellularモデル12

8GB

17 12.9インチiPad Pro Wi-Fi+Cellularモデル25

6GB

18 9.7インチiPad Pro Wi-Fi 32GB

19 9.7インチiPad Pro Wi-Fi 128GB

20 9.7インチiPad Pro Wi-Fi 256GB

21 9.7インチiPad Pro Wi-Fi+Cellularモデル 32

GB

22 9.7インチiPad Pro Wi-Fi+Cellularモデル 12

8GB

23 9.7インチiPad Pro Wi-Fi+Cellularモデル 25

5 6GB

24 iPad Air 2 Wi-Fi 32GB

25 iPad Air 2 Wi-Fi 64GB

26 iPad Air 2 Wi-Fi 128GB

27 iPad Air 2 Wi-Fi+Cellularモデル 32GB

28 iPad Air 2 Wi-Fi+Cellularモデル 128GB

29 iPad Air Wi-Fi 16GB

30 iPad Air Wi-Fi 32GB

31 iPad mini 4 Wi-Fi 32GB

32 iPad mini 4 Wi-Fi 128GB

33 iPad mini 4 Wi-Fi+Cellularモデル 32GB

34 iPad mini 4 Wi-Fi+Cellularモデル 128GB

35 iPad mini 3 Wi-Fi 16GB

36 iPad mini 3 Wi-Fi 64GB

37 iPad mini 2 Wi-Fi 16GB

38 iPad mini 2 Wi-Fi 32GB

39 iPad mini 2 Wi-Fi+Cellularモデル 32GB

以 上

最新の判決一覧に戻る

法域

特許裁判例 実用新案裁判例
意匠裁判例 商標裁判例
不正競争裁判例 著作権裁判例

最高裁判例

特許判例 実用新案判例
意匠判例 商標判例
不正競争判例 著作権判例

今週の知財セミナー (10月26日~11月1日)

10月29日(木) - オンライン

第68回東北大学知財セミナー

来週の知財セミナー (11月2日~11月8日)

11月5日(木) - オンライン

第69回東北大学知財セミナー

特許事務所紹介 IP Force 特許事務所紹介

日本知財サービス 特許出願・商標登録事務所

〒106-6111 東京都港区六本木6丁目10番1号 六本木ヒルズ森タワー 11階 横浜駅前オフィス:  〒220-0004  神奈川県横浜市西区北幸1丁目11ー1 水信ビル 7階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング 

中山特許事務所

〒500-8842 岐阜県岐阜市金町六丁目21 岐阜ステーションビル304 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 訴訟 鑑定 コンサルティング 

弁理士事務所サークル

東京都江戸川区西葛西3-13-2-501 特許・実用新案 意匠 商標 訴訟 鑑定 コンサルティング