ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 平成31(ネ)10027 職務発明対価支払い請求控訴事件
| 裁判所 | 控訴棄却 知的財産高等裁判所知的財産高等裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 令和4年5月25日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 法令 |
特許権 |
| キーワード | ライセンス451回 実施115回 許諾21回 職務発明18回 特許権15回 優先権10回 分割9回 実用新案権2回 進歩性2回 抵触1回 無効1回 審決1回 |
| 主文 | 1 一審原告の控訴に基づき原判決を以下のとおり変更する。20 2 一審被告の控訴を棄却する。25 3 訴訟費用は第1審及び第2審を通じてこれを50分し、その1を一審 4 この判決は第1項 に限り仮に執行することができる。 |
| 事件の概要 | 1 事案の概要 本件は、一審被告の従業員であった一審原告が、在職中にした光ディスクに おけるエラー訂正技術の発明(本件発明)は職務発明であり、その特許を受け15 る権利を勤務規則等により一審被告に承継させたので、一審被告から相当対価 の支払を受ける権利があると主張して、一審被告に対し、平成16年法律第7 9号による改正前の特許法(旧法)35条3項に基づいて、相当対価の額27 8億1562万0335円の一部である30億円及びこれに対する平成27年 5月13日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで平成29年法律第44号20 による改正前の民法(以下単に「民法」という。)所定の年5分の割合による 遅延損害金の支払を求めた事案である。 |
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令和4年5月25日判決言渡
平成31年(ネ)第10027号 職務発明対価支払い請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所平成27年(ワ)第11651号)
口頭弁論終結日 令和4年3月14日
判 決
控訴人兼被控訴人(一審原告) X
(以下「一審原告」という。)
同訴訟代理人弁護士 井 上 義 隆
同 吉 浦 洋 一
被控訴人兼控訴人(一審被告) ソニーグループ株式会社
(以下「一審被告」という。)
同訴訟代理人弁護士 田 和 彦
同 佐 竹 勝 一
同 奥 村 直 樹
同 山 本 飛 翔
主 文
1 一審原告の控訴に基づき原判決を以下のとおり変更する。
一審被告は、一審原告に対し、3204万8673円及びこれに対
する平成27年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金員
を支払え。
一審原告のその余の請求を棄却する。
2 一審被告の控訴を棄却する。
3 訴訟費用は第1審及び第2審を通じてこれを50分し、その1を一審
被告の負担とし、その余は一審原告の負担とする。
4 この判決は第1項 に限り仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 控訴の趣旨
5 1 一審原告原判決を次のとおり変更する。一審被告は、一審原告に対し、10億円及びこれに対する平成27年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。2 一審被告原判決中一審被告の敗訴部分を取り消す。前項の部分につき一審原告の請求を棄却する。
第2 事案の概要等(略称は、特に断らない限り、原判決に従う。)
1 事案の概要本件は、一審被告の従業員であった一審原告が、在職中にした光ディスクにおけるエラー訂正技術の発明(本件発明)は職務発明であり、その特許を受ける権利を勤務規則等により一審被告に承継させたので、一審被告から相当対価の支払を受ける権利があると主張して、一審被告に対し、平成16年法律第79号による改正前の特許法(旧法)35条3項に基づいて、相当対価の額278億1562万0335円の一部である30億円及びこれに対する平成27年5月13日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下単に「民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。原判決は、一審原告の請求のうち、833万6319円及びこれに対する平成27年5月13日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余の請求を棄却した。これに対して、一審原告は、控訴の趣旨(前記第1の1)の限度で敗訴部分を不服として控訴をし、一審被告は、敗訴部分を全部不服として控訴をした。なお、一審原告は、当審において、職務発明の対価を求める対象特許を原判決別紙特許目録記載の5(本件特許1-5)及び6(本件特許2-1)に限定した。
5 2 前提事実次のとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」中の第2の2に記載のとおりであるから、これを引用する。(原判決の補正)4頁4行目の「5」を「7」と改め、同9行目の「本件特許2-1」から同11行目末尾まで、同22行目の「(後記第3の4 ア c参照)」及び同23行目の「(後記第3の4 ア a参照)」をそれぞれ削る。5頁21行目の末尾に行を改めて次のとおり加える。「 本件特許1-5の実施により一審被告が得たライセンス料等ア 本件ジョイントライセンスプログラムに関するライセンス料一審被告とフィリップス社は、平成2年6月から、ライセンシー候補者に対して、CD-ROM規格に基づいた製品の製造及び販売をするために必要となる特許を共同で実施許諾するライセンスプログラム(本件ジョイントラインセンスプログラム)を開始した。同プログラムにおいては、フィリップス社がライセンシーとの間の契約交渉やロイヤルティの受領等の事務を行い、その事務手数料を考慮した上でロイヤルティの配分率を決めることとされていたが、平成4年12月30日、配分率に関して両社で合意がされたため、平成5年1月以降、フィリップス社から一審被告に四半期ごとにライセンス料の配分がされるようになった。(乙51、54、68、152)本件ジョイントライセンスプログラムにおいてライセンシーが支払うライセンス料は、対象特許1件当たりについて計算されるものではなく、ある特許が標準的ライセンス契約に追加又は削除されたりしても変動しないものとされている(乙26)。平成5年度から本件特許1-5の存続期間が満了した平成17年
5 度までの間、一審被告がフィリップス社から本件特許1-5を含む対象特許のライセンス料として割り当てを受けた金額(全世界分)は、以下のとおりである。(平成5年度~平成14年度まで)製品カテゴリ ライセンス料(※)CD-ROM Disc ●●●●●●●●●●CD-ROM Drive ●●●●●●●●●●CD-R Disc ●●●●●●●●●●CD-R Drive ●●●●●●●●●●CD-RW Disc ●●●●●●●●●●CD-RW Drive ●●●●●●●●●●VideoCD Disc ●●●●●●●●●●VideoCD Drive ●●●●●●●●●●※ ●●●●●●●●●●●●(平成15年度~平成17度年まで)製品カテゴリ ライセンス料(※)CD-ROM Disc ●●●●●●●●●●CD-ROM Drive ●●●●●●●●●●CD-R Disc ●●●●●●●●●●CD-R Drive ●●●●●●●●●●CD-RW Disc ●●●●●●●●●●CD-RW Drive ●●●●●●●●●●VideoCD Disc ●●●●●●●●●●VideoCD Drive ●●●●●●●●●●※ ●●●●●●●●●●●●イ プレイステーションシリーズに関するライセンス料一審被告は、平成7年12月29日、SCEとの間で、SCEが開発し、商標「Play Station」を付して販売する家庭用ビデオゲーム・コンピュータとその関連機器、プレイステーション上で動作する家庭用アプリケーションソフトウェアでCD-RO
5 M媒体に記録されるソフトウェア、同ソフトウェアの開発のための機器等の製造及び販売に有用な一審被告が保有する特許権(本件特許1-5を含む。)及び実用新案権(出願中の各権利を含む。)の実施をSCEに実施許諾し、その対価として、同年4月1日から2年間、SCEはその純売上高の0.5%に相当する額を一審被告に支払うこと、SCEは、契約期間中、一審被告及び一審被告の指定する子会社に対し、SCEが保有する特許に基づく一切の請求権を行使しない旨を合意した(SCEライセンス契約。乙242、417)。一審被告は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●一審被告が、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●本件特許2-1の実施により一審被告が得たライセンス料等ア 各ジョイントライセンスプログラム3Cライセンスプログラム一審被告は、平成9年11月24日、フィリップス社との間で、一審被告とフィリップス社が保有するDVD規格に係る特許の実施許諾をパイオニア社と共同で行うジョイントライセンスプログラム(3Cライセンスプログラム)を締結した。同ライセンスプログラムにおいては、一審被告が保有するライセンス対象特許は、フィリップス社にサブライセンス権付でライセンスされ、フィリップ
5 ス社がライセンシーから受領したロイヤルティの一部を定められた配分率に従って一審被告に配分されることとされた(乙231)。一審被告が、3Cライセンスプログラムに関し、平成11年から平成28年6月までの間、フィリップス社から本件特許2-1を含む対象特許のライセンス料の配分として割り当てられた金額 ●●●●●●●●●●●●●●●は以下のとおりである。DVD-ROM Disc ●●●●●●●●●●DVD Video Disc ●●●●●●●●●●DVD RECORDABLE Disc(※1) ●●●●●●●●●●DVD RECORDABLE Drive(※2) ●●●●●●●●●●※1 DVD-R Disc、DVD-RW Disc、DVD+R Disc、DVD+RW Discを含む。※2 DVD-R Drive、DVD-RW Drive、DVD+R Drive、DVD+RW Driveを含む。One-Redライセンスプログラムフィリップス社、一審被告、LGエレクトロニクス及びパイオニア社により平成21年8月に設立されたOne-Red,LLCは、平成24年7月1日から、DVD製品の共同特許ライセンスの提供を開始し、同年10月15日から、DVDソフトウェア製品の共同特許ライセンスの提供を開始した(One-Redライセンスプログラム。甲177、乙198)。一審被告が、One-Redライセンスプログラムに関し、平成24年から平成28年6月までの間、One-Red,LLCから本件特許2-1を含むライセンス料の配分として割り当てられた金額は以下のとおりである。DVD-ROM Disc ●●●●●●●●●●DVD-Video Disc ●●●●●●●●●●One-BlueライセンスプログラムOne-Blue,LLCは、フィリップス社、一審被告ほか数
5 社の出資により平成21年2月に設立され、一審被告を含むライセンサー10数社により形成されたパテントプールとして、平成23年9月から、ブルーレイディスク(BD)製品の必須特許を含む特許の共同ライセンスの提供を開始した(One-Blueライセンスプログラム。甲178、乙198)。一審被告が、One-Blueライセンスプログラムに関し、平成24年から平成28年6月までの間、One-Blue,LLcから本件特許2-1を含むライセンス料の配分として割り当てられた金額は以下のとおりである。BD Recorder ●●●●●●●●●●BD Recorder Drive ●●●●●●●●●●イ プレイステーションシリーズに関するライセンス料●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●5頁22行目の「 」を「 」と、6頁9行目の「 」を「 」と、同15行目の「争いがないが」から同16行目の「争いがある。」までを「争いがない。」と、同20行目の「争いがないが」から同23行目の「争いがある。」までを「争いがない。」と、同24行目の「 」を「 」と、7頁3行目の「 」を「 」とそれぞれ改める。3 争点
5 本件特許1-5についてア 本件特許1-5に係る発明(以下「本件発明1-5」という。)により一審被告が受けるべき利益の額(争点1-1)イ 本件発明1-5について一審被告が貢献した程度(争点1-2)ウ 本件発明1-5の共同発明者間における一審原告の貢献度(争点1-3)エ 本件発明1-5についての相当対価の額(争点1-4)本件特許2-1についてア 本件特許2-1に係る発明(以下「本件発明2-1」という。)により一審被告が受けるべき利益の額(争点2-1)イ 本件発明2-1について一審被告が貢献した程度(争点2-2)ウ 本件発明2-1の共同発明者間における一審原告の貢献度(争点2-3)エ 本件発明2-1についての相当対価の額(争点2-4)本件発明1-5及び同2-1の相当対価支払請求権の消滅時効の成否(争点3)
第3 当事者の主張
1 本件特許1-5について
本件発明1-5により一審被告が受けるべき利益の額(争点1-1)(一審
(原告の主張)
ア 本件ジョイントライセンスプログラムライセンス料分配額本件ジョイントライセンスプログラムにおける本件発明1-5の貢献割合については、米国特許に係る発明を対象とする以上、独占的利益全体のうち米国分の独占的利益を算出し、これに対して米国ライセンス対象特許に対して本件特許1-5が貢献した割合で掛け合わせて一審被告が受けるべき利益の額を算出する方法(以下、この算出方法を「米国基準説」という。)を採ることが適当である。そうすると、本件発明1-
5 5の独占的利益を算定するに当たっては、本件ジョイントライセンスプ
ログラムによるライセンス料配分額について米国分に限定する必要がある。そして、米国分のライセンス料配分額を算定するに当たっては、本件ジョイントライセンスプログラムにおいて一審被告がフィリップス社から配分された製品カテゴリ別の額(ただし、全世界分)(引用に係る原判決第2の2 ア (補正後のもの))を、製造地国分(2分の1)と販売地国分(2分の1)に分けた上で、前者については全世界の15%とし、後者については全世界の25%分として算定するのが相当である。本件特許1-5の貢献割合a 平成5年度から平成14年度までフィリップス社が第三者との間においてライセンスを締結する際に使用したCD-ROMプレイヤー等に関するライセンス契約書(乙152)の1.21(ⅱ)は、CD-ROMプレイヤー規格のライセンス対象特許について、CD-ROMプレイヤーを対象とした同契約書の「別紙2」のリストに掲載された規格必須特許(ⓐ)のほか、CDオーディオプレイヤーに関する特許も含まれることを規定する。また、同条項は、CDオーディオプレイヤーのライセンス対象特許が、CDオーディオプレイヤーを対象とした同契約書の「別紙1」のリストに掲載された特許(ⓑ)と、その他関連特許(Ⓒ)であることを規定する。
ⓐに係る特許は、規格必須という性質上、本件特許1-5の貢献割
合を算定するに当たりライセンス対象特許としてカウントすべきことは当然であるが、ⓑに係る特許は、規格必須特許である本件特許1-5の貢献割合が規格非必須特許と同等に扱われる理由はないから、ⓑに係る特許は必須と非必須とに振り分け、Ⓒに係る特許は全て非必須特許に振り分けることによって、本件特許1-5の貢献割合を正当に評価すべきである。
5 次に、ⓑに係る特許は、CIRC特許(米国特許第4413340
号)及びEFM特許(米国特許第4501000号)は必須であるがそれ以外は非必須であるので、この2件は本件特許1-5を含むⓐに係る特許と同等の貢献割合として重みづけを1とし、非必須特許に振り分けたその他の特許は、大多数が各種CD関連製品の規格準拠に際して回避可能な特許にすぎないから、その重みづけとしては、ディスクはその構造がドライブに比して単純であり、その特許についても各社において選択の余地がないフォーマットに関する特許が大半を占めることから、実施に全く無関係な特許がリストに紛れ込む可能性は相対的に低いのに対し、ドライブについては、ディスクのようにフォーマットそのものに関する特許に限られず、各社において選択可能な代替技術のある特許が多数を占めることから、ライセンシーが全く実施することのない特許も多数紛れ込むことが不可避であることに鑑み、ディスクについては0.4、ドライブ(Video CD Playerはドライブ扱い)については0.1とするのが適切である。また、Ⓒに係る特許については、一審被告は別紙1の10件であると主張するが、別紙1のとおり、番号8の「光学式再生装置(米国特許4592038A)は初期のオーディオプレイヤーの一部でトラッキングエラー信号の検出手段を実施している可能性があるが、それ以外は全てディスク又はプレイヤーで実際に実施される可能性はない。以上を前提とした製品カテゴリ別における規格必須特許の寄与割合は、以下の表のとおりとなる。ただし、本件特許1-5は、CIRCでは実現できなかった高いエラー訂正を実現し、CD-ROMをコンピュータのデータストレージとして使用可能とした点で高い技術的価値があるから、ライセンス料分配金における本件特許1-5の貢献割合としては、規格必須特許1件
5 当たりの貢献割合の少なくとも3倍を認めることとし、表における貢
献割合も少なくとも3倍にして算定するのが相当である。製品カテゴリ 特許 貢献割合CD-ROM Disc ⓐ 3件
ⓑ 6件 1/6.6
Ⓒ 0件
CD-ROM Drive ⓐ 4件
ⓑ 75件 1/13.4
Ⓒ 1件
CD-R Disc ⓐ 6件
ⓑ 6件 1/9.6
Ⓒ 0件
CD-R Drive ⓐ 5件
ⓑ 64件 1/13.3
Ⓒ 1件
CD-RW Disc ⓐ 8件
ⓑ 4件 1/11.2
Ⓒ 0件
CD-RW Drive ⓐ 5件
ⓑ 64件 1/13.3
Ⓒ 1件
Video CD Disc ⓐ 6件
ⓑ 7件 1/10
Ⓒ 0件
Video CD Player ⓐ 9件
ⓑ 72件 1/18.1
Ⓒ 1件
b 平成15年度から平成17年度まで平成15年度から平成17年度までは、CD-ROMに係るライセンス対象特許としてはⓑ及びⒸはライセンス対象とされていないから、製品カテゴリ別の対象特許は上記表の各製品カテゴリ欄のⓐに記載された特許件数となるが、上記aのとおり、本件特許1-5の技術的価値に鑑みて、本件特許1-5の貢献割合はその3倍として計算されるべきである。以上を前提として、本件特許1-5に関して一審被告が本件ジョイントライセンスプログラムにおいて得た独占的利益(対象製品カテゴリ別の合計)は、別紙2のとおり、合計●●●●●●●●●●●円である。イ SCEライセンス契約
5 主位的主張
a プレイステーションシリーズにおけるプレイステーション1(以下「PS1」という。)のゲーム機本体はCD-ROMドライブ規格に、PS1のゲームディスクはCD-ROMディスク規格に、プレイステーション2(以下「PS2」という。)のゲーム機本体はCD-ROMドライブ規格にそれぞれ準拠している。PS2については、DVD-ROM規格に準拠したディスク以外にCD-ROMディスク規格に準拠したディスクも当然に再生可能であるが、PS2用のゲームディスクのうちCD-ROMディスクの販売数量はごくわずかであるため、以下の一審被告が得た独占の利益の算定には含まないものとする。本件特許1-5は、CD-ROM規格(プレイヤー、ディスク)の規格必須特許であるところ、一審被告は、フィリップス社と共に、CD-ROM規格に関して、両社が保有する規格必須特許のライセンスを行うジョイントライセンスプログラム(本件ジョイントライセンスプログラム)を実施しており、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●一審被告は、プレイステーションシリーズを製造及び販売することにより本件特許1-5を実施するSCEに対しては、ライセンス料を含め、他のライセンシーと同一のライセンス条件(非差別的なライセンス条件)でライセンスを行わなければならず、このライセンスに基づきライセンス料を取得できたはずであるから、本件特許1-5に関して一審被告がSCEライセンス契約において得た独占的利益は、このライセンス料を基に算定すべきである(以下、この算定方法を「仮想積上げ方式」という。)。なお、SCEが一審被告のグループ会社
5 であるため、本件特許1-5等の規格必須特許に関するライセンス条
件について「ある程度優遇」される旨一審被告が主張するところ、ライセンス料に80%を乗じる範囲までは許容されるものとして争わないものとするが、これを下回るライセンス料になることはない。SCEによるプレイステーションシリーズの販売は米国に限られないが、本件特許1-5が米国特許であることから米国販売分が対象となり、使用者である一審被告が受けるべき利益は、SCEが一審被告に支払うべきライセンス料(他のライセンシーと同一のライセンス条件によるライセンス料)に本件特許1-5の貢献割合を乗じることにより算定すべきである。b ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●以上を前提として、SCEによるCD-ROMプレイヤー規格に準拠したPS1とPS2それぞれのゲーム機本体価格、北米販売台数からメキシコ及びカナダの販売台数分として11%を控除した台数を基にして試算した一審被告が受けるべきライセンス料は、別紙3の表1-1と1-2のとおりであり、SCEによるCD-ROMディスク規格
5 に準拠したPS1ゲームディスクの北米販売枚数からメキシコ及びカ
ナダの販売枚数分として11%を控除した枚数を基に試算した一審被告が受けるべきライセンス料は別紙3の表2-1のとおりである(なお、PS2ゲームディスクについては、本件特許2-1のみに係る発明のため後述)。c そして、一審被告が受けるべきライセンス料における本件特許1-5の貢献割合は、前記ア のとおりであり、①平成5年度から平成14年度までについては、CD-ROMプレイヤー規格に準拠したPS1及びPS2の各ゲーム機本体は1/13.4の3倍、CD-ROMディスク規格に準拠したPS1のゲームディスクは1/6.6の3倍、②平成15年度から平成17年度までは、PS1及びPS2の各ゲーム機本体について1/4の3倍、PS1のゲームディスクについては1/3の3倍である。d 以上を前提として、本件特許1-5に関して、一審被告がSCEから受けるべきライセンス料(米国分)は、①PS1ゲーム機本体については、別紙3の表1-1の【C】欄のライセンス料合計額●●●●●●●●●●●●円に3/13.4を乗じた合計額●●●●●●●●●●●円、②PS2ゲーム機本体については、 表1-2の「2000.10.26~2002.4」、「2002.5~2003.7」の【C】欄のライセンス料合計額●●●●●●●●●●●●円に3/13.4を乗じた額●●●●●●●●●●●円と、 表1-2の 以外の【C】欄のライセンス料合計額●●●●●●●●●●●●円に3/4を乗じた額●●●●●●●●●●●●円との合計額●●●●●●●●●●●●円、③PS1ゲームディスクについては、表2-1の 「1995.9.9~2004.12.31」の【C】欄のライセンス料合計額●●●●●●●●●●●円に3/6.6を乗じた合計額●●●●●●●●●●●円と、 残期間の【C】欄
5 のライセンス料●●●●●●●円の3/3を乗じた合計額●●●●●
●●円との合計●●●●●●●●●●●円であり、合計●●●●●●●●●●●●円である。予備的主張1a 仮に、一審被告がSCEライセンス契約に基づいて受領したロイヤルティにおける本件特許1-5の貢献割合を求めて一審被告が得た独占の利益を求める手法を採る場合には、以下のとおり試算されるべきである。一審被告がSCEから受領したロイヤルティのうち米国分(全世界分の3分の1とする。)を前提として本件特許1-5の貢献割合を求めることから、カウントする特許の範囲を全世界とすることは相当ではなく、一審被告従業員〈A〉作成に係る陳述書(乙367)に記載されている「ソニー米国特許&SCE特許分類リスト2」に基づくことが適切である。そして、同リスト2に記載されている「 ソニー米国特許のうちSCEの特許と同一のIPC分類が付与されている米国特許の件数」の全期間(1995年~2016年)にわたる平均は、1万0078.36件であるので、一審被告が上記期間においてSCEライセンス契約に基づいてSCEにライセンスを許諾している特許の件数は1万0078.36件となる。もっとも、本件特許1-5等の貢献割合を算定するに当たっては、SCEから支払われるロイヤルティがSCEの売上をベースとして算定されることに鑑み、ライセンス対象特許の件数にSCEの実施率としては12.5%を乗じるべきである。この数字は、①一審被告がSCEに許諾するライセンス対象特許のうちSCEにおいて全く使用することのない特許分が75%、
②使用したものの開発段階における使用にとどまる特許分が50%と
して算出したものである((1-0.75)×(1-0.5)=0.
5 125)。そうすると、SCEから支払われるロイヤルティ●●●●
●●●●●●●●●のベースとなる一審被告保有に係る米国特許件数は、1259.795件(10078.36×0.125)である。次に、SCEライセンス契約において、SCEが一審被告にライセンスするSCE保有に係る特許について同様に調整すると、上記陳述書(乙367)によれば、SCEが保有する特許は、本件特許2-1が満了した2016年5月29日以前の案件を抽出すると2万4239件であり、米国特許に付されたIPC分類に限定すると6206件とされているが、SCEは1993年の設立であることに鑑みて、上記期間におけるSCEが保有する米国特許の件数(平均値)はその2分の1の3103件と推認する。また、このライセンス対象特許に対して乗じる一審被告における合理的な実施率は40%である。この数字は、①一審被告において全く使用することのない特許が20%、②使用したものの開発段階の使用にとどまる特許分が50%として算出したものである((1-0.2)×(1-0.5)=0.4)。実施率が一審被告保有に係る実施率より高いのは、一審被告が製造販売する製品はSCEのPSのように限定されたものではなく、多数に及んでいることから、一審被告において全く使用しない特許の割合がSCEに比べて低いことは明らかである。そうすると、SCEが保有する米国特許のうちクロスライセンス契約の対価として機能する米国特許件数は、1241.200件(3103×0.4)である。以上によれば、一審被告がSCEからSCEライセンス契約に基づいて受領したロイヤルティは、そのベースとなる双方保有の特許件数が異なることによるバランス調整金であるから、本件特許1-5の貢献割合は、「0.0537779」(=1÷(1259.795件-1241.200件)の3倍を乗じて算出するのが相当である。本件
5 特許1-5を3倍の評価とするのは、SCEライセンス契約において
SCEにライセンス許諾するライセンス対象特許は、本件ジョイントライセンスプログラムと異なり規格必須特許に限られるものではなく、規格必須特許ではない特許は回避可能という点で本件特許1-5等の規格必須特許よりも独占の利益における貢献は低いからである。b 以上を前提とすると、本件特許1-5の存続期間内の年度である平成7年度から平成16年度までSCEから一審被告に配分されたライセンス料の合計額は●●●●●●●●●●●●●円であるから、本件特許1-5により一審被告が得た独占の利益は、●●●●●●●●●●●●円である。予備的主張2a 前記 aのとおり、一審被告が保有する米国特許のうちSCEの特許と同一のIPC分類が付与されている米国特許の件数の1995年から2016年までの平均件数は1万0078.36件であり、SCEが保有する米国特許の上記期間における平均件数は3103件である。ただし、一審被告が保有する米国特許のうちSCEがPS等で実施する可能性のある件数を見積もるに当たり、1次的なスクリーニングとしてIPC分類を使用することには合理性があるといえるが、1次的なスクリーニングで除外されたのは30%であるにすぎず、こうした方法で1次的なスクリーニングを行ったとしても、SCEにおける実施に無関係な特許が多数混入している。そして、一審被告で行っている事業とSCEの事業分野や事業内容とは異なっており、ゲームの画像処理技術は汎用的な技術ではないことから、PSの開発及び製造販売を行うSCEにおいては一審被告が保有する米国特許(汎用的な技術)は原則として不要であるといえるものの、特殊な技術を必要とするPSにおいてもこれを規格準拠品と
5 するためには汎用的な技術である本件特許1-5のような規格必須特
許が必要となることは避けられない。そうすると、SCEにおいて、一審被告保有の米国特許件数とSCEが保有する米国特許件数との差(6975.36件)を構成する一審被告保有に係る特許権は、ほぼ全ては不要であるものの、本件特許1-5のような規格必須特許は必要であり、他の規格必須特許との比較においても本件特許1-5の技術的価値は高いことから、本件特許1-5の貢献割合としては、少なくとも45倍として算定(0.000143362(=1÷6975.36)×45)するのが相当である。b 以上を前提とすると、前記イ bのとおり、本件特許1-5の存続期間内の年度におけるSCEから一審被告に配分されたライセンス料の合計額は●●●●●●●●●●●●●円であるから、本件特許1-5により一審被告が得た独占の利益は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●円×0.000143362×45)である。(一審
(被告の主張)
ア 本件ジョイントライセンスプログラムライセンス分配額a ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●対象製品の製造販売行為は、米国に限らず、多くの国で行われている。本件ジョイントライセンスプログラムにおけるロイヤルティの算出は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
5 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●本件ジョイントライセンスプログラムに代表されるような包括ライセンス契約の場合、一般的には個別の特許権の発生や消滅とは関係なく法律関係が続くものであり、国境を気にすることなくロイヤルティを計算するライセンスの場合には、相当対価の算出については全世界基準で行うことが最も契約の実態に即している。したがって、一審
(原告の主張)
する米国基準説は、本件ジョイントライセンスプログラムにおける契約の実態に適合しない。b 仮に、米国基準説を採用する場合には、一審
(原告の主張)
する米国分のライセンス料配分額は争わないが、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●本件特許1-5の貢献割合a 平成5年度から平成14年度までについて一審原告が主張する、本件ジョイントライセンスプログラムにおける製品カテゴリ別の対象特許件数のうち、ⓐ及びⓑは認めるが、Ⓒについては争う。別紙1の10件の米国特許は、いずれも光ディスク記録再生技術に関係するものであり、CDオーディオプレイヤーを対象とした関連特許である。それぞれについての一審
(被告の主張)
は、別紙1の「一審
(被告の主張)
」欄に記載のとおりである。
5 次に、本件特許1-5の貢献割合は、製品カテゴリ別の対象特許間
では同価値として算定されるべきである。すなわち、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●ライセンス対象特許の重みは平等とみるべきである。一審原告は、CIRC特許とEFM特許以外の特許は、大多数がCD関連製品の規格準拠に際して回避可能な特許にすぎない旨主張するが、具体的かつ説得的な理由や客観的証拠が挙げられているわけではなく、特にディスクについては、実施に無関係な特許がリストに紛れ込む可能性は相対的に低いというのであれば、なおさら重み付けとしては各特許間で平等として考えるべきである。そもそも、標準規格特許についてライセンスを受けるライセンシーが技術上、更にはビジネス上の観点からある技術を採用することを決定した場合、当該技術に抵触する特許が存在するのであれば、当該特許の問題を解決しなければその技術を採用することができず、その特許が必須特許か非必須特許であるかをこの段階で検討、議論する意味はない。ライセンシーにとって必須特許であるか非必須特許であるかは関係なく、権利範囲との関係で判断されるのであって、一審原告が主張する必須特許と非必須特許との間で貢献割合にあえて差を設ける必要はない。b 平成15年度から平成17年度までについて対象特許件数は争わない。ただし、上記aのとおり、本件特許1-5の貢献割合は、それ以外の対象特許との間では同価値として算定されるべきである。本件特許1-5に関して本件ジョイントライセンスプログラムにおいて得た一審被告の独占的利益の額については争う。
5 イ SCEライセンス契約
主位的主張についてa ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●仮に、一審原告が主張する算定方法(仮想積上げ方式)を採用するとしても、一審原告が主張する仮想ライセンス料額は高きに失する。すなわち、一審原告は、本件ジョイントライセンスプログラムにおけるライセンス料がそのままSCEライセンス契約にも適用される前提に立つが、資本関係の全く存在しない第三者(競合他社を含む。)との関係と比較して資本関係を有するグループ会社に特許ライセンスを行う場合には、ライセンス料を始めとして条件面をある程度優遇することは当然であり、SCEとのライセンス契約が第三者と全く同じ条件でなければならないとする一審
(原告の主張)
は現実からかけ離れたものである。営利企業である一審被告としては、親子会社間のライセンス契約において、事業会社である子会社の事業が継続的に行われ、利益もあげることができるように配慮した条件を設定することは当然であって、第三者との関係とSCEとの関係を同一視する一審原告の主張は誤りである。この点、一審原告は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●ライセンス料が全ての関係当事者に適用されることを保証するものではない。b 次に、CD-ROMディスクしか再生することができないCD-RO
5 Mドライブ(プレイヤー)は、DVD-ROM規格という新たな規格が
登場することにより市場価値が大きく下がるものであり、実際、PS2のソフトの大半はDVD-ROM規格のディスクであり、CD-ROM規格のディスクはごく限られたものであったから、DVD-ROMドライブが搭載されたPS2については、CD-ROM規格による貢献はほぼないか、仮にあったとしてもその割合はごくわずかである。また、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●から、この点からも、DVDプレイヤーのライセンスにおけるCD-ROM規格に関連した特許の貢献はほぼないか、あったとしても極めて小さいものといえる。c 上記のとおり、PS2のゲーム機本体については本件特許1-5による独占の利益を考慮する必要はないが、一審原告の算定については以下の点でも問題がある。一審原告は、一審被告が受けた仮想の利益を算定するに当たり、PS1及びPS2の希望小売価格を基準とした上でこれに2%のロイヤルティ料率を掛け合わせるが、これは、PS1及びPS2をCD-ROMディスクやDVD-ROMディスクからデータを単に読み出す機能しか備えない純然たる再生専用装置としてのディスクプレイヤー(ドライブ)とみなすことを前提とするものである。しかし、PS1及びPS2ともにゲーム機として多様な機能(サウンド、コントローラ、画像処理等)を有するものであり、PS1及びPS2におけるCD-ROMディスクやDVD-ROMディスクを読み出す機能はゲーム機全体でごく一部を占めるにすぎない。電子ゲーム機分野における技術は、
5 「製造・開発技術」、「入力技術」、「出力技術」、「処理技術」、
「通信技術」、「記憶技術」、「構造技術」に分類されるが、本件特許1-5(同2-1も同様)は、これらの技術の中で「記憶技術」の「供給メディア」の更に「物理媒体」の一部の技術に関する特許であるにすぎない。一審
(原告の主張)
する算定方式は、PS1及びPS2のゲーム機として求められる多様な技術要素を無視するものであって、誤りである。仮に、仮想ライセンス料を算定するとしても、CD-ROMプレイヤーの実勢価格(市場価格)を基準として、更に工場からの出荷価格を認定する手法によって算定するべきである。次に、一審原告は、一審被告が受けた仮想の利益を算定するに当たり、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●しかし、上記ライセンス料は、あくまで1992年12月頃のフィリップス社のライセンスの実態を基準としたものであるにすぎず、個別のライセンシーとの関係で継続的に常に維持されてきたものではなく、ライセンシー側からは常に値下げ圧力がかけられる状況にあった。仮に、一審被告とSCEとの関係を一審被告と第三者との関係と同様のものとして考えるとしても、こうした値下げ圧力が継続的にかかっていることを前提として計算が行われるべきである。なお、仮想積上げ方式による場合におけるPS1及びPS2のゲーム機本体の販売台数、PS1のゲームディスクの販売枚数について米国分を割り出すに当たっては、北米分の販売台数及び販売枚数からカナダ、メキシコ分として11%を控除して計算することは争わない。d 仮に、仮想積上げ方式に基づいて仮想ロイヤルティを算出するとしても、これによって算定される仮想ロイヤルティには、CD-ROMプ
5 レイヤー規格に関するライセンスプログラムの対象特許全件が貢献し
ているものとみなされるから、本件特許1-5の貢献割合は、他の対象特許と同価値として算定されるべきである。予備的主張1についてa SCEライセンス契約において本件特許1-5の独占的利益を算定するに当たり、一審被告がSCEから得たロイヤルティのうち米国分を3分の1として算定することは争わない。また、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●こうした観点から、1995年から2016年までの間の一審被告が保有する米国特許のうち、SCEが実施する可能性のある特許についてIPC分類を用いて絞り込むと、同期間の平均値は1万0078.36件である(乙367の「ソニー米国特許&SCE特許分類リスト2」参照)。これに対し、一審原告は、SCEが現に製造販売した製品において実施されている特許の件数を基に本件特許1-5の貢献割合を算定す
5 べきであり、上記特許件数にSCEの「実施率」という数値を基に算
定する。しかし、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●また、IPC分類を用いた特許件数の絞り込みは、一審被告保有の米国特許全体からSCEによる実施の蓋然性が高いものを考慮しており、これに加えて「実施率」を乗じて一審被告による許諾件数の対象特許件数を絞り込むことは二重の絞り込みに等しい。なお、一審原告が主張する「実施率」については、何ら客観的な根拠が示されていない。c ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●同契約
5 が締結された当時、SCEが保有する特許はほぼ零であり、SCEの
設立以降、年間の特許出願件数は全世界でみても100件程度であるのに対し、一審被告は年間で1万件の特許出願件数であり、また、一審被告の事業とSCEの事業の分野や事業内容とが異なっていること等からすると、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●になっているものの、実態としてSCE特許は付加的な存在にすぎず、事業的にみても、一審被告側がSCEの特許を利用するという事態はほとんどあり得ない。SCE側から一審被告に対して提供されているとみることができる特許件数(実施率)は、上記の実態を踏まえると1%を超えることはなく、1995年から2016年までにおけるSCEが保有する米国特許の平均値3103件の1%である31.03件である。そして、包括クロスライセンス契約は、相手方の有するいずれの特許にも制限されることなく設計の自由度を高め、特許に係る紛争を未然に防止するという趣旨からして、通常は対象特許となる個々の特許の価値に着目して締結されるものではないから、ライセンス交渉の過程において提示特許となったり代表特許となったりするような特殊な事情がない限り、個々の特許についての貢献割合は均等なものとして評価されるべきである。また、多岐にわたるSCEの事業との関係に鑑みても、SCEが用いる技術には多くの重要な要素技術が存在するから、本件特許1-5の価値を他の特許と比較して過大に見積もることは相当ではない。予備的主張2について前記 のとおり、一審被告が保有する米国特許のうち、SCEの特許と同一のIPC分類が付与されている米国特許の件数の1995年から2016年までの平均件数は1万0078.36件であり、SCEが保有する米国特許の上記期間における平均件数は3013件であるが、一
5 審被告がSCE保有の米国特許を実施する可能性は1%を超えることは
ない。そして、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●なお、一審原告は、本件特許1-5の貢献割合が他の規格必須特許よりも高いことの理由として、PSの開発及び製造販売を行うSCEにおいて一審被告が保有する米国特許(汎用的な技術)は原則として不要である旨を挙げるが、汎用的な技術(例えば、一審被告が保有する半導体に関する技術)はプレイステーションのような特殊な製品を用いる場合には必要とされるが、この逆であるプレイステーション特有の技術は一審被告において必要とされるものではなく、一審原告の上記主張は、汎用的な技術と特殊な技術に関する理解を誤ったものである。本件発明1-5について一審被告が貢献した程度(争点1-2)次のとおり、当審における補充主張を追加するほかは、原判決の第2の4
(原告の主張)
ア及び
(被告の主張)
ア及びイ(ただし、18頁20行目、同21行目、19頁4行目、同7行目、同14行目及び同16行目の各「原告主張職務発明1」を「本件発明1-5」と、21頁16行目の「本件特許1-5」を「本件発明1-5」とそれぞれ改める。)のとおりであるから、これを引用する。(一審原告の補充主張)CD-ROM規格が一審被告とフィリップス社が主導して定めた規格である限度で一審被告に貢献度があったことは事実であるが、これを原判決のように過大視して95%とすることは誤りである。一審被告がフィリップス社からエラー訂正の導入に関する提案を受けて同
5 社に提示することができた一審被告案は、一審原告が完成させた本件発明1
-5のみである。フィリップス社に提示することが可能な他の案を用意することができたならば、当時、別プロジェクトに所属し、その上司から一審被告案を検討することについて猛烈に反対されたことを受け、会社設備を利用することができず、発明の完成のために就業時間を利用することもできない一審原告に対して本件発明1-5の完成を求める必要はない。そして、一審原告が本件発明1-5を完成させることができなければ、フィリップス社案が規格に採用され、結果として、一審被告はライセンサーとしての立場が弱いものにならざるを得なかったはずである。本件発明1-5が規格に採用されたのは、政治的な意味合いによるものではなく、本件発明1-5の技術的優位性からフィリップス社の提案を退けることができたからである。原判決は、本件発明1-5は一審被告の研究開発の成果であるCIRCを基礎とするものであり、一審被告に蓄積された先行技術を活用して完成された面がある旨説示するが、CIRCと本件発明1-5は少なくとも3点において構成が大きく異なっており、両者は別個の技術であるから、上記説示は、技術的にみて明白な誤りである。次に、原判決は、本件発明1-5に関し、セクタ(ブロック内)でエラー訂正を完結させるアイデア自体は、一審原告が〈B〉からエラー訂正方法の検討を依頼される以前の段階でフィリップス社から提案されたものであり、一審被告が提案した訂正方式の具体的な数値そのものが本件発明1-5となっているわけではない旨説示する。しかし、セクタ(ブロック内)でエラー訂正を完結させるというアイデアはエラー訂正に関する自明の技術であるにすぎないから、こうした抽象的なアイデア自体に格別の価値を見出すことはできず、また、このようなアイデアがフィリップス社から提案されたとする証拠は、〈B〉の陳述書(乙132)の記載しかないところ、〈B〉は、一審原告が繰り返し求めた証人尋問に応じておらず、むしろ一審原告がこうし
5 た提案をしたとの事実を誤認しているというほかない。これらの点を措くと
しても、フィリップス社の提案を退けることができたのは、一審原告において完成させた具体的な数値を踏まえた訂正方式が技術的優位性を有していたからであり、この具体的な数値がCD関連製品に関する規格として採用されたのであって、一審被告の従業員において、そのエッセンスからなる発明を本件特許1-5の独立請求項としてクレームしたからといって一審被告の貢献を導くことができるものではない。また、原判決は、フィリップス社の従業員である〈C〉氏が発明者として名を連ねていることをもって本件発明1-5はフィリップス社のアイデアの下で一審被告とフィリップス社が協議を重ねて完成されたものであると認定するが、そうした事実はない。フィリップス社作成のレター(乙57)の8枚目)に「私たちは、一つの追加があるが、ソニー提案がベストな選択だと思う。」(甲237の2の訳文による。)と記載されているとおり、フィリップス社がエラー訂正に関する一審被告案を受け入れたのであって、協議を重ねて完成させたものではない。〈C〉氏が本件特許1-5の発明者に名前を連ねているのは、〈C〉氏が一審被告案における12バイトの空き部分にCRC(巡回冗長検査符号。エラー検出符号の1つ)を使用するという提案を行い、本件特許1-5の請求項4に規定されたからにすぎない。さらに、原判決は、標準規格としてのCD-ROMの普及に当たって、規格のプロモーション、ライセンシング、事業化が、一審被告の主導と経済的出捐の下で行われた旨説示するが、実質的に規格のプロモーションを行った主体はマイクロソフトやアップル等の米国企業であって、一審被告ではなく、日本においても、富士通、日本電気(NEC)がCD-ROMを標準搭載したワープロやパソコンを製造販売するなど積極的に開発投資したのであり、ライセンシングの主体はフィリップス社であって一審被告ではないから、原判決の認定には誤りがある。
5 以上のとおり、CD-ROMの規格化に成功したのは、本件発明1-5の技
術的価値によるものであり、別プロジェクトに所属していた一審原告が会社設備を利用することなく、就業時間を利用することもなく発明を完成させたという事実を踏まえると、一審被告の貢献度は、75%を上回ることはない。(一審被告の補充主張)本件特許1-5は、いわゆる標準規格に関連する特許であり、こうした標準規格関連特許に係る発明については、質的に異なる使用者貢献度が認定されるべきであって、原判決が認定した一審被告の貢献度95%は低きに失するものであり、①本件発明1-5がされる前から一審被告社内では、CD-DAの開発等を通じて光ディスクに関する豊富な知見や技術の蓄積が存在しており、本件発明1-5はCIRCの研究が大きく貢献しているところ、CD-DAをコンピュータのメモリに用いるという発想自体が1983年の段階でアイデアとして存在していたこと、②本件特許1-5は、二重特許を回避するために本件特許1-3の存続期間の一部を放棄するターミナル・ディスクレイマーが提出された特許であり、ターミナル・ディスクレイマーが付された特許については両特許を分離して移転することができず、また、本件特許1-3はその再発行特許である本件特許1-4の登録により放棄されたものとみなされることから、本件特許1-4と本件特許1-5は実質的には同じ発明を保護していることになるため、本件発明1-5には独自の技術的価意義はなく、ライセンス等に対する独自の貢献は存しないこと、③CD-ROMの市場が拡大した要因としては、専ら一審被告(及びフィリップス社)の営業と標準規格化、ライセンシングのための多大な努力と費用投資に帰するものであり、市場拡大に対する貢献や研究開発費の負担という点からみて一審原告の貢献はほぼ存在しないこと、④発明の権利化において一審原告の貢献は存在しないこと、⑤一審被告は、本件特許1-5を含むCD-ROMに関連した特許のライセンスについて開放的なライセンスポリシーを採用してお
5 り、これによりCD-ROM全体としての市場が広がり、一審被告が受領する
ライセンス料が膨らんだこと等の事情を考慮すると、本件発明1-5の使用者利益に対する一審被告の貢献度は少なくとも99%として認定されるべきである。エラー訂正技術等の個別要素技術に関する発明ができただけでCD-ROM規格のようなビジネスが成功するわけではない。実際に標準規格ビジネスを立ち上げるために市場を創造し、収益化にまで至らせるためには膨大な投資や多くの人々の協力や努力が必要であり、さらに、市場を拡大しつつ市場での優位を確保するための綿密な戦略や計画を立てて行く必要があるが、これらの点については一審原告の貢献はない。一審
(原告の主張)
は、ビジネス面における一審被告の多大な貢献を無視したものである。なお、一審原告は、同人が本件発明1-5を完成させることができなければ、フィリップス社案が規格に採用され、結果として、一審被告はライセンサーとしての立場が弱いものにならざるを得なかった旨主張するが、フィリップス社が受領したロイヤルティの一審被告の配分率決定の経緯において、特定の特許が着目されたということはないから、一審
(原告の主張)
は理由がない。本件発明1-5の共同発明者間における一審原告の貢献度(争点1-3)次のとおり、当審における補充主張を追加するほかは、原判決の第2の4
(原告の主張)
及び
(被告の主張)
各ア(ただし、22頁3行目、同4行目及び同5行目から同6行目にかけての各「原告主張職務発明1」を「本件発明1-5」とそれぞれ改める。)のとおりであるから、これを引用する。(一審原告の補充主張)原判決は、本件発明1-5の発明者は一審原告、〈B〉、〈D〉及び〈C〉の5名であり、特段の事情のない限り、発明に対する貢献の程度は均等であるとして、本件発明1-5の共同発明者間における一審原告の貢献度を2
5 5%と判断した。
しかし、特許出願の願書に発明者として記載されているからといって直ちに発明者であるとみなすことはできないことは多数の裁判例が説示するところであり、発明者と認められるためには、特許請求の範囲の記載に基づいて定められた技術的思想の創作行為に現実に加担したことが必要であるところ、一審原告以外の一審被告の従業員(〈B〉、〈D〉、〈E〉)は本件発明1-5の創作行為に関与していない。本件発明1-5は、一審原告の単独発明であるが、特許出願の願書に一審原告以外の者が記載されていることをもって共同発明であると認定されるとしても、一審原告以外の者は何らの貢献も認められないから、共同発明者間における一審原告の貢献度については50%を下回ることはない。(一審被告の補充主張)一審原告は、一審原告以外の〈B〉、〈D〉、〈E〉を共同発明者として認定することは誤りである旨主張するが、特許出願申込書(乙57) 〈B〉には 、一審原告、〈D〉の3名が挙げられており、発明報告書(乙57)をみても、最終頁には〈B〉が書いたメモまで残されていることを始め、〈B〉の発明者性を裏付ける記載が至るところにある。さらに、「打合手続担当及経過表」(乙58)には出願人の説明者として〈D〉の名前が明記されているのに対して、一審原告の氏名は挙げられておらず、同じく「受付 No.84011554」に関する「打合手続担当及経過表」(乙59)も説明者は〈B〉である。一審被告においては、特許出願に当たっての出願担当弁理士に対する説明は、その性質上当然であるが、発明について最もよく知る発明者が行っているところ、このような重要な説明に全く立ち会ってもいない一審原告の共同発明者間の貢献度は、どれだけ高くても共同発明者の人数での等分割合を超えるものではない。本件発明1-5についての相当対価の額(争点1-4)
5 (一審
(原告の主張)
本件特許1-5により一審被告が受けるべき利益額は、本件ジョイントライセンス契約について合計●●●●●●●●●●●●円であること、SCEライセンス契約について、主位的主張によれば合計●●●●●●●●●●●●円であること、予備的主張1によれば合計●●●●●●●●●●●●円であること、予備的主張2によれば合計●●●●●●●●●円であること、本件発明1-5に対する一審被告の貢献度は多くても75%であること、共同発明者間における一審原告の貢献度は少なくとも50%であることからすると、一審原告が一審被告から受けるべき本件発明1-5の特許を受ける権利の持分に係る相当対価の額は、主位的主張によれば●●●●●●●●●●●円、予備的主張1によれば●●●●●●●●●●●円、予備的主張2によれば●●●●●●●●●●●円となる。(一審
(被告の主張)
一審
(原告の主張)
は争う。
2 本件特許2-1について
本件発明2-1により一審被告が受けるべき利益の額(争点2-1)(一審
(原告の主張)
ア 各ライセンスプログラム3Cライセンスプログラム、One-Redライセンスプログラム、One-Blueライセンスプログラムについて一審被告が本件特許2-1を含むライセンス料の配分として割り当てられた金額は、引用に係る原判決第2の2 ア(補正後のもの)のとおりであり、ライセンス料配分額(全世界)のうち米国分は25%である。本件特許2-1は米国特許であるから、本件特許1-5の場合と同様に米国基準説に立って、各ライセンスプログラムにおける本件特許2-1の貢献割合は、各ライセンスプログラムにおける規格必須特許(対象
5 特許)のうち一審被告が保有する各規格の規格必須特許(米国特許)の
件数分の1(具体的には以下の表のとおりである。)に、本件特許2-1の技術的価値に鑑みて更にその2倍として算定するのが相当である。米国特許件数 貢献割合3CライセンスプログラムDVD-ROM Disc 8 1/8DVD Video Disc 23 1/23DVD RECORDABLE Disc 19 1/19DVD RECORDABLE Drive 25 1/25One-RedライセンスプログラムDVD-ROM Disc 3 1/3DVD Video Disc 15 1/15One-Blueライセンスプログラム255(うち5件がBD Recorder 5/255本件特許2-1)132(うち5件がBD Recorder Drive 5/132本件特許2-1)以上を前提として、本件特許2-1により一審被告が得た独占的利益を算定すると、以下のとおりである。3CライセンスプログラムDVD-ROM Disc ●●●●●●DVD Video Disc ●●●●●●DVD RECRDABLE Disc ●●●●●●DVD RECRDABLE Drive ●●●●●●One-Red ライセンスプログラムDVD-ROM Disc ●●●●●●DVD Video Disc ●●●●●●One-Blue ライセンスプログラムBD Recorder ●●●●●●BD Recorder Drive ●●●●●●●●●●●●イ SCEライセンス契約主位的主張a PS2のゲームディスクは、DVD-ROM規格にも準拠しており、また、プレイステーションシリーズにおけるプレイステーションポー
5 タブル(以下「PSP」という。)のゲームディスクは、DVD-RO
M規格を流用したUMD-ROMディスク規格に準拠している。なお、PS2のゲーム機本体は、DVD-ROMドライブ規格にも当然適合するが、本件特許2-1の技術的範囲等に照らし、上記各ディスクのみを対象とする。本件特許1-5の場合と同様に(前記1 (一審
(原告の主張)
イ参照)、一審被告は、フィリップス社及びパイオニア社と共同で、DVD-ROM規格に関して各社が保有する規格必須特許のライセンスを行うジョイントライセンスプログラム(3Cライセンスプログラム)を提供しており、同プログラムのライセンシーが支払うライセンス料は他のライセンシーとの関係において非差別的であることが規定されているから、一審被告は、プレイステーションシリーズを製造及び販売することにより本件特許2-1を実施するSCEに対しては、ライセンス料を含め、他のライセンシーと同一のライセンス条件(非差別的なライセンス条件)でライセンスを行わなければならない。SCEによるプレイステーションシリーズの販売は米国に限られないが、本件特許2-1が米国特許であることから米国販売分が対象となり、使用者である一審被告が受けるべき利益は、SCEが一審被告に支払うべきライセンス料(他のライセンシーと同一のライセンス条件によるライセンス料)に本件特許2-1の貢献割合を乗じることにより算定すべきである。b 前記3Cライセンスプログラムでは、各種DVD規格のうちDVD-ROM規格の準拠品をライセンシーが自ら又はその関連会社を通じて販売した場合にフィリップス社に支払うライセンス料は、DVD-ROMディスク1枚当たり5セント(0.05ドル)であり、ライセンシーが支払ったライセンス料のうちDVD-ROMディスク1枚当た
5 り最低●●●●●●●が一審被告保有に係る規格必須特許分としてフ
ィリップス社から一審被告に分配されていたから、SCEによるDVD-ROM規格の準拠品のうちPS2(ゲームディスク)の米国販売分について一審被告がSCEから支払を受けるべきライセンス料は、DVD-ROMディスク1枚につき●●●●●●●である。以上を前提として、SCEによるDVD-ROM規格に準拠したPS2ゲームディスクの北米販売枚数からメキシコ及びカナダの販売枚数分として11%を控除した枚数を基にして試算した一審被告がSCEから支払を受けるべきライセンス料は、別紙3の表3-1のとおり、●●●●●●●●●●●●円である。また、SCEによるUMDディスク規格(DVDディスク規格を流用)に準拠したPSPゲームディスクの北米販売枚数からメキシコ及びカナダの販売枚数分として11%を控除した枚数を基にして試算した一審被告がSCEから支払を受けるべきライセンス料は、別紙3の表3-2のとおり、●●●●●●●●●●●円である。c 本件特許2-1は、DVD-ROMディスク規格及びUMD-ROMディスク規格の規格必須特許である。そして、3Cライセンスプログラムにおいて一審被告が保有するDVD-ROMディスクの規格必須特許は、前記ア のとおり、全特許68件のうち米国特許は8件であるが、本件特許2-1の技術的価値に鑑みて、本件特許2-1の貢献割合は、PS2ゲームディスク及びPSPゲームディスクについてそれぞれ8分の2とするのが相当である。d 以上によれば、SCEによるDVD-ROMディスク規格の準拠品であるPS2ゲームディスク及びPSPゲームディスクの米国販売分を対象とした本件特許2-1に関する一審被告が受けるべき利益の額は、表3-1、3-2の金額をそれぞれ4で割った合計額●●●●●
5 ●●●●●●円である。
予備的主張1仮に、一審被告がSCEライセンス契約に基づいて受領したロイヤルティにおける本件特許2-1の貢献割合を求めて一審被告が得た独占の利益を求める場合は、本件特許1-5の場合と同様に(前記1 (一審
(原告の主張)
イ 参照)、SCEライセンス契約においてSCEにライセンス許諾するライセンス対象特許は、規格必須特許に限られるものではなく、本件特許2-1等の規格必須特許よりも独占の利益の貢献が低いことから、「0.0537779」(=1÷(1259.795件-1241.200件)に、本件特許2-1の技術的価値に鑑みて、その2倍を乗じて算出するのが相当である。これを前提として、本件特許2-1の存続期間内の年度である平成10年度から平成28年度までSCEから一審被告に支払われたライセンス配分の合計額は●●●●●●●●●●●●●円であるから、本件特許2-1により一審被告が得た独占の利益は●●●●●●●●●●●●円である。予備的主張2前記1 イ のとおり、一審被告が保有する米国特許件数とSCEが保有する米国特許件数の差(6975.36件)を基にして、実施率という概念を用いることなく本件特許2-1の貢献割合を求める場合は、本件特許2-1が規格必須特許であり、他の規格必須特許と比較しても技術的価値が高いことに鑑みて、貢献割合としては、少なくとも30倍として算定するのが相当である。そして、本件特許2-1の存続期間内の年度にSCEから一審被告に支払われたライセンス料の合計額は●●●●●●●●●●●●●円であるから、本件特許2-1により一審被告が得た独占の利益は●●●●●
5 ●●●●●●円である。
(一審
(被告の主張)
ア 各ライセンスプログラム3Cライセンスプログラム、One-Redライセンスプログラム、One-Blueライセンスプログラムについて、一審被告が本件特許2-1を含むライセンス料として割り当てられた金額、ライセンス料配分額(全世界)のうち米国分が25%であることは争わない。ただし、3Cライセンスプログラムについては、本件ジョイントライセンスプログラムにおけるのと同様に、訴訟関係費用分を計算対象となるライセンス料から控除すべきである。各ライセンスプログラムにおける対象特許のうち米国特許の件数は争わないが、各ライセンスプログラムにおける本件特許2-1の貢献割合については、本件特許2-1とそれ以外の対象特許との間では同価値として算定されるべきである。本件特許2-1に関して一審被告が各ライセンスプログラムにおいて得た独占的利益の額については争う。イ SCEライセンス契約主位的主張について本件特許2-1に関して一審被告がSCEから得た独占的利益を仮想積上げ方式により算定することについての問題は、本件特許1-5に関して前記1
(被告の主張)
イ で述べたところと同旨である。仮に、現実を無視した仮想積上げ方式が採用される場合であっても、DVD-ROMディスクの規格準拠品の1枚当たりのロイヤルティは、例えば6Cライセンスのウェブサイトをみても時を追うごとにロイヤルティレートが下落しており、そのような下落を加味した調整がされるべきである。なお、本件特許2-1は、DVD-ROMディスク及びUMD-ROMデ
5 ィスクの各規格において実施されていることは争わない。
予備的主張1及び2について本件特許1-5に関して前記1
(被告の主張)
イ 及び で述べたところと同旨である。本件発明2-1について一審被告が貢献した程度(争点2-2)次のとおり、当審における補充主張を追加するほかは、原判決の第2の4
(原告の主張)
イ及び
(被告の主張)
のア及びウ(ただし、19頁18行目、同19行目、同25行目、20頁1行目、同1行目から2行目にかけて、同3行目及び同4行目の各「原告主張職務発明2」を「本件発明2-1」とそれぞれ改める。)のとおりであるから、これを引用する。(一審原告の補充主張)本件発明2-1は、DVDフォーマットに関する争いにおいて完全に株式会社東芝(以下「東芝」という。)側に主導権を奪われ、不利な立場にある一審被告のために、業務とは無関係に、一審原告が主導して、他の技術者を巻き込んで完成させた発明である。結果として、一審原告のもくろみどおりに東芝側がDVD規格として採用していた構成にうまく当てはめたことによって、本件特許2-1をライセンス対象特許として東芝側が受け入れざるを得ない状況とすることができ、一審被告は、DVD規格においてもライセンサーとしての地位を確保することができたのである。ちなみに、One-Redライセンスプログラムにおいて作成されたDVD-ROM規格に関するライセンス対象特許リスト(乙173)のうち一審被告保有に係る米国特許は、本件特許2-1とEFMプラス特許のみであり、一審被告は、本件特許2-1がなければ東芝側に受け入れてもらったEFMプラス特許のみをライセンス対象特許とした弱い立場のライセンサーに陥らざるを得なかった。なお、原判決は、DVD規格のプロモーション、ライセンシング、事業化が一審被告の主導と経済的出捐のもとで行われた旨説示するが、東芝やパナ
5 ソニック等の企業が積極的に主導して規格のプロモーション、ライセンシン
グ、事業化を進めたのであり、DVD規格の統一において東芝側に大幅に譲歩した一審被告は、こうした活動にはむしろ消極的で、格別の貢献等を行っていないから、原判決の判断には誤りがある。こうした事情に鑑みれば、一審被告は原判決が認定した95%にも及ぶ貢献をしておらず、一審被告の貢献度は75%を上回ることはない。(一審被告の補充主張)原判決は、本件発明2-1について一審被告の貢献度を95%と認定したが、低きに失するものである。すなわち、①一審被告社内では、CD-ROMの開発後も、MPEG1を使った光ディスク、ビデオCDやCD-I FMVが既に存在する中でMPEG2を使って圧縮された動画を記録したディスク規格の開発がDVD(MMCD)の開発に先行又は並行して進められており、本件発明2-1にはこうした開発を通した技術の蓄積があること、②本件特許2-1は、対応する日本特許出願の拒絶査定で判断されているように、その本質的特徴は特開昭61-182676号公報(乙66)に記載された発明に開示されており、その技術的価値は大きなものではなく独占力が弱いこと、③一審被告は、DVD規格においても多額の研究開発への投資や生産のための設備投資を行うとともに、プロモーションについても多額の投資を行っていること、④発明の権利化に対して一審原告の貢献が存在しないこと、
⑤ライセンス交渉時における一審原告の貢献は存在しないこと、⑥一審被告
は、本件特許2-1を含むDVD規格について開放的なライセンスポリシーを採用しており、これにより全体としての市場が拡大して一審被告が受領するライセンス料も膨らんだこと等の事情を考慮すると、本件発明許2-1の使用者利益に対する一審被告の貢献割合は少なくとも99%として認定されるべきである。なお、一審原告は、本件発明2-1は、業務とは無関係に一審原告が主導
5 して他の技術者を巻き込んで完成させた旨主張するが、そうした事実はない。
また、一審原告は、一審被告が規格のプロモーション等において格別の貢献等を行っていない旨主張するが、こうした事実を裏付ける証拠はない。一審被告は、各種活動等を通じて規格のプロモーションに大きく貢献しており、一審
(原告の主張)
は理由がない。本件発明2-1の共同発明者間における一審原告の貢献度(争点2-3)次のとおり、当審における補充主張を追加するほかは、原判決の第2の4
(原告の主張)
及び
(被告の主張)
の各イ(ただし、22頁10行目及び同11行目の各「原告主張職務発明2」を「本件発明2-1」とそれぞれ改める。)のとおりであるから、これを引用する。(一審原告の補充主張)原判決は、本件発明2-1の発明者は一審原告、〈F〉及び〈G〉の3名であり、特段の事情のない限り、発明に対する貢献の程度は均等であるとして、共同発明者間における一審原告の貢献度を33%であると判断した。しかし、発明者として認定されるような創作行為に現実に加担していない〈G〉は、本件発明2-1の発明者ではなく、この点は一審被告も認めるところである。また、〈F〉については、一審被告の従業員の立場であるにもかかわらず、一審被告がその陳述書すら証拠として提出することができなかったという事実からしても、本件発明2-1に対する実質的な貢献がないことは明らかである。〈F〉は、一審原告が具現化した本件発明2-1の着想から基本構成についてその詳細化をブレインストーミングで協力した程度であるから、一審
(被告の主張)
に沿った内容の陳述書の作成を拒否したことは当然である。したがって、本件発明2-1が一審原告、〈F〉及び〈G〉の共同発明であると扱うにしても、〈F〉には実質的な貢献はなく、〈G〉は単に特許出願の願書に記載されただけで貢献は皆無であることから、共同発明者間の一
5 審原告の貢献度が50%を下回ることはない。
(一審被告の補充主張)本件発明2-1が共同発明ということであれば、当然のことながら、本件発明報告書1及び同3に発明者として記載されている〈F〉の貢献度は高く認定されるべきである。なお、一審被告は、〈G〉が共同発明者でないと主張したことはない。本件発明2-1についての相当対価の額(争点2-4)(一審
(原告の主張)
本件発明2-1により一審被告が受けるべき利益額は、各ライセンスプログラムについて合計●●●●●●●●●●●円であること、SCEライセンス契約について、主位的主張によれば合計●●●●●●●●●●●円であること、予備的主張1によれば合計●●●●●●●●●●●●円であること、予備的主張2によれば合計●●●●●●●●●●●円であること、本件発明2-1に対する一審被告の貢献度は多くても75%であること、共同発明者間における一審原告の貢献度が50%を下回らないことからすると、一審原告が一審被告から受けるべき本件特許2-1の特許を受ける権利の持分に係る相当対価の額は、主位的主張によれば●●●●●●●●●●●円、予備的主張1によれば●●●●●●●●●●●円、予備的主張2によれば●●●●●●●●●●●円となる。(一審
(被告の主張)
一審
(原告の主張)
は争う。
3 本件発明1-5及び同2-1の相当対価支払請求権の消滅時効の成否(争点
3)(一審
(被告の主張)
ア 本件発明1-5に係る相当対価支払請求権の時効消滅本件発明1-5について、その特許を受ける権利を譲渡した当時の被
5 告発明考案規定5条1項及び2項には、特許登録を受け、かつ、実施又
は実施許諾された発明について、一審被告の経営会議による審査で特に顕著な効果があったものと認められる場合には、発明者に特別表彰が支給される旨が規定されていたから、本件発明1-5に係る相当対価支払請求権の消滅時効の起算点は、特許権が設定登録された時点と発明又は実施許諾された時点のうちいずれか遅い時点となる。本件特許1-5は、平成3年3月5日に登録されたところ、一審被告は、遅くとも平成2年までに本件特許1-5の請求項7に記載の発明を実施するCD-ROMドライブの製造販売を開始し、平成2年頃までに本件特許1-5の請求項1及び5に記載の発明を実施するCD-R記録ドライブの製造販売を開始したから、本件発明1-5に係る相当対価支払請求権の消滅時効の起算点は、平成3年3月5日であり、同請求権の消滅時効は、同日から10年が経過した平成13年3月5日に完成した。一審被告は、一審原告に対し、平成27年8月31日の原審第1回弁論準備手続期日において、本件発明1-5に係る相当対価支払請求権について消滅時効を援用する旨の意思表示をした。イ 本件発明2-1に係る相当対価支払請求権の時効消滅本件特許2-1が設定登録されたのは平成10年9月8日であり、当時施行されていた被告発明考案規定6条では、工業所有権の登録を受けた発明の実施又は実施許諾によって特に顕著な功績が認められた場合には、審査の上で報奨金を支給する旨が規定されていたから、本件発明2-1に係る相当対価支払請求権の消滅時効の起算点は、特許権が設定登録された時点と発明又は実施許諾された時点のうちいずれか遅い時点となる。一審被告は、遅くとも平成16年10月9日までに、本件特許2-1の請求項1ないし7に記載の発明を実施するDVD-RAM記録装置の
5 製造販売を開始したから、本件発明2-1に係る相当対価支払請求権の
消滅時効の起算点は、実施日である平成16年10月9日であり、当該請求権の消滅時効は、同日から10年を経過した平成26年10月9日に完成した。一審被告は、一審原告に対し、平成27年11月14日の原審第2回弁論準備手続期日において、本件特許2-1に係る相当対価支払請求権について消滅時効を援用する旨の意思表示をした。債務承認又は援用権の喪失についてア 一審原告は、後記のとおり、本件発明1-5及び同2-1に係る相当対価支払請求権については、債務の一部弁済により時効援用権の喪失又は債務承認による時効の中断によって時効により消滅していない旨主張するが、以下のとおり理由がない。平成18年支払がされた当時の被告発明考案規定(平成17年4月1日施行)では、平成9年度以降の実施等に関する報奨の対象となった発明は5年後に実施等に関する報奨の審査を再度受けることができる旨規定されており、当該規定に基づく実施等に関する報奨は、その対象と当該報奨時までに区切った上でそれまでの貢献に対して支払われるものであったから、平成18年支払は、支払の前年末日までの平成17年12月31日までの貢献分に対するものであり、平成18年1月1日以降に得られた利益に関する相当対価支払請求権に係る債務の承認とはならない。そして、一審被告は、平成17年12月31日までの貢献として十分な金額であると認識して●●●円を支払ったのであり、旧法35条4項でいう相当な対価として足りないとの認識を有していなかったから、一部弁済には当たらず、平成17年12月31日までに一審被告が得た利益に基づく相当対価支払請求権についての債務の承認にも当たらない。したがって、一審被告は、本件発明1-5に係る相当対価支払請求権
5 についての時効援用権を喪失していない。
また、平成16年支払がされた当時の被告発明考案規定(平成16年4月1日改正)では、前記 と同様に、5年後に実施等に関する褒賞の審査を再度受けることができる旨規定されており、当該規定に基づく実施等に関する褒賞は、その対象を当該褒賞時までに区切った上でそれまでの貢献に対して支払われるものであったから、平成16年支払も、支払の前年末日までの平成15年12月31日までの貢献分に対するものであり、平成16年1月1日以降に得られた利益に関する相当対価支払請求権の債務の承認とはならない。そして、一審被告は、平成15年12月31日までの貢献として十分な金額であると認識して50万円を支払ったのであり、旧法35条4項でいう相当対価として足りないとの認識を有していなかったから、一部弁済には当たらず、平成15年12月31日までに一審被告が得た利益に基づく相当対価支払請求権についての債務承認にも当たらない。したがって、本件発明2-1に係る相当対価支払請求権について消滅時効は中断していない。イ 原判決は、一審被告の発明考案規定には、平成9年度以降に実施報奨の対象となった発明については5年後に再審査を受けることができる旨の記載があり、平成16年支払及び平成18年支払当時、一審被告は、実施報奨金を支払ったとしても、再審査によって更なる実施報奨金の支給を要する場合があることを認識していたとして、支払に際して支払額が旧法35条4項の規定に従って定められた額を満たすと認識していたと認めるのは相当でない旨説示する。しかし、一審被告の発明考案規定における●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
5 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●一審被告は、平成16年支払及び平成18年支払当時、再報奨がされることは初回報奨時の予測を超えて著しく高まったという極めて例外的な場合に限られるとの認識の下で一審原告に実施報奨を支払ったのであり、言い換えれば、それが旧法35条4項の規定に従って定められる相当対価として十分であるとの認識の下で支払ったのであって、もとより、一審被告が債務の一部の弁済として支払ったという事実もない。また、相当対価の額は、「使用者等が受けた利益」ではなく「使用者等が受けるべき利益の額」を考慮して定められると規定されている(旧法35条4項)のであるから、権利が承継された時に客観的に見込まれる利益の額が考慮されると解されるべきであって、権利承継後に現実に使用者等が得た利益の額が考慮されると解されるべきではない。したがって、再審査という後から起きた事象によって権利承継時における客観的に見込まれる利益の額が変わることはあり得ない。以上からすれば、一審被告は、平成16年支払及び平成18年支払当時、旧法35条4項の規定に従って定められる額を満たすとの認識していたのであり、原判決の判断は誤りである。(一審
(原告の主張)
本件発明1-5及び同2-1に係る相当対価支払請求権の消滅時効の起算点について争うものではないが、以下のとおり、債務の一部弁済による時効援用権の喪失又は債務承認による時効の中断により、相当対価支払請求権は時効により消滅していない。ア 一審被告は、平成18年12月18日、一審原告に対し、本件発明1-5の実施報奨金として20万円を支払った(平成18年支払)。この実施
5 報奨金の支払は本件発明1-5に係る相当対価支払請求権の一部弁済と
してされたものであるから、一審被告は、同請求権の消滅時効の援用権を喪失した。イ 一審被告は、平成16年12月17日、一審原告に対し、本件発明2-1の実施報奨金として50万円を支払った(平成16年支払)。この実施報奨金は本件発明2-1に係る相当対価支払請求権の一部弁済としてされたものであるから、債務承認により時効は中断した。一審原告は、平成26年10月31日、本件発明2-1に係る相当対価支払請求権について催告をし、平成27年4月28日、その支払を求める訴訟を提起した。これに対し、一審被告は、債務の一部承認による時効援用権の喪失及び債務承認による時効の中断が生じるためには、債務全体の認識(弁済が一部であることの認識)が必要であることを前提として、こうした前提を欠いた平成16年支払及び平成18年支払によって時効援用権の喪失又は債務承認に当たらない旨主張する。しかし、旧法35条3項による相当対価支払請求権は、特許権が消滅するまでは金額が特定されることのない債権であり、特許権が消滅しない限り、債務者である会社が相当対価支払請求権の全部を弁済したと認識することはあり得ない。また、一審被告の発明考案規定でも、一審被告に対する貢献が認められれば再審査がされることが予定されており、一審被告は、実施報奨の支給後にも同項による相当対価の支払がされることを当然認識している。さらに、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●一審被告の発明考案規定では、実施報奨が1級から4級までしか認められておらず、金額も等級ごとに一律であるが、旧法35条4項による相当対価支払請求権の額が●●●●●●●●●●●●●●●●●●ことはあり得ない。上記の諸点に鑑みれば、一審被告は、債務の一部であることを認識して平
5 成16年支払及び平成18年支払を行っており、一審
(被告の主張)
する前提によっても消滅時効の成立は否定されない。
第3のリード・ソロモン符号による誤り訂正を行い、所定のブロック(セ
クタ)内のデータだけで完結させて誤り検出と訂正を行うことで、再生データのエラーレートを低くすることができ、CDをディジタルデータ記憶用のディスクとすることを可能とし、また、上位プレーンと下位プ
5 レーンでエラー訂正処理をパラレル処理することで処理時間を短縮する
ことを可能とするものといえる。本件特許1-5の誤り訂正は、従来の音楽CDの誤り訂正率が訂正後10-9 ~10 -10 であったのに対し、10 -12 まで改善することができ、データの信頼性が高まり、コンピュータのデータストレージとしての使用を可能としたものである。CD-ROM(120mm再生専用光ディスク)に関する日本標準規格(JIS)(甲9)には、「この規格の実施に当たって、次の米国特許が特に関連があるので、注意が必要である。」として、米国特許4413340(CIRCに関する特許)、米国特許4680764(本件特許1-3)等が挙げられている。上記JIS規格の「附属書A(規定)RSPCによるエラー訂正のための符号化」には、本件特許1-5の図6及び図7の実施例が記載されており、この実施例は、発明者を〈B〉、一審原告、〈D〉とする前記イ の特許出願申込書(乙57)に添付されている「Re. Compact DiscDigital Audio System License Agreement」に記載された図や説明と同じくするものである。エ CD-ROMの標準規格化とジョイントライセンス一審被告とフィリップス社は、昭和60年に規格書イエローブックを策定してCD-ROMの規格化をするとともに、光ディスク関連標準規格に従った記録媒体及びその記録・再生装置の製造販売に必要とされる特許権等であって、一審被告及びフィリップス社が保有するものについてのリストを公開した上で、平成2年6月から、ライセンサー候補者に対して、CD-ROM規格等の製品及び販売するために必要となる特許を共同で実施許諾するライセンスプログラム(本件ジョイントライセンスプログラム)を開始した。後記 のとおり、本件ジョイントライセンスプ
5 ログラムにおいてライセンシーとの契約交渉はフィリップス社が行うこ
ととされており、後記 のとおり、フィリップス社がライセンシーに提示するCD-ROMに関する契約のひな型(乙152)には、ライセンス対象特許については、CDオーディオに関する特許権に加えて、「1985年1月1日よりも前の最先出願日を有する特許権又は最先出願日の権利を有する特許権」であり、リスト上に必須特許として特定された特許権であるとされ、ライセンス対象特許は非独占的に実施許諾がされる旨の条項があった。本件特許1-5は、優先権の基礎となる日本特許である本件特許1-1、同1-2、一部継続出願される前の本件特許1-3とその再発行特許の本件特許1-4を含め、上記ライセンスプログラムにおける必須特許としてリスト上に掲載されていた。本件ジョイントライセンスプログラムは、開放的かつ非差別的な条件でライセンスする、いわゆるオープンライセンスポリシーが採用されていた。本件ジョイントライセンスプログラムにおいては、フィリップス社がライセンシーとの間の契約交渉やライセンス料の受領等の事務を行い、その事務手数料を考慮した上でロイヤルティの配分率を定めるものとされていたが、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●一審被告の配分率を●●●●●とする旨合意された(乙51の添付資料1の「Appendix2」「ROYALTY MATRIX」参照)ため、平成5年1月以降、フィリップス社から一審被告に四半期ごとにライセンス料が配分されるようになった。そして、フィリップス社は、本件ジョイントライセンスプログラムのライセンスを受けずにCD-ROM規格に準拠した製品の製造及び販売をした者に対する訴訟等に係る訴訟関係費用を、ライセンス料配分額か
5 ら控除した上で一審被告に支払った。例えば、フィリップス社が作成し
た平成15年(2003年)12月19日付け報告書(乙54の添付資料1)によると、平成14年(2002年)までの訴訟関係費用(ただし、訴訟関係費用は、後述するDVD規格に関するものをも含む。)は●●●●●●●●●●●であり、この費用を一審被告の四半期分のロイヤルティ総額●●●●●●●●●●●●●●●から控除し、その残額●●●●●●●●●●●●●●●が実際のロイヤルティ収入として支払われた。また、平成16年(2004年)12月29日付け報告書(乙190)によると、平成15年分の訴訟関係費用は●●●●●●●●●●●であり、この費用を一審被告の四半期分のロイヤルティ総額●●●●●●●●●●●●●●●から控除し、その残額●●●●●●●●●●●●●●が一審被告に支払われた。同様に、平成17年(2005年)12月21日付け報告書(乙54の添付資料2)によると、平成17年10月から12月分の一審被告のロイヤルティ総額●●●●●●●●●●●●●●●から平成17年(2005年)通期分の訴訟関係費用である●●●●●●●●●●●が控除された上で、その残額●●●●●●●●●●●●●が一審被告に支払われた。●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
5 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
5 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●一審被告は、平成5年から本件特許1-5の存続期間が満了した平成
5 17年までの間、フィリップス社から、本件特許1-5を含む一審被告
が保有する特許のライセンス料として、①CD-ROMディスク、②CD-ROMドライブ、③CD-Rディスク、④CD-Rドライブ、⑤CD-RWディスク、⑥CD-RWドライブ、⑦VideoCDディスク、⑧VideoCDドライブの各製品カテゴリについて、別紙4-1のライセンス料(全世界分)欄記載の金額の割り当てを受けた。オ CD-ROMの普及、一審被告によるCD-ROM関連事業への投資等CD-ROM規格については、一審被告とフィリップス社との間でイエローブックにより物理フォーマットが定められたが、論理フォーマットは定まっていなかったため互換性がなく、昭和60年から61年にかけて論理フォーマットの統一に向けて、一審被告、フィリップス社、マイクロソフト社、アップル社等の日米欧のコンピュータメーカーやソフトウェアハウスが中心となって議論が開始され、昭和63年に論理フォーマット(国際標準規格ISO9660)が統一された。CD-ROMについては、パソコンとCD-ROMドライブ等の周辺機器を接続するためのデータ転送規格として、昭和61年にはSCSI(スカジー)に、平成10年にはATAPI(アタピー)に統一されたことによって、ウィンドウズ95発売以降のパソコンにCD-ROMドライブを付けやすくなったほか、ゲームソフトの充実や雑誌付録としてのCD-ROMの利用が進んだことから、一審被告は、これらのコンテンツが記録されたディスクの製造を積極的に受託するためCD-ROMディスクの製造工場を設立し、CD-ROM駆動装置の生産能力の増産態勢を整えたほか、CD-ROMデータ再生に使うデコーダ用ICの製品ラインナップの拡充や電子出版市場向けのソフトとしてCD-ROMの検索ソフトの発売、プロ写真家の写真を収録したCD-ROMの製造販売、米国でのCD-ROM事業を強化するべくIBMパソコンと接続する商品の発売、
5 米国会社と共同会社を設立してCD-ROMの生産を開始するなどの投
資を行い、また、CD-ROMを搭載した他業種との連携を進めるなどした。一審被告は、CD-ROMに関し、マーケティングプロモーションとして、ライセンシー会議の開催、エレクトロニクスショーでの展示や広告、コンテンツ業界への積極的なアプローチを行ったほか、標準規格を普及させるための装置の技術開発やライセンシーに対するテクニカルサポートを行った。一審被告は、CD-Audio、CD-ROM、CD-R、CD-RW等のCDファミリー規格の改善のための研究開発やプロモーションを行った。カ SCEによるプレイステーションシリーズの発売と事業展開一審被告とソニー・ミュージックエンタテイメント(以下「SME」という。)は、平成5年11月16日、家庭用ゲーム機及びソフトウェアの開発及び販売並びにソフトメーカーとのライセンス業務を行うSCEを共同出資で設立した。なお、SCEは、平成16年4月1日、一審被告の完全子会社となった。SCEは、平成6年12月3日、プレイステーションシリーズPS1を発売したが、同ゲーム機が発売されるまで、任天堂の「ファミリーコンピューター」(通称ファミコン)が家庭用ゲーム機市場を独占していた。任天堂のファミコンは、記憶媒体として専用カートリッジであるマスクROMを採用していたが、PS1は、記憶媒体としてCD-ROMを採用し、大容量の画像や音声を処理し、蓄積することを可能にするとともに、マスクROMのファミコンと比較して低価格を実現した。また、PS1は、演算性能を向上させ(32ビットRISCプロセッサを搭載)、ポリゴン(多角形データ)による3Dグラフィックに特化
5 した基本設計であり、ポリゴンの頂点演算や座標変換等を行う演算機能
をハードウェアに備えていたため、3D動画のスムーズな再生を可能とした。PS1で採用されているグラフィックスの技術は、一審被告が放送局用に開発した「システムG」の技術をプロトタイプとして作られた。さらに、PS1は、それまでのゲーム機のコントーラ(押しボタン式の平らな形)とは異なり、両手で握るグリップ型で両手の指が使えるようなコントローラを採用した。SCEは、任天堂とは異なり、ゲームソフトウェアの開発及び供給に関して開放的な方法を採用し、開発機材を低価格で提供するなどして積極的に新規参入のソフトメーカーの参入を促した。また、SCEは、ゲームソフトウェアの流通、販売に関しても、任天堂の間接的、多段階の流通方式を採らず、直接市場にソフトウェアを流通させる方式を採用し、価格の値崩れを防止するとともに、適切な在庫管理を可能とした。こうしたSCEによるソフトウェアを重視した戦略は成功し、「ドラゴンクエスト」、「ファイナルファンタジー」等の人気ソフトの新作が次々とPS1の対応となり、PS1は、平成8年には国内で年間300万台を販売し、シェア45%を占め、平成11年には全世界で累計7000万台の出荷を達成した。また、SCEは、ゲーム機本体の価格を下げるべく、部品点数の削減やコストダウン対策を採り、普及版、廉価盤のPSシリーズも発売して、更に販売台数を伸ばした(なお、PS2の発売については後記 カ のとおり。)。一審被告は、平成7年12月29日、SCEに対し、①契約期間中、「システム」(SCEが開発し、商標「Play Station」を付して販売する家庭用ビデオゲーム・コンピュータとその関連機器、プレイステーション上で動作する家庭用アプリケーションソフトウェアで
5 CD-ROM媒体に記録されるソフトウェア、同ソフトウェア開発のため
の機器等)の製造、販売又は開発等について、一審被告保有の特許(「システム」の製造及び販売に有用な特許権(本件特許1-5、本件特許2-1を含む。)及び実用新案権(出願中の権利を含む。))に関する実施を許諾し、SCEは、その対価として、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●旨を合意した(SCEライセンス契約)。一審被告は、平成7年4月1日から本件特許1-5の存続期間が満了する日(平成17年3月22日)の会計年度である同年3月31日までの間、SCEから、別紙4-4のとおりのライセンス料(ただし、米国分)の支払を受けた。キ 一審被告による実施報奨金の支払一審被告は、遅くとも平成2年頃までに、本件特許1-5の請求項7に記載の発明を実施するCD-ROMドライブ並びに同請求項1及び5に記載の発明を実施するCD-Rドライブの製造販売を開始した。一審原告は、平成18年7月27日頃、一審被告に対し、本件発明1-5に関して、実施報奨金の支給を求める推薦書(乙11)を提出した。この実施報奨について適用される当時の被告発明考案規定(乙37)とその内規(乙46)には、実施報奨に関し、要旨、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
5 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●で評点して審査した結果、基準を満たすと審査委員会が判断した場合は、評価点の合計に応じて、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●の報奨金が支払われること、②平成9年度以降、実施報奨の対象となった職務発明については、一審被告は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●旨の規定があった。一審被告は、一審原告による自薦に基づき審査した結果、本件発明1-5の実施報奨を2級と評価し、平成18年12月18日、一審原告に対し、●●●円を支払った。本件特許2-1についてア 発明に至る経緯等DVDの販売が開始された平成6年当時、各メーカーの製品の規格や仕様は様々であったが、その後、規格や仕様の統一に向けた動きがあり、平成6年12月には、一審被告とフィリップス社が発表したMMCD(Multi-Media Compact Disc)規格と東芝等が発表したSD(SuperDensity Disc)規格が競い合う状況となった。DVDのエラー訂正方式として、一審被告等のMMCD陣営はCIRCプラス(CIRCを改良し、ブロック完結型にしたもの)の採用を主張し、SD陣営はブロック
5 完結型積符号の採用を主張していた。
MMCD陣営とSD陣営は、平成7年9月15日、DVD規格の統一に向けた話合いに合意し、両陣営の主張をそれぞれ取り入れる形で規格が統一され、同年12月8日、両陣営の共同提案としてDVD統一規格が発表された。この規格の制定に向けた組織は、平成9年8月、一審被告、フィリップス社等を含むDVDフォーラムに改組された。一審原告は、平成7年当時はDVDとは関係のないESPER研究室の室長の地位にあったが、MMCD陣営がDVD規格の競争において劣勢であったことから、映像用途だけでなくコンピュータ用途も見据え、また、MMCD規格のCIRCプラスでも、SD規格のブロック完結型積符号であっても実現することができるフォーマットを作る必要があると考え、エラー訂正方式について、エラー訂正符号化されたアドレスを有するセクタ構造にすることで高速アクセスを実現し、複数セクタを集めてブロック化し、その単位でエラー訂正符号化することでバーストエラーの訂正もすることができるフォーマットを思いついた。そして、一審原告は、当時一審被告において光磁気ディスクドライブの開発を行っていた〈G〉とMMCD規格に関係していた〈F〉との間で、この着想について議論を重ね、①所定のセクタ間隔ごとにアドレス信号を記録したヘッダを設け、エラー訂正ブロックは、セクタ間隔ごとに分割できるようにしたフォーマット、②フレームに同期させてエラー訂正ないしエラー検出できるようにし、エラー訂正符号化はLCD符号で行うようにしたフォーマット、③アドレスとデータを一つのブロックとし、アドレスは1個のブロックで完結するエラー検出番号をつけ、データは複数のブロックで完結するエラー訂正ブロックとするフォーマット、④セクタを1つのフレームからなるヘッダフレームとその他の複数フレームからなるデータフレームで構成するフォーマット、⑤CLV(線
5 速度一定)とゾーンCAV(角速度一定)を共有化でき、切換もできる
フォーマット、⑥既存のCD-ROMフォーマットと互換性が取れるフォーマットの6つのアイデアをまとめ、これらの発明報告書の作成、提出について、①及び②を原告が担当し、③ないし⑤を〈F〉が担当し、⑥を〈G〉が担当することとした。イ 登録に至る経緯等前記 イ のとおり、被告発明考案規定では、従業員が職務発明をした場合は、社外に発表する前に直ちに上司に届け出て、工業所有権の登録を受ける権利を一審被告に対して譲渡する旨の規定があった。一審原告は、平成7年4月、前記 ア の①及び②に係る2通の発明報告書を、〈F〉は、同③ないし⑤の発明報告書(③につき本件発明報告書1、⑤につき本件発明報告書2)を一審被告にそれぞれ提出した。〈G〉は、同⑥に係る発明報告書の完成に至らなかったため、〈F〉が、同年5月8日、本件発明報告書3を一審被告に提出した。なお、上記本件発明報告書1、同2及び同3の各発明者記入欄には〈F〉の氏名のみが記入されていた。一審原告は、平成7年5月頃、一審被告の特許部の担当者から、本件発明報告書1について、この内容では進歩性がなく出願ができないとの相談を受けて、先行技術との差異を明らかにするために、同月15日、発明の名称欄に「データ記録方法および媒体」、発明の概要欄に「あらかじめ形成されたヘッダ部を所定単位ごとに有し、この単位の複数個でエラー訂正符号化されたデータをブロックとして形成すると共に、ゾーンの切り換えは、ヘッダ部の所定単位ごとに行う、高速アクセス可能かつ高容量の記録を実現しうるデータ記録方法及びそのように形成された記録媒体」とする本件発明報告書4を作成し、一審被告に提出した。なお、同発明報告書の発明者欄には、当初、一審原告を筆頭発明者とし、
5 〈G〉、〈F〉の順で記載された後、手書きで、一審原告と〈F〉を矢
印で入れ替えて〈F〉を筆頭発明者とする訂正が行われている。一審被告は、平成7年5月25日、本件発明報告書1に本件発明報告書2、同3及び同4を合体させて、「光ディスク記録再生フォーマット」の発明で1件の特許出願とすることを決定した。一審原告、〈F〉及び〈G〉は、その頃、本件日本出願に係る発明とその海外特許である本件特許2-1及び同2-2に係る発明等について、特許を受ける権利を譲渡した。本件日本出願に係る発明に関する打合せは、平成7年5月25日、 N〉〈弁理士の事務所で行われ、筆頭発明者とされた〈F〉と特許部の〈O〉が出席して、同弁理士と打合せを行った。一審被告は、本件日本出願に係る発明につき、平成7年6月2日、発明の名称を「データ記録ディスク」として、特許庁に特許出願をした(特願平7-136329号)。本件日本出願は、分割して出願された出願(特願2003-312127号、特願2006-36416号、特願2006-327318号)を含め、先行文献(特開昭61-182676号公報、特開平6-195878号公報、特開平7-130092号公報等)に記載された発明を主引用例として進歩性を欠くことを理由として拒絶査定を受けたため、一審被告は、原出願及び一部の分割出願について不服審判を申し立てたが、不成立審決を受けて、同査定は確定した。一審被告は、平成8年5月29日、米国特許商標庁に対し、本件日本出願を優先権の基礎として、本件特許2-1に係る特許出願をし、平成9年4月11日、本件特許2-1の分割出願により本件特許2-2に係る特許出願をした。本件特許2-1は平成10年9月8日に登録され、件特許2-2は平成11年10月12日に登録された。
5 ウ 本件発明2-1の技術的意義等
本件発明2-1は、ディスクの記録容量を減少させず、バーストエラーに強く、迅速なアクセスを可能にするデータ記録ディスクを実現するという課題に対応するものであって、請求項1、4及び5に係る発明は、アドレスの誤り検出のための第1の符号は第1の領域内で完結し、データの誤り訂正のための第2の符号は複数のセクタにまたがって完結することを特徴とするものであり、請求項2、3、6及び7に係る発明は、ゾーンCAV方式である記録ディスク又はデータ記録装置であることを発明特定事項に含むものである。本件発明2-1は、高速アクセスを実現し、かつ、バーストエラー等に強い高いエラー訂正能力を実現するものであり、コンピュータ用途と映像用途の両者において最適化され、また、記録メディアだけでなく再生専用メディアでも共通して実現することができるフォーマットである。本件特許2-1に係る特許請求の範囲の記載は、データ記録ディスク及びその記録装置等に関して、広くその技術的範囲に属しめることを可能とするものとなっており、後記エのとおり、本件特許2-1は、各種DVD規格のライセンス対象となっている。また、一審被告は、本件特許2-1について、①DVD-ROM、DVD-Audio、②DVD-R/-RW/RAM/+R/+RW Drive、③DVD-R/-RW/RAM/+R/+RW Discの各製品カテゴリの必須特許としてウェブサイト上公開している。これらの事情に照らせば、日本特許としては拒絶査定を受けたとしても、本件特許2-1は、DVD規格における規格必須特許であると認められる。エ 各ライセンスプログラム3Cライセンスプログラム
5 a 一審被告は、平成9年11月24日、フィリップス社との間で、一
審被告とフィリップス社が保有するDVD規格に係る特許の実施許諾をパイオニア社と共同で行うジョイントライセンスプログラム(3Cライセンスプログラム)を締結した。同ライセンスプログラムでは、一審被告が保有するライセンス対象特許は、フィリップス社にサブライセンス権付でライセンスされるが、本件特許2-1は、DVD+Rディスク、DVD+RWディスク、DVD+RW/+Rレコーダー、DVD-Rディスク、DVD-RWディスク、DVD-R/-RWレコーダー、DVD-Video/ROMディスクの各製品カテゴリのライセンス対象特許としてリストアップされていた。なお、3Cライセンスプログラムにおいて、ライセンシーが支払ったライセンス料のうち、DVD-ROMディスク1枚当たり●●●●●●●●が一審被告保有に係る規格必須特許分としてフィリップス社から一審被告に配分されていた(乙231添付資料1「DVD-VIDEO AND DVD-ROM AGREEMENT」、「Article3」参照)。また、3Cライセンスプログラムにおいては、前記 エ の本件ジョイントライセンスプログラムと同様に、開放的かつ非差別的な条件でライセンスする、いわゆるオープンライセンスポリシーが採用されていた。b 3Cライセンスプログラムにおいては、前記 エ の本件ジョイントライセンスプログラムと同様に、フィリップス社は、3Cライセンスプログラムのライセンスを受けずにDVD規格に係る製品の製造及び販売をした者に対する訴訟等に係る訴訟関係費用を、ライセンス料配分額から控除した上で、一審被告に支払をした(平成15年度については乙第54号証の添付資料1の「Litigation costs regardingDVD」、平成17年度については同2の「the costs of litigation
5 related to the share for Sony Corporation…regarding:」の「DVD-
Video/ROM player」、「DVD-Video/ROM disc」の各欄に、平成16年度については乙第190号証の「Litigation costs in EUR regarding:」に列挙されたDVD各規格欄に、それぞれ要した訴訟関係費用の金額が明示されている。)。c 一審被告は、3Cライセンスプログラムに関して、平成11年から平成28年6月までの間、フィリップス社から本件特許2-1を含む対象特許のライセンス料配分額として、 「DVD-ROM Disc」
① 、
②「DVD Video Disc」、③「DVD RECORDABL
E Disc」、④「DVD RECORDABLE Drive」の各製品カテゴリについて、別紙4-3の「3Cライセンスプログラム」の「ライセンス料(全世界分)」欄記載の金額の割り当てを受けた。One-Redライセンスプログラムa One-Red,LLCは、平成24年7月1日からDVD製品の共同特許ライセンスの提供を開始し、同年10月15日からDVDソフトウェア製品の共同特許ライセンスの提供を開始した(One-Redライセンスプログラム)。同ライセンスプログラムにおいて、本件特許2-1は、DVD-ROMディスク、DVD-Videoディスクの各製品カテゴリのライセンス対象特許としてリストアップされていた。b 一審被告は、One-Redライセンスプログラムに関し、平成24年から平成28年6月までの間、One-Red,LLCから本件特許2-1を含む対象特許のライセンス料配分額として、①「DVD-ROM Disc」、②「DVD-Video Disc」の各製品カテゴリについて、別紙4-3の「One-Redライセンスプログラム」の「ライセンス料(全世界分)」欄記載の金額の割り当てを受けた。
5 One-Blueライセンスプログラム
a One-Blue,LLCは、一審被告を含むライセンサー10数社により形成されたパテントプールとして、平成23年7月1日からブルーレイディスク(BD)製品の必須特許等の共同ライセンス特許の提供を開始した(One-Blueライセンスプログラム)。同ライセンスプログラムにおいて、本件特許2-1は、DVD-RAM、DVD-RW、DVD+RW、DVD+R、DVD-Rの各製品カテゴリの対象特許としてリストアップされていた。b 一審被告は、One-Blueライセンスプログラムに関し、平成24年から平成28年6月までの間、One-Blue,LLCから本件特許2-1を含む対象特許のライセンス料配分額として、①「BDRecorder」、②「BD Recorder Drive」の各製品カテゴリについて、別紙4-3の「One-Blueライセンスプログラム」の「ライセンス料(全世界分)」欄記載の金額の割り当てを受けた。オ DVD規格の普及、一審被告によるDVD規格関連事業への投資等DVDフォーラムは、DVDビデオのアプリケーション、DVD-ROMの物理規格、DVD-RAMの物理規格、DVD-R/RWの物理規格等のワーキンググループに分かれており、一審被告を含む日欧米等の多数の企業が参加して技術的討議が行われ、標準規格の制定が行われた。DVDフォーラムは、DVD-ROMの物理フォーマットを定めたほか、DVD-R(平成9年)、DVD-RAM(同)、DVD-RW(平成11年)の各物理フォーマットを制定した。平成13年3月、フィリップス社を中心とし、一審被告を含む7社が協力して、DVDフォーラムとは別の「DVD+RWアライアンス」を組織し、書き換え可能な新たなDVD規格(DVD+RW)の推進を始めた。
5 さらに、「DVD+RWアライアンス」は、書き込み可能なDVDの規格
としてDVD+Rという規格を策定した。一審被告及びその関連会社は、国内だけではなく、北米、欧米を中心とするDVDの需要拡大に対応するために、米国、マレーシア、台湾、オーストリア、メキシコ、ハンガリー等の海外での生産拠点に多額の投資を行ってきたほか、DVDプレイヤー等に使用する赤色半導体レーザーの新工場の建設を行った。一審被告は、太陽誘電株式会社と共にDVD-Rの開発、DVD用の光ピックアップ、携帯DVDプレイヤーの販売や、DVD-RW方式に対応したパソコンの発売、DVD-RWとDVD+RWの両方に対応するDVD録画再生機の生産発売、動画の圧縮・伸長の国際規格であるMPEG2に対応する大規模集積回路(LSI)で動画演算機能と圧縮装置を1チップにまとめたもの、DVD等から「5.1チャンネル」と呼ばれる音声を出力する大規模集積回路(LSI)、DVDの記録再生に必要な2種類のレーザーを1つのチップから発する半導体の開発を行い、また、DVDレコーダー事業にも本格的に参入した。その他、一審被告は、平成10年、グループ会社であるSMEと共同して、新製品の販売促進や会社案内用等に活用できるDVD-ROM等の受託制作事業を行うなど、DVD規格のプロモーションのための活動を行った。カ SCEによるプレイステーション2(PS2)等の発売と事業展開一審被告及びSCEは、平成11年4月、PSの次世代機の開発に向けて、1200億円を投資して、東芝と合弁でプロセッサを生産する会社を設立した。また、SCEは、一審被告と協力し、700億円を投資して、次世代機用のグラフィックス・チップを生産する会社を新たに設立した。
5 SCEは、平成12年3月4日、PS2を発売(ただし、北米では同
年10月26日)した。PS2は、既存のゲームが収録されたCD-ROMに加えて、DVD-ROMを利用することができるほか、DVD-Videoの再生装置を備え、映画鑑賞にも利用することを可能とした。また、PS2は、USB、PCカードTypeⅢのスロットのほか、IEEE1394(iLINK)端子を備え、次世代のネットワークにも対応しており、DVDやネット配信といったデジタル市場にも対応可能とした。一審被告の関連会社(Sony Computer Entertainment of America)は、平成14年8月27日、米国でオンラインゲームの提供を開始した。PS2に搭載されたCPU(Emotion Engine)は、東芝と共同開発した300MHzのRISCプロセッサを搭載し、データ転送速度を3.2GB/秒とし、グラフィックス・チップに4メガバイトのDRAMを集積したチップを東芝と共同開発したことで、7500万ポリゴン/秒の描画性能を実現した。PS2は、発売発表と同時に150以上のソフトメーカーが参入を表明し、平成13年7月にはPS2用のゲームソフト「ファイナルファンタジーX」が200万枚以上の売上げに達した。PS2本体は、平成13年3月までには世界で1000万台出荷され、同年10月までに全世界で2000万台、平成14年9月までには全世界で4000万台の出荷数を達成した。SCEは、平成16年12月12日(ただし、北米では平成17年3月24日)、携帯用ゲーム機であるPSPを発売した。PSPは、専用UMDでゲームを楽しむことができ、ダウンロード用ゲームがデジタル配信されている。PSPは、4.3インチモバイルASV液晶、UMD・メモリースティックPRO Duoインターフェースを採用し、PS2に近い品質のグ
5 ラフィックを描画し、マルチメディア視聴機能、Wi-Fi、Webブラ
ウザも搭載したため、マルチメディア端末としての地位を確保することに成功した。なお、PSPのUMDディスクは、本件特許2-1の技術的範囲に属するものである。一審被告は、平成10年4月1日から本件特許2-1の存続期間が満了する日(平成28年5月29日)の会計年度である平成29年3月31日までの間、SCEライセンス契約に基づいて、SCEから、別紙4-4のとおりのライセンス料の支払(ただし、米国分)を受けた。キ 一審被告による実施報奨金の支払一審被告は、遅くとも平成16年10月9日までに、本件特許2-1の請求項1ないし7に記載の発明を実施するDVD-RAM記録装置の製造販売を開始した。平成16年10月当時の被告発明考案規定(乙32)及び内規(乙44)には、実施報奨に関し、要旨、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
5 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●旨の規定があった。一審被告は、本件発明2-1の実施報奨を●●と評価し、平成16年12月17日、一審原告に対し、●●●円を支払った。
2 本件特許1-5について
本件発明1-5により一審被告が受けるべき利益の額(争点1-1)ア 本件ジョイントライセンスプログラムライセンス料配分額本件ジョイントライセンスプログラムにおいて一審被告が得たライセンス料は、引用に係る原判決第2の2 ア (補正後のもの)記載のとおりである。a 平成5年度から平成14年度までについて本件ジョイントライセンスプログラムには、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●の各条項(以下「本件条項」という。)が存在する(前記1 エ )。本件条項に
5 よれば、本件ジョイントライセンスプログラムにおいてライセンシー
が支払うライセンス料は、全世界におけるライセンス対象特許の使用の対価であるということができる。そうすると、全世界におけるライセンス対象特許の特定が必要になるところ、以下のとおり、その分析及び作業は困難というほかなく、正確な特定は不可能というべきである。すなわち、平成3年から平成14年頃まで用いられていた本件ジョイントライセンスプログラムに関する契約書(乙152)のCD-ROMの対象特許リスト(「1.2
1 対象特許」の(ⅱ)の別紙2に当たるもの。)には、エラー訂正
に関する特許として、優先権の基礎となる特許として本件特許1-1及び同1-2と米国特許として本件特許1-3及び同1-4が掲載され(乙153、154)、本件特許1-1及び同1-2を優先権の基礎とするこれら以外の特許(以下、こうした本件特許1-1、1-2を優先権の基礎とする日本国以外の特許をファミリー特許ということがある。)は掲載されていない(なお、上記各リストには、「本リスト上のいかなる特許出願又は特許権に基づく全ての対応特許出願、特許、分割、継続出願及び再発行は、このリストの欠かせない部分として含まれる。」との注意書がある(後記の平成15年以降のリストにも同じ記載がある。)ことから、本件特許1-3の一部継続出願である本件特許1-5は対象特許となる。)。他方、平成15年以降用いられていた契約書のCD-ROM対象特許リスト(乙161、162)には、日本特許である本件特許1-1及び同1-2と、米国特許の本件特許1-4及び同1-5が掲載されている(ただし、乙161のリストについては本件特許1-2及び1-4が掲載)ほか、少なくとも、本件特許1-1 及び 同 1-2を優先権の 基礎とするイギリス 特 許(「COUNTRY GB」の「GRANT NR2156555」(甲127))、カナダ特
5 許(「COUNTRY CA」の「GRANT NR125771」(甲128))、オースト
ラリア特許(「COUNTRY AU」の「GRANT NR584833」(甲129))はリストアップされており、その他、オーストリア、ベルギー、ブラジル、スイス、チェコ、デンマーク、フランス、香港、イタリア、韓国、オランダ、スウェーデン、シンガポール、スロバキア、ウクライナの欄にも同じ特許のタイトルの記載があることから、これらは本件特許1-1及び同1-2を優先権の基礎とする特許であると推認される。このように、本件ジョイントライセンスプログラムにおける対象特許リストは、米国特許を代表特許とするか(平成3年から平成14年頃まで)、本件特許1-1及び同1-2とそのファミリー特許をある程度網羅的にリストアップするか(平成15年以降)のいずれかの方式が採用されていたものと推認されるが、いずれにしても全期間にわたる具体的な対象特許の特定は困難である。また、平成3年から平成14年頃まで用いられていた本件ジョイントライセンスプログラムの契約書には、CD-ROMプレイヤーについては、同契約書の別紙2のリストに掲載された規格必須特許(ⓐ)のほか、同別紙1のCDオーディオプレイヤーに関する特許(ⓑ)を含むが、その特許に限られない(Ⓒ)旨の条項があり(なお、他の規格においても同様の条項があった。)、Ⓒに関する特許については、リストに記載がないことから、これに当たる特許件数の分析は、極めて困難である。この点、一審被告は、従前、ⓑ及びⒸに関する特許件数として、IPC分類を用いた検索で抽出した2509件であると主張していたが、これには音楽用CDに関係しない多数の特許が含まれる(甲236参照)ため採用し難く、当審においては、一審被告も、Ⓒに当たる可能性がある特許として米国特許に限定して本判決の別紙1のとおりリストアップして主張しているところであるから、全世界の
5 件数を把握する術はない。
翻って考えるに、本件特許1-5は米国特許である以上、そのライセンス料配分額についても米国分に限定する必要があるのは確かなところ、CD-ROMのライセンス対象特許として米国におけるCD関連特許を含めた件数と、本件条項の趣旨に沿った米国分のライセンス料を適切に認定することができれば、米国基準説を採用したとしても、本件条項の趣旨に反するものではないというべきである。そして、特に本件における上記のような事情を勘案すると、米国基準説を採用して、米国ライセンス対象特許を特定し、これに対して本件特許1-5が貢献した割合に基づき本件特許1-5のライセンス料配分額を推計することが本件事案において最も適切な算定方法であると認められる。この場合、一審被告がフィリップス社から配分されたライセンス料(全世界)を製造分と販売分に分け、前者については全世界の15%、後者については25%が米国分であると推認することについては、一審被告も争うものではない。b 次に、フィリップス社は、本件ジョイントライセンスプログラムの事務の一環として、ライセンスを受けずにCD-ROM規格に準拠した製品の製造及び販売をした者に対する訴訟関係費用をライセンス料配分額から控除した上で一審被告に支払っていた(前記1 エ )のであるから、この訴訟関係費用はライセンス料から控除する必要がある。もっとも、相当前のことであるため全ての資料がそろっていないことから、具体的な金額を算定するに当たっては、資料の提出があった年度の訴訟関係費用の割合を参考にして、各年度における訴訟関係費用の割合を推計することが相当である。そうすると、前記1 エ のとおり、①平成14年度分の訴訟関係費用は●●●●●●●●●●●であり、平成14年10月から12月
5 分の一審被告のロイヤルティ総額が●●●●●●●●●●●●●●●
であるから、年に換算すると訴訟関係費用の割合は●●●●であり、
②平成15年度分の訴訟関係費用は●●●●●●●●●●●であり、
平成15年10月から12月分の一審被告のロイヤルティ総額が●●●●●●●●●●●●●●●であるから、年に換算すると訴訟関係費用の割合は約●●●●●であり、③平成17年度分の訴訟関係費用は●●●●●●●●●●●であり、平成17年10月から12月分の一審被告のロイヤルティ総額が●●●●●●●●●●●●●●●であるから、年に換算すると訴訟関係費用は●●●●●である。このような状況に照らせば、平成5年度から平成14年度までのライセンス料額に占める訴訟関係費用は●●、平成15年度以降は●●であると推計して、各年度の一審被告のロイヤルティ総額から控除することが相当である。c 以上を前提にすると、各製品カテゴリ別に一審被告が得たライセンス料額は、別紙4-1の「訴訟関係費用控除後の残額」欄のとおりとなる。本件特許1-5の貢献割合a 平成5年度から平成14年度まで本件ジョイントライセンスプログラムに関し、平成5年度から平成14年度まで用いられていた契約書には、CD-ROMプレイヤーについては、別紙2(添付省略)のリストに掲載された規格必須特許(ⓐ)のほか、別紙1(添付省略)のCDオーディオプレイヤーに関する特許(ⓑ)を含むが、別紙1の特許に限られない(Ⓒ)旨の条項があり、ディスク等、その他の規格においても同様の条項があった(前記1エ )。そして、これらの各契約書の別紙2のリストに掲載されたCD-R
5 OMディスク、CD-ROMプレイヤー、CD-Rディスク、CD-Rド
ライブ、CD-RWディスク、CD-RWドライブ、VideoCDディスク、VideoCDプレイヤーの各規格必須特許のうち米国特許(ⓐ)の件数、別紙1に掲載された規格ごとのCDオーディオ(プレイヤー等、ディスク)関連特許(各製品規格のCDオーディオ関連特許リストは乙153ないし159)のうち米国特許(ⓑ)の件数については当事者間に争いがないが、別紙1のリストに掲載されていない特許(Ⓒ)については、本判決の別紙1に記載のとおり当事者間に争いがある。Ⓒに係る特許は、ライセンス契約の文言からすると、CDオーディオに関連したものである必要があるところ、同別紙1の「当裁判所の判断」欄の記載のとおり、一審被告がⒸに当たる特許として主張するもののうち、番号5の「解除可能なカバーロック装置」(US4412320A)、番号8の「光学式再生装置」(US4592038A)については、CDオーディオプレイヤーについて実施され、又は実施することが可能であると見込まれるので、Ⓒに当たると判断するが、その他の特許はCDオーディオに関連するものであるとはいえない。これを前提として、各製品カテゴリ別の本件特許1-5の貢献割合について検討すると、CD-ROMディスク及びその派生品であるCD-Rディスク等は、前記1 アで認定したとおり、音楽用CDの規格を前提としたものであり、ディスクに関する特許は規格が定まっているため、CDオーディオ(ディスク)関連のⓑに係る特許は他に選択の余地のないフォーマットに関する特許が大半を占めるものであると推認されるから、CD-ROMディスク等の規格必須特許であるⓐに係る特許と、CDオーディオ(ディスク)関連のⓑに係る特許は、同価値として扱うのが相当である。
5 これに対して、CD-ROMプレイヤー及びその派生製品である各
ドライブ関係については、CDオーディオ(プレイヤー等)関連のⓑに係る特許のうち、変調方式に関するEFM特許(米国特許第4501000号)とエラー訂正に関するCIRC特許(米国特許第4413340号)はドライブでも必須特許であり重要な価値があるといえるが、その他のドライブに関する特許は、ディスクと異なり、大半は各社において選択可能な特許も含まれると推認されるから、ライセンスにおける特許の価値として、CD-ROMドライブ等に係るⓐに係る特許と、CDオーディオ(プレイヤー等)に関する特許(ⓑ)のうちEFM特許とCIRC特許は同価値であるが、ⓑのその他の特許はCD-ROMドライブ等の規格必須特許に比して0.5、Ⓒに係る特許はいずれも実施され、又は実施される可能性がある特許であるにすぎないため、ⓐ等の特許に比して0.1の価値があるとして貢献割合を計算するのが相当である。なお、一審原告は、本件特許1-5は、CIRCで実現できなかった高いエラー訂正を実現し、CD-ROMをコンピュータストレージとして使用可能とした点で高い技術的価値があるとして、ライセンス対象特許について上記のように補正して求めた貢献割合の更に3倍の価値がある旨主張するが、規格必須特許はいずれもその製品の規格上選択の余地のない技術に係るものであるし、本件特許1-5のみが他の規格必須特許に比べて技術的価値が高いと認めるに足りる証拠はない。以上を前提として、本件特許1-5の各製品カテゴリ別の貢献割合を示すと、以下の表のとおりとなる。製品カテゴリ 特許 貢献割合CD-ROM Disc ⓐ 3件
ⓑ 6件 1/9
Ⓒ 0件
CD-ROM Drive ⓐ 4件
ⓑ 75件 1/42.7
Ⓒ 2件
CD-R Disc ⓐ 6件
ⓑ 6件 1/12
Ⓒ 0件
CD-R Drive ⓐ 5件
ⓑ 64件 1/38.2
Ⓒ 2件
CD-RW Disc ⓐ 8件
ⓑ 4件 1/12
Ⓒ 0件
CD-RW Drive ⓐ 5件
ⓑ 64件 1/38.2
Ⓒ 2件
Video CD Disc ⓐ 6件
ⓑ 7件 1/13
Ⓒ 0件
Video CD Player ⓐ 9件
ⓑ 72件 1/46.2
Ⓒ 2件
b 平成15年度から平成17年度まで本件ジョイントプログラムに関し、平成15年度以降、ライセンシ
5 ーとの間で用いられていた契約書には、●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●平成15年度以降における各製品カテゴリの対象特許件数は、上記表のⓐの特許のみが対象であり、また、ⓐは各製品カテゴリの規格必須特許である以上、本件特許1-5と同価値とみるべきことは前記aで説示したとおりである。小括以上を前提として、訴訟関係費用の控除額の残額に本件特許1-5の貢献割合を乗じた結果は、別紙4-1の「本件特許1-5の独占的利益」の欄のとおりである。イ SCEライセンス契約について前記1 カ のとおり、PS1のゲーム機本体はCD-ROMプレイヤーを実装しており、ゲームディスクはCD-ROMディスクであるから、
5 PS1ゲーム機本体及びPS1ゲーム用のゲームディスクは、本件ジョ
イントライセンスプログラムのライセンス対象製品である。また、前記
1 カ のとおり、PS2のゲーム機本体は、CD-ROMのゲームディ
スクも再生することができるから、PS2のゲーム機本体は、同ライセンスプログラムのライセンス対象製品である。ところで、旧法35条4項は、職務発明に係る相当対価の額は、その発明により「使用者等が受けるべき利益の額」及びその発明がされるについて使用者等が貢献した程度を考慮して定めなければならない旨規定するところ、同項が「使用者等が受けるべき利益の額」と規定したのは、使用者等に対する権利承継時の客観的に見込まれる利益の額をいうものであり、発明の実施によって現実に受けた利益に必ずしも限るのではなく、自己実施等の場合を含め、使用者等が本来得ることのできた独占的利益を指すものと解される。これを前提として検討するに、SCEは、一審被告とSMEが共同出資して設立された会社であり(前記1 カ )、一審被告がプレイステーションシリーズの製造及び販売に関し、フィリップス社との間で、それぞれの保有する特許のクロスライセンスを締結していれば、SCEは本件ジョイントライセンスプログラムにおいて改めてライセンス料を支払う必要のない一審被告の関連会社となり、こうしたクロスライセンス契約における一審被告の得た利益が「使用者等が受けるべき利益の額」となるといえるが、本件全証拠を検討してみても、一審被告がプレイステーションシリーズの製造及び販売に関してフィリップス社との間でクロスライセンスを締結したと認めるに足りず、むしろ、一審被告は、SCEに対し、プレイステーションシリーズの製造、販売又は開発等のために有用な一審被告保有の特許権(本件特許権1-5及び同2-1を含む。)等の実施許諾に関するライセンス契約(SCEライセンス契約)
5 を締結して、SCEを他社ライセンシーより優遇して同社から対価を得
ていることが認められる。このように、一審被告が、フィリップス社と共に運用する本件ジョイントライセンスプログラムのライセンス対象製品であるプレイステーションシリーズの製造販売に関して、SCEを同プログラムの関連会社としてではなく1ライセンシーとして扱っている以上、同プログラムが開放的かつ非差別的な条件でライセンスする、いわゆるオープンポリシーを採用している(前記1 エ )ことからすれば、PS1のゲーム機本体及びゲームディスク、PS2のゲーム機本体の製造及び販売に当たって一審被告が本来得ることのできた独占的利益は、SCEがフィリップス社との間でプレイステーションシリーズの製造及び販売に関してライセンスを受けたものと仮定した上で、同ライセンスプログラムで定められたロイヤルティにより計算された額に一審被告の配分率を乗じたライセンス料額により算定した額(仮想積上げ方式)であるというべきであり、一審被告がSCEライセンス契約により現実に得た利益に限る必要はない。なお、一審被告は、仮想積上げ方式を採用したとしても、資本関係の全く存在しない第三者(競合他社を含む。)との関係と比較して資本関係を有するグループ会社に特許ライセンスを行う場合には、ライセンス料をはじめ条件面をある程度優遇することは当然であり、本件ジョイントライセンスプログラムにおけるライセンス料がSCEライセンス契約にそのまま適用されるわけではない旨主張するが、一審原告は、この主張を受けて、ライセンス料に80%を乗じる範囲までは争わないものとする旨主張しており、当裁判所も、SCEが一審被告と資本関係にあることに鑑みて、この限度での条件面の優遇の程度は不合理なものではないものとして、以下試算する。
5 a PS1ゲーム機について、PS1の発売開始日から本件特許1-5
の満了日までの間の各対象期間における同機本体価格は、別紙3の表1-1の「PS1ゲーム機本体価格」の左欄のとおりであり(甲295)、同価格は米国ドルベースであるため、当該期間における平均為替レート(甲296)を基にした円ベースの同機の価格は、同表の「PS1ゲーム機本体価格」の右欄のとおりである。そして、対象期間におけるPS1ゲーム機本体の北米販売台数(甲297)のうちカナダ、メキシコ分を除いた米国分を89%と見積もることについては当事者間に争いがないから、対象期間におけるPS1ゲーム機本体の販売台数は同表の「PS1ゲーム機本体北米販売台数(万台)×89%(米国販売分)」欄のとおりである。そして、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●一審被告が受けるべきライセンス料の額は、同表の「一審被告が支払を受けるべきライセンス料」欄のとおりであるが、前記のとおり、この80%に相当する金額が各対象期間において一審被告が受けるべきライセンス料の額となる(別紙4-2の「PS1ゲーム機(本件発明1-5関係)」の「①一審被告が受けるべき利益」欄参照)。そして、本件ジョイントライセンス契約におけるCD-ROMプレイヤーの対象特許のうち本件特許1-5の貢献割合は、前記ア の「CD-ROM Drive」欄のとおり、1/42.7であるので(なお、厳密には、別紙4-2の「PS1ゲーム機(本件発明1-5関係)」の「2002.7.1~2004.12.31」の欄のうち、平成1
5 5年度及び平成16年度に当たる期間(2003年4月1日から20
04年12月31日)は1/4として計算すべきであるが、一審原告は、「2002年7月1日~2004年12月31日」のライセンス料につき、一括して平成14年度までと同様にその貢献割合を3/13.4として計算しているところ(一審原告控訴第12準備書面61頁参照)、この期間の販売台数を2003年4月1日を境にして区分けして特定することは困難であり、また、一審被告に不利になる算定ではないため、一審原告の計算手法を採用して算定する。)、これを乗じると、一審被告が受けるべき独占の利益は、別紙4-2の「PS1ゲーム機(本件発明1-5関係)」の「②本件特許1-5の一審被告の受けるべき利益」欄のとおりとなる。これに対して、一審被告は、PS1は後記のPS2も含めてゲーム機として多様な機能を有するものであって、CD-ROMディスク又はDVD-ROMディスクを読み出す機能はゲーム機全体からすればごくわずかであるから、正味販売価格2%としてゲーム機のライセンス料を算定することは適切ではない旨主張するが、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●PS1ゲーム機やPS2ゲーム機にCD-ROM又はDVD-ROMを読み出す以外の機能が付加されているからといって、上記で試算した手法に問題があるとはいえない(なお、PS1ゲーム機及びPS2ゲーム機がCD-ROMディスク又はDVD-ROMディスクを読み出す以外の多様な機能を有している点については、一審被告の独占的利益における一審被告の貢献割合で考慮することになる。)。なお、一審被告は、PS1のゲーム機本体及びゲームディスクのライセンス料を本件ジョイントライセンスプログラムのライセンス料率
5 で算定するに当たり、後記のPS2ゲーム機を含め、1992年頃の
フィリップス社のライセンス基準は個別のライセンシーとの関係では常に維持されていたわけではなく、常に値下げ圧力が加わる状況にあったとして、上記基準で算定することは問題である旨主張するが、本件ジョイントライセンスプログラムは非差別的な条件でライセンスされるものであるところ、上記基準が見直されたといった具体的な証拠があるわけではない以上、上記基準で算定するのが適当である。b PS2ゲーム機について、PS2の発売開始日から本件特許1-5の満了日までの各対象期間における同機本体価格は、別紙3の表1-2の「PS2ゲーム機本体価格」の左欄のとおりであり(甲295)、同価格は米国ドルベースであるため、当該期間における平均為替レート(甲296)を基にした円ベースの同機の価格は、同表の「PS2ゲーム機本体価格」の右欄のとおりである。そして、対象期間におけるPS2ゲーム機本体の北米販売台数(甲298)のうちカナダ、メキシコ分を除いた米国分を89%と見積もることについては当事者間に争いがないから、対象期間におけるPS2ゲーム機本体の販売台数は同表の「PS2ゲーム機本体の北米販売台数(万台)×89%(米国販売分)」欄のとおりである。そして、PS1ゲーム機の場合と同様に、本件ジョイントライセンスプログラムにおいては、CD-ROMプレイヤーにつき、外径130mm以上のCDVディスクを読むことが可能な各ライセンス対象製品以外(PS2ゲーム機はこれに当たる。)は「ライセンス対象製品の正味販売価格」の●●であり(前記1 エ)、一審被告のライセンス料配分率は●●●●●(同1 エ )であるから、一審被告が受けるべきライセンス料の額は、同表の「一審被告が支払を受けるべきライセンス料」欄のとおりであるが、前記のとおり、この80%に相当する金額が各対象期間において一審被告
5 が受けるべきライセンス料の額となる(別紙4-2の「PS2ゲーム
機(本件発明1-5関係)」の「①一審被告が受けるべき利益」欄参照)。そして、本件ジョイントライセンスプログラムにおけるCD-ROMプレイヤーの対象特許のうち本件特許1-5の寄与割合は、前記アの「CD-ROM Drive」欄のとおり、平成14年度までは1/42.7、平成15年度以降は1/4であるので(なお、厳密には、別紙4-2の「PS2ゲーム機(本件発明1-5関係)」の「2002.5~2003.7」の欄のうち平成15年度(2003年4月1日から2004年3月31日)に当たる期間(2003年4月1日から同年7月31日)は1/4として計算すべきであるが、一審原告は、「2002.5~2003.7」のライセンス料につき、一括して平成14年度までと同様にその貢献割合を3/13.4として計算しているところ(一審原告控訴第12準備書面61頁参照)、この期間の販売台数を2003年4月1日を境にして区分けして特定することは困難であり、また、一審被告に不利になる算定ではないため、一審原告の計算手法を採用して算定する。)、これを乗じると、一審被告が受けるべき独占の利益は、別紙4-2の「PS2ゲーム機(本件発明1-5関係)の「②本件特許1-5の一審被告の受けるべき利益」欄のとおりとなる。これに対して、一審被告は、PS2のソフトの大半はDVD-ROM規格のディスクであり、CD-ROM規格のディスクはごく限られたものであったから、PS2ゲーム機についてはCD-ROM規格による貢献はないか、あってもその割合はごくわずかである旨主張するが、PS2ゲーム機は、DVD-ROM規格だけではなくCD-ROM規格にも互換性を有するものである(前記1 カ )以上は、PS2ゲーム
5 機の「正味販売価格」の●●●ライセンス料の適用は免れない。
また、一審被告は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●CDオーディオ及びCD-ROMドライブの特許に対するロイヤルティは、独立して請求することができない旨主張する。しかし、この契約条項の趣旨については措くにしても、この契約書は、平成16年(2004年)頃のDVDビデオプレイヤーに関するライセンス契約に関するひな型であることがうかがわれるところ、PS2が発売された平成12年10月26日から本件特許1-5が満了となる平成17年3月22日までの間、このひな型のとおりに実際にライセンス契約が締結され、また、DVDプレイヤーのロイヤルティにCD-ROMプレイヤーのロイヤルティが含まれることを明確に示す証拠は提出されていないから、一審被告の上記主張を採用することは困難である(なお、前述のとおり、職務発明に係る相当対価を算定するに当たって考慮すべき「使用者等が受けるべき利益の額」は、使用者等に対する権利承継時の客観的に見込まれる利益の額をいうものであり、発明の実施によって現実に受けた利益に必ずしも限るのではないことに照らせば、仮に、上記条項に基づく形でロイヤルティの支払がされていたとしても、そのことをもって当然に、CD-ROMの再生機能に係る一審原告の相当対価請求権が制限されるとは認め難い。)。c PS1のゲームディスクについて、PS1の発売開始日から本件特許1-5の満了日までの各対象期間における北米販売数は、平成7年(1995年)9月9日から平成16年(2004年)12月31日までは3億7100万本であり(甲300)、平成17年(2005
5 年)1月1日から同年3月22日までは、平成17年1月1日から同
年3月31日までの北米販売数100万本(甲300)を基に日割り計算すると、90万本であるところ、メキシコ、カナダ分を除いた米国分を89%と見積もることは当事者間に争いがないから、米国販売分は、別紙3の表2-1の左欄のとおりであるところ、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●当該期間における平均為替レート(甲296)を乗じると、同表の「一審被告が支払いを受けるべきライセンス料」欄の記載のとおりとなるが、前記 のとおり、この8割に相当する金額が各対象期間における一審被告が受けるべきライセンス料の額となる(別紙4-2の「PS1ゲームディスク(CD-ROMディスク)(本件発明1-5関係)」の「①一審被告が受けるべき利益」欄参照)。そして、本件ジョイントライセンス契約におけるCD-ROMディスクの対象特許のうち本件特許1-5の貢献割合は、前記ア の「CD-ROM Disc」欄のとおり、平成14年度までは1/9であり、平成15年度以降は1/3であるので(なお、厳密には、別紙4-2の「PS1ゲームディスク(CD-ROMディスク)(本件発明1-5関係)」の「1995.9.9~2004.12.31」欄のうち、平成15年度及び平成16年度に当たる期間(2003年4月1日から2004年12月31日)は1/3として計算すべきであるが、一審原告は、「1995.9.9~2004.12.31」のライセンス料につき、一括して平成14年度までと同様にその貢献割合を3/6.6として計算しているところ(一審原告控訴第12準備書面61頁参照)、この期間の販売本数を2003年4月1日を境にして区分
5 けして特定することは困難であり、また、一審被告に不利になる算定
ではないため、一審原告の計算手法を採用して算定する。)、これを乗じると、一審被告が受けるべき独占の利益は、別紙4-2の「PS1ゲームディスク(CD-ROMディスク)(本件発明1-5関係)」の「②本件特許1-5の一審被告の受けるべき利益」欄のとおりとなる。なお、念のため、一審原告の予備的主張1及び2についての当裁判所の判断を示す。a 予備的主張1は、前記第3の1 (一審
(原告の主張)
イ のとおりであり、一審被告がSCEライセンス契約に基づいて受領したロイヤルティにおける本件特許1-5の貢献割合を求めて一審被告の独占的利益を求めるものである。確かに、その算出過程において、SCEはプレイステーションシリーズに関するゲームに特化した会社であるため、その保有する米国特許はゲーム関連事業に関するものであることが強く推認されることから、一審被告保有の米国特許のうちSCEが米国で保有する特許のIPC分類から絞り込み、ゲーム関連特許件数を推計することは合理的であり、また、SCEが保有する特許は6206件であるが、1993年設立の会社であることに鑑み、1995年から2013年までの間の同社の保有特許件数の平均値を3103件と推計することもあながち不合理とはいえない。しかし、一審原告が用いるSCEの「実施率」については、これが正しいものであると裏付ける客観的な証拠は提出されておらず、容易に推認が可能なものでもない。また、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
5 ●●●●●●この点からもSCEの「実施率」という概念で一審被告
保有特許を絞り込み、本件特許1-5の貢献割合を求めて一審被告の独占的利益を推認することは適当とはいえない。b 予備的主張2は、前記第3の1 (一審
(原告の主張)
イ のとおりであり、一審被告が得たライセンス料は一審被告保有の米国特許でゲーム関連のものとSCE保有の米国特許の件数との差の「バランス調整金」であることを前提として、上記aと同様の手法で推計した、1995年から2003年までの間の一審被告保有の米国特許のうちゲームに関連する特許権数の平均値と、同期間におけるSCE保有の米国特許の平均値の差(6975.36件)で、一審被告が得たライセンス料を割る(①)が、この差を構成する一審被告保有特許に係る特許はSCEにはほぼ不要であるため、本件特許1-5のような規格必須特許は45倍(②)の技術的価値があるものとし、①の額に②の数値を乗じて求めるというものである。しかし、このような考え方は、実質的には、予備的主張1におけるSCEの実施率の概念を用いる代わりに、本件特許1-5の技術的価値につき独自の評価割合を用いるものであるところ、確かに、PS1及びPS2は、ゲームディスクであるCD-ROMを読み込むための機能を実装するものであるため、CD-ROMの規格必須特許である本件特許1-5は、他の特許よりも技術的価値が高いとはいえるものの、PS1及びPS2は、演算性能、優れたグラフィック性能を有しており、PS1には一審被告が放送局用に開発したシステムGが流用され、また、PS2には東芝と合弁で開発したプロセッサが搭載されている(前記1 カ 、 カ 、 ))など、CD-ROMやDVD-ROM以外にも最先端の技術が盛り込まれており(これらが一審被告保有の特許ではない可能性もないではないが、いずれにせよ、開発段階を含
5 め、PS1及びPS2における一審被告保有の特許の実施について具
体的に分析することは困難である。)、他の一審被告保有特許と比べて本件特許1-5(及び2-1)の技術的価値が一審原告主張のように著しく高いと認めることは困難である(少なくとも5倍を超える価値があると認めることはできないところ、これを前提に、予備的主張2の算定方法により、SCEライセンス契約に関して一審被告が本件特許1-5により得た独占の利益を算定すると、以下の計算式のとおり、932万7905円となるが、前記のとおり主位的主張に基づいて算定した金額を超えるものではない。)。[算定式]●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●以上によれば、SCEライセンス契約に関して、一審被告が本件特許1-5により得た独占的利益の額は、別紙4-2の「PS1ゲーム機(本本件発明1-5関係)」、「PS2ゲーム機(本件発明1-5関係)」及び「PS1ゲームディスク(CD-ROMディスク)(本件発明1-5関係)」の各「②本件特許1-5の一審被告の受けるべき利益」欄のとおりと算定するのが相当である。本件発明1-5について一審被告が貢献した程度(争点1-2)ア 本件ジョイントライセンスプログラム本件発明1-5は、音楽用CDをコンピュータ分野に応用することを可能とするためのエラー訂正技術であり、従来の音楽CDの誤り訂正率が訂正後10 -9~10 -10 であったのに対し、10 -12 まで改善することができ、データの信頼性が高まり、コンピュータのデータストレージとしての使用を可能としたものである(前記1 ウ )。本件特許1-5は、CD-ROM等の規格必須特許に採用される(同1 ウ )など、技
5 術的価値は高いといえる。
他方で、本件発明1-5は、第1及び第2のクロスインターリーブ・リード・ソロモン符号による誤り訂正(CIRC)に加えて、第3のリード・ソロモン符号による誤り訂正を行うことを可能とする発明特定事項を含むものである(前記1 ウ )ところ、CIRCは、一審被告とフィリップス社が共同で音楽用CDの研究、開発の過程で発明されたものであり(同1 )、本件発明1-5は、こうした一審被告に蓄積された先行技術の一部が活用された面があることは否定することができない。また、本件発明1-5が権利化されるまでの手続において、その優先権の基礎となる本件特許1-1及び同1-2に係る手続を含め、一審原告の貢献はなく、米国の事務所に依頼し、米国特許商標庁の拒絶理由に対して適宜の対応をした点を含め、一審被告の知的財産部が相当の貢献をしたものである(同1 イ)。さらに、一審被告とフィリップス社は、非差別的かつ開放的なオープンライセンスポリシーを採用して広くライセンスの機会を与える(前記
1 エ )とともに、一審被告とフィリップス社が中心となって、CD
-ROMの物理的フォーマットを作成しただけではなく、論理フォーマットを統一して互換性を持たせた(同1 オ )ほか、パソコンの周辺機器を接続するための伝送データ規格の統一を実現した(同1 オ )ことにより、パソコンやゲームソフトとしてCD-ROMが広く利用されるようになったといえる。加えて、一審被告は、CD-ROMディスクを受託生産するための製造工場を設立し、CD-ROM駆動装置の生産能力の増産態勢を整え、また、CD-ROMを利用した様々な商品の企画・開発や、他業種との連携等を行ったほか(前記1 オ )、マーケティングプロモーションとして、ライセンシー会議の開催、コンテンツ業界への積極的なアプローチ、標
5 準規格を普及させるための装置の技術開発、ライセンシーに対するテク
ニカルサポートを行い(同1 オ )、CD-ROMだけではなくCD-R等のCDファミリー規格の改善のための研究開発やプロモーションを行った(同1 オ )ことが認められる。以上の諸事情に鑑みれば、本件ジョイントライセンスプログラムにおいて一審被告が得た独占の利益に関し、一審被告の貢献度は、95%とするのが相当である。これに対して、一審原告は、本件発明1-5に関し、着想から具体的なフォーマットの完成に至るまで一審原告が1人で検討し、シミュレーションを行い、一審被告の会社設備を利用することなく就業時間外で発明を完成させた旨主張し、その旨供述及び陳述(甲165)する。しかし、一審原告本人が供述等するところの発明を完成させるまでの経緯については、これを裏付ける客観的証拠に乏しく、他方、これを否定する〈B〉の陳述書(乙132)等の関係証拠もあるのであるから、前記1アで認定した一審原告の関与の限度を超えて、一審原告本人の供述等のみに沿った認定をすることは相当でない。また、一審原告は、本件発明1-5とCIRCは別個の技術であるため、本件発明1-5は先行技術を活用して完成されたものではない旨主張する。しかし、本件発明1-5は、第1及び第2のリード・ソロモン符号器(CIRC)に第3のリード・ソロモン符号器を重ねて配置するものであり、CIRCと技術的に相違する点があるとしても、先行技術を活用して完成された面があることを否定することはできない。他方、一審被告は、本件発明1-5は、二重特許を回避するために本件特許1-3の存続期間の一部を放棄するターミナル・ディスクレイマーが提出された特許であり、ターミナル・ディスクレイマーが付された特許については両特許を分離して移転することができず、また、本件特
5 許1-3はその再発行特許である本件特許1-4の登録により放棄さ
れたものとみなされることから、本件特許1-4と本件特許1-5は実質的には同じ発明を保護していることになるため、本件特許1-5には技術的価値はなく、ライセンス等に対する独自の貢献はない旨主張する。ターミナル・ディスクレイマーは、特許権者が二重特許を理由とする拒絶を回避するために特許期間の存続期間の一部を放棄し、一方の特許期間の終期を他方の特許の満了日と一致させるものであり、ターミナル・ディスクレイマーが提出された特許については、両特許は分離して移転することができず、同一人が保有した状態でなければ権利行使することができないが(甲222、乙257、258)、特許存続期間と権利行使に一定の制約があるからといって、本件発明1-5に技術的価値はないということはできないから、一審
(被告の主張)
は理由がない。イ SCEライセンス契約SCEライセンス契約において本件特許1-5の実施により一審被告が得た独占の利益は、PS1及びPS2の各ゲーム機本体とPS1のCD-ROMディスクに関するものであるところ、PS1及びPS2は、高い演算性能とグラフィック性能を誇り(前記1 カ 、 カ )、PS1で採用されているグラフィックスの技術は一審被告が放送局用に開発したシステムGの技術が流用され(同1 カ )、また、PS2には東芝と共同開発したプロセッサが搭載されている(同1 カ 、 )など、CD-ROMやDVD-ROM以外にも最先端の技術が盛り込まれている。一審被告は、関連会社とともに、PS1等のゲーム機の開発やソフトメーカーとのライセンス業務を行うSCEを設立し(前記1 カ )、当時としては最先端の技術を盛り込んだPS1及びPS2の各ゲーム機を開発するために多額の投資を行った。加えて、SCEは、積極的に新規ソフトメーカーの参入を促してPS1及びPS2でプレイすることができる
5 多様なゲームソフトウェアを取りそろえることを可能とし、また、ソフト
ウェアの直販性を採用して適切な在庫管理を可能としたほか(同1 カ)、ゲーム機本体の廉価版の逐次市場投入(前同)、次世代ネットワーク対応のPS2の開発(同1 カ )といったことも、PS1及びPS2がゲーム市場において強い支配的地位を占めるに至り、SCEライセンス契約において一審被告が得た独占の利益の増大につながったものといえる。こうしたSCEの営業努力、投資活動等については、共同出資会社である一審被告側の貢献度としてとらえるべきである。前記アの本件ジョイントライセンスプログラムで説示した一審被告の貢献割合に加え、プレイステーションシリーズに関する一審被告ないしSCEの貢献割合を加味すると、SCEライセンス契約において一審被告が得た独占の利益に関し、一審被告の貢献度は、97%とするのが相当である。ウ 小括以上のとおり、本件ジョイントライセンスプログラムにおいて一審被告が得た独占の利益に関しての一審被告の貢献度は95%、SCEライセンス契約において一審被告が得た独占の利益に関しての一審被告の貢献度は97%とするのが相当であるから、これを踏まえた金額は、別紙4-1及び4-2の各「一審被告の貢献度」欄に記載のとおりとなる。本件発明1-5の共同発明者間における一審原告の貢献度(争点1-3)本件発明1-5の発明者は、前記1 ア及びイの本件特許1-5の発明に至る経緯等及び登録に至る経緯等に照らせば、一審原告、〈B〉、〈D〉、〈E〉及び〈C〉の5名であり、このうち一審被告の従業員は〈C〉を除いた4名である。共同発明における発明者間の貢献度は、特段の事情のない限り、均等であると認めるべきであるところ、前記1 ア及びイで認定したところによれば、一審原告は、〈B〉の依頼を受けて複数の案を作成し、〈B〉と協議して検
5 討を重ねた結果、〈E〉等を発明者とする発明報告書と合わせて、本件発明
1-5の完成に至ったものであり、一審原告が本件発明1-5において一定の役割を果たしたものとは認められるものの、主導的又は枢要な役割を果たしたものと認めるに足りる証拠はない。この点、一審原告は、着想から発明の完成に至るまで1人で行った旨主張するが、前記 ア のとおり、こうした主張を裏付ける客観的証拠に乏しいから、これを前提とした一審原告の共同発明者間の貢献度に関する主張は、理由がない。もっとも、本件発明1-5は、発明者を〈E〉、〈D〉、〈J〉(ただし、後に、〈E〉、〈D〉、〈B〉、一審原告、〈C〉とする届け出がされた。)とする特許出願申込書(乙55)と、発明者を〈B〉、一審原告、〈D〉とする特許出願申込書(乙57)を基にして権利化されたものである(前記1イ )ところ、CD-ROMの規格の「附属書A(規定)RSPCによるエラー訂正のための符号化」には、本件特許1-5の図6及び図7の実施例が記載されており、この実施例は発明者を〈B〉、一審原告、〈D〉とする特許出願申込書(乙57)に添付されている図等と同じくするものであり(同
1 ウ )、〈B〉の依頼を受けて一審原告が作成した複数の案が基になっ
ていることが推認される(同1 ア )から、CD-ROMのエラー訂正方式の規格化において一審原告の貢献は〈E〉等と比較するとより高いといえる。そうすると、本件特許1-5の共同発明者間における一審原告の貢献度は、均等割合を超える特段の事情があるものとし、3分の1とするのが相当である。本件発明1-5についての相当対価の額(争点1-4)前記 ないし に基づいて、本件ジョイントライセンスプログラムにおける本件発明1-5についての相当対価の額を算出すると、別紙4-1の「相当対価の額」欄に記載のとおり、合計額●●●●●●●●●円となり、SCEライセンス契約における本件特許1-5についての相当対価の額は、別紙
5 4-2の「PS1ゲーム機(本件発明1-5関係)」、「PS2ゲーム機(本
件発明1-5関係)」、「PS1ゲームディスク(CD-ROMディスク)(本件発明1-5関係)」の各「相当対価の額」欄に記載のとおり、合計額451万4677円となる。そして、一審被告は、本件発明1-5の実施報奨金として20万円を支払っているから、残額は2267万2260円である。
3 本件特許2-1について
本件発明2-1により一審被告が受けるべき利益の額(争点2-1)ア 各ライセンスプログラム3Cライセンスプログラムa ライセンス料配分額3Cライセンスプログラムにおいて一審被告が得たライセンス料は、引用に係る原判決第2の2 ア (補正後のもの)記載のとおりである。そして、本件特許2-1は米国特許であるから、その独占的利益を算定するに当たっては、ライセンス料のうち米国分を算定すべきところ、米国分のライセンス料の配分額をそのうち25%とすることは当事者間に争いがない。これを前提とした各製品カテゴリ別のライセンス料は、別紙4-3の「3Cライセンスプログラム(本件発明2-1関係)」の「ライセンス料(米国分)」欄に記載のとおりである。次に、3Cライセンスプログラムにおいては、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●のであるから、この訴訟関係費用はライセンス料から控除する必要がある。もっとも、相当前のことであるため全ての資料がそろっていないことか
5 ら、具体的な金額を算定するに当たっては、資料の提出があった年度
の訴訟関係費用の割合を参考にして、各年度における訴訟関係費用の割合を推計することが相当である。そうすると、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●以上を前提とすると、各製品カテゴリ別に一審被告が得たライセンス料額(米国分)は、別紙4-3の「3Cライセンスプログラム(本件発明2-1関係)」の「訴訟関係費用控除後の残額」欄に記載のとおりとなる。b 本件特許2-1の貢献割合3Cライセンスプログラムにおいて、各製品カテゴリ別の米国特許件数は、DVD-ROMディスクが8件、DVDビデオ・ディスクが23件、DVDレコーダブル・ディスクが19件、DVDレコーダブル・ドライブが25件であることは当事者間に争いがないところ、これらは規格必須特許であるから、ライセンス料に占める本件特許2-1の貢献割合においては同価値として算定するのが相当である。これを前提とすると、本件特許2-1により一審被告が得た独占の利益は、各製品カテゴリ別に別紙4-3の「3Cライセンスプログラム(本件発明2-1関係)」の「本件特許2-1の独占的利益」の欄に記載のとおりとなる。One-Redライセンスプログラム
5 a ライセンス料配分額
One-Redライセンスプログラムにおいて一審被告が得たライセンス料は、引用に係る原判決第2の2 ア (補正後のもの)記載のとおりである。そして、本件特許2-1は米国特許であるから、その独占的利益を算定するに当たっては、ライセンス料のうち米国分を算定すべきところ、米国分のライセンス料の配分額は、そのうち25%とすることは当事者間に争いがない。これを前提とすると、各製品カテゴリ別のライセンス料は、別紙4-3の「One-Redライセンスプログラム(本件発明2-1関係)」の「ライセンス料(米国分)」欄に記載のとおりとなる。b 本件特許2-1の貢献割合One-Redライセンスプログラムにおいて、各製品カテゴリ別の米国特許件数は、DVD-ROMディスクは3件、DVDビデオ・ディスクは15件であることは当事者間に争いがなく、これらは規格必須特許であるから、ライセンス料に占める本件特許2-1の貢献割合においては同価値として算定するのが相当である。これを前提とすると、本件特許2-1により一審被告が得た独占の利益は、各製品カテゴリ別に別紙4-3の「One-Redライセンスプログラム(本件発明2-1関係)」の「本件特許2-1の独占的利益」の欄に記載のとおりとなる。One-Blueライセンスプログラムa ライセンス料配分額One-Blueライセンスプログラムにおいて一審被告が得たライセンス料は、引用に係る原判決第2の2 ア (補正後のもの)記載のとおりである。そして、本件特許2-1は米国特許であるから、その独占的利益を算定するに当たっては、ライセンス料のうち米国分
5 を算定すべきところ、米国分のライセンス料の配分額は、そのうち2
5%とすることは当事者間に争いがない。これを前提とすると、各製品カテゴリ別のライセンス料は、別紙4-3の「One-Blueライセンスプログラム(本件発明2-1関係)」の「ライセンス料(米国分)」欄に記載のとおりとなる。b 本件特許2-1の貢献割合One-Bueライセンスプログラムにおいて、各製品カテゴリ別の米国特許件数は、BDレコーダーが255件(うち、本件特許2-1が5件)、BDレコーダー・ドライブが132件(うち、本件特許2-1が5件)であることは当事者間に争いがなく、これらは規格必須特許であるから、ライセンス料に占める本件特許2-1の貢献割合においては同価値として算定するのが相当である。これを前提とすると、本件特許2-1により一審被告が得た独占の利益は、各製品カテゴリ別に別紙4-3の「One-Blueライセンスプログラム(本件発明2-1関係)」の「本件特許2-1の独占的利益」の欄に記載のとおりとなる。イ SCEライセンス契約前記1 カ のとおり、PS2のゲームディスクは、DVD-ROMディスクにも対応しており、DVD-ROMディスクは、3Cライセンスプログラムのライセンス対象製品である。また、PSPのゲームディスクは、DVD-ROMの規格を流用したUMDディスクであり、同ライセンスプログラムでは製品カテゴリには明示されていないが、同ライセンスプログラムのライセンス対象製品に準じて扱うことが相当である。ところで、旧法35条4項の「使用者等が受けるべき利益の額」は、使用者等に対する権利承継時の客観的に見込まれる利益の額をいうものであり、発明の実施によって現実に受けた利益に必ずしも限るのではな
5 く、自己実施等の場合を含め、使用者等が本来取得することができた独
占的利益を指すものと解すべきことは、前記2 イ のとおりである。そして、3Cライセンスプログラムでは、一審被告が保有するライセンス対象特許はフィリップス社にサブライセンス付きでライセンスされる(前記1 エ a)ことから、SCEが、PS2又はPSPの製造及び発売に当たってフィリップス社から3Cライセンスプログラムのライセンスを受けていれば、一審被告に改めてライセンス料を支払う必要がないことになり、フィリップス社から一審被告に配分されるライセンス料が「使用者等が受けるべき利益の額」となるといえるが、本件全証拠を検討してみても、SCEがPS2又はPSPの製造及び販売に当たってライセンスを受けたと認めるに足りる証拠はなく、むしろ、一審被告は、SCEがライセンスを受けていないことを前提としてSCEライセンス契約を締結し、関連会社であるSCEを他社ライセンシーより優遇して、同社から対価を得ていることが認められる。このように、一審被告は、PS2又はPSPの製造販売に関し、SCEをフィリップス社からライセンスを受けていない1ライセンシーとして扱っている以上、3Cライセンスプログラムが開放的かつ非差別的な条件でライセンスする、いわゆる開放的ポリシーを採用している(前記
1 エ a)ことからすれば、PS2又はPSPのゲームディスクの製
造及び販売に当たって一審被告が本来得ることができた独占的利益は、SCEが同ライセンスプログラムのライセンスを受けたものと仮定した上で、同ライセンスプログラムで定められたロイヤルティにより計算された額(仮想積上げ方式)であるというべきであり、一審被告がSCEライセンス契約により現実に得た利益に限る必要はない。そして、SCEが一審被告と資本関係のあることに鑑み、仮想積上げ方式で積算されたライセンス料に80%を乗じて一審被告が得ることが
5 できたライセンス料を試算することが相当であることは、前記2 イ
と同様である。以下、これを前提として試算する。a PS2ゲームディスクについて、PS2の発売開始日(2000年10月26日)から本件特許2-1の期間満了日(2016年5月29日)までの各対象期間におけるゲームディスクの北米販売数は、①平成12年(2000年)10月26日から平成19年(2007年)3月31日までは5億6500万本(甲301)、②平成19年(2007年)4月1日から平成24年(2012年)3月31日までは、全世界2億9750万本(甲302)に2007年3月31日時点での累計全世界販売数(12億4000万本)に対する北米販売数(5億6500万本)の割合を乗じて推計した1億3555万本、③平成24年度以降は資料がないため、2010年度の全世界販売数と2011年度の全世界販売数の減少率(48%)が2012年度以降も継続するものと仮定し、2011年度の全世界販売数(790万本)に上記割合を乗じ、上記②の全世界販売数に対する北米販売数の割合を乗じることによって推計すると、平成24年度(2012年4月1日から2013年3月31日まで)は173万本、平成25年度(2013年4月1日から2014年3月31日まで)は83万本、平成26年度(2014年4月1日から2015年3月31日まで)は40万本、平成27年度(2015年4月1日から2016年3月31日まで)は19万本となる。そして、メキシコ、カナダ分を除いた米国分を89%であると見積もることは当事者間に争いがないから、米国販売分の総合計は別紙3の表3-1の【A】 (70370万本×0.欄89)のとおりとなる。次に、3CライセンスプログラムにおけるDVD-ROMディスクのライセンス料は1.76セントである(前記
1 エ a)から、当該期間における平均為替レート(甲296)を
5 乗じると、同表の「一審被告が支払いを受けるべきライセンス料」欄
の記載のとおりとなるが、前記のとおり、この8割に相当する金額が各対象期間における一審被告が受けるべきライセンス料の額となる(別紙4-2の「PS2ゲームディスク(本件発明2-1関係)」の「一審被告が受けるべき利益」欄参照。)。そして、3CライセンスプログラムにおけるDVD-ROMディスクの対象特許のうち本件特許2-1の貢献割合は、前記ア bのとおり、8分の1であるから、これを乗じると、一審被告が受けるべき独占の利益は、別紙4-2の「PS2ゲームディスク(本件発明2-1関係)」の「本件特許2-1の一審被告が受けるべき利益」欄のとおりとなる。b 次に、UMDディスクについて、PSPの発売開始日(2005年3月24日)から本件特許2-1の期間満了日(2016年5月29日)までの各対象期間におけるゲームディスクの北米販売数は、①平成17年(2005年)3月24日から平成19年(2007年)3月31日までは4320万本(甲305)、②平成19年(2007年)4月1日から平成24年(2012年)3月31日までは、全世界22880万本に、2007年3月31日時点での累計全世界販売数(10140万本)(甲305)に対する北米販売数(4320万本)の割合(甲305)を乗じて推計した9478万本、③平成24年度以降は資料がないため、2010年度の全世界販売数と2011年度の全世界販売数の減少率(69%)が2012年度以降も継続するものと仮定し、2011年度の全世界販売数(3220万本)に上記割合を乗じ、上記②の全世界販売数に対する北米販売数の割合を乗じることによって推計すると、平成24年度(2012年4月1日から2013年3月31日まで)は947万本、平成25年度(201
5 3年4月1日から2014年3月31日まで)は653万本、平成2
6年度(2014年4月1日から2015年3月31日まで)は451万本、平成27年度(2015年4月1日から2016年3月31日まで)は311万本となる。そして、メキシコ、カナダ分を除いた米国分を89%であると見積もることは当事者間に争いがないから、米国販売分の総合計は別紙3の表3-2の【A】欄(16430万本×0.89)のとおりである。次に、3CライセンスプログラムにおけるDVD-ROMディスクのライセンス料は1.76セントであるから、当該期間における平均為替レート(甲296)を乗じると、同表の「一審被告が支払いを受けるべきライセンス料」欄の記載のとおりとなるが、前記のとおり、この8割に相当する金額が各対象期間における一審被告が受けるべきライセンス料の額となる(別紙4-2の「UMDディスク(本件発明2-1関係)」の「一審被告が受けるべき利益」欄参照。)。そして、3CライセンスプログラムにおけるDVD-ROMディスクの対象特許のうち本件特許2-1の寄与割合は、前記ア bのとおり、8分の1であるから、これを乗じると、一審被告が受けるべき独占の利益は、別紙4-2の「UMDディスク(本件発明2-1関係)」の「本件特許2-1の一審被告の受けるべき利益」欄のとおりとなる。なお、一審原告の予備的主張1及び2は前記第3の2 (一審原告の主張)イ 及び のとおりであるが、その問題点については、前記2イ a及びbで説示したとおりである(なお、本件特許2-1の技術的価値を5倍と仮定して、予備的主張2の算定方法によりSCEライセンス契約に関して一審被告が本件特許2-1により得た独占の利益を算定すると、以下の計算式のとおり、●●●●●●●●●円となり、主位的主張で算定した金額を超えるものではない。)。
5 [計算式]
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●以上によれば、SCEライセンス契約に関して、一審被告が本件特許2-1により得た独占的利益の額は、別紙4-2の「PS2ゲームディスク(本件発明2-1関係)」、「UMDディスク(本件発明2-1関係)」の各「本件特許2-1の一審被告の受けるべき利益」欄に記載のとおり算定するのが相当である。本件発明2-1について一審被告が貢献した程度(争点2-2)ア 各ライセンスプログラム本件発明2-1は、高速アクセスを実現し、かつ、バーストエラー等に強い高いエラー訂正能力を実現するものであって、コンピュータ用途と映像用途の両者において最適化されたフォーマットであり、また、記録メディアだけでなく再生専用メディアでも共通して実現することができるフォーマットであり、DVD-ROM等を始めとしてDVD規格の必須特許であるため、その技術的価値は高いといえる(前記1 ウ 、 )。他方で、本件特許2-1に係る特許請求の範囲の記載は、データ記録ディスク及びその記録装置等に関して広くその技術的範囲に属しめることを可能とするものとなっており(前記1 ウ )、本件特許2-1の優先権の基礎とする本件日本出願を含め、本件特許2-1の権利化されるまでの手続において一審原告が貢献したと認めるに足りる証拠はなく、こうした広い範囲のクレームを権利化したことを含めて、一審被告の知的財産部が相当の貢献をしたものである。また、DVD規格は、東芝等が発表したSD陣営と一審被告のMMCD陣営との間の合意を経て規格が統一された後、一審被告も参加するDVDフォーラム、DVD+RWアライアンスが様々な規格の物理フォーマ
5 ットを策定した(前記1 ア 、オ 、 )ことで、より広く普及した
といえる。ライセンスの面についてみると、本件特許2-1は、3Cライセンスプログラム、One-Redライセンスプログラム、One-Blueライセンスプログラムにおいて、DVD規格の製品のライセンス対象特許となっているが、3Cライセンスプログラムにおいては、一審被告とフィリップス社は、非差別的かつオープンなライセンスポリシーを採用して広くライセンスの機会を与えてDVD規格の普及に努め(前記1エ )、また、一審被告は、他社と共同で、One-Red,LLC、One-Blue,LLcを設立して、10数社が参加するライセンスプログラムを開始しており(同1 エ 、 )、こうした他社と共同したライセンス活動を通じて、DVD規格の普及の促進に努めたものと評価することができる。加えて、一審被告は、DVDの需要拡大に対応するために、国内だけでなく海外にも生産拠点を設けて多額の投資を行い、他社と共同してDVD-Rの開発、DVD規格を使用した様々な商品の企画・販売や、DVDレコーダー事業に参入を行ったほか、グループ会社であるSMEと共同して、新製品の販売促進や会社案内用等に活用できるDVD-ROMの受託生産事業を行うなどのプロモーション活動を行った(前記1 オ )ことが認められる。以上の諸事情に鑑みれば、各ライセンスプログラムにおいて一審被告が得た独占の利益に関し、一審被告の貢献度は、95%とするのが相当である。これに対し、一審原告は、一審原告らが本件発明2-1を完成させたことで、SD陣営が本件特許2-1をライセンス特許として受け入れざるを得ない状況とすることができ、一審被告がDVD規格においてもラ
5 イセンサーとしての地位を確保することができたとして、一審原告側の
貢献を強調する。確かに、一審被告従業員〈P〉の陳述書(乙197)によれば、3Cライセンスプログラム、One-Redライセンスプログラムにおいて、SD陣営との規格争いを経て採用されたDVD規格における一審被告及びフィリップス社対象特許は、EFM変調プラスと呼ばれた変調方式に関する特許と本件特許2-1であったことが認められるが、本件特許2-1の内容を規格として提案し、それが規格として採用されたわけではないとも記載されているのであるから、本件特許2-1によって一審被告がライセンサーとしての地位を確保することができたとまではいえない。他方、一審被告は、本件特許2-1は、対応する日本特許出願の拒絶査定で判断されているように、その本質的特徴は特開昭61-182676号公報(乙66)に記載された発明に開示されており、その技術的価値は大きなものではなく独占力が弱い旨主張するが、本件特許2-1は米国において無効とされておらず、むしろ、一審被告は、本件特許2-1をDVD規格の必須特許であるとして対外的に公表していた(前記
1 ウ )のであるから、本件日本出願が拒絶査定で確定したことは、
一審被告の貢献度を判断する上で考慮すべき事情であるとはいえない。イ SCEライセンス契約SCEライセンス契約において本件特許2-1の実施により一審被告が得た独占の利益は、PS2のゲームディスク(DVD-ROM)とPSPのゲームディスク(UMDディスク)に関するものであるところ、PS2が高い演算能とグラフィック性能を誇り、PS2には東芝と合弁で開発したプロセッサが搭載されているなど、DVD-ROM以外にも最先端の技術が盛り込まれていることは、前記2 イのとおりであり、また、SCEが
5 積極的に新規ソフトメーカーの参入を促し、多様なゲームソフトウェアが
取りそろえられることを可能とし、適切な在庫管理を可能としたこと、次世代ネットワーク対応のPS2の開発を行うなどのSCEの営業努力や投資活動等は、共同出資会社である一審被告側の貢献度としてとらえるべきことも、前記2 イのとおりである。また、SCEが開発した携帯用ゲーム機PSPは、PS2に近い品質のグラフィックを描画し、マルチメディア視聴、Wi-Fi、Webブラウザも搭載するなどマルチメディア端末であり(前記1 カ )、こうしたSCEの技術開発も一審被告側の貢献度としてとらえるべきである。前記アの各ライセンスプログラムで説示した一審被告の貢献度に加え、プレイステーションシリーズにおける一審被告ないしSCEの貢献度を加味すると、SCEライセンス契約において一審被告が得た独占の利益に関し、一審被告の貢献度は、97%とするのが相当である。本件発明2-1の共同発明者間における一審原告の貢献度(争点2-3)本件発明2-1の発明者は、前記1 ア及びイに照らせば、一審原告、〈F〉及び〈G〉の3名であると認められる。共同発明における発明者間の貢献度は、特段の事情のない限り、均等であると認めるべきであるところ、前記1 ア及びイのとおり、本件発明2-1は、一審原告が着想したフォーマットを基に、〈F〉及び〈G〉との間での着想についての議論が重ねられて完成したものであると認められるが、〈G〉は、分担した発明報告書の作成に至らなかったなど、発明の貢献度においては一審原告及び〈F〉に比して低いと言わざるを得ない。こうした事情に照らせば、本件特許2-1の発明の完成において一審原告が格別の貢献をしたと認めることができる特段の事情があるというべきである。そして、上記の発明の完成に至る経過等に照らせば、一審原告と〈F〉は同程度とし、〈G〉はその半分と評価して、一審原告の貢献度は、5分の2とすることが相当で
5 ある。
この点、一審被告は、本件発明2-1に関連した発明報告書のうち、本件発明2-1の基礎となった報告書である本件発明報告書1及び同3に発明者として記載されているのは〈F〉であることを理由として、共同発明者間の一審原告の寄与度は5%を上回ることはない旨主張する。しかし、本件発明2-1の着想から登録に至る経過に関する一審原告本人の陳述書(甲175、195)の記載は、発明報告書の記載内容等に裏付けされた具体的なものであり、一審被告がこの内容に反する〈F〉や〈G〉の陳述書等を提出していない以上、発明報告書等に裏付けられる限度で一審原告本人の陳述に沿って発明に至る経過を認定するのが相当である。そして、前記1 イ のとおり、本件発明2-1は、本件発明報告書1に本件発明報告書2、同3及び同4を合体させて出願されたものであり、本件発明報告書1及び同3に一審原告の氏名の記載がないからといって、本件発明2-1の完成において一審原告の関与が低いとはいえないから、一審被告の上記主張は理由がない。本件発明2-1についての相当対価の額(争点2-4)前記 ないし に基づいて相当対価の額を算出すると、3Cライセンスプログラムにおける本件発明2-1についての相当対価の額は、別紙4-3の「3Cライセンスプログラム(本件発明2-1関係)」の「相当対価の額」欄に記載のとおり、632万0824円となり、One-Redライセンスプログラムにおける本件特許2-1についての相当対価の額は、別紙4-3の「One-Redライセンスプログラム(本件発明2-1関係)」の「相当対価の額」欄に記載のとおり、183万8159円となり、One-Blueライセンスプログラムにおける本件特許2-1についての相当対価の額は、別紙4-3の「One-Blueライセンスプログラム(本件発明2-1関係)」の「相当対価の額」欄に記載のとおり、328円となり、また、SCEライセンス契約における本件特許2-1についての相当対価の額は、
5 別紙4-2の「PS2ゲームディスク(本件発明2-1関係)」、「UMD
ディスク(本件発明2-1関係)」の各「相当対価の額」欄に記載のとおり、合計171万7102円となる。そして、一審被告は、本件発明2-1について、実施報奨として●●●円を支払っている(前記1 キ )から、これを控除すると、残額は937万6413円である。
4 本件発明1-5及び本件発明2-1の相当対価支払請求権の消滅時効の成否
(争点3)時効の起算点についてア 職務発明について特許を受ける権利等を使用者等に承継させる旨を定めた勤務規則等がある場合においては、従業者等は、当該勤務規則等により、特許を受ける権利等を使用者等に承継させたときに、相当対価の支払を受ける権利を取得するが、勤務規則等に対価の支払時期が定められているときは、勤務規則等の定めによる支払時期が到来するまでの間は、相当の対価の支払を受ける権利の行使につき法律上の障害があるということができ、その支払時期が相当対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となると解するべきである(最高裁平成15年4月22日第三小法廷判決・民集57巻4号477頁参照)。イ 本件特許1-5に係る発明については、昭和59年3月23日頃、一審被告にその特許を受ける権利が譲渡されたが(前記1 イ )、その当時の被告発明考案規定(乙4)には、「工業所有権の登録を受けた発明の実施あるいは実施許諾によって特に顕著な功績が挙がった場合には、これを1年毎に審査の上当該発明者を特別に表彰することがある。」、「前項の特別表彰の審査は、経営会議において、工業所有権の登録を受けており、かつ実施あるいは実施許諾された発明について行う。」旨の規定がある。そうすると、本件発明1-5に係る相当対価支払請求権の消滅時効の起
5 算点は、本件特許1-5が設定登録された時点又は発明の実施若しくは実
施許諾がされた時点のいずれか遅い時点になるところ、本件特許1-5は、平成3年3月5日に登録された(前記1 イ )のに対し、一審被告は、遅くとも、平成2年頃までに、本件特許1-5の請求項7に記載の発明を実施するCD-ROMドライブの製造販売し、同請求項1及び5に記載の発明を実施するCD-Rドライブの製造販売を開始した(同1 キ )から、本件発明1-5に係る相当対価支払請求権の消滅時効の起算点は、登録時である平成3年3月5日である。ウ 次に、本件発明2-1については、平成7年5月頃、一審被告にその特許を受ける権利が譲渡されたが(前記1 イ )、その当時の被告発明考案規定(乙27)には、前記イの発明考案規定と同じ規定があったから、本件特許2-1に係る相当対価支払請求権の消滅時効の起算点は、本件特許2-1が設定登録された時点又は発明の実施若しくは実施許諾がされた時点のいずれか遅い時点となるところ、本件特許2-1は、平成10年9月8日に登録された(前記1 イ )のに対し、一審被告は、遅くとも平成16年10月9日までに、本件特許2-1の請求項1ないし7に記載の発明を実施するDVD-RAMの記録装置の製造販売を開始した(同1キ )から、本件発明2-1に係る相当対価支払請求権の消滅時効の起算点は、発明の実施日である平成16年10月9日である。債務承認の有無又は援用権の喪失についてア 債権の消滅時効の規定については、平成29年法律第44号による改正民法附則10条による経過措置により、施行日前に生じた債権については改正前の民法が適用されるため、以下、これを前提として判断する。イ 前記 のとおり、本件発明1-5に係る相当対価支払請求権の消滅時効の起算点は、平成3年3月5日であるので、同請求権は、時効の中断事由がない限り、平成13年3月5日の経過により時効によって消滅し、本件
5 発明2-1に係る相当対価支払請求権の消滅時効の起算点は、平成16年
10月9日であるので、同請求権は、時効の中断事由がない限り、平成26年10月9日の経過により時効によって消滅したことになる。この点、一審被告は、一審原告に対し、①平成18年12月18日、本件発明1-5に係る実施報奨金として20万円を(平成18年支払)、②平成16年12月17日、本件発明2-1に係る実施報奨金として50万円を(平成16年支払)、それぞれ支払った(前記1 キ 、 キ )ところ、一審原告は、①については、本件発明1-5に係る相当対価支払請求権の一部弁済としてされたものであるから、時効完成後の債務承認に当たり、一審被告は、本件発明1-5に係る相当対価支払請求権の消滅時効の援用権を喪失したものであり、②については、本件発明2-1に係る相当対価支払請求権の一部弁済としてされたものであるから、債務承認により時効は中断し、中断事由が終了した時から10年以内に支払を催告し、裁判上の請求をしたので、消滅時効は完成していない旨主張するので、以下、検討する。勤務規則等により職務発明について特許を受ける権利等を使用者に承継させた従業者等は、当該勤務規則等に、使用者等が従業者等に対して支払うべき対価に関する条項がある場合においても、これによる対価の額が旧法35条4項の規定に従って定められる対価の額に満たないときは、同条3項の規定に基づき、その不足する額に相当する対価の額の支払を求めることができると解される(前掲最高裁判決参照)。すなわち、勤務規則等に定められた対価は、同条4項の趣旨、内容に沿ったものでなければ、同条3項及び4項所定の相当対価の一部にすぎないこととなる。そこで、平成18年支払に適用される実施報奨に関する被告発明考案規定についてみると、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
5 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●旨の規定がある(前記1キ )。また、平成16年支払に適用される実施報奨に関する被告発明考案規定についてみると、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●旨の規定がある(前記1 キ )。しかし、こうした発明考案規定では、職務発明により使用者等が受けるべき利益の額が多額にわたる場合であっても、それに比例しない等級に応じた金額しか支払われないものであるため、旧法35条4項の趣旨、内容に沿ったものとはいえない。このように、特に職務発明により使用者等が受けるべき利益が多額にわたる場合には、被告発明考案規定は、旧法35条4項の趣旨、内容に沿ったものとはいえないから、これに基づいて支払われる職務発明の対価は、同条3項及び4項所定の相当対価の一部であるにすぎない。そして、上場企業であり、コンプライアンスの遵守を求められる一審被
5 告は、前掲最高裁判決の説示を当然ながら知悉しているものというべきで
あるし、平成18年支払当時、本件特許1-5は、CD-ROMの規格必須特許であり、その他の派生規格を含め、本件ジョイントライセンスプログラムのライセンス対象特許として●●●●●円(ただし全世界分)もの多額のライセンス料の配分を一審被告にもたらしたのみならず、PS1及びPS2の各ゲーム機やゲームディスクにCD-ROMが採用されたことにより、本件特許1-5を含めた実施の対価として約170億円もの多額のライセンス料がSCEからもたらされていたのであるから、それが旧法35条4項の規定に従って定められる相当対価の額に満たないことを、一審被告は当然ながら認識していたというべきである。同様に、平成16年支払当時、本件特許2-1は、DVD-ROMの規格必須特許として、その派生規格を含め、3Cライセンスプログラムのライセンス対象特許として●●●●円(ただし全世界分)を優に超える多額のライセンス料の配分を一審被告にもたらしたのみならず、PS2のゲームディスクにDVD-ROMが採用されたことにより、本件特許2-1を含めた実施の対価として、約77億円もの多額のライセンス料がSCEからもたらされていたのであるから、それが旧法35条4項の規定に従って定められる相当対価の額に満たないことを、一審被告は当然ながら認識していたというべきである。そうすると、平成16年支払及び平成18年支払は、本件発明1-5及び同2-1の相当対価支払請求権の一部弁済に当たるものであり、債務の承認に当たるものというべきである。ウ 一審被告は、当時の被告発明考案規定によれば、平成18年支払及び平成16年支払はその年度までに得られた利益に関する貢献に対する実施報奨であり、その翌年度以降に得られた利益に関する相当対価支払請求権の債務承認とはならない旨主張するが、被告発明考案規定では、再審査の規定を含めて、実施報奨の評価の対象をその審査の時点までの貢献に限る
5 旨の規定はなく、再審査の規定は、発明の貢献が当初の予測を超えて著し
く高まった場合に評価の見直しを行うことを定めたものである(時期は異なるが平成22年の再報奨実施に関するものとして乙33。)から、一審被告の上記主張は理由がない。エ 以上によれば、平成18年支払(本件特許1-5)は、時効完成後の債務の承認に当たるものであるから、一審被告は、本件特許1-5に係る相当対価支払請求権について、信義則上、時効の援用権を喪失したものというべきである。また、平成16年支払(本件特許2-1)は、時効完成前の債務承認に当たるため時効の中断事由に当たり、平成16年12月18日から消滅時効の進行が開始したが、一審原告は、平成26年10月31日、一審被告に対し、本件発明2-1に係る相当対価支払請求権の支払を催告し(甲176) その6か月以内である平成27年4月28日に本訴を提起した、 (当裁判所に顕著な事実)から、消滅時効は完成していないというべきである。
5 結論
以上によれば、一審原告の請求は、3204万8673円及びこれに対する平成27年5月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから、これを認容し、その余の請求は理由がないから棄却すべきである。よって、これと異なる原判決は一部失当であるから、一審原告の控訴に基づき原判決を上記のとおり変更することとし、一審被告の控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第4部裁判長裁判官
5 菅 野 雅 之
裁判官中 村 恭裁判官岡 山 忠 広(別紙1)一審被告準発明の名称 独立クレーム(米国特許) 請求範囲の概要 CDオーディオディスク関連特許該当可能性(一審原 CDオーディオプレイヤー関連特許該当可能性(一審原告 当裁判所の判断備書面(8) 一審被告準 (一審原告訳) 告控訴第10準備書面別紙1) 控訴第10準備書面別紙1)別紙7(乙1 備書面(1 米国出願/特許番号92参照)番 4)番号号(対応日本公開番号)記録録媒体及び一定幅の溝で同じ記 (請求項1)連続スパイラル溝の記録ディスクにおいて、溝が実質的にガウス分布 可能性なし 可能性なし 本特許は、一定幅の溝を持つレコードディスクとその製造方法というも 本特許は、「連続スパイラル溝の記録ディスク」(請求項1、2)、「ガウス分録媒体を製造する方法 曲線の形状のもの。 CDオーディオディスクは、連続スパイラル溝は有し 本発明は記録ディスクないしその製造方法の発明であり、 のであり、請求項1は以下のとおりである。「記録された情報を表すた 布曲線の形状の記録ディスク」(請求項3)、「ガウス分布曲線の形状の連US1976710098A / (請求項2)連続スパイラル溝の記録ディスクにおいて、溝の深さ形状をd xで規 ておらず、ガウス分布曲線の形状も有していない。 CDオーディオプレイヤーとは無関係。 めに、ディスクの表面に一定のピッチ開口部の連続したらせん状の溝を 続スパイラル溝のある記録ディスク」(請求項6)との発 明特定事項を有すUS4152726A 定されるもの。 そもそも、本発明はアナログビデオデイスク用に開 有し、溝の深さが後者に沿って変化する記録ディスクにおいて; 前記溝 るものであるところ、CDオーディオディスクは、こうした連続スパイラル溝、(特開昭51-104801) (請求項3)実質的にガウス分布曲線の形状の溝の記録ディスクを製造するため 発されたものであり、デジタルのCDオーディオディス は、前記溝の深さに関係なく、溝の開口部において実質的に均一な溝 ガウス分布曲線の形状を有していないとの一審
(原告の主張)
に対し、一審被(乙395) の方法。 クとは無関係。 の幅を提供するように、溝の前記深さの変化に応じて変化する逆ベル 告は、CDディスクに「溝」が設けられているものであると反論するのみであ(請求項6)ガウス分布曲線の形状の連続スパイラル溝のある再生可能な記録 形の断面を有する。これは実質的にガウス分布曲線の形をしてい る。CDオーディオも規格製品であり、抽象的に実施可能性があるという理
2404 1 ディスク。 る。」。CDディスクをはじめとする光ディスクでも、ディスク表面に溝が設 由で、この特許が本件ジョイントライセンスプログラムにおけるⒸの特許に
けられることには変わりがなく、少なくとも、乙152の契約書が用いら 当たるとはいえない。また、本特許は記録ディスク又はその製造方法に関れていた時点(1990年頃)では、CD-Audio規格、CD-ROM規格 するものであるから、CDオーディオプレイヤーとは関係がなく、この特許がの派生規格としてどのような規格が出てくるのかを見通せない状況に 本件ジョイントライセンスプログラムにおけるⒸの特許に当たるとはいえなあり、本特許が今後出てくるかもしれない規格に関係する可能性が い。あった。トラッキング制御とTBCを備える光学 (請求項1)対物レンズに隣接する時間軸補正ミラーを用いて時間軸を補正する 可能性なし 可能性なし 本特許は、トラッキングコントロールとTBCを備えた光ビデオ再生装置 本特許は、「対物レンズに隣接する時間軸補正ミラーを用いて時間軸を補式ピデオ再生装置 手段等を備える情報を光学的に再現する装置。 本発明は情報を光学的に再現する装置の発明であ CDオーディオプレイヤーは、時間軸補正ミラーを用いてい であり、再生装置におけるトラッキング技術(レーザ光の制御技術)に 正する手段等を備える情報を光学的に再現する装置」とする発明特定事項US1977797140A / り、CDオーディオディスクとは無関係。 ない。時間軸補正は、デジタルオーディオディスクには不要 関連し得る特許である。クレーム1に「記録媒体表面上の記録トラック を有するものであるところ、光学的に再現する「装置」の発明であるから、CUS4136362A (アナログ処理の場合に必要となる。)。なお、本発明は、ア に記録された情報信号を光学的に再生するための装置において…」と Dオーディオディスクに関するものであるといえないことは明らかである。次(特開昭52-141608 ) ナログビデオディスクに開発されたものであり、CDオーディ あるとおり、本特許はCD-AudioディスクやCD-ROMディスクをはじ に、一審被告は、請求項1に「記録媒体表面上の記録トラックに記録された(乙396) オプレイヤーとは無関係。 めとする光学ディスクに関する特許である。 情報信号は光学的に再生するための装置」との発明特定事項があることをとらえてCDオーディオ等の光ディスクに関する特許であると主張するが、時
2409 2 間軸補正ミラー(タイムベース補正ミラー)はCDオーディオプレイヤーに用い
られておらず、時間軸補正はアナログ処理の場合は必要となるがデジタルオーディオには不要であるとの一審
(被告の主張)
に対して、CDオーディオ規格にこうした技術が採用されていることについて何ら反証していないから、この特許が本件ジョイントライセンスプログラムにおけるⒸの特許に当たるとはいえない。光学式再生ヘッド (請求項1)半導体レーザ光源と、該半導体レーザ光源よりの出射ピームの入射 可能性なし 可能性なし 本特許は、「光再生ヘッド」であり、いわゆる光ピックアップに関する技 本特許は、「光学式再生ヘッド」に関する発明であるから、CDオーディオUS1980189577A / により平行ピームを出射する第1のオファクシスホログラムレンズと、前記第1のオ 本発明は再生ヘッドの発明であり、CD オーディオ CDオーディオプレイヤーは、第1のオファクシスホログラム 術であって、対象となる分野は光学ディスクである。光ピックアップと ディスクに関するものであるとはいえないことは明らかである。次に、本特許US4458980A ファクシスホログラムレンズより出射する平行ピームの入射により光学式記録媒 ディスクとは無関係。 レンズと第2のオファクシスホログラムレンズとを有する光 は、CD(コンパクトディスク)やDVD(デジタル多用途ディスク)といった の「光学式再生ヘッド」は、第1のオファクシスホログレムレンズと第2のオ(特開昭56-047933 ) 体に照射する集束ピームを出射する第2のオファクシスホログラムレンズとを有す 学式再生ヘッドを用いておらず、無関係 光ディスク媒体が光ディスクドライブやプレーヤに装填された際に、光 ファクシスホログレムレンズを有するものであるが、一審被告は、本特許が(乙398) ることを特徴とする光学式再生へッド。 ディスクから情報を再生したり記録するための、レーザー光源と受光部 光ピックアップに関する技術であり、対象となる分野は光学ディスクであると
2441 3
品、そして精密メカ部品からなる能動的な光学パーツのことである。 主張するのみであり、CDオーディオ関連技術との関係で具体的に主張していないから、この特許が本件ジョイントライセンスプログラムにおけるⒸの特許に当たるとはいえない。インラインホログラムレンズの製造方 (請求項1)インラインホログラムレンズの製造方法であって、回折手段によってコ 可能性なし 可能性なし 本特許は、「インライン・ホログラム・レンズの製造方法」であり、上記3 本特許は、インラインホログラムレンズの製造方法に関する発明であるか法 ヒーレントな回折波ピームを生成するステップと、前記回折手段とは別の対物レ 本発明はホログラムレンズの製造方法の発明であ 本発明はホログラムレンズの製造方法の発明であり、CD で用いるインライン・ホログラム・レンズの製造方法に関するものであ ら、CDオーディオディスクに関するものであるとはいえないことは明らかでUS1981261728A / ンズ手段によってコヒーレントな球面波ピームを生成するステップと、前記回折波 り、CDオーディオディスクとは無関係。 オーディオプレイヤーとは無関係。 る。 ある。また、一審被告は、本特許は上記3で用いるインラインホログラムレンUS4393126A ピームを垂直に提供する参照波ビームとして感光層に入射させるステップと、同 ズの製造方法に関するものである旨主張するが、上記3のとおり、3に係る
2449 4 (特公平01-050910) 時に、前記球面波ビームを、前記回折手段を介して対象波ビームとして前記感 特許がCDオーディオ関連技術であると認めるに足りないから、この特許に
(乙399) 光層に垂直に人射するステップ等を備える。 ついても、本件ジョイントライセンスプログラムにおけるⒸの特許に当たるとはいえない。解除可能なカバーロック装置 (請求項1)装置に電力が供給されると記録媒体が移動するのに適したタイプの 可能性なし 可能性なし 本特許は、「解除可能なカバーロック装置」であり、クレームの記載から 本特許は、再生装置のカバーロック装置に関するものであるから、CDオーUS1981296492A / 記録及び/又は再生装置の解除可能なカバーロック装置であって、電力が供給さ 本発明はカバーロック装置の発明であり、CDオー CDオーディオプレイヤーでは、本発明が規定するカバー も理解されるとおり、本特許は、ハードウェアとしてのディスク再生装置 ディオディスクに関するものであるとはいえないことは明らかである。他方US4412320A れ、ディスクの移動速度が所定値以下である時に解除される第1の解除手段と、 ディオディスクとは無関係。 ロック装置は用いられていない。そもそも、本発明はアナロ のカバーロック装置に関するものであり、当然、光ディスクの再生装置 で、一審被告が本発明の実施例として提出するマランツ社製の「CD-63」(実開昭57ー04970) 電力の供給が遮断された時に解除される第2の解除手段を備える。 グビデオディスクプレーヤにおける、ディスク上方を覆うよう でも適用可能性がある発明である(実際、日本マランツ社製のCDプ が掲載されている雑誌(乙433)、一審被告社製の「CD-ROM DISCMA(乙400) (請求項8,9,10) に設けられた蓋のロック機構を解除する機構用に開発され レーヤ『CD-63』では蓋開閉方式が採用されていた。また、一審被告 N」のカタログ(乙434)には、本発明が実施されていることをうかがわせるクレーム1をメカ的に詳細に規定した記録及び/又は再生装置の解除可能なカ たものであり、CDオーディオプレイヤーとは無関係。 自身が製造販売していたポータブルタイプのCD-ROMドライブ(プ 記載はないものの、CDオーディオプレイヤーにおいて、CDオーディオディス
2451 5 バーロック装置。 レーヤ)でも本件特許のような蓋を開閉する方式が採用されていた。 クの移動速度が所定値以下である時に解除される第1の解除手段と、電力
の供給が遮断された時に解除される第2の解除手段を実装することは可能であると考えられるから、本特許は、CDオーディオプレイヤーに関連したものとしてカウントするのが相当である。フォーカス制御が改善された光学式 (請求項1)光学情報を記録媒体上に記録し、前記記録媒体から再生する情報の 可能性なし 可能性なし 本特許の「フォーカス制御を改善した光記録再生装置」という発明の名 本特許は、光学式記録再生装置に関するものであるから、CDオーディオ記録再生装置 記録再生装置であって、記録時は、主ピームで前記記録媒体上に情報を記録す 本発明は記録再生装置の発明であり、 CDオーディ 本発明はフォーカス制御に特徴を有する記録を行い、かつ 称自体から明らかなとおり、光ディスクの再生方法(光ディスクの記録 ディスクに関するものであるとはいえないことは明らかである。次に、CDUS1982401016A/ ると共に、第1及び第2の副光検出器の各検出出力の差にて上記主ピームによる オディスクとは無関係。 再生する記録再生装置の発明であり、記録機能を有しな 再生装置)に関するものである。具体的には、記録時にはサイドビーム オーディオディスクは記録手段を有するものではないから、本特許は、CDUS4547872A 前記記録媒体のフォーカスを制御し、再生時は前記主ビームにて前記記録媒体 いCDオーディオプレイヤーとは無関係。 でフォーカス制御を行い、再生時にはサイドビームを使ってトラッキング オーディオプレイヤーとの関係でも、本件ジョイントライセンスプログラムにお
2466 6 (特開昭58ー019744 ) の記録トラックを走査して前記主光検出器より再生信号を得ると共に、前記第1 制御を行うという内容である。 けるⒸの特許に当たるとはいえない。
(乙401) 及び第2の副光検出器の各検出出力にて、記録トラックにおける横方向における前記主ピームのトラッキングを制御する。光変調装置 (請求項1)記録媒体に情報信号を記録するための記録手段と共に使用するため 可能性なし 可能性なし 本特許の「光変調装置」という発明の名称自体から明らかなとおり、光 本特許は、光変調装置に関するものであるから、CDオーディオディスクにUS1982428070A / の光変調装置であって、高周波搬送波信号を生成するための発振器手段及び 本発明は光変調装置の発明であり、CDオーディオ 本発明は記録手段に使用するための光変調装置の発明 変調装置(光の波長・強度・位相などを、主に電気信号などで変化させ 関するものであるとはいえないことは明らかである。この点、一審被告は、US4477821A 高周波搬送波信号の振幅を制御するための振幅変調手段等を備える。 ディスクとは無関係。 であり、記録手段を有しないCDオーディオプレイヤーとは る素子のこと)に関する発明の特許である(請求項1参照)。本特許は 本特許はCD等のディスクの製造過程で本特許のような光変調装置を用い(特開昭58-062630 ) 無関係。 光変調装置に関する発明であるが、CD等のディスクの製造過程で る旨主張するが、こうした主張を裏付ける証拠の提出はないから、採用の(乙402) は、原盤に照射するレーザ光を、記録するデータに基づいて変調する際 限りではない。次に、CDオーディオプレイヤーは記録手段を有するものでは
2469 7 に、本特許のような光変調装置を用いる。 ないから、本特許は、CDオーディオプレイヤーとの関係でも、本件ジョイント
ライセンスプログラムにおけるⒸの特許に当たるとはいえない。光学式再生装置 (請求項1)光学式再生装置であって、半導体レーザー光源および対物レンズに 可能性なし 可能性あり 本特許の名称は「光学式再生装置」であり、「回折ビームを発散させる 本特許は、光学式再生装置に関するものであるから、CDオーディオディスUS1983535850A / 対して間隔を置いて第1、第2、第3の光検出器を配し、半導体レーザ光源よりの 本発明は光学式再生装置の発明であり、CDオー トラッキング制御に関する方式として、大別すると3ピーム ための凹レンズ」によって、「凹レンズは、前記光検出器と前記ビーム クに関するものであるとはいえないことは明らかである。他方、CDオーディUS4592038A レーザービームを 0次、+ 1次及びー一次の回折ビームに分離する位相形回折格 ディオディスクとは無関係。 法、ブッシュプル法、DPD法等があるが、本発明は、そのう スプリッタとの間に取り付けられ、前記第2および第3の光検出器の検 オプレイヤーに関しては、一審原告も、初期のオーディオプレイヤーの一部(特開昭59-058637 ) 子を前記半導体レーザとピームスプリッタとの間に配すると共に、光学式記録媒 ちの3ピーム方式に係るもので、その中の一手法の発明。 出された出力間の差を計算することによってトラッキングエラー信号が に本特許に係るトラッキングエラー信号が実施されている可能性を否定し得
2483 8 (乙404) 体からの前記+ 1次及び一一次の回折反射ピームの前記ビームスプリッタにより 初期のCDオーディオプレイヤーの一部で、本発明のトラッ 得られるように、前記光検出器の位置決めを容易にする。」というクレー ないとするものであるから、本特許は、CDオーディオプレイヤーに関連した
反射された反射ピームを各々受光する第2及び第3の光検出器の差によりトラッ キングエラー信号の検出手段を実施している可能性を否定 ムの記載からも明らかなとおり、光ピックアップ装置に関するものであ ものとしてカウントするのが相当である。キングエラー信号を得るようにする。 できない。 る。情報記録媒体 (請求項1)情報記録媒体であって、光透過性基板と、前記基板上に形成された 可能性なし 可能性なし 本特許に係る発明の名称は、「情報記録媒体」であり、クレームの記載 本特許は、情報記録媒体に関する発明であるところ、CDオーディオディスクUS1983549741A / 記録層であって、人射記録光がその中で熱に変換されたときに光学特性を変化 本発明は熱変化による記録層を有する情報記録媒 本発明は記録媒体の発明であり、CD オーディオプレイ から明らかなとおり、本件特許に係る発明は、「光透過性基板」「記録 は記録層を有していないから、本特許はCDオーディオディスクに関するものUS4525412A させる特性を有する記録層と、前記記録層上にコーティングされ、次のように配置 体の発明であり、記録層を有していないCDオーディ ヤーとは無関係。 層」「保護層」「平面層」からなる「情報記録媒体」に関する発明である とはいえない。また、本特許は、記録媒体に関する発明であるから、CD(特開昭59-090248 ) された光吸収特性を有する保護層と、記録時に前記記録層を通過する前記記録 オディスクとは無関係。 から、CD-R規格が登場する以前の追記型光ディスクは、このような オーディオプレイヤーに関するものとはいえないことは明らかである。した
2485 9 (乙405) 光を吸収し、前記保護層に重ねられ、前記記録層の機械的変形を抑制すること 構造をもとに各社開発が様々な可能性の検討が進められていたもので がって、本特許は、CDオーディオディスク、プレイヤーのいずれも、本件ジョ
ができる平面層と、を備える。 ある。 イントライセンスプログラムにおけるⒸの特許に当たるとはいえない。光学式記録媒体 (請求項1)トラック案内溝が形成された表面上に、情報の記録によってその記録 可能性なし 可能性なし 本特許に係る発明の名称は「光学記録媒体」であり、クレーム中に「反 本特許は、トラック案内溝が形成された表面上に記録材料を層状に設けたUS1983551083A / 部分のエネルギー反射率が増加する記録材料を層状に設けた反射型光学式記 本発明はトラック案内溝に記録材料を層状に設ける 本発明は記録媒体の発明であり、CD オーディオプレイ 射型光記録媒体」(クレーム1)とあるとおり、光ディスクに関する発明で 反射型光学式記録媒体に関する発明であるところ、CDオーディオディスクUS4606018A 録媒体であって、トラック案内溝の深さ等が所定の方程式で与えられているも 光学式記録媒体の発明であり、トラック案内溝も記 ヤーとは無関係。 ある。そして、本特許は、クレーム中で限定されたパラメータを満たすこ にこうしたトラック案内溝が設けられていると認めるに足りず、また、CDオー(特開昭59ー096546 ) の。 録部分も有していないCDオーディオディスクとは無 とによって、“improved efficiency”(改善された効率性)を達成すること ディオディスクは記録手段を有するものでもないから、いずれにせよ、本特(乙406) 関係。 を目的とする発明である。 許がCDオーディオディスクに関するものとはいえない。また、本特許は、記
2486 10 録媒体に関する発明であるから、CDオーディオプレイヤーに関するものとい
えないことは明らかである。したがって、本特許は、CDオーディオディスク、プレイヤーのいずれも、本件ジョイントライセンスプログラムにおけるⒸの特許に当たるとはいえない。(別紙2)平成5年度~平成14年度独占の利益(本件特許1-5以外を含む。)本件特許1-5の貢献割合 小計本件ジョイントライセンスプログラムによるライセンス料配分額対象製品
①CD-ROM Disc
②CD-ROM Drive
③CD-R Disc
④CD-R Drive
⑤CD-RW Disc
⑥CD-RW Drive
⑦Video CD Disc
⑧Video CD Player
平成15年度~平成17年度独占の利益(本件特許1-5以外を含む。)本件特許1-5の貢献割合 小計本件ジョイントライセンスプログラムによるライセンス料配分額対象製品
①CD-ROM Disc
②CD-ROM Drive
③CD-R Disc
④CD-R Drive
⑤CD-RW Disc
⑥CD-RW Drive
⑦Video CD Disc
⑧Video CD Player
0%(別紙3)表1-1:一審被告がSCEから支払いを受けるべきライセンス料-米国販売分のPS1ゲーム機本体(CD-ROMプレイヤー規格準拠品)分PS1 ゲーム機本体価格 一審被告が支PS1ゲーム機本体US ドル(上段) 円(上段) 払いを受ける北米販売台数(万台)期間(下段) 当該期間にお べきライセン×●●●(米国販売分)(上[甲295] ける平均為替 ス料段)レート(下 【A】x【B】対象期間(下段)対象期間 段) ●●●●●[甲297].9.9*1~2005.3.22*2 [甲296] (円)【A】 【B】 【C】.9.9~1996.4.5~1997.3.2.3.3~1998.8.31.9.1~1999.8.22.8.23~2002.6.30 *3*3.7.1~2004.12.31.1.1~2005.3.22総計*1 PS1 の販売開始日(甲295)*2 本件特許1-5の権利満了日*3 「PS one」の価格が 2002 年 5 月に「●●●」に改定されたことを受け、計算上の便宜から 2002.7.1 以降の販売分は全て「PS one」とした*4 この為替レートは、該当期間である「1995 年」と「1996 年」(●●●●での販売期間)の各年における平均為替レートを平均したもの(甲296)。他も同様*5 ●●●●●●での販売期間は「1995.9.9~1996.4」であるものの、甲第297号証の集計データを利用するにあたり、同価格での販売期間を「1995.9.9~1996.3.31」とした(算定されるライセンス料がより低額となる方向での調整)。他も同様*6 「0」(万台)は、「2005.1.1~2005.3.31」(90 日間)における北米販売台数(●●●●●●●●●●●●)を 81 日間(「2005.1.1~2005.3.22」)の日割計算にて算出表1-2:一審被告がSCEから支払いを受けるべきライセンス料-米国販売分のPS2ゲーム機本体(CD-ROMプレイヤー規格準拠品)分-PS2 ゲーム機本体価格 一審被告が支US ドル(上段) 円(上段) PS2 ゲーム機本体 払いを受ける期間(下段) 当該期間に 北米販売台数(万台)×●●● べきライセン[甲295] おける平均 (米国販売分)(上段) ス料為替レート 対象期間(下段) 【A】x【B】対象期間 (下段) [甲298] ●●●●●.10.26*1~2005.3.22*2 [甲296] (円)【A】 【B】 【C】.10.26~2002.4.5~2003.7.8~2004.4.5~2004.12.31.1.1~2005.3.22総計*1 PS2 の販売開始日(甲295)*2 本件特許1-5の権利満了日*3 「●」(万台)は、「2005.1.1~2005.3.31」(90 日間)における北米販売台数(●●●●●●●●●●●)万台)を 81 日間(「2005.1.1~2005.3.22」)の日割計算にて算出表2-1:一審被告がSCEから支払いを受けるべきライセンス料-米国販売分のPS1ゲームディスク(CD-ROMディスク規格準拠品)分-PS1ゲームディスク北米販売本数(万本)×●●●(米国販売分) 平均為替 一審被告が支払いを受けるべきライセンス[甲300] レート 料[甲296] 【A】x【B】x●●●●●●●(円)対象期間1995.9.9*1~2005.3.22*2【A】 【B】 【C】[1995.9.9~2004.12.31][2005.1.1~2005.3.22]*1 PS1 の販売開始日(甲295)*2 本件特許1-5の権利満了日*3 「●」(万本)は、「2005.1.1~2005.3.31」(90 日間)における北米販売本数(●●●●●●●●●●●●)万本)を 81 日間(「2005.1.1~2005.3.22」)の日割計算にて算出表3-1:一審被告がSCEから支払いを受けるべきライセンス料-米国販売分のPS2ゲームディスク(DVD-ROMディスク規格準拠品)分-PS2 ゲームディスク北米販売本数(万本)×●●●DVD-ROM ディ 一審被告が支払いを受(米国販売分)スク規格準拠品 平均為替 けるべきライセンス料[甲301][甲302]の割合 レート 【A】x【B】x【C】x●●●●●(円)対象期間2000.10.26*1~2016.3.31*2【A】 【B】 【C】 【D】(2000.10.26~2007.3.31)(2007.4.1~2012.3.31)*3(2012.4.1~2013.3.31)*4(2013.4.1~2014.3.31)(2014.4.1~2015.3.31)(2015.4.1~2016.3.31)*1 PS2 の販売開始日(甲295)*2 計算上の便宜から本件特許2-1の満了日(2016.5.29)以前を終期とした*3 「●●」(万本)は、2007 年度~2011 年度(「2007.4.1~2012.3.31」)における合計●●(万本)(=「●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●」:甲302)に北米分として「●●●●●●●」を乗じて算出。なお、「●●●●●●●」は、2007.3.31 時点における PS2 ゲームディスクの累計生産出荷本数(「全世界」)に占める「北米」の割合(甲301)*4 「●●」(万本)は、2010 年度 「2010.4.1~2011.3.31」、( ) 2011 年度 「2011.4.1~2012.3.31」( )の売上本数(「全世界」)の変動割合(前年比 48%(=「●●●●●●●」:甲302))を基に算出(「●●●●●●●●●●●●●●」[北米分])。以下も同様表3-2:一審被告がSCEから支払いを受けるべきライセンス料-米国販売分のPSPゲームディスク(UMDディスク規格準拠品)分-PSP ゲームディスク北米販売本数(万本)×●●%一審被告が支払いを受けるべきライセ(米国販売分)平均為替 ンス料[甲305][甲306]レート 【A】x【B】x●●●●(円)対象期間2005.3.24*1~2016.3.31*2【A】 【B】 【C】(2005.3.24~2007.3.31)(2007.4.1~2012.3.31)*3(2012.4.1~2013.3.31)*4 102 円/ドル(2013.4.1~2014.3.31)(2014.4.1~2015.3.31)(2015.4.1~2016.3.31)*1 PSP の発売開始日(甲295)*2 計算上の便宜から本件特許2-1の満了日(2016.5.29)以前を終期とした*3 ●●●●(万本)は、2007 年度~2011 年度(「2007.4.1~2012.3.31」)における合計●●●(万本)(=●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●:甲306)に北米分として●●●●●●●●を乗じて算出。なお、●●●●●●●は 2007.3.31 時点における PSP ゲームディスクの累計生産出荷本数(「全世界」)に占める「北米」の割合(甲305)*4 ●●●(万本)は、2010 年度 「2010.4.1~2011.3.31」、( ) 2011 年度 「2011.4.1~2012.3.31」( )の売上本数(「全世界」)の変動割合(前年比●●%(=●●●●●●●●:甲306))を基に算出(●●●x ●● x ●●●●●●●●● [北米分])。以下も同様(別紙4-1)本件ジョイントライセンスプログラム(本件発明1-5関係)(平成5年度~平成14年度)ライセンス料 ライセンス料 訴訟関係費用 本件特許1-5の 共同発明者間の一製品カテゴリ 一審被告の貢献度 相当対価の額(全世界分) (米国分) 控除後の残額 独占的利益 審原告の貢献度CD-ROM DiscCD-ROM DriveCD-R DiscCD-R DriveCD-RW DiscCD-RW DriveVideoCD DiscVideoCD Drive合計本件ジョイントライセンスプログラム(本件発明1-5関係)(平成15年度~平成17年度)ライセンス料 ライセンス料 訴訟関係費用 本件特許1-5の 共同発明者間の一製品カテゴリ 一審被告の貢献度 相当対価の額(全世界分) (米国分) 控除後の残額 独占的利益 審原告の貢献度CD-ROM DiscCD-ROM DriveCD-R DiscCD-R DriveCD-RW DiscCD-RW DriveVideoCD DiscVideoCD Drive合計(別紙4-2)PS1ゲーム機(本件発明1-5関係)
①一審被告が受けるべき利益 ②本件特許1-5の一審被 共同発明者間の一
対象期間 一審被告の貢献度 相当対価の額(表1-1【C】欄×0.8) 告の受けるべき利益 審原告の貢献度.9.9~1996.4.5~1997.3.2.3.3~1998.8.31.9.1~1999.8.22.8.23~2002.6.30.7.1~2004.12.31.1.1~2005.3.22合計PS2ゲーム機(本件発明1-5関係)
①一審被告が受けるべき利益 ②本件特許1-5の一審被 共同発明者間の一
対象期間 一審被告の貢献度 相当対価の額(表1-2【C】欄×0.8) 告の受けるべき利益 審原告の貢献度.10.26~2002.4.5~2003.7.8~2004.4.5~2004.12.31.1.1~2005.3.22合計※ 黄色に着色した期間は、各期間に対応する①の数字にCD-ROMドライブの貢献割合である を乗じた額が②の金額である。 青色に着色した期間は、各期間に対応する①の数字にCD-ROMドライブの貢献割合である を乗じた額が②の金額である。※ 各対象期間中、月のみを示すものは、起算日については当該月の1日を、締め日については同末日を指す。PS1ゲームディスク(CD-ROMディスク)(本件発明1-5関係)
①一審被告が受けるべき利益 ②本件特許1-5の一審被 共同発明者間の一
対象期間 一審被告の貢献度 相当対価の額(表2-1【C】欄×0.8) 告の受けるべき利益 審原告の貢献度.9.9~2004.12.31.1.1~2005.3.22合計※ 緑色に着色した期間は、各期間に対応する①の数字にCD-ROMディスクの貢献割合である を乗じた額が②の金額である。 橙色に着色した期間は、各期間に対応する①の数字にCD-ROMディスクの貢献割合である を乗じた額が②の金額である。PS2ゲームディスク(本件発明2-1関係)一審被告が受けるべき利益(表 本件特許2-1の一審被告 共同発明者間の一対象期間 一審被告の貢献度 相当対価の額3-1【C】欄×0.8 の受けるべき利益 審原告の貢献度.10.26~2016.3.31UMDディスク(本件発明2-1関係)一審被告が受けるべき利益(表 本件特許2-1の一審被告 共同発明者間の一対象期間 一審被告の貢献度 相当対価の額3-2【C】欄×0.8 の受けるべき利益 審原告の貢献度.3.24~2016.3.12(別紙4-3)Cライセンスプログラム(本件発明2-1関係)ライセンス料 ライセンス料 訴訟関係費用控除 本件特許2-1の 共同発明者間の一製品カテゴリ 一審被告の貢献度 相当対価の額(全世界分) (米国分) 後の残額 独占的利益 審原告の貢献度DVD-ROM DiscDVD Video DiscDVD RECORDABLE DiscDVD RECORDABLE Drive合計One-Red ライセンスプログラム(本件発明2-1関係)ライセンス料 ライセンス料 本件特許2-1の 共同発明者間の一製品カテゴリ 一審被告の貢献度 相当対価の額(全世界分) (米国分) 独占的利益 審原告の貢献度DVD-ROM DiscDVD-Video Disc合計One-Blue ライセンスプログラム(本件発明2-1関係)ライセンス料 ライセンス料 本件特許2-1の 共同発明者間の一製品カテゴリ 一審被告の貢献度 相当対価の額(全世界分) (米国分) 独占的利益 審原告の貢献度BD RecorderBD Recorder Drive合計(別紙4-4)SCEライセンス契約ライセンス料年度(米国分)平成7年 ●●●●●平成8年 ●●●●●平成9年 ●●●●●●平成10年 ●●●●●●平成11年 ●●●●●●平成12年 ●●●●●●平成13年 ●●●●●●平成14年 ●●●●●●平成15年 ●●●●●●平成16年 ●●●●●●平成17年 ●●●●●●平成18年 ●●●●●●平成19年 ●●●●●●平成20年 ●●●●●●平成21年 ●●●●●●平成22年 ●●●●●●平成23年 ●●●●●●平成24年 ●●●●●●平成25年 ●●●●●●平成26年 ●●●●●●平成27年 ●●●●●●平成28年 ●●●●●●合計 ●●●●●●●※年は会計年度(4月1日から翌3月31日まで)(乙244参照)
第4 当裁判所の判断
1 認定事実引用に係る原判決の第2の2(補正後のもの)、証拠(甲4ないし7、9、12ないし16、110、133ないし138、141、142、145、159、160、163、165、174、175、177、178、194、195、199、200、207、210ないし212、216(枝番を含む。以下同じ。)、221、237、273ないし282、290、295ないし306、319ないし325、乙4ないし8、10ないし15、17ないし23、26、28、29、31、32、37、44、46、51、54ないし59、68ないし73、77、80ないし82、84、88ないし91、131、132、137、140ないし144、148、150ないし168、170、172ないし183、190、194ないし196、198ないし202、205ないし208、211、213ないし216、218、220、225、228ないし231、235ないし239、242ないし246、251、252、261、263ないし295、297ないし302、323、324、329、337、339、344、361、363、365、367、370、377、380、390、410、417、419ないし421、423、425、426、429、435、証人〈H〉、一審原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。一審原告の一審被告における経歴等一審原告は、昭和54年3月に大学を卒業した後、同年4月に一審被告に入社し、技術研究所に配属され、クロスインターリーブ符号に関するコンピュータシミュレーションを用いた研究を開始し、昭和55年からCD-DA(音楽用CD。以下、単に「CD」ということがある。)の共同開発プロジ
5 ェクトに関与し、エラー訂正方式のCIRC等の職務発明を共同して行った。一審原告は、昭和56年4月、技術研究所から情報処理研究所に異動となり、昭和57年4月に音声認識の研究グループに異動したが、後記 ア のとおり、CD-ROMの開発プロジェクトに携わっていた〈B〉に依頼されて、本件発明1-5を共同して行った。一審原告は、平成3年11月、「ESPER研究室」の室長となったが、後記 ア のとおり、平成7年4月から5月にかけて本件発明2-1を共同して行った後、平成10年4月、DVD戦略本部に異動して技術戦略担当部長、平成18年3月に技術開発本部技術担当部長の就任等を経て、平成25年3月に一審被告を退職した。本件特許1-5についてア 発明に至る経緯等一審被告とフィリップス社は、昭和54年6月に両社でCD-DAを共同開発することを合意し、同年8月から昭和55年6月頃にかけて、CDのディスク直径、標本化周波数、量子化ビット数、エラー訂正方式、変調方式等に関する検討を重ねて、昭和56年に規格書レッドブックを策定してCD-DAの規格化をした。一審被告とフィリップス社は、CDの導入後、コンピュータ分野への応用について検討を行うこととし、昭和58年3月からCD-ROMの開発に向けての会議が開始された。一審被告側は、〈I〉、〈B〉、〈D〉らが、フィリップス社側は〈C〉らが参加して継続的に検討がされた。一審被告では、CDを外部記憶媒体として使う場合であってもCIRCが存在するため独自のエラー訂正技術は不要であるとの認識であったが、フィリップス社から、CDにデジタルデータを記録してコンピュータ用とするのであればCIRCだけでは不十分であり、独自のエラー訂正を付加したほうがよいとの提案を受けたことから、〈B〉は、同人が
5 所属する技術研究所とは別の部署に所属していた一審原告にこの提案の検討を依頼した。一審原告と〈B〉は、一審原告が作成した複数の案について検討し、協議した結果、1セクタ(ブロック)2352バイト(うちユーザーデータ2Kバイト)を上位プレーンと下位プレーンの2つに分割し、各プレーンについて、8ビットのガロア拡大体GF(2 8)上でエラー訂正符号を構成し、P系列、Q系列の異なる2つの方向の系列を有するブロック完結型エラー訂正符号を着想するに至った。一審被告は、昭和58年12月21に開催されたフィリップス社との協議で、上記 のエラー訂正方式を提案した。これに対し、フィリップス社は、単一の系列で16ビットのガロア拡大体GF(2 16 )上でエラー訂正符号を構成するフォーマット(「Philips16」)と、1ブロック2352バイトを98バイトごとに24分割し、ガロア拡大体GF(2 8)で最小距離13の(98.86)リード・ソロモン符号を同一方向の系列で24系列構成するフォーマット(「Philips8」)を提案した。一審被告案とフィリップス社の上記2案について両社で性能比較の検証を行った結果、一審被告案が性能面において優れていることが実証され、フォーマットとして採用することが合意された。イ 登録に至る経緯等被告発明考案規定では、従業員が職務発明をした場合は、社外に発表する前に直ちに上司に届け出て、工業所有権の登録を受ける権利を一審被告に対して譲渡する旨の規定があった。〈E〉は、昭和58年10月23日付けで、発明の名称を「CD-ROM“Super Heavy” Error Correction Method.(その1)」とし、発明者を〈E〉、〈D〉、〈J〉とする特許出願申込書(乙55)を作成して一審被告特許部に提出した(なお、後に発明者を〈E〉、〈D〉、〈B〉、
5 一審原告、〈C〉とする届けがされた。)。また、〈B〉は、昭和59年2月2日、発明の名称を「ディジタル・オーディオ機器をディジタル・データ機器として使用する方法」とし、発明者を〈B〉、一審原告、〈D〉とする特許出願申込書(乙57)を作成して一審被告特許部に提出した。一審原告、〈E〉、〈D〉、〈B〉及び〈C〉は、昭和59年3月23日頃、一審被告に対し、本件特許1-1及び同1-2に係る発明とその海外特許である本件特許1-5等に係る発明について、特許を受ける権利を譲渡した。本件特許1-1及び同1-2の出願は、〈K〉弁理士が代理して行われたが、本件特許1-1についての手続前の打合せは〈E〉、〈L〉、〈M〉が、本件特許1-2についての手続前の打合せは〈B〉、〈M〉がそれぞれ行った。一審被告は、昭和60年3月22日、発明者を〈B〉 一審原告、、 〈D〉、〈E〉とフィリップス社の従業員である〈C〉の合計5名とし、本件特許1-1及び同1-2を優先権の基礎とする本件特許1-3を出願したが、昭和61年9月19日頃、米国特許商標庁から、請求項13ないし16については明細書の開示が十分ではないとの理由で拒絶理由通知を受けた。このため、一審被告は、昭和62年8月5日、本件特許1-3の一部継続出願として本件特許1-5を出願したが、本件特許1-3が既に発効しており、米国特許商標庁から、出願日の遡及は認められないとの拒絶理由を受け、本件特許1-5が本件特許1-3の二重特許として拒絶されることを回避するため、本件特許1-5の特許有効期間を本件特許1-3の有効期間である平成16年7月14日を超える部分について放棄するとのターミナル・ディスクレイマーを付した。本件特許1-5は、平成3年3月5日に登録された。一審被告は、平成元年7月13日、米国において、本件特許1-3の
5 再発行特許として、本件特許1-4を出願した。本件特許1-4は、平成2年11月27日登録され、原特許である本件特許1-3は、同日をもって放棄されたものとみなされた。ウ 本件特許1-5の技術的意義等音楽信号は、データ間の相関性が高いことから、隣接するデータポイントの平均値補間をすることで補間処理を行うことができるが、ディジタルデータは、こうした補間処理を行うことはできず、音楽信号と比べて再生データのエラーレートが更に良いことが望ましいという課題があった。本件特許1-5の請求項1は、第1及び第2のクロスインターリーブ・リード・ソロモン符号による誤り訂正(CIRC)に加えて、第3のリード・ソロモン符号による誤り訂正を行うことを可能とする情報伝送装置の発明であり、第3のリード・ソロモン符号は、所定のブロック(セクタ)内のデータだけで完結させて誤り検出と訂正を行うブロック完結型を採用し、また、各ユーザーワードは上位シンボルと下位シンボルに分割し、セクタは「プレーン」で構成でき、セクタの第1のプレーンはそのセクタの上位シンボルを受信し、第2のプレーンは、そのセクタの下位ユーザシンボルを受信することから成るものである。本件特許1-5の請求項5は、第3のリード・ソロモン符号器のエラー訂正符号化に関する方法の発明であり、同請求項7は、第1及び第2のエラー訂正符号についてそれぞれ複号するステップを備える方法の発明である。したがって、本件特許1-5は、CIRCによる誤り訂正に加えて、
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