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令和2(ワ)4023民事訴訟 特許権

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裁判所 請求棄却 大阪地方裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日 令和3年10月7日
事件種別 民事
当事者 原告有限会社大久保製作所
被告P1
対象物 自転車のチャイルドシートカバー用装着補助プレート
法令 特許権
特許法102条2項1回
キーワード 実施21回
特許権18回
侵害14回
差止4回
損害賠償2回
主文 1 被告は,原告に対し,62万7305円及びこれに対する15
2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は,これを100分し,その1を被告の負担とし,
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事件の概要 1 本件は,発明の名称を「自転車のチャイルドシートカバー用装着補助プレー ト」とする特許(特許第6457870号。以下「本件特許」といい,本件特許に 係る特許権を「本件特許権」という。また,本件特許に係る特許請求の範囲請求項

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判決文

令 和 3 年10月7日判決言渡 同日判決原本交付 裁判所書記官
令 和 2年 (ワ)第40 23号 特許権侵害 行為 差止等請求事件
口 頭 弁 論終結の日 令和3年8月30 日
判 決
5 原告 有限会社大久保製作所
同訴訟代理人弁護士 麻田光広
同 丹治典彦
同 家木祥孝
同 内和美
10 被告 P1
同訴訟代理人弁護士 小宮路智也
同 上田隆貴
同 野中辰哲
主 文
15 1 被告は,原告に対し,62万7305円及びこれに対する
令和2年6月4日から支払済みまで年3 分の割合による金員
を支払え。
2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は,これを100分し,その1を被告の負担とし,
20 その余は原告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
1 被告は,別紙物件目録記載の製品の製造,販売又は販売の申出をしてはなら
25 ない。
2 被告は,前項の製品を廃棄せよ。
3 被告は,原告に対し,1926万3771円及びこれに対する令和2年6月
4日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
4 被告は,原告に対し,4813万4834円及びこれに対する令和3年3月
26日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
5 第2 事案の概要
1 本件は,発明の名称を「自転車のチャイルドシートカバー用装着補助プレー
ト」とする特許(特許第6457870号。以下「本件特許」といい,本件特許に
係る特許権を「本件特許権」という。また,本件特許に係る特許請求の範囲請求項
1記載の発明を「本件発明」という。)の特許権者である原告が,別紙物件目録記
10 載の各製品(以下,各製品を順に「イ号物件」などという。また,これらを併せて
「各被告製品」という。)は本件発明の技術的範囲に属し,その製造,販売,販売
の申出は本件特許権を侵害するとして,被告に対し,本件特許権に基づき各被告製
品の製造,譲渡,譲渡の申出の差止及び各被告製品の廃棄を求めると共に,イ号物
件ないしヘ号物件に係る本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償として192
15 6万3771円及びこれに対する訴状送達の日の翌日からの遅延損害金の支払,並
びにト号物件及びチ号物件に係る損害賠償として4813万4834円及びこれに
対する訴えの変更申立書(2)送達の日の翌日からの遅延損害金の支払を求める事
案である。
2 前提事実(証拠を掲げていない事実は,争いのない事実又は弁論の全趣旨に
20 より容易に認められる事実である。)
(1) 当事者
ア 原告は,自転車用品の製造,加工,販売等を業とする特例有限会社である。
イ 被告は,P2の商号で子供乗せ自転車用レインカバーの製造,販売等を業と
する個人である。
25 (2) 本件特許権
原告は,以下の特許権(本件特許権)を有する(以下,本件特許の願書に添付さ
れた明細書及び図面を「本件明細書」という。)。本件明細書の記載は,別紙「特
許公報」(甲2)のとおりである。
特許番号 特許第6457870号
発明の名称 自転車のチャイルドシートカバー用装着補助プレート
5 出願日 平成27年4月6日
登録日 平成30年12月28日
特許請求の範囲 別紙「特許公報」の特許請求の範囲請求項1記載のとおり
(3) 構成要件の分説
本件発明を構成要件に分説すると,以下のとおりである。
10 A 自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されたチャイルドシートにチャ
イルドシートカバーを装着する際に使用する装着補助プレートであって,
B この装着補助プレートの前面部は前記チャイルドシートの背面に接合でき,
その背面部には係着部材が設けられ,
C 当該装着補助プレートの適宜位置にはこの装着補助プレートをチャイルドシ
15 ートに装着するための装着手段を設け,
D これにより,前記装着補助プレートをチャイルドシートに装着し,この装着
補助プレートの背面部の係着部材をチャイルドシートカバーの背面部内側に設けら
れた係着部材と相互に係着してチャイルドシートカバーを適宜高さ位置に装着でき
ることを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助プレート。
20 (4) 被告の行為等
ア 各被告製品の販売
被告は,以下の期間,インターネット上で各被告製品を販売していた(甲9~1
3)。
イ号物件及びロ号物件 令和元年9月~同年10月17日
25 ハ号物件及びニ号物件 令和元年10月18日~同年12月30日
ホ号物件~チ号物件 令和2年1月以降
イ 各被告製品の構成
各被告製品の本体は,自転車の後部荷台に固定されたチャイルドシートに雨避け,
防寒等の目的で装着するレインカバー(後ろ用子供乗せシート専用カバー),及び
自転車のハンドル部分に固定されたチャイルドシートに装着するレインカバー(後
5 付フロント用チャイルドシート専用カバー)であり,様々なチャイルドシートに装
着することのできる汎用的な商品である。
原告が本件発明の技術的範囲に属すると主張するのは,レインカバーをチャイル
ドシートに装着する際に使用する装着補助具であり,各被告製品を購入した者に対
し,レインカバーの付属品として提供されるものである。
10 各被告製品の装着補助具の構造は,別紙被告製品説明書のとおりであり,イ号物
件とロ号物件,ハ号物件とニ号物件,ホ号物件とヘ号物件,ト号物件とチ号物件は,
前記のとおり,それぞれ同時期に販売されたものであり,自転車の後部用かフロン
ト用かによりレインカバーの形状に違いはあるものの,装着補助具の構造はそれぞ
れ同一である(以下,イ号物件及びロ号物件の装着補助具を「イ号物件等」,ハ号
15 物件及びニ号物件の装着補助具を「ハ号物件等」,ホ号物件及びヘ号物件の装着補
助具を「ホ号物件等」,ト号物件及びチ号物件の装着補助具を「ト号物件等」とい
う。)。
ウ イ号物件等の構成は,本件発明の構成要件を充足する。
3 争点
20 (1) 本件発明の技術的範囲への属否
ア ハ号物件等が本件発明の技術的範囲に属するか(争点1-1)
イ ホ号物件等が本件発明の技術的範囲に属するか(争点1-2)
ウ ト号物件等が本件発明の技術的範囲に属するか(争点1-3)
(2) 原告の損害額(争点2)
25 4 当事者の主張
(1) ハ号物件等が本件発明の技術的範囲に属するか(争点1-1)について
(原告の主張)
ア 構成要件 A
ハ号物件等の本体部1は,合成皮革製の2枚の帯状体を重ね合わせて縫着した合
成皮革製横方向帯状体 G(幅約20mm,厚み約4mm,長さ約280mm)3本と,
5 4本の縦方向帯状体 T(幅約50mm,長さ約200mm)とを縫着し,全体として
略長方形の板状体になっている。本体部1は,帯状部材の組み合わせにより形成さ
れているものの,全体として見たときの形状は板状体であること,本体部1の中央
部に2つの窓部 M(透孔)があるが,2つの窓部 M に機能は特にないことから,
形状から見ても機能的に見ても板状体のものといえ,「プレート」に該当する。
10 よって,ハ号物件等は,本件発明の構成要件 A を充足する。
イ 構成要件 B
ハ号物件等の本体部1には,2本のベルト2が縫い付けられており,このベルト
2の先端部を本体部1の前面側に取り回して,チャイルドシートのヘッドレスト H
に上から下に巻き付け,その後,内側に位置する縦方向帯状体 T の背面側に設けら
15 れた面ファスナーと相互に係着する方法により,本体部1をヘッドレスト H の背面
側に装着することができ,本体部1の背面部の両側に位置する一対の縦方向帯状体
T の背面側の全体には面ファスナーが設けられている。
よって,ハ号物件等は,本件発明の構成要件 B を充足する。
ウ 構成要件 C
20 ハ号物件等の2本のベルト2は,本体部1に縫い付けられたものであって,これ
によって本体部1をヘッドレストの背面部に接合することができるものであるから,
プレート(本体部1)の適宜位置に,プレートをチャイルドシートに装着するため
の装着手段(ベルト2)が設けられている。
よって,ハ号物件等は,本件発明の構成要件 C を充足する。
25 エ 構成要件 D
ハ号物件等の本体部1の背面に設けられた縦方向帯状体 T の背面側には,全体に
面ファスナーが設けられているため,これにチャイルドシートカバーの背面部内側
に設けられている一対の面ファスナーと相互に係着して,チャイルドシートカバー
を取り付ける際に,係着位置を調整することにより,チャイルドシートカバーを適
宜高さ位置に装着できる。
5 よって,ハ号物件等は,本件発明の構成要件 D を充足する。
オ 以上より,ハ号物件等は,本件発明の構成要件 A~D をいずれも充足し,技
術的範囲に属する。
(被告の主張)
ハ号物件等の本体部1は,一体としてのプレートではなく,全体として略長方形
10 の板状体に形成されているとはいえない。
「板」とは,①材木を薄く平たくひきわったもの,②金属や石などを薄く平たく
したものをいう(広辞苑第7版)ところ,ハ号物件等は,合成皮革製横方向帯状体
G と縦方向帯状体 T を組み合わせたものにすぎず,1つの物を薄く平たくした板状
ではなく,かつ,窓部 M が2つ形成されており,材質が柔らかく,容易に折り曲
15 げたり,捻ったりできるものである。
そうすると,ハ号物件等の本体部1は,プレートの前提となる一つの構成物を薄
く平たくして形成される略長方形の板状体ではないから,本件発明の構成要件 A~
D を充足しない。
(2) ホ号物件等が本件発明の技術的範囲に属するか(争点1-2)について
20 (原告の主張)
ア 構成要件 A
ホ号物件等の本体部1は,横方向帯状体 Y(幅約50mm,長さ約280mm)と,
横方向帯状体 Y の両端部で,その背面に一対の縦方向帯状体 T(幅約50mm,長
さ約330mm)が縫着され,全体が H 字形状に形成されている。帯状体とはいえ,
25 それぞれの帯は相応の幅を有しているし,形状が長方形ではないものの,縫着され
た複数の帯状体一体を全体として見れば,H 型をした板状体のものといえる。
本件発明におけるプレートには,その形状についての限定はなく,構造について
は,弾性又は可撓性を有するものであってもよいとされているから,H 型でもよく,
素材の硬さは,柔らかさがあって撓むようなものであってもよい。
よって,ホ号物件等は,本件発明の構成要件 A を充足する。
5 イ 構成要件 B
ホ号物件等の本体部1には,チャイルドシートのヘッドレスト H の背面部に重ね
合わせるように装着するためのものとして,ベルト2が縫い付けられている。この
2本のベルト2の先端部を本体部1の前面側に取り回して,チャイルドシートのヘ
ッドレスト H に上から下に巻き付け,その後,ヘッドレスト H の下から上方に巻
10 き付けて,ベルト2に取り付けられたアジャスターバックルに挿通して連結するこ
とにより,本体部1をヘッドレスト H の背面側に装着することができる。また,本
体部1の両側に位置する一対の縦方向帯状体 T の背面部の全体には面ファスナー1a
が設けられている。
よって,ホ号物件等は,本件発明の構成要件 B を充足する。
15 ウ 構成要件 C
ホ号物件等の2本のベルト2は,本体部1を構成する合成皮革製横方向帯状体 G
に縫い付けられたものであって,これによって本体部1をヘッドレスト H の背面部
に接合することができるものであるから,プレート(本体部1)の適宜位置に,プ
レートをチャイルドシートに装着するための装着手段(ベルト2)が設けられてい
20 る。
よって,ホ号物件等は,本件発明の構成要件 C を充足する。
エ 構成要件 D
ホ号物件等の本体部1の両側に位置する一対の縦方向帯状体 T の背面部の全体に
面ファスナー1a が設けられているため,これにチャイルドシートカバーの背面部内
25 側に設けられている一対の面ファスナーと相互に係着して,チャイルドシートカバ
ーを取り付ける際に,係着位置を調整することにより,チャイルドシートカバーを
適宜高さ位置に装着できる。
よって,ホ号物件等は,本件発明の構成要件 D を充足する。
オ 以上より,ホ号物件等は,本件発明の構成要件 A~D をいずれも充足し,技
術的範囲に属する。
5 (被告の主張)
ア 構成要件 A~D
ホ号物件等の本体部1は,全体が H 字形状に形成されており,プレートではなく,
全体として略長方形の板状体に形成されているとはいえない。
「板」とは,①材木を薄く平たくひきわったもの,②金属や石などを薄く平たく
10 したものをいう(広辞苑第7版)ところ,ホ号物件等は,横方向帯状体 Y と縦方向
帯状体 T を組み合わせたものにすぎず,形状は H 字となり,横方向帯状カバー体 C
及び合成皮革製横方向帯状体 G という独立した部品が存在し,3つの独立した部品
から成り立っている。また,それらの材質は柔らかく,容易に折り曲げたり,捻っ
たりできるものである。
15 そうすると,ホ号物件等の本体部1は,プレートの前提となる一つの構成物から
形成される略長方形の板状体ではないから,本件発明の構成要件 A~D を充足しな
い。
イ 構成要件 C
ホ号物件等は,合成皮革製横方向帯状体 G をチャイルドシートの背もたれの頂部
20 に被せて固定して装着するものであり,構成要件 C を充足しない。
(3) ト号物件等が本件発明の技術的範囲に属するか(争点1-3)について
(原告の主張)
ア 構成要件 A
ト号物件等の本体部1は,横方向帯状体 Y(幅約50mm,長さ約280mm)と,
25 横方向帯状体 Y の両端部で,その背面に一対の縦方向帯状体 T(幅約50mm,長
さ約330mm)が縫着され,全体が H 字形状に形成されている。帯状体とはいえ,
それぞれの帯は相応の幅を有しているし,形状が長方形ではないものの,縫着され
た複数の帯状体一体を全体として見れば,H 型をした板状体のものといえる。
本件発明におけるプレートには,その形状についての限定はなく,構造について
は,弾性又は可撓性を有するものであってもよいとされているから,H 型でもよく,
5 素材の硬さは,柔らかさがあって撓むようなものであってもよい。
よって,ト号物件等は,本件発明の構成要件 A を充足する。
イ 構成要件 B
ト号物件等の本体部1には,チャイルドシートのヘッドレスト H の背面部に重ね
合わせるように装着するためのものとして,ベルト2が縫い付けられている。この
10 2本のベルト2の先端部を本体部1の前面側に取り回して,チャイルドシートのヘ
ッドレスト H に上から下に巻き付け,その後,ヘッドレスト H の下縁から上方に
巻き付けて,ベルト2に取り付けられたアジャスターバックル B に挿通し,引き絞
り固定して本体部1をヘッドレスト H の背面側に装着することができる。また,本
体部1の両側に位置する一対の縦方向帯状体 T の背面部の全体には面ファスナー1a
15 が設けられている。
よって,ト号物件等は,本件発明の構成要件 B を充足する。
ウ 構成要件 C
ト号物件等の2本のベルト2は,本体部1を構成する合成皮革製横方向帯状体 G
に縫い付けられたものであって,これによって本体部1をヘッドレストの背面部に
20 接合することができるものであるから,プレート(本体部1)の適宜位置に,プレ
ートをチャイルドシートに装着するための装着手段(ベルト2)が設けられている。
よって,ト号物件等は,本件発明の構成要件 C を充足する。
エ 構成要件 D
ト号物件等の本体部1の両側に位置する一対の縦方向帯状体 T の背面部の全体に
25 面ファスナー1a が設けられているため,これにチャイルドシートカバーの背面部内
側に設けられている一対の面ファスナーと相互に係着して,チャイルドシートカバ
ーを取り付ける際に,係着位置を調整することにより,チャイルドシートカバーを
適宜高さ位置に装着できる。
よって,ト号物件等は,本件発明の構成要件 D を充足する。
オ 以上より,ト号物件等は,本件発明の構成要件 A~D をいずれも充足し,技
5 術的範囲に属する。
(被告の主張)
ア 構成要件 A~D
ト号物件等の本体部1は,全体が H 字形状に形成されており,プレートではなく,
全体として略長方形の板状体に形成されているとはいえない。
10 「板」とは,①材木を薄く平たくひきわったもの,②金属や石などを薄く平たく
したものをいう(広辞苑第7版)ところ,ト号物件等の本体部1は,横方向帯状体
Y と縦方向帯状体 T と横方向帯状カバー体 C を組み合わせたものにすぎず,形状は
H 字となる。また,それらの材質は柔らかく,容易に折り曲げたり,捻ったりでき
るものである。
15 そうすると,ト号物件等の本体部1は,プレートの前提となる一つの構成物から
形成される略長方形の板状体ではないから,本件発明の構成要件 A~D を充足しな
い。
イ 構成要件 C
ト号物件等の本体部1は,合成皮革製横方向帯状体 G をチャイルドシートの背も
20 たれの頂部に被せて固定して装着するものであり,構成要件 C を充足しない。
(4) 原告の損害額(争点2)について
(原告の主張)
ア 売上額
(ア) イ号物件及びロ号物件
25 被告の令和元年9月から同年10月17日までのイ号物件の売上は,9月分が4
27万9000円,10月分が162万4800円の合計590万3800円であ
り,ロ号物件の売上は,9月分が265万3300円,10月分が159万348
0円の合計424万6780円である。
(イ) ハ号物件及びニ号物件
被告の令和元年10月18日から同年12月20日までのハ号物件の売上は,1
5 0月分が86万1026円,11月分が371万3478円,12月分が352万
7866円であり,ニ号物件の売上は,10月分が110万1582円,11月分
が412万2170円,12月分が335万7354円である。
同年12月21日から同月31日までの売上については,それ以前の売上から推
計すると,ハ号物件について87万8333円,ニ号物件について81万3917
10 円となる。
(ウ) ホ号物件及びヘ号物件
被告の令和元年9月から同年12月までのイ号物件ないしニ号物件の販売実績か
ら推計すると,令和2年1月から同年3月までの売上について,ホ号物件は125
9万2686円,ヘ号物件は1395万7142円となる。
15 (エ) ト号物件及びチ号物件
被告の令和2年1月から同年3月までのホ号物件の売上が1259万2686円,
ヘ号物件の売上が1395万7142円と推計されるから,平均してホ号物件は1
か月419万7562円,ヘ号物件は465万2380円となり,同年1月から令
和3年2月までのト号物件及びチ号物件の販売状況は,令和2年1月から同年3月
20 までのホ号物件及びヘ号物件の販売状況と同様と考えられるから,ト号物件及びチ
号物件の売上は,ト号物件が5876万5868円,チ号物件が6513万332
0円となる。
イ 限界利益
被告の開示(甲13)によると,被告の令和元年9月から同年10月17日まで
25 のイ号物件の販売に係る利益率は32%,ロ号物件の販売に係る利益率は29.8
%であって,平均すると30.9%の利益率であるから,イ号物件及びロ号物件の
販売に係る限界利益額は313万6529円であり,同月18日から同年12月2
0日までのハ号物件及びニ号物件の販売に係る利益率も同じものとして推計すると,
同年9月から同年12月20日までのイ号物件ないしニ号物件の販売に係る限界利
益額は,829万1723円となる。
5 また,被告のイ号物件及びロ号物件の販売に係る利益には,アウトレット販売が
含まれているところ,アウトレット販売を除いた利益率は,イ号物件が39.7%,
ロ号物件が38%であって,平均すると38.85%の利益率であるから,令和元
年12月21日以降のハ号物件ないしヘ号物件の販売についてこの利益率を適用し
て推計すると,同日から令和2年3月までのハ号物件ないしヘ号物件の販売に係る
10 限界利益額は,1097万2047円となる。
同年1月から令和3年2月までのト号物件及びチ号物件の利益率についても,3
8.85%として推計すると,令和2年1月から令和3年3月までのト号物件及び
チ号物件の販売に係る限界利益額は,4813万4834円となる。
ウ 損害の発生
15 被告は,原告がメーカーであって,インターネットによる小売りをしておらず,
競合の関係にないと主張するが,原告は,被告と同様に,インターネットサイトに
おいて原告製品を販売している。
被告がイ号物件及びロ号物件を販売したことにより,競合会社である原告が損害
を被ったことは明らかである。
20 エ 推定覆滅事由の不存在
本件特許権に係る特許発明の要旨は,「チャイルドシートカバー用装着補助プレ
ート」に関するものであり,その構成要件の1つに「この装着補助プレートの背面
部の係着部材をチャイルドシートカバーの背面部内側に設けられた係着部材と相互
に係着して」という要件があるから,「カバー及びカバー背面部の係着部材」が必
25 須の構成要件になっており,カバー自体も構成要素である。
そして,当該補助プレートが存在しないと,カバーを取り付けることはできない
のであって,当該補助プレートはチャイルドシートカバーにとって不可欠な構成要
素であり,当該補助プレートがないとカバーとしての商品は成立しないものである。
特許侵害に係る部分が製品全体にとって不可欠なもので,密接に結合した関係に
ある以上,製品全体を基礎として侵害者利益は算定されなければならない。
5 また,特許発明に係る部分と商品選択の決め手とは関係がなく,仮にこのような
点を寄与率として考慮することがあるとしても,チャイルドシートカバーは,自転
車に常時装着されているものではなく,雨天時の使用が想定されたもので,使用,
不使用時に取り外しを行うものであることから,需要者には,カバーの取付方法が
どのようなものか,簡単に取り付けられるものなのかなどといった事項が重要なポ
10 イントであって,関心事である。また,シートに乗る子供の身長に合わなければ使
用ができないため,子供の大きさに合わせて,取付位置(高さ)も適宜調節できる
かも重要な要素となる。
原告製品は,補助プレートを用いることで,カバーの取付けが従来よりも容易で
あって,高さ位置も変更できるなど,画期的なものであったことから需要者の支持
15 を得たものである。
したがって,補助プレートの製品全体に対する貢献度は高く,100%である。
(被告の主張)
ア 売上額
イ号物件及びロ号物件の売上額は,合計1015万0580円である。
20 イ 限界利益
ロ号物件の売上額から諸経費(仕入額,販売決済手数料,出荷費用)を差し引い
た利益額は,合計126万5531円である。
ウ 損害の不発生
原告の請求額の根拠は,特許法102条2項であるところ,特許権者に侵害者に
25 よる特許権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在す
ることが必要であるが,原告はメーカーであり,インターネットによる直接の小売
りをしておらず,被告によるインターネット上での販売がなければ原告が利益を得
られたであろうという事情が存在しない。
被告の販売方法と原告の販売方法は競合の関係になく,損害は推定されない。
エ 推定覆滅事由の存在
5 イ号物件及びロ号物件の本件特許権侵害部分(イ号物件等)は,チャイルドシー
トカバーの一部分に過ぎず,それ以外の大部分を占めるチャイルドシートカバーの
部分の譲渡は侵害行為に当たらない。
また,寄与率減額に当たっては,製品全体の生産コストに占める侵害部品の生産
コストの割合を基準として,製品の販売利益中に占める侵害部品の貢献度を考慮し
10 て決めるべきである。
イ号物件及びロ号物件の本件特許権侵害部分(イ号物件等)の仕入れ価格は1枚
当たり325円であるから,チャイルドシートカバー1枚当たりの仕入価格404
3円の約8%である。
需要者がイ号物件及びロ号物件を購入した理由は,両側面部の透明窓を開いたま
15 ま走行できることやリアシートカバー内蔵の大型収納バッグの存在,外観全体のデ
ザインなどにあり,チャイルドシートカバーのレビューにおいて,本件発明の効果
であるシートを上下に調整できる機能が購入の決め手になったというものはなく,
本件発明の実施は宣伝機能を有していないし,外観上の影響もない。
チャイルドシートカバーの購買層は,小さい子供を持つ20代から30代の母親
20 であるが,子供を自転車に乗せて走行する上で,収納の有無や換気の必要性など利
便性を重視し,自分の自転車が一目でわかるようにデザイン性にも注目する。また,
背もたれがあるチャイルドシートの場合,大抵の小さな子供の頭部はチャイルドシ
ートの背もたれの高さに収まっていることが通常であって,チャイルドシートを子
供の成長に合わせて上下に調整できるという緊急性の低い部分を購入の決め手にす
25 ることは想定できない。
原告は,補助プレートがないとカバーを装着できないと主張するが,イ号物件及
びロ号物件で補助プレートを使用する前はマジックテープで装着しており,高さ調
節も可能であった。また,原告は,雨天時の使用が想定されるので簡単に取り付け
られることが重要であると主張するが,チャイルドシートカバーは,防寒,日よけ,
転倒時のクッション等としても機能しており,常時装着されているものであって,
5 被告製品においてはつけっぱなしを推奨し,原告製品でもオールシーズンを謳って
おり,一度取り付けてしまえば取り外すことはほとんど想定していない。
よって,生産コスト,貢献度の観点から,原告に損害が発生していたとしても,
本件特許権の寄与率は5%にとどまる。
第3 当裁判所の判断
10 1 ハ号物件等が本件発明の技術的範囲に属するか(争点1-1)について
(1) 構成要件 A の充足性について
ア 本件明細書の記載等
本件明細書には,以下の記載がある(図面は別紙「特許公報」参照)。
(ア) 技術分野
15 「本発明は,自転車のハンドル部中央の略 U 字形状に湾曲された部分に固定され
た前部チャイルドシート又は自転車の後部荷台部に固定された後部チャイルドシー
トのほぼ全体を被覆することができるチャイルドシートカバーを前記シートに装着
する際に使用する装着補助プレートに関するものである。
この装着補助プレートは,前記チャイルドシートに装着固定して,前記チャイル
20 ドシートカバーの装着を補助するための物品である。」(【0001】)
(イ) 発明が解決しようとする課題
「…本発明においては,カバーを装着するシートには各種のタイプが存在するた
め,つまり前部又は後部チャイルドシートにおいては,これに設けられたヘッドレ
スト(ヘッドサポート)が別体型(上下摺動可能型)のものもあれば,一体型(上
25 下摺動不可)のものもあり,これら市販されているどのようなタイプのものにも取
り付けられる装着補助プレートを提供することをその第一の課題としている。 」
(【0013】)
「更に,本発明においては,チャイルドシートに幼児を腰掛けさせた際に,その
幼児の頭頂部ができる限りカバーの天部に接触しないようにすること,仮に接触し
ても幼児の頭頂部にカバーの重みがあまり掛からないようにチャイルドシートカバ
5 ーを適宜高さ位置で装着できるようにし,且つカバーの形状を安定化させることが
できるような装着補助プレートを提供することをその課題としている。 」(【001
4】)
「このようにすることにより,シートに腰掛けた幼児の頭頂部の圧迫が減少し,
カバー内での居住環境が非常に良くなるからである。
10 更に,本発明においては,幼児の座高も高低様々であり,これに対応できるよう
にすることもその課題となる。」(【0015】)
(ウ) 課題を解決するための手段
「上記課題を解決するために,本発明の第1のものは,自転車のハンドル部又は
後部荷台部に固定されたチャイルドシートにチャイルドシートカバーを装着する際
15 に使用する装着補助プレートであって,この装着補助プレートの前面部は前記チャ
イルドシートの背面に接合でき,その背面部には係着部材が設けられ,当該装着補
助プレートの適宜位置にはこの装着補助プレートをチャイルドシートに装着するた
めの装着手段を設け,これにより,前記装着補助プレートをチャイルドシートに装
着し,この装着補助プレートの背面部の係着部材をチャイルドシートカバーの背面
20 部内側に設けられた係着部材と相互に係着してチャイルドシートカバーを適宜高さ
位置に装着できることを特徴とする自転車のチャイルドシートカバー用装着補助プ
レートである。」(【0016】)
(エ) 発明の効果
「本発明の第1のものにおいては,自転車に固定されたシートにカバーを装着す
25 る際に使用する装着補助プレートであって,この装着補助プレートの前面部はシー
トの背面側に接合でき,その背面部には係着部材が設けられ,当該装着補助プレー
トの適宜位置にはこの装着補助プレートをシートに装着するための装着手段が設け
られているために,この装着補助プレートをシートの背面側に装着し,この装着補
助プレートの背面部の係着部材をカバーの背面部内側に設けられた係着部材と相互
に係着してカバーを適宜 高さ位置に装着 することができるのである 。」(【002
5 1】)
「つまり,この装着補助プレートは,各種タイプのシートの背面側に装着するこ
とができ,その背面部に設けた係着部材はカバー背面部内側の係着部材と適宜係着
することができるため,カバーの高さ位置を適宜高低自在に設定して装着すること
ができることとなるのである。」(【0022】)
10 「これにより,シートに腰掛ける幼児の座高に合わせて,カバー背面部を装着補
助プレートに係着することにより,カバーの天部の高さ位置を適宜設定・変更する
ことができ,カバーの内部空間で,幼児の頭頂部がカバー天部に接触しないか,接
触してもカバーの重みがもろに幼児の頭部に掛ることが少なくなり,居住環境が向
上することとなる。」(【0023】)
15 「…装着補助プレートの背面部の横方向の略全体に帯状に設けた場合には,カバ
ー背面部内側の係着部材を例えば上下に長く設ければよく,逆に,装着補助プレー
トの背面部の縦方向の略全体に帯状に設けた場合には,カバー背面部内側の係着部
材を例えば左右に長く設ければ,両者の係着は上下に自在に変更することができる
こととなるからである。」(【0032】)
20 (オ) 発明を実施するための形態
「…本実施形態に係る装着補助プレートにおいては,前記ヘッドレスト H や,前
記支持枠 B に装着補助プレート18,19が固定され,更には,座席部 Z の背面部
S の部分に孔部が設けられているものにあっては,この孔部を利用して装着補助プ
レート18を装着することができるのである。」(【0046】)
25 「…この装着補助プレート18は,平面視横長略矩形形状の板状体のものからな
り,内部にはクッション材を設け,その表面部(図中背面側の表面部)には,係着
部材18k としての面ファスナーが横方向の全体に帯状に設けられたものであ
る。」(【0047】)
「他方,装着補助プレート19は,平面視略矩形形状の板状体のものからなり,
上記同様に内部にクッション材を配設し,その背面部(図中紙面手前側の背面部)
5 には,係着部材19k としての面ファスナーが横方向の全体に帯状に設けられたも
のである。
内部のクッション材は,その代わりとして可撓性を有する合成樹脂製の板材であ
ってもよい。」(【0048】)
「この装着補助プレート19は,上記第1実施形態のものと略同一のものであ
10 り,即ち,合成樹脂製の柔軟な略矩形形状の板状のものからなり,その背面側の中
央縦方向(第1実施形態では中央横方向)の全体に渡り帯状の面ファスナーからな
る係着部材19k が設けられている。」(【0070】)
「図7は,本発明の装着補助プレートに係る第4実施形態を図示しており,その
( A)が前方か ら見 た斜視説明 図,その ( B)が背 面側から 見た斜視説 明 図 で あ
15 る。
この装着補助プレート8は,略矩形形状の板状体のものからなり,その内部には
可撓性を有する合成樹脂製板材が内装され,その外側は合成皮革製の生地によって
被覆されたものである。」(【0074】)
「以上,本発明の実施形態について説明したが,本発明においては以下の通りそ
20 の形態を種々変更して実施することができる。
本発明に係る装着補助プレートは,板状のものであって,シートの背面側に接合
できるものであれば,その外形形状やその構造も全く自由に設計変更することがで
きる。」(【0083】)
「例えば,その外形形状は,上記実施形態のような略矩形形状のものであっても
25 よいし,略惰(原文ママ)円形状のものでもよく,或いは多角形形状のものであって
もよい。
その構造も,上記実施形態のように,内部にクッション材や可撓性を有する合成
樹脂製板材を内装し,外部を他の素材から成る生地やシート材で被覆したものであ
ってもよいし,1枚の弾性又は可撓性を有する板状のものであってもよい。」
(【0084】)
5 イ 「プレート」(構成要件 A)の意義
(ア) 本件発明に係る特許請求の範囲請求項1の記載によれば,本件発明の「装
着補助プレート」は,チャイルドシートにチャイルドシートカバーを装着する際に
使用するものであって(構成要件 A),チャイルドシートの背面に接合でき(構成
要件 B),チャイルドシートカバーに係着する係着部材(構成要件 B)と,チャイ
10 ルドシートに装着する装着手段(構成要件 C)が設けられ,チャイルドシートカバ
ーを適宜高さ位置に装着できる(構成要件 D)ものである。
一般的に,「プレート」は,板,金属板を意味し,「板」は,材木を薄く平たく
ひきわったもの,金属や石などを薄く平たくしたものを意味する(広辞苑第7版)
から,「プレート」は,木,金属,石やこれに類する硬い素材であって,薄く平た
15 く,ある程度その形状を維持できる部材を意味するものと解される。
(イ) 本件明細書の記載によれば,装着補助プレートの第1及び第2実施形態と
して,平面視横長略矩形形状又は平面視略矩形形状の板状体のものであり,内部に
クッション材又は可撓性を有する合成樹脂製の板材を設けたもの(【0047】,【00
48】),第3実施形態として,第1実施形態と略同一であって,合成樹脂製の柔軟
20 な略矩形形状の板状のもの(【0070】),第4実施形態として,内部に可撓性を有
する合成樹脂製板材が内装され,その外側は合成皮革製の生地によって被覆された
略矩形形状の板状体のもの(【0074】)が示され,形態を種々変更して実施する場
合であっても,内部にクッション材や可撓性を有する合成樹脂製板材を内装し,外
部を被覆したものでもよいし,1枚の弾性又は可撓性を有する板状のものであって
25 もよい(【0084】)とされている。
ここで,「弾性」とは,外力によって形や体積に変化を生じた物体が,力を取り
去ると再び元の状態に回復する性質であり,「可撓性」とは,撓めること,すなわ
ち撓む(硬くて曲がりにくいものがおされて曲がる)ようにすることができる性質
とされる(広辞苑第7版)。
また,本件明細書では,チャイルドシートカバーの本体に可撓性を有する合成樹
5 脂製板材を使用することによって,その保形性を確保し,起立した状態を維持する
ことができるとされている(【0057】)。
(ウ) 本件発明の効果は,装着補助プレートを使用することによって,チャイル
ドシートカバーを適宜高さ位置に装着することができることであるとされ(【 002
2】),カバーの天部をチャイルドシートのヘッドレストの上縁部より10センチ
10 程度上方に置いても,その位置は確保されるとされる(【0043】)。
ここで第2実施形態では,装着補助プレートの両側部にベルト部材(帯状部材)
の端部を縫着し,各ベルト部材の先端部に係止部を設けることができ(【 004
9】),この装着補助プレートをヘッドレストの支持枠に装着したり,チャイルド
シートの座席部の孔部にベルト部材を挿通することができるとされている(【 005
15 2】)。
他方,装着補助プレートにチャイルドシートカバー本体を係着する際に,上下自
在に変更できるようにする構成として,装着補助プレートの背面部の横方向の略全
体に帯状に係着部材を設け,カバー背面部内側の係着部材を上下に長く設ける場合
と,装着補助プレートの背面部の縦方向の略全体に帯状に設け,カバー背面部内側
20 の係着部材を左右に長く設ける例が示されているが(【0032】),後者において,
上記第2実施形態の装着方法を行った場合,装着補助プレートがカバー本体の重量
が加えられてもその形状を保つことができるものでなければ,カバー本体の位置を
高く保つことは困難と解される。
(エ) 前記検討した「プレート」の意義及び本件明細書の記載を総合すると,本
25 件発明における「装着補助プレート」は,チャイルドシートの背面に接合する平面
又は略平面状の薄い1枚の部材であり,外形形状,構造及び材質に限定はなく,木
や金属などの硬い素材によるのでもよいし,樹脂製板などの弾性又は可撓性を有す
る素材によるのでもよいが,少なくともそれ自体として一定の形状を保つことがで
き,力を加えれば変形するとしても,力を除けば元の状態に戻るものでなければな
らないと解される。
5 原告は,形状が板状であれば「プレート」に当たると主張するが,本件明細書に
は,「プレート」が柔軟であってそれ自体が板としての形状を保ち得ない場合や容
易に屈曲するような場合についての記載や示唆はなく,むしろ前記検討したとお
り,本件明細書の記載は,シートカバー本体の高さを自在に変更し,その位置を保
つことができるために,装着補助プレートが少なくとも弾性又は可撓性を有するこ
10 とを前提としていると解されるから,原告の主張は採用できない。
ウ ハ号物件等について
前記(第2の2(4)イ)のとおり,ハ号物件等の本体部1は,合成皮革製の2枚
の帯状体を重ね合わせて縫着した合成皮革製横方向帯状体 G(幅約20mm,厚み
約4mm,長さ約280mm)を同間隔に3本上下平行に配列し,これら3本の合成
15 皮革製横方向帯状体 G の背面側に,その各両端側から各2枚の面ファスナーである
縦方向帯状体 T(幅約50mm,長さ約200mm)を並べて縫着し(縦方向帯状体
T 同士は縫着されない),略中央部に2つの窓部 M(縦約65mm,横約80mm)
が形成されたものである。
合成皮革製横方向帯状体 G は,合成皮革製の帯状体を2枚重ね合わせて縫着した
20 もので,木や金属に類する硬さを有しないことはもとより,厚みはわずか4mm で
あって,特段の押圧をかけなくても自重で屈曲し,それ自体でその形状を維持でき
る弾性,可撓性も有しないものであるから,前記検討した「プレート」には当たら
ないといわざるを得ない(それ自体でその形状を維持し得る硬さ,弾性又は可撓性
を,以下「硬さ又は弾性」という。)。また,縦方向帯状体 T も,面ファスナーで
25 あって,薄い化学繊維の布地であるから,やはり自重で屈曲し,硬さ又は弾性を有
しないから,「プレート」には当たらない。
そして,合成皮革製横方向帯状体 G と縦方向帯状体 T を縫着した本体部1も,相
互に一部のみが縫着され,中央部に窓部 M が存在して全体として極めて屈曲に弱
い構造となっており,自重で屈曲してしまい,硬さ又は弾性を有しないものである
から,「プレート」には当たらない。
5 そうすると,ハ号物件等は,本件発明の構成要件 A を充足せず,「装着補助プレ
ート」の語を用いた他の構成要件についても同様である。
エ 原告の主張について
原告は,本体部1は,全体として略長方形の板状体となっている から「プレー
ト」に当たると主張するが,前記イのとおり,本件発明において「装着補助プレー
10 ト」というためには,硬さ又は弾性が必要であり,略長方形の形状を有するものが
全て板状体に該当するわけではない。
この点に関する原告の主張は採用できない。
(2) 以上によれば,その余の点を検討するまでもなく,ハ号物件等は,本件発
明の技術的範囲に属さない。
15 2 ホ号物件等が本件発明の技術的範囲に属するか(争点1-2)について
(1) 構成要件 A の充足性について
ア ホ号物件等について
前記(第2の2(4)イ)のとおり,ホ号物件等の本体部1は,面ファスナーであ
る横方向帯状体 Y(幅約50mm,長さ約280mm)の両端部背面側に,2枚の面
20 ファスナーである縦方向帯状体 T(幅約50mm,長さ約330mm)の上端部から
約110mm 下方の位置が横方向帯状体 Y の上縁と重なるようにそれぞれ縫着し,
全体として H 字形状となったものである。また,横方向帯状体 Y の背面部には,
面ファスナーである横方向帯状カバー体 C が着脱可能であり,縦方向帯状体 T の前
面部には,面ファスナーである帯状片 S(幅約50mm,長さ約90mm)が着脱可
25 能であり,帯状片 S は合成皮革製の2枚の帯状体を重ね合わせて形成された合成皮
革製横方向帯状体 G(幅約20mm,厚さ約4mm,長さ約280mm)の両端に縫
い付けられている。
横方向帯状体 Y,縦方向帯状体 T,横方向帯状カバー体 C 及び帯状片 S は,いず
れも細長い面ファスナーであって,薄い化学繊維の布地であるから,特段の押圧を
かけなくても自重で屈曲し,硬さ又は弾性を有しないものであるから ,「プレー
5 ト」には当たらない。また,合成皮革製横方向帯状体 G は,合成皮革製の帯状体を
2枚重ね合わせて縫着したものであるが,厚みはわずか4mm であって,特段の押
圧をかけなくても自重で屈曲し,硬さ又は弾性を有しないものであるから,「プレ
ート」には当たらない。
そして,横方向帯状体 Y と縦方向帯状体 T を縫着した本体部1も,相互に一部の
10 みが縫着され,全体として細長く極めて屈曲に弱い構造となっており,自重で屈曲
してしまい,硬さ又は弾性を有するに至っていないから,「プレート」には当たら
ないし,本体部1に横方向帯状カバー体 C 及び帯状片 S を取り付けた状態であって
も,面ファスナー同士が係着することによって部分的に補強されるのみで,全体と
して硬さ又は弾性を有するには至らないから,「プレート」には該当しない。
15 そうすると,ホ号物件等は,本件発明の構成要件 A を充足せず,「装着補助プレ
ート」の語を用いる他の構成要件についても同様である。
イ 原告の主張について
原告は,本件発明におけるプレートの形状には限定がなく,構造は弾性又は可撓
性を有するものであってもよいとされているから,本体部1が H 字形であっても,
20 柔らかさがあって撓むようなものであってもよいと主張する。
しかしながら,前記1(1)イのとおり,プレートにはそれ自体でその形状を維持
することのできる硬さ又は弾性が必要であり,押さなくても変形してしまい,形状
を維持できるだけの硬さを有しないものはプレートということはできないから,単
なる面ファスナーや合成皮革製の帯状体のみで構成されているホ号物件等の本体 部
25 1は,プレートには当たらないといわざるを得ない。
(2) 以上によれば,その余の点を検討するまでもなく,ホ号物件等は,本件発
明の技術的範囲に属さない。
3 ト号物件等が本件発明の技術的範囲に属するか(争点1-3)について
(1) 構成要件 A の充足性について
ア ト号製品等について
5 前記(第2の2(4)イ)のとおり,ト号物件等の本体部1は,面ファスナーであ
る横方向帯状体 Y(幅約50mm,長さ約280mm)の両端部背面側に,2枚の面
ファスナーである縦方向帯状体 T(幅約50mm,長さ約330mm)の上端部から
約110mm 下方の位置が横方向帯状体 Y の上縁と重なるようにそれぞれ縫着し,
横方向帯状体 Y の上縁に沿って合成皮革製横方向帯状体 G(幅約20mm,厚さ約
10 3mm,長さ約280mm)が平行に配設され,その両端部が略長方形の生地片によ
って縦方向帯状体 T に縫着され,合成皮革製横方向帯状体 G の全体が前面側へ倒れ
るように取り付けられている。また,横方向帯状体 Y の前面側には,略同一サイズ
の面ファスナーである横方向帯状カバー体 C が着脱可能である。
横方向帯状体 Y,縦方向帯状体 T 及び横方向帯状カバー体 C は,いずれも細長い
15 面ファスナーであって,薄い化学繊維の布地であるから,特段の押圧をかけなくて
も自重で屈曲し,硬さ又は弾性を有しないものであって,「プレート」には当たら
ない。また,合成皮革製横方向帯状体 G も,合成皮革製の帯状体で,厚みはわずか
3mm であって,特段の押圧をかけなくても自重で屈曲し,硬さ又は弾性を有しな
いものであるから,「プレート」には当たらない。
20 そして,横方向帯状体 Y,縦方向帯状体 T 及び合成皮革製横方向帯状体 G を縫着
した本体部1も,相互に一部のみが縫着され,全体として細長く極めて屈曲に弱い
構造となっており,自重で屈曲してしまい,硬さ又は弾性を有するものではないか
ら,「プレート」には当たらない。また,本体部1に横方向帯状カバー体 C を取り
付けた状態であっても,面ファスナー同士が係着することによって部分的に補強さ
25 れるのみで,全体として硬さ又は弾性を有するには至らないから,「プレート」に
は該当しない。さらに,合成皮革製横方向帯状体 G は,全体が前面側に倒れるよう
に取り付けられており,チャイルドシートへの取付時にヘッドレスト H の上縁に沿
うように折れ曲がるから,本体部1は全体として平たい形状でもなく,この点でも
「プレート」に該当しない。
そうすると,ト号物件等は,本件発明の構成要件 A を充足せず,装着補助プレー
5 トの語を用いる他の構成要件についても同様である。
イ 原告の主張について
原告は,本件発明におけるプレートの形状には限定がなく,構造は弾性又は可撓
性を有するものであってもよいとされているから,本体部1が H 字形であっても,
柔らかさがあって撓むようなものであってもよいと主張する。
10 しかしながら,前記1(1)イのとおり,本件発明の装着補助プレートには硬さ又
は弾性が必要であり,これを有しないものはプレートということはできないから,
単なる面ファスナーや合成皮革製の帯状体のみで構成されているト号物件等の本体
部1がプレートに当たるということはできない。
(2) 以上によれば,その余の点を検討するまでもなく,ト 号物件等は,本件発
15 明の技術的範囲に属さない。
4 原告の損害額(争点2)について
(1) イ号物件及びロ号物件の販売による被告の利益の額
証拠(甲13)によれば,イ号物件の販売による被告の利益の額は,188万6
461円であり,ロ号物件の販売による被告の利益の額は126万5531円であ
20 ると認められる。
また,原告は,被告の開示した売上額と利益額から算出された利益率をイ号物件
とロ号物件とで平均して利益額を計算しているが,イ号物件とロ号物件の販売数は
異なるので,不正確であるものの,その主張金額(313万6529円)は,イ号
物件等の利益額(188万6461円+126万5531円=315万1992
25 円)よりも少額であるので,原告の主張額の限度で被告の利益額を認める。
(2) 損害の発生について
証拠(甲16,17)によれば,原告は,本件特許権の実施品と考えられる製品
(チャイルドシートカバー)をインターネット上で販売していることが認められる
から,イ号物件及びロ号物件は,明らかに原告の当該製品の競合品である。
また,イ号物件及びロ号物件のうち,本件発明を実施している部分は,チャイル
5 ドシートカバー本体の付属品である装着補助プレートであるが,チャイルドシート
カバー本体のみ,あるいは装着補助プレートのみで流通しているとは認められず,
チャイルドシートカバー本体と付属品である装着補助プレートを併せたものが,一
個のイ号物件及びロ号物件として販売されていたと認められ,本件特許権の効力に
より,被告はイ号物件及びロ号物件の全体を販売することができなかったというべ
10 きであるから,イ号物件及びロ号物件の販売に係る利益全額について,特許法10
2条2項の推定を受けるものといえる。
装着補助プレート部分の販売の利益についてのみ推定が及ぶとする被告の主張は
理由がない。
(3) 推定覆滅について
15 ア 本件発明の効果
本件発明の効果は,各種タイプのチャイルドシートの背面側に装着することがで
きること(【0022】),カバーの天部の高さ位置を適宜設定・変更することがで
き,カバーの内部空間で,幼児の頭頂部がカバー天部に接触しないか,接触しても
カバーの重みがもろに幼児の頭部に掛ることが少なくなり,居住環境が向上するこ
20 と(【0023】)である。
要するに,本件発明の作用効果は,①各種のチャイルドシートに装着できるこ
と,②幼児の頭部に合わせてカバーの天部高さ位置を適宜調整できることにあると
いえる。
もっとも,様々な形状のチャイルドシートに対応してその略全体を被覆するチャ
25 イルドシートカバーは従来技術として各種存在し(【0002】~【0010】),これら
は本件発明以外の適宜の方法で装着されていたのであるから,上記効果のうち①
は,本件発明によるのでなければ実現し得ない効果とはいえない。
また,前記1ないし3のとおり,ハ号物件等,ホ号物件等及びト号物件等のよう
に本件発明の技術的範囲に属しない部品によっても,装着方法によってはチャイル
ドシートカバーを適宜高さ位置に装着できると考えられるから,本件発明の効果②
5 も,本件発明によるのでなければ実現し得ない効果とはいえない。
イ 本件発明の貢献の程度等について
(ア) 本件発明は,チャイルドシートのほぼ全体を被覆するチャイルドシートカ
バーを自転車のチャイルドシートに装着する際に使用される部品である装着補助プ
レートの発明である。チャイルドシートカバーを選択するのは,主に幼児の保護者
10 等である自転車所有者と考えられるが,装着補助プレートは,チャイルドシートカ
バーそのものではなく装着に用いる補助的な部品であって,使用時にはチャイルド
シートカバーの内部に隠れ,雨避け等のチャイルドシートカバーの機能そのものを
発揮する部分ではないから,装着補助プレート自体が需要者の関心を惹き,製品選
択の直接の動機となるとはいえない。
15 また,本件発明の効果は,前記アのとおり,いずれも本件発明によるのでなけれ
ば実現し得ない効果ではなく,本件発明の実施による貢献の程度の評価に当たって
は,必ずしも重視できるものではないが,本件発明に係る装着補助プレートを使用
したチャイルドシートカバーの広告において前記の効果①及び②を謳っている場合
は,需要者に当該チャイルドシートカバーの利点,優位性を認識させるものである
20 から,製品選択の動機となり得る事情といえる。
(イ) 証拠(甲4,5)によれば,被告は,イ号物件の特徴として,「背もたれ
の高いタイプのチャイルドシートなら装着 OK」などと効果①については謳ってい
るものの,効果②については特に宣伝していない。
また,証拠(甲6)によれば,被告は,ロ号物件の特徴としても,「各種後付け
25 シートに対応しています」などと効果①については謳っているものの,効果②に関
しては,取付方法の説明において「⑥最後にファスナーを閉じたら,装着完了。突
っ張る部分がある場合は,カバーの高さを調節してください。背面部分を高くセッ
トしすぎるとカバーにシワが寄ったり,突っ張ったりするので適宜調節ください」
との記載があるにすぎず,カバーの高さ位置を調整できる旨を記載しているが,特
段の利点としては記載していない。
5 さらに,証拠(甲4,18)によれば,イ号物件及びロ号物件の購入者のレビュ
ーにおいても,効果②について記載したものはなく,単にカバーがワイヤーにより
自立して天井が高いことに係る記載があるにとどまり,証拠(甲3,16)によれ
ば,原告においても,効果①及び②を宣伝していないことが認められる。
(ウ) 原告は,チャイルドシートカバーが自転車に常時装着されているものでは
10 なく,使用,不使用時に取り外しを行うものであるので,需要者にとってカバーが
簡単に取り付けられるかどうかが重要であるところ,原告製品の補助プレートを用
いることでカバーの取付が従来より容易となり,需要者から支持を得ていると主張
する。
しかしながら,本件明細書によれば,「カバーを装着したままで使用するという
15 ことが常態」(【0009】)であるというのであり,「本発明においても,上記従来
のチャイルドシートカバーと同様に,これを装着したままの状態で,自転車の不使
用時は勿論のこと,…どのような天候の際にも,幼児を乗せて使用することができ
るカバーに適用可能なものである」(【0012】)とされているから,本件発明は,
チャイルドシートカバーを常時装着した状態で使用することを前提としたものであ
20 る。また,本件発明にチャイルドシートカバーの取付を容易にする効果があること
は本件明細書に記載がなく,【発明が解決しようとする課題】や【課題を解決する
ための手段】にも取付を容易にすることに関する記載はないから,チャイルドシー
トカバーの取付が容易になることは本件発明の効果とは関係がない。
(エ) 以上によれば,本件発明は,効果①及び②を有し,これを実施する製品の
25 販売等に一応貢献し得るものであるが,効果①については需要者に重視されず,効
果②については,イ号物件及びロ号物件において需要者にほとんどその効果が認識
されないものであって,顧客誘引力は極めて低く,イ号物件及びロ号物件の他の利
点を考慮して,これを購入した需要者が多かったものと考えられる。
ウ 推定覆滅の程度
以上の事情を総合的に考慮すれば,本件においては,8割の損害額の推定が覆滅
5 されるとすべきである。
(4) 原告の損害額
以上より,原告の損害額は,62万7305 円(=313万6529円×0.
2)と認められる。
そして,原告は,イ号物件及びロ号物件の販売行為日よりも後であることが明ら
10 かな本件訴状送達の日の翌日(令和2年6月4日)を遅延損害金の起算日として請
求しているから,原告主張の起算日には理由がある。
5 差止請求及び廃棄請求について
被告は,前記前提事実のとおり,令和元年10月17日までイ号物件及びロ号物
件を販売していたところ,証拠(甲9~13)によれば,被告は,原告からの指摘
15 を受けて直ちにイ号物件及びロ号物件の販売を停止し,イ号物件及びロ号物件が本
件発明の技術的範囲に属することを認め,原告に対しイ号物件及びロ号物件の販売
実績や利益を開示すると共に,本件特許権の侵害に当たらないハ号物件及びニ号物
件の販売に切り替えたことが認められる。
そうすると,被告において,今後,イ号物件及びロ号物件の販売を再開するおそ
20 れがあるとは認められず,被告により本件特許権が侵害されるおそれがあるとは認
められない。よって,イ号物件及びロ号物件の製造,販売又は販売の申出の差止請
求及びイ号物件及びロ号物件の廃棄請求については理由がない。
6 結論
よって,原告の請求は主文第1項の限度で理由があるからこれを認容し,主文の
25 とおり判決する。
大阪地方裁判所第21民事部
5 裁判長裁判官
谷 有 恒
裁判官
杉 浦 一 輝
裁判官
峯 健 一 郎
(別紙)
物件 目録
1 イ 号 物件
被 告 の製造, 販売にかかる子供乗せ自転車用レインカバー「RE-00 2
5 後 ろ 用 子供乗せシート専用カバー」 (装着補助具が別紙図1ないし3の形 状 の
もの)
2 ロ 号 物件
被 告 の製造, 販売にかかる子供乗せ自転車用レインカバー「MOC-0 0
1 後 付 フロント用チャイル ドシート専用カバー」 (装着補助具が別紙図1 な
10 い し 3 の形状のもの)
3 ハ 号 物件
被 告 の製造, 販売にかかる子供乗せ自転車用レインカバー「RE-00 2
後 ろ 用 子供乗せシート専用カバー」 (装着補助具が別紙図4 ない し6 の形 状 の
もの)
15 4 ニ 号 物件
被 告 の製造, 販売にかかる子供乗せ自転車用レインカバー「MOC-0 0
1 後 付 フロント用チャイル ドシート専用カバー」 (装着補助具が別紙図4 な
い し 6の 形状のもの)
5 ホ 号 物件
20 被 告 の製造, 販売にかかる子供乗せ自転車用レインカバー「RE-00 2
後 ろ 用 子供乗せシート専用カバー」 (装着補助具が別紙図7ないし9 の形 状 の
もの)
6 ヘ 号 物件
被 告 の製造, 販売にかかる子供乗せ自転車用レインカバー「MOC-0 0
25 1 後 付 フロント用チャイル ドシート専用カバー」 (装着補助具が別紙図7 な
い し 9の 形状のもの)
7 ト 号 物件
被 告 の製造, 販売にかかる子供乗せ自転車用レインカバー「RE-00 2
後 ろ 用 子供乗せシート専用カバー」 (装着補助具が別紙図10ないし12 の 形
状 の も の)
5 8 チ 号 物件
被 告 の製造,販売にかか る子供乗せ自転車用レインカバー「MOC-0 0
1 後 付 フロント用チャイル ドシート専用カバー」 (装着補助具が別紙図1 0
な い し 12の形状のもの)
別 紙 「 特許公報」は省略
(別紙)
被告製品説明 書
( 以 下 の 説 明 文 中 , 前 面 及 び 背 面 と あ る の は , 自 転 車 の 進 行 方 向 を 前 面 , その
反 対 側 を背面とする)。
1 イ 号物件 の装着補助具 (別紙図1ないし図3参照)
10 (1) 自 転 車 の 後 部 荷台 部 に 固 定 さ れた 後部 チ ャ イ ル ド シー トに チ ャ イ ル ド シ
ー ト カ バーを装着する際に使用するものである。
(2) イ 号 物 件 の 装 着補 助 具 は , 本 体部 1( 別 紙 図 1 の 符号 1。 以 下 , 「 本 体
部 1 」 と い う 。 ) と , こ の 本 体 部 1 に 縫 い 付 け ら れ た 2 本 の ベ ル ト ( 別 紙 図1
の 符 号 2。以下,「ベルト2」という。)から形成されている。
15 (3) 本体部1は ,前 部チャイルドシート のヘッドレスト H( 別紙図2の符号
H。 以 下,「ヘッドレスト H」 という。 )の背面部に装着される。
そ の 大きさは,縦約 225mm,横約315 mm で,その4つの角部を ア ー ル
状 に 切 り欠いた横長略長方形形状の合成樹脂製の板状体から成る。
こ の 本体部1には2個の貫通孔(別紙図1の符号 W。以下,「貫通孔 W」 と
20 い う 。 )が形成されている。
そ れぞ れの貫通孔 W の上下の幅は約3 mm,左右の横幅は約23 mm であ り ,
そ の 形 状は横長略長方形で,両側縁部が半円形形状に形成されている。
こ れ らの2個の貫通孔 W は ,その長手方向を横にして左 右横方向に一 列 に 並
ん で 設 けられ,前面側から見てその左側の貫通孔 W の左端は本体部1の 左 側 縁
か ら 約 70mm,その右側の貫 通孔 W の右端は本体部1の右側縁から約7 0 mm
の 位 置 で,これら両貫通孔 W の上縁は本体部1の上縁から下方に約97 mm の
位 置 に 位置している。
(4) 本体部1の背面 部には,横幅約50 mm の面ファスナー 1 a(別紙 図 1 の
5 符 号 1 a。 以 下 , 「 面 フ ァ ス ナ ー 1 a」 と い う 。 ) が 上 下 方 向 略 全 体 に 一 対 設 け
られている。これら一対の面ファスナー1 a の左側のものは,その左側縁が本
体 部 1 の 左 側 縁 か ら 内 側 に 約 1 6 mm の 位 置 に , そ の 右 側 の も の は , そ の 右 側
縁 が 本 体部1の右側縁から内側に約16 mm の位置に設けられている。
(5) 上 記 2 本 の ベ ルト 2 は , 本 体 部1 を前 部 チ ャ イ ル ドシ ート の ヘ ッ ド レ ス
10 ト H の 背面部に重 ね合わせるように装着するためのもので,それぞれの 横 幅 が
約 2 0mm,長さが約820 mm のものである。
それぞれのベルト2の一方端部にはアジャスターバックル(別紙図 1の符号
B。 以 下,「アジャ スターバックル B」 という。)が取り付けられ,このアジャ
ス タ ー バックル B の 少し上の部位から貫通孔 W の少し下の部位まで本体 部 1 の
15 背 面 部 に 縫 い 付 け ら れ , ベ ル ト 2 の 他 方 端 部 で あ る 先 端 部 が 上 方 に 伸 び る よう
に 配 設 されている。この縫着部分は,別紙図1中の符号 S で示す破線部 分 で あ
っ て , そ の 縫 着 部 分 の 上 下 の 長 さ は 約 7 0 mm で , ベ ル ト 2 の 略 横 幅 一 杯 に 縫
い 付 け られている。この縫着部分 S の 下縁は本体部1の下縁から上方に約45
mm の 位 置である。
20 このベルト2の他方端部である先端部は,本体部1の上縁から前面側に 取り
回 し , 前部チャイルドシートのヘッドレスト H に上から下 に巻き付け,その後
上 記 ア ジャスターバックル B に挿通し て連結し,引き絞り固定す ること に よ り
本 体 部 を前記ヘッドレスト H の背面部に装着することができ る。
なお,ベルト2の先端部を本体部1の上縁から前面側に取り回すのではな く,
上 記 貫 通孔 W に挿通させてヘッドレスト H の上から下に巻き付けて装着す る こ
と も で きる。
(6) 上記本体部1の背面部に設けられた一対の面ファスナー1a を,チャイ
ル ド シ ー ト カ バ ー の 背 面 部 内 側 に 設 け ら れ て い る 一 対 の 面 フ ァ ス ナ ー と 相 互に
5 係 着 し てチャイルドシートカバーを適宜高さ位置に装着することができる 。
2 ロ 号物件 の装着補助具 (別紙図1ないし3参照)
(1) 自 転 車 の ハ ン ドル 部 に 固 定 さ れた 前部 チ ャ イ ル ド シー トに チ ャ イ ル ド シ
ー ト カ バーを装着する際に使用するものである。
(2) ロ 号 物 件 の 装 着補 助 具 は , 本 体部 1 ( 別 紙 図 1 の 符号 1。 以 下 , 「 本 体
10 部 1 」 と い う 。 ) と , こ の 本 体 部 1 に 縫 い 付 け ら れ た 2 本 の ベ ル ト ( 別 紙 図1
の 符 号 2。以下,「ベルト2」という。)から形成されている。
(3) 本体部1は ,前 部チャイルドシート のヘッドレスト H( 別紙図2の符号
H。 以 下,「ヘッドレスト H」 という。 )の背面部に装着される。
そ の 大きさは,縦約225 mm,横約315 mm で,その4つの角部を ア ー ル
15 状 に 切 り欠いた横長略長方形形状の合成樹脂製の板状体から成る。
こ の 本体部1には2個の貫通孔(別紙図1の符号 W。以下,「貫通孔 W」 と
い う 。 )が形成されている。
そ れ ぞれの貫通孔 W の上下の幅は約3 mm,左右の横幅は約23 mm であ り ,
そ の 形 状は横長略長方形で,両側縁部が半円形形状に形成されている。
20 こ れ らの2個の貫通孔 W は ,その長手方向を横にして左 右横方向に一 列 に 並
ん で 設 けられ,前面側から見てその左側の貫通孔 W の左端は本体部1の 左 側 縁
か ら 約 70mm,その右側の貫 通孔 W の右端は本体部1の右側縁から約7 0 mm
の 位 置 で,これら両貫通孔 W の上縁は本体部1の上縁から下方に約97 mm の
位 置 に 位置している。
(4) 本体部1の背面 部には,横幅約50 mm の面ファスナー 1 a(別紙 図 1 の
符 号 1 a。 以 下 , 「 面 フ ァ ス ナ ー 1 a」 と い う 。 ) が 上 下 方 向 略 全 体 に 一 対 設 け
られている。これら一対の面ファスナー1 a の左側のものは,その左側縁が本
体 部 1 の 左 側 縁 か ら 内 側 に 約 1 6 mm の 位 置 に , そ の 右 側 の も の は , そ の 右 側
5 縁 が 本 体部1の右側縁から内側に約16 mm の位置に設けられている。
(5) 上 記 2 本 の ベ ルト 2 は , 本 体 部1 を前 部 チ ャ イ ル ドシ ート の ヘ ッ ド レ ス
ト H の 背面部に重 ね合わせるように装着するためのもので,それぞれの 横 幅 が
約 2 0mm,長さが約820 mm のものである。
それぞれのベルト2の一方端部にはアジャスターバックル(別紙図1の符号
10 B。 以 下,「アジャ スターバックル B」 という。)が取り付けられ,このアジャ
ス タ ー バックル B の 少し上の部位から貫通孔 W の少し下の部位まで本体 部 1 の
背 面 部 に 縫 い 付 け ら れ , ベ ル ト 2 の 他 方 端 部 で あ る 先 端 部 が 上 方 に 伸 び る よう
に 配 設 されている。この縫着部分は 別紙図1中の符号 S で 示す破線部分であっ
て , そ の 縫 着 部 分 の 上 下 の 長 さ は 約 7 0 mm で , ベ ル ト 2 の 略 横 幅 一 杯 に 縫 い
15 付 け ら れている。この縫着部分 S の下縁は本体部1の下縁から上方に約45 mm
の 位 置 である。
このベルト2の他方端部である先端部は,本体部1の上縁から前面側に取り
回 し , 前部チャイルドシートのヘッドレスト H に上から下 に巻き付け,その後
上 記 ア ジャスターバックル B に挿通し て連結し,引き絞り固定することにより
20 本 体 部1 を前記ヘッドレスト H の背面部に装着することができ る。
なお,ベルト2の先端部を本体部1の上縁から前面側に取り回すのではなく,
上 記 貫 通孔 W に挿通させてヘッドレスト H の上から下に巻き付けて装着す る こ
と も で きる。
(6) 上記本体部1の背面部に設けられた一対の面ファスナー1a を,チャイ
ル ド シ ー ト カ バ ー の 背 面 部 内 側 に 設 け ら れ て い る 一 対 の 面 フ ァ ス ナ ー と 相 互に
係 着 し てチャイルドシートカバーを適宜高さ位置に装着することができる 。
3 ハ 号物件 の装着補助具( 別紙図4ないし6参照 )
(1) 自 転 車 の 後 部 荷台 部 に 固 定 さ れた 後部 チ ャ イ ル ド シー トに チ ャ イ ル ド シ
5 ー ト カ バーを装着する際に使用するものである。
(2) ハ 号 物 件 の 装 着補 助 具 は , 本 体部 1( 別 紙 図 4 の 符号 1。 以 下 , 「 本 体
部 1 」 と い う 。 ) と , こ の 本 体 部 1 に 縫 い 付 け ら れ た 2 本 の ベ ル ト 2 ( 別 紙図
4 の 符 号2。以下「ベルト2」という。)から形成されている。
(3) 本体部1は ,後 部チャイルドシート のヘッドレスト H( 別紙図5の符号
10 H。 以 下,「ヘッドレスト H」 という。)の背面部に装着される。
本体部1は,合成皮革製の2枚の帯状体を重ね合わせて縫着した合成皮革製
横 方 向 帯状体 G(別紙図4,5の符号 G。以下,「合成皮革製横方向帯状体 G」
と い う 。 幅 は 約 2 0 mm, 厚 み は 約 4 mm, 長 さ は 約 2 8 0 mm) を 同 間 隔 に 3
本 上 下 平行に配列し,これら3本の合成皮革製横方向帯状体 G の背面側で, そ
15 の 両 側 に 面 ファ ス ナー で あ る 縦 方向 帯 状体 T( 別 紙 図 面 4,5 の 符 号 T。 以 下,
「 縦 方 向 帯 状 体 T」 と い う 。 横 幅 約 5 0 mm, 長 さ 約 2 0 0 mm) を , そ の 両 側
縁 を 上 記合成皮革製横方向帯状体 G の 両端部に合致させて縫着し,全体として
略 長 方 形に形成し,更にこれ ら両側の縦 方向帯状体 T の内側側縁に沿っ て , 上
記 縦 方 向帯状体 T と略同 一サイズの縦方向帯状体 T を上記合成皮革製横 方 向 帯
20 状 体 G の背面 に縫着したもの から成る (縦方向帯状体 T 同士は縫着され て い な
い 。 )。 従って,本体部1を 構成する縦方向帯状体 T は全部で4本設け ら れ て
い る 。 また,本体部1の略中央部には上記合成皮革製横方向帯状体 G と 縦 方 向
帯 状 体 T との間に2つの窓部 M(縦約65 mm,横約80 mm)が形成され る 。
(4) 縦方向帯状体 T の背面側の全体にはそれぞれ面ファスナー 1a が設 け ら
れ て い る。
(5) 上 記 2 本 の ベ ルト 2 は , 上 記 本体 部1 を チ ャ イ ル ドシ ート の ヘ ッ ド レ ス
ト H の背面部に重ね合わせるように装着するためのものである。
上記2本のベルト2は,上記本体部1の上縁部で,背面側から視て,両端か
5 ら 内 側 方 向 に 約 5 4 mm の 位 置 に そ れ ぞ れ の 一 方 端 部 が 縫 着 さ れ て い る 。 こ の
両 端 か ら 内 側 方 向 に 約 5 4 mm の 位 置 と は , 背 面 側 か ら 視 て , 縫 着 さ れ る 左 側
のベルト2にあってはそのベルトの左側縁までの距離であり,右側のベル ト2
に あ っ て は そ の ベ ル ト の 右 側 縁 ま で の 距 離 で あ る 。 そ れ ぞ れ の ベ ル ト 2 は ,そ
の 他 方 端 で あ る 先 端 部 が 上 方 に 伸 び る よ う に 縫 着 さ れ て い る 。 そ れ ぞ れ の ベル
10 ト 2 の 横幅は約20 mm,長さは約630 mm である。
この縫着されたベルト2の前面側には面ファスナーがその全体に設けられて
いる。
これにより,このベルト2の他方端である先端部を本体部1の前面側に取り
回 し て ,前部チャイルドシートのヘッドレスト H に上から 下に巻き付け,その
15 後 内 側 に位置する縦方向帯状体 T の背面側に設けられた面ファ スナー 1a と 相
互 に 係 着し,これにより当該本体部1を前記ヘッドレスト H の背面側に装 着 す
る こ と ができる。
(6) 本体部1の背面 部の両側に位置する縦方向帯状体 T の外側に位置 す る 一
対 の 縦 方向帯状体 T の背面側の全体には面ファスナー 1 a がそれぞれ設 け ら れ
20 て い る ( 上 記 (4)) た め , こ れ ら 両 側 一 対 の 面 フ ァ ス ナ ー 1 a を , チ ャ イ ル ド シ
ー ト カ バ ー の 背 面 部 内 側 に 設 け ら れ て い る 一 対 の 面 フ ァ ス ナ ー と 相 互 に 係 着し
て チ ャ イルドシートカバーを適宜高さ位置に装着することができる。
4 ニ 号物件 の装着補助具( 別紙図4ないし6参照 )
(1) 自 転 車 の ハ ン ドル 部 に 固 定 さ れた 前部 チ ャ イ ル ド シー トに チ ャ イ ル ド シ
ー ト カ バーを装着する際に使用するものである。
(2) ニ 号 物 件 の 装 着補 助 具 は , 本 体部 1( 別 紙 図 4 の 符号 1。 以 下 , 「 本 体
部 1 」 と い う 。 ) と , こ の 本 体 部 1 に 縫 い 付 け ら れ た 2 本 の ベ ル ト 2 ( 別 紙図
4 の 符 号2。以下「ベルト2」という。)から形成されている。
5 (3) 本体部1は ,前 部チャイルドシート のヘッドレスト H( 別紙図5の符号
H。 以 下,「ヘッドレスト H」 という。)の背面部に装着される。
本体部1は,合成皮革製の2枚の帯状体を重ね合わせて縫着した合成皮革 製
横 方 向 帯状体 G(別紙図4 ,5の符号 G。以下,「合成皮革製横方向帯状体 G」
と い う 。 幅 は 約 2 0 mm, 厚 み は 約 4 mm, 長 さ は 約 2 8 0 mm) を 同 間 隔 に 3
10 本 上 下 平行に配列し,これら3本の合成皮革製横方向帯状体 G の背面側で, そ
の 両 側 に 面 ファ ス ナー で あ る 縦 方向 帯 状体 T( 別 紙 図 面 4,5 の 符 号 T。 以 下,
「 縦 方 向 帯 状 体 T」 と い う 。 横 幅 約 5 0 mm, 長 さ 約 2 0 0 mm) を , そ の 両 側
縁 を 上 記合成皮革製横方向帯状体 G の 両端部に合致させて縫着し,全体として
略 長 方 形に形成し,更にこれら両側の縦方向帯状体 T の内側側縁に沿っ て , 上
15 記 縦 方 向帯状体 T と略同一サイズの縦方向帯状体 T を上記合成皮革製横 方 向 帯
状 体 G の背面に縫着したものから成る (縦方向帯状体 T 同士は縫着され て い な
い 。 )。 従って,本体部1を 構成する縦方向帯状体 T は全部で4本設け ら れ て
い る 。 また,本体部1の略中央部には上記合成皮革製横方向帯状体 G と 縦 方 向
帯 状 体 T との間に2つの窓部 M(縦約65 mm,横約80 mm)が形成され る 。
20 (4) 縦方向帯状体 T の背面側の全体にはそれぞれ面ファスナー 1a が設 け ら
れ て い る。
(5) 上 記 2 本 の ベ ルト 2 は , 上 記 本体 部1 を チ ャ イ ル ドシ ート の ヘ ッ ド レ ス
ト H の 背面部に 重ね合わせるように装着するためのものである。
上記2本のベルト2は,上記本体部1の上縁部で,背面側から視て,両端か
ら 内 側 方 向 に 約 5 4 mm の 位 置 に そ れ ぞ れ の 一 方 端 部 が 縫 着 さ れ て い る 。 こ の
両 端 か ら 内 側 方 向 に 約 5 4 mm の 位 置 と は , 背 面 側 か ら 視 て , 縫 着 さ れ る 左 側
のベルト2にあってはそのベルトの左側縁までの距離であり,右側のベルト2
に あ っ て は そ の ベ ル ト の 右 側 縁 ま で の 距 離 で あ る 。 そ れ ぞ れ の ベ ル ト 2 は ,そ
5 の 他 方 端 で あ る 先 端 部 が 上 方 に 伸 び る よ う に 縫 着 さ れ て い る 。 そ れ ぞ れ の ベル
ト 2 の 横幅は約20 mm,長さは約630 mm である。
この縫着されたベルト2の前面側には面ファスナーがその全体に設けられて
いる。
これにより,このベルト2の他方端である先端部を本体部1の前面側に取り
10 回 し て ,前部チャイル ドシートのヘッドレスト H に上から 下に巻き付け,その
後 内 側 に位置する縦方向帯状体 T の背面側に設けられた面ファ スナー 1a と 相
互 に 係 着し,これにより当該本体部1を前記ヘッドレスト H の背面側に装 着 す
る こ と ができる。
(6) 本体部1の背面 部の両側に位置する縦方向帯状体 T の外側に位置 す る 一
15 対 の 縦 方向帯状体 T の背面側の全体には面ファスナー 1 a がそれ ぞれ設 け ら れ
て い る ( 上 記 (4)) た め , こ れ ら 両 側 一 対 の 面 フ ァ ス ナ ー 1 a を , チ ャ イ ル ド シ
ー ト カ バ ー の 背 面 部 内 側 に 設 け ら れ て い る 一 対 の 面 フ ァ ス ナ ー と 相 互 に 係 着し
て チ ャ イルドシートカバーを適宜高さ位置に装着することができる。
5 ホ 号物件 の装着補助具 (別紙図7ないし9参照)
20 (1) 自 転 車 の 後 部 荷台 部 に 固 定 さ れた 後部 チ ャ イ ル ド シー トに チ ャ イ ル ド シ
ー ト カ バーを装着する際に使用するものである。
(2) ホ 号 物 件 の 装 着補 助 具 は , 本 体部 1( 別 紙 図 7 の 符号 1。 以 下 , 「 本 体
部 1 」 と い う 。 ) と , こ の 本 体 部 1 に 縫 い 付 け ら れ た 2 本 の ベ ル ト 2 ( 別 紙図
7 の 符 号2。以下「ベルト2」という。)から形成されている。
(3) 本体部1は ,後 部チャイルドシート のヘッドレスト H( 別紙図8の符号
H。 以 下,「ヘッドレスト H」 という。)の背面部に装着される。
本 体 部1は,面ファスナーである 横幅約50 mm,長さ約280 mm の横 方 向
帯 状 体 Y(別紙図7 ,8の符号 Y。以下,「横方向帯状体 Y」という。 ) と ,
5 この横方向帯状体 Y の両端部で,その背面に面ファスナーである横幅約50
mm, 長さ約330 mm の一対 の縦方向帯状体 T(別紙図7 ,8 の符号 T。 以 下 ,
「 縦 方 向帯状体 T」 という。)が縫着され,その全体が H 字形状に形成 さ れ た
も の で ある。上記横方向帯状体 Y は,上記縦方向帯状体 T の上端から約 1 1 0
mm 下方の位置にその上縁が位置する部位に縫着されている。
10 (4) この H 字形状の本体部1の背面側には面ファスナー 1a がその全面 に 設
け ら れ ている。
ま た ,横方向帯状体 Y の背 面部には前記 横方向帯状体 Y と同 じ横幅で長さの
短 い面 ファ スナー で ある 横 方向 帯状カ バ ー体 C(別 紙図 7 , 8 の符号 C。以 下,
「 横 方 向 帯 状 カ バ ー体 C」 と い う 。 ) が, 面 フ ァ ス ナ ー に よっ て 密 着 さ れ て い
15 る 。 こ の横方向帯状カバー体 C の両端部は,約10 mm ずつ縦方向帯状体 T に
面 フ ァ スナーによって密着している。
本体部1の前面側には,合成皮革製の2枚の帯状体を重ね合わせて形成され
た 幅 約 2 0 mm, 厚み 約 4 mm,長 さ 約2 8 0 mm の 合成 皮革 製 横 方 向 帯 状 体 G
が 更 に 設 け られ て いる 。 こ の 合 成皮 革 製横 方 向 帯 状 体 G(別紙 図 7 , 8 の符 号
20 G。 以 下 , 「 合 成 皮 革 製 横 方 向 帯 状 G」 と い う 。 ) の 両 端 部 の 背 面 側 に 上 下 長
さ 約 9 0mm,横幅約50 mm の面ファスナーである 帯状片 S(別紙図7の符号
S。 以 下,「帯状片 S」という。)の上端部が縫い付けられ,これらの帯状 片 S
の 背 面 部にはそれぞれ面ファ スナーが設けられ,これら両端部の帯状片 S を 上
記 縦 方 向帯状体 T に面ファスナーにより相互に密着させている。
上 記 H 字形状の本体 部1の前面側の横方向帯状体 Y と,縦方 向帯状体 T の う
ち 横 方 向帯状体 Y の下方部分には面ファスナーが設けられているために , 上 記
帯 状 片 S が縦方向帯状体 T の前面に密着する。即ち,これら両端の帯状片 S と
合 成 皮 革製横方向帯状体 G は縦方向帯状体 T と着脱自在である。
5 (5) 上 記 2 本 の ベ ルト 2 は , 上 記 本体 部1 を チ ャ イ ル ドシ ート の ヘ ッ ド レ ス
ト H の背面部に重ね合わせるように装着するためのもので ある。
これら2本のベルト2のそれぞれは,その一方端部が上記合成皮革製横方向
帯 状 体 G に縫い付 けられている。その縫着位置は,上記合成皮革製横方向帯状
体 G の左右両端部から内側方向に約55 mm の位置に,即ち, 前面側か ら 視 て ,
10 左 の ベ ル ト 2 はそ の左 側 縁 が 合 成 皮革 製横 方 向 帯 状 体 G の左 端 か ら 約 5 5 mm
の 位 置 に,右のベルト 2 はそ の右側縁が合成皮革製横方向帯状体 G の右 端 か ら
約 5 5mm の位置に縫着されている。それぞれのベルト 2は,横幅約20 mm,
長 さ 約 6 3 0 mm で , 上 方 に 伸 び る よ う に 設 け ら れ て い る 。 こ れ ら 2 本 の ベ ル
ト 2 の 上 記 一 方 端 部 で あ る 縫 着 端 部 の 近 傍 に は ア ジ ャ ス タ ー バ ッ ク ル が 設 けら
15 れ て い る 。 ( 別 紙 図 7 で は , ベ ル ト 2 の 先 端 部 が ア ジ ャ ス タ ー バ ッ ク ル に 挿通
さ れ た 後に背面側に折り返されているために隠れて見えない状態である。 )
上記2本のベルト2の先端部を本体部の前面側に取り回して,後部チャイル
ド シ ー トのヘッドレスト H の上から下に 巻き付け,その後ヘッドレスト H の 下
か ら 上 方 に 巻 き 付 け て 上 記 ア ジ ャ ス タ ー バ ッ ク ル に 挿 通 し て 連 結 し , 引 き 絞り
20 固 定 し て前記本体部1を前記ヘッドレスト H の背面部に装 着することができる。
(6) その後,本体部 1の両側に位置する一対の縦方向帯状体 T の背面 部 の 全
体に設けられた面ファスナー1a をチャイルドシートカバーの背面部内側に設
け ら れ て い る 一 対 の 面 フ ァ ス ナ ー と 相 互 に 係 着 し て チ ャ イ ル ド シ ー ト カ バ ーを
適 宜 高 さ位置に装着することができる。
6 へ 号物件 の装着補助具 (別紙図7ないし9参照)
(1) 自 転 車 の ハ ン ドル 部 に 固 定 さ れた 前部 チ ャ イ ル ド シー トに チ ャ イ ル ド シ
ー ト カ バーを装着する際に使用するものである。
(2) ヘ 号 物 件 の 装 着補 助 具 は , 本 体部 1( 別 紙 図 7 の 符号 1。 以 下 , 「 本 体
5 部 1 」 と い う 。 ) と , こ の 本 体 部 1 に 縫 い 付 け ら れ た 2 本 の ベ ル ト 2 ( 別 紙図
7 の 符 号2。以下「ベルト2」という。)から形成されている。
(3) 本体部1は ,前 部チャイルドシート のヘッドレスト H( 別紙図8の符号
H。 以 下,「ヘッドレスト H」 という。)の背面部に装着される。
本 体 部1は,面ファスナーである 横幅約50 mm,長さ約280 mm の横 方 向
10 帯 状 体 Y(別紙図7 ,8の符号 Y。以下,「横方向帯状体 Y」という。 ) と ,
この横方向帯状体 Y の両端部で,その背面に面ファスナーである横幅約50
mm, 長さ約330 mm の一対 の縦方向帯状体 T(別紙図7 ,8 の符号 T。 以 下 ,
「 縦 方 向帯状体 T」 という。)が縫着され,その全体が H 字形状に形成 さ れ た
も の で ある。上記横方向帯状体 Y は,上記縦方向帯状体 T の上端から約 1 1 0
15 mm 下方の位置にその上縁が位置する部位に縫着されている。
(4) この H 字形状の本体部1の背面側には面ファスナー 1a がその全面 に 設
け ら れ ている。
ま た ,横方向帯状体 Y の背 面部には前記 横方向帯状体 Y と同 じ横幅で長さの
短 い面 ファ スナー で ある 横 方向 帯状カ バ ー体 C(別 紙図 7 , 8 の符号 C。以 下,
20 「 横 方 向 帯 状 カ バ ー体 C」 と い う 。 ) が, 面 フ ァ ス ナ ー に よっ て 密 着 さ れ て い
る 。 こ の横方向帯状カバー体 C の両端部は ,約10mm ずつ縦方向帯状体 T に
面 フ ァ スナーによって密着している。
本体部1の前面側には,合成皮革製の2枚の帯状体を重ね合わせて形成され
た 幅 約 2 0 mm, 厚み 約 4 mm,長 さ 約2 8 0 mm の 合成 皮革 製 横 方 向 帯 状 体 G
が 更 に 設 け られ て いる 。 こ の 合 成皮 革 製横 方 向 帯 状 体 G(別紙 図 7 , 8 の符 号
G。 以 下 , 「 合 成 皮 革 製 横 方 向 帯 状 G」 と い う 。 ) の 両 端 部 の 背 面 側 に 上 下 長
さ 約 9 0mm,横幅約50 mm の面ファスナーである 帯状片 S(別紙図 7の符号
S。 以 下,「帯状片 S」という。)の上端部が縫い付けられ,これらの帯状 片 S
5 の 背 面 部にはそれぞれ面ファスナーが設けられ,これら両端部の帯状片 S を 上
記 縦 方 向帯状体 T に面ファスナーにより相互に密着させている。
上 記 H 字形状の本体 部1の前面側の横方向帯状体 Y と,縦方 向帯状体 T の う
ち 横 方 向帯状体 Y の下方部分には面ファスナーが設けられているために , 上 記
帯 状 片 S が縦方向帯状体 T の前面に密着する。即ち,これら両端の帯状片 S と
10 合 成 皮 革製横方向帯状体 G は縦方向帯状体 T と着脱自在である。
(5) 上 記 2 本 の ベ ルト 2 は , 上 記 本体 部1 を チ ャ イ ル ドシ ート の ヘ ッ ド レ ス
ト H の背面部に重ね合わせるように装着するためのものである。
これら2本のベルト2のそれぞれは,その一方端部が上記合成皮革製横方向
帯 状 体 G に縫い付 けられている。その縫着位置は,上記合成皮革製横方向帯状
15 体 G の左右両端部から内側方向に約55 mm の位置に,即ち, 前面側か ら 視 て ,
左 の ベ ル ト 2 はそ の左 側 縁 が 合 成 皮革 製横 方 向 帯 状 体 G の左 端 か ら 約 5 5 mm
の 位 置 に,右のベルト 2 はそ の右側縁が合成皮革製横方向帯状体 G の右 端 か ら
約 5 5mm の位置に縫着されている。それ ぞれのベルト 2は,横幅約20 mm,
長 さ 約 6 3 0 mm で , 上 方 に 伸 び る よ う に 設 け ら れ て い る 。 こ れ ら 2 本 の ベ ル
20 ト 2 の 上 記 一 方 端 部 で あ る 縫 着 端 部 の 近 傍 に は ア ジ ャ ス タ ー バ ッ ク ル が 設 けら
れ て い る 。 ( 別 紙 図 7 で は , ベ ル ト 2 の 先 端 部 が ア ジ ャ ス タ ー バ ッ ク ル に 挿通
さ れ た 後に背面側に折り返されているために隠れて見えない状態である。 )
上記2本のベルト2の先端部を本体部の前面側に取り回して,後部チャイル
ド シ ー トのヘッドレスト H の上から下に 巻き付け,その後ヘッドレスト H の 下
か ら 上 方 に 巻 き 付 け て 上 記 ア ジ ャ ス タ ー バ ッ ク ル に 挿 通 し て 連 結 し , 引 き 絞り
固 定 し て前記本体部1を前記ヘッドレスト H の背面部に装 着することができる。
(6) その後,本体部 1の両側に位置する一対の縦方向帯状体 T の背面 部 の 全
体に設けられた面ファスナー1a をチャイルドシートカバーの背面部内側に設
5 け ら れ て い る 一 対 の 面 フ ァ ス ナ ー と 相 互 に 係 着 し て チ ャ イ ル ド シ ー ト カ バ ーを
適 宜 高 さ位置に装着することができる。
7 ト 号物件 の装着補助具 (別紙図10ないし12参照)
(1) 自 転 車 の 後 部 荷台 部 に 固 定 さ れた 後部 チ ャ イ ル ド シー トに チ ャ イ ル ド シ
ー ト カ バーを装着する際に使用するものである。
10 (2) ト 号 物 件 の 装 着補 助 具 は , 本 体部 1( 別 紙 図 1 0 の符 号1 。 以 下 , 「 本
体 部 1 」 と い う 。 ) と , こ の 本 体 部 1 に 縫 い 付 け ら れ た 2 本 の ベ ル ト 2 ( 別紙
図 1 0 の符号2。以下,「ベルト2」という。)から形成されている。
(3) 本体部1は ,後 部チャイルドシート のヘッドレスト H( 別紙図11の符
号 H。 以下,「ヘッドレスト H」という。)の背面部に装着される。
15 本 体 部1は,面ファスナーである 横幅約50 mm,長さ約280 mm の横 方 向
帯 状 体 Y(別紙図10,11の符 号 Y。以下,「横方向帯状体 Y」とい う 。 )
と , こ の横方向帯状体 Y の両 端部で, その背面に 面ファスナーである 横幅 約 5
0 mm,長さ約330 mm の一対の縦方向帯状体 T(別紙図10,11の 符 号 T。
以 下 , 「縦方向帯状体 T」と いう。) が 縫着され,その全体が H 字形状 に 形 成
20 さ れ たも のから成る。上記横 方向帯状体 Y は,上記縦方向帯状体 T の上 端 か ら
約 1 1 0mm 下方の位置にその上縁が位置する部位に縫着されている。
上 記 横方向帯状体 Y の上縁に沿って更に横幅約20 mm,厚み約3 mm,長さ
約 2 8 0mm の合成皮革製横方 向帯状体 G(別紙図10,11の符号 G。 以 下 ,
「 合 成 皮 革 製横 方 向帯 状 体 G」 と い う。) を 平 行 に 並べ て かつ 両 端 部 を 揃え て
配 設 し て お り , そ の 両 端 部 で , 略 長 方 形 の 生 地 片 に よ っ て 上 記 一 対 の 縦 方 向帯
状 体 T に縫着され,当該合成皮革製 横方向帯状体 G の全体が前面側に倒 れ る よ
う に 取 り付けられている。
ま た ,上記横方向帯状体 Y の前面側に は,略同一サイズの 面ファスナ ー で あ
5 る 横方 向帯 状カ バー 体 C(別 紙図1 0, 11の 符号 C。 以下 ,「横 方向 帯状カ
バ ー 体 C」という。)が,面ファスナーを介して密着されている。
従 っ て,上記本体部1の前面側では,縦方向帯状体 T のうち横方向帯 状 カ バ
ー 体 C の下縁から下方部分の全体に面 ファスナーが設けられた状態となる 。
(4) 他方,上記本体 部1の背面側では,左右一対の縦方向帯状体 T の背 面 部
10 の 全 体 に 面 フ ァ ス ナ ー 1 a( 別 紙 図 1 0 , 1 1 の 符 号 1 a) が 配 設 さ れ た 状 態 と
なる。
(5) 上 記 2 本 の ベ ルト 2 は , 上 記 本体 部1 を チ ャ イ ル ドシ ート の ヘ ッ ド レ ス
ト H の背面部に重ね合わせるように装着するためのものである。
これら2本のベルト2のそれぞれは,その一方端部を上記合成皮革製横方向
15 帯 状 体 G に縫着されている。
こ れ ら2本のベルト 2の縫着位置は,上記合成皮革製横方向帯状体 G に , 左
右 両 端 部 か ら 内 側 方 向 に 約 5 5 mm の 位 置 に 縫 着 さ れ て お り , 即 ち , 前 面 側 か
ら 見 て 左側のベルト2は,その左側縁を上記合成皮革製横方向帯状体 G の 左 端
か ら 約 5 5 mm の 位 置 に , 右 側 の ベ ル ト 2 は , そ の 右 側 縁 を 上 記 合 成 皮 革 製 横
20 方 向 帯 状体 G の右端から約55 mm の位置に縫着されている。
そ れ ぞれのベルト2は,横幅約20 mm,長さ約720 mm のもので, そ の 一
方 端 部 を上記合成皮革製横方向帯状体 G に縫着して,その他方端である先 端 部
が 上 方 に伸びるように設けられている。
そ れ ぞ れ の ベ ル ト2 の 縫 着 端 部 の 近 傍に は ア ジ ャ ス タ ー バッ ク ル B( 別 紙 図
10の 符号 B。 以下 ,「ア ジャ スタ ーバ ックル B」とい う。 )が設 けら れてい
る。
上記2本のベルト2の先端部を本体部1の前面側に取り回して,後部チャイ
ル ド シ ートのヘッドレスト H の上から下 に巻き付け,その後ヘッドレスト H の
5 下 縁 か ら上方に巻き上げて,上記アジャスターバックル B に挿通して連 結 し ,
引 き 絞 り固定して前記本体部を前記ヘッドレスト H の背面部に装着できる。
こ の 際に上記合成皮革製横方向帯状体 G は,ヘッドレスト H の上縁に 沿 う よ
う に 折 れ曲がる。
(6) 本体部 1の両側 に位置する一対の縦方向帯状体 T の背面側 の全体 に 設 け
10 られた面ファスナー1a と,チャイルドシートカバーの背面部内側に設けられ
て い る 一 対 の 面 フ ァ ス ナ ー と を 相 互 に 係 着 し て チ ャ イ ル ド シ ー ト カ バ ー を 適宜
高 さ 位 置に装着することができる。
8 チ 号物件 の装着補助具 (別紙図10ないし12参照)
(1) 自 転 車 の ハ ン ドル 部 に 固 定 さ れた 前部 チ ャ イ ル ド シー トに チ ャ イ ル ド シ
15 ー ト カ バーを装着する際に使用するものである。
(2) チ 号 物 件 の 装 着補 助 具 は , 本 体部 1( 別 紙 図 1 0 の符 号1 。 以 下 , 「 本
体 部 1 」 と い う 。 ) と , こ の 本 体 部 1 に 縫 い 付 け ら れ た 2 本 の ベ ル ト 2 ( 別紙
図 1 0 の符号2。以下,「ベルト2」という。)から形成されている。
(3) 本体部1は ,前 部チャイルドシート のヘッドレスト H( 別紙図11の符
20 号 H。 以下,「ヘッドレスト H」という。)の背面部に装着される。
本 体 部1は,面ファスナーである 横幅約50 mm,長さ約280 mm の横 方 向
帯 状 体 Y(別紙図10,11の符号 Y。以下,「横方向帯状体 Y」とい う 。 )
と , こ の横方向帯状体 Y の両端部で, その背面に 面ファスナーである 横幅 約 5
0 mm,長さ約330 mm の一対の縦方向帯状体 T(別紙図10,11の 符 号 T。
以 下 , 「縦方向帯状体 T」という。)が 縫着され,その全体が H 字形状 に 形 成
さ れ た ものから成る。上記横方向帯状体 Y は,上記縦方向帯状体 T の上 端 か ら
約 1 1 0mm 下方の位置にその上縁が位置する部位に縫着されている。
上 記 横方向帯状体 Y の上縁に沿って更に横幅約20 mm,厚み約3 mm,長さ
5 約 2 8 0mm の合成皮革製 横方 向帯状体 G(別紙図10,11の符号 G。 以 下 ,
「 合 成 皮 革 製横 方 向帯 状 体 G」 と い う。) を 平 行 に 並べ て か つ 両 端 部 を 揃え て
配 設 し て お り , そ の 両 端 部 で , 略 長 方 形 の 生 地 片 に よ っ て 上 記 一 対 の 縦 方 向帯
状 体 T に縫着され,当該合成皮革製 横方向帯状体 G の全体が前面側に倒 れ る よ
う に 取 り付けられている。
10 ま た ,上記横方向帯状体 Y の前面側に は,略同一サイズの 面ファスナ ー で あ
る 横方 向帯 状カ バー 体 C(別 紙図1 0, 11の 符号 C。 以下 ,「横 方向 帯状カ
バ ー 体 C」という。)が,面ファスナーを介して密着されている。
従 っ て,上記本体部1の前面側では,縦方向帯状体 T のうち横方向帯 状 カ バ
ー 体 C 下縁から下方部分の全体に面ファスナーが設けられた状態となる。
15 (4) 他方,上記本体 部1の背面側では,左右一対の縦方向帯状体 T の背 面 部
の 全 体 に 面 フ ァ ス ナ ー 1 a( 別 紙 図 1 0 , 1 1 の 符 号 1 a) が 配 設 さ れ た 状 態 と
なる。
(5) 上 記 2 本 の ベ ルト 2 は , 上 記 本体 部1 を チ ャ イ ル ドシ ート の ヘ ッ ド レ ス
ト H の背面部に重ね合わせるように装着するためのものである。
20 こ れ ら 2 本 の ベ ル ト 2 の そ れ ぞ れ は , そ の 一 方 端 部 を 上 記 合 成 皮 革 製 横 方向
帯 状 体 G に縫着されている。
こ れ ら2本のベルト 2の縫着位置は,上記合成皮革製横方向帯状体 G に , 左
右 両 端 部 か ら 内 側 方 向 に 約 5 5 mm の 位 置 に 縫 着 さ れ て お り , 即 ち , 前 面 側 か
ら 見 て 左側のベルト2は,その左側縁を上記合成皮革製横方向帯状体 G の 左 端
か ら 約 5 5 mm の 位 置 に , 右 側 の ベ ル ト 2 は , そ の 右 側 縁 を 上 記 合 成 皮 革 製 横
方 向 帯 状体 G の右端から約55 mm の位置に縫着されている。
そ れ ぞれのベルト2は,横幅約20 mm,長さ約720 mm のもので, そ の 一
方 端 部 を上記合成皮革製横方向帯状体 G に縫着して,その他方端である先 端 部
5 が 上 方 に伸びるように設けられている。
そ れ ぞ れ の ベ ル ト2 の 縫 着 端 部 の 近 傍に は ア ジ ャ ス タ ー バッ ク ル B( 別 紙 図
10の 符号 B。 以下 ,「ア ジャ スタ ーバ ックル B」とい う。 )が設 けら れてい
る。
上記2本のベルト2の先端部を本体部1の前面側に取り回して,後部チャイ
10 ル ド シ ートのヘッドレスト H の上から下 に巻き付け,その後ヘッドレスト H の
下 縁 か ら上方に巻き上げて,上記アジャスターバックル B に挿通して連 結 し ,
引 き 絞 り固定して前記本体部 1を前記ヘッドレスト H の背面部に装着できる。
こ の 際に上記合成皮革製横方向帯状体 G は,ヘッドレスト H の上縁に 沿 う よ
う に 折 れ曲がる。
15 (6) 本体部 1の両側 に位置する一対の縦方向帯状体 T の背面側の全体 に 設 け
られた面ファスナー1a と,チャイルドシートカバーの背面部内側に設けられ
て い る 一 対 の 面 フ ァ ス ナ ー と を 相 互 に 係 着 し て チ ャ イ ル ド シ ー ト カ バ ー を 適宜
高 さ 位 置に装着することができる。

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