ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和1(ワ)26463 商標権侵害差止等請求事件
| 裁判所 | 東京地方裁判所東京地方裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 令和2年9月29日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 当事者 | 原告ヴェンガーエスアー 被告TRAVELPLUSINTERNATIONAL株式会社 |
| 法令 |
商標権 商標法36条1項2回 商標法37条1号1回 |
| キーワード | 商標権7回 差止3回 侵害3回 優先権1回 |
| 主文 | 1 被告は,別紙被告標章目録記載1,2又は3の標章を付したバックパック, 2 被告は,前項の製品を廃棄せよ。20 3 訴訟費用は被告の負担とする。 4 この判決は,仮に執行することができる。 |
| 事件の概要 | 本件は,別紙原告商標目録記載の商標登録に係る商標権(以下「原告商標権」 といい,その登録商標を「原告商標」という。)を有する原告が,別紙被告標章 目録記載1,2又は3の各標章(以下,それぞれ「被告標章1」,「被告標章2」, 「被告標章3」といい,これらを併せて「被告各標章」という。)はいずれも原 告商標に類似するから,被告が被告各標章を付したバックパック,肩掛けかば5 ん,ブリーフケース,旅行かばん,カジュアルバッグ(以下「被告商品」とい う。これらはいずれも原告商標の指定商品に該当する。)を輸入,販売し,又は 販売のために展示すること(以下,これらの行為を併せて「販売等」という。) は,いずれも原告商標権を侵害する旨主張して,商標法36条1項,37条1 号に基づき,被告各標章を付した被告商品の販売等の差止めを求め,商標法310 6条2項に基づき,被告商品の廃棄を求める事案である。 |
本サービスは判決文を自動処理して掲載しており、完全な正確性を保証するものではありません。正式な情報は裁判所公表の判決文(本ページ右上の[判決文PDF])を必ずご確認ください。
令和2年9月29日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和元年(ワ)第26463号 商標権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結日 令和2年8月18日
判 決
原 告 ヴェンガー エス アー
同訴訟代理人弁護士 松 永 章 吾
同訴訟代理人弁理士 前 川 砂 織
被 告 TRAVELPLUS INTERNATIONAL株式会社
同訴訟代理人弁護士 山 田 秀 一
同 補 佐 人 弁 理 士 奥 野 貴 男
主 文
1 被告は,別紙被告標章目録記載1,2又は3の標章を付したバックパック,
肩掛けかばん,ブリーフケース,旅行かばん,カジュアルバッグを輸入,販売
し,又は販売のために展示してはならない。
2 被告は,前項の製品を廃棄せよ。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 この判決は,仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
主文同旨
第2 事案の概要
本件は,別紙原告商標目録記載の商標登録に係る商標権(以下「原告商標権」といい,その登録商標を「原告商標」という。)を有する原告が,別紙被告標章目録記載1,2又は3の各標章(以下,それぞれ「被告標章1」,「被告標章2」,「被告標章3」といい,これらを併せて「被告各標章」という。)はいずれも原
5 告商標に類似するから,被告が被告各標章を付したバックパック,肩掛けかばん,ブリーフケース,旅行かばん,カジュアルバッグ(以下「被告商品」という。これらはいずれも原告商標の指定商品に該当する。)を輸入,販売し,又は販売のために展示すること(以下,これらの行為を併せて「販売等」という。)は,いずれも原告商標権を侵害する旨主張して,商標法36条1項,37条1号に基づき,被告各標章を付した被告商品の販売等の差止めを求め,商標法36条2項に基づき,被告商品の廃棄を求める事案である。1 前提事実(証拠等を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。なお,枝番号の記載を省略したものは,枝番号を含む。以下同様。)
⑴ 当事者ア 原告は,明治26年(1893年)にスイス連邦(以下「スイス」という。)で創業し,大正11年(1922年)に法人化された,かばん製品等の製造・販売業を営む会社であり,日本国を含む世界の市場においてかばん製品等を販売している(弁論の全趣旨)。イ 被告は,中華人民共和国(以下「中国」という。)でかばん類の製造業を営む祥興(福建)箱包集団有限公司(以下「被告本社」という。)の日本法人として,平成28年1月8日に設立された,かばん製品の卸売業を営む株式会社である(以下,被告本社と被告を含む祥興グループを「被告グループ」という。)。
⑵ 原告商標権原告は,別紙原告商標目録記載の原告商標権(指定商品には,被告商品が含まれている。)を有し,原告商標を付したかばん製品(以下「原告商品」という。)等を販売している(甲1,2)。
⑶ 被告の行為被告は,平成28年1月8日の設立後から現在に至るまで,被告本社が中国において製造した被告商品を輸入し,これにつき日本国内において販売の
5 申出をし,販売をしている。被告商品には,被告各標章が付されているほか,被告の自社ブランド名「SWISSWIN」が付されている。2 争点及びこれに関する当事者の主張本件の争点は,原告商標と被告各標章の類否である。
⑴ 原告の主張原告商標と被告各標章は,次のとおり,それぞれ類似している。ア 外観原告商標は,黒地のやや丸みのある略正方形を白色で縁取った図形であり,図形中央に白の幅広の十字を配置したものである。これに対し,被告標章1は,角を欠いた黒地の略正方形を銀色で縁取った図形であり,図形中央に銀色の幅広の十字を配置したものであり,被告標章2は,角を欠いた黒地の略正方形を白色で縁取った図形であり,図形中央に白色の幅広の十字を配置したものであり,被告標章3は,角を欠いた略正方形を縁取った図形であり,図形中央に幅広の十字を配置したものである。原告商標と被告各標章の外観を対比すると,原告商標の外観はやや丸みを帯びているものの,いずれも略正方形の中央に縁取りと同色の幅広の十字が表された構成となっている点で,その構成の軌を一にするものであり,図形全体として看者に共通した印象を与え,両者は,外観において互いに相紛れるおそれがあり,極めて類似するものといえる。特に,被告商品は,被告各標章がワンポイントマークとして小さく表示され,インターネット上で数千円程度の金額で販売されているという取引の実情に鑑みると,需要者が,両者の些細な外観上の相違点を看取することは困難であり,商品の出所の誤認混同が生ずる可能性は極めて高い。したがって,原告商標と被告各標章は,外観上類似である。イ 称呼原告商標及び被告各標章からは,いずれも図形中央の十字の図形により,
5 「ジュウジ」又は「クロス」との称呼が生ずるから,称呼上も類似である。ウ 観念原告商標及び被告各標章からは,いずれも図形中央の十字の図形により,「十字」又は「クロス」との観念が生ずるから,観念上も類似である。エ 小括このように,原告商標と被告各標章は,それぞれ外観,称呼及び観念が類似しており,外観上の些細な差異はあるものの,取引の実情に鑑みれば,両者の類似性を否定すべき根拠とはなり得ず,被告商品に被告各標章が付されると,需要者は,これが原告の商品であるかのごとく誤認混同するといえ,実際に,被告グループによる原告ブランドと被告ブランドの意図的混同惹起行為等によって,インターネット市場における原告商品と被告商品の深刻な混同が生じている。したがって,原告商標と被告各標章は,それぞれ類似している。
⑵ 被告の主張原告商標と被告各標章は,次のとおり,それぞれ類似していない。ア 外観原告の所在地であるスイスの国旗は,正方形の中に十字が配置されているものであるところ,原告商標は,商標法4条1項1号の「外国の国旗と同一又は類似の商標」に該当しないものとして,適法に国内登録されており,国際出願の商標記述にも,「本標章は,丸められた縁を有する四角形に囲まれた,丸められた縁を有する四角形の上にある十字からなる。」と記載されている。そうだとすれば,原告商標は,丸められた角かつ辺の中程を膨らませた円弧状の辺から構成される黒地の図形の中に白地の十字を配した図形と,当該図形を囲むように同じく丸められた角かつ辺の中程を膨らませた円弧状の辺から構成される略四角形の線描から成るものであると理解すべきで
5 ある。これに対し,被告標章1は,隅切りされた角かつ直線的な辺から構成される正方形の中に,当該正方形の銀色の縁(辺)の幅の約2倍程度の太さ(幅)による十字の図形を配置したものであり,被告標章2は,丸められた角かつ直線的な辺から構成される正方形の中に,当該正方形の白色の縁(辺)の幅の約2倍程度の太さ(幅)による十字の図形を配置したものであり,被告標章3は,丸められた角かつ直線的な辺から構成される陰刻又は陽刻された正方形の中に,当該正方形の縁(辺)の幅の約2倍程度の太さ(幅)の陰刻又は陽刻された十字の図形を配置したものである。原告商標と被告各標章の外観を対比すると,原告商標は,ユニークな外観を有するのに対し,被告各標章は,いずれもスイスの国旗の形状に類似した外観を有している。したがって,原告商標と被告各標章の外観は,それぞれ類似していない。イ 称呼日本国では,中世より十字と幾何学図形とを組み合わせた家紋や暖簾記号が使用されている習慣があり,正方形の中に図形を配置した暖簾記号が「カク〇〇」(○○は正方形の中に配置された図形の名称)と呼ばれることも周知である。そうすると,原告商標は「マルカクジュウジ」又は「マルカクジュウ」,被告各標章は「カクジュウジ」又は「カクジュウ」とそれぞれ称呼されるといえ,両者は容易に聞き分けられる。したがって,原告商標と被告各標章の称呼は,それぞれ類似していない。ウ 観念原告商標と被告各標章からは,いずれも特に観念は生じないと考えられるが,あえて何らかの観念が生ずるとすれば,原告商標からは「丸まった四角の十字」,被告各標章からは「四角の十字」という観念が生ずる可能性がある。
5 したがって,原告商標と被告各標章の観念は,それぞれ類似していない。エ 小括このように,原告商標と被告各標章は,それぞれ外観,称呼及び観念が類似せず,個人的な好みや嗜好が優先されるバッグに関する商品の取引の実情に鑑みると,需要者は,原告商標と被告各標章の細かい点にも十分に注意を払って,これらの相違を十分に認識し,容易に区別することができるといえる。したがって,原告商標と被告各標章は,それぞれ類似していない。
第3 当裁判所の判断
1 認定事実
前記前提事実に加え,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
⑴ 被告グループは,欧米の著名ブランドのかばん類のOEM製造(相手方ブ
ランドによる製造)を営んでおり,原告ブランドの一つである「SWISSGEAR」のOEM製造を行ったこともある(弁論の全趣旨)。他方で,被告は,中国の被告本社が製造した被告各標章を付した被告商品を輸入し,日本国内において,自社ブランド「SWISSWIN」名を付して販売している。
⑵ 原告訴訟代理人が,平成31年3月19日,インターネット上のショッピ
ングサイトである「アマゾンジャパン」において,ブランド名が「(スイスウィン)SWISSWIN」と表示されたリュックサック2点を購入したところ,そのうちの1点については,商品タグに「輸入発売元」として被告の社名が表示され,本体上部のハンドル(持ち手)及び同本体正面の留め具等に「SWISSWIN」と表示されるとともに,本体正面には被告標章1が,本体のショルダーストラップ(バッグを肩から掛けるための帯状のベルト),本体裏面及び上記ハンドルには被告標章2が,本体のファスナー及び上記留
5 め具等には被告標章3が,それぞれ付されており(甲4),もう1点につい
ては,本体正面及び商品タグに「SWISSGEAR BY WENGER」と表示され,原告商標が付される一方で,「2年間保証 2YEAR WARRANTY」というタグのブランド名には,「SWISSWIN/SUISSEWIN」(被告のブランド名)が記載されていた(甲5)。
⑶ かばん製品の販売業者は,令和2年2月頃,インターネット上のショッピ
ングサイトである「Yahoo!JAPAN ショッピング」において,商品名として「SWISSWIN SWISSGEAR デイパック バックパック ウェンガー WENGER」などと表示し,商品情報として「スイスの人気アウトドアブランドWENGERシリーズSWISSWINから多機能&収納豊富でスタイリッシュなデザインのバッグの登場です。」などと表示して,被告商品を販売するなどしていた(甲6)。
2 判断
そこで,前記前提事実及び上記認定事実を踏まえて,原告商標と被告各標章がそれぞれ類似しているといえるかについて判断する。
⑴ 商標の類否は,同一又は類似の商品に使用された商標が,商品の出所につ
き誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであり,それには,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものである。
⑵ 原告商標及び被告各標章について
ア 原告商標について原告商標は,やや丸みを帯びた縁(辺)を有する略四角形(略正方形)と,これに囲まれた略相似形である,同様にやや丸みを帯びた縁(辺)を有する略四角形(略正方形)と,その内部(中央)に位置する幅広の十字から成り,前者の略四角形の縁と後者の略四角形の縁とが成す部分(外縁
5 部分)は白色,後者の略四角形の内部は白色である上記十字を除いて黒色
であり,上記十字の幅は原告商標の外縁部分の幅の3倍程度となっている。イ 被告各標章について被告標章1は,隅切りされた角と直線状の縁(辺)を有する略四角形(略正方形)と,これに囲まれた略相似形である,丸められた角と直線状の縁(辺)を有する略四角形(略正方形)と,その内部(中央)に位置する幅広の十字から成り,前者の略四角形の縁と後者の略四角形の縁とが成す部分(外縁部分)は銀色,後者の略四角形の内部は銀色である上記十字を除いて黒色であり,上記十字の幅は被告標章1の外縁部分の幅の2倍程度となっている。また,被告標章2は,丸められた角と直線状の縁(辺)を有する略四角形(略正方形)と,これに囲まれた略相似形である,同様に丸められた角と直線状の縁(辺)を有する略四角形(略正方形)と,その内部(中央)に位置する幅広の十字から成り,前者の略四角形の縁と後者の略四角形の縁とが成す部分(外縁部分)は白色,後者の略四角形の内部は白色である上記十字を除いて黒色であり,上記十字の幅は被告標章2の外縁部分の幅の2倍程度となっている。さらに,被告標章3は,隅切りされた角と直線状の縁(辺)を有する略四角形(略正方形)と,これに囲まれた略相似形である,丸められた角と直線状の縁(辺)を有する略四角形(略正方形)と,その内部(中央)に位置する幅広の十字から成り,前者の略四角形の縁と後者の略四角形の縁とが成す部分(外縁部分)は陽刻(浮彫りになるように構成)され,後者の略四角形の内部は上記十字を除いて陰刻(浮彫りとなる部分と比べて窪んでいるように構成)され,上記十字は陽刻されており,その幅は被告標章3の外縁部分の幅と同程度となっており,配色は全体として黒ないしそれに近い色彩となっている。
5 ⑶ 対比
ア 原告商標と被告標章1について原告商標と被告標章1とは,四隅が直角でない略四角形(略正方形)と,これに囲まれた略相似形である略四角形(略正方形)と,その内部(中央)に位置する幅広の十字から成るという点において共通し,略四角形(略正方形)の縁(辺)や四隅の態様,上記十字の幅,外縁部分や十字の色の点において異なっている。しかして,両者の上記共通点は,原告商標の指定商品,被告商品の取引者,需要者が着目する図形の全体的構成に関わる部分である一方,両者の上記差異点は,①略四角形(略正方形)の縁(辺)が,やや丸みを帯びているか(原告商標) 直線状であるか, (被告標章1),②その四隅の態様が,丸みを帯びているか(原告商標),隅切りであるか(被告標章1),③十字の幅が,外縁部分の幅の3倍程度であるか(原告商標),2倍程度であるか(被告標章1),④外縁部分及び十字の色が,白色であるか(原告商標),銀色であるか(被告標章1)などというものであって,上記①ないし③については,それぞれの内容自体に照らせば,全体的構成に関わる上記共通点と比べると微差というべきものであり,上記共通点から全体として受ける類似との印象を凌駕するものとは考え難い。また,上記④についても,他の部分(黒色)と比較した場合,上記部分が白色であるか銀色であるかによって両者が全体として異なる印象となるものとは考え難い。このように,原告商標と被告標章1の外観は類似しており,また,両者の称呼,観念も上記共通点から生ずるものであって異ならない 「ジュウジ」(「クロス」などの同一の称呼及び「十字」「クロス」などの同一の観念が生ずるといえる。)ものというべきである。そうすると,両者について,かばん製品(原告商標の指定商品,被告商品)に使用されたときにその外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合
5 して,上記かばん製品に係る取引の実情(取引業者を経て,店舗やインタ
ーネット上のショッピングサイト等を通じて,一般消費者に販売されるものといえる〔甲4,5,乙3,弁論の全趣旨〕。)を踏まえつつ全体的に考察すると,原告商標と被告標章1とは,原告商標の指定商品,被告商品に使用されたとき,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるといえ,両者は類似するものというべきである。イ 原告商標と被告標章2について原告商標と被告標章2とは,四隅が直角でない略四角形(略正方形)と,これに囲まれた略相似形である略四角形(略正方形)と,その内部(中央)に位置する幅広の十字から成るという点において共通し,略四角形(略正方形)の縁(辺)の態様(丸みを帯びているか直線状であるか),上記十字の幅(外縁部分の幅の3倍程度か2倍程度か)の点において異なっている。しかして,両者の上記共通点は,原告商標の指定商品,被告商品の取引者,需要者が着目する図形の全体的構成に関わる部分である一方,両者の上記差異点は,それぞれの内容自体に照らせば,全体的構成に関わる上記共通点と比べると微差というべきことが明らかであり,上記共通点から全体として受ける類似との印象を凌駕するものとは考え難い。このように,原告商標と被告標章2の外観は類似しており,また,両者の称呼,観念も上記共通点から生ずるものであって上記アと同様に異ならないものというべきである。そうすると,両者について,かばん製品(原告商標の指定商品,被告商品)に使用されたときにその外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,上記アと同様の取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すると,原告商標と被告標章2とは,原告商標の指定商品,被告商品に使用されたとき,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるといえ,両者は類似するものというべきである。
5 ウ 原告商標と被告標章3について
原告商標と被告標章3とは,四隅が直角でない略四角形(略正方形)と,これに囲まれた略相似形である略四角形(略正方形)と,その内部(中央)に位置する幅広の十字から成るという点において共通し,略四角形(略正方形)の縁(辺)や四隅の態様,上記十字の幅,外縁部分や十字の色,陽刻・陰刻の点において異なっている。しかして,両者の上記共通点は,被告標章1,2の場合と同様,原告商標の指定商品,被告商品の取引者,需要者が着目する図形の全体的構成に関わる部分である一方,両者の上記差異点は,①略四角形(略正方形)の縁(辺)が,やや丸みを帯びているか(原告商標),直線状であるか(被告標章3),②その四隅の態様が,丸みを帯びているか(原告商標),隅切りであるか(被告標章3),③十字の幅が,外縁部分の幅の3倍程度であるか(原告商標),同程度であるか(被告標章3),④外縁部分や十字の色が,白色であるか(原告商標) 黒ないしそれに近い色彩であるか, (被告標章3),
⑤陽刻 陰刻の有無というものであるところ,
・ 上記①ないし③については,それぞれの内容自体に照らせば,全体的構成に関わる上記共通点と比べると微差というべきものであり,上記共通点から全体として受ける類似との印象を凌駕するものとは考え難い。また,上記④,⑤についても,原告商標の指定商品,被告商品が,かばん製品であり,標章は,かばん本体だけでなく,ファスナー,留め具,ハンドル(持ち手),ショルダーストラップ(バッグを肩から掛けるための帯状のベルト)など様々な位置に付され得ること(甲4,弁論の全趣旨)をも踏まえれば,取引者,需要者においては,金具部分への刻印等により外縁部分や十字が他の部分から浮彫りになっているもの(被告標章3)であっても,外縁部分や十字の色が白色で他の部分が黒色であるもの(原告商標)と対比して,全体として異なる印象を受けるものではないといえ,上記共通点から全体として受ける類似との
5 印象を凌駕するものとは考え難い。
このように,原告商標と被告標章3の外観は類似しており,また,両者の称呼,観念も上記共通点から生ずるものであって前記アと同様に異ならないものというべきである。そうすると,両者について,かばん製品(原告商標の指定商品,被告商品)に使用されたときにその外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,前記アと同様の取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すると,原告商標と被告標章3とは,原告商標の指定商品,被告商品に使用されたとき,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるといえ,両者は類似するものというべきである。
⑷
(被告の主張)
についてア 被告は,原告商標と被告各標章の外観を対比すると,原告商標は,ユニークな外観を有するのに対し,被告各標章は,いずれもスイスの国旗の形状に類似した外観を有しており,原告商標と被告各標章の外観は,それぞれ類似していない旨主張する。しかし,スイスの国旗は,赤色の正方形の内部に白色の幅広の十字が配置されているものであり(乙1),かばん製品(原告商標の指定商品,被告商品)の取引者,需要者は,その特徴的な赤色,白色や正方形の形により,その印象,記憶,連想等を総合して,スイスの国旗と原告商標とを対比した場合だけでなく,スイスの国旗と被告各標章とを対比した場合についても,両者は全体として全く異なると認識するというべきである。また,原告商標と被告各標章の外観が類似するというべきであることは,前記説示のとおりである。以上によれば,被告の上記主張は採用することができない。イ 被告は,原告商標と被告各標章は,それぞれ外観,称呼及び観念が類似せず,個人的な好みや嗜好が優先されるバッグに関する商品の取引の
5 実情に鑑みると,需要者は,原告商標と被告各標章の細かい点にも十分
に注意を払って,これらの相違を十分に認識し,容易に区別することができるといえる旨主張する。しかし,かばん製品(原告商標の指定商品,被告商品)について,個人的な好みや嗜好が購買の有力な契機となるものとしても,前記説示のとおり,原告商標と被告各標章の共通点は,四隅が直角でない略四角形(略正方形)と,これに囲まれた略相似形である略四角形(略正方形)と,その内部(中央)に位置する幅広の十字から成るという,取引者,需要者が着目する全体的構成に関わるものであり,これによる印象,記憶,連想等から全体的に類似するとの取引者,需要者の認識は,相当強いものといわなければならない。そして,前記説示のとおり,原告商標と被告各標章の差異点の内容からみて,取引者,需要者が,同差異点から,上記の全体的に類似するとの認識を凌駕するほどの印象等を受けるとは考えられず,これを具体的に認めるに足りる客観的な証拠も見当たらない。そうすると,被告の指摘する個人的な好みや嗜好が購買契機になるとの一般的な事情を考慮したとしても,そのことから直ちに,取引者,需要者が,原告商標と被告各標章の前記説示の差異点に注意を払い,これを十分に認識するといえることにはならないというべきである(なお,被告グループは,原告商品のOEM製造を行ったこともあるところ,インターネット上のショッピングサイトでは,実際に原告商品と被告商品の出所について誤認混同が生じていることがうかがわれる〔前記1の認定事実⑴ないし⑶〕 )。。以上によれば,被告の上記主張は採用することができない。
⑸ 小括
以上のとおり,原告商標及び被告各標章とは,それぞれ類似しているというべきであり,被告において,被告各標章が付された被告商品を販売等する
5 行為は,原告商標権を侵害する行為とみなされる(商標法37条1号,2条
3項2号)。したがって,原告は,被告に対し,商標法36条1項,37条1号に基づき,被告各標章を付した被告商品の販売等の差止めを求めるとともに,商標法36条2項に基づき,被告商品の廃棄を求めることができる。
3 結論
よって,原告の請求はいずれも理由があるからこれらを認容することとして,主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第47部裁判長裁判官 田 中 孝 一裁判官 奥 俊 彦裁判官 西 尾 信 員別 紙原告商標目録
5 登録番号 国際登録第1002196号
国際登録日 2009年(平成21年)1月16日(優先権主張 2008年(平成20年)8月14日米国出願)国内登録日 2010年(平成22年)11月5日商品の区分 第8類,9類,14類,18類,25類指定商品 第18類 All-purpose dry bags, luggage, backpacks, daypacks,duffel bags, utility bags, shoulder bags, casual bags,briefcases, non-motorized wheeled packs, cosmetic cases soldempty and toiletry cases sold empty, travel bags, smallpersonal leather goods, namely, wallets, billfolds, creditcard cases, neck, necklace wallets, and shaving bags soldempty; umbrellas and name and calling card cases, cosmeticcases sold empty, toiletry cases sold empty, luggage tags,waistpacks, bags worn on the body, business cases, travelbags, all-purpose personal care bags, small personal leathergoods; shoe bags for travel; unfitted bags for handheldelectronic devices; waistpacks for holding electronic devices.等(参考訳)汎用防水バッグ,旅行かばん,バックパック,デイパック(日帰りハイキング用などの小型ナップサック),ダッフルバッグ,多用途のかばん,肩掛けかばん,カジュアルバッグ,ブリーフケース,車輪の付いたパック(原動機付きのものを除く。),化粧品用ケース(中身が入っていないもの),旅行かばん,革製の小さな身の回りの物,すなわち財布,札入れ,クレジットカード入れ,首にぶら下げる財布・ネックレス付きの財布,シェービングバッグ(中味が入っていないも
5 の),傘及び名刺用ケース,化粧品用ケース(中身なし),化粧品入
れ(空のもの),旅行かばん用タグ,ウエストパック,身体に装着させるかばん,書類かばん,旅行かばん,汎用の身の回りの物を入れるかばん,革製の小さな身の回りの物,旅行用靴袋,手持ち式の電子式装置に不向きなバッグ,電子式装置保持用のウエストパック等登録商標以 上別 紙被告標章目録
1 被告標章1
2 被告標章2
被告標章3以 上
| 特許裁判例 実用新案裁判例 |
| 意匠裁判例 商標裁判例 |
| 不正競争裁判例 著作権裁判例 |
| 特許判例 実用新案判例 |
| 意匠判例 商標判例 |
| 不正競争判例 著作権判例 |
10月29日(木) - オンライン
10月29日(木) - オンライン
10月29日(木) - オンライン
10月29日(木) - オンライン
10月30日(金) - オンライン
10月29日(木) - オンライン
11月2日(月) - オンライン
11月2日(月) - オンライン
11月2日(月) - オンライン
11月2日(月) - オンライン
11月4日(水) - オンライン
11月4日(水) - オンライン
11月4日(水) - オンライン
11月5日(木) - 大阪 大阪市西区
11月5日(木) - オンライン
11月5日(木) - オンライン
11月5日(木) - 大阪 大阪市
11月5日(木) - 大阪 大阪市
11月5日(木) - 愛知 名古屋市
11月5日(木) - 東京 港
11月5日(木) - オンライン
11月5日(木) - オンライン
11月5日(木) - オンライン
MyTokkyo.Aiで何ができる? MyTokkyo.Ai導入検討者向け説明会|研究開発・知財のための基本機能と活用事例
11月6日(金) - 東京 港区
11月6日(金) - オンライン
11月6日(金) - 大阪 大阪市
11月6日(金) - オンライン
11月6日(金) - オンライン
11月2日(月) - オンライン
〒195-0074 東京都町田市山崎町1089-10 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 鑑定 コンサルティング
大阪府大阪市西区靱本町1丁目10番4号 本町井出ビル2F 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング
東京都新宿区新宿5-10-1 第2スカイビル6階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング