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平成30(行ケ)10141審決取消請求事件

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裁判所 審決取消 知的財産高等裁判所
裁判年月日 平成31年3月7日
事件種別 民事
当事者 被告カラーズ株式会社和田研史
原告株式会社バルクオム森一生
法令 商標権
商標法4条1項11号5回
商標法3条1項2回
キーワード 審決9回
無効5回
商標権4回
無効審判2回
実施1回
主文 1 特許庁が無効2017-890079号事件について平成30年8月23日にした審決を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事件の概要 本件は,商標登録無効審判請求に対する不成立審決の取消訴訟である。争点は, 本件商標と引用商標の類否判断の誤りの有無である。

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判決文

平成31年3月7日判決言渡
平成30年(行ケ)第10141号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 平成31年1月17日
判 決

原 告 株 式 会 社 バ ル ク オ ム

同訴訟代理人弁護士 服 部 謙 太 朗
森 一 生

被 告 カ ラ ー ズ 株 式 会 社

同訴訟代理人弁護士 浅 村 昌 弘
和 田 研 史
和 田 嵩
松 川 直 樹
同訴訟代理人弁理 士 金 井 建
松 宮 尋 統
伊 藤 由 里
主 文
1 特許庁が無効2017-890079号事件について平成30年8
月23日にした審決を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
主文同旨

第2 事案の概要
本件は,商標登録無効審判請求に対する不成立審決の取消訴訟である。争点は,
本件商標と引用商標の類否判断の誤りの有無である。
1 本件商標
被告は,次の商標(以下,「本件商標」という。)の商標権者である(甲1,2)。
(1) 登録商標 BULK AAA(標準文字)
(2) 登録番号 第5931607号
(3) 出願日 平成28年9月20日
(4) 査定日 平成29年2月21日
(5) 登録日 平成29年3月10日
(6) 商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務
第3類 化粧品,せっけん類,香料,薫料,歯磨き
2 特許庁における手続の経緯
原告が,本件商標についての商標登録無効審判請求(無効2017-89007
9号)をしたところ,特許庁は,平成30年8月23日,
「本件審判の請求は,成り
立たない。」との審決をし,その謄本は,同月31日,原告に送達された。
3 審決の理由の要点
(1) 引用商標
原告が,本件商標の無効の理由として引用する商標は,次のとおりである(以下,
それらを総称して「引用商標」という。。

ア 登録第946635号商標(以下,「引用商標1」という。)は,以下の
とおりの構成からなり,昭和45年4月23日に登録出願,第4類「せっけん類(薬
剤に属するものを除く)歯みがき,化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を
指定商品として,昭和47年1月29日に設定登録され,平成13年9月19日に
指定商品を第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」とする指定商品の書換
登録がされたものである(甲3,4)。なお,引用商標1の商標権は,取消2018

-300107号及び取消2018-300108号の審判事件がそれぞれ平成3
0年8月1日及び同月8日に確定し,取り消された。


イ 登録第5738351号商標(以下,「引用商標2」という。)は,以下
のとおりの構成からなり,平成26年7月16日に登録出願,第3類「男性用の化
粧品,男性用のおしろい,男性用の化粧水,男性用のクリーム,男性用の紅,男性
用の頭髪用化粧品,男性用の香水類,男性用のせっけん類,男性用の歯磨き,男性
用の香料,男性用の薫料,男性用のつけづめ,男性用のつけまつ毛」を指定商品と
して,平成27年2月6日に設定登録されたものであり,現に有効に存続している
ものである(甲5,6)。


(2) 商標法4条1項11号該当性
ア 本件商標について
本件商標は,前記1のとおり,
「BULK AAA」の文字を標準文字で表してな
るものであるが,その構成態様についてみると,同書,同大の文字で表されており,
全体としてまとまりよく一体に表されているといえる。
そして,本件商標からは,その構成文字全体に相応して「バルクトリプルエー」
の称呼が生じるが,この称呼も格別冗長なものではなく,無理なく一連に称呼し得
るものといえる。
また,本件商標の構成中の「AAA」の文字が,本件商標の指定商品の需要者に,
その商品の品質の誇称表示を表したものと認識されると認め得るほどの事実は見い

だせず,さらに,本件商標の構成中の「BULK」の文字部分のみを分離抽出して,
本件商標の指定商品の需要者に認識されるというべき事実も見いだせない。
そうすると,本件商標は,一体不可分の商標というべきものであって,
「バルクト
リプルエー」の称呼のみを生じるものというのが相当である。
イ 引用商標について
引用商標の構成態様は,前記(1)のとおりの構成からなるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の外観は,明らかに異なり,外観上相紛れるおそれのないも
のである。
また,本件商標から生じる「バルクトリプルエー」の称呼と引用商標から生じる
称呼とは,構成音数が明らかに異なり,称呼上相紛れるおそれのないものである。
さらに,
「BULK」の文字から生じる観念については,原告の主張と被告の主張
とが異なるが,需要者には本件商標から「BULK」の文字部分のみを分離抽出し
て認識されるものではないから,本件商標と引用商標とは,観念上相紛れるおそれ
のないものである。
そうすると,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみ
ても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
したがって,本件商標は,商標法4条1項11号に該当しない。
第3 原告主張の審決取消事由
1 取消事由1(本件商標と引用商標2の類否判断の誤り)
本件商標及び引用商標2の要部は,いずれも「BULK」であるから,両商標は
類似する。その理由は,次のとおりである。
(1)ア 原告のBULK HOMME事業は,平成25年10月,洗顔料,化粧
水,乳液の3種の商品につき,東急ハンズで取扱いが開始され,平成26年6月に
はLoFtで取扱いが開始されるなど,感度の高い有名バラエティストアで取り扱
われ,需要者の注目が高まった(甲52)。また,原告は,平成26年4月に,クラ

ウドファンディングサイトで,当時の国内最高調達額となる3000万円の調達に
成功し,スタートアップ企業に関するブログメディアで報道されるなどして,ベン
チャー企業として注目されるようになった(甲53,54)。そして,平成27年7
月には,スタータキットの発売を開始したが,発売開始から約2年半で10万セッ
トを販売し(甲13) AMAZONのスキンケアトライアルセットで売上1位を記

録した(甲55~57)。さらに,原告の商品は,セレクトショップQUOMIST
が発表した「メンズコスメ大賞2016」で洗顔部門,化粧水部門で第1位となっ
たほか(甲58),男性用ファッション誌において,「メンズノンノ」2016年1
2月号の保湿部門で第5位(甲18)「スマート」2017年1月号のスキンケア

部門の化粧水部門で第1位(甲19)「メンズノンノ」2017年12月号の保湿

部門で第4位(甲20)「スマート」2018年2月号の洗顔料部門で第1位(甲

21)となった。原告の商品は,本件商標が登録査定された平成29年時点では,
公式のオンラインストアのほか,全国500店舗以上の小売店・ヘアサロンにて提
供されており,累計の販売数は100万個を突破していた(甲59)。男性向け化粧
品市場は,グローバルでのトップシェア企業で年商500億円程度,国内でのトッ
プシェア企業で年商40億円程度の規模と見込まれるが,平成28年のBULK
HOMME事業の年商は6億円強であり,高いシェアを有していた。加えて,原告
は,様々な広告宣伝活動を行っていた(甲60~80,102)。
以上によると,本件商標の登録査定時において,原告の社名である「バルクオム」
及び引用商標2を含めた「BULK」とのブランドは周知であった。
イ 原告の商品容器の表示は,引用商標2の態様に始まり,その後,若干の
デザインの変更があるが,以下の原告使用商標1・2を使用している(甲11,1
3~21)。
(原告使用商標1)


(原告使用商標2)


これらの使用態様では,いずれも「BULK」の文字部分が,他の文字部分と比
べて太い書体で強調表示されており,
「BULK」の文字部分が需要者に対して強く
支配的な印象を与え,独立して看る者の注意をひくように構成されている。また,
原告使用商標1・2のように,原告商品では,その後「BULK」をより一層強調
した表記となっており,これを見た需要者には「BULK」との構成が強く印象に
残る。
このような構成において,
「BULK」との文字は,他の部分と分離して観察する
ことが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないと
いえる。
また,引用商標2中の「HOMME」の文字部分は,
「男性」を意味するフランス
語であり,指定商品との関係において「男性用の化粧品」等であることを表示する
ために,必要かつ適切な表示として通用しているものであることは,経験則上明ら
かであるから(甲24~27,81~84)「HOMME」の文字部分から単独の

出所識別標識としての観念,称呼は生じない。
以上によると,引用商標2において,需要者の注意をひく構成部分は,太く表示
された「BULK」の文字部分にあり,この文字部分は需要者に出所識別標識とし
て強く支配的な印象を与える構成要素に当たる。
(2)ア 本件商標の構成中「AAA」との文字部分は,次のとおり,商品の品質・
等級を誇称するための一般的・普遍的な表示であり,出所識別標識としての称呼,
観念が生じない。すなわち,金融庁に登録されている信用格付業者は,格付指標の
最上位として「AAA」又は「Aaa」といった表記を使用している(甲88~9

1,103)。このような信用格付に関する表記は,例えば国債の格付変更等の際に
報道されるほか(甲92,93),消費者が生命保険に加入する際に保険会社の持続
可能性・信用度を検討するための指標として記載されるなど,広く用いられている
(甲94~96,102)。また,三井住友海上火災では,インシュアランス・コン
サルタント制度についてAAAを用いた格付を行っていたし(甲97) 東洋経済新

報社ではCSR企業総覧という特集誌を出版する際に,各社をAAAといった評価
尺度で評価していた(甲98)。さらに,プロスポーツ関係では,米国の野球チーム
についてマイナーリーグの最上位であることを意味することは,一般需要者間に広
く知られている。
確かに,原告が調査した限り,化粧品業界において,AAAが使用されている例
は,被告のほかには見当たらないが,
「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全
性の確保等に関する法律」や「不当景品類及び不当表示防止法」上,このような最
上級を示す表記を具体的な根拠なしに付す行為が問題となるため,慎重な態度をと
っているからであり,化粧品業界においても,AAAが出所識別機能を有する表示
となるものではない。
また,「AAA」という文字のみからなる商標の登録例(甲38)は,「AAA」
という構成が「BULK」のような出所識別機能を有する語句に引き続き使用され
ている場合に,需要者が「AAA」という文字を等級表示ではなく,出所識別表示
と認識することを示すものではない。
以上によると,本件商標は,
「BULK」と「AAA」の2つの文字部分を,その
間に一文字分の空白を空けて配置した構成からなるが,前半の「BULK」と後半
の「AAA」との間に観念上の結びつきはなく,全体として一つの観念を生じるこ
ともないし,後半の「AAA」は,一般的に最上位を意味する品質誇称表示として
用いられているから,需要者は,本件商標中の「AAA」の文字部分を品質表示の
誇称表示として理解する。


イ 本件商標の実際の使用態様においては,Bulk AAAと,AAAの構成
部分はBulkとの文字部分と比較して小さく,Bulkとの文字部分を修飾する
ものとして用いられている(甲7~11)。
ウ 一般消費者において,原告の商品と被告がマツモトキヨシから委託を受
けて生産している上記イの表記が付された商品(以下,「被告の商品」という。)に
ついて,出所の誤認混同が生じている(甲28~33,86,87)。
エ 以上によると,本件商標では,
「BULK」の文字部分が需要者に対して
強く支配的な印象を与え,独立して看る者の注意をひくように構成されている。
オ 一般論としてBULKという単語が辞書にも掲載されている単語である
としても,前記(1)のとおり,化粧品の分野においては,「BULK」との文字部分
は,原告を示す表示として需要者に周知であり,需要者に対して支配的な印象を与
える。
(3) 上記(1),(2)のとおり,本件商標の要部は「BULK」であり,引用商標
2の要部も「BULK」である。
これらの要部は,外観が同一で,いずれも「バルク」との称呼が生じる。
また,引用商標2に接した需要者は,バルクオム社を示すブランドという観念を
抱くのに対し,本件商標からも同様の観念を抱く。
したがって,本件商標と引用商標2とは,類似する。
2 取消事由2(本件商標と引用商標1の類否判断の誤り)
引用商標2では,
「BULK」と「HOMME」は同一の書体で均等間隔に連続的
に記載されているのに対し,本件商標では,
「BULK」と「AAA」の間に一文字
分の空白が設けられており,引用商標2よりも「BULK」を独立の要部として抽
出しやすい構成となっている。
そして,引用商標2の登録審査では,引用商標1が商標法4条1項11号の先願
先登録類似商標として引用された(甲85)。すなわち,「BULKHOMME」の
要部が「BULK」と認定された。

そうすると,本件商標よりも要部抽出が困難である引用商標2の「BULKHO
MME」と引用商標1「Barque/バルク」(判決注・「/」は改行を示す。以
下,引用箇所において同じ)とは類似すると認定されたのであるから,引用商標2
よりも「BULK」との構成部分が抽出しやすい構成となっている本件商標におい
ても,「BULK」が要部であると認定されるべきである。
そして,本件商標と引用商標1とは,称呼が一致するから,類似する。
第4 被告の主張
1 取消事由1(本件商標と引用商標2の類否判断の誤り)に対し
(1)ア 化粧品分野では,化粧品との関係において,
「BULK」
(バルク)との
文字列又は呼称は,化粧品の中身を意味する語として広く一般に使用されており,
特定の企業を指す語として使用されていない(甲37の1~15)。原告自身も,自
社のウェブサイトにおいて,
「バルクとは,美容業界で製品の“中身”そのものを指
す言葉です。 といった説明をしており,
」 他の化粧品関連企業と同様に,
「BULK」
(バルク)を「中身」を示す語として使用している(甲36の1~3,甲52,7
6)。原告自身が「BULK」(バルク)を自社を識別するために使用しているとい
う証拠もない。
イ 原告が提出した各証拠によると,原告は,原告ブランドを「BULKH
OMME」
(バルクオム)として,取引者及び需要者に認識させようとしており,実
際に取引者及び需要者はそのように認識しているから(甲13,19~21,52,
59~80,101等)「BULK」というブランドが周知であったとは認められ

ない。
また,原告ブランドが「BULK」であるか「BULKHOMME」であるかに
かかわらず,原告ブランド自体が周知とはいえない。原告は,原告の商品は平成2
9年度時点で全国500店舗以上の小売店・ヘアサロンにおいて提供されていると
するが,平成29年度において,全国にはヘアサロンだけで少なくとも24万店舗
以上存在するから(乙1),原告の商品は,全国の小売店・ヘアサロンのうちわずか

0.2%にも満たない小売店・ヘアサロンで提供されているにすぎず,ほとんど普
及していないに等しい。国内のトップシェア企業の年商が40億円であること,原
告のBULKHOMME事業の年商が6億円であることを前提に,原告が高いシェ
アを有しているとの主張は,国内市場における企業の数や各企業の正確な年商を立
証しておらず,証拠に基づかない主張である。原告が原告の商品に関して様々な広
告活動を行っているという主張も,原告提出の証拠は,原告以外の者の商品も多数
掲載されている出版物であり,とりたてて原告の商品又は原告ブランドが周知であ
ることを示すものではない。
ウ(ア) 引用商標2は,上段に「BULKHOMME」の文字が配され,下段
は縦方向の1本の罫線で区切られた左側に上下二段で書き表された「SIMPLE
/LUXURY」の文字が,右側に上下三段で書き表された「TRUE LUXU
RY IS ABOUT/SIMPLICITY.THIS IS WHAT/O
UR BRAND IS BASED UPON.」の文字が配されている。
このように,上段の「BULK」の文字が引用商標2の全文字数に占める割合は,
ごくわずかであるし,面積を基準にしても,上段の「BULK」の文字部分が引用
商標2全体に占める割合は1/4未満である。
(イ) 引用商標2の上段の「BULKHOMME」の文字については,
「BU
LK」部分がやや太字で表されているが,続く「HOMME」とは同一の書体で均
等間隔に記載されている。そこで,上段の「BULKHOMME」は,一連一体と
して看取されるのが通常である。
(ウ) 引用商標2の構成中,出所識別標識として認識される部分が「BUL
K」ではないことは,原告自身も,本件審判の審判請求書における請求の理由中で
「次に,引用商標2は,上記のとおりの構成よりなるところ,出所識別標識として
認識される構成部分は上段の『BULKHOMME』の文字部分であり・・・」と
自認している。
エ 以上によると,引用商標2に要部と評価できる一部分はなく,少なくと

も,引用商標2の「BULK」部分が需要者に出所識別標識として強く支配的な印
象を与える構成要素に該当するとの評価はできないから,引用商標2を全体的に考
察して本件商標と類否判断すべきである。
仮に,引用商標2に要部があるとしても,以上に加え,
「HOMME」の称呼は「オ
ム」と短い2音であり,前後の言葉と相まって一連になりやすい語であり,
「バルク
オム」の呼称も5音と短いこと,原告の名称は「株式会社バルクオム」であり,フ
ランス語を理解できる者が少ない我が国では片仮名の「オム」から「男性」という
観念が想起されることはなく,原告の商標は「バルクオム」と一連で認識されてい
ることを併せ考慮すると,
「BULK」ではなく「BULKHOMME」が要部であ
る。
オ(ア) 原告は,原告の商品容器の表示に,原告使用商標1・2を使用してい
ることを主張するが,引用商標2以外に原告使用商標1・2が使用されていること
は,原告が常に「BULK」ではなく「BULKHOMME」を含む標章について
商標権を取得し,それらを原告の商品等に付してきたこと,すなわち,原告が原告
商品の識別標識として「BULKHOMME」又はこれを含む結合商標を使用して
きたことを示しているにすぎず,需要者に「BULK」という構成が強く印象に残
るとはいえない。
(イ) 原告は,引用商標2は,
「BULK」の文字部分が,他の文字部分と比
べて太い書体で強調表示されており,
「BULK」の文字部分が需要者に対して強く
支配的な印象を与えるなどと主張する。
しかし,このような主張が認められるとすると,自他識別力がないか,特定人に
独占させることが不適当であること等の理由により商標登録の要件(商標法3条1
項各号)を満たさない文字列を太い書体にして,他の文字部分を付加して登録すれ
ば,上記商標登録の要件を満たさない文字列を特定の者が独占して利用できるとい
うことになり,商標法3条1項の趣旨を没却する不合理な結論になるから,原告の
主張は,理由がない。

(ウ) 原告は,
「HOMME」の文字部分から単独の出所識別標識としての観
念,称呼は生じないと主張する。
しかし,原告指摘の甲24~27,81~84には,「HOMME」又は「オム」
以外に男性用化粧品であることが分かる表記(男性用であることが分かる文字,又
は男性の写真等)が併記されているが,そのような併記があること自体が,各証拠
の作成者が「HOMME」又は「オム」の表記単独では需要者に男性用であること
を看取させることができないと考えたからに他ならない。
また,フランス語で男性を示す「HOMME」は,我が国においてフランス語が
普及していないことを考慮すると,特定の商品・役務等と結びつき難く,一般に識
別力は強いと評価されるべきである。
「HOMME」単独での商標登録も認められて
いる(乙2の1・2)。
(エ) 仮に,引用商標2の「BULK」の文字部分が,
「HOMME」の文字
部分と比べて太い書体で強調表示されており,
「BULK」の文字部分が需要者に対
して強く支配的な印象を与え,
「HOMME」の文字部分から単独の出所識別標識と
しての観念,称呼は生じないとしても,それらを総合考慮した結果は,原告が「B
ULK」部分を太字にした「BULKHOMME」という文字列(造語)を原告の
商品を識別する標識として使用し,需要者はこの「BULKHOMME」をもとに
原告の商品の出所を識別していると評価できるにすぎないから,引用商標2の「B
ULK」の文字部分が需要者に出所識別標識として強く支配的な印象を与える構成
要素に当たるとはいえない。
(2)ア 審決が判断したとおり,本件商標は,「BULK AAA」の文字を標
準文字で表してなるものであるが,その構成態様についてみると,同書,同大の文
字で表されており,全体としてまとまりよく一体に表されている。
また,本件商標からは,その構成文字に相応して「バルクトリプルエー」の称呼
が生じるが,この称呼も格別冗長なものではなく,無理なく一連に称呼し得る。
したがって,本件商標は,一体不可分の商標というべきものであって,
「バルクト

リプルエー」の称呼のみを生じるものと評価すべきであり,本件商標から「バルク」
の称呼が生じると評価すべき理由はない。
イ 「BULK」は,通常の辞書に載っている一般的な英単語であり,これ
単独で造語とみなされて強い識別力を発揮することはない。
また,前記(1)アのとおり,
「BULK」
(バルク)は,化粧品分野では,化粧品の
中身を意味する語として広く一般に使用されており,特定の企業を指す語として使
用されていない。そこで,化粧品との関係においては,
「BULK」は,より一層識
別力の弱い語である。
ウ 本件商標の構成中「AAA」の文字は,それ単体での商標登録が認めら
れる識別力のある語であり,本件商標の構成中「BULK」のみが出所識別標識と
しての機能を有するものとはいえない。
原告提出の各証拠を検討しても,
「AAA」は,株式や債権又はそれらの発行主体
である企業や政府に対する信用力の格付けに用いられることはあっても,本件商標
の指定商品において品質表示として用いられていることを示す客観的な証拠は何ら
示されておらず,そのような事実はない。投資に興味のある消費者が「AAA」の
表記を目にすることはあっても,化粧品を購入する消費者一般にとってその意味が
常識であるとはいえない。我が国を代表する国語辞典にも「AAA」又は「トリプ
ルエー」の語は掲載されていない(乙3の1・2)。
むしろ,
「AAA」の文字について,多数の商標登録出願,登録例が存在しており
(甲38の1~10),特に,本件商標と同一,類似の商品を指定して「AAA」が
登録査定に至っている例があること(甲38の1~3)を考慮すると,本件商標の
指定商品との関係において「AAA」が識別力を有することは明らかである。
また,仮に,
「AAA」が最上級表示を意味し,識別力が弱いとしても,前記1(1)
アのとおり,BULK」
「 も化粧品との関係では識別力が非常に弱いものであるから,
本件商標が識別力の弱い語同士を組み合わせて,その全体でのみ識別力を有してい
ることを意味しているにすぎず,
「AAA」が最上級表示であることから本件商標の

要部が「BULK」であるという結論を導けるわけではない。
エ 以上によると,本件商標の要部が「BULK」であるとはいえない。
オ 原告は,一般消費者において,原告の商品と被告の商品について,出所
の誤認混同が生じていると主張するが,仮に,誤認混同が生じていたとしても,そ
の混同が「BULK」の文字部分が需要者に対して強い印象を与えた結果によるも
のか否かを原告は立証していないから,本件商標の要部が「BULK」である否か
とは関連性がない。また,原告の商品が男性向けであるのに対し,被告の商品は女
性向けであるが,男性向け商品と女性向け商品は各小売店における商品陳列用棚が
明確に分かれているから(乙5~8の各1・2),誤認混同が生じるとは考え難い。
さらに,原告提出の甲28~33,86,87については,いずれも作成者の身元
がはっきりせず,原告との関連性や利害関係の有無が判断できないから,およそ信
用できないし,甲86,87については,作成日時が不明であって,本件紛争が生
じた後に作成されたものかどうか判断できない。
(3) 上記(1),(2)のとおり,本件商標及び引用商標2の要部は,いずれも「B
ULK」ではないし,他に一部分を抽出すべき理由もないから,本件商標及び引用
商標2を対比する際には,両商標の全体を観察して考察すべきである。
そして,審決が判断したとおり,本件商標と引用商標2の外観は,明らかに異な
り,外観上相紛れるおそれはない。
また,本件商標から生じる「バルクトリプルエー」の呼称と,引用商標2から生
じる呼称とは,構成音数が明らかに異なり,呼称上相紛れるおそれはない。
さらに,本件商標は,一連一体の造語として捉えられるものであるから,特定の
観念を有するものではなく,引用商標2は,観念を有しない「BULKHOMME」
の下段にある縦方向の1本の罫線で区切られた左右に示された英文に対応する観念
が生じるが,それらを対比しても,観念上相紛れるおそれはない。
したがって,本件商標と引用商標2とは,外観,称呼及び観念のいずれの点から
みても相紛れるおそれのない非類似の商標である。

仮に,引用商標2の要部が「BULKHOMME」であるとしても,本件商標と
「BULKHOMME」とは,文字数(全長)が大きく異なっているから,外観が
明らかに異なり,外観上相紛れるおそれはない。また,本件商標から生じる「バル
クトリプルエー」の呼称と「BULKHOMME」から生じる「バルクオム」の呼
称とは,構成音数が明らかに異なり,呼称上相紛れるおそれはない。さらに,本件
商標及び「BULKHOMME」は,いずれも造語であって,何ら観念を生ぜず,
それらを対比しても,観念上相紛れるおそれはない。したがって,本件商標と引用
商標2とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非
類似の商標である。
2 取消事由2(本件商標と引用商標1の類否判断の誤り)に対し
(1) 原告は,本件商標よりも要部抽出が困難である引用商標2の「BULKH
OMME」と引用商標1の「Barque/バルク」とは類似すると認定されたの
であるから,引用商標2よりも「BULK」との構成部分が抽出しやすい構成とな
っている本件商標においても,
「BULK」が要部であると認定されるべきであるな
どと主張するが,次のとおり,理由がなく,本件商標の要部は「BULK」ではな
い。
まず,本件商標の要部がどの部分であるかは,本件商標自身の問題であって,他
の商標との関係で議論されるべきものではない。
また,前記1(1)のとおり,引用商標2の要部は「BULK」ではないから,仮に
「本件商標よりも要部抽出が困難である引用商標2」という関係があるとしても,
本件商標の要部が「BULK」であるとはいえない。原告又は引用商標2に係る出
願手続の代理人が,引用商標2の「BULK」の文字部分が引用商標2の全文字数
に占める割合がごくわずかであること,面積を基準にしても引用商標2全体に占め
る割合が1/4未満であること,
「BULKHOMME」の各文字は同一の書体で均
等間隔に記載されていること,引用商標2の指定商品分野では「BULK」は識別
力を有さず要部とはいえないこと等を登録審査手続で主張することを怠ったことを

もって,引用商標2の要部が「BULK」と評価できるわけではない。
さらに,商標の要部がどこであるかは,空白の有無だけで決まるものではないか
ら,「本件商標よりも要部抽出が困難である引用商標2」ということもできない。
(2) 本件商標と引用商標1の構成態様は,いずれもアルファベット文字からな
るが,文字数や綴りが異なっており,外観上相紛れるおそれはない。
また,本件商標から生じる「バルクトリプルエー」の呼称と引用商標1から生じ
る呼称「バーク」
(甲39)とは,構成音数が明らかに異なり,呼称上相紛れるおそ
れはない。
さらに,本件商標は,一連一体の造語として捉えられるものであるから,特定の
観念を有するものではなく,引用商標1は,我が国ではあまり使われていない語で
あるから特定の観念を有しないか,せいぜい「帆船」との辞書上の意味(甲39)
を観念として有しているにすぎず,いずれにしても,観念上相紛れるおそれはない。
したがって,本件商標と引用商標1とは,外観,称呼及び観念のいずれの点から
みても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(3) 仮に,本件商標の要部が「BULK」であるとしても,次のとおり,本件
商標と引用商標1とは,非類似の商標である。
「BULK」と引用商標1の構成態様は,いずれもアルファベット文字からなる
が,文字数や綴りが異なっており,外観上相紛れるおそれはない。
また,
「BULK」及び引用商標1は,いずれも我が国ではあまり使われていない
語であるから特定の観念を有しておらず,観念上相紛れるおそれはない。化粧品業
界では「BULK」を化粧品の中身を示す語として使用することがあるが(甲37
の1~15),それを前提にしても,引用商標1は,せいぜい「帆船」との辞書上の
意味(甲39)を観念として有しているにすぎず,観念上相紛れるおそれはない。
さらに,引用商標1は,本件商標の登録査定時には存在していたものの,平成3
0年5月23日に不使用を理由に商標登録が取り消されたから(乙9) 引用商標1

は,本件商標の登録査定時において,正当な権利者による使用の上に形成されるべ

き信用を保護すべき実体を欠く商標であった蓋然性が高い。そこで,このような取
引の実情を考慮すると,本件商標と引用商標1との間には,商品・役務の出所につ
いての混同が生じる可能性も皆無であった。
第5 当裁判所の判断
1 取消事由1(本件商標と引用商標2の類否判断の誤り)について
(1) 結合商標の構成部分の一部による類否判断の可否
商標法4条1項11号に係る商標の類否は,同一又は類似の商品又は役務に使用
された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記
憶,連想等を総合して,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に
考察すべきものであるが,複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるもの
について,商標の構成部分の一部(以下,「特定構成部分」という。)が取引者,需
要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認
められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じない
と認められる場合などには,特定構成部分を抽出し,特定構成部分だけを他人の商
標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものと解される。
(2) 本件商標について
ア 本件商標の構成態様
本件商標は,前記第2の1のとおり,欧文字「BULK AAA」の標準文字か
ら成り,
「BULK」と「AAA」との間に1文字分の空白があることから,複数の
構成部分を組み合わせた結合商標と解される。
イ 欧文字「BULK」について
(ア) 後掲の証拠及び弁論の全趣旨によると,欧文字「BULK」について,
次のとおり,認められる。
a 欧文字「BULK」と綴りを同じくする「bulk」は,
「容積,大
きさ,(船の)積み荷,(船荷の包装をしていない)ばら荷」などの意味を有する英
単語である(小学館ランダムハウス英和大辞典第2版,平成6年1月1日)。日本語

の辞書の一部でも,
「バルク【bulk】」は,
「船舶で,ばら積みの貨物。石炭・穀
物・原油など。(大辞林,三省堂,昭和63年11月3日)「①ばら荷。②粉状や
」 ,
粒状のものが,一塊りになっていること。③大量に扱うこと。④商品を大量に安値
で売買すること。(大辞林第三版,三省堂,平成18年10月27日)を意味する

語として収載されている。
b(a) 平成27年4月頃発行のNile’s NILE(ナイルスナイ
ル)2015年4月号には,原告の商品に関する記事において,パッケージに「B
ULK HOMME」と大書された原告の商品の写真と共に,
「バルクオムシリーズ
(洗顔料・化粧水・乳液・日焼け止め)は,パッケージコストや広告費なども抑え,
あくまでも中身(バルク)重視の製品となっている。」との記載がある(甲64)。
(b) 平成28年1月頃発行のGISELe MEN(ジゼル メン)
2016年1月号には,原告の商品の広告が掲載されており,同広告には,引用商
標2が記載されているほか,パッケージに「BULK HOMME」と大書された
原告の商品の写真と共に,
「バルク(中身)を極めるメンズスキンケア」との記載が
ある(甲67)。
(c) 平成28年9月1日発行のMen’s PREPPY(メンズプ
レッピー)2016年10月号には,原告の商品の広告が掲載されており,同広告
には,
「BULKとは中身のこと」「BULK(バルク)とは化粧品製造業界の用語

で“容器の中の液体” つまり,化粧品の中身そのものを指す言葉です。」との記載
がある(甲76)。
(d) 原告のウェブサイトには,平成30年2月9日現在,
「ABOUT
US」とのページにおいて,「BULK HOMMEを象徴する洗顔料,化粧水,
乳液のパウチ容器。・・・それは,安全性と安定性を実現した上で,バルク(中身)
で勝負するという私たちの意志の体現であり,アイデンティティなのです。,
」「BU
LKとは英語で『容器の中身』 HOMMEはフランス語で
, 『男性』を表します。 ・
・ ・
異なる言語からなるブランド名には,バルクの研究開発を通して世界中の男性に『ベ

ーシックスキンケア』の答えを示し続けるという,想いと約束が込められています。」
との記載がある(甲36の1)。
(e) オムニ7-ロフトのウェブサイトには,平成30年2月9日現在,
「BULK HOMME」のページにおいて,
「BULKとは英語で『容器の中身』,
HOMMEはフランス語で『男性』を表します。
・・・異なる言語からなるブランド
名には,バルクの研究開発を通して世界中の男性に『ベーシックスキンケア』の答
えを示し続けるという,想いと約束が込められています。」との記載がある(甲36
の3)。
(f) ロフトのウェブサイトには,平成30年2月19日現在,
「メンズ
コスメブランドBULK HOMME(バルクオム)」のページにおいて,「バルク
とは,美容業界で製品の“中身”そのものを指す言葉です。,
」「製品の中身(バルク)
で期待に答えます」との記載がある(甲36の2)。
(g) 「バルクオムの効果が凄い!」と題するウェブサイトには,平成
30年2月14日現在,
「バルクオムの効果で1番実感できるのは!これだ!」のペ
ージにおいて,
「男性用の洗顔料・化粧水・乳液として人気のある『バルクオム(B
ULK HOMME)』ですが,他のメンズコスメと比べると,価格がやや高いとい
う点が気になるところです。・・・『バルクオム』はその製品名が示す通り,バルク
(製品の中身)の品質を高めることに主眼を置いています。」との記載がある(甲4
2の2)。
(h) 原告のウェブサイトには,平成30年11月5日現在,
「ABOU
T」とのページにおいて,
「BULK(中身)を追求した,至高のプロダクト」との
記載がある(甲52)。
c(a) マツモトキヨシのウェブサイトには,平成29年11月30日現
在,「BulkAAA」のページにおいて,「美しくなるための本質をすべて,バルク
(中身・品質)に凝縮し,ついに誕生。,
」「Bulk:バルク=化粧品の中身・品質」
との記載がある(甲7)。

(b) FACYのウェブサイトには,平成30年2月16日現在,
「コス
パ最強スキンケアブランドBulk AAAがデビュー!ディープモイスチュアシ
リーズが10月14日に発売」のページにおいて,
「過剰な外装資材の削減,原材料
の直接取引などコストを必要最小限に抑え,浮いた分のコストを『Bulk=中身
そのもの』の品質向上に投じることで,肌悩みを抱える女性たちが効果を実感でき
るクオリティの商品を,使い続けることができる価格でお届けします。 との記載が

ある。上記ウェブサイトによると,同ページは,平成29年10月17日に作成さ
れたものと推認される。(甲49の1)
(c) Woman Wellness Onlineのウェブサイトに
は,平成30年2月16日現在,
「マツキヨPB『Bulk AAA(バルクトリプ
ルエー)』は“最高のコスパ”がコンセプト!」と題する記事において,「マツキヨ
がプライベートブランド『BulkAAA(バルク トリプルA)シリーズを発売。

過剰な外装資材の削減や原材料の直接取引などコストを必要最小限に抑えることで,
そのコストを『バルク(中身)』の品質向上に投じることをコンセプトとした化粧品
ブランドです。,
」「過剰な外装資材の削減や,原材料の直接取引などコストを必要最
小限に抑え,そのコストを『バルク(中身)』の品質向上に投じるmatsukiy
oブランドの化粧品シリーズ。自信がある『バルク』を見て頂くために,3商品す
べてクリアボトルを採用しています。との記載がある。
」 上記ウェブサイトによると,
同記事は,平成29年11月11日に作成されたものと推認される。(甲49の4)
(d) 「大人の男女が意識する3473a(みだしなみ)」と題するウェ
ブサイトには,平成30年2月16日現在,
「コスパスキンケアの勢力図が変わる!
【Bulk AAA(バルク トリプルA)」と題する記事において,
】 「なんでも過
剰な外装資材の削減や,原材料を直接取引することでコストを最小限に抑え,
『Bu
lk(バルク・中身)』の品質向上に投じることをコンセプトとしているそう。」と
の記載がある。上記ウェブサイトによると,同記事の表題直下には「11月21日」
との記載があり,前記(a)~(c)を併せ考慮すると,平成29年11月21日に作成

されたものと推認される。(甲49の5)
(e) VOCEのウェブサイトには,平成30年2月16日現在,「中
身・品質(Bulk)にこだわるコスパコスメ!マツキヨのBulk AAA」と
題する記事において,上記表題のほか,「中でもBul AAA〔判決注・「Bul
k AAA」の誤記と認める。〕は,過剰な外装資材の削減と原材料の直接取引など
コストを必要最小限に抑え,中身(Bulk)の品質向上のためにコストを投じた
という素晴らしいアイテムです。」との記載がある。上記ウェブサイトによると,同
記事は,平成29年12月29日に作成されたものと推認される。(甲49の6)
d 三丸機械工業株式会社のウェブサイトには,平成30年2月9日現
在,公式ブログの「化粧品の製造工程って?意外と知らない『化粧品の作り方』」の
記事において,
「出来上がった製品の中身のことを『バルク』といい,バルクのチェ
ックは1回1回の生産ごとに細かく行われることがほとんどです。 ,
」 「バルクは専
用の充填機で容器に入れられ,ここでも人の目でチェックしながら包装されていき
ます。」との記載がある。上記ウェブサイトによると,同記事は,平成26年11月
30日に作成されたものと推認され,また,三丸機械工業株式会社は,化粧品の原
料を混合・撹拌する機械である「ホモジナイザー」の「専門メーカー」であると認
められる。(甲37の4)
e ナチュラルサイエンスのウェブサイトには,平成30年2月9日現
在,
「化粧品づくりの現場をご紹介♪ナチュラルサイエンスのこだわり工場」のペー
ジにおいて,
「化粧品バルク(中身)を作るエリアでは,ホコリの出ない作業着,靴
に着替えます。,
」「バルク(中身)の製造はもちろん,容器を袋に詰めている工程で
も複数の人間で絶えず製品の状態をチェックしています。 との記載がある。
」 このペ
ージの表題近傍には,
「2015/03/18」と記載されており,平成27年3月
18日に作成されたものと推認される。(甲37の3)
f 株式会社ファンケルのウェブサイトには,平成30年2月9日現在,
「化粧品の製造管理」のページにおいて,
「混ぜ合わせた原材料は真空乳化釜に送ら

れ,ここで化粧品の中身(バルク)がつくられます。出来上がったバルクは,スト
レージタンク室にパイプで送られ,貯蔵されます。,
」「中身(バルク)をびんに詰め
ます。」との記載がある(甲37の1)。
g アルビオン(ALBION)のウェブサイトには,平成30年2月
9日現在,「熊谷工場見学」のページにおいて,「原料を秤量・混合し,バルクと呼
ばれる化粧品の中身をつくります。出来上がったバルクは容器に詰める前に厳しく
品質チェックされます。」との記載がある(甲37の2)。
h 工場タイムズのウェブサイトには,平成30年2月9日現在,平成
27年12月19日公開,平成29年9月15日更新の「女性用だけじゃない!肌
に触れる化粧品の丁寧な製造工程を知る!」のページにおいて,
「次に,決められた
分量ごとに原材料を均一に混ぜる作業が行われます。この工程によって『バルク』
と呼ばれる化粧品の中身が製造されます。」との記載がある(甲37の5)。
i ジェイオーコスメティックス(JO Cosmetics)のウェ
ブサイトには,平成30年2月9日現在,
「採用情報」の「社員インタビュー」のペ
ージにおいて,
「製造したバルク(化粧品の中身)の検査を行っています。pHや比
重などの物性測定や,バルクを腕に塗って色や感触を標準品と比較し,正しいもの
が製造されているかどうか検査しています。 との記載がある。
」 上記ウェブサイトに
よると,上記記載は,2017年入社の社員の発言として記載されており,平成2
9年4月以降に作成されたものと推認され,また,ジェイオーコスメティックスは,
化粧品のOEMメーカー(受託製造業者)であると認められる。(甲37の6)
j ピアスグループのウェブサイトには,平成30年2月9日現在,
「新
卒採用情報」の「仕事・社員紹介」の「生産技術」のページにおいて,「はじめに,
スキンケア製品のバルク(化粧品の中身)を製造する機械の使用方法を学び,目指
す質感や使用感に沿った製品を実現するための技術を学びました。
・・・目標とする
パフォーマンスを確実に実現するために,バルクのツヤやキメ,使用感を確かめな
がら機械を調整する必要があり,臨機応変に対応する力を身につけていきました。,


「調製グループに所属し,現場でスキンケア製品のバルク(化粧品の中身)の調製
技術を学ぶ。,
」「スキンケア研究部において,バルクの処方設計を経験。,
」「掛川工
場に戻り,量産グループでバルクのスケールアップや品質向上について検討する。,

「バルクのツヤやキメ,使用感を確認しながら,量産化に向けた調製を行う。」との
記載がある。上記ウェブサイトによると,ピアスグループは,スキンケアからメイ
クアップ製品,食品,医療機関向け製品まで,幅広く製品を手がけていると認めら
れる。(甲37の7)
k 株式会社桃谷順天館のウェブサイトには,平成30年2月9日現在,
「化粧品 求人 採用 新卒」の「先輩の声 品質管理」のページにおいて,
「私は
化粧品の中身(バルク)が正しくできているかの分析や検査を行なっています。,

「当日充填を行なうバルクの検査」「バルク検査」との記載がある(甲37の8)
, 。
l 株式会社ドゥ・ベストのウェブサイトには,平成30年2月9日現
在,「商品の安全性,品質管理について」のページにおいて,「アメリカや日本,E
U等様々な国で製造された原材料を使用しても,化粧品のバルク(中身)を中国で
製造した場合,その製品は“MADE IN CHINA”となります。 との記載がある
」 (甲
37の9)。
m 株式会社K&Sのウェブサイトには,平成30年2月9日現在,
「化
粧品OEMの流れ」のページにおいて,
「化粧品のバルク(中身)を製造いたします。
容器・化粧箱・バルク等の品質管理の中,生産いたします。」との記載がある(甲3
7の10)。
n 株式会社ピュールのウェブサイトには,平成30年2月9日現在,
「生産体制」のページにおいて,
「バルク(化粧品の中身)の製造」「バルク検査・

管理」,
「製造したバルクは,保管室で検査・管理します。,
」「バルクを充填します。」
との記載がある。上記ウェブサイトによると,株式会社ピュールは,化粧品,ヘア
ケア・美容健康商品のOEM(受託製造)などを業とするものと認められる。
(甲3
7の11)

o 三粧化研株式会社のウェブサイトには,平成30年2月9日現在,
「設備紹介」のページにおいて,「真空乳化装置を使用し,バルク(化粧品の中身)
を製造する現場です。,【バルク・製品試験とは?】工場で製造したバルク(化粧
」「
品の中身)と最終製品の物理試験(pH,比重,粘度等)と微生物試験(細菌,真
菌)の試験を実施する事です。,
」「バルク保管庫 調製室で生産し,充填前のバルク
(化粧品の中身)の保管庫です。,
」「バルク製造設備」「バルク生産能力」との記載

がある。上記ウェブサイトによると,三粧化研株式会社は,化粧品のOEM(受託
製造)を業とするものと認められる。(甲37の12)
p アイメイトのウェブサイトには,平成30年2月9日現在,
「生産管
理・品質管理」のページにおいて,
「アイブロウ,アイライナー,リップライナー等,
バルク(化粧品の中身)の成型状態の確認にX線透視装置による検査を導入してお
ります。これにより,製造したバルクを破壊することなく,選別,或いは製造設備
の調整等の対応が迅速に行えることとなり,より効率の良い生産活動の実現が可能
となりました。」との記載がある。上記ウェブサイトによると,アイメイトは,メイ
クアップ化粧品のOEM(受託製造)を業とするものと認められる。甲37の13)

q 株式会社アイリードのウェブサイトには,平成30年2月9日現在,
「工場案内」のページにおいて,「化粧品のバルク(中身)を製造する工場です。」
との記載がある。上記ウェブサイトによると,株式会社アイリードは,化粧品のO
EM(受託製造)を業とするものと認められる。(甲37の14)
r 株式会社ミリオナ化粧品のウェブサイトには,平成30年2月9日
現在,
「製品開発」のページにおいて, 化粧品のバルク
「 (中身)を製造いたします。,

「容器・化粧箱・バルク等を受け入れ厳しい品質管理の中,生産いたします。」との
記載がある。上記ウェブサイトによると,株式会社ミリオナ化粧品は,基礎化粧品・
医薬部外品,健康食品の受託製造を業とするものと認められる。(甲37の15)
(イ) 前記(ア)によると,欧文字「bulk」は,我が国においても,「船舶
のばら積みの貨物」などを意味する英単語として相応に知られていたことが認めら

れる。
また,遅くとも平成30年2月9日には,片仮名「バルク」は,化粧品製造業界
において,「化粧品の中身」を意味する用語として使用されていたことが認められ,
本件商標の査定日(平成29年2月21日)前の使用例(前記(ア)b(a)~(c),d,
e)が複数存在することを考慮すると,本件商標の査定日においても,片仮名「バ
ルク」は,化粧品製造業界において,
「化粧品の中身」を意味する用語として使用さ
れていたものと推認される。しかし,前記(ア)b~rの広告やウェブサイトには,化
粧品の受託製造業者のものが少なくなく,これらは必ずしも一般消費者に向けられ
たものとはいい難い上,欧文字「BULK」が「化粧品の中身」を意味する用語で
ある旨を示したものは原告及び被告の商品に関するもの以外にはなく,また,欧文
字「BULK」や片仮名「バルク」という用語を当然に「化粧品の中身」を意味す
る用語として使用するのではなく,
「化粧品の中身」という意味である旨を併記して
使用するものがほとんどである。そうすると,本件の全証拠によっても,本件商標
の査定日において,欧文字「BULK」が,本件商標の指定商品(化粧品,せっけ
ん類,香料,薫料,歯磨き)の一般消費者を含む取引者,需要者に,
「化粧品の中身」
を意味する用語として知られていたことを認めるには足りない。このことは,引用
商標2の指定商品(男性用の化粧品,男性用のおしろい,男性用の化粧水,男性用
のクリーム,男性用の紅,男性用の頭髪用化粧品,男性用の香水類,男性用のせっ
けん類,男性用の歯磨き,男性用の香料,男性用の薫料,男性用のつけづめ,男性
用のつけまつ毛)との関係においても,同様である。
(ウ) 前記(イ)によると,欧文字「BULK」 本件商標の査定日において,
は,
本件商標の指定商品の取引者,需要者に,上記指定商品との関係において,出所識
別標識として認識されるものということができる。
ウ 欧文字「AAA」について
(ア) 後掲の証拠及び弁論の全趣旨によると,欧文字「AAA」について,
次のとおり,認められる。

a 欧文字「AAA」は,広辞苑第六版(乙3の1)にも,大辞林第三
版(乙3の2)にも収載されていない。
もっとも,広辞苑第六版付録のアルファベット略語において,
「AAA;Aaa;
aaa(トリプルエー)」は,「格付けでの最高点」を意味するものとされている。
また,
「エー【A・a】」は,
「①アルファベットの最初の文字。②転じて,第一位。」
などを意味する語(広辞苑第六版,岩波書店,平成20年1月11日),あるいは,
「①英語のアルファベットの第一字。エイ。②第一の,最上の,の意を表す。」など
を意味する語(大辞林第三版,三省堂,平成18年10月27日)として,知られ
ている。
b 金融商品又は企業・政府などについて,その信用状態に関する評価
の結果を記号や数字を用いて表示した等級を信用格付けというが,「AAA」又は
「Aaa」は,長期格付の最高位を表す格付記号である(甲35,88~91)。
長期格付の最高位を表す格付記号としての「AAA」又は「Aaa」は,本件商
標の査定日(平成29年2月21日)前においても,多くの新聞記事において広く
用いられており,そこでは,その意味を特に説明することなく,
「トリプルA」など
と表記することもされていた(甲92,93)。また,生命保険会社であるアリコジ
ャパンにおいては,世界的な二つの格付け会社から保険財務力が最上級の「AAA」
又は「Aaa」と評価されていることに基づいて,CMやウェブサイトにおいて,
「アリコは,最上級のトリプルA」というキャッチフレーズを用いていた(甲94
~96,102)。
c 東洋経済新報社は,平成27年11月24日発売の「CSR企業総
覧2016年版」において,上場企業を中心とする有力・先進1325社について,
人材活用,環境,企業統治,社会性の4指標を各企業のCSR評価として,成長性,
収益性,安全性,規模の4指標を財務評価として,それぞれ「AAA」,
「AA」,
「A」
などの記号で格付けを行った(甲98)。
d 三井住友海上は,平成28年12月現在,最長5年間の研修期間を

経て保険代理店経営者として独立後の保険代理店に対する評価制度として,「専属
プロ代理店」の上に「プロ新特級代理店」を設け,売上規模,要員体制等に加え,
「業務品質」「組織管理」「販売力・増収力」といった質を重視した基準を高いレベ
ルで満たす代理店に対して,
「TGA・AAA・AA・A+・A」の5段階の認定を
行っていた(甲97)。
e 欧文字「AAA」又は「トリプルA」について,長期格付以外に,
次のような使用例がある(甲92,93)。
(a) 情報セキュリティー対策の格付け会社は,データセンターに対し
て情報漏れ対策などのセキュリティー水準の格付けを開始し,第1弾として,富士
通の拠点に最上級の「AAA(トリプルA)」を付与した(平成22年2月22日日
本経済新聞)。
また,大日本印刷は,上記格付け会社から「AAA」の格付けを取得した(平成
22年8月6日日本経済新聞)。
(b) 千葉銀行は,農林水産省のプロジェクトに参画して,食の安全を
担保する業務ができているかを評価し,石井食品は,17段階中最高位の「AAA
(トリプルA)」を取得した(平成22年3月30日日本経済新聞)。
(c) 「社内格付け制度」を設け,カンパニー制における各カンパニー
を,利益率などを基準にトリプルAからDに分類し,高格付けのカンパニーには投
資判断の裁量を与え,低格付けのカンパニーには本社が関与して立て直しを急ぐ(平
成22年7月20日日本経済新聞)。
(d)「出馬してくれるなら候補としてはトリプルA。」と語った(東京
都知事選挙に関する記事。平成23年2月9日日本経済新聞)。
(e) 東京都は,平成23年3月初め,専門家による評価委員会でAA
A(トリプルA)とされた事業所を,平成21年度までの5年間の排出量の削減実
績が高かった事業所として表彰した(平成23年3月9日日本経済新聞)。
(f) トリプルA(AAA)タイトルといわれる,開発費が数十億円か

かるような,まだパッケージが強い「超大型ゲーム」だ(平成24年3月28日日
本経済新聞)。
(g)リオネル・メッシという至宝を抱く,格付けでいえばトリプルA級
の国である(サッカーに関する記事。平成26年7月5日日本経済新聞)。
(h) プレイステーション4(PS4)について,
「高精細で没入感が高
く,コントローラーでしか体感できない『トリプルAのゲーム』。それこそがPSの
DNAだ。」と語った(平成26年12月18日日本経済新聞)。
(i) 72の小工場を,1時間当たりの処理点数や売上高などをもとに
「aaa」から「c」まで7段階に格付けし,格付けに応じて報奨金や物品がもら
える「社内格付け制度」を設けた(平成27年2月26日日本経済新聞)。
f マツモトキヨシのウェブサイトには,平成29年11月30日現在,
「BulkAAA」のページにおいて,
「AAA品質」「AAA:トリプルA=評価 ※5

を表現」「※5
, バルクトリプルA品質基準による評価」との記載がある(甲7)。
g タカラは,平成30年11月19日現在,
「AAA-White」と
いうブランドのスキンケア・基礎化粧品として,保湿ジェル,クレンジングクリー
ムを販売していた(乙4の1)。
h ヴァーナル(VERNAL)は,平成30年11月19日現在,
「年
齢を重ねた肌のためのヴァーナル最高峰化粧水」として,プレミアムミストAAA」

という商品を,
「モイスト・しっとり」「ナチュラル・さっぱり」の2タイプについ

て,それぞれ240mlと60mlの容量で販売していた(乙4の2)。
i 欧文字「AAA」について,次の商標登録例・査定例がある。
(a) 欧文字「AAA」を標準文字で書して成る商標について,①第6
類「金属鉱石」,第8類「手動工具」,第20類「家具」等を指定商品とする商標登
録第4586559号(甲38の5),②第32類「ビール」等を指定商品とする商
標登録第4877584号(甲38の7),③第9類「電子出版物」,第16類「書
籍」等を指定商品とする商標登録第5489484号(甲38の8) ④第29類
, 「カ

ルシウムを主原料とする錠剤状・粉末状又は液状の加工食品」を指定商品とする商
標登録第5522792号(甲38の9・10)
(b) 欧文字「AAA」を一般的な書体で横書きして成る商標について,
第3類「家庭用帯電防止剤」等を指定商品とする商願2010-069442号(甲
38の1~3)
(c) 上段に欧文字「AAA」,下段に片仮名「トリプルエー」を一般的
な書体で上下二段に横書きして成る商標について,第4類「工業用油」を指定商品
とする商標登録第4585281号(甲38の4)
(d) 上段に片仮名「トリプルエー」,下段に欧文字「AAA」を一般的
な書体で上下二段に横書きして成る商標について,第25類「被服」等を指定商品
とする商標登録第4840954号(甲38の6)
(イ) 前記(ア)によると,欧文字「AAA」は,金融商品又は企業・政府など
の信用状態に関する評価である長期格付の最高位を表す格付記号として,一般に知
られていることが認められる。
また,欧文字「AAA」は,信用格付けにおける長期格付だけでなく,CSR(企
業の社会的責任)に関する人材活用,環境,企業統治,社会性の指標における格付
けや,保険代理店における売上規模,要員体制,業務品質,組織管理,販売力・増
収力等に基づく格付けにも用いられていたことが認められる。
さらに,欧文字「AAA」は,本件商標の査定日(平成29年2月21日)前に
おいて,データセンターのセキュリティー水準の格付け,食の安全を担保する業務
の達成度の評価,カンパニー制における各カンパニーや工場に対する社内格付け制
度,排出量の削減実績などにおいても,最上級の評価として用いられていたほか,
東京都知事選挙の立候補予定者に対する評価や超大型ゲームに対する評価にも用い
られていたことが認められる。
(ウ) 前記(イ)認定の事実に,我が国の学校の成績や各種評価においても,A
を最上位とするABC評価が一般的な評価手法の一つであることをも考え併せると,

最上を意味する「A」を重ねた「AAA」は,本件商標の査定日(平成29年2月
21日)において,信用格付けにおける長期格付にとどまらず,一般に,最上位又
は優良な評価を意味する表示であると認識されていたものと認められる。
前記(ア)のとおり,本件商標の査定日後には,化粧品の分野においても,欧文字「A
AA」を品質の優良性を示す趣旨で使用した,被告の商品を含む商品が複数のメー
カーから販売されているが,これも,化粧品の取引者,需要者において,「AAA」
が最上位又は優良な評価を意味する表示であると認識されることを期待したもので
あるから,上記認定に沿うものということができる。
エ 本件商標の構成部分の一部による類否判断の可否
前記イ,ウによると,本件商標の構成部分である欧文字「BULK」は,本件商
標の指定商品の取引者,需要者に,出所識別標識として認識されるものである一方,
欧文字「AAA」は,最上位又は優良な評価を意味する表示であると認識されるも
のであるから,欧文字「BULK」の部分が取引者,需要者に対し商品の出所識別
標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
したがって,本件商標と引用商標2の類否判断に当たり,本件商標の構成部分で
ある欧文字「BULK」の部分を抽出し,この部分だけを引用商標2と比較して商
標そのものの類否を判断することが許される。
オ 被告の主張について
(ア) 被告は,「BULK」は通常の辞書に載っている一般的な英単語であ
り,これ単独で造語とみなされて強い識別力を発揮することはないし,「BULK」
は,化粧品分野では,化粧品の中身を意味する語として広く一般に使用されている
から,より一層識別力の弱い語であるなどと主張する。
しかし,前記イのとおり,欧文字「BULK」は,
「船舶のばら積みの貨物」など
を意味する英単語として知られていたのであり,本件商標の指定商品である「化粧
品,せっけん類,香料,薫料,歯磨き」に付された本件商標に接した取引者,需要
者において,
「化粧品の中身」を意味する語として知られていたことを認めるに足り

る証拠はないから,本件商標について出所識別標識としての機能を十分に果たすも
のということができる。
(イ) 被告は,本件商標の構成中「AAA」の文字は,それ単体での商標登
録が認められる識別力のある語であるし,
「AAA」が本件商標の指定商品において
品質表示として用いられている事実はないなどと主張する。
しかし,欧文字「AAA」が,信用格付けにおける長期格付にとどまらず,一般
に,最上位又は優良な評価を意味する表示であると認識されていることは,前記ウ
のとおりである。
前記ウ(ア)iのとおり,欧文字「AAA」についての商標登録例・査定例も認めら
れるが,本件商標が欧文字「AAA」の前に欧文字「BULK」を組み合わせて成
る商標であり,
「AAA」による最上位又は優良な評価が「BULK」に対し向けら
れているものと容易に認識することができるのに対し,上記商標登録例 査定例は,

いずれも,欧文字「AAA」のみ又は片仮名「トリプルエー」と組み合わせて成る
商標であって,欧文字「AAA」の前に異なる単語を組み合わせた商標ではないか
ら,上記商標登録例・査定例の存在は,前記エの判断を左右するものではない。
(ウ) 被告は,本件商標は,全体としてまとまりよく一体に表されているし,
「バルクトリプルエー」の称呼も無理なく一連に称呼し得るから,一体不可分の商
標というべきものであるなどと主張する。
しかし,前記アのとおり,本件商標は,
「BULK」と「AAA」との間に1文字
分の空白があるから,
「BULK」と「AAA」との複数の構成部分を組み合わせた
ものと容易に理解されるところ,前記イのとおり,
「BULK」は,出所識別標識と
して認識されるものである一方,前記ウのとおり,
「AAA」は,最上位又は優良な
評価を意味する表示であると認識されるものであるから,本件商標全体がまとまり
よく一体に表されていることや,
「バルクトリプルエー」の称呼が無理なく一連に称
呼し得ることを考慮しても,本件商標に接した取引者,需要者において,本件商標
を一体不可分の商標と認識するものということはできない。

(3) 引用商標2について
ア 引用商標2の構成態様
引用商標2は,前記2の3(1)イのとおり,上段に「BULKHOMME」と横書
きし(以下,この部分を「上段部分」という。 ,下段左側に「SIMPLE/LU

XURY」と二段に横書きし(以下,この部分を「下段左側部分」という。,縦線

を挟んで,下段右側に「TRUE LUXURY IS ABOUT/SIMPL
ICITY.THIS IS WHAT/OUR BRAND IS BASED
UPON.」と三段に横書きして(以下,この部分を「下段右側部分」という。)
成るものであり,複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解される。
そして,その構成文字の書体や大きさ等を見ると,上段部分は,同じ大きさで等
間隔に記載されているが,
「BULK」は「HOMME」に比し線幅が略2倍の太文
字で記載されている。また,上段部分と下段左側部分,下段右側部分との縦(上下
方向)の幅は略同一であるから,下段左側部分の文字は,上段部分の文字の略2分
の1の大きさであり,下段右側部分の文字は,上段部分の文字の略3分の1の大き
さである。
上記認定の構成態様によると,上段部分は,引用商標2に接した取引者,需要者
に対し,下段左側部分,下段右側部分に比し,商品の出所識別標識として強く支配
的な印象を与えるものと認められる。
もっとも,上記認定のとおり,上段部分においても,欧文字「BULK」が欧文
字「HOMME」に比し線幅が略2倍の太字で記載されているから,上段部分が一
体として商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるの
か,欧文字「BULK」又は「HOMME」の一方が商品の出所識別標識として強
く支配的な印象を与えるものと認められるのかを,更に検討する。
イ 欧文字「BULK」について
前記(2)イと同様に,欧文字「BULK」は,本件商標の査定日において,本件商
標の指定商品の取引者,需要者に,引用商標2の指定商品(男性用の化粧品,男性

用のおしろい,男性用の化粧水,男性用のクリーム,男性用の紅,男性用の頭髪用
化粧品,男性用の香水類,男性用のせっけん類,男性用の歯みがき,男性用の香料,
男性用の薫料,男性用のつけづめ,男性用のつけまつ毛)に関連する用語として知
られていたものではないから,上記指定商品との関係において,出所識別標識とし
て認識されるものということができる。
ウ 欧文字「HOMME」について
(ア) 後掲の証拠及び弁論の全趣旨によると,欧文字「HOMME」につい
て,次のとおり,認められる。
a 欧文字「HOMME」と綴りを同じくする「homme」 「人間,
は,
人類,男,男性」などの意味を有するフランス語である(仏和大辞典,白水社,昭
和56年4月25日)。日本語の辞書にも,「オム【homme】」は,「①男性。人
間。②ファッションで男性用。を意味する語として収載されており
」 (大辞林第三版,
三省堂,平成18年10月27日),また,カタカナ語辞典には,「オム【homm
e】」として,「男性。転じて衣服が男性用であることを示す。(カタカナ語・略語

辞典第三版,旺文社,平成12年8月25日)「①人間。男。②男物。(コンサイ
, 」
スカタカナ語辞典第3版,三省堂,平成17年1月20日)の意味を有する語とし
て収載されている。
b 株式会社トップインターナショナル営業企画部において,化粧品類
の小売店への販売を担当しているAは,陳述書において,化粧品業界においては男
性用化粧品について女性用化粧品と差別化するためにフランス語で「男性」を意味
する「HOMME」を商品等に表示することが普通に行われており,一般消費者も
「HOMME」を男性用の商品を示す語と理解していると思われる旨陳述している
(甲34)。
c(a) 原告は,平成25年4月に,メンズコスメブランドとして「BU
LK HOMME」というブランドを立ち上げ,平成26年6月までに,東急ハン
ズ及びLoFtといった店で取り扱われるようになり,平成29年11月1日まで

に,オンラインストアのほか,全国500店舗以上の小売店,ヘアサロンで提供さ
れ,累計100万個以上を販売した(甲52,59)。
(b) 原告のウェブサイトには,平成30年2月9日現在,
「ABOUT
US」とのページにおいて,「BULKとは英語で『容器の中身』,HOMMEは
フランス語で『男性』を表します。」との記載がある(甲36の1)。
(c) オムニ7-ロフトのウェブサイトには,平成30年2月9日現在,
「BULK HOMME」のページにおいて,
「BULKとは英語で『容器の中身』,
HOMMEはフランス語で『男性』を表します。」との記載がある(甲36の3)。
d 平成26年1月7日発行のSteady.(ステディ.)2014年
1月号には,
「ステディな彼へのギフト」として,
「ジェラートピケ・オムのガウン」
が紹介されており,
「ジェラートピケ ルミネエスト新宿店」で販売されていること
が記載されている。また,同誌には,同じ頁に「BULK HOMME」も掲載さ
れている。(甲14)
e 平成29年8月頃発行のMADURO(マデュロ)2017年8月
号には,男性用スキンケア商品として,GUINOT HOMME(ギノーオム)
のアイジェルが紹介されており,販売元がギノージャパンであることが記載されて
いる。また,同誌には,同じ頁に「BULK HOMME」も記載されている。
(甲
111)
f 平成30年6月18日現在,男性向け衣料品のブランドとして,
「M
ICHEL KLEIN homme」「23区
, HOMME」「agnès
, b.
HOMME」 TÊTE

「 HOMME」というブランドが存在する(甲24~27)。
平成30年10月30日現在,オッペン化粧品株式会社の男性用化粧品のブラン
ドとして「OPPEN HOMME(オッペン オム),株式会社ユーグレナのメ

ンズスキンケアのブランドとして「B.C.A.D.HOMME」というブランド
が存在する(甲81,82)。
平成30年11月5日現在,イオン株式会社のメンズコスメのブランドとして「B

EAUTE HOMME」 クリスチャン・ディオールの男性用フレグランスのブラ

ンドとして「DIOR HOMME(ディオール オム)」というブランドが存在す
る(甲83,84)。
g 欧文字「HOMME」について,次の商標登録例・公告例がある。
(a) 欧文字「HOMME」を一般的な書体で横書きして成る商標につ
いて,第26類「印刷物」等を指定商品とする商標出願公告平2-27814号(乙
2の2)
(b) 上段に片仮名「オム」,下段に欧文字「HOMME」を一般的な書
体で上下二段に横書きして成る商標について,第30類「コーヒー及びココア」等
を指定商品とする商標登録第4782427号(乙2の1)
(c) 上段に欧文字「HAGU HOMME」下段に片仮名
, 「ハグオム」
を一般的な書体で上下二段に横書きして成る商標について,第3類「家庭用帯電防
止剤,せっけん類,化粧品,香料」等を指定商品とする商標登録第5894592
号(甲45の1)。なお,上段に欧文字「HUG」,下段に片仮名「ハグ」を一般的
な書体で上下二段に横書きして成る商標について,第3類「せっけん類,香料類,
化粧品」等を指定商品とする商標登録第4427083号が存在する(甲45の2)。
(イ) 前記(ア)によると,欧文字「HOMME」は,「男性」の意味を有する
フランス語であるところ,我が国においても,本件商標の査定日(平成29年2月
21日)の10年以上前から,日本語の辞書や複数のカタカナ語辞典において,男
性用のものを意味する語として収載されていたことが認められる。また,化粧品業
界の関係者が,男性用化粧品には女性用化粧品と差別化するために「HOMME」
を商品等に表示することが普通に行われており,一般消費者も「HOMME」を男
性用の商品を示す語と理解していると思われる旨陳述しているところ,原告の商品
のみならず,多数のメーカーにおいて,男性用化粧品や衣料品のブランドに「HO
MME」を付加していること(本件商標の査定日後の事実については,上記陳述の
信用性を裏付ける限度で考慮する。)も,上記陳述を裏付けるものである。

そうすると,欧文字「HOMME」は,本件商標の査定日において,化粧品等の
分野では,男性用のものを意味する語として知られていたものと認められる。
エ 引用商標2の構成部分の一部による類否判断の可否
前記ア~ウによると,引用商品2の構成部分である「BULK」は,引用商標2
の指定商品との関係において,出所識別標識として認識されるものである一方,欧
文字「HOMME」は,引用商標2の指定商品が含まれる分野では,男性用のもの
を意味する語として認識される上,引用商標2の指定商品は男性用のものに限られ
ていること,「HOMME」は,「BULK」よりも細い字体で記載されていること
を併せて考慮すると,欧文字「BULK」の部分が取引者,需要者に対し商品の出
所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
したがって,本件商標と引用商標2の類否判断に当たり,引用商標2の構成部分
である欧文字「BULK」の部分を抽出し,この部分だけを本件商標(前記(2)のと
おり,本件商標の構成部分である欧文字「BULK」の部分)と比較して商標その
ものの類否を判断することが許される。
オ 被告の主張について
(ア) 被告は,化粧品分野では,化粧品との関係において,「BULK」(バ
ルク)との文字列又は呼称は,化粧品の中身を意味する語として広く一般に使用さ
れており,特定の企業を指す語として使用されていないなどと主張する。
しかし,欧文字「BULK」が,本件商標の取引者,需要者に,化粧品の中身を
意味する語として知られていたものではないことは,前記イのとおりである。
(イ) 被告は,引用商標2の上段の「BULK」の文字が引用商標2の全文
字数に占める割合は,ごくわずかであるし,面積を基準にしても,上段の「BUL
K」の文字部分が引用商標2全体に占める割合は1/4未満であるなどと主張する。
しかし,引用商標2の構成文字の書体や大きさ等によると,引用商標2に接した
取引者,需要者に対し,上段部分が,下段左側部分及び下段右側部分に比し,商品
の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることは,前記アのとおりであり,

「BULK」と「HOMME」の書体に加え,意味内容等をも考慮すると,
「BUL
K」が引用商標2の要部と認められることは,前記ア~エのとおりである。このこ
とは,商標中の全文字数や面積に占める割合が低いことによって左右されるもので
はない。
(ウ) 被告は,引用商標2の構成中,出所識別標識として認識される部分が
「BULK」ではないことは,原告自身も,本件審判の審判請求書における請求の
理由中で「次に,引用商標2は,上記のとおりの構成よりなるところ,出所識別標
識として認識される構成部分は上段の『BULKHOMME』の文字部分であり ・ 」
・・
と自認しているなどと主張する。
しかし,結合商標の構成部分の一部による類否判断が認められるか否かは,前記
(1)のとおりであって,商標権者の主観的な認識により商標の要部が左右されるも
のではないし,上記の審判請求書中の記載によって,引用商標2の要部が「BUL
K」である旨の主張をすることが信義則上許されなくなるものともいえない。
(エ) 被告は,
「HOMME」の称呼は「オム」と短い2音であり,前後の言
葉と相まって一連になりやすい語であり,「バルクオム」の呼称も5音と短いこと,
原告の名称は「株式会社バルクオム」であり,フランス語を理解できる者が少ない
我が国では片仮名の「オム」から「男性」という観念が想起されることはなく,原
告の商標は「バルクオム」と一連で認識されていることを考慮すると,「BULK」
ではなく「BULKHOMME」が要部であるなどと主張する。
しかし,
「BULK」 「HOMME」
と の書体に加え,意味内容等をも考慮すると,
「BULK」が引用商標2の要部と認められることは,前記ア~エのとおりであっ
て,このことは,「HOMME」の称呼が短い2音であり,「バルクオム」の称呼も
5音と短いことや原告の名称によって左右されるものではない。
(オ) 被告は,
「BULK」の文字部分が,他の文字部分と比べて太い書体で
強調表示されており,
「BULK」の文字部分が需要者に対して強く支配的な印象を
与える旨の原告の主張が認められると,自他識別力がないか,特定人に独占させる

ことが不適当であること等の理由により商標登録の要件(商標法3条1項各号)を
満たさない文字列を太い書体にして,他の文字部分を付加して登録すれば,上記商
標登録の要件を満たさない文字列を特定の者が独占して利用できるということにな
り,商標法3条1項の趣旨を没却する不合理な結論になるなどと主張する。
しかし,引用商標2の指定商品との関係において,
「BULK」が出所識別機能を
有することは,前記イのとおりであるから,被告の主張は前提を欠くものである。
(カ) 被告は,原告指摘の甲24~27,81~84には,
「HOMME」又
は「オム」以外に男性用化粧品であることが分かる表記(男性用であることが分か
る文字,又は男性の写真等)が併記されているが,そのような併記があること自体
が,各証拠の作成者が「HOMME」又は「オム」の単独表記では需要者に男性用
であることを看取させることができないと考えたからに他ならないし,「HOMM
E」は,我が国においてフランス語が普及していないことを考慮すると,特定の商
品・役務等と結びつき難く,一般に識別力は強いと評価されるべきであり,
「HOM
ME」単独での商標登録も認められている(乙2の1・2)などと主張する。
しかし,欧文字「HOMME」が,我が国においても,引用商標2の指定商品が
含まれる分野では,男性用のものを意味する語として知られていたことは,前記ウ
のとおりである。被告指摘の証拠に,男性用であることが分かる表記(男性用であ
ることが分かる文字,又は男性の写真等)が併記されていることは,男性用の商品
の広告という性質から当然のことであり,そのような併記があることから,
「HOM
ME」の単独表記では需要者に男性用であることを看取させることができないと理
解されていたということはできない。また,我が国におけるフランス語一般の普及
の程度は,前記ウの認定を左右するものではない。さらに,被告指摘の商標登録例
等があることは,前記ウ(ア)gのとおりであるが,引用商標2は,男性用を意味する
「HOMME」の前に異なる単語「BULK」を組み合わせたものであり,その指
定商品も男性用のものである点において,前記ウ(ア)g(a)(b)の商標登録例とは異
なる。同(c)の商標登録例も,その指定商品は,男性用と女性用を区別したものでは

なく,直ちに「HOMME」が出所識別機能を有することを示すものということは
できず,前記ウの認定を左右するものとはいえない。
(キ) 被告は,仮に,引用商標2の「BULK」の文字部分が需要者に対し
て強く支配的な印象を与え,
「HOMME」の文字部分から単独の出所識別標識とし
ての観念,称呼は生じないとしても,それらを総合考慮した結果は,原告が「BU
LK」部分を太字にした「BULKHOMME」という文字列(造語)を原告の商
品を識別する標識として使用し,需要者はこの「BULKHOMME」をもとに原
告の商品の出所を識別していると評価できるにすぎないから,
「BULK」の文字部
分が需要者に出所識別標識として強く支配的な印象を与える構成要素に当たるとは
いえないなどと主張する。
しかし,被告の主張を採用できないことは,前記エのとおりである。
(4) 本件商標と引用商標2の類否判断
ア 前記(2),(3)のとおり,本件商標の要部と引用商標2の要部は,いずれ
も,欧文字「BULK」であるから,その外観は類似し,観念及び称呼は一致する。
したがって,本件商標と引用商標2とは,類似する。
イ そして,前記第2の1のとおり,本件商標の指定商品は,第3類「化粧
品,せっけん類,香料,薫料,歯磨き」であり,同3(1)イのとおり,引用商標2の
指定商品には,第3類「男性用の化粧品,男性用のせっけん類,男性用の香料,男
性用の薫料,男性用の歯磨き」が含まれるから,本件商標の指定商品と引用商標2
の指定商品とは,類似する。
ウ 以上によると,本件商標は,その査定日において,その商標登録出願の
日前の商標登録出願に係る他人の登録商標である引用商標2に類似する商標であっ
て,その商標登録に係る指定商品に類似する商品について使用をするものであるか
ら,商標法4条1項11号に該当し,商標登録を受けることができないものである。
2 結論
以上によると,取消事由1は理由があるから,その余の取消事由を考慮するまで

もなく,審決にはその結論に影響を及ぼす違法がある。
よって,原告の請求を認容することとして,主文のとおり判決する。


知的財産高等裁判所第2部


裁判長裁判官
森 義 之


裁判官
森 岡 礼 子


裁判官
古 庄 研

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