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令和2(行ケ)10125審決取消請求事件

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裁判所 請求棄却 知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和3年4月27日
事件種別 民事
当事者 原告
被告特許庁長官
法令 商標権
商標法3条1項6号6回
キーワード 審決15回
拒絶査定不服審判1回
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
1 特許庁における手続の経緯等
8月27日,拒絶査定不服審判を請求した(争いのない事実)。
2 本件審決の理由の要旨
1 原告の主張
2 被告の主張
1 商標法3条1項6号該当性について
020年)9月時点で35年以上の長きに渡り広く一般に慣れ親しまれてい
51),法律事務所は特許事務所と同様に本願商標の指定役務を提供し得
2 結論
事件の概要 本件は,商標法3条1項6号を理由とする商標登録出願拒絶査定に対する不20 服審判請求の不成立審決に対する取消訴訟である。

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判決文

令和3年4月27日判決言渡
令和2年(行ケ)第10125号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 令和3年3月16日
判 決
原 告 X
被 告 特許庁長官
指 定 代 理 人 庄 司 美 和
10 同 冨 澤 美 加
同 石 塚 利 恵
主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
15 事 実 及 び 理 由
第1 請求
特許庁が不服2019-11255号事件について令和2年9月7日にした
審決を取り消す。
第2 事案の概要
20 本件は,商標法3条1項6号を理由とする商標登録出願拒絶査定に対する不
服審判請求の不成立審決に対する取消訴訟である。
1 特許庁における手続の経緯等
⑴ 原告は,平成30年3月14日,「六本木通り特許事務所」の文字を標準
文字で表してなる商標(以下「本願商標」という。)について,第35類,
25 第41類,第42類及び第45類に属する願書記載のとおりの役務を指定役
務とする商標登録出願(商願2018―30044号。以下「本件出願」と
いう。)をしたが(甲5)その後,指定役務については,第45類「スター
トアップに対する特許に関する手続の代理」に補正された(甲14)。
⑵ 原告は,令和元年5月27日付けの拒絶査定を受けたため(甲9),同年
8月27日,拒絶査定不服審判を請求した(争いのない事実)。
5 特許庁は,上記請求を不服2019-11255号事件として審理を行い,
令和2年9月7日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下
「本件審決」という。)をし,その謄本は,同月28日,原告に送達された
(争いのない事実)。
⑶ 原告は,令和2年10月28日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提
10 起した(顕著な事実)。
2 本件審決の理由の要旨
本件審決の理由の要旨は,①本願商標の構成中の「六本木通り」の文字の意
味は,「東京都千代田区霞が関から渋谷区渋谷までの道路の呼び名」であり,
「特許事務所」の文字の意味は,「弁理士の事務所」であるから,本願商標は,
15 「六本木通り」の文字と「特許事務所」の文字とが結合してなるものと認識,
把握される,②特許事務所が,広く,スタートアップに対して役務を提供して
いる実情にあるから,「特許事務所」の文字は,本願商標の指定役務を提供す
る者を意味する一般的な名称である,③法律家によって提供される法律事務に
関する役務を取り扱う分野において,「○○通り□□事務所」の文字が,広く
20 採択,使用されている実情があることを踏まえると,本願商標をその指定役務
について使用した場合,これに接した取引者,需要者は,本願商標を,「六本
木通りという呼び名の道路に近接する場所に所在する,弁理士の事務所」程の
意味合いとして理解,認識するにとどまり,このような本願商標は,単に,役
務の提供場所あるいは役務を提供する者の所在を表すものである。
25 そうすると,本願商標の指定役務について特定人によるその独占使用を認め
るのを公益上適当としないものであるとともに,自他役務の識別力を欠き,商
標としての機能を果たし得ないものであるから,本願商標は,需要者が何人か
の業務に係る役務であることを認識することができない商標として,商標法3
条1項6号に該当する。
第3 当事者の主張
5 取消事由(商標法3条1項6号該当性判断の誤り)の有無に係る当事者の主
張は,次のとおりである。
1 原告の主張
⑴ 取引の実情の認定の誤り
ア 本件審決は,「〇〇通り法律事務所」という法律事務所の名称の使用例
10 に依拠して,本願商標の指定役務を取り扱う業界において,「〇〇通り□
□事務所」の文字が広く採択,使用されていると認定した。
しかしながら,まず,「〇〇通り法律事務所」という名称の使用例から,
これを抽象化して「〇〇通り□□事務所」の文字が広く採択,使用されて
いると認定することは妥当ではない。
15 また,「〇〇通り□□事務所」といっても,本願商標の指定役務を取り
扱う事務所もあれば(甲16),そうではない事務所もあり(甲17),
本願商標の指定役務を取り扱うものではない事務所の名称にまで依拠し
て,本願商標の指定役務を取り扱う業界において,
「〇〇通り□□事務所」
の文字が広く採択,使用されていると認定する根拠はない。
20 したがって,本件審決は,前提とする認定事実に誤りがある。
イ 被告は,後記2⑴イ及びウで本願商標の指定役務を取り扱う法律事務所
や「〇〇通り法律事務所」という名称の法律事務所が多数あると主張する
が,その提出に係る証拠をみても,前者については,これら事務所が本願
商標の指定役務を提供しているとの記載はなく,上記指定役務の取扱いの
25 有無は不明であるし,後者については,その大部分が本願商標の指定役務
である「スタートアップに対する特許に関する手続の代理」を取り扱って
いない又は取り扱うものであるか否かは不明であるから,結局,被告の主
張は,本願商標の指定役務を取り扱う業界において,「〇〇通り□□事務
所」の文字が広く採択,使用されていると認定した点の誤りに対する何ら
の反論となっておらず,本件審決の認定に誤りがあったことは明白である。
5 ⑵ 需要者の認識に係る判断の誤り
仮に,「〇〇通り□□事務所」の文字が広く採択,使用されているとの取
引の実情があるとしても,「〇〇通り□□事務所」は,いずれかの事務所の
出所識別表示として用いられているのであり,単に「〇〇通りという呼び名
の道路に近接する場所に所在する事務所」の名称と認識されるものではない。
10 ア 自他役務を識別するため,商標の選択に当たっては同一の名称を避ける
はずであるが,それにもかかわらず,「〇〇通り法律事務所」という法律
事務所の名称の使用例が多数あるということは,そのような構成をとる名
称に自他役務の出所識別機能があるからにほかならない。
被告は,「〇〇通り法律事務所」の「○○」が異なる使用例を多数示し
15 ているが,「〇〇」の部分が同一の使用例が多数存在するのであるならば
いざ知らず,「○○」の部分が異なる使用例を多数示したところで,「〇
〇通り法律事務所」との構成に自他役務の出所識別機能がないと根拠付け
ることはできない。
イ また,「〇〇通り□□事務所」は,「〇〇通り」という名詞に「□□事
20 務所」という名詞を結合させた複合名詞であるところ,複合名詞は各構成
要素の辞書的な意味を単純に足し合わせたものとはならないことが多い
類型である。そして,複合名詞である「〇〇通り□□事務所」の語も,単
に各構成要素の辞書的な意味を足し合わせた「〇〇通りという呼び名の道
路に近接する場所に所在する事務所」程の意味合いとして理解,認識され
25 るにとどまるものではなく,複合名詞として,それ以外の特定の意味を認
識させ得るものであり,需要者は,当該商標に接したとき,それが使用さ
れた役務は何人かの業務に係るものであると理解するのが自然である。そ
して,何人かの業務に係るものであることを認識できる以上,それが役務
の提供場所あるいは役務を提供する者の所在を含意するとしても,同時に,
使用主体である法律事務所又は特許事務所の出所という特定の意味を持
5 つものとして需要者に理解,認識されるというべきである。
現に,建物の貸与等を指定役務とする「外苑西通りビル」(甲21)の
ように,通りの名称に建物を意味する「ビル」との一般的な名称を組み合
わせた登録例が存する。役務の提供の場所と役務の提供の用に供する物の
一般的な名称を組み合わせたものであっても,一般的な名称に「外苑西通
10 り」のような個別の通りの名称を組み合わせた場合には,全体において,
造語として出所識別機能が発揮される。本願商標においても,「六本木通
り」という通りの個別の名称と特許等に関連する業務を行う事務所の一般
的な名称である「特許事務所」の文字との組み合わせは,その全体におい
て造語として需要者に印象付けられる。
15 ウ さらに,本願商標の「六本木通り特許事務所」は,本願商標以外に使用
例のない新規で意外性のある複合名詞であり,単に各構成要素の辞書的な
意味の足し合わせではなく,それ全体として,造語の結合商標として,需
要者に特定の意味を伝えるものといえる。
2 被告の主張
20 ⑴ 取引の実情の認定の誤りの主張について
ア 本願商標の構成中の「六本木通り」の文字は,昭和59年に設定された
東京都通称道路名であって(乙1)「東京都千代田区霞が関から渋谷区渋
谷までの道路の呼び名」(乙2)を意味する語である。
また,本願商標の構成中の「特許事務所」の文字の意味は,「弁理士の
25 事務所」(乙3)であるところ,「弁理士」の語の意味は,「特許・実用
新案・意匠または商標に関する登録出願等の代理もしくは鑑定などを業と
する者。一定の資格と弁理士登録簿への登録を要する」(乙4)であるこ
とから,「特許事務所」は,特許に関する登録出願の代理等を行う事務所
であると認識されるものである。
イ 本願商標の指定役務である第45類「スタートアップに対する特許に関
5 する手続の代理」は「特許事務所」が提供する役務であるが,同時に,本
願商標の指定役務を含む「特許に関する手続の代理」は,弁護士によって
も取り扱われ得る役務である。現に,これを取り扱っている法律事務所は
多数ある(乙52ないし58)。
ウ 道路の呼び名を表す「○○通り」の文字と,本願商標の指定役務を提供
10 し得る事務所であることを一般的に説明する「法律事務所」の文字とを結
合した例も多数ある(乙7ないし51)。
エ 前記ウのとおり,「○○通り」という道路の呼び名と,本願商標の指定
役務を提供し得る事務所であることを一般的に説明する「法律事務所」の
語とを結合した例が多数あり,同イのとおり,本願商標の指定役務を含む
15 「特許に関する手続の代理」の役務は,弁護士が開設する「法律事務所」
においても一般的に提供され得る役務といえる。そして,本願商標の指定
役務の主たる需要者は,弁理士のみならず弁護士からも当該役務の提供を
受けることができると認識,把握することから,弁護士の事務所である「法
律事務所」の名称の実情をも踏まえた上で,本願商標に接するとみるのが
20 相当である。
本願商標は,その指定役務との関係で,役務の提供場所と理解される「六
本木通り」の語と,役務を提供する事務所と理解される「特許事務所」の
語を単に結合させたものであるところ,上記のような法律事務所の例に鑑
みると,本願商標は,これに接する需要者をして,その構成全体から,「六
25 本木通り付近に所在する特許事務所」であると認識,理解するというべき
である。
⑵ 需要者の認識に係る判断の誤りの主張について
ア 「○○通り」という道路の呼び名と,本願商標の指定役務を提供し得る
事務所であることを一般的に説明する「法律事務所」とを結合した語は,
記述的な表現として,その場所(○○通り)付近で本願の指定役務を提供
5 し得る事務所という意味で使用されている。それゆえに,そのような語で
あることは,同語が自他役務の出所識別機能を有しないことの根拠となる。
イ 前記⑴アのとおり,「六本木通り」の語が,東京都千代田区霞が関から
渋谷区渋谷までの道路の呼び名として30年以上の長きに渡り広く一般
に慣れ親しまれ,普通に用いられていること,及び,「特許事務所」の語
10 が,本願商標の指定役務を提供する事務所であると一般的に理解される語
であるから,本願商標は,単に,その場所(六本木通り)で本願商標の指
定役務を提供する事務所であることを一般的に説明しているにすぎない
といえ,本願商標に接する需要者等をして,本願商標の構成全体から,「六
本木通り付近に所在する特許事務所」であると認識,理解させるものであ
15 る。
また,登録出願に係る商標が登録され得るものであるか否かの判断は,
指定商品,指定役務等の取引の実情を考慮し,当該商標の全体の構成に基
づいて,個々の商標ごとに個別具体的に検討,判断されるべきものであり,
全体の構成を異にする他の商標登録例が存在することは,本願商標が商標
20 法3条1項6号に該当するか否かについての判断を左右しない。
ウ 本願商標は,その指定役務との関係で,役務の提供場所と理解される「六
本木通り」の語と,役務を提供する事務所と理解される「特許事務所」の
語を単に結合させたものであり,本願商標に接する需要者をして,その構
成全体から,「六本木通り付近に所在する特許事務所」であると認識,理
25 解させるものである。
第4 当裁判所の判断
1 商標法3条1項6号該当性について
⑴ 本願商標は,「六本木通り特許事務所」の文字を標準文字で表してなり,
指定役務を第45類「スタートアップに対する特許に関する手続の代理」と
するものである。
5 本願商標の構成中の「六本木通り」の文字は,昭和59年(1984年)
に,起点を東京都千代田区霞が関2丁目,終点を渋谷区渋谷2丁目とする道
路に東京都が設定した通称名を意味する語である(乙1)。また,本願商標
の構成中の「特許事務所」の文字は,弁理士等が業務を行う事務所を意味す
る語であり(弁理士法76条1項参照),弁理士は,特許,実用新案,意匠,
10 商標等に関する特許庁における手続等の代理又はこれらの手続に係る事項に
関する鑑定その他の事務を行うこと等をする者であり(弁理士法4条参照),
事務を行う者が所在する事務所があたかも事務を行う主体と呼ばれることは
慣用の表現であるから,「特許事務所」は,特許に関する手続の代理等を行
う者の一般的名称と認識されるものである。
15 そうすると,本願商標は,道路の通称名である「六本木通り」の文字と,
特許に関する手続の代理等を行う者の一般的名称である「特許事務所」の文
字とを結合したものと認識,理解されるものである。
⑵ 本願商標の指定役務である「スタートアップに対する特許に関する手続の
代理」は,「特許に関する手続の代理」の範囲を「スタートアップ」に係る
20 ものに限定したものであり,語義からして「特許に関する手続の代理」に含
まれることは明らかであるから,本願商標の構成中の「特許事務所」の文字
は,本願商標の指定役務を提供する者の一般的名称を意味すると理解される。
また,本願商標の構成中の「六本木通り」は,本件審決時である令和2年(2
020年)9月時点で35年以上の長きに渡り広く一般に慣れ親しまれてい
25 る道路の通称名であるから,本願商標の指定役務の提供の場所を意味すると
理解される。
そうすると,本願商標に係る「六本木通り特許事務所」との文字は,本願
商標の指定役務との関係で,役務の提供場所と理解される「六本木通り」と
の文字と,役務を提供する者の一般的な名称と理解される「特許事務所」の
文字とを結合させたものであるから,本願商標の指定役務の需要者は,これ
5 を「通称を六本木通りとする道路に近接する場所に所在する特許に関する手
続の代理等を行う者」を意味するものと認識するというべきである。
以上からすると,「六本木通り特許事務所」との文字は,六本木通りに近
接する場所において本願商標の指定役務を提供している者を一般的に説明し
ているにすぎず,本願商標の指定役務の需要者において,他人の同種役務と
10 識別するための標識であるとは認識し得ないものというべきであって,その
構成自体からして,本願商標の指定役務に使用されるときには,自他役務の
出所識別機能を有しないものと認められる。
したがって,本願商標は,商標法3条1項6号に該当するものというべき
であり,これと同旨の本件審決の判断に誤りはない。
15 ⑶ 原告の主張について
ア 原告は,本願商標の指定役務の分野において「〇〇通り□□事務所」の
文字が広く採択,使用されているとの本件審決の認定は誤りである,ある
いは本願商標の指定役務を取り扱う法律事務所や「〇〇通り法律事務所」
という名称の法律事務所が多数あるとしても,「〇〇通り法律事務所」と
20 の名称に自他役務の出所識別機能がないと根拠付けることはできない旨
主張する。
確かに,これらの主張については,当裁判所としても首肯し得る面もあ
る。しかしながら,そもそも本願商標の指定役務の分野において「〇〇通
り□□事務所」の文字が広く採択,使用されているとの事実の有無や,本
25 願商標の指定役務を取り扱う法律事務所や「〇〇通り法律事務所」という
名称の法律事務所が多数あるとの事実の有無等が,本願商標の自他役務の
出所識別機能の有無の判断に当たって必要な前提事実となるものではな
いから,これらの点に関する本件審決の認定に誤りがあるとしても,その
認定の誤りが結論を左右するものではなく,本願商標に自他役務の出所識
別機能を認めることができないことについては,前記⑵において認定判断
5 したとおりである。
したがって,原告の上記主張は,結論を左右しない点に関する誤りを主
張するにすぎず,採用し得ない。
イ 原告は,「〇〇通り□□事務所」の語は,単に各構成要素の辞書的な意
味を足し合わせた意味だけを有するものではないから,本願商標も,その
10 全体において造語として需要者に印象付けられる旨主張する。
一般的に,複数の語を組み合わせてなる語がそれを構成する各語の意味
を結合したものを超える意味を有し得るとはいえるものの,原告は,「通
称を六本木通りとする道路に近接する場所に所在する特許に関する手続
の代理等を行う者」と認識される本願商標が,その組合せ自体によりこれ
15 とは異なる新たな意味を生じさせること,あるいは,使用された結果,何
人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っている
ことを何ら具体的に主張立証していないから,原告の上記主張は,その前
提を欠くものというべきであって,採用することができない。
ウ 原告は,本願商標は,新規で意外性のある造語である旨主張する。
20 しかしながら,商標の構成についていえば,「○○通り」と「法律事務
所」とを組み合わせた構成をとる商標は多数の例が認められ(乙7ないし
51),法律事務所は特許事務所と同様に本願商標の指定役務を提供し得
る事務所であるから(弁護士法74条1項,3条2項参照),「法律事務
所」を「特許事務所」と言い換えて「○○通り」と「特許事務所」との組
25 合せとしたとしても,格別,新規なものとは認識し得ないといえ,その構
成に意外性もない。また,前記⑵のとおり,本願商標の構成中の「六本木
通り」の文字は,35年以上の長きに渡り広く一般に慣れ親しまれている
道路の通称名であり,本願商標の構成中の「特許事務所」は,本願商標の
指定役務を提供する者を意味する一般的な名称であるから,この両語の組
合せから新規な意外性を生じるということもできない。
5 したがって,原告の上記主張を採用することはできない。
エ 原告がそのほかにるる主張するところも,前記⑵の結論を左右するに足
りるものではない。
2 結論
以上のとおり,原告主張の取消事由は理由がないから,原告の請求を棄却す
10 ることとして,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第4部
15 裁判長裁判官
菅 野 雅 之
裁判官
20 本 吉 弘 行
裁判官
中 村 恭

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