令和3(行ケ)10037審決取消請求事件
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裁判所 |
請求棄却 知的財産高等裁判所知的財産高等裁判所
|
裁判年月日 |
令和4年2月2日 |
事件種別 |
民事 |
当事者 |
原告有限会社コロンブスの卵たち被告特許庁長官 被告特許庁長官
|
対象物 |
片手支持可能な表示装置 |
法令 |
特許権
特許法157条2項1回 特許法126条1項1回 特許法126条1回
|
キーワード |
審決44回 実施33回 訂正審判3回 特許権1回 分割1回
|
主文 |
1 原告の請求を棄却する。15
2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事件の概要 |
本件は、特許訂正審判請求の不成立審決の取消訴訟である。 |
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判決文
令和4年2月2日判決言渡
令和3年(行ケ)第10037号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 令和3年12月14日
判 決
原 告 有限会社コロンブスの卵たち
被 告 特 許 庁 長 官
10 同 指 定 代 理 人 濱 野 隆
同 岡 田 吉 美
同 中 塚 直 樹
同 青 木 良 憲
主 文
15 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
特許庁が訂正2020-390019号事件について令和3年2月4日に
20 した審決のうち、請求項1から10までに係る部分を取り消す。
第2 事案の概要
本件は、特許訂正審判請求の不成立審決の取消訴訟である。
1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがない。)
⑴ 原告代表者は、平成14年7月5日、その名称を「片手支持可能な表示装
25 置」とする発明について、特許出願(特願2002-196984号。平成
3年8月30日を特許出願日とする特願平3-245262号の一部を、平
成9年11月10日に新たな特許出願とした特願平9-325299号の
一部を、更に平成12年2月9日に新たな特許出願とした特願2000-3
1495号の一部を、また新たな特許出願として行われたもの。以下「本件
出願」という。)をし、平成14年12月20日、その設定登録(特許第3
5 382936号。請求項の数12)を受けた(平成23年8月30日存続期
間満了。以下、この登録に係る特許を「本件特許」という。 。
)
⑵ 原告(特許権の承継人)は、平成22年3月2日、本件特許の特許請求の
範囲及び明細書を訂正する訂正審判請求(訂正2010-390023号)
を行った(以下、この請求に係る訂正を「前件訂正」という。 。
)
10 特許庁は、同年5月28日、前件訂正を認める審決をした。
⑶ 原告は、令和2年2月28日、本件特許の請求項1ないし12に係る特許
請求の範囲及び明細書を訂正する訂正審判請求(訂正2020-39001
9号)をし(以下、この請求に係る訂正を「本件訂正」という。 、同年12
)
月4日付けの審判請求書で訂正事項の一部を補正した(以下、この請求書に
15 係る補正を「本件補正」といい、前件訂正により訂正することを認められた
訂正明細書を「訂正前明細書」、本件補正により補正された訂正明細書を「訂
正明細書」という。 。
)
⑷ 特許庁は、令和3年2月4日、
「特許第3382936号の特許請求の範囲
を、令和2年12月4日付けの手続補正により補正された訂正特許請求の範
20 囲の請求項11及び請求項12のとおり、訂正後の請求項11及び請求項1
2について訂正することを認める。一群の請求項[1~10]に係る訂正に
ついての審判請求は成り立たない。特許第3382936号の明細書を、令
和2年12月4日付けの手続補正により補正された訂正明細書のとおり、訂
正することを認める。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄
25 本は、同月15日、原告に送達された。
⑸ 原告は、令和3年3月12日、本件審決の取消しを求めて本件訴えを提起
した。
2 特許請求の範囲の記載
本件訂正前の請求項1ないし12の発明(以下、項番号順に「訂正前発明1」
のようにいい、訂正前発明1ないし12を併せて「訂正前発明」という。)に係
5 る特許請求の範囲の記載、及び、本件訂正後の請求項1ないし6及び10の発
明(請求項7ないし9、11及び12は削除。以下、項番号順に「訂正発明1」
のようにいい、訂正発明1ないし6及び10を併せて「訂正発明」という。)に
係る特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。
なお、訂正発明1の分説された各項に付された番号は、本件審決において付
10 されたものであり、訂正前発明1のそれは、本判決において付すものである(訂
正発明の項番号にそろえるために欠番がある。 。
)
⑴ 訂正前発明
ア 訂正前発明1
a 略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、
15 ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能
な表示装置であって、
b 前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、そ
れらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるよう
に、接続するための左右見開き接続手段と、
20 d 前記「2つの表示板」を、
「前記各表示板がユーザーから見て左右方向
に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される
側の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見
開き固定手段と、
e ユーザーから見て左右方向に見開きにされたときの前記「2つの表示
25 板」を、
「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角
度」が「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」と
なるように、ストッパにより固定するための中間左右見開き固定手段で
あって、
e1 前記「2つの表示板」の、
「前記各表示板のそれぞれ画面が表示され
る側の間の角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広
5 げられて行く動作、をストップする機能と、
e2 前記「2つの表示板」の、
「前記各表示板のそれぞれ画面が表示され
る側の間の角度」が「ユーザーから見て左右方向に約180度の角度で
見開きにされた状態」から狭められて行く動作、をストップする機能と、
を有する中間左右見開き固定手段と、
10 g を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
イ 訂正前発明2
略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、
ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能
な表示装置であって、
15 前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それ
らがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、
接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、
「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前
記『2つの表示板』の間の見開き角度」が約180度となるように、固定
20 するための完全左右見開き固定手段と、
前記「2つの表示板」を、
「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前
記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた
状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた
状態との間の角度であって、約120度から約170度までの範囲内のい
25 ずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段で
あって、
前記「2つの表示板」の、
「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記
『2つの表示板』の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに折り畳ま
れた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能を有する中間左
右見開き固定手段と、
5 を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
ウ 訂正前発明3
略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、
ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能
な表示装置であって、
10 前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それ
らがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、
接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、
「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に
見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側
15 の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き
固定手段と、
前記「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされたと
き、前記「2つの表示板」を、
「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表
示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のい
20 ずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
エ 訂正前発明4
画面をそれぞれ表示できる「2つ以上の表示板」を含んでおり、ユーザ
ーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示
25 装置であって、
前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、
それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方
向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接
続手段と、
前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、
5 「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の
見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左
右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、
約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、
摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左
10 右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
オ 訂正前発明5
次の(a)~(d)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示
装置。
15 (a)画面をそれぞれ出力する「複数の表示板」が、それぞれが表示す
る各画面がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手
のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、
20 それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方
向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接
続手段を備えている、
(d)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」が
ユーザーから見て左右方向に見開きにされているとき、前記「2つの表示
25 板」 「前記
を、 『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」
が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるよ
うに、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するため
の左右見開き固定手段、を備えている。
カ 訂正前発明6
次の(a)~(d)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示
5 装置。
(a)画面をそれぞれ出力する複数個の表示板が、それぞれが表示する
各画面がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手
のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
10 (c)ユーザーから見て縦方向の線を境にして、その右側部分と左側部
分とを、互いに折り畳み可能で且つユーザーから見て左右方向に見開き可
能に接続するための左右見開き接続手段を備えている、
(d)ユーザーから見て縦方向の線の右側部分と左側部分とを、
「ユーザ
ーから見て縦方向の線を境とした、前記右側部分と左側部分との間の見開
15 き角度」が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」
となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定
するための左右見開き固定手段、を備えている。
キ 訂正前発明7
請求項5又は6において、さらに、次の(e)の内容を含むことを特徴
20 とする片手支持可能な表示装置。
(e)表示装置の前記見開き時の表示画面は、ユーザーから見て縦方向
の線の右側部分の画面の形状と同左側部分の画面の形状とが、ユーザーか
ら見てほぼ左右均等で且つほぼ左右対称となるように、構成されている。
ク 訂正前発明8
25 請求項5、6又は7において、さらに、次の(f)の内容を含むことを
特徴とする片手支持可能な表示装置。
(f)表示装置の前記見開き時の全体の形状は、ユーザーから見て縦方
向の線の右側部分の平面の面積と同左側部分の平面の面積とが、ハードウ
ェアとしてほぼ左右均等となるように、構成されている。
ケ 訂正前発明9
5 請求項5、6、7又は8において、さらに、次の(g)の内容を含むこ
とを特徴とする片手支持可能な表示装置。
(g)表示装置は「偶数個の表示板」から構成されており、表示装置の
前記見開き時の全体の形状は、ユーザーから見て縦方向の線の右側部分の
平面の面積及び厚さと同左側部分の平面の面積及び厚さとが、ハードウェ
10 アとしてほぼ左右均等となるように、構成されている。
コ 訂正前発明10
請求項1から9までのいずれかにおいて、さらに、
前記表示板に「ユーザーによるデータ入力のために使用される、データ
入力用画面」を表示するためのデータ入力用手段、
15 を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
サ 訂正前発明11
請求項1から9までのいずれかにおいて、さらに、
テレビ放送局から電波又は有線により送信されるテレビ番組情報を無線
を介して受信するためのテレビ番組情報無線受信手段と、
20 前記テレビ番組情報無線受信手段により受信されたテレビ番組情報を前
記表示板に表示させるためのテレビ番組情報表示手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
シ 訂正前発明12
請求項1から9までのいずれかにおいて、さらに、
25 前記片手支持可能な表示装置から離れた場所に存在する外部の情報記録
装置に記録されている外部情報を無線を介して受信するための外部情報
無線受信手段と、
前記外部情報無線受信手段が受信した外部情報を前記表示板に表示させ
るための外部情報表示手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
5 ⑵ 訂正発明(下線は訂正箇所である。)
ア 訂正発明1
A 略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」であって、少
なくともいずれか一方の表示板が「情報入力機能を有する画面」を表示
させるものである「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手
10 だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
B 前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、そ
れらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるよう
に、且つ前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザ
ーが回動させたとき当該一方の表示板と他方の表示板とが「それらが互
15 いに接続されている部分」を回動中心として相対的に回動するように、
接続するための左右見開き接続手段と、
C 「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の
見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回
動により「ユーザーの任意の角度」に変化させられたとき、摩擦力によ
20 り、前記2つの表示板の間を前記「任意の角度」で保持する任意角度保
持手段と、
D 前記「2つの表示板」を、
「前記各表示板がユーザーから見て左右方向
に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される
側の各平面の間の見開き角度」が約180度となるように、固定するた
25 めの完全左右見開き固定手段と、
E 「前記2つの表示板がユーザーから見て左右方向に見開きにされてい
るときの、前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の
見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回
動により「約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1
つの角度」に変化させられたとき、前記回動をストップさせて、前記「2
5 つの表示板」の間を前記「予め決められた1つの角度」で固定する中間
左右見開きストッパであって、前記「2つの表示板」の、
「前記各表示板
のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が「前記各
表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストッ
プする機能と、前記「2つの表示板」の、
「前記各表示板のそれぞれ画面
10 が表示される側の各平面の間の見開き角度」が「ユーザーから見て左右
方向に約180度の角度で見開きにされた状態」から狭められて行く動
作、をストップする機能と、を有する中間左右見開きストッパと、を備
え、
F ユーザーが、
「前記2つの表示板の前記各平面の間の見開き角度」が広
15 がるように前記「2つの表示板」の少なくともいずれか一方を回動させ
て前記見開き角度を任意に変化させるとき、前記2つの表示板の間を「ユ
ーザーの任意の角度」で摩擦力により保持するようにしながら、前記見
開き角度が前記「予め決められた1つの角度」になったときは、前記中
間左右見開きストッパにより、前記回動をストップさせて、前記2つの
20 表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が
表示される側に「谷状の部分」を、且つ前記2つの表示板のそれらが互
いに接続されている部分及びその近傍部分の画面が表示されない側に
「山状の部分」を固定的に形成する構成を備えた、
G ことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
25 イ 訂正発明2
略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」であって、少な
くともいずれか一方の表示板が「情報入力機能を有する画面」を表示させ
るものである「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけで
も支持することができる片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それ
5 らがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、
且つ前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザーが
回動させたとき当該一方の表示板と他方の表示板とが「それらが互いに接
続されている部分」を回動中心として相対的に回動するように、接続する
ための左右見開き接続手段と、
10 前記「2つの表示板」を、
「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前
記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き
角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き固定手
段と、
「前記2つの表示板の、ユーザーから見て縦方向の線を境としたときの
15 前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」
が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動により、
「それ
らが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度
の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、約120度から約1
70度までの範囲内の予め決められた1つの角度」に変化させられたとき、
20 前記回動をストップさせて、前記「2つの表示板」の間を前記「予め決め
られた1つの角度」で固定する中間左右見開きストッパであって、 「2
前記
つの表示板」 「ユーザーから見て縦方向の線を境としたときの前記各表
の、
示板のそれぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が「前記
各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストッ
25 プする機能を有する中間左右見開きストッパと、を備え、
「電車の中で、戸外で、外出先で、又は立ったままで使用するのに適した、
前記2つの表示板の使用」を可能にする構成であって、ユーザーが、
「前記
2つの表示板の前記各平面の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに
折り畳まれた状態」から広がるように、前記「2つの表示板」の少なくと
もいずれか一方を回動させて、前記見開き角度を任意に変化させる場合に
5 おいて、前記見開き角度が前記「予め決められた1つの角度」になったと
き、前記中間左右見開きストッパにより、前記回動をストップさせて、前
記2つの表示板のそれぞれ画面が表示される側の各表示板の間を前記「予
め決められた1つの角度」に固定する構成を備えた、
ことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
10 ウ 訂正発明3
略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含んでおり、
ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能
な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それ
15 らがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、
接続するための左右見開き接続手段と、
前記「2つの表示板」を、
「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に
見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側
の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左右見開き
20 固定手段と、
前記「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされたと
き、前記「2つの表示板」を、
「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表
示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のい
ずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段と、
25 を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
エ 訂正発明4
画面をそれぞれ表示できる「2つ以上の表示板」を含んでおり、ユーザ
ーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示
装置であって、
前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、
5 それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方
向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接
続手段と、
前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、
「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の
10 見開き角度」が「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左
右方向に約180度の角度で見開きにされた状態との間の角度であって、
約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、
摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左
右見開き固定手段と、
15 を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
オ 訂正発明5
次の(a)~(d)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示
装置。
(a)画面をそれぞれ出力する「複数の表示板」が、それぞれが表示す
20 る各画面がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手
のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、
それらが互いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザーから見て左右方
25 向に見開きにされた状態にもできるように、接続するための左右見開き接
続手段を備えている、
(d)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」が
ユーザーから見て左右方向に見開きにされているとき、前記「2つの表示
板」 「前記
を、 『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」
が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるよ
5 うに、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するため
の左右見開き固定手段、を備えている。
カ 訂正発明6
次の(a)~(d)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示
装置。
10 (a)画面をそれぞれ出力する複数個の表示板が、それぞれが表示する
各画面がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手
のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)ユーザーから見て縦方向の線を境にして、その右側部分と左側部
15 分とを、互いに折り畳み可能で且つユーザーから見て左右方向に見開き可
能に接続するための左右見開き接続手段を備えている、
(d)ユーザーから見て縦方向の線の右側部分と左側部分とを、
「ユーザ
ーから見て縦方向の線を境とした、前記右側部分と左側部分との間の見開
き角度」が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」
20 となるように、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定
するための左右見開き固定手段、を備えている。
キ 訂正発明10
次の(a)~(f)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示
装置。
25 (a)画面をそれぞれ出力する「2つの表示板」であって、少なくとも
いずれか一方の表示板に「ユーザーによるデータ入力のために使用される、
データ入力用画面」を表示するためのデータ入力手段が備えられている
「2つの表示板」が、それぞれが表示する各画面がユーザーに対向するこ
とができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手
5 のみでも支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、
それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるよ
うに、且つ前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザ
ーが回動させたとき当該一方の表示板と他方の表示板とが「それらが互い
10 に接続されている部分」を回動中心として相対的に回動するように、接続
するための左右見開き接続手段を備えている、
(d)
「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間
の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回
動により、
「ユーザーの任意の角度」に変化させられたとき、摩擦力により、
15 前記2つの表示板の間を前記「任意の角度」で保持する任意角度保持手段、
を備えている、
(e)
「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間
の見開き角度」が約180度になったとき、前記「2つの表示板」の間を
前記角度で固定する完全見開き固定手段、を備えている、
20 (f)前記「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにさ
れているときであって、
「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される
側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一
方の表示板の回動により「約120度から約170度までの範囲内の予め
決められた1つの角度」に変化させられたとき、前記回動をストップさせ
25 て、前記「2つの表示板」の間を前記「予め決められた1つの角度」で固
定する中間左右見開きストッパ、を備えている、
3 本件訂正の内容
⑴ 特許請求の範囲の訂正事項
別紙1の右欄に記載された訂正発明について、下線を付し、 「
又は (削除)」
として示されるとおりであり、下線部の末尾の括弧内に当該訂正事項に付さ
5 れた番号を付した。ただし、他の請求項を引用する形式から請求項5の記載
のみを引用するものに実体的な訂正をするとともに、さらに、請求項5の記
載を引用しない独立項に改められる訂正発明10に係る訂正については、訂
正前発明の欄に訂正前発明5を掲記するとともに、訂正前発明5と訂正発明
10との相違部分に限定して下線を付した。
10 なお、別紙1の左欄に記載された訂正前発明について、訂正事項に対応す
る部分について参考として下線を付した。
⑵ 明細書の訂正事項
訂正前明細書【0012】の「(本発明の内容)」を「(本明細書中に含まれ
る複数の発明の概要)」に訂正する(訂正事項13-2)。
15 4 本件審決の理由の要旨
本件審決は、①訂正事項1-5ないし1-10(訂正発明1)、同2-4ない
し2-7、2-9(訂正発明2)、同10-5、10-6(訂正発明10)は目
的要件(特許法126条1項ただし書各号)を満たさない、②訂正事項1-4、
1-10(訂正発明1)、同2-7(訂正発明2)、同10-5(訂正発明10)
20 は、新規事項の追加(同条5項)に該当する、③上記②の各訂正事項は、特許
請求の範囲の実質拡張・変更(同条6項)に該当する、④訂正発明1、2及び
10は、甲第1号証の1「国際公開第91/05327号」
(以下「引用文献1」
という。)に記載された発明(以下「引用発明」という。 、並びに、甲第2号証
)
「実願昭60-27223号(実開昭60-170858号)のマイクロフィ
25 ルム」(以下「引用文献2」という。)等の記載から認定できる周知技術(以下
「周知技術1」という。)及び甲第3号証「実願昭63-171245号(実開
平2-91874号)のマイクロフィルム」(以下「引用文献3」という。)等
の記載から認定できる周知技術(以下「周知技術2」という。 、甲第4号証「特
)
開昭63-40957号公報」(以下「引用文献4」という。)及び甲第5号証
「実願昭58-64558号(実開昭59-169654号)のマイクロフィ
5 ルム(以下「引用文献5」という。)の記載から認定できる周知技術(以下「周
知技術3」という。 、甲第6号証「特開平2-257364号公報」
) (以下「引
用文献6」という。 、甲第7号証「特開平2-268311号公報」
) (以下「引
用文献7」という。)及び甲第8号証「実願昭63-110579号(実開平2
-32161号)のマイクロフィルム」(以下「引用文献8」という。)の記載
10 から認定できる周知技術(以下「周知技術4」という。)に基づいて当業者が容
易に想到し得たから、独立特許要件(同条7項)を満たさないとし、したがっ
て、本件訂正前に一群の請求項を構成していた請求項1ないし10に係る本件
訂正は、訂正要件を満たしていないと判断した。
それぞれの論点に関する本件審決の理由の要旨は、以下のとおりである。
15 ⑴ 目的要件について
ア 訂正事項1-5ないし1-8、2-4、2-5、2-9、10-5及び
10-6
(ア) 訂正事項1-5
本件訂正前の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角
20 度」が「各表示板」の「画面が表示される側」のそれぞれの平面の間の
見開き角度を意味することは、自明な論理的帰結であるから、訂正事項
1-5は、訂正前の内容を単に言い換えたものにすぎず、訂正の目的は
「特許請求の範囲の減縮」に該当するとはいえない。
また、本件訂正前の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の
25 間の角度」に誤記や明瞭でない記載があるとは認められないから、訂正
の目的は、
「誤記の訂正」や「明瞭でない記載の釈明」を目的とするもの
ではなく、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項
「
の記載を引用しないものとすること」にも該当しない。
(イ) その余の訂正事項
訂正事項1-6ないし1-8、2-4、2-5、2-9、10-5及
5 び10-6についても、 前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の
「
各平面の間の見開き角度」に訂正することを含むから、前記(ア)と同旨
である。
イ 訂正事項1-6、1-9、2-5及び2-6
(ア) 訂正事項1-6
10 本件訂正前の「中間左右見開き固定手段」は「ストッパにより固定す
るための中間左右見開き固定手段」であるから、当該「固定手段」は「ス
トッパ」そのものであると解するのが自然であり、本件訂正前の「中間
左右見開き固定手段」を「中間左右見開きストッパ」とするのは、当該
訂正前の内容を単に言い換えたものにすぎず、訂正の目的は「特許請求
15 の範囲の減縮」に該当するとはいえない。
また、本件訂正前の「ストッパにより固定するための中間左右見開き
固定手段」に誤記や明瞭でない記載があるとは認められないから、訂正
の目的は、
「誤記の訂正」や「明瞭でない記載の釈明」を目的とするもの
ではなく、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項
「
20 の記載を引用しないものとすること」にも該当しない。
(イ) その余の訂正事項
訂正事項1-9、2-5及び2-6についても、前記(ア)と同旨であ
る。
ウ 訂正事項1-10
25 訂正前明細書【0045】の記載を参照すれば、「画面が表示される側」
の「谷状の部分」や、
「画面が表示されない側」の「山状の部分」とは、断
面略V字状の凹状部分(すなわち、約105度から約170度までの間の
いずれかの角度に折り曲げられている部分)とその反対側の部分を指すと
解するのが相当であり、2つの表示板を見開き状態で使用するときの、当
該2つの表示板の折り曲げ角度によって規定されるものである。
5 そうすると、「前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分
及びその近傍部分の画面が表示される側に「谷状の部分」を、且つ前記2
つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分の画
面が表示されない側に「山状の部分」を固定的に形成する構成」とは、本
件訂正前の「中間左右見開き固定手段」により「2つの表示板」を固定し
10 た場合の折り曲げられた状態を記述しているにすぎず、表示装置の手段と
して新たなものを特定していない。
したがって、訂正事項1-10の訂正は、
「表示装置」の手段として新た
なものを特定していないから、
「特許請求の範囲の減縮」に該当するとはい
えない。
15 また、この訂正は、
「誤記の訂正」や「明瞭でない記載の釈明」を目的と
するものではなく、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他
の請求項の記載を引用しないものとすること」にも該当しない。
エ 訂正事項2-7
具体的にどのような状況であれば「適した」
「使用」であるといえるのか
20 明らかではないから、このような構成を挿入する訂正は、特許法126条
1項ただし書のいずれの目的にも該当しない。
⑵ 新規事項追加について
ア 訂正事項1-4
訂正事項1-4によれば、「ユーザーによる少なくともいずれか一方の
25 表示板の回動により」
「変化させられ」る「ユーザーの任意の角度」が、0
度から180度の範囲を超えて、180度から360度までの範囲も含む
ことになるところ、訂正前明細書の記載を参照しても、
「ユーザーの任意の
角度」が180度から360度までの範囲も含むことは明示的に記載され
ておらず、自明な事項でもない。
イ その余の訂正事項
5 訂正事項10-5、及び、
「見開き角度を任意に変化させる」という構成
を含む訂正事項1-10及び2-7についても、前記アと同旨である。
⑶ 特許請求の範囲の実質拡張・変更について
前記⑵と同旨。
⑷ 独立特許要件について
10 仮に、本件訂正が訂正要件を満たすものであるとしても、訂正発明1、2
及び10は、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものであ
る。
ア 引用発明の認定
主にデータ入カパネルである第1のパネル12と、主にディスプレイパ
15 ネルとして役立ち、かつ第2のデータ入力パネルとしても兼務する第2の
パネル14と、第1のパネル12及び第2のパネル14上の書くためのス
タイラス18を含むコンピュータノートブック10であって、
ユーザーが座ったり、立ったり、又は、歩いたりする位置にあるときに、
片手でコンピュータを保持し、もう片方の手でデータを入力することを許
20 容するものであり、
第1のパネル12と第2のパネル14は蝶番手段16によって接続され
ており、蝶番手段16は1つのパネルが他方に対していかなる角度位置に
おいても設定されることを許容するものであり、パネルは、各パネルが動
かずに定格のトルク量を支えることを許容するであろう少なくとも4つ
25 の明確な設定を有するものであり、
第1のパネル12及び第2のパネル14の両方が蝶番手段16を中心と
した多数の角度において配向することが許容されており、
第1のパネル12は、不透明な第1のデジタイザ22を有する第1の平
坦な表面20を有し、第1のデジタイザ22上へ入力されるデータに応答
するための選択された液晶ディスプレイを有するものであり、
5 第2のパネル14は、液晶ディスプレイを有する第2平坦な表面24と
液晶ディスプレイの上に置かれる透明な第2のデジタイザ26を含み、
蝶番手段16は第1の蝶番ブラケット28、第2の蝶番ブラケット30、
第3の蝶番ブラケット32及び第4の蝶番ブラケット34を含み、
第1のパネル12及び第2のパネル14をともに保持するための第1の
10 軸36及び第2の軸38がそれらを介して通り、
第1の軸36は第1のパネル12が回転する軸を提供し、
第2の軸38は第2のパネル14が回転する軸を提供し、
第1の軸36のロッキング機構は、一方がねじ切りされ、かつ他方が拡
開されたシャフト37を含み、
15 第1の軸36は、第1の蝶番ブラケット28にシャフト37の拡開端3
9を嵌合させ、
ねじ切りされた端部41を第4の蝶番ブラケット34に通して、締着つ
まみ42を装着して嵌合し、
締着つまみ42は選択的に第1の軸36を締めるために回され、かつ増
20 加された引張りが、第1の蝶番ブラケット28に接している拡開端39と
第1のパネル12との嵌合をきつくするようにされ、
セラミックジャケット40が第1の蝶番ブラケット28と第4の蝶番ブ
ラケット34とに接触する第1の軸36の両端39及び41におけるス
ペーサとして使用され、第1のパネル12が動かずに定格のトルク量を支
25 持することを許容する改良された摩擦を提供するため、かつ、プラスチッ
ク部分における摩耗を減少させるために用いられ、
第2のパネル14のロッキング機構は、第2の蝶番ブラケット30及び
第3の蝶番ブラケット32と相互作用するねじ切りされたシャフトの第
2の軸38を含み、別の締着つまみ42によって固定されるものであり、
第3の蝶番ブラケット32は、締着つまみ42が時計回りに回転して、第
5 2の蝶番ブラケット30と第3の蝶番ブラケット32との間の第2のパ
ネル14にかかる引張りが第2のパネル14を所望されるほど堅く保持
し得るようにねじ切りされ、各蝶番ブラケット30及び32にはパネル1
2及び14を保持するのに必要とされる摩擦を増加するために半硬のゴ
ム座金46が使用され、
10 蝶番手段16は、蝶番手段16のまわりの360度の弧内のいかなる位
置においても第1のパネル12及び第2のパネル14が配向されるため
に備えられ、
4つの主たる位置(閉じられた位置、一方が他方に対してほぼ垂直にな
る位置、平坦な位置、背中合わせで折畳まれた位置)が、機能性を許容す
15 るために予め設定され、背中合わせで折畳まれた位置では、片手で装置を
運び、もう片方の手でデータを入力することが容易になる、
コンピュータノートブック10。
イ 訂正発明1と引用発明との一致点
略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」であって、少な
20 くともいずれか一方の表示板が「情報入力機能を有する画面」を表示させ
るものである「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だけで
も支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態にも、それ
らがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、
25 且つ前記2つの表示板の少なくともいずれか一方の表示板をユーザーが
回動させたとき当該一方の表示板と他方の表示板とが相対的に回動する
ように、接続するための左右見開き接続手段と、
「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見
開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板の回動に
より「ユーザーの任意の角度」に変化させられたとき、摩擦力により、前
5 記2つの表示板の間を前記「任意の角度」で保持する任意角度保持手段と、
前記「2つの表示板」を、
「前記各表示板がユーザーから見て左右方向に
見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側
の各平面の間の見開き角度」が約180度となるように、固定するための
完全左右見開き固定手段と、
10 を備えた片手支持可能な表示装置。
ウ 訂正発明1と引用発明との相違点
(ア) 相違点1
構成Bの左右見開き接続手段により「前記2つの表示板の少なくとも
いずれか一方の表示板をユーザーが回動させたとき」、訂正発明1では、
15 「当該一方の表示板と他方の表示板とが「それらが互いに接続されてい
る部分」を回動中心として相対的に回動する」のに対して、引用発明で
は、「第1の軸36」を回動中心として「第1のパネル12が回転」し、
「第2の軸38」を回動中心として「第2のパネル14が回転」する点。
(イ) 相違点2
20 訂正発明1は、構成Eの構成及び機能を有する中間左右見開きストッ
パを備えているのに対して、引用発明は、そのような構成を備えていな
い点。
(ウ) 相違点3
訂正発明1では、構成Fを備えているのに対して、引用発明では、第
25 1のパネル12と第2のパネル14が「図3の背中合わせで折畳まれた
位置では、片手で装置を運び、もう片方の手でデータを入力することが
容易になる」としている点。
エ 容易想到性
(ア) 周知技術について
a 周知技術1
5 引用文献2その他の多数の文献に記載されるとおり、小型の電子機
器において、相対的に自由に回動させ、折畳むことができる2つの部
材の少なくともいずれか一方をユーザーが回動させたとき、当該一方
の部材と他方の部材とが「それらが互いに接続されている部分」を回
動中心として相対的に回動するように、接続するための左右見開き接
10 続手段を設けることは、周知の技術である。
b 周知技術2
引用文献3その他の文献に記載されるとおり、折り畳み式の小型電
子機器において、表示板を含む2つの部材のなす角度が、ユーザーに
よる表示板の回動により約120度から約170度までの範囲内のあ
15 らかじめ決められた1つの角度に変化させられたとき、前記回動をス
トップさせて、前記2つの部材の間を前記あらかじめ決められた1つ
の角度で固定する中間ストッパであって、前記2つの部材のなす角度
が折り畳まれた状態から広げられて行く動作をストップする機能と、
広げられた状態から角度を狭めて行く動作をストップする機能を有す
20 る中間ストッパを設けることは、周知の技術である。
c 周知技術3
引用文献4及び5に記載されるとおり、小型電子機器の折り畳み見
開き可能な2つの部材を、2つの回動軸を有するヒンジを用いて、そ
れぞれの回動軸のまわりに回動させることにより、背中合わせに折り
25 畳み可能にすることは、周知の技術である。
d 周知技術4
引用文献6ないし8に記載されるとおり、小型電子機器の折り畳み
見開き可能な2つの部材を、2つの回動軸を有するヒンジを用いて、
それぞれの回動軸のまわりに回動させることにより、見開き面を左右
平らにすることが可能であることは、周知の技術である。
5 (イ) 相違点1について
a 周知技術1、2及び3からみて、小型電子機器の折り畳み見開き可
能な2つの部材を、折り畳み状態から見開き状態へと回動させるにあ
たり、その見開き角度を背中合わせ状態(360度状態)まで可能と
するか、それとも、左右平らな状態(180度状態)まで可能とする
10 か、また、その回動軸を1軸とするか、それとも、2軸とするかは、
いずれも当業者には自明の選択肢であるから、回動軸と見開き角度を
どのように構成するかは、小型電子機器の使用形態や見開き可能な2
つの部材の寸法(厚み等)に応じて当業者が適宜選択すべき設計事項
にすぎないものである。そうすると、2つの回動軸で360度までの
15 見開き構成の代わりに、1つの回動軸で180度までの見開き構成と
することは、単なる周知技術の置き換えにすぎない。
b 引用発明は小型の電子機器であるといえる点で引用文献2に開示さ
れた技術と共通するから、引用発明において、
「第1のパネル12」と
「第2のパネル14」をそれぞれ回動させる「第1の軸36」と「第
20 2の軸38」を有する「蝶番手段16」
(2つの回動軸で360度まで
の見開き構成)に代えて、周知技術1(1つの回動軸で180度まで
の見開き構成)を採用することにより、相違点1に係る訂正発明1の
構成とすることは、当業者ならば容易に想到し得た。
(ウ) 相違点2について
25 a 引用発明は小型の電子機器であるといえる点で引用文献3に開示さ
れた技術と共通するから、引用発明において、
「第1のパネル12及び
第2のパネル14の両方が蝶番手段16を中心とした多数の角度にお
いて配向する」に際し、周知技術2(所定の角度で回動をストップさ
せて固定する構成)を採用することにより、相違点2に係る訂正発明
1の構成とすることは当業者であれば容易になし得た。
5 b 回動軸をどのようなものとし、見開き角度をどのように設定するか
ということと、見開きの途中で半固定可能にすることは、それぞれ独
立した観点のものであって両立し得るものであるから、引用発明に上
記周知技術1(1つの回動軸で180度までの見開き構成)を適用す
ることと並行して周知技術2(所定の角度で回動をストップさせて固
10 定する構成)を適用して相違点2に係る本件訂正発明1の構成とする
ことは可能であり、組合せの阻害要因があるとはいえない。
(エ) 相違点3について
引用発明において、周知技術1を採用することにより相違点1に係る
訂正発明1の構成とするとともに、周知技術2を採用することにより相
15 違点2に係る訂正発明1の構成とした場合には、引用発明の「第1のパ
ネル12」と「第2のパネル14」の見開き角度が約120度から約1
70度までの範囲内の予め決められた1つの角度において回動がストッ
プし固定されることになるから、そのような場合には、
「第1のパネル1
2」と「第2のパネル14」が互いに接続されている部分及びその近傍
20 部分には、ユーザー側(画面表示側)からみて「谷状の部分」、その反対
側からみて「山状の部分」が固定的に形成されることは明らかである。
したがって、相違点3に係る訂正発明1の構成は、引用発明において、
周知技術1及び2を採用することにより、相違点1及び2に係る本件訂
正発明1の構成とした結果、当然得られる構成にすぎない。そして、引
25 用発明において、
「第1のパネル12」と「第2のパネル14」の見開き
角度が約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの
角度において回動がストップし固定された状態にあるときでも、 コンピ
「
ュータノートブック10」を片手で保持し、もう片方の手でデータを入
力することは可能である。
5 取消事由
5 ⑴ 訂正要件に関する判断の誤り(取消事由1)
⑵ 手続違反(取消事由2)
第3 当事者の主張
1 取消事由1(訂正要件に関する判断の誤り)の有無について
⑴ 原告
10 ア 目的要件の点について
別紙2の(1)アに記載のとおりである。
イ 新規事項追加及び特許請求の範囲の実質拡張・変更の点について
(ア) 「任意」について
「ユーザーの任意の角度」とは、装置の構造上2つの表示板が互いに
15 回動できる範囲内において、ユーザーがその構造上の制約の下に自由意
思により変化・回動させることができる角度をいうものである。このこ
とは、「任意」の一般的・辞書的な意味が、「①心のままにすること。そ
の人の自由意思にまかせること。随意。 (甲38)であることや、訂正
」
前明細書【0016】の「自在に折り曲げることができる」との記載や
20 【0017】の「自由にその「固定(半固定)の角度」を変化させるこ
とができるようになっている」との記載からみて明らかである。
(イ) 180度から360度までの回動について
訂正前発明の表示装置は、それぞれ一方の面に画面が備えられた2つ
の各表示板を互いに回動可能に接続した装置であるから、ユーザーが各
25 表示板の画面を使用するときは、約0度から約180度までの見開き角
度まで回動できれば十分であり、約180度を超えて360度まで回動
させても、2つの表示板の各画面を容易に見ることはできないから、実
用的な意味は全くない。
その上、訂正前明細書【図2】には、訂正前発明の表示装置が2つの
表示板が1つの回転軸により互いに回動可能に接続されているように記
5 載されており、このような1軸のヒンジ構造で360度まで回動可能に
するためには、1つの回転軸の直径を2つの表示板の厚さ寸法を合計し
た長さを超えなければならないところ、【図2】の1つの回転軸の直径
が2つの表示板の厚さ寸法を合計した長さ以下であることは明らかであ
る。
10 そうすると、「ユーザーの任意の角度」は、約0度から約180度ま
での範囲内での回動を予定しているとみるのが自然かつ合理的である。
ウ 独立特許要件の点について
別紙2の(1)ウに記載のとおりである。
⑵ 被告
15 ア 目的要件の点について
別紙2の⑵アに記載のとおりである。
イ 新規事項追加及び特許請求の範囲の実質拡張・変更の点について
(ア) 「任意」について
原告は、「任意」とはユーザーがその自由意思に基づいて変化・回動
20 させることを意味する旨主張するが、特許請求の範囲の記載からみて、
訂正発明が180度を超えて360度の範囲内には回動できないという
構造であることは把握できないから、訂正発明は、0度ないし最大見開
き角度までの任意の角度で保持する任意角度保持手段を有し、その最大
見開き角度が約180度を超えるものを包含することになるところ、こ
25 のようなものは、訂正前明細書には記載されていない。
(イ) 180度から360度までの回動について
原告は、約180度を超えて360度まで回動させても実用的な意味
は全くない旨主張するが、例えば、回動角度を約270度ないし360
度の範囲にまで設定可能にして、2つの表示板を対向する2人が同時に
見ることができるようにするような使用方法も考えられる(乙1、2参
5 照)。
なお、訂正前発明の「略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの
表示板」であって、少なくともいずれか一方の表示板が「情報入力機能
を有する画面」を表示させるものである「2つの表示板」を含んでおり、
ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能
10 な表示装置」との発明特定事項では、ユーザーが表示装置を支持しよう
とすれば片手だけで支持可能ではあるが、片手さえも使用せずに、単に
机上に置いて表示することが可能な表示装置であってもその特許請求の
範囲から排除されてはいないから、机上に置かれた訂正前発明の表示装
置を2人のユーザが利用するような形態の表示装置も含まれ得る。
15 ウ 独立特許要件の点について
別紙2の⑵ウに記載のとおりである。
2 取消事由2(手続違反)の有無について
⑴ 原告
特許庁が、令和2年10月29日付け訂正拒絶理由通知書(甲15)で同
20 通知書発送の日(同年11月4日)から30日以内に意見書を提出すること
を求めたことに対し、原告は、同年12月4日付け手続補正書(甲16の1
ないし3)及び同月4日付け意見書(1)
(甲17の1)を提出するとともに、
同月21日付け意見書(2)(甲17の2。以下「本件意見書」という。)を
送付し、本件意見書は同月23日に特許庁に到達した(甲17の3)。
25 本件意見書は指定期間を19日徒過しただけであり、特許庁には指定期間
を徒過して提出された意見書についても出来る限りその内容を検討すべき義
務があるところ、本件審決は、明確な理由を本件審決に記載することもなく
本件意見書を採用しなかった。
したがって、本件審決の審判手続には理由提示義務(特許法157条2
項、165条)に反する違法がある。
5 ⑵ 被告
意見書提出の遅延の理由の説明がないものにまで、また、結論を左右しな
い程度の些末な主張についてまで、審決で一つ一つ論じなければ違法性があ
るとすると、意見書の提出により、審決を遅延させることができ、指定期間
を設けたことの趣旨が没却されてしまうから、期間経過の程度、期間徒過の
10 事情、主張内容の重要性等を検討した上で、意見書の主張の当否を審決で具
体的には論じないとしても、裁量権を逸脱するものではない。本件審決は、
本件意見書について、期間経過の程度、期間徒過の事情の存在も検討し、さ
らに、その主張が結論を左右する程度の重要なものであるかを検討している。
したがって、理由付記の不備に係る違法性及び裁量権の逸脱の違法性はな
15 い。
第4 当裁判所の判断
1 訂正前発明について
訂正前明細書には、別紙3「訂正前明細書の記載事項(抜粋)」のとおりの記
載があり(甲10、11)、この記載によると、訂正前発明について、次のよう
20 な開示があると認められる。
⑴ 産業上の利用分野
訂正前発明は、複数の表示板を備えた表示装置に係り、特に携帯時には携
帯に便利なコンパクト・サイズでありながら使用時には比較的大きな見やす
い表示画面を提供できる、あるいは使用時に複数の表示画面を提供できる片
25 手支持可能な表示装置に関する(【0001】 。
)
⑵ 発明が解決しようとする課題
従来の携帯型電子情報機器において、2つの表示板を接続し、不使用時に
は2つの表示板を収納又は携帯しやすいように折り畳み状態とし、使用時に
は2つの表示板を見開き状態とするような表示装置が提案されている(【0
004】 。
)
5 このような従来から提案されている表示装置は、単に、不使用時には2つ
の表示板を収納又は携帯しやすいように折り畳み状態とし、使用時には2つ
の表示板を見開き状態とすることを提案するだけであるが(【0005】 、
)
携帯情報端末(PDA)や携帯電話等の移動体通信機器に使用するための表
示装置を考えるときは、ユーザーが、外出先(戸外)等で、一方の片手だけ
10 で容易かつ安定的に表示装置を支持しながら使用できること、そして、表示
装置を支持していない他方の片手は、電子ペンで表示画面に文字を手書き入
力したり等、様々な動作を行うために使用できるようにすることが重要であ
る(【0006】 。
)
訂正前発明は、このような従来技術に関する問題意識から構想されたもの
15 であって、ユーザーが、外出先 (戸外)等で、その一方の片手だけを使っ
て表示装置全体を極めて容易かつ安定的に支持することができる片手支持可
能な表示装置を提供することを課題(目的)とするものである。さらに、訂
正前発明は、ユーザーが、他方の片手が表示装置を支持すること以外の他の
様々な動作を行うために使うことができる片手支持可能な表示装置を提供す
20 ることを課題(目的)とする(【0007】 。
)
⑶ 課題を解決するための手段
前記課題を解決するために、訂正前発明は、前記第2の2⑴ア(訂正前発
明1ないし12)の構成をとった(【0012】 。
)
⑷ 発明の効果
25 ア 訂正前発明では、ユーザーが、表示装置全体をその一方の片手のみで支
持しようとするとき、左右見開き固定手段により形成される断面略V字状
の凹状部分(裏側から見ると、凸状部分)又はその近傍の部分を、片手に
よる支持の取っ掛かりとすることができ、ユーザーは、外出先(戸外)等
で、2つの表示板を含む表示装置全体を、その一方の片手のみで容易かつ
安定的に支持することができる(【0044】 。
)
5 イ 電子ペンによる文字の手書き入力や指先による入力(タッチパネル方式)
等の入力操作をするときでも、2つの表示板の間の角度が固定(半固定を
含む。 されているので、
) ペン先や指先から所定の押圧力を表示板に与えて
も、表示板がブラブラ・グラグラとぐらつくことはなく、入力ペンによる
手書き入力等の入力操作やタッチパネル式画面への指先の操作等の入力
10 操作が安定的にかつ容易にできるようになる(【0063】 。
)
2 取消事由1(訂正要件違反)の有無について
本件では、訂正要件違反の有無に関して、目的要件の充足の有無、新規事項
の追加の有無及び特許請求の範囲の実質拡張・変更の有無が争われているとこ
ろではあるが、事案に鑑み、新規事項の追加の点について、まず判断する。
15 ⑴ 訂正事項1-4について
ア 検討
(ア) 訂正事項1-4は、2つの表示板に、構成bの左右見開き接続手
段、構成dの完全左右見開き固定手段、構成eないしe2の中間左右見
開き固定手段のほかに、次の構成Cの任意角度保持手段を設けるとする
20 ものである。
C 「前記2つの表示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間
の見開き角度」が、ユーザーによる少なくともいずれか一方の表示板
の回動により「ユーザーの任意の角度」に変化させられたとき、摩擦
力により、前記2つの表示板の間を前記「任意の角度」で保持する任
25 意角度保持手段
(イ) ここで、構成Cの「ユーザーの任意の角度」の「任意の角度」につい
ては、用語の意義として、特定の数値範囲に限定されるものではないか
ら、0度から360度までの範囲が含まれる。
そして、構成 C の任意角度保持手段は、2つの表示板を「任意の角度」
に「摩擦力により」
「保持する」ためのものであるから、2つの表示板を
5 「接続する」ための構成bの左右見開き接続手段、2つの表示板を「約
180度」に「固定する」ための構成dの完全左右見開き固定手段、2
つの表示板を「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角
度」に「ストッパにより」
「固定する」ための構成eの中間左右見開き固
定手段とは明らかに異なる構成である。
10 (ウ) 次に、訂正前明細書をみてみると、次の記載があることが認められ
る。
【0010】
(用語説明)本明細書において、「固定」には、(a)摩擦力やチルト
機構などにより「半固定」する場合(ここで、「半固定」とは、「固定」
15 の一形態であって、ユーザーがある程度強めの所定量以上の力を加える
ことにより状態を変更させる(すなわち、固定状態を解除して、前記各
表示板(各表示パネル)間の角度を変更させる)ことができるような状
態、を言う)や、
(b)ストッパ(例えば、2つの表示板を接続する蝶番
の回動を所定の角度でストップさせるもの)などを使用して「一時的に
20 固定」する場合、なども含まれる。
【0017】
また本実施例では、枠体1と枠体2との間は、蝶番9及び10を構成
する部材間の摩擦力により、任意の角度で一時的に固定(半固定)でき、
その一時的に固定(半固定)した状態(例えば図2の(b)に示す状態
25 で固定 (半固定)した状態)で使用できるようになっている。またこの
ような「任意の角度での固定(半固定)」が前述のように単に摩擦力によ
るものであるときは、ユーザーは、所定量以上の力を加えることにより
自由にその「固定(半固定)の角度」を変化させることができるように
なっている。なお本実施例での前記蝶番9及び10については、従来周
知のもの(例えばノート型パソコンのキーボードとディスプレイとを折
5 り畳み・折り曲げ自在に接続する蝶番であって、摩擦力などにより、前
記のキーボードとディスプレイとが「両者間の角度が少し折れ曲がって
いる状態」となるように保持できるようになっている蝶番など)を使用
できる。
【0018】
10 また本実施例においては、蝶番9及び10の構造を従来周知の方法で
工夫すること(例えば、ストッパを設けること等)により、2つの枠体
1と枠体2の間が、例えば約105度から約170度まで(又は、約1
10度から約170度まで)の間の5段階の角度のいずれかの角度で、
ストッパがかかって固定できるように構成するようにしてもよい。
15 【0026】
また、この実施例においては、前記第1の枠体1と第2の枠体2を見
開き状態にしたとき、これらの2つの枠体を、その両者の枠体1、2の
各LCDパネル5、7の間の角度が「約180度の角度」で固定できる
だけでなく、その両者の枠体1、2の各LCDパネル5、7の間の角度
20 が「約105度から約170度まで(又は、約110度から約170度
まで)の間の所定の角度(任意の角度)」で固定できる(例えば摩擦力や
ストッパやチルト機構により)ようにしている。よって、ユーザーは、
本実施例による表示装置を、例えば、会社のデスクの上では約180度
の角度に見開いた「完全見開き状態」で使用し、混雑している通勤電車
25 の中では(他人に本実施例の装置が当たって迷惑がかかることのないよ
うに)例えば約105度~約120度の角度に見開いた「半見開き状態」
で使用する等、周囲の状況に応じた使用ができるようになる。
(エ) 以上の訂正前明細書の記載を全体的に総合して観察すると、訂正前
発明における「固定」には、摩擦力やチルト機構等を用い所定量以上の
力を加えることによって状態の変更が可能な「半固定」と、ストッパ等
5 を用い回動を停止させる「一時的に固定」の2種類が存在し、時に「半
固定」と「一時的に固定」とを混然と使用する箇所もないではないが、
これらを使い分けていることが理解できるし、これらが概念的に異なる
ものであることはその性質上も明らかである。
このことを考慮して、訂正前発明1の構成をみてみると、2つの表示
10 板を約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度に「スト
ッパにより」「固定する」構成eの中間左右見開き固定手段は、「一時的
に固定」する手段であり、2つの表示板を「摩擦力により」
「保持する」
構成Cの任意角度保持手段は「半固定」をする手段であることは明らか
であり、両者は異なる固定手段を用いる別な手段であることが当然に理
15 解できる。したがって、構成eの中間左右見開き固定手段の構成を基に
して、任意角度保持手段について「任意の角度」を約120度から約1
70度までの範囲内のいずれかの角度を意味するなどと限定して解釈
する根拠はないこととなり、任意角度保持手段の「任意の角度」は通常
の語義に従い、0度から360度の範囲が含まれると理解すべきもので
20 ある。
(オ) 以上からすると、訂正事項1-4は、訂正前発明に、2つの表示板を
0度から最大見開き角度までの任意の角度とすることができ、最大見開
き角度が約180度を超えるものを包含するよう訂正するものとなる
ところ、このような構成は訂正前明細書には記載されていない。
25 したがって、訂正事項1-4は、訂正前の明細書の全ての記載を総合
することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事
項を導入しないものであるとはいえない。
イ 原告の主張について
原告は、前記第3の1(1)イのとおり、 「ユーザーの任意の角度」
① とは、
ユーザが装置の構造上の制約の下に自由意思により変化・回動させること
5 ができる角度である、②180度を超えてから360度まで回動させても
2つの表示板の各画面を容易に見ることができず実用的な意味は全くな
い、③0度から360度まで回動させるためにはヒンジ部の1つの回転軸
を2つの表示板の厚さ寸法を合計した長さ以上の巨大な直径を有する回
転軸としなければならないが、訂正前明細書【図2】からみると訂正前発
10 明の表示装置はそのような構造を有していない旨主張する。
しかしながら、「あらかじめ定められた角度にユーザが任意に変化させ
られること」と「ユーザが任意の角度に変化させられること」とは、固定
方法を異にすれば両立する機能であるところ、どちらも角度の変化はユー
ザがその自由意思によりするものであるから、訂正前明細書にユーザが自
15 在に枠体を折り曲げられるとの記載等、角度の変化がユーザの自由意思に
よるとの記載があったからといって、
「任意の角度」が前者に限定されると
する根拠にはならず、上記①の主張は採用することができない。
また、引用文献1には第1のパネル12と第2のパネル14が背中合わ
せで並置され、片手で装置を運び、もう片方の手でデータを入力する状態
20 が記載されていることからしても(9頁32行ないし10頁13行目、図
3)、表示装置の2つの表示板の回動角度を270度ないし360度の範
囲にまで設定可能にする使用方法も十分に実用的なものといえるから、上
記②の主張も採用することができない。
また、上記③の主張は、単なる実施例に関する図面に基づく主張にすぎ
25 ず、訂正前発明は、ヒンジ軸の構造も、回転軸の直径も、表示板の厚さも
何ら特定するものではないから、前提を欠くものとして失当である。
したがって、原告の上記主張はいずれも採用することができない。その
ほか、原告はるる主張するが、いずれも、前記アの認定判断を左右しない。
ウ まとめ
以上のとおりであるから、訂正事項1-4は新規事項を追加する訂正で
5 ある。
⑵ 訂正事項10-5について
訂正事項10-5は、請求項5の記載のみを引用し、さらに、独立項の型
式に改めること(訂正事項10-1)を前提に、
「(d)
「前記2つの表示板の、
それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによ
10 る少なくともいずれか一方の表示板の回動により、「ユーザーの任意の角度」
に変化させられたとき、摩擦力により、前記2つの表示板の間を前記「任意
の角度」で保持する任意角度保持手段、を備えている、(e)「前記2つの表
示板の、それぞれ画面が表示される側の各平面の間の見開き角度」が約18
0度になったとき、前記「2つの表示板」の間を前記角度で固定する完全見
15 開き固定手段、を備えている、」を加えるものである。
そうすると、
「任意角度保持手段」を加えることが新規事項追加に該当する
ことは前記⑴のとおりであるから、訂正事項10-5も新規事項追加となる
ことは明らかである。
⑶ 小括
20 前記⑵によると、訂正事項10-5は訂正要件を満たさないから、請求項
10についての訂正は不適法であり、請求項10を別の訂正単位とする訂正
(訂正事項10-1)が認められない結果、請求項10は請求項1ないし9
を引用するままであって、請求項1ないし10は一群の請求項を構成するか
ら、当該一群の請求項1ないし10の訂正はいずれも不適法である。
25 したがって、一群の請求項1ないし10に係る訂正についての審判請求を
不成立とした本件審決の判断に誤りはない。
3 取消事由2(手続違反)の有無について
原告は、前記第3の2(1)のとおり、指定期間を徒過して提出された本件意見
書を採用しなかった際に本件審決は明確な判断を示さなかったので、その審判
手続には理由提示義務に反する違法があると主張するが、原告の主張する趣旨
5 での理由提示義務があるかどうかはさて措くとしても、本件審決には、
「請求人
から期間の延長の請求はされておらず、また、請求人の責めに帰することがで
きない理由によって期間内に手続をすることができない等の特別の事情があっ
たとも認められない。したがって、指定期間を大幅に徒過して提出された意見
書(2)の主張内容は、採用しない。」と明確な理由が記載されており、原告の
10 上記主張はいずれにせよ採用することができないものである(また、本件審決
が、
「なお、上記意見書(2)の内容は、前記当審の判断を左右するものでもな
い。 として、
」 仮に本件意見書を参酌しても結論は変わらないとの判断を加えた
ことによって、本件意見書を採用しなかった上記本件審決の判断の明確性は何
ら左右されない。 。
)
15 そのほか、原告は審判手続の違法についてるる主張するが、いずれも、前記
認定判断を左右しない。
したがって、審判手続に違法があるとは認められない。
4 結論
以上のとおり、その他の点について判断するまでもなく、取消事由はいずれ
20 も理由がないから、原告の請求を棄却することとして、主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第4部
25 裁判長裁判官
菅 野 雅 之
5 裁判官
本 吉 弘 行
10 裁判官
中 村 恭
(別紙1)
訂正事項
訂正前発明 訂正発明
【請求項1】 【請求項1】
a 略長方形の画面をそれぞれ表示できる A 略長方形の画面をそれぞれ表示できる
「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーが 「2つの表示板」であって、少なくともいず
その片手だけでも支持することができるよ れか一方の表示板が「情報入力機能を有する
うな片手支持可能な表示装置であって、 画面」を表示させるものである「2つの表示
板」
(1-1)を含んでおり、ユーザーがその
片手だけでも支持することができるような
片手支持可能な表示装置であって、
b 前記「2つの表示板」を、それらが互い B 前記「2つの表示板」を、それらが互い
に折り畳まれた状態にも、それらがユーザー に折り畳まれた状態にも、それらがユーザー
から見て左右方向に見開きにされた状態に から見て左右方向に見開きにされた状態に
もできるように、接続するための左右見開き もできるように、且つ前記2つの表示板の少
接続手段と、 なくともいずれか一方の表示板をユーザー
が回動させたとき当該一方の表示板と他方
の表示板とが「それらが互いに接続されてい
る部分」を回動中心として相対的に回動する
ように、
(1-3)接続するための左右見開き
接続手段と、
C 「前記2つの表示板の、それぞれ画面が
表示される側の各平面の間の見開き角度」
が、ユーザーによる少なくともいずれか一方
の表示板の回動により「ユーザーの任意の角
度」に変化させられたとき、摩擦力により、
前記2つの表示板の間を前記「任意の角度」
で保持する任意角度保持手段と、(1-4)
d 前記「2つの表示板」を、
「前記各表示板 D 前記「2つの表示板」を、
「前記各表示板
がユーザーから見て左右方向に見開きにさ がユーザーから見て左右方向に見開きにさ
れているときの前記各表示板のそれぞれ画 れているときの前記各表示板のそれぞれ画
面が表示される側の間の角度」が約180度 面が表示される側の各平面の間の見開き角
となるように、固定するための完全左右見開 度(1-5)」が約180度となるように、固
き固定手段と、 定するための完全左右見開き固定手段と、
e ユーザーから見て左右方向に見開きに E 「前記2つの表示板がユーザーから見て
されたときの前記「2つの表示板」を、
「前記 左右方向に見開きにされているときの、前記
『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示され 各表示板のそれぞれ画面が表示される側の
る側の間の角度」が「約120度から約17 各平面の間の見開き角度」が、ユーザーによ
0度までの範囲内のいずれかの角度」となる る少なくともいずれか一方の表示板の回動
ように、ストッパにより固定するための中間 により「約120度から約170度までの範
左右見開き固定手段であって、 囲内の予め決められた1つの角度」に変化さ
せられたとき、前記回動をストップさせて、
前記「2つの表示板」の間を前記「予め決め
られた1つの角度」で固定する中間左右見開
きストッパ(1-6)であって、
e1 前記「2つの表示板」の、
「前記各表示 前記「2つの表示板」の、
「前記各表示板のそ
板のそれぞれ画面が表示される側の間の角 れぞれ画面が表示される側の各平面の間の
度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた 見開き角度(1-7)」が「前記各表示板が互
状態」から広げられて行く動作、をストップ いに折り畳まれた状態」から広げられて行く
する機能と、 動作、をストップする機能と、
e2 前記「2つの表示板」の、
「前記各表示 前記「2つの表示板」の、
「前記各表示板のそ
板のそれぞれ画面が表示される側の間の角 れぞれ画面が表示される側の各平面の間の
度」が「ユーザーから見て左右方向に約18 見開き角度(1-8)」が「ユーザーから見て
0度の角度で見開きにされた状態」から狭め 左右方向に約180度の角度で見開きにさ
られて行く動作、をストップする機能と、を れた状態」から狭められて行く動作、をスト
有する中間左右見開き固定手段と、 ップする機能と、を有する中間左右見開きス
トッパ(1-9)と、を備え、
F ユーザーが、「前記2つの表示板の前記
各平面の間の見開き角度」が広がるように前
記「2つの表示板」の少なくともいずれか一
方を回動させて前記見開き角度を任意に変
化させるとき、前記2つの表示板の間を「ユ
ーザーの任意の角度」で摩擦力により保持す
るようにしながら、前記見開き角度が前記
「予め決められた1つの角度」になったとき
は、前記中間左右見開きストッパにより、前
記回動をストップさせて、前記2つの表示板
のそれらが互いに接続されている部分及び
その近傍部分の画面が表示される側に「谷状
の部分」を、且つ前記2つの表示板のそれら
が互いに接続されている部分及びその近傍
部分の画面が表示されない側に「山状の部
分」を固定的に形成する構成を備えた、
(1-
10)
g を備えたことを特徴とする片手支持可 G ことを特徴とする片手支持可能な表示
能な表示装置。 装置。
【請求項2】 【請求項2】
略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2 略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2
つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその つの表示板」であって、少なくともいずれか
片手だけでも支持することができるような 一方の表示板が「情報入力機能を有する画
片手支持可能な表示装置であって、 面」を表示させるものである「2つの表示板」
(2-1)を含んでおり、ユーザーがその片
手だけでも支持することができる片手支持
可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに 前記「2つの表示板」を、それらが互いに
折り畳まれた状態にも、それらがユーザーか 折り畳まれた状態にも、それらがユーザーか
ら見て左右方向に見開きにされた状態にも ら見て左右方向に見開きにされた状態にも
できるように、接続するための左右見開き接 できるように、且つ前記2つの表示板の少な
続手段と、 くともいずれか一方の表示板をユーザーが
回動させたとき当該一方の表示板と他方の
表示板とが「それらが互いに接続されている
部分」を回動中心として相対的に回動するよ
うに、
(2-3)接続するための左右見開き接
続手段と、
前記「2つの表示板」を、
「ユーザーから見 前記「2つの表示板」を、
「ユーザーから見
て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示 て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示
板』の間の見開き角度」が約180度となる 板』のそれぞれ画面が表示される側の各平面
ように、固定するための完全左右見開き固定 の間の見開き角度(2-4) が約180度と
」
手段と、 なるように、固定するための完全左右見開き
固定手段と、
前記「2つの表示板」を、
「ユーザーから見 「前記2つの表示板の、ユーザーから見て
て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示 縦方向の線を境としたときの前記各表示板
板』の間の見開き角度」が「それらが互いに のそれぞれ画面が表示される側の各平面の
折り畳まれた状態とユーザーから見て左右 間の見開き角度」が、ユーザーによる少なく
方向に約180度の角度で見開きにされた ともいずれか一方の表示板の回動により、
状態との間の角度であって、約120度から 「それらが互いに折り畳まれた状態とユー
約170度までの範囲内のいずれかの角度」 ザーから見て左右方向に約180度の角度
となるように、固定するための中間左右見開 で見開きにされた状態との間の角度であっ
き固定手段であって、 て、約120度から約170度までの範囲内
の予め決められた1つの角度」に変化させら
れたとき、前記回動をストップさせて、前記
「2つの表示板」の間を前記「予め決められ
た1つの角度」で固定する中間左右見開きス
トッパ(2-5)であって、
前記「2つの表示板」の、
「ユーザーから見て 前記「2つの表示板」の、
「ユーザーから見て
縦方向の線を境とした、 『2つの表示板』 縦方向の線を境としたときの前記各表示板
前記
の間の見開き角度」が「前記各表示板が互い のそれぞれ画面が表示される側の各平面の
に折り畳まれた状態」から広げられて行く動 間の見開き角度(2-9)」が「前記各表示板
作、をストップする機能を有する中間左右見 が互いに折り畳まれた状態」から広げられて
開き固定手段と、 行く動作、をストップする機能を有する中間
左右見開きストッパ(2-6)と、を備え、
電車の中で、戸外で、外出先で、又は立った
ままで使用するのに適した、前記2つの表示
板の使用」を可能にする構成であって、ユー
ザーが、「前記2つの表示板の前記各平面の
間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに
折り畳まれた状態」から広がるように、前記
「2つの表示板」の少なくともいずれか一方
を回動させて、前記見開き角度を任意に変化
させる場合において、前記見開き角度が前記
「予め決められた1つの角度」になったと
き、前記中間左右見開きストッパにより、前
記回動をストップさせて、前記2つの表示板
のそれぞれ画面が表示される側の各表示板
の間を前記「予め決められた1つの角度」に
固定する構成を備えた(2-7)
を備えたことを特徴とする片手支持可能な ことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
表示装置。
【請求項3】 【請求項3】
略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2 略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2
つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその つの表示板」を含んでおり、ユーザーがその
片手だけでも支持することができるような 片手だけでも支持することができるような
片手支持可能な表示装置であって、 片手支持可能な表示装置であって、
前記「2つの表示板」を、それらが互いに 前記「2つの表示板」を、それらが互いに
折り畳まれた状態にも、それらがユーザーか 折り畳まれた状態にも、それらがユーザーか
ら見て左右方向に見開きにされた状態にも ら見て左右方向に見開きにされた状態にも
できるように、接続するための左右見開き接 できるように、接続するための左右見開き接
続手段と、 続手段と、
前記「2つの表示板」を、
「前記各表示板が 前記「2つの表示板」を、
「前記各表示板が
ユーザーから見て左右方向に見開きにされ ユーザーから見て左右方向に見開きにされ
ているときの前記各表示板のそれぞれ画面 ているときの前記各表示板のそれぞれ画面
が表示される側の間の角度」が約180度と が表示される側の間の角度」が約180度と
なるように、固定するための完全左右見開き なるように、固定するための完全左右見開き
固定手段と、 固定手段と、
前記「2つの表示板」がユーザーから見て 前記「2つの表示板」がユーザーから見て
左右方向に見開きにされたとき、前記「2つ 左右方向に見開きにされたとき、前記「2つ
の表示板」を、
「前記『2つの表示板』のそれ の表示板」を、
「前記『2つの表示板』のそれ
ぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約 ぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約
120度から約170度までの範囲内のい 120度から約170度までの範囲内のい
ずれかの角度」となるように、固定するため ずれかの角度」となるように、固定するため
の中間左右見開き固定手段と、 の中間左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な を備えたことを特徴とする片手支持可能な
表示装置。 表示装置。
【請求項4】 【請求項4】
画面をそれぞれ表示できる「2つ以上の表 画面をそれぞれ表示できる「2つ以上の表
示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だ 示板」を含んでおり、ユーザーがその片手だ
けでも支持することができるような片手支 けでも支持することができるような片手支
持可能な表示装置であって、 持可能な表示装置であって、
前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部 前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部
である「2つの表示板」を、それらが互いに である「2つの表示板」を、それらが互いに
折り畳まれた状態にも、それらがユーザーか 折り畳まれた状態にも、それらがユーザーか
ら見て左右方向に見開きにされた状態にも ら見て左右方向に見開きにされた状態にも
できるように、接続するための左右見開き接 できるように、接続するための左右見開き接
続手段と、 続手段と、
前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部 前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部
である「2つの表示板」を、
「ユーザーから見 である「2つの表示板」を、
「ユーザーから見
て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示 て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示
板』の間の見開き角度」が「それらが互いに 板』の間の見開き角度」が「それらが互いに
折り畳まれた状態とユーザーから見て左右 折り畳まれた状態とユーザーから見て左右
方向に約180度の角度で見開きにされた 方向に約180度の角度で見開きにされた
状態との間の角度であって、約105度から 状態との間の角度であって、約105度から
約170度までの範囲内のいずれかの角度」 約170度までの範囲内のいずれかの角度」
となるように、摩擦力やストッパやチルト機 となるように、摩擦力やストッパやチルト機
構やその他の手段により固定するための左 構やその他の手段により固定するための左
右見開き固定手段と、 右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な を備えたことを特徴とする片手支持可能な
表示装置。 表示装置。
【請求項5】 【請求項5】
次の(a)~(d)の内容を含むことを特 次の(a)~(d)の内容を含むことを特
徴とする片手支持可能な表示装置。 徴とする片手支持可能な表示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する「複数の表 (a)画面をそれぞれ出力する複数の表示
示板」が、それぞれが表示する各画面がユー 板が、それぞれが表示する各画面がユーザー
ザーに対向することができるように、接続さ に対向することができるように、接続されて
れている、 いる、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさ (b)表示装置の使用時の全体の大きさ
は、それをユーザーがその片手のみでも支持 は、それをユーザーがその片手のみでも支持
することができるような小型のサイズに構 することができるような小型のサイズに構
成されている、 成されている、
(c)前記「複数の表示板」の全部又は一 (c)前記「複数の表示板」の全部又は一
部である「2つの表示板」を、それらが互い 部である「2つの表示板」を、それらが互い
に折り畳まれた状態にも、それらがユーザー に折り畳まれた状態にも、それらがユーザー
から見て左右方向に見開きにされた状態に から見て左右方向に見開きにされた状態に
もできるように、接続するための左右見開き もできるように、接続するための左右見開き
接続手段を備えている、 接続手段を備えている、
(d)前記「複数の表示板」の全部又は一 (d)前記「複数の表示板」の全部又は一
部である「2つの表示板」がユーザーから見 部である「2つの表示板」がユーザーから見
て左右方向に見開きにされているとき、前記 て左右方向に見開きにされているとき、前記
「2つの表示板」を、
「前記『2つの表示板』 「2つの表示板」を、
「前記『2つの表示板』
のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」 のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」
が「約105度から約170度までの範囲内 が「約105度から約170度までの範囲内
のいずれかの角度」となるように、摩擦力や のいずれかの角度」となるように、摩擦力や
ストッパやチルト機構やその他の手段によ ストッパやチルト機構やその他の手段によ
り固定するための左右見開き固定手段、を備 り固定するための左右見開き固定手段、を備
えている。 えている。
【請求項6】 【請求項6】
次の(a)~(d)の内容を含むことを特 次の(a)~(d)の内容を含むことを特
徴とする片手支持可能な表示装置。 徴とする片手支持可能な表示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する複数個の表 (a)画面をそれぞれ出力する複数個の表
示板が、それぞれが表示する各画面がユーザ 示板が、それぞれが表示する各画面がユーザ
ーに対向することができるように、接続され ーに対向することができるように、接続され
ている、 ている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさ (b)表示装置の使用時の全体の大きさ
は、それをユーザーがその片手のみでも支持 は、それをユーザーがその片手のみでも支持
することができるような小型のサイズに構 することができるような小型のサイズに構
成されている、 成されている、
(c)ユーザーから見て縦方向の線を境に (c)ユーザーから見て縦方向の線を境に
して、その右側部分と左側部分とを、互いに して、その右側部分と左側部分とを、互いに
折り畳み可能で且つユーザーから見て左右 折り畳み可能で且つユーザーから見て左右
方向に見開き可能に接続するための左右見 方向に見開き可能に接続するための左右見
開き接続手段を備えている、 開き接続手段を備えている、
(d)ユーザーから見て縦方向の線の右側 (d)ユーザーから見て縦方向の線の右側
部分と左側部分とを、「ユーザーから見て縦 部分と左側部分とを、「ユーザーから見て縦
方向の線を境とした、前記右側部分と左側部 方向の線を境とした、前記右側部分と左側部
分との間の見開き角度」が「約105度から 分との間の見開き角度」が「約105度から
約170度までの範囲内のいずれかの角度」 約170度までの範囲内のいずれかの角度」
となるように、摩擦力やストッパやチルト機 となるように、摩擦力やストッパやチルト機
構やその他の手段により固定するための左 構やその他の手段により固定するための左
右見開き固定手段、を備えている。 右見開き固定手段、を備えている。
【請求項7】 【請求項7】
請求項5又は6において、さらに、次の (削除)
(e)の内容を含むことを特徴とする片手支
持可能な表示装置。
(e)表示装置の前記見開き時の表示画面
は、ユーザーから見て縦方向の線の右側部分
の画面の形状と同左側部分の画面の形状と
が、ユーザーから見てほぼ左右均等で且つほ
ぼ左右対称となるように、構成されている。
【請求項8】 【請求項8】
請求項5、6又は7において、さらに、次 (削除)
の(f)の内容を含むことを特徴とする片手
支持可能な表示装置。
(f)表示装置の前記見開き時の全体の形
状は、ユーザーから見て縦方向の線の右側部
分の平面の面積と同左側部分の平面の面積
とが、ハードウェアとしてほぼ左右均等とな
るように、構成されている。
【請求項9】 【請求項9】
請求項5、6、7又は8において、さらに、 (削除)
次の(g)の内容を含むことを特徴とする片
手支持可能な表示装置。
(g)表示装置は「偶数個の表示板」から
構成されており、表示装置の前記見開き時の
全体の形状は、ユーザーから見て縦方向の線
の右側部分の平面の面積及び厚さと同左側
部分の平面の面積及び厚さとが、ハードウェ
アとしてほぼ左右均等となるように、構成さ
れている。
【請求項10】 【請求項10】
請求項1から9までのいずれかにおいて、 (請求項5の記載のみを引用し、更に独立項
さらに、 の形式とする。(10-1)
)
前記表示板に「ユーザーによるデータ入力
のために使用される、データ入力用画面」を
表示するためのデータ入力用手段、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な
表示装置。
〔引用に係る請求項5〕
次の(a)~(d)の内容を含むことを特 次の(a)~(f)の内容を含むことを特
徴とする片手支持可能な表示装置。 徴とする片手支持可能な表示装置。(10-
2)
(a)画面をそれぞれ出力する「複数の表示 (a)画面をそれぞれ出力する「2つの表
板」が、それぞれが表示する各画面がユーザ 示板」であって、少なくともいずれか一方の
ーに対向することができるように、接続され 表示板に「ユーザーによるデータ入力のため
ている、 に使用される、データ入力用画面」を表示す
るためのデータ入力手段が備えられている
「2つの表示板」
(10-3)が、それぞれが
表示する各画面がユーザーに対向すること
ができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、 (b)表示装置の使用時の全体の大きさ
それをユーザーがその片手のみでも支持す は、それをユーザーがその片手のみでも支持
ることができるような小型のサイズに構成 することができるような小型のサイズに構
されている、 成されている、
(c)前記「複数の表示板」の全部又は一部 (c)前記「2つの表示板」を、それらが
である「2つの表示板」を、それらが互いに 互いに折り畳まれた状態にも、それらがユー
折り畳まれた状態にも、それらがユーザーか ザーから見て左右方向に見開きにされた状
ら見て左右方向に見開きにされた状態にも 態にもできるように、且つ前記2つの表示板
できるように、接続するための左右見開き接 の少なくともいずれか一方の表示板をユー
続手段を備えている、 ザーが回動させたとき当該一方の表示板と
他方の表示板とが「それらが互いに接続され
ている部分」を回動中心として相対的に回動
するように、
(10-4)接続するための左右
見開き接続手段を備えている、
(d)
「前記2つの表示板の、それぞれ画面
が表示される側の各平面の間の見開き角度」
が、ユーザーによる少なくともいずれか一方
の表示板の回動により、「ユーザーの任意の
角度」に変化させられたとき、摩擦力により、
前記2つの表示板の間を前記「任意の角度」
で保持する任意角度保持手段、を備えてい
る、(10-5)
(e)
「前記2つの表示板の、それぞれ画面
が表示される側の各平面の間の見開き角度」
が約180度になったとき、前記「2つの表
示板」の間を前記角度で固定する完全見開き
固定手段、を備えている、(10-5)
(d)前記「複数の表示板」の全部又は一 (f)前記「2つの表示板」がユーザーか
部である「2つの表示板」がユーザーから見 ら見て左右方向に見開きにされているとき
て左右方向に見開きにされているとき、前記 であって、
「前記2つの表示板の、それぞれ画
「2つの表示板」を、
「前記『2つの表示板』 面が表示される側の各平面の間の見開き角
のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」 度」が、ユーザーによる少なくともいずれか
が「約105度から約170度までの範囲内 一方の表示板の回動により「約120度から
のいずれかの角度」となるように、摩擦力や 約170度までの範囲内の予め決められた
ストッパやチルト機構やその他の手段によ 1つの角度」に変化させられたとき、前記回
り固定するための左右見開き固定手段、を備 動をストップさせて、前記「2つの表示板」
えている。 の間を前記「予め決められた1つの角度」で
固定する中間左右見開きストッパ、を備えて
いる、(10-6)
【請求項11】 【請求項11】
請求項1から9までのいずれかにおいて、 (削除)
さらに、
テレビ放送局から電波又は有線により送
信されるテレビ番組情報を無線を介して受
信するためのテレビ番組情報無線受信手段
と、
前記テレビ番組情報無線受信手段により
受信されたテレビ番組情報を前記表示板に
表示させるためのテレビ番組情報表示手段
と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な
表示装置。
【請求項12】 【請求項12】
請求項1から9までのいずれかにおいて、 (削除)
さらに、
前記片手支持可能な表示装置から離れた
場所に存在する外部の情報記録装置に記録
されている外部情報を無線を介して受信す
るための外部情報無線受信手段と、
前記外部情報無線受信手段が受信した外
部情報を前記表示板に表示させるための外
部情報表示手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な
表示装置。」
(別紙2)
⑴ 原告
ア 目的要件の点について
5 (ア) 訂正事項1-5ないし1-8、2-4、2-5、2-9、10-5及び
10-6に関する本件審決の判断誤りについて
表示板には、表示画面となる平面部分だけでなく、スイッチ等を形成する
ための平面ではない部分が含まれるから、「前記各表示板のそれぞれ画面が
表示される側の間の角度」には、①「前記各表示板のそれぞれ画面が表示さ
10 れる側の各『平面の部分』の間の角度」と、②「前記各表示板のそれぞれ画
面が表示される側の各『平面でない部分』の間の角度」とが含まれている。
したがって、上記各訂正事項は、「前記各表示板のそれぞれ画面が表示さ
れる側の間の角度」を上記①に限定し、下位概念化するものにほかならず、
上記各訂正事項を特許請求の範囲の減縮ではないとした本件審決の判断は誤
15 りである。
(イ) 訂正事項1-6、1-9、2-5及び2-6に関する本件審決の判断誤
りについて
ストッパには、①対象物をストップする機能を有し、かつ、それ単独で固
定する機能を有するストッパと、②対象物をストップする機能を有するがそ
20 れ単独では少なくとも十分には固定する機能を有しないストッパと、③対象
物をストップする機能を有し、かつ、固定する機能を全く有しないストッパ
とが含まれる。
訂正前明細書【0017】及び【0018】には、①2つの表示板間の角
度がストッパが作動しない角度に変化されたときは、周知のチルト機構等に
25 より生じる摩擦力が作用することにより、ユーザーの任意の角度のまま半固
定(保持)される場合と、②2つの表示板間の角度がストッパが作動する角
度まで変化されたときは、上記摩擦力とストッパとの2つの手段の併用によ
り一時的に固定される場合とがあることになっているから、訂正前発明1の
「ストッパにより固定する固定手段」には、①対象物をストップする機能を
有し、かつ、それ単独で固定する機能を有するストッパのみにより対象物を
5 固定する固定手段と②対象物をストップする機能を有するがそれ単独では少
なくとも十分には固定する機能を有しないストッパと、ストッパではない他
の手段とを併用することにより固定する固定手段とが含まれ、訂正発明1の
「固定するストッパ」には、③対象物をストップする機能を有し、かつ、そ
れ単独で固定する機能を有するストッパのみにより対象物を固定するストッ
10 パと④対象物をストップする機能を有するがそれ単独では少なくとも十分に
は固定する機能を有しないストッパと、ストッパではない他の手段とを併用
することにより固定するストッパとが含まれる。そうすると、訂正前発明1
の②の固定手段の中には、対象物をストップする機能を有するが、それ単独
では少なくとも十分には固定する機能を有しないストッパと、ストッパでは
15 ない周知の磁石等であって、これが主として作用しストッパが従として作用
することによって表示板を固定する固定手段たる周知の磁石等が含まれるが、
訂正発明1の④のストッパには、ストッパではない周知の磁石等(ストッパ
ではない。)は含まれない。
この観点からみれば、訂正事項1-6が特許請求の範囲の減縮となってい
20 ることは明らかである。そして、訂正事項1-9、2-5及び2-6も訂正
事項1-6と実質的に同じ技術的意義を有する訂正事項である。
よって、上記各訂正事項を特許請求の範囲の減縮ではないとした本件審決
の判断は誤りである。
(ウ) 訂正事項1-10に関する本件審決の判断誤りについて
25 訂正前明細書【0058】ないし【0060】の記載によると、訂正事項
1-10中の「谷状部分」及び「山状部分」が固定的に形成される「前記2
つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近傍部分」とは、
ユーザーの親指(画面が表示される側)又は親指以外の指又は掌(画面が表
示されない側)が当てられる部分を意味する。したがって、2つの表示板間
が固定された場合には、①2つの表示板の「接続部分及びその近傍部分(ユ
5 ーザーの親指又は他の指が置かれる部分)」に「谷状の部分」及び「山状の部
分」が固定的に形成されない場合と、②2つの表示板の「接続部分及びその
近傍部分(ユーザーの親指又は他の指が置かれる部分)」に「谷状の部分」及
び「山状の部分」が固定的に形成される場合との2つの場合が含まれ得る。
そうすると、訂正事項1-10の「前記2つの表示板のそれらが互いに接
10 続されている部分及びその近傍部分の画面が表示される側に「谷状の部分」
を、且つ前記2つの表示板のそれらが互いに接続されている部分及びその近
傍部分の画面が表示されない側に「山状の部分」を固定的に形成する構成を
備えた」は、2つの表示板が固定された場合に上記②の構成に限定するもの
であるから、特許請求の範囲の減縮となる。
15 (エ) 訂正事項2-7に関する本件審決の判断誤りについて
「「電車の中で、戸外で、外出先で、又は立ったままで使用するのに適した、
前記2つの表示板の使用」を可能にする構成」には、①電車の中で、戸外で、
外出先で、又は立ったままで使用するのに適した、前記2つの表示板の使用
を可能にしない構成と、②電車の中で、戸外で、外出先で、又は立ったまま
20 で使用するのに適した、前記2つの表示板の使用を可能にする構成とが含ま
れ得るところ、訂正事項2-7は、上記②の構成に限定するものである。
したがって、訂正事項2-7は、特許請求の範囲の減縮となる。
(オ) 訂正事項1-6、1-9、2-5及び2-6に関する本件審決の判断看過
について
25 a 訂正事項1-6、1-9、2-5及び2-6の中には、2つの表示板の
間を固定するときの上記各平面の間の角度を、約120度から約170
「
度までの範囲内のいずれかの角度」から「約120度から約170度ま
での範囲内の予め決められた1つの角度」に訂正することが含まれてい
る。
「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」の中には、
5 ①「約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1つの角度
ではない、いずれかの角度」と、②「約120度から約170度までの範
囲内の予め決められた1つの角度」とが含まれ得る。
したがって、訂正事項1-6は、本件訂正前の「約120度から約17
0度までの範囲内のいずれかの角度」を上記②に限定し、下位概念化する
10 ことにほかならない。
そうすると、訂正事項1-6は、特許請求の範囲を減縮し又は不明瞭な
記載の釈明をするものであるから、本件審決には、訂正要件の判断を看過
した誤りがある。
b ある訂正事項中に「特許請求の範囲の減縮となる部分A」と「特許請求
15 の範囲の減縮とならない部分B」とが含まれる場合においては、もし仮に
「特許請求の範囲の減縮とならない部分B」が含まれていても、
「特許請求
の範囲の減縮となる部分A」が含まれている以上、上記訂正事項は「特許
請求の範囲の減縮」となるから、当該訂正事項は全体として特許請求の範
囲の減縮となるものと解されるべきである。
20 (カ) 訂正事項1-10に関する本件審決の判断看過について
訂正前発明1の、2つの表示板間の角度が「約120度から約170度ま
での範囲内のいずれかの角度」になったとき回動をストップさせるという構
成には、訂正事項1-10の、2つの表示板の間を「ユーザーの任意の角度」
で摩擦力により保持するようにしながら、前記見開き角度が「予め決められ
25 た1つの角度」になったとき、回動をストップさせる構成が含まれているか
ら、訂正事項1-10は、訂正前発明1の「いずれかの角度」から「予め決
められていない、いずれかの角度」を除外して「予め決められた1つの角度」
だけに限定・下位概念化するものである。
したがって、訂正事項1-10は、特許請求の範囲の減縮となる。
(キ) 訂正事項2-7に関する本件審決の判断看過について
5 訂正事項2-7の中には、
「前記見開き角度が前記「予め決められた1つの
角度」になったとき、前記中間左右見開きストッパにより、前記回動をスト
ップさせて、前記2つの表示板のそれぞれ画面が表示される側の各表示板の
間を前記「予め決められた1つの角度」に固定する」という限定要素が含ま
れているところ、これは、訂正前発明2の中の「約120度から約170度
10 までの範囲内のいずれかの角度での固定」と比較して、より限定された内容
であることは明らかである。
したがって、訂正事項2-7は、特許請求の範囲の減縮となる。
ウ 独立特許要件の点について
(ア) 相違点の看過
15 訂正発明1の構成Cの任意角度保持手段で表示板を保持する「摩擦力」と
は、本件明細書【0010】及び【0017】に記載されている、表示板を
静止・保持(半固定)された状態にする摩擦力を指すものであり、ユーザー
が表示板を回動する前においても、ユーザが表示板を回動している途中の間
においても、さらに、ユーザが回動をユーザーの任意の角度で止めた後にお
20 いても継続して生じていなければならず、当該「摩擦力」が、ユーザーが手
作業等で摩擦力を発生させるための摩擦力発生手段により発生させられる場
合は含まれない。
引用発明のロッキング機構は、ユーザーが表示板の回動を止めた後に、ユ
ーザーが締着つまみ42を回すことにより、2つの各パネルと2つの各回転
25 軸との間にそれぞれ摩擦力を新たに発生させ、このユーザーにより新たに発
生さられた各摩擦力により、2つの各パネルと2つの各回転軸との間をそれ
ぞれ固定するという作用・機能を有しているものである。
そうすると、訂正発明の構成Cの任意角度保持手段は、引用発明との相違
点を構成する。
(イ) 相違点1の判断の誤り
5 蝶番手段の構造としては、従来より、1軸構造と2軸構造とが知られてい
るところ、2軸構造よりも1軸構造の方が、①部品点数が少なく、②構成が
簡単であり、③製造コストも低くできる等の特徴・メリットがある。
そうすると、当業者があえて蝶番手段として2軸構造の蝶番手段を採用す
るのは、①2つの可動部材を互いに独立に回動させるようにするためか、②
10 2つの可動部材を互いに360度回動可能にするためか、又は③2つの可動
部材が厚型であるため大径の回転軸1個に代えて小径の回転軸2個を組み合
わせざるを得ない場合等の特殊な理由がある場合に限られる。
引用発明の表示装置が2軸構造の蝶番手段を採用したのは、上記①の2つ
のパネルが互いに独立に回動するという構成を実現するための特殊な理由か
15 らであるから、引用発明の表示装置の蝶番手段を2軸構造から1軸構造に置
換する動機付けはない。
(ウ) 相違点2の判断の誤り
a 引用発明の蝶番手段に含まれる第1の固定手段及び第2の固定手段の具
体的構成は、第1の軸36のロッキング機構及び第2のパネル14のロッ
20 キング機構であり、その作用機能は、ユーザーが、任意の位置で2つの締
着つまみ42をそれぞれ各回転軸端部側に装着してそれぞれ回すことに
より、2つの表示パネル間を固定するというものである。
この引用発明の第1の軸36のロッキング機構及び第2のパネル14の
ロッキング機構と引用文献3のポップアップ型チルト機構とは構造が極
25 めて大きく異なっており、引用発明に引用文献3のポップアップ型チルト
機構を適用しようとすると、引用発明の第1の軸36のロッキング機構及
び第2のパネル14のロッキング機構の構成全体を除外しなければなら
ないが、このような置換については、引用発明に接した当業者が容易に想
到することはできない。
b 本件審決は、引用発明の蝶番手段に、1軸で相対的回動させる蝶番に係
5 る周知技術1を適用した上で、さらに、この1軸となった蝶番手段にポッ
プアップ型チルト機構に係る周知技術2を適用しているが、主引用発明に
副引用発明を適用してもなお相違する部分が残存するときは、当該相違す
る部分が設計事項等に当たる場合を除き、当該相違点の容易想到性は否定
されるべきである。
10 c 引用発明は、第1のパネル12と第2のパネル14が互いに360度の
範囲で回動できるという構成が含まれている。一方、引用文献3のポップ
アップ型チルト機構では、表示板の回動可能範囲は0度から180度まで
の範囲内に限定されている。したがって、引用発明に周知技術2を適用す
ると、引用発明の2つの表示パネル12、14を互いに360度の範囲で
15 回動・配向させることができなくなり、引用発明の主要な課題・目的が解
決できなくなるから、引用発明に周知技術2を適用することには、阻害要
因がある。
d 片手でコンピュータを保持し、もう片方の手でデータを入力することを
許容するとする引用発明の課題・目的を解決するためには、引用発明に係
20 る装置は、2つの表示板の全体を薄型かつ軽量とすることが必要である。
しかしながら、引用発明に引用文献3のポップアップ型チルト機構を適用
すると、引用発明の装置が2個の大径の回転軸を含むヒンジ部を備えるこ
とにより、装置が全体として厚型化し重量も増大化してしまうため、引用
発明の上記課題・目的が解決できなくなってしまう。また、前記cのとお
25 り、2つの表示板間は全体として約180度までしか回動できなくなって
しまい、引用発明の本質的部分である表示板の背中合わせでの並置ができ
ず、その結果、引用発明の課題・目的が全く解決できなくなってしまう。
(エ) 相違点3の容易想到性
引用発明に周知技術1を適用して相違点1の構成とし、周知技術2を適用
して相違点2の構成とすれば相違点3の構成に至るということは、相違点1
5 に係る2つの表示板間を摩擦力によりユーザーの自由意思による角度で保持
する手段と、相違点2に係る2つの表示板間をユーザーの自由意思と関係な
くあらかじめ決められた角度になったときに回動停止させ固定する構成とが
共に並存していることを前提としているが、このような構成は従来技術から
は予測できない構成に係るものであるから、単なる設計事項ではない。
10 ⑵ 被告
ア 目的要件の点について
(ア) 訂正事項1-5ないし1-8、2-4、2-5、2-9、10-5及び
10-6に関する本件審決の判断誤りについて
本件訂正前の2つの表示板の画面の表示される側がそれぞれ平面を含むこ
15 とは自明であって、本件訂正前の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示され
る側の間の角度」は、それら2つの平面の間の角度として定義されていると
考えるべきである。
表示板に平面でない部分が含まれていたとしても、その部分は幾何学的に
は曲面(微分不可能な点が存在する場合も含む。)にほかならず、その部分
20 で2つの表示板の間の角度を定義するには当該曲面の接平面によらなければ
ならないところ、曲面の接平面は接点をどこに設定するかにより異なり、当
該接点は無数に存在するから、当該接平面も無数に存在することになり、結
局、平面でない部分で角度を一義的に定めることはできない。
したがって、原告が主張するような「平面でない部分の間の角度」は定義
25 することもできないものである。
(イ) 訂正事項1-6、1-9、2-5及び2-6に関する本件審決の判断誤
りについて
訂正前発明の中間左右見開き固定手段については、訂正前明細書では、ス
トッパが固定のために使用されることは明示されているものの、ストッパと
他の手段との併用又は組合せにより固定することは開示されていないから、
5 「ストッパにより固定するための中間左右見開き固定手段」を「中間左右見
開きストッパ」としても、下位概念化したことにはならない。
(ウ) 訂正事項1-10に関する本件審決の判断誤りについて
訂正事項1-10により加えられた部分は、本件訂正前の中間左右見開き
固定手段により2つの表示板を固定した場合の2つの表示板の折り曲げられ
10 た状態を記述しているにすぎず、表示装置の機能として新たなものを特定し
ていないから、特許請求の範囲の減縮にはならない。
(エ) 訂正事項2-7に関する本件審決の判断誤りについて
「「電車の中で、戸外で、外出先で、又は立ったままで使用するのに適した、
前記2つの表示板の使用」を可能にする構成」の中に 「電車の中で、
「 戸外で、
15 外出先で、又は立ったままで使用するのに適した、前記2つの表示板の使用」
を可能にしない構成」が含まれるというのは、文理として意味が不明であり、
原告の主張は全く理解不能であって根拠のないものである。
(オ) 訂正事項1-6、1-9、2-5及び2-6に関する本件審決の判断看
過について
20 a 「ストッパにより固定するための中間左右見開き固定手段」を「中間左
右見開きストッパ」に訂正することは、目的要件を充足していないか
ら、「いずれかの角度」から「予め決められた1つの角度」へ訂正するこ
との適否を論じるまでもなく、上記各訂正は、全体として不適法なもの
である。本件審決は不適法な訂正部分を指摘したのであって、仮に適法
25 な訂正部分があったとしても、それによって不適法な訂正部分が治癒さ
れることはないから、目的要件の判断の看過は生じない。
b 本件訂正前の「いずれかの角度」とは、約120度から約170度まで
の範囲内において、固定できる段階があらかじめ選択肢として離散的に複
数決まっており、そのように離散的にあらかじめ決められた複数段階のう
ちのいずれか1つの角度を指すと解すべきである。そうすると、
「予め決め
5 られた1つの角度」への訂正は、限定でも、下位概念化でもなく、むしろ、
あらかじめ決められた角度の選択肢の1つだけを選択して決めるとの意
味にもとられてしまい、かえってあいまいになるから、明瞭でない記載の
釈明を目的としたものに当たらないことになる。
(カ) 訂正事項1-10及び訂正事項2-7に関する本件審決の判断看過につ
10 いて
a 前記(オ)aと同旨。
b 上記各訂正は、表示装置の手段として新たなものを特定していないから、
特許請求の範囲の減縮に該当するとはいえない。
ウ 独立特許要件の点について
15 (ア) 相違点の看過の主張について
訂正発明1の構成Cの任意角度保持手段は、摩擦力がどのような部材同士
が接触して、どのような機構により発生するのかについて何ら特定されてい
ないから、ユーザーの手作業を経て発生するような摩擦力であってもよい。
したがって、締着つまみ42により生じる摩擦力によりパネルを固定する
20 引用発明の第1のパネル12のロッキング機構及び第2のパネル14のロッ
キング機構は、訂正発明1の構成Cの任意角度保持手段に相当する。
なお、引用発明は、パネルを回動している間は締着つまみ42を緩めてい
るが、この場合においても、機器破損防止のため、第1ないし4の蝶番ブラ
ケット28、30、32、34と、第1、2の軸36、38とが接触する接
25 触面において、回動中には動摩擦力が、回動をやめれば静止摩擦力が生じる
ことによりパネルを保持している。
(イ) 相違点1の判断の誤りの主張について
原告が主張するように、2軸構造よりも1軸構造の方が有利な特徴・メリ
ットが多いのであれば、引用発明においても、2軸構造に代えて1軸構造に
しようとする動機付けがあることになる。
5 引用発明が2軸構造を採用したのは、通常はパネル同士が干渉して360
度の回動が困難となることに対処するためであり、引用発明において2軸構
造を採用した特殊な理由があるわけではない。
小型電子機器の折り畳み見開き可能な2つの部材を、折り畳み状態から見
開き状態へと回動させるにあたり、その見開き角度を360度状態まで可能
10 とすること、180度状態まで可能とすること、また、その回動軸を1軸と
すること、2軸とすることのいずれも当業者には周知で自明の選択肢である
から、引用発明において、1つの選択肢として、周知技術1に示されたよう
な1つの回動軸で180度までの見開き構成を採用することは容易である。
(ウ) 相違点2の判断の誤りの主張について
15 a 引用発明において、締着つまみ42を使用したロッキング機構を維持し
たままでも、回転軸を1軸構成にし、それに並行して、中間左右見開きス
トッパを設けることは可能であり、本件審決も、引用発明の第1の軸36
のロッキング機構及び第2の軸38のロッキング機構に周知技術2を適
用するとの判断をしたのではない。これらのロッキング機構自体を周知技
20 術2で置き換える必要はないのであって、前記⑴ウ(ウ)aの原告の主張は、
前提において誤りである。
b 周知技術1は回転軸に係る技術であり、引用発明の第1の軸36及び第
2の軸38について、周知技術1が適用できるか否かの問題であるのに対
して、周知技術2は中間ストッパに係る技術であり、引用発明の第1の軸
25 36及び第2の軸38に直接適用する必要はないから、周知技術1と周知
技術2とを並行して適用することは可能であり、前記⑴ウ(ウ)bの原告の
主張は、前提において誤りである。
c 原告は引用発明のロッキング機構を周知技術2で置き換えた場合の阻害
要因について主張しているが、前記a及びbのとおり、本件審決は、引用
発明の第1の軸36のロッキング機構及び第2の軸38のロッキング機
5 構とは別に、中間ストッパである周知技術2を引用発明に適用すると判断
しているのであるから、前記⑴ウ(ウ)c及びdの原告の主張は、本件審決
の判断に影響する事項を主張するものではない。
(エ) 相違点3の判断の誤りの主張について
周知技術1は回転軸に係る技術であり、引用発明の第1の軸36及び第2
10 の軸38に適用されるものであるが、周知技術2は中間ストッパに係る技術
であるから、引用発明の第1の軸36及び第2の軸38に直接適用する必要
はなく、要するに、2つのパネルを途中の角度で固定できるストッパを、軸
構造とは重ならない箇所に設け、パネルの回動と同期させて所定のタイミン
グでストッパが機能することができればよいのである。
15 そして、周知技術1及び2を引用発明にそのように適用しても、引用発明
の締着つまみ42に関わる構成は全く影響を受けないし、逆に、締着つまみ
42に関わる構成が、中間ストッパの設置に影響することもないから、引用
発明に周知技術1と周知技術2とを並行して適用することはできる。
20 (以上)
(別紙3)
訂正前明細書の記載事項(抜粋)
5 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複数の表示板を備えた表示装置に係り、特に携帯時には携帯に便利な
コンパクト・サイズでありながら使用時には比較的大きな見やすい表示画面を提供
10 できる、あるいは使用時に複数の表示画面を提供できる片手支持可能な表示装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報化の進展に伴い、携帯用のコンパクト・サイズの電子情報機器、例え
15 ばCD-ROM再生専用装置 (例えばソニー株式会社の商品名「データディスクマ
ン」 、VTR(ビデオテープレコーダー)
) 、TV(テレビ)、A4版ファイル・サイ
ズのノートブックパソコン(パーソナルコンピュータ)、電子手帳、などの携帯型電
子情報機器が続々と製品化されている。
【0003】
20 これらの携帯型電子情報機器においては、その画面の出力のためのディスプレー
パネルとしてLCD(液晶ディスプレー)パネルなどを使用した薄型ディスプレー
が使用されている。そして、従来のノート型パソコンなどにおいては、一般に、こ
の薄型ディスプレーとキーボードとが、周知の手段により、互いに折り曲げ自在に、
且つ折り畳み自在に接続されている。そしてユーザーは、携帯時には、前記薄型デ
25 ィスプレーとキーボードとを折り畳んだ状態で持ち運び、使用時には、これらのデ
ィスプレーとキーボードとを互いに上下方向に見開き状態にして使用するのが一般
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の携帯型電子情報機器においては、携帯の便利さを追求すればデ
5 ィスプレー装置などのサイズは小さいほどよいが、他方、ユーザーが使用するとき
の便宜を考えればディスプレー画面のサイズは見ずらくならない程度には大きくし
ておく必要がある、という二律背反の問題があった。そして、近年、このような二
律背反の課題に着目して、携帯の便利さ(コンパクト化)と使用時のディスプレー
画面の見やすさ(画面の大きさの ある程度の確保)という2つの要請を同時に満た
10 し、前記の二律背反の問題を一挙に解決することができる表示装置として、2つの
表示板を接続し、不使用時には2つの表示板を収納又は携帯しやすいように折り畳
み状態とし、使用時には2つの表示板を見開き状態とするような「折り畳み・見開
き型の表示装置」が提案されている(例えば、特開平3-103889号公報)。
【0005】
15 しかしながら、このような従来から提案されている「折り畳み・見開き型の表示
装置」においては、単に、不使用時には2つの表示板を収納又は携帯しやすいよう
に折り畳み状態とし、使用時には2つの表示板を見開き状態とすることを提案する
だけであり、
「ユーザーが、外出先(戸外)などで、例えば立ったままで、その一方
の片手だけを使って表示装置全体を容易且つ安定的に支持しながら、その他方の片
20 手は、表示装置を支持すること以外の他の様々な動作を行うために(例えば電車の
吊り革を掴むために)使用することができるようにできないか。」という問題意識
(ニーズ)は、全く窺うことができない(前記公報などの先行技術文献には、この
ような問題意識については、何らの記載も示唆も無い)。
【0006】
25 携帯情報端末(PDA)や携帯電話などの移動体通信機器に使用するための表示
装置を考えるときは、ユーザーが、外出先(戸外)などで、例えば立ったままで、
その両手の一方の片手だけで容易且つ安定的に表示装置を支持しながら使用できる
こと、そして、表示装置を支持していない他方の片手は、例えば、ユーザーが、電
子ペンで表示画面に文字を手書き入力したり、タッチパネル式の表示画面を指先で
タッチして操作したり、テンキー を押して数字や文字を入力したり、トラックボー
5 ル マウス パッド ジョイスティクなどのポインティングデ バイスを操作したり、
・ ・ ・
他の操作キーやジョグ ダイヤルなどを操作したり、
・ 通勤電車の吊り革を掴んだり、
隣の人と握手したり、などのような様々な動作を行うために使用できるようにする
ことが、極めて重要なはずである。
【0007】
10 本発明は、このような従来技術に関する問題意識から構想されたものであって、
「ユーザーが、例えば外出先 (戸外)などで、例えば立ったままでも、その一方の
片手だけを使って表示装置全体を極めて容易且つ安定的に支持することができる、
片手支持可能な表示装置」を提供することを課題(目的)とするものである。さら
に、本発明は、
「ユーザーが、例えば外出先(戸外)などで、例えば立ったままでも、
15 その一方の片手だけを使って 表示装置全体を極めて容易且つ安定的に支持しなが
ら、その他方の片手は、(例えば文字入力動作や電車の吊り 革を掴む動作などのよ
うな)表示装置を支持すること以外の他の様々な動作を行うために使うことができ
る、片手支持可能な表示装置」を提供することを課題(目的)とするものである。
【0008】
20 このような本発明の課題は、従来の先行技術文献の中には全く記載も示唆も無く、
従来技術からは容易に予想 ・認識することができない「新規な課題」である。
【0009】
すなわち、本発明者は、本願発明の上記「課題」は、少なくとも本願の原出願の
出願日(1991年8月30日)当時は、まだ「公知・自明」にはなっていなかっ
25 たと考える。なぜなら、この当時は、まだ、
「2つの表示板を互いに接続して使用す
る表示装置」は全く市販などされていなかったし、その製品化の予定なども皆無で
あった。確かに、この当時、既に、上記公報のように「2つの表示板を折り畳み自
在に接続する」という表示装置 のアイデアは一部だが開示されていた。しかし、こ
のようなアイデアを発想した発明者たちは、おそらく、
「2つの表示板を互いに接続
して使用する表示装置」を、
「単に頭の中で(紙とペンだけで)構想しただけ」か又
5 は 「何らかの試作品を作っただけ(といっても、当時の技術水準では、『片手の上
に載せて使用するような小型のもの』を試作することは実際上不可能で、仮に何ら
かの試作が行われたとしても、せいぜい『大型のもので机の上に据え置いて使用す
るようなもの』しか作れなかったはずである)」かのいずれかのレベル(技術水準)
に止まっていたはずである。もし、
「2つの表示板を互いに接続して使用する表示装
10 置」が実際に市販されて多数の 一般人が利用するような状況になれば、その多数の
一般人の中から、このような表示装置について、「一方の片 手だけに載せて使用で
きるようにしたい、そして、それだけでなく、さらに、一方の片手だけで極めて容
易且つ安定的に支持して使用できるようにしたい(そして、他方の片手は文字入力
や電車の吊り革を掴むなどの他の様々な動作のために使えるようにしたい)」と考
15 える人も出てきて、そのような「ニーズ・課題」
(本願発明の課 題に相当するもの)
が「公知・自明」のものとなるであろう。しかし、実際には、少なくとも本願の原
出願の出願日(1991年8月30日)当時は、
「2つの表示板を互いに接続して使
用する表示装置」が実際に市販され て一般人が利用することはなく(分割出願であ
る本願を提出する時点でも、まだ、市販されていない)、またその製品化の予定もな
20 く、従ってまた、前記の「課題・ニーズ」が「公知・自明」のものとなることも無
かったのである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(用語説明)本明細書において、「固定」には、(a)摩擦力やチルト機構などによ
25 り「半固定」する場合(ここで、「半固定」とは、「固定」の一形態であって、ユー
ザーがある程度強めの所定量以上の力を加えることにより状態を変更させる(すな
わち、固定状態を解除して、前記各表示板(各表示パネル)間の角度を変更させる)
ことができるような状態、を言う)や、
(b)ストッパ(例えば、2つの表示板を接
続する蝶番の回動を所定の角度でストップさせるもの)などを使用して「一時的に
固定」する場合、なども含まれる。
5 【0011】
なお、上記の「固定手段」の一例としての「チルト機構」とは、2つの部材を接
続するヒンジ部(蝶番)に装着・固定した軸とその軸に装着したコイルスプリング
とにより前記2つの部材を任意の回転角度で保持できるようにした機構である。こ
のような「チルト機構」は、従来より、例えばキーボードと薄型ディスプレイとを
10 接続するノート型(ブック型)電子機器のヒンジ部(蝶番)などに設けられている
周知の技術であって、例えば、実願平1-54228号(実開平2-145423
号公報)のマイクロフィルム(この中の明細書の第4ページの第7-14行及び第
4図参照)には、キーボードが備えられた本体側の固定金具と薄型ディスプレイが
備えられた蓋体側の固定金具との間に装着された軸にコイルスプリングを装着する
15 こと等により、前記蓋体を前記本体に対して任意の回転角度で保持できるようにし
たチルト機構が開示されている。
【0012】(本発明の内容)
1-(1)-1.略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含ん
でおり、ユーザーがその片手 だけでも支持することができるような片手支持可能
20 な表示装置であって、前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態
にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、
接続するための左右見開き接続手段と、前記「2つの表示板」を、
「前記各表示板が
ユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画
面が表示される側の間の角度」が約180度となるように、固定するための完全左
25 右見開き固定手段と、ユーザーから見て左右方向に見開きにされたときの前記「2
つの表示板」 「前記
を、 『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」
が「約120度から約170度 までの範囲内のいずれかの角度」となるように、ス
トッパにより固定するための中間左右見開き固定手段であって、前記「2つの表示
板」の、
「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「前記各表示
板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作、をストップする機能と、
5 前記「2つの表示板」 「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」
の、
が「ユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態」から狭
められて行く動作、をストップする機能と、を有する中間左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
1-(1)-2.略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含ん
10 でおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な
表示装置であって、前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態に
も、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、
接続するための左右見開き接続手段と、前記「2つの表示板」を、
「ユーザーから見
て縦方向の線を境とした、前記 『2つの表示板』の間の見開き角度」が約180度
15 となるように、固定するための完全左右見開き固定手段と、 前記「2つの表示板」
を、
「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き
角度 」 「それらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約18
が
0度の角度で見開きにされた状態 との間の角度であって、約120度から約17
0度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、固定するための中間左右見開
20 き固定手段であって、記「2つの表示板」の、
「ユーザーから見て縦方向の線を境と
した、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「前記各表示板が互いに折り畳
まれた状態」から広げられて行く動作 、をストップする機能を有する中間左右見開
き固定手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
1-(1)-3.略長方形の画面をそれぞれ表示できる「2つの表示板」を含ん
25 でおり、ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な
表示装置であって、前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状態に
も、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるように、
接続するための左右見開き接続手段と、前記「2つの表示板」を、
「前記各表示板が
ユーザーから見て左右方向に見開きにされているときの前記各表示板のそれぞれ画
面が表示される側の間の角度」が約180度となるように、 固定するための完全左
5 右見開き固定手段と、前記「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開き
にされたとき、前記「2つの表示板」を、
「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が
表示される側の間の角度」が「約120度から約170度までの範囲内のいずれか
の角度」となるように、固定するための中間左右見開き固定手段と、を備えたこと
を特徴とする片手支持可能な表示装置。
10 1-(2) 画面をそれぞれ表示できる
. 「少なくとも2つの表示板」を含んでおり、
ユーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置
であって、前記「2つの表示板」を、それらがユーザーから見て左右方向に見開き
にされた状態にも、それらが互いに折り畳まれた状態にもできるように、接続する
ための左右見開き接続手段と、前記「2つの表示板」を、
「ユーザーから見て縦方向
15 の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに折
り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180 度の角度で見開きにされ
た状態との間の角度であって、約105度から約170度までの範囲内のいずれか
の角度(あるいは、約105度から約165度までの範囲内のいずれかの角度、約
105度から約160度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約155
20 度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約150度までの範囲内のいず
れかの角度、約105度から約145度までの範囲内のいずれかの角度、又は約1
05度から約140度までの範囲内のいずれかの角度) となるように、
」 摩擦力やス
トッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
25 2-(1).画面をそれぞれ表示できる「2つ以上の(複数の)表示板(2つ以上
の表示パネル) を含んでおり、
」 ユーザーがその片手の上に載せてその片手だけでも
支持することができるような片手支持可能な表示装置であって、前記の「2つ以上
の(複数の)表示板」の中の「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれた状
態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもできるよう
に、接続するための左右見開き接続手段と、前記「2つ以上の(複数の)表示板」
5 の中の「2つの表示板」がユーザーから見て左右方向に見開きにされたとき、前記
「2つの表示板」を、
「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の
角度」が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度(あるいは、
約105度から約165度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約16
0度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約155度までの範囲内のい
10 ずれかの角度、約105度から約150度までの範囲内のいずれかの角度、約10
5度から約145度までの範囲内のいずれかの角度、又は約105度から約140
度までの範囲内のいずれかの角度) となるように、
」 固定するための左右見開き固定
手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
2-(2).画面をそれぞれ表示できる「2つ以上の表示板」を含んでおり、ユ
15 ーザーがその片手だけでも支持することができるような片手支持可能な表示装置で
あって、前記「2つ以上の表示板」の全部又は一部である 「2つの表示板」を、そ
れらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にも、それらが互いに折り
畳まれた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段と、前記「2
つ以上の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、
「ユーザーから見て縦
20 方向の線を境とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互い
に折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにさ
れた状態との間の角度であって、約105度から約170度までの範囲内のいずれ
かの角度(あるいは、約105度から約165度までの範囲内のいずれかの角度、
約105度から約160度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約15
25 5度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約150度までの範囲内のい
ずれかの角度、約105度から約145度までの範囲内のいずれかの角度、又は約
105度から約140度までの範囲内のいずれかの角度) となるように、
」 摩擦力や
ストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段と、
を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
3-(1).次の(a)~(d)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表
5 示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する「複数の表示板」が、それぞれが表示する各画面
がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手のみでも
支持することができるような小型のサイズに構成されている、
10 (c)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、それら
がユーザーから見て左右方向 に見開きにされた状態にも、それらが互いに折り畳
まれた状態にもできるように、接続するための左右見開き接続手段を備えている、
(d)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」がユーザー
から見て左右方向に見開きにされているとき、前記「2つの表示板」を、
「前記『2
15 つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約105度から約1
70度までの範囲内のいずれかの角度(あるいは、約105度から約165度まで
の範囲内のいずれかの角度、約105度から約160度までの範囲内のいずれかの
角度、約105度から約155 度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から
約150度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から 約145度までの範
20 囲内のいずれかの角度、又は約105度から約140度までの範囲内のいずれかの
角度)」となるように、固定するための左右見開き固定手段、を備えている。
3-(2).次の(a)~(d)の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な
表示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する「複数の表示板」が、それぞれが表示する各画面
25 がユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手のみでも
支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、折り畳
み可能で且つユーザーから見て左右方向に見開き可能に接続するための左右見開き
接続手段を備えている、
5 (d)前記「複数の表示板」の全部又は一部である「2つの表示板」を、
「ユーザ
ーから見て縦方向の線を境 とした、 『2つの表示板』
前記 の間の見開き角度」 「そ
が
れらが互いに折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で
見開きにされた状態との間の角度であって、約105度から約170度までの範囲
内のいずれかの角度(あるいは、約105度から約165度までの範囲内のいずれ
10 かの角度、約105度から約160度までの範囲内のいずれかの角度、約105度
から約155度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約150度までの
範囲内のいずれかの角度、約105度から約145度までの範囲内のいずれかの角
度、 又は約105度から約140度までの範囲内のいずれかの角度)」となるよう
に、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開
15 き固定手段、を備えている。
3-(3).次の(a)~(d)のような内容を含むことを特徴とする表示装置。
(a)画面をそれぞれ出力する複数個の表示板が、それぞれが表示する各画面が
ユーザーに対向することができるように、接続されている、
(b)表示装置の使用時の全体の大きさは、それをユーザーがその片手のみでも
20 支持することができるような小型のサイズに構成されている、
(c)表示装置は、ユーザーから見て縦方向の線を境にして、その右側部分と左
側部分とが、折り曲げ・折り 畳み可能で且つユーザーから見て左右に見開き可能と
なっている、
(d)表示装置は、その使用時に、ユーザーから見て縦方向の線の右側部分と左
25 側部分とを、
「ユーザーから見て縦方向の線を境とした、前記右側部分と左側部分と
の間の見開き角度」が「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度
(あるいは、約105度から約165度までの範囲内のいずれかの角度、約105
度から約160度までの範囲内のいずれかの角度、約105度から約155度まで
の範囲内のいずれかの角度、約105度から約150度までの範囲内のいずれかの
角度、約105度から約145度までの範囲内のいずれかの角度、又は約105度
5 から約140度までの範囲内のいずれかの角度) となるように、
」 摩擦力やストッパ
やチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き固定手段、を備えて
いる。
4-(1).本願発明(上記1、2又は3などに記載の発明)において、前記左右
見開き固定手段が固定する「2つの表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角
10 度」又は「ユーザーから見て縦方向の線の右側部分と左側部分との間の角度」は、
表示装置の全体をユーザーがその片手で支持し易いような角度又はユーザーがその
片手の上に載置し易いような角度であることが望ましい。
4-(2).上記3の発明は、「次の(e)(f)(g)のいずれか1つ、いずれか
2つ、又は、全て」を含むことが望ましい。
15 (e)表示装置の使用時の表示画面は、ユーザーから見て縦方向の線から右側部
分の画面の形状(又は、画面の面積及び形状)と、同左側部分の画面の形状(又は、
画面の面積及び形状)とが、ユーザーから見たときにほぼ左右均等で且つほぼ左右
対称となるように、構成されている。
(f)表示装置の使用時の全体の形状は、ユーザーから見て縦方向の線の右側部
20 分の平面の面積と同左側部分の平面の面積とが、ハードウェアとしてほぼ左右均等
となるように、構成されている。
(g)表示装置を構成する表示板は偶数個であり、表示装置の使用時の全体の形
状は、ユーザーから見て縦方向の線の右側部分の厚さ(又は、厚さ及び平面の面積)
と同左側部分の厚さ(又は、厚さ及び平面の面積)とが、ハードウェアとしてほぼ
25 左右均等となるように、構成されている。
4-(3).上記1、2又は3の発明の表示装置であって、「偶数個の表示板」か
ら構成されており、この「 偶数個の表示板」の全部である偶数個の表示板又はその
一部である偶数個の表示板が左右見開き状態で使用される場合における表示装置の
全体は、その全体のほぼ中央部の「ユーザーから見て縦方向の線」を境として、ユ
ーザーから見たときの前記線の右側部分の平面の面積及び厚さ寸法と、同左側部分
5 の平面の面積及び厚さ寸法とが 、ハードウェアとしてほぼ左右均等となるように
構成されている、ことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
5.上記1、2、3又は4において、前記左右見開き固定手段は、前記の「2つ
の表示板」の接続部分に、
「ユーザーがその片手の親指を安定的に置くことを可能に
するための、断面略V字状の凹状(谷状)部分」を 形成する作用を有している、こ
10 とを特徴とする片手支持可能な表示装置。
6.上記1、2、3又は4において、前記左右見開き固定手段は、前記の「2つ
の表示板」の接続部分に、
「ユーザーが、前記表示装置を、その片手の親指以外の指
又は掌の上に安定的に載置することを可能にするための 、断面略V字状の凸状(山
状)部分」を形成する作用を有している、ことを特徴とする片手支持可能な表示装
15 置。
7.上記1から6までのいずれかにおいて、前記左右見開き固定手段は、前記左
右見開き接続手段と一体的に構成されている(ハードウェア的に一体化されている)、
ことを特徴とする片手支持可能な表示装置。 なお、本発明において、「左右見開き
固定手段が、左右見開き接続手段と一体的に構成されている(ハードウェア的に一
20 体化されている)」ような場合とは、例えば、(1)前記左右見開き接続手段を構成
する「ヒンジ部( 蝶番)」の各部材に摩擦係数の高い素材を使用することにより、
ヒンジ部(蝶番。接続部分)の摩擦係数を高めて、2つの表示板の間の角度が一時
的に固定できるようにする場合(蝶番の接続面の摩擦係数を高くして、2つの表示
板の間が所定の折り曲げ角度で一時的に固定できるようにしたもの、など) (2)
、
25 前記左右見開き固定手段を構成するストッパ部分と前記左右見開き接続手段とをプ
ラスチック素材や金属素材などで一体成形する場合、などである。
8.上記1から6までのいずれかにおいて、前記左右見開き固定手段は、前記左
右見開き接続手段又は前記表示板と容易に分離できないように構成されている、こ
とを特徴とする片手支持可能な表示装置。なお、本発明において、
「左右見開き固定
手段が、左右見開き接続手段又は表示板と容易に分離できないように構成されてい
5 る」ような場合とは、例えば、
(1)前記左右見開き固定手段と前記左右見開き接続
手段(又は前記表示板)とが、プラスチック素材や金属素材などで一体成型されて
ハードウェア的に一体化されている場合(この場合は当然に「容易に分離できない」
状態である) (2)接着剤や溶接や係止用フックなどの手段を使用して、前記左右
、
見開き固定手段を構成するストッパ部分を、前記左右見開き接続手段(又は前記表
10 示板)に対して、容易に分離できないように固定している場合、
(3)前記チルト機
構(軸及びコイルスプリングなど)を2つの表示板の接続部分(ヒンジ部)に内蔵
させた場合、などである。
9.上記1から8までのいずれかにおいて、さらに、前記表示板に、
「ユーザーに
よるデータ入力のために使用される、データ入力用画面」すなわち「データ入力装
15 置(の一部)としても使用され得る画面」を表示するためのデータ入力用画面表示
手段、を備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
10.上記1から8のいずれかにおいて、さらに、前記片手支持可能な表示装置
から離れた場所に在る外部の情報記録装置に記録されている外部情報を無線を介し
て受信するための外部情報無線受信手段と、前記外部情報無線受信手段が受信した
20 外部情報を前記表示板に表示させるための外部情報表示手段と、を備えたことを特
徴とする片手支持可能な表示装置。
11.上記1から8までのいずれかにおいて、さらに、テレビ放送局から電波又
は有線により送信されるテレビ番組情報を無線を介して受信するためのテレビ番組
情報無線受信手段と、前記テレビ番組情報無線受信手段により受信されたテレビ番
25 組情報を前記表示板に表示させるためのテレビ番組情報表示手段と、を備えたこと
を特徴とする片手支持可能な表示装置。
12.上記1から8までのいずれかにおいて、さらに、前記片手支持可能な表示
装置から離れた場所に在る外部の情報記録装置に記録されている外部情報を無線を
介して受信するための外部情報無線受信手段と、前記外部情報無線受信手段が受信
した外部情報を前記表示板に表示させるための外部情報表示手段と、テレビ放送局
5 から電波又は有線により送信されるテレビ番組情報を無線を介して受信するための
テレビ番組情報無線受信手段と、前記テレビ番組情報無線受信手段により受信され
たテレビ番組情報を前記表示板に表示させるためのテレビ番組情報表示手段と、を
備えたことを特徴とする片手支持可能な表示装置。
この場合、ユーザーは、前記表示装置に、受信した「テレビ番組」と前記無線受信
10 手段からの「外部情報」を表示させることができる。
13.上記1から8までのいずれかにおいて、さらに、前記片手支持可能な表示
装置から離れた場所に在る外部の情報記録装置に記録されている外部情報を無線を
介して受信するための外部情報無線受信手段と、前記外部情報無線受信手段が受信
した外部情報を前記表示板に表示させるための外部情報表示手段と、前記表示板に、
15 「ユーザーによるデータ入力のために使用される、データ入力用画面」すなわち「デ
ータ入力装置(の一部)としても使用され得る画面」を表示するためのデータ入力
用画面表示手段と、を備えていることを特徴とする片手支持可能な表示装置。
この場合、ユーザーは、前記表示装置に、
「離れた場所にある情報記録装置からの情
報(外部情報)」と「データ入力用画面」すなわち「データ入力装置(の一部)とし
20 ても使用され得る画面」を表示させることができる。
14.上記1から8までのいずれかにおいて、さらに、テレビ放送局から電波又
は有線により送信されるテレビ番組情報を無線を介して受信するためのテレビ番組
情報無線受信手段と、前記テレビ番組情報無線受信手段に より受信されたテレビ
番組情報を前記表示板に表示させるためのテレビ番組情報表示手段と、前記表示板
25 に、
「ユーザーによるデータ入力のために使用される、データ入力用画面」すなわち
「データ入力装置(の一部)とし ても使用され得る画面」を表示するためのデータ
入力用画面表示手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可 能な表示装置。
この場合、ユーザーは、前記表示装置に、受信した「テレビ番組」と、様々な情報
を入力するための「データ入力用画面」すなわち「データ入力装置(の一部)とし
ても使用され得る画面」を、表示することができる。
5 15.上記1から8までのいずれかにおいて、さらに、前記片手支持可能な表示
装置から離れた場所に在る外部の情報記録装置に記録されている外部情報を無線を
介して受信するための外部情報無線受信手段と、前記外部 情報無線受信手段が受
信した外部情報を前記表示板に表示させるための外部情報表示手段と、テレビ放送
局から電波又は有線により送信されるテレビ番組情報を無線を介して受信するため
10 のテレビ番組情報無線受信手段と、 前記テレビ番組情報無線受信手段により受信
されたテレビ番組情報を前記表示板に表示させるためのテレビ番組 情報表示手段
と、前記表示板に、
「ユーザーによるデータ入力のために使用される、データ入力用
画面」すなわ ち「データ入力装置(の一部)としても使用され得る画面」を表示す
るためのデータ入力用画面表示手段と、を備えたことを特徴とする片手支持可能な
15 表示装置。
この場合、ユーザーは、前記表示装置に、
「テレビ番組」と「外部情報」と「データ
入力用画面」すなわち「デ ータ入力装置(の一部)としても使用され得る画面」を、
表示させることができる。
【0013】
20 【発明の実施の形態】
(第1実施例)図1は本発明の第1実施例に係る、CD-ROM再生専用装置を示
す概略正面図である。なおこ の図1には、本発明に強く関連する部分のみを示して
あり、従来公知の部分、例えば電源を入れるためのキーや再生・停止・早送り・巻
戻し・検索等を指示するためのキー、検索のためのキーワードを入力するためのキ
25 ーなどは、図示を省略している。
【0014】
図1において、符号1は枠体(筐体)である。この枠体1の中には、CD-RO
M駆動装置3、このCD-ROM駆動装置3からの信号を処理する信号処理装置4、
前記信号処理装置4からの信号を受けてLCD(液晶デ ィスプレイ)画面を表示す
るためのLCD駆動装置6、電源などが収納されている。またこの枠体1は、前記
5 LCD駆動装置6によりLCD画面が出力されるLCDパネル(表示板)5(本明
細書では、符号5を、LCDパネルとLCD画面との両者を示すために用いている)
を備えている。なお図1では、図示の便宜上CD-ROM 駆動装置3は枠体1の外
側に記載されているが、実際には枠体1の中の例えばLCD画面5を出力するLC
Dパネル5の裏側に収納されている。
10 【0015】
また符号2も枠体(筐体)で、この枠体2には、LCD画面7を表示するための
LCD駆動装置8などが収納され、またこのLCD駆動装置8によりLCD画面が
出力されるLCDパネル(表示板)7(本明細書では、この符号7を、LCDパネ
ルとLCD画面との両者を示すために用いている)が備えられている。
15 【0016】
また本実施例では、前記の枠体1と枠体2とは、図示のように、その端部同士が、
3つの比較的小さい蝶番9と1つの比較的大きい蝶番10とにより、折り曲げ自在
に接続(連結)されている。これにより、枠体1と枠体2とは、本実施例の平面図
である図2に示すように、図2の(a)に示す約180度に見開かれた「左右完全
20 見開き状態」から、図2(b)のような「左右半見開き状態」
(図2(a)のように
約180度に見開きにされた状態と、図2(c)のように各枠体1、2がそれぞれ
画面が表示される側が互いに向き合うように折り畳まれた 状態との間の状態)を
経て、さらに図2(c)の「折り畳み状態」へと、自在に折り曲げることができる
ようになっている。また本実施例では、上記と逆に、 (c)
図2 の状態から図2(b)
25 の状態を経て図2(a)の状態 にすることもできる。
【0017】
また本実施例では、枠体1と枠体2との間は、蝶番9及び10を構成する部材間
の摩擦力により、任意の角度で一時的に固定(半固定)でき、その一時的に固定(半
固定)した状態(例えば図2の(b)に示す状態で固定 (半固定)した状態)で使
用できるようになっている。またこのような「任意の角度での固定(半固定)」が前
5 述のように単に摩擦力によるものであるときは、ユーザーは、所定量以上の力を加
えることにより自由にその「固定(半固定)の角度」を変化させることができるよ
うになっている。なお本実施例での前記蝶番9及び10については、従来周知のも
の(例えばノート型パソコンのキーボードとディスプレイとを折り畳み・折り曲げ
自在に接続する蝶番であって、摩擦力などにより、前記のキーボードとディスプレ
10 イとが「両者間の角度が少し折れ曲がっている状態」となるように保持できるよう
になっている蝶番など)を使用できる。
【0018】
また本実施例においては、蝶番9及び10の構造を従来周知の方法で工夫するこ
と(例えば、ストッパを設けること等)により、2つの枠体1と枠体2の間が、例
15 えば約105度から約170度まで(又は、約110度から約170度まで)の間
の5段階の角度のいずれかの角度で、ストッパがかかって固定できるように構成す
るようにしてもよい。
【0019】
また本実施例では、図1に示すように、LCD画面5と枠体1の図示右側の端部
20 との間隔、及びLCD画面7と枠体2の図示左側の端部との間隔は、極めて小さい
ものとなっている。そして、枠体1と枠体2を接続する蝶番のうち、2つのLCD
5及び7に対向する端部の間を接続する3つの蝶番9は、比較的小さいものを使用
している。したがって、本実施例においては、LCD画面5とLCD画面7との間
の間隔は、
「極めて小さいもの」となっている。そのため、ユーザーにとっては、L
25 CD画面5とLCD画面7との間の間隔は「ほとんど無視で きるもの」となってお
り、ユーザーにとっては、この「2つのLCD画面5及び7が合わさった、あたか
も一つの大きな画面」として見ることができるようになっている。
【0020】
なお前記枠体2内のLCD駆動装置8と枠体1内の信号処理装置4とは、比較的
大きい蝶番(ジョイント)10の中を通る信号線により接続されている(なお、こ
5 のような、蝶番の中を通る信号線を介してLCD駆動装置 と信号処理装置とを接
続するという構成は、市販のノート型パソコン等において既に周知である) そのた
。
め、1枚のCD-ROMを再生するとき、この再生信号は、信号処理装置4から2
つのLCD駆動装置6及び8の双方に送られるので、2つのLCD画面5及び7は、
互いに協働して1つの画面を表示できるようになっている。 つまり、例えば、ユー
10 ザーがある百科事典を記録したCD-ROMを使用して「鯛」という魚を調べよう
とするとき、この鯛を検索して、鯛の写真をLCD画面5及び7に表示させるとき
は、一つの鯛の写真の映像がLCD画面5及び7の両方にまたがって大きく表示さ
れることになる。
【0021】
15 また本実施例のLCD画面5及び7によって表示できる情報は、前述の鯛の写真
のような映像だけでなく、文字などのデータでもよい。例えば、本などの書籍のそ
れぞれの1ページ分の文字データを一つの情報ブロックと してCD-ROMに記
憶させておき、ある1ページ分の文字データの情報ブロックをLCD画面5に表示
するとともに、その次のページの1ページ分の文字データの情報ブロックをLCD
20 画面7に表示するようにしてもよい。こうすれば、ユーザーは、このCD-ROM
再生装置をあたかも本を見開き状態にして本を読んでいるのと同じ感覚で使用でき
る。
【0022】
以上のように、本実施例においては、2つのLCD画面5及び7を、一つの信号
25 処理装置4からの信号が入力されるLCD駆動装置6及び8によりそれぞれ駆動さ
れるようにして、この2つのLCD画面5及び7が協働して「合わせて一つの大き
な画面」を形成できるようにすると共に、2つのLCD画面5及び7をそれぞれ含
む枠体1及び2を、互いに折り曲げ・折り畳み自在に接続するようにしている。
【0023】
したがって、ユーザーは、このCD-ROM再生装置を使用するときは、図1及
5 び図2(a)に示すように、 2つの枠体1及び2を見開きの状態にして、LCD画
面5及び7の2つの画面を合わせた大きな面積の画面に、情報を表示させることが
できる。
【0024】
またユーザーは、例えば通勤電車の中などにおいて、立ったまま、片手でこのC
10 D-ROM再生装置を使用しようとするときは、図2の(b)に示すように、2つ
の枠体1及び2の間の角度を例えば約150度程度に折り曲げた状態(「半折り曲
げ状態=半見開き状態」)でLCD画面5、7を見るようにすることもできる。また
混雑した通勤電車内では、この2つの枠体1及び2の間の角度をさらに例えば約1
20度程度に折り曲げた状態(「半折り曲げ状態=半見開き状態」)に保持して使用
15 することもできる。
【0025】
さらにユーザーは、このCD-ROM再生装置を戸外の移動時に携帯しようとす
るときは、図2の(c)に示すように、2つの枠体1及び2を折り畳み状態にする
ことにより、全体として、使用時の正面の面積の約半分であるコンパクトなサイズ
20 にして持ち運ぶことができる。
【0026】
また、この実施例においては、前記第1の枠体1と第2の枠体2を見開き状態に
したとき、これらの2つの枠体を、その両者の枠体1、2の各LCDパネル5、7
の間の角度が「約180度の角度」で固定できるだけでなく、その両者の枠体1、
25 2の各LCDパネル5、7の間の角度が「約105度から約170度まで(又は、
約110度から約170度まで)の間の所定の角度(任意の角度) で固定できる
」 (例
えば摩擦力やストッパやチルト機構により)ようにしている。よって、ユーザーは、
本実施例による表示装置を、例えば、会社のデスクの上では約180度の角度に見
開いた「完全見開き状態」で使用し、混雑している通勤電車の中では(他人に本実
施例の装置が当たって迷惑がかかることのないように)例えば約105度~約12
5 0度の角度に見開いた「半見開き状態」で使用する等、周囲の状況に応じた使用が
できるようになる。
【0027】
また、さらに、ユーザーは、例えば、通勤電車の中で立ったまま、本実施例の表
示装置を使用する場合、両手のうち一方の手で電車の吊り革を掴みながら他方の手
10 のみで表示装置を支持するときは、本実施例の表示装置を片手のみでも支えやすい
ように例えば約150度の角度に見開いた「半見開き状態=半折り曲げ状態」で使
用し 、また電車の中が混雑してきたら(他人に本実施例の表示装置が当たって迷惑
がかかることのないように)例えば約105度~120度の角度に見開いた「半見
開き状態=半折り曲げ状態」で使用する等、周囲の状況に即応したきめ細かい使用
15 が可能になる。
【0044】
【発明の効果】
1.本発明の基本的効果.
本発明では、「少なくとも2つの表示板(2つの表示パネル)を約105度から約
20 170度までの間のいずれかの角度で固定するための左右見開き固定手段」を備え
ている。したがって、本発明では、ユーザーが、表示装置全体をその一方の片手の
みで支持しようとするとき、前記左右見開き固定手段により形成される「断面略V
字状の凹状部分(裏側から見ると、凸状部分)」又はその近傍の部分を、前記片手
による支持の「取っ掛かり」とすることができる。よって、本発明によれば、ユー
25 ザーは、外出先(戸外)などで、例えば立ったままでも、2つの表示板を含む表示
装置全体を、その一方の片手のみで容易且つ安定的に支持することができるように
なる。
【0045】
すなわち、本発明では、前記の「ユーザーが、その片手の上に載せて、その片手
だけで支持しながら使用できる(あるいは、小型の表示装置である) という構成と、
」
5 前記の「左右見開き固定手段」という構成とにより、
「少なくとも2つ以上の表示板
を見開き状態で使用するとき、ユーザーが、その片手の親指を、前記各表示板の左
右見開き接続部分の表面側(ユーザー側)の断面略V字状の凹状部分(すなわち、
約105度から約170度までの間のいずれかの角度に折り曲げられている谷状部
分)に当てることにより、又は/及び、その片手の 親指以外の指又は掌を、前記各
10 表示板の見開き接続部分の裏面側(ユーザーに対向していない側)の山状の部分に
当てることにより、ユーザーは、前記の表示板の全体を、ユーザーの片手だけで極
めて容易且つ安定的に支持しながら使用することができる」という効果が得られる。
【0046】
また、本発明において、2つの表示板を含む表示装置がユーザーから見て左右見
15 開き状態にされているときの 、ユーザーから見て縦方向の線から左側の部分と右
側の部分とのそれぞれの表示画面の形状をほぼ左右均等・左右対称に構成するよう
にしたとき(又は、ユーザーから見て縦方向の線から左側の部分と右側の部分との
それぞれの平面の面積をほぼ左右均等に構成するようにしたとき) ユーザーは、
は、
前記左側部分の画面(又はその平面)と右側部分の画面(又はその平面)との全体
20 を、その両眼からほぼ左右均等に見渡すことができるので、前記の2つの表示板に
よる左右見開きの画面の全体が、ユーザーにとって大変に見やすいものとなる。
【0047】
さらに、本発明の「偶数個の表示板を備えた表示装置」において、前記の各表示
板が左右見開き状態にされたときの、ユーザーから見て縦方向の線から見て左側の
25 部分と右側の部分とのそれぞれの平面の面積と厚さ寸法をハードウェアとしてほぼ
左右均等に構成するようにしたときは、ユーザーがその片手の親指を前記各表示板
の接続部分の表面側(ユーザーに対向している側)すなわち断面略V字状の凹状部
分(約105度から約170度までの間のいずれかの角度に折り曲げられている谷
状部分)に当てた場合、又は/及び、その片手の親指以外の指又は掌を前記各表示
板の接続部分の裏面側(ユーザーに対向していない側)の山状部分及びその周辺部
5 分に当てるようにした場合、表示装置全体が、
「前記線近傍の谷状部分又は/及び山
状部分」を支点として(前記線の位置を支点として)、左右の均衡(バランス)が取
れた状態(「ヤジロベエ」のような状態)となるので、片手だけでも極めて容易且つ
安定的に各表示板を支持できるようになる。
【0048】
10 2.上記の本発明の効果を図8を参照して説明すると、次の(1)~(4)のと
おりである。
【0049】
(1)図8(a)の場合の作用
図8(a)は、「互いに厚さ寸法が同一ではない2つの表示板(2つの表示パネル)
15 91、92を、約180度の角度での完全見開きの状態に固定して成る表示装置を、
ユーザーが片手で支持している場合」(本発明の範囲外)を示している。
【0050】
この場合は、ユーザーは、片手の親指93を前記2つの表示板91、92の表示
画面側(ユーザーに対向する 側)の何処かの場所に当てることになるが、その表示
20 画面側は全体として約180度の水平面となっており、「親指を当てるときの、『取
っ掛かり』となってくれるような部分(例えば、本発明における前記「断面略V字
状の凹状部分」のような谷の部分)」が存在しないため、前記親指93の存在にも拘
わらず前記各表示板91、92は「図示左右方向に、ぶれやすく、移動しやすい」
状態となり、前記親指93により各表示板91、92を容易且つ安定的に支持する
25 ことはできない。
【0051】
また、前記の片手の親指以外の指又は掌は、前記各表示板91、92の裏面側(ユ
ーザーに対向しない側)に当てられるが、前記各表示板91、92の裏面側も全体
として約180度の角度の略水平面となっており、「その親指以外の指又は掌を当
てたときの、
『取っ掛かり』になってくれる部分」が存在しないので、前記各表示板
5 91、92は「図示左右方向に、ぶれやすく、移動しやすい」状態となり、前記親
指以外の指又は掌により各表 示板91、92を強く安定的に支持することはでき
ない。
【0052】
以上より、この図8(a)の場合は、ユーザーが表示装置全体を片手だけで支持
10 するときは、極めて不安定な支持しかできない。
【0053】
(2)図8(b)の場合の作用
次に、図8(b)は、「互いに厚さ寸法が異なる2つの表示板(2つの表示パネル)
91、92を、ユーザーが 自分の手で約130度くらいの角度で見開き状態にした
15 (但し、前記2つの表示板を『前記約130度の左右見開き状態で固定(半固定を
含む)すること』は、為されていない)まま、ユーザーが片手で支持している場合」
(本発明の範囲外)を示している。
【0054】
この場合は、ユーザーは、片手の親指93を前記2つの表示板91及び92の接
20 続部分の表示画面側(ユーザ ーに対向している側)に当てることになるので、この
「断面略V字状の凹状の谷状部分(図8(b)の矢印 Aで示す部分)」が「親指9
3を当てるときの、
『取っ掛かり』のような部分」に一応はなってくれる。そのため、
この「取っ掛かり」に当てられる親指93の存在により、前記各表示板91、92
は、
「図示左右方向に、ぶれること、移動すること」が少しは防止されるようになる。
25 【0055】
また、前記各表示板91、92の裏面側(ユーザーに対向していない側)は、前
記各表示板91及び92が約130度の角度に突出する山状になっており、 「山
この
状部分」が「前記親指以外の指又は掌を当てるに際しての『取っ掛かり』のような
部分」に一応はなってくれるので、前記各表示板91、92が「図示左右方向に、
ぶれること、移動すること」が、少しは防止されるようになっている。
5 【0056】
しかし、この図8(b)の場合は、前記の各表示板91と92との間の約130
度くらいの角度での見開き状態が「固定(半固定を含む)」されてはいない(ユーザ
ーが自分の手の力だけで約130度くらいの角度になるように支持しているだけで
ある) したがって、
。 この図8(b)の場合は、各表示板91と92との間の角度は 、
10 図の矢印Bで示すように、 (約130度の角度のままで一定ということではなく)
「
常にブラブラ・グラグラ と不安定に変動してしまう状態」にある。よって、この図
8(b)の場合は、各表示板91、92は、ユーザーが片手で支持している間、ず
っと、図の矢印Bのように互いの接続部分の角度がブラブラと不安定に変動してし
まう(前記の「各表示板91と92との間の角度(約130度)」が固定されておら
15 ず、一定していない)ので 、ユーザーは、到底、片手のみで各表示板91、92を
容易且つ安定的に支持することはできない。
【0057】
よって、ユーザーが各表示板91、92に表示された情報を見ようとしても、各
表示板91、92が図の矢印Bのように常にブラブラ・グラグラと動いてしまうの
20 で、大変に見難く読み難くなってしまう(目も疲れてしまう)。また、本来的にブラ
ブラと前記角度が変動してしまう2つの表示板91、92をユーザーが自分の手で
約 130度の角度に保持し続けなくてはならないので、ユーザーは手に不自然な
力を入れ続ける必要があり、疲れてしまう。また、電子ペン94(図8(b)参照)
を使用して文字を手書き入力するなどのペン入力操作や指先 入力操作(タッチパ
25 ネル方式での入力操作)をしようとする場合でも、入力操作時に発生するペン先又
は指先からの押圧力により表示板92の位置が図の矢印Bのようにブラブラと大き
く変動してしまい、大変に不安定であるため、手書き入力などのペン入力操作やタ
ッチパネル式画面への指先の押圧操作などの「入力操作」が極めて難しくなってし
まう。
【0058】
5 (3)図8(c)の場合の作用
次に、図8(c)は、本願発明の一実施形態で、
「互いに厚さ寸法の異なる2つの表
示板(2つの表示パネル) 91、92が、約180度の完全見開き状態と折り畳み
状態との間の、例えば約130度の角度で固定されている場合」である。
【0059】
10 この場合は、ユーザーは、片手の親指93を、前記2つの表示板91及び92の
接続部分の表示画面側(ユーザーに対向している側)の「(2つの表示板91、92
の接続部分の)断面略V字状の凹状に固定された谷状部分」 (図8(c)の矢印A
(
参照)に当てることになるので、 「断面略V字状の凹状に固定された谷状部分」
この
が「親指93を当てるときの、
『取っ掛かり』のような部分」となってくれる。その
15 ため、この「取っ掛かりのような部分(谷状部分)」に当てられた親指93の存在に
より、前記各表示板91、92は、 図示左右方向に、ぶれること、移動すること」
「
がほぼ完全に防止される。
【0060】
また、この場合は、ユーザーの前記片手の親指以外の指又は掌は、前記各表示板
20 91、92の裏面側(ユーザーに対向していない側)に当てられるが、この裏面側
は、前記各表示板91及び92が約130度の角度で固定されているため、
「断面略
V字状に突出・固定された山状部分」となっている(2つの表示板の接続部分のユ
ーザーに対向する側が断面略V字状の凹状の谷状部分となっている場合は、その反
対側(裏側)は、当然に、断面が略V字状の突状の山状部分となる)。そこで、この
25 場合は、この裏面側の「断面が略V字状の突状に固定された山状部分」が、
「前記の
片手の親指以外の指又は掌を当てるときの『取っ掛かり』のような部分」となって
くれる。そのため、前記の親指93の存在によるだけでなく、この「取っ掛かりの
ような部分( 山状部分)」に当てられた親指以外の指又は掌の存在によっても、前
記各表示板91、92が「図示左右方向に、ぶれること、移動すること」が、ほぼ
完全に防止される。
5 【0061】
そして、この場合は、各表示板91、92が約130度の角度で見開き「固定(半
固定を含む)」されているため、各表示板91、92の裏面側(ユーザーに対向しな
い側)の全体形状が、ユーザーの片手の「掌(手のひら)」の自然な形にフィットし
やすい状態となる(なぜなら、人間の手をリラックスさせたときの自然な形とは 、
10 ちょうど「卵をつかむ」ときのような形であるが、このときの「掌(手のひら)」の
形は、ちょうど「断面が略V字状の凹状」となるから)。
【0062】
そして、前記谷状部分を「取っ掛かり」として表面側(ユーザーに対向している
側)に掛けられたユーザ ーの親指94と、その裏側の前記山状部分を「取っ掛かり」
15 として裏面側(ユーザーに対向していない側) に掛けられたユーザーの親指以外の
指又は掌とが、前記2つの表示板91、92を、その表面側と裏面側とから それぞ
れ強固に安定的に支持するようになるので、表示装置をユーザーの片手の上に載せ
れば、ユーザーの片手のみでも、表示装置が全体として極めて容易且つ安定的に支
持されるようになる。
20 【0063】
特に、電子ペン94による文字の手書き入力や指先による入力(タッチパネル方
式)などの入力操作をするときでも、前記のように、2つの表示板91と92の間
の角度が固定(半固定を含む)されているので、ペン先や指先から所定の押圧力を
表示板92に与えても、表示板92が「ブラブラ・グラグラとぐらつく」ことはな
25 く、入力ペンによる手書き入力などの入力操作やタッチパネル式画面への指先の操
作などの「入力操作」が大変に安定的に且つ容易にできるようになる。
【0064】
(4)図8(d)の場合の作用
次に、図8(d)は、本願発明の一実施形態を示すもので、
「互いに平面の面積と厚
さ寸法がほぼ同一の2つの表示板(2つの表示パネル)91、92が、約130度
5 の角度で見開かれた状態で固定されている場合」である。
【0065】
この場合も、図8(c)で前述したのと同様に、ユーザーは、片手のみでも極め
て容易且つ安定的に表示装置 を支持することができる。さらに、特に、この例では、
前記各表示板91と92は、それらの各平面の面積と各厚さ寸法とが互いにハード
10 ウェアとしてほぼ左右均等となっているので、図8(d)に示すように、ユーザー
が 片手の親指を前記表面側の「断面略V字状の凹状部分=谷状部分=デルタ状部
分(図の矢印Aで指示する部 分) に当てて、
」 親指以外の指又は掌を各表示板91、
92の裏面側の「断面略V字状に突出した山状部分 」に当てたとき、表示装置全体
が、前記の谷状部分と山状部分とを支点として、その左右の均衡(バラ ンス)が保
15 たれた「ヤジロベエ」のような状態になり、その結果、片手だけでも極めて「左右
に安定した状態」で支持できるようになる。
【0066】
すなわち、この図8(d)の場合は、前記「断面略V字状の凹状部分=谷状部分
(図の矢印Aで指示する 部分)」を通る線(ユーザーから見て縦方向の線)を境と
20 して、表示装置の右側部分と左側部分とが、ハードウェアとしてその平面や厚さ寸
法がほぼ左右均等にバランスするように構成されているので、ユーザーが片手のみ
でも大変に左右にバランス良く支持できるようになる。
【0067】
3.次に、本発明の効果について、さらに、図9を参照して説明する。図9(a)
25 に示すように、従来より、
「キーボード104と、表示画面105aを表示するため
の表示パネル105とを、互いに折り畳み・見開き自在に接続したノート型パソコ
ン」が販売されている。図9(a)は、この従来のノート型パソコンを元に、それ
をユーザーの片手の「掌(手のひら)」だけで支持できるように小型化したものを、
本発明との比較のために特別に仮想的に用意して、それをユーザーが一方の片手だ
けで支持したときの動作を仮想的に示したものである。
5 【0068】
この場合は、ユーザーの親指101と小指102と掌103とにより、キーボー
ド104の左右両側面と下面とを、それぞれ左右両側から及び下方向から支持する
ことになる。そして、ユーザーは、他方の片手で、キーボード104を操作するこ
とができる。
10 【0069】
しかし、このような小型のノート型パソコンは、キーボード104と表示板10
5とが「ユーザーから見て左右方向(横方向)の線(図9(a)の一点鎖線Q参照)」
を境にして折り曲げられている点で、2つの表示板が 「ユーザーから見て上下方向
(縦方向)の線(図9(b)の一点鎖線R参照)」を境にして折り曲げられている本
15 発明とは、根本的に、その課題・構成・作用・効果を異にしている。
【0070】
すなわち、本発明では、図9(b)に示すように、2つの表示板(表示パネル)
107、108が、「ユーザ ーから見て上下方向(縦方向)の線(図9(b)の一
点鎖線R参照)」を境にして折り曲げ固定されている。
20 【0071】
そして、本発明では、この「ユーザーから見て上下方向(縦方向)の線R」に沿
って、前記「断面略V字状の 凹状部分(谷状部分)」が形成されている(図9(b)
及び図9(c)の符号P参照)。そして、この「断面略V字状の凹状の谷状部分」P
が、ユーザーが前記2つの表示板107、108を安定的に支持するためにユーザ
25 ーの親指106を掛けるための「取っ掛かり」となってくれている。また、本発明
では、前記「断面略 V字状の凹状の谷状部分」Pの裏側の「山状部分」が、ユーザ
ーが前記2つの表示板107、108の 裏面(ユーザーと対向していない側)にユ
ーザーの親指以外の指又は掌を当てるための「取っ掛かり」となってくれている。
【0072】
以上のように、本発明では、図9(b)の符号Rで示す「ユーザーから見て上下
5 方向(縦方向)の線」を境として、表示装置の右側部分と左側部分とを、前記の折
り曲げられた任意の角度で(すなわち、断面が略V字状に なった状態で)固定する
ことが、可能になっている。
【0073】
したがって、本発明では、ユーザーがその片手で表示装置全体を支持するとき(又
10 は、ユーザーが表示装置全体を片手の上に載置するとき)、ユーザーは、前記の折り
曲げられた部分 「ユーザーから見て上下方向
( (縦方向)の線」又はその近傍の部分)
に形成される「断面略V字状の凹状の谷状部分」に親指を掛けてそこを「取っ掛か
り」にして表示装置を支持すること(又は、前記の断面略V字状の凹状の谷状部分
の反対側の山 状部分を「取っ掛かり」にして、表示装置を片手の親指以外の指又は
15 掌の上に置くこと)により、前記表示装置の全体を極めて容易且つ安定的に支持す
ることが可能になる。
【0074】
すなわち、一般に、①「平板状(表面が水平面状)の物体」を片手のみで支持す
ること(又は、平板状の物体を片手の掌の上に載置すること)と、②「断面が略V
20 字状の凹部(谷状)になっている物体」を片手のみで支持すること(又は、
「断面が
略V字状の凹部になっている物体の裏面の山状部分」を片手の親指 以外の指又は
掌の上に載置すること)とを比較すると、後者(②)の方が格段に容易であること
は、経験上もまた理論上も明らかである。
【0075】
25 すなわち、前者(①)の平板状の物体では、片手で持つときに、持つときの「取
っ掛かり」が無いので、 必要以上の握力が必要になり、片手の神経を集中させなく
てはならないので、大変に緊張し疲れてしまう。これに対して、後者(②)の断面
略V字状の物体では、前記の略V字状の谷状の部分とその裏側の山状 部分がユー
ザーの手(指及び掌)で持つときの「取っ掛かり」となってくれるので、この部分
を持てば小さな握力でも(すなわち、ユーザーが手に力を入れないで自然にリラッ
5 クスした状態でも)容易に安定して持ち続ける ことができる。
【0076】
すなわち、前者(①)の平板状の物体では、それを片手の「掌(手のひら)」の上
に載せようとしても、平板状なので、掌の上をズルズルと滑ってしまい易いため、
そのズルズルと滑るのを防ごうとして必要以上の力を不自然な形で入れる必要があ
10 り、且つ、必要以上に神経を集中・緊張させる必要があり、その結果、長時間支持
し続けようとすると過度の疲労(肩凝り、眼精疲労など)の原因となってしまう。
【0077】
これに対して、後者(②)の断面略V字状の物体では、極めて容易且つ安定的に、
表示装置全体を、片手の「掌」の上で支持することが可能になる。
15 【0078】
なぜなら、まず、人間の片手の「掌」そのものが、もともと(自然にリラックス
した状態においては) 「断面が略V字状の凹状」となっている(すなわち、片手で
、
本や書類やタマゴなどの物を普通に支持している状態又は自然にリラックスした状
態の片手の断面形状は、ちょうど「断面が略V字状の凹状=谷状」となっている )。
20 そして、一般に、前記の表面側(ユーザー側)の断面略V字状の凹状の谷状部分の
裏面側の山状の部分は、人間の片手の「掌」の中にちょうどうまくスッポリと収ま
り易い(人間の掌(手のひら)の形は、もともと、リラックスした状態では、ちょ
うど「断面が略V字状の凹状」となっているため)。したがって、本発明の左右見開
き固定手段により形成される前記の各表示板間が断面略V字状に固定(半固定を含
25 む)された表示装置は、ユーザーにとって、極めて小さな力で、リラックスした状
態で、容易且つ安定的に、その片手の「掌」の 上に載置し続けることを可能にする
ものなのである。
【0079】
以上のように、本発明によれば、前記左右見開き固定手段により、ユーザーが表
示装置の全体を片手だけで支持すること又は片手の掌の上に載置することが、極め
5 て容易になる。よって、本発明によれば、ユーザーが、外出中(戸外で)、例えば通
勤電車内や路上などの様々な場所で、立ったままでも、表示装置を片手だけで支持
しながら、又は表示装置を片手の掌の上に載置・支持しながら、安定的に使用し続
けることが極めて容易になる。
【0080】
10 4.さらに、本発明の付加的効果の一つについて説明する。本発明(の一態様)
においては、表示装置の使用時の表示画面の形状が、前記の「2つの表示板を含む
表示装置の全体」のほぼ中央部分のユーザーからみて縦方向の線から右側部分の画
面の面積及び形状と、同左側部分の画面の面積及び形状とが、ユーザーから見たと
きにほぼ左右均等・左右対称となるように、構成されている。したがって、この本
15 発明(の一態様)によれば、ユーザーが前記各表示板により構成された「表示画面
の全体」を見るときに、その画面全体が前記縦方向の線(以下「中心線」という)
を中心にほぼ左右対称・左右均等に分けられるため、ユーザーにとって極めて見易
い画面が得られるようになっている。すなわち、一般に、人間の視神経においては、
文書や画像を見る場合に、左右の2つの目(左右両眼)で見つめるため、見る対象
20 の全体は、両眼の位置からみて左右対称・左右均等になっている方が格段に見易い
という性質を有している。だから、従来の本や新聞や雑誌などの紙媒体でも、その
表示部分は、ユーザーからみて縦方向の中心線(本や新聞を中間で折り曲げる線。
仮想の線をも含む)を中心として、左右 対称・左右均等になるように配置されてい
る。表示された画面全体が前記の中心線を中心に左右対称・左右均等 に配置されて
25 いないと、人間の視神経(左右均等が視神経にとっては自然である)に過度の負荷
を与えて必要以上に視神経の疲労を与えてしまうことになるが、本発明ではこのよ
うな不都合を有効に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るCD-ROM再生装置を示す正面図である。
【図2】図1の実施例を動作別に示す平面図である。
5 【図8】本発明の作用・効果を説明するための図である。
【図9】本発明の作用・効果を説明するための図である。
【符号の説明】
1、2、11~20、1a、2a 枠体
3、50 CD-ROM駆動装置
10 4、51 信号処理装置
5、7、21~30、5a、7a LCD画面(LCDパネル)
6、8、31~40 LCD駆動装置
9、10、9a、10a 蝶番(ジョイント)
【図1】
【図2】
【図8】
【図9】
(別紙4)
引用文献1の記載事項(抜粋)
[3頁21ないし28行目]
5 Another objective of the present invention is to provide a system t
hat allows one digitizer to be rotated with respect to the second so
that the computer aided notebook can be opened to a variety of sele
cted positions and where one of such positions allows a user to hold
the computer in one hand while data is entered with the other while
10 the user is in a sitting, standing or walking position.
(訳)この発明の別の目的は、コンピュータ援助ノートブックが様々な選択された
位置に開かれ得るように1つのデジタイザが第2のデジタイザを基準にして回転す
ることを許容し、かつこのような位置の1つは、ユーザが座ったり、立ったり、又
は、歩いたりする位置にあるときに、片手でコンピュータを保持し、もう片方の手
15 でデータを入力することを許容するシステムを提供することである。
[5頁10行ないし6頁6行目]
Brief Description of the Drawings:
Fig.1 illustrates a portable computer according to the invention in a
20 flat open position;
Fig. 2 is a perspective view of a portable computer according to the
invention in a closed position;
Fig. 3 is a perspective view of a portable computer according to the
invention in a compact open position folded back to back having a s
25 creen orientation upside down as compared to Fig. 1;
Fig. 4 is a perspective view of a port吐le computer according to the
invention in a partially folded open position having a screen orientati
on oriented sideways as compared to Fig. l;
Fig. 5 is a top plan view of a portable computer according to the i
nvention in a position separated at the hinge;
5 Fig. 6A is an exploded illustration of a hinge in accordance with the
invention;
Fig. 6B is an exploded illustration of the hinge showing the primary
axis in accordance with the invention;
Fig. 6C is another exploded illustration of the hinge showing the pri
10 mary axis in accordance with the invention;
Fig. 6D is an exploded illustration of the hinge showing the seconda
ry axis in accordance with the invention;
Fig. 6E is an exploded illustration of the hinge showing the anchorin
g means in accordance with the invention;
15 (訳)
図面の簡単な説明
図1は平坦な開いた位置におけるこの発明に従った携帯用コンピュータを示す。
図2は閉じた位置におけるこの発明に従った携帯用コンピュータの斜視図である。
図3は図1と比較するとスクリーンの配向が逆さまである、背中合わせで折畳まれ
20 たコンパクトな開いた位置にあるこの発明に従った携帯用コンピュークの斜視図で
ある。
図4は、図1と比較すると横に配向されたスクリーン配向を有する部分的に折畳ま
れた開いた位置におけるこの発明に従った携帯用コンピュータの斜視図である。
図5は蝶番で分離された位置におけるこの発明に従った携帯用コンピュータの上面
25 図である。
図6Aはこの発明に従った蝶番の分解図である。
図6Bはこの発明に従った第1の軸を示す蝶番の分解された図である。
図6Cはこの発明に従った第1の軸を示す蝶番の別の展開された図である。
図6Dはこの発明に従った第2の軸を示す蝶番の分解図である。
図6Eはこの発明に従った保留手段を示す蝶番の分解図である。
[6頁32行ないし7頁4行目]
Description of the Specific Embodiments:
Fig. 1 shows a perspective view of a computer notebook 10 accordin
g to the present invention. Notebook 10 includes a first panel 12,
10 a second panel 14 connected to first panel 12 by a hinge means 16
that allows both first panel 12 and second panel 14 to orient in a
multitude of angles about hinge means 16, and a stylus 18 for writi
ng on first panel 12 and second panel 14.
(訳)
15 好ましい実施例の説明
図1はこの発明に従ったコンピュータノートブック10の斜視図を示す。ノートブ
ック10は第1のパネル12と、第1のパネル12及び第2のパネル14の両方が
蝶番手段16を中心とした多数の角度において配向することを許容する蝶番手段1
6によって第1のパネル12に接続される第2のパネル14と、第1のパネル12
20 及び第2のパネル14上に書くためのスタイラス18を含む。
[7頁5ないし16行目]
First panel 12 has a first flat surface 20 with an opaque first digitiz
er tablet 22 and allows placement of standard templates, pads of sin
25 gle-sheet hard copy forms or a thin pad of forms. A digitizer tablet
includes a digitizer and the backing for mounting the digitizer; herein
after, "digitizer" will be used instead of digitizer tablet. First pane
l 12 also has selected liquid-crystal displays for acknowledging data
entered upon first digitizer 22. Second panel 14 includes a second fl
at surface 24 with a liquid crystal display and includes a transparent
5 second digitizer 26 overlaying the liquid crystal display.
(訳)
第1のパネル12は不透明な第1のデジタイザタブレット22を有する第1の平坦
な表面20を有し、かつ標準のテンプレート、単一シートハードコピーフォームの
パッド又は書式の薄いパッドの配置を許容する。デジタイザタブレットはデジタイ
10 ザとデジタイザを装着するための裏当てとを含み、これ以降、「デジタイザ」がデ
ジタイザタブレットの代わりに使用されるであろう。
第1のパネル12はまた第1のデジタイザ22上へ入力されるデータに応答するた
めの選択された液晶ディスプレイを有する。第2のパネル14は液晶ディスプレイ
を有する第2平坦な表面24と液晶ディスプレイの上に置かれる透明な第2のデジ
15 タイザ26を含む。
[7頁17行ないし8頁5行目]
First panel 12 is primarily the data entry panel and houses the majo
r electronics of the invention, namely the logic, memory, and power
20 supply, as well as peripheral ports for a printer, modem, and other
like peripheral devices. Second panel 14 serves primarily as a display
panel and doubles as a secondary data entry panel. Each panel is co
nnected to the other by means of hinge 16. Hinge 16 allows one p
anel to be set at any angle position relative to the other. In one sp
25 ecific embodiment, the panels will have at least four distinct settings
including closed (Fig. 2), initial or partially opened (Fig. 4), flat
(Fig, 1), and folded (Fig. 3) positions that will allow each panel t
o support a nominal amount of torque without movement. The config
uration shown in Fig. 1 may also be rotated 180° in the plane of
the figure, and the paper form the display correspondingly inverted
5 with respect to the frame of the computer, for the convenience of l
eft-handed, users. Also included is means to allow electrical commu
nication between the two panels, where the first panel 12 has the l
ogic, memory, and power supply and second panel 14 provides a dis
play and secondary data entry device. One such means of communica
10 tion is a ribbon computer cable and is well known in the art.
(訳)
第1のパネル12は主にデータ入カパネルであり、かつこの発明の主要な電子回路、
すなわち、論理と、メモリと、電源と、プリンタ、モデム、他の同様な周辺装置の
ための周辺ポートとを収容する。第2のパネル14は主にディスプレイパネルとし
15 て役立ち、かつ第2のデータ入力パネルとしても兼務する。各パネルは蝶番16に
よって他方に接続される。蝶番16は1つのパネルが他方に対していかなる角度位
置においても設定されることを許容する。1つの特定の実施例では、パネルは、各
パネルが動かずに定格のトルク量を支えることを許容するであろう、閉じられた(図
2)、最初の又は部分的に開かれた(図4)、平坦な(図1)、かつ閉じられた(図3)
20 位置を含む少なくとも 4 つの明確な設定を有するであろう。図1において示されて
いる構成は図の平面において180度回転されてもよく、かつ左利きのユーザの便
宜のために、コンピュータのフレームに対してディスプレイ書式が相応して反転さ
れる。また、2つのパネル間の電気通信を許容する手段も含み、第1のパネル12
は論理、メモリ、電源を有するし、かつ第2のパネル14はディスプレイ及び第2
25 のデータ入力装置を傭える。1つのこのような通信の手段はリボンコンピュータケ
ーブルであり、技術においてよく知られている。
[8頁6ないし31行目]
Referring to Fig. 6A, hinge 16 includes a first hinge bracket 28, a
second hinge bracket 30, a third hinge bracket 32 and a fourth hing
5 e bracket 34 through which are threaded a primary axis 36 and a se
condary axis 38 for holding first panel 12 and second panel 14 toget
her. The primary axis 36 provides the axis about which first panel 1
2 revolves and secondary axis 38 provides the axis about which seco
nd panel 14 revolves. Each axis has a distinctly different locking me
10 chanism with secondary axis 38 locking system permitting greater eas
e of movement than that of primary axis 36.
The locking mechanism of primary axis 36 includes a shaft 37 thread
ed at one end, and flared at the other. Primary axis 36 fits the fla
red end 39 of shaft 37 in first hinge bracket 28 (Fig. 6B) and its
15 threaded end 41 through fourth hinge bracket 34 as fastening knob
42 mounts thereon (Fig. 6C). Fastening knob 42 turns to selectivel
y fasten primary axis 36 and the increased tension tightens the fit o
f the flared end 39 on first hinge bracket 28 and first panel 12. In
addition, a ceramic jacket 40 is used as a spacer at both ends 39 a
20 nd 41 of primary axis 36 where in contact with first hinge bracket
28 and fourth hinge bracket 34 to provide improved friction to allow
the first panel 12 to support a nominal amount of torque without m
ovement and to reduce wear on the plastic parts.
(訳)
25 図6Aを参照して、蝶番16は第1の蝶番ブラケット28、第2の蝶番ブラケット
30、第3の蝶番ブラケット32及び第4の蝶番ブラケット34を含み、第1のパ
ネル12及び第2のパネル14をともに保持するための第1の軸36及び第2の軸
38がそれらを介して通る。第1の軸36は第1のパネル12が回転する軸を提供
し、かつ第2の軸38は第2のパネル14が回転する軸を提供する。各軸は、第2
の軸38のロッキングシステムが第1の軸36のそれよりもより大きい動きのゆと
5 りを許容して、明らかに異なったロッキング機構を有する。第1の軸36のロッキ
ング機構は一方がねじ切りされ、かつ他方が拡開されたシャフト37を含む。第1
の軸36は、第1の蝶番ブラケット28にシャフト37の拡開端39を嵌合させ(図
6B) ねじ切りされた端部41を第4の蝶番ブラケット34に通して、
、 締着つまみ
42を装着して嵌合する(図6C) 締着つまみ42は選択的に第1の軸36を締め
。
10 るために回され、かつ増加された引張りが、第1の蝶番ブラケット28に接してい
る拡開端39と第1のパネル12との嵌合をきつくする。さらに、セラミックジャ
ケット40が第1の蝶番ブラケット28と第4の蝶番ブラケット34とに接触する
第1の軸36の両端39及び41におけるスペーサとして使用され、第1のパネル
12が動かずに定格のトルク量を支持することを許容する改良された摩擦を提供す
15 るため、かつ、プラスチック部分における摩耗を減少させるために用いられる。
[8頁32行ないし9頁7行目]
The locking mechanism of second panel 14 includes a threaded shaft
secondary axis 38 which interacts with second hinge bracket 30 and
20 third hinge bracket 32 and is secured by another fastening knob 42
(Fig. 6D). Third hinge bracket 32 is also threaded so that as faste
ning knob 42 is turned clockwise, the tension between second hinge
bracket 30 and third hinge bracket 32 exerted on second panel 14 c
an hold second panel 14 as rigidly as desired. Each hinge bracket 3
25 0 and 32 uses a semi-hard rubber washer 46・to increase the friction
needed to hold the panels 12 and 14.
(訳)
第2のパネル14のロッキング機構は、第2の蝶番ブラケット30及び第3の蝶番
ブラケット32と相互作用するねじ切りされたシャフトの第2の軸38を含み、か
つ別の締着つまみ42によって固定する(図6D) 第3の蝶番ブラケット32もま
。
5 た、締着つまみ42が時計回りに回転して、第2の蝶番ブラケット30と第3の蝶
番ブラケット32との間の第2のパネル14にかかる引張りが第2のパネル14を
所望されるほど堅く保持し得るようにねじ切りされる。各蝶番ブラケット30及び
32はパネル12及び14を保持するのに必要とされる摩擦を増加するために半硬
のゴム座金46を使用する。
[9頁32行ないし10頁13行目]
This embodiment of the hinge 16 provides for first panel 12 and sec
ond panel 14 to be oriented in any position within a 360° arc abou
t hinge 16. Ideally, four main positions will be preset to allow func
15 tionability. These four positions are: closed, initial or partially opene
d, flat and folded. The closed position is shown in Fig. 2 and occu
rs when the first panel 12 and the second panel 14 are juxtaposed f
ace to face providing protection 5 to the panel surfaces when the ap
paratus is not in use. The initial position is illustrated in Fig. 4 an
20 d has one panel approximately perpendicular to the other, much like
a conventional laptop portable computer. The flat position has both
panels lying in the same plane side by 10 side. In a folded position
shown in Fig. 3 the first panel 12 and second panel 14 are juxtapo
sed back to back in order to facilitate carrying the apparatus in one
25 hand and entering data with the other.
(訳)
蝶番16のこの実施例は蝶番16のまわりの360度の弧内のいかなる位置におい
ても第1のパネル12及び第2のパネル14が配向されるために備えられる。理想
的には、4つの主たる位置が機能性を許容するために予め設定されるであろう。こ
れらの4つの位置は閉じられたもの、最初の、又は部分的に開かれたもの、平坦な
5 もの及び折畳まれたものである。閉じられた位置は、図2において示されており、
装置が使用されていないときパネルの表面を保護するために第1のパネル12及び
第2のパネル14が面を合わせて並置されるときに起こる。最初の位置は図4に示
され、かつかなり従来のラップトップ携帯用コンピュータに似たような、一方のパ
ネルがほぼ他方に対して垂直になるようになる。平坦な位置は同一の面において並
10 んで横たわる両方のパネルを有する。図3において示されている折畳まれた位置で
は、片手で装置を運び、もう片方の手でデータを入力することを容易にするために
第1のパネル12と第2のパネル14が背中合わせて並置される。
[図1]
[図2]
[図3]
[図4]
[図6A]
[図6B]
[図6C]
[図6D]
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