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平成30(行ケ)10166審決取消請求事件

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裁判所 請求棄却 知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和1年6月20日
事件種別 民事
当事者 被告特許庁長官尾崎淳史
原告株式会社バンダイナムコエン
対象物 プログラム及びサーバ
法令 特許権
特許法29条2項1回
キーワード 実施64回
審決19回
分割3回
拒絶査定不服審判1回
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事件の概要 本件は,特許出願拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟 である。

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判決文

令和元年6月20日判決言渡
平成30年(行ケ)第10166号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 令和元年6月4日
判 決

原 告 株式会社バンダイナムコエン
ターテインメント

同訴訟代理人弁護士 髙 橋 淳
同訴訟代理人弁理士 布 施 行 夫
大 渕 美 千 栄
庄 司 亮

被 告 特許庁長官
同 指 定 代 理 人 吉 村 尚
尾 崎 淳 史
野 崎 大 進
豊 田 純 一
主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
特許庁が不服2017-13961号事件について平成30年10月12日にし
た審決を取り消す。
第2 事案の概要

本件は,特許出願拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟
である。
1 特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「プログラム及びサーバ」とする発明につき,平成25年
8月6日,特許出願(特願2013-163415号。以下「本願」という。 をし,

同年12月1日,手続補正をした(乙1)が,平成29年6月13日付けで拒絶査
定を受けたので,同年9月20日,拒絶査定不服審判請求をした。特許庁は,上記
審判請求を不服2017-13961号として審理し,平成30年10月12日,
「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,
同審決謄本は,同月24日,原告に送達された。
2 本願発明の要旨
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,以下のとおり
である(乙1,2)。
「マッチング処理を行うサーバのプログラムであって,
プレーヤキャラクタの情報を記憶部に記憶する処理を行う記憶処理部と,
第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキャラクタが登場する対戦ゲーム
に参戦可能な複数のキャラクタの中から,第3者キャラクタを抽出し,当該第1の
プレーヤキャラクタ及び当該第2のプレーヤキャラクタに当該第3者キャラクタを
マッチングする設定処理を行うマッチング処理部として,コンピュータを機能させ,
前記マッチング処理部が,
前記第1のプレーヤキャラクタの情報及び前記第2のプレーヤキャラクタの情報
の組み合わせに基づいて,前記対戦ゲーム開始前に第3者キャラクタを抽出するこ
とを特徴とするプログラム。」
3 本件審決の理由の要点
(1) 引用発明の認定
特開2011-56129号公報(甲1。以下,「引用文献1」という。)には,

以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「ゲーム端末1の制御部16はゲーム端末1の全体の動作を制御するものであって,
ゲームの進行全般に関する処理,画像表示処理の他,種々の情報処理を行う情報処
理部(CPU)161と,処理途中の情報等を一時的に格納するRAM162と,
所定の画像情報及びゲームプログラム及び第三者キャラクタの画像が所要数予め記
憶されたROM163とを備え,
制御部16のCPU161は,RAM162上に保持されたゲームプログラム,
制御プログラムを実行することによって,プレイヤからのゲームへの参加を受け付
ける受付処理部161aと,ゲームの開始から終了までの一連の進行を制御して射
撃ゲームを進行させるゲーム進行制御部161bと,自己プレイヤキャラクタの相
手プレイヤキャラクタのスコアの大小を比較するスコア比較部161jと,コンピ
ュータによって制御されるNPC(Non player Character)
を仮想ゲーム空間に登場させ,対戦ゲームの優劣バランスを図るNPC制御部16
1kとして機能し,
制御部16のRAM162は,同じ仮想ゲーム空間での対戦ゲーム中のゲーム途
中経過情報が,逐次プレイヤ毎に,味方,相手側の全プレイヤについて更新的に記
憶される途中経過情報記憶部162aと,スコア情報を記憶する設定情報記憶部1
62bとを備え,
スコア比較部161jは,グループ対戦ゲームにおいて,味方側のキャラクタと
相手側のキャラクタの各スコアの集計をし,両集計スコアの大小を比較するもので
あって,ゲーム開始時点では,スコアが全て0なので,味方側及び相手側の各キャ
ラクタの過去のグループ対戦ゲームにおけるスコアをサーバ3から取得し,味方側
及び相手側の各キャラクタの各スコアを集計して,その大小を比較するものであっ
て,
NPC制御部161kは,スコア比較部161jの比較結果に基づいて,仮想ゲ
ーム空間へのNPCの登場処理又は参戦処理を実行させるものであって,参戦処理

は,対戦状況の調整であって,スコアの低い方(弱い側)のグループ(チーム)を
支援する第三者勢力としてのNPCを登場させ,できるだけ拮抗したグループ対戦
を通して,面白味や緊張感のあるゲーム展開を実現するために行われ,スコア比較
部161jによる両集計スコアの大小比較での差が所定の閾値以上である場合に,
NPCを登場させるものとして機能するものであり,
さらに,NPC制御部161kは,NPCに対して味方側,相手側の各集計スコ
アの差に応じた,集計スコアの小さい側への支援度合いを設定し,
ゲーム端末1のCPU161のゲームプログラムによって実行されるゲーム処理
の手順は,
グループ対戦ゲームでのプレイヤの選定が成立したのであれば,サーバ3から送
信される,マッチングが成立したプレイヤのプレイヤ情報及び所定のスコア情報の
受信が行われ,受信したスコアから支援度合いの設定処理が実行され,この大小比
較における差が閾値以上であれば,差に応じた支援度合いが設定され,NPCが登
場する処理が実行され,
ゲーム開始時には,ゲーム開始から1分までにおける支援度合いが設定されてお
り,
支援度合いに応じて,NPC人数を増減設定する態様としてもよく,差分に応じ
たNPCの登場数の対照表を予め準備しておき,算出された差分に応じてNPCの
数を設定することで,NPCの数で支援度合いに対応するので,NPCの強さ自体
は一律とすることもできる,
1対1ゲームにも適用可能であるゲームプログラム。」
(2) 本願発明と引用発明1との対比
ア 一致点
「マッチング処理を行うプログラムであって,
プレーヤキャラクタの情報を記憶部に記憶する処理を行う記憶処理部と,
第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキャラクタが登場する対戦ゲーム

に参戦第3者キャラクタを抽出し,当該第1のプレーヤキャラクタ及び当該第2の
プレーヤキャラクタに当該第3者キャラクタをマッチングする設定処理を行うマッ
チング処理部として,コンピュータを機能させ,
前記マッチング処理部が,
前記第1のプレーヤキャラクタの情報及び前記第2のプレーヤキャラクタの情報
の組み合わせに基づいて,前記対戦ゲーム開始前に第3者キャラクタを抽出するプ
ログラム。」
イ 相違点
(ア) 相違点1
第1のプレーヤキャラクタの情報及び第2のプレーヤキャラクタの情報の組み合
わせに基づいて,第3者キャラクタを抽出するという,第1のプレーヤキャラクタ
及び第2のプレーヤキャラクタに第3者キャラクタをマッチングする設定処理に関
して,本願発明は,
「複数のキャラクタの中から,第3者キャラクタを抽出」してい
るのに対して,引用発明1は,「NPC人数を増減設定」している点。
(イ) 相違点2
本願発明は,マッチング処理を行うサーバのプログラムが「マッチング処理部」
として,コンピュータを機能させているのに対して,引用発明1において,「マッ
チング処理部」に相当する構成は,ゲーム端末1のゲームプログラムがコンピュー
タを機能させている点。
(3) 相違点についての判断
ア 相違点1について
相違点1に係る本願発明の発明特定事項は,第1のプレーヤキャラクタの情報及
び第2のプレーヤキャラクタの情報の組合せに基づいて複数のキャラクタの中から
特定のキャラクタを抽出することであるところ,ゲームの技術分野において,複数
のキャラクタの中から,ゲームのキャラクタの情報に応じて特定のキャラクタを抽
出することは周知技術(以下,「周知技術1」という。)にすぎない。周知技術1を

示す文献には,特開2008-206800号公報(以下「引用文献2」という。
甲2),特開2002-18142号公報(以下「引用文献3」という。甲3),特
開2001-243153号公報(以下「引用文献4」という。甲4)がある。
引用発明1の「NPC人数を増減設定」することは,NPCの人数によって,味
方側及び相手側の各キャラクタの各スコアの差によって決定された支援度合いに応
じたNPC全体としての能力(強さ)を設定することを意味しており,引用発明1
と周知技術1とは,ゲームという技術分野に属する点,及びユーザーのレベル等に
応じた相手側キャラクタを抽出するという内在する課題を有する点で共通するから,
引用発明1の「NPC人数を増減設定」に,上記周知技術1を適用して,相違点1
に係る本願発明の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得たものであ
る。
イ 相違点2について
(ゲーム)サーバー,及び(プレーヤの)ゲーム端末とが,インターネットなど
のネットワークに接続可能なゲームシステムは広く知られており,そのようなゲー
ムシステムにおいて,
(ゲーム)サーバー,及び(プレーヤの)ゲーム端末のいずれ
にもコンピュータが備えられていること,プログラムとは,コンピュータに何らか
の処理を行わせる,つまり何らかの処理の処理部としてコンピュータを機能させる
ものであることは自明である。
また,ゲームの技術分野において,マッチング処理を含むゲームのプログラムを,
(プレーヤの)ゲーム端末で実行するか,
(ゲーム)サーバーで実行するか,すなわ
ち,(プレーヤの)ゲーム端末のプログラムがコンピュータを機能させ」ること,

及び「(ゲーム)サーバのプログラムがコンピュータを機能させ」ることは,引用文
献をあげるまでもなく,両者とも周知技術(以下,
「周知技術2」 「周知技術3」
及び
という。)である。
そして,ゲームプログラムによってコンピュータを機能させるに当たり,周知技
術2である「(プレーヤの)ゲーム端末1のコンピュータ」とするか,周知技術3の

「(ゲーム)サーバのコンピュータ」とするかは,当業者が適宜選択しうるものであ
って,本願発明のように周知技術3の「(ゲーム)サーバのコンピュータ」を選択し
て,相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは,課題を解決するための
技術の具体的適用に伴う設計的事項の採用であって,当業者の通常の創作能力の発
揮にすぎないから,当業者が容易に想到し得たものである。
(4) よって,本願発明は,引用発明1並びに周知技術1~3に基づいて,当業者
が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項により特許を
受けることはできない。
第3 原告主張の審決取消事由
1 取消事由1(本願発明と引用発明1との対比の誤り)
本願発明と引用発明1との相違点は以下のとおりであり,これと異なる本件審決
の認定は誤りである。
(1) 相違点A
以下のとおり,本願発明と引用発明1とは,優劣判断の局面における「プレーヤ
キャラクタ」の意味が異なる。すなわち,本願発明の「プレーヤキャラクタ」は,
プレーヤ(対戦者)が操作するキャラクタであるのに対し,引用発明1の「キャラ
クタ」
(又は「プレイヤキャラクタ」)は,
「キャラクタ」を操作する「プレーヤ」を
意味するものであるから,本件審決の認定した引用発明1の「味方側のキャラクタ」
及び「相手方のキャラクタ」は,本願発明の「第1のプレーヤキャラクタ」及び「第
2のプレーヤキャラクタ」に相当するものではなく,本願発明と引用発明1とでは
この点で相違する(同相違点を以下「相違点A」という。 。

ア 本願発明について
(ア) 本願発明は,対戦者同士の操作経験に基づくゲーム優劣のアンバラン
スを第3者キャラクタを登場させることにより調整する従来技術が,対戦ゲームと
しての面白みに欠けるという課題を有することを前提として(段落【0004】,

当該課題を解決するため,第1のプレーヤキャラクタの情報及び第2のプレーヤキ

ャラクタの情報の組合せに基づいて第3者キャラクタを抽出し(段落
【0007】,

第1及び第2のプレーヤキャラクタが登場する対戦ゲームにおいて,当該対戦ゲー
ムを盛り上げることが可能な第3者キャラクタをマッチングするものである(段落
【0005】【0006】。
, )
そして,「プレーヤキャラクタの情報」とは,プレーヤキャラクタの「レベル」,
「属性」及び「キャラクタに対応付けて登録されているパラメータ(「攻撃力」「防

御力」「スコア」「経験値」及び「体力値」 」を意味するものであることが,本願
, , )
に係る明細書及び図面(以下「本願発明書等」という。)の段落【0105】に明記
されているところ,「レベル」については,例えば,段落【0106】に,「参戦可
能なキャラクタの中から,レベル30以上の第3者キャラクタを抽出してもよい」
と記載されているように,プレーヤが存在しない第3者キャラクタにおいても想定
されるものであるから(段落【0106】~【0112】,プレーヤではなく操作

の客体である「キャラクタ」に関する情報であることが明らかであり,また,
「属性」
とは,
「キャラクタの特性を示す情報」であることが明記されており(段落【011
3】,それが,プレーヤに関する情報であるという解釈は成り立たず,さらに,
) 「パ
ラメータ」は,
「キャラクタに対応付けて登録されている」ものであることが明記さ
れており(段落【0105】,それが,プレーヤに関する情報であるという解釈は

成り立たない。
したがって,
「プレーヤキャラクタの情報」は,プレーヤではなく操作の客体であ
る「キャラクタ」に関する情報であると解する他はない。
(イ) 被告は,
「レベル」の意味について,段落【0097】【0125】の

記載を根拠として,プレーヤのスキル(技量)であると主張するが,これらの記載
は,第3者キャラクタの抽出に関するものではなく,第1のプレーヤキャラクタと
第2のプレーヤキャラクタのマッチングに関するものであるから,第3者キャラク
タの抽出の局面における「レベル」の意味を解釈するための考慮要素にはならない。
また,そもそも,名詞の結合という構成の語句の場合,前の名詞(プレーヤ)は

後の名詞(キャラクタ)を修飾するものとして機能するから,プレーヤキャラクタ」

とは,「キャラクタを操作するプレーヤ」ではなく,「プレーヤが操作するキャラク
タ」を意味することが,特許請求の範囲の記載だけからも明らかである。
なお,段落【0097】の「第1,第2のプレーヤキャラクタのレベル(プレー
ヤの技量を示す技量情報)を参照し」という文章は,そこでいう「レベル」という
文言が「プレーヤの技量を示す技量情報を参照し」という定義を与えられているこ
とに照らして,第1,第2のプレーヤキャラクタを操作するプレーヤのレベル(プ
レーヤの技量を示す技量情報を参照し)という趣旨であり,また,段落【0125】
の「同じプレーヤ同士で対戦することに面白みを感じないプレーヤも多い」という
文章は,その前後の記載が一貫して「プレーヤキャラクタ」のマッチングについて
言及していることに照らして,「同じプレーヤキャラクタ同士で対戦することに面
白みを感じないプレーヤも多い」という趣旨である。
イ 引用発明1について
(ア) 引用文献1の段落【0005】,
【0019】,
【0050】,
【0063】,
【0064】【図12】の記載を総合すると,引用発明1の特徴は,対戦者(プレ

ーヤ)同士の操作経験(スキル)の優劣に基づくゲーム優劣のアンバランスをコン
ピュータ制御による第三勢力(NPC)をゲームに登場させることにより調整し,
拮抗かつ緊張感のあるゲームを提供することにあり,したがって,引用文献1にい
う「プレイヤキャラクタ」は,優劣判断の局面においては,キャラクタを操作する
「プレーヤ」を意味するものであり,また,
「スコア」は,
「プレーヤ」
(対戦者)の
操作経験(スキル)を数値化したものを意味すると解するべきである。
それゆえ,例えば,段落【0041】にいう「自己プレイヤキャラクタ」は,自
己キャラクタを操作(プレイ)する「プレーヤ」を意味するものである。また,段
落【0050】にいう「スコア」は,自己プレーヤキャラクタを操作(プレイ)す
る「プレーヤ」自身の(ゲーム実行中の)スコア(操作経験=スキル)を数値化し
たものを意味する。さらに,段落【0064】にいう「スコアの低い方(弱い側)

のグループ」とは,複数のプレーヤが敵,味方のグループ(チーム)に分かれて対
戦するグループ対戦について,自己プレーヤキャラクタを操作(プレイ)する「プ
レーヤ」自身のスコア(操作経験=スキル)の合計を意味するものである。
この点に関し,段落【0063】には,
「味方側のキャラクタと相手方のキャラク
タの各スコアを集計し,両集計スコアの大小を比較するものである」との記載があ
るが,ここにいう「味方側のキャラクタと相手方のキャラクタの各スコア」は,
「味
方側のプレイヤと相手方のプレイヤの各スコア」の誤記である。なぜなら,このよ
うに解さないと,引用文献1における「発明が解決しようとする課題」の記載(段
落【0005】,
)「発明の効果」の記載(段落【0019】)と整合しない上,図1
2のS3の「マッチングしたプレイヤのプレイヤ情報,スコア情報をサーバから受
信」という記載の趣旨(支援度合いの設定に際しプレイヤのスコア情報を用いる)
に反するからである。
(イ) 被告は,引用発明1の「プレイヤキャラクタ」の意味について,引用文
献1の段落【0009】の記載を根拠として,
「キャラクタ」のことであると主張す
る。
しかし,引用発明1にいう「プレイヤキャラクタ」は,優劣判断の局面において
は,
「プレイヤ」を意味するものである。被告が引用する段落【0009】の指摘部
分は,プレイヤがキャラクタの動作を指示する操作を行い,これによって対戦ゲー
ムが実行されることを説明しているだけであり,優劣判断の対象(判断要素)につ
いて述べたものではない。
(2) 相違点B
ア 本願発明においては,
「第1のプレーヤキャラクタ」及び「第2のプレー
ヤキャラクタ」は,いずれもプレーヤにより選択されるものであるのに対し,引用
発明1では,その点が明記されていないという相違点がある(同相違点を以下「相
違点B」という。。

イ 被告は,本願発明特定事項においては,
「第1のプレーヤキャラクタ」及

び「第2のプレーヤキャラクタ」が,それぞれ,二人の対戦者(プレーヤ)により
選択されたものであることについて,何ら特定されていないと主張をする。
しかし,同主張は,特許請求の範囲の記載に対し「解釈」を施していないもので
あり,「記載自体」と「記載の解釈」を区別しない点において誤りである。
本願明細書等の段落【0098】は,複数のプレーヤキャラクタ同士で対戦を行
うグループ対戦によるマッチング処理についての記載であるところ,ここには「グ
ループ(チーム)として構成される複数のプレーヤキャラクタのまとまりを,一の
プレーヤが操作してもよい。」と記載されている。これは,対戦ゲームにおいては,
プレーヤが複数のプレーヤキャラクタを選択することによってグループが構成され
ていることを意味する。すなわち,段落【0098】には,プレーヤの操作対象と
なるプレーヤキャラクタは,固定されているものではなく,プレーヤにより選択さ
れることが示されており,このことから,本願発明の「プレーヤキャラクタ」は,
プレーヤにより選択されることが当然の前提であるといえる。
(3) 相違点C
本願発明においては,参戦する第3者キャラクタが複数の種類の第3者キャラク
タからコンピュータにより選択されるのに対し,引用発明1の参戦する第三勢力と
してのキャラクタは1種類であり,その数がコンピュータにより選択されるもので
あり,複数の種類の第3者キャラクタからコンピュータにより選択されるものでは
ないという相違点がある(同相違点を以下「相違点C」という。。

「抽出」という文言は,「全体の中からあるモノを抜き出すこと」(甲5の155
7頁)を意味するものであるから,その対象(客体)である「第3者キャラクタ」
がレベル又は属性等により区別される複数の種類のものであることは当然である。
このことは,本願明細書等の段落【0017】【0106】【0107】【011
, , ,
2】【0113】【0119】及び【0120】の記載からも明らかである。
, ,
(4) 本件審決が認定した相違点2
その他に,本願発明と引用発明1との間には,本件審決が認定した相違点2が存

在するが,同相違点2についての本件審決の判断については争わない。
2 取消事由2(容易想到性判断の誤り)
(1) 引用発明2及び3に記載の発明は,「コンピュータが制御するキャラクタ
の抽出方法」において相互に異なる方法を採用している。したがって,これらから
周知技術1を認定することはできない。
また,被告主張の周知技術1は,技術分野の異なる甲2~4から認定できる具体
的技術を抽象化したものであり,甲2~4に開示されているものではない。
(2)ア ゲームには,プレーヤアバターであるキャクター(プレーヤキャラクタ)
をコントローラーで操作し,ゲーム内でリアルタイムに起こる様々な課題や障害を
攻略していくゲームの総称であるアクションゲームがあり,このアクションゲーム
で使用するキャラクタ(プレーヤキャラクタ)をそれぞれ複数のプレーヤで用いて,
対戦するものが対戦アクションゲームと呼ばれているところ,本願発明は,アクシ
ョンゲームの中の対戦アクションゲームに分類されるもののうち,複数のプレーヤ
で対戦が実行され,対戦中に第3者キャラクタが登場するもの(第3者登場型)に
関するものである。
そして,本願発明は,第1のプレーヤキャラクタの情報及び第2のプレーヤキャ
ラクタの情報の組合せに基づいて第3者キャラクタを抽出するという解決手段を採
用し,当該第3者キャラクタの参戦により従来にない白熱した対戦ゲームを楽しむ
ことができるという格別の作用効果を奏するものである。
これに対し,引用文献2に記載の発明は,他装置の存在に応じてコンピュータが
制御するキャラクタの出現を変化させる仕組みを提供するものであり(段落【00
59】等),対戦アクションゲームに属するものである。また,引用文献3に記載の
発明は,プレーヤキャラクタのステータスにより出現するコンピュータが制御する
敵キャラクタを決定することにより戦いの緊張感を維持するものであり(段落【0
009】【0029】等)
, ,RPGゲームと対戦アクションゲームに属するものであ
る。さらに,引用文献4に記載の発明は,対戦アクションゲームとレースゲームに

分類されるものであり(段落【0006】【0007】等)
, ,コンピュータが制御す
るキャラクタは出現しない。
このように,いずれの引用発明も,本願発明と異なり,第3者登場型の対戦アク
ションゲームに関するものではないから,本願発明とは技術分野を異にするという
べきものである。また,引用文献2及び3に記載の発明は,コンピュータが制御す
るキャラクタを登場させるものであるものの,対戦する第1のプレーヤキャラクタ
の情報及び第2のプレーヤキャラクタの情報の組合せに基づいて適切な第三勢力を
抽出するという構成を有していない上,その抽出方法も相互に異なるものである。
したがって,引用発明1に周知技術1を適用する動機付けがあるとはいえない。
イ 被告の主張について
(ア) 被告は,本件審決が,引用発明1にいう「NPC人数を増減設定」する
ことを「キャラクタの能力(強さ)を設定」することと捉え,その手法の一つとし
て周知技術1を認定していると主張するが,仮に,本件審決がそう解したとしても,
そのような「捉え方」は,引用文献1には記載も示唆もなく,本願明細書等に接し
て始めて可能になったものであるから,後知恵という他ない。
(イ) 被告は,引用発明1と周知技術1とは,ゲームという技術分野に属する
点,及びプレーヤのレベル等に応じた相手側キャラクタを抽出するという内在する
課題を有する点で共通すると主張するが,本願発明の課題は「対戦者同士の操作経
験に基づくゲーム優劣のアンバランスを第3者キャラクタを登場させることにより
調整する従来技術が,対戦ゲームとしての面白みに欠ける」ことであり,プレーヤ
のレベル等に応じた相手側キャラクタを抽出するというものではないから,被告の
上記主張は失当である。
(3) 本願発明は,第3者キャラクタの参戦により従来にない白熱した対戦ゲー
ムを楽しむことができるという引用文献に記載の発明の作用効果とは異なる格別の
作用効果を奏する。
第4 被告の主張

1 取消事由1について
(1) 相違点Aについて
ア 原告は,引用発明1の「キャラクタ」は,
「キャラクタを操作する」プレ
イヤを意味するものであると主張する。
しかし,引用文献1の段落【0009】を参酌すると,引用発明1の「味方側の
キャラクタ(自己プレイヤキャラクタ)」及び「相手方のキャラクタ(相手プレイヤ
キャラクタ)」は,対戦ゲームにおいて,対戦者が操作して動作を指示しているキャ
ラクタである。
イ 原告は,引用文献1にいう「プレイヤキャラクタ」は,優劣判断の局面
においては,キャラクタを操作する「プレーヤ」を意味するものであり,また,
「ス
コア」は,「プレーヤ」(対戦者)の操作経験(スキル)を数値化したものを意味す
ると主張する。
しかし,前記アのとおり,本願発明の明細書の段落【0097】には, 「サーバ
20は,第1,第2のプレーヤキャラクタのレベル(プレーヤの技量を示す技量情
報)を参照し,第1,第2のプレーヤキャラクタのレベル差が生じないようにマッ
チングを行ってもよい。例えば,第1のプレーヤキャラクタと第2のプレーヤキャ
ラクタとのレベル差が10以内になるように第1,第2のプレーヤキャラクタのマ
ッチングを行う。」と記載されており,本願発明の「プレーヤキャラクタ情報」に含
まれる「レベル」は,
「プレーヤの技量を示す技量情報」である点で,引用発明1の
「スコア」と共通するものといえる。
また,本願明細書等の段落【0106】~【0112】に,本願発明の実施形態
として,「第1のプレーヤキャラクタと第2のプレーヤキャラクタのレベルに基づ
いて第3者キャラクタを抽出する」ことが記載されていることからすると,引用文
献1の「プレイヤキャラクタ」及び各プレイヤキャラクタの「スコア」は,優劣判
断の局面においても,本願発明の「プレーヤキャラクタ」及び「プレーヤキャラク
タの情報」と技術的意義において相違するものではない。

ウ 以上より,原告主張の相違点Aに係る取消事由は理由がない。
(2) 相違点Bについて
ア 本願発明について
(ア) 本願発明の特許請求の範囲の記載においては,
「第1のプレーヤキャラ
クタ及び第2のプレーヤキャラクタが登場する対戦ゲームに参戦可能な複数のキャ
ラクタの中から,第3者キャラクタを抽出し,当該第1のプレーヤキャラクタ及び
当該第2のプレーヤキャラクタに当該第3者キャラクタをマッチングする設定処理
を行うマッチング処理部」が「前記第1のプレーヤキャラクタの情報及び前記第2
のプレーヤキャラクタの情報の組合せに基づいて,前記対戦ゲーム開始前に第3者
キャラクタを抽出する」ことが特定されているのみであり,そこには「第1のプレ
ーヤキャラクタ」と「第2のプレーヤキャラクタ」の組合せの決定手順に関して特
定されておらず,「第1のプレーヤキャラクタ」及び「第2のプレーヤキャラクタ」
が,それぞれ,「二人の対戦者(プレーヤ)」により選択されたものであることにつ
いて,何ら特定されていない。
(イ) また,本願明細書等の記載を参酌したとしても,以下のとおり,本願発
明において,「第1のプレーヤキャラクタ」及び「第2のプレーヤキャラクタ」が,
それぞれ,プレーヤにより選択されたキャラクタであると限定して解釈されるべき
根拠は見いだせない。
a 段落【0091】では,実施形態が「複数のキャラクタが対戦ゲー
ムを行うものである」とされ,ここでの「対戦ゲーム」の例示として,
「第1のプレ
ーヤキャラクタと第2のプレーヤキャラクタとが」 「相互に攻撃し合うゲーム」
, ,
「協力して特定の敵キャラクタを攻撃するゲーム」でもよいとされた上で,
「プレー
ヤの操作対象のプレーヤキャラクタが敵となるキャラクタと対戦し,各種パラメー
タ(体力,攻撃力,防御力)に基づいて対戦ゲームの勝敗を決定する」ものとされ
ている。
そして,段落【0093】では,「本実施形態のサーバ20」が,「対戦ゲームの

ゲーム空間に登場するキャラクタのマッチング(組み合わせを決める処理)を行う」
こと,具体的には,「サーバ」が,「第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤ
キャラクタのマッチング」を行い,その後,
「サーバ20」は,当該「第1のプレー
ヤキャラクタ及び第2のプレーヤキャラクタが登場する対戦ゲームに参戦する第3
者キャラクタを抽出し,当該第1のプレーヤキャラクタ及び当該第2のプレーヤキ
ャラクタに当該第3者キャラクタをマッチングする」ことが記載されている。
しかし,これらの記載においては,
「プレーヤキャラクタ」の用語の意味を定義す
る記載はなく,また,これらの記載からは,
「プレーヤキャラクタ」が「プレーヤの
操作対象」であることが理解されるのみであり,プレーヤの操作対象である「プレ
ーヤキャラクタ」が「プレーヤ」により選択可能であることや,プレーヤにより選
択されるものであることが理解できる記載もない。
b 「サーバ」による「マッチング処理」を説明した段落【0096】
~【0098】においても,「サーバ20」が,「対戦ゲームに参戦可能な複数のプ
レーヤキャラクタ(ゲームに参加要求し対戦相手が決まっていない待ち状態の複数
のプレーヤキャラクタ)の中から対戦相手となる第1のプレーヤキャラクタ,第2
のプレーヤキャラクタとをマッチングする処理(第1のプレーヤキャラクタ,第2
のプレーヤキャラクタとの組み合わせを決める処理)を行う」ことが記載されてい
るのみであり,第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキャラクタが,プレ
ーヤによって選択可能であることや,選択されることが読み取れるものでもない。
c 本願発明の「マッチング処理部」が「第1のプレーヤキャラクタ
の情報及び第2のプレーヤキャラクタの情報の組み合わせに基づいて,前記対戦ゲ
ームの開始前に第3者キャラクタを抽出する」ことに関する段落【0099】 【0

112】においても,「第1のプレーヤキャラクタ」「第2のプレーヤキャラクタ」

が,プレーヤにより選択可能であることや,選択されるものであることに関する記
載はない。
かえって,段落【0101】においては,
「サーバ20は,端末10から第1又は

第2のプレーヤキャラクタとして参加する情報を受信した場合には,当該端末10
のプレーヤキャラクタを,第1又は第2のプレーヤキャラクタとしてマッチングす
る処理を行う。」と記載され,段落【0092】に「各キャラクタの制御」を「端末
10で行っている」こと,特に「端末10は,入力部160からの入力情報に基づ
き自キャラクタを制御し」ていることが明記されていることに鑑みると,本願明細
書等における「プレーヤキャラクタ」とは,「端末10のプレーヤキャラクタ」,す
なわち端末10を操作するプレーヤに予め割り付けられている「プレーヤキャラク
タ」を意味するものと解すべきであることが理解できる。
(ウ) このように,本願発明においては,プレーヤと(プレーヤの技量に見
合ったレベルを有する)プレーヤキャラクタは一対一に対応付けられるものと解さ
れるのであって,プレーヤキャラクタがプレーヤにより選択可能であるとか,選択
されるものであると解する根拠はない。
イ したがって,仮に,引用発明1の「味方側のキャラクタ」及び「相手方
のキャラクタ」は,プレーヤにより選択されるものではないものと解されるとして
も,それを理由に相違点Bが生じることはない。
ウ 以上のとおりであるから,原告の主張する相違点Bの看過を理由とする
取消事由は理由がない。
(3) 相違点Cについて
原告は,本願発明においては,参戦する第3者キャラクタが複数の種類の第3者
キャラクタからコンピュータにより選択されると主張する。
しかし,本願の特許請求の範囲の記載からは,「第1のプレーヤキャラクタ及び
第2のプレーヤキャラクタが登場する対戦ゲームに参戦可能な複数のキャラクタの
中から,第3者キャラクタを抽出」すること,「第1のプレーヤキャラクタの情報
及び前記第2のプレーヤキャラクタの情報の組み合わせに基づいて,前記対戦ゲー
ム開始前に第3者キャラクタを抽出」されることが特定されるのみである。
したがって,本願発明は,複数の種類の第3者キャラクタから抽出(選択)され

ることを特定しているものと解することはできないから,原告の主張は,前提にお
いて誤りである。
2 取消事由2について
原告は,本願発明は,対戦アクションゲームに分類されるもののうち,複数のプ
レーヤで対戦が実行され,対戦中に第3者キャラクタが登場するものであるところ,
甲2~4に記載の発明は,いずれも,対戦アクションゲームではあるものの,複数
のプレーヤで対戦が実行され,対戦中に第3者キャラクタが登場するものではない
点で,本願発明と甲2~4に記載の発明とは,技術分野は異なると主張する。
しかし,本件審決において認定した周知技術1とは「複数のキャラクタの中から,
ゲームのキャラクタの情報に応じて特定のキャラクタを抽出すること」であって,
周知技術1に係るゲームが,対戦アクションゲームに分類されるもののうち,複数
のプレーヤで対戦が実行され,対戦中に第3者キャラクタが登場するものであるこ
とは,周知技術1の要件ではない。
したがって,甲2~4号証に記載のものが,いわゆる「第3者登場型」のゲーム
ではなく,本願発明と技術分野が異なるとしても,引用発明1に周知技術1を適用
する動機付けがないことの理由とはならない。
そして,本件審決は,相違点1に係る引用発明1の発明特定事項である「NPC
人数を増減設定」することを,
「キャラクタの能力(強さ)を設定」することと捉え,
「キャラクタの能力(強さ)を設定」することの手法の一つとして,
「複数のキャラ
クタの中から,ゲームのキャラクタの情報に応じて特定のキャラクタを抽出するこ
と」を周知技術1として認定しており,引用発明1と周知技術1とは,ゲームとい
う技術分野に属する点,及びプレーヤのレベル等に応じた相手側キャラクタを抽出
するという内在する課題を有する点で共通すると判断し,動機付けがあるものとし
たものであって,その判断に誤りはない。
また,周知技術1は,「ゲームの技術分野において,複数のキャラクタの中から,
ゲームのキャラクタの情報に応じて特定のキャラクタを抽出すること」であり,具

体的には,プレーヤの対戦相手としてキャラクタを抽出する際に,プレーヤのレベ
ルに応じたキャラクタを抽出することであるところ,引用文献2の図10及びその
説明である段落【0059】には,プレーヤレベルに応じてキャラクタA,B,C,
Dのうちから出現するキャラクタが選択されることが記載され,引用文献3の段落
【0029】には,プレイキャラクタの能力に応じて,
「くさったしたい」や「くさ
ったドラゴン」の中から出現するキャラクタが選択されることが記載され,引用文
献4の段落【0005】には,
「ユーザの遊戯ランクに相応しい競技ランクを有する
ログイン中の他のユーザを対戦相手として指定する」ことが記載されているから,
引用文献2~4には,周知技術1が記載されている。
なお,本件審決は,あるプレーヤのレベルに応じた対戦相手を抽出する際に,プ
レーヤのレベルに応じて,当該プレーヤがプレイするゲームに登場可能な複数のキ
ャラクタの中から相応しいレベルの「キャラクタ」を選択することが本願出願時に
おいて従来周知の技術であったことを前提に,相違点1が容易である旨判断してい
るのであるから,本件審決は,原告の主張する「複数種類のキャラクタから第3者
キャラクタを抽出する」ことの容易想到性についても実質的に判断しているものと
いえる。
以上より,原告の主張する取消事由2は理由がない。
第5 当裁判所の判断
1 本願発明
(1) 本願明細書等には,以下の記載がある(乙2)。
【0002】従来から,プレーヤが,オブジェクト空間のプレーヤキャラクタを
操作して相手プレーヤキャラクタと対戦する対戦ゲームを行うゲームシステムが存
在する。
【0003】また,特許文献1には,対戦ゲームにおいて対戦者同士の操作経験
に基づくゲーム優劣のアンバランスを,コンピュータ制御による第3者キャラクタ
をゲームに登場させることによって調整し,拮抗かつ緊張感のあるゲームを提供す

るゲーム端末が提案されている。
【0004】【特許文献1】特開2011-56129号公報
【0005】しかし,特許文献1に示すゲーム端末は,対戦状況に応じて第3者
キャラクタを出現させて,スコアの低いキャラクタに対して支援を行っているにす
ぎず,どのような第3者キャラクタを抽出するのか考慮されていない。したがって,
特許文献1に記載のゲーム端末は,第3者キャラクタが登場しても対戦ゲームの面
白みに欠けるものがあった。
【0006】本発明は,以上の課題に鑑みたものであり,第1,第2のプレーヤ
キャラクタが登場する対戦ゲームにおいて,第1,第2のプレーヤキャラクタに第
3者キャラクタをマッチングする処理を行うものであり,当該対戦ゲームを盛り上
げることが可能な第3者キャラクタを抽出するサーバ及びプログラムを提供するこ
とにある。
【0007】
(1)本発明は,
マッチング処理を行うサーバのプログラムであって,プレーヤキャラクタの情報
を記憶部に記憶する処理を行う記憶処理部と,
第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキャラクタが登場する対戦ゲーム
に参戦可能な複数のキャラクタの中から,第3者キャラクタを抽出し,当該第1の
プレーヤキャラクタ及び当該第2のプレーヤキャラクタに当該第3者キャラクタを
マッチングする設定処理を行うマッチング処理部として,コンピュータを機能させ,
前記マッチング処理部が,
前記第1のプレーヤキャラクタの情報及び前記第2のプレーヤキャラクタの情報
の少なくとも一方に基づいて,前記対戦ゲーム開始前に第3者キャラクタを抽出す
るプログラムに関する。
【0008】また,本発明は,コンピュータに読み取り可能であって,上記プロ
グラムを記憶した情報記憶媒体に関係する。

【0009】本発明によれば,第1のプレーヤキャラクタの情報及び第2のプレ
ーヤキャラクタの情報の少なくとも一方に基づいて,第3者キャラクタを抽出する
ので,第1のプレーヤキャラクタの情報及び第2のプレーヤキャラクタの情報の少
なくとも一方に応じてゲームを盛り上げることが可能な第3者キャラクタを抽出す
ることができる。したがって,本発明によれば,プレーヤは,第3者キャラクタの
参戦によって従来にない白熱した対戦ゲームを楽しむことができ,一層面白みを感
じることができる。
【0010】また,本発明によれば,ゲーム開始前に第3者キャラクタを抽出す
るので,対戦中のゲーム状況に応じて第3者キャラクタを抽出する場合に比べて,
第1,第2のプレーヤキャラクタに適切な第3者キャラクタを抽出することができ
る。つまり,本発明によれば,本来の第1,第2のプレーヤキャラクタの情報を基
に第3者キャラクタを抽出するので,第1,第2のプレーヤキャラクタに適した第
3者キャラクタを抽出することができる。また,本発明は,ゲーム開始前に第3者
キャラクタを抽出するので,ゲーム中のサーバの処理負荷を軽減できる。
【0011】(2) また,本発明のプロブラムにおいて,前記マッチング処理部が,
前記第1のプレーヤキャラクタのレベル及び前記第2のプレーヤキャラクタのレベ
ルの少なくとも一方に基づいて,第3者キャラクタを抽出してもよい。
【0041】以下,本実施形態について説明する。なお,以下に説明する本実施
形態は,特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。
また本実施形態で説明される構成の全てが,本発明の必須構成要件であるとは限ら
ない。
【0042】1.ネットワークシステム
図1は,本実施形態のネットワークシステム(ゲームシステム)を示す。本実施
形態では,複数の端末10とサーバ20とによって構成される。つまり,図1に示
すように,本実施形態のネットワークシステムは,サービスを提供するサーバ20
と,端末10とが,ネットワーク(例えば,インターネット)に接続可能に構成さ

れる。
【図1】


【0043】端末10は,携帯端末(携帯電話,PHS端末,スマートフォン,
PDA,携帯型ゲーム機等),パーソナルコンピュータ(PC),ゲーム機,画像生
成装置などの情報処理装置であり,インターネット(WAN),LANなどのネット
ワークを介してサーバ20に接続可能な装置である。なお,端末10とサーバ20
との通信回線は,有線でもよいし無線でもよい。
【0044】サーバ20は,ゲームの管理者がゲームサービスを運営・管理する
際に利用するコンピュータである。このサーバ20は,コンピュータ(例えば,ワ
ークステーションやパーソナルコンピュータ)であって,端末10から送信された
各種のコマンド(リクエスト)に応じて,当該端末10に対して各種情報を送信す
る。本実施形態におけるサーバ20は,ゲームを行うプレーヤが使う端末10から,
ゲームコンテンツの配信要求があった場合には,それに応じたゲームコンテンツ,
例えば,端末10上で動作可能なゲームプログラムを送信してもよい。また,サー
バ20は,端末10のブラウザ等によって閲覧可能なWebページを送信してもよ
い。
【0045】2.構成

2.1.端末の構成
図2に本実施形態の端末の機能ブロック図の例を示す。なお本実施形態の端末は
図2の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【図2】


【0046】入力部160は,プレーヤからの入力情報を入力するための機器で
あり,プレーヤの入力情報を処理部に出力する。本実施形態の入力部160は,プ
レーヤの入力情報(入力信号)を検出する検出部162を備える。入力部160は,
例えば,レバー,ボタン,ステアリング,マイク,タッチパネル型ディスプレイ,
キーボード,マウスなどがある。
【0047】また,入力部160は,3軸の加速度を検出する加速度センサや,
角速度を検出するジャイロセンサ,撮像部を備えた入力機器でもよい。例えば,入
力機器は,プレーヤが把持して動かすものであってもよいし,プレーヤが身につけ
て動かすものであってもよい。また,入力機器には,プレーヤが把持する刀型コン
トローラや銃型コントローラ,あるいはプレーヤが身につける(プレーヤが手に装
着する)グローブ型コントローラなど実際の道具を模して作られたコントローラも
含まれる。また入力機器には,入力機器と一体化されているゲーム装置,携帯型ゲ

ーム装置,携帯電話,スマートフォンなども含まれる。本実施形態の端末は,複数
の入力部160を備えていてもよい。
【0048】記憶部170は,処理部100や通信部196などのワーク領域と
なるもので,その機能はRAM(VRAM)などにより実現できる。
【0049】情報記憶媒体180(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は,
プログラムやデータなどを格納するものであり,その機能は,光ディスク(CD,
DVD),光磁気ディスク(MO),磁気ディスク,ハードディスク,磁気テープ,
或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部100は,情報記憶媒体1
80に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。
情報記憶媒体180には,本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるため
のプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)を記憶
することができる。
【0050】なお,本実施形態では,サーバ20が有する情報記憶媒体280や
記憶部270に記憶されている本実施形態の各部としてコンピュータを機能させる
ためのプログラムやゲームデータを,ネットワークを介して受信し,受信したプロ
グラムやデータを記憶部170や情報記憶媒体180に記憶してもよい。このよう
にプログラムやデータを受信してネットワークシステムを機能させる場合も本発明
の範囲内に含む。
【0051】表示部190は,本実施形態により生成された画像を出力するもの
であり,その機能は,CRT,LCD,タッチパネル型ディスプレイ,或いはHM
D(ヘッドマウントディスプレイ)などにより実現できる。音出力部192は,本
実施形態により生成された音を出力するものであり,その機能は,スピーカ,或い
はヘッドフォンなどにより実現できる。
【0052】通信部196は外部(例えば他の端末,サーバ)との間で通信を行
うための各種制御を行うものであり,その機能は,各種プロセッサ又は通信用AS
ICなどのハードウェアや,プログラムなどにより実現できる。

【0053】処理部100(プロセッサ)は,入力部160からの入力情報やプ
ログラムなどに基づいて,ゲーム処理,画像生成処理,或いは音生成処理などの処
理を行う。この処理部100は記憶部170内の主記憶部172をワーク領域とし
て各種処理を行う。処理部100の機能は各種プロセッサ(CPU,DSP等),A
SIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや,プログラムにより実現できる。
【0054】処理部100は,通信制御部110,ゲーム処理部112,表示制
御部114,描画部120,音生成部130を含む。なおこれらの一部を省略する
構成としてもよい。
【0055】通信制御部110は,サーバ20とデータを送受信する処理を行う。
例えば,通信制御部110は,サーバ20から受信したデータを記憶部170に格
納する処理,受信したデータを解析する処理,その他のデータの送受信に関する制
御処理等を行う。なお,通信制御部110は,サーバの宛先情報を記憶部170や
情報記憶媒体180に記憶し,管理する処理を行うようにしてもよい。また,通信
制御部110は,プレーヤからの通信開始の入力情報を受け付けた場合に,サーバ
20との通信を行うようにしてもよい。
【0056】また,通信制御部110は,プレーヤの識別情報を送信して,プレ
ーヤ情報に関するデータをサーバ20から受信する処理を行うようにしてもよい。
なお,通信制御部110は,画像を描画するフレームレートに応じてデータを含む
パケットを生成し,サーバ20に生成したパケットを送信する処理を行ってもよい。
具体的に説明すると,例えば,1/60秒毎に,サーバ20にパケットを送信する
処理を行ってもよい。
【0057】また,通信制御部110は,サーバ20或いは他の端末10から,
ネットワークを介して,対戦ゲームに参戦する他のプレーヤキャラクタの情報や第
3者キャラクタの情報を受信してもよい。また,通信制御部110は,サーバ20
に,第3者キャラクタの参戦を許可することを示すマッチング許可情報を送信して
もよい。また,通信制御部110は,ネットワークを介してサーバ20から,ゲー

ムの結果(対戦ゲームの勝敗の結果)を受信する処理を行うようにしてもよい。
【0058】ゲーム処理部112は,種々のゲーム演算処理を行う。例えば,ゲ
ーム開始条件が満たされた場合にゲームを開始する処理,ゲームを進行させる処理,
ゲーム終了条件が満たされた場合にゲームを終了する処理などがある。
【0059】また,ゲーム処理部112は,プレーヤキャラクタ,建物,球場,
車,樹木,柱,壁,マップ(地形)などの表示物を表す各種オブジェクト(ポリゴ
ン,自由曲面又はサブディビジョンサーフェスなどのプリミティブで構成されるオ
ブジェクト)をオブジェクト空間に配置設定する処理を行うようにしてもよい。
【0060】ここでオブジェクト空間とは,ゲーム空間(仮想空間)であり,2
次元空間,3次元空間の両方を含む。例えば,オブジェクト空間を3次元空間とし
た場合には,ワールド座標系にオブジェクトを配置する。
【0061】例えば,ゲーム処理部112は,オブジェクト空間において,プレ
ーヤキャラクタを移動させる処理を行うようにしてもよい。すなわち入力部160
によりプレーヤが入力した入力情報や,プログラム(移動・動作アルゴリズム)や,
各種データ(モーションデータ)などに基づいて,プレーヤキャラクタをオブジェ
クト空間内で移動させたり,オブジェクトを動作(モーション,アニメーション)
させたりする処理を行う。具体的には,プレーヤキャラクタの移動情報(位置,回
転角度,速度,或いは加速度などの移動パラメータ)や動作情報(オブジェクトを
構成する各パーツの位置,或いは回転角度)を,1フレーム(例えば,1/60秒)
毎に順次求める処理を行うようにしてもよい。なおフレームは,プレーヤキャラク
タの移動・動作処理や画像生成処理を行う時間の単位である。
【0062】表示制御部114は,ゲーム処理部112によるゲーム処理内容を
表示させる表示制御や,描画部120において生成された画像を表示部190に表
示させる表示制御を行う。
【0063】また,表示制御部114は,サーバ20から受信したデータ(We
bデータ,HTML形式で作成されたデータ,Webコンテンツデータなど)を,

ブラウザなどを用いて表示部190に表示させる処理を行ってもよい。例えば,W
ebコンテンツデータとは,グラフィックスデータ,アニメーションデータであり,
端末10が備えるWebブラウザ機能によってWebコンテンツデータを再生する
ようにしてもよい。
【0064】描画部120は,処理部100で行われる種々の処理(例えば,ゲ
ーム処理)の結果に基づいて描画処理を行い,これにより画像を生成し,表示部1
90に出力する。描画部120が生成する画像は,いわゆる2次元画像であっても
よいし,いわゆる3次元画像であってもよい。
【0065】いわゆる3次元ゲーム画像を生成する場合には,まずオブジェクト
(モデル)の各頂点の頂点データ(頂点の位置座標,テクスチャ座標,色データ,
法線ベクトル或いはα値等)を含むオブジェクトデータ(モデルデータ)が入力さ
れ,入力されたオブジェクトデータに含まれる頂点データに基づいて,頂点処理(頂
点シェーダによるシェーディング)が行われる。なお頂点処理を行うに際して,必
要に応じてポリゴンを再分割するための頂点生成処理(テッセレーション,曲面分
割,ポリゴン分割)を行うようにしてもよい。
【0066】頂点処理では,頂点処理プログラム(頂点シェーダプログラム,第
1のシェーダプログラム)に従って,頂点の移動処理や,座標変換,例えばワール
ド座標変換,視野変換(カメラ座標変換) クリッピング処理,
, 透視変換(投影変換),
ビューポート変換等のジオメトリ処理が行われ,その処理結果に基づいて,オブジ
ェクトを構成する頂点群について与えられた頂点データを変更(更新,調整)する。
【0067】そして,頂点処理後の頂点データに基づいてラスタライズ(走査変
換)が行われ,ポリゴン(プリミティブ)の面とピクセルとが対応づけられる。そ
してラスタライズに続いて,画像を構成するピクセル(表示画面を構成するフラグ
メント)を描画するピクセル処理(ピクセルシェーダによるシェーディング,フラ
グメント処理)が行われる。ピクセル処理では,ピクセル処理プログラム(ピクセ
ルシェーダプログラム,第2のシェーダプログラム)に従って,テクスチャの読出

し(テクスチャマッピング),色データの設定/変更,半透明合成,アンチエイリア
ス等の各種処理を行って,画像を構成するピクセルの最終的な描画色を決定し,透
視変換されたオブジェクトの描画色を描画バッファ(ピクセル単位で画像情報を記
憶できるバッファ。VRAM,レンダリングターゲット)に出力(描画)する。す
なわち,ピクセル処理では,画像情報(色,法線,輝度,α値等)をピクセル単位
で設定あるいは変更するパーピクセル処理を行う。これにより,オブジェクト空間
内において仮想カメラ(視点)から見える画像が生成される。
【0068】音生成部130は,処理部100で行われる種々の処理の結果に基
づいて音処理を行い,BGM,効果音,又は音声などのゲーム音を生成し,音出力
部192に出力する。例えば,サーバ20から受信した音データを音出力部192
に出力するようにしてもよい。
【0069】2.2.サーバの構成
図3に本実施形態のサーバ20の機能ブロック図の例を示す。本実施形態のサー
バ20は図3の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【図3】


【0070】記憶部270は,処理部200や通信部296などのワーク領域と
なるもので,その機能はRAM(VRAM)などにより実現できる。記憶部270
は,主記憶部272,格納部260(例えば,データベース)を含む。
【0071】格納部260には,サーバ20が管理する端末の端末識別情報に対
応づけて,プレーヤ識別情報(ユーザアカウント,ユーザ識別情報),プレーヤパス
ワード,メールアドレス等を格納してもよい。
【0072】情報記憶媒体280(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は,
プログラムやデータなどを格納するものであり,その機能は,光ディスク(CD,
DVD),光磁気ディスク(MO),磁気ディスク,ハードディスク,磁気テープ,
或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部200は,情報記憶媒体2
80に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。
即ち情報記憶媒体280には,本実施形態の各部としてコンピュータを機能させる
ためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が

記憶される。
【0073】通信部296は外部(例えば,端末,他のサーバや他のネットワー
クシステム)との間で通信を行うための各種制御を行うものであり,その機能は,
各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや,プログラムなどにより
実現できる。
【0074】処理部200(プロセッサ)は,情報記憶媒体280に記憶される
プログラム等に基づいて,処理を行う。具体的には,端末からの要求に応じてサー
ビスを提供する。
【0075】また,処理部200は記憶部270内の主記憶部272をワーク領
域として各種処理を行う。処理部200の機能は各種プロセッサ(CPU,DSP
等),ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや,プログラムにより実現で
きる。
【0076】特に,本実施形態のサーバの処理部200は,ネットワーク設定部
210,通信制御部211,記憶処理部212,マッチング処理部213,ゲーム
制御部214と,を含む。なお,これらの一部を省略する構成としてもよい。
【0077】ネットワーク設定部210は,端末識別情報を端末10から受信し,
受信した端末識別情報に対応づけて,プレーヤのネットワーク情報を,データベー
ス260に格納する。なお,端末識別情報は,端末毎に付与される,端末を識別す
るための唯一無二のユニークな情報である。
【0078】通信制御部211は,端末10とネットワークを介してデータを送
受信する処理を行う。つまり,通信制御部211は,プレーヤの端末10からの要
求に基づいて,情報を当該端末10に送信する。
【0079】記憶処理部212は,キャラクタの情報(プレーヤキャラクタの情
報も含む),CPU制御情報を記憶部270に記憶する処理を行う。例えば,記憶処
理部212は,ゴーストキャラクタを抽出するための,キャラクタの情報及び当該
キャラクタのCPU制御情報の少なくとも一方をプレーヤの端末から受信して記憶

部270に記憶する処理を行ってもよい。
【0080】記憶処理部212は,第1,第2のプレーヤキャラクタ,及び第3
者キャラクタのマッチング情報の履歴を記憶部270に記憶する処理を行う。
【0081】マッチング処理部213は,第1のプレーヤキャラクタ及び第2の
プレーヤキャラクタが登場する対戦ゲームに参戦可能な複数のキャラクタの中から,
第3者キャラクタを抽出し,当該第1のプレーヤキャラクタ及び当該第2のプレー
ヤキャラクタに当該第3者キャラクタをマッチングする設定処理を行う。
【0082】なお,第3者キャラクタは,予め定められたアルゴリズムに基づき
端末のコンピュータで制御されるCPUキャラクタ,過去のプレーヤキャラクタの
制御情報に基づき端末のコンピュータで制御されるゴーストキャラクタ,又は,プ
レーヤの入力情報に基づいて制御されるプレーヤキャラクタである。なお,ゴース
トキャラクタは,事前に端末10から送信されたキャラクタの情報及びキャラクタ
のCPU制御情報の少なくとも一方に基づいて,コンピュータで制御されるもので
あってもよい。
【0083】また,マッチング処理部212は,第1のプレーヤキャラクタの情
報及び第2のプレーヤキャラクタの情報の少なくとも一方に基づいて,対戦ゲーム
開始前に第3者キャラクタを抽出する。例えば,また,マッチング処理部212は,
第1のプレーヤキャラクタのレベル及び第2のプレーヤキャラクタのレベルの少な
くとも一方に基づいて,第3者キャラクタを抽出してもよい。また,マッチング処
理部212は,第1のプレーヤキャラクタの属性及び第2のプレーヤキャラクタの
属性の少なくとも一方に基づいて,第3者キャラクタを抽出してもよい。
【0091】3.本実施形態の処理の手法
3.1 概要
本実施形態は,複数のキャラクタが対戦ゲームを行うものである。例えば,対戦
ゲームは,第1のプレーヤキャラクと第2のプレーヤキャラクタとが相互に攻撃し
合うゲームでもよいし,第1のプレーヤキャラクタと第2のプレーヤキャラクタと

が協力して,特定の敵キャラクタ(ボスキャラクタ等)を攻撃するゲームでもよい。
本実施形態では,プレーヤの操作対象のプレーヤキャラクタが敵となるキャラクタ
と対戦し,各種パラメータ(体力値,攻撃力,防御力等)に基づいて対戦ゲームの
勝敗を決定する。
【0093】特に,本実施形態のサーバ20は,対戦ゲームのゲーム空間に登場
するキャラクタのマッチング(組み合わせを決める処理)を行う。まず,サーバ2
0は,第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキャラクタのマッチングを行
う。その後,サーバ20は,当該第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキ
ャラクタが登場する対戦ゲームに参戦する第3者キャラクタを抽出し,当該第1の
プレーヤキャラクタ及び当該第2のプレーヤキャラクタに当該第3者キャラクタを
マッチングする。本実施形態では,第3者キャラクタが参戦することによってゲー
ムを盛り上げることが可能なように最適な第3者キャラクタを抽出しマッチング設
定を行う。したがって,本実施形態によれば,従来にない白熱した面白みのあるゲ
ームを提供できる。以下,本実施形態の詳細について説明する。
【0094】3.2 ゲームの参加要求の受け付け処理
本実施形態のサーバ20は,プレーヤの端末10からプレーヤのログイン情報(プ
レーヤ識別情報,プレーヤパスワード等)を受信し,プレーヤの認証を許可すると,
プレーヤの端末10から対戦ゲームに参加するための参加要求(エントリー)を受
信し,ゲームの参加要求(エントリー)を受け付ける処理を行う。
【0095】サーバ20は,ログインを許可した端末10に対し,プレーヤ識別
情報に関連する情報(キャラクタ情報など)を送信する。
【0096】3.3 第1,第2のプレーヤキャラクタのマッチング
本実施形態のサーバ20は,対戦ゲームに参戦可能な複数のプレーヤキャラクタ
(ゲームに参加要求し対戦相手が決まっていない待ち状態の複数のプレーヤキャラ
クタ)の中から対戦相手となる第1のプレーヤキャラクタ,第2のプレーヤキャラ
クタとをマッチングする処理(第1のプレーヤキャラクタ,第2のプレーヤキャラ

クタとの組み合わせを決める処理)を行う。
【0097】サーバ20は,第1,第2のプレーヤキャラクタのレベル(プレー
ヤの技量を示す技量情報)を参照し,第1,第2のプレーヤキャラクタのレベル差
が生じないようにマッチングを行ってもよい。例えば,第1のプレーヤキャラクタ
と第2のプレーヤキャラクタとのレベル差が10以内になるように第1,第2のプ
レーヤキャラクタのマッチングを行う。
【0098】なお,本実施形態では,グループ対戦によるマッチング処理を行っ
てもよい。例えば,第1のプレーヤキャラクタを含む5人のプレーヤキャラクタで
構成される第1のグループと,第2のプレーヤキャラクタを含む5人のプレーヤキ
ャラクタで構成される第2のグループを生成するマッチングする処理を行うように
してもよい。グループ対戦の場合にもグループ間でのレベル差が生じないように,
マッチングを行う。また,第1のプレーヤキャラクタを操作する第1のプレーヤ,
第2のプレーヤキャラクタを操作する第2のプレーヤは個人でもよい。また,グル
ープ(チーム)として構成される複数のプレーヤキャラクタのまとまりを,一のプ
レーヤが操作してもよい。
【0099】3.4 第3者キャラクタのマッチング
そして,本実施形態のサーバ20は,第1,第2のプレーヤキャラクタのマッチ
ングが行われると,第3者キャラクタをマッチングする処理を行う。つまり,第1,
第2のプレーヤキャラクタ,第3者キャラクタの組み合わせを決定する処理を行う。
【0100】例えば,サーバ20は,対戦ゲームに参戦可能な複数のキャラクタ
の中から第3者キャラクタを抽出する。ここで,第3者キャラクタを抽出するとは,
マッチング候補を選び出すことである。また第3者キャラクタとは,対戦ゲームに
勢力(影響)を及ぼす第3勢力のキャラクタのことである。また,対戦ゲームに参
戦可能なキャラクタとは,ゲームに参加要求し対戦相手が決まっていない待ち状態
のプレーヤキャラクタの他,ゴーストキャラクタ,CPUキャラクタでもよい。ゴ
ーストキャラクタ,CPUキャラクタは後述にて詳細に説明する。

【0102】特に,本実施形態のサーバ20は,第1のプレーヤキャラクタの情
報及び第2のプレーヤキャラクタの情報の少なくとも一方に基づいて,対戦ゲーム
開始前に対戦ゲームに参戦可能な複数のキャラクタの中から第3者キャラクタを抽
出する。
【0103】本実施形態において,対戦ゲーム開始前に第3者キャラクタを抽出
する理由は,第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキャラクタの少なくと
も一方に適した第3者キャラクタを抽出するためである。サーバ20は1組のマッ
チングだけでなく多数のマッチングを行うため,ゲーム中に所定間隔で第3者キャ
ラクタの抽出処理を行うとサーバの処理負荷が高くなるおそれがある。そこで,本
実施形態では,対戦ゲーム開始前に第3者キャラクタを抽出し,サーバの処理負荷
を軽減している。
【0104】図4は,サーバ20の記憶部270に記憶されているプレーヤキャ
ラクタの情報の一例を示す。本実施形態では,ゲームの参加要求を受け付けると端
末10からプレーヤキャラクタの情報を受信し,サーバ20の記憶部270にプレ
ーヤキャラクタの情報を記憶する処理を行っている。
【0105】ここで,プレーヤキャラクタの情報とは,
「レベル」「属性」等であ

る。また,プレーヤキャラクタの情報は,キャラクタに対応付けて登録されている
パラメータ 「攻撃力」
( ,
「防御力」,
「スコア」,
「経験値」,
「体力値」等のパラメータ)
も含む。以下,
「レベル」「属性」に基づいて第3者キャラクタを抽出する処理につ

いて詳細に説明しているが,これに限定されるものではない。例えば,攻撃力,防
御力,スコア,経験値,体力値等のパラメータ等に基づいて第3者キャラクタを抽
出してもよい。
【図4】


【0106】(1)レベルに基づく第3者キャラクタの抽出
本実施形態では,第1のプレーヤキャラクタのレベル及び第2のプレーヤキャラ
クタのレベルの少なくとも一方に基づいて,第3者キャラクタを抽出してもよい。
例えば,サーバ20は,第1のプレーヤキャラクタのレベル及び第2のプレーヤキ
ャラクタのレベルの少なくとも一方が30以上である場合に,参戦可能なキャラク
タの中から,レベル30以上の第3者キャラクタを抽出してもよい。
【0107】また,例えば,サーバ20は,第1のプレーヤキャラクタのレベル
と第2のプレーヤキャラクタのレベル差が10未満である場合は,参戦可能なキャ
ラクタの中から,第1,第2のプレーヤキャラクタとほぼ同じレベルの第3者キャ
ラクタを抽出してもよい。
【0108】また,サーバ20は,第1のプレーヤキャラクタのレベルと第2の
プレーヤキャラクタのレベル差が10未満である場合は,参戦可能なキャラクタの
中から,レベル90以上のキャラクタを第3者キャラクタとして抽出してもよい。
つまり,第1,第2のプレーヤキャラクタのレベル差が僅差である場合には,拮抗
するゲームになると考えられるので,敢えて強い第3者キャラクタをゲーム空間に
登場させて,第1,第2のプレーヤキャラクタが協力し合い第3者キャラクタを倒
すゲームにしてもよい。例えば,第3者キャラクタを倒した場合には,第1,第2

のプレーヤキャラクタ双方に報奨(ポイント加算,スコア加算,アイテムの付与等)
を与えるようにすればよい。このようにすれば,ゲームが単調にならず盛り上げる
ことができる。
【0109】また,サーバは,第1のプレーヤキャラクタと第2のプレーヤキャ
ラクタのレベル差を埋める目的で第3者キャラクタを抽出してもよい。例えば,第
1のプレーヤキャラクタのレベルが10であり,第2のプレーヤキャラクタのレベ
ルが50であるとすると,レベル差が40となり,第1のプレーヤキャラクタが負
ける可能性が高い。したがって,第1のプレーヤキャラクタを支援するため,第2
のプレーヤキャラクタのレベルに近いキャラクタ(例えば,第2のプレーヤキャラ
クタのレベルが50であるとすると前後10の範囲であるレベル40~60)に属
するキャラクタを第3者キャラクタとして抽出し,対戦ゲームに参戦させるように
制御してもよい。
【0110】また,サーバ20は,第1のプレーヤキャラクタ,第2のプレーヤ
キャラクタの一方のレベルが30を超えている場合に,参戦可能なキャラクタの中
から,レベル90以上のキャラクタを第3者キャラクタとして抽出してもよい。
【0111】また,サーバ20は,予め第1のプレーヤキャラクタのレベルと第
2のプレーヤキャラクタのレベルに基づいて抽出対象となる第3者キャラクタのレ
ベルを対応付けた抽出条件を参照し,第3者キャラクタを抽出してもよい。
【0112】図5は,レベルに基づく抽出条件テーブルの一例を示す。例えば,
レベルが20未満の場合は「低」,レベルが20以上80未満の場合は「普通」,レ
ベルが80以上の場合は「高」に分類したとする。すると,本実施形態では,第1
のプレーヤキャラクタのレベルが「高」第2のプレーヤキャラクタのレベルが
, 「低」
の場合は,抽出対象のキャラクタの中から「普通」のキャラクタを第3者キャラク
タとして抽出する処理を行う。また,第1,第2のプレーヤキャラクタのレベルが
「低」の場合も,抽出対象のキャラクタの中から「普通」のキャラクタを第3者キ
ャラクタとして抽出する処理を行う。そして,第1,第2のプレーヤキャラクタの

レベルが「高」の場合は,抽出対象のキャラクタの中から「高」のキャラクタを第
3者キャラクタとして抽出する処理を行う。このようにレベルに応じたテーブルを
参照することによって,適切な第3者キャラクタを抽出することができる。
【図5】


【0119】(3)第3者キャラクタの抽出手段
上述したように,本実施形態では,第3者キャラクタを抽出するパターン(手法)
が複数存在する。そこで,種々の手順で第3者キャラクタを抽出する。例えば,サ
ーバ20は,レベルに基づいて参戦可能な複数のキャラクタの中から第3者キャラ
クタを抽出し,・・・。
【0120】また,逆に,サーバ20は,
・・・レベルに基づいて参戦可能な複数
のキャラクタの中から第3者キャラクタを抽出してもよい。
【0125】また,同じプレーヤ同士で対戦することに面白みを感じないプレー
ヤも多い。そこで,サーバ20は敢えて同じプレーヤキャラクタの組み合わせにな
らないように,マッチング情報を参照してマッチングを行うようにしてもよい。・
・・
【0161】・・・
(1) 第三者キャラクタの種類
本願実施形態の第3者キャラクタは3種類ある。つまり,本実施形態の第3者キ
ャラクタは,プレーヤの入力情報に基づいて制御される「プレーヤキャラクタ」,過

去のプレーヤキャラクタの制御情報に基づきコンピュータで制御される「ゴースト
キャラクタ」,又は予め定められたアルゴリズムに基づきコンピュータで制御され
る「CPUキャラクタ」である。
【0162】プレーヤキャラクタとは,現実のプレーヤが操作するキャラクタの
ことであり,端末10の入力部から入力された入力情報に基づいて制御(移動・動
作制御や攻撃等の制御)を行うキャラクタである。
【0163】ゴーストキャラクタ(CPUゴースト)とは,キャラクタの情報に
基づいて,コンピュータ(CPU)で制御(移動・動作制御や攻撃等の制御)を行
うキャラクタである。例えば,プレーヤが過去にプレイしたプレーヤキャラクタの
制御情報に基づいて,コンピュータで制御を行うキャラクタでもよいし,・・・
(2) 本願明細書等の前記(1)の記載からすると,本願発明の内容は以下のとお
りであると認められる。
すなわち,本願発明は,①従来から,プレーヤが,オブジェクト空間のプレーヤ
キャラクタを操作して相手プレーヤキャラクタと対戦する対戦ゲームを行うゲーム
システムにおいて,対戦者同士の操作経験に基づくゲーム優劣のアンバランスを,
コンピュータ制御による第3者キャラクタをゲームに登場させることによって調整
し,拮抗かつ緊張感のあるゲームを提供するものが存した,②従来技術においては,
対戦状況に応じて,第3者キャラクタを出現させて,スコアの低いキャラクタに対
して支援を行っているにすぎず,どのような第3者キャラクタを抽出するのかが考
慮されておらず,面白みに欠けるという課題があった,③そこで,対戦ゲームを盛
り上げることが可能な第3者キャラクタを抽出するサーバ及びプログラムを提供す
ることを目的として,第1のプレーヤキャラクタの「レベル」「属性」及び「攻撃

力・防御力等のパラメータ」等の情報並びに第2のプレーヤキャラクタのこれらの
情報の組合せに基づいて,対戦ゲーム開始前に第3者キャラクタを抽出することに
より,プレーヤは,第3者キャラクタの参戦によって従来にない白熱した対戦ゲー
ムを楽しむことができ,一層面白みを感じることができるようにしたものである。

2 各文献の記載
(1) 引用文献1
引用文献1には,以下の記載がある(甲1)。
【0005】本発明は上記に鑑みてなされたもので,対戦者同士の操作経験に基
づくゲーム優劣のアンバランスを,コンピュータ制御による第三勢力をゲームに登
場させることによって調整し,拮抗かつ緊張感のあるゲームを提供することができ
るゲーム端末,ゲーム進行制御方法及びゲーム進行制御プログラムを提供すること
にある。
【0019】本発明によれば,対戦者同士の操作経験に基づくゲーム優劣のアン
バランスを,コンピュータ制御による第三勢力をゲームに登場させることによって
調整し,拮抗かつ緊張感のあるゲームを提供することができる。
【0034】図3は,ゲーム端末1の一実施形態を示すハードウェア構成図であ
る。制御部16はゲーム端末1の全体の動作を制御するもので,ゲームの進行全般
に関する処理,画像表示処理の他,種々の情報処理を行う情報処理部(CPU)1
61と,処理途中の情報等を一時的に格納するRAM162と,所定の画像情報及
びゲームプログラム等が予め記憶されたROM163とを備える。
【図3】


【0041】図4は,ゲーム端末1の制御部16の機能構成図である。制御部1
6のCPU161は,RAM162上に保持されたゲームプログラム,制御プログ
ラムを実行することによって,プレイヤからのゲームへの参加を受け付ける受付処
理部161aと,ゲームの開始から終了までの一連の進行を制御して射撃ゲームを
進行させるゲーム進行制御部161bと,モニタ11に受付画像やゲーム画像等を
表示する画像表示制御部161cとして機能する。また,CPU161は,RAM
162上に保持されたゲームプログラム,制御プログラムを実行することによって,
仮想ゲーム空間に配置される仮想カメラ60の位置及び視線方向を制御する仮想カ
メラ制御部161d,自己プレイヤキャラクタの仮想ゲーム空間内での移動動作を
処理するキャラクタ移動処理部161eと,自己プレイヤキャラクタが仮想的に所
持する武器を用いて行う攻撃動作の処理する攻撃処理部161fと,攻撃動作に先
立って行われる攻撃準備としての構え動作を行う構え処理部161gと,構え動作
の実行と共に行われる攻撃方向を示す照準を表示する照準表示部161hと,自己
プレイヤキャラクタの相手プレイヤキャラクタへ行われる攻撃を有無をゲーム中,
監視しておき,攻撃が成功したとき,例えば銃による射撃において命中したとき所

定のスコアの付与を行うスコア処理部161iと,自己プレイヤキャラクタの相手
プレイヤキャラクタのスコアの大小を比較するスコア比較部161jと,コンピュ
ータによって制御されるNPC(Non player Character)を
第三勢力のキャラクタとして仮想ゲーム空間に登場させ,対戦ゲームの優劣バラン
スを図るNPC制御部161k,ゲーム開始前後及びゲーム中に各種情報の通信の
制御を行う通信制御部161mとして機能する。
【図4】


【0050】スコア処理部161iは,相手プレイヤキャラクタへの攻撃が成功
した場合に,攻撃の種類毎に予め設定されているスコアが,例えば射撃の場合,命
中毎に所定のスコアを蓄積するようにしている。本実施形態では,自己プレイヤキ
ャラクタが攻撃を受けた場合,自己のスコアが減点されない態様であるが,所定値
だけ減点される態様であってもよい。そして,ゲーム終了時点で,グループ対戦モ
ードの場合,味方,相手側毎にスコアの総和を求め,その大小で勝敗を決定するな

どすればよい。なお,攻撃を受けた場合,演出として所定時間だけ倒れる動作を行
わせ,その間,移動や攻撃の指示が禁止されるようにしてもよい。また,スコア処
理部161iによってゲーム開始時に所定のライフ値が付与され,攻撃を受ける毎
に,このライフ値が所定値ずつ減少し,ライフが値0になった時点で,ゲームへの
復帰が禁止される,すなわち当該プレイヤのみ強制的にゲーム終了としてもよい。
ゲーム終了時点での蓄積スコアは通信制御部161mによってサーバに送られ,記
憶される。
【0062】図4に戻って,制御部16のRAM162は,同じ仮想ゲーム空間
での対戦ゲーム中のゲーム途中経過情報が,逐次プレイヤ毎に,すなわち自己及び
ネットワーク通信部18を介して得られる味方,相手側の全プレイヤについて更新
的に記憶される途中経過情報記憶部162aと,各種スイッチ,ボタンで設定され
た設定情報及びスコア情報を記憶する設定情報記憶部162bとを備える。ゲーム
が終了する毎に,通信制御部161mは,スコア情報をプレイヤのユーザID,ゲ
ーム端末1及び店舗の各識別情報と共にサーバ3に送信する。
【0063】スコア比較部161jは,グループ対戦ゲームにおいて,味方側の
キャラクタと相手側のキャラクタの各スコアの集計し,両集計スコアの大小を比較
するものである。スコア比較部161jは,ゲーム開始時点では,スコアが全て0
なので,味方側及び相手側の各キャラクタの過去のグループ対戦ゲームにおけるス
コアをサーバ3から取得し,味方側及び相手側の各キャラクタの各スコアを集計し,
その大小を比較する。さらに,スコア比較部161jは,ゲーム開始後,例えばゲ
ーム開始から所定時間経過した後,例えば1分経過した後は,この1分間に取得し
たスコアを集計して,味方,相手間で集計スコアの大小比較するようにしている。
すなわち,この例では,ゲーム開始から最初の1分は,過去のゲームにおけるスコ
ア取得履歴からスコア集計し,それ以降からゲーム終了までは,現ゲームでの1分
単位の取得スコアを集計するようにしている。
【0064】NPC制御部161kは,スコア比較部161jの比較結果に基づ

いて,仮想ゲーム空間へのNPCの登場処理乃至は参戦処理を実行させるものであ
る。NPC制御部161kは,本実施形態では,スコア比較部161jによる両集
計スコアの大小比較での差が所定の閾値以上である場合に,NPCを登場させるよ
うにしている。NPCの参戦処理は,対戦状況の調整であり,例えばスコアの低い
方(弱い側)のグループ(チーム)を支援する第三者勢力としてのNPCを登場さ
せ,できるだけ拮抗したグループ対戦を通して,面白味乃至は緊張感のあるゲーム
展開を実現するようにしたものである。従って,優劣の差が僅かしかない場合に,
敢えて支援のためのNPCを登場させると,NPC制御のソフトウエアの負担が増
大する上,優劣関係が直ちに逆転する等の不自然さも考えられることから,所定の
閾値を設定している。例えば,1回の射撃による攻撃が成功した時に取得できるス
コアが仮に1000点とし,味方側,相手側のプレイヤの集計後のスコアが40,
000点と60,000点であったとするとき,閾値が12,000点の場合には,
NPCが登場することとなり,一方,閾値が24,000点であれば,NPCが登
場しないことになる。登場するNPCは1つのキャラクタでもよいし,味方,相手
のキャラクタの数と同数であってもよく,あるいはその間の適宜の数であってもよ
い。また,両集計スコアからスコアの比率(上記の例では,4対6)を求め,この
比率の差(上記の例では,2(=6-4))とNPCの登場のための閾値(例えば,
1.2とか2.4)とを大小比較する態様としてもよい。これらは,いずれも両集
計スコアの差分を用いている点で同様である。
【0065】NPC制御部161kは,NPCに対して味方側,相手側の各集計
スコアの差に応じた,集計スコアの小さい側への支援度合いを設定する。支援度合
いとは,より具体的には集計スコアの差に応じて設定される味方側,相手側の各キ
ャラクタへの質的,量的な攻撃の割合として対応する。集計スコアの差と支援度合
いとの関係は,任意に設定可能であるが,一般的には,略比例関係とすることが好
ましい。例えば,両集計スコアの差が閾値を超えた最小値である場合の支援度合い
を最小とし,前記差が大きくなるに従って所定の比率で支援度合いを増加させるよ

うにすればよい。より具体的には,劣勢のグループ側への支援度合いの最小を6対
4とし,最大を10対0で飽和するものとし,差分に応じてその間で設定されるよ
うにすればよい。なお,6対4とは,優勢グループ側のキャラクタへの攻撃割合を
6割,劣勢グループ側のキャラクタへの攻撃割合を4割とすることの意味である。
従って,10対0とは,優勢グループ側のキャラクタへの攻撃割合が10割である
ことを意味する。
【0079】続いて,図12は,ゲーム端末1のCPU161のゲームプログラ
ムによって実行されるゲーム処理の手順を説明するフローチャートである。先ず,
グループ対戦ゲームでのプレイヤの選定(マッチング)が成立したか否かが判断さ
れる(ステップS1)。マッチングが成立していなければ,本フローチャートを抜け
る。一方,マッチングが成立したのであれば,サーバ3から送信される,マッチン
グが成立したプレイヤのプレイヤ情報及び所定のスコア情報の受信が行われる(ス
テップS3)。次いで,受信したスコアから支援度合いの設定処理が実行される(ス
テップS5) 具体的には,
。 各プレイヤのスコアからプレイヤ単位のスコアが算出さ
れ,さらに,味方側,相手側のプレイヤの各スコアを集計して,両集計スコアの大
小比較(絶対値,比率のいずれによる態様でもよい)が行われ,この大小比較にお
ける差が閾値以上であれば,差に応じた支援度合いが設定され,NPCが登場する
処理が実行され,そうでなければ,支援度合いは設定されず,かつNPCの登場処
理も行われない。なお,各プレイヤのスコアからプレイヤ単位のスコアを算出する
処理としては,例えば直近の所定回数分のゲームのスコアの合計値,あるいは平均
値を算出することをいう。
【0080】次いで,グループ対戦ゲームが開始され(ステップS7),所定の対
戦処理が実行される(ステップS9)。
【0084】これによれば,ゲーム開始時に,ゲーム開始から1分までにおける
支援度合いが設定され,次に,1分~2分まで,続いて,2分~3分まで,そして
最後の3分~4分までの3回の支援度合いの再設定が行われる。この再設定処理に

より,NPCがゲーム途中から登場したり,あるいは,ゲーム途中から登場しなく
なったり,さらには,登場したり,しなかったりが混在したりするので,より面白
味のあるゲームが提供できる。
【0092】
(5)支援度合いに応じて,NPC人数を増減設定する態様としても
よい。差分に応じたNPCの登場数の対照表を予め準備しておき,算出された差分
に応じてNPCの数を設定すればよい。これによれば,NPCの数で支援度合いに
対応するので,NPCの強さ自体は一律とすることもできる。
【0095】本実施形態では,グループ対戦ゲームで説明したが,1対1ゲーム
にも適用可能である。この場合,NPCの登場によって,三つ巴の対戦ゲームとな
る。
【図12】


(2) 引用文献3
引用文献3には,以下のとおりの記載がある(甲3)。
【0001】本発明は,サーバからゲームの提供を受け,該サーバに接続された
端末でゲームを行う通信ゲームシステムおよび通信ゲーム方法に関する。
【0006】本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり,携帯電話機等
を用いた通信ゲームシステムにより,ビデオゲームの進行に伴うバランスを容易に

取ることができ,飽きることなくプレイできる技術を提供することにある。
【0009】本発明の第2の手段は,前記第1の手段において,前記ゲーム実施
状況は,前記ゲームのプレイヤキャラクタのステータスであり,前記ゲームの設定
は,出現する敵キャラクタの決定であるものである。
【0010】これによれば,プレイヤキャラクタのステータスにより出現する敵
キャラクタが決定されることにより,戦いに緊張感を維持することができる。特に,
プレイヤキャラクタの強さに応じた強さの敵キャラクタを出現させることにより,
プレイヤは飽きることなくプレイを継続できる。
【0027】以下本実施のゲームを図4乃至図6で説明する。本実施例のゲーム
はプレイヤキャラクタをフールド上に移動させ,遭遇する敵キャラクタと戦うこと
で能力アップしながら世界に平和を取り戻す等の目的を達成するロールプレイング
ゲームである。
【0029】図5は敵キャラクタとの遭遇画面の例を示している。図5(a)は
プレイヤキャラクタ31の能力が低い場合であり,敵キャラクタ34として比較的
弱い「くさったしたい」が現れたところである。一方,図5(b)は,プレイヤキ
ャラクタ31の能力が高い場合であり,敵キャラクタ35として比較的強い「くさ
ったドラゴン」が現れたところである。
【図5】


【0031】本実施例の要旨であるサーバ1での処理をフロー図で示したものが

図7である。すなわち,通信制御部11を介し携帯電話機5から方向該当キー押下
を受信すると(101),処理部12は,記録部13からプレイヤキャラクタ移動デ
ータを読み取り通信制御部11を介して携帯電話機5に送信する(102) また処

理部12は,乱数により敵キャラクタを表示するかを決定し(103),表示しない
場合はステップ101へ戻る(104)。一方,表示する場合は(104),プレイ
ヤキャラクタ31の能力およびエリアをデータベースから読み取り(105) プレ

イヤキャラクタ31の能力が低い場合は(106) 能力低いに対応した敵キャラク

タデータを記録部13から読み取り,通信制御部11を介して携帯電話機5に送信
する(107) 一方,
。 プレイヤキャラクタ31の能力が低くない場合は(106),
能力高いに対応した敵キャラクタデータを記録部13から読み取り,通信制御部1
1を介して携帯電話機5に送信する(107)。
【図7】


【0032】このように,本実施例によれば,プレイヤキャラクタの能力により
出現する敵キャラクタの強さが設定されることにより,プレイヤの育てたプレイヤ
キャラクタが敵キャラクタに対して弱すぎたり,強すぎたりすることなくゲームの
興味を持続することができる。
(3) 引用文献4
引用文献4には,以下のとおりの記載がある(甲4)。

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,オンラインゲームサーバおよび
オンラインゲームサービスの提供方法に係り,特に,各ユーザが夫々の競技ランク
に相応しい相手と対戦することを可能とするオンラインゲームサーバおよびオンラ
インゲームサービスの提供方法に関する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的は,請求項1に記載する如
く,コンピュータネットワークを介してユーザコンピュータからログインしてきた
ユーザに対戦ゲームサービスを提供するオンラインゲームサーバであって,ログイ
ンしてきた各ユーザの競技ランクを取得するランク取得手段と,ログインしてきた
一のユーザの競技ランクに相応しい競技ランクを有するログイン中の他のユーザを,
前記一のユーザの対戦相手として指定する対戦相手指定手段と,前記一のユーザお
よび前記他のユーザによる対戦ゲームサービスをコンピュータネットワークを介し
て提供するゲームサービス提供手段と,前記一のユーザおよび前記他のユーザの対
戦結果に基づいて,前記一のユーザおよび前記他のユーザの競技ランクを更新する
ランク更新手段と,を備えるオンラインゲームサーバにより達成される。
【0006】また,上記の目的は,請求項7に記載する如く,コンピュータネッ
トワークに接続されたゲームサーバによって,ユーザコンピュータからログインし
てきたユーザに対戦型ゲームサービスを提供する方法であって,ログインしてきた
各ユーザの競技ランクを取得するランク取得ステップと,ログインしてきた一のユ
ーザの競技ランクに相応しい競技ランクを有するログイン中の他のユーザを,前記
一のユーザの対戦相手として指定する対戦相手指定ステップと,前記一のユーザお
よび前記他のユーザによる対戦ゲームサービスをコンピュータネットワークを介し
て提供するゲームサービス提供ステップと,前記一のユーザおよび前記他のユーザ
の対戦結果に基づいて,前記一のユーザおよび前記他のユーザの競技ランクを更新
するランク更新ステップと,を備えるオンラインゲームサービスの提供方法により
達成される。
【0007】請求項1および7記載の発明によれば,各ユーザの競技ランクがゲ

ームの対戦結果に基づいて更新されるので,各ユーザの客観的な競技ランクが得ら
れる。そして,この客観的な競技ランクに相応しい競技ランクが対戦相手として選
択されるので,対戦相手が弱すぎたり強すぎたりするのを防止できる。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は,本発明の一実施形態であるシステムの
構成図である。図1に示す如く,本実施形態において,ゲームサーバ10,共通ラ
ンクサーバ12,および,ユーザコンピュータ14がインターネット16を介して
相互に接続されている。なお,ゲームサーバ10は複数設けられており,これらは
同じ種目の対戦ゲームサービスを提供するものとする。また,対戦ゲームの種目は,
囲碁,将棋,リバーシ,麻雀,ブリッジ等の周知の各種ゲームや,例えば,タイプ
スピードを競うといったオリジナルなゲーム等,任意である。
【図1】


【0025】図3は,ユーザデータベース26に登録されたデータの構成を示す。
図3に示す如く,ユーザデータベース26には,ゲームサーバ10に登録されたユ
ーザのユーザID,パスワード,各ユーザの競技ランク,および各ユーザの成績テ
ーブルへのリンクが1つのレコードとして例えばテーブル形式で記録されている。

ユーザの競技ランクは,例えば1~10の10段階の数値で表されており,値が小
さいほどランクが高い(つまり上級者である)ことを意味するものとする。また,
成績テーブルには,各ユーザが過去に対戦した相手の競技ランクと,その相手との
勝敗結果(図3では勝ちを○で,負けを×で夫々表している)とが対応付けて記録
されている。なお,マージャンやブリッジ等のように,対戦相手が複数存在し,対
戦結果が単なる勝ち負けでなく得点で表されるような対戦ゲームの場合は,成績テ
ーブルには,例えば,対戦相手の競技ランクの平均値と,当該ユーザの得点とを記
録すればよい。
【図3】


【0045】上述の如く,本実施形態では,各ユーザの競技ランクがユーザデー
タベース26に登録されており,ユーザがゲームサーバ10にログインして対戦ゲ
ームを楽しもうとする場合,そのユーザの競技ランクはユーザデータベース26か
ら読み出される。そしてユーザデータベース26に登録された競技ランクは,各ユ
ーザの過去の対戦成績に基づいて客観的に定められたものであるため,各ユーザは,
自分の客観的な競技ランクに相応しい相手を選択して対戦することができる。すな

わち,従前のオンラインゲームでは,ユーザの競技ランクが自己申告制であって客
観的なものではないため,対戦相手が強過ぎたり弱過ぎたりしてゲームがつまらな
いということが起こり得るのに対して,本実施形態では,各ユーザについて客観的
に定められた競技ランクが用いられることで,実力が伯仲した相手との対戦を楽し
むことが可能となるのである。
【0047】なお,上記実施形態では,ログインしたユーザが希望対戦ランクを
指定できるものとしたが,これに限らず,自分と同じランク(または,自分のラン
クに対して上下所定範囲にあるランク)の相手としか対戦できないようにしてもよ
い。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように,本発明によれば,各ユーザにつ
いて,夫々の対戦成績に基づいた客観的な競技ランクを判定するので,各ユーザの
競技ランクに相応しい他のユーザを対戦相手とすることができる。このため,相手
が弱過ぎたり強過ぎたりすることがなくなり,各ユーザは実力が伯仲した相手との
対戦を楽しむことができる。
3 取消事由1について
(1) 引用発明1の認定
前記2(1)で認定した引用文献1の記載からすると,引用文献1からは,以下のと
おりの引用発明1が認められる。
「ゲーム端末1の制御部16はゲーム端末1の全体の動作を制御するものであっ
て,ゲームの進行全般に関する処理,画像表示処理の他,種々の情報処理を行う情
報処理部(CPU)161と,処理途中の情報等を一時的に格納するRAM162
と,所定の画像情報及びゲームプログラム及び第三者キャラクタの画像が所要数予
め記憶されたROM163とを備え,
制御部16のCPU161は,RAM162上に保持されたゲームプログラム,
制御プログラムを実行することによって,プレイヤからのゲームへの参加を受け付
ける受付処理部161aと,ゲームの開始から終了までの一連の進行を制御して射

撃ゲームを進行させるゲーム進行制御部161bと,自己プレイヤキャラクタの相
手プレイヤキャラクタのスコアの大小を比較するスコア比較部161jと,コンピ
ュータによって制御されるNPC(Non player Character)
を仮想ゲーム空間に登場させ,対戦ゲームの優劣バランスを図るNPC制御部16
1kとして機能し,
制御部16のRAM162は,同じ仮想ゲーム空間での対戦ゲーム中のゲーム途
中経過情報が,逐次プレイヤ毎に,味方,相手側の全プレイヤについて更新的に記
憶される途中経過情報記憶部162aと,スコア情報を記憶する設定情報記憶部1
62bとを備え,
スコア比較部161jは,グループ対戦ゲームにおいて,味方側のキャラクタと
相手側のキャラクタの各スコアの集計をし,両集計スコアの大小を比較するもので
あって,ゲーム開始時点では,スコアが全て0なので,味方側及び相手側の各キャ
ラクタの過去のグループ対戦ゲームにおけるスコアをサーバ3から取得し,味方側
及び相手側の各キャラクタの各スコアを集計して,その大小を比較するものであっ
て,
NPC制御部161kは,スコア比較部161jの比較結果に基づいて,仮想ゲ
ーム空間へのNPCの登場処理又は参戦処理を実行させるものであって,参戦処理
は,対戦状況の調整であって,スコアの低い方(弱い側)のグループ(チーム)を
支援する第三者勢力としてのNPCを登場させ,できるだけ拮抗したグループ対戦
を通して,面白味や緊張感のあるゲーム展開を実現するために行われ,スコア比較
部161jによる両集計スコアの大小比較での差が所定の閾値以上である場合に,
NPCを登場させるものとして機能するものであり,
さらに,NPC制御部161kは,NPCに対して味方側,相手側の各集計スコ
アの差に応じた,集計スコアの小さい側への支援度合いを設定し,
ゲーム端末1のCPU161のゲームプログラムによって実行されるゲーム処理
の手順は,

グループ対戦ゲームでのプレイヤの選定が成立したのであれば,サーバ3から送
信される,マッチングが成立したプレイヤのプレイヤ情報及び所定のスコア情報の
受信が行われ,受信したスコアから支援度合いの設定処理が実行され,この大小比
較における差が閾値以上であれば,差に応じた支援度合いが設定され,NPCが登
場する処理が実行され,
ゲーム開始時には,ゲーム開始から1分までにおける支援度合いが設定されてお
り,
支援度合いに応じて,NPC人数を増減設定する態様としてもよく,差分に応じ
たNPCの登場数の対照表を予め準備しておき,算出された差分に応じてNPCの
数を設定することで,NPCの数で支援度合いに対応するので,NPCの強さ自体
は一律とすることもできる,
1対1ゲームにも適用可能であるゲームプログラム。」
(2) 本願発明と引用発明1との対比
前記第2の2で認定した本願発明の内容と前記(1)で認定した引用発明1を比較
すると,両発明の一致点及び相違点は以下のとおりとなる。
ア 一致点
「マッチング処理を行うプログラムであって,
プレーヤキャラクタの情報を記憶部に記憶する処理を行う記憶処理部と,
第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキャラクタが登場する対戦ゲーム
に参戦第3者キャラクタを抽出し,当該第1のプレーヤキャラクタ及び当該第2の
プレーヤキャラクタに当該第3者キャラクタをマッチングする設定処理を行うマッ
チング処理部として,コンピュータを機能させ,
前記マッチング処理部が,
前記第1のプレーヤキャラクタの情報及び前記第2のプレーヤキャラクタの情報
の組み合わせに基づいて,前記対戦ゲーム開始前に第3者キャラクタを抽出するプ
ログラム。」

イ 相違点
(ア) 相違点1
第1のプレーヤキャラクタの情報及び第2のプレーヤキャラクタの情報の組合せ
に基づいて,第3者キャラクタを抽出するという,第1のプレーヤキャラクタ及び
第2のプレーヤキャラクタに第3者キャラクタをマッチングする設定処理に関して,
本願発明は,
「複数のキャラクタの中から,第3者キャラクタを抽出」しているのに
対して,引用発明1は,「NPC人数を増減設定」している点。
(イ) 相違点2
本願発明は,マッチング処理を行うサーバのプログラムが「マッチング処理部」
として,コンピュータを機能させているのに対して,引用発明1において,「マッ
チング処理部」に相当する構成は,ゲーム端末1のゲームプログラムがコンピュー
タを機能させている点。
(3) 原告の主張について
ア 相違点Aについて
原告は,本願発明と引用発明1とは,優劣判断の局面における「プレーヤキャラ
クタ」の意味について,本願発明では,プレーヤ(対戦者)が操作するキャラクタ
を意味するのに対し,引用発明では,キャラクタを操作するプレーヤを意味するか
ら,この点(相違点A)も両発明の相違点となると主張する。
(ア) しかし,本願発明の特許請求の範囲の記載は,
「マッチング処理を行う
サーバのプログラムであって,プレーヤキャラクタの情報を記憶部に記憶する処理
を行う記憶処理部と,第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキャラクタが
登場する対戦ゲームに参戦可能な複数のキャラクタの中から,第3者キャラクタを
抽出し,当該第1のプレーヤキャラクタ及び当該第2のプレーヤキャラクタに当該
第3者キャラクタをマッチングする設定処理を行うマッチング処理部として,コン
ピュータを機能させ,前記マッチング処理部が,前記第1のプレーヤキャラクタの
情報及び前記第2のプレーヤキャラクタの情報の組み合わせに基づいて,前記対戦

ゲーム開始前に第3者キャラクタを抽出することを特徴とするプログラム。」とい
うものであり,第3者キャラクタの抽出は,第1のプレーヤキャラクタの情報及び
第2のプレーヤキャラクタの情報の組合せに基づいて行われる旨の記載があるとこ
ろ,特許請求の範囲の上記記載からすると,このプレーヤキャラクタの情報が,プ
レーヤが操作するキャラクタの情報に限定され,プレーヤの情報は含まれないと解
することはできない。
本願発明は,前記1(2)のとおり,従来から,プレーヤが,オブジェクト空間のプ
レーヤキャラクタを操作して相手プレーヤキャラクタと対戦する対戦ゲームを行う
ゲームシステムにおいて,対戦者同士の操作経験に基づくゲーム優劣のアンバラン
スを,コンピュータ制御による第3者キャラクタをゲームに登場させることによっ
て調整し,拮抗かつ緊張感のあるゲームを提供するものが存したが,従来技術にお
いては,対戦状況に応じて,第3者キャラクタを出現させて,スコアの低いキャラ
クタに対して支援を行っているにすぎず,面白みに欠けるという課題があったこと
から,第1のプレーヤキャラクタのレベル等の情報及び第2のプレーヤキャラクタ
のこれらの情報の組合せに基づいて,対戦ゲーム開始前に第3者キャラクタを抽出
することにより,第3者キャラクタの参戦によって従来にない白熱した対戦ゲーム
を楽しむことができ,一層面白みを感じることができるようにしたものである。
また,前記1(1)のとおり,本願明細書等には,
「本発明のプロブラムにおいて,前
記マッチング処理部が,前記第1のプレーヤキャラクタのレベル及び前記第2のプ
レーヤキャラクタのレベルの少なくとも一方に基づいて,第3者キャラクタを抽出
してもよい。(段落
」 【0011】,
)「プレーヤキャラクタの情報とは,
「レベル」「属

性」等である。(段落【0105】
」 )と記載されているところ,「プレーヤキャラク
タのレベル」とは,プレーヤの技量を示す技量情報を意味するものと認められる(段
落【0097】。

さらに,本願明細書等の段落【0106】~【0111】では,レベルに基づく
第3者キャラクタの抽出の実施形態について記載されているが,同段落においては,

第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキャラクタの各レベルが同じ程度の
場合に同レベルと同じレベルの第3者キャラクタを抽出してもよいこと,第1のプ
レーヤキャラクタのレベルと第2のプレーヤキャラクタのレベル差が10未満であ
り,第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキャラクタを協力させて第3者
キャラクタと戦わせる場合には,レベル90以上のキャラクタを第3者キャラクタ
として抽出してもよいこと,第1のプレーヤキャラクタと第2のプレーヤキャラク
タのレベル差を埋める目的で,レベルの高いプレーヤキャラクタのレベルに近いレ
ベルの第3者キャラクタを抽出してもよいこと等が例示されている。また, 【0
段落
112】では,レベルに基づく抽出条件テーブルの図が示され,第 1 のプレーヤキ
ャラクタのレベルが「高」で第2のプレーヤキャラクタのレベルが「低」の場合は,
レベルが「普通」の第3者キャラクタが抽出され,第 1 のプレーヤキャラクタ及び
第2のプレーヤキャラクタのレベルが共に「低」の場合は,レベルが「普通」の第
3者キャラクタが抽出され,第 1 のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキャラ
クタのレベルが共に「高」の場合は,レベルが「高」の第3者キャラクタが抽出さ
れることが記載されている。これらの記載は,第3者キャラクタが,対戦のマッチ
ングがされた各プレーヤの技量に応じて抽出されることと矛盾なく理解できるもの
である。
以上のようなことからすると,第1のプレーヤキャラクタの情報及び第2のプレ
ーヤキャラクタの情報の組合せに基づいて第3者キャラクタを抽出する場合の上記
各情報がいずれもプレーヤの技量情報である場合を含んでいると解するのが相当で
ある。
そして,引用発明1の内容は,前記(1)のとおりであり,引用発明1では,各キャ
ラクタのスコアに基づき,NPCの投入の有無及び人数が決定されるところ,原告
が主張するとおり,この各キャラクタのスコアとは各プレーヤの技量を意味すると
解されるから,引用発明1においても,各プレーヤの技量情報に基づき第3者キャ
ラクタが抽出されるものと認められる。

(イ)a 原告は,本願明細書等には,
「レベル」は,プレーヤが存在しない第
3者キャラクタについても想定されているから,
「レベル」は,プレーヤではなく操
作の客体であるキャラクタに関する情報であることは明らかであり,また,「属性」
や「パラメータ」はプレーヤに関する情報ではないと主張する。
しかし,前記1(1)で認定した本願明細書等の記載によると,本願発明のうち,レ
ベルに基づく第3者キャラクタの抽出の実施形態においては,第1のプレーヤキャ
ラクタ及び第2のプレーヤキャラクタの各レベルに基づいて,抽出すべき第3者キ
ャラクタのレベルが決定されるところ,このような実施形態において,第1のプレ
ーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキャラクタの各レベルは,プレーヤ自身のレベ
ルであり,他方,第3者キャラクタのレベルは,例えば,予め定められたアルゴリ
ズムに基づきコンピュータで制御されるCPUキャラクタ(段落【0161】)の場
合は,当該キャラクタのレベルとなるとしても,本願発明の技術的意義が損なわれ
ることはなく,従来にない白熱した対戦ゲームを楽しむことができるとの作用効果
は生ずるものと認められるから,第3者キャラクタについて,当該キャラクタ自体
のレベルとなることがあるからといって,第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプ
レーヤキャラクタの各レベルもプレーヤの操作するキャラクタのレベルを意味する
ということにはならないというべきである。また,
「属性」や「パラメータ」は,
「レ
ベル」とは異なる第3者キャラクタを抽出するための情報であって,それらがプレ
ーヤに関する情報でないとしても,
「レベル」がプレーヤに関する情報ではないとい
うことにはならない。
したがって,原告の上記主張は理由がない。
b また,原告は,本願明細書等の段落【0097】の記載は,第3者
キャラクタの抽出に関するものではなく,第1のプレーヤキャラクタと第2のプレ
ーヤキャラクタのマッチングに関するものであるから,第3者キャラクタの抽出の
局面における「レベル」の意味を解釈するための考慮要素にはならないと主張する。
しかし,前記1(1)で認定した本願明細書等の記載によると,本願発明においては,

第1のプレーヤキャラクタと第2のプレーヤキャラクタのマッチングが行われ,同
マッチングが完了すると,上記各プレーヤキャラクタの情報に基づいて第3者キャ
ラクタが抽出され,上記の「情報」には,
「レベル」や「属性」があることが認めら
れるところ,段落【0097】は,第1のプレーヤキャラクタと第2のプレーヤキ
ャラクタのマッチングにおいても,上記各プレーヤキャラクタの「レベル」を参照
してもよいとするものであるから,同段落の「レベル」は,第3者キャラクタを抽
出する際の基となる「レベル」と同義であるというべきである。
したがって,原告の上記主張は理由がない。
c さらに,原告は,名詞の結合という構成の語句の場合,前の名詞(プ
レーヤ)は後の名詞(キャラクタ)を修飾するものとして機能するから,特許請求
の範囲の記載上,「プレーヤキャラクタ」とは,「キャラクタを操作するプレーヤ」
ではなく,
「プレーヤが操作するキャラクタ」を意味することは明らかであると主張
する。
しかし,仮に,
「プレーヤキャラクタ」がプレーヤが操作するキャラクタを意味す
ると解するのが自然であるとしても,そのことから直ちに,
「プレーヤキャラクタの
情報」もプレーヤが操作するキャラクタに関する情報であると解することにはなら
ないというべきである。
したがって,原告の上記主張は理由がない。
(ウ) 以上より,本願発明と引用発明1との間に相違点Aは存在しない。
イ 相違点Bについて
原告は,本願発明においては,第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキ
ャラクタは,いずれもプレーヤにより選択されるものであるのに対し,引用発明1
では,その点が明記されていないという相違点Bがあると主張する。
しかし,本願発明の特許請求の範囲の記載は,前記のとおりであり,第1のプレ
ーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキャラクタがプレーヤにより選択されることに
ついては記載されていない。

そして,本願明細書等にも,プレーヤがプレーヤキャラクタを選択することによ
り,プレーヤキャラクタが設定されることについて,記載されていない。
この点,原告は,段落【0098】には,プレーヤの操作対象となるプレーヤキ
ャラクタは,固定されているものではなく,プレーヤにより選択されることが示さ
れている旨主張するが,同段落の「グループ(チーム)として構成される複数のプ
レーヤキャラクタのまとまりを,一のプレーヤが操作してもよい」という記載が,
プレーヤがグループを構成する各プレーヤキャラクタを選択していることを意味す
るとは認められず,また,その他に,同段落に,プレーヤがプレーヤキャラクタを
選択していることを示す記載があるとも認められないから,原告の上記主張は理由
がない。
したがって,本願発明においても,第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレー
ヤキャラクタがプレーヤにより選択されることは特定していないから,本願発明と
引用発明1との間に相違点Bは存在しないというべきである。
(4) 本願発明の「複数のキャラクタの中から,第3者キャラクタを抽出」の意
味(相違点Cの有無)について
原告は,本願発明においては,複数の種類の第3者キャラクタから選択されると
主張し,被告は,複数の種類の第3者キャラクタから抽出(選択)されることを特
定しているものと解することはできないと主張するので,以下,この点について検
討する。
本願の特許請求の範囲には,「第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキ
ャラクタが登場する対戦ゲームに参戦可能な複数のキャラクタの中から,第3者キ
ャラクタを抽出し」「前記マッチング処理部が,前記第1のプレーヤキャラクタの

情報及び前記第2のプレーヤキャラクタの情報の組み合わせに基づいて,前記対戦
ゲーム開始前に第3者キャラクタを抽出する」と記載されていることから,本願発
明においては,参戦可能な複数の第3者キャラクタの中から,第1のプレーヤキャ
ラクタ及び第2のプレーヤキャラクタの各情報に基づき,第3者キャラクタが抽出

されることは明らかである。
ところで,前記1(2)のとおり,本願発明は,対戦者同士の操作経験に基づくゲー
ム優劣のアンバランスを,コンピュータ制御による第3者キャラクタをゲームに登
場させることによって調整し,拮抗かつ緊張感のあるゲームを提供するものである
が,従来技術においては,対戦状況に応じて,スコアの低いキャラクタに対して支
援を行うために第3者キャラクタを抽出しているにすぎず,面白みに欠けるという
課題があったため,第1のプレーヤキャラクタの「レベル」「属性」及び「攻撃力・

防御力等のパラメータ」等の情報並びに第2のプレーヤキャラクタのこれらの情報
の組合せに基づいて,第3者キャラクタを抽出することとしたものである。
そして,抽出できる第3者キャラクタのレベル等を同じものとした場合は,本願
発明の上記効果を奏することはできないから,本願発明においては,参戦可能な第
3者キャラクタは,レベル等の異なる複数のものとしておく必要があるというべき
であるが,レベル等の異なる第3者キャラクタは,その種類が異なると評価できる
から,本願発明においては,第3者キャラクタとして抽出すべき対戦ゲームに参加
可能な複数のキャラクタには,レベル等の種類が異なる複数のキャラクタが含まれ
ることが当然の前提となっているというべきである。
したがって,相違点1における本願発明の「複数のキャラクタの中から,第3者
キャラクタを抽出」とは,種類の異なる複数の参加可能なキャラクタの中から第3
者キャラクタを抽出することを意味するというべきである。
このように,相違点1における本願発明の「複数のキャラクタ」とは「種類の異
なる複数のキャラクタ」を意味するものと解されるから,相違点1は相違点Cを含
むものとなる。
4 取消事由2について
(1) 相違点1の容易想到性について
ア 相違点1の内容について
前記3(2)イ(ア)のとおり,相違点1は,第1のプレーヤキャラクタの情報及び第

2のプレーヤキャラクタの情報の組合せに基づいて,第3者キャラクタを抽出する
という,第1のプレーヤキャラクタ及び第2のプレーヤキャラクタに第3者キャラ
クタをマッチングする設定処理に関して,本願発明は,複数のキャラクタの中から,

第3者キャラクタを抽出」しているのに対して,引用発明1は,
「NPC人数を増減
設定」している点であるところ,前記1(1)のとおり,本願明細書等には,
「本実施形
態の第3者キャラクタは,プレーヤの入力情報に基づいて制御される「プレーヤキ
ャラクタ」,過去のプレーヤキャラクタの制御情報に基づきコンピュータで制御さ
れる「ゴーストキャラクタ」 又は予め定められたアルゴリズムに基づきコンピュー

タで制御される「CPUキャラクタ」である。(段落【161】,
」 )「プレーヤキャラ
クタとは,現実のプレーヤが操作するキャラクタのことであり,端末10の入力部
から入力された入力情報に基づいて制御(移動・動作制御や攻撃等の制御)を行う
キャラクタである。(段落【0162】
」 )と記載されているとおり,この第3者キャ
ラクタとしては,コンピュータで制御されるキャラクタと当該ゲームに参加した他
のプレーヤが操作するキャラクタが想定されている。
イ 周知技術について
(ア) 前記2(2)で認定した引用文献3の記載によると,同文献には,対戦型
コンピュータゲームにおいて,プレイヤキャラクタの強さに応じた強さの敵キャラ
クタを出現させるという構成が記載されているものと認められ,また,前記2(3)で
認定した引用文献4の記載によると,同文献には,対戦型コンピュータゲームにお
いて,プレーヤのレベルに応じて,種々のレベルのプレーヤと対戦することができ
るという構成が記載されているものと認められる。
したがって,コンピュータゲームにおいて,複数の種類のキャラクタ又はプレー
ヤの中から,キャラクタ又はプレーヤのレベルに応じたキャラクタ又はプレーヤが
抽出されるという技術構成は周知な技術(以下「周知技術A」という。)であると認
められる。
(イ) 原告は,周知技術1は,引用文献3,4に開示されていない旨主張す

るが,引用文献3,4には,前記2(2),(3)のとおりの記載があるから,同文献に
は周知技術Aが開示されているというべきである。
ウ 動機付けについて
(ア) 前記2(1)~(3)のとおり,周知技術Aは,引用文献1が属する対戦型コ
ンピュータゲームの分野における周知技術である。
そして,前記2(2),(3)のとおり,引用文献3には,プレイヤキャラクタと敵キャ
ラクタの強さのバランスをとることを目的とし,プレイヤキャラクタの強さに応じ
た強さの敵キャラクタを出現させることで,プレイヤキャラクタに対して強すぎた
り弱すぎたりすることのないようにして,ゲームの興味を持続させる効果を生じさ
せることが記載され,また,引用文献4には,ユーザの競技レベルに相応しい他の
ユーザを対戦相手とすることを目的とし,ユーザの競技レベルに応じた競技レベル
の対戦相手を選択することで,相手が弱すぎたり強すぎたりすることがなくなり,
各ユーザは実力が伯仲した相手との対戦を楽しむことができるという効果を生じさ
せることが記載されていることからすると,周知技術Aは,ゲームに抽出されるキ
ャラクタやプレーヤのレベルをキャラクタやプレーヤのレベルに合わせることによ
り,ゲームを楽しいものとするという技術思想に基づくものであると認められると
ころ,引用発明1も,前記3(1)で認定したとおり,支援すべきプレイヤの支援度合
いに応じた人数の第三者勢力を登場させて,プレイヤ同士の操作経験に基づく優劣
のアンバランスを調整することにより,拮抗かつ緊張感のあるゲームとするという
技術思想に基づくものであると認められるから,周知技術Aと引用発明1とは共通
の技術思想を有しているといえる。
したがって,引用発明1及び周知技術Aは,技術分野及び技術思想が共通するか
ら,引用発明1に周知技術Aを適用する動機付けはあるというべきである。
(イ) 原告は,引用文献3,4に記載された技術は,いずれも,第3者登場
型に属する対戦アクションゲームに関する技術ではないし,また,第1のプレーヤ
キャラクタの情報及び第2のプレーヤキャラクタの情報の組合せに基づいて第3者

キャラクタが抽出されるというものでもないから,本願発明とは技術分野を異にす
ると主張する。
しかし,前記(ア)のとおり,引用発明1に周知技術Aを適用することの動機付けは
認められるというべきであり,動機付けが認められるためには,第三者登場型対戦
ゲームであるという点の共通性は必要ないというべきである。
したがって,周知技術Aが第三者登場型対戦ゲームではないことを前提とする原
告の上記主張は理由がない。
エ(ア) ところで,相違点1は,第3者キャラクタを抽出してマッチングさせ
る設定処理に関して,本願発明は,
「複数のキャラクタの中から,第3者キャラクタ
を抽出」しているのに対して,引用発明1は,
「NPC人数を増減設定」している点
である。すなわち,本願発明と引用発明1とは,第3者キャラクタを抽出してマッ
チングさせる設定処理に関して,当該第3者キャラクタが,複数のレベルのキャラ
クタの中からレベルの合うキャラクタが抽出されるのか,それとも,同一のレベル
のキャラクタが抽出され,その人数を増減させることによりレベルを合わせるのか
の点で相違するのであるから,第3者キャラクタを抽出してマッチングさせる設定
処理に関して,引用発明1の「NPC人数を増減設定」するという構成(同一のレ
ベルのキャラクタが抽出され,その人数を増減させることによりレベルを合わせる
という構成)に代えて,周知技術Aの「複数の種類のキャラクタ又はプレーヤの中
から,キャラクタ又はプレーヤのレベルに応じて特定のキャラクタ又はプレーヤを
抽出すること」という構成にすることで,本願発明の構成となるものと認められる。
(イ) 原告は,本願発明の課題は,
「対戦者同士の操作経験に基づくゲーム優
劣のアンバランスを第3者キャラクタを登場させることにより調整する従来技術が,
対戦ゲームとしての面白みに欠ける」ことであり,プレーヤのレベル等に応じた相
手側キャラクタを抽出するというものではないから,引用発明1及び周知技術1と
は課題が異なる旨主張するが,本願発明の課題が上記のとおりであるとしても,引
用発明1に周知技術Aを適用することが困難となるということはできず,また,引

用発明1に周知技術Aを適用すると,本願発明の構成となるのであるから,原告の
上記主張は理由がない。
オ 以上より,引用発明1に周知技術Aを適用して,本願発明を容易に想到
することができるというべきである。
カ なお,原告は,本願発明は,第3者キャラクタの参戦により従来にない
白熱した対戦ゲームを楽しむことができるという各引用文献に記載の発明の作用効
果とは異なる格別の作用効果を奏する旨主張するが,同効果は,引用発明1に周知
技術Aを適用した発明にも認められる作用効果であって,格別のものとはいえない
から,原告の上記主張は理由がない。
(2) 相違点2の容易想到性について
ゲームプログラムによってコンピュータを機能させることを,ゲーム端末1のコ
ンピュータによるか,サーバのコンピュータによるかは,当業者が適宜選択しうる
ものであるから,引用発明1について,相違点2に係る構成とすることは,当業者
が容易に想到し得たものである。
5 以上より,本願発明は,引用発明1及び周知技術Aに基づき容易に発明でき
たと認められ,原告の主張する取消事由は理由がない。
第6 結論
よって,主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第2部


裁判長裁判官
森 義 之


裁判官
佐 野 信


裁判官
熊 谷 大 輔

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