知財判決速報/裁判例集知的財産に関する判決速報,判決データベース

ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 平成28(ワ)15812 民事訴訟 不正競争

この記事をはてなブックマークに追加

平成28(ワ)15812民事訴訟 不正競争

判決文PDF

▶ 最新の判決一覧に戻る

裁判所 一部認容 東京地方裁判所
裁判年月日 平成30年8月17日
事件種別 民事
法令 不正競争
民法709条1回
キーワード 損害賠償3回
許諾2回
商標権2回
侵害1回
主文 1 被告は,原告に対し,33万円及びこれに対する平成28年9月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを50分し,その1を被告の負担とし,その余は10原告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事件の概要 1 本件は,インターネットショッピングサイトを通じて米国法人の製造する医 薬部外品を日本の消費者に販売していた原告が,日本における同商品の独占的 な販売代理店である被告に対し,原告の出品アカウントが停止され,上記医薬25 部外品の販売ができなくなったのは,被告が,①原告の商品が真正品ではなく, その販売が薬事法に違反しているなどの別紙本件記載内容目録記載の虚偽の 事実を被告のホームページに掲載して流布し,また,②上記米国法人を幇助・ 教唆し,又はこれと共同して上記サイトの運営会社に原告商品の販売停止を要 求したことによるものであり,上記①の行為は不正競争防止法(以下「不競法」 という。)2条1項15号の不正競争行為(選択的請求1)又は原告の名誉,5 信用を毀損する不法行為(選択的請求2)に,上記②の行為は不法行為(選択 的請求3)にそれぞれ該当すると主張し,不競法4条又は民法709条,71 0条に基づき,損害賠償金1306万8743円(平成27年12月7日から 平成28年4月22日までの逸失利益733万5221円,無形損害500万 円,弁護士費用73万3522円の合計額)及びこれに対する不正競争行為又10 は不法行為の後の日である同年9月9日(訴状送達の日の翌日)から支払済み

▶ 前の判決 ▶ 次の判決 ▶ 不正競争に関する裁判例

本サービスは判決文を自動処理して掲載しており、完全な正確性を保証するものではありません。正式な情報は裁判所公表の判決文(本ページ右上の[判決文PDF])を必ずご確認ください。

判決文

平成30年8月17日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成28年(ワ)第15812号 損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 平成30年6月8日
判 決
5 当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
主 文
1 被告は,原告に対し,33万円及びこれに対する平成28年9月9
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
10 3 訴訟費用は,これを50分し,その1を被告の負担とし,その余は
原告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
15 1 被告は,原告に対し,1306万8743円及びこれに対する平成28年9
月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は,原告に対し,平成28年4月23日から同年10月20日まで一日
当たり3万5782円の割合による金員及びこれに対する同各日から支払済み
まで年5分の割合による金員を支払え。
20 3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 仮執行宣言
第2 事案の概要
1 本件は,インターネットショッピングサイトを通じて米国法人の製造する医
薬部外品を日本の消費者に販売していた原告が,日本における同商品の独占的
25 な販売代理店である被告に対し,原告の出品アカウントが停止され,上記医薬
部外品の販売ができなくなったのは,被告が,①原告の商品が真正品ではなく,


その販売が薬事法に違反しているなどの別紙本件記載内容目録記載の虚偽の
事実を被告のホームページに掲載して流布し,また,②上記米国法人を幇助・
教唆し,又はこれと共同して上記サイトの運営会社に原告商品の販売停止を要
求したことによるものであり,上記①の行為は不正競争防止法(以下「不競法」
5 という。)2条1項15号の不正競争行為(選択的請求1)又は原告の名誉,
信用を毀損する不法行為(選択的請求2)に,上記②の行為は不法行為(選択
的請求3)にそれぞれ該当すると主張し,不競法4条又は民法709条,71
0条に基づき,損害賠償金1306万8743円(平成27年12月7日から
平成28年4月22日までの逸失利益733万5221円,無形損害500万
10 円,弁護士費用73万3522円の合計額)及びこれに対する不正競争行為又
は不法行為の後の日である同年9月9日(訴状送達の日の翌日)から支払済み
まで年5分の割合による遅延損害金並びに同年4月23日から同年10月2
0日(被告のホームページから別紙本件記載内容目録記載1~3が削除された
日)までの逸失利益(一日当たり3万5782円)及びこれに対する同各日か
15 ら支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める事案である。
2 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに文中掲記した証拠及び弁論の全
趣旨により認められる事実。なお,本判決を通じ,証拠を摘示する場合には,
特に断らない限り,枝番を含むものとする。)
(1) 当事者等
20 原告は,カリフォルニア州法に準拠して設立された卸売業及び小売業等を
目的とする株式会社である。
被告は,医薬部外品の輸入,製造及び販売等を目的とする有限会社である。
米国法人である Jolen International Inc. 以下
( 「ジョレン本社」という。)
は,医薬部外品ジョレンクリームブリーチ(以下「本件商品」という。)を
25 製造し,米国内で販売しており,同商品には Jolen Cream Bleach Mild 1oz
(以下「本件商品1」という。),Jolen Cream Bleach 1oz(以下「本件商


品2」という。),Jolen Cream Bleach 4oz(Large)(以下「本件商品3」
という。)の3種類が含まれる。
(2) 原告及び被告による本件商品の販売
原告は,「Style US Online」という店舗名で,インターネットショッピン
5 グサイトである Amazon.co.jp(以下「本件サイト」という。)を通じて,日
本の消費者に対し,本件商品である旨を表示してクリームブリーチ(以下,
原告の販売している商品を「原告商品」という。なお,原告商品が本件商品
の真正品かどうかについては当事者間に争いがある。)を輸出し,販売して
いた。
10 本件サイトを運営,管理しているのは Amazon Services International,
Inc.であり,その日本国内における問合せ窓口は日本法人であるアマゾンジ
ャパン株式会社である(以下,両社を特に区別せず「アマゾン社」という。 。

(乙1の2)
被告は,日本におけるジョレン本社の製造する商品の独占的な販売代理店
15 であり,ジョレン本社が米国で製造した商品を購入し,日本国内において販
売している。(乙9)
(3) 被告及びジョレン本社の行為
ア 被告は,別紙本件記載内容目録の各記載(以下,同目録記載1~6の各
記載をその番号に応じて「本件記載1」などといい,これらを総称すると
20 きは「本件各記載」という。)を,被告のホームページの「緊急告知!」
と題するページ(以下「本件ウェブページ」という。)に掲載した(以下,
被告の同行為を「本件掲載行為」という。)。同ページへは,被告のホー
ムページのトップページにある「模造品 偽物及び並行輸入対策について」

という記載をクリックすることにより移動することができる。
25 本件ウェブページは,記載のない冒頭の記事(以下「冒頭記事」という。)
及び日付の記載のある記事によって構成されているところ,本件記載1~


3は平成27年6月22日付け記事の,本件記載4及び5は平成26年1
0月28日付け記事の,本件記載6は冒頭記事の一部である(該当部分に
ついては別紙本件ウェブページ目録の下線部参照)。(甲1,2)
被告は,平成28年10月20日,本件記載1~3を削除した。(甲1
5 0。削除日については当事者間に争いがない。)
イ ジョレン本社は,平成27年11月13日付け連絡文書をもって,アマ
ゾン社に対し,原告は本件商品の模造品を販売していた LA Celeb Style
(以下「セレブスタイル」という。)と同一の販売者であり,セレブスタ
イルの商品に対する販売停止措置が採られた後に本件商品の類似品を販売
10 しているとして,原告による本件サイトでの本件商品の販売の停止を求め
た(以下「本件販売停止要求」という。)。(乙3の1)
(4) アマゾン社による原告のアカウント利用停止措置
アマゾン社は,平成27年12月6日,原告に対し,原告商品の購入者か
ら寄せられた連絡を調査した結果,原告の出品アカウントを一時停止した旨
15 (以下「本件アカウント利用停止措置」という。)を通知した。(甲5)
3 争点
(1) 本件掲載行為についての不競法4条に基づく請求(選択的請求1)
ア 本件掲載行為の不競法2条1項15号該当性(争点 1-1)
イ 故意,過失の有無(争点 1-2)
20 (2) 本件掲載行為についての不法行為に基づく請求(選択的請求2)
名誉毀損の成否(争点2)
(3) 本件販売停止要求についての不法行為に基づく請求(選択的請求3)
本件販売停止要求の違法性及び同行為に関する被告の責任の有無(争点3)
(4) 損害の発生及び損害額
25 ア 本件掲載行為又は本件販売停止要求と本件アカウント利用停止措置との
間の因果関係の有無(争点 4-1)


イ 損害額(争点 4-2)
第3 争点に関する当事者の主張
1 争点 1-1(本件掲載行為の不競法2条1項15号該当性)について
〔原告の主張〕
5 以下のとおり,本件各記載は,被告と競争関係にある原告の営業上の信用を
害する虚偽の事実を含むものであるから,これを被告のホームページに掲載す
ることは,不競法2条1項15号に該当する。
(1) 本件各記載が原告に関するものであるかどうかについて
本件各記載はいずれも原告に関する記載である。
10 ア 本件記載1~3は,平成27年6月22日付け記事に含まれるものであ
るところ,本件記載1は,原告の会社名を特定した上で,「名前を変えた
り極端な安価格にて,販売している業者を発見し」と記載しているのであ
るから,原告をその対象としていることは明らかである。本件記載2及び
3は,本件記載1に続くものであり,「この店から」又は「このショップ
15 から」という指示語が使われていることからすれば,これらの各記載もそ
の直前にその名称が記載されている原告を対象とするものである。
イ 本件記載4~6は,原告を特定するものではないが,本件記載4は,「カ
リフォルニアなどから発送している業者」が取り扱う商品が模造品である
と断定しており,その直下の欄でカルフォルニアを住所とする原告を特定
20 として違法業者と断定していることとあいまって,原告の信用を毀損する
ものである。また,本件記載5は,被告以外の業者が販売する商品がすべ
て模造品であるかのごとき記載となっており,他の記載とあいまって全体
として原告の信用を毀損するものである,さらに,本件記載6は,「緊急
告知!」と題するページ全体にわたる告知であり,原告は同ページ内で原
25 告を違法業者として特定しているのであるから,同記載も原告を対象とす
るものである。


ウ したがって,本件各記載はいずれも原告に関する記載である。
(2) 虚偽の事実の流布かどうかについて
本件各記載は,いずれも原告の営業上の信用を害する虚偽の事実である。
ア 原告商品が真正品かどうかについて
5 被告は,本件記載1,4及び5において,原告が真正品ではない商品を
販売していると断定しているが,原告商品は,ジョレン本社が販売したも
のを米国内で仕入れた真正品であるから,同各記載の上記内容の記載は虚
偽である。
原告商品が真正品である根拠は,以下のとおりである。
10 (ア) 被告は,原告商品の出店ページにおける商品名,商品画像等の同一性
を根拠に,本件商品の模造品を扱っていたというセレブスタイルと原告
が同一の販売者であると主張するが,本件サイトは同じ商品についての
複数の出品者の情報を一つの商品ページに集約するシステムとなってい
るから,商品名,商品画像等の商品ページの要素が一致することは販売
15 者の同一性の根拠にならない。
(イ) アマゾン社が原告の出品アカウントを停止した理由は不明であるが,
アマゾン社は,被告又はジョレン本社からの通知内容に依拠してアカウ
ント停止に及んだものと考えられる。また,消費者からの連絡に基づい
て原告の出品アカウントが停止されたとしても,それは,消費者が被告
20 ホームページにアクセスして原告商品が模造品であることを強く示唆す
る本件各記載に接したことに起因するものである。このため,アマゾン
社によるアカウント停止の事実は,原告商品が真正品ではないとする根
拠にはならない。
(ウ) 被告は,原告の仕入先である HAFA Enterprise, Inc.(以下「HAF
25 A社」という。)はジョレン本社と取引関係にない会社であり,同社が
取り扱う商品は真正品ではないとするが,本件商品のような単価の低い


商品はインターネットを通じて大量に流通しており,ジョレン本社が全
ての卸先を把握しているとの前提自体が現実性に乏しい。
(エ) 本件商品は,米国内での価格と日本国内での被告の販売価格の差が大
きいことから,米国で仕入れた真正品を日本国内で販売することで十分
5 利益が得られるのであり,価格面からしても原告には本件商品の模造品
を取り扱う動機がない。
イ ジョレン本社からの販売中止命令や仕入先への問合せについて
本件記載1及び3には,被告がジョレン本社に報告し,同社が原告に販
売の中止命令をかけたが,原告は従わなかった旨の記載があるが,原告が
10 ジョレン本社から販売中止を求められたことはない。
また,本件記載3には,原告がジョレン本社の電話での問合せに対し仕
入先を言わなかった旨の記載があるが,原告がジョレン本社からそのよう
な問合せを受けたことはない。
したがって,本件記載1及び3の上記内容の記載は虚偽である。
15 ウ 薬事法違反の有無について
本件記載2及び6には,原告商品の販売には厚生労働省の許認可が必要
であるにもかかわらず,原告はこれを得ることなく原告商品を販売してい
るので薬事法に違反している旨の記載がある。しかし,原告は米国法人で
あり,日本の消費者からの注文に応じインターネットを通じて原告商品を
20 販売していたにすぎず,業として医薬品等を国内に輸入して販売していた
のではないから,薬事法上の許認可を取得する必要はない。このことは,
調査嘱託に対する厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長からの回
答においても,原告は医薬部外品製造販売業許可を得る必要はないとされ
ているとおりである。
25 したがって,本件記載2及び6の上記内容の記載は虚偽である。
エ 原告の所在地について


本件記載2には「書いてある住所には,CAのUPSストアーの所在地
で実際このショップはこの住所は存在しません。」と記載され,本件記載
3には「住所に会社が存在しない」と記載されているが,本件記載1に記
載された住所は,原告の設立時住所として登録され,UPSストアーでも
5 ないから,上記各記載は虚偽である。そして,本件記載2及び3の上記内
容の記載は,閲覧者に対し,原告が架空の会社であり,カリフォルニア州
に存在しないという誤解を与える記載であるから,原告の信用を毀損する
ものである。
オ 原告商品の販売価格について
10 本件記載1には「極端な安価格にて,販売をしている」との記載があり,
本件記載3には「アメリカ価格の半額で売っている」との記載があるが,
例えば,本件商品1について,米国内における一個当たりの小売価格は約
5~6ドル(約615~738円)であるところ,原告は日本国内におい
て1200円(本体価格700円,配送料500円)で販売していたから,
15 上記各記載は虚偽である。
カ 以上によれば,本件各記載は,いずれも,原告の営業上の信用を害する
虚偽の事実を含むものである。
(3) 競争関係の有無について
原告は本件サイトを通じて日本の消費者にジョレン本社の製造した真正品
20 を販売し,被告も本件商品を日本国内で販売しているから,原告と被告との
間には競争関係がある。
〔被告の主張〕
(1) 本件各記載が原告に関する記載であるかどうかについて
本件各記載はいずれも原告を対象とするものではないから,原告の信用を
25 毀損することはあり得ない。
ア 本件記載1には原告の名称等が記載されているが,同記載中の「オンラ


イン通販 Amazon.co.jp で名前を変えたり極端な安価格にて,販売をして
いる業者」とは,原告名の上に記載されている「LA Celeb Style またはU
SAサプリメントなどいろいろな名前を使い分けて販売」している業者を
意味するものであり,原告を指すものではない。
5 また,本件記載2及び3の記載は,掲載した業者に関する事項を包括的
に記載したにすぎず,原告を対象とするものではない。
イ 本件記載4及び5は,原告の名称等が記載された平成27年6月22日
付け記事より前に掲載されたものである上,「アメリカからの発送で,真
正品と告知し,香港経由でアメリカに入れ」ている業者を対象としたもの
10 であるから,並行輸入品と告知し,香港経由で米国に入れている旨を表示
していない原告を対象とするものではない。
また,本件記載6を含む冒頭の記事は,直下の平成26年10月28日
付け記事より前に掲載されたものである上,「韓国や中国から発送する方
法」による業者を対象としたものであるから,原告を対象とするものでは
15 ない。
ウ したがって,本件各記載はいずれも原告を対象とする記載ではない。
(2) 虚偽の事実の流布かどうかについて
本件各記載はいずれも虚偽ではないので,不競法2条1項15号の「虚偽
の事実の流布」に当たらない。
20 ア 原告商品が真正品かどうかについて
以下のとおり,原告商品はジョレン本社が製造,販売した真正品ではな
い。
(ア) 本件サイトで本件商品を販売していたセレブスタイルの商品は,被告
及びジョレン本社によって模造品であったことが確認されている。この
25 ことをジョレン本社がアマゾン社に報告したところ,セレブスタイルの
本件商品の出店ページが削除された。


その後,原告は,同一の出店ページにおいて,同一の商品名,商品画
像を用いて本件商品の販売を開始し,商品の説明,本件サイトでの取り
扱い開始日,ASIN及びカスタマーレビューの表示までもセレブスタ
イルのものと同一であった。
5 原告代表者は,セレブスタイルの運営会社である J&R Creators, Inc.
(以下「J&R社」という。)の登録代理人であり,同じく本件商品の
模造品を販売している Natura Life Style, Inc.(以下「ナチュラ社」
という。 の取締役でもある。
) J&R社及びナチュラ社の代表者はX(以
下「X」という。)である。このような人的関係及び販売態様の同一性
10 によれば,原告代表者は,Xと共同して複数の米国法人を用い,本件商
品の模造品を販売していたことが推認される。
(イ) 原告が販売した本件商品について,複数の消費者がアマゾン社に対し
真贋に関する問合せをしたことや,その問合せを受けてアマゾン社が調
査を行い,本件アカウント利用停止措置を採ったことは,原告商品が模
15 造品であることを裏付ける。
(ウ) 原告が本件商品の仕入先と主張するHAFA社は,ジョレン本社及び
その全ての卸先と何らの取引関係がなく,本件商品の真正品を取り扱っ
ていない。原告がメールの添付文書としてアマゾン社に提出したHAF
A社の請求書(2015年9月17日付け。甲22)と本訴で証拠とし
20 て提出された請求書(2015年10月20日付け等。甲50~52)
とは書式に11か所の差異があり,いずれも偽造されたものである可能
性があり,HAFA社が実在の会社であるかどうかも不明である。
(エ) 原告が販売した本件商品には日本語説明書付きと記載されたものが
あるが(甲40),日本語説明書は被告が日本国内において封入するも
25 のであり,国外で製造,販売されている本件商品には封入されていない
から,甲40の商品は,米国において仕入れた真正品ではない。


イ ジョレン本社からの販売中止命令や仕入先への問合せについて
ジョレン本社の従業員は,平成27年6月頃,本件サイトに表示されて
いた原告の連絡先に架電し,原告が扱う本件商品が真正品か否かを問い合
わせたが,原告から具体的な回答はなかった。
5 また,ジョレン本社又は被告が原告に対して販売中止命令をかけていな
いとの原告主張については否認する。
ウ 薬事法違反の有無について
薬事法上の許認可が必要となるか否かは,日本国外から消費者に対して
直接商品を発送しているか否かにより形式的に判断されるものではなく,
10 日本において消費者から注文を受ける営業形態又は方法,国外における仕
入先から商品の交付を受ける方法及び仕入先に対して代金を交付する方
法等を総合的に考慮して,実質的に判断されるべきものである。原告は,
本件サイトを利用し,日本国内において,不特定多数の日本の消費者に対
し,並行輸入品と称して本件商品を販売していたから,特定個人の輸入行
15 為を代行していたものとはいえず,薬事法上の許認可を要する。原告は必
要な許認可を得ていないのであるから,原告の販売行為が薬事法違反に当
たる旨の記載は虚偽ではない。
調査嘱託に対する厚生労働省の回答は,被告が事前に調査嘱託先と折衝
し,事実と異なる情報が提供され,これを踏まえた訂正がされたという過
20 程を経たものであるから,信用性がない。
エ 原告の所在地について
原告がカリフォルニアに存在することについては,否認ないし争う。原
告の提出する証拠(甲28)をみても,原告の設立時住所には単なる民家
しか存在せず,会社として営業していることを示す証拠はない。
25 オ 原告商品の販売価格について
原告の販売価格についての主張は否認する。


カ 以上によれば,本件各記載は,いずれも事実と合致するものであり,虚
偽の事実を含むものではない。
(3) 競争関係の有無について
原告商品はジョレン本社によって製造された真正品ではないから,原告と
5 被告との間には競争関係は存在しない。
2 争点 1-2(故意,過失の有無)について
〔原告の主張〕
原告の扱う本件商品が模造品であるとする被告の主張は,本件サイトのシス
テムを誤解したものである。このようなシステムの内容はインターネット上で
10 も公開されている初歩的な情報であるから,被告は商品ページの同一性が販売
者の同一性を意味しないことを容易に確認することができた。
薬事法違反の点についても,外国の業者が国内消費者の注文を直接受けて販
売する行為に薬事法に基づく許認可が不要であることは法令の解釈上明らかで
あるにもかかわらず,被告は,必要な調査を行うことなく原告の販売行為が薬
15 事法に違反している旨を断定的に記載したものである。
したがって,被告には虚偽の事実を流布したことについて過失が認められる。
〔被告の主張〕
本件掲載行為に先立ち,被告は,平成26年8月頃以降,インターネットを
通じて海外から日本国内の消費者に医薬部外品を販売することが薬事法に違反
20 するかどうかについて,旭川市保健所保険総務課医療薬事係及び北海道保健福
祉部等に照会しており,前記記載のとおりの実質的な判断方法によるべきであ
るとの回答を得た。本件掲載行為はこうした所管省庁の見解に基づくものであ
るから,仮に同行為が不正競争に該当するとしても,一般的に要求される注意
義務を尽くしたものである。
25 3 争点2(名誉毀損の成否)について
〔原告の主張〕


本件各記載は,原告が扱う本件商品が真正品でないことや,薬事法に違反し
ていること,原告が実態のない名義上の会社であり信頼できないことなどを内
容とするものであり,原告の社会的評価を低下させる。被告は,本件掲載行為
によって,これらの事実を公然と摘示して,原告の名誉,信用を毀損したから,
5 不法行為が成立する。
本件各記載は虚偽の事実を摘示するものであるから真実性の立証がされてお
らず,違法性は阻却されない。
〔被告の主張〕
本件記載内容は原告を特定して記載したものではなく,原告に対する名誉,
10 信用毀損は成立しない。
仮に,本件掲載行為について名誉,信用毀損が成立するとしても,本件各記
載の内容は真実であり,模造品による消費者の健康被害を防止するために記載
したものであるから,公共の利益に関する事実に当たり,専ら公益を図る目的
であると認められ,違法性が阻却される。
15 4 争点3(本件販売停止要求の違法性及び同行為に関する被告の責任の有無)
について
〔原告の主張〕
ジョレン本社は,アマゾン社に対し,原告商品の販売停止を求めたが(本件
販売停止要求),同行為は,原告商品が模造品であるとの虚偽の事実を告げて
20 原告商品の販売行為の停止を求めるものであるから,原告の営業上の信用を毀
損する不法行為である。
本件販売停止要求は,被告の発意に基づき,ジョレン本社を道具として利用
して行ったものであり,仮に,ジョレン本社が自社の判断において本件販売停
止要求を行っていたとしても,被告には少なくとも幇助又は教唆が成立する。
25 被告及びジョレン本社は,原告が販売していた商品や仕入先の調査を行うこ
となく,客観的根拠に基づかずに本件販売停止要求を行っており,過失がある。


したがって,被告は,本件販売停止要求について,共同不法行為に基づく損
害賠償義務を負う。
〔被告の主張〕
名誉,信用の毀損は,人の社会的評価を低下させる行為を指し,不特定又は
5 多数人に対してされる必要がある。本件販売停止要求は,ジョレン本社からア
マゾン社にされたものであり,アマゾン社から他人に伝播する可能性もないか
ら,名誉又は信用毀損に当たらない。
本件商品を製造,販売しているジョレン本社は,各国における模造品の流通
を調査し,商標等の管理を行っているのであり,本件販売停止要求についても,
10 ジョレン本社が自ら調査し,自己の判断により行ったものである。このため,
本件販売停止要求は,ジョレン本社が被告の幇助又は教唆により又は被告と共
同して行ったものではないから,被告が不法行為責任を負うことはない。
5 争点 4-1(本件掲載行為又は本件販売停止要求と本件アカウント利用停止措
置との間の因果関係の有無)について
15 〔原告の主張〕
(1) 本件掲載行為と本件アカウント利用停止措置との間の因果関係
アマゾン社は,原告の出品アカウントを停止した理由について,原告商品
の購入者から寄せられた連絡を調査した結果に基づくものとするが,本件各
記載は,消費者からアマゾン社への真贋又は不良品の問合せがされる6か月
20 ほど前には掲載されており,「ジョレン クリームブリーチ」という用語で
検索すると被告のホームページが検索結果の上位に表示されていた。そうす
ると,原告商品を購入した消費者は,被告のホームページにアクセスして本
件各記載を目にした結果,商品自体には何らの問題もないにもかかわらず,
購入した品物が模造品ではないかとの不安を抱くに至り,アマゾン社に問合
25 せを行ったものと考えられる。
また,アマゾン社は,上記調査の一環として被告のホームページを閲覧す


るなどの調査を行ったと考えるのが自然である。
以上によれば,本件アカウント利用停止措置は,本件掲載行為により購入
者からの問合せが重ねて寄せられたことやアマゾン社による上記調査に起因
するものであり,本件掲載行為と本件アカウント利用停止措置との間には因
5 果関係がある。
(2) 本件販売停止要求と本件アカウント利用停止措置との間の因果関係
原告は,アマゾン社から,原告の出品アカウントを一時停止する旨の連絡
を受け,仕入先の請求書を速やかに提出したが,直後に原告の出品アカウン
トは停止された。このように,原告が適切な資料を速やかに提出したにもか
10 かわらず,アマゾン社がこれを十分に考慮することなく原告の出品アカウン
トを停止したのは,ジョレン本社からアマゾン社に対し本件販売停止要求が
事前にされ,原告の商品ページが削除されていたことが影響していると考え
られる。
したがって,本件販売停止要求と原告のアカウント停止との間には,因果
15 関係がある。
〔被告の主張〕
(1) 本件掲載行為と本件アカウント利用停止措置との間の因果関係
アマゾン社による原告の出品アカウント利用停止措置は,あくまで同社自
身の判断によるものである。アマゾン社は,ジョレン本社からの本件販売停
20 止要求に対し,アマゾン社が本件商品の販売を停止する措置を採ったが,出
品アカウントの停止措置は採らなかった。また,ジョレン本社は,原告と同
一の業者と考えられる California Mart(以下「カリフォルニアマート」とい
う。)についても類似商品の販売を停止するように求めたが,アマゾン社は
何らの措置も採らなかった。このことは,アマゾン社が独自の調査に基づい
25 て自主的に判断していることを示している。
原告は,被告のホームページにアクセスした消費者が単なる不安からアマ


ゾン社に真贋の問合せを行ったと主張するが,そもそも消費者が本件各記載
を閲覧したことを示す証拠はない上,消費者が,商品自体に問題がないにも
かかわらず,わざわざ被告のホームページを閲覧して,購入した商品が模造
品のおそれがあるかどうかを確認するとは考え難い。
5 したがって,本件掲載行為と本件アカウント利用停止措置との間に因果関
係はない。
(2) 本件販売停止要求と本件アカウント利用停止措置との間の因果関係
上記のとおり,アマゾン社による原告の出品アカウント利用停止措置は,
同社自身の判断によるものであり,本件販売停止要求を原因とするものでは
10 ない。
したがって,本件販売停止要求と原告の本件アカウント利用停止措置との
間には因果関係がない。
6 争点 4-2(損害額)について
〔原告の主張〕
15 (1) 本件アカウント利用停止措置による逸失利益
ア 本件商品の1個当たりの利益は,本件商品1及び本件商品2が各約71
4円,本件商品3が約876円であり,原告が本件サイトにおいて1日当
たり平均して販売した本件商品の個数は,本件商品1が0.41個,本件
商品2が49個,本件商品3が0.574個であるから,1日当たりの利
20 益は,3万5781.564円である。
(計算式)714 円×(0.41 個+49 個)+876 円×0.574 個=3 万 5781.564 円
原告がアマゾン社からアカウント利用停止措置を受けた日の翌日である
平成27年12月7日から平成28年4月22日までに得られた利益は,
733万5221円(小数点以下切上げ)を下らない。
25 (計算式)3 万 5781.564 円×205 日=733 万 5220.620 円
イ 平成28年4月23日から,被告が本件記載1~3を削除した同年10


月20日まで,一日当たり3万5782円(小数点以下切上げ)の逸失利
益が生じている。
(2) 無形損害
原告が本件掲載行為又は本件販売停止要求により営業上の信用を毀損され
5 たことによる無形損害は,500万円を下らない。
本件記載内容は,原告が,会社としての実体がなく,薬事法違反を犯し,
ジョレン本社の販売中止命令を受け入れないような業者であることなどを摘
示するものであり,原告の企業イメージそのものが毀損され,また,本件サ
イトにおける一切の取引が不可能となり,インターネットを通じた小売業を
10 主たる事業とする原告の企業活動全般にわたる損害が生じており,この損害
は,個別の財産的損害によって評価し尽くすことはできない。
(3) 弁護士費用
請求額の1割である73万3522円を下らない。
(4) 合計額
15 原告は,被告に対し,上記(1)ないし(3)の合計額である1306万874
3円及びこれに対する平成28年9月9日から支払済みまで年5分の割合に
よる遅延損害金の支払を求めるとともに,平成28年4月23日から同年1
0月20日まで一日当たり3万5782円及びこれに対する同各日から支払
済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
20 〔被告の主張〕
否認又は争う。
法人の販売商品に関する事実の摘示の場合,企業イメージの低下により無形損
害が発生したものではなく,個々の商品に関わる評価の低下があり,これによっ
て財産的損害が発生することになるから,原告主張の無形損害は,財産的損害と
25 しての逸失利益に全て内包されるので,逸失利益と別個に無形損害が発生するも
のではない。


第4 当裁判所の判断
1 認定事実
(1) 原告がアマゾン社から本件アカウント利用停止措置を受けるまでの経緯
ア 被告は,セレブスタイルが本件サイトに出品したジョレンクリームブリ
5 ーチを入手して真正品であるか否かの調査を行い,真正品でないことを確
認した。被告は,このことをジョレン本社に報告し,同社も同商品を検査
して真正品でないことを確認した。ジョレン本社は,アマゾン社に対し,
平成27年8月27日付けで,セレブスタイルが出品した同商品が真正品
でないことを通知し,添付資料を付した上で速やかに本件サイトにおける
10 セレブスタイルの販売を停止することを求めた。(乙1の1,乙9)
これに対し,アマゾン社は,同年9月14日付けで,ジョレン本社に対
し,セレブスタイルが出品していたジョレンクリームブリーチの本件サイ
トにおける販売及び販売のための掲載を中止したと報告した。(乙1の2)
イ ジョレン本社は,同年9月30日付けで,アマゾン社に対し,本件サイ
15 トにおけるセレブスタイルのジョレンクリームブリーチの販売及び販売の
ための掲載がなお継続していること,及び,カリフォルニアマートの出店
ページのリンク,表示された商品名,商品画像,商品の説明,本件サイト
での取り扱い開始日,ASIN及びカスタマーレビューが,いずれもセレ
ブスタイルの出店ページと同一であることから,カリフォルニアマートと
20 セレブスタイルは同一の販売業者であることを通知し,上記二社の販売の
停止を求めた。(乙2の1)
これに対し,アマゾン社は,同年10月16日付けで,ジョレン本社に
対し,本件サイトでは商品詳細ページを出品者間で共有しているから,商
品詳細ページ内容の同一性は出品者の同一性を示唆するものではないこ
25 と,及び,出品者のアカウントの登録内容を調査したところ,セレブスタ
イルとカリフォルニアマートが同一の出品者であるとは認められなかっ


たことを通知した。(乙2の2)
ウ ジョレン本社は,同年11月13日付けで,アマゾン社に対し,カリフ
ォルニアマート及び原告がジョレンクリームブリーチを販売していること
を指摘した上で,両社の出店ページがセレブスタイルのものと同一である
5 こと,セレブスタイルの出店ページが削除されたのとほぼ同時にこれら二
社がセレブスタイルの出店ページと同一の出店ページにより同商品の販売
を開始していることから,カリフォルニアマート及び原告は,セレブスタ
イルと同一の販売者と考えざるを得ないとして,上記二社の同商品の販売
停止を求めた(本件販売停止要求)。(乙3の1)
10 なお,被告又はジョレン本社は,セレブスタイルの商品の場合と異なり,
原告商品を入手していない。
アマゾン社は,同月26日付けで,ジョレン本社が指摘した商品につい
ては販売停止の手続を採るとしたが,上記イと同様の理由で,セレブスタ
イルとカリフォルニアマート及び原告が同一の出品者であるとは判断で
15 きないので,出品アカウント停止の措置を採ることができないことを通知
した。(乙3の2)
エ アマゾン社は,同年12月1日,原告に対し,原告が販売していた原告
商品のうちジョレン本社が指摘した上記商品について,ジョレン本社の商
標権を侵害するとの報告を受けたことから,その出品及び詳細ページを削
20 除したことを連絡した。(甲19)
オ 原告は,同年12月4日,アマゾン社から,原告が出品していた原告商
品につき,購入者から真贋に関する連絡があったとして,問題が解決する
まで当該出品を停止するとの通知を受けた。これに対し,原告は,同月5
日,原告商品が真正品であることを示す資料として,当該商品を購入した
25 際の請求書を送付した。(甲20,21,22)
カ アマゾン社は,同年12月6日,原告が出品している原告商品について,


購入者から真贋に関する連絡及び不良品である旨の連絡があったとして,
原告に対し,本件アカウント利用停止措置をした。(甲5)
原告は,アマゾン社に対し,米国内の真正品のみ取り扱っていると説明
して,再度同じ請求書を提出したが,同社は,同月7日,原告のアカウン
5 トを審査した結果,本件サイトの基準を満たしていないとして,アカウン
トの再開はできないと通知した。(甲23,24)。
キ 平成29年2月20日時点において,セレブスタイルは本件サイトのア
カウント利用停止措置を受けておらず,カリフォルニアマートについては
商品の販売も停止されていない。(乙5,7)
10 (2) セレブスタイルと原告の関係等
セレブスタイルの運営会社はJ&R社であり(乙12),同社の代表者
(president)はX,登録代理人(Registered Agent)は原告代表者である。
また,カリフォルニア州で設立された法人であるナチュラ社の代表者はXで
あり,原告代表者はその取締役である。(乙13,14)
15 (3) 原告商品及び本件商品等の販売価格
本件商品1の米国内の価格は5~7ドルであり,被告の同商品の販売価格
は2000円~3000円である。他方,これに相当する原告商品の価格は
700円~900円であり,配送料は500円である。(甲8,9,17,
27,34~39,41)
20 (4) 医薬部外品製造販売業許可の要否
当裁判所からの調査嘱託に対し,厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対
策課長は,「原告が日本国内の消費者に対して原告商品等を直接送付するこ
とにより販売した行為は,医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の
確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器法」という。)2条13項にお
25 いて定義された「製造販売」に該当しないため,原告は,同法12条1項に
規定された医薬部外品製造販売業許可を得る必要はない」旨回答した。(調


査嘱託の結果)
2 本件掲載行為についての不競法4条に基づく請求(選択的請求1)について
(1) 争点 1-1(本件掲載行為の不競法2条1項15号該当性)について
ア 本件各記載が原告に関するものであるかどうかについて
5 被告は,本件各記載が原告に関するものではない旨主張するので,まず,
この点について検討する。
(ア) 本件記載1について
前記のとおり,本件記載1~3は平成27年6月22日付け記事に含
まれるものであるところ,本件記載1は,セレブスタイル,原告を含む
10 四つの販売業者の名称や店舗名等を記載した部分とその直下の文章部分
から成り,当該文章部分には,「オンライン通販Amazon.co.
jpで名前を変えたり極端な安価格にて,販売をしている業者」,「弊
社からJOLEN本社に報告をし販売の中止命令を掛けましたが,今だ
(判決注:ママ)勝手に販売している業者」などと記載されている(甲
15 2)。
このように,本件記載1の文章部分には具体的な業者の名称は記載さ
れていないものの,その直前には原告を含む複数の業者の名称が列記さ
れ,また,当該文章部分に摘示されている事実が原告に妥当しないこと
を示唆する記載も存在しないことに照らすと,本件記載1を閲覧した者
20 は,当該文章部分の「業者」には原告も含まれると理解するのが自然で
ある。
これに対し,被告は,「名前を変え」ていると指摘されているのはセ
レブスタイルのみであることを理由として,本件記載1は原告を対象と
していないと主張するが,当該文章部分の文面上,その記載がセレブス
25 タイルのみに関するものであると理解することは困難であり,被告の主
張は採用できない。


したがって,本件記載1は原告に関する記載であると認められる。
(イ) 本件記載2について
本件記載2は,本件記載1の直下にある本件サイトの商品ページのリ
ンクの記載に引き続く記載部分であり,三つの文から構成されている。
5 このうち,第1文は,「JOLEN,USAは取引をしていないので
並行輸入事態(判決注:ママ)ができませんし厚生労働省の許認可もな
く販売を行っているので薬事法違反になります。」というものであると
ころ,列記された各業者の住所がいずれも米国であることにも照らすと,
同記載に接した者は,その記載が,原告も含む本件記載1に列記された
10 全ての業者に妥当するものと理解するのが自然である。
他方で,第2文及び第3文は,「この店から現在,書いてある住所に
は,CAのUPSストアーの所在地で実際このショップはこの住所に存
在しません。 本社でも,大変困っている店です。」というものである。
同記載にいう「この店」が本件記載1に列記された四つの販売業者のい
15 ずれかの店舗を指すと解し得るとしても,同各販売業者の住所はいずれ
もカリフォルニア州にあることから,同記載に接した者が「この店」が
原告の店舗を指すと理解するとは考え難い。
以上によれば,本件記載2の第1文は原告に関する記載であると認め
られるが,第2文及び第3文が原告に関する記載であるということはで
20 きない。
(ウ) 本件記載3について
本件記載3の記載は,「調査理由」として四項目を挙げた上で,「こ
の様なショップが最近非常に多くなって来ています。アメリカ製だから
と言ってパッケージをコピーする業者も最近発見致しました。」と記載
25 されているものであるところ,同記載の趣旨は,その文面上必ずしも明
らかではなく,本件記載1及び2との関係も明確ではない。


また,「この様なショップが最近非常に多くなって来ています。」と
の記載は,上記各項目に当てはまる業者が増えているという一般論をい
うものと理解するのが自然であり,また,本件ウェブページの記載全体
を総合しても,原告が「アメリカ製だからと言ってパッケージをコピー
5 する業者」に該当すると認めることはできない。
これに対し,原告は,本件記載3の記載は原告を特定した平成27年
6月22日付け記事に含まれるものであるから,原告について記載した
ものである旨主張するが,本件記載3が同記事の一部を構成することか
ら直ちに同記載が原告について述べたものと認めることはできない。
10 したがって,本件記載3が原告に関する記載であると認めることはで
きない。
(エ) 本件記載4及び5について
本件記載4及び5は,平成26年10月28日付け記事の一部である
ところ,本件記載4には,「アメリカからの発送で,正規品と告知し,
15 香港経由でアメリカに入れ,カリフォルニアなどから発送している業者
を発見致しました。」と記載され,本件記載5も含め,具体的な販売業
者名や店舗名は記載されていない。
本件記載4及び5を含む同記事は,原告の名称が記載された平成27
年6月22日付け記事の半年以上前に掲載されたものであるから,本件
20 記載4の「業者」が本件記載1で列記された業者を当然に指すものと解
することはできない。
また,本件ウェブページには原告が原告商品を「香港経由でアメリカ
に入れ,カリフォルニアなどから発送している」と解し得る記載はない
ので,同ウェブページの記載全体を総合しても,本件記載4の「業者」
25 が原告を意味すると理解するとは考えられない。
これに対し,原告は,本件記載4及び5は,原告の名称等が記載され


た平成27年6月22日付け記事とあいまって原告と特定できると主張
するが,本件ウェブページの記載全体を総合しても,本件記載4の「業
者」が原告を意味すると解することができないことは,前記判示のとお
りである。
5 したがって,本件記載4及び5が原告に関するものであると認めるこ
とはできない。
(オ) 本件記載6について
本件記載6を含む冒頭記事には,「最近,インターネット上のショッ
ピングモールにおいて,韓国や中国から発送する方法により,JOLEN(ジ
10 ョレンクリームブリーチ)を販売している業者があります。」との記載
があるところ,冒頭記事は,平成26年10月28日付け記事よりも更
に前に掲載されたものであると認められることから,冒頭記事にいう「業
者」が原告を当然に含むものであるということはできない。
また,本件ウェブページには原告が「韓国や中国から発送する方法に
15 より」商品を販売していると解し得る記載はないので,同ウェブページ
全体の記載を総合しても,本件記載6の「業者」が原告を意味すると理
解するとは考えられない。
これに対し,原告は,冒頭記事はページ全体にわたる告知であること
から,本件記載1等とあいまって同記載が原告に関するものであると理
20 解できると主張するが,本件ウェブページの記載全体を総合しても,本
件記載4の「業者」が原告を意味すると解することができないことは,
前記判示のとおりである。
したがって,本件記載6が原告に関するものであると認めることはで
きない。
25 イ 営業上の信用を害する虚偽の事実かどうかについて
上記アによれば,本件各記載のうち,原告に関するものは本件記載1及


び同記載2の第1文であり,そこには,①原告商品がジョレン本社の販売
している真正品ではないこと,②原告商品の販売価格が極端に廉価である
こと,③原告がジョレン本社からの販売中止命令に従わなかったこと,④
原告が厚生労働省から必要な許認可を得ることなく商品を販売している
5 ことの各事実が摘示されているということができる。
そこで,以下,上記①~④の各事実が虚偽であるかどうかについて順次
検討する。
(ア) 原告商品が真正品ではないとの摘示について
原告は,原告商品は真正品であるにもかかわらず,被告が本件ウェブ
10 ページに「商品は,JOLEN本社の物ではなくどこから仕入れている
かも現在分かっていません。」と記載したのは,虚偽の事実を摘示した
ものであると主張する。
a しかし,原告は,本件サイトを通じて原告商品を販売していたにも
かかわらず,本訴において,自ら販売していた原告商品自体又はその
15 外箱や容器等の画像等を証拠として提出していない。また,原告は,
アマゾン社から平成27年12月4日に原告商品の出品停止の連絡を
受け,同月6日に原告の出品アカウント停止の連絡を受けた際におい
ても,原告商品が真正品であることを示す資料として,HAFA社か
らの請求書1枚(甲22)を送付しているにすぎず,原告商品自体又
20 はその画像等を同社に提出していない。
原告は,少なくとも平成27年12月の時点においては原告商品を
実際に販売しており,在庫等も保有していたと考えられるのであるか
ら,アマゾン社からの通知に対し,出品停止やアカウント停止などの
重大な措置を回避するため,原告商品の写真や同商品とジョレン本社
25 が販売している商品を対比する資料などを準備することは容易であっ
たと考えられるが,原告がそのような資料をアマゾン社に提出してい


ないとの事実は,原告商品が真正品ではないことを推認させる事実と
いうべきである。
b 原告は,原告商品の仕入先はHAFA社であるとして,同社発行に
係る請求書(甲22,50~52)を証拠として提出している。しか
5 し,ジョレン本社の副社長は,ジョレン本社とHAFA社とは取引関
係はなく,卸売業者に確認したところ,全ての業者がHAFA社を知
らないと回答したと陳述しており(乙9),他に同社が本件商品の真
正品を取り扱っていたことを具体的に示す証拠はない。
これに対し,原告は,ジョレン本社が二次卸,三次卸まで把握して
10 いるとは考えられないとするが,原告は,HAFA社の仕入先につい
ては明らかにしておらず,いずれにしても,原告商品がジョレン本社
の真正品を取り扱う業者から仕入れたものであると認めるに足りる証
拠はない。
また,HAFA社の請求書上の本件商品1の販売価格は約4ドルで
15 あるが,真正品の米国内の販売価格が前記認定のとおり5~7ドルで
あることに照らすと,原告商品の仕入先がHAFA社であるとしても,
その仕入価格は真正品に比べて廉価にすぎるというべきである。
さらに,アマゾン社宛てのメール(平成27年12月5日及び同月
7日付け)に添付されていた同年9月17日付け請求書(甲22)と,
20 本訴において新たに提出された同年10月及び11月に作成された請
求書(甲50~52)は,その書式(フォント,記載の位置,大文字/
小文字等)において多数の相違点が認められる。このように,近接す
る期間内に発行されたHAFA社の同一顧客宛ての請求書の書式等が
異なるのは不自然といわざるを得ず,原告はその理由について合理的
25 な説明をしていないことからすると,これらの証拠の信用性は低いと
いうべきである。


c 平成27年8月27日付けのジョレン本社からアマゾン社への連絡
文書(乙1の1)は,セレブスタイルが本件商品の模造品を販売して
いることを通知するものであるところ,その添付文書3によれば,セ
レブスタイルが日本の消費者に販売していた商品は本件商品の模造品
5 であると認めることができる。
この点について,原告は,セレブスタイルの販売する商品は,ジョ
レン本社から許諾等を受けたインドに所在する Kundan Care Products
Limited(以下「クンダン社」という。)が作成したものであると主張
するが,ジョレン本社の副社長はこれを否定するところ(乙9),クン
10 ダン社がジョレン本社から本件商品の製造について許諾等を受けてい
たと認めるに足りる証拠はない。
他方,前記認定のとおり,セレブスタイルの運営会社はJ&R社で
あり,同社の代表者(president)はX,登録代理人(Registered Agent)
は原告代表者であると認められ,これによれば,本件商品の模造品を
15 販売していたセレブスタイルと原告とは,同種類の商品を同様の方法
で販売し,かつ,密接な人的関係を有するものということができる。
このような原告とセレブスタイルとの関係は,原告商品が真正品では
ないことを直接的に示すものではないが,原告商品が真正品であるこ
とに疑念を抱かせる事情ということができる。
20 d 前記認定のとおり,アマゾン社は,平成27年12月4日に購入者
より本件商品1に関する真贋に関する連絡があったことを理由として,
原告商品の出品を停止し(甲20~22),同月6日,複数の購入者か
ら本件商品1及び3に関する真贋に関する連絡があったことなどを理
由として,原告の出品アカウントを停止した(甲5)。
25 他方,アマゾン社は,同様にジョレン本社から出品停止の要求を受け
たセレブスタイルについては出品停止措置を採ったものの,出品アカ


ウントの停止は行わず,カリフォルニアマートについては何らの措置
も採らなかったことは前記認定のとおりである。
原告商品の購入者のアマゾン社に対する連絡内容及び同社の調査内
容は明らかではないものの,前記のとおり,平成27年8月27日付
5 けのジョレン本社からアマゾン社への連絡文書(乙1の1)には本件
商品1(真正品)の外箱,容器等の写真が添付されており,アマゾン社
は真正品の外箱や容器等の外観を把握した上で原告商品に対する審査
を行ったと考えられることや,同種の製品を販売する上記三社のうち
原告に対して最も厳しい措置が採られていることを考慮すると,アマ
10 ゾン社は,購入者からの連絡内容等を慎重に審査した上で原告商品が
真正品ではないとの判断に至ったものと考えられる。
これに対し,原告は,アマゾン社は,被告又はジョレン本社からの通
知内容に依拠してアカウント停止に及んだと主張するが,アマゾン社
が自社の運営・管理する本件サイトの利用者に対して出品アカウント
15 停止という厳しい措置を講じるに当たって,被告又はジョレン本社の
通知内容にそのまま依拠したとは考え難く,その基準に照らして慎重
に審査を行ったと推認するのが相当である。
そうすると,アマゾン社が原告に対し原告のアカウント利用停止措
置を講じたとの事実も,原告商品が真正品ではないことを示す事情で
20 あるということができる。
e 以上を総合すると,原告商品はジョレン本社が製造,販売する本件
商品の真正品ではないものと推認するのが相当であり,これを覆すに
足りる証拠はない。
したがって,原告商品がジョレン本社の販売している真正品ではな
25 い旨の本件記載1の記載が虚偽であるということはできない。
(イ) 原告商品の販売価格が極端に安価であるとの摘示について


原告は,「極端な安価格にて,販売をしている」との記載は原告の営
業上の信用を害する虚偽の事実の摘示であると主張する。
前記判示のとおり,本件商品1の米国内の価格は5~7ドル,被告の
同商品の販売価格は2000円~3000円であり,これに相当する原
5 告商品の価格は700円~900円であると認められるところ,原告商
品の販売価格は,米国内の販売価格と比較すると「極端な安価格」であ
るとまではいうことはできない。
もっとも,他者より廉価で商品を販売している旨の摘示は,それ自体
が営業上の信用を害するものではなく,当該商品が真正品でないなどの
10 記載とあいまって営業上の信用を低下させるものであるということがで
きる。前記判示のとおり,本件においては,原告商品が真正品ではない
旨の摘示が虚偽とはいえない以上,原告商品が「極端に安価格」である
旨の記載が独立して原告の営業上の信用を害するものとは認められない。
(ウ) ジョレン本社からの販売中止命令に従わなかったという摘示について
15 原告は,原告がジョレン本社からの販売中止命令に従わなかった旨の
記載が原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の摘示であると主張する。
この点,確かに,ジョレン本社が原告に対し販売中止を求めたことを
示す証拠は存在しないが,上記記載は,原告商品がジョレン本社の製造,
販売する本件商品の真正品ではない旨の記載とあいまって原告の営業上
20 の信用を低下させるものである。前記判示のとおり,本件においては,
原告商品が真正品ではない旨の摘示が虚偽とはいえない以上,原告がジ
ョレン本社からの販売中止命令に従わなかった旨の記載が独立して原告
の営業上の信用を害するものとは認められない。
(エ) 原告商品の販売が薬事法に違反するという摘示について
25 被告は,原告が厚生労働省から必要な許認可を得ることなく原告商品
の販売を行っている旨の記載が,原告の営業上の信用を害する虚偽の事


実の摘示であると主張するところ,調査嘱託の結果によれば,カリフォ
ルニア州法に基づいて設立された法人である原告が,日本国内の消費者
に対し,米国内で仕入れた医薬部外品である本件商品を直接送付するこ
とにより販売する行為は,医薬品医療機器法2条13項所定の「製造販
5 売」に該当しないため,同法12条1項所定の医薬部外品製造販売業許
可を得る必要はないものと認められる。そうすると,上記記載は,虚偽
の事実を摘示したものであり,これに接した一般人は,原告が関連法令
に違反している業者であるとの印象を受けると考えられるので,原告の
営業上の信用を害するものであるということができる。
10 これに対し,被告は,調査嘱託先と原告が事前に折衝を行い,事実と
異なる情報が提供されたことから,これを前提とする回答内容の信用性
を低いと主張するが,上記調査嘱託の回答者は嘱託書に記載された事実
に基づき,所管法令の解釈に関する見解を示したものであり,原告との
事前の折衝が当該回答に影響を及ぼしたとの被告主張は理由がない。
15 ウ 競争関係の有無について
原告商品と被告の販売する商品は,原告商品が真正品であるかどうかに
かかわらず,いずれも日本国内の消費者を対象とし,その内容はクリーム
ブリーチであることから,競争関係にあることは明らかである。
エ 小括
20 以上によれば,上記イ①~④の各事実のうち,原告が厚生労働省から必
要な許認可を得ることなく原告商品の販売を行っている旨の事実(上記④)
の摘示は不競法2条1項15号にいう「他人の営業上の信用を害する虚偽
の事実の流布」に該当するが,その余の事実の摘示は同号の不正競争行為
には該当しないというべきである。
25 (2) 争点 1-2(故意,過失の有無)について
被告は,本件掲載行為は北海道保険福祉部等の関係部局への照会結果に基


づくものであるから,被告は一般的に要求される注意義務を尽くしたもので
あると主張する。
しかし,被告作成に係る報告書(乙8)に記載されるようなやりとりが関
係行政庁との間で実際に行われたとしても,そこで示されている見解は,業
5 者が外国から日本の消費者に対して直接商品を発送する場合であるからとい
って,許認可を不要とする個人輸入代行に必ず該当するものではないという
ものにとどまり,原告による原告商品の販売について許認可が必要である旨
の確定的な見解が示されたものではない。
しかるに,被告は,更に十分な調査・検討を行うことなく,独自の判断に
10 基づき,原告商品の販売について厚生労働省の許認可が必要であると断定す
る記載をホームページに掲載したものであり,かかる被告の行為は事業者と
して通常求められる注意義務を尽くしたものであるということはできない。
したがって,被告には過失が認められる。
3 本件掲載行為についての不法行為に基づく請求(選択的請求2)について
15 原告に関する本件各記載のうち,上記2(1)イ①~③の各事実を摘示した行為
については不正競争行為と認められないことから,これらの行為について名誉
毀損が成立するかどうか(争点2)について検討する。
原告商品が真正品でないことを本件ウェブページに掲載し,公衆に公然摘示
する行為は,同ページを閲覧した一般人に対し,原告商品が品質の劣った模造
20 品であるとの印象を与え,ひいてはその販売元である原告が模造品を販売する
業者であるかのような印象を与えるものであるから,原告の社会的評価を低下
させる行為ということができる。
しかし,原告商品がジョレン本社の製造する本件商品の真正品ではないと推
認され,これを覆すに足りる証拠はないことは前記判示のとおりであるから,
25 原告商品が真正品ではない旨の上記記載は真実であり,かつ,真正品でない商
品が販売されていることを消費者に告知することは,真正でない商品により消


費者が健康被害等を受けることを予防し,商標権等の知的財産権の保護にも資
するものであることから,公共の利益に関する事実に当たり,専ら公益を図る
目的によるものと認められる。
したがって,上記2(1)イ①~③の各事実を摘示した行為については名誉毀
5 損が成立するとの原告主張は採用し得ない(なお,前記判示のとおり,上記②
及び③の事実は,上記①の事実とあいまって営業上の信用を害するものである
から,上記①の事実について名誉毀損が成立しない以上,独立して名誉毀損を
構成するものではない。)。
4 本件販売停止要求についての不法行為に基づく請求(選択的請求3)につい
10 て
本件販売停止要求が違法行為を構成するかどうか(争点3)に関し,原告は,
当該要求は原告商品が模造品であるとの虚偽の事実を告げて原告商品の販売行
為の停止を求めるものであるから,原告の営業上の信用を毀損する不法行為に
当たると主張する。
15 しかし,本件販売停止要求は,ジョレン本社からアマゾン社に対してされた
ものであり,不特定または多数人に対してされたものではないから,名誉又は
信用毀損による不法行為を構成しない。
また,事業者が,自己の製造,販売する商品の模造品を市場から排除するた
め,当該商品である旨を表示する他者の商品について,その商品が販売されて
20 いるインターネットショッピングサイトの管理・運営者に対し,模造品である
可能性を指摘して出品停止等の措置を採ることを求めること自体が違法な行為
であるということもできない。
したがって,本件販売停止要求が不法行為を構成するとの原告主張は,理由
がない。
25 5 損害の発生及び損害額について
(1) 争点 4-1(本件掲載行為又は本件販売停止要求と本件アカウント利用停止


措置との間の因果関係の有無)について
原告は,原告商品を購入した消費者は,被告のホームページにアクセスし
て本件各記載を目にした結果,商品自体には問題がないとしても,購入した
品物が模造品ではないかとの不安を抱いてアマゾン社に問合せを行い,その
5 結果,本件アカウント利用停止措置に至ったものであるから,本件掲載行為
と本件アカウント利用停止措置との間には因果関係があると主張する。
しかし,アマゾン社が,ジョレン本社から出品停止の措置を求められた事
業者のうち,セレブスタイルについては出品停止措置を採ったものの,出品
アカウントの停止は行わず,カリフォルニアマートについては何らの措置も
10 採らなかったことは前記判示のとおりである。この事実が示すとおり,アマ
ゾン社は,外部からの連絡を契機として自ら必要な調査・判断を行い,自社
の基準に基づき措置を講じているのであり,仮に同社が本件ウェブページの
記載に接したことがあるとしても,同記載やジョレン本社からの通知にその
まま依拠して本件アカウント利用停止措置に及んだとは考えられない。
15 また,原告は,アマゾン社に対して原告商品の真贋の問合せを行った購入
者が,商品自体には問題がないとしても,本件ウェブサイトの記載を目にし
て不安を抱き,アマゾン社に真贋の問合せをしたと主張するが,そのような
事実を認めるに足りる証拠はない。むしろ,消費者は,原告商品を実際に購
入,使用してみて,同商品が模造品又は不良品ではないかとの疑念を抱いた
20 ことから,販売者に関する情報を有するショッピングサイトの管理・運営者
に問合せをしたと考えるのが自然である。また,購入者が仮に本件各記載を
目にしてアマゾン社に問合せをしたとしても,いかなる措置を採るかはアマ
ゾン社の自主的な判断に委ねられていることは前記判示のとおりである。
したがって,本件掲載行為と本件アカウント利用停止措置による逸失利益
25 の損害との間に因果関係があると認めることはできない。
(2) 争点 4-2(損害額)について


上記のとおり,被告は,原告商品の販売が必要な許認可を取得せずに行わ
れたとの虚偽の事実を摘示したものであり,原告はこれによりその信用が毀
損されたと認められるところ,上記信用毀損による損害を填補するに足りる
金額は,虚偽であると認められる事実の内容・性質,本件ウェブページにお
5 ける掲載期間(約1年4か月間)及び掲載方法,その掲載による顧客対応の
要否など諸般の事情を考慮すると,30万円と認めるのが相当である。
これに対し,被告は,法人が販売する商品に関する事実の摘示については,
損害は財産的損害としての逸失利益に全て内包され,別途無形損害は発生し
ないと主張するが,上記の虚偽の記載により原告の社会的評価は低下したと
10 いうべきであり,これを填補するための損害が逸失利益に全て内包されると
解することはできない。
原告は弁護士を選任して本件訴訟を遂行しているところ,本件事案の性質,
上記認容額,その他諸般の事情を考慮すると,その弁護士費用のうち3万円
を被告の上記不正競争行為と相当因果関係のある損害と認めるのが相当であ
15 る。
(3) 以上より,本件掲載行為により原告が被った損害額は,合計33万円とな
る。
6 結論
以上によれば,原告の請求は,33万円及びこれに対する平成28年9月9
20 日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由
があるから,その限度で認容し,その余の請求は理由がないからこれを棄却す
ることとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第40部

25 裁判長裁判官


佐 藤 達 文

裁判官

5 遠 山 敦 士

裁判官

今 野 智 紀


別紙
当事者目録

原 告 エーワイ スタイル ユーエスエー
5 同訴訟代理人弁護士 沼 田 安 弘
沼 田 美 穂
石 山 卓 磨
倉 本 義 之
森 田 健 介
10 二 又 朋 之
小 寺 瑛 子
柏 崎 元 斉
松 岡 加 奈 子
同訴訟復代理人弁護士 永 木 宏 和
15 被 告 髙 嶋 屋 有 限 会 社
同訴訟代理人弁護士 村 松 弘 康
櫻 井 浩
佐 々 木 貴 教
畔 木 康 裕
20 田 島 麻 紀 子
脇 山 正 幹
清 水 啓 右
堤 悠 一
本 池 俊 夫
25 村 松 康 之
大 﨑 智 也


柴 野 淳 一 郎
安 川 尚 美
同訴訟復代理人弁護士 内 田 健 太



別紙
本件記載内容目録

1 店舗名:Style US Online 販売業者:AYStyle US
5 A お問い合わせ先電話番号:(省略) 住所(省略) 運営責任者名:Y オン
ライン通販Amazon.co.jpで名前を変えたり極端な安価格にて,販売
をしている業者を発見し,弊社からJOLEN本社に報告をし販売の中止命令を
掛けましたが,今だ勝手に販売している業者です。商品はJOLEN本社の物で
はなくどこから仕入れているかも現在分かっていません。(JOLEN本社確認
10 中)
2 JOLEN,USAは取引をしていないので並行輸入事態ができませんし厚生
労働省の許認可もなく販売を行っているので薬事法違反になります。この店から
現在,書いてある住所には,CAのUPSストアーの所在地で実際このショップ
はこの住所に存在しません。 本社でも,大変困っている店です。
15 3 調査理由
1)アメリカ価格の半額で売っている。
2)住所に会社が存在しない。
3)本社からの直接の電話に仕入先を言えない。
4)本社からの販売中止命令を受け入れない。
20 この様なショップが最近非常に多くなって来ています。
アメリカ製だからと言ってパッケージをコピーする業者も最近発見致しました。
4 最近,お客様の報告で,アメリカからの発送で,真正品と告知し,香港経由で
アメリカに入れ,カリフォルニアなどから発送している業者を発見致しました。
5 真正品は,パッケージ,中に入っている説明書,容器が日本語表記である事,
25 国内発送である事をお確かめの上お買い求めください。
ジョレンジャパン,日本真正品,などの表記のある店舗でお買い求めください。


6 薬事法上の許認可を有さないまま,インターネット等で,並行輸入販売等を行
うことは,薬事法違反になります。


別紙
本件ウェブページ目録

1 冒頭記事
5 緊急告知!
最近,インターネット上のショッピングモールにおいて,韓国や中国から発送する
方法により,JOLEN(ジョレンクリームブリーチ)を販売している業者があり
ます。
しかし,JOLENクリームブリーチは,世界13ヶ国,すべてアメリカにて製造
10 された商品です。
模造品は,その成分や効果等の品質が保証されたものではありませんので,健康被
害を生じる可能性があります。
模造品については,くれぐれもご注意ください。
またJOLENクリームブリーチは,医薬部外品です。
15 そのため,真正品であっても,輸入販売をする為には,薬事法上,厚生労働省の許
認可が必要です。
薬事法上の許認可を有さないまま,インターネット等で,並行輸入販売等を行うこ
とは,薬事法違反になります。(別紙本件記載内容目録6)
弊社では,たとえ模造品ではなくアメリカ本社で製造された製品であっても,薬事
20 法上の許認可なく販売された商品については,その品質を保証しかねます。
ご購入の際は,パッケージが日本語表記で,「製造販売者髙嶋屋有限会社」と書か
れているもの以外ジョレンジャパンでの商品ではありません。
また,広告等では,JOLENJAPAN,ジョレンジャパンもしくは,日本正規
代理店などの表記のあるお店でお買い求め下さい。
25 なお,今後,模造品を販売している業者や,薬事法上の許認可を得ずに販売してい
る業者を発見した場合,法的処置及び,都道府県薬務薬事課に報告致します。」


2 平成26年10月28日付け記事
最近,お客様の報告で,アメリカからの発送で,真正品と告知し,香港経由でアメ
リカに入れ,カリフォルニアなどから発送している業者を発見致しました。(別紙
5 本件記載内容目録4)
かぶれや色味が違うなどの苦情を弊社に頂きました。
その商品は,弊社の扱う真正品では,ありませんでした。
JOLEN(ジョレンクリームブリーチ)は,医薬部外品ですので,効果を語る商
品は,厚生労働省管理下の中,安全基準が問われます。
10 真正品は,パッケージ,中に入っている説明書,容器が日本語表記である事,国内
発送である事をお確かめの上お買い求めください。(別紙本件記載内容目録5)
また,ジョレンジャパン,日本真正品,などの表記のある店舗でお買い求め下さい。
(別紙本件記載内容目録5)
弊社,商品の正規販売店は,ホーム上にある量販店,ドラッグストアー,美容サロ
15 ン,セレクトショップで,お買い求めください。
たとえ,アメリカ真正品であってもパッケージが英語表記の物は,保証は致しかね
ます。
ジョレンクリームブリーチは,ホームページに記載のある日本正規販売店でお買い
求め頂けます様,お願い申し上げます。」


3 平成27年6月22日付け記事の記載
「緊急情報です。

お客様からのお問合せで,
25 (中略)
cа


92604
US
運営責任者名(中略)
店舗名:LA Celeb StyleまたはUSAサプリメントなどいろいろな
5 名前を使い分けて販売

店舗名:カティア⇒アメリカから同日直送
住所:(中略)
California
10 92708 US
運営責任者名(中略)

店舗名:Style US Online
販売業者:AY Style USA
15 お問い合わせ先電話番号:(省略)
住所:(省略)
運営責任者名:Y(別紙本件記載内容目録1)

店舗名:Maccorp
20 販売業者(中略)
お問い合わせ先電話番号(中略)
住所:(中略)
California 90248 US

25 オンライン通販Amazon.co.jpで名前を変えたり極端な安価格にて,販
売をしている業者を発見し,弊社からJOLEN本社に報告をし販売の中止命令を


掛けましたが,今だ勝手に販売している業者です。商品は,JOLEN本社の物で
はなくどこから仕入れているかも現在分かっていません。JOLEN本社確認中)

(別紙本件記載内容目録1)

5 (中略。本件サイトの商品ページのリンクの記載が十数個列挙されている。)

JOLEN,USAは取引をしていないので並行輸入事態ができませんし厚生労働
省の許認可もなく販売を行っているので薬事法違反になります。この店から現在,
書いてある住所には,CAのUPSストアーの所在地で実際このショップはこの住
10 所に存在しません。本社でも,大変困っている店です。(別紙本件記載内容目録2)

調査理由
1)アメリカ価格の半額で売っている。
2)住所に会社が存在しない。
15 3)本社からの直接の電話に仕入先を言えない。
4)本社からの販売中止命令を受け入れない。
この様なショップが最近非常に多くなって来ています。
アメリカ製だからと言ってパッケージをコピーする業者も最近発見致しました。 別

紙本件記載内容目録3)
20 アメリカ直送でお買い上げになるお客様が万が一,皮膚等の炎症が起きた時にアメ
リカの電話番号の会社であれば保障を求めても責任をもって対応して頂ける保証が
ありません。必ずパッケージ及び取り扱い説明書が日本語で記載されているかを確
認の上お買い求め下さい。
今現在,ドラックストアー様や量販店様でも販売致しておりますので,お求めは,
25 正規販売店でお買い求め下さい。

最新の判決一覧に戻る

法域

特許裁判例 実用新案裁判例
意匠裁判例 商標裁判例
不正競争裁判例 著作権裁判例

最高裁判例

特許判例 実用新案判例
意匠判例 商標判例
不正競争判例 著作権判例

特許事務所の求人知財の求人一覧

山王テック株式会社

埼玉県和光市又は栃木県宇都宮市 ★急募★【特許調査・解析業務】 ◆完全週休2日制、長期連休年3回 ◆有休がとりやすい会社です ◆女性も多く活躍中!働きやすい環境です

創英国際特許法律事務所

東京・京都・福岡

来週の知財セミナー (8月26日~9月1日)

8月27日(火) - 東京 港区

ドメイン管理と紛争処理手続

8月28日(水) - 東京 港区

B18 特許情報検索法(無効資料調査)

8月29日(木) - 東京 港区

B15 特許情報活用のためのEXCEL講座

8月30日(金) - 新潟 三条市

<新潟開催>海外知的財産活用講座

特許事務所紹介 IP Force 特許事務所紹介

名東特許事務所

愛知県名古屋市名東区勢子坊2−1408−304 特許・実用新案 意匠 商標 訴訟 鑑定 コンサルティング 

アサ国際特許事務所

〒108-0014 東京都港区芝5丁目26番20号建築会館4階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング 

名嶋・山本・綿貫特許事務所

〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅4丁目2-25 名古屋ビル東館9階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング