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平成30(ワ)3018特許権侵害差止等請求事件

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裁判所 東京地方裁判所
裁判年月日 平成30年11月29日
事件種別 民事
当事者 原告株式会社MTG の特許権 は,ソーラーパネル取付台には半円形状の凹部である係合部及び段差
対象物 美容器
法令 特許権
特許法100条1項2回
特許法36条4項1号1回
特許法29条1項1回
キーワード 実施17回
新規性11回
特許権9回
進歩性4回
侵害3回
無効3回
差止3回
主文
事件の概要 本件は,発明の名称を「美容器」とする特許権を有する原告が,被告に対し, 被告による別紙被告製品目録記載の製品(以下「被告製品」という。)の製造,販25 売等の行為が特許権侵害に当たると主張して,特許法100条1項及び2項に基 づく被告製品の製造,販売等の差止め及び廃棄を求める事案である。

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判決文

平成30年11月29日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官
平成30年(ワ)第3018号 特許権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結日 平成30年9月27日
判 決

原 告 株 式 会 社 M T G

同訴訟代理人弁護士 櫻 林 正 己
同訴訟代理人弁理士 小 林 徳 夫

被 告 株 式 会 社 C B J
International

同訴訟代理人弁護士 山 田 基 司
15 主 文
1 被告は,別紙被告製品目録記載の製品を製造し,販売し,販売の申出(譲渡の
ための展示を含む。)をしてはならない。
2 被告は,前項記載の製品を廃棄せよ。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
20 事 実 及 び 理 由
第1 請求
主文と同旨
第2 事案の概要
本件は,発明の名称を「美容器」とする特許権を有する原告が,被告に対し,
25 被告による別紙被告製品目録記載の製品(以下「被告製品」という。)の製造,販
売等の行為が特許権侵害に当たると主張して,特許法100条1項及び2項に基
づく被告製品の製造,販売等の差止め及び廃棄を求める事案である。
1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨によ
り容易に認められる事実)
当事者
5 原告は,美容器具,化粧品等の製造,販売等を目的とする株式会社である。
被告は,インターネット等のネットワークを利用したコンテンツ等の企画,
開発,管理運用,販売等を目的とする株式会社である。
原告の特許権
ア 原告は,次の特許権(以下「本件特許権」といい,その特許を「本件特許」
10 といい,その特許出願の願書に添付された明細書及び図面を「本件明細書」
という。)の特許権者である(甲1,2)。
特許番号 第5922914号
出 願 日 平成23年11月16日
(特願2011-250915号)
15 登 録 日 平成28年4月22日
イ 本件特許権の特許請求の範囲請求項1の記載は次のとおりである(以下,
同請求項に記載された発明を「本件発明」という。。

「ハンドルの先端部に交差軸線上に位置する一対の支持軸を設けるととも
に,各支持軸の先端側に回転体を回転可能に支持し,それらの回転体により
20 身体に対して美容的作用を付与するようにした美容器において,前記各支持
軸の基端側をホルダの両端部で押さえるとともに,そのホルダの中間部をハ
ンドルに固定したことを特徴とする美容器。」
ウ 本件発明は,次の構成要件に分説される(以下,それぞれの構成要件を「構
成要件A」などという。。

25 A1 ハンドルの先端部に交差軸線上に位置する一対の支持軸を設けると
ともに,
2 各支持軸の先端側に回転体を回転可能に支持し,
3 それらの回転体により身体に対して美容的作用を付与するようにし

4 美容器において,
5 B 前記各支持軸の基端側をホルダの両端部で押さえるとともに,
C そのホルダの中間部をハンドルに固定したことを特徴とする
D 美容器。
被告の行為
被告は,平成28年4月まで,被告製品を製造,販売等していた。
10 2 争点
被告製品の構成要件Bの「前記各支持軸の基端側をホルダの両端部で押さえ
る」及び構成要件Cの「ホルダ」の充足性(なお,被告はこれら以外の構成要
件の充足性について争っていない。)
無効理由の有無
15 ア 特開2011-120893号公報(乙11。平成23年6月23日公開。
以下「乙11文献」という。)に基づく新規性欠如(特許法29条1項)
イ CN201586180U(乙12。2010年(平成22年)9月22
日公告の中国実用新案公告公報。以下「乙12文献」という。)に基づく新規
性又は進歩性欠如(特許法29条1項,2項)
20 ウ 実施可能要件又は明確性要件違反(特許法36条4項1号,6項2号)
3 争点に関する当事者の主張
争点 (被告製品の構成要件Bの「前記各支持軸の基端側をホルダの両端部
で押さえる」及び構成要件Cの「ホルダ」の充足性)について
(原告の主張)
25 ア 被告製品は製品本体内部にネジで取り付けるソーラーパネル取付台を有
し,同部材の回転体側先端部の裏側には回転体の支持軸及び支持軸の本体側
先端部分のフランジに係合する形状の半円形状の凹部である係合部及び段
差が形成されている。そして,ソーラーパネル取付台を支持軸の上にかぶせ
て被告製品にネジで固定することによって,ソーラーパネル取付台に支持軸
のフランジが引っかかり,ソーラーパネル取付台の係合部や段差が支持軸を
5 上から押さえて固定している。これらからすると,被告製品のソーラーパネ
ル取付台は構成要件B及びCの「ホルダ」に該当し,被告製品は構成要件B
の「前記各支持軸の基端側をホルダの両端部で押さえる」及び構成要件Cの
「ホルダ」を充足する。
イ 被告は,被告製品の支持軸は接着剤によって被告製品本体内部に接着固定
10 しており,ソーラーパネル取付台は支持軸を固定していないと主張するが,
そうであればソーラーパネル取付台に係合部や段差を形成する理由がなく,
被告の主張は理由がない。被告は,上記係合部等はリード線のハンダ付け部
分をカバーするためのものであるとも主張するが,係合部はハンダ付け部分
を押さえるような形状とはなっていないし,ハンダ付け部を押さえる必要性
15 もない。仮に被告製品の支持軸が接着剤によって固定されているとしても,
ソーラーパネル取付台も支持軸を固定する機能を有していることに変わり
はないから,被告製品は構成要件Bの「前記各支持軸の基端側をホルダの両
端部で押さえる」及び構成要件Cの「ホルダ」を充足する。
ウ 原告が平成28年2月に入手した被告製品の支持軸には接着剤は塗布さ
20 れておらず,接着剤が塗布されていない被告製品が販売されていたこと,被
告製品は接着剤の塗布がなくても支持軸とソーラーパネル取付台との組付
けによって被告製品本体に固定されること,被告製品の支持軸を接着剤のみ
で固定した場合と接着剤及びソーラーパネル取付台で固定した場合では後
者の方が支持軸の抜去力が大きいことを示す実験結果報告書(甲11)等か
25 らも,被告製品のソーラーパネル取付台は,支持軸を固定する機能を有して
おり,構成要件B及び構成要件Cを充足する。
(被告の主張)
ア 本件発明の構成要件Bの「前記各支持軸の基端側をホルダの両端部で押さ
える」及び構成要件Cの「ホルダ」とは,ホルダの両端部で支持軸の基端側
を固定する構成を有するものをいう。これに対し,被告製品の支持軸は接着
5 剤によって被告製品本体内部に接着固定されており,被告製品は,支持軸を
固定するための「ホルダ」を有さず,また,
「回転体を支持するための一対の
支持軸をハンドルに対して簡単に固定することができるという効果」(本件
明細書の段落【0008】 等の効果を奏しておらず,
) 構成要件B及び構成要
件Cを充足しない。
10 イ 原告は,被告製品のソーラーパネル取付台が「ホルダ」に該当すると主張
するが,同部材は,支持軸を固定する機能を有しておらず,支持軸が接着剤
で被告製品本体内部に接着固定された後にその上に設置されるものにすぎ
ない。実際に,ソーラーパネル取付台をかぶせただけでは支持軸は固定され
ず,支持軸を接着剤で被告製品本体内部に接着固定しなければ,支持軸は簡
15 単に抜け,ソーラーパネル取付台が支持軸を固定する機能を有していない。
原告は,ソーラーパネル取付台には半円形状の凹部である係合部及び段差
が設けられており,これが支持軸に組み付けられると主張するが,同部分は
リード線のハンダ付け部分をカバーするためのものである。
ウ 原告は,平成28年2月に入手した被告製品には接着剤は塗布されていな
20 かったと主張するが,製造段階におけるミスにより,接着剤の量が不足して
いた被告製品が市場に少数出回っていたにすぎず,原告もその後入手した被
告製品にはすべて接着剤が塗布されていたことを認めている。
エ 原告は,被告製品の支持軸を接着剤のみで固定した場合と接着剤及びソー
ラーパネル取付台で固定した場合では後者の方が支持軸の抜去力が大きい
25 と主張し,実験報告書(甲11)を提出する。しかし,被告製品は製品によ
って接着剤の塗布量などに個体差があり,製品によって接着剤の寄与の度合
は異なるから,特定の製品を実験対象としても,被告製品全部の構成を立証
したことにはならない。また,上記報告書の実験においては,接着剤を塗布
せず,ソーラーパネル取付台のみで固定した場合の抜去力を実験していない
こと,同実験ではローラにワイヤーを引っかけるためのネジを装着してワイ
5 ヤーで引っ張る方法とベアリングや支持軸をチャックして引っ張る方法が
使用されているが,これらの実験方法は全く条件が異なり,測定結果を一律
に比較することはできないこと,実験に使用された被告製品の購入時期やカ
バーの有無が異なること,ローラやベアリングが外れた際の抜去力に著しい
ばらつきがあること,上記報告書は原告従業員が作成した報告書であること
10 などの問題があり,信用性に乏しい。
争点 (無効理由の有無)について
ア 乙11文献に基づく新規性欠如
(被告の主張)
乙11文献には,①ハンドルの先端部に交差軸上に位置する一対の支持
15 軸が設けられていること(乙11文献の【図6】~【図8】。構成要件A1
に相当),②腕部の先端側にマッサージを行うためのローラが回転可能に
支持されていること(乙11文献の段落【0001】
【0013】。構成要
件A2~3に相当),③ローラ取付部材の左右両端部にそれぞれ腕部を含
むローラ連結部の一端を回転軸により軸支固定すること及び当該回転軸
20 をローラ取付部材の穴に挿通してEリングによって抜け止めすること(乙
11文献の段落【0008】~【0010】。構成要件Bに相当),④ロー
ラ取付部材の中間部をローラ連結部を介してハンドルに固定すること(乙
11文献の段落【0008】
【図1】
【図2】。構成要件Cに相当),⑤以上
の構成を有する美容器(構成要件Dに相当)が開示されている(以下,乙
25 11文献に記載された発明を「乙11発明」という。。

乙11発明におけるローラは本件発明の「回転体」に該当する。腕部を
含むローラ連結部は,ローラを支持するものであり,本件発明の「支持軸」
に該当する。また,ローラ取付部材は,支持軸の基端部に形成された回転
軸15のEリング29によって抜け止めされ,その両端部においてローラ
連結部(支持軸)を固定するものであるから,本件発明の「ホルダ」
(支持
5 軸の基端の抜け止め頭部と係合することにより支持軸が抜け止め固定され
る。)に該当し,乙11発明は本件発明の構成要件を全て備えているから,
本件発明は新規性を欠く。
これに対し,原告は,構成要件Bの「押さえる」は「物に力を加えて,
動かないように固定する。」という意味であるのに対し,乙11発明の構
10 成③においては,回転軸をローラ取付部材の穴に挿通してEリングによっ
て抜け止めする構成であり,回転軸に力を加えて動かないように固定する
ものではないから,乙11発明には構成要件Bの「押さえる」との構成が
開示されていないと主張する。
しかしながら,本件明細書の【図4】においては,ホルダの断面部が支
15 持軸の上下に描かれており,ホルダを単に支持軸の上からかぶせるのでな
く,ホルダに支持軸が挿入されることが示されている。また,本件明細書
の段落【0013】には支持軸の抜け止め頭部とホルダとが係合して固定
されることが示されている。
したがって,本件発明の構成要件Bの「押さえる」との構成は,少なく
20 とも,支持軸の基端に設けられた抜け止め頭部や押さえ部,その他支持筒
等の部材との勘合・係合によって固定される構成を包含し,そのような構
成の上位概念であり,乙11文献で開示された固定方法と相違しない。
(原告の主張)
本件発明と乙11発明は,本件発明が支持軸の基端側をホルダの両端部
25 で「押さえる」
(構成要件B)のに対し,乙11文献にはそのような構成が
開示されておらず,乙11発明が上記構成を有しない点で相違し,本件発
明は乙11発明に対して新規性を有する。
被告は,本件発明の構成要件Bの「押さえる」は,少なくとも,支持軸
の基端に設けられた抜け止め頭部や押さえ部,その他支持軸筒等の部材と
の勘合・係合によって固定される構成を包含し,そのような構成の上位概
5 念であると主張する。
しかしながら,
「押さえる」とは,一般的に「物に力を加えて,動かない
ように固定する。」との意味である。また,本件明細書には,本件発明の実
施形態として,ホルダの両端部に支持軸の基端側を押さえるためのほぼ半
円筒状の押さえ部が形成され,この押さえ部が支持軸の基端をハンドルに
10 押しつけて固定する実施形態の記載があること(段落【0013】
【001
9】)からすれば,構成要件Bの「押さえる」とは「物に力を加えて,動か
ないように固定する。」という意味である。
これに対し,乙11文献における,本件発明の「ホルダ」に相当するロ
ーラ取付部材は,回転軸をローラ取付部材の穴に挿通してEリングによっ
15 て抜け止めする構成であり,回転軸に力を加えて動かないように固定する
ものではないから,乙11文献には構成要件Bの「押さえる」の構成は開
示されていない。
イ 乙12文献に基づく新規性又は進歩性欠如
(被告の主張)
20 乙12文献(請求項1,2及び4並びに段落【0015】,
【図2】,
【図3】)
には,ハンドルの先端部に交差軸線上に位置する一対の支持軸を設けるとと
ともに,各支持軸の先端側に回転体を回転可能に支持し,それらの回転体に
より身体に対して美容的作用を付与するようにした美容器(構成要件Aに相
当)という構成が開示されている(以下,乙12文献に記載された発明を「乙
25 12発明」という。。
) 他方,乙12文献には支持軸の取付方法(構成要件B,
C)が明示されておらず,乙12発明が構成要件B及び構成要件Cの構成を
有していない点で本件発明と乙12発明は相違する。
しかしながら,本件発明の構成要件Bの「押さえる」の意味は,前記アの
被告の主張のとおりである。そして,一対の棒状部材を固定する方法として,
一対の棒状部材をホルダの両端部で押さえるとともに,そのホルダの中間部
5 を支持部材に固定するという構成とすることは,本件特許の出願日前に公開
されていた多くの技術文献(実用新案登録第3166202号公報(乙2。
以下「乙2文献」という。,乙11文献,特表2010-532442号公

報(乙13。以下「乙13文献」という。,特開平10-288208号公

報(乙14。以下「乙14文献」という。,実開平5-45370(乙15。

10 以下「乙15文献」という。,実用新案出願公開昭63-173584号公

報(乙16。以下「乙16文献」という。,特開平9-108286号公報

(乙17。以下「乙17文献」という。)に記載されている技術常識ないし

公知技術であり,これを美容器のローラ支持軸の固定という単純な目的に適
用することには何ら技術的困難性はない。
15 したがって,本件発明は乙12発明と実質的に同一であるか,又は,当業
者が乙12発明に上記文献に記載されている技術常識ないし公知技術を適
用して本件発明に想到することは極めて容易であるから,本件発明は,新規
性又は進歩性を欠く。
(原告の主張)
20 本件発明における「押さえる」は,前記アの原告の主張のとおり,
「物に力
を加えて,動かないように固定する。 という意味であるところ,
」 被告が指摘
する美容器に関する技術文献(乙2,11,17)において,当該構成は開
示されていない。
また,被告は,本件発明の美容器とは全く異なる分野の技術文献(乙13
25 ~16)を挙げて,一対の棒状部材を固定する方法として一対の棒状部材を
ホルダの両端部で押さえるとともにそのホルダの中間部を支持部材に固定
するという構成は技術常識ないし公知技術であると主張する。しかしながら,
これらの文献はいずれも本件発明の美容器とは技術分野が全く異なるし,ま
た,
「ハンドルの先端部に交差軸線上に位置する一対の支持軸」
(構成要件A
1)の構成を有するものでもない。上記各文献に開示されているのは平行に
5 配置した配管等に関する技術にすぎず,これらを組み合わせても,本件発明
の構成に至らず,また,これらを組み合せる動機付けもない。
ウ 実施可能要件又は明確性要件違反
(被告の主張)
本件明細書では,本件発明の「ホルダ」に相当する構成である「ホルダ2
10 2」の説明等は段落【0013】【0019】等に記載されており,そこで

は,【図4】【図5】及び【図9】を用いた説明がされている。

しかしながら,
「ホルダ22」の単体の背面図が描かれた【図9】において
は,支持軸20の抜け止め頭部20aが,支持軸の「逆ハの字」形状の広が
った方に存しているのに対し,
【図4】においては,20aは,回転体27と
15 は逆側の「逆ハの字」が狭くなる方(支持筒18の反対側)に存しており,
【図4】と【図9】は明らかに矛盾している。
【図9】における抜け止め頭部
20aの位置関係は【図5】とも明らかに整合しない。また,
【図4】の断面
図においては,ホルダ22は厚みをもった円筒状ないし半円筒状であり,支
持軸20がこれを貫通し,支持軸20の抜け止め頭部20aによって抜け止
20 めがなされている。これに対し,
【図5】及び【図9】に記載されたホルダ2
2は,押さえ部22aの形状が不明であり,かつ,厚みを持った円筒状ない
し半円筒状の部分を有しているとは解し難く,【図4】との整合性がないと
共に,この構造でどのように抜け止め頭部20aによる抜け止めを行うのか
を理解することができない。
25 そうすると,本件明細書からは,ホルダ22及びその押さえ部22aの形
状を理解することができず,当業者がこれを実施することは困難であり,ま
た,請求項に記載された構造が不明確であるから,実施可能要件又は明確性
要件に違反する。
(原告の主張)
被告は,
【図9】と【図4】の支持軸20の抜止め頭部の構造について矛盾
5 があると主張するが,本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0013】等
の記載と【図4】【図5】から,逆ハの字状の支持軸20の基端に抜け止め

頭部20aがあることは明らかである。【図9】において支持軸20が抜け
止め頭部20aの内側に図示されていることは誤記であることが明らかで
あり,不明確な点などない。
10 また,被告は,
【図4】においてはホルダ22は厚みを持った円筒状ないし
半円筒状で支持軸20がこれを貫通し,抜け止め頭部20aによって抜け止
めされるところ,これが【図5】 図9】
【 との整合性がないなどと主張するが,
この点についての構成等も,本件明細書の段落【0013】に記載されてお
り,不明確な点はない。
15 被告は,発明の詳細な説明の記載は一切参照せずに,図面だけに基づいて
上記主張をしているが,図面は,発明の詳細な説明による発明の理解のため
に参考として供されるものであり,発明の詳細な説明と併せて理解すれば,
本件発明の構成要件B及びCの「ホルダ」に不明確な点はない。
また,被告は,上記のとおり,図面に齟齬があり,ホルダ22及びその押
20 さえ部22aの形状を理解することができず,当業者がこれを実施できない
とも主張するが,本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0013】には,
ホルダの構成,作用,組付方法が明確に記載されており,当業者において,
同段落の記載に基づき,各図を参酌して本件発明を実施することに特段の困
難はない。
25 第3 当裁判所の判断
1 本件発明の技術的意義
本件明細書(甲2)の発明の詳細な説明欄には,次の記載がある。
ア 技術分野
「この発明は,一対の回転体を身体上で転動させることにより,使用者に
対して美肌効果等の美容的作用を付与するようにした美容器に関するもの
5 である。(段落【0001】
」 )
イ 背景技術
「従来,この種の美容器としては,例えば特許文献1に開示されるような
構成が提案されている。この従来構成の美容器においては,ハンドルの先端
に二叉部が設けられている。二叉部の先端には回転体が支持されている。そ
10 して,各回転体を身体の皮膚に押し付けて回転させることにより,身体に対
して美肌効果等の美容的作用が付与されるとしている。」
(段落【0002】)
ウ 発明が解決しようとする課題
「前記特許文献1においては,回転体を支持するための軸等の支持構造は
開示されていない。この発明の目的は,回転体を支持するための一対の支持
15 軸をハンドルに対して簡単に固定することができる美容器を提供すること
にある。(段落【0004】
」 )
エ 課題を解決するための手段
「上記の目的を達成するために,この発明は,ハンドルの先端部に交差軸
線上に位置する一対の支持軸を設けるとともに,各支持軸の先端側に回転体
20 を回転可能に支持し,それらの回転体により身体に対して美容的作用を付与
するようにした美容器において,前記各支持軸の基端側をホルダの両端部で
押さえるとともに,そのホルダの中間部をハンドルに固定したことを特徴と
している。(段落【0005】
」 )
「従って,この発明の美容器においては,回転体を支持するための一対の
25 支持軸をハンドルに対して交差軸線上に位置するように配置し,この状態で
各支持軸の基端側をホルダの両端部で押さえるとともに,そのホルダの中間
部をハンドルに固定すれば,両支持軸がハンドルに対して同時に固定される。
よって,一対の支持軸をハンドルに対して簡単な固定構成で容易に固定する
ことができて,製造コストを低減することができる。(段落【0006】
」 )
オ 発明の効果
5 「以上のように,この発明によれば,回転体を支持するための一対の支持
軸をハンドルに対して簡単に固定することができることができるという効
果を発揮する」(段落【0008】)
前記 の本件明細書によれば,本件発明は,一対の回転体を身体上で転動さ
せることによって使用者に対して美肌効果等の美容的作用を付与することを
10 目的とする美容器における,回転体を支持するための支持軸の支持構造に関す
る発明であり,回転体を支持するための一対の支持軸をハンドルに対して交差
軸線上に位置するように配置し,この状態で各支持軸の基端側をホルダの両端
部で押さえ,そのホルダの中間部をハンドルに固定するという構造を採用する
ことによって,一対の支持軸をハンドルに対して簡単な固定構成で容易に固定
15 することができ,製造コストを低減することができるという点に技術的意義が
あると認められる。
2 争点 (被告製品の構成要件Bの「前記各支持軸の基端側をホルダの両端部で
押さえる」及び構成要件Cの「ホルダ」の充足性)について
本件発明は,前記1のとおり,
「ホルダ」に該当する部材によって回転体を支
20 持する支持軸を固定するものであるところ,原告は,被告製品のソーラーパネ
ル取付台が支持軸を固定していると主張するのに対し,被告はこれを否定する。
証拠(甲10,14)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品は,回転体の支
持軸の本体側先端部分にフランジが形成されていること,被告製品の本体内部
のソーラーパネル取付台の支持軸側先端部分には一対の段差及び半円形状の
25 凹部が形成され,それらは回転体の支持軸及び支持軸に形成されたフランジの
形状に係合すること,ソーラーパネル取付台の先端部で回転体の支持軸を覆っ
てソーラーパネル取付台を被告製品本体にネジで固定するとソーラーパネル
取付台に支持軸のフランジが引っかかり,支持軸の先端部分がソーラーパネル
取付台の段差及び半円形状の凹部に組み付けられること,その組付け後は回転
体を支持する支持軸に接着剤の塗布などはなかった被告製品においても支持
5 軸が本体から直ちには外れることがなかったことが認められる。これらによれ
ば,被告製品のソーラーパネル取付台の先端部分の段差及び半円形状の凹部は,
回転体の支持軸を固定するための構成であり,同部分が回転体の支持軸を覆い,
支持軸を押し付けることによって支持軸を固定し,支持軸が抜けないようにし
ていると認められる。
10 そうすると,被告製品のソーラーパネル取付台は構成要件B及び構成要件C
の「ホルダ」に該当し,被告製品は構成要件Bの「前記各支持軸の基端側をホ
ルダの両端部で押さえる」及び構成要件Cの「ホルダ」を充足するといえる。
これに対し,被告は,ソーラーパネル取付台の半円形状の凹部はリード線の
ハンダ付け部分をカバーするためのものであり,ソーラーパネル取付台をかぶ
15 せただけでは支持軸は固定されず,支持軸を接着剤で被告製品本体内部に接着
固定しなければ,支持軸は簡単に抜けることからもソーラーパネル取付台は支
持軸を固定する機能を有していないなどと主張する。
しかしながら,ソーラーパネル取付台の段差及び半円形状の凹部の形状は,
回転体の支持軸に係合する形状に形成されていて,リード線のハンダ付け部分
20 をカバーするために形成されていると認めるに足りる証拠はない。また,回転
体の支持軸を固定するために接着剤が塗布されている被告製品があるとして
も,その塗布がされたことをもってソーラーパネル取付台が回転体の支持軸を
固定する機能を有していることが直ちに否定されるものではなく,前記のとお
りのソーラーパネル取付台の先端部の構造,接着剤の塗布がなかった場合の回
25 転体の支持軸の被告製品本体からの着脱の状況等からすれば,ソーラーパネル
取付台は回転体の支持軸を固定する機能を有しているということができ,被告
の主張は採用することができない。
3 争点 -ア(乙11文献に基づく新規性欠如)
争点を検討するに当たり,まず,本件発明の「前記各支持軸の基端側をホル
ダの両端部で押さえる」(構成要件B)の意義について検討する。
5 ア 「押さえる」とは,物に力を加えて,動かないように固定するという意味
を一般的に有する(乙3の1ないし3)。
そして,本件明細書には,前記1 アないしオの記載のほか,
「発明を実施
するための形態」として,
「図4及び図5に示すように,前記ベース体13の
両支持筒18には,金属製の一対の支持軸20がシールリング21を介して,
10 交差軸線L1,L2上に位置するとともに外側に突出した状態で嵌合支持さ
れている。このシールリング21は,支持軸20の周りからハンドル12の
内部へ向かう水の侵入を防止している。各支持軸20の基端には,大径状の
抜け止め頭部20aが形成されている。図4及び図9に示すように,両支持
軸20の基端部間においてベース体13上には,ホルダ22が配置されてい
15 る。このホルダ22の両端部には,各支持軸20の基端側を押さえるための
ほぼ半円筒状の押さえ部22aが形成されている。ホルダ22の中間部には,
円筒状のネジ止め部22bが形成されている。そして,ホルダ22の両端の
押さえ部22aにより両支持軸20の基端が押さえられた状態で,ホルダ2
2の中間のネジ止め部22bがネジ23によりベース体13に固定される
20 ことによって,各支持軸20がベース体13の支持筒18に対する嵌合支持
状態に抜け止め固定されている。すなわち,支持軸20の組み付け時には,
ハンドル12のベース体13に形成された一対の支持筒18に外側(図4の
左側)から支持軸20をそれぞれ嵌挿して,交差軸線L1,L2上に位置す
るように配置する。次に,図5及び図9に示すように,両支持軸20の基端
25 間におけるベース体13上にホルダ22を配置し,そのホルダ22の両端の
押さえ部22aにより両支持軸20の基端側を押さえる。これにより,図4
及び図9に示すように,各支持軸20の基端の抜け止め頭部20aが押さえ
部22aの端縁に係合される。この状態で,ホルダ22の中間のネジ止め部
22bをネジ23によりベース体13に固定すると,一対の支持軸20がベ
ース体13に対して同時に抜け止め固定される。」
(段落【0013】,
)「従っ
5 て,この実施形態によれば,以下のような効果を得ることができる。
(1)こ
の美容器においては,ハンドル12の先端部に交差軸線L1,L2上に位置
する一対の支持軸20が設けられている。各支持軸20の先端側には回転体
27が回転可能に支持され,それらの回転体27により身体に対して美容的
作用が付与されるようになっている。前記ハンドル12における両支持軸2
10 0の基端部間の位置には,ホルダ22がその中間部において固定されている。
そして,このホルダ22の両端の押さえ部22aにより,各支持軸20の基
端側がハンドル12に対して押し付け保持されるようになっている。このた
め,1つのホルダ22からなる簡単な固定構成により,一対の支持軸20を
ハンドル12に対して容易に固定することができて,製造コストの低減を図
15 ることができる。(段落【0019】
」 )との記載がある。
上記のとおり,本件明細書の段落【0013】【0019】には,ホルダ

の両端部に各支持軸の基端側を押さえるためのほぼ半円筒状の押さえ部が
形成され,この押さえ部が支持軸の基端に接し,それをハンドルに押し付け
ることによって支持軸を保持し,支持軸が抜けることがないように固定する
20 という実施形態が記載されており,これは,前記のとおりの「押さえる」の
一般的な意味とも整合する。
そうすると,本件発明の「前記各支持軸の基端側をホルダの両端部で押さ
える」とは,支持軸の基端部をホルダの両端部に接するようにし,ホルダの
両端部から支持軸の基端部に対して押し付けること,すなわち力を加えるこ
25 とによって,支持軸を抜けることがないように固定することを意味するもの
と解するのが相当である。
イ これに対し,被告は,本件明細書の【図4】や段落【0013】の記載か
ら,
「押さえる」とは,支持軸の基端に設けられた抜け止め頭部や押さえ部,
その他支持筒等の部材との勘合・係合によって固定される構成を包含するも
のであると主張する。
5 しかし,本件明細書の段落【0013】の記載は前記アのとおりであり,
ホルダが支持軸に力を加えずに,部材の勘合・係合のみによって固定する態
様が記載されているとはいえず,本件明細書のその他の記載中にも被告の主
張するような固定態様に関する記載はない。また,本件明細書の【図4】か
らもそのような固定態様を看取することはできない。被告の主張は,「押さ
10 える」の一般的な意味と一致するものでは必ずしもなく,かつ,本件明細書
にその主張を裏付ける記載はないといえるのであり,採用することができな
い。
乙11発明と本件発明の対比
ア 本件特許の出願日前に公開されていた乙11文献には,①ハンドルの先端
15 部に交差軸上に位置する一対の支持軸が設けられていること(乙11文献の
【図6】~【図8】,②腕部の先端側にマッサージを行うためのローラが回

転可能に支持されていること(乙11文献の段落【0001】
【0013】,

③ローラ取付部材の左右両端部にそれぞれ腕部を含むローラ連結部の一端
を回転軸により軸支固定すること及び当該回転軸をローラ取付部材の穴に
20 挿通してEリングによって抜け止めすること(乙11文献の段落【0008】
~【0010】,④ローラ取付部材の中間部をローラ連結部を介してハンド

ルに固定すること(乙11文献の段落【0008】
【図1】
【図2】,⑤以上

の構成を有する美容器である乙11発明が開示されていることは当事者間
で争いはない。
25 そこで,本件発明と乙11発明を対比すると,本件発明は,支持軸の基端
部をホルダの両端部で力を加えて支持軸を抜けないように固定する構成で
あるのに対し(構成要件B),乙11発明の支持軸の固定方法はそのような
構成を有していない点で相違する。
イ 被告は,本件発明の構成要件Bの「押さえる」とは支持軸の基端に設けら
れた抜け止め頭部や押さえ部,その他支持筒等の部材との勘合・係合によっ
5 て固定される構成を包含するものであることを前提として,本件発明の構成
要件Bと乙11発明の構成③とが同一であると主張する。
しかし,構成要件Bの「押さえる」に関する被告の主張を採用することが
できないことは とおりであり,乙11発明の構成③が本件発明の構
成要件Bと同じであるということはできない。
10 したがって,乙11文献には構成要件Bの構成が開示されているとはいえず,
乙11発明と本件発明は同一ではないから,本件発明が新規性を欠くというこ
とはできない。
4 争点 -イ(乙12文献に基づく新規性又は進歩性欠如)について
乙12発明と本件発明の対比
15 本件特許の出願日前に公開されていた乙12文献には,ハンドルの先端部に
交差軸線上に位置する一対の支持軸を設けるととともに,各支持軸の先端側に
回転体を回転可能に支持し,それらの回転体により身体に対して美容的作用を
付与するようにした美容器である乙12発明が開示されていること(請求項1,
2及び4並びに段落【0015】【図2】【図3】,乙12文献には,支持軸
, , )
20 の取付方法についての記載がなく,乙12発明は本件発明の構成要件B及びC
の構成を有しないことは当事者間に争いがない。
被告は,本件発明の構成要件B「押さえる」とは支持軸の基端に設けられた
抜け止め頭部や押さえ部,その他支持筒等の部材との勘合・係合によって固定
される構成を包含するものであり,一対の棒状部材を固定する方法として,一
25 対の棒状部材をホルダの両端部で押さえるとともに,そのホルダの中間部を支
持部材に固定する構成とすることは,本件特許の出願日前に公開されていた技
術文献(乙2,11,13~17)に記載されている技術常識ないし公知技術
であり,本件発明は乙12発明と実質的に同一であると主張する。
しかしながら,本件発明の構成要件B「押さえる」の意味について被告の主
張を採用することができないことは のとおりである。また,ホルダの
5 中間部を支持部材に固定する構成(構成要件C)も,実質的な相違点でないと
いうことはできず,乙12発明と本件発明は同一ではないから,本件発明が新
規性を欠くということはできない。
また,上記各相違点について,被告は,当業者が乙12発明に技術文献(乙
2,11,13~17)に記載されている技術常識ないし公知技術を適用して
10 本件発明に想到することは極めて容易であると主張する。
しかしながら,被告が指摘する文献のうち,乙2文献,乙11文献及び乙1
7文献には,本件発明の構成要件Bの構成が開示されていない。すなわち,乙
2文献には,ローラの接続部品同士が嵌合した状態でその間に球状ヘッドがは
さまる構成が開示され(段落【0014】,
【図2】,
【図3】,
) 乙11文献には,
15 11発明の構成③のローラ取付部材が回転軸をローラ連結部の穴に挿通して
Eリングによって抜け止めする構成が開示され(前記3 ア),乙17文献に
は,ヘッドのフックに対して一対のローラを個別に回転自在に保持する構成が
開示されている(段落【0022】【図10】
, )ところ,前記 検討した本
件発明の構成要件Bの構成に照らして,上記各文献で開示された構成は,いず
20 れも,本件発明の構成要件Bの構成とは異なるといえるものである。
また,乙13文献は点火電極に関する文献であり,乙14文献はケーブルに
関する文献であり,乙15文献はパイプに関する文献であり,乙16文献は電
線管等に関する文献であり,いずれも本件発明の美容器とは全く異なる技術分
野に関する文献である。そして,いずれの文献に記載された発明も本件発明の
25 「ハンドルの先端部に交差軸線上に位置する一対の支持軸」(構成要件A1)
の構成を有するものではない。
そうすると,乙13文献ないし乙16文献から,それらに記載された分野と
は異なる本件発明の美容器の分野において,棒状部材を固定する方法として一
対の棒状部材をホルダの両端部で押さえ,そのホルダの中間部を支持部材に固
定する構成が直ちに技術常識ないし公知技術であると認めることはできない
5 し,また,ハンドルの先端部に交差軸線上に位置する一対の支持軸を有する乙
12発明に対し,それらの文献に記載された技術を組み合わせる動機付けがあ
るともいえない。
したがって,本件発明は乙12発明及び先行文献(乙2,11,13~17)
に記載されている技術常識ないし公知技術に基づき容易に想到することがで
10 きたということはできない。
5 争点 -ウ(実施可能要件又は明確性要件違反)について
被告は,本件明細書の【図9】や【図5】が【図4】と矛盾し,その構造が不
明確であり,当業者は,本件明細書からは,ホルダ及び押さえ部の形状を理解す
ることができず,当業者がこれを実施することは困難であり,また,請求項に記
15 載された構造が不明確であるから,実施可能要件又は明確性要件に違反すると主
張する。
しかしながら,本件明細書において実施形態として示されている形態(段落【0
010】以下)について,段落【0013】の「各支持軸20の基端には,大径
状の抜け止め頭部20aが形成されている。」などの記載に,それに沿って解釈
20 することができる【図4】【図5】の図示に照らせば,逆ハの字状の支持軸20

の基端に抜け止め頭部20aがあることは明らかであるといえる。これに対し,
上記段落【0013】の説明やそれに沿って解釈することができる上記各図面と
は異なり,発明の詳細な説明に根拠となる記載がない,抜け止め頭部20aの内
側に支持軸20があるという【図9】の記載は,当業者にはそれが誤記であるこ
25 とが理解できるといえる。また,本件明細書の段落【0013】の上記記載に続
く「図4及び図9に示すように,両支持軸20の基端部間においてベース体13
上には,ホルダ22が配置されている。このホルダ22の両端部には,各支持軸
20の基端側を押さえるためのほぼ半円筒状の押さえ部22aが形成されてい
る。
・・・そして,ホルダ22の両端の押さえ部22aにより両支持軸20の基端
が押さえられた状態で,ホルダ22の中間のネジ止め部22bがネジ23により
5 ベース体13に固定されることによって,各支持軸20がベース体13の支持筒
18に対する嵌合支持状態に抜け止め固定されている。」などの記載を踏まえれ
ば,
【図4】には,発明の詳細な説明に記載されている,ホルダ22の両端部に設
けられ,各支持軸20の基端部を押さえるためのほぼ半円筒状の押さえ部が図示
されていると理解することができ,当業者は,本件明細書の記載(段落【001
10 3】【図4】【図5】
, , )と併せて,ホルダの構成を理解することができる。本件に
ついて,当業者が実施することができないとはいえず,また,特許請求の範囲の
記載は明確であるといえ,実施可能要件又は明確性要件に違反するということは
できない。
6 結論
15 以上検討したところによれば,被告製品は本件発明の技術的範囲に属し,本件
特許について無効理由は認められない。したがって,被告による被告製品の製造,
販売等は原告の本件特許権を侵害するといえ,原告は,被告に対し,特許法10
0条1項及び2項に基づき,被告製品の製造,販売等の差止め及び廃棄を求める
ことができる。なお,前提事実 のとおり,被告は現在,被告製品の製造,販売
20 等をしていないものの,被告は本件訴訟において原告の請求を争っており,被告
が被告製品の製造,販売等をするおそれは直ちに消失するものではない。
よって,原告の請求はいずれも理由があるからこれを認容し,仮執行宣言につ
いては相当でないからこれを付さないこととして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第46部

裁判長裁判官 柴 田 義 明
裁判官 安 岡 美 香 子


裁判官 大 下 良 仁


(別紙)
被告製品目録

商品名「24K GOLD LIFT-UP(CBJILU)」の美容器

以 上

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