知財判決速報/裁判例集知的財産に関する判決速報,判決データベース

ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和1(ワ)14446 発信者情報開示請求事件

この記事をはてなブックマークに追加

令和1(ワ)14446発信者情報開示請求事件

判決文PDF

▶ 最新の判決一覧に戻る

裁判所 請求棄却 東京地方裁判所
裁判年月日 令和2年2月20日
事件種別 民事
当事者 原告株式会社K.E.G
被告ソフトバンク株式会社
法令 著作権
著作権法32条1項2回
著作権法15条1項1回
キーワード 侵害41回
損害賠償8回
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
1 前提事実(当事者間に争いがないか,末尾の証拠及び弁論の全趣旨により容
1」ないし「本件投稿行為5」といい,本件投稿行為1ないし5を併せて「本20
4)
2 争点
3 争点に関する当事者の主張
1項柱書)に当たるか否か)について
1 争点1(本件各発信者情報が「当該権利の侵害に係る発信者情報」(法4条1
2 結論
1
2
1
2
3
4
5
1-1
1-2
1-3
1-4
2-1
2-2
2-3
2-4
2-5
3-1
3-2
3-3
3-4
3-5
4-1
4-2
4-3
4-4
5-1
5-2
5-3
5-4
事件の概要 本件は,原告が,氏名不詳者によりインターネット上のウェブサイトに投稿 された別紙投稿記事目録記載1ないし5の各内容欄記載の写真(以下,同目録25 の番号に合わせて「本件写真1」ないし「本件写真5」といい,本件写真1な いし5を併せて「本件各写真」という。)は,原告が著作権を有する別紙著作物 目録記載の各写真(以下,同目録の番号に合わせて「原告写真1-1」ないし 「原告写真5-4」といい,原告写真1-1ないし5-4を併せて「原告各写 真」という。)をつなぎ合わせて作成されたものであり,同氏名不詳者が本件各5 写真を投稿した行為は原告各写真に係る原告の複製権及び公衆送信権を侵害す るものであることが明らかであると主張して,経由プロバイダである被告に対 し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関 する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,本件各写真の投稿に用いら れたアカウントと同一のアカウントへのログインに用いられた別紙発信者情報10 目録記載1の各IPアドレス(以下「本件各IPアドレス」という。)を同目録 記載1の発信日時頃に割り当てられていた者に係る同目録記載2の情報(以下, 「本件各発信者情報」という。)の開示を求める事案である。

▶ 著作権に関する裁判例

本サービスは判決文を自動処理して掲載しており、完全な正確性を保証するものではありません。正式な情報は裁判所公表の判決文(本ページ右上の[判決文PDF])を必ずご確認ください。

判決文

令和2年2月20日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

令和元年(ワ)第14446号 発信者情報開示請求事件

口頭弁論終結日 令和元年11月14日

判 決

原 告 株 式 会 社 K. E. G

同訴訟代理人弁護士 梶 山 武 彦

同訴訟復代理人弁護士 河 瀬 季

同 谷 川 智

被 告 ソ フ ト バ ン ク 株 式 会 社

同訴訟代理人弁護士 五 十 嵐 敦

同 大 山 貴 俊

同 近 藤 翔 太

主 文

1 原告の請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。

第2 事案の概要

本件は,原告が,氏名不詳者によりインターネット上のウェブサイトに投稿された別紙投稿記事目録記載1ないし5の各内容欄記載の写真(以下,同目録の番号に合わせて「本件写真1」ないし「本件写真5」といい,本件写真1ないし5を併せて「本件各写真」という。)は,原告が著作権を有する別紙著作物目録記載の各写真(以下,同目録の番号に合わせて「原告写真1-1」ないし「原告写真5-4」といい,原告写真1-1ないし5-4を併せて「原告各写

5 真」という。)をつなぎ合わせて作成されたものであり,同氏名不詳者が本件各写真を投稿した行為は原告各写真に係る原告の複製権及び公衆送信権を侵害するものであることが明らかであると主張して,経由プロバイダである被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,本件各写真の投稿に用いられたアカウントと同一のアカウントへのログインに用いられた別紙発信者情報目録記載1の各IPアドレス(以下「本件各IPアドレス」という。)を同目録記載1の発信日時頃に割り当てられていた者に係る同目録記載2の情報(以下,「本件各発信者情報」という。)の開示を求める事案である。1 前提事実(当事者間に争いがないか,末尾の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお,枝番号の記載を省略したものは,枝番号を含む(以下同様))。

(1) 氏名不詳者は,別紙投稿記事目録記載1ないし5の各投稿日欄の日付において,本件各写真を含む記事をインターネット上のウェブサイトである「インスタグラム」に投稿した(以下,同目録の番号に合わせて「本件投稿行為1」ないし「本件投稿行為5」といい,本件投稿行為1ないし5を併せて「本件各投稿行為」という。。)(甲7)本件各写真は,複数の写真をつなぎ合わせる形で構成されているところ,本件写真2には,原告写真2-1ないし2-5が利用されている。(甲7,14)

(2) 本件各写真が投稿された上記ウェブサイト(以下「本件サイト」という。)に記事を投稿するためには,予めユーザ名及びパスワード等を登録してアカウントを作成し,登録したユーザ名及びパスワードを用いてアカウントにログインする必要がある。(甲5)本件各投稿行為は,いずれも「kyabakyaba12」というユーザ

5 名のアカウント(以下「本件アカウント」という。)にログインした状態でなされた。(甲6,7)

(3) 本件サイトにおいては,あるアカウントに複数の者が同時にログインすることが可能であり,当該アカウントに対し複数のアクセス元からのログインが併存し得る。(弁論の全趣旨)

(4) 原告は,本件サイトを運営する訴外フェイスブック・インク「以下「フェイスブック」という。)から,本件アカウントへログインするための情報が発信された発信日時及び発信元のIPアドレスの開示を受けたところ,その内容は別紙発信者情報目録記載1(1)ないし(13)のとおりであった。(甲4。以下,同目録記載1(1)ないし(13)で特定される各ログインを同目録の番号に合わせて「本件ログイン(1)」ないし「本件ログイン(13)」といい,本件ログイン(1)ないし(13)を併せて「本件各ログイン」という。)

(5) 被告は,本件各発信者情報を保有している。2 争点

(1) 本件各発信者情報が「当該権利の侵害に係る発信者情報」(法4条1項柱書)に当たるか否か(争点1)

(2) 被告が「開示関係役務提供者」に該当するか(争点2)

(3) 権利侵害の明白性(争点3)

(4) 本件各発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無(争点4)3 争点に関する当事者の主張

(1) 争点1(本件各発信者情報が「当該権利の侵害に係る発信者情報」(法4条1項柱書)に当たるか否か)について[原告の主張]次のア,イの各点からすれば,本件発信者情報は「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当する。

5 ア 「当該権利の侵害に係る発信者情報」は,問題となっている情報を現実に発信した際に把握される発信者情報に限定されるべきではなく,不法行為に基づく損害賠償責任等を負う者に関する情報が含まれる。なぜなら,文理上,情報を現実に発信した際に把握される発信者情報にまで限定していないし,また,法4条1項の趣旨は,特定電気通信を用いて行われた加害者不明の権利侵害行為の被害者の当該加害者に対する正当な権利行使の可能性の確保と,発信者の表現の自由及びプライバシーの確保,これに伴い役務提供者が契約者に対して有する守秘義務等の間の調整を図る点にあるところ,上記の解釈を行わない限り,各投稿時の情報を保存しない本件サイトのようなログイン型SNSにおいては他人の権利を侵害した者を特定することが不可能となり,被害者の当該加害者に対する正当な権利行使の可能性が断たれる一方,規範的に見て権利を侵害しているとみなされる者,共同不法行為の責任を負うべき者,直接の権利侵害行為を幇助した者に関する情報を含むとしても,第三者の表現の自由,プライバシー及び通信の秘密を不当に制限することにはならないからである。イ 本件各投稿行為をした者と本件アカウントへログインした者は同一人物である。また,仮に,別人であったとしても,本件アカウントへログインした者は,本件アカウントの管理運営について密接な関連性があり,本件各投稿行為をした際の事情を把握していると考えられる以上,規範的に見て権利を侵害しているとみなされる者,共同不法行為の責任を負うべき者又は直接の権利侵害行為を幇助した者に当たり,本件各投稿行為について損害賠償責任等を負う者といえ,本件各発信者情報は,そのような者に係る情報である以上,「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当する。[被告の主張]次のア,イの各点からすれば,本件発信者情報は「当該権利の侵害に係る

5 発信者情報」に該当しない。ア 法が,発信者情報の開示請求権を創設した反面,発信者のプライバシーや表現の自由,通信の秘密等に配慮し,その権利行使の要件として権利侵害の明白性等の厳格な要件を定めた趣旨や,法4条1項の文言に照らすと,開示請求の対象は,開示請求者の権利を侵害したとする情報の発信者についての情報に限られると解すべきであり,権利侵害情報でない情報の発信(以下「非侵害発信」という。)に係る者の情報は,これが開示されることにより,侵害情報の発信者が特定される可能性があるとしても,発信者情報開示請求の対象にならないと解すべきである。そして,本件アカウントへのログインの際の情報の発信は非侵害発信であり,この発信に係る者の情報は,発信者情報開示請求の対象にならない。イ 本件各投稿行為は,平成31年(2019年)1月8日から同月18日にかけての間になされているところ,本件アカウントにログイン情報が送信された日時との間には,それぞれ最短でも36日間,最長では46日間も開きがあることからすると,本件各ログインに基づいて本件各投稿行為がなされたことは明らかではない。とりわけ,本件ログイン(1)ないし(3)は,本件各投稿行為の後になされていることからすると,本件ログイン(1)ないし(3)に基づいて本件各投稿行為がなされていないことは論理的に明白である。そもそも,本件サイトにおいては,あるアカウントに複数の者が同時にログインすることが可能と考えられること,本件サイトでは,同一のアカウントを複数人で管理・運営することも考えられ,パスワードさえ分かれば,アカウントの作成者以外の者でもログインすることができることからすれば,本件各ログインを行った者が本件各投稿行為を行ったことの蓋然性が高いとは到底いえない。

5 (2) 争点2(被告が「開示関係役務提供者」に該当するか)について[原告の主張]原告は,前記1(4)のとおり,フェイスブックから別紙発信者情報目録記載の各IPアドレスの開示を受け,これにより,被告が違法な記事の投稿に関与していると疑われる者の氏名・住所等の発信者情報を保有していることを特定した。したがって,被告は「開示関係役務提供者」に該当する。[被告の主張]法4条1項が定める「開示関係役務提供者」とは,他人の権利を侵害したとされる情報を流通させた特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者であるところ,被告は,本件各ログイン日時に,本件各IPアドレスを用いてなされた,本件アカウントで本件サイトにログインするという,非侵害発信の用に供された電気通信設備を用いて当該非侵害発信を媒介したにすぎない。そして,本件各投稿行為に使用されたIPアドレス及び同アドレスの割当日時が定かでなく,被告が本件各投稿行為の用に供される特定電気通信設備を用いて本件各投稿行為を媒介したことについて主張立証がない以上,被告が法4条1項にいう「開示関係役務提供者」に該当するとはいえない。

(3) 争点3(権利侵害の明白性)について[原告の主張]ア 原告各写真の著作物性原告各写真は,撮影者である原告の従業員の思想又は感情を創作的に表現しており,創作性が認められる。すなわち,原告各写真は,機械的・画一的に撮影される証明写真等と異なり,被写体である女性の捕捉について,当該女性ごと,かつ写真ごとに異なる内容であり,撮影者の個性が表現されている。更に,原告各写真は,その背景の選択やライティング及びコン

5 トラストにおいても,撮影者の個性が表れている。イ 原告は原告各写真の著作者であるか原告は,キャバクラ店から女性従業員の広告宣伝用の写真撮影として多数の依頼を受け,従業員又は業務委託先である専属カメラマンが原告の業務フローに従い,依頼内容に応じて写真を撮影している。原告各写真もそのように撮影されたものであるから,原告の発意に基づき,原告の業務に従事する者がその職務上作成した著作物である。また,原告各写真は,原告がその著作の名義の下に公表している。さらに,原告と上記カメラマンとの間には著作者に関する別段の定めはない。したがって,著作権法15条1項に基づき,原告各写真の著作者は原告である。ウ 原告各写真が本件各写真に利用されているか本件各写真は,原告各写真を含む複数の写真をつなぎ合わせる形で構成されている(具体的には,本件写真1につき原告写真1-1ないし1-4,本件写真2につき原告写真2-1ないし2-5,本件写真3につき原告写真3-1ないし3-5,本件写真4につき原告写真4-1ないし4-4,本件写真5につき原告写真5-1ないし5-4)。エ 引用(著作権法32条1項)の抗弁の成否本件各投稿行為は,投稿者の営業促進目的で行われたものと考えられること,本件各写真の大半を原告各写真が占めており,かかる利用の態様は引用として適切なものとは評価し得ないこと,本件各投稿行為により,原告の営業機会が減少するおそれがある等,原告に与える不利益の程度が大きいことからすれば,「公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるもの」とは認められない。[被告の主張]

5 ア 原告各写真の著作物性原告各写真は,いずれも人物の顔及び上半身等をありふれた構図で撮影した写真にすぎず,創作性が認められるか否か明らかではない。イ 原告は原告各写真の著作者であるか原告各写真が,原告の従業員等によって撮影されたものか否か明らかではなく,原告が著作者であることが明らかであるとはいえない。ウ 原告各写真が本件各写真に利用されているか原告写真2-1ないし2-5以外の本件各投稿行為に係る写真については,原告各写真が利用されているか否か明らかでない。エ 引用(著作権法32条1項)の抗弁の成否本件各投稿行為による投稿の表記や内容に鑑みれば,本件各投稿行為が公正な慣行に合致し,引用の目的上正当な範囲内で行われるものに当たらないことが明らかであるとはいえない。

(4) 争点4(本件各発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)について[原告の主張]原告は,本件各投稿行為を行った者に対し,著作権侵害に関する損害賠償請求を行う予定であり,その前提として,被告の保有する本件各発信者情報の開示を受ける必要があるため,これを求めるべき正当な理由がある。[被告の主張]原告の上記主張は争う。

第3 当裁判所の判断

1 争点1(本件各発信者情報が「当該権利の侵害に係る発信者情報」

(法4条1項柱書)に当たるか否か)について

(1) この点,被告は,別紙発信者情報目録記載1の各IPアドレス(本件各I

5 Pアドレス)及び発信日時は,本件アカウントへのログインの際のものであ

って,本件各投稿行為が行われた際のものではないから,原告が開示を求める情報は,権利の侵害に係る発信者情報には当たらない旨を主張する。しかしながら,原告が開示を求める本件各発信者情報が本件アカウントへのログインの際のものであるとしても,当該ログインからログアウトまでの機会に当該ログイン状態を利用して本件各投稿行為が行われたことの証明がなされているといえる場合には,本件アカウントへのログインの際の情報は法4条1項柱書に規定する「当該権利の侵害に係る発信者情報」に当たると解するのが相当である。なぜなら,当該ログイン状態を利用して本件各投稿行為が行われたことの証明があった場合には,当該ログインに係る情報を「当該権利の侵害に係る発信者情報」と解することに文理上の障害はなく,また,かかる解釈は,権利の侵害を受けた者の正当な権利の行使を可能にするという立法趣旨にも合致するからである。

(2) そこで,本件ログイン(1)ないし(13)につき,当該ログイン状態を利用して

本件各投稿行為が行われたことの証明がなされているか否かを以下検討する。ア この点,本件ログイン(1)ないし(3)は,本件各投稿行為より時間的に後になされたものであり,当該ログイン状態を利用して本件各投稿行為が行われるということはそもそも不可能である。イ 他方,本件ログイン(4)ないし(13)は,本件各投稿行為より時間的に先行してなされているから,当該ログイン状態を利用して本件各投稿行為が行われた可能性は認められる。しかしながら,上記各ログインに関しても,前記第2の1(3)のとおり,本件サイトにおいては,同一のアカウントに対し,複数の端末からのログイン状態の併存が可能であることからすれば,いずれのログイン状態を利用して本件各投稿行為がなされたのか不明であり,ひいては,当該ログイン状態を利用して本件各投稿行為が行われた

5 と認めるには至らないといわざるをえない。また,本件においては,本件

各投稿行為がなされた日からさかのぼって36日間(本件投稿行為1の場合)ないし46日間(本件投稿行為2の場合)の期間内に,本件ログイン

(4)ないし(13)のとおり,複数のIPアドレスによるログインがあるもの

であって,投稿行為に用いられたアカウントに,投稿日から過去にさかのぼる相応の期間,唯一特定のIPアドレスによるログインしかなかったというような場合に当たるものでもない。これらによれば,本件各ログインの発信元のIPアドレス(本件IPアドレス)相互の関係が証拠上不明であることを考慮するまでもなく,本件は,上記(1)で説示した場合には当たらないというほかない。ウ 以上からすれば,本件ログイン(1)ないし(13)につき,当該ログイン状態を利用して本件各投稿行為が行われたことの証明がなされているとはいえない。したがって,本件各発信者情報が「当該権利の侵害に係る発信者情報」に当たるとは認められないというべきである。

(3) これに対し,原告は,法4条1項柱書の「当該権利の侵害に係る発信者情

報」は,問題となっている情報を現実に発信した際に把握される発信者情報に限定されるべきではなく,不法行為に基づく損害賠償責任等を負う者に関する情報が含まれるところ,本件各投稿行為をした者は,本件アカウントへログインした者と同一人物であるか,仮に別人であったとしても,後者は,規範的に見て権利を侵害しているとみなされる者,共同不法行為の責任を負うべき者又は直接の権利侵害行為を幇助した者に当たり,本件各投稿行為について損害賠償責任等を負う者であるから,本件各発信者情報は,そのような者に係る情報である以上,「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当する旨主張する。

5 しかしながら,法4条1項の文言,及び,同条項の規定に基づき開示の対

象となる発信者情報を規定した省令(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第一項の発信者情報を定める省令,平成14年総務省令第57号)の文言は,その文理からみて,侵害者自身の情報を対象とすることが明らかであって,

(原告の主張)

する上記の解釈を許容するものということはできず,また,本件各投稿行為をした者以外の者のIPアドレスに係る住所,氏名等の個人情報を開示してしまった場合には,その者の通信の秘密やプライバシーを不当に侵害する結果をもたらすことも考慮すれば,規定文言の文理を超えて,被害者の正当な権利行使の可能性を確保すべき必要性から直ちに上記の解釈を導き出すことには無理があると言わざるを得ない。さらに,本件各投稿行為をした者が本件アカウントへログインした者と同一人物であると認めるに足りる的確な証拠はなく,また,個々のアカウントの管理の態様は様々であることや,前記(2)イの説示に照らせば,本件各投稿行為をした者と別人である本件アカウントへログインした者が,規範的に見て権利を侵害しているとみなされる者等に当たり,本件各投稿行為について損害賠償責任等を負うことが明らかであるとは認めることはできず,本件各発信者情報がそのような者に係る情報であることを理由に「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するとする

(原告の主張)

は,その前提を欠くことに帰することとなる。以上からすれば,原告の上記各主張はいずれも採用し難く,本件各発信者情報が「当該権利の侵害に係る発信者情報」に当たるとは認められないとした上記の結論を左右しない。

(4) したがって,本件各発信者情報を法4条1項に規定する「当該権利の侵害

に係る発信者情報」に当たるということはできない。

2 結論

5 よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理

由がないから全て棄却することとして,主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第47部裁判長裁判官 田 中 孝 一裁判官 横 山 真 通裁判官 奥 俊 彦(別紙)発信者情報目録別紙投稿記事目録記載の投稿記事の投稿に用いられたアカウントへのログインに

5 用いられた下記1記載の各IPアドレスを同 1 記載の発信日時ころに使用して情報

を送信した者に関する情報であって下記2に掲げるもの。1番号 発信日時 IPアドレス

(1) 2019-03-01 05:18:32 UTC (省略)

(2) 2019-03-01 05:18:27 UTC (省略)

(3) 2019-02-17 20:45:21 UTC (省略)

(4) 2018-12-03 12:49:29 UTC (省略)

(5) 2018-11-06 18:26:02 UTC (省略)

(6) 2018-10-22 13:58:50 UTC (省略)

(7) 2018-10-02 15:14:21 UTC (省略)

(8) 2018-09-18 08:33:15 UTC (省略)

(9) 2018-09-15 15:16:25 UTC (省略)

(10) 2018-09-09 18:31:15 UTC (省略)

(11) 2018-09-09 16:16:25 UTC (省略)

(12) 2018-09-07 16:37:54 UTC (省略)

(13) 2018-09-06 11:06:09 UTC (省略)

2

(1) 氏名又は名称

(2) 住所

(別紙)投稿記事目録1URL (URLは省略)投稿日 2019年1月18日投稿者 kyabakyaba12内容URL (URLは省略)投稿日 2019年1月15日投稿者 kyabakyaba12内容URL (URLは省略)投稿日 2019年1月11日投稿者 kyabakyaba12内容URL (URLは省略)投稿日 2019年1月9日投稿者 kyabakyaba12内容URL (URLは省略)投稿日 2019年1月8日投稿者 kyabakyaba12内容(別紙)著作物目録1-1-2-3-4-1-2-3-4-5-1-2-3-4-5-1-24-3-4-1-2-3-4

最新の判決一覧に戻る

法域

特許裁判例 実用新案裁判例
意匠裁判例 商標裁判例
不正競争裁判例 著作権裁判例

最高裁判例

特許判例 実用新案判例
意匠判例 商標判例
不正競争判例 著作権判例

今週の知財セミナー (10月26日~11月1日)

10月29日(木) - オンライン

第68回東北大学知財セミナー

来週の知財セミナー (11月2日~11月8日)

11月5日(木) - オンライン

第69回東北大学知財セミナー

特許事務所紹介 IP Force 特許事務所紹介

藤枝知財法務事務所

千葉県船橋市本町6-2-10 ダイアパレスステーションプラザ315 特許・実用新案 意匠 商標 外国商標 コンサルティング 

加藤特許事務所

福岡市博多区博多駅前3丁目25番21号  博多駅前ビジネスセンター411号 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング 

SAHARA特許商標事務所

大阪府大阪市中央区北浜3丁目5-19 淀屋橋ホワイトビル2階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング