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令和2(行ケ)10084審決取消請求事件

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裁判所 知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和3年2月25日
事件種別 民事
当事者 原告株式会社セフト研究所 株式会社空調服
被告特許庁長官
法令 商標権
商標法3条2項14回
商標法3条1項3号13回
キーワード 審決52回
ライセンス4回
商標権2回
許諾1回
特許権1回
侵害1回
主文 1 特許庁が不服2017-14295号事件について令和2年4月30日に
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事件の概要 本件は,商標登録出願拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消 訴訟である。争点は,商標法3条1項3号該当性及び同条2項該当性である。

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判決文

令和3年2月25日判決言渡
令和2年(行ケ)第10084号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 令和2年12月16日
判 決
原 告 株式会社セフト研究所
原 告 株 式 会 社 空 調 服
両名訴訟代理人弁護士 鮫 島 正 洋
高 橋 正 憲
篠 田 淳 郎
被 告 特 許 庁 長 官
同 指 定 代 理 人 綾 郁 奈 子
冨 澤 美 加
小 出 浩 子
石 塚 利 恵
主 文
1 特許庁が不服2017-14295号事件について令和2年4月30日に
した審決を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
主文と同旨
第2 事案の概要
本件は,商標登録出願拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消
訴訟である。争点は,商標法3条1項3号該当性及び同条2項該当性である。
1 商標登録出願及び特許庁における手続の経緯等
(1) 原告株式会社セフト研究所(以下「原告セフト研究所」という。)は,平
成28年3月18日,指定商品を第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつ
り,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」として,
「空調服」の文字を標準文字で表してなる商標(以下「本願商標」という。)の商
標登録出願(商願2016-030424号。以下「本願」という。)をし(甲7
8,乙1),原告株式会社空調服(以下「原告空調服」という。)は,同年11月
7日付けで,本願について共同出願人となった。
(2) 原告セフト研究所及び原告空調服(以下,併せて「原告ら」といい,原告
ら又はそのうちの一社を選択的にいう語として「原告各社」の語を用いる。)は,
本願について,平成29年6月22日付けで拒絶査定(甲83。以下「本件拒絶査
定」という。)を受けたため,同年9月27日,これに対する不服審判の請求(不
服2017-14295号。以下「本件審判請求」という。)をした。また,原告
らは,同日までに,本願商標について,指定商品を第25類「通気機能を備えた作
業服・ワイシャツ・ブルゾン」(以下「本願指定商品」ということがある。)とす
る手続補正をした(甲79の1,甲80,乙2)。
(3) 特許庁は,令和2年4月30日,「本件審判の請求は,成り立たない。」
との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同年5月29日に原告
らに送達された。
2 本件審決の理由の要点
(1) 商標法3条1項3号該当性について
ア 商標法3条1項3号の趣旨について
商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは,そ
のような商標が取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであ
るから,特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものである
とともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠き,
商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解されるところ,こ
の趣旨に照らすと,当該商標が指定商品の品質等を表すものとして,審決時に需要
者,取引者に広く認識されている場合はもとより,将来を含め,需要者,取引者に
その商品の品質等を表すものと認識される可能性があって,これを特定人に独占使
用させることが公益上適当でないと判断されるときは,その商標は,同号に該当す
ると解するのが相当である。
イ 本願商標の商標法3条1項3号該当性について
本願商標の構成中,「空調」の語は「空気調節の略」の意味を,「服」の語は「身
につけるもの」の意味を有するいずれも平易な語であることから,「空調服」の構
成文字全体からは,「空気を調節する服」(空調機能を備えた服)程の意味合いを
容易に認識させるものである。
そして,インターネット情報や新聞記事情報等において,「空調服」の文字が,
本願商標の指定商品の分野並びに指定商品を取り扱う小売及び卸売の業務において
行われる顧客に対する便益の提供(以下「小売等役務」という。)の分野において,
「上着内に送風機を備え,服の中に風を取り入れ体の熱を冷ます機能を有する商品
(ファン付き作業着)」の意味合いで使用されている実情が見受けられる。
加えて,これらの「空調服」の文字の使用状況には,原告各社及び原告各社のラ
イセンスに基づき使用している業者(以下「ライセンシー」といい,原告各社と併
せて「原告各社等」という。)の使用に係るものが含まれているとしても,作業服
の種類としての使用や,他人による使用も多数見受けられる。
このような状況からすると,本願商標を指定商品「通気機能を備えた作業服・ワ
イシャツ・ブルゾン」に使用するときは,「空気を調節する服(空調機能を備えた
服)」,すなわち,その商品の品質を表示するものとして認識されるというのが相
当であり,自他商品の識別標識としては機能し得ないものというべきであるから,
本願商標は,商標法3条1項3号に該当する。
(2) 商標法3条2項該当性について
ア 本願商標の使用状況について
原告各社は,原告各社が製造,販売するファン付き衣服(以下「原告商品」とい
う。)について,本願商標を平成16年から現在に至るまで継続的に使用している
と主張するが,その事実を客観的に確認できないことに加え,本願商標である「空
調服」の文字が,本願商標の指定商品の分野及び指定商品を取り扱う小売等役務の
分野において,「上着内に送風機を備え,服の中に風を取り入れ体の熱を冷ます機
能を有する商品(ファン付き作業着)」の意味合いで使用されている実情がある。
また,原告各社が主張する原告商品の販売数及び売上高を立証する証拠の提出も
なく,実際の売上高が客観的に立証されたものとみることはできない。
さらに,原告各社が主張する市場シェアについて,証拠(甲50の4,甲72)
で示された数値は,メーカー各社の自己申告に基づいて集計が行われているもので,
集計方法等が明らかでなく,推計にとどまるものといわざるを得ない。
そして,原告各社において,複数県の企業に商品を納品している事実(甲77)
や,大手ゼネコンなどのユーザー企業に直接商品を納入する販売形式を採っている
という事情(甲55,56)はうかがえるものの,具体的な販売数量や売上高は証
明されていない。
イ 需要者の本願商標の認識度について
原告各社が主張する自社ウェブサイトやインターネットショッピングサイトにお
ける広告の回数や規模,商品カタログ,折込みチラシ及びダイレクトメールの作成・
頒布の事実,頒布時期,頒布数及び頒布先を客観的に示す証拠は見いだせない。
また,原告各社が,令和元年7月15日から同月21日に,JRの主要駅構内に
設置された大型ビジョンにおいて行った広告(甲70の26~28)については,
7日間という短い期間である上,広告上に原告各社に係る記載が確認できず,当該
広告に接する者が「空調服」を付した商品を原告各社が取り扱っていると認識する
ことは困難であるから,「空調服」が原告商品に係る商標であることが知られてい
るとはいえない。
加えて,原告各社が主張する展示会への出展について,証拠(甲70の4・8・
11,甲71の10・22・43・47・57・118・120,甲73の27,
甲74の141)からは,展示会への出展の事実は確認できるものの,当該展示会
において,本願商標がどのように使用され,どのように来訪者の目に触れたのか,
具体的な展示の内容が不明であるものが多い上,展示会自体の規模や原告各社の展
示ブースへの来訪者数が明らかにされていないことから,これらの展示会への出展
から,本願商標に係る需要者,取引者の認識度を推し量ることはできない。
さらに,原告各社は,人気タレントを起用したウェブCMを平成28年8月に公
開し,当該CMを全国のユナイテッド・シネマ,シネプレックス30劇場(南古谷・
上里・久山・あしかが・熊本の5劇場を除く。)において,平成29年8月11日
から同月26日の間に15秒のスクリーン広告として放映したことがうかがえるも
のの(甲32,甲76の8),当該15秒のCM動画は,映画館での放映用に編集
されたものであって,実際に映画館で放映されたCMの全容が不明であることに加
え,上記期間中に,30の劇場において何人程度の鑑賞客に向けてどのくらい放映
されたのか明らかでなく,需要者,取引者が,原告商品を表すものとして本願商標
を認識するかどうかについて判断することができない。
また,原告各社が主張するテレビ番組における原告商品の紹介について, (甲
証拠
39の1・2,甲40,甲71の11・12・42・141,甲75)から,原告
商品が紹介されたテレビ番組の視聴者数は確認できない。
そして,原告商品は,平成29年4月1日時点において,各種の雑誌や新聞に合
計148回掲載され(甲41,42,100~104,108,121,128~
133[枝番を含む。]),以後も現在に至るまで雑誌,新聞,インターネット上
のメディアにおいて,本願商標が原告商品か企業名を表すものとして154回程度
掲載されている(甲71の1~10・13~41・43~140・142~161)
が,平成16年以降現在までの15年の期間との関係からみて決して多い数とはい
えない。
一方で,前記のとおり,インターネット情報や新聞記事情報等において,「空調
服」の文字が,原告各社以外の者によって,本願商標の指定商品の分野及び指定商
品を取り扱う小売等役務の分野において,「上着内に送風機を備え,服の中に風を
取り入れ体の熱を冷ます機能を有する商品(ファン付き作業着)」の意味合いで多
数使用されている実情がある。
ウ 公的機関からの表彰や認定について
平成29年12月の「空調服の開発・商品化と普及」を理由とする地球温暖化防
止活動環境大臣表彰の技術開発・製品化部門の受賞(甲43,44)や,公益社団
法人全関東電気工事協会からの推奨品としての認定(甲58)については,どのよ
うな基準で表彰,認定対象を選定するのか,また,これらに表彰,認定されること
と,本願商標の周知性がどのように結びつくのか明らかにされていない。
エ 小括
上記ア~ウによると,原告各社は平成16年から本願商標をその指定商品に使用
しているといえるものの,その具体的な使用実績,使用期間,売上高,市場シェア
及び使用規模が客観的に証明されていないこと,広告宣伝においても,広告の回数
や規模,商品カタログ,折込みチラシ及びダイレクトメールの作成・頒布の事実,
頒布時期,頒布数及び頒布先が確認できないこと,JRの主要駅構内における広告
では本願商標と原告各社の関係性の表示が確認できないこと,展示会への出展,C
Mの映画館での放映及びテレビ番組等での紹介においては,その影響を客観的に推
し量るための数値が示されていないこと,さらには公的機関からの表彰や認定にお
ける本願商標の周知性との関連性が不明であることから,本願商標が,原告各社に
よる使用の結果,需要者,取引者が原告各社の業務に係る商品であることを認識す
ることができるに至ったものであるということはできない。
したがって,本願商標は,商標法3条2項の要件を具備しない。
3 原告らの主張する審決取消事由
(1) 取消事由1―商標法3条1項3号該当性に関する認定判断の誤り
次のとおり,本願商標は,商標法3条1項3号に該当しない。しかるに,本件審
決は,この点について誤った認定・判断をしたもので違法である。
ア 判断に係る規範について
(ア) 商標法3条1項3号に該当する商標の類型としては,「取引に際し必
要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独
占使用を認めるのを公益上適当としないもの」(以下「独占不適商標」ということ
がある。)と,「一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を
欠き,商標としての機能を果たし得ないもの」(以下「自他商品識別力欠如商標」
ということがある。)とがあるから,本願商標が同号に該当するか否かは,独占不
適商標及び自他商品識別力欠如商標に該当するか否かという観点から判断されるべ
きである。
(イ) 被告は,将来の認識可能性を含めて判断すべき旨を主張するが,およ
そ予測のつかない将来についてまで登録要件を満たす必要があるならば,登録要件
を満たす商標などないに等しい。また,仮に,将来のことが加味されるとしても,
原告らは,既に保有している「空調服」関連の登録商標を根拠にして,「空調服」
の誤用をしているメディア,通販サイトに対して注意を促しており,注意を受けた
メディア等(日本経済新聞,テレビ東京,フジテレビ,電機新聞,農村ニュース,
日経XTECH)は,「空調服」が原告各社の商品を表す商標であるとの訂正を行
っている(甲219,289,344,甲345の1~5)。このように,「空調
服」の商標が原告各社の商品名を表す商標であることは,取引界に浸透しつつあり,
将来についても,本願商標を原告らに独占させることが公益上適当でないというこ
とはできない。
イ 本願商標が独占不適商標に該当しないこと
次のとおり,本願商標は,ファン付き作業服の取引において,「取引に際し必要
適切な表示として何人もその使用を欲するもの」とはいえず,「特定人によるその
独占使用を認めるのを公益上適当としないもの」ともいえない。
(ア) ファン付き作業服の製造業者が自社商品に「空調服」との標章を用い
ていないこと
原告各社は,原告各社の代表者であるA(以下「原告ら代表者」という。)がフ
ァン付き作業服を開発し,平成16年に「空調服」の販売を開始して以来,ファン
付き作業服における圧倒的なシェアと知名度を誇り,本願商標を長年にわたって独
占的に使用してきた。平成27年以降になって,ファン付き作業服(エレクトリッ
クファンウェア。EFウェア)の後発品がみられるようになってからも,依然とし
て,原告商品は,ファン付き作業服市場のトップシェアを占めてきた。そして,原
告各社等は,自社のファン付き作業服について積極的に「空調服」との商標を用い
ている。
これに対し,原告各社等以外に,ファン付き作業服の商品名として「空調服」を
用いている例は確認されていない。例えば,令和元年のファン付き作業服の主要な
メーカー(甲72の1)は,全て,それぞれ独自の商品名を用い,自社ブランドに
ついて商標登録出願をしており,ウェブサイトやカタログにおいて,「空調服」と
の文字を用いていない(甲172~188)。
これは,ファン付き作業服は服とファンが取外し可能であるところ,メーカー各
社においては,不良や事故の発生を防ぐため,使用者には自社ブランドの服と自社
ブランドのファンやバッテリーとを適切に組み合わせて使用してもらう必要があり
(甲49の2),他社品との差別化を図っていることによると考えられる。また,
「空調服」は,原告空調服の会社名と同じであるから,メーカー各社においては,
自社の商品に「空調服」と使用すると原告空調服の宣伝になってしまうおそれがあ
るため,これを避けているものと考えられる。
(イ) 原告各社が「空調服」に関連する登録商標を複数保有していること等
原告各社は,別紙1の表に示すように,商標登録第4871177号,第571
5570号,第5774691号などのように「クーチョーフク」との称呼が生じ
る登録商標を始め,ファン付きの商品に関する商標を複数保有しており,他社が商
品に「空調服」との名称を付けることは,原告各社の商標権の侵害となるおそれが
ある。特に,原告各社は,電池,ケーブル等の指定商品について,「空調服」の文
字に係る商標登録(商標登録第6072017号)をしているから,服,ファン及
びバッテリーが一体となって機能するファン付き作業服において,事実上,原告各
社以外の者が「空調服」という商標を用いることはできないと解される。
したがって,現在のみならず,将来においても,他のファン付き作業服メーカー
が,「空調服」との名称の使用を欲することは考えられない。
(ウ) 本件審決が指摘する事実からも第三者が「空調服」との商標を自他商
品識別標識として使用していることは確認できないこと
本件審決が指摘する事実からも,原告各社等以外の者が「空調服」との標章を商
品名などの自他商品識別標識として使用していることは確認できない。この点,ネ
ット通販サイトにおいては,数社から販売されているファン付き作業服の中で原告
商品の認知度が高いため,これらの代表的な存在として,「空調服」の表記が用い
られているものにすぎず,同表記が原告商品以外の商品の自他商品識別標識として
用いられているわけではない。このような通販サイトにおける商標の使用態様は,
いわゆるSEO(Search Engine Optimization)対策として,周知著名な登録商標
についてよくみられるものである。消費者がその周知著名商標を検索ワードとして
検索を行うと,その周知著名商標が載っているウェブページがヒットするからであ
る(その例として,甲318,319)。
ウ 本願商標が自他商品識別力欠如商標に該当しないこと
次のとおり,本願商標は,通気機能を備えた作業服という商品の品質等を表示す
るものではなく,自他商品識別力欠如商標に該当しない。
(ア) 本願商標が商品の品質等を表す商標ではないこと
a 本願商標を分離して解釈することができないこと
「空調服」という語は,原告各社が独自開発した,それまで世の中に存在しなか
った商品に対し,原告各社が付した造語であり,原告各社による開発まで,当該商
品も「空調服」という語も世の中に存在していなかった(甲189)。
この点,「空調」の語は,「空気調節の略。エアーコンディショニング。」を意
味するとされる(甲190)が,「エアーコンディショニング」の語は,「室内の
空気の温度。湿度・清浄度などの調節。」を意味するとされ(甲191),「空調」
は,室内の空気調整に対して使用される語であって,「服」の語とは観念的に親和
性に乏しく,両語を結合することにその必然性がない。したがって,原告各社が生
み出した「空調服」の文字構成には強い独創性があり,かつ,「空調」という語と
「服」という親和性の乏しい語とを結合させて意味付けることは困難である。
また,「空調服」の語は,漢字3文字から構成される短い用語で,「クーチョー
フク」というように一連一体の語として発音され,切れ目がないから,ひとまとま
りの造語として,需要者,取引者に認識されてきた。したがって,本願商標の自他
商品識別力の有無を検討するに当たり,「空調」と「服」とを分離して検討するこ
とはできない。
そして,「空調服」との語を,ひとまとまりの語として正しくみた場合,その構
成自体から特段の観念は生じず,ファン付き作業服や,通気機能を備えた作業服と
いった観念は,一切生じない。
しかるに,「空調服」を分離して解釈した上で,「空調服」が「空気を調整する
服」程の意味合いを容易に認識させるとした本件審決の認定は,誤りである。
b 仮に分離して解釈しても,品質を表すものとはいえないこと
仮に,「空調服」を「空調」と「服」とに分離して解釈したとしても,「空調」
の意味からすると,「空調服」が,通気機能を備えた作業服の品質を表すものとは
いえない。
「空調」及び「エアーコンディショニング」の上記aの意義のほか,電気機械器
具品質表示規程(平成29年3月30日消費者庁告示第6号)により,ヒートポン
プ型の冷暖房空調機器をエアーコンディショナーと称するものと定められ,扇風機
やファンとエアコンが明確に区別されていることからして,「空調」は,温度,湿
度,清浄度などを調節することやそのための機器を意味し,扇風機やファンのよう
な単に風を送るだけの機器を「空調」とはいわない。
したがって,「空調」に「服」を結合させた語は,温度調節機能を有するエアコ
ンの付いた服を表すと解するのが合理的である。
しかるに,通気機能を備えた作業服という商品は,エアコンが付いた服ではない
から,「空調服」が,通気機能を備えた作業服という商品の品質等を表す商標では
ないことは明らかである。
c 本件審決も「空調機能を備えた服」との意味を認定していること
本件審決は,「空調服」の構成文字全体からは「空気を調節する服」(空調機能
を備えた服)程の意味合いを容易に認識させるものであるなどと認定するところ,
「空調機能」とはまさにエアコン機能のことをいうから,本件審決も,「空調服」
がエアコン機能を備えた服という意味合いを生ずると認定しているといえる。そし
て,上記のように,エアコンとファンは明確に異なるものであるから,エアコン機
能を備えた服という意味合いを生ずる「空調服」が,ファン付き作業服(通気機能
を備えた作業服)という商品の品質を表す商標ではないことは明らかである。
(イ) 「空調服」がファン付き作業服を指す標章として一般的に使用される
ものではないこと
上記のとおり,「空調服」との標章は,原告各社等以外のファン付き作業服メー
カーには一切使用されておらず,「一般的に使用される標章」ではない。
むしろ,ファン付き作業服を指す用語としては,「EFウェア」,「ファン付き
作業服」といった語が定着している(甲74の1~199)。最近でも,「繊維ニ
ュース」,「繊研新聞」という業界専門紙が,引き続き,一般名称として,「EF
ウェア」,「電動ファン付ウェア」といった用語を用いており(甲192の1~9
9),「読売新聞」といった全国紙や地方紙も同様である(甲192の100~1
09)。また,「日本建築学会誌」等の学術論文においても「ファン付き作業服」
の一般名称が使用されている(甲192の110~113)。さらに,ユニフォー
ムを着用して業務に当たる社員・職員が在籍し,ユニフォームによる猛暑対策が必
要な労働環境であると考える企業・官公庁・団体のユニフォーム担当者(すなわち
需要者)を調査対象としたものと考えられる,公益財団法人日本ユニフォームセン
ターによる調査においても,「電動ファンつきウェア」,「EFウェア」の語が用
いられている(甲192の114)。
(ウ) 本件審決が指摘する事実等によっても自他商品識別力が否定されない
こと
a 本件審決が指摘する一部のネット通販サイトにおける「空調服」の
使用例については,数社から販売されているファン付き作業服の中で原告商品の認
知度が高いため,これらの代表的な存在として,「空調服」の表記が用いられたも
のにすぎず,同表記が原告商品以外の商品の自他商品識別表示として用いられてい
るわけではない。
b また,ネット通販は,ファン付き作業服の取引のごく一部を占める
にすぎず,ネット通販サイトにおける記載をもって需要者,取引者の認識を判断す
ることはできない。
ファン付き作業服を含む作業服の分野では,需要者の大多数を占める法人が従業
員に配布するために作業服を一括購入することが一般的であり,販売店やメーカー
から企業等の法人への直接納入が大多数である。原告各社においても,「空調服」
の売上げの●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●にすぎない(甲243の1
~3の各1・2)。
また,作業服は,危険を伴う肉体労働で使用するもので,フィット感,使用感を
確かめてから購入することが購入者にとって重要であって,ネット通販での購入に
なじまないため,個人向けの作業服販売において,大多数は実店舗での販売であり,
ネットを通じた販売はごく一部である(甲169~171,328)。
ファン付き作業服は,ファンを通して取り入れた空気を服全体に行き渡らせて排
出することにより,汗を気化して体温を下げるという商品であり,通常のサイズよ
りもワンサイズ大きめのものを着用することによって効果が最大限発揮される(甲
329)。そのため,実際に試着しないとベストサイズが分からないが,ネット販
売では試着をすることができない。したがって,ファン付き作業服は,作業服の中
でも特にネット販売になじまない商品である。
よって,ネット通販サイトにおける記載をもって,ファン付き作業服の需要者,
取引者の認識を判断することはできない。ファン付き作業服の取引の大多数が法人
向けの直接納入であることに鑑みると,ファン付き作業服の需要者,取引者の認識
を検討するには,ファン付き作業服メーカーのカタログ,業界紙,展示会等が重要
である。
c 被告が指摘する「空調服」の使用例については,取引の実情からす
るとごく一部にすぎない個人・零細業者向けネット通販における誤用例を切り取っ
たもので,ファン付き作業服の取引の実情を反映したものではないものや, 「空
当該
調服」が原告商品を指しているものが含まれている。また,「日本経済新聞」など
のメディアについては,順次,「空調服」が原告らの商標であることについての訂
正がされている。さらに,特許出願明細書や実用新案登録出願の明細書に記載する
内容は,各出願人個人の自由であり,出願人がファン付き作業服の需要者や取引者
であるとは限らず,需要者,取引者の認識を表すなどとはいえない。したがって,
被告が指摘する使用例は,本件審決時の需要者,取引者の認識状況を反映したもの
とはいえない。
(2) 取消事由2―商標法3条2項該当性に関する認定判断の誤り
次のとおり,本願商標は,原告商品の商標として,ファン付き作業服の需要者,
取引者に周知となっていたもので,商標法3条2項に該当する。しかるに,本件審
決は,これについて誤った認定・判断をしたもので違法である。
ア 判断に係る規範について
商標法3条2項の趣旨は,特定人が特定の商標をその業務に係る商品の自他識別
標識として他人に使用されることなく永年独占排他的に継続使用した実績を有する
場合には,当該商標は,例外的に自他商品識別力を獲得したものということができ
る上に,当該商品の取引界において当該特定人の独占使用が事実上容認されている
以上,他の事業者に対してその使用の機会を開放しておかなければならない公益上
の要請は低いということができるから,当該商標の登録を認めようというものと解
される。そして,ある標章が同項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務
に係る商品であることを認識することができるもの」に該当するか否かは,出願に
係る商標と外観において同一とみられる標章が指定商品とされる商品に使用された
ことを前提として,その使用開始時期,使用期間,使用地域,使用態様,当該商品
の販売数量又は売上高等,当該商品又はこれに類似した商品に関する当該標章に類
似した他の標章の存否などの事情を総合考慮して判断されるべきである。
イ 本願商標の使用開始時期,使用期間,使用地域及び使用態様について
(ア) 使用開始時期及び使用期間について
原告各社は,本願商標を,平成16年から現在まで約16年にわたって継続的に,
ファン付き作業服に使用している。
原告商品は,平成11年頃に独自に開発が開始され(甲32,甲42の1,甲1
00,101,甲128の1~13,甲129の1~24),平成16年に「空調
服」との名称で市場に投入され(甲32,甲42の1,甲100,101,103,
甲128の1~13,甲129の1~24),自社ウェブサイト,ネット通販サイト,
カタログ等に掲載され,販売が継続され(甲13,32,甲33の1~2,甲34の
1~4,甲35,36,甲42の1,甲100,101,105,甲128の1~
13,甲129の1~24),広く知られることとなった。平成16年当時,着用す
ることにより体温を冷やすファン付き作業服という分野は存在せず,原告各社が原
告商品を市場に投入することで,当該分野が確立された。その後,平成27年頃ま
で同タイプの商品は登場せず,原告各社は,約10年間以上にわたり市場を独占し
てきたもので(甲32),その後も,ファン付き作業服のトップシェアを維持しなが
ら,原告商品に本願商標を継続的に使用している。
(イ) 使用地域及び使用態様について
原告各社は,原告商品を全国に販売し,本願商標を日本全国で使用していたもの
で,使用態様は,次のとおり,原告商品のカタログにおける使用,原告商品へのタ
グにおける使用,新聞・雑誌への広告,展示会への出展など様々である。
a カタログ
原告各社は,平成17年から現在に至るまで,毎年,見やすい位置に「株式会社
空調服」との社名を記載し,原告商品の商品名やブランド名として「空調服」との
標章を記載した原告商品のカタログ(甲10,13,68,105,甲193の1
~7)を製作し(甲115,194,320,甲330の1~4,甲331の1~
20),多数の部数のそれらのカタログを全国的に頒布している(甲194,甲3
32の1~7)。
b 商品外観・タグ
原告各社は,本願商標を,原告商品の商品タグに見やすいように表示して納品し
ている(甲55,56,甲107の1・2)。
c 新聞,雑誌等における宣伝広告
原告各社は,原告商品の宣伝広告として,新聞や雑誌等に広告を掲載してきた。
原告各社は,「電気新聞」,「農機新聞」,「日刊工業新聞」,「鉄鋼新聞」,「繊
維ニュース」,「繊研新聞」などの,ファン付き作業服の需要者,取引者が多く購
読している電気,機械,農業,建設,鉄鋼,繊維関連の専門日刊紙や専門雑誌に集
中的に広告を出してきたほか,近年,「日経ビジネス」,「Wedge」,「読売
新聞」といった購読者数の多い一般向けの新聞,雑誌にも積極的に広告を出してい
る。その宣伝広告の態様は,例えば,「株式会社空調服」と社名を表示し,原告商
品を着用したモデルの写真に重ねて「空調服で熱中症対策」との宣伝文句を記載し,
さらに,見やすい位置に,原告商品を表すマークとともに「空調服」と大きく表示
するものである。そして,原告各社は,平成17年から平成27年までの間,原告
商品の広告費に毎年数百万円規模の額を費やし(甲113),その後,宣伝広告を
爆発的に増やしている(甲247の1~6)。
原告各社の新聞,雑誌等における宣伝広告の状況は,次のとおりである。
(a) 平成27年~平成29年
平成27年 甲46の4
平成28年 甲42の67
平成29年 甲6,甲42の71,甲48の1~8・10・11・14~16・
18・19・24~28・41・44・48・52・53
(b) 平成30年
① 繊維業界向け専門紙
「繊維ニュース」 1月11日(甲49の2),8月9日(甲49の56),1
0月22日(甲71の72)
② 建設,電気,農業,物流向け業界専門紙
「電気新聞」 6月8日(甲49の20),6月15日(甲49の26),6月2
8日(甲49の32),7月4日(甲49の36),7月11日(甲49の37),7
月18日(甲49の41) 7月25日
, (甲49の47) 8月3日
, (甲49の55),
9月25日(甲70の15),11月16日(甲70の18)
「農機新聞」 5月15日(甲49の10),6月19日(甲49の23),7月
3日(甲49の35),7月17日(甲49の40),7月24日(甲49の45),
10月9日(甲70の16)
「建設の安全」11月号(甲70の17)
「日刊建設産業新聞」 7月3日(甲49の34)
「日本物流新聞」 7月25日(甲49の49)
③ その他の業界専門紙
「積算資料」 4月号(甲49の7)
「安全と健康」 5月号(甲49の8),6月号(甲49の15),7月号(甲
49の29)
「日刊工業新聞」 4月23日(甲49の9),5月23日(甲49の13),
6月21日(甲49の28)
「鉄鋼新聞」 5月23日(甲49の12),6月26日(甲49の31),7
月25日(甲49の46)
「朝雲」 7月12日(甲49の38)
「商経機械新聞」 7月26日(甲49の51)
④ 雑誌
「日経ビジネス」 8月27日号(甲71の65)
「Wedge」 9月号(甲71の62)
(c) 令和元年(平成31年)
① 繊維業界向け専門紙
「繊維ニュース」 6月18日(甲72の1),8月8日(甲70の34),1
1月29日(甲195)
「ユニフォームプラス」 5月号(甲72の3),10月号(甲196)
「繊研新聞」 1月9日(甲70の20),6月17日(甲70の12)
② 建設,電気,農業,物流向け業界専門紙
「電気新聞」 1月4日(甲70の19),7月29日(甲70の29),8月
29日(甲70の35)
「広報とらっく」 5月1日号(甲70の24),5月20日号(甲70の5)
「建設の安全」 3月号外(甲70の21),4月号(甲70の23),5月号
(甲70の10),6月号(甲70の7),7/8月号(甲70の3)
③ 全国紙・一般紙
「読売新聞」 7月27日(甲70の30),7月28日(甲70の32),7
月31日(甲70の33),8月28日(甲197)
「日本経済新聞」 7月11日(甲71の131,甲198),
④ その他の業界専門紙
「安全と健康」 5月号(甲70の9),7月号(甲71の13)
「安全衛生 図書・用品カタログ2019」(甲70の22)
⑤ 雑誌
「モノ・マガジン」 5月16日号(甲71の44) 7月16日号
, (甲70の2),
9月16日号(甲70の35)
⑥ 日本全国の主要都市にあるJR各駅の構内の大型ビジョン(JR池袋駅,新
宿駅,渋谷駅,東京駅,秋葉原駅,品川駅,恵比寿駅,上野駅,赤羽駅,巣鴨駅,
吉祥寺駅,八王子駅,国分寺駅,三鷹駅,横浜駅,桜木町駅,浦和駅,大宮駅,船
橋駅,高田馬場駅,大阪駅,新大阪駅,三ノ宮駅,京都駅,天王寺駅,名古屋駅の
構内に設置された大型ビジョン) 7月15日~21日(甲70の26~28,甲
199の1・2,甲321の1・2)
(d) 令和2年
① 繊維業界向け専門紙
「繊維ニュース」 4月24日(甲200)
「繊研新聞」 1月10日(甲201)
② 建設,電気,農業,物流向け業界専門紙
「農機新聞」 4月9日(甲202の1),4月14日(甲202の2),4月
21日(甲202の3),5月12日(甲202の4),5月19日(甲202の
5),5月26日(甲202の6)
「広報とらっく」 5月20日(甲203)
「電気新聞」 5月27日(甲204)
③ その他の業界専門紙
「安全と健康」 5月号(甲205)
④ 雑誌
「モノ・マガジン」 5月16日号(甲206)
d 展示会への出展
原告各社は,日本最大級の中小企業ビジネスイベントである中小企業総合展に出
展し(甲121),猛暑対策展その他ファン付き作業服の需要者,取引者が集まる
展示会に,原告商品を出展してきた(甲32,甲49の56,甲70の4・8・1
1,甲71の10・22・43・47・118・120・136,甲73の27,
甲207~209,甲321の1・2,甲322,323,甲354の1~18)。
その状況は,別紙2のとおりである。
e メールマガジンの頒布
原告各社は,メールマガジンを頒布し,需要者,取引者に向けて原告商品を紹介
していた(甲126,甲127の1,甲324の1~3)。なお,原告商品の売上
高が後記のとおり全売上げの●●●超を占める原告各社において配信するメールマ
ガジンが,原告商品「空調服」の紹介や販売促進を内容とするものであったことは
明らかである。
f インターネットにおける宣伝広告
原告各社は,自社ウェブサイトでの原告商品の紹介,プレスリリース,YouT
ubeのプロモーションビデオ等,インターネットにおける原告商品の宣伝広告も
行ってきた(甲32,甲33の2,甲34の1~4,甲36,38,甲48の48・
52・53,甲49の4・21・22,甲70の37,甲210の1~20)。
g ライセンシーによる本願商標の使用
原告各社は,作業服の大手製造メーカー各社等に,本願商標及びファン付き作業
服に関する特許権,商標権及びノウハウをライセンス等しており,ライセンシー各
社は,「空調服」という本願商標を付してファン付き作業服を販売している。その
ようなライセンシーとして,例えば,山田辰株式会社(以下「山田辰」という。),
株式会社メドウニクス(以下「メドウニクス」という。),株式会社ジーベック(以
下「ジーベック」という。),アイトス株式会社(以下「アイトス」という。),
株式会社タカヤ商事,株式会社自重堂(以下「自重堂」という。),株式会社アル
トコーポレーション,株式会社寅壱,株式会社エヌ・エス・ピー(以下「NSP」
という。),旭蝶繊維株式会社が挙げられる(甲42の38,甲48の30・32・
49,甲49の1・50,甲71の143,甲91,211~222)。
そして,これらのライセンシーは,独自に本願商標を用いた広告を行ったり(甲
223~226),原告各社の社名,本願商標及び本願商標が原告各社の商標であ
ることが記載されたファン付き作業服のカタログやタグを作成し配布したりしてい
る(甲227~236,甲237の1・2,甲238,239,甲342の1~2
1)ほか,製品展示会においても,原告各社の社名,本願商標及び本願商標が原告
各社の商標であることを,会場の見やすい位置に表示している(甲240,甲24
1及び242の各1・2)。
h 法人向け販売,大手ゼネコンや大手電気工事業者等へのオリジナル
ファン付き作業服の納入販売
原告商品は,法人向けが大多数であり,公開されている主な販売先だけでも,大
手企業が多数にわたる(甲243[枝番を含む。],甲244,甲343の1~8
2)。
そして,原告各社は,大口顧客に対し,オリジナル仕様の原告商品を納入するこ
とが多く,オリジナル仕様の原告商品についても,本願商標が付されている(甲4
8の33~35,甲55,56)。原告商品は,平成16年9月には全関東電気工
事協会の推奨品として認定され(甲58),電気工事業界において,ファン付き作
業服のスタンダードとなっている。建設業界においても,原告各社は,大手ゼネコ
ン各社に向けて,オリジナル仕様又は通常の原告商品を大量に納入している(甲8,
甲42の61・63,甲49の19,甲50の5,甲54,56,60,61,6
4,65,245)。
ウ 原告商品の販売数量又は売上高等について
(ア) 原告商品の市場シェア
「空調服」の販売開始から平成27年までは,原告商品がファン付き作業服にお
ける市場シェアの100%を占めていたもので,その後,原告商品を始めとするフ
ァン付き作業服の有用性が世の中に認知され,市場が100億円規模に成長し,市
場拡大が進んだ現在でも,原告商品は,ファン付き作業服を創出した先駆者の商品
として,1位のシェア(令和元年[平成31年]で約38%~39%)を誇ってい
る(甲72の1~3,甲246,327,甲334の1~3,甲335の1~8,
甲336の1~19,甲337の1~5,甲338の1~9,甲339~341)。
この点,「繊維ニュース」は,繊維業界のニュースを専門的に取り扱う二つの日
刊新聞のうちの一つであり(甲255,326),ユニフォーム,作業服の専門紙
として,ほぼ連日ファン付き作業服のニュースを取り上げており,ファン付き作業
服の各メーカーにも頻繁にコンタクトをとっている。上記の38%~39%とのシ
ェアは,そのような「繊維ニュース」が各ファン付き作業服メーカーから聴き取っ
た出荷予定数をもとに算出したもので,十分に客観性,信用性が担保されたもので
ある。
(イ) 原告商品の売上高
平成30年の原告商品の売上高は,ライセンシーによる売上げを含め,約130
億円(販売数65万点[甲72の1]に,1点当たり販売価格約2万円[甲71の
155]を乗じたもの)であった。同様に,令和元年(平成31年)の原告商品の
売上高は,ライセンシー各社による売上げを含め,およそ260億円と推定される
(販売数130万点)。
原告らの直近3年分の決算報告書(甲247の1~6)から認められる原告らの
売上額に,原告商品の占める割合(●●●[甲333の4~8,甲351])を乗
じた額に,ジーベック,アイトス,自重堂など,作業服分野における大手メーカー
がライセンシーに数多く含まれていることを考慮すると,原告商品の売上高が26
0億円を超えるとの上記推定は,十分に合理的である(例えば,自重堂は,東証2
部上場企業であり,連結売上高が200億円規模の大企業である。ジーベックの売
上高は約130億円,アイトスの売上高は約200億円である。)。
エ 原告商品又はこれに類似した商品に関する本願商標に類似した他の標章
の存否について
ファン付き作業服について,本願商標と同一の商標が自他商品識別標識として使
用されている例はない。
一部のネット通販サイトにおいて,ファン付き作業服の紹介の際に,「空調服」
との語を用いている例があるが,それらの使用は,自他商品識別標識としての使用
ではない。また,ファン付き作業服の取引の実情からすると,ネット通販サイトは,
取引全体のごく一部を占めるにすぎず,その影響は無視できるほど小さい。
なお,他者によって同一又は類似商標が使用されている場合に直ちに商標法3条
2項の適用が否定されるべきではなく,他者による使用態様,規模等に鑑みて,本
願商標の使用状況等を含めて総合判断がされるべきである。
オ 原告商品の知名度の裏付けとなるメディアにおける原告商品の紹介につ
いて
次のとおり,原告商品は,テレビ,ラジオ,新聞雑誌といったマスメディアにお
いて,現在に至るまでほぼ連日のように紹介されており,本願商標が原告商品を表
すものであるとして需要者,取引者に周知であることが裏付けられる。
(ア) テレビ(いずれも全国放送)
原告商品は,テレビ番組において数多く取り上げられている(甲39の2)。
この点,「ガイヤの夜明け」の視聴率はコンスタントに5%以上であり(甲24
8),ドキュメンタリー番組として代表的な番組であって(甲249),成年男性
の視聴率が高いことから,ファン付き作業服の需要者,取引者にも視聴されたと推
測される。度々再放送もされている(甲325)。
また,「マツコ&有吉の怒り新党」は,毎週水曜日に放送されており,原告商品
が紹介された回の前の週の回の視聴率は10.6%であった(甲250)。
さらに,「サタデープラス」では,熱中症対策商品として,原告商品が,「空調
服」という商品名とともに,「株式会社空調服」というように,原告空調服の名称
が分かりやすいよう放送された。同番組の視聴率は,概ね5%前後と推測される(甲
251)。
その他,「スーパーJ チャンネル」,「テイバン・タイムズ」,「AI・DOL
PROJECT」,「Nスタ」,「あさチャン」でも原告商品が紹介された(甲7
1の11・12・42・141,甲75の1~3,甲252の1~3)。このうち
「Nスタ」では,「空調服」が原告各社の商品名であることが強調されて紹介され
た。
(イ) ラジオ(全国放送)
原告商品は,TBSのラジオ番組「久米宏ラジオなんですけど」でも紹介された
(甲70の4,甲71の34)。
(ウ) 新聞,雑誌
原告商品は,発売開始以来,新聞,雑誌等で何度となく紹介されている。特に原
告商品を取り上げる回数の多い「繊維ニュース」の発行部数は6万8000部であ
り(甲253),「繊研新聞」は20万部である(甲254)。繊維業界のニュー
スを専門的に取り扱う日刊新聞はこれら2紙のみであり,繊維業界や作業服を含む
服飾業界の取引業者が購読者の中心である。その他,ファン付き作業服は,建設業
界,電機工事業界,農業分野,熱中症対策分野等が需要の中心であるところ,原告
商品は,これらの業界の業界紙及び専門紙に頻繁に取り上げられている。
新聞,雑誌への掲載状況は,次のとおりである。
a 平成14年~平成29年
平成14年 甲42の1,甲98,100
平成15年 甲101
平成16年 甲42の2~4,甲103,104,甲128の1~13,甲12
9の1~24,甲130の1~9
平成17年 甲42の5~12,甲128の1~13,甲129の1~24,甲
130の1~9,甲131の1~15
平成18年 甲42の13~16,甲128の1~13,甲129の1~24,
甲131の1~15
平成19年 甲42の17~26,甲120,121,甲128の1~13,甲
129の1~24,甲131の1~15
平成20年 甲42の27~34,甲128の1~13,甲129の1~24,
甲131の1~15
平成21年 甲42の35~38,甲132の1~10
平成22年 甲42の39~42,甲119,甲129の1~24
平成23年 甲42の43~51,甲128の1~13,甲129の1~24,
甲130の1~9,甲131の1~15
平成24年 甲42の53・54,甲111
平成25年 甲42の55,甲130の1~9
平成26年 甲42の56・57,甲129の1~24
平成27年 甲42の61・63・64,甲46の1・4・6,甲86,109,
110
平成28年 甲7,8,甲42の66・68・69,甲47の5,甲108,1
23,125,甲129の1~24,甲130の1~9,甲131の1~15
平成29年 甲42の71,甲48の9・10・12・17・20・21・23・
29・38~40・42・45・46・49,甲50の1
b 平成30年
① 繊維業界向け専門紙
「繊維ニュース」特集「繊維街道 私の道中記」 10月22日~26日(甲7
1の72・75・77・79)
「繊維ニュース」 1月9日(甲49の1),1月11日(甲49の2),2月
14日(甲49の5),5月29日(甲49の14),6月1日(甲49の17),
6月6日(甲49の19),6月18日(甲49の24),7月17日(甲49の
39),8月1日(甲49の53),8月9日(甲49の56),9月3日(甲7
1の66),9月12日(甲74の4),10月2日(甲74の6),10月9日
(甲74の8),10月11日(甲74の9),11月29日(甲74の24),
12月20日(甲74の33)
「繊研新聞」 9月7日(甲71の69),11月19日(甲71の111)
② 建設,電気,農業,物流向け業界専門紙
「建設通信新聞」 8月20日(甲71の59)
「電気新聞」 6月8日(甲49の20),9月6日(甲71の67),9月1
3日(甲71の71),10月22日(甲71の74)
「物流ニッポン」 11月1日(甲71の83)
「農機新聞」 1月1日(甲43),6月19日(甲49の23),11月13
日(甲71の84)
「日本屋根経済新聞」 7月28日(甲49の52)
「日本農業新聞」 6月4日(甲49の18),6月7日(甲50の7)
「日本物流新聞」 6月10日(甲49の25)
「安全と健康」 7月号(甲49の29)
「電気現場」 7月1日(甲49の33)
「農業ビジネス」 夏号(甲49の44)
③ 全国紙・一般紙
「毎日新聞」 8月22日(甲71の63)
「デーリー東北」(甲71の85),「フジサンケイビジネスアイ」(甲71の
86),「沖縄タイムズ」(甲71の87),「中部経済新聞」(甲71の88),
「四国新聞」(甲71の89),「信濃毎日新聞」(甲71の90),「大分合同
新聞」(甲71の91),「北日本新聞」(甲71の92),「神奈川新聞」(甲
71の93),「日本海新聞」(甲71の94),「富山新聞」(甲71の95),
「岩手日報」(甲71の96),「中国新聞」(甲71の97),「河北新報」(甲
71の98),「京都新聞」(甲71の99),「長崎新聞」(甲71の100),
「秋田魁新報」(甲71の101),「神戸新聞」(甲71の102),「上毛新
聞」(甲71の103),「山口新聞」(甲71の104),「東奥日報」(甲7
1の105),「熊本日日新聞」(甲71の106),「室蘭民報」(甲71の1
07) 以上につき8月23日
④ その他の業界専門紙
「日刊産業新聞」 8月24日(甲71の108),8月28日(甲71の10
9)
「日刊工業新聞」 4月23日(甲49の9),5月23日(甲49の11)
「隔月刊地球温暖化」 3月号(甲49の6),5月号(甲49の16)
「ユニフォームプラス」 9月号(甲71の148)
「積算資料」 4月号(甲49の7)
⑤ 雑誌
「週刊新潮」 8月2日号(甲49の54)
「Wedge」 9月号(甲65)
c 令和元年(平成31年)
① 繊維業界向け専門紙
「繊維ニュース」 1月9日(甲71の114),1月10日(甲73の29),
1月17日(甲74の38),1月24日(甲74の42),1月25日(甲74
の43),2月6日(甲74の49),4月15日(甲71の123),5月28
日(甲71の3),6月12日(甲74の101),6月20日(甲71の5),
7月9日(甲71の132),8月7日(甲71の137),8月8日(甲71の
138),9月12日(甲71の150),11月13日(甲256の1),11
月26日(甲256の2),11月29日(甲256の3),12月18日(甲2
56の4)
「繊研新聞」 5月28日(甲71の46),5月29日(甲71の1),6月
4日(甲74の98)
「ユニフォームプラス」 9月号(甲71の148) 10月号
, (甲257の1),
12月号(甲257の2)
② 建設,電気,農業,物流向け業界専門紙
「建設通信新聞」 6月17日(甲71の45)
「農機新聞」 4月2日(甲71の120),5月28日(甲71の9),6月
11日(甲70の11),6月25日(甲71の10),8月6日(甲71の13
6),9月24日(甲258の1),10月8日(甲258の3),10月22日
(甲258の2・4)
「電気と工事」 1月号(甲71の112)
「TRUSCO PROTOOL マガジン」(甲73の28)
「日本屋根経済新聞」 3月28日(甲71の119),8月8日(甲259)
「電気管理技術」 4月号(甲71の121)
「日刊建設産業新聞」 4月5日(甲71の122)
「Architecture Roofing Sealing」 5月5日(甲
71の58)
「GETRUCK」 7-8月合併号(甲71の130)
「物流Weekly」 8月26日(甲71の158)
「ビルメン」 9月号(甲71の149)
「機械化農業」 9月号(甲260)
「日本農業新聞」 10月31日(甲261)
③ 全国紙・一般紙
「日本経済新聞 会社情報DEGITAL」 5月24日(甲74の113)
「日刊スポーツ」 7月4日(甲71の14)
「産経新聞」 7月23日(甲71の133),8月8日(甲71の143)
「日本経済新聞」 8月18日(甲71の144)
「読売新聞」 8月21日(甲71の145),8月28日(甲71の159)
「日刊ゲンダイ」 8月29日(甲71の160)
④ その他の業界専門紙
「日刊帝国ニュース」 3月5日(甲71の117)
「隔月刊地球温暖化」 5月号(甲71の161)
「財経新聞」 5月28日(甲71の32)
「警備保障タイムズ」 7月11日(甲208)
「日刊産業新聞」 7月5日(甲262の1),11月22日(甲262の2)
「理念と経営」 9月号(甲71の146)
「石油化学新聞」 12月9日(甲263)
⑤ 雑誌
「モノ・マガジン」 5月16日号(甲71の44),8月2日号(甲71の1
40),8月16日・9月2日号(甲71の134),9月16日号(甲71の1
47)
「Under400」 7月号(甲71の157)
「オートバイ」 9月号(甲71の142)
「日経コンピュータ」 10月3日号(甲264)
「ASKUL」 春・夏号(甲71の155)
「VOGUE JAPAN」 9月号(甲265)
d 令和2年
① 繊維業界向け専門紙
「ユニフォームプラス」 3月号(甲266),5月号(甲267)
「繊維ニュース」 1月8日(甲268の1),1月10日(甲268の2),
1月21日(甲268の3),2月7日(甲268の4),2月10日(甲268
の5),2月21日(甲268の6),2月28日(甲268の7),4月9日(甲
268の8),4月15日(甲268の9),4月24日(甲268の10),4
月28日(甲268の11),5月20日(甲268の12)
「繊研新聞」 1月10日(甲269の1),2月26日(甲269の2),3
月30日(甲269の3)
② 建設,電気,農業,物流向け業界専門紙
「農機新聞」 1月23日(甲270の1),2月11日(甲270の2),3
月10日(甲270の3)
「日本農業新聞」 4月6日(甲271,272)
「機械化農業」 4月号(甲273)
③ その他の業界専門紙
「日刊産業新聞」 2月14日(甲274),3月13日(甲275)
④ 雑誌
「AERA」 3月16日号(甲276)
「モノ・マガジン」 5月16日号(甲277)
(エ) 作業服の販売店による原告商品の商品名としての本願商標の使用
作業服の販売店も,原告商品の商品名として,本願商標をチラシやカタログに表
示している(甲278,279)。
(オ) ウェブメディア
ウェブメディアにおいても原告商品は紹介されている。その状況は,次のとおり
である。
a 平成26年~平成29年
平成26年 甲42の65
平成27年 甲46の7~9
平成28年 甲46の5,甲47の1~4・6・7,甲71の151,甲124
平成29年 甲9の1,甲48の22・30~37,甲280
b 平成30年
「サンスポ」 1月17日(甲49の3)
「ITmediaビジネスオンライン」 5月22日(甲71の126)
「建設通信新聞Digital」 8月20日(甲71の31・60)
「ロケットニュース24」 7月17日(甲71の28)
「産経ニュース」 7月21日(甲49の42)
「日本経済新聞」 7月25日(甲49の48)
「AGRI JOURNAL」 8月10日(甲49の57)
「ライブドアニュース」 10月30日(甲71の82)
c 令和元年(平成31年)
「エキサイトニュース」 3月26日(甲71の36)
「ニコニコニュース」 5月27日(甲71の38)
「財経新聞」 5月28日(甲281)
「YAHOOニュース(MONEY PLUS)」 6月6日(甲71の30),
8月23日(甲282),8月30日(甲283)
「電撃ホビーウェブ」 6月6日(甲71の29)
「WWDジャパン.com」 6月21日(甲71の125)
「PRTIMES」 7月12日(甲284)
「産経ニュース」 7月22日(甲285)
「IZA」 7月22日(甲286)
「SankeiBiz」 7月24日(甲287)
「BCN+R」 8月3日(甲288)
「日経新聞電子版」 8月17日(甲289)
「au web ポータル経済」 8月23日(甲290)
「日刊ゲンダイ Digital」 8月29日(甲291)
「LIMO」 8月30日(甲292)
「現代ビジネス」 9月13日(甲293)
「日経XTECH」 9月30日(甲294)
「物流Weekly」 9月30日(甲295)
「インプレス」 10月2日(甲296)
「繊維ニュース」 11月13日(甲297),12月18日(甲298)
「ニューススイッチ」 12月2日(甲299)
d 令和2年
「Rakuten Infoseek News」 2月6日(甲300)
「MONEY PLUS」 2月6日(甲301)
「gooニュース」 3月17日(甲302)
「AXIS web Magagine」 5月12日(甲303)
「繊維ニュース」 1月8日(甲304),1月21日(甲305),2月7日
(甲306),2月10日(甲307),4月15日(甲308),4月28日(甲
309),5月20日(甲310)
(カ) 受賞歴
原告商品は,これまでに各種の賞を複数回受賞している。原告商品の受賞歴は,
原告各社がファン付き作業服のオリジネーターであること,本願商標が原告商品を
表す商標として周知であることが,賞という形で結実したものである。
原告セフト研究所は,平成29年12月,「空調服の開発・商品化と普及」によ
り,平成29年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰を受賞している(甲43,44)。
受賞理由から明らかなように,原告セフト研究所は,環境大臣によって,ファン付
き作業服の開発者,すなわちオリジネーターであることが認められたといえる。
また,原告商品は,令和元年に,グッドデザイン賞を受賞した(甲311,31
2)が,その審査員のコメントでも,原告セフト研究所がファン付き作業服のオリ
ジネーターであり,原告商品「空調服」がベースとなったデザインが評価されたこ
とが示されている。
さらに,原告商品は,同年,公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会
(JIDA)デザインミュージアムセレクションにも選定された(甲313)。同
セレクションは,「美しく豊かな生活を目指して」をテーマに,インダストリアル
デザインが社会に寄与する質の高い製品を選定し表彰するとともに,その製品を収
集保管して次世代に伝え,教育,産業,生活へ文化的貢献を行うことを目的とする
ものである。その選定基準には,「初代であったり,その時代のマーケットをリー
ドした製品」であることが含まれており,原告各社及び原告商品がファン付き作業
服のオリジネーターであり,ファン付き作業服マーケットをリードしてきたことが
評価されたものと解される。
カ 被告の主張に対するその他の反論
(ア) 被告は,本件における需要者,取引者の認識は,本願指定商品である
「通気機能を備えた作業服・ワイシャツ・ブルゾン」の需要者,取引者の認識をも
とに判断すべきであると主張する。
しかし,「通気機能を備えた作業服・ワイシャツ・ブルゾン」の需要者,取引者
は,ファン付き作業服の需要者,取引者とほぼ一致する。一方,ファン付き作業服
以外の,「通気機能を備えたワイシャツ・ブルゾン」については,これから市場を
立ち上げようとする段階であり(甲321の1),ファン付き作業服の市場に比較
して著しく僅少である。
(イ) 「空調服」を始めとするファン付き作業服は,初夏から夏にかけて需
要が高まる季節商品であり,一年中メディアに取り上げられるような商品ではない。
また,需要が爆発的に高まったのはここ数年のことである。148回という掲載回
数が決して多くないなどという被告の主張は,取引の実情を理解しないでされた主
観的な主張にすぎない。
(ウ) 需要者が建築業者,工場従事者,電機工事従事者,その他作業服を着用
する者等に限られ,取引者が作業服専門店等に限られるファン付き作業服という商
品の取引の実情に鑑みると,全国紙よりも,繊維・ユニフォーム業界の専門誌の方
が,需要者,取引者の認識をより強く反映していることは明白である。また,専門
誌が全国紙よりも証拠として劣るかのような被告の主張は,商標審査基準(甲35
3)の内容とも明らかに矛盾するものである。
広告の出稿先についても,取引の実情からすると,上記と同様,繊維や作業服関
連の専門誌に出稿した方が,需要者,取引者への訴求効果が高いといえる。
(エ) 原告らの出稿する広告は,特に最近のものについては,スペースの許す
限り,必ず,
「空調服」の文字が目立つようにゴシック体で表記され,かつ,『空調

服』は,株式会社セフト研究所・株式会社空調服の商標及び登録商標です。」との表
記がされている(甲200~206)。また,原告空調服の社名でもある「空調服」
とのゴシック体表記に加えて,登録商標である「DCマーク」
(図式化したDとCと
を組み合わせた表示であり,別紙1の「登録番号5794161」の「商標」欄の
表示。以下「DCマーク」という。)が付されていることから,原告各社の名称の表
示があることが明らかである(甲70の5・9・11~13・24,甲71の44,
甲72の1)。
(オ) JRの主要駅構内における原告商品の大々的な広告については,原告
空調服の社名を踏まえると,
「空調服」に加えて,DCマークが付されている広告に
ついては,出所が表示されているといえる。
(カ) YouTubeの再生回数は,YouTubeのウェブサイトにアク
セスすることで第三者が容易に確認できるものであるから,プレスリリースにおい
て虚偽の再生回数を述べるはずがない。
(キ) 映画館で放映した原告商品のCMについて,ユナイテッド・シネマ,シ
ネプレックス劇場の座席数は1シアター当たり平均190席であり,広告を入れた
映画が1日当たり2回放映されたことから,190席×2本(広告した映画の数)
×2(1日あたり2回放映)×34(CMを放映した映画館の数)=1日当たり2
万5840人が鑑賞できることになる(甲76の8,甲347,348)。これを平
成29年8月11日から同月26日までの16日間放映したから,およそ40万人
が視聴したと推定できる。
(ク) 地球温暖化防止活動環境大臣表彰の受賞については,原告らがファン
付き作業服を開発し,平成17年から販売を開始し,約34万着を売り上げたこと
が,建築・建設関係を始めとする各業界のCO2排出削減に貢献したと評価されての
ものであり,原告各社による「空調服」の開発,販売数の多さが評価されたことが
明らかである。また,グッドデザイン賞については,受賞の事実がメディア等で取
り上げられる契機となり,原告商品の知名度アップにもつながっている。
(3) 取消事由3―証拠を適切に評価しておらず審理不十分であること
原告らは,客観的資料に基づいて,本願商標の商標法3条1項3号非該当性及び
同条2項該当性を主張するにもかかわらず,本件審決は,次のとおり,原告らが提
出した証拠を適切に評価することなく,多くの証拠を見落としたもので,その審理
は甚だ不十分である。これは,本件審決の結論に影響を与えるものであり,本件審
決は,違法なものとして取り消されるべきである。
ア 本願商標の使用の事実の見落とし
原告らは,平成16年以降の毎年分の原告商品のカタログを証拠として提出して
いる。これらのカタログには,全て,見やすい位置,大きさで,本願商標が表示さ
れており,原告らが平成16年以降継続して本願商標を使用してきたことが明らか
である。また,原告らによる宣伝広告についても,多数の証拠を提出している。本
件審決は多数の証拠を見落としているといわざるを得ない。
イ ファン付き作業服における原告商品のシェアの見落とし
「繊維ニュース」は,繊維業界に関するニュースを専門とする業界紙で,ほぼ毎
日ファン付き作業服についての記事を掲載しているものであり,そのような「繊維
ニュース」が発表しているファン付き作業服のシェアは,十分に客観性及び信頼性
を有する。また,業界シェアの多くは,その業界に属する各メーカーに対する聴取
り調査に基づいて作成されるものであり,メーカー各社の自己申告に基づいて集計
が行われるものであることに何ら問題はない。
本件審決は,証拠を正当に評価することなく,誤った理由に基づいて,証拠を排
除するものである。
ウ 原告商品の大手ゼネコンへの納入の事実の見落とし
本件審決は,大手ゼネコンへの納入の事実に係る証拠(甲48の33~35),
納入量に係る証拠(甲42の61・63,甲49の19,甲54,60,61等)
を見落とし,誤った判断をしている。
4 被告の主張
(1) 取消事由1について―本願商標が商標法3条1項3号に該当すること
次のとおり,本願商標が商標法3条1項3号に該当するとした本件審決の認定,
判断に誤りはない。
ア 商標法3条1項3号の趣旨等
商標法3条1項3号の趣旨に照らすと,当該商標が指定商品の品質等を表すもの
として,審決時に需要者,取引者に広く認識されている場合はもとより,将来を含
め,需要者,取引者にその商品の品質等を表すものと認識される可能性があって,
これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときは,その
商標は,同号に該当すると解するのが相当である。
イ 「空調服」の文字について
本願商標の構成中の「空調」の文字は「空気調節の略。エアーコンディショニン
グ。」の意味を有する語であり(乙3),「服」の文字は「身につけるもの」の意
味を有する語である(乙4)。
ウ 「通気機能を備えた作業服・ワイシャツ・ブルゾン」に関連した分野で
の「空調服」の文字の使用状況について
近年,「通気機能を備えた作業服・ワイシャツ・ブルゾン」に関連した分野の新
聞記事情報,インターネット情報及び公開特許公報等(次の(ア)~(ウ))において,
「空調服」の文字は,例えば,「小型ファンで,服の中に外気を取り入れ,体の表
面に大量の風を流すことにより汗を気化させて,涼しく快適にすごしていただくた
めの製品」や「上着内に送風機を備え,服の中に風を取り入れ体の熱を冷ます機能
を有する商品(ファン付き作業着)」の説明と共に,「空気を調節する服(空調機
能を備えた服)」を表すものとして使用されている。
(ア) 新聞記事情報
「日本経済新聞」(乙5,11,13,18),「河北新報」(乙6),「北海
道新聞」(乙7),「日刊建設工業新聞」(乙8,15),「琉球新報」(乙9),
「電気新聞」(乙10,16),「熊本日日新聞」(乙12),「化学工業日報」
(乙14),「建設通信新聞」(乙17),「大阪読売新聞」(乙19)
(イ) インターネット情報
「WORK―UNIFORM」のウェブサイト(乙20~22),「SAFET
Y UNI」のウェブサイト(乙23,24),「ワークストリート 作業服館」
のウェブサイト(乙25,26),「YAHOO!JAPANショッピング」内の
「ミチオショップ ヤフーショッピング店」のウェブサイト(乙27,28),「作
業着デポ」のウェブサイト(甲141の1・2),楽天市場内の「倉敷通商」のウ
ェブサイト(甲142の4,乙29),「YAHOO!JAPANショッピング」
のウェブサイトにおける「空調服の検索結果(220,085件)」(乙30),
「Wowma!」のウェブサイト(甲144の1・2),「空調服専門サイト」の
ウェブサイト(甲145の2,乙31),「空調服専門店 TKネットショップ」
のウェブサイト(乙32,33),「ALBIC-丸十服装株式会社」のウェブサ
イト(乙34,35),「MITSUFUJI」のウェブサイト(乙36),「建
設通信新聞 公式記事ブログ」(乙37),「日本経済新聞(電子版)」のウェブ
サイト(乙38),「UEDA ironware」のウェブサイト(乙39),
「ワークショップオオタ」のウェブサイト(乙40),「Yahoo!ショッピン
グ」のウェブサイト内の「ワークショップタマイ」(乙41)
(ウ) 公開特許公報等による情報
公開特許公報(特開2017-101354。乙42),公開特許公報(特開2
016-56467。乙43),登録実用新案公報(実用新案登録第320651
8号。乙44),登録実用新案公報(実用新案登録第3197081号。乙45),
登録実用新案公報(実用新案登録第3195731号。乙46),登録実用新案公
報(実用新案登録第3187092号。乙47),登録実用新案公報(実用新案登
録第3186431号。乙48)
エ 小括
以上のことから,本件審決当時,本件商標が,その指定商品である「通気機能を
備えた作業服・ワイシャツ・ブルゾン」に使用されたときは,「空気を調節する服
(空調機能を備えた服)」といった商品の品質(機能)を表示するものとして,需
要者,取引者によって一般に認識されるものであって,取引に際し必要適切な表示
として何人もその使用を欲するものであったものと認められるから,特定人による
その独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,自他商品識別力を欠くもの
というべきである。
また,本願商標は,標準文字で構成されているから,「空調服」の文字を普通に
用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。
したがって,本願商標が商標法3条1項3号に該当するとした本件審決の認定,
判断に誤りはない。
オ 原告らの主張に対するその他の反論
(ア) 原告らは,「空調服」に関連する登録商標を複数所有していると主張
するが,原告らは,本願指定商品に包含される「ファン付き作業服」について「空
調服」の文字のみを普通に用いられる方法で表示する商標の権利を保有しているも
のではないし,原告ら以外のファン付き作業服の製造業者や販売業者等は,自己の
商品の出所表示としてではなく,取引に際し,ファン付き作業服であるという商品
の品質を記述するために,上記ウのとおり「空調服」の文字の使用を欲するのであ
る。
そして,ライセンシー以外のファン付き作業服の製造業者及び販売業者はもとよ
り,ライセンシーにおいても,上記ウのように,「空調服」の文字をファン付き作
業服という商品のカテゴリー,すなわち品質を表すものとして使用している実情が
あることからすると,「空調服」の文字は,何人にも,取引に際して商品の品質を
記述するために必要適切な表示であるというのが相当であって,特定人による本願
商標の独占使用を認めることは公益上適当でないというべきである。
(イ) 原告らは,原告各社等は積極的に「空調服」との商標を用いていると
主張するが,ライセンシーにおいても,原告らの出所表示とはいえない方法で「空
調服」の文字を使用している例があり(甲223,224,甲241の1,甲24
2の1) そのようなライセンシーによる本願商標の使用状況からすると,
, 需要者,
取引者は「空調服」の文字をファン付き作業服の品質表示と理解するとみるべきで
ある。
また,「『空調服』は,(株)セフト研究所,(株)空調服の商標である」旨の
ごく小さな付記的な記載があるライセンシーのカタログ,チラシ等(甲211,2
12,221,225,227~239)は,ほぼ令和2年に販売する商品に係る
もので,これより前の使用において同旨の記載があったのかについては明らかでな
い。同旨の記載があったとしても,ごく小さく表示された付記的な記載から,これ
らのカタログ等を参照する需要者,取引者が,直ちに「空調服」の文字を原告らの
出所表示として認識するとはいい難い。
(ウ) 仮に,「空調服」の文字がファン付き作業服の自他商品識別標識とし
て,原告ら以外の第三者によって使用されている事実が確認できないとしても,本
件審決は,「空調服」の文字が,上記ウのように,自他商品識別標識としてではな
く,作業服のカテゴリー,すなわち品質を表すものとして使用されているからこそ,
そのような状況を総合的に勘案した上で,本願商標が自他商品識別標識としての機
能を果たさないと認定判断したものである。
(エ) SEO対策にすぎないという原告らの主張や,ネット通販サイトにお
いて,数社から販売されているファン付き作業服の中で原告商品の認知度が高いた
めに代表的な存在として「空調服」の表記が用いられたとの原告らの主張について
は,そのような表記方法が取引において一般的であるとはいえない上,これを裏付
ける証拠の提出もなく,何ら根拠のないものといわざるを得ない。
(オ) 原告らは,本願商標は分離して解釈できないなどと主張するが,本願
商標の構成中の「空調」の文字は「空気調節の略」の意味を有する語であり,「服」
の文字は「身につけるもの」の意味を有し,本願指定商品との関係において商品の
一般的な総称を表す語であることから,本願商標は,「空調」と「服」の語を結合
したものと容易に認識されるものというべきであり,また,容易に語義を理解でき
る語を組み合わせたものである。
また,原告らは,「エアーコンディショニング」の意味のみをたどった上で,「空
調服」の文字からは「温度調整機能を有するエアコンの付いた服」という意味が生
じるなどと主張するが,本願商標を構成する「空調」の語について,「空気調節の
略」という意味で理解されることを捨象すべき特段の事情はなく,原告らの解釈は,
「空調」の語が上記意味を有することを無視した,飛躍した解釈である。
さらに,原告らは,上記解釈を前提に,本件審決が認定した意味合いである「空
気を調節する服(空調機能を備えた服)」が,本願指定商品の品質を表すものでは
ないと主張するが,そもそもの語義からして,「通気(内部と外部の空気を互いに
通わせること。)」によって,「空気調節」をしているのであるから,上記意味合
いについて認定した上で,「空調服」の文字の使用状況を総合的に勘案し,本願指
定商品の品質を表すと判断することにつき,論理が破綻しているとはいえない。
その他,「空調服」の文字が,ファン付き作業服を表すものとして一般的に使用
されていることは,ファン付き作業服を表す他の表現が存在することによって否定
されるものではない。そして,「空調服」の文字が,作業服のカテゴリー,すなわ
ち品質を表すものとして相当数使用されているとの実情について,それらの使用の
うちにライセンシーによるものが含まれるとしても,それに接する需要者,取引者
においてライセンスに係る詳細な背景事情までを直ちに認識することは困難であり,
また,作業服のカテゴリーを示すような方法で使用されていることからすると,
「空
調服」の文字に接する需要者,取引者は,これを原告商品の出所識別標識として理
解し得ないというのが相当である。
(カ) 「空調服」の文字が作業服のカテゴリー,すなわち品質を表すものと
して,原告ら以外の者によって用いられていることについて,本件審決は,上記ウ
のとおり,インターネット情報のみならず,新聞記事情報等における使用例も相当
数あることを総合的に勘案した上で,本願指定商品の需要者,取引者の認識を認定
判断したものであり,インターネット通販サイトの記載のみをもって本願指定商品
の需要者,取引者の認識を認定したものではない。
また,ファン付き作業服を含む作業服の分野では販売店やメーカーから企業等法
人への直接納入が大多数であること,作業服の取引においては個人向け販売の中で
も実店舗における販売が大多数でネットによる販売は一部であること,ファン付き
作業服は購入に際して実際に着てみることが重要であり,特にネット販売に不向き
であることといった原告らの主張については,本件審決時には,主張も立証もされ
ていなかったことである上,本件において,需要者,取引者の認識は,本願指定商
品である「通気機能を備えた作業服・ワイシャツ・ブルゾン」の需要者,取引者の
認識をもとに判断すべきであり,「ファン付き作業服を含む作業服」の分野の取引
の実情に限って考慮すべきものではない。
さらに,上記主張は,原告らが,インターネットショッピングサイトに店舗を構
え,顧客にメールマガジンを配信したり,ネット通販サイトにおいて広告宣伝を行
ったりしていることによって,本願商標が使用による識別力を獲得していると主張
する点や,インターネット販売を根拠にして本願商標を全国規模で使用していると
主張する点とも矛盾している。
(2) 取消事由2について―本願商標が商標法3条2項の要件を具備しないこと
ア 商標法3条2項該当性の判断方法
商標法3条2項は,同条1項3号~5号に該当する商標であっても,使用をされ
た結果,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識できるに至っ
た場合,すなわち,使用により自他商品識別力を獲得するに至った場合には,商標
登録を受けることができるものと規定するところ,当該商標が同条2項に該当する
か否かについては,使用に係る商標又は商品,使用開始時期及び使用期間,使用地
域,商品の販売数量,広告宣伝のされた期間・地域及び規模などの諸事情を総合考
慮して判断するのが相当である。その場合,使用に係る商標又は商品等は,原則と
して,出願に係る商標及び指定商品と同一であることを要する。また,上記「需要
者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識できるに至った場合」に該
当するというためには,永年使用されることにより,特定の者の出所表示としてそ
の商品又は役務の需要者の間で 全国的に認識されるに至っている(すなわち特別
顕著性が認められる)ことを要するものと解するのが相当である。
イ 本願商標の使用について
次のとおり,原告らが提出する証拠によっては,本願商標が付された原告らの製
造販売に係る「ファン付き衣服」が使用された結果等を総合的に考慮しても,需要
者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとい
うことはできず,本願商標は,商標法3条2項の要件を具備するものといえない。
(ア) 使用開始時期及び使用期間について
a 原告セフト研究所は,平成11年から,ファン付き作業服の企画及
び開発を行い,原告空調服はその子会社であり,平成16年に「空調服」との名称
で市場に商品を投入し当該商品の販売を行っているとされ,「空調服」の文字を当
該商品に使用しているというが,原告らが提出する商品カタログの写し等(甲10,
13,68,105,甲193の1~7)には,発行年の記載がなく,いつ発行さ
れたカタログであるのか不明なものも含まれている。また,商品カタログの製作・
頒布の事実,頒布時期,頒布数及び頒布先を示す証拠として本件審決までに提出さ
れていたものは,平成28年のカタログ製作に係る請求書(甲115)の一点のみ
であるが,これが原告商品のカタログであるかも明らかでなく,原告ら代表者の陳
述書(甲32,194)については,客観的信頼性に乏しい。
上記の具体性及び客観性に欠ける証拠をもってしては,「空調服」の文字が原告
らによって原告商品に継続的に使用されてきたと判断することはできない。
b 原告商品に係るカタログの製作・頒布の事実があったとしても,カ
タログにおいて,
「空調服」の文字は,多くが記述的に用いられていること(甲10
5)から,それらカタログに接する需要者が,出所識別標識として,
「空調服」の文
字に着目するとは考えにくいし,当該記述に接する需要者は,それを単なる商品紹
介の説明と理解するにとどまるとみるのが自然である。
そのため,広告等において,本願商標が,原告各社固有の出所識別標識であるこ
とを強調する言及や表現方法を伴う記載で継続的に用いられない限り,本願商標に
関する周知効果は限定的であるというべきである。
(イ) 原告商品の売上高
原告らが主張する原告商品の売上額や販売合計額を裏付ける証拠は,原告ら代表
者の陳述書(甲32)であり,客観的信頼性に乏しい。
また,原告らは,令和元年(平成31年)の原告商品の販売数は130万点(甲
72の1)で,1 点につき18,500円(税込19,980円)で販売されている
から,売上高はおよそ260億円であると主張するが,当該売上高は,商品単価と
市場投入数から導かれた推定にすぎない。
さらに,原告らは,この売上高には,ライセンシーによるものも含まれると主張
し,ライセンシーによる本願商標の使用状況の一部を示す証拠(甲211~242)
を提出するが,これらの証拠における「アイトスの空調服」(甲223),「スタ
ッフが着用しているのは,タルテックス・長袖ジャケット(空調服)・・・アイト
スのラインナップの中でもカジュアル感が漂う・・・」(甲224)のような「空
調服」の文字の用いられ方を考慮すると,原告らの主張する売上高に含まれるライ
センシーの販売した商品については,本願商標が原告らの出所を表示するものとし
て認識されるような態様で使用されていたのか明らかでないといわざるを得ず,そ
の余のライセンシーによる本願商標の使用状況については不明である。
以上のとおり,原告らの主張する原告商品の売上高は,客観的信頼性の乏しい売
上高及び推定売上高である上,その売上高には,原告らの出所表示として本願商標
が使用されているとはいい難いものを含み,ライセンシーがどのように本願商標を
用いているのかは不明であるから,これらをもってしては,原告商品の客観的な販
売実績に基づいた,本願商標の使用状況を把握することはできない。
(ウ) 原告商品の市場シェア
a 原告らは,原告商品の販売開始以来,平成27年までは,他社から
ファン付き作業服が販売されることはなかったから,原告商品のファン付き作業服
におけるシェアは100%であり,同タイプの商品が出始めた平成28年において
も,原告商品のシェアは84%と圧倒的であったとし,原告商品は,平成29年時
点で,ファン付き作業服の3割以上のシェアを占め(甲50の4,甲72),多数
の後発品メーカーの参入にもかかわらず,ファン付き作業服市場において変わらず
にトップグループに位置していると主張するが,上記証拠によると,原告らが主張
する3割以上というシェアには,ライセンシーによって出荷された商品のシェアも
含まれている。
また,上記証拠で示された「繊維ニュース」に掲載された市場シェア(出荷ベー
ス)は,平成30年8月27日付けの意見書(甲85)における説明を踏まえると,
推計にすぎないといわざるを得ず,十分に客観的信頼性が担保されたものといえな
い。
以上のとおり,原告らの主張する市場シェアは,ライセンシーによって出荷され
た商品のシェアも含むものであり,「繊維ニュース」に掲載された市場シェア(出
荷ベース)は,客観的信頼性の乏しいものであるから,この数値をもってしては,
原告商品の正確な市場シェアを把握することはできない。
b 原告らは,ライセンシーによる本願商標の使用状況を示す証拠(甲
211~242)を提出するが,当該証拠における「空調服」の文字の用いられ方
を考慮すると,原告らの主張する市場シェアに含まれるライセンシーの出荷した商
品については,本願商標が原告らの出所を表示するものとして認識されるような態
様で使用されていたのかは明らかでないといわざるを得ない。
また,「アイトス 下げ札」等(甲342の3~6)は,いずれも本件審決後に
撮影されたものであることに加え,ライセンシーが,原告らの主張する表記を行う
ようになったのは,主に令和元年(平成31年)頃からと,ごく最近のことである。
そして,例えば,令和元年6月19日に印刷された,ライセンシーである自重堂
の商品販売記事(甲71の7)の1頁,6頁及び10頁の記載を踏まえると,同月
に,当該商品販売記事に接した需要者は,空調付き作業服の1カテゴリーである空
調服について,自重堂が製造販売する「Z-DRAGON」と称する商品は,原告
らから技術提供を受けて製造されたものであることや,「DIRECT COOL
ING」なるロゴは,原告らの登録商標であることを認識するにとどまるというこ
とが自然であって,これらの記載により,需要者が「空調服」の文字を,原告らの
出所識別標識として認識することは困難であるというべきである。
同様に,ライセンシーであるNSPの平成30年のカタログとされるもの(甲7
3の10)の記載からすると,需要者が,商品について,同社のオリジナルの空調
服であると認識することはあっても,
「空調服」の文字を,原告らの出所識別標識と
して認識することは困難であるというべきである。その他,ライセンシーの使用状
況について,甲71の17・18・27・50・52,甲73の35も同様である。
そうすると,これらのライセンシーによる「空調服」の文字の使用に接した需要
者が,「空調服」の文字を原告らの出所識別標識として認識するとはいえない。
(エ) 本願商標の使用地域
原告らは,原告商品はインターネット販売を行っており,発売以来,平成18年
には47都道府県の全てにおいて販売を行い,それ以降,各都道府県における売上
げを伸ばしていると主張するが,これを裏付ける証拠は,原告ら代表者の陳述書(甲
32)であり,客観的信頼性に乏しい。
この点,原告らは,令和元年5月から7月にかけて,北海道,岐阜県及び福岡県
の1道2県における企業等に原告商品を納品しているとして,「納品書」又は「納
品書兼請求書」の控えを提出する(甲77)が,「納品書」等において確認できる
のは,上記期間において1道2県における企業等に原告商品を納品していることの
みであり,本願商標が原告商品にどのように使用されているのか明らかでない。
また,原告らは,原告商品にネームタグや企業名を刺繍するなどした特注品を,
大手ゼネコンなどのユーザー企業に直接納入しているとして,いずれも「空調服」
のタグが付された「KYUDENKO」の刺繍がある作業服の写真(甲55)及び
「SHIMIZU CORPORATION」のネームタグがある作業服の写真(甲
56)を提出するが,上記甲55の写真からはファン付き作業服であるのかを確認
することができない。上記甲55,56の写真には「空調服」の文字が表示された
タグがみられるとしても,他の大手ゼネコンへの納品物について本願商標がどのよ
うに付されていたのかは明らかでない。
さらに,原告ら以外の者による紹介記事において,大手建設会社である株式会社
大林組(以下「大林組」という。)が平成27年7月に協力会社組織から400着
を超える原告商品の要望を取り,大林組の社内向けにも1810着注文したこと(甲
42の61・63),大和ハウスグループの大和リース株式会社(以下「大和リー
ス」という。)が平成30年に社員用に374着の原告商品を支給し,協力会社の
作業員に500着を補助支給すること(甲49の19),ダイダン株式会社(以下
「ダイダン」という。)が平成29年8月7日に協力会社へ原告商品を約1500
着斡旋したと発表したこと(甲55),三菱電機ビルテクノサービス株式会社(以
下「三菱ビルテクノサービス」という。)が平成30年6月14日に同社及び協力
会社に原告商品1万1000着を配布すると発表したこと(甲60)をうかがい知
ることができるとしても,大手ゼネコンなどのユーザー企業との具体的取引の事実
について,原告らと原告商品の購入者が実際に取引したことを示す書類(注文伝票,
出荷伝票,納入伝票,請求書,領収書又は商業帳簿)等の提出がないから,納入日
や納入量等に基づく取引事実を確認することができない。
以上より,原告らが1道2県の企業に原告商品を納品していること(甲77)や,
大手ゼネコンなどのユーザー企業と取引があること(甲48の33~35)はうか
がえるものの,具体的事実を示す証拠に乏しいため,本願商標が原告商品について
全国的に使用されている状況を把握することはできない。
(オ) 広告宣伝の方法,期間,地域及び規模,表彰
a ウェブサイト,インターネットショッピングサイト,商品カタログ,
メールマガジンによる広告
原告らは,原告空調服のウェブサイト(甲33の1・2,甲36)において,原
告商品の紹介をしており,また,インターネットショッピングサイト楽天において,
平成17年,平成19年,平成23年及び平成26年に原告商品を販売していると
主張し,さらに,平成29年の商品カタログ(甲13)及び平成13年の商品カタ
ログ(甲30)を提出する。
しかし,上記のうち,平成17年及び平成19年のインターネットショッピング
サイトについては,「空調服」の文字は確認できるものの,当該ウェブサイトに掲
載された商品が原告らの販売に係る商品であることを示すような記載が見当たらな
い(甲34の1・2)。また,カタログについては,その製作・頒布の事実,頒布
時期,頒布数及び頒布先を示す証拠として提出されているものは,平成28年のカ
タログ製作に係る請求書(甲115)における,「カタログ製作代一式 35,0
00部」の記載のみである上,これが原告商品のカタログであるかも明らかでない。
そして,原告空調服のウェブサイトにおける原告商品の紹介,インターネットショ
ッピングサイトにおける販売及び原告製作の商品カタログについて,原告ら代表者
の陳述書(甲32)における記載を踏まえても,その期間,回数及び規模を,客観
的に把握することができない。
また,原告らは,折込チラシを2万400件,ダイレクトメールを3万2529
件送付したと主張し,その写しを提出する(甲37,甲73の5・16・37)が,
上記送付数を示す証拠は,原告ら代表者の陳述書(甲32)であり,客観的信頼性
に乏しい。
さらに,原告らは,平成17年~平成27年に,各年2回~59回,楽天ショッ
プ空調服からメールマガジンを頒布したと主張する。しかし,頒布年月日と頒布回
数を示す証拠(甲126)については,その作成者,作成時期,いかなる目的で作
成された表であるのかが不明であり,かつ,メールマガジンの配信先の数が明らか
にされていない。また,メールマガジンの内容に係る証拠(甲127)については,
二つの例にすぎず,その他のメールマガジンにおいて本願商標がどのように用いら
れたのかは不明である。
加えて,カタログの製作部数,頒布部数等に係る原告ら代表者の陳述書(甲19
4)は,客観的信頼性に乏しく,令和元年(平成31年)及び令和2年のメールマ
ガジンの配信状況に係る証拠(甲324)については,当該メールマガジンの内容
が不明であって,本願商標がどのように用いられたのか不明である。
以上によると,これらの客観的信頼性に乏しく,数量や規模の明らかでないウェ
ブサイト,インターネットショッピングサイト,商品カタログ,メールマガジンに
よる広告をもってしては,本願商標が,本願指定商品に係る需要者,取引者の間に
強く印象づけられたとは直ちにいい難く,本願商標に係るこれらの広告宣伝効果は,
把握できないというべきである。
b 新聞,雑誌等における紹介及び広告
原告らは,原告ら代表者の陳述書(甲41)における記載を根拠として,「空調
服」の文字が用いられた原告商品は,平成29年4月1日時点において,各種の雑
誌や新聞に合計148回掲載されたと主張し,記事の写しを提出するが,平成16
年以降平成29年4月1日までの期間との関係からみて,148回の掲載は,決し
て多い数ではない。また,全国規模の新聞である「朝日新聞」,「読売新聞」,「日
本経済新聞」,「産経新聞」,「毎日新聞」への掲載は10件にすぎず,ほとんど
が発行部数等が多くない専門誌,地方紙等に掲載された記事である。
加えて,平成14年から平成28年までに,各種の新聞,雑誌等において紹介さ
れている記事(甲42,46~48)には,発行元が不明である情報誌等の記事(甲
42の6・56,甲46の3・4),外国語の記事(甲42の16・47・52),
「空調服」の文字はあるものの原告らの名称の表示がない記事(甲42の43・5
0・67,甲48の10)及び「空調服」の文字の記載自体がない記事(甲47の
2~4・7・10,甲48の34~36)等が含まれている。
他方,平成30年以降の原告商品が紹介された記事の写し(甲71の45・59・
63・72・75・77・79,甲74の4等)のうち,全国規模の新聞に掲載さ
れたものは,「毎日新聞」(甲71の63),「産経新聞」(甲71の133・1
43),「日本経済新聞」(甲71の144)及び「読売新聞」(甲71の145・
159)の6件のみであり,「空調服」の文字が用いられた原告商品の広告が誌面
に比して小さいものも少なくなく,例えば,発行部数が,1回の発行につき10万
部を超える規模の雑誌(乙49,50)に掲載されたものは,「日経ビジネス」(甲
71の65)及び「Wedge」(甲71の62)の2件のみであって,その余は,
発行部数等が多くない専門誌等の媒体に掲載された記事である。
また,平成30年以降の全国紙,雑誌及び業界紙等の記事における広告(甲70
の2・3・5・7・9~13・15~24・29・30・32~36,甲71の1
3・44・62・72・131,甲72の1)においては,「空調服」の文字は用
いられているとしても,例えば,「空調服」の文字の記載はあるが原告らの名称の
表示がないもの(甲70の5・9・11~13・24,甲71の44,甲72の1),
「『空調服』は,株式会社セフト研究所・株式会社空調服の商標および登録商標で
す。」の記載がごく小さいもの(甲70の2・30・32~34・36)など,「空
調服」の文字が,直ちに原告らの出所識別標識として,需要者,取引者に認識され,
印象づけられるような態様で用いられているとはいい難いものも散見される。
その他,原告らは,「繊維ニュース」及び「繊研新聞」の発行部数を示す証拠(甲
253,254)を提出するが,これらは何人も書き込みが可能で掲載情報の真偽
も明らかとはいえないフリー百科事典「ウィキペディア」であり,その掲載内容を
裏付ける証拠は提出されていない。
さらに,原告らは,令和2年における広告宣伝を示す証拠(甲195~198,
200~207,210)を提出するが,これらのうち,全国規模の新聞への掲載
は2件にすぎず,ほとんどが発行部数等が多くない専門誌,地方紙等に掲載された
ものである上,「空調服」の文字が用いられた原告商品の広告が誌面に比して小さ
いものも少なくなく,広告において「空調服」の文字は用いられているとしても,
原告らの名称の表示がごく小さく,直ちに原告らの出所識別標識として,需要者,
取引者に認識され,印象づけられるような態様で用いられているとはいい難いもの
も散見される。
以上の新聞,雑誌等における紹介及び広告をもってしては,本願商標が,原告ら
の出所識別標識として,本願指定商品の需要者,取引者の間に強く印象づけられる
とはいい難く,本願商標に係る新聞,雑誌による広告宣伝効果は,限定的であると
いうべきである。
c JRの主要駅構内に設置された大型ビジョンにおける広告
令和元年7月15日~21日の間にJRの主要駅構内に設置された大型ビジョン
にて行われた原告商品の広告(甲70の26~28)は,7日間という短い期間で
ある上,「空調服」の文字が表示された画面は,原告商品を着用したモデルと拡大
したファンが全面に映し出され,その左上に「風を着る。空調服(小さく「TM」
の文字が付されている。)」の文字が,広告全体の8分の1ほどの大きさで表示さ
れているものの,原告らの名称が表示されていない上,原告らの登録商標であるD
Cマークなる標章が表示されているとしても,DCマークが原告らの出所表示とし
て広く知られているというような事情も見いだせない。したがって,当該広告に接
する者が,これを原告らの出所表示と理解し,「空調服」を付した商品を原告らが
取り扱っていると認識するとはいい難い。
そうすると,上記広告をもってしては,本願商標が,原告商品の出所識別標識と
して,本願指定商品の需要者,取引者の間に強く印象づけられるとはいい難く,上
記広告は,それほど効果的であるとはいえない。
d 展示会への出展
原告らは,原告ら代表者の陳述書(甲32)における記載を根拠として,平成1
6年~平成29年4月1日に全国で原告商品を42回展示会に出展したと主張し,
これに加え,平成29年~令和元年に展示会に出展した事実を示す資料(甲49の
56,甲70の4・8・10,甲71の11・22・43・47・57・118・
120・136,甲73の27)を提出する。
しかし,上記資料からは,原告らが原告商品を展示会へ出展したことはうかがえ
るものの,本願商標の使用状況を把握できるものは一部の展示会に係るものに限ら
れる。また,展示会自体の規模や原告らの展示ブースへの来訪者数も明らかにされ
ていない。
そして,展示会の様子を示す資料(甲207)については,展示会自体の規模や
原告らの展示ブースへの来訪者数も明らかにされておらず,広告コンサルタントの
報告書(甲321の1)については,いつ,どこで開催された展示会であるのか,
その規模や原告らの展示ブースへの来訪者数も明らかにされておらず,展示会の出
展報告書(甲322,323)については,原告らの展示会出展担当者の作成によ
るもので,その掲載内容を客観的に裏付ける証拠は提出されていない。
その余の展示会において,本願商標がどのように使用され,どのように来訪者の
目に触れたのか,具体的な展示状況は不明といわざるを得ない。
したがって,上記の展示会への出展をもってして,本願指定商品に係る需要者,
取引者における,本願商標の認識度を客観的に把握することはできない。
e ウェブCM
ウェブCM及びそのYouTubeでの再生回数について,原告空調服のプレス
リリース(甲38)及び原告ら代表者の陳述書(甲32)は,客観的信頼性に乏し
い。
また,当該CMが映画館でも展開され,全国のユナイテッド・シネマ,シネプレ
ックス30劇場(南古谷・上里・久山・あしかが・熊本の5劇場を除く。)におい
て,平成29年8月11日~26日の間に15秒のスクリーン広告として放映され
たことはうかがえるものの,上記期間中の上記30の劇場における当該CMの鑑賞
人数,放映回数は明らかにされていない。
したがって,上記CMをもって,本願指定商品に係る需要者,取引者における,
本願商標の認識度を客観的に推し量ることはできない。
f 広告宣伝費
原告らの主張する原告商品の広告宣伝費用を裏付ける証拠は,原告ら代表者の陳
述書(甲32)であり,客観的信頼性に乏しい。また,令和元年(平成31年)度
の広告宣伝費用に係る証拠(甲76の1~7,甲247)は,いずれも,本願商標
を用いた原告商品の広告宣伝費に係るものであるのか不明である。
したがって,本願商標の使用期間における,本願商標を用いた原告商品に係る広
告宣伝費の規模を客観的に把握することはできない。
g テレビ放送等での紹介
原告商品は,テレビ番組の中で紹介されており,平成29年4月1日までに,ニ
ュースや情報番組,バラエティー番組等において,全国ネットで合計35回にわた
り,地方局においても合計35回にわたり紹介され,BS,CS,ケーブルテレビ
放送等でも8回にわたり紹介された(甲39,40,134)ことがうかがえるほ
か,同日以後も現在に至るまで,全国放送を含むテレビ番組及びラジオ番組の中で
紹介された(甲70の4,甲71の11・12・34・42・141,甲75)。
しかし,原告商品が紹介されたテレビ番組等の視聴者数は不明である。この点,
「ガイヤの夜明け」(甲39の1)等の視聴率(甲248,250,251)のほ
か,視聴率も不明である。
また,それら番組の中には,「空調服」の文字が登場しないもの(甲40の10・
16・19・23・31・39・52・56・58),原告らのいずれの名称も登
場しないもの(甲40の2・6~8・11・15・16・20・25・34・38・
40・51~53・55・56・58,甲71の141,甲99),放送時間帯が
早朝であるもの(甲40の4),「空調ざぶとん」,「ベスウォーマー」,「空調
スーツ」及び「空調リュック」等,原告らの他の商品の紹介であって原告商品がメ
インで紹介されていないもの(甲40の10・24・48・49・57,甲252
の3),英語で放送されたもの(甲40の23),新聞の番組表のみであって放送
内容が不明なもの(甲75)もある。
そして,DVD(甲40,99,134)によると,「日経スペシャル ガイヤ
の夜明け」(甲134の12)と「じゃぱんセールスマン」(甲40の19)を除
き,原告商品の紹介時間は,おおむね15秒から4分程度である。さらに,「じゃ
ぱんセールスマン」は,30分ほどの放送であるものの,番組中に「空調服」の文
字は見いだせない。
その他,原告らの従業員が作成した動画視聴報告書(甲252の1・2)は,客
観的信頼性に乏しい。
そうすると,これらのテレビ放送,ラジオ放送における紹介をもって,本願商標
が,本願指定商品の需要者,取引者の間に強く印象づけられるとは考えにくく,本
願商標に係るテレビ放送,ラジオ放送による広告宣伝効果は,限定的であるという
べきである。
h 公的機関からの表彰,認定等
地球温暖化防止に顕著な功績のあった個人又は団体に対して表彰を行う地球温暖
化防止活動環境大臣表彰の「技術開発・製品化部門」について,どのような基準で
表彰がされるのか,また,公益社団法人全関東電気工事協会からの推奨品としての
認定について,どのような基準で認定対象が選定されるのか,これらに表彰や認定
がされることと,本願商標が原告商品を表す商標として周知であることがどのよう
に結びつくのかは,明らかにされていない。
また,上記環境大臣表彰の具体的な受賞理由(甲44)によると,当該受賞につ
いては,技術的側面が評価の対象となっていることが明らかであり,「本願商標が
原告商品を表す商標として周知であること」が表彰されたものとは到底いえない。
さらに,原告らが他社と共同で開発した商品「空調服 エレファン」がグッドデ
ザイン賞を受賞したことについては,「建設業従事者がより安全・安心・快適な作
業ができるよう独自の工夫がこらされている。」と評価されており(甲311),
上記受賞と本願商標が原告商品を表す商標として周知であることが,どのように結
びつくのか不明である。
そうすると,これら公的機関からの表彰,認定等をもって,本願商標が,原告商
品の出所識別標識として,本願指定商品の需要者,取引者の間に強く印象づけられ
るとは考えにくい。
(カ) 小括
上記(ア)~(オ)によると,原告らは,平成16年から本願商標を原告商品に使用し
ているといえるとしても,その使用期間,使用地域等の具体的な使用実績,本願商
標を使用した原告商品の売上高,市場シェアは,量的規模等の客観的な事実に基づ
いて証明されていない。そして,広告宣伝等について原告らが提出する証拠によっ
て,本願商標が付された原告商品が使用された状況を総合的に考慮しても,本願商
標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っ
たものということはできない。
したがって,本願商標が,商標法3条2項の要件を具備しないとした本件審決の
認定判断に誤りはない。
ウ 原告らの主張に対するその他の反論
原告らは,新聞記事やインターネット通販サイト等の記載について,順次,訂正
がされていることや,記事中の「空調服」が原告商品を指していることは明らかで
あること等を主張するが,それらの事情を需要者が理解しているといった事実は見
いだせない。また,実際に原告らが「空調服」の文字の用い方について新聞社に対
して申入れをしたのは,本件審決の数か月前にすぎない。むしろ,原告らは,平成
16年に原告商品の販売を開始して以来,15年程にわたり,
「空調服」の文字を自
ら記述的に使用し,また,ライセンシーに対し,原告らの出所表示とは認識できな
い方法で「空調服」の文字を使用することを事実上許容してきたことがうかがえる。
そして,上記15年の間に,各種新聞記事や作業服販売に係るウェブサイトにおい
て,
「空調服」の文字が,作業服のカテゴリー,すなわち品質を表すものとして,原
告ら以外の者によって用いられてきたのである。しかるに,本件審判請求後1年程
度の,原告らによる申入れ等の活動をもって,
「空調服」の文字が,作業服の品質を
表すとの認識を覆し,原告らの出所識別標識として,需要者の間に広く浸透したと
いうことはできない。
(3) 取消事由3について
ア 前記(2)イ(ア)のとおり,原告らが「空調服」の文字を本願指定商品に使
用していることは確認できるものの,提出された商品カタログの写し等について,
製作・頒布の事実,頒布時期,頒布数及び頒布先は,原告ら代表者の陳述書(甲3
2)に記載されているにとどまり,それらを示す証拠として提出されているものは
平成28年のカタログ製作に係る請求書(甲115)一点のみである上,これが原
告商品のカタログであることも不明である。それゆえ,本件審決は,平成16年以
降,本願商標が現在に至るまで原告らによって継続的に使用されてきた事実につい
て,提出された商品カタログの写し等からは量的に確認できないと判断したもので
あり,その他の要素を総合的に勘案しても,本願商標が商標法3条2項の要件を具
備すると認められるほどの使用実績があるとはいえない。本件審決は,本願商標の
使用の事実を見落としたものではなく,証拠を適正に評価した上で,十分に審理し
たものである。
イ ファン付き作業服における原告商品の市場シェアについては,「繊維ニ
ュース」に掲載された市場シェア(出荷ベース)は,集計方法等が明らかとはいえ
ず,原告らの市場シェアについては「繊維ニュース」の記載のものよりも低い可能
性も否定できず,十分に客観的信頼性が担保されたものとはいえない。
また,ファン付き作業服の3割以上の市場シェアは,ライセンシーによって出荷
された商品の市場シェアも含み,原告らによって直接出荷された商品のみの市場シ
ェアではないことに加え,ライセンシーが出荷した商品について,本願商標がどの
ように用いられたのかも明らかでない。仮に,ファン付き作業服が100億円規模
の市場であり,原告らのみで3割の市場シェア(約33億円)を有していたとして
も,本願指定商品「通気機能を備えた作業服・ワイシャツ・ブルゾン」の市場規模
は,明らかに「ファン付き作業服」の市場規模より大きい。そうすると,例えば,
市場規模が5165億円である(甲328の9頁)作業服全体においてみると,原
告らのファン付き作業服の市場シェア(約33億円)は0.6%程度となる。本願
指定商品の市場規模は明らかでないものの,ファン付き作業服の市場規模よりは大
きいものであることは明らかであるから,本願指定商品の需要者,取引者における
本願商標の認識度に及ぼす影響は決して大きいものとはいえない。
さらに,大手ゼネコンへの納入について,前記(2)イ(エ)のとおり,原告らと大手
ゼネコンなどのユーザー企業との取引は,原告ら以外の者による紹介記事によって
うかがい知ることができるにとどまり,「納品書」の控え(甲77)が大手ゼネコ
ンなどのユーザー企業との取引に係るものであるのか不明であり,原告らと大手ゼ
ネコンなどのユーザー企業が実際に原告商品を取引したことを示す書類は提出され
ていない。したがって,この点について,本件審決は,証拠を適正に評価した上で,
十分に審理したものである。
ウ なお,本件審決は,令和元年8月14日付けの審尋(甲135)におい
て,原告らに対し,客観的な証拠の提出を求めた上でされたものであるところ,そ
のように客観的な証拠の提出を求めた上で,提出された証拠を基に,本願商標の商
標法3条2項該当性を判断した本件審決には,手続上の瑕疵及び認定判断について
の誤りはなく,審決の違法性の有無を判断するという審決取消訴訟の性質からして,
本件訴訟において,本件審決時に提出していなかった証拠(本件審決時以降の使用
に係る証拠を含む。)を提出し,それらの証拠を合わせた上で,本件審決における認
定判断は違法であるとする原告らの主張は,失当である。
第3 当裁判所の判断
1 認定事実
(1) 「空調」等の語の意義
ア 「広辞苑 第六版」株式会社岩波書店(平成20年1月11日発行)に
よると,「空調」は,「空気調節の略。エア・コンディショニング。」を意味する
語であり,「空気調節」は,「エア・コンディショニングの訳語。空調。」を意味
する語である(甲190)から,「空調」は,「エア・コンディショニング」の同
義語である。そして,上記「広辞苑 第六版」によると,「エア・コンディショニ
ング」は,「室内の空気の温度・湿度・清浄度などの調節。空気調節。空気調和。
空調。エアコン。」を意味する語である(甲191)。
イ 上記「広辞苑 第六版」によると,「服」は,「①身につけるもの。き
もの。」,「②(和服を着物というのに対して)洋服の略」などを意味する語であ
る(乙4)。
(2) 平成16年頃から平成27年頃までの原告商品である「空調服」の開発及
び販売等の状況
ア 原告各社について
原告空調服は,原告セフト研究所の子会社であり,平成16年2月2日に商号を
株式会社ピーシーツービーとして設立され,平成17年1月7日に現商号に変更し
た。原告セフト研究所が主として原告商品である「空調服」の企画及び開発をし,
原告空調服が原告商品の販売を行っている。(甲3,32,189)
イ 原告商品の開発及び販売並びに新聞,雑誌等の記事等
(ア) 原告ら代表者は,エアコンによる電力消費の増大への危惧等から,省
電力で涼しくする仕組みについて検討を開始し,空間全体を冷やさなくても人だけ
を冷やせばよいのではないかという発想に至り,生理機能により生じる汗を風によ
って気化させ気化熱を奪うことで人体を冷却すればよいという発想にたどり着いた
(なお,原告ら代表者は,このような考え方を「生理クーラー理論」と呼んでいる。。

原告ら代表者が設立し,かねてディスプレー関連装置の製造販売等を行っていた原
告セフト研究所は,それらの発想の商品化のため,平成11年頃から開発を開始し,
服の内部に適切な空気の流れを生じさせるためにファンを取り付けるなどした上衣
を「空調服」と名付け,平成16年には,ユニフォームメーカーである株式会社サ
ンエス(以下「サンエス」という。)とも協力の上,作業服としての「空調服」(ワ
イシャツ型,ジャンパー型,ヘルメット作業対応型[フード付き]など。いずれも
1着当たり税込み9900円)の販売を開始するに至った。原告空調服が原告商品
「空調服」の販売を開始した当時,衣服にファンを取り付けた製品(電動ファン(E
F)付きウェア。以下では「EFウェア」という。)は,他に類を見ないものであ
った。上記の「空調服」は,その販売の開始前も含め,例えば,「冷房いらずの“空
調服”」(甲100),「発汗利用し“冷房服”」(甲102)といった見出しを
付して,原告各社の名称,「空調服」との名称やその概要,基本的な原理のほか,
ときに「空調服」の写真(甲42の1,甲101~103,甲128の1,甲12
9の1・2,甲130の1,甲133の1・2)や原告ら代表者の紹介等とともに,
新聞等(フジサンケイビジネスアイ,中国新聞,建設通信新聞,夕刊フジ,電気新
聞,日本農業新聞,ITmediaニュース,朝日新聞等)や雑誌(AERA,日
経エコロジー等)で取り上げられた。(甲3,16,20,25,27,29,3
2,甲33の1,甲42の1・2・5,甲49の33,甲65,66,甲71の3
4・44・59・75・121・143・146,甲73の28,甲98,100
~104,甲128の1~3,甲129の1・2,甲130の1,甲131の2・
4・6・9・12,甲133の1・2・7,甲189,甲193の5,甲207,
甲210の9,甲282)
(イ) 原告空調服は,楽天市場を通じてのインターネット販売を含め,平成
16年のうちに上記(ア)の「空調服」を少なくとも6500着程度販売した。そのよ
うな「空調服」の売れ行きを踏まえ,原告空調服は,上記アのとおり平成17年1
月7日に現商号への商号変更をした上で,同年春頃以降,自社のウェブサイトにお
ける販売を含め,原告商品「空調服」の本格的な販売を開始し,メールマガジンの
配信も行うようになった。(甲32,甲33の1,甲34の1,甲42の7・9,
甲126,甲127の1,甲131の3,甲132の3・8,甲133の3,甲1
67,189,甲193の5)
その後,原告各社は,実際の現場での使用に基づいた意見を踏まえて原告商品の
改良を重ねるとともに,使用される現場における需要等に即した形で,新たな形態
の「空調服」を開発し,販売していった。平成19年までに,作業着タイプ,ブル
ゾンタイプ,ワイシャツタイプのほか,食品工場向けの「空調服」
(甲129の5),
USBポート給電対応型の「空調服」(甲133の4),「防蜂用空調服」(甲4
2の15・17・22・23・25,甲129の9,甲131の8),「農作業用
空調服」(甲129の6・11)など,様々な「空調服」が発売された。このよう
な様々な「空調服」は,例えば,「作業服と『冷房』合体」(甲128の5),「涼
しさか,人目かどちら?」(甲128の8)といった見出しを付して,原告各社の
名称,「空調服」との名称やその概要,基本的な原理,作業着タイプ,ブルゾンタ
イプ,ワイシャツタイプ等のラインアップのほか,「空調服」の写真(甲42の7・
10・11・13・14・19・24,甲120,121,甲128の4・6・7・
10,甲129の3~8・12,甲130の2~5,甲131の2・3~9,甲1
32の1~3・5,甲133の3・4,甲167)や原告ら代表者の紹介等ととも
に,新聞等(ITmediaニュース,日刊工業新聞,日本石材工業新聞,日刊ゲ
ンダイ,The Japan Food Journal,全国農業新聞,農機新
聞,朝日新聞,鹿児島建設新聞,日本経済新聞,大分合同新聞,空調タイムス,読
売新聞,産経新聞,農村ニュース,建設通信新聞,日本農業新聞,岐阜新聞,埼玉
新聞,繊維ニュース)や雑誌等(R25,Earth Guardian,THE B
USINESS SUPPORT,TRUCK NAVIGATION,デジモノ
ステーション,Mullion Life,Car Goods Magazin
e,THE 21,仏事,環境ビジネス,Sabra,サクセスVショット,埼玉
県版帝国ニュース,VENTURE Link,TPMエイジ,ショッパー,発明
ライフ,日経コンストラクション,介護ビジョン,林業新知識,日経MJ,農業経
営者,ビジネスチャンス,展コミ,元気な企業ガイド等)において度々取り上げら
れた。平成17年からいわゆるクールビズが開始されたことから,原告商品は,暑
さ対策のアイデア商品などとして取り上げられた。(甲34の1・2,甲42の5・
7~11・13~15・17~20・22~26・29,甲105[1枚目~6枚
目],甲120,121,甲128の4~10,甲129の3~9・11・12,
甲130の2~5,甲131の1~9,甲132の1~3・5・6,甲133の3・
4,甲167,甲193の5)
なお,空調に関する業界誌である「空調タイムス」では,平成18年7月26日,
「東京電力主催のエネルギーソリューション&蓄熱フェア‘06特集」という記事
の中で,「空調服」が取り上げられ,「服の中を空調するアイデア製品」,「室内
環境を空調するエアコン等とは異なるアイデア性は各方面から注目度も高く,販売
量も右肩上がりに増加し今年度も二万五千着規模の販売を見込む。」などと紹介さ
れた(甲129の12)。
また,原告各社は,「空調服」と同様に空気の流れを利用した冷却機能を備えた
「空調ズボン」,「空調ベッド」及び「空調ざぶとん」を開発して販売を開始し,
それらについても新聞や雑誌等で取り上げられた(甲17,甲42の13・18・
20・24,甲132の6,甲193の5)。
(ウ) 平成20年以降も,原告各社は,「屋外作業用空調服」(甲129の
14~19)といった新商品の開発を含め,原告商品の改良や販売拡大のための活
動を継続し,バッテリの改良によるファンの駆動時間の長期化等による利便性の向
上や,猛暑,クールビズの浸透,地球温暖化問題への関心や平成23年に発生した
東日本大震災後の節電対策への関心の高まり等により,原告商品の販売を拡大して
いった。原告各社が製造・販売する「空調服」は,平成27年までの間に,①「ト
ヨタ自動車やデンソーなど大手企業から高い評価を獲得。工場や工事現場などでの
活用が進んでいる。」(平成20年6月2日の新聞「物流Weekly」。甲12
9の13),②「効果はテレビ番組などで紹介されたこともあって,各方面からの
注目を集めた。特に大手自動車メーカーや自動車部品メーカーなどから高い評価を
得て,工場や作業現場などでの活用が進んでいる。」(平成20年6月25日の雑
誌「ニュートラック」。甲131の12),③「『涼しくて一度着たら手放せない』
というファンが増加中」(平成20年11月号の「ユニフォームプラス」。甲13
1の10),④「毎年,猛暑の到来と共にテレビニュースなどでも取り上げられる
など,真夏の定番商品としてお馴染みとなっている。」(平成22年7月13日の
「農機新聞」。甲42の40),⑤「売り切れが出るほどの人気になっている『空
調服』」(平成23年7月8日の「ねとらぼ」のウェブサイト。甲133の9),
⑥「大手自動車企業や鉄鋼会社から食品,工事会社まで,作業員に空調服を導入し
ている企業は実に1000社近くに上るが,最近ではオフィスで働く会社員や主婦
などからも注文が舞い込んでくるという。」(平成23年7月20日の「AFPB
B News」のウェブサイト。甲133の10),⑦「実用性と利便性の評判は
口コミでも広がり,2008年あたりからオーダも定着してきている。猛暑の昨年
につづき今年もすでに主力製品は完売状態である。 (平成23年9月号の雑誌
」 「ツ
ールエンジニア」。甲131の13),⑧「『空調服』という会社をご存じだろう
か。その会社が開発したユニークな作業服がいま大ヒットしているのだ。」(平成
26年7月8日の「プレジデントオンライン」のウェブサイト。甲71の33)な
どといった説明を付して,原告各社の名称,「空調服」との名称やその概要,基本
的な原理のほか,「空調服」の写真(甲42の27・28・31・32・35~3
7・40・42~46・48~51・54・55・58・65,甲46の2・9,
甲71の33,甲109,111,119,甲128の11・12,甲129の1
3~19・21,甲130の6~8,甲131の10~13,甲132の7~10,
甲133の6・7・9~13)や時には原告ら代表者の紹介等とともに,新聞等(物
流Weekly,農機新聞,釣具界,建設工業新聞,農業共済新聞,日本農業新聞,
埼玉新聞,花卉園芸新聞,訪販ニュース,フジサンケイビジネスアイ,朝日新聞,
北國新聞,毎日新聞,読売KODOMO新聞,AFPBB News,日本経済新
聞,電気新聞,日刊ゲンダイ,化学工業日報)や雑誌等(鋼構造ジャーナル,Bi
g Life,ニュートラック,あんしんLife,農耕と園藝,農業経営者,洗
濯の科学,ユニフォームプラス,アクセス埼玉,ハーモネート,長崎の果樹,戦略
経営者,ダイム,モノ・マガジン,アスキー,日経トレンディネット,経理ウーマ
ン,地上,石垣,ツールエンジニア,GOSMANIA,GetNavi,ビル経
営,散歩の達人,メカトロニクス,自動車リサイクル,NTTファシリティーズジ
ャーナル,森林組合,ケンプラッツ,プレジデントオンライン,サンケイビズ)で
取り上げられた。(甲30,甲42の27~37・39~46・48~51・53
~55・58・65,甲46の2・7~9,甲71の33,甲109,111,1
19,甲128の11~13,甲129の13~22,甲130の6~8,甲13
1の10~13,甲132の7~10,甲133の5~13,甲189,甲192
の17)
ウ カタログについて
(ア) 原告空調服は,平成17年から平成27年までの間,毎年,原告商品
の写真や「空調服」との名称等を掲載したカタログを作成し,頒布していた(甲1
05[1枚目~6枚目・13枚目~32枚目],甲194)。
(イ) カタログの作成数は,平成17年版が2000部(甲330の1),
平成18年版が4300部(甲331の1~3),平成19年版が8000部(甲
330の2・3) 平成20年版から平成23年版が各9000部
, (甲330の4,
甲331の4~6),平成24年版が1万部(甲331の7),平成25年版及び
平成26年版が各1万2000部(甲331の8・9),平成27年版が3万50
00部(甲331の10・11)であった(甲194)。
(ウ) 原告空調服は,平成17年から平成27年まで,それらのカタログを
全国的に配布していた(甲194,甲332の1~7)。
エ 展示会への出展について
(ア) 原告空調服は,平成18年10月頃に東京国際フォーラムで開催され
た「アグリビジネス創出フェア」に出展し,「防蜂用空調服」を展示した(甲42
の15)。
(イ) 原告空調服は,平成19年5月18日から同月20日まで,ポートメ
ッセなごや(名古屋市国際展示場)で開催された,国際福祉健康産業展「ウェルフ
ェア2007」に出展し,「空調服」や「空調ベッド」等を展示した(甲32,甲
42の20,甲120)。同展の来場者数は,約8万人であった(甲354の2)。
(ウ) 原告空調服は,平成19年7月11日から同月13日まで,東京ビッ
グサイトで開催された「省エネ&リサイクルフェア2007」に出展した(甲12
0)。
(エ) 原告空調服は,平成19年10月18日及び同月19日に,福井県産
業会館で開催された「北陸技術交流テクノフェア2007」に出展した(甲32,
120)。同展の来場者数は,約2万人であった(甲354の3)。
(オ) 原告空調服は,平成19年10月31日から同年11月2日まで,東
京ビッグサイトで開催された,中小企業基盤整備機構が主催する「中小企業総合展
2007」(日本全国から約500社が出展)に出展し,「空調服」を展示するな
どした(甲32,121)。同展の来場者数は,約3万6000人であった(甲3
54の4)。
(カ) 原告空調服は,平成19年11月27日及び同月28日に,東京国際
フォーラムで開催された「アグリビジネス創出フェア」に出展した(甲120)。
(キ) 原告空調服は,平成19年11月28日から同月30日まで,東京ビ
ッグサイトで開催された「パテントソリューションフェア」に出展した(甲32,
120)。
(ク) 原告空調服は,その後も,平成28年までの間に,毎年,上記のよう
な各種の展示会に出展した(甲32,116,弁論の全趣旨)。
オ 原告商品のテレビ番組における紹介について
(ア) 「空調服」は,その発売前の平成14年頃から,テレビのニュースや
TBSテレビの「サンデージャポン」で取り上げられたりし(甲40の13,甲9
9),平成16年末頃までに,各地のニュースやテレビ朝日の「スーパーJチャン
ネル」,日本テレビの「億万のココロ」等で,原告各社の社名や「空調服」という
商品名を示して紹介された(甲40の5・33・37・38・41~46,甲13
4の1~4)。
(イ) 平成17年以降も,「空調服」は,春から夏頃の時期を中心に,TB
Sテレビの「朝ズバッ!」等を含む全国放送又は地方放送のニュースや情報番組で,
原告各社の社名や「空調服」という商品名を示して紹介された。原告ら代表者が,
フジテレビの「笑っていいとも!」に出演し,原告空調服の名称を示して「空調服」
の紹介をしたこともあった。また,平成26年には,テレビ東京の「日経スペシャ
ル ガイアの夜明け」 「空調服」
で が取り上げられ,原告空調服の社名はもとより,
「空調服」が3年前から兵庫県姫路市の大和軌道製造という会社で導入されている
ことや,4年前にリチウムバッテリーに変更してから一気に大ヒット商品となり,
今年は既に25万着を売り上げており,既に売り切れ状態であることなどを含め,
「空調服」が詳しく紹介された。(甲40の3・4・9・10・12・14・17・
18・21・22・26~30・32・35・47~50・54・57,甲134
の5~10・12)
(ウ) 上記の各テレビ番組における紹介は,平成14年頃から平成27年ま
での間において多数回にわたるものであり,その中では,作業服のみならず,番組
によっては,ワイシャツやブルゾンについても取り上げられていた(上記(ア),(イ)
の括弧内掲記の各証拠)。
カ 原告商品の企業における導入例について
(ア) 電気設備工事を業とする株式会社関電工(以下「関電工」という。)
は,平成23年,配電部門に「空調服」を導入した(甲50の5,甲111)。
(イ) 電気設備工事を業とする株式会社トーエネック(以下「トーエネック」
という。)は,平成27年,酷暑期の環境改善策として,「空調服」を採用した(甲
48の33~35)。
(ウ) 建築業界で「空調服」が普及し始め,平成27年7月には,大林組が,
現場作業着に「空調服」を採用した。同月15日までの時点で,協力会社からは4
00着超の要望を受け,社内向けには1810着を発注し,その後の3年間で導入
実績は6000着となった。(甲42の61~63,甲46の5・7・9,甲50
の5,甲71の127・128・133,甲86,110,甲131の15)
(エ) 戸田建設株式会社は,平成27年度から,協力会社の作業員に対し,
「空調服」の購入に係る補助制度を開始し,約3600名の作業員に「空調服」を
支給した(甲8)。
(オ) 大林組による導入は,平成27年7月28日の「日本経済新聞」や,
その他のメディア(フジサンケイビジネス,サンケイビズ等)で報道されたほか,
上記(ア)~(エ)の事実は,業界誌への掲載等によって広く知らされた(上記(ア)~(エ)
の括弧内掲記の各証拠)。
(3) 平成28年頃以降におけるEFウェアの市場の拡大と原告商品の販売等の
状況
ア 他社の参入等について
前記(2)イのとおり,EFウェアという商品分野は,従来,原告商品「空調服」の
販売により開拓され拡大されてきたものであり,平成27年頃までは,EFウェア
の市場は,原告空調服と,原告セフト研究所から「空調服」の製造及び販売に関し
て許諾を受けたサンエスによって独占されていたが,その需要が急速に拡大したこ
とにより,平成27年頃には他社がEFウェア市場に参入するようになり,平成2
8年に原告各社がサンエスとの提携関係を解消したことにより,サンエスが「空調
風神服」の販売を開始し,さらに,アパレル各社がEFウェアを売り出すなどした。
そして,平成29年以降,市場が更に拡大し,様々なメーカーがEFウェアの開発,
販売を行い,多彩な形態のEFウェアが次々と販売されていく状況となった。この
ような中で,原告各社も,ベスト型の「空調服」や「制電空調服」(静電気を嫌う
環境での着用に適した「空調服」),ゴルフウェアの「空調服」などを開発し,発
売するとともに,「空調リュック」など,EFウェア以外でも「空調」シリーズの
商品を販売していった。(甲32,甲42の71,甲47の1・7,甲48の9・
10・20・30・36・37・39,甲49の2・4,甲50の1~4,甲51
の1,甲53,甲71の30・116・124・132・133・138・145・
157・158・161,甲72の3,甲73の26・27,甲74の3・4・1
2・18・22・27・53・59・74・85・93~99・108・109・
111~114・120・121・131~133・139・140・143・1
53・156・160・164・168・175~177・180・183・18
7,甲189,甲192の2・14・17・83・102,甲281)
イ 原告商品の新聞,雑誌等の記事等について
(ア) 原告各社が製造・販売する「空調服」については,平成28年以降も,
①「各地の農機展示会でもすっかりおなじみの製品」,「毎年猛暑の到来とともに
テレビニュースなどでも取り上げられるなど,真夏の定番商品となった感がある。」
(平成30年1月1日の「農機新聞」。甲43),②「全国の建設現場で空調服(東
京都板橋区)の“空調服”が活躍している。」,「『一度着たら手放せない製品』
として評価を高めている。」(平成30年8月20日の「建設通信新聞」のウェブ
サイト。甲71の31・60),③「『これが支給されるかどうかで,求人募集へ
の反応が左右される』(作業服販売店)というほど,ファン付きウェアは夏の現場
では必須の存在となった。」,「生みの親とされるのは,その名も『株式会社空調
服』(東京都板橋区)だ。」(令和元年8月21日の「読売新聞」。甲71の14
5,甲192の17),④「『空調服』(東京)が開発した,腰に小型ファンを付
けた作業着の今夏の販売は前年同期の1.5倍を超える。」(平成30年8月22
日の「毎日新聞」及び同月23日の多数の地方紙等の新聞。甲71の63・85~
107), ⑤「ファンウェアが,主要マーケットである建設業界だけでなく一般市
場でも注目され始めている。スポーツメーカーを筆頭に多くの企業がファン付きウ
エア開発に乗り出す中,その先陣を切っているのが『空調服(TM)』だ。」,「現
在はスーパーゼネコンを筆頭にゼネコン各社,電気設備工事各社,エレベーター各
社など数多くの企業の作業着として採用されている。」,「作業着分野で不動の地
位を確立した『空調服(TM)』が目指すのは,新たな市場の開拓だ。」(令和元
年6月21日の「WWD JAPAN」のウェブサイト。甲71の125,甲21
0の9),⑥「熱中症対策の欠かせない工事現場や工場で,いまや必需品となって
いるのがファン付きの作業着だ。元祖の『空調服』は今年,130万着の販売を見
込む。開発したのはその名も『空調服』という東京都板橋区の会社の会長」(令和
元年8月18日の「日本経済新聞」 甲71の144)
。 などといった説明を付して,
原告各社の名称,「空調服」との名称やその概要,基本的な原理のほか,「空調服」
の写真(甲42の66,甲48の39,甲49の3・16・25・30・33・4
8・57,甲71の113・118~120・123・146・149・157・
159~161,甲108,甲129の24,甲130の9,甲131の14・1
5)や時には原告ら代表者の紹介等とともに,新聞等(日本経済新聞,電気新聞,
繊維ニュース,農機新聞,アグリジャーナル,日本屋根経済新聞,日本物流新聞,
建設通信新聞,毎日新聞,物流ニッポン,日刊帝国ニュース,日刊ゲンダイ,サン
スポ,読売新聞,フジサンケイビジネスアイ,多くの地方紙)や雑誌等(ユニフォ
ームプラス,理念と経営,ビル経営,ビルメン,ワークウエアMONOスペシャル,
戦略経営者,電気と工事,電気現場,電気管理技術,地球温暖化,オートバイ,W
WD JAPAN,Under400)で取り上げられた(甲42の66,甲43,
甲47の1,甲48の39,甲49の3・6・16・20・25・30・33・4
8・52・57,甲71の31・60・63・72~80・83・85~107・
112・113・117~121・123・125・142・144~146・1
49・157・159~161,甲108,甲129の23・24,甲130の9,
甲131の14・15,甲210の9)。
(イ) 平成30年8月20日の「Wedge」(甲65,甲71の62)や
同月27日の「日経ビジネス」(甲71の65)では,「空調服」を着た原告ら代
表者の写真を掲載し,「空調服」を説明する記事が掲載された。
また,令和元年8月17日の「現代ビジネス」の「一度着たら手放せない!猛暑
の救世主『空調服』ヒットの背景」では,「例年通り今年も,猛暑の折『空調服』
が多くのメディアで取り上げられている。最近では“ファン付きウェア”とも呼称
されつつあるが,ポータブルオーディオプレーヤーがその元祖である『ウォークマ
ン』と世界中で呼ばれ続けたように,ファン付きウェアも巷では空調服と呼ばれる
ことのほうが多いように思う。」と記載した上で,「空調服」がヒットしたことに
ついて記載がされている(甲192の102)。
(ウ) EFウェアと「空調服」や原告空調服との関係について,上記(ア)の③,
④及び⑥のほかに,次のような記事がある。
a 令和元年6月4日(同月24日の訂正後のもの)の「繊研新聞」の
「EFウェアは原告空調服が平成16年に発売したのが最初とされている」旨の記
事(甲74の98・142)
b 令和元年7月17日の「読売新聞」及び同月28日の「読売新聞オ
ンライン」のファン付きウェアについての「作業服メーカーの空調服が2004年
にこうしたウェアを発売し,建設現場など屋外で働く作業員の熱中症対策として主
に利用されてきた。」との記事(甲74の153・164,甲192の100・1
01)
c 令和元年7月22日の「産経WEST」 同月23日の
, 「産経新聞」,
同月24日の「サンケイビズ」及び同年8月8日の「産経新聞」の「ファン付き作
業服を平成16年に『空調服』の商標で売り出したのが,同じ社名の原告空調服で
ある」旨の記事(甲71の133・143,甲285,287)
d 令和元年8月17日の「日経新聞電子版」の「ファン付き作業着の
元祖である『空調服』の開発者が,原告空調服の会長である原告ら代表者である」
旨の記事(甲289)
e 令和元年8月23日の「au Webポータル経済 ITニュース」

の「『空調服』の製品を開発したのは,原告ら代表者である」旨の記事(甲290)
及び同日の「Yahooニュース」の「原告ら代表者が『空調服』の生みの親であ
る」旨の記事(甲282)
f 令和元年8月29日の「日刊ゲンダイ DIGITAL」の「『空
調服』が原告空調服の特許商品である」旨の記事(甲291)
g 令和元年8月30日の「LIMO」の「『空調服』の開発者が原告
ら代表者である」旨の記事(甲283,292)
h 令和元年9月8日の「読売新聞」の「EFウェアの生みの親とされ
るのは原告空調服である」旨の記事(甲74の187,甲192の19)
i 令和元年9月30日の「日経XTECH」及び同年10月3日の「日
経コンピュータ」の「ファン付き作業服の『空調服』はベンチャーである『空調服』
が15年ほど前に開発した」旨の記事(甲264,294)
ウ カタログについて
(ア) 原告空調服は,原告商品の写真や「空調服」との名称等を掲載したカ
タログを,平成28年~令和2年の各年に作成し,頒布した(甲10,13,68,
甲105[33枚目~35枚目],甲193の2・3)。
(イ) カタログの作成数は,平成28年版が4万5000部(甲115,3
20,甲331の12・13),平成29年版が4万7000部(甲331の14・
15),平成30年版が7万5000部(甲331の16・17),令和元年版及
び令和2年版が各●●●(甲331の18~20)であった(甲194)。
(ウ) 原告空調服は,平成28年から令和2年4月まで,それらのカタログ
を全国的に配布した(甲194,甲332の7)。
エ 原告商品の広告等について
(ア) 原告空調服の広告宣伝費は,平成29年から令和元年(平成31年)
にかけて大幅に増えており,平成30年及び令和元年(平成31年)はそれぞれ前
年の約倍額の宣伝広告費が支出された(甲247の1~3)。また,これらの期間
において,原告セフト研究所の宣伝広告費も大幅に増えた(甲247の4~6)。
(イ) 平成28年
a 平成28年7月21日の「読売新聞」には,ブルゾン型の「空調服」
をプレゼントする企画に関し,原告らの「空調服」の写真が掲載された(甲42の
67)。
b 原告空調服は,芸能人であるBを起用した2分間のウェブムービー
を制作して,これを平成28年8月1日から同年10月31日まで,YouTub
eで公開し,このことは,同年10月号の雑誌「ブレーン」や同年11月-12月
号の雑誌「CM NOW」で紹介された(甲42の68・69,甲122)。同年
9月5日時点で,上記ウェブムービーの再生回数は50万回を超えていた(甲38)。
上記ウェブムービーを15秒に再編集したものが,全国のユナイテッド シネマ,

シネプレックス30劇場(南古谷・上里・久山・あしかが,熊本の5劇場を除く。)
において,平成29年8月11日から同月26日の間に,スクリーン広告として上
映された(甲32,甲76の8,甲122)。
c 原告空調服は,平成28年11月29日の「繊維ニュース」に,「空
調服を発明して,14年」という記載並びに「空調服」の写真及び原告空調服の名
称等の記載のある広告を掲載した(甲42の70)。
(ウ) 平成29年及び平成30年
原告空調服は,平成29年及び平成30年に,「空調服を発明して,15年」な
ど(年数は時期により異なる。)という記載並びに「空調服」の写真及び原告空調
服の名称等の記載のある広告(甲6,甲42の71,甲48の1・5~8・11・
14~16・18・19・24~28,甲49の2)や,「選ぶなら,空調服で熱
中症対策。」という記載並びに「空調服」の写真及び原告空調服の名称等の記載の
ある広告(甲49の7~9・12・13・15・20・26~29・31・32・
34・36・37・41・46・47・49・51・55・56,甲70の15・
17・18,甲71の72)を,業界紙等(電気新聞,繊維ニュース,日刊建設産
業新聞,日本物流新聞,日刊工業新聞,鉄鋼新聞,機械新聞,農機新聞,建設の安
全,安全と健康,積算資料公表価格版)に掲載した。
また,原告空調服は,「空調服」の写真及び名称並びに原告空調服の社名(単に
「空調服」とするものを含む。)の記載のある広告(甲48の10,甲49の38,
甲70の16)や,「空調服」の写真及び名称等を記載した広告(甲49の10・
23・35・40・45)を,同様の業界紙等(繊維ニュース,農機新聞,朝雲)
に掲載した。
(エ) 令和元年(平成31年)
a 原告空調服は,令和元年(平成31年)度の「空調服」のイメージ
キャラクターとして,サッカー元日本代表のC(以下「C」という。)を起用し,
Cが青空を背景に青い空調服を着て立っている画像(以下「本件画像」という。)
を広告に用いることとし,その旨の記事が,同年7月4日までに,「読売新聞オン
ライン」,「日刊スポーツ」,「農機新聞」,「建設通信新聞」,「繊研新聞」で
本件画像と共に掲載された(甲70の31,甲71の9・14・45・46,甲7
4の122~124,甲210の3,甲321の1)。
そして,原告空調服は,本件画像に「この空と空調服。」などという記載及びD
Cマークの右側に「空調服」の語を配置した表示(以下,この表示を「DC空調服
の表示」という。)を付した広告を,雑誌「モノ・マガジン」の令和元年5月2日
号の裏表紙の一面広告(甲71の44) 同年7月2日号の一面広告
, (甲70の2),
同年9月2日号の見開き広告(甲70の36)として掲載した。また,原告空調服
は,同様の広告を,同年7月27日,同月28日及び同月31日の「読売新聞」に
掲載した(甲70の30・32・33)。さらに,原告空調服は,同様の広告を,
同年のうちに,業界紙等(繊維ニュース,繊研新聞,ユニフォームプラス,広報と
らっく)にも掲載した(甲70の5・12・24・34,甲72の1,甲195,
196)。
他方で,原告空調服は,本件画像に「風を着る。空調服 TM」などという記載やD
Cマークを付した広告を,同年7月15日から21日までの7日間にわたり,多く
の者が利用する首都圏の主要なターミナル駅20駅(池袋駅,新宿駅,渋谷駅,東
京駅,秋葉原駅,品川駅,恵比寿駅,上野駅,赤羽駅,巣鴨駅,吉祥寺駅,八王子
駅,三鷹駅,国分寺駅,横浜駅,桜木町駅,浦和駅,大宮駅,船橋駅,高田馬場駅),
関西エリアの主要なターミナル駅5駅(大阪駅,京都駅,三ノ宮駅,天王寺駅,新
大阪駅)及び名古屋駅の各構内の柱等に設置された画面(首都圏合計232面,関
西エリア合計204面,名古屋駅50面)において,15秒広告として,首都圏で
は6分間に1回の頻度で午前5時から深夜零時まで,関西エリアでは6分間に1回
の頻度で午前6時から深夜零時まで,名古屋駅では合計2720回以上放映した。
なお,この広告について,原告空調服は,同月16日にプレスリリースを配信した。
(甲70の26~28・31,甲199の1・2,甲210の6~8,甲321の
1)
b 原告空調服は,「この空と空調服」と題する2分13秒のウェブ動
画を制作し,令和元年6月6日にこれを公開し,これとともに,複数の動画クリエ
イターにより関連動画がアップされた(甲70の1・37,甲71の4~6・8・
10・54)。
c 原告空調服は,令和元年7月11日の「日本経済新聞」に,東芝エ
レベータ株式会社(以下「東芝エレベータ」という。)が「空調服」を導入してい
る旨を記載するとともに,「空調服」の写真やその原理,原告空調服の名称等を記
載した一面広告を掲載した(甲71の131,甲198)ほか,同年8月28日の
「読売新聞」に,「空調服」である「FAN FIT」シリーズの広告(写真,「空
調服」という名称及び社名の記載があるもの)を掲載した(甲197)。
また,原告空調服は,「空調服TMを発明した企業として」などという記載や「空
調服」の写真,DC空調服の表示及び原告空調服の名称の記載のある広告(甲70
の3・7・9・10・13・19・20~23・29・35,甲71の13)を,
業界紙等(繊研新聞,電気新聞,建設の安全,安全と健康,農機新聞,中央労働災
害防止協会の「図書・用品カタログ2019」)に掲載した。
オ 展示会への出展等について
(ア) 平成29年及び平成30年
a 原告空調服は,平成29年7月19日から同月21日まで,東京ビ
ッグサイトで開催された「第3回猛暑対策展」に出展し,「空調服」の試着等の提
供をした(甲48の12・29)。
b 原告空調服は,平成29年7月26日から同月28日まで,東京ビ
ッグサイトで開催された「総務・人事・経理ワールド2017」のうち「第8回省
エネ・節電EXPO」に出展し,「空調服」を展示するなどした(甲48の13・
17)。
c 原告空調服は,平成29年11月8日から同月10日まで,神戸国
際展示場で開催された「緑十字展2017」に,販売代理店であるNSPと共同で
出展し,「空調服」を展示するなどした(甲48の42・45,甲50の2,甲7
1の57)。
d 原告空調服は,平成30年5月22日から同月25日まで,東京ビ
ッグサイトで開催された「地球温暖化防止展」に出展し,「空調服」を展示するな
どした(甲49の14)。同展の来場者数は,約15万8000人であった(甲3
54の14)。
e 原告空調服は,平成30年6月13日に開催された「熱中症ゼロへ」
プロジェクトのイベントの観測員用に,「空調服」を提供した(甲49の22)。
f 原告空調服は,平成30年6月19日から同月27日,渋谷ロフト
の間坂ステージにおいて,「空調服」を含む原告空調服の商品を取り揃えたポップ
アップショップを開き,「空調服」の試着の提供,販売等をし,約900人が来場
した(甲49の21・23・39,甲71の22・55・69,甲74の83,甲
210の1)。
g 原告各社は,平成30年7月18日から同月20日まで,東京ビッ
グサイトで開催された「猛暑対策展」に出展し,「空調服」を展示するなどし(甲
49の43・56),そのことは,「繊維ニュース」(甲71の47)のほか,同
月21日放送のTBSテレビの「サタデープラス」で,「空調服」の名称及び画像
並びに原告空調服の社名を明示して取り上げられ(甲69),また,同年8月2日
の雑誌「週刊新潮」の熱中症に関する記事で,「空調服」の名称及び原告空調服の
名称と共に平成16年から販売を開始した旨等が記載されて取り上げられた(甲4
9の54)。
h 原告ら代表者は,平成30年9月頃,「空調服」の発明に係る書籍
「社会を変えるアイデアの見つけ方」を出版し(甲52),「空調服」の発明者の
著作である旨の説明や書評等が,「繊維ニュース」(甲71の66),「BOOK
ウオッチ」(甲71の81),「ライブドアニュース」(甲71の82),雑誌「宣
伝会議」(甲71の110)に掲載された。
i 原告空調服は,平成30年10月中旬,横浜市内で開催された「緑
十字展2018」に出展し,「空調服」を展示するなどした(甲73の27,甲7
4の24)。
(イ) 令和元年(平成31年)
a 原告空調服は,平成31年3月12日から同月15日まで,東京ビ
ッグサイトで開催された「2019NEW環境展」に出展し,「空調服」を展示す
るなどした(甲71の118)。
b 原告空調服は,平成31年4月6日及び同月7日,代々木公園のイ
ベント広場で開催された「OUTDOOR DAY JAPAN2019」に出展
した(甲70の4,甲71の120)。
c 原告空調服は,令和元年5月29日から同月31日まで東京ビッグ
サイトで,同年6月6日及び同月7日にインテックス大阪で,それぞれ開催された
「運輸・交通システムEXPO2019」に出展し,「空調服」を展示するなどし
た(甲70の8・11,甲71の43・130,甲74の101)。
d 原告空調服は,令和元年7月24日から同月26日まで,東京ビッ
グサイトで開催された「第5回猛暑対策展2019」に出展した(甲71の10・
136・146・148,甲74の162,甲192の7,甲207,208,2
59,甲262の1,甲284)。
e 原告空調服は,令和元年10月25日から同月28日まで,京都パ
ルスプラザで開催された「緑十字展2019」に出展した(甲192の35,甲2
56の2・3,甲257の2,甲258の2・4)。
f 原告空調服は,令和元年11月27日から同月29日まで,千葉の
幕張メッセで開催された「鉄道技術展2019」に出展した(甲192の50,甲
262の2)。
カ 原告商品のテレビ番組等における紹介について
(ア) 平成28年に,テレビ朝日の「マツコ&有吉の怒り新党」,NHK
テレビの「シブ5時」,TBSテレビの「あさチャン」,日本テレ
ビの「ヒルナンデス」,テレビ東京の「ワールドビジネスサテライ
ト」等の番組において,「空調服」又は「空調服」の語を含む商品
名が,原告空調服の社名又はライセンシーであるヨツギ株式会社若
しくはNS
(イ) Pの社名と共に紹介された(甲4,甲40の58,甲87)。
(イ) 平成29年5月20日,テレビ朝日の「スーパーJチャンネル」で,
「あの空調服が劇的進化 リュック通勤に“涼感”」などとして,原告空調服の社
名を示し,「空調リュック」が紹介された(甲71の11)。
(ウ) 令和元年6月22日,原告ら代表者は,TBSラジオ「久米宏 ラジ
オなんですけど」に出演して,「空調服」を持参して説明するなどし,その様子が
TBSラジオのウェブサイトでも紹介された(甲70の4,甲71の34)。
(エ) 令和元年6月23日,BS朝日「テイバン・タイムズ」で,原告空調
服が取り上げられ,原告ら代表者が「空調服」について説明をした。そのことは,
BS朝日のウェブサイトでも,原告空調服が「空調服」のメーカーであることを明
記して紹介された。(甲71の12・42)
(オ) 令和元年7月22日,テレビ東京「AI・DOL PROJECT」
で,原告ら代表者が「空調服」を紹介した(甲71の141,甲75の3)。
キ 原告商品の企業における導入例及び取引先等について
(ア) 清水建設株式会社(以下「清水建設」という。)は,平成28年に,
「空調服」を採用した(甲71の133,甲74の176,乙12,14,17)。
原告空調服が清水建設に販売している同社向けの空調服には「空調服」と表示した
タグが付されている(甲56)。
(イ) 東芝エレベータは,平成28年夏,約3000人の社員を対象に「空
調服」を導入するとともに,協力会社の約1000名にも貸与を決定し,合計80
00着を導入した(甲245)。
(ウ) 関電工は,平成28年度に,全部門の熱中症対策として「空調服」を
導入し,平成29年5月頃の時点では,関係・協力会社も含め3000着以上の「空
調服」が現場で活用されていた(甲50の5)。
(エ) トーエネックは,原告空調服と共同で,EFウェアである作業服を開
発し,平成29年6月9日から,順次,現場作業員に配備した(甲48の34・3
5)。
(オ) ダイダンは,平成29年8月,建設作業現場における熱中症対策と職
場環境改善のため,協力会社110社を対象に,「空調服」1500着の購入をあ
っせんした(甲54,甲73の20,乙8)。
(カ) 大和ハウス工業株式会社のグループ会社である大和リースは,平成2
8年から,試験的に協力会社の作業員向けに導入の支援を行った上で,平成30年
に,建設現場での熱中症の発症を抑制するために「空調服」を導入し,社員用に3
74着を支給し,協力会社の作業員に500着の支給を補助した(甲49の11・
17・19,甲50の5,甲64,甲71の126,甲73の22,甲74の90)。
(キ) エレベータの保守点検を業とする三菱電機ビルテクノサービスは,平
成29年度に一部支社で試験導入を行った後,平成30年6月から,「空調服」約
1万1000着を全社で導入した(甲60,61,甲73の15,甲74の85)。
(ク) 建築物の金属製内装工事を業とする菊川工業株式会社は,協力関係に
ある職人への「空調服」の無償支給を決め,令和元年7月18日に,贈呈式をした
(甲71の135・137)。
(ケ) 以上の(ア)~(ク)の事実は,業界誌への掲載等で広く知らされた(上記
(ア)~(ク)の括弧内掲記の各証拠)。
(コ) 平成28年までの時点で,原告空調服の主要取引先には,多数の自動
車,鉄道,機械,金属,建設,電気,物流,食品等の幅広い企業が含まれており(甲
87),原告らは,その後も幅広い各企業との取引を行っている(甲243の1~
3の各1,甲343の1~82)。
(サ) 株式会社九電工に原告空調服が納入している「空調服」には,「空調
服」とのタグが付されている(甲55)。
ク 受賞等について
(ア) 平成28年9月,「空調服」について,公益社団法人全関東電気工事
協会の推奨品としての認定がされた(甲48の33,甲58)。
「日本経済新聞」では,平成29年,上記認定の事実とともに,「電力業界でも,
多くの企業で空調服の採用が進んでいる。」,「近年空調服の導入件数が大幅に伸
びている。」,「電力工事業界では,共同研究を行った関電工や,今年新たなオリ
ジナル仕様の空調服を導入するトーエネック,きんでん,九電工をはじめとして,
ユアテック,北陸電工,四電工など多くの企業が導入している。」,「まさに電力
業界の熱中症対策のスタンダードとなる勢いである。」との報道がされた(甲48
の33)。
(イ) 原告空調服は,平成29年頃から,一般財団法人日本気象協会推進の
「熱中症ゼロへ」のオフィシャルパートナーとなっている(甲48の51,甲71
の35)。
(ウ) 原告セフト研究所は,平成29年12月4日,平成29年度地球温暖
化防止活動環境大臣表彰において,「空調服の開発・商品化と普及」により,技術
開発・製品化部門で受賞し,そのことが業界紙(繊維ニュース,農機新聞)で報道
された(甲43,44,甲48の43・46・48,甲70の6)。
(エ) 原告セフト研究所と栄光マシーンセンター株式会社が共同で開発した
「空調服 エレファン」が,2019年グッドデザイン賞を受賞し,令和元年11
月13日の「繊維ニュース」及び雑誌「ユニフォームプラス」同年12月号で,原
告セフト研究所が「空調服」の開発元であることを明記してその旨が報道された(甲
256の1,甲258の3,甲297,311,312)。
(4) 原告らの「空調服」の売上げ・シェア等
ア 前記(3)アのとおり,平成27年頃までは,EFウェアの市場は,原告ら
及びサンエスが独占しており,ほぼ100%のシェアを占めていた。
イ 「繊維ニュース」の取材やアンケートに基づく試算によると,平成30
年及び令和元年(平成31年)のEFウェアの市場規模や,原告各社等の「空調服」
のシェアは,次のとおりである。
(ア) 平成30年の市場規模は,出荷ベースで80億円(ウエア,デバイス
全て含む。),ウエアは150万~160万点であり,原告各社等による「空調服」
の占めるシェアは,その3分の1程度である。
(イ) 令和元年(平成31年)の市場規模は,出荷ベースで約100億円(ウ
エア,デバイス全て含む。),ウエアは340万~350万点であり,原告各社等
による「空調服」の占めるシェアは,3分の1程度で業界トップである。
(以上の(ア),(イ)につき,甲71の124,甲72の1,甲74の24・27・
93・109,甲192の46)
ウ ライセンシーは,原告各社との取決めに従って,ライセンスに基づいて
製造販売する「空調服」の商品タグやカタログにおいて,「空調服」が原告各社の
商標である旨等を表記することとしている(甲342の1・7~21)。
エ 原告各社の売上高の合計は,平成29年が約●●●●,平成30年が約
●●●●,令和元年(平成31年)が約●●●●であった(甲247の1~6,弁
論の全趣旨)。そして,そのうちの●●●●が,「空調服」(デバイスを含む。)
の売上げであった(甲333の5~7,甲351)。
(5) 原告ら以外の者による「空調服」等の用語の使用について
ア 新聞・雑誌,ネットショッピングサイト等
(ア) 遅くとも平成30年頃以降の新聞・雑誌(繊維ニュース,繊研新聞,
建設通信新聞,電気新聞,日本農業新聞,日本物流新聞,山陽新聞,毎日新聞,中
部経済新聞,読売新聞,ユニフォームプラス等),ネットショッピングサイト等の
ほか,EFウェアに関連する論文においては,EFウェアを示す語として,「ファ
ン付き作業服」,「電動ファン付き作業服」,「電動ファン(EF)ファン付きウ
エア」,「EFウェア」,「ファンウェア」,「EF付きウェア」,「ファンベス
ト」,「EF付きベスト」,「ファン付きベスト」といった名称が多く用いられて
いる(甲72の27,甲74の1~63・67・79・81・86・87・91~
102・104~114・117・119・127~133・135~140・1
43~153・155~194・196・199,甲192の1~103・110
~114)。
(イ) 他方で,EFウェア一般を示す語として「空調服」の語が用いられて
いるとみられるものとして,少なくとも,被告が指摘する次のような例がある。
a 新聞記事
(a) 日本経済新聞の記事(乙5[平成30年4月12日],乙11[平
成29年4月11日],乙13[平成28年7月30日],乙18[平成28年5
月19日]),日本経済新聞(電子版)の記事(乙38[平成27年8月26日])
(b) 北海道新聞の記事(乙7[平成29年8月22日])
(c) 日刊建設工業新聞の記事(乙15[平成28年7月25日])
(d) 琉球新報の記事(乙9[平成29年7月16日])
(e) 電気新聞の記事(乙10[平成29年7月6日])
(f) 大阪読売新聞の記事(乙19[平成18年8月10日])
なお,①熊本日日新聞の記事(乙12[平成28年10月3日]),化学工業日
報の記事(乙14[平成28年7月7日])及び建設通信新聞の記事(乙17[平
成28年7月7日] は,
) 清水建設に関する記事であるが,前記(3)キ(ア)のとおり,
清水建設は原告商品を採用しており,また,日刊建設工業新聞の記事(乙8[平成
29年8月8日])は,ダイダンに関する記事であるが,前記(3)キ(オ)のとおり,
ダイダンは原告商品を採用しているので,これらの記事は原告商品を示す語として
「空調服」を用いたと認められるし,後記3(1)のとおり,平成27年頃には,「空
調服」が原告商品を指すものとして需要者,取引者に広く知られていることからす
ると,需要者,取引者においても,これらの記事は,原告商品に関する記事と認識
するものというべきである。さらに,②電気新聞の記事(乙16[平成28年7月
13日])は,株式会社四電工に関する記事であるが,同社は原告空調服の取引先
であり(甲244),また,河北新報の記事(乙6[平成29年8月25日])は,
宮城県農業・園芸総合研究所に関する記事であるが,同研究所は,原告空調服の取
引先である(甲355)から,これらの記事は原告商品を指す語として「空調服」
を用いたと認められるし,上記①と同様に,需要者,取引者においても,これらの
記事は,原告商品に関する記事と認識するというべきである。③他にも,上記の新
聞記事の中には,証拠上必ずしも明らかでないものの,同様のものが存する可能性
がある。
b ウェブサイト等
(a) 「WORK―UNIFORM」(乙20~22。ただし,乙21,
22では,「空調服」と「ファン付き作業服」が併記されている。),「ワークス
トリート 作業服館」(乙25,26),「ミチオショップ ヤフーショッピング
店」(乙27,28),「作業着デポ」(甲141の1・2),「倉敷通商」(甲
142の2,乙29),「空調服専門店 TKネットショップ」(乙32,33),
「丸十服装株式会社」(乙34,35),「UEDA ironware」(乙3
9),「ワークショップタマイ」(乙41),「Wowma!」(甲144の1・
2)といったネットショッピングサイト
(b) YAHOO!JAPANショッピングにおける「空調服」の検索
結果(乙30)
(c) 「空調服専門サイト」(甲145の2,乙31)
(d) ミツフジ株式会社のウェブサイト(乙36[平成29年11月1
6日])
(e) 建設通信新聞の公式記事ブログ(乙37[平成27年8月5日])
なお,「SAFETY UNI」(乙23,24)と「ワークショップオオタ」
(乙40)の扱っている商品である「自重堂」,「ジ―ベック」,「Z-DRAG
ON」,「山田辰」は,いずれも原告空調服のライセンシーの商品であると認めら
れる(甲71の7,甲72の1)から,これらのウェブサイトがEFウェア一般を
示す語として「空調服」の語を用いているということはできないし,後記3(1)のと
おり,平成27年頃頃には,「空調服」が原告商品を指すものとして需要者,取引
者に広く知られていることからすると,需要者,取引者においても,これらのウェ
ブサイトにおいてEFウェア一般を示す語として「空調服」の語を用いていると認
識するとは認められない。
c 公開特許公報及び登録実用新案公報
(a) 特開2017-101354(乙42[平成27年12月2日出
願]),特開2016-56467(乙43[平成26年9月8日出願])
(b) 実用新案登録第3206518号(乙44[平成28年6月28
日出願] ,
) 実用新案登録第3197081号(乙45[平成27年2月6日出願] ,

実用新案登録第3195731号(乙46[平成26年11月18日出願]),実
用新案登録第3187092号(乙47[平成25年8月30日出願]),実用新
案登録第3186431号(乙48[平成25年7月25日出願])
イ EFウェアのメーカーに係る用語の使用等
原告ら以外のEFウェアの主要なメーカー(サンエス,村上被服株式会社,中国
産業株式会社,株式会社ブレイン,株式会社バートル,シンメン株式会社,クロダ
ルマ株式会社,株式会社マキタ,タジマ[株式会社TJMデザイン],株式会社桑
和等)は,EFウェアに「空調服」以外の名称を付しており,平成30年以降のカ
タログ等においても「空調服」の語を用いてはいない。この点,サンエスは「空調
風神服」,村上被服株式会社は「HOOH(鳳凰)」,中国産業株式会社は「WI
ND ZONE」,株式会社ブレインは「空調エアコン服」,株式会社バートルは
「エアークラフト(AIR CRAFT)」,シンメン株式会社は「S-AIR」,
クロダルマ株式会社は「AIR SENSOR-1」,株式会社マキタは「充電式フ
ァンジャケット」,タジマは「清涼ファン風雅」,株式会社桑和は「G.GROUN
D」,「サイクロンエアー」などと,各メーカーがそれぞれ独自のブランド名や商
品名を用いている。他方で,「空調服」の語は,上記各メーカーのEFウェアの名
称と並列的に,原告空調服が手駆けるEFウェアの名称として用いられている。
(甲
50の1・3,甲59,甲72の1・2,甲74の2・3・10・24・37~3
9・41・46・62・67・70~72・80・82・92・109・134・
156・157・197・198,甲172~188,267,弁論の全趣旨)
(6) その他の事情
ア 平成25年から平成29年までの期間において,ワーキングウェアの市
場における売上高については,主に大企業,官公庁向けの販売が約7割,主に自営
業,一般向けの販売が約3割であった(甲168)。
平成30年の原告セフト研究所の売上高は,全て法人に対するものである(甲2
43の1の1・2,甲243の3の1・2)。また,同年の原告空調服の売上高の
うち,●●●●が法人に対するものである(甲243の2の1・2)。
イ 平成30年において,衣類・服装雑貨等の物販系分野における電子商取
引(EC)化率は,約13%である(甲169)。この点,作業服やユニフォーム
の分野におけるEC取引の比率もいまだ大きくなく,卸売業全体における比率より
もはるかに低い(甲170・171)。
2 商標法3条1項3号該当性について
(1) 本願商標の検討
前記1(1)からすると,本願商標である「空調服」は,「室内の空気の温度・湿度・
清浄度などの調節」を意味する「空調」の語及び「身につけるもの」等を意味する
「服」の語から構成されるところ,上記のとおり,「空調」の語は,「室内の空気」
について用いられるものであるから,それが「服」の語と結びつけられた「空調服」
の意味内容を,本来の字義から直ちに理解することには一定の困難がある。
もっとも,一般に「服」によってその内側と外側が隔てられることからすると,
「服の内側」を「室内」と同様の空間であるとみて,「空調服」について,「服の
内部の空間」にある空気の温度・湿度・清浄度などの調節に関する服であると理解
することも,相応に可能であるといえる。
また,「空調」と同義語である「エア・コンディショニング」,特にその略語で
ある「エアコン」について,上記の本来の「空調」の意義からは離れ,日常的には,
「冷暖房設備」や電気式の「冷暖房機器」の意味で用いられることが多いことも公
知の事実である。そして,「服」が末尾に来る名詞において,一般に,「服」に先
立つ語が当該服の用途(作業服,潜水服,礼服,喪服など),当該服が用いられる
環境(夏服,冬服,宇宙服など),当該服を着用する者の性質(学生服など)のほ
か,当該服の特徴(気密服など)を表すことも公知の事実である。それらの点を考
慮すると,「空調服」の語については,「冷暖房に関する用途や特徴を有する服」
という意味合いを容易に認識させるものであるということができる。
そうすると,本件審決時である令和2年4月30日の時点において,本願商標で
ある「空調服」は,本願指定商品である「通気機能を備えた作業服・ワイシャツ・
ブルゾン」に使用されるときは,「通気機能を備えることにより,空気の温度等を
調節する機能を有する服」と認識されるから,商品の品質を表示する標章に当たる
ということができる。
そして,本願商標は,「空調服」のみからなり,「空調服」の語を標準文字で記
すという,普通に用いられる方法で表示する商標であるから,商標法3条1項3号
に該当するというべきである。
(2) 原告らの主張について
ア 原告らは,原告各社が生み出した「空調服」の文字構成には強い独創性
があり,かつ,「空調」という語と「服」という親和性の乏しい語とを結合させて
意味付けることは困難であること,「空調服」の語は,漢字3文字から構成される
短い用語で,一連一体の語として発音され,切れ目がなく,ひとまとまりの造語と
して需要者,取引者に認識されてきたことから,「空調」と「服」とを分離して検
討することはできないと主張する。
しかし,「空調」という語と「服」という語の親和性の程度が本来的には高いと
いい難いことを考慮しても,「空調服」の語が特定の意味合いを有すると理解でき
ることは,上記(1)のとおりである。また,上記(1)で指摘した,「服」が末尾に来
る一般的な名詞の例に照らしても,漢字3文字から構成される短い用語であること
等から,「空調」の語と「服」の語を分離できないということはできない。そして,
「空調服」という文字構成を原告各社が生み出したという事情は,「空調服」とい
う語を分離して解釈できるか否かを左右するものではない。
イ 原告らは,「空調服」を「空調」と「服」とに分離して解釈したとして
も,「空調」の意味からすると,「空調服」が通気機能を備えた作業服の品質を表
すものとはいえないと主張するが,「空調」の語の意義を考慮すると,「通気機能
を備えることにより,空気の温度等を調節する機能を有する服」を認識させるもの
と解されることは,上記(1)のとおりである。電気機械器具品質表示規程の定めは,
この認定を左右するものではない。
ウ 原告らは,「空調服」の語の一般的な使用例について,①原告各社等以
外のEFウェアのメーカーによっては一切使用されておらず,「EFウェア」等の
語が定着していること,②ネット通販サイトにおける「空調服」の使用例について
は,EFウェアにおける原告商品の認知度の高さゆえに「空調服」の表記が用いら
れたものにすぎず,同表記が原告商品以外の商品の自他商品識別表示として用いら
れているわけではないこと,③EFウェアの取引のごく一部に係るものにすぎない
ネット通販サイトにおける記載(誤用例)をもって需要者,取引者の認識を判断す
ることはできないこと,④当該「空調服」が原告商品を指しているものが含まれて
いること,⑤「日本経済新聞」などのメディアについては,順次,「空調服」が原
告各社の商標であることについての訂正がされていること,⑥特許出願明細書や実
用新案登録出願の明細書については,出願人がファン付き作業服の需要者や取引者
であるとは限らず,需要者,取引者の認識を表すとはいえないことなどを主張する。
しかし,他に「EFウェア」等の語が存在することから直ちに,「空調服」の語
が「EFウェア」等の語とは異なる意義を有するということはできないし,作業服
メーカーによる用語法をもって直ちに本願指定商品の需要者の認識を表すものとい
うことはできない。また,他に原告らが主張する事情は,商標法3条2項に該当す
るかどうかについて考慮することができる事情とはいえても,上記(1)の認定判断
を左右するものとはいえない。
3 商標法3条2項該当性について
(1) 特別顕著性について
ア 原告商品「空調服」は,原告ら代表者の発案により原告セフト研究所が
開発したもので,原告空調服が「空調服」の販売を本格的に開始した平成17年当
時,「空調服」のほかにEFウェアは存在せず,「空調服」は,極めて独自性の強
いものであった(前記1(2)イ)。そして,ファンが衣服に取り付けられているとい
う「空調服」は,平成17年当時,他に例のない形態で,これを目にした者に強い
印象を与えるものであったと解される。
また,前記2(1)で指摘したように,本願商標「空調服」の語の意味内容を,本来
の字義から直ちに理解することには一定の困難があり,上記のように,EFウェア
という商品分野がいまだ存在しなかった当時においては,「空調服」という語の構
成も,強い独自性を有していたということができる。
そうすると,「空調服」という商品やその「空調服」という名称は,強い訴求力
を有していたといえる。
イ 上記アの事情に加えて,EFウェアという商品分野において,平成27
年頃まで約10年間は,原告各社等によって市場は独占されていたこと(前記1(3)
ア)及び前記1(2)イ~カで認定した諸事情,特に,「空調服」が原告らの商品を指
すものとして,全国紙を含む新聞や雑誌で多数回にわたって取り上げられたこと,
全国放送の番組を含むテレビ番組でも多数回にわたって同様に取り上げられたこと,
建設会社等の企業に導入されたことなどを踏まえると,平成27年頃までには,
「空
調服」は,「通気機能を備えた作業服・ワイシャツ・ブルゾン」という商品分野に
おいて,原告らの商品として,需要者,取引者に全国的に広く知られるに至ってい
たものと認めるのが相当である。
ウ その後,平成27年頃から他社がEFウェアの市場に参入するようにな
り(前記1(3)ア),新聞記事やネットショッピングサイト等においてEFウェアを
示す語として「空調服」の語が用いられること(前記1(5)ア(イ))もあったが,原
告商品「空調服」が上記のとおり広く知られていたために同種の商品を「空調服」
と呼ぶ例が生じたと認められる。そして,①前記1(3)ア~クで認定した諸事情,特
に,平成28年以降においても,「空調服」が原告商品を指すものとして,又はE
Fウェアの元祖が原告空調服の「空調服」であるとして,全国紙を含む新聞や雑誌
で多数回にわたり取り上げられ,また,全国放送を含むテレビ番組等においても同
様に取り上げられ,原告空調服による広告もいろいろな形態で行われ,企業におけ
る「空調服」の導入例も拡大してきたことなどの事情,②「空調服」以外にEFウ
ェアを指す一般的な用語が用いられていること(前記1(5)ア(ア)),③EFウェア
の他のメーカーにおいては,「空調服」とは異なる商品名やブランド名で販売活動
を行っていること(前記1(5)イ),④多くの他業者の参入があっても,なお,平成
30年及び令和元年(平成31年)の時点において,原告各社等による「空調服」
はEFウェアの3分の1程度のシェアを占めていること(前記1(4)イ)を考慮する
と,「空調服」は,原告らの商品の出所を示すという機能を失うことなく,その認
知度を高めていったものと認めることができる。
エ したがって,本件審決時である令和2年4月30日の時点において,本
願商標「空調服」は,使用をされた結果,本願指定商品の需要者,取引者が,原告
各社の業務に係る商品であることを認識することができるものであるから,商標法
3条2項に該当するというべきである。
(2) 被告の主張について
ア 被告は,原告らの主張する本願商標の使用に対し,需要者において「空
調服」の文字を原告らの出所識別標識として認識することは困難であって,周知効
果は限定的なものというべき旨等を主張し,例えば,①原告らが提出するカタログ
において,「空調服」の文字は,多くが記述的に用いられていることから,需要者
が出所識別標識として「空調服」の文字に着目するとは考えにくい,②ライセンシ
ーの出荷した商品については,本願商標が原告らの出所を表示するものとして認識
されるような態様で使用されていたのか明らかでない,この点,ライセンシーであ
る自重堂やNSPの商品販売記事(甲71の7)やカタログとされるもの(甲73
の10)の各記載からしても,需要者において,
「空調服」の文字を,原告らの出所
識別標識として認識するとはいえない,③新聞・雑誌等の記事及び広告について,
「空調服」の文字が,直ちに原告らの出所識別標識として,需要者,取引者に認識
され,印象づけられるような態様で用いられているとはいい難いものが散見される,
平成16年以降平成29年4月1日まで148回という掲載回数は決して多くない
し,全国規模の新聞への掲載は少なく,ほとんどが発行部数等が多くない専門誌,
地方紙等に掲載されたものである,④JRの主要駅構内に設置された大型ビジョン
における広告についても,7日間という短い期間である上,原告らの名称が表示さ
れていないことなどから,当該広告に接する者が,「空調服」を付した商品を原告
らが取り扱っていると認識するとはいい難い,⑤展示会において,本願商標がどの
ように使用され,どのように来訪者の目に触れたのか,具体的な展示状況は不明と
いわざるを得ない,⑥テレビ放送等での紹介については,放送時間帯が早朝である
もの,原告商品がメインで紹介されていないもの,時間が短いものなどがあり,視
聴率も不明である,⑦公的機関からの表彰,認定等をもって,本願商標が,原告商
品の出所識別標識として,本願指定商品の需要者,取引者の間に強く印象づけられ
るとは考えにくいなどと主張する。
しかし,上記①について,カタログにおいて,「空調服」の文字が記述的に用い
られている例があるとしても,前記(1)で判示した各事情,特に,平成27年頃まで
原告各社等がEFウェアの市場を独占していたことからすると,そのような記述的
な表現についても,EFウェアという商品の種類を指すものではなく,原告商品を
指すものとして,十分な出所識別機能を有していたというべきである。また,上記
②についても,同様に,ライセンシーの出荷した商品であったとしても,需要者,
取引者は,原告商品と認識するというべきである。
上記③及び④についても,前記1(2)イ並びに(3)イ及びエのとおりであって,こ
れらの新聞,雑誌等における記事や広告は,「空調服」の特別顕著性を認めるべき
有力な事情ということができ,このことは,「空調服」の文字が用いられた原告商
品の広告が誌面に比して小さいものや,「空調服」の文字が用いられていても,原
告らの名称の表示がないものや小さいものなどがあるとしても,左右されない。ま
た,前記1(6)の「空調服」の販売先に関する事情などからすると,専門誌に多くの
広告が掲載されていることは,「空調服」の特別顕著性を積極的に裏付ける事情で
あるといえる。
上記⑤については,商品を来場者に訴求する場である企業の展示会において,原
告各社が,「空調服」の表示を行わないなどということは,経験則上,考え難いと
ころである。
上記⑥については,被告が主張する事情は,テレビ番組等における紹介を「空調
服」の特別顕著性認定の根拠とすることを何ら妨げるものではない。前記1(2)オ及
び(3)カのテレビ番組等には,その名が広く知られている著名な番組が含まれてい
ることは公知の事実であり,視聴率まで立証することが必要とされるとはいえない。
上記⑦については,公的機関からの表彰,認定等は,原告商品「空調服」が社会
的に有用なものとして認められたことを示しており,「空調服」の特別顕著性を認
定する根拠となることは明らかである。
イ 被告は,原告商品の売上げや広告宣伝費用を客観的に明らかにする証拠
が提出されていない,「繊維ニュース」に掲載された市場シェアは推計にすぎず,
原告商品の正確な市場シェアを把握することはできない,ユーザー企業との具体的
取引の事実についても,原告らと原告商品の購入者が実際に取引したことを示す書
類等の提出がないから,納入日や納入量等に基づく取引事実を確認することができ
ないなどと主張する。
しかし,原告らは,平成29年~令和元年(平成31年)については,前記1(3)
エ(ア)及び(4)エのとおり,信頼できる証拠に基づいて売上高や宣伝広告費の額を立
証しているのであり,また,「繊維ニュース」についても,その内容は,当該業界
の購読者が参考とするに足りる信用性を有しているものと認められるから,その記
載に基づいて原告商品の市場シェアを認めることができる。さらに,被告が指摘す
る書類等は,特別顕著性の認定に必須のものであるとまではいえず,本件において,
そのような書類等の提出がないことから特別顕著性を否定することは,実態をみな
い判断であって相当でないというほかない。
ウ その他,被告が主張する様々な点も,前記(1)の認定判断を左右するもの
ではないことが明らかである。
なお,原告らは,本件審判請求の手続において提出していなかった証拠であって
も,商標法3条1項3号及び同条2項に関する本件審決を取り消すべき事由がある
ことを立証するために提出することができることは明らかであって,それが妨げら
れる理由はない。
4 まとめ
以上によると,本願商標について,商標法3条2項該当性を否定した本件審決に
は誤りがあり,原告ら主張の取消事由2が認められるから,本件審決は,その余の
点について判断するまでもなく,取消しを免れない。
第4 結論
以上の次第で,原告らの請求には理由があるから,これを認容することとして,
主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官
森 義 之
裁判官
佐 野 信
裁判官
中 島 朋 宏
(別紙1)
登録番号 商標 区分 出願日 登録日
登録4697002 空調 25 2002/10/24 2003/8/1
(標準文字)
登録4755308 12,20,24,25 2002/11/28 2004/3/12
登録4871177 25 2004/2/12 2005/6/10
登録4992236 20,24 2006/3/30 2006/9/29
登録5702232 空調ヘルメット 11 2013/12/6 2014/9/12
(標準文字)
登録5715570 9,11 2013/10/25 2014/11/7
登録5774691 25 2015/1/28 2015/6/26
登録5794161 09,11,20,24,25 2015/4/24 2015/9/18
登録5965315 空調リュック 11,18 2016/10/17 2017/7/21
(標準文字)
登録5999161 09,11,17,25 2017/7/26 2017/11/24
登録6072017 空調服 09,10,11,12,17,20,24 2016/9/20 2018/8/17
(標準文字)
登録6077558 空調ズボン 25 2018/3/27 2018/9/7
(標準文字)
(別紙2)

年 開催日 展示会名 場所 来場者数
2006年 2006/12/14-16 エコプロダクツ2006 ビックサイト 152,966
2007年 2007/5/18-20 第10回国際福祉健康産業展 ウェルフェア2007 ポートメッセ名古屋 80,681
2007/8/18-19 戸田ふるさと祭り 埼玉戸田競艇場 約90,000
2007/10/18-19 テクノフェア2007 福井県産業会館 19,856
2007/10/31-11/2 中小企業総合展2007 in tokyo ビックサイト 36,000
2007/11/28-30 パテントソリューション2007 ビックサイト 不明
2007/11/27-28 アグリビジネス創出フェア2007 東京国際フォーラム 9,409
2007/12/13-15 エコプロダクツ2007 ビックサイト 164,903
2008年 2008/2/14-15 彩の国ビジネスアリーナ さいたまアリーナ 12,050
2008/10/1-3 パテントソリューション2008 ビックサイト 不明
2008/10/29-30 アグリビジネス創出フェア2008 東京国際フォーラム 11,031
2008/11/26-28 中小企業総合展2008 ビックサイト 35,000
2008/12/11-13 エコプロダクツ2008 ビックサイト 173,917
2009年 2009/1/27-28 彩の国ビジネスアリーナ さいたまアリーナ 12,700
2009/5/27-29 2009電設工業展 ビックサイト 88,532
2009/6/16-18 安全健康快適フェア2009 パシフィコ横浜 不明
2009/10/22-23 苦情・クレーム博覧会 福井県産業会館 不明
2009/11/4-6 中小企業総合展2009 ビックサイト 不明
2009/11/25-27 パテントソリューション2009 ビックサイト 不明
2009/12/10-12 エコプロダクツ2009 ビックサイト 182,510
2010年 2010/1/27-28 彩の国ビジネスアリーナ2010 さいたまアリーナ 14,807
2010/5/25-28 2010NEW環境展 ビックサイト 172,515
2010/9/14-17 国際物流総合展2010 ビックサイト 不明
2010/10/13-15 パテントソリューション2010 ビックサイト 不明
2010/11/10-12 中小企業総合展2010 ビックサイト 47,004
2011年 2011/1/26-27 彩の国ビジネスアリーナ2011 さいたまアリーナ 14,898
2011/5/24-27 2011NEW環境展 ビックサイト 157,905
2011/9/7-9 N-EXPO KANSAI 2011 インテック大阪 15,328
2011/11/9-11 中小企業総合展2011 ビックサイト 不明
2012年 2012/1/25-26 彩の国ビジネスアリーナ2012 さいたまアリーナ 15,491
2012/5/22-25 2012NEW環境展 ビックサイト 162,586
2012/5/30-6/1 電設工業展2012 インテック大阪 93,744
2012/10/10-12 中小企業総合展2012 JISMEE ビックサイト 不明
2013年 2013/1/30-31 彩の国ビジネスアリーナ2013 さいたまアリーナ 16,487
2013/5/21-23 2013NEW環境展 ビックサイト 165,810
2013/10/30-11/1 緑十字展2013 インテック大阪 18,949
2013/10/30-11/1 中小企業総合展2013 ビックサイト 不明
2014年 2014/5/27-30 2014NEW環境展 ビックサイト 167,210
2014/10/22-24 緑十字展2014 ビックサイト 10,832
2014/11/12-14 ホームアンドビルドショーHEADベストセレクション ビックサイト 13,927
2014/11/19-21 新価値創造展2014 ビックサイト 48,550
2015年 2015/2/6 農業・男女共同参画フォーラム 武蔵野スイングホール 約150
2015/5/26-5/29 2015NEW環境展 ビックサイト 167,540
2015/5/26-5/29 猛暑対策展 2015 ビックサイト 2,635
2015/10/28-30 緑十字展2015 名古屋市中小企業振興会館 20,552
2015/11/18-20 新価値創造展2015 ビックサイト 49,551
2016年 2016/5/24-27 2016NEW環境展 ビックサイト 167,540
2016/7/13-15 省エネ・節電EXPO ビックサイト 35,017
2016/7/20-22 猛暑対策展2016 ビックサイト 30,679
2016/10/19-21 緑十字展2016 神戸 20,552
2016/11/15-17 新価値創造展2016 ビックサイト 49,551
2016/6/19 熱中症ゼロへ (気象庁への協賛) 池袋サンシャインビル 5,000
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