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令和2(行ケ)10146審決取消請求事件

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裁判所 請求棄却 知的財産高等裁判所知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和4年3月28日
事件種別 民事
当事者 原告ビューワークスカンパニーリミテッド
被告特許庁長官
対象物 TDIラインイメージセンサ
法令 特許権
特許法29条2項1回
キーワード 実施59回
分割11回
刊行物6回
特許権1回
優先権1回
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30
事件の概要 1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがない。) (1) 原告は、発明の名称を「TDIラインイメージセンサ」とする発明につい て、平成27年5月14日(優先日平成26年5月15日(以下「本件優先 日」という。)、優先権主張国韓国)を国際出願日とする特許出願(特願20

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判決文

令和4年3月28日判決言渡
令和2年(行ケ)第10146号 特許取消決定取消請求事件
口頭弁論終結日 令和4年2月2日
判 決
原 告 ビューワークス カンパニー リミテッド
同訴訟代理人弁護士 大 野 聖 二
同訴訟代理人弁理士 松 野 知 紘
被 告 特 許 庁 長 官
同 指 定 代 理 人 中 村 則 夫
同 渡 辺 努
同 清 水 正 一
15 同 木 方 庸 輔
主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30
20 日と定める。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
特許庁が異議2018-701050号事件について令和2年8月18日に
した決定を取り消す。
25 第2 事案の概要
1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがない。)
(1) 原告は、発明の名称を「TDIラインイメージセンサ」とする発明につい
て、平成27年5月14日(優先日平成26年5月15日(以下「本件優先
日」という。 、優先権主張国韓国)を国際出願日とする特許出願(特願20

16-567850号。以下「本件出願」という。)をし、平成30年6月8
5 日、特許権の設定登録を受けた(特許第6348992号。請求項の数1。
以下、この特許を「本件特許」という。 。

(2) 本件特許について、平成30年12月25日、株式会社レクレアルから特
許異議の申立て(異議2018-701050号事件)がされた。
(3) 原告は、平成31年3月18日、取消理由通知を受けたため、令和元年6
10 月24日付けで特許請求の範囲及び本件出願の願書に添付した明細書(以下
「本件明細書」という。 の記載について訂正請求をしたが、
) 同年8月29日、
取消理由通知を受け、さらに同年12月4日付けで特許請求の範囲及び本件
明細書の記載について訂正請求をしたが、令和2年2月7日、取消理由通知
を受けたため、同年5月13日付けで特許請求の範囲及び本件明細書の記載
15 について訂正請求(以下、この請求に係る訂正を「本件訂正」という。)をし
た。
その後、特許庁は、令和2年8月18日、本件訂正を認めた上で、
「特許第
6348992号の請求項1に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件
決定」という。)をし(付加期間90日)、その謄本は、同年9月1日、原告
20 に送達された。
(4) 原告は、令和2年12月24日、本件決定の取消しを求める本件訴訟を提
起した。
2 特許請求の範囲の記載
(1) 本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおりである
25 (以下、本件訂正後の請求項1に係る発明を「本件発明」という。 。

【請求項1】
M個のCCDが一列配列されたラインセンサーと、スキャン方向に並列にN
個の前記ラインセンサーが配列されて、前記ラインセンサーのコラム別に蓄積
された電荷を並行方向に移動させて蓄積する画素部;および
前記画素部に蓄積された前記電荷をコラム別に並列入力を受けてAD変換し
5 て保存した後順次出力する出力部を含み、
前記出力部は、
前記画素部に蓄積された前記電荷をコラム別に電荷保存ノードに並列入力を
受けてそれぞれ増幅するためのM個の増幅器;
前記増幅器から出力される各信号をAD変換するM個のAD変換器;および
10 前記AD変換器の出力を保存して順次出力するメモリーバッファー;を含み
前記増幅器は、前記画素部のN個の前記ラインセンサーのうち最後のライン
センサーから電荷が移動して蓄積された電荷保存ノードの電位によりターンオ
ンされて電圧値を出力するソースフォロワ増幅器であり、
コラム別に、前記M個のCCDに蓄積された電荷が、前記電荷保存ノードに
15 蓄積され、その蓄積された電荷は前記各ソースフォロワ増幅器を通じて増幅さ
れた後、前記各AD変換器を通じてAD変換されて出力され、前記コラム別に
設けられたリセットゲートを通じて、前記コラム別に設けられたリセットドレ
インに連結された電圧に前記電荷保存ノードをリセットさせ、
前記電荷保存ノードが1つのラインセンサーの電荷の入力を受けることと、
20 前記電荷保存ノードをリセットさせることと、が交互に行われることを特徴と
する、TDIラインイメージセンサ。
(2) 本件決定が分説した請求項1は、以下のとおりである。
(A)M個のCCDが一列配列されたラインセンサーと、スキャン方向に並列
にN個の前記ラインセンサーが配列されて、前記ラインセンサーのコラム別
25 に蓄積された電荷を並行方向に移動させて蓄積する画素部;および
(B)前記画素部に蓄積された前記電荷をコラム別に並列入力を受けてAD変
換して保存した後順次出力する出力部を含み、
前記出力部は、
(C)前記画素部に蓄積された前記電荷をコラム別に電荷保存ノードに並列入
力を受けてそれぞれ増幅するためのM個の増幅器;
5 (D)前記増幅器から出力される各信号をAD変換するM個のAD変換器;
および
(E)前記AD変換器の出力を保存して順次出力するメモリーバッファー;
を含み、
(F)前記増幅器は、前記画素部のN個の前記ラインセンサーのうち最後のラ
10 インセンサーから電荷が移動して蓄積された電荷保存ノードの電位によりタ
ーンオンされて電圧値を出力するソースフォロワ増幅器であり、
(G)コラム別に、前記M個のCCDに蓄積された電荷が、前記電荷保存ノー
ドに蓄積され、その蓄積された電荷は前記各ソースフォロワ増幅器を通じて
増幅された後、前記各AD変換器を通じてAD変換されて出力され、前記コ
15 ラム別に設けられたリセットゲートを通じて、前記コラム別に設けられたリ
セットドレインに連結された電圧に前記電荷保存ノードをリセットさせ、
(H)前記電荷保存ノードが1つのラインセンサーの電荷の入力を受けること
と、前記電荷保存ノードをリセットさせることと、が交互に行われる
(I)ことを特徴とする、TDIラインイメージセンサ。
20 3 本件決定の要旨
(1) 本件決定が認定した本件優先日前に頒布された刊行物である米国特許第
7796174号明細書(甲2。以下「甲2文献」という。)に記載された発
明(以下「甲2発明」という。 、
) 本件発明と甲2発明の一致点及び相違点は、
以下のとおりである。
25 ア 甲2発明
(2a)CCDイメージングセンサアレイ124は、複数のサブアレイ12
04に属するピクセル604を含み、
(2b)ピクセルの各列は、センスノード804に接続し、センスノード8
04はフローティングディフュージョンへのコンタクトを有し、
(2c)各センスノード804には、増幅器1208が接続され、増幅器は
5 ソースフォロアで構成され、
(2d)各センスノード804には、当該センスノード804をリセットす
るためのリセットトランジスタが接続され、当該リセットトランジスタは、
ゲートと、Vresetに接続されたダイオードドレインを有し、
(2e)ピクセルからの信号は、アナログデジタル変換器1220により処
10 理され、シリアライザ1224により処理される
(2f)TDIイメージャ。
イ 一致点及び相違点
(一致点)
(A)M個のCCDが一列配列されたラインセンサーと、スキャン方向に並
15 列にN個の前記ラインセンサーが配列されて、前記ラインセンサーのコラ
ム別に蓄積された電荷を並行方向に移動させて蓄積する画素部;および
(B)前記画素部に蓄積された前記電荷をコラム別に並列入力を受けてAD
変換して保存した後順次出力する出力部を含み、
前記出力部は、
20 (C)前記画素部に蓄積された前記電荷をコラム別に電荷保存ノードに並列
入力を受けてそれぞれ増幅するためのM個の増幅器;
(D)前記増幅器から出力される各信号をAD変換するM個のAD変換器;
および
(E’)前記AD変換器の出力を保存して順次出力する手段;を含み、
25 (F)前記増幅器は、前記画素部のN個の前記ラインセンサーのうち最後の
ラインセンサーから電荷が移動して蓄積された電荷保存ノードの電位に
よりターンオンされて電圧値を出力するソースフォロワ増幅器であり、
(G)コラム別に、前記M個のCCDに蓄積された電荷が、前記電荷保存ノ
ードに蓄積され、その蓄積された電荷は前記各ソースフォロワ増幅器を通
じて増幅された後、前記各AD変換器を通じてAD変換されて出力され、
5 前記コラム別に設けられたリセットゲートを通じて、前記コラム別に設け
られたリセットドレインに連結された電圧に前記電荷保存ノードをリセ
ットさせ、
(H)前記電荷保存ノードが1つのラインセンサーの電荷の入力を受けるこ
とと、前記電荷保存ノードをリセットさせることと、が交互に行われる
10 (I)ことを特徴とする、TDIラインイメージセンサ。
(相違点)
「前記AD変換器の出力を保存して順次出力する手段」が、本件発明にお
いては「メモリーバッファー」であるのに対し、甲2発明においては「シ
リアライザ」である点。
15 (2) 相違点に関する本件決定の判断は以下のとおりである。
甲2発明における「シリアライザ」は、
「前記AD変換器の出力を保存して
順次出力する」ものであり、この動作を「メモリー」を用いて行うことがで
きることは明らかである。
また、「メモリー」は、「メモリーバッファー」ともいえるから、相違点に
20 係る構成は当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、本件発明は、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明できた
ものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができな
いものであり、本件特許の請求項1に係る特許は取り消されるべきものであ
る。
25 第3 当事者の主張
1 原告の主張
(1) 甲2発明の認定の誤り
本件発明は、
「TDIラインイメージセンサ」であり、本件明細書の記載を
参酌すると、「TDIラインイメージセンサ」とは、「TDIラインスキャン
方式のイメージセンサ」であり(【0010】 、
) 「ラインスキャン方式」とは
5 「一度に一ラインずつ任意の速度で露出および転送する方式」 【0007】
( )
とされていることから、本件発明は、一度に一ラインずつ電荷の転送を行う
ラインスキャン方式のTDIラインイメージセンサである。そして、本件発
明は、一度に一ラインずつ電荷の転送を行うために、
「前記電荷保存ノードが
1つのラインセンサーの電荷の入力を受けることと、前記電荷保存ノードを
10 リセットさせることと、が交互に行われ」るとの発明特定事項(構成要件H)
を有しており、「電荷保存ノードが1つのラインセンサーの電荷の入力を受
けること」と、
「電荷保存ノードをリセットさせること」との関係として、こ
れらが交互に行われることが特定されているから、本件発明と対比する甲2
発明の認定においては、
「ラインセンサーの電荷の入力を受けること」 「電
と、
15 荷保存ノードをリセットさせること」との関係を認定すべきである。そうす
ると、甲2 の第8 欄 58~60 行には、 After being sensed(possibly

multiple times),the signal charge packets can be removed through a
diode drain」
(訳:検知された後(おそらく複数回)、信号電荷パケットはダ
イオードドレインを介して除去することができる。)との記載があり、また、
20 本件決定は、上記の「After being sensed(possibly multiple times)」につ
いて、「possibly」が確信度が低い副詞であることを勘案すると、「検知され
た後(複数回の場合もある) という意味に理解するのが適切であると判断し

ているのであるから、甲2発明は、以下のとおり認定されるべきである(下
線部が本件決定と異なる点である。 。

25 (2a) CCDイメージングセンサアレイ124は、複数のサブアレイ
1204に属するピクセルを含み、
(2b) ピクセルの各列は、センスノード804に接続し、センスノー
ド804はフローティングディフュージョンへのコンタクトを有し、
(2c) 各センスノード804には、増幅器1208が接続され、増幅
器はソースフォロアで構成され、
5 (2d) 各センスノード804には、当該センスノード804をリセッ
トするためのリセットトランジスタが接続され、当該リセットトランジス
タは、ゲートと、Vresetに接続されたダイオードトレインを有し、
(2d’ 各センスノード804に蓄積された電荷が複数回検知された後

に、各センスノード804の信号電荷パケットが除去される場合もあり、
10 (2e) ピクセルからの信号は、アナログデジタル変換器1220によ
り処理され、シリアライザ1224により処理される
(2f) TDIイメージャ。
(2) 取消事由1(相違点2又は2’の看過)
ア 相違点2
15 (ア) 甲2発明の「センスノード」は本件発明の「電荷保存ノード」に相
当し、甲2発明において「センスノード」に「電荷」が「蓄積され」て
「検知され」ることは、本件発明において「電荷保存ノード」が「1つ
のラインセンサーの電荷の入力を受ける」ことに相当する。そして、甲
2発明において「センスノード804の信号電荷パケットが除去される」
20 ことは、本件発明において「電荷保存ノードをリセットさせること」に
相当するから、本件発明と甲2発明の相違点としては、本件決定が認定
した相違点に加えて、以下の相違点2も認定されるべきである。
[相違点2]
本件発明では、電荷保存ノードが1つのラインセンサーの電荷の入力
25 を受けることと、電荷保存ノードをリセットさせることと、が交互に行
われる、一度に一ラインずつ電荷の転送を行うラインスキャン方式のT
DIラインイメージセンサであるのに対し、甲2発明では、電荷保存ノ
ードが1つのラインセンサーの電荷の入力を複数回受けた後に、電荷保
存ノードをリセットさせる場合があり、一度に一ラインずつ電荷の転送
を行うラインスキャン方式であるか否かが不明である点。
5 (イ) 「複数回受けた後に」という構成を有する甲2発明を「交互に」行
うと変更する動機付けはなく、また、甲2発明におけるラインセンサー
からの電荷入力を複数回受けた後にリセットを行うという動作は、複数
ラインからの電荷信号を積算することを意味しており、ライン方向の解
像度を犠牲にするかわりに感度を向上させるという技術思想に基づくも
10 のである。これに対して、本件発明は、電荷入力とリセットとを交互に
行って一度に一ラインずつ電荷の転送を行うことで感度を犠牲にしつつ
解像度を向上させるという技術思想であり(本件明細書の【0015】 、

相違点2は、本件発明の容易想到性の判断の結論に影響するものである。
イ 相違点2’
15 仮に、本件決定がした甲2発明の認定に誤りがないとしても、甲2発明
は、「電荷保存ノードが1つのラインセンサーの電荷の入力を受けること」
と、
「電荷保存ノードをリセットさせること」との関係が不明であるから、
以下のとおりの相違点2’が認定されるべきであり、この相違点2’は、
本件発明の容易想到性の判断の結論に影響するものである。
20 [相違点2’]
本件発明では、電荷保存ノードが1つのラインセンサーの電荷の入力を
受けることと、電荷保存ノードをリセットさせることと、が交互に行われ
るのに対し、甲2発明ではそのようになっているのか不明である点。
ウ 被告の主張について
25 (ア) 被告は、後記2(1)のとおり、文献(乙2,3,5ないし7)を挙げ
て、「電荷保存ノード」に相当する「センスノード」が電荷を受け入れ、
センスノードに接続されたリセットトランジスタによるリセットが交互
に行われることは技術常識(以下「本件技術常識」という。 であるから、

相違点2は存しない旨主張する。
しかし、①甲2発明は、フローティングゲートアンプ(FGA Floating

5 Gate Amplifier。以下「FGA」と略する。)タイプであり、センスノー
ド804に浮遊ゲート(FG)904が含まれ、②甲2発明における「セ
ンスノードをリセットさせる」とは、浮遊ゲート(FG)904を一定
の電圧にすること(浮遊ゲート904のリセット)を含む、といった特
徴を有するところ、特開2002-158346号公報(乙2。公開日
10 平成14年5月31日。以下「乙2文献」という。)及び特開昭60-1
65760号公報(乙3。公開日昭和60年8月28日。以下「乙3文
献」という。)に記載された発明は、フローティングディフュージョンア
ンプ(FDA:Floating Diffusion Amplifier。以下「FDA」と略す
る。 タイプであり、
) 出力部の構成が甲2に記載された発明とは異なる(上
15 記①の特徴を有しない。 。

次に、特開平7-161969号公報(乙6。公開日平成7年6月2
3日。以下「乙6文献」という。)には、甲2発明における「浮遊ゲート
904のリセット」に対応する事項の開示はなく、また、その【図5】
及び【図6】において、FG30には、甲2発明のリセットトランジス
20 タに相当するものは接続されておらず、FG30を一定の電圧にするこ
との示唆はないから、乙6文献に記載された発明は、上記②の特徴を有
しない。
ま た 、 F G A タ イ プ は 、 出 力 部 の 浮 遊 拡 散 領 域 ( F D :Floating
Diffusion)の上に絶縁膜を介して設けた検出電極(FG)の電位を検出
25 するものであるところ、特開2008-60097号公報(乙7。公開
日平成20年3月13日。以下「乙7文献」という。)に記載された発明
は、コントロールゲート35の電位を検出するものではなく、チャネル
領域21に生じた電位変化を駆動トランジスタ31を介して信号出力を
するものである(【0018】)から、FGAタイプにおけるFGに該当
しないため、FGAタイプではなく、上記①の特徴を有しない。仮に、
5 乙7文献に記載された発明がFGAタイプであるとしても、甲2発明に
おける「浮遊ゲート904のリセット」に対応する事項の開示はないし、
コントロールゲート35には、甲2発明のリセットトランジスタに相当
するものは接続されておらず(乙7の図1参照) コントロールゲート3

5を一定の電圧にすることの示唆すらないから、上記②の特徴を有しな
10 い。
このように、乙2文献及び乙3文献に記載された発明はFDAタイプ
であり、乙7文献に記載された発明もFGAタイプであるとはいえない
から、これらは甲2発明に採用されている技術常識を認定する根拠にな
り得ず、仮にFGAタイプであるとしても、甲2発明における「浮遊ゲ
15 ート904のリセット」に対応する事項の開示はなく、また、乙6文献
には、甲2発明における浮遊ゲート904のリセットの開示がないから、
甲2発明に採用されている技術常識を認定する根拠となり得ない。
(イ) また、仮に、本件技術常識が存在していたとしても、上記(1)のとお
り、甲2文献の第8欄58ないし60行には、
「検知された後(おそらく
20 複数回) 信号電荷パケットはダイオードドレインを介して除去すること

ができる。 という本件技術常識とは矛盾する記載があるのみならず、
」 甲
2発明は、ノイズが多いという課題に対して合算ウェルを設け、かつ、
入力インピーダンスが高い(無限大である)電圧モード増幅器を用いる
という手段によって、電荷の検出を複数回実行可能とし、それによって
25 ノイズを低減したものであって、複数の画素の電荷を合算することによ
ってノイズ性能を向上させることはピクセルビニングと呼ばれる周知技
術を採用しており、この周知技術は本件技術常識と相反するものである
ことからすると、甲2発明は、本件技術常識を採用することなく、
「電荷
を複数回検出した後に、信号電荷パケットを除去する(リセットする)」
という構成を採用している。
5 したがって、本件技術常識があるとしても、甲2発明は本件技術常識
を採用していないから、本件発明と甲2発明には相違点2が存在する。
(3) 取消事由2(相違点3の看過)
ア 相違点3
(ア) 本件発明に係るTDIラインイメージセンサは、M個のCCDが一
10 列配列されたラインセンサーと(構成要件A)、M個の増幅器(構成要件
C)と、M個のAD変換器(構成要件D)とを含むものであり、M個の
増幅器のそれぞれは、ラインセンサーに配列されたM個のCCDのそれ
ぞれに蓄積された電荷の並列入力を受け(構成要件C)、また、M個の変
換器のそれぞれは、M個の増幅器から出力される各信号をAD変換する
15 (構成要件D)。
このように、本件発明のラインセンサーは、M個のCCDを一列配置
したものであり、かつ、M個の増幅器及びM個のAD変換器が設けられ
ている。そして、M個のCCDのそれぞれに蓄積された電荷をM個の増
幅器によって並列入力を受けて増幅し、M個の増幅器から出力される各
20 信号をM個のAD変換器によってAD変換する構成となっている。
(イ) これに対し、甲2文献の図12をみると、ピクセルの各列に増幅器
1208が設けられている(構成2b、2c)が、本件発明のAD変換
器に相当し得る「アナログデジタル変換器1220」は、1つのユニッ
トとして図示されており、詳細な内部構成は不明である。
25 そうすると、甲2発明における増幅器1208及びアナログデジタル
変換器1220が本件発明における増幅器及びAD変換器にそれぞれ
対応するものであるとしても、本件発明と甲2発明を対比すると、本件
決定が認定した相違点に加え、以下の相違点3も認定されるべきである。
[相違点3]
本件発明のラインセンサーはM個のCCDが一列配置したものであり、
5 かつ、M個の増幅器及びM個のAD変換器が設けられており、M個のC
CDのそれぞれに蓄積された電荷をM個の増幅器によって並列入力を受
けて増幅し、M個の増幅器から出力される各信号をM個のAD変換器に
よってAD変換するのに対し、
甲2発明のラインセンサーはM個のCCDを一列配置したものであり、
10 かつ、M個の増幅器が設けられているが、アナログデジタル変換器は1
つのユニットであり、M個のCCDのそれぞれに蓄積された電荷をM個
の増幅器によって並列入力を受けて増幅するものの、M個の増幅器から
出力される各信号を各AD変換器によってAD変換するのか不明である
点。
15 (ウ) 本件発明は、出力部における信号処理速度が高くないという従来の
TDIイメージセンサの問題(【0011】ないし【0014】)に対し
て、M個のカラム別にそれぞれ蓄積された電荷をM個のカラム別に並列
に増幅してAD変換するという相違点3の構成によって信号処理速度を
高速化したものであり、設計的事項といえるものではなく、相違点3は
20 容易想到性の判断の結論に影響するものである。
イ 被告の主張について
被告は、後記2(3)ウのとおり、各「増幅器1208」により出力された
信号は、同時に「アナログデジタル変換器1220」に入力されるから、
仮に、増幅器の個数と異なる個数のアナログデジタル変換器が複数の増幅
25 器からの信号を同時に処理することにすると、各画素からの信号を混合し
て処理することになってしまう旨主張する。
しかし、アナログデジタル変換器の数を減らすべく、センサ(画素)か
らの読み出しを行うに際して、1つの増幅器につき1つのアナログデジタ
ル変換器を設けるのではなく、複数の増幅器につき1つのアナログデジタ
ル変換器を設けて(被告が主張する「増幅器の個数と異なる個数のアナロ
5 グデジタル変換器を設けること」 、時分割でAD変換を行うことは、本件

優先日当時において広く知られている手法である(甲24ないし27)。
そうすると、増幅器とアナログデジタル変換器の数が異なる技術事項も
従来から広く知られていたから、甲2発明において、1つのユニットであ
るアナログデジタル変換器1220に複数のAD変換器があるとしても、
10 その数は不明であるというべきであって、相違点3は認定されるべきであ
る。
(4) 小括
以上によれば、本件決定には相違点の看過の誤りがあり、こうした相違点
の看過は本件発明の容易想到性の判断の結論に影響するものであるから、本
15 件決定は取り消されるべきである。
2 被告の主張
(1) 甲2発明の認定の誤りの主張に対し
ア 一般に、引用発明の認定に当たっては、本件発明の発明特定事項に相当
する事項を過不足のない限度で認定すれば足り、特段の事情がない限り、
20 本件発明の発明特定事項との対応関係を離れて、引用発明を必要以上に限
定して認定する必要はない。本件決定で認定した甲2発明は、TDIイメ
ージャとして本件発明の発明特定事項に相当する事項を過不足なく認定
している。
原告が言及する「電荷保存ノードが1つのラインセンサーの電荷の入力
25 を受けること」及び「電荷保存ノードをリセットさせること」に関連する
事項は、本件発明では構成要件Hに「前記電荷保存ノードが1つのライン
センサーの電荷の入力を受けることと、前記電荷保存ノードをリセットさ
せることと、が交互に行われる」と特定されており、それのみである。
そして、甲2発明の「ピクセルの各列は、センスノードに接続」されて
おり、
「センスノード」は、本件発明の構成要件Fの「前記画素部のN個の
5 前記ラインセンサーのうち最後のラインセンサーから電荷が移動して蓄
積された電荷保存ノード」ということができるから、甲2発明において、
電荷が「ピクセルの各列」から「センスノード」まで移動し、
「センスノー
ド」が電荷を受け入れ、後段の増幅器へその値を出力できるようになった
状態が本件発明の構成要件Hの「電荷保存ノードが1つのラインセンサー
10 の電荷の入力を受けること」に相当する。また、甲2発明がTDIイメー
ジャとして機能するためには、次の電荷の受入れに際して、先に受け入れ
た電荷をセンスノードからリセットすることは、後記イのとおり技術常識
(本件技術常識)であり、これは、本件発明の構成要件Hの「電荷保存ノ
ードをリセットさせることが、交互に行われる」ことに相当するものであ
15 る。
したがって、本件決定は、甲2発明について、本件発明の構成要件Hに
相当する事項を過不足なく認定しており、甲2発明の認定に誤りはない。
イ なお、ラインセンサー等のCCD型固定撮像装置の技術分野において、
電荷保存ノードに対して電荷を検出した後に電荷やノイズを完全に除去
20 するためのリセットを行い、その後に次の電荷の入力を受け付けるという
一連の動作を繰り返すことは、信号電荷を検出する方式としてFGA又は
FDAであるか否かにかかわらず、本件優先日当時における技術常識(本
件技術常識)である(乙2、3、5ないし7)。
(2) 取消事由1(相違点2の看過)について
25 ア 上記(1)のとおり、本件発明と甲2発明とは、「電荷保存ノードが1つの
ラインセンサーの電荷の入力を受けることと、電荷保存ノードをリセット
させることと、が交互に行われる」点で一致するものであり、原告が主張
する相違点2又は相違点2’はいずれも存しない。
原告は、相違点2に関し、
「甲2発明では、電荷保存ノードが1つのライ
ンセンサーの電荷の入力を複数回受けた後に、電荷保存ノードをリセット
5 させる場合が有り」と認定しているが、上記(1)のとおり、甲2発明は、電
荷保存ノードが1つのラインセンサーの電荷の入力を受けることと、電荷
保存ノードをリセットさせることが交互に行われるものであって、電荷保
存ノードをリセットする前に、電荷保存ノードが1つのラインセンサーの
電荷の入力を複数回受けるものではない。
10 イ 原告は、前記1(2)ウ(イ)のとおり、仮に本件技術常識があるとしても、
①甲2文献の「検知された後(複数回)、信号電荷パケットは、ダイオード
ドレイン(図9には示されていない)を介して除去され得る」という記載
や、②ノイズを低減させるために「合算ウェル」を用いるという記載は、
本件技術常識と矛盾するので、甲2発明は本件技術常識を採用するもので
15 はない旨主張する。
しかし、甲2文献には、「検知された後(おそらく複数回)、信号パケッ
トは、…除去され得る」との記載はあるものの、当該記載の「検知」は、
「センスノード」が電荷を受け入れた後であって、リセットされる前(電
荷の受け入れとリセットの間)に行われるもの、すなわち、①「センスノ
20 ード」が電荷を受け入れ、②検知された後(おそらく複数回)、③「センス
ノード」から信号電荷パケットが除去されるという一連の構成が記載され
ており、本件技術常識は①と③に係るものであり、②の記載は本件技術常
識と矛盾するものではない。
また、甲2文献の第6欄61行~7欄16行には、
「他の実施形態では、
25 合算ウェル608を採用しなくてもよい。
(中略)したがって、積分期間の
後、収集された電荷は、1つの画素604から直列に次の画素に転送され、
最後に、合算ウェルが採用されていない実施形態では、最後のウェル61
4に転送されてもよい。
(中略)ここでも、ノイズ性能を向上させるために、
センスノード804の直前に合算ウェル608を使用してもよい。」との
記載があり、甲2発明において「合算ウェル」を採用することは必須でな
5 いことがわかる。本件決定は、甲2発明の認定において、
「合算ウェル」を
採用していない態様を基に認定したものであり、
「合算ウェル」が本件技術
常識と矛盾する構成であっても、甲2発明はそもそも「合算ウェル」を備
えるものではないから、本件技術常識を踏まえて甲2発明を認定すること
に何らの誤りはない。
10 (3) 取消事由2(相違点3の看過)について
ア 甲2文献の第9欄33~36行には、「For purposes of clarify of
illustration, not every column(row)of pixels is shown with
associated sense node 804 or amplifiers 1208,or other components
subsequently described in connection with the figure.」(訳:図面を
15 明確にするために、画素のすべての列(行)が、関連付けられたセンスノ
ード804又は増幅器1208、又は図に関連して説明される他のコンポ
ーネントと一緒に示されているわけではない。 という記載があり、
) また、
図12には、「増幅器1216」と上下方向に並んで、3つの「・・・」とい
う記号の記載があり、
「アナログデジタル変換器1220」と「シリアライ
20 ザ1224」とが接続する箇所においては、2つの増幅器1216からの
出力線に対応する位置に接続線の記載がある。ここで、増幅器1216は
それぞれの画素からの出力に対応して設けられているものであるから、
「・・・」という記号は、当業者であれば、本来は多数の増幅器1216が存
在するものが図面上省略されていることを意味するものと理解できる。
25 そして、技術的にみると、甲2発明のTDIイメージャにおいては、読
み出し(検出)は列ごとに行われるから、各列の「センスノード804」
が受け入れた電荷の値は、各列に対応した「増幅器1208」が増幅し、
それに1対1に対応する「増幅器1216」を経由して、同時に「アナロ
グデジタル変換器1220」に入力され処理されるものと理解できる。
そうすると、甲2発明において、M個の増幅器1208から出力される
5 それぞれの信号をM個のアナログデジタル変換器によってアナログデジ
タル変換することは、当業者にとって明らかであって、原告が主張する相
違点3は存しない。
イ 仮に、本件発明と甲2発明の対比において、甲2発明のAD変換器の数
は不明であるという相違点3が存在するとしても、増幅器とAD変換器と
10 は1:1で設けることが一般的である(甲24の【0076】 甲26の
、 【0
308】、甲27の【0188】)から、相違点3は、実質的な相違点では
ないか、甲2発明において増幅器とアナログデジタル変換器の数を同じく
することは、当業者にとって容易に想到し得たものである。
ウ 原告は、前記1(3)イのとおり、アナログデジタル変換器(ADC)の数
15 を減らすべく、センサ(画素)からの読み出しを行うに際して、複数の増
幅器につき1つのADCを設けて時分割でAD変換を行うことは広く知
られている手法であり、増幅器とアナログデジタル変換器の数が異なる技
術事項も従来から知られていたから、甲2発明において1つのユニットで
あるアナログデジタル変換器1220内に複数のAD変換器があるとし
20 ても、その数は不明であり、相違点3が認定されるべきである旨主張する。
しかし、各「増幅器1208」により出力された信号は、同時に「アナ
ログデジタル変換器1220」に入力されるから、仮に、増幅器の個数と
異なる個数のアナログデジタル変換器が複数の増幅器からの信号を同時
に処理することにすると、各画素からの信号を混合して処理することにな
25 ってしまうが、甲2発明にはそのようなことを可能にする構成が記載され
てはいない。
甲2発明は、
「アナログデジタル変換器1220」の出力がパラレル信号
として「シリアライザ1224」に入力され、
「シリアライザ1224」に
よりシリアル信号に変換される構成であるから、仮に、複数の増幅器の出
力に対して時分割でAD変換を行うという構成を採用する場合には、増幅
5 器とアナログデジタル変換器1220との間に時分割処理をするための
構成が必要となるが、甲2文献の図12には、
「アナログデジタル変換器1
220」と「シリアライザ1224」とが接し、2本の接続線を含む構成
が記載されるのみで、時分割でAD分割変換処理された信号をシリアライ
ザに入力するための構成の存在を認めることができない。また、甲2発明
10 において時分割で変換を行う構成を備えるということは、パラレル信号を
シリアル信号に変換してAD変換を行い、その後にシリアル信号をパラレ
ル信号に変換した後に「シリアライザ1224」により再びパラレル信号
をシリアル信号に変換するといった2段階のシリアル化を行う構成を意
味するが、甲2発明がそのような複雑な構成を採用する意味を見いだせな
15 い。
(4) 小括
以上によれば、原告が主張する取消事由はいずれも理由がない。
第4 当裁判所の判断
1 本件明細書の記載事項
20 本件明細書(ただし、本件訂正後のもの。 には別紙1のとおりの記載があり、

別紙1の記載を総合すれば、本件明細書には以下のとおりの開示があることが
認められる。
(1) TDIラインイメージセンサーは、ラインセンサーがスキャン方向に複
数段配列されたものであり、各ラインのCCDで蓄積された電荷を隣接した
25 次のラインのCCDに並行移動により最後のラインまで移動させて蓄積した
後、最後のラインに蓄積された電荷を垂直移動させて信号処理部に出力する
ことによって、ライン単位で各セルに対して順次データを処理することがで
きるようにするものであるが、CCDに蓄積された電荷を信号処理部に出力
するために垂直移動する時は停止した状態で一つずつ直列移動させて転送す
るため、垂直移動時に多くの時間を要するという問題があり、特に、TDI
5 ラインイメージセンサーは、各ラインに沿って一列配列されたCCDの数が
相対的に多いため、TDIラインイメージセンサーを通じてイメージをスキ
ャンするために要する多くの時間が、蓄積された電荷を垂直移動させて出力
することに起因するという問題点があった(【0010】【0012】ないし

【0014】 。

10 「本発明」の目的は、こうした問題点を解決するために、CCD素子を通
じてTDI(Time Delay Integration)方式で電荷を蓄積するように画素部
を構成し、出力部はCCDで蓄積された各コラムの電荷をAD変換してメモ
リーバッファーに保存した後順次出力するように構成することによって、C
CD素子としてCMOS素子の特性による解像度と転送速度を向上させるだ
15 けでなく、消費電力とノイズを低減させることができるようにしたTDIラ
インイメージセンサーを提供することにある(【0015】 。

(2) 「本発明」のTDIイメージラインセンサーは、M個のCCDが一列配列
されたラインセンサーと、スキャン方向に並列にN個のラインセンサーが配
列されてラインセンサーのコラム別に蓄積された電荷を並列方向に移動させ
20 て蓄積する画素部と、画素部に蓄積された電荷をコラム別に並列入力を受け
てAD変換して保存した後順次出力する出力部を含むことを特徴とし、「本
発明」における出力部は、画素部に蓄積された電荷をコラム別に電荷保存ノ
ードに並列入力を受けてそれぞれ増幅するためのM個の増幅器と、増幅器か
ら出力される各信号をAD変換するM個のAD変換器と、AD変換器の出力
25 を保存して順次出力するメモリーバッファーを含むことを特徴とし、「本発
明」における増幅器は、ソースフォロワ増幅器であることを特徴とする(【0
016】ないし【0018】 。

2 引用文献(甲2文献)の記載事項
本件優先日前に頒布された刊行物である甲2文献には、別紙2のとおりの記
載(ただし、訳文)があり、この記載によれば、次のような開示があるものと
5 認められる。
(1)ア 電荷結合素子(CCD)は、優れた光学性能を持つことが証明されてい
るため、高性能な光子検出器にはCCDセンサがよく取り上げられ、また、
航空宇宙センサの分野では、TDI CCDが軌道上での観測に非常に適
しているとされているが、CCDは比較的消費電力が大きく、消費電力が
10 気になる機器ではCMOSデバイスが好ましいが、CMOS光子センサは
CCDに比べてノイズが多く光学性能が劣り、また、COMS光子センサ
のみではTDI機能を実現することが難しい(第1欄19行~47行)。
このため、CCD光子検出器の優れた光学性能とCMOSプロセスによ
り可能となる低消費電力及び高密度実装を組み合わせた光子センサの作
15 成が望まれるが、1枚の基板上でCCD及びCOMSプロセスを組み合わ
せることは困難であり、また、CCD及びCMOSの両方の技術を用いて
単一の基板上に製造されたデバイスは、電荷移動効率の悪さ及びプロセス
が最適化されていないことによるノイズの多さのため不十分な画像品質
が問題となり、こうした両立しがたい製造プロセス技術を統合することを
20 避けるため、第2のプロセスを用いた第2の基板(CMOS読み出し等)
を相互接続した第1のプロセスを用いた第1の基板(CCD光子検出器等)
に形成された構造を利用するデバイスが開発されてきているが、電荷の検
出は一般的に特定の電荷の収集に対して1回だけ実行できることに留意
すべきであり、また、CCDから増幅されていない信号やバッファされて
25 いない信号を供給すると、多くの場合、劣化した信号をもらすことになる
(第1欄48行~第2欄7行)。
イ 本発明は、これらの問題及び先行技術の欠点等を解決することにあり、
本発明の1つの実施形態は、列(パラレル)出力において、又は近くで、
CCDからデータを抽出し、その結果、電力を大量に消費するシリアルシ
フトレジスタを取り除くことにより、CCDの電力損失を劇的に削減する
5 ことができるという事実に基づくものであり、本発明は、CCD光子検出
器とCMOS回路読み出し回路を組み合わせることで、現状の技術に比べ
て大きな利点が得られる(第2欄13行~24行)。
(2) そして、甲2文献には、①「CCDイメージセンサアレイ124は、複数
のサブアレイ1204にまとめられた複数のピクセル604を含む。ピクセ
10 ル604の各列(行)は、センスノード804aと関連していてもよい。」
(9
欄24~27行、図12)、②「センスノード804は、典型的には、フロー
ティングディフュージョンへのコンタクトを有する。 (第6欄60行から6

1行)、③「図示されているように、第1の半導体基盤126上に形成される
増幅器1208は、各センスノード804に関連していてもよい。 (第9欄

15 30~33行、図12) 「電圧バッファされた出力を提供するために、増幅

器1208は、ソースフォロア…を構成してもよい。 (第9欄39行~41

行)との記載があり、これらの記載によれば、
「CCDイメージセンサアレイ
124は、複数のサブアレイ1204に属するピクセルを含み」
(2a)「ピ

クセルの各列は、センスノード804に接続し、センスノード804は、フ
20 ローティングディフュージョンへのコンタクトを有し、 (2b) 「各センス
」 、
ノードは、増幅器1208が接続され、増幅器は、ソースフォロアで構成さ
れ、 (2c)との発明特定事項を含む発明が記載されているといえる。

また、「…センスノード804から電圧モード増幅器820への電圧信号
を運ぶための信号ライン906は、リセットスイッチ又はトランジスタ90
25 8に接続される。…検知された後(おそらく複数回)信号電荷パケットはダ
イオードトレイン(図9には示されていない)を介して除去され得る。 (第

8欄46行~60行) 「図12に示すように…リセットスイッチ908は、

接続されたセンスノード804をリセットするために、第1の半導体基板に
形成することができる。 (10欄13行~20行)との各記載並びに図9及

び図12からすると、甲2文献には、
「各センスノード804には、当該セン
5 スノード804をリセットするためのリセットトランジスタが接続され、当
該リセットトランジスタは、ゲートとVresetに接続されたダイオード
ドレインを有し、 (2d) 「各センスノード804に蓄積された電荷が複数
」 、
回検知された後、各センスノード804の信号電荷パケットが除去される場
合があり、」
(2d’ との発明特定事項を含む発明の記載があることが認めら

10 れる。
次いで、甲2文献には、
「一つのピクセルからの信号又はTDI配置の多数
のピクセルから統合された信号は、アナログデジタル変換器(ADC)12
20により処理される。…ADCによりデータがデジタル化された後、第2
の半導体基板130上に形成されたシリアライザ1224によってデジタル
15 処理される。(第10欄30行~39行)との記載があるから、
」 「ピクセル信
号は、アナログデジタル変換器1220により処理され、シリアライザ12
24に処理される」
(2e)との発明特定事項を有する発明の記載があり、ま
た、
「他の実施形態では、電荷は、連続する積分期間中に連続する画素604
に蓄積されてもよい。この蓄積された電荷の実質的にすべてが、その後、最
20 後のウェル614に転送される。このプロセスは、当業者にはTDI(時間
遅延積分)としても知られている。 (第7欄10行~15行)との記載があ

るから、甲2文献には「TDIイメージャ」に関する発明の記載もあること
が認められる。
(3) 以上によれば、甲2文献には、「CCDイメージセンサアレイ124は、
25 複数のサブアレイ1204に属するピクセルを含み、ピクセルの各列は、セ
ンスノード804に接続し、センスノード804は、フローティングディフ
ュージョンへのコンタクトを有し、各センスノードは、増幅器1208が接
続され、増幅器は、ソースフォロアで構成され、各センスノード804には、
当該センスノード804をリセットするためのリセットトランジスタが接続
され、当該リセットトランジスタは、ゲートとVresetに接続されたダ
5 イオードドレインを有し、各センスノード804に蓄積された電荷が複数回
検知された後、各センスノード804の信号電荷パケットが除去される場合
があり(下線部は当審で引いたもの。以下、この下線部を「2d’の構成」
という。 、ピクセル信号からの信号は、アナログデジタル変換器により処理

され、シリアライザ1224に処理されるTDIイメージャ」の発明が記載
10 されているものと認められる。
3 技術常識について
(1)ア(ア) 本件優先日前に頒布された刊行物である乙5文献には、別紙3の
1のとおりの記載があり、同記載を総合すると、同文献には、FGAタ
イプを採用した、固体撮像装置に用いられる電荷転送デバイスより成る
15 埋込チャンネルCCD(BCCD)のCCD遅延線において、時点t1
~t4までの間に1回、信号電荷q1を読み取り処理し、t5で信号電
荷を廃棄し、t6で新たな信号電荷q2を転送し、信号電荷q2もq1
と同様の処理が繰り返されることが開示されている。
(イ) 本件優先日前に頒布された刊行物である乙6文献には、別紙3の2
20 のとおりの記載があり、同記載を総合すると、同文献には、CCDの電
荷検出装置等に関するものにおいて、フローティングゲートに転送され
てきた信号電荷Qは、次の信号電荷が転送される前にRD99に吸収さ
れ、前の信号電荷がリセットされた後に次の信号電荷の入力が受け付け
られることが開示されているものと認められる。
25 (ウ) 本件優先日前に頒布された刊行物である乙7文献には、別紙3-3
のとおりの記載があり、同記載を総合すると、同文献には、電荷検出方
式としてFGAタイプを採用した固体撮像装置において、信号電荷を読
み出した後に、リセットゲート26をHighにして、チャネル領域2
1からリセットドレイン27に電荷の吐き出しを行うことが開示されて
いるものと認められる。
5 イ 前記ア(ア)ないし(ウ)の各文献の記載を総合すると、撮像素子としてC
CDを用いた固体撮像装置において、信号電荷の検出方式としてFGAタ
イプを採用したとき、信号電荷の入力を受けた後、次の信号電荷が転送さ
れる前に信号電荷がリセットされることは、本件優先日当時における技術
常識であったと認められる。
10 ウ これに対し、原告は、前記第3の1(2)ウ(ア)のとおり、甲2発明は、F
GAタイプであるのに対し、乙7文献に記載された発明は、FGAタイプ
であるとはいえないから、これらは甲2発明に採用されている技術常識を
認定する根拠になり得ず、仮にFGAタイプであるとしても、甲2発明に
おける「浮遊ゲート904のリセット」に対応する事項の開示はなく、ま
15 た、乙6文献は、甲2発明における浮遊ゲート904のリセットの開示が
ないから、甲2発明に採用されている技術常識を認定する根拠となり得な
い旨主張する。
しかし、乙7文献には、
「信号電荷検出部が基本的にはFG方式の一種で
あるものの、FG方式以上の高変換利得を得ることができる。 (
」 【001
20 1】 、
)「上記固体撮像装置1は、基本的にはFG方式の固体撮像装置の一種
であるものの、FG方式以上の高変換利得を得ることが可能である。 【0


020】 との記載があるように、
) 同文献で採用されている固体撮像装置に
おける信号電荷検出部にはFGAタイプが採用されていることを前提と
するものである。
25 また、技術常識は、技術的に共通する複数の各文献で採用されている様々
な構成を前提としつつ、抽出することができる共通の技術事項を認定する
ものであるところ、原告の上記主張は、甲2発明で採用されている構成が
乙6文献や乙7文献に開示されていないことを問題とするものにとどま
るから、採用の限りではない。
(2)ア 本件優先日前に頒布された以下の刊行物には、以下のとおりの記載が
5 ある。
(ア) 特開2007-281540号公報(甲24。公開日平成19年1
0月25日)
「【0001】
本発明は、物理量分布検出装置および撮像装置に関し、特に列並列型
10 AD(アナログ-デジタル)変換装置を搭載した物理量分布検出装置お
よび当該物理量分布検出装置である固体撮像装置を撮像デバイスとして
用いた撮像装置に関する。
【0076】
なお、上記各実施形態では、比較器31を含むADC23(23-1
15 ~23-m)が、列信号線14-1~14-mに対して、画素ピッチに
合わせて画素列の数だけ、即ち1対1の対応関係をもって配置されてな
るAD変換装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこの
適用例に限られるものではなく、複数本の列信号線14に対して1つの
ADC23を配置し、当該ADC23を時分割で使用する構成のAD変
20 換装置に対しても同様に適用可能である。」
(イ) 特開2014-23065号公報(甲26。公開日平成26年2月
3日)
「【0001】
本技術は、固体撮像装置、及び製造方法に関し、特に、例えば、行方
25 向に並ぶ複数のAD変換器を有する、いわゆる列並列型のAD変換部を
備えるイメージセンサ等の固体撮像装置において、隣接する列どうしの
AD変換器を構成するコンパレータの間のクロストーク特性を、副作用
なしで改善することができるようにする固体撮像装置、及び、製造方法
に関する。
【0308】
5 また、本実施の形態では、列並列AD変換部22において、画素アレ
イ10の画素11 m、n の一列に対して、1つのADC31 n を設けること
としたが、列並列のAD変換部22では、その他、例えば、画素アレイ
11 m、n の2列等の複数列に対して、1つのADCを設け、1つのAD
Cにおいて、画素11 m、n の2列等からの電気信号を、時分割でAD変
10 換することができる。」
(ウ) 特開2013-51527号公報(甲27。公開日平成25年3月
14日)
「【0001】
本発明は、固体撮像装置及び撮像装置に関する。
15 【0188】
なお、上記第1~第5の実施形態では、比較器を含むAD変換器が画
素ピッチに合わせて画素列の数だけ、即ち画素列に対して1対1の対応
関係で配置されている場合を例に説明したが、本発明はこの適用例に限
られるものではない。つまり、複数本の垂直信号線22に対して1つの
20 AD変換器を配置してもよい。この場合、このAD変換器は、時分割で
対応する複数本の垂直信号線22に出力された信号電圧をAD変換する。
イ 上記の各文献の記載を総合すると、固体撮像装置におけるAD変換器に
は、画素列に対して1:1の対応関係で配置されるものがあることは、本件
優先日当時における技術常識であったと認められる。
25 4 相違点2の看過(取消事由1)について
(1) 原告は、前記第3の1(2)のとおり、本件発明と甲2発明には、本件決定
が認定した相違点のほか、甲2発明には「各センスノード804に蓄積され
た電荷が複数回検知された後に、各センスノード804の信号電荷パケット
が除去される場合もあり」2d’ との構成を備えていることを前提として、
( )
本件決定には相違点2の看過がある旨主張するところ、前記2(3)のとおり、
5 甲2発明は、原告が主張する2d’の構成を備えているため、以下、これを
前提にして検討する。
(2) 甲2発明の2d’の構成は、
「検知された後(おそらく複数回)、信号電荷
パケットは、ダイオードトレイン(図9には示されていない)を介して除去
され得る。 (第8欄58~60行)に対応するものであるところ、検知され

10 る信号電荷パケットは、1つのパケットであるのか複数のものであるのかに
ついて同記載からは必ずしも明らかではない。
もっとも、甲2文献の他の実施例に関する記載を見てみると、図7の実施
例に関して、「…相互接続404a-bによってセンスノード804からの
電圧信号が供給されるので、1つの電荷の収集の複数の測定値を提供するた
15 めに、センスノード804の電圧を複数回読み取ることができる。したがっ
て、信号対雑音比を改善するために、センスノード804内の、又はセンス
ノード804に関連する電荷の複数のサンプル(測定値)を取ることができ
る。 (第7欄55~63行)と、一つの信号電荷のパケットがセンスノード

804に伝達されるごとにセンスノードの電圧を複数回読み取ることができ
20 ることが記載されており、また、図8の実施例に関して、
「画素604の1つ
からの画像信号に関連付けられた電荷がポテンシャルウェル818に転送さ
れると、ゲート806上の電圧変化が検知され得るように導入される。…検
知された後、信号電荷パケットは、ポテンシャルウェル818から転送され、
ダイオード830及びダイオードドレイン832を介して除去されてもよい
25 し、あるいは、ノイズ低減のために複数のサンプルを可能にするためにフロ
ーティングゲート806の下に残ってもよい。所望の数のサンプルが得られ
た後、電荷は、ダイオードトレイン832を介して除去され得る。 (第8欄

23~35行)と、1つの信号電荷を検知した後、ダイオードトレイン83
2を介して除去してもよいし、ノイズ低減のために複数を残してもよく、所
望の数のサンプルが得られた後、電荷をダイオードトレインを介して除去す
5 ることが記載されている。
このように、甲2文献においては、複数回検知する場合があるときは、単
一の信号電荷パケットを前提にしており、複数の信号電荷パケットについて
複数回検知する構成については特段の記載も示唆も見当たらないし、同文献
(第6欄50行~第7欄43行)には、図6に関する実施例として、
「ノイズ
10 性能を向上させるために、センスノード804の直前に合算ウェル608を
使用してもよい。」との記載があるが、ここでも複数の信号電荷パケットを
「合算」する旨の記載は見当たらない。
そうすると、甲2文献の「検知された後(おそらく複数回)、信号電荷パケ
ットは、ダイオードトレイン(図9には示されていない)を介して除去され
15 得る。 (第8欄58~60行)との記載は、単一の信号電荷パケットを複数

回検知した後、信号電荷パケットはダイオードトレインを介して除去され得
ることを記載したものであるといえるから、「各センスノード804に蓄積
された電荷が複数回検知された後、各センスノード804の信号電荷パケッ
トが除去される場合があり」
(2d’の構成)は、各センスノード804に蓄
20 積された単一の信号電荷パケットの電荷が複数回検知された後、各センスノ
ード804の信号電荷が除去される場合があるとの構成であることになる。
こうした構成を前提とした上で、甲2発明と同じく、FGAタイプを用い
た信号電荷の検出方式において、信号電荷の入力を受けた後、次の信号電荷
が転送される前に信号電荷がリセットされることは、本件優先日当時の技術
25 常識であったことを踏まえると、甲2発明においても、本件発明における「前
記電荷保存ノードが1つのラインセンサーの電荷の入力を受けることと、前
記電荷保存ノードをリセットさせることと、が交互に行われる」構成要件H)

の構成を備えているといえる。
したがって、甲2発明における2d’の構成は、本件発明との相違点とな
るものではない。
5 (3) これに対し、原告は、前記第3の1(2)ア(イ)のとおり、ライセンサーか
らの電荷入力を複数回受けた後にリセットを行うという動作は、複数ライン
からの電荷入力を積算することを意味することを前提として、同ウ(イ)のと
おり、甲2発明において、複数の画素の電荷を合算することによってノイズ
性能を向上させるということは、ピクセルビニングと呼ばれる周知技術を採
10 用したものであり、こうした周知技術は本件技術常識と相反するものである
から、甲2発明には本件技術常識は採用されていない旨主張する。
しかし、前記(2)のとおり、甲2文献の「検知された後(おそらく複数回)、
信号電荷パケットは、ダイオードトレイン(図9には示されていない)を介
して除去され得る。 との記載は、
」 単一の信号電荷パケットを複数回検知した
15 後、信号電荷パケットはダイオードトレインを介して除去され得ることを記
載したものであるといえるから、原告の上記主張はその前提を欠くものであ
って、理由がない。
(4) 以上によれば、本件決定には、甲2発明について2d’の構成を認定をし
ていない点で誤りがあるものの、原告が主張する相違点2(又は相違点2’)
20 は存しないから、本件決定は結論において相当であり、原告主張の取消事由
1は理由がない。
5 取消事由2(相違点3の看過)
(1) 原告は、前記第3の1(3)のとおり、本件決定は、本件発明と甲2発明の
対比において相違点3、すなわち、本件発明のラインセンサーはM個のCC
25 Dが一列配置したものであり、かつ、M個の増幅器及びM個のAD変換器が
設けられており、M個のCCDのそれぞれに蓄積された電荷をM個の増幅器
によって並列入力を受けて増幅し、M個の増幅器から出力される各信号をM
個のAD変換器によってAD変換するのに対し、甲2発明のラインセンサー
はM個のCCDを一列配置したものであり、かつM個の増幅器が設けられて
いるが、アナログデジタル変換器は1つのユニットであり、M個のCCDの
5 それぞれに蓄積された電荷をM個の増幅器によって並列入力を受けて増幅す
るものの、M個の増幅器から出力される各信号をAD変換器によってAD変
換するのか不明である点について、相違点の看過がある旨主張するので、以
下検討する。
(2)ア 本件発明は、
「M個のCCDが一列配列されたラインセンサー」
(構成要
10 件A) 「前記画素部に蓄積された前記電荷をコラム別に電荷保存ノードに

並列入力を受けてそれぞれ増幅するためのM個の増幅器:」
(構成要件C)、
「前記増幅器から出力される各信号をAD変換するM個のAD変換器;お
よび」
(構成要件D)との発明特定事項を有するものであるから、本件発明
の「ラインセンサーはM個のCCDが一列配置したものであり、かつ、M
15 個の増幅器及びM個のAD変換器が設けられており、M個のCCDのそれ
ぞれに蓄積された電荷をM個の増幅器によって並列入力を受けて増幅し、
M個の増幅器から出力される各信号をM個のAD変換器によってAD変
換する」ものであるといえる。
これに対し、甲2発明は、
「CCDイメージングセンサアレイ124は、
20 複数のサブアレイ1204に属するピクセル604を含み、 (2a) 「ピ
」 、
クセルの各列はセンスノード804に接続し、 (2b) 「各センスノード
」 、
804には、増幅器1208が接続され」
(2c)、
「TDIイメージャ」
(2
f)との構成を有するものであり、複数のサブアレイ1204の数、セン
スノードの数及び増幅器1208の数はいずれも等しい構成であると理
25 解できるが、
「ピクセルからの信号は、アナログデジタル変換器1220に
より処理され、シリアライザ1224により処理される」
(2e)との構成
からは、アナログデジタル変換器の個数については特定されていない。こ
こで、甲2文献の記載事項についてみると、図12には、アナログデジタ
ル変換器1220については記載が省略されており、サブアレイ1204、
センスノード及び増幅器の数と同一のものであるかは不明であり、増幅器
5 1208がどのようにしてアナログデジタル変換器1220に入力され
るかについての記載もない。
そうすると、甲2発明において、増幅器1208から入力されるアナロ
グデジタル変換器の個数は不明であるというほかなく、増幅器とAD変換
器が同数である本件発明とこの点において相違する(原告が主張する相違
10 点3)。
イ これに対し、被告は、前記第3の2(3)アのとおり、甲2文献の図12の
「増幅器1216」と上下方向に並んだ3つの「…」の記号は、当業者で
あれば、本来は多数の増幅器1216が存在するものが図面上省略されて
いることを意味するものと理解でき、甲2発明のTDIイメージャにおい
15 ては、読み出し(検出)は列ごとに行われるものであるから、各列の「セ
ンスノード804」が受け入れた電荷の値は、各列に対応した「増幅器1
208」が増幅し、それに1対1に対応する増幅器1216を経由して同
時にアナログデジタル変換器1220に入力され処理されると理解でき
るから、相違点3は存在しない旨主張する。
20 しかし、前記3(2)アの各文献の記載に加え、特開平6-197285号
公報(甲25。公開日平成6年7月15日)には、
「第2の発明においては、
撮像素子から得られる2つの色信号を時分割的に切換えるスイッチ手段
を設けている。 (
」 【0018】 、
) 「第2の発明によれば、スイッチ手段から
時分割で得られる2つの色信号を共通のAD変換器に加えることにより、
25 記録時に用いられるAD変換器が削減できる」
(【0020】 との記載があ

ることを総合すると、固体撮像装置におけるAD変換器は、増幅器より少
ない数を設けることも、本件優先日当時における技術常識であったといえ
ることからすると、甲2発明においても、各列の「センスノード804」
が受け入れた電荷の値は、各列に対応した「増幅器1208」が増幅し、
それに1対1に対応する増幅器1216を経由して同時にアナログデジ
5 タル変換器1220に入力され処理されるとは限らず、省略された図12
の「…」の記載から、アナログデジタル変換器と増幅器が同数であると当
業者であれば当然に理解するとまではいえないから、被告の上記主張は理
由がない。
(3) 上記(2)のとおり、本件発明と甲2発明には、本件決定が認定した相違点
10 のほかに相違点3があり、本件決定には相違点3の看過があるといえる。
もっとも、前記3(2)のとおり、固体撮像装置におけるAD変換器には、画
素列に対して1:1の対応関係で配置されるものがあることは本件優先日当
時における技術常識であるところ、甲2発明においては、複数のサブアレイ
1204の数、センスノードの数及び増幅器1208の数はいずれも等しい
15 構成であり、M個の増幅器から出力される各信号を変換するAD変換器の個
数が不明であるとしても、上記技術常識を踏まえると、甲2発明においても
増幅器の数とAD変換器の数も同一の構成を有するものであることは当業者
であれば容易に想到するといえる。
そうすると、上記相違点3の看過は、容易想到性の結論に影響を及ぼすと
20 はいえない。
(4) 以上によれば、本件決定には、相違点3の看過があるものの、本件決定の
結論に影響を及ぼすものではないから、原告主張の取消事由2は理由がない。
6 結論
以上によれば、原告が主張する取消事由はいずれも理由がなく、本件決定を
25 取り消すべき違法は認められない。よって、原告の請求を棄却することとして、
主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官
5 菅 野 雅 之
裁判官
中 村 恭
裁判官
岡 山 忠 広
(別紙1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
5 本発明はTDIラインイメージセンサーに関するもので、より詳細にはCCD素
子を通じてTDI(Time Delay Integration)方式で電荷
を蓄積するように画素部を構成し、出力部はCCDで蓄積された各コラムの電荷を
AD変換してメモリーバッファーに保存した後、順次出力するように構成すること
によってCCD素子とCMOS素子の特性による解像度と転送速度を向上させるだ
10 けでなく、消費電力とノイズを低減させることができるようにしたTDIラインイ
メージセンサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、生産設備が大量化、自動化および精密化されるにつれて、人の肉眼または
15 各種センサーに依存していた機能が次第にイメージセンサーを採用するビジョンマ
シン(vision machine)に代替されている傾向にある。このような
イメージセンサーに主に使用されている半導体素子が電荷結合素子(charg
e coupled devices;CCD)である。
【0003】
20 CCDは一つの素子から隣接した他の素子に電荷を転送できる素子を意味する。
このようなCCDを採用したセンサーは光量による各セル(cell)内の自由電
荷量の変化を電気的信号に変換する構造を有する。
【0004】
構造的に、CCDは大きく、実際の光量によって電荷が蓄積されるセル領域およ
25 び蓄積された電荷を順に転送する通路の役割をするシフトレジスター(shif
t register)で構成される出力部を含む。
【0005】
CCDは各セルがどのようなアレイ(array)に配置されて映像を生成する
かによって、領域スキャン(area scan)方式、ラインスキャン(lin
e scan)方式、TDI(Time Delay Integration)
5 ラインスキャン方式などに分かれる。
【0006】
ラインスキャン方式のイメージセンサ(以下「ラインセンサ」という)は、画像
光を受光するピクセルがライン上に配列された1次元センサーである。2次元に広
げられた画像を撮像する場合には、ラインセンサまたは被写体を移動させて被写体
10 を一ラインずつ順に撮像する。
【0007】
すなわち、ラインスキャン方式は一度に一ラインずつ任意の速度で露出および転
送する方式であり、領域スキャン方式に比べて低費用で高速および高分解能映像を
得ることができるという長所を有する。例えば、2048*2048のフレームを
15 得るために、領域スキャン方式は4Mのピクセル(pixel)数を必要とするの
に反して、ラインスキャン方式は2Kのピクセルさえあれば2048*2048だ
けでなく2048*1000などの多様な大きさのフレームを得ることができる。
【0008】
しかし、高速で移動する被写体を撮影する場合や、ラインセンサーを高速に移動
20 させて被写体を撮影するときのように、高速スキャンを遂行する場合、各ラインご
とに高速で電荷の蓄積と転送を繰り返すことになるため、一ライン当たりに電荷を
蓄積できる時間が短くなって画像の光量が不足する。このように、光量に対する要
求が増加しても、照明装置の限界のために光量を無制限に増加させることができな
い。
25 【0009】
したがって、PPD(pinned-photodiode)、CMOSセンサな
どの材料を改善して感度を高める研究が進められている一方、複数のラインセンサ
ーを並べて光量を累積させて感度を高める方法も提案されている。
【0010】
TDIラインスキャン方式のイメージセンサ(以下、
「TDIラインイメージセン
5 サ」という)は、ラインセンサーがスキャン方向に複数段配列されたもので、各ラ
インのCCDで蓄積された電荷を画像の移動と同期させて次のラインのCCDに転
送する。このような過程を最後のラインセンサーまで繰り返して電荷を重ねた後出
力することによって、結果的に高速スキャンにおいても光量を十分に満足する画像
を得ることができる。
10 【0011】
本発明の背景技術は、大韓民国公開特許公報第2009-0023573号(2
009.03.05.公開、発明の名称:TDI-CCDイメージセンサーを制御
するための方法)に開示されている。
【発明の概要】
15 【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このようなTDIラインイメージセンサーの場合、各ラインのCCDで蓄積され
た電荷を隣接した次のラインのCCDに並行移動により最後のラインまで移動させ
て蓄積した後、最後のラインに蓄積された電荷を垂直移動させて信号処理部に出力
20 することによって、ライン単位で各セルに対して順次データを処理することができ
るようにする。
【0013】
前記において、CCDに蓄積された電荷を隣接したラインに並行移動させる時は
画像の移動と同期して並列に移動されるが、蓄積された電荷を信号処理部に出力す
25 るために垂直移動させる時は停止した状態で一つずつ直列移動させて転送するため、
垂直移動時に多くの時間が要されるという問題点がある。
【0014】
特に、TDIラインイメージセンサーの場合、スキャン方向に並列に配列された
ラインの数よりは高い解像度のために、各ラインに沿って一列配列されたCCDの
数が相対的に多いため、TDIラインイメージセンサーを通じてイメージをスキャ
5 ンするために要される多くの時間が蓄積された電荷を垂直移動させて出力すること
に起因する問題点がある。
【0015】
本発明は前記のような問題点を改善するために創出されたもので、本発明の目的
はCCD素子を通じてTDI(Time Delay Integration)
10 方式で電荷を蓄積するように画素部を構成し、出力部はCCDで蓄積された各コラ
ムの電荷をAD変換してメモリーバッファーに保存した後順次出力するように構成
することによって、CCD素子とCMOS素子の特性による解像度と転送速度を向
上させるだけでなく、消費電力とノイズを低減させることができるようにしたTD
Iラインイメージセンサーを提供することである。
15 【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一側面に係るTDIラインイメージセンサーは、M個のCCDが一列配
列されたラインセンサーと、スキャン方向に並列にN個のラインセンサーが配列さ
れてラインセンサーのコラム別に蓄積された電荷を並行方向に移動させて蓄積する
20 画素部;および画素部に蓄積された電荷をコラム別に並列入力を受けてAD変換し
て保存した後順次出力する出力部を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明において出力部は、画素部に蓄積された電荷をコラム別に電荷保存ノード
に並列入力を受けてそれぞれ増幅するためのM個の増幅器;増幅器から出力される
25 各信号をAD変換するM個のAD変換器;およびAD変換器の出力を保存して順次
出力するメモリーバッファー;を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明において増幅器は、ソースフォロワ増幅器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
5 本発明に係るTDIラインイメージセンサーは、CCD素子を通じてTDI(T
ime Delay Integration)方式で電荷を蓄積するように画素
部を構成し、出力部はCCDで蓄積された各コラムの電荷をAD変換してメモリー
バッファーに保存した後順次出力するように構成することによって、CCD素子と
CMOS素子の特性による解像度と転送速度を向上させるだけでなく消費電力とノ
10 イズを低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の一実施例に係るTDIラインイメージセンサーを示したブロック
構成図で、図2は本発明の一実施例に係るTDIラインイメージセンサーの画素部
15 の構造を示した図であり、図3は本発明の一実施例に係るTDIラインイメージセ
ンサーで電荷の移動を説明するための図である。
【0024】
図1と図2に図示された通り、本発明の一実施例に係るTDIラインイメージセ
ンサーは画素部10および出力部20を含む。
20 【0025】
画素部10はM個のCCD14が一列配列されたラインセンサ12と、スキャン
方向に水平にN個のラインセンサ12が配列されて、TDI方式でラインセンサ1
2_1~12_Nのコラム別に蓄積された電荷を水平方向に移動させて蓄積する。
【0026】
25 すなわち、図3に図示された通り、各CCD14のV1、V2、V3電圧を順に
制御することによって、CCD14に蓄積された電荷が隣接したCCD14に移動
され、これによって電荷保存ノード(FD)に重ねて出力される。
【0027】
画素部10の構成は一般的なTDIラインイメージセンサーの画素部の構成と対
応すれるため、本実施例ではその具体的な構成に対する説明は省略する。
5 【0028】
出力部20は画素部10に蓄積された電荷をコラム別に並列入力を受けてAD変
換して保存した後順次出力するように、増幅器22、AD変換器24およびメモリ
ーバッファー26を含む。
【0029】
10 増幅器22は画素部10で蓄積された電荷をコラム別に電荷保存ノード(FD)
に並列入力を受けてそれぞれ増幅するために、一つのラインセンサ12に配列され
たCCD14の個数に対応するようにM個を具備する。
【0030】
この時、増幅器22は画素部10の最後のラインセンサ12_Nから電荷が移動
15 して蓄積された電荷保存ノード(FD)の電位によりターンオンされて電圧値を出
力するソースフォロワ増幅器で構成することができる。
【0031】
AD変換器24はM個の増幅器22から出力される各信号をAD変換する。
【0032】
20 メモリーバッファー26はM個のAD変換器24でデジタル信号に変換された画
像信号を保存した後順次出力して信号処理部(図示されず)でライン別に画像信号
を処理することができるようにする。
【0033】
このように構成されたTDIラインイメージセンサーをスキャンして撮影すると、
25 TDI方式で画素部10の各ラインセンサ12のCCD14に蓄積された電荷はス
キャンと同期して隣接したラインセンサ12にコラム別に移動されて出力部20の
電荷保存ノード(FD)に出力される。
【0034】
電荷保存ノード(FD)に蓄積された電荷は増幅器22を通じて増幅された後、
AD変換されて信号(Signal)として出力される。以後、リセットゲート(R
5 G)を通じて電荷保存ノード(FD)をリセットドレイン(RD)に連結された電
圧(VDD)にリセット(Reset)させて次のラインセンサ12の電荷の入力
を受けることができるようにする。
【0035】
このように画素部10をCCD素子によるTDI方式で構成することによって光
10 量を十分に満足する高分解能の映像を得ることができる。
【0036】
また、出力部20の電荷保存ノード(FD)に保存された電荷はCCD素子を通
じて移動させるのではなく、増幅器22を通じて増幅した後AD変換器24でデジ
タル信号に変換してメモリーバッファー26に保存した後出力することによって、
15 CMOS素子によって集積度を向上させることができるだけでなく、少ない電力で
転送速度を向上させることができる。
【0037】
上述した通り、本発明の実施例によるTDIラインイメージセンサーによれば、
CCD素子を通じてTDI(Time Delay Integration)方
20 式で電荷を蓄積するように画素部を構成し、出力部はCCDで蓄積された各コラム
の電荷をAD変換してメモリーバッファーに保存した後順次出力するように構成す
ることによって、CCD素子とCMOS素子の特性による解像度と転送速度を向上
させるだけでなく消費電力とノイズを低減させることができる。
(別紙2)
(第1欄19~30行)
背景
5 イメージングデバイスは、多くの用途に役立ちます。特に、遠隔地で動作する
機器や、リアルタイム、又は、ほぼリアルタイムで画像データを送信する通信機
器の分野では、光子を検知して電気信号を生成することができる光子検出器を含
むフォーカルプレーンアレイが開発されている。このようなフォーカルプレーン
アレイに使用される様々な技術のうち、電荷結合素子(CCD)は優れた光学性能を
10 持つことが証明されている。そのため、高性能な光子検出器には CCD センサがよ
く取り上げられる。
(第1欄31~35行)
また、航空宇宙用センサの分野では、TDI CCD(時間遅延積分型電荷結合素子)
15 が、センサを横切る画像を走査する、軌道上の動きと組み合わされた加算機能と、
ノイズの少ない電荷転送のために、軌道上での観測に非常に適しているとされて
いる。
(第1欄36~47行)
20 しかし、CCD は比較的消費電力が大きいという特徴がある。消費電力が気にな
る 機 器 で は 、 CMOS ( Complementary Metal Oxide Semiconductor 、 原 文 の
「Complimentary」は「Complementary」の誤記と認めた。)デバイスのような他の
プロセスで形成されたデバイスが好ましい。特に、CMOS 技術を用いた低消費電力
で高密度に実装された処理回路を製造することが要求されるその技術は発達し
25 ている。しかし、CMOS 光子センサは、CCD に比べてノイズが多く、一般的に光学
性能も劣る。また、CMOS 光子センサのみでは、TDI(時間遅延積分)機能を実現す
ることが難しい。
(第1欄48~60行)
そのため、CCD 光子検出器の優れた光学性能と、CMOS プロセスにより可能とな
5 る低消費電力及び高密度実装を組み合わせた光子センサの作成が望まれていた
のである。しかし、1 枚の基板上で CCD 及び CMOS プロセスを組み合わせることは
困難であることが分かった。このような困難は、処理温度や必要な酸化膜の厚さ
が異なることを含む、両プロセス間の基本的に両立しがたいことから生じる。ま
た、CCD 及び CMOS 両方の技術を用いて単一の基板上に製造されたデバイスは、電
10 荷移動効率の悪さ及びプロセスが最適化されていないことによるノイズの多さ
のため、不十分な画像品質が問題となる。
(第1欄61行~第2欄2行)
両立しがたい製造プロセス技術を統合することをさけるために、第2のプロセ
15 スを用いた第2の基板(CMOS 読み出しなど)を相互接続した第1のプロセスを用
いた第1の基板(CCD 光子検出器など)に形成された構造を利用するデバイスが
開発されてきた。このようなシステムでは、通常、画像を作成するために使用さ
れる信号を得るために、検出器(第1)基板から電荷量を検知又は読み取り、次
に読み出し及び処理(第2)基板上で電荷を増幅する。
(第2欄3~7行)
さらに、電荷の検出は、一般的に、特定の電荷の収集に対して 1 回だけ実行で
きることに留意すべきである。また、CCD から増幅されていない信号やバッファ
されていない信号を供給すると、多くの場合、劣化した信号をもたらすことにな
25 る。
(第2欄9~12行)
発明の概要
本発明は、これらの問題及びその他の問題と、先行技術の欠点を解決すること
に向けられている。
(第2欄13~28行)
本発明の少なくとも 1 つの実施形態は、列(パラレル)出力において、又は、
近くで、CCD からデータを抽出し、その結果、電力を大量に消費するシリアルシ
フトレジスタを取り除くことにより、CCD の電力損失を劇的に削減することがで
10 きるという事実に基づいている。このように、列並列電圧出力を持つ CCD 光子検
出器と、デジタル化やデータ処理を含む CMOS 読み出し回路を組み合わせること
で、現状の技術に比べて大きな利点が得られる。本発明は、個別に製造された電
圧出力を有する CCD 光子検出器と CMOS 読み出し回路を、単一の光検出システム
に組み合わせることに関するものである。多くの場合、最新の技術を用いて検出
15 器の基板と読み出し回路の基板を機械的及び電気的に結合することになる。なお、
列を行と呼んだり、逆に行を列と呼んだりする場合がある。
(第2欄29~49行)
本発明の実施形態によれば、センスノードに関連付けられた第1の半導体基板
20 上の電荷結合素子(CCD)光子検出器を含む光子センサシステムが提供される。第
1の半導体基板のセンスノードは、第2の半導体基板上の読み出し回路に電気的
に相互接続されている。特に、電荷結合素子のセンスノードは、電気的相互接続
を介して読み出し回路に電圧信号を提供する。第1の半導体基板は、シリコン又
は他の半導体材料で形成された構造を含んでいてもよく、一方、第2の半導体基
25 板は、第1の半導体基板の構造とは異なる半導体構造を含んでいてもよい。本発
明の実施形態によれば、電気的接続は、信号ラインを形成してもよく、特定の実
施形態において第3の基板上に形成されてもよいバンプボンド、ワイヤ、ビア、
又はトレースから構成されてもよい。本発明のさらなる実施形態によれば、第1
及び第2の半導体基板は、直接又は第3の基板を介して、互いに機械的に相互接
続されている。
(第2欄50~59行)
第1の半導体基板上の出力ノードとしても知られるセンスノードは、第2の半
導体基板上の読み出し回路に信号が伝送される前に、第1又は光子検出器基板上
の1又は複数のトランジスタにバッファされてもよい。一例として、1又は複数
10 のトランジスタは、CCD(第 1 の半導体基板)上に形成されたソースフォロワから
なる増幅器を構成する、又はその一部であってもよい。さらに一例として、1又
は複数のトランジスタは、CCD 上に形成された電圧モード増幅器を構成する、又
はその一部であってもよい。
15 (第2欄60行~第3欄3行)
さらに他の実施形態によると、電荷から電圧への増幅器が CCD 上に設けられて
もよい。本発明の他の実施形態によれば、センスノードからの電圧信号は、第1
の半導体基板上で増幅されることなく、第2の半導体基板上の読み出し回路に渡
される。電圧信号を受け取る第2の半導体基板上の読み出し回路は、電圧増幅器、
20 電圧比較器、バッファ、又はアナログデジタル変換器で構成されてもよい。さら
に、センスノードの電圧は、相関二重サンプリングの使用を含む、様々な技術を
用いて読み取られる。
(第3欄4~24行)
25 本発明の実施形態によれば、光を検知する方法は、第 1 の半導体基板上に形成
された、又は第 1 の半導体基板からなる CCD を用いて光子を検出することに応答
して電荷を生成することを含んでもよい。さらに、第 1 の半導体基板は、シリコ
ン半導体で構成されていてもよい。光子の検出に応答して生成された電荷の全部
又は一部を含む、第 1 の電荷パケットとしても知られる第 1 の収集が、第1のポ
テンシャルウェルに集められる。その後、第 1 のポテンシャルウェルに集められ
5 た電荷の第1のパケット(収集)に関連する第 1 の電圧を読み取ることにより、
電圧信号が生成される。第 1 の電圧信号は、第2の半導体基板上に形成された第
1 の回路コンポーネントに提供され、第1の電圧信号は、第2の半導体基板上の
第 1 の回路コンポーネントを含む回路を用いて処理される。本発明のさらに他の
実施形態によれば、第2の電圧信号は、第1のポテンシャルウェルに蓄積した電
10 荷の第 1 のパケットに関連する第2の電圧を読み取ることにより作成される。す
なわち、第 1 の半導体基板上のポテンシャルウェルに蓄積した電荷の第 1 のパケ
ットに関連する電圧を複数回読み取ることができる。
(第6欄50行~第7欄43行)
15 図 6 は、本発明の実施形態に係るイメージングセンサアレイ 124 を構成する第
1 の半導体基板 126 のいくつかの特徴を示す断面図である。図示するように、イ
メージングセンサアレイ 124 は、半導体基板 126 に形成された複数の画素又は光
を検出する手段 604 を含む。さらに、イメージングセンサアレイ 124 は、ノイズ
性能を向上させるための読み出し又は合算ウェル 608 と、センスノード(出力ノ
20 ード)804 とを含む。そのセンスノード(出力ノード)804 から電圧信号が第 2 の
半導体基板 130 に形成された読み出し回路 128(図 6 には示されていない)に提
供されてもよい。さらに、センスノード 804 は、典型的には、フローティングデ
ィフュージョンへのコンタクトを有する。他の実施形態では、合算ウェル 608 を
採用しなくてもよい。一般的に、そして当業者であれば理解できるように、各画
25 素 604 は、感光領域を構成する。より詳細には、画素 604 に入射する光子に応答
して、電荷が蓄積される。さらに、画素 604 の有効な感度範囲内では、蓄積され
た電荷の量は、積分期間中に画素 604 で受け取った光子の数に依存する。また、
当業者であれば理解できるように、図 6 に図示された画素 604 は、本発明の実施
形態に係るイメージングセンサアレイ 124 に含まれるエリアアレイ又はサブアレ
イ内のリニアアレイ又は 1 列(又は行)を構成してもよい。したがって、積分期
5 間の後、収集された電荷は、1 つの画素 604 から直列に次の画素に転送され、最
後に、合算ウェルが採用されていない実施形態では、最後のウェル 614 に転送さ
れてもよい。他の実施形態では、電荷は、連続する積分期間中に、連続する画素
604 に蓄積されてもよい。この蓄積された電荷の実質的にすべてが、その後、最
後のウェル 614 に転送される。このプロセスは、当業者には TDI(時間遅延積分)
10 としても知られている。ここでも、ノイズ性能を向上させるために、センスノー
ド 804 の直前に合算ウェル 608 を使用してもよい。図 6 は、3 相クロッキングを
示しているが、他の実施形態では、4 相又は別の数の相クロッキングを利用して
もよい。より詳細には、電荷の各収集が最後のウェル 614 に蓄積されると、読み
出し回路 128(図 6 には示されていない)に伝送される電圧信号 612 を読み出た
15 めに、電荷は最後のウェル 614 からセンスノード 804 に移動させられる。あるい
は、第 1 の半導体基板 126 上に増幅器(例えば、バッファ又は CTIA(Capacitance
Transimpedance Amplifier))が設けられている実施形態では、電圧信号又は電荷
信号がセンスノード 804 から読み出され、その後、増幅器の出力によって電圧信
号 612 が供給されてもよい。一般に、画素間の電荷の移動は、転送ゲート 620 を
20 用いて達成される。最後のゲート(出力ゲート)622 は、センスノードを最後の
ウェルから分離するように機能し、又はそれが存在する場合には、最後のゲート
622 は、センスノードを合算ウェルから分離するように機能する。センスノード
804 は、電圧信号 612 に隣接して描かれているが、本発明の実施形態に従って、
中間回路が設けられてもよいことが理解できる。当業者であれば理解できるよう
25 に、中間回路は、センスノード 804 と出力電圧信号 612 との間に介在して、出力
の一部を形成してもよい。さらに、複数のセンスノード 804 が、画素 604 の列(行)
に関連付けられてもよい。一実施形態では、センスノード 804 は、CCD の列(行)
の両端に存在し、CCD の順方向又は逆方向の動作に使用されてもよい。
(第7欄44行~第8欄13行)
5 図 7 は、本発明の実施形態に係るハイブリッドイメージャ 120 のコンポーネン
トを模式的に描いたものである。イメージングセンサアレイ 124 の感光領域を構
成する画素 604 の 2 つの列(行)702a-b が描かれており、各列(行)702 はセン
スノード 804 に相互接続されている。 1 及び第 2 の相互接続 404a-b は、 1 及
第 第
び第 2 のセンスノード 804 からの電圧信号を、第 2 の半導体基板 130 上に形成さ
10 れ、読み出し回路 128 の一部を構成するプリアンプ 708 の入力に供給する。図示
されているように、各センスノード 804 は、単一のプリアンプ 708 と関連してい
てもよいが、他の配置も可能である。さらに、プリアンプ 708 は電圧モード増幅
器からなり、相互接続 404a-b によってセンスノード 804 からの電圧信号が供給
されるので、1 つの電荷の収集の複数の測定値を提供するために、センスノード
15 804 の電圧を複数回読み取ることができる。したがって、信号対雑音比を改善す
るために、センスノード 804 内の、又はセンスノード 804 に関連する電荷の複数
のサンプル(測定値)を取ることができる。また、1 つ又は複数の追加の増幅器
712 が、読み出し回路 128 の一部として提供されてもよい。図 7 に示されるよう
に、そのような追加の増幅器 712 への入力は、1 つ又は複数のプリアンプ 708 か
20 らの出力で構成されてもよい。増幅器 712 が増幅器 708 のいずれかからその入力
を選択的に受け取ることができるように、スイッチ 716 が設けられてもよい。こ
の追加の増幅器 712 は、読み出し回路 128 に含まれる少なくとも 1 つの他の増幅
器 708 から入力を受けるので、追加の増幅器 712 は、必ずしも電圧モードの増幅
器でなくてもよい。追加の増幅器 712 からの出力は、次に、処理(例えば相関二
25 重サンプリング(CDS)及びアナログデジタル変換を含む)、ディスプレイ又はス
トレージのために、別の基板又は装置に関連する追加の回路に提供されてもよい。
あるいは、そのような追加回路は、読み出し回路 128 の一部として提供されても
よい。例えば、イメージングセンサアレイ 124 上の画素 604 によって収集された
画像データを一時的又は長期的に保存するために、メモリが提供されてもよい。
5 (第8欄14~35行)
図 8 は、本発明の実施形態に従って電圧信号を提供するセンスノード 804 を含
むハイブリッドイメージャ 124 の一部の概略図である。特に、図示された実施形
態では、センスノード 804 は、ポテンシャルウェル 818 に重なるフローティング
ゲート 806 を構成する。隣接するポテンシャルウェル 812 からのポテンシャルウ
10 ェル 818 への電荷の転送は、転送ゲート又は CCD ゲートとしても時々知られる制
御ゲート 816 を使用して制御されてもよい。特に、バイアスゲート 822 を使用し
て、ポテンシャルウェル 818 を空乏状態に設定することができる。画素 604 の1
つからの画像信号に関連付けられた電荷がポテンシャルウェル 818 に転送される
と、ゲート 806 上の電圧変化が検知され得るように導入される。例えば、フロー
15 ティングゲート 806 からの電圧信号は、第1の半導体基板 126 上又は第2の半導
体基板 130 上に形成された増幅器又はプリアンプ 820 に供給されてもよい。検知
された後、信号電荷パケットは、ポテンシャルウェル 818 から転送され、ダイオ
ード 830 及びダイオードドレイン 832 を介して除去されてもよいし、あるいは、
ノイズ低減のために複数のサンプルを可能にするためにフローティングゲート
20 806 の下に残ってもよい。所望の数のサンプルが得られた後、電荷は、ダイオー
ドドレイン 832 を介して除去され得る。
(第8欄46~60行)
本発明の他の実施形態に従ったハイブリッドイメージャ 124 の部分が、図 9 に
25 示されている。特に、図 9 は、図 8 に描かれたハイブリッドイメージャ 124 と異
なっている。センスノード 804 からの電圧信号は、フローティングゲートとして
も機能する電極 904 を使用するために供給される。電極(ゲート)904 の電圧は、
リセットトランジスタ 908 によって決定される。また、センスノード 804 から電
圧モードアンプ 820 への電圧信号を運ぶための信号ライン 906 には、リセットス
イッチ又はトランジスタ 908 が関連付けられている。リセットスイッチ 908 及び
5 /又は電圧モード増幅器 820 は、第 1 の半導体基板 126 又は第 2 の半導体基板
130 のいずれかに形成されてもよい。検知された後(おそらく複数回)、信号電荷
パケットは、ダイオードドレイン(図 9 には示されていない)を介して除去され
得る。
10 (第9欄22~51行)
図 12 は、本発明の実施形態に係るハイブリッドイメージャ 120 の一部を模式
的に示した図である。CCD イメージングセンサアレイ 124 は、複数のサブアレイ
1204 にまとめられた複数の画素 604 を含む。画素 604 の各列(行)は、センスノ
ード 804a と関連していてもよい。さらに、サブアレイ 1204 からの双方向の出力
15 をサポートするために、第 1 のセンスノード 804a が配置されている端部とは反
対側の画素 604 の各列(行)の端部に第 2 のセンスノード 804b が設けられても
よい。図示されているように、第 1 の半導体基板 126 上に形成された増幅器 1208
は、各センスノード 804 に関連していてもよい。図面を明確にするために、画素
のすべての列(行)が、関連付けられたセンスノード 804 又は増幅器 1208、又は
20 図に関連して説明される他のコンポーネントと一緒に示されているわけではな
い。当業者であれば理解できるように、増幅器 1208 は、センスノード 804 から検
知された電圧と異なる出力電圧、又は比較するために増幅された出力電圧を提供
する必要はない。したがって、電圧バッファされた出力を提供するために、増幅
器 1208 は、ソースフォロワ又は他のバッファを構成してもよい。本発明の他の実
25 施形態によれば、増幅器 1208 は、関連するセンスノード 804 から電荷信号を読み
取り、増幅器の出力として電圧信号を提供してもよい。したがって、CCD イメー
ジングセンサアレイ 124 を構成する第 1 の半導体基板 126 上で、電荷から電圧へ
の変換が行われてもよい。あるいは、CCD 撮像素子を構成する第 1 の半導体基板
126 上の増幅器 1208 を省略してもよく、その場合は各センスノード 804 から直接
電圧信号を読み出す。
(第9欄52行~第10欄12行)
センスノード 804 からの電圧信号は、センスノード 804 の増幅されていない電
荷の収集から読み取られたものであっても、第 1 の半導体基板 126 上の増幅器
1208 の出力から読み取られたものであっても、相互接続 404 によって第 2 の半導
10 体基板 130 上に形成された読み出し回路 128 に提供される。例えば、第 1 の半導
体基板 126 上の CCD イメージングセンサアレイ 124 の画素 604 からの電圧信号
は、第 2 の半導体基板 130 上に形成された読み出し回路 128 の少なくとも一部を
構成する電圧モードの増幅器又はプリアンプ 708 の入力に伝達される。増幅器 708
は、図示された例では、その図において第 1 の半導体基板 126 の下にある第 2 の
15 半導体基板 130 の一部に配置されているため、図 12 に点線を用いて示されてい
る。当業者であれば理解できるように、電圧モード増幅器は、高い入力インピー
ダンス又は本質的に無限大の入力インピーダンスによって特徴付けられる。その
結果、相互接続 404 によって増幅器 708 の入力に伝達されるようなセンスノード
804 の電圧は、複数回サンプリング又は読み取ることができる。これは、センス
20 ノード 804 に直接接続された場合、センスノード 804 に収集された電荷を消耗し、
したがって、センスノード 804 から一度だけ読み取ることができるチャージモー
ドアンプとは対照的である。また、当業者であれば理解できるように、増幅器 708
は、入力電圧と異なる、又は入力電圧と比較するために増幅された出力電圧を提
供する必要はない。例えば、増幅器 708 は、ソースフォロワ又は他のバッファで
25 構成されてもよい。
(第10欄13~20行)
図 12 に示されているように、第 1 の半導体基板 126 は、ポテンシャル障壁を
形成するための多数の手段、又は制御ゲート 816 を含んでもよい。当業者であれ
ば理解できるように、制御ゲート 816 は、収集された電荷を画素 604 から、又は
5 画素 604 の列(行)から順次、センスノード 804 に移動させるために設けられて
もよい。また、関連するセンスノード 804 をリセットするために、リセットスイ
ッチ 908 を第 1 の半導体基板 126 上に形成することができる。
(第10欄21~57行)
10 前述のように、第 2 の半導体基板 130 上に形成された読み出し回路 128 は、増
幅器又はプリアンプ 708 を含んでいてもよい。また、代替的又は追加的に、読み
出し回路 128 は、1/f ノイズを含む低周波ノイズ成分を低減するために CDS 回路
1000 を含んでいてもよい。双方向出力が提供される場合、画素 604 又は画素の列
(行)に含まれる画素 604 に対する電圧信号が得られるセンスノード 804 は、第
15 2 の半導体基板 130 に形成されたスイッチ 1212 を用いて選択されてもよい。追加
の増幅は、列(行)増幅器 1216 によって提供されてもよい。これらの増幅器 1216
は、差動増幅器又はシングルエンド増幅器で構成されてもよい。本発明の実施形
態によれば、画素からの信号又は TDI 配置の多数の画素からの統合された信号は、
次に、アナログデジタル変換器(ADC)1220 によって処理される。例として、ADC
20 は、ランプ ADC 又はパイプライン ADC で構成されてもよい。データが ADC によっ
てデジタル化された後、同じく第 2 の半導体基板 130 上に形成されたシリアライ
ザ 1224 によってデジタル処理され得る。その後、シリアライザからの出力は、第
2 の半導体基板 130 から、例えばストレージやディスプレイのために、他の回路
に渡すことができる。デジタルデータの転送は、デジタルデータリンク 1228 によ
25 るものであってもよい。例えば、デジタルデータリンク 1228 は、 (Low Voltage
LVDS
Differential Signaling)リンクで構成されていてもよい。クロック生成は、第
2 の半導体基板 130 上の読み出し回路 128 の一部として設けられたクロック生成
回路 1232 によって行われてもよい。本発明の実施形態によれば、外部回路 1236、
又は、第 1 の半導体基板 126 又は第 2 の半導体基板 130 のいずれにも形成されて
いない回路を使用して、クロック信号を正しい電圧で CCD 検出アレイ 124 に結合
5 してもよい。他の実施形態では、外部回路 1236 も第 2 の半導体基板 130 上に形
成されてもよい。多数の回路が第 2 の半導体基板 130 上又はその一部に形成され
ていると説明してきたが、これらの回路の一部又は全部を省略したり、他の基板
に形成したりしてもよい。
10 図8
図9
(別紙3)
1 特開平2-159737号公報(乙5)
(1) 「〔従来の技術〕
5 固体撮像装置で検出した映像信号から各種色信号や輝度信号等を形成するた
めに電荷転送デバイスより成るCCD遅延線が使用され、信号電荷の転送効率
等の点で埋込チャンネルCCDが用いられている。 (1頁右下欄3~8行)

(2) 「次に第10図に示す第3の従来例はフローティング・ゲート型アンプと呼
ばれ、特開昭63−88864号公報等に開示されている。原理を概略的に説明
10 すると、第10図において、BCCD1の終端に所定の直流電圧OGが印加さ
れるゲート電極4、フローティング・ゲート5、リセット用ゲート電極6、7
及びドレインDが順番に形成され、ドレイン端子は昇圧回路3の定電圧V DDが
印加され、リセット用ゲート電極6.7は所定タイミングのリセット信号φ Rに
同期してオンとなることによりフローティング・ゲート5下の信号電荷をドレ
15 インDへ排出する。 lは電源電圧Vccとフローティング・ゲート5との間に

接続するリセット用トランジスタであり、所定タイミングのリセット信号RS
Tに同期してオンとなることによりフローティング・ゲート5を電圧Vccに
等しい電位にリセットする。 (2頁右下欄4~20行)

(3) 「〔実施例〕
20 以下本発明の一実施例を図面と共に説明する。
第1図はCCD遅延線本体の終端部分の構造と信号出力手段を示す実施例構
成図であり、第2図及び第3図は信号出力手段の詳細な回路構成を示す。
第1図において、P形半導体基板10の表面部分にN - 形不純物のイオン注
入層11が形成され、更にゲート酸化膜を介して電荷転送用のゲート電極が積
25 層されることで同図中の領域Aに埋込チャネルCCD(BCCD)が形成され、
該領域Aは遅延素子の本体部分を構成している。
(中略)
次に、信号出力手段の構成を説明するに、20はフローティング・ゲート1
7に生じる電圧を検出するポテンシャル検出回路であり、第2図に示すボルテ
ージ・フォロワ型回路または第3図に示すようなスイッチト・キャパシタ積分
5 器を備えた回路から形成されている。
即ち、第2図に示す回路にあっては、フローティング・ゲート17にゲート
接点が接続すると共にソース接点が電源端子V cc に接続するMOS型トラン
ジスタQ s 、ゲート接点にリセット信号RSTが印加されることにより該ゲー
ト接点と電源端子V c c 間を開閉するように接続されたMOS型トランジスタ
10 Q6、トランジスタQ 5のドレイン接点にソース接点が接続すると共にドレイン
接点がアース端子に接続し且つゲート接点に所定のバイアス電圧V GS が印加
されるMOS型トランジスタQ 6 を備え、更にトランジスタQ 5 のドレイン接点
がバッファ・アンプAMP1を介してアナログ・スイッチSW1に接続し、ア
ナログ・スイッチSW1の出力接点が容量素子C 1 を介してアース端子に接続
15 すると共に、バッファ・アンプAMP2を介して出力端子OUTに接続してい
る。
ここで、リセット信号RSTは所定のタイミングでフローティング・ゲート
17を電源端子V cc の電位にリセットするためにあり、アナログ・スイッチS
W1はサンプル・ホールド信号SHに同期して開閉動作することにより容量素
20 子C1にフローティング・ゲート17の電圧をサンプル・ホールドさせ、更に、
容量素子C 1 に保持された電圧をバッファ・アンプAMP2を介して出力端子
OUTに発生させることにより、フローティング・ゲート17に生じたポテン
シャルの変化を電圧の変化として出力させる。 (4頁左上欄3行~左下欄16

行)
25 (4) 「 次にかかる構成の実施例の作動を第5図のタイミング・チャート及び第
6図のポテンシャル・プロフィールに基づいて説明する。尚、第6図は第1図
の構造説明図に対応し且つ第5図の適宜の時点におけるポテンシャル・プロフ
ィールを示す。
まず、転送クロック信号φ 1 、φ2 に同期して所定周期で転送されてくる各信
号電荷を読取るために各周期の最初にフローティング・ゲート17を所定電位
5 にリセットする。例えば、或る周期における時点t 1 においてリセット信号RS
Tを一時的に“H”レベルにすることにより、第2図の回路にあってはトラン
ジスタQ 4を導通にして電源電圧Vcc(例えば、5ボルト)の電位にリセット
し、第3図の回路にあってはアナログ・スイッチSW2を導通にしてバイアス
電圧V B(例えば、3ボルト)の電位にリセットする。更に、リセット信号RS
10 Tと同位相で反転する矩形(例えば、0ボルトと5ボルト)の制御信号φ RST
により、時点t 1においては第6図(a)に示すようにゲート電極18下のポテ
ンシャル障壁を下げてフローティング・ゲート17下の不要電荷を不純物層1
9へ廃棄する。そして、リセット信号RSTと制御信号φ RST が再び“L”レベ
ルになると、フローティング・ゲート17は高インピーダンス状態で初期化電
15 位に保持され、ゲート電極18下のポテンシャル障壁は高くなる。
尚、この初期化の時点t 1 では第6図(a)に示すように、最も出力側に位置
する信号電荷q 1がゲート電極14、15下に転送され、次の信号電荷q 2 がゲ
ート電極30下に転送され、次の信号電荷q 3 がゲート電極26下に転送され
る関係になる。
20 次に、時点t 2 において、クロック信号φ 1A 及びφ2B が“L”レベル、クロ
ック信号φ 2A がマイナスの“L”レベルとなることにより、第6図(b)に示
すように、ゲート電極29、30、14、15下のポテンシャルが浅くなるの
で、信号電荷q 1 がゲート電極16下のポテンシャル障壁を越えてフローティ
ング・ゲート17下へ転送されると共に、信号電荷q 2 がゲート電極31、13
25 及び不純物層12下に転送される。その結果、フローティング・ゲート17の
電位が信号電荷q 1 に比例して変化し、第2図の回路の場合にはこのフローテ
ィング・ゲート17の電位に相当する電圧信号SC 1 がバッファ・アンプAMP
1の出力接点に発生し、第3図の回路の場合にはフローティング・ゲート17
の電位に相当する電圧が容量素子C 3 に保持されると同時に差動増幅器AMP
3の出力接点に該保持電圧に等しい電圧信号SC 1 が発生する。
5 次に、時点t 3 において、クロック信号φ 1A が“H”レベルとなることによ
りゲート電極14下に信号電荷q 2 が転送され、更に時点t 4 においてクロツク
信号φ 2B が“H”レベルとなることによりゲート電極15下へも信号電荷q 2
を転送すると同時に、クロツク信号φ 1 、φ2 に同期してBCCDより転送され
てくる次の1ピクセル分の信号電荷q 3をゲート電極29、30下へ転送する。
10 更に時点t 3 ~t4の間でサンプル・ホールド信号SHが“H”レベルとなる
ことで、第2図の回路にあっては出力信号SC 1を容量素子C 1 に保持させ、第
3図の回路にあっては出力信号SC 1を容量素子C 3に保持させ、そして夫々の
回路とも該保持電圧に比例した信号S 0を出力端子OUTに発生させる。
このようにゲート電極14、15下まで転送されている信号電荷q 1 の読出
15 しは上記時点t 1~t 4の処理で完了する。
次に、時点t 5 において、リセット信号RSTを“H”レベルにすると共に制
御信号φ RSTを“H”レベルにすることによって、第6図(d)に示すように、
ゲート電極18下のポテンシャル障壁の高さを下げると同時にフローティン
グ・ゲート17下のポテンシャルを所定の初期レベルに設定して信号電荷q 1
20 を不純物層19へ廃棄し、第6図(a)に示したのと同様に初期化が行われる。
更に時点t 5 では信号φ 1A を“L”レベルにすることにより信号電荷q 2 をゲ
ート電極15下へのみ移し、更に時点t 6 において信号φ 2B を“L”レベルと
することにより信号電荷q 2 をフローティング・ゲート17下へ転送する。
そして、時点t 6においてフローティング・ゲート17へ転送された信号電荷
25 q 2が上記信号電荷q 1 と同様に検出され、該信号電荷q 2 に相当する電圧信号
S0が出力される。このようにして信号電荷q 2の読取り処理が完了する。
尚、時点t 1 においてゲート電極26下に在った信号電荷q 3 は時点t 1~t
6 の期間中にゲート電極30下まで転送され上記同様の読出し処理がなされる。
このような作動はBCCDのクロック信号φ 1、φ 2 の周期に同期して繰り返
され、遅延した1ステージ毎の信号を出力することができる。 (5頁右下欄5

5 行~6頁右下欄18行)」
(5) 第1図
第2図
第5図
第6図
2 特開平7-161969号公報(乙6)
5 【0002】
【従来の技術】CCDにおいては信号電荷を低雑音検出及び増幅することが要求
される。CCDの電荷検出装置の代表的なものとしては、フローティング・デ
ィフュージョン・アンプ(Floating Diffusion Amplifier 以下FDAと略記)
とフローティング・ゲート・アンプ(Floating Gate Amplifier 以下FGAと
10 略記)があった。FDAは最も普及しているものであり、図9にFDAを用い
た従来のCCD装置の全体構成を示す。フォトダイオード(PD)90 に入射し
た光子は、電荷に変換されPD90 内に蓄積される。一定時間後、信号電荷はV
CCD91 に読み出され、HCCD92 を経てFDA93 に入力され、電圧として
検出される。このようなFDAでは、リセット雑音が発生するという問題があ
5 った。一方FGAには、非破壊でリセット雑音のない増幅器を実現可能である
という特徴があった。
【0004】図10は従来のFGAの寄生容量を示す図であり、フローティング
ゲート(FG)95 下に信号電荷Qが入力した場合の断面の形状を示している。
Si 基板上にゲート酸化膜 96 をはさんで、ポリシリコンによってFG95 が形成
10 される。SiO2 で絶縁膜を形成後、アルミニウムやタングステンによってバイア
スゲート 94 が形成される。この時C1は信号電荷QとFG95 間容量、C2は
FG95 とBG94 間容量、C3は信号電荷QとP型基板間の空乏層容量、C4は
FG95 と P+領域(チャンネル・ストッパとして機能)間容量、C5はMOSト
ランジスタ(以下Trと略記)の入力容量である。MOSTrはソースフォロ
15 ワ(図示せず)を構成し、信号電圧を低出力インピーダンスに変換して出力す
る。つまりFG95 は電荷検出用ゲートと初段Trのゲートを兼ねたことになる。
このような寄生容量が存在した状態で、FG95 下に信号電荷Qが入力された場
合、FG95 には(1)式にしたがってΔVだけの電圧変化が現れる。
【0007】図11は従来のFGA周辺の平面図と断面図であり、HCCD92 上
20 に形成されたゲートにφH1、φH2が印加されることにより信号電荷が転送
される。信号電荷は、アウトプットゲート(OG)97 を越えてFG95 下に転送
され、電荷電圧変換が行われる。FG95 で検出された信号電荷Qは、FDAと
同様に、リセットゲート(RG)98 によって、リセットドレイン(RD)99 に
排出される。図11より明らかなように、FG95 とOG97、RG98 がオーバー
25 ラップしている。これはφH1、φH2が印加されたゲートと同様に、FG95
を配置したためであり、FG95 とOG97 間にC6、FG95 とRG98 間にC7
の容量が新たに付加されている。したがって従来では、FGAの感度はFDA
に比較して4~5割低くなっていた。
【0032】次に、本発明の第5の実施例について、図面を参照しながら説明す
る。図5は本発明の第5の実施例におけるFGA周辺の断面図、ポテンシャル
5 図とタイミングチャートである。第5の実施例の特徴は、リセットゲートを形
成せず、リセットドレインにφH1と同相のパルスを印加することでリセット
動作を行うことにある。図5(a)は断面図であり、リセットゲートを取り除
いた構成になっている。FG30 とRD99 間には間隙が存在し、BG94 もこの
間隙を覆いつくしてはいない。この状態でのポテンシャル図が図5(b)であ
10 り、RD99 にローレベルの駆動信号(ゼロではない)が印加された場合、FG
30 とRD99 間にはポテンシャルギャップが存在する。
【0033】図5(c)はタイミングチャートであり、φH1、φRD(リセッ
トドレインに印加する信号)の関係を示している。図5(b)ではt1での状
態を実線で、t2での状態を破線で示している。t2にてハイレベル信号(V
15 3)が加えられるためポテンシャルギャップが消滅し、既に(t1)FG30 下
に転送されてきた信号電荷QはRD99 に吸収される(リセットされる)。この
時φH1、φRDは同相であるが、駆動信号のハイレベル(V2、V3)は異
なっている。従来のリセットパルス幅は、φH1のハイ期間の半分程度にする
必要があったが、第5の実施例ではφH1と同等でよいため駆動回路が簡単に
20 なる。またリセットゲートが存在しないため、余分な寄生容量を削減でき電荷
検出感度も向上する。なお第5の実施例をFDAに適用しても同様の効果が得
られるのは言うまでもない。
【0034】次に、本発明の第6の実施例について、図面を参照しながら説明す
る。図6は本発明の第6の実施例におけるFGA周辺の断面図、ポテンシャル
25 図とタイミングチャートである。第6の実施例の特徴は、OG97 に隣接するφ
H1L(HCCDの最終ゲート)に印加する信号振幅を、他のφH1に印加す
る信号振幅より大きくすることにある。
【0035】図6(a)は断面図であるが、φH1の最終段のみに別信号を加え
る構成とすることが従来と異なる。図6(c)はタイミングチャートであり、
図6(a)に示す構成の電荷検出装置に供給する信号である。また図6(b)
5 はこの時のポテンシャル図である。φH1、φH2には信号振幅がV4となる
パルスを印加し、φH1Lには信号振幅V5なるパルスが印加される(V4<
V5)。φH1Lの信号振幅が大であるため、OG97 電位を従来より低く設定
してもCCDは動作可能である。したがってBG94、FG30 の電位を下げても
動作可能であるため、リーク電流の発生は大幅に抑制され、FG電位の変動も
10 ほとんどなくなる。なお第6の実施例をFDAに適用しても動作可能なことは
言うまでもない。
【図5】
【図6】
3 特開2008-60097号公報(乙7)
【0003】
5 FD以外の主要な電荷検出方式としてフローティングゲート(以下FGという、
FDは Floating Gate の略)方式がある。FG方式は主にCCD素子の電荷検出
部として用いられていて、例えばCCD撮像素子の水平CCD終端部において、
ある電位にリセットされた電荷検出用フローティングゲート(Floating Gate)下
のCCDチャネルに信号電荷を転送することで、信号電荷量に応じてFG電位が
10 変化し、このFGが出力MOSFET(FET:Field Effect Transistor )の
ゲートに接続された構造をなしており、出力MOSFETのチャネル電流が信号
量に応じて変調されることを原理としている。本方式ではFG部リセット用トラ
ンジスタが接続されていることやFG部面積の関係から、上記FD方式にくらべ
電荷検出容量が大きくなり易く、高変換効率の電荷検出部を得られにくい。しか
しながら後段の出力部動作電圧を低く設定し易いことや非破壊読み出しである
ことから複数個のFGを並べて検出回路のSNを向上させる手段をとれる等の
メリットがある。
【0013】
5 まず、固体撮像装置の概要を、CCD型固体撮像装置を一例として説明する。
図3に示すように、固体撮像装置(CCD型固体撮像装置)1は、入射光を光電
変換する光電変換部11と、光電変換部11で光電変換して得られた電荷を垂直
転送する垂直転送部12とを備えたイメージ部13と、垂直転送された信号電荷
を出力側に水平転送する水平転送部14と、水平転送部24より出力された信号
10 電荷を電圧に変換し増幅する出力部15が備えられている。
【0014】
上記出力部15の詳細は、図1および図2に示すように、半導体基板10には、
水平転送部(例えば水平転送CCD)14が形成されている。この水平転送部1
4は、半導体基板10に形成されたチャネル領域21上に絶縁膜22を介して転
15 送ゲート23が配列された構成となっており、各転送ゲート23が図示はしない
が各垂直転送部に接続されている。上記水平転送部の出力側の半導体基板10上
には上記絶縁膜22を介して出力ゲート(水平出力ゲート)24、信号電荷検出
部25、リセットゲート26が順に形成されている。上記信号電荷検出部25は、
例えば駆動トランジスタ31で構成されている。
20 【0017】
また、上記リセットゲート26は、上記コントロールゲート35の信号電荷の
進行方向側に間隔を配して設置されていることになる。上記リセットゲート26
の上記駆動トランジスタ31とは反対側の上記半導体基板10には、リセットド
レイン27が形成されている。
25 【0018】
上記固体撮像装置1では、水平転送部14を転送された信号電荷は水平出力ゲ
ート24下のチャネル領域21を通って、コントロールゲート35下のチャネル
領域21に転送されると、信号電荷量に応じた電位変化が同チャネル領域21に
生ずる。このチャネル領域21に生じた電位変化が容量結合で駆動トランジスタ
31のチャネル32の電位を変調する。上記駆動トランジスタ31の電流−電圧
5 (I−V)特性はMOSFETの電流−電圧(I−V)特性と同様なる傾向を示す。
したがって、チャネル領域21が駆動トランジスタ31のゲート電極部として機
能する。よって、駆動トランジスタ31を流れる電流が変調を受けて信号電圧に
変換されて、ソースフォロワを通して、信号出力として外部に出力される。
【0019】
10 本実施例では、信号電荷を読み出した後に、リセットゲート26をHighに
して、チャネル領域21からリセットドレイン27に電荷の吐き出しを行う。こ
のリセット動作において、コントロールゲート35に対してLow側に電位を与
え、チャネル領域21の電位を浅くし、チャネル領域21からリセットゲート2
6への完全転送を助長する動作とすることもできる。
15 【0020】
上記固体撮像装置1では、信号電荷検出部25が水平転送部14と水平出力ゲ
ート24を介して連続して形成され、信号電荷検出部25からリセットゲート2
6への電荷転送がCCD転送(完全転送)で行われる。そのためKTCノイズや
チャージシェアリング(Charge sharing)ノイズを持たないため、高感度化が可
20 能になる。また、上記固体撮像装置1は、基本的にはFG方式の固体撮像装置の
一種であるものの、FG方式以上の高変換利得を得ることが可能である。
【図1】
【図3】

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