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令和2(ワ)6862発信者情報開示請求事件

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裁判所 認容 東京地方裁判所
裁判年月日 令和2年10月14日
事件種別 民事
当事者 原告創価学会同訴訟代理人弁護士西口伸良
被告KDDI株式会社同訴訟代理人弁護士今井和男
法令 著作権
著作権法30条の210回
著作権法32条1項5回
キーワード 侵害7回
損害賠償5回
主文 1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
1 本件は,原告が,経由プロバイダである被告に対し,氏名不詳者(以下「本
2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨によ
10月13日付け聖教新聞の1面の一部をカラーで複製した画像(以下「本
3 争点
2)
1 争点1(本件写真の著作物性)について
2 争点2(本件写真の掲載が引用(著作権法32条1項)に該当するかどう
2で示された見解に対し,学会本部が被災者に対して何ら対応しないとして批
3 争点3(本件写真の掲載が付随対象著作物としての利用(著作権法30条の
2)に該当するかどうか)について
30条の2第1項の「分離することが困難であるため付随して対象となる
30条の2第1項の「当該写真等著作物における軽微な構成部分となるも
4 争点4(本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)について10
1 争点1(本件写真の著作物性)について25
2 争点2(本件写真の掲載が引用(著作権法32条1項)に該当するかどう
3 争点3(本件写真の掲載が付随対象著作物としての利用(著作権法30条の
2)に該当するかどうか)について
4 争点4(本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)について
5 結論
1 氏名又は名称
2 住所
3 電子メールアドレス(電子メールの利用者を識別するための文字,番号,記
事件の概要 1 本件は,原告が,経由プロバイダである被告に対し,氏名不詳者(以下「本 件発信者」という。)が,ツイッター(インターネットを利用してツイートと25 呼ばれるメッセージ等を投稿することができる情報ネットワーク)のウェブサ イトに,原告が著作権を有する別紙写真目録記載の写真(以下「本件写真」と いう。)を掲載した別紙投稿記事目録記載の投稿記事(以下「本件投稿記事」 という。)を投稿したことによって,本件写真に係る原告の著作権(公衆送信 権)を侵害したことが明らかであるとして,特定電気通信役務提供者の損害賠 償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限5 法」という。)4条1項に基づき,上記著作権侵害行為に係る別紙発信者情報 目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案で ある。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨によ り認められる事実)10 (1) 当事者 ア 原告は,宗教法人法に基づいて設立された宗教法人である。

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判決文

令和2年10月14日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

令和2年(ワ)第6862号 発信者情報開示請求事件

口頭弁論終結日 令和2年9月4日

判 決

原 告 創 価 学 会

同訴訟代理人弁護士 西 口 伸 良

堀 田 正 明

甲 斐 伸 明

大 原 良 明

被 告 K D D I 株 式 会 社

同訴訟代理人弁護士 今 井 和 男

正 田 賢 司

小 倉 慎 一

山 本 一 生

湯 川 信 吾

同訴訟復代理人弁護士 小 俣 拓 実

主 文

1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

主文同旨

第2 事案の概要

1 本件は,原告が,経由プロバイダである被告に対し,氏名不詳者(以下「本件発信者」という。)が,ツイッター(インターネットを利用してツイートと呼ばれるメッセージ等を投稿することができる情報ネットワーク)のウェブサイトに,原告が著作権を有する別紙写真目録記載の写真(以下「本件写真」という。)を掲載した別紙投稿記事目録記載の投稿記事(以下「本件投稿記事」という。)を投稿したことによって,本件写真に係る原告の著作権(公衆送信権)を侵害したことが明らかであるとして,特定電気通信役務提供者の損害賠

5 償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,上記著作権侵害行為に係る別紙発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)

(1) 当事者ア 原告は,宗教法人法に基づいて設立された宗教法人である。イ 被告は,電気通信事業を営む株式会社である。

(2) 本件写真及び原告の就業規則ア 本件写真は,原告の一事業部門である聖教新聞社所属の職員が,令和元年10月11日,原告の施設である創価学会本部第2別館において行われた「日蓮大聖人御入滅の日」の勤行法要の様子を,原告の発意に基づき職務上撮影したカラーの写真であり,同月13日付け聖教新聞の1面において,原告名義で公表された。(甲5の2,6の2,8)イ 原告の就業規則には,「職員が職務上の行為として著作した著作物の著作権は,法人に帰属する。」との規定(73条)が存在する。(甲7)

(3) 令和元年10月13日付け聖教新聞の1面令和元年10月13日付け聖教新聞の1面には,その上部に「聖教新聞」との題字が,その題字の下に「日蓮大聖人御入滅の日 勤行法要 広布の誓い新たに 立正安国の前進を」と題する記事(以下「本件新聞記事1」という。)が,同記事の左下部分には,「台風19号 各地で被害相次ぐ 学会本部に対策本部」と題する3段から成る記事(以下「本件新聞記事2」という。)がそれぞれ掲載されていた。本件新聞記事1は,7段以上から成る記事であり,その最上部に本件写真が掲載されるとともに,上記勤行法要が各地で執り行われたことや同法要の

5 際における原告の会長の発言内容等が記載されている。本件新聞記事2は,3段から成る記事であり,大型台風の影響により各地で浸水被害や停電等の影響が相次いでいることを受け,学会本部では,原告の会長を本部長とする災害対策本部を設置し,各都県の対策本部などと連携を図りながら,被害状況の把握や会員の激励に全力を挙げているという内容等が記載されている。(以上,甲6の2)

(4) 本件投稿記事本件発信者は,別紙投稿記事目録記載の投稿日時に,ツイッター上の「A」という名称のアカウントにおいて,被告の提供するインターネット接続サービスを介し,本件投稿記事を投稿した。(甲1の2,3の2~3,4の2)本件投稿記事は,「今日の聖教新聞1面。学会本部に対策本部。「連携を密にしながら,被害状況の把握,会員の激励などに全力を挙げている」との記事だが,会長の動向,人的援助(ボランティア)手配や義援金の手配には一言も言及せず」との内容を含むものであり,同記載の下部には,令和元年10月13日付け聖教新聞の1面の一部をカラーで複製した画像(以下「本件新聞紙面画像」という。)が掲載されている。(甲1の2)

(5) 被告の「開示関係役務提供者」該当性及び情報の保有被告は,プロバイダ責任制限法4条1項の「開示関係役務提供者」に当たり,本件発信者情報を保有している。(弁論の全趣旨)3 争点

(1) 本件写真の著作物性(争点1)

(2) 本件写真の掲載が引用(著作権法32条1項)に該当するかどうか(争点2)

(3) 本件写真の掲載が付随対象著作物としての利用(著作権法30条の2(令和2年法律第48号による改正前のもの。以下同じ。))に該当するかどうか(争点3)

5 (4) 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無(争点4)

第3 争点に関する当事者の主張

1 争点1(本件写真の著作物性)について

〔

(原告の主張)

〕著作物の創作性は,思想又は感情の外部的表現に著作者の個性が何らかの形で現れていれば足り,高度な創作性,芸術性や独創性までは不要であるところ,本件写真は,原告従業員が,「日蓮大聖人御入滅の日」の勤行法要の様子を全国の原告の会員に伝えるため,撮影方向,アングル,構図,シャッタースピード,タイミング,絞りなどにカメラマンとしての経験を活かして工夫を凝らし,広い室内の後方の参加者まで撮影対象とし,かつ前方の参加者の顔ができるだけ重ならないようにして撮影したものであり,創作性は十分に看取することができる。したがって,本件写真は,これを撮影した原告従業員の思想,感情が創作的に表現されたものであって,著作物に該当する。〔

(被告の主張)

〕本件写真の撮影者でない原告代表者代表役員の報告書(甲8)のみでは,本件写真の撮影の際に著作物の要件を充足するような撮影方法が取られていたことが明らかとはいえない。実際,本件写真は,多数の人間が集合している状況を撮影しただけのありふれた構図の写真であって,撮影者の創意工夫は認められない。したがって,本件写真は,思想又は感情が創作的に表現されたものではなく,著作物には該当しない。

2 争点2(本件写真の掲載が引用(著作権法32条1項)に該当するかどう

か)について〔

(原告の主張)

〕本件投稿記事の本文に記載されているのは,本件新聞記事2に関する論評だ

5 けであり,本件写真を含む本件新聞記事1に対する論評は一切ないから,本件

写真を引用する必要はない。また,被告は,「聖教新聞」の題字を引用する必要があったと主張するが,本件新聞記事2が聖教新聞の記事であることは,本件投稿記事の本文に言及があり,原告の会長の肖像写真やその内容からも一目瞭然であるから,「聖教新聞」の題字まで引用する必要はない。仮に「聖教新聞」の題字を含めるために撮影したとしても,本件新聞記事2と「聖教新聞」の題字以外をマスキング処理等することはできるのであり,本件写真を掲載する必要はない。さらに,本件新聞記事1の本文は原告従業員の記者による言語著作物であり,本件写真も含めた本件新聞記事1全体としても,題字,段組,分量,構図,レイアウト等の編集担当者の工夫が凝らされた編集著作物ということができるのであって,このような複数の著作物を本件投稿記事の内容と無関係に複製する行為は,公正な慣行に合致していない。したがって,本件写真の本件投稿記事への掲載は,著作権法32条1項の「公正な慣行に合致」するものではなく,「引用の目的上正当な範囲内で行われる」ものでもないので,同項の引用には該当しない。〔

(被告の主張)

〕本件投稿記事は,本件発信者が,聖教新聞の1面に掲載された本件新聞記事2で示された見解に対し,学会本部が被災者に対して何ら対応しないとして批評を加えるものであるから,本件新聞記事2が聖教新聞の1面に掲載されていることを強調するとともに,上記の批評を補強するため,本件新聞記事2及び「聖教新聞」の題字を本件投稿記事に引用する必要があったところ,本件写真を含む本件新聞記事1は,本件新聞記事2と「聖教新聞」の題字との間にこれらと一体となって聖教新聞の1面に掲載されていた。したがって,本件新聞紙面画像に本件写真が占める割合が小さいことも踏まえると,本件写真の本件投稿記事への掲載は,「公正な慣行に合致するもので

5 あり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内」の引用で

ある。

3 争点3(本件写真の掲載が付随対象著作物としての利用(著作権法30条の

2)に該当するかどうか)について〔

(原告の主張)

〕以下のとおり,本件写真の本件投稿記事への掲載に,著作権法30条の2の適用も類推適用もない。

(1) 著作権法30条の2が適用されるのは,「写真の撮影…の方法によつて著

作物を創作する」(同条1項)場合であるところ,本件新聞紙面画像は,単に聖教新聞の紙面を撮影しただけであるから,この写真の構図自体に撮影者の思想又は感情の創作的な表現を看取することは困難であり,同条にいう「写真等著作物」には該当しない。

(2) 著作権法30条の2は,写真撮影の際に,本来意図した撮影対象だけでな

く,背景に著作物であるキャラクター等が小さく写り込んでしまう場合等の,いわゆる「写り込み」に関する規定であり,本来の撮影対象として撮影された著作物については,適用対象ではない。しかるに,本件新聞紙面画像は,本件新聞記事2を撮影対象にするだけでなく,その隣にある本件写真を含む本件新聞記事1も本来の撮影対象として撮影されたものであるから,本件写真は,同条の適用対象でない。

(3) 著作権法30条の2が適用されるのは,写り込んだ著作物が,「当該写真

等著作物における軽微な構成部分となるもの」(同条1項)に限られているところ,本件写真を含む本件新聞記事1が,本件新聞紙面画像の半分以上のスペースを占めているのであるから,軽微な構成部分とはいえない。〔

(被告の主張)

〕仮に,本件写真の本件投稿記事への掲載が,「公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内」の引用で

5 ないとしても,本件写真は,本件新聞記事2を撮影するに当たって写り込んだ

にすぎないから,本件写真の本件投稿記事への掲載は,以下のとおり,著作権法30条の2の適用又は類推適用により,付随対象著作物の利用として適法である。

(1) 著作権法30条の2の適用

ア 本件新聞紙面画像は,本件発信者が,本件新聞記事2及び「聖教新聞」の題字が一つの写真の中に収まるように構図の工夫を凝らす等したことにより,創作的に表現されたものであり,本件新聞紙面画像は「著作物」に該当するので,著作権法30条の2第1項の「写真の撮影…の方法によつて著作物を創作するに当たつて」という要件を満たす。イ 本件投稿記事で引用されている本件新聞記事2と,本件写真を含む本件新聞記事1は,聖教新聞の1面に隣り合って掲載されており,本件新聞記事2が聖教新聞に掲載されていることを明確に示すためには,本件写真の部分も写さざるを得ない位置関係にある。そのため,本件写真は著作権法30条の2第1項の「分離することが困難であるため付随して対象となる事物に係る著作物」に該当する。ウ 本件写真は,本件新聞紙面画像全体の約13パーセント程度の面積しか占めておらず,また,それ自体に表現上特段の意味はないから,著作権法30条の2第1項の「当該写真等著作物における軽微な構成部分となるもの」に該当する。エ したがって,本件新聞紙面画像の創作に伴う本件写真の複製は,著作権法30条の2第1項により適法であり,同項により適法に複製された本件写真の本件投稿記事への掲載も,同条2項により,適法である。

(2) 著作権法30条の2第1項及び第2項の類推適用

著作権法30条の2の趣旨は,付随対象著作物の利用の程度が質的・量的に軽微であり,著作者に不利益を与えないことに鑑み,付随対象著作物の

5 利用に関する適法性を確認した点にあるので,同条の対象を著作物の創作の

場面に限定すべき合理的な理由はなく,本件新聞紙面画像が同条1項にいう「写真等著作物」に該当しない場合であっても,同条は類推適用される。上記(1)のとおり,同条の他の要件は満たしているので,本件写真の本件投稿記事への掲載は適法である。

4 争点4(本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)について

〔

(原告の主張)

〕原告は,本件発信者に対する損害賠償請求等を行うため,被告に対し,本件発信者情報の開示を求めるものであり,原告には,被告から本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由がある。〔

(被告の主張)

〕

(原告の主張)

を前提とすると,本件写真は,令和元年10月13日に発行された聖教新聞に掲載されたものであるから,本件投稿記事が投稿される前に,既に広く公表されたことになる。そうすると,原告が,本件投稿記事に本件写真が掲載されたことにより,著作権(公衆送信権)侵害を理由として,実質的な損害を被ることは想定し難い。したがって,本件投稿記事に関して,原告が正当な理由として挙げる損害賠償請求等の必要性がなく,原告が発信者情報開示請求を行う根拠となる正当な理由は存在しない。

第4 当裁判所の判断

1 争点1(本件写真の著作物性)について前提事実及び証拠(甲5の2,6の2,8)によれば,本件写真は,原告の施設内の一室で行われた法要において,多数の参加者が椅子に座って手を合わせている様子を撮影した写真であると認められるところ,本件写真は,後方にいる参加者まで撮影の対象にしつつ,前方の参加者の顔が重ならないよう,撮影のアングル,シャッタースピード,タイミング等において工夫がされている

5 ものと認められる。そうすると,本件写真は,撮影者の個性が現れ,撮影者の思想又は感情を創作的に表現した著作物に当たるというべきである。

2 争点2(本件写真の掲載が引用(著作権法32条1項)に該当するかどうか)について

(1) 著作権法32条1項によって著作物を引用した利用が許されるためには,引用が,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。しかし,前提事実及び証拠(甲1の2)によれば,本件投稿記事は,本件新聞記事2の内容を批評するものであると認められるところ,本件写真を掲載して勤行法要の様子等を伝える本件新聞記事1は,本件新聞記事2とは別の記事であり,内容的にも本件新聞記事2とは無関係であるから,本件新聞記事2の批評のために本件写真を本件投稿記事に掲載する必要はない。したがって,本件写真の本件投稿記事への掲載は,引用の目的上正当な範囲内で行われたものであるということはできないので,適法な引用(著作権法32条1項)には当たらない。

(2) これに対し,被告は,本件写真を含む本件新聞記事1は,引用対象である本件新聞記事2と「聖教新聞」の題字との間に一体となって聖教新聞に掲載されているから,本件写真の本件投稿記事への掲載も,適法な引用であると主張する。しかし,本件投稿記事の本文には,本件新聞記事2が聖教新聞に掲載されていることが指摘されているのであるから,これに加えて,同新聞記事の出典を明らかにするため,本件新聞記事1を含む本件新聞紙面画像を掲載することが必要であったということはできない。また,「聖教新聞」の題字を本件投稿記事に引用するとしても,マスキングをするなどして,「聖教新聞」の題字及び本件新聞記事2のみを本件投稿記事に引用することは可能であっ

5 たということができる。そうすると,本件写真を含む本件新聞記事1を本件投稿記事に掲載する必要があったということはできず,被告の上記主張は理由がない。

3 争点3(本件写真の掲載が付随対象著作物としての利用(著作権法30条の2)に該当するかどうか)について著作権法30条の2第1項の規定により複製された付随対象著作物の利用が同条の2第2項によって許されるためには,著作物が,写真等著作物に係る写真の撮影等の対象となる事物から分離することが困難で,かつ,当該写真等著作物における軽微な構成部分となるものでなければならない。しかし,本件新聞記事2を批評する本件投稿記事を作成するに当たって,本件新聞記事2のみを写真で撮影する,あるいは,本件写真をマスキングして本件新聞記事2及び「聖教新聞」の題字を写真で撮影することは可能であって,本件写真が,本件新聞紙面画像に係る写真の撮影の対象とする事物から分離することが困難であるとはいえない。また,前提事実及び証拠(甲1の2)によれば,本件写真は,本件新聞紙面画像において,本件新聞記事2と同程度の大きさで,中央からやや上部の位置にカラーで目立つように表示されているものと認められ,独立して鑑賞する対象になり得るといえるから,本件新聞紙面画像における軽微な構成部分となるものともいえない。したがって,本件写真の本件投稿記事への掲載は,付随対象著作物の利用に該当せず,同条を類推適用すべき理由もない。

4 争点4(本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)について以上のとおり,本件写真に係る原告の著作権(公衆送信権)が侵害されたことは明らかであるから,原告は,本件発信者に対して著作権(公衆送信権)侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権等を有しており,その権利を行使するために被告から本件発信者情報の開示を受ける必要がある。

5 これに対し,被告は,本件写真が本件投稿記事の投稿前に広く公表されていたことを理由に,著作権(公衆送信権)侵害による原告の実質的な損害は想定し難いと主張するが,本件写真が本件投稿記事の投稿前に公表されたことにより,本件発信者に対する著作権侵害行為による損害が発生しない又はその損害賠償請求権が失われると解すべき理由はない。したがって,被告から本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由がある。

5 結論よって,本訴請求は理由があるからこれを認容することとし,主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第40部

裁判長裁判官

佐 藤 達 文

裁判官

三 井 大 有

裁判官

齊 藤 敦

(別紙)

発信者情報目録

別紙投稿記事目録の「ログイン IP アドレス」欄記載の IP アドレスを同目録の

5 「ログイン日時」欄記載の日時頃に使用した者に関する情報であって,次に掲げるもの1 氏名又は名称2 住所3 電子メールアドレス(電子メールの利用者を識別するための文字,番号,記号その他の符号)以上

(別紙)

投稿記事目録URL https:// 以下省略5 接続先IPアドレス 104.244.42.193 or 104.244.42.1投稿日時(日本標準時)2019年10月13日08:29名前 Bアカウント名 Aログイン日時(協定世界時)2019年10月12日19:43:36(日本標準時)2019年10月13日04:43:36ログインIPアドレス 106.129.95.41本文今日の聖教新聞1面。学会本部に対策本部。「連携を密にしながら、被害状況の把握、会員の激励などに全力を挙げている」との記事だが、会長の動向、人的援助(ボランティア)手配や義援金の手配には一言も言及せずつまりは・・・また?、何もしないって事だろうか?以上

(別紙)

写真目録(省略)以上

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